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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】排土詰まり解除装置
(51)【国際特許分類】
   E21D 9/12 20060101AFI20231031BHJP
   E21F 13/08 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
E21D9/12 F
E21D9/12 J
E21F13/08
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020064968
(22)【出願日】2020-03-31
(65)【公開番号】P2021161767
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2022-10-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000140292
【氏名又は名称】株式会社奥村組
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村中 浩昭
(72)【発明者】
【氏名】土居 武
(72)【発明者】
【氏名】安竹 馨
【審査官】荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-192786(JP,A)
【文献】特開平08-086192(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 9/12
E21F 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の排土管が連結されて構成され、掘進機で発生した排土が内部に導入されて搬送される排土経路内に生じる排土の詰まりを解除する詰まり解除装置であって、
前記複数の排土管を互いに連結する連結部に配された流体供給部と、
前記流体供給部と接続され、該流体供給部に加圧流体を供給する供給手段とを有し、
前記連結部が、前記掘進機で掘削された掘削坑の急曲線部に複数配されており、
前記急曲線部に配置された前記連結部は、前記排土が搬送される搬送方向に沿って配されており、
前記供給手段は、前記急曲線部に配置された前記連結部のそれぞれに配された前記流体供給部に対して、前記加圧流体の供給先を該搬送方向の下流側から上流側に向かって順次切り替えて供給し、
前記急曲線部に配置された前記連結部は、直管状の第1部材と、可撓性を有し、第1部材と接合される第2部材とをそれぞれ有し、
前記流体供給部は、第1部材に設けられている、排土詰まり解除装置。
【請求項2】
第1部材は、前記搬送方向における第2部材の下流側に連結されている、請求項に記載の排土詰まり解除装置。
【請求項3】
前記流体供給部は、前記排土経路に脱着可能に設けられている、請求項1又は2に記載の排土詰まり解除装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排土詰まり解除装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トンネル工事等で使用する掘進機の一つである泥土圧式のシールド掘進機では、掘削時に発生する掘削土砂などを、複数の排土管を連結して構成される排土経路を介してシールド掘進機の後方側へと送り、後方側に待機している運搬手段である土砂トロッコへ搬出して掘削坑外へと排出している。あるいは土砂トロッコを用いずに排土経路で掘削坑外へと搬送している。
シールド掘進機の掘削の進行に伴い掘削坑は長くなることから、搬送経路を用いて排土を搬送する場合、掘削の進行に合わせて排土管を適宜連結して排土経路の長さを延長している。排土経路が長くなると排土経路内、すなわち排土管内での排土の詰まりが懸念されることから、例えば特許文献1では、排土を排出する搬送装置としてのスクリューコンベアの排土口に分離装置を配置し、分離装置による分離後の細粒分を、排土管を介して加圧流体供給管より供給される加圧流体の圧力によってシールド掘進機の後方へと搬送している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-131983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、排土管内に搬送方向の上流側から加圧流体を供給して排土を搬送している。他方、シールド掘進機で掘削した掘削坑が急激に曲がる急曲線部での排土管内の詰まりについては言及されておらず、急曲線部での排土の詰まりを解消することは難しい。
【0005】
本発明の課題は、上述した従来技術が有する欠点を解消し得る排土詰まり解除装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、複数の排土管が連結されて構成され、掘進機で発生した排土が内部に導入されて搬送される排土経路内に生じる排土の詰まりを解除する詰まり解除装置であって、前記複数の排土管を互いに連結する連結部に配された流体供給部と、前記流体供給部と接続され、該流体供給部に加圧流体を供給する供給手段とを有し、前記連結部が、前記掘進機で掘削された掘削坑の急曲線部に複数配されている、排土詰まり解除装置を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の排土詰まり解除装置によれば、急曲線部における排土の詰まりを解除することができる。さらに、排土の詰まりが解除され、安定した排土搬送を行える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、掘進機の一例である泥土圧式のシールド掘進機の内部を側面から透かして見せた要部構成図である。
図2図2は、本発明の好ましい一実施形態に係る排土詰まり解除装置の概略構成を説明する側面図である。
図3図3は、掘削坑の急曲線部と、排土詰まり解除装置の配置を平面的に示した模式図である。
図4図4は、急曲線部に配した排土管の連結部の構成を説明する平面視図である。
図5図5は、排土経路を構成する排土管と、排土管を接続する連結部の構成を示す図であり、(a)は急曲線部に設けられる連結部と排土管の構成を説明する側面図、(b)は急曲線部以外に設けられる連結部の構成を説明する側面図である。
図6図6は、図4に示すA-A線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0010】
最初に、掘進機の構成について説明し、次に排土詰まり解除装置について説明する。
図1に示すシールド掘進機1を例に掘進機について説明する。図1はシールド掘進機1の内部を側面から透かして見せた要部構成図である。図中、矢印Cは掘削坑の周方向、矢印Eは掘削坑20の延在方向、矢印Fは排土の搬送方向を示している。
シールド掘進機1は、カッタヘッド2と機器本体3との間のチャンバ4内に泥土を充填した状態で掘進することにより泥土圧を発生させ、その泥土圧を切羽の土圧に対抗させた状態で掘進を行う泥土圧式のシールド掘進機1である。この場合、チャンバ4内の泥土は、カッタヘッド2により掘削された土砂に添加材を注入して練り混ぜることにより生成されており、不透水性と塑性流動性(自由に変形および移動できる性質)とを有している。
【0011】
シールド掘進機1の機器本体3の前面には、カッタヘッド2が機器本体3の周方向に沿って正逆方向に回転可能な状態で設置されている。カッタヘッド2は、地盤の切羽を掘削する部材であり、切羽に対向する面である前面に複数のビットおよびスクレーパツース等の刃部5が設置されている。カッタヘッド2の外周には、コピーカッタが設置されている。コピーカッタは、掘削坑20が急激に曲がる急曲線部22の施工時の余堀り、シールド掘進機1の姿勢制御等を行う役割を備えている。カッタヘッド2には、図示しない添加材注入部が設けられている。
カッタヘッド2の裏面には、練混ぜ翼6が設置されていて、カッタヘッド2が回転するとチャンバ4内の土砂と添加材とを撹拌混合するように構成されている。
【0012】
シールド掘進機1を構成する機器本体3は、前胴プレート3aと、その後方から前胴プレート3aに係合する後胴プレート3bとを備えている。前胴プレート3a及び後胴プレート3bは、例えば円筒状の鋼製板により形成されており、機器本体3の外形を形成するとともに、機器本体3の内部に中空空間を形成する。
【0013】
前胴プレート3aの前面側には、機器本体3内の中空空間を切羽側と機内側とに分ける隔壁7が設置されている。この隔壁7の切羽側、すなわち、カッタヘッド2と隔壁7との間に、チャンバ4が設けられている。チャンバ4には、カッタヘッド2により掘削された土砂等がカッタヘッド2の図示しない貫通孔を通じて取り込まれる。
【0014】
隔壁7よりも機内側には、カッタヘッド2を正逆方向に回転させるモータ(駆動源)であるカッタ駆動体8、中折れジャッキ9a、シールドジャッキ9b、排土搬送手段であるスクリューコンベア10及びエレクタ11等が設置されている。
中折れジャッキ9aは、前胴プレート3aと後胴プレート3bとを連結するとともに、シールド掘進機1の推進方向や姿勢を修正する周知の機器である。シールド掘進機1は、
この中折れジャッキ9aに圧油を供給し、前胴プレート3aと後胴プレート3bとを予め決められた方向および角度に屈折させた状態でシールド掘進機1を推進することにより、シールド掘進機1の推進方向や姿勢を制御可能とされている。
シールドジャッキ9bは、機器本体3の後方に設置されたセグメントSGに反力をとってシールド掘進機1を前進させるための推進力を発生させる周知の機器である。エレクタ11は、セグメントSGを把持して掘削坑20の周方向Cに旋回し、組立位置に移送する周知の装置である。
【0015】
スクリューコンベア10は、チャンバ4内に取り込まれた土砂と添加材との混合されたものを排土32として機外に排出するための機器である。スクリューコンベア10は、延在方向Eに延びた筒状のケーシング10c内に、延在方向Eに延設された回転駆動可能なスクリュー部材10dが配されたものである。スクリューコンベア10は、機器本体3の底部側において隔壁7を貫通し、チャンバ4内に配置された取込端部10aから機器本体3の後方において機器本体3の高さ方向中央より上方に配置された排出端部10bに向かって斜め上向きに連続的に延在した状態で機器本体3内に設けられている。
【0016】
排出端部10bには、スクリューコンベア10で搬送された排土32を、内部に導入して搬送方向Fに向かって搬送する排土経路54が落下部12を介して接続されている。本実施形態おいて、搬送方向Fとは、掘削坑20の延在方向Eにおいて、シールド掘進機1が位置する側を上流側とし、発進縦坑21が位置する側を下流側としたとき、上流側から下流側に向かう方向である。
落下部12の下流端に設けられたフランジ部12aは、排土経路54の上流端54aとの連結部位を構成している。落下部12には、加圧流体の一例である圧縮空気APが供給される高圧噴射ノズル13が取り付けられている。高圧噴射ノズル13に供給された圧縮空気APは、落下部12の内部空間に噴射され、排土32を撹拌するものである。
排土経路54は、図2に示すように、複数の排土管53を連結して構成されている。排土経路54は、掘削坑20の天井、側壁面などの掘削坑20内に隅に配設されている。排土経路54の下流端側には、図2に示すように、運搬手段となる土砂トロッコ23が配されている。土砂トロッコ23は、排土経路54の下流端54bと発進縦坑21との間を往復移動可能な周知の構成である。
【0017】
シールド掘進機1は、図示はしない運転室内に設けられた制御部により全体の動作が制御され、カッタヘッド2の回転により地下の地盤を掘削することで掘削坑20を形成する。カッタヘッド2の回転によりチャンバ4内に取り込まれて添加材と混合された掘削土砂は、チャンバ4の下部から取込端部10aを介してスクリューコンベア10のケーシング10c内に排土32として取り込まれる。取り込まれた排土32は、ケーシング10c内に配置されているスクリュー部材10dが回転駆動することで、搬送方向F(機器本体3の後方)へ搬送され、排出端部10bから落下部12を介して排土経路54へと案内される。排土経路54を搬送される排土32は、下流端54bから土砂トロッコ23へと搬出され、土砂トロッコ23の移動で発進縦坑21側へと送られる。送られた排土32は、発進縦坑21側に配置される排土処理装置において処理される。
なお、図示を省略したが、カッタヘッド2には、泥土圧を発生させるための送泥ポンプを有する送泥経路がチャンバ4を介して接続されている。送泥経路には、排土処理装置で処理された泥土が導入され、送泥ポンプによってチャンバ4に向かって圧送されることで、カッタヘッド2に供給される泥土圧を発生させている。
【0018】
ところで、掘削時に発生する掘削土砂(泥土ともいう)と添加剤とが混合された排土32を、スクリューコンベア10及び排土経路54を用いて機器本体3の後方側へと搬送する場合、シールド掘進機1の掘削の進行に伴い掘削坑20は長くなる。このため、掘削の進行に合わせて排土経路54を構成する排土管53を適宜増設して連結して排土経路54
の長さを延長する。排土経路54が長くなると排土経路内、すなわち排土管53内での排土32の詰まりが懸念される。特に、図3に示すように、シールド掘進機1で掘削した掘削坑20の急曲線部22においては、排土経路54(排土管53)内の詰まりが発生し易くなる。また、一箇所詰まりが発生すると、それよりも上流側の排土経路54(排土管53)内においても詰まりが発生し易くなる。
【0019】
そこで本実施形態では、図2に示すように、掘削坑20内に排土詰まり解除装置30を備えている。排土詰まり解除装置30は、複数の排土管53が連結されて構成され、シールド掘進機1で発生した排土32が内部に導入されて搬送される排土経路54内に生じる排土32の詰まりを解除する解除装置である。排土32の詰まりを解除するとは、詰まっている排土32を取り除くことと、排土32が詰まらないように抑制、防止する概念を含む。
排土経路54は、排土管53の連結個数を増減することで、その全長距離の増減が可能とされている。排土経路54は、連結部50と連結部50Aを介して複数の排土管53を延在方向Eに連結することで、その全長を延長している。排土経路54の全長は、例えば20~40mを想定している。排土経路54の全長は、その上流端54aから土砂トロッコ23が待機している下流端54bまでの長さである。
【0020】
排土管53は、延在方向Eにおける一本を1ピースとし、複数のピースが連結部50によって延在方向Eに沿ってそれぞれ直列に接合されることで、排土経路54を構成している。排土管53は、鋼管で構成されている。排土管53は、図4(a)に示すように、1ピース(1本)当たりの長さL1(延在方向Eへ延在する長さ)が例えば3mに設定されている。排土管53の長さL1は、掘削する掘削坑20の全長や施工性等を考慮して設定されるもので、3mに限定されるものではなく、例えば3m~5mの範囲の長さのもの複数用意し、適宜長さの異なるものを組み合わせて接続して排土経路54を形成してもよい。あるいは、同一の長さの排土管53を複数連結して排土経路54を形成してもよい。
【0021】
排土管53の内径は、搬送する排土32の量や掘削坑20の径によってその大きさが決められる場合が多い。排土管53の内径は、例えば200mm以上300mm以下の範囲で、適宜選択して用いるのが好ましい。
排土管53の、長手方向に位置する端部53a、53bには、排土管53の外径よりも径大なフランジ部47,48がそれぞれ形成されている。フランジ部47,48は、落下部12のフランジ部12aと同一径に形成されている。
【0022】
排土詰まり解除装置30は、連結部50Aに配される流体供給部としてのエアバルブ55と、エアバルブ55と接続されていて、エアバルブ55に加圧流体として圧縮空気APを供給する供給手段としてのコンプレッサ37とを有している。本実施形態においてコンプレッサ37は、1つの排土経路54に対して1台設置されるが、設置形態は1台に限定するものではなく、複数台設置されていてもよい。コンプレッサ37は、排土32の詰まり具合によっても、その大きさは異なるが、耐久性、費用対効果等の観点から、吐出圧力(MPa)が0.1MPa~0.3MPa程度のコンプレッサ37を用いるのが好ましい。
【0023】
コンプレッサ37とエアバルブ55とは、高圧ホース39を介して接続されている。コンプレッサ37とエアバルブ55との接続形態は、コンプレッサ37にエアバルブ55と同数の高圧ホース39を設け、各エアバルブ55に高圧ホース39を接続する形態が挙げられる。この場合、高圧ホース39毎に常閉型の開閉弁を設け、必要に応じて開閉弁を開いて圧縮空気APを供給するエアバルブ55を選択可能とするのが好ましい。
コンプレッサ37は、複数の連結部50Aのそれぞれに配されたエアバルブ55に対して、圧縮空気APの供給先を搬送方向Fの下流側から上流側に向かって順次切り替えて供
給するように構成されている。開閉弁が手動式の場合、掘削坑内の作業員が下流側の開閉弁から上流側の開閉弁に向かって順番に手動操作で開閉操作することで、圧縮空気APの供給先の切り替えを行える。開閉弁が電磁弁のような制御によって自動開閉する場合、前記制御部によって、下流側の開閉弁から上流側の開閉弁に向かって順番に開閉制御することで、圧縮空気APの供給先の切り替えを行える。
【0024】
別な接続形態としては、コンプレッサ37に複数、例えば1本の高圧ホース39を設け、該高圧ホース39を何れか1つのエアバルブ55と接続する形態が挙げられる。高圧ホース39を接続するエアバルブ55は、排土経路54内において、排土32が詰まる部分、あるいは詰まった部分の近くに設置されているエアバルブ55とすることで、掘削坑20内に多数の高圧ホース39を設置しなくてよく、ホース設置スペースを確保する必要がなくなるので好ましい。排土32が詰まる部分としては、主に急曲線部22が挙げられる。なお、本実施形態において、高圧噴射ノズル13には、コンプレッサ37から延びる高圧ホース39Aが接続されていて、補助空気として圧縮空気APが供給される。
【0025】
排土経路54は、互いに隣接配置された複数の排土管53と、排土管同士の間に連結部50、50Aを介在させ、これらを順次接続していくことで、搬送方向Fに延設される。つまり、連結部50、50Aを複数用いる場合、該連結部50、50Aは、搬送方向Fに沿って配される。
【0026】
シールド掘進機1で掘削された掘削坑20には、図3に示すように、急曲線部22が形成されることがある。急曲線部22とは、曲率半径Rが50m以下の掘削坑20の部位である。曲率半径Rが20m以下の掘削坑20の部位を超急曲線部と呼ぶこともある。本実施形態における急曲線部22には、このような超急曲線部も含まれる。急曲線部22には、水平方向への湾曲、垂直方向への湾曲、あるいは水平面とこれと直交する垂直面との間に形成される空間内において傾斜した方向への湾曲したものがある。本実施形態の場合、急曲線部22の湾曲する方向は、これら特定の方向の限定するものでない。
【0027】
本実施形態では、図4に示すように、急曲線部22に設置される連結部50Aと、急曲線部22以外に設置される連結部50とは異なる構成としている。掘削坑20が急曲線部22を有する場合、排土経路54に用いられる連結部の内の少なくとも1つの連結部50Aは、急曲線部22に配されている。連結部50Aは、急曲線部22以外に、排土経路54の湾曲する部位に配置してもよい。
急曲線部22に配置された連結部50Aは、直管状の第1部材51と、第1部材51と連結される可撓性を有する第2部材52とを備えている。本実施形態において、掘削坑20の急曲線部22は、便宜的に一箇所とする。本実施形態において、急曲線部22には連結部50Aが複数、具体的には3つ配されている。急曲線部22が複数箇所ある場合、各急曲線部22に必要な数の連結部50Aを設置するのが好ましい。本実施形態において、急曲線部22には、連結部50Aと連結部50Aの間に排土管53を配している。
【0028】
急曲線部22に配置された複数の連結部50Aは、基本的に同一構成であるので、以下、1つの連結部50Aの構成を例に説明する。連結部50Aを構成する第1部材51は、排土管53同様、鋼管で構成されており、搬送方向Fに長さを有している。第1部材51の全長L2は、図5(a)に示すように排土管53の全長L1及び第2部材52の変形前の全長L3よりも短く形成されている。第1部材51の全長L2は、取り回し性、重量の観点から、例えば20cm以上30cm以下の範囲内で、適宜設定するのが好ましい。
第1部材51の内径は、排土管53の内径と同一径である。第1部材51の、長手方向に位置する端部51a,51bには、第1部材51の直径よりも径大なフランジ部41,42が形成されている。本実施形態において、第1部材51は、図2に示すように、搬送方向Fの下流側に位置する第2部材52の下流側に連結されている。
【0029】
本実施形態において、エアバルブ55は、第1部材51に設けられている。エアバルブ55は、第1部材51の管内とつながる流路と、流路を開閉するボール弁を備えている。ボール弁は平時、流路を閉塞していて、高圧ホース39から圧縮空気APが供給されると流路を開放する常閉型の一方向弁である。エアバルブ55は、流路の端部に形成された噴射口が第1部材51の管内に臨むように、フランジ部41,42の間に位置する外周面51cに装着されている。
【0030】
可撓性を有する第2部材52は、蛇腹状の管材で構成されていて、搬送方向Fに延びている。第2部材52の全長L3は、可撓させる前(変形前)の全長である。第2部材52は少なくとも蛇腹部分が樹脂製であって、急曲線部22の曲率に沿うように変形可能に構成されている。変形前の第2部材52の全長L3は、第1部材51の全長L2よりも長く形成されている。第2部材52の、長手方向に位置する端部52a,52bには、第2部材52の外径よりも径大なフランジ部43,44が形成されている。第1部材51のフランジ部41,42及び第2部材52のフランジ部43,44は、排土管53のフランジ部47,48と同一径に形成されている。
【0031】
急曲線部22以外に設置される連結部50は、互いに対向する管材のフランジ部をビクトリックジョイント56によって連結されることで構成される。急曲線部22以外に設置される連結部としては、図2図5(b)に示す連結部50Bに示すように、エアバルブ55が装着された連結部材51を備えていてもよい。連結部材51は基本的には第1部材51と同一の構成に形成されている。
【0032】
本実施形態において、エアバルブ55が設けられた第1部材51は、排土経路54を構成する排土管53や第2部材52に対して脱着自在に設けられている。エアバルブ55は、排土経路54に対して第1部材51を脱着することで、排土経路54に脱着可能に設けられている。また、第1部材51は、排土管53、第2部材52と組付けられたときに、エアバルブ55が排土経路54の下方側に位置するように組付けられる。
【0033】
第1部材51、第2部材52、排土管53に設けられた各フランジ部は、固定手段となる半割継手の1例であるビクトリックジョイント56によって連結される。
【0034】
このような構成の排土詰まり解除装置30においては、図6に示すように、急曲線部22がある場合、連結部50Aが急曲線部22に位置するように組付ける。例えば急曲線部22の手前にスクリューコンベア10側と連結された排土管53が位置している場合、該排土管53と、既に組付けられている管との間に連結部50Aを割り込ませる。具体的には、スクリューコンベア10側と連結された排土管53のフランジ部48と第2部材52のフランジ部43との互いに対向する端面を突き合わせて接合状態とする。そしてビクトリックジョイント56を用いて、フランジ部48とフランジ部43とを連結することで、スクリューコンベア10側の終端となる排土管53の端部53bと第2部材52の端部52aとが固定される。
第2部材52の外観形状を急曲線部22の曲率に合うように変形させて第2部材52の端部52bの向きを変形前と変える。
【0035】
端部52aに対して、その向きが変更された端部52bのフランジ部44に対し、連結部50Aを構成する第1部材51の端部51aに形成されたフランジ部41を、互いに対向する端面を突き合わせ接合する。そしてビクトリックジョイント56を用いてフランジ部44とフランジ部41とを連結することで、向きが変更された第2部材52と第1部材51とが固定される。そして、第1部材51の端部52bに形成されたフランジ部42と排土管53のフランジ部47を、互いに対向する端面を突き合わせ接合し、ビクトリック
ジョイント56を用いてフランジ部42とフランジ部47とを連結することで、第1部材51に排土管53が固定される。
本実施形態では、急曲線部22に3つの連結部50Aを配置し、連結部50Aと連結部50Aの間に排土管53を配しているので、前記の連結作業を繰り返す。この場合、排土管53のフランジ部48と第2部材52のフランジ部43とは連結部50で連結される。具体的には、ビクトリックジョイント56で排土管53のフランジ部48と第2部材52のフランジ部43とを連結固定する。
シールド掘進機1の掘削が進み、排土経路54の延長の必要がある場合、スクリューコンベア10側の終端となる管と、既存管の間に連結部50あるいは連結部50Aを追加することで排土経路54を延長することができる。
【0036】
なお、排土経路54の延長作業は、シールド掘進機1が停止している状態で行われる。また、図6に示すように、排土管同士を連結する場合、排土管53と排土管53の間に連結部材51を配置し、連結部材51の端部に形成されたフランジ部45、46と、一方の排土管53のフランジ部48と他方の排土管53のフランジ部47とをそれぞれ接合し、ビクトリックジョイント56を用いて、フランジ部45とフランジ部48及びフランジ部46とフランジ部47とをそれぞれ連結すればよい。
【0037】
第1部材51と排土管53との連結後、高圧ホース39をエアバルブ55に接続する。組付け前に高圧ホース39をエアバルブ55に接続してもよいが、第1部材51の組付け作業の妨げになることを考慮すると、高圧ホース39とエアバルブ55との接続は、排土経路54が組みあがった後に接続するのが好ましい。高圧ホース39を接続するエアバルブ55は、急曲線部22に配された連結部50Aの第1部材51に設けたエアバルブ55とする。そして、急曲線部22において排土32の詰まり部32Aが発生した場合、コンプレッサ37を作動させることで、圧縮空気APが、急曲線部22に配置された排土経路54、詰まり第1部材51内から管内に噴射され、その圧力によって詰まり部32Aが除去され、排土32による詰まりが除去される。
【0038】
このように本実施形態に斯かる排土詰まり解除装置30によると、詰まりが発生しやすい急曲線部22に対し、圧縮空気APを供給することができるので、急曲線部22での排土経路54内の詰まりを解除することができる。また、排土経路54内の詰まりが解除されることで、安定した排土搬送を行える。さらに急曲線部22での排土32の詰まりが解除されることで、急曲線部22より搬送方向Fの上流側で発生する排土32の詰まりの発生を抑制することにつながる。
【0039】
搬送方向Fに沿って配された複数の連結部50Aに対し、コンプレッサ37からの圧縮空気APの供給先を搬送方向Fの下流側から上流側に向かって順次切り替えて供給することで、下流側から排土32の詰まりを解除することができ、圧縮空気APの圧力で粉砕された排土破片が、搬送方向Fの上流側で詰まることを防止することにつながる。
【0040】
急曲線部22に配置された連結部50Aは、可撓性を有する第2部材52を有しているので、急曲線部22の曲率に合わせて第2部材52を変形させることで、排土経路54の一部を急曲線部22に容易に追従することができる。これにより急曲線部22に配置される排土経路54を複数の直管をつないで構成する場合よりも管内を流れる排土32の流れがスムーズとなり、排土32が詰まり難くなる。また、エアバルブ55は、可撓性を有する第2部材52と接合する第1部材51に設けるので、可撓性を有する第2部材52に設ける場合よりも、その位置ずれを抑制することができる。そのため、詰まった排土32に対する圧縮空気APの狙いが当初の設定からずれることを抑制できるので、効率的に排土32の詰まりを解除することができる。
さらに、連結部材51及び第1部材51に設けられたエアバルブ55は、排土管53及
び第1部材51と組付けられたときに、排土経路54の下方側に位置するので、排土経路54の下方から圧縮空気APを経路内に噴射することができる。これにより、排土経路54の下部に堆積している排土32を撹拌することができ、排土32の詰まりを抑制できるとともに、詰まりを効率よく解除することができる。
【0041】
エアバルブ55が設けられた第1部材51は、第2部材52の下流側に連結されているので、エアバルブ55から噴射される圧縮空気APを搬送方向Fの下流側から詰まった排土32(図6の詰まり部32A)に当てることができる。このため、圧縮空気APの圧力で粉砕された排土破片が、搬送方向Fの上流側において詰まることを防止することにつながる。
さらに、第1部材51の全長L1は、変形前の第2部材52の全長L3よりも短く形成されているので、第2部材52に設ける場合よりも、交換時の作業性がよい。つまり、長尺部材である第2部材52にエアバルブ55を設置した場合、入り組んだ掘削坑20などにおいてエアバルブ55の交換作業が発生した際に、第2部材52を交換しなければならず、作業がやりにくい。これに対し全長が短い第1部材51や同様な構成の連結部材51にエアバルブ55を設置することで、交換時の作業性が、第2部材52に設ける場合よりも格段に向上する。
【0042】
エアバルブ55を排土経路54に対して脱着可能な第1部材51や連結部材51に設置することで、エアバルブ55が脱着可能となる。これにより、エアバルブ交換時にエアバルブ55を備えたユニットとして第2部材52や連結部材51を交換するだけでよく、掘削坑20などの地上より狭い閉鎖的な空間内での作業性が向上する。
掘削坑20内に配された高圧ホース39をすべてのエアバルブ55に接続して、コンプレッサ37からの圧縮空気APをすべてのエアバルブ55に同時に供給すると、排土経路54の異なる部位から経路内に圧縮空気APが噴射される。これにより、排土32が複数箇所で詰まった際に、複数箇所同時に詰まりを解除することができる。また、排土32の詰まりが発生する前に、定期的に各エアバルブ55から排土経路54内に圧縮空気APを噴射する予備噴射を行うことで、排土32の発生を抑制することにつながるので好ましい。
【0043】
本実施形態では、図2図5図6に示すように、搬送方向Fの上流側に位置する排土管53と可撓性を有する第2部材52との接合を直接、排土管53のフランジ部48と第2部材52のフランジ部43とを接合してビクトリックジョイント56で連結した。急曲線部22での詰まりの発生を抑制する観点から、連結部50Bを構成する連結部材51を、第2部材52のフランジ部43と排土管53のフランジ部48との間に介装し、排土管53の端部53bと第2部材52の端部52aとを連結すると、第2部材52の上流側において、エアバルブ55から圧縮空気APを排土経路54内に供給可能となるので好ましい。
【0044】
本実施形態では、落下部12に高圧噴射ノズル13を配しているが、エアバルブ55からの圧縮空気APの導入により排土経路54内での詰まりが解消可能な場合、高圧噴射ノズル13は設置しなくてもよい。
本実施形態において、加圧流体は、コンプレッサ37から供給される圧縮空気APとして説明したが、加圧流体としては、加圧された水を用いてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 掘進機
20 掘削坑
22 急曲線部
30 排土詰まり解除装置
37 供給手段
50、50A、50B 連結部
51 第1部材
52 第2部材
53 排土管
54 排土経路
55 流体供給部
F 搬送方向
AP 加圧流体
図1
図2
図3
図4
図5
図6