(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】繊維製品用液体洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
C11D 17/08 20060101AFI20231031BHJP
C11D 3/20 20060101ALI20231031BHJP
C11D 1/72 20060101ALI20231031BHJP
C11D 1/04 20060101ALI20231031BHJP
C11D 1/83 20060101ALI20231031BHJP
C11D 1/14 20060101ALI20231031BHJP
C11D 1/74 20060101ALI20231031BHJP
D06F 35/00 20060101ALI20231031BHJP
A01P 3/00 20060101ALN20231031BHJP
A01N 31/14 20060101ALN20231031BHJP
【FI】
C11D17/08
C11D3/20
C11D1/72
C11D1/04
C11D1/83
C11D1/14
C11D1/74
D06F35/00 Z
A01P3/00
A01N31/14
(21)【出願番号】P 2020032052
(22)【出願日】2020-02-27
【審査請求日】2022-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【氏名又は名称】義経 和昌
(72)【発明者】
【氏名】中谷 親一郎
(72)【発明者】
【氏名】橋本 侑樹
【審査官】黒川 美陶
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-99820(JP,A)
【文献】特開2004-189606(JP,A)
【文献】特開2019-119850(JP,A)
【文献】特開2004-204157(JP,A)
【文献】特開2005-82767(JP,A)
【文献】特開2002-115182(JP,A)
【文献】特開昭60-96693(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(a)成分~(e)成分を含有する、繊維製品用液体洗浄剤組成物。
(a)成分:界面活性剤((d)成分及び(e)成分を除く)
(b)成分:炭素数10以上16以下のアルコール
(c)成分:芳香環を有する抗菌性化合物(第4級アンモニウム塩を除く)
(d)成分:下記式(1d)で示す第2級アルコールのエチレンオキシド付加物
R
1d-O-(EO)
s-H (1d)
〔R
1d-O-は炭素数8以上18以下の第2級のアルキル基又は炭素数8以上18以下の第2級アルケニル基を有するアルコール残基、EOはエチレンオキシ基、sはEOの平均付加モル数であり0を超え7未満を示す。〕
(e)成分:炭素数12以上18以下のカルボン酸又はその塩
【請求項2】
(d)成分の含有量と(b)成分の含有量との質量比である、(d)/(b)が、0.1以上10以下である、請求項1に記載の繊維製品用液体洗浄剤組成物。
【請求項3】
(d)成分の含有量と、(a)成分の含有量及び(b)成分の含有量の合計との質量比である、(d)/〔(a)+(b)〕が、0.01以上0.4以下である、請求項1又は2に記載の繊維製品用液体洗浄剤組成物。
【請求項4】
(d)成分の含有量と(e)成分の含有量との質量比である、(d)/(e)が、0.05以上1以下である、請求項1~3の何れか1項に記載の繊維製品用液体洗浄剤組成物。
【請求項5】
(b)成分を、0.1質量%以上8質量%以下含有する、請求項1~4の何れか1項に記載の繊維製品用液体洗浄剤組成物。
【請求項6】
(d)成分のEOの平均付加モル数sが1以上5以下である、請求項1~5の何れか1項に記載の繊維製品用液体洗浄剤組成物。
【請求項7】
(d)成分のR
1dの炭素数が12以上14以下である、請求項1~6の何れか1項に記載の繊維製品用液体洗浄剤組成物。
【請求項8】
(a)成分が、(a1)アニオン界面活性剤及び(a2)非イオン界面活性剤から選ばれる1種以上の界面活性剤である、請求項1~7の何れか1項に記載の繊維製品用液体洗浄剤組成物。
【請求項9】
(a)成分として、(a1)アニオン界面活性剤〔以下、(a1)成分という〕及び(a2)非イオン界面活性剤〔以下、(a2)成分という〕を含有する、請求項1~8の何れか1項に記載の繊維製品用液体洗浄剤組成物。
【請求項10】
(a1)成分の含有量と、(a1)成分の含有量及び(a2)成分の含有量の合計との質量比である、(a1)/〔(a1)+(a2)〕が、0.05以上0.95以下である、請求項9に記載の繊維製品用液体洗浄剤組成物。
【請求項11】
(a)成分の含有量と(b)成分の含有量との質量比である、(b)/(a)が、0.010以上0.1以下である、請求項1~10の何れか1項に記載の繊維製品用液体洗浄剤組成物。
【請求項12】
(a)成分として、炭素数16以上24以下の内部オレフィンスルホン酸塩を含有する、請求項1~11の何れか1項に記載の繊維製品用液体洗浄剤組成物。
【請求項13】
(a)成分として、下記一般式(1a)で表される界面活性剤(但し、(d)成分は除く)を含有する、請求項1~12の何れか1項に記載の繊維製品用液体洗浄剤組成物。
R
1a(CO)
mO-(AO)
n-R
2a (1a)
〔式中、R
1aは炭素数9以上18以下の脂肪族炭化水素基であり、R
2aは水素原子又はメチル基であり、COはカルボニル基であり、mは0又は1の数であり、AOは、炭素数2のアルキレンオキシ基及び炭素数3のアルキレンオキシ基から選ばれる1種以上のアルキレンオキシ基であり、AOは少なくとも炭素数2のアルキレンオキシ基を含む。AOがエチレンオキシ基及びプロピレンオキシ基を含む場合は、エチレンオキシ基とプロピレンオキシ基は、ブロック型結合でもランダム型結合であっても良い。nは平均付加モル数であって、1以上50以下の数である。〕
【請求項14】
(c)成分が、ジフェニルエーテル骨格を有する抗菌性化合物である、請求項1~13の何れか1項に記載の繊維製品用液体洗浄剤組成物。
【請求項15】
請求項1~14の何れか1項に記載の繊維製品用液体洗浄剤組成物及び水を混合して得た洗浄液で繊維製品を洗浄し、その後該繊維製品を水ですすぐ、繊維製品の洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維製品用液体洗浄剤組成物及び繊維製品の洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
衣料等の繊維製品用の粉末洗浄剤組成物において、洗浄成分として、アニオン界面活性剤やノニオン界面活性剤が用いられている。アニオン界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩に代表される、スルホン酸基又はその塩を有するアニオン界面活性剤、アルキル硫酸エステル塩及びポリオキシアルキレンアルキル硫酸エステル塩に代表される、硫酸エステル塩を有するアニオン界面活性剤が知られている。衣料用洗剤の提供者は、衣料に付着した種々の汚れに対する洗浄力の観点で、複数の陰イオン界面活性剤を併用している。
一方で、生活者の衛生意識の高まりに伴い、衣料のにおいや菌に対する関心も高まってきている。衣料には皮膚常在菌や環境中に存在する様々な菌が付着し繁殖していることが知られている。衣料に付着している菌の増殖を抑制する手段として、第4級アンモニウム塩を使用することが知られている。また、ダイクロサンなどの芳香族塩素系化合物も抗菌性や殺菌性を有する化合物として知られている。
【0003】
特許文献1には、(a)陽イオン性有機抗菌剤、トリクロサン及びジクロロサンから選ばれる少なくとも1種の抗菌剤、(b)非イオン界面活性剤及びアミンオキシド型界面活性剤から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤、及び水を含有し、(a)の含有量が0.05~10質量%、(b)の含有量が0.01~10質量%である水性組成物を、洗濯工程の脱水終了後の含水率(繊維製品の乾燥総質量に対する含浸している水の割合)が30~120質量%である繊維製品に接触させる生乾き臭抑制方法が開示されている。
【0004】
特許文献2には、抗菌作用を有する物質、抗酸化作用を有する物質及び消臭作用を有する物質からなる群から選択される少なくとも1種を担持した粘土鉱物を含む造粒物粒子を表面被覆剤で被覆してなる表面被覆粒子を含有することを特徴とする洗剤組成物が開示されている。
【0005】
特許文献3には、側鎖に三級アミン構造を有するビニル単量体m1と、ラクタム構造を有するビニル単量体ビニル単量体m2と、側鎖に1~30の直鎖状または分岐状炭素鎖、あるいは脂環系炭化水素あるいは芳香族炭化水素基を有するビニル単量体m3と、側鎖に炭素数2~4のポリアルキレンオキシド基を有するビニル単量体m4の4種のビニル単量体から得られる共重合体であって、前記各4種の単量体の構成量がそれぞれ(m1)10~70モル%、(m2)10~70モル%、(m3)1~30モル%、(m4)1~60モル%の範囲内で全体量が100モル%となるようにして得られた共重合体(A)と、殺菌・抗菌効果、消臭効果、酸化防止効果の少なくとも1つの効果を有する機能性成分(B)と、界面活性剤(C)とを含有する衣料用液体洗浄剤組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2009-263812号公報
【文献】特開2004-204085号公報
【文献】特開2011-190368号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、洗浄、すすぎを行う洗濯工程などで用いても抗菌剤の吸着性が向上し優れた抗菌性を繊維製品に付与でき、洗浄時の泡切れ性に優れ、仕上がった繊維製品の柔軟性を向上させる繊維製品用液体洗浄剤組成物及び繊維製品の洗浄方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、下記(a)成分~(e)成分を含有する、繊維製品用液体洗浄剤組成物に関する。
(a)成分:界面活性剤((d)成分及び(e)成分を除く)
(b)成分:炭素数10以上16以下のアルコール
(c)成分:芳香環を有する抗菌性化合物(第4級アンモニウム塩を除く)
(d)成分:下記式(1d)で示す第2級アルコールのエチレンオキシド付加物
R1d-O-(EO)s-H (1d)
〔R1d-O-は炭素数8以上18以下の第2級のアルキル基又は炭素数8以上18以下の第2級アルケニル基を有するアルコール残基、EOはエチレンオキシ基、sはEOの平均付加モル数であり0を超え7未満を示す。〕
(e)成分:炭素数12以上18以下のカルボン酸又はその塩
【0009】
また、本発明は、前記本発明の繊維製品用液体洗浄剤組成物及び水を混合して得た洗浄液で繊維製品を洗浄し、その後該繊維製品を水ですすぐ、繊維製品の洗浄方法に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、洗浄、すすぎを行う洗濯工程などで用いても、抗菌剤の吸着性が向上し優れた抗菌性を繊維製品に付与でき、洗浄時の泡切れ性に優れ、仕上がった繊維製品の柔軟性を向上させる繊維製品用液体洗浄剤組成物及び繊維製品の洗浄方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[繊維製品用液体洗浄剤組成物]
本発明の繊維製品用液体洗浄剤組成物は、(a)成分の界面活性剤を含有する。但し、(a)成分からは、(d)成分及び(e)成分は除かれる。
(a)成分としては、(a1)アニオン界面活性剤〔以下、(a1)成分という〕及び(a2)非イオン界面活性剤〔以下、(a2)成分という〕から選ばれる1種以上の界面活性剤が挙げられる。
【0012】
(a1)成分としては、炭素数10以上18以下の内部オレフィンスルホン酸塩、炭素数10以上24以下のアルキル基又はアルケニル基を有する硫酸エステル塩、炭素数10以上24以下のアルキル基又はアルケニル基を有するポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテル硫酸エステル塩、及び炭素数10以上24以下のアルキル基又はアルケニル基を有するスルホン酸塩(但し、炭素数10以上18以下の内部オレフィンスルホン酸塩を除く)、から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤が挙げられる。
【0013】
炭素数10以上18以下の内部オレフィンスルホン酸塩は、炭素数10以上18以下の内部オレフィンをスルホン化して得ることができる。前記内部オレフィンとは二重結合が2位より内部に存在するオレフィンを表す。内部オレフィンは、例えば1-アルコールを脱水して得られた1-オレフィンを異性化して得ることができる。
【0014】
内部オレフィンスルホン酸塩の炭素数は、10以上、好ましくは14以上、そして、18以下である。殺菌剤の吸着率向上による抗菌性の向上(以下、抗菌性)、泡切れ性の向上(以下、泡切れ性)並びに柔軟性の向上(以下、柔軟性)の観点から、炭素数16及び18の内部オレフィンスルホン酸塩が好ましく、炭素数16の内部オレフィンスルホン酸塩がより好ましい。本発明の繊維製品用液体洗浄剤組成物は、(a1)成分として、炭素数16の内部オレフィンスルホン酸塩を含有することができる。なお、内部オレフィンスルホン酸塩の炭素数には、塩の部分の炭素の数は算入しない。すなわち、オレフィン部分の炭素数が内部オレフィンスルホン酸塩の炭素数である。つまり、内部オレフィンスルホン酸塩の炭素数は、スルホン酸塩が共有結合した内部オレフィンの炭素数を表す。
【0015】
内部オレフィンスルホン酸塩の塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属(1/2原子)塩、アンモニウム塩又は有機アンモニウム塩が挙げられる。アルカリ金属塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩が挙げられる。有機アンモニウム塩としては、炭素数1以上6以下のアルカノールアンモニウム塩が挙げられる。
【0016】
内部オレフィンスルホン酸塩には、製造方法によって、スルホン酸塩の位置が炭素鎖の1位に存在する、いわゆるアルファオレフィンスルホン酸塩(以下、α-オレフィンスルホン酸塩ともいう。)を微量に含有する場合がある。該内部オレフィンスルホン酸塩中のα-オレフィンスルホン酸塩の含有量は、抗菌性、泡切れ性並びに柔軟性の観点から、含有量の上限として好ましくは10質量%以下、より好ましくは7質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、より更に好ましくは3質量%以下、そして、0.01質量%以上である。
【0017】
内部オレフィンスルホン酸塩は、主たる成分として二重結合が2位以上に存在する炭素数10以上18以下のオレフィンをスルホン化して得ることが出来る。該内部オレフィンをスルホン化すると、定量的にβ-サルトンが生成し、β-サルトンの一部は、γ-サルトン、オレフィンスルホン酸へと変化し、更にこれらは中和・加水分解工程においてヒドロキシアルカンスルホン酸塩と、オレフィンスルホン酸塩へと転換する(例えば、J. Am.Oil Chem. Soc. 69, 39(1992))。ここで、得られるヒドロキシアルカンスルホン酸塩のヒドロキシ基は、アルカン鎖の内部にあり、オレフィンスルホン酸塩の二重結合はオレフィン鎖の内部にある。また、得られる生成物は、主にこれらの混合物であり、またその一部には、炭素鎖の末端にヒドロキシ基を有するヒドロキシアルカンスルホン酸塩、又は炭素鎖の末端に二重結合を有するオレフィンスルホン酸塩が微量に含まれる場合もある。
【0018】
本明細書では、これらの各生成物及びそれらの混合物を総称して内部オレフィンスルホン酸塩という。また、前記の通り、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩を内部オレフィンスルホン酸塩のヒドロキシ体(HAS)、オレフィンスルホン酸塩を内部オレフィンスルホン酸塩のオレフィン体(IOS)という。
なお、内部オレフィンスルホン酸塩中の化合物の質量比は、HPLC-MSにより測定できる。具体的には、例えば、後述の実施例の方法で、内部オレフィンスルホン酸塩のHPLC-MSピーク面積から質量比を求めることができる。
【0019】
前記の内部オレフィンスルホン酸塩は、ヒドロキシ体とオレフィン体とを含んでいてよい。内部オレフィンスルホン酸塩中の内部オレフィンスルホン酸塩のオレフィン体の含有量と内部オレフィンスルホン酸塩のヒドロキシ体の含有量との質量比(オレフィン体/ヒドロキシ体)は、抗菌性、泡切れ性並びに柔軟性の観点から、0/100以上、更に5/95以上、そして、50/50以下、更に40/60以下、更に30/70以下、更に25/75以下であることが出来る。
【0020】
炭素数10以上24以下のアルキル基又はアルケニル基を有する硫酸エステル塩の、前記アルキル基又はアルケニル基の炭素数は、抗菌性、泡切れ性並びに柔軟性の観点から、好ましくは12以上、そして、好ましくは20以下、より好ましくは18以下である。前記硫酸エステル塩はアルキル基を有するものが好ましい。
【0021】
炭素数10以上24以下のアルキル基又はアルケニル基を有するポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテル硫酸エステル塩の、前記アルキル基又はアルケニル基の炭素数は、抗菌性、泡切れ性並びに柔軟性の観点から、好ましくは12以上、そして、好ましくは18以下、より好ましくは16以下である。前記エーテル硫酸エステル塩はアルキル基を有するものが好ましい。前記エーテル硫酸エステル塩のオキシアルキレン基としては、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基から選ばれる1種以上の基が挙げられる。オキシアルキレン基は、抗菌性、泡切れ性並びに柔軟性の観点から、オキシプロピレン基を含むオキシアルキレン基であることが好ましい。より好ましくはオキシプロピレン基である。前記エーテル硫酸エステル塩は、オキシアルキレン基の平均付加モル数が、抗菌性、泡切れ性並びに柔軟性の観点から、好ましくは1以上5以下である。
【0022】
炭素数10以上24以下のアルキル基又はアルケニル基を有するスルホン酸塩(但し、炭素数10以上18以下の内部オレフィンスルホン酸塩を除く)としては、炭素数10以上24以下のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸塩、炭素数10以上24以下のアルケニル基を有するアルケニルベンゼンスルホン酸塩、アルキル基の炭素数が10以上24以下のアルカンスルホン酸塩、α-オレフィン部分の炭素数が10以上24以下のα-オレフィンスルホン酸塩、脂肪酸部分の炭素数が10以上24以下のα-スルホ脂肪酸塩、及び脂肪酸部分の炭素数が10以上24以下であり、エステル部分の炭素数が1以上5以下であるα-スルホ脂肪酸低級アルキルエステル塩から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤が挙げられ、抗菌性、泡切れ性並びに柔軟性の観点から、炭素数10以上24以下のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸塩、炭素数10以上24以下のアルケニル基を有するアルケニルベンゼンスルホン酸塩が好ましく、炭素数10以上24以下のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸塩がより好ましく、炭素数12以上18以下のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸塩が更に好ましい。
【0023】
(a1)成分の塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属(1/2原子)塩、アンモニウム塩又は有機アンモニウム塩が挙げられる。アルカリ金属塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩が挙げられる。有機アンモニウム塩としては、炭素数1以上6以下のアルカノールアンモニウム塩が挙げられる。(a1)成分の塩は、入手容易性の観点から、アルカリ金属塩、炭素数1以上6以下のアルカノールアンモニウム塩が好ましい。
【0024】
本発明の繊維製品用液体洗浄剤組成物は、抗菌性、泡切れ性並びに柔軟性の観点から、(a)成分として、更に(a1)成分として、炭素数10以上18以下の内部オレフィンスルホン酸塩を含有することが好ましい。
【0025】
(a2)成分としては、アルコールアルコキシレート、エステルアルコキシレート、アルキレンオキシ基を含んでいてもよい多価アルコール脂肪酸エステル、アルキルグリコシド、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシエチレンオキシプロピレングリコール、ポリオキシプロピレンオキシエチレンオキシプロピレングリコールなどが挙げられる。アルコールアルコキシレートとしては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテルなどが挙げられる。エステルアルコキシレートとしては、ポリエチレングリコール脂肪酸エステルなどが挙げられる。アルキレンオキシ基を含んでいてもよい多価アルコール脂肪酸エステルとしては、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどが挙げられる。
【0026】
これらの中でも、抗菌性、泡切れ性並びに柔軟性の観点から、(a2)成分は、アルコールアルコキシレート及びエステルアルコキシレートから選ばれる非イオン界面活性剤が好ましい。アルコールアルコキシレート及びエステルアルコキシレートとしては、下記一般式(1a)で表される非イオン界面活性剤が挙げられる。
R1a(CO)mO-(AO)n-R2a (1a)
〔式中、R1aは炭素数9以上18以下の脂肪族炭化水素基であり、R2aは水素原子又はメチル基であり、COはカルボニル基であり、mは0又は1の数であり、AOは、炭素数2のアルキレンオキシ基及び炭素数3のアルキレンオキシ基から選ばれる1種以上のアルキレンオキシ基であり、AOは少なくとも炭素数2のアルキレンオキシ基を含む。AOがエチレンオキシ基及びプロピレンオキシ基を含む場合は、エチレンオキシ基とプロピレンオキシ基は、ブロック型結合でもランダム型結合であっても良い。nは平均付加モル数であって、1以上50以下の数である。〕
【0027】
式(1a)中、R1aの炭素数は、抗菌性、泡切れ性並びに柔軟性の観点から、好ましくは12以上、そして、好ましくは18以下、より好ましくは16以下、更に好ましくは14以下である。
式(1a)中、R1aの脂肪族炭化水素基は、アルキル基、アルケニル基が挙げられ、抗菌性、泡切れ性並びに柔軟性の観点から、好ましくはアルキル基である。
式(1a)中、mは、抗菌性、泡切れ性並びに柔軟性の観点から、0が好ましい。
式(1a)中、AOは、炭素数2のアルキレンオキシ基及び炭素数3のアルキレンオキシ基から選ばれる1種以上のアルキレンオキシ基であり、AOは少なくとも炭素数2のアルキレンオキシ基を含む。AO中、炭素数2のアルキレンオキシ基、すなわちエチレンオキシ基の割合は、抗菌性、泡切れ性並びに柔軟性の観点から、好ましくは50モル%以上、より好ましくは60モル%以上、更に好ましくは70モル%以上、より更に好ましくは80モル%以上、より更に好ましくは90モル%以上であり、そして、100モル%以下であり、100モル%であってよい。
式(1a)中、nは、抗菌性、泡切れ性並びに柔軟性の観点から、好ましくは4以上、より好ましくは6以上、更に好ましくは10以上、より更に好ましくは14以上、より更に好ましくは18以上、そして、好ましくは40以下、より好ましくは30以下、更に好ましくは26以下、より更に好ましくは22以下である。
【0028】
本発明の繊維製品用液体洗浄剤組成物は、抗菌性、泡切れ性並びに柔軟性の観点から、(a)成分として、更に(a2)成分として、前記一般式(1a)で表される非イオン界面活性剤を含有することが好ましい。
【0029】
本発明の繊維製品用液体洗浄剤組成物は、抗菌性、泡切れ性並びに柔軟性の観点から、(a)成分として、更に(a2)成分として、下記一般式(2a)で表される界面活性剤を含有することが好ましい。
R3a-O-(EO)n1-(AO)n2-(EO)n3-H (2a)
〔式中、R3aは炭素数10以上18以下のアルキル基又はアルケニル基、EOはエチレンオキシ基、AOは炭素数3又は4のアルキレンオキシ基、n1、n2、n3は、EO、AOの平均付加モル数であり、n1は0以上15以下、n2は1以上10以下、n3は1以上20以下である。〕
【0030】
式(2a)中、R3aの炭素数は、抗菌性、泡切れ性並びに柔軟性の観点から、好ましくは10以上、そして、好ましくは15以下である。
n1、n2、n3は、EO、AOの平均付加モル数であり、抗菌性、泡切れ性並びに柔軟性の観点から、n1は好ましくは2以上、より好ましくは3以上、更に好ましくは5以上、より更に好ましくは7以上、そして、好ましくは12以下、より好ましくは10以下である。n2は、好ましくは1.5以上、より好ましくは2以上、そして、好ましくは10以下、より好ましくは8以下、更に好ましくは6以下、より更に好ましくは4以下である。n3は、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、更に好ましくは5以上、より更に好ましくは7以上、そして、好ましくは18以下、より好ましくは15以下、更に好ましくは12以下、より更に好ましくは10以下である。
【0031】
本発明の繊維製品用液体洗浄剤組成物は、抗菌性、泡切れ性並びに柔軟性の観点から、(a)成分として、(a1)成分のアニオン界面活性剤及び(a2)成分の非イオン界面活性剤を含有することが好ましい。その場合、(a1)成分の含有量と(a1)成分の含有量及び(a2)成分の含有量の合計との質量比である、(a1)/〔(a1)+(a2)〕は、抗菌性、泡切れ性並びに柔軟性の観点から、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.2以上、更に好ましくは0.3以上、より更に好ましくは0.4以上、そして、好ましくは0.95以下、より好ましくは0.8以下、更に好ましくは0.6以下である。
また界面活性剤中の(a1)成分の含有量及び(a2)成分の含有量の合計割合は、抗菌性、泡切れ性並びに柔軟性の観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、より更に好ましくは80質量%以上、より更に好ましくは85質量%以上、そして、100質量%未満、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下である。
【0032】
本発明の繊維製品用液体洗浄剤組成物は、抗菌性、泡切れ性並びに柔軟性の観点から、(a)成分を、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは40質量%以上、そして、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは50質量%以下含有する。
本発明の繊維製品用液体洗浄剤組成物は、抗菌性、泡切れ性並びに柔軟性の観点から、(a1)成分を、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上、より更に好ましくは20質量%以上、更に抗菌性並びに柔軟性の観点から、より更に好ましくは30質量%以上、より更に好ましくは40質量%以上、そして、抗菌性、泡切れ性並びに柔軟性の観点から、好ましくは60質量%以下、より好ましくは55質量%以下、更に好ましくは50質量%以下、更に泡切れ性の観点から、より更に好ましくは40質量%以下、より更に好ましくは30質量%以下、より更に好ましくは27質量%以下、より更に好ましくは25質量%以下含有する。
本発明の繊維製品用液体洗浄剤組成物は、抗菌性、泡切れ性並びに柔軟性の観点から、(a2)成分を、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上、より更に好ましくは20質量%以上、そして、抗菌性、泡切れ性並びに柔軟性の観点から、好ましくは60質量%以下、より好ましくは55質量%以下、更に好ましくは50質量%以下、更に抗菌性並びに柔軟性の観点から、より更に好ましくは40質量%以下、より更に好ましくは30質量%以下、より更に好ましくは27質量%以下、より更に好ましくは25質量%以下含有する。
【0033】
本発明の繊維製品用液体洗浄剤組成物は、(b)成分の炭素数10以上16以下のアルコールを含有する。
(b)成分は、抗菌性、泡切れ性並びに柔軟性の観点から、1級アルコールが好ましい。
(b)成分は、抗菌性、泡切れ性並びに柔軟性の観点から、脂肪族アルコールが好ましい。
(b)成分は、抗菌性、泡切れ性並びに柔軟性の観点から、直鎖アルコールが好ましい。
(b)成分は、抗菌性、泡切れ性並びに柔軟性の観点から、1価アルコールが好ましい。
(b)成分は、抗菌性、泡切れ性並びに柔軟性の観点から、飽和アルコールが好ましい。
(b)成分の炭素数は、抗菌性、泡切れ性並びに柔軟性の観点から、12以上14以下が好ましい。
【0034】
(b)成分としては、デカノール、ドデカノール、テトラデカノール、ヘキサデカノール等が挙げられる。抗菌性並びに柔軟性の観点から、1-デカノール、1-ドデカノール、1-テトラデカノール、及び1-ヘキサデカノールから選ばれるアルコールが好ましく、1-ドデカノール、及び1-テトラデカノールから選ばれるアルコールがより好ましく、1-ドデカノールが更に好ましい。
【0035】
本発明の繊維製品用液体洗浄剤組成物は、抗菌性、泡切れ性並びに柔軟性の観点から、(b)成分を、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、そして、好ましくは8質量%以下、より好ましくは6質量%以下、更に好ましくは4質量%以下、より更に好ましくは2質量%以下含有する。
【0036】
本発明の繊維製品用液体洗浄剤組成物は、抗菌性、泡切れ性並びに柔軟性の観点から、(a)成分の含有量と(b)成分の含有量との質量比である、(b)/(a)が、好ましくは0.010以上、より好ましくは0.020以上、そして、好ましくは0.1以下、より好ましくは0.075以下、更に好ましくは0,050以下、より更に好ましくは0.030以下である。
【0037】
本発明の繊維製品用液体洗浄剤組成物は、(c)成分の芳香環を有する抗菌性化合物(第4級アンモニウム塩を除く)を含有する。
(c)成分は、例えば、芳香環を有する非イオン性の抗菌性化合物であってよい。
【0038】
(c)成分について、抗菌性化合物とは、木綿金巾#2003に該当化合物1質量%を均一に付着させた布を用いJIS L 1902「繊維製品の抗菌性試験法」の方法で抗菌性試験を行い発育阻止帯が見られる化合物であることをいう。
【0039】
(c)成分としては、ジフェニルエーテル骨格を有する抗菌性化合物、フェノール誘導体から選択される抗菌性化合物、安息香酸誘導体から選択される抗菌性化合物等が挙げられる。抗菌性の観点から、ジフェニルエーテル骨格を有する抗菌性化合物、例えば、ハロゲン原子を含みジフェニルエーテル骨格を有する抗菌性化合物が好ましい。具体的な化合物としては、ダイクロサン、トリクロサン、安息香酸、パラベン等が挙げられ、抗菌性、泡切れ性並びに柔軟性の観点から、ダイクロサン、トリクロサンが好ましく、更に繊維製品用液体洗浄剤の製品設計の容易性の観点から、ダイクロサンがより好ましい。
【0040】
本発明の繊維製品用液体洗浄剤組成物は、抗菌性と経済性の観点から、(c)成分を、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.02質量%以上、そして、好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.07質量%以下含有する。
【0041】
本発明の繊維製品用液体洗浄剤組成物は、抗菌性、泡切れ性並びに柔軟性の観点から、(b)成分の含有量と(c)成分の含有量との質量比である、(b)/(c)が、好ましくは5以上、より好ましくは15以上、更に好ましくは20以上、そして、好ましくは100以下、より好ましくは50以下、更に好ましくは30以下である。
【0042】
本発明の繊維製品用液体洗浄剤組成物は、(d)成分として、下記式(1d)で示す第2級アルコールのエチレンオキシド付加物を含有する。
R1d-O-(EO)s-H (1d)
〔R1d-O-は炭素数8以上18以下の第2級のアルキル基又は炭素数8以上18以下の第2級アルケニル基を有するアルコール残基、EOはエチレンオキシ基、sはEOの平均付加モル数であり0を超え7未満を示す。〕
【0043】
式(1d)中、抗菌性、泡切れ性並びに柔軟性の観点から、R1d-O-は炭素数8以上、好ましくは10以上、より好ましくは12以上、そして、18以下、好ましくは16以下、より好ましくは14以下の第2級のアルキル基又は第2級アルケニル基、好ましくは第2級のアルキル基を有するアルコール残基である。ここで第2級のアルキル基又は第2級アルケニル基とは、式(1d)中の「O」と結合するR1dの炭素が2級炭素であるアルキル基又はアルケニル基をいう。
式(1d)中、EOの平均付加モル数sは、泡切れ性向上の観点から、0を超え、好ましくは1以上、より好ましくは1.5以上、更に好ましくは2以上、より更に好ましくは2.5以上、そして、7未満、好ましくは5以下、より好ましくは4以下、更に好ましくは3.5以下である。
【0044】
式(1d)の第2級アルコールのエチレンオキシド付加物は、本願発明の効果を低下させない範囲で、エチレンオキシド以外のアルキレンオキシドが付加されてもよい。式(1d)の第2級アルコールのエチレンオキシド付加物のエチレンオキシド以外のアルキレンオキシドの平均付加モル数は、本願発明の効果を低減させない観点から、好ましくは0以上、より好ましくは1以上、そして、好ましくは4以下、より好ましくは2以下である。
【0045】
本発明の繊維製品用液体洗浄剤組成物は、(d)成分を、泡切れ性の観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは0.8質量%以上、より更に好ましくは1質量%以上、そして、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、より更に好ましくは4質量%以下、より更に好ましくは3.5質量%以下含有する。
【0046】
本発明の繊維製品用液体洗浄剤組成物において、(d)成分の含有量と(b)成分の含有量との質量比である、(d)/(b)は、泡切れ性の観点から、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.5以上、更に好ましくは0.8以上、より更に好ましくは1以上、そして、好ましくは10以下、より好ましくは7以下、更に好ましくは5以下、より更に好ましくは4以下、より更に好ましくは3.5以下である。
【0047】
本発明の繊維製品用液体洗浄剤組成物において、(d)成分の含有量と、(a)成分の含有量及び(b)成分の含有量の合計との質量比である、(d)/〔(a)+(b)〕は、抗菌性、泡切れ性並びに柔軟性の観点から、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.015以上、更に好ましくは0.02以上、そして、好ましくは0.4以下、より好ましくは0.3以下、更に好ましくは0.2以下、より更に好ましくは0.1以下、より更に好ましくは0.08以下である。
【0048】
本発明の繊維製品用液体洗浄剤組成物は、(e)成分として、炭素数12以上18以下のカルボン酸又はその塩を含有する。
【0049】
(e)成分のカルボン酸又はその塩の炭素数は、12以上、そして、18以下、抗菌性、泡切れ性並びに柔軟性の観点から、好ましくは16以下である。
(e)成分としては、ヤシ油脂肪酸、パーム核油脂肪酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸及びこれらの塩から選ばれる1種以上が挙げられる。
【0050】
本発明の繊維製品用液体洗浄剤組成物は、(e)成分を、泡切れ性の観点から、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは2質量%以上、より更に好ましくは2.5質量%以上、そして、好ましくは7質量%以下、より好ましくは6質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、より更に好ましくは4質量%以下含有する。
【0051】
本発明の繊維製品用液体洗浄剤組成物において、(d)成分の含有量と(e)成分の含有量との質量比である、(d)/(e)は、泡切れ性の観点から、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.1以上、更に好ましくは0.2以上、より更に好ましくは0.3以上、そして、好ましくは1以下、より好ましくは0.9以下、更に好ましくは0.8以下、より更に好ましくは0.7以下である。
【0052】
本発明の繊維製品用液体洗浄剤組成物は、(a)成分、(b)成分、(c)成分、(d)成分及び(e)成分以外の成分として、アルカリ剤、キレート剤、再汚染防止剤および分散剤、漂白剤、柔軟剤、酵素、蛍光染料、酸化防止剤、色素、抗菌防腐剤、消泡剤などを、本発明の効果を損なわない範囲で含有することができる。
【0053】
本発明の繊維製品用液体洗浄剤組成物は、好ましくは水を含有する。本発明の水としては、特に限定されるものではないが、水道水、井戸水、イオン交換水、滅菌水、蒸留水等が挙げられる。水は、組成物の組成が100質量%となるような量で用いられる。本発明の繊維製品用液体洗浄剤組成物は、水を、例えば、20質量%以上、更に30質量%以上、そして、99質量%以下、更に98質量%以下、更に90質量%以下、更に80質量%以下含有することができる。
【0054】
本発明の繊維製品用液体洗浄剤組成物は、抗菌性、泡切れ性並びに柔軟性の観点から、25℃のpHが、好ましくは3以上、より好ましくは4以上、更に好ましくは5以上、そして、好ましくは10以下、より好ましくは9以下、更に好ましくは8.5以下である。組成物のpHは、後述の実施例の測定法で測定することが出来る。
【0055】
本発明の繊維製品用液体洗浄剤組成物は、使用感並びに作業性の観点から、20℃の粘度が、好ましくは10mPa・s以上、より好ましくは50mPa・s以上、そして、好ましくは250mPa・s以下、より好ましくは200mPa・s以下である。
【0056】
本発明の繊維製品用液体洗浄剤組成物で洗浄する繊維製品を構成する繊維は、疎水性繊維、親水性繊維のいずれでも良い。疎水性繊維としては、例えば、タンパク質系繊維(牛乳タンパクガゼイン繊維、プロミックスなど)、ポリアミド系繊維(ナイロンなど)、ポリエステル系繊維(ポリエステルなど)、ポリアクリロニトリル系繊維(アクリルなど)、ポリビニルアルコール系繊維(ビニロンなど)、ポリ塩化ビニル系繊維(ポリ塩化ビニルなど)、ポリ塩化ビニリデン系繊維(ビニリデンなど)、ポリオレフィン系繊維(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリウレタン系繊維(ポリウレタンなど)、ポリ塩化ビニル/ポリビニルアルコール共重合系繊維(ポリクレラールなど)等が例示される。親水性繊維としては、例えば、種子毛繊維(綿、もめん、カポックなど)、靭皮繊維(麻、亜麻、苧麻、大麻、黄麻など)、葉脈繊維(マニラ麻、サイザル麻など)、やし繊維、いぐさ、わら、獣毛繊維(羊毛、モヘア、カシミヤ、らくだ毛、アルパカ、ビキュナ、アンゴラなど)、絹繊維(家蚕絹、野蚕絹)、羽毛、セルロース系繊維(レーヨン、ポリノジック、キュプラ、アセテートなど)等が例示される。
【0057】
また、繊維製品としては、前記の疎水性繊維や親水性繊維を用いた織物、編物、不織布等の布帛及びそれを用いて得られたアンダーシャツ、Tシャツ、ワイシャツ、ブラウス、スラックス、帽子、ハンカチ、タオル、ニット、靴下、下着、タイツ等の製品が挙げられる。
【0058】
本発明の効果の発現機構は必ずしも解明されたわけではないが、以下のように考えている。本発明の繊維製品用液体洗浄剤組成物は、(a)成分、(b)成分及び(c)成分を含むことにより、洗浄後の抗菌性と柔軟性を向上することができる。一般的に洗浄剤中の界面活性剤は汚れを分散、溶解する作用を有するが、洗浄剤に含有する抗菌剤も浴中に分散されやすいため繊維への吸着がしにくい状態にある。本発明において界面活性能を有する(a)成分及び(b)成分が作る分子集合体は、汚れや(c)成分との相互作用が選択的であり、汚れの分散性は低下させずに(c)成分を繊維製品の繊維上に吸着させることができ抗菌性向上及び柔軟性向上に寄与したものと考えられる。一方で、洗浄中における(a)成分、(b)成分及び(c)成分の本発明に特徴的な分子集合体が作る泡は強固となり泡切れ性の低下を生じる。本発明において、(d)成分及び(e)成分を併用することで、(a)成分、(b)成分及び(c)成分が作る分子集合体中に(d)成分及び(e)成分を取り込ませることによって分子集合体の構造の規則性が乱れ、泡膜の強度が低下し、速い破泡速度を示したものと考えられる。尚、本発明は以上の作用機作に特に制限されるものではない。
【0059】
本発明の繊維製品用液体洗浄剤組成物は、下記(a)成分~(e)成分を配合してなる、組成物であってよい。
(a)成分:界面活性剤((d)成分及び(e)成分を除く)
(b)成分:炭素数10以上16以下のアルコール
(c)成分:芳香環を有する抗菌性化合物(第4級アンモニウム塩を除く)
(d)成分:下記式(1d)で示す第2級アルコールのエチレンオキシド付加物
R1d-O-(EO)s-H (1d)
〔R1d-O-は炭素数8以上18以下の第2級のアルキル基又は炭素数8以上18以下の第2級アルケニル基を有するアルコール残基、EOはエチレンオキシ基、sはEOの平均付加モル数であり0を超え7未満を示す。〕
(e)成分:炭素数12以上18以下のカルボン酸又はその塩
【0060】
本発明の(a)成分~(e)成分を配合してなる繊維製品用液体洗浄剤組成物には、(a)成分~(e)成分を含有する繊維製品用液体洗浄剤組成物で述べた事項を適宜適用することができる。
【0061】
[繊維製品の洗浄方法]
本発明の洗浄方法は、本発明の繊維製品用液体洗浄剤組成物及び水を混合して得た洗浄液で繊維製品を洗浄し、その後該繊維製品を水ですすぐ、繊維製品の洗浄方法である。
すなわち、本発明の洗浄方法は、(a)成分と、(b)成分と、(c)成分と、(d)成分と、(e)成分と、水とを混合して得た洗浄液で繊維製品を洗浄し、その後該繊維製品を水ですすぐ、繊維製品の洗浄方法である。
【0062】
本発明の繊維製品用液体洗浄剤組成物と混合する水、及び、すすぎを行う水は、それぞれ、ドイツ硬度で、1°dH以上、更に2°dH以上、更に3°dH以上、そして、30°dH以下、更に25°dH以下、更に20°dH以下、更に18°dH以下、更に15°dH以下の範囲から選択できる。
ここで、本明細書におけるドイツ硬度(°dH)とは、水中におけるカルシウム及びマグネシウムの濃度を、CaCO3換算濃度で1mg/L(ppm)=約0.056°dH(1°dH=17.8ppm)で表したものを指す。
このドイツ硬度のためのカルシウム及びマグネシウムの濃度は、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩を使用したキレート滴定法で求められる。
本明細書における水のドイツ硬度の具体的な測定方法を下記に示す。
【0063】
<水のドイツ硬度の測定方法>
〔試薬〕
・0.01mol/l EDTA・2Na溶液:エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムの0.01mol/l水溶液(滴定用溶液、0.01 M EDTA-Na2、シグマアルドリッチ(SIGMA-ALDRICH)社製)
・Universal BT指示薬(製品名:Universal BT、(株)同仁化学研究所製)
・硬度測定用アンモニア緩衝液(塩化アンモニウム67.5gを28w/v%アンモニア水570mlに溶解し、脱イオン水で全量を1000mlとした溶液)
〔硬度の測定〕
(1)試料となる水20mlをホールピペットでコニカルビーカーに採取する。
(2)硬度測定用アンモニア緩衝液2ml添加する。
(3)Universal BT指示薬を0.5ml添加する。添加後の溶液が赤紫色であることを確認する。
(4)コニカルビーカーをよく振り混ぜながら、ビュレットから0.01mol/l EDTA・2Na溶液を滴下し、試料となる水が青色に変色した時点を滴定の終点とする。(5)全硬度は下記の算出式で求める。
硬度(°dH)=T×0.01×F×56.0774×100/A
T:0.01mol/l EDTA・2Na溶液の滴定量(mL)
A:サンプル容量(20mL、試料となる水の容量)
F:0.01mol/l EDTA・2Na溶液のファクター
【0064】
本発明の洗浄方法には、本発明の繊維製品用液体洗浄剤組成物で述べた事項を適宜適用することができる。
【0065】
前記洗浄液中の(a)成分の含有量は、抗菌性、泡切れ性並びに柔軟性の観点から、好ましくは50質量ppm以上、より好ましくは100質量ppm以上、更に好ましくは125質量ppm以上、そして、好ましくは5000質量ppm以下、より好ましくは300質量ppm以下、更に好ましくは270質量ppm以下、より更に好ましくは250質量ppm以下である。
前記洗浄液中の(a1)成分の含有量は、抗菌性、泡切れ性並びに柔軟性の観点から、好ましくは10質量ppm以上、より好ましくは20質量ppm以上、そして、好ましくは3000質量ppm以下、より好ましくは2000質量ppm以下、更に好ましくは500質量ppm以下である。
前記洗浄液中の(a2)成分の含有量は、抗菌性、泡切れ性並びに柔軟性の観点から、好ましくは10質量ppm以上、より好ましくは20質量ppm以上、そして、好ましくは3000質量ppm以下、より好ましくは2000質量ppm以下、更に好ましくは500質量ppm以下である。
【0066】
前記洗浄液は、抗菌性、泡切れ性並びに柔軟性の観点から、(a1)成分の含有量と(a1)成分の含有量及び(a2)成分の含有量の合計との質量比である、(a1)/〔(a1)+(a2)〕が、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.2以上、更に好ましくは0.3以上、より更に好ましくは0.4以上、そして、好ましくは0.95以下、より好ましくは0.8以下、更に好ましくは0.6以下である。
【0067】
前記洗浄液中の(b)成分の含有量は、抗菌性、泡切れ性並びに柔軟性の観点から、好ましくは1質量ppm以上、より好ましくは1.5質量ppm以上、更に好ましくは2質量ppm以上、そして、好ましくは12質量ppm以下、より好ましくは10質量ppm以下、更に好ましくは8質量ppm以下、より更に好ましくは5質量ppm以下である。
【0068】
前記洗浄液は、抗菌性、泡切れ性並びに柔軟性の観点から、(a)成分の含有量と(b)成分の含有量との質量比である、(b)/(a)が、好ましくは0.010以上、より好ましくは0.020以上、そして、好ましくは0.1以下、より好ましくは0.075以下、更に好ましくは0.050以下、より更に好ましくは0.030以下である。
【0069】
前記洗浄液中の(c)成分の含有量は、抗菌性と経済性の観点から、好ましくは0.03質量ppm以上、より好ましくは0.05質量ppm以上、更に好ましくは0.1質量ppm以上、そして、好ましくは1.5質量ppm以下、より好ましくは1.3質量ppm以下、更に好ましくは1.0質量ppm以下である。
【0070】
前記洗浄液は、抗菌性、泡切れ性並びに柔軟性の観点から、(b)成分の含有量と(c)成分の含有量との質量比である、(b)/(c)が、好ましくは5以上、より好ましくは15以上、更に好ましくは20以上、そして、好ましくは100以下、より好ましくは50以下、更に好ましくは30以下である。
【0071】
前記洗浄液中の(d)成分の含有量は、泡切れ性の観点から、好ましくは0.5質量ppm以上、より好ましくは1質量ppm以上、更に好ましくは2質量ppm以上、そして、好ましくは30質量ppm以下、より好ましくは25質量ppm以下、更に好ましくは20質量ppm以下である。
【0072】
前記洗浄液は、(d)成分の含有量と(b)成分の含有量との質量比である、(d)/(b)は、泡切れ性の観点から、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.5以上、更に好ましくは0.8以上、より更に好ましくは1以上、そして、好ましくは10以下、より好ましくは7以下、更に好ましくは5以下、より更に好ましくは4以下、より更に好ましくは3以下である。
【0073】
前記洗浄液は、(d)成分の含有量と、(a)成分の含有量及び(b)成分の含有量の合計との質量比である、(d)/〔(a)+(b)〕は、抗菌性、泡切れ性並びに柔軟性の観点から、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.015以上、更に好ましくは0.02以上、そして、好ましくは0.4以下、より好ましくは0.3以下、更に好ましくは0.2以下、より更に好ましくは0.1以下、より更に好ましくは0.08以下である。
【0074】
前記洗浄液中の(e)成分の含有量は、泡切れ性の観点から、好ましくは1質量ppm以上、より好ましくは3質量ppm以上、更に好ましくは5質量ppm以上、そして、好ましくは60質量ppm以下、より好ましくは40質量ppm以下、更に好ましくは20質量ppm以下である。
【0075】
前記洗浄液は、(d)成分の含有量と(e)成分の含有量との質量比である、(d)/(e)は、泡切れ性の観点から、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.1以上、更に好ましくは0.2以上、より更に好ましくは0.3以上、そして、好ましくは1以下、より好ましくは0.9以下、更に好ましくは0.8以下、より更に好ましくは0.7以下である。
【0076】
前記洗浄液の温度は、抗菌性、泡切れ性並びに柔軟性の観点から、好ましくは0℃以上、より好ましくは3℃以上、更に好ましくは5℃以上、そして、好ましくは70℃以下、より好ましくは60℃以下である。
【0077】
前記洗浄液の20℃におけるpHは、抗菌性、泡切れ性並びに柔軟性の観点から、好ましくは3以上、より好ましくは4以上、そして、好ましくは10以下、より好ましくは9以下である。洗浄液のpHは、後述の実施例の測定法で測定することが出来る。
【0078】
前記洗浄液は、本発明の繊維製品用液体洗浄剤組成物から調製されたものであってよい。
前記洗浄液は、本発明の繊維製品用液体洗浄剤組成物を水で希釈して調製されたものであってよい。
前記洗浄液は、本発明の繊維製品用液体洗浄剤組成物を水で1倍超、更に2倍以上、更に5倍以上、更に100倍以上、そして、5000倍以下、更に4000倍以下、更に3500倍以下に希釈して調製されたものであってよい。
【0079】
近年、洗濯機が大型化し、衣料の質量(kg)と洗浄液の水量(リットル)の比で表される浴比の値、すなわち洗浄液の水量(リットル)/衣料の質量(kg)(以下、この比を浴比とする場合もある)の値が小さくなる傾向にある。本発明の洗浄方法では、抗菌性、泡切れ性並びに柔軟性の観点から、浴比は、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、更に好ましくは4以上、より更に好ましくは5以上、そして、好ましくは45以下、より好ましくは40以下、更に好ましくは30以下、より更に好ましくは20以下である。
【0080】
本発明の洗浄方法では、洗浄時間は、作業性、抗菌性、泡切れ性並びに柔軟性の観点から、好ましくは1分以上、より好ましくは2分以上、更に好ましくは3分以上、好ましくは90分以下、より好ましくは60分以下、更に好ましくは30分以下、より更に好ましくは15分以下である。
【0081】
本発明の繊維の洗浄方法は、ローラー等で繊維を送りながら、精錬に使用する液に浸漬する方法、回転式洗浄方法に適している。回転式洗浄方法とは、回転機器に固定されていない繊維が洗浄液と共に、回転軸の周りに回転する洗浄方法を意味する。回転式洗浄方法は回転式洗濯機により実施できる。本発明では、例えば、繊維の洗浄を、回転式洗濯機を用いて行うことが好ましい。回転式の洗濯機としては、具体的には、ドラム式洗濯機、パルセータ式洗濯機又はアジテータ式洗濯機が挙げられる。これらの回転式洗濯機は、それぞれ、市販されているものを使用することができる。
【0082】
本発明の洗浄方法では、所定の洗浄液で繊維製品を洗浄し、その後該繊維製品を水ですすぐ。すすぎは、衣料の洗濯など、公知の方法に準じて水を用いて行えばよい。本発明のすすぎに用いる水としては、特に限定されるものではないが、水道水、井戸水、イオン交換水、滅菌水、蒸留水等が挙げられる。
【実施例】
【0083】
実施例、比較例で用いた成分は以下のものである。
<配合成分>
(a)成分
(a1)成分
(a1-1):炭素数16の内部オレフィンスルホン酸カリウム塩
(a1-1)は、炭素数16の内部オレフィンを用いて、特開2014-76988号の製造例に記載の方法を参考にして得た。得られた(a1-1)の内部オレフィンスルホン酸カリウム塩中のオレフィン体(オレフィンスルホン酸カリウム)/ヒドロキシ体(ヒドロキシアルカンスルホン酸カリウム)の質量比は17/83である。(a1-1)中のヒドロキシ体のスルホン酸基の位置分布の質量割合は、1位/2位/3位/4位/5位/6位/7位/8位=2.3%/23.6%/18.9%/17.5%/13.7%/11.2%/6.4%/6.4%(合計100質量%)であった。
【0084】
内部オレフィンスルホン酸塩におけるスルホン酸基の位置分布の質量割合は、高速液体クロマトグラフィー/質量分析計(HPLC-MS)により測定した。具体的には、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によりスルホン酸基が結合しているヒドロキシ体を分離し、それぞれを質量分析計(MS)にかけることで同定した。結果、そのHPLC-MSピーク面積から各々の割合を求めた。本明細書においては、ピーク面積から求めた各々の割合を質量割合として算出した。
尚、測定に使用した装置及び条件は次の通りであった。HPLC装置「LC-20ASXR」((株)島津製作所製)、カラム「ODS Hypersil(登録商標)」(4.6×250mm、粒子サイズ:3μm、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)、サンプル調製(メタノールで1000倍希釈)、溶離液A(10mM酢酸アンモニウム添加水)、溶離液B(10mM酢酸アンモニウム添加 メタクリロニトリル/水=95/5(v/v)溶液)、グラジェント(0分(A/B=60/40)→15.1~20分(30/70)→20.1~30分(60/40)、MS装置「LCMS-2020」((株)島津製作所製)、ESI検出(陰イオン検出m/z:321.10(炭素数16の(a)成分)、カラム温度(40℃)、流速(0.5mL/min)、インジェクション容量(5μL)
【0085】
内部オレフィンスルホン酸塩のヒドロキシ体/オレフィン体の質量比は、HPLC-MSにより測定した。具体的には、HPLCによりヒドロキシ体とオレフィン体を分離し、それぞれをMSにかけることで同定した。結果、そのHPLC-MSピーク面積から各々の割合を求めた。
尚、測定に使用した装置および条件は次の通りであった。HPLC装置(商品名:アジレントテクノロジー1100、アジレントテクノロジー社製)、カラム(商品名:L-columnODS4.6×150mm、一般財団法人化学物質評価研究機構製)、サンプル調製(メタノールで1000倍希釈)、溶離液A(10mM酢酸アンモニウム添加水)、溶離液B(10mM酢酸アンモニウム添加メタノール)、グラジェント(0分(A/B=30/70%)→10分(30/70%)→55分(0/100%)→65分(0/100%)→66分(30/70%)→75分(30/70%))、MS装置(商品名:アジレントテクノロジー1100MS SL(G1946D)),MS検出(陰イオン検出 m/z60-1600、UV240nm)
【0086】
また、炭素数が16の脂肪族炭化水素基を有するα-オレフィンスルホ酸塩を規定量外部標準として(a1-1)成分に添加し、α-オレフィンスルホン酸塩のピーク面積と、(a1-1)成分のピーク面積を対比して(a1-1)成分の質量を算出した。(a1-1)成分の分子量から(a1-1)成分のモル数を算出した。(a1-1)成分の分子量は酸型で算出した。内部オレフィンスルホン酸塩のオレフィン体の分子量は304.5、HAS体の分子量は322.6である。
【0087】
(a1-2):ラウリルベンゼンスルホン酸、花王株式会社製、商品名「ネオぺレックスG-25」
【0088】
(a2)成分
(a2-1):ポリオキシエチレン(9)・ポリオキシプロピレン(2)・ポリオキシエチレン(9)ラウリルエーテル(一般式(2a)中、R3aが炭素数12のアルキル基、AOがプロピレン基、n1が9、n2が2、n3が9である化合物)
【0089】
(b)成分:1-ドデカノール、花王株式会社製、商品名「カルコール2098」
【0090】
(c)成分:ダイクロサン:5-クロロ-2-(4-クロロフェノキシ)フェノール(BASFジャパン株式会社、製品名「TinosanHP100」)30質量%、表1中の含有量は有効分換算
【0091】
(d)成分
(d-1):2級アルコールエトキシレート、式(d1)中、R1dが炭素数12~14の第2級のアルキル基、sが3.3の化合物、日本触媒社製、商品名「ソフタノール33」
(d’)成分((d)成分の比較成分)
(d’-1):2級アルコールエトキシレート、式(d1)中、R1dが炭素数12~14の第2級のアルキル基、sが7の化合物、日本触媒社製、商品名「ソフタノール70H」
【0092】
(e)成分:ヤシ油脂肪酸、炭素数12~16の脂肪酸、花王株式会社製、商品名「ルナックL-55」
【0093】
(1)pHの測定法
pHメーター(HORIBA製 pH/イオンメーター F-23)にpH測定用複合電極(HORIBA製 ガラス摺り合わせスリーブ型)を接続し、電源を投入する。pH電極内部液としては、飽和塩化カリウム水溶液(3.33モル/L)を使用する。次に、pH4.01標準液(フタル酸塩標準液)、pH6.86(中性リン酸塩標準液)、pH9.18標準液(ホウ酸塩標準液)をそれぞれ100mLビーカーに充填し、25℃の恒温槽に30分間浸漬する。恒温に調整された標準液にpH測定用電極を3分間浸し、pH6.86→pH9.18→pH4.01の順に校正操作を行う。測定対象となるサンプル(繊維製品用液体洗浄剤組成物)を25℃に調整し、前記のpHメーターの電極をサンプルに浸漬し、1分後のpHを測定する。
【0094】
(2)繊維製品用液体洗浄剤組成物の調製
表1に示す繊維製品用液体洗浄剤組成物の調製方法は下記の通りである。
200mL容量のガラス製ビーカーに長さ5cmのテフロン(登録商標)製スターラーピースを投入し質量を測定した。次にイオン交換水20gと(a1)成分、(a2)成分、(b)成分、(c)成分、(d)成分、(e)成分を投入し、100r/minで攪拌しながら、組成物のpHが8になるようにモノエタノールアミンもしくは塩酸を加え、全量が100gになるようにイオン交換水を追加した。100r/minで15分攪拌した後、繊維製品用液体洗浄剤組成物とした。
【0095】
(3)ダイクロサンの吸着率評価用繊維製品の調製
木綿布1.7kg(木綿2003(谷頭商店製))を、全自動洗濯機(National製 NA-F702P)の標準コースで2回累積洗濯(洗浄時にエマルゲン108(花王(株)製)4.7g、水量47L、洗い9分・すすぎ2回・脱水3分)後、水のみで3回累積洗濯(水量47L、洗い9分・すすぎ2回・脱水3分)を行い、23℃、45%RHの環境下で24時間乾燥させた。その後、6cm×6cmの大きさに裁断した。
【0096】
(4)ダイクロサン吸着試験
ターゴトメーター(上島製作所製)を用いて洗浄操作を行った。洗浄に使用する水はイオン交換水に塩化カルシウムと塩化マグネシウムを質量比で8:2の割合で投入し、硬度を4°dHに調製した洗浄用の水を得た。表1に記載の繊維製品用液体洗浄剤組成物中の(a1)成分、(a2)成分の合計量が、洗浄液中の濃度において150mg/kgとなるように洗浄用の水と混合し、洗浄液を得た。洗浄試験用の1リットルのステンレスビーカーに、洗浄液0.6Lと前記のダイクロサンの吸着率評価用繊維製品4枚を投入した。浴比を前記の吸着率評価用繊維製品で20に調整した。洗浄液の温度は20℃であった。ターゴトメーターで85rpm、10分間、評価用の繊維を洗浄した。洗浄後脱水し、脱水した繊維すべてを洗浄用の水0.6Lに投入して、ターゴトメーターで85rpm、3分間、濯ぎを行った。濯ぎ後再び脱水を行った後に、23℃、45%RHの環境下で24時間乾燥させた。
【0097】
(5)繊維製品へのダイクロサンの吸着量の定量(抗菌性の評価)
抗菌性の指標として、繊維製品への抗菌剤の吸着量を用いた。抗菌剤の吸着量が多いほど、抗菌性が高く、又、洗浄後の繊維製品の抗菌性の維持が良好である。
前記の(4)ダイクロサン吸着試験を行った後のダイクロサン吸着率評価用繊維製品の中から2枚を取り出し、No.7のスクリュー管に封入しながら布の質量を測定した。そこに20mLのメタノールを加え、超音波洗浄機で30分間、超音波処理を行い測定用溶液を得た。次に、(c)成分(ダイクロサン)をメタノールで希釈し0.01μg/mL、0.05μg/mL、0.1μg/mL、0.5μg/mL、1.0μg/mLの検量線用溶液を調製した。測定用溶液中のダイクロサン量を液体クロマトグラフ質量分析装置(以下、LCMS装置と省略)で定量し、検量線用溶液から繊維製品へのダイクロサン吸着量を求めた。
・LCMS装置:(株)島津製作所製 LCMS2020
・溶離液A:10mmol/L 酢酸アンモニウムの蒸留水を用いた水溶液
溶離液B:10mmol/L 酢酸アンモニウムのメタノール溶液
・グラジエント条件: 溶離液A/B=1:1(0分)→溶離液B(2-5分)→溶離液A/溶離液B=1/1(5.1分-8分)、流量:0.6mL/min、サンプル注入量5μl、カラム温度40℃
繊維製品へのダイクロサンの吸着率を下記の式より求めた。結果を表1に示す。
ダイクロサンの吸着率=100×{(吸着量の測定に使用した2枚の繊維製品に吸着したダイクロサンの総質量)×(洗浄試験1に使用した繊維製品の総質量)/(吸着量の測定に使用した2枚の繊維製品の質量)}/(洗浄液の調製に使用したダイクロサンの総質量)
【0098】
(6)泡切れ試験
泡切れ試験に使用する水は、イオン交換水に塩化カルシウムと塩化マグネシウムを質量比で8:2の割合で投入し、硬度を4°dHに調製した泡切れ試験用の水を用いた。表1に記載の繊維製品用液体洗浄剤組成物中の(a1)成分、(a2)成分の合計量が、洗浄液中の濃度において150mg/kgとなるように泡切れ試験用の水と混合し、泡切れ試験液を得た。No.8のスクリュー管に泡切れ試験液を50g入れた。振とう器(ヤマト科学(株)、型番:SA300)で300回/分、5分間、泡切れ試験液入りのスクリュー管を垂直往復振とう処理した。処理後、振とう機からスクリュー管を外した直後の泡切れ試験液の水面から泡の表面までの泡高さAと、静置して30分後の泡切れ試験液の水面から泡の表面までの泡高さBを測定した。泡高さは定規を用いて小数点第1位まで測定した。泡高さB/泡高さAの小数点第2位を四捨五入した値が1未満であれば、泡切れ性能が向上していると判断した。
【0099】
(7)評価用繊維製品の前処理
一般的に、木綿タオルに使用する木綿糸の紡績時に使用する紡績油剤や、木綿タオルを製造する際に使用する潤滑剤などの処理剤が、市販の木綿タオルには付着している。本評価では、そのような処理剤の影響を排除するために評価用繊維製品である木綿タオルを、下記に示す方法で前処理した。本評価における前処理は、市販の木綿タオルに付着している処理剤の量を、下記に示す洗濯操作により低減する目的で行う処理操作を含む。
木綿タオル24枚(武井タオル株式会社製、TW-220、木綿100%)に、以下の洗濯操作を行い、23℃、45%RHの環境下で24時間乾燥させた。
洗濯操作は、洗濯操作(1)と洗濯操作(2)とから成っていた。
洗濯操作(1)は、全自動洗濯機(National製 NA-F702P)の標準コースで界面活性剤を用いて洗浄を2回連続して行った。洗濯操作(1)では、この標準コースの洗浄の際に、界面活性剤として、エマルゲン108(花王(株)製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB12.1)4.7gを使用した。また、洗濯操作(1)で採用した前記標準コースの条件は、水量47L、水温20℃、洗浄時間9分、ためすすぎ2回、脱水3分であった。
また、洗濯操作(2)は、洗濯操作(1)の後、前記の洗濯操作(1)と同じ条件で、ただし、前記標準コースの洗浄の際に界面活性剤を使用せずに、洗濯操作を3回繰り返して行うものとした。
この前処理では、この条件の洗濯操作(1)と洗濯操作(2)とから成る一連の洗濯操作を行った。
【0100】
(8)評価繊維製品の処理
National製電気バケツ式洗濯機(型番「N-BK2」)に、イオン交換水に塩化カルシウムと塩化マグネシウムを質量比で8:2の割合で投入し、硬度を4°dHに調製した評価繊維製品処理用の水を6.0L注水し、表の実施例又は比較例に記載の繊維製品用液体洗浄剤組成物2gを投入し、1分間攪拌した。その後、前記(7)の方法で前処理した木綿タオル2枚(140g)を投入し、3分間洗浄処理した。処理後、日立製二層式洗濯機(型番「PS-H35L」)を用いて1分間脱水を行った。次に前記のバケツ洗濯機に前記の評価繊維製品処理用の水を6.0L注水し、さらに日立製二層式洗濯機で脱水した後の木綿タオルを投入して3分間すすぎ処理を行った。その後二層式洗濯機を用いて同様の脱水処理を1分間行った。この処理を合計3回行った後、20℃、43%RHの条件下で12時間放置し乾燥させた。
【0101】
(9)柔軟性評価
乾燥後の木綿タオルの柔軟性を、繊維の風合い評価の熟練者5名で下記の基準で点数づけし、5人の平均点を四捨五入により有効数字2桁で算出した。その際、実施例1の組成物と比較例8の組成物でそれぞれ前記(8)の処理を行い、実施例1を基準2、比較例8を基準1に定め、他の実施例、比較例の組成物で処理した木綿タオルの柔軟性を対比して以下の通り点数をつけた。点数の付け方は、各点数の中間値、例えば0と1の間であれば0.5を許容することとした。なお、基準2は基準1よりも柔らかく仕上がっていた。
-1…基準1の組成物で処理した木綿タオルよりも柔らかく仕上がらない。
0…基準1の組成物で処理した木綿タオルと同等の柔らかさに仕上がった。
1…基準1よりは柔らかいが基準1と基準2の中間程度の柔らかさには及ばない柔らかさに仕上がった。
2…基準1と基準2の中間程度の柔らかさに仕上がった。
3…基準2の組成物で処理した木綿タオルと同等の柔らかさに仕上がった。
4…基準2の組成物で処理した木綿タオルより柔らかく仕上がった。
評価結果を表に示した。平均点が0を超える繊維製品用液体洗浄剤組成物は良好な柔軟性を付与していると判断でき、平均点がより大きい程、より好ましい繊維製品用液体洗浄剤組成物である。
【0102】