(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】放射源
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20231031BHJP
H05G 2/00 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
G03F7/20 503
H05G2/00 K
(21)【出願番号】P 2020511335
(86)(22)【出願日】2018-08-16
(86)【国際出願番号】 EP2018072211
(87)【国際公開番号】W WO2019057409
(87)【国際公開日】2019-03-28
【審査請求日】2021-08-10
(32)【優先日】2017-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ドンケル,リルフォ,ルドヴィカス
(72)【発明者】
【氏名】ニーンフイス,ハン-クワン
【審査官】牧 隆志
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-099502(JP,A)
【文献】国際公開第2017/145366(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/149712(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/041260(WO,A1)
【文献】特開2000-091216(JP,A)
【文献】特開2007-109451(JP,A)
【文献】特表2011-529629(JP,A)
【文献】特表2016-528528(JP,A)
【文献】国際公開第2016/146400(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20
H01L 21/027
H05G 2/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ターゲットをプラズマ形成領域に向けて放出するように構成された放出器と、
前記プラズマ形成領域でプラズマを生成するために前記燃料ターゲットにレーザビームを当てるように構成されたレーザシステムと、
前記プラズマが放出した放射を収集するように配置されたコレクタと、
前記燃料ターゲットの画像を捕捉するように構成された撮像システムと、
前記コレクタにあり前記撮像システムの視野内にあるマーカと、
コントローラと、を備えた放射源であって、
前記コントローラが、
前記画像
及び前記マーカの位置を表すデータを受け取り、
前記データに基づいて前記放射源の動作を制御するように構成された、放射源。
【請求項2】
前記コレクタにあり前記撮像システムの視野内にある第2のマーカを備えた、請求項1に記載の放射源。
【請求項3】
前記撮像システムが、第1の撮像デバイスと、第2の撮像デバイスと、ビーム分割システムと、バックライトとを備え、
前記バックライトが前記燃料ターゲット及び前記マーカに照明ビームを照明するように構成され、
前記ビーム分割システムが、
前記燃料ターゲットの影響を受けた、前記照明ビームの第1の部分を受け取り、
前記マーカの影響を受けた、前記照明ビームの第2の部分を受け取り、
前記第1の部分を前記第1の撮像デバイスに向かわせ、
前記第2の部分を前記第2の撮像デバイスに向かわせるように構成された、請求項1に記載の放射源。
【請求項4】
前記コントローラが、前記データを処理して前記コレクタに対する前記燃料ターゲットの位置を決定するように構成された、請求項1、2又は3に記載の放射源。
【請求項5】
前記コントローラが、前記燃料ターゲットの軌道、前記レーザビームの位置、前記レーザビームの方向、前記コレクタの位置、及び前記コレクタの光軸の配向のうちの少なくとも1つを制御するように構成された、請求項4に記載の放射源。
【請求項6】
前記マーカが、照明する前記照明ビーム放射を実質的に通さない本体を備えた、請求項
3に記載の放射源。
【請求項7】
前記本体が、前記本体を照明する前記照明ビームの一部分を通過させるアパーチャを有する、請求項6に記載の放射源。
【請求項8】
前記マーカがクロスヘアを含む、請求項3に記載の放射源。
【請求項9】
前記第1の部分が第1の特性を有し、
前記第2の部分が前記第1の特性と異なる第2の特性を有し、
前記ビーム分割システムが前記第1の特性及び前記第2の特性の制御下で前記第1の部分と前記第2の部分を区別するように構成された、請求項3に記載の放射源。
【請求項10】
前記第1の特性及び前記第2の特性がそれぞれ、
前記照明ビームの照明放射の第1の波長及び前記照明放射の第2の波長、
前記照明放射の第1の偏光及び前記照明放射の第2の偏光、及び
前記ビーム分割システムへの第1の入射位置及び前記ビーム分割システムへの第2の入射位置、のうちの少なくとも1つによって特徴付けられる、請求項9に記載の放射源。
【請求項11】
放出器と、コレクタと、撮像システムと、前記コレクタにあるマーカとを備えた組み合わせであって、前記組み合わせが、請求項1から10のいずれかに記載の放射源で使用されるように構成された組み合わせ。
【請求項12】
請求項1、2、5、6、7又は8に記載の放射源で使用されるように構成されたコレクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2017年9月20日出願の欧州出願第17192117.4号の優先権を主張し、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 本発明は、リソグラフィ装置で使用する放射源に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板に適用するように構築された機械である。リソグラフィ装置は、例えば集積回路(IC)の製造に使用可能である。リソグラフィ装置は例えば、パターニングデバイス(例えばマスク)からのパターンを、基板上に設けられた放射感応性材料(レジスト)の層に投影することができる。
【0004】
[0004] 基板にパターンを投影するためリソグラフィ装置が用いる放射の波長は、その基板上に形成することができるフィーチャの最小サイズを決定する。4~20nm内の波長を有する電磁放射であるEUV放射を用いたリソグラフィ装置を使用すると、従来のリソグラフィ装置(例えば193nmの波長の電磁放射を使用できる)よりも小さいフィーチャを基板上に形成することができる。
【0005】
[0005] EUV放射は、EUV生成プラズマを生成するように構成された放射源を使用して生成することができる。EUV生成プラズマは、例えば放射源内で燃料を励起することによって生成することができる。
【発明の概要】
【0006】
[0006] 本発明のある態様は、燃料ターゲットをプラズマ形成領域に向けて放出するように構成された放出器と、プラズマ形成領域でプラズマを生成するために燃料ターゲットにレーザビームを当てるように構成されたレーザシステムと、プラズマが放出した放射を収集するように配置されたコレクタと、燃料ターゲットの画像を捕捉するように構成された撮像システムと、コレクタにあり撮像システムの視野内にあるマーカと、画像を表すデータを受け取り、データに基づいて放射源の動作を制御するように構成されたコントローラと、を備えた放射源に関する。「コレクタ」という用語は、ここでは「放射コレクタ」という表現と同じ意味で用いられる。「放出器」という用語は、ここでは「燃料放出器」という表現と同じ意味で用いられる。さらに、撮像システムは1つ以上の撮像デバイス、例えば1つ以上のカメラを含むことができる。「コレクタにあるマーカ」という特徴は、例えばマーカがその運転使用時にコレクタに取り付けられていることによって、マーカとコレクタとの間の固定的空間関係を示すものである。撮像システムは1つ以上の撮像デバイスを含むことができる、例えば、撮像システムは1つ以上のカメラを含むことができる。
【0007】
[0007] 燃料ターゲットと一緒に捕捉されたマーカの画像によって、燃料ターゲットとコレクタとの間の相対的な空間関係、又は少なくとも相対的な空間関係の特性を決定することが可能になる。例えば、コントローラはデータを処理してコレクタに対する燃料ターゲットの位置を決定するように構成されてよい。コントローラは、燃料放出器の位置及び/又は配向を調整することによる燃料ターゲットの軌道、レーザビームの位置及び/又は方向、コレクタの位置及び/又は配向のうちの少なくとも1つを制御するように構成されてよい。
【0008】
[0008] このようにして、放射源の動作を最適化することが可能である。特に、放射源の少なくとも1つのコンポーネントの動作を第1の画像に応じて修正することによって、最適なプラズマ生成を従来達成可能であったよりもずっと速く達成できる、及び/又は最適なプラズマ生成を従来達成可能であったよりも長い期間維持できる可能性がある。
【0009】
[0009] ある実施形態では、放射源は、コレクタにあり撮像システムの視野内にある第2のマーカを備える。これによって、相対位置の追加特性を決定することができる。
【0010】
[00010] ある実施形態では、撮像システムは、第1の撮像デバイスと、第2の撮像デバイスと、ビーム分割システムと、バックライトとを備える。バックライトは燃料ターゲット及びマーカに照明ビームを照明するように構成される。ビーム分割システムは、燃料ターゲットの影響を受けた照明ビームの第1の部分を受け取り、マーカの影響を受けた照明ビームの第2の部分を受け取るように構成される。ビーム分割システムはさらに、第1の部分を第1の撮像デバイスに向かわせ、第2の部分を第2の撮像デバイスに向かわせるように構成される。第1の撮像デバイス及び第2の撮像デバイスは異なる位置に位置する異なる物理的要素を表す照明ビームの異なる部分を受け取るとき、第1の撮像デバイス及び第2の撮像デバイスの個々の撮像デバイスは、それぞれ独立して異なる物理的要素のうちの関連のあるものに焦点を合わせることができる。
【0011】
[00011] 放射源は、コレクタにあり撮像システムの視野内にある第2のマーカを備えることができ、次に、撮像システムは第3の撮像デバイスを備えることができる。次に、バックライトは第2のマーカも照明ビームで照明するように構成されてよい。次に、ビーム分割システムは、第2のマーカの影響を受けた照明ビームの第3の部分を受け取り、第3の部分を第3の撮像デバイスに向かわせるように構成される。
【0012】
[00012] 別の実施形態では、放射源は、燃料ターゲットの別の画像を捕捉するように構成された別の撮像システムと、コレクタにあり別の撮像システムの別の視野内にある別のマーカとを備える。前述の撮像システムは、燃料ターゲットの画像を所定の視点から捕捉するように構成され、別の撮像システムは、燃料ターゲットの別の画像を所定の視点と異なる所定の別の視点から捕捉するように構成される。コントローラは、別の画像を表す別のデータを受け取り、別のデータに基づいて放射源の動作を制御するように構成される。放射源は、別の撮像システムの別の視野内に位置するコレクタにある第2の別のマーカを備えることができる。
【0013】
[00013] したがって、放射源は、燃料ターゲットを異なる視点から撮像する、撮像システムを備えた第1の分岐、及び別の撮像システムを備えた第2の分岐からなる2つの分岐を有する。これによって、燃料ターゲットとコレクタとの間の相対的位置関係についての情報を、1つの視点からの撮像を行う1つの分岐のみを使用することによるよりも多く抽出することができる。好ましくは、2つの分岐を有する放射源は、撮像システムと別の撮像システムの各1個あたり各1対のマーカを備える。
【0014】
[00014] マーカは、画像に表示される影を生成するために照明する照明ビーム放射を実質的に通さない本体を備えることができる。同様に、第2のマーカは、画像に表示される第2の影を生成するために照明する照明ビーム放射を実質的に通さない第2の本体を備えることができる。同様に、マーカ及び第2のマーカのいずれか又はそれぞれは、別の画像に表示される影を生成するために照明する別の照明ビーム放射を実質的に通さない各本体を備えることができる。照明ビームは、マーカ及び第2のマーカのいずれか又はそれぞれが少なくとも部分的に照明ビームを遮るように誘導される。撮像システムは、照明ビームの経路上にある関連マーカにより生じた影を検出できるように配置される。例えば、バックライト及び撮像デバイスの関連するものは、マーカがバックライトと撮像システムとの間に配置されるように、互いに対向し、コレクタを横切る視線を有するように配置することができる。代替的に、バックライト及び撮像デバイスは、互いに近くに配置することができ、照明ビームをリフレクタ又は他の光デバイスを介して撮像デバイスに向かわせるためにリフレクタ又は他の適切な光学素子を設けることができる。照明ビームがプラズマ生成領域の近傍で燃料ターゲットに入射することにより生じる影も撮像デバイスによって検出することができる。
【0015】
[00015] 本体及び第2の本体のいずれか又はそれぞれは、本体及び第2の本体を照明する照明ビームの一部を通過させる各アパーチャを有することができる。同様の考慮は、第2の分岐の別の撮像システムと協働する別のマーカ及び第2のマーカの各本体に適用することができる。
【0016】
[00016] 代替的に、又は以上で紹介された本体の実装形態との関連において、マーカ及び第2のマーカのいずれか又はそれぞれは各クロスヘアを備えることができる。知られているように、クロスヘアは、通常は撮像デバイスの焦点に位置する細いワイヤ又は糸である。クロスヘアは正確な観察又は照準の基準として使用される。
【0017】
[00017] 上記のビーム分割システムに関して、照明ビームの第1の部分は燃料ターゲットの存在の影響を受け、照明ビームの第2の部分はマーカの影響を受ける。ビーム分割システムは、照明ビームの第1の部分を第1の撮像デバイスに向かわせ、第2の部分を第1の撮像デバイスと異なる第2の撮像デバイスに向かわせるのに使用される。第2のマーカがコレクタに存在する場合は、第2のマーカの存在の影響を受ける照明ビームの第3の部分は、ビーム分割システムによって第1の撮像デバイスとも第2の撮像デバイスとも異なる第3の撮像デバイスに向けられる。ビーム分割システムが機能するために、ビーム分割システムは、第1の部分と、第2の部分と、第3の部分とを区別可能でなければならない。つまり、第1の部分は第1の特性を有し、第2の部分は第1の特性と異なる第2の特性を有し、ビーム分割システムは、第1の特性及び第2の特性の制御下で第1の部分と第2の部分を区別するように構成される。同様に、第2のマーカがコレクタに存在し、照明ビームの第3の部分に影響を及ぼす場合は、第3の部分は第1の特性及び第2の特性と異なる第3の特性を有する。
【0018】
[00018] 第1の特性は照明ビームの照明放射の第1の波長を含むことができ、第2の特性は第1の波長と異なる照明放射の第2の波長を含むことができる。第2のマーカが存在する場合は、第3の特性は第1の波長とも第2の波長とも異なる第3の波長を含むことができる。第1の特性はビーム分割システムへの第1の入射位置を含むことができ、第2の特性は第1の入射位置と異なるビーム分割システムへの第2の入射位置を含むことができる。第2のマーカがコレクタに存在する場合は、第3の特性は、第1の入射位置とも第2の入射位置とも異なる第3の入射位置を含むことができる。第1の特性は照明ビームの照明放射の第1の偏光を含むことができ、第2の特性は第1の偏光と異なる照明放射の第2の偏光を含むことができる。
【0019】
[00019] 複数の撮像システムが存在する場合、放射コレクタの位置を6つの自由度で決定できる可能性がある。例えば、撮像デバイスの2次元像面に関するコレクタの位置(すなわち、相対上下位置及び相対左右位置)を決定できる可能性がある。互いに対して既知の角度に配向された各視野を有する少なくとも2つの撮像システムにより生成された画像から得られた情報を相互参照することによって、放射コレクタの3次元位置を決定できる可能性がある。
【0020】
[00020] 一部の実施形態では、マーカは実質的にL字形又は十字形の突出体を含む本体を有することができる。マーカは、マーカの一部のみが撮像システムの視野に突出するように配置することができる。このようにして、視野に燃料ターゲットの画像を捕捉するのに利用可能な空間が大きくなる。
【0021】
[00021] 一部の実施形態では、少なくとも1つのマーカを構成する突出体にアパーチャを設けることができる。アパーチャは、バックライトが放出した放射のビームの一部がマーカを通過できるようにする可能性がある。
【0022】
[00022] 一部の実施形態では、少なくとも1つのマーカは、リングに取り付けられたクロスヘアの形態をとってよい。このようにして、マーカはバックライトが放出した放射のビームをできるだけ遮らない可能性がある。
【0023】
[00023] 一部の実施形態では、少なくとも1つのマーカは、関連撮像デバイスの像面に十字状の外形を有する領域を有する回折パターンを作成することができる。これによって、マーカの検出、又は撮像デバイスの像面に対するマーカのサイズの検出が容易になる可能性がある。
【0024】
[00024] 一部の実施形態では、少なくとも1つのマーカは、放射コレクタの近傍に配置され撮像デバイスの視野内にある不透明な正方形を含むことができる。
【0025】
[00025] 一部の実施形態では、少なくとも1つのマーカを、少なくとも1つのマーカが放射のビームの一部を遮るようにバックライトが生成した放射のビームの経路上に配置された実質的に透明なプレート上に印刷、塗装あるいは貼付することができる。
【0026】
[00026] 一部の実施形態では、コントローラは放射コレクタの位置に関する情報を記憶することができる。一部の実施形態では、情報は、放射コレクタの初期位置及び放射コレクタの初期位置に対する相対オフセットのうちの少なくとも1つに関する情報を含むことができる。
【0027】
[00027] 本発明の別の態様は、本発明に係る放射源及びリソグラフィ装置を備えたリソグラフィシステムに関する。
【0028】
[00028] 本発明の別の態様は、コンピュータに、放射放出プラズマの第1の画像を受け取ること、第1の画像に基づく、放射源の少なくとも1つのコンポーネントの動作を修正せよとの少なくとも1つの命令を生成すること、及び、任意選択的に、第1の画像を処理して少なくとも1つのマーカに対する燃料ターゲットの位置を決定することを行わせるのに適したコンピュータ可読命令を担持した非一時的コンピュータ可読媒体に関する。
【0029】
[00029] 本発明の別の態様は、放出器と、コレクタと、撮像システムと、コレクタにあるマーカとを備えた組み合わせであって、本発明の放射源で使用するように構成された組み合わせに関する。
【0030】
[00030] 本発明のさらに別の態様は、本発明に係る放射源で使用するように構成されたコレクタに関する。
【0031】
[00031] 上記の1つの態様又は実施形態との関連で説明された特徴は、上記の態様又は実施形態の他の特徴とともに使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
[00032] 本発明の実施形態を、添付の概略図を参照して、単なる例示として以下に説明する。
【0033】
【
図1】本発明のある実施形態に係るリソグラフィ装置及び放射源を備えたリソグラフィシステムを概略的に示す。
【
図2】本発明のある実施形態に係る例示的な放射源を概略的に示す。
【
図3】本発明のある実施形態に係る例示的な放射源の平面図を概略的に示す。
【
図6】放射システムの各部の実施形態の側面図を概略的に示す。
【
図7】放射システムの各部の別の実施形態の側面図を概略的に示す。
【
図8a】ビームの経路上にあるマーカのある例を概略的に示す。
【0034】
図面全体を通して、同じ参照番号は類似の又は対応する要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
[00033]
図1は、本発明の一実施形態に係る放射源を備えたリソグラフィシステムを示している。リソグラフィシステムは放射源SOとリソグラフィ装置LAとを備える。放射源SOは、極端紫外線(EUV)放射ビームBを生成するように構成される。リソグラフィ装置LAは、照明システムILと、パターニングデバイスMA(例えばマスク)を支持するように構成された支持構造MTと、投影システムPSと、基板Wを支持するように構成された基板テーブルWTとを備える。照明システムILは、放射ビームBをパターニングデバイスMAに入射する前に調節するように構成される。投影システムは、(既にマスクMAによりパターン付与された)放射ビームBを基板Wに投影するように構成される。基板Wは、予め形成されたパターンを含むことができる。この場合、リソグラフィ装置は、パターン付与された放射ビームBを基板W上に予め形成されたパターンと位置合わせする。
【0036】
[00034] 放射源SO、照明システムIL、及び投影システムPSは、いずれも外部環境から隔離できるように構築及び配置することができる。大気圧より低い圧力のガス(例えば水素)を放射源SOに供給することができる。照明システムIL及び/又は投影システムPSに真空を供給することができる。大気圧よりかなり低い圧力の少量のガス(例えば水素)を照明システムIL及び/又は投影システムPSに供給することができる。
【0037】
[00035] 放射源SOの例が
図2に示されている。
図2に示す放射源SOは、レーザ生成プラズマ(LPP)源と称されることもある形式のものである。レーザ1が、例えばCO2レーザを含んでよく、レーザビーム2を介して、燃料放出器3から提供されるスズ(Sn)などの燃料へとエネルギーを付与するように配置される。レーザは、パルス連続波又は準連続波レーザであってよい、又はパルス連続波又は準連続波レーザのように動作することができる。燃料放出器3から放出される燃料の軌道は、
図2に記されたx軸に平行である。レーザビーム2は、x軸に対して垂直なy軸に平行な方向に伝搬する。z軸はx軸及びy軸の両方に対して垂直であり、概して紙面奥(又は手前)に延びる。
【0038】
[00036] 以下の説明ではスズに言及するが、任意の適切な燃料を使用することができる。燃料は例えば液体形態をとってよく、例えば金属又は合金であってよい。燃料放出器3は、プラズマ形成領域4に向かう軌道に沿って、例えば分離した燃料ターゲットの形態のスズを誘導するように構成されたノズルを備えることができる。説明の残りの部分を通して、「燃料」、「燃料ターゲット」又は「燃料液滴」への言及は、燃料放出器3により放出された燃料に言及しているものと理解すべきである。レーザビーム2はプラズマ形成領域4でスズに入射する。スズへのレーザエネルギーの付与によってプラズマ形成領域4にプラズマ7が生成される。EUV放射を含む放射が、プラズマ7からプラズマのイオン及び電子の脱励起及び再結合の間に放出される。
【0039】
[00037] EUV放射は、近法線入射放射コレクタ5(より一般的には法線入射放射コレクタと称されることがある)によって集光及び集束される。コレクタ5は、EUV放射(例えば13.5nmなどの所望の波長を有するEUV放射)を反射するように配置された多層構造を有することができる。コレクタ5は2つの焦点を有する楕円構成を有することができる。以下で考察されるように、第1焦点がプラズマ形成領域4にあってよく、第2焦点が中間焦点6にあってよい。
【0040】
[00038] レーザ1は放射源SOから比較的遠くに位置することができる。この場合、レーザビーム2は、例えば適切な誘導ミラー及び/又はビームエキスパンダ、及び/又は他の光学系を備えたビームデリバリシステム(図示せず)の助けによって、レーザ1から放射源SOへと受け渡されてよい。レーザ1は放射源SOとともに、放射システムと見なすことができる。
【0041】
[00039] コレクタ5で反射された放射は放射ビームBを形成する。放射ビームBは、プラズマ形成領域4の像を形成する点6に集束され、これは照明システムILにとって仮想放射源としての役割を果たす。放射ビームBが集束される点6は、中間焦点と称されることがある。放射源SOは、中間焦点6が放射源の閉鎖構造9における開口8又はその近くに位置するように配置される。
【0042】
[00040] 放射ビームBは放射源SOから、放射ビームを調節するように構成される照明システムILに入る。照明システムILは、ファセットフィールドミラーデバイス10とファセット瞳ミラーデバイス11とを含むことができる。ファセットフィールドミラーデバイス10及びファセット瞳ミラーデバイス11は協働して、放射ビームBに所望の断面形状及びビームの断面における放射ビームの所望の強度分布を提供する。放射ビームBは照明システムILを通過し、支持構造MTにより保持されたパターニングデバイスMAに入射する。パターニングデバイスMAは、放射ビームBを反射し、これにパターン付与する。照明システムILは、ファセットフィールドミラーデバイス10及びファセット瞳ミラーデバイス11に加えて又はこれに代わる、他のミラー又はデバイスを含むこともできる。
【0043】
[00041] パターニングデバイスMAでの反射に続いて、パターン付与された放射ビームBは投影システムPSに進入する。投影システムは、放射ビームBを基板テーブルWTにより保持された基板Wに投影するように構成された複数のミラーを備える。投影システムPSは、パターニングデバイスMA上の対応するフィーチャより小さいフィーチャを有する像を形成するように放射ビームに縮小係数を適用することができる。例えば縮小係数4を適用することができる。投影システムPSは
図1において2つのミラーを有しているが、投影システムは任意の数のミラー(例えば6つのミラー)を含むことができる。
【0044】
[00042] 放射源SOは、
図2に示されていないコンポーネントを含むことができる。放射源に、例えばスペクトルフィルタを設けることができる。スペクトルフィルタは、EUV放射に関して実質的に透過性を有するが、赤外線放射などの他の放射の波長をブロックすることができる。
【0045】
[00043] 放射源SO(又は放射システム)はさらに、プラズマ形成領域4における燃料ターゲットの画像を得る、より具体的には、燃料ターゲットの影の画像を得るための撮像システムを備える。撮像システムは、燃料ターゲットの縁部で回折された光を検出することができる。以下の文章における燃料ターゲットの画像への言及は、燃料ターゲットの影の画像、又は燃料ターゲットが生じさせる回折パターンにも言及するものと理解すべきである。
【0046】
[00044] 撮像デバイスは、CCDアレイ又はCMOSセンサなどの光検出器を備えることができるが、燃料ターゲットの画像を得るのに適した任意の撮像デバイスを使用できることが理解されるであろう。撮像デバイスは光検出器に加えて、例えば1つ以上のレンズなどの光学コンポーネントを備えることができることが理解されるであろう。例えば、撮像デバイスは、カメラ10、すなわち光センサ(すなわち光検出器)と1つ以上のレンズとの組み合わせを含むことができる。光学コンポーネントは、光センサ又はカメラ10が近視野像及び/又は遠視野像を得るように選択することができる。カメラ10は、放射源SO内の、カメラがプラズマ形成領域4及び(
図3を参照して以下で考察される)コレクタ5上に設けられた1つ以上のマーカ(
図2には示さない)を見通す任意の適切な場所に配置することができる。但し、カメラ10の損傷を回避するために、レーザビーム2の伝搬経路及び燃料放出器3から放出される燃料の軌道から離れた位置にカメラ10を配置することが必要な可能性がある。カメラ10は、燃料ターゲットの画像を接続12を介してコントローラ11に提供するように構成される。接続12は有線接続として示されているが、接続12(及び本明細書で言及される他の接続)は、有線接続、無線接続、又はこれらの組み合わせで実現できることが理解されるであろう。
【0047】
[00045]
図3は、放射源SOのコンポーネントの例示的な実施形態の概略的平面図である。
図3に示す放射源SOのコンポーネントは放射コレクタ5を備える。放射コレクタ5は第1の部分5aと第2の部分5bとを備える。第1の部分5aは放射コレクタ5の内側部分であってよい。第1の部分5aはプラズマ7が生成したEUV放射を反射するように構成されてよい。プラズマ形成領域4は放射コレクタ5の第1の部分5aの近傍に位置することができる。先に定めたように、楕円コレクタの焦点の1つはプラズマ形成領域にある。
【0048】
[00046] 放射コレクタ5の第2の部分5bは物理的に放射コレクタ5の外側部分であってよい。第2の部分5bは、概してEUV放射をリソグラフィ装置に向けて反射しないように構成されてよい。例えば第2の部分5bは、第1の部分5aよりEUV放射に対して低反射であってよい、又は非反射であってよい。第2の部分5b(以下で「外側部分」とも称される)に、少なくとも1つのマーカを設けることができる。
図3に示す例示的な実施形態では、第2の部分に、以下でより詳細に考察される4つのマーカ15a、16a、15b、16bが設けられる。
【0049】
[00047] 放射源SOは少なくとも1つの撮像システムを備える。
図3の図では、放射源SOは、それぞれが少なくとも1つの撮像デバイスを備えた撮像システム及び別の撮像システムを備える。
図3の例示的な実施形態では、撮像システムは第1のカメラ10aを備え、別の撮像システムは第2のカメラ10bを備え、それぞれ第1のバックライト19a及び第2のバックライト19bと対応付けられる。カメラ10a、10bは、
図3に示すように、第1のカメラ10aの視野軸が第2のカメラ10bの視野軸に対して実質的に垂直となるように配置することができる。しかしながら、視野軸のなす角度が90度と異なるようにカメラを配置することも可能である。完全を期するならば、カメラ10aの視野軸が第2のカメラ10bの視野軸と交差している必要はない。つまり、カメラ10a、10bの視野軸が1つの平面に広がる必要はない。この場合、視野軸がなす角度は、コレクタ5の光軸に対して垂直な平面への視野軸の垂直投影がなす角度を示すことが意図されている。
【0050】
[00048] さらに、他の実施形態では、カメラ10a、10bを放射源SO内の他の場所に配置できることが理解されるであろう。例えば、一部の実施形態では、バックライト19a、19bからの電磁放射の照明ビームを、
図3に示す場所以外の場所に配置されたカメラ10a、10bに向かわせるのに適した光デリバリシステム(例えばミラー、レンズなど)を提供することができる。一部の実施形態では、カメラ10a、10bは、
図3に示すように相互に対向する代わりに各バックライト19a、19bの近くに配置することができる。このような実施形態は、示された例より占有空間を小さくすることができる。2つの異なる視野軸がある場合、撮像デバイスは放射コレクタ5に関して6つの自由度をカバーすることが可能である。第1及び第2のカメラ10a、10bの各視野軸は、放射コレクタ5の第1の部分5aの近傍のプラズマ形成領域4に向けられる。第1のバックライト19aは第1のカメラ10aに対応付けられ、第2のバックライト19bは第2のカメラ10bに対応付けられ、各場合においてカメラ-バックライト群を形成する。各場合において、各バックライト19a、19bは、コレクタをコレクタの光軸(y軸)に沿って見たときに放射コレクタ5の第1の部分5aがその間に配置されるように、その対応するカメラ10a、10bに対向する位置に配置することができる。代替的に、各バックライト19a、19bは、コレクタをコレクタの光軸に沿って見たときに放射コレクタ5がカメラ10a、10bとバックライト19a、19bとの間に配置されないように、その対応するカメラ10a、10bの近傍に(すなわち近くに)配置することができる。後者の場合は、バックライト19a、19bから放出された電磁放射の照明ビームを対応するカメラ10a、10bに向かわせることができるように、リフレクタ(例えばミラー又はレトロリフレクタ)を配置することができる。リフレクタを介したバックライトから対応するカメラまでの電磁放射の経路は、燃料放出器3から放出された燃料ターゲットが横切る領域を横断する。各バックライト19a、19bは、プラズマ形成領域4に向けて放出される燃料ターゲットの、各カメラ10a、10bによる画像捕捉を容易にすることができる。バックライト19a、19bは任意の適切な形態をとることができる。一部の実施形態では、バックライト19a、19bは、約900nmの波長を有する電磁放射を放出することができる。但し、その他の波長も使用できることが理解されるであろう。
【0051】
[00049] 少なくとも1つのマーカが、各カメラ10a、10bによって少なくとも部分的に捕捉されるように、各カメラ10a、10bと対応するバックライト19a、19bとの間の放射コレクタ5の外側部分5bに配置される。カメラ10a、10b及び対応するバックライト19a、19bが互いに近くに配置される実施形態では、少なくとも1つのマーカは、バックライト19a、19bから対応するカメラ10a、10bまでの電磁放射の経路上に配置することができる。
【0052】
[00050] マーカは、画像に表示される影を生成するために照明する照明ビーム放射を実質的に通さない本体を備えることができる。
【0053】
[00051]
図3に示す実施形態では、各カメラ-バックライト群の、カメラ10aとバックライト19aとの間に位置する2つのマーカ15a、16aと、カメラ10bとバックライト19bとの間に位置する2つのマーカ15b、16bとがある。マーカは、各マーカ15a、16aの少なくとも一部が対応するカメラ10aの視野内に存在し、各マーカ15b、16bの少なくとも一部が対応するカメラ10bの視野内に存在するように、放射コレクタ5の外側部分5bから実質的に(概して
図3の紙面奥(又は手前)に延びる)y軸に平行な方向に突出するように実現することができる。例えば、2つのマーカ15a及び16aは第1のカメラ10aの視野内に存在する。一方のマーカ15aは第1のカメラ10aのより近くに位置し、他方のマーカ16aは第1のバックライト19aのより近くに位置する。同様に、第2のカメラ10bの視野内に2つのマーカ15b、16bを検出することができる。この場合もまた、一方のマーカ15bは第2のカメラ10bのより近くに位置し、他方のマーカ16bは第2のバックライト19bのより近くに位置する。マーカ15a、16aとマーカ15b、16bの各対の中で、カメラ10a、10bによる各マーカ対の検出を支援するために、一方のマーカは他方より高くてよい、あるいは他方とは異なる物理的特性を有することができる。例えば、バックライト19a、19b、マーカ15a、16a、15b、16b、及びカメラ10a、10bの相対配置に応じて、形状やサイズの異なる様々なマーカを使用して、一対内の一方のマーカが他方のマーカを完全に塞ぐのを防止すること、又は単に一対内の各マーカを対応するカメラの視野内の異なる場所に配置することができる。
図4に示されている例では、マーカ16aはマーカ15aより高く、マーカ16aがカメラ10aの視野の最左上部を占めるとともに、マーカ15aがカメラ10aの視野の最右下部を占めている。
【0054】
[00052] 放射源SOの運転使用時、マーカ15a、16a、15b、16bは、それぞれ放射コレクタ5に対して固定された場所に配置される。各マーカ15a、16a、15b、16bの場所及び寸法又はその他の物理的特性は事前に知られている。このようにして、各カメラ10a、10bが生成した画像を処理することによって、プラズマ形成領域4にある燃料ターゲットに対する放射コレクタ5の位置を計算することが可能である。コレクタ5に対する燃料ターゲットの位置の決定は、
図4及び
図5を参照して以下でより詳細に説明される。完全を期するならば、本明細書で使用される「計算する」という用語は、数学アルゴリズムを実行すること、捕捉した画像の画素をコレクタ5と燃料ターゲットの相対位置と照合する所定の参照テーブルを参照することなど、又はこれらの組み合わせを示すことができる。
【0055】
[00053]
図4は、
図3の放射源の例示的な実施形態の側面図である。
図4の中央のコレクタ5の上方に描かれたFOVと表示された要素は、第1のカメラ10aの視野を表す。
図5は、
図4の第1のカメラ10aの視野FOVのより詳細な図である。
【0056】
[00054] この実施形態では、第1及び第2のカメラ10a、10bが概ね同様に機能することが理解されるが、カメラは構成が異なってよいこと、及び/又は異なる方法で画像を捕捉できることが理解されるであろう。同様に、バックライト19a、19bは、異なる構成を有する、及び/又は異なる特性を有する電磁放射を放出することができる。したがって、繰り返しを避けるため、第1のカメラ10a、第1のバックライト19a及び対応するマーカ15a、16aの機能性に関する説明は、第2のカメラ10b、第2のバックライト19b及び対応するマーカ15b、16bにも当てはまると理解すべきである。
【0057】
[00055]
図4及び
図5には、マーカ15a及び16aが第1のカメラ10aの視野FOVに部分的に突出することが見られる。
図4及び
図5の実施形態では、マーカは放射コレクタ5の外側部分5bから延びるL字形の突出体である。しかしながら、他の実施形態では、マーカは異なる形態をとってもよい。例えばマーカは、異なる形状を有する突出体であってよい。例えばマーカは、実質的に矩形であっても、実質的に十字形であってもよい。マーカはそれぞれが同じ形状を有することができる、又は1つ以上のマーカが1つ以上の他のマーカと異なる形状を有することができる。(例えば特定のカメラ10a、10bにより画定される)特定の視野軸に対応する各マーカの少なくとも一部は、対応するカメラ10a、10bの視野に存在する。
【0058】
[00056] 一部の実施形態では、1つ以上のマーカに、対応するカメラの視野に存在する関連マーカの一部に配置された1つ以上のアパーチャ17を設けることができる。このようなアパーチャ17に、既知の特性のレンズを設けることができる。このようにして、カメラが捕捉した画像からより多くの情報が得られる可能性がある。
【0059】
[00057] 以上で説明したように、マーカ15a、16aの寸法又は他の関連特性及び放射コレクタ5に対する各位置は知られている。コントローラ11は、カメラ10aから第1の画像を表すデータを受け取る。第1の画像を捕捉した瞬間にカメラ10aの視野に存在する燃料液滴がある場合、第1の画像は、燃料放出器3がプラズマ形成領域4に供給した燃料液滴の少なくとも1つの特性(例えば、位置や形状)に関する情報を判定できるデータを含むことができる。
図5の図は、カメラ10aの視野に存在している2つの燃料液滴18を示している。代替的又は付加的に、第1の画像は、プラズマ形成領域4に供給されたレーザビームの少なくとも1つの特性に関する情報を抽出できるデータを含むことができる。代替的又は付加的に、第1の画像は、プラズマ形成領域4で形成されたプラズマ7に関する情報を表すデータを含むことができる。
図5に示す詳細図には、燃料ターゲット18及び燃料ターゲット18の影20がカメラ10aの視野FOVに描かれている。実際には、それはカメラ10a、10bにより検出される(燃料ターゲット18がバックライトにより放出された電磁放射の経路を遮断することにより生じた)燃料ターゲット18の影20である。
図5の視野FOVには扁平な燃料ターゲット22の影も見られる。これは、レーザビーム(主パルス)が燃料ターゲットに入射しプラズマが生成される前に、プリパルスレーザビーム(図示せず)が燃料ターゲットに入射したときに生じる可能性がある。
【0060】
[00058] コントローラ11で受け取られた第1の画像を表すデータはまた、マーカ15a、16aの位置に関する情報を含む。具体的には、マーカ15a、16aの寸法又は他の特性が知られており、カメラ10aの視野FOVの寸法が知られており、視野FOV内のマーカの初期位置が(すなわちキャリブレーション測定から)知られており、かつカメラ10a、10bの視野軸がなす角度が知られている。したがって、コントローラ11は、(カメラ10aから得た画像に基づいて)放射コレクタの位置、燃料放出器が放出した燃料の軌道、及びレーザビームの位置(すなわち軌道)のうちの少なくとも1つを計算することができる。
【0061】
[00059] 次にコントローラ11は、放射源SOの動作の少なくとも1つの態様を向上させるために、その少なくとも1つのコンポーネントの動作を修正せよとの命令を生成することができる。例えば命令は、改善されたプラズマ生成を行うため、及び/又はコレクタ5の焦点に対する改善されたプラズマ生成の位置を提供するために、燃料放出器が放出した燃料の軌道を調整するのに適していてよい。このようにして、プラズマ7により生成されたより多くのEUV放射を集め、リソグラフィシステムの他のコンポーネントに供給することができる。付加的又は代替的に、命令は、燃料放出器が放出した燃料の速度、燃料放出器が放出した燃料の量、及び/又はレーザビームの特性(例えばパワー、軌道など)を調整するのに適していてよい。
【0062】
[00060] 放射コレクタ5は、例えば洗浄するためや別のコレクタに交換するために放射源SOから取り外すことが望ましい場合がある。コントローラ11は、再設置されるときに放射コレクタ5の初期位置に対するオフセットが分かるように、取り外される放射コレクタ5の位置に関する情報を記憶することができる。つまり、コントローラ11は、再設置された放射コレクタ5の初期位置と放射コレクタ5の(取外し前の)最終位置との差を記憶することができる。記憶されているオフセットは、再設置された放射コレクタ5の位置を最適化するのに使用することができる。例えば、再設置された放射コレクタ5の初期位置が正しくない場合に、これをより迅速に検出及び解決できる可能性がある。再設置された放射コレクタ5の初期位置と取外し前の放射コレクタ5の初期位置との記憶されているオフセット又は既知の若しくは計算されたオフセットを使用して、以前に計算された、あるいは決定された最適プラズマ位置と異なり得る修正された最適プラズマ位置を計算、あるいは決定できる可能性もある。取り外したコレクタを別のコレクタに交換する場合も同様の考慮が適用される可能性がある。
【0063】
[00061] 別の実施形態では、撮像システム及び別の撮像システムのそれぞれは、各視野軸についてさらに2つのカメラを備えることができる。つまり、撮像システムは第2のカメラ及び第3のカメラを備えることができ、別の撮像システムは別の第2のカメラ及び別の第3のカメラを備えることができる。各視野軸に対して(すなわち各撮像システムに対して)提供されるカメラ及びバックライトは、ここではその視野軸について3つのカメラを備えたカメラ-バックライト群を形成する。撮像システムの第2のカメラは第2のカメラに最も近いマーカ15aに焦点を合わせることができ、別の撮像システムの別の第2のカメラは別の第2のカメラに最も近いマーカ15bに焦点を合わせることができる。撮像システムの第3のカメラは第3のカメラから最も遠いマーカ16aに焦点を合わせることができ、別の第3のカメラは別の第3のカメラから最も遠いマーカ16bに焦点を合わせることができる。撮像システムは、次にビーム分割システムを備えることができ、別の撮像システムは、次に別のビーム分割システムを備えることができる。次に、撮像システムのこのようなビーム分割システムは、照明ビームの燃料ターゲットの存在の影響を受ける第1の部分、照明ビームのマーカ15aの存在の影響を受ける第2の部分、及び照明ビームのマーカ16aの存在の影響を受ける第3の部分を受け取ることができる。ビーム分割システムは、第1の部分を第1のカメラに、第2の部分を第2のカメラに、そして第3の部分を第3のカメラに向かわせる。同様の説明を、別のカメラと、別の第2のカメラと、別の第3のカメラと、別のビーム分割システムとを有する別の撮像システムに準用することができる。ビーム分割システムは2つのビームスプリッタを備えることができる。撮像システムの視野軸について、マーカ15a、16a及び燃料ターゲットの影のそれぞれのインフォーカス画像を得ることができる。同様に、別の撮像システムの視野軸について、マーカ15b、16b及び燃料ターゲットの別の影のそれぞれのインフォーカス画像を得ることができる。このようにして、燃料ターゲットのコレクタ5に対する相対位置を、マーカ15a、16a、15b、16b及び燃料ターゲットを撮像するために撮像システム及び別の撮像システムの各個あたり1つのカメラが使用される場合よりも高い精度で確立することができる。撮像システムに3つのカメラを使用する実施形態が、
図6を参照して以下でより詳細に説明される。
図6の実施形態の説明はまた、別の撮像システムに準用することができる。
【0064】
[00062]
図6は、放射源SOのある実施形態の各部の概略的側面図である。マーカ15a及び16aを備えたコレクタ5が、バックライト19aから第1のカメラ10aまでの照明ビームAの経路の中ほどに示されている。図において、第1のカメラ10aはその光検出器(すなわち光センサ)の平面で表される。コレクタ5と第1のカメラ10aとの間に第1のビームスプリッタ22aが設けられる。カメラ10aにより捕捉される画像の焦点合わせを行うために、カメラ10aの上流側に第1のレンズ21aを任意選択的に設けることができる。代替的又は付加的に、カメラ10aにより捕捉される画像の焦点合わせをさらに行うために、カメラ10aの上流側にミラー(折り畳みミラーなど-図示せず)を設けることができる。この点において、要素「カメラ10a」は単に光検出器又は光センサを備えることができるといえる。次に、第1のレンズ21a及び折り畳みミラーは、光センサに投影された画像の焦点合わせを適切に行う働きをすることができる。一部の実施形態では、カメラ10aの上流側に1つ以上の光学フィルタ(図示せず)及び/又はポラライザ(図示せず)を任意選択的に設けることができる。
【0065】
[00063] コレクタ5の近傍のプラズマ形成領域4に燃料ターゲットが存在する。燃料ターゲットによって、照明ビームAに影20が形成される。ビームAは第1のレンズ21aによって集束され、ビームAの一部A1は第1のビームスプリッタ22aを通過してカメラ10aに向けられる。このようにして、液滴の影20を位置20aにあるカメラ10aで検出することができる。
【0066】
[00064] ビームAの残りの部分A2を第1のビームスプリッタ22aによって分岐させ、第2のビームスプリッタ23aに向かわせることができる。ここで、ビームA2は、ビームA2の一部A3が第2のカメラ25aに向けられ、ビームA2の別の部分A4が第2のビームスプリッタ23aを通過して第3のカメラ27aに到達するように分割することができる。図において、第2のカメラ25a及び第3のカメラ27aは、それぞれ光検出器の平面で表される。
【0067】
[00065] 第2のカメラ25aは、視野軸に沿ってカメラに最も近いマーカ15aのインフォーカス画像を得るために設けることができる。第3のカメラ27aは、視野軸に沿ってカメラから最も遠いマーカ16aのインフォーカス画像を得るために設けることができる。カメラ25a及び27aが捕捉する画像の焦点合わせをさらに行うために、別のレンズ24a及び26aを任意選択的に設けることができる。上記のように、この点において、要素「第2のカメラ25a」及び「第3のカメラ27a」は、それぞれ単に別の光検出器又は別の光センサを備えることができる。次に、別のレンズ24a及び26aは、各光センサに投影された画像の焦点合わせを適切に行う働きをすることができる。
【0068】
[00066] 撮像システムの代替的な実施形態では、2つのカメラ、すなわち第1のカメラ10a及び別のカメラと、1つのビームスプリッタのみを設けることができる。この場合、別のカメラは、例えば液滴の影と、カメラから最も遠いマーカ16a、16bとに焦点を合わせることができる。この例示的な実施形態は、
図7に概略的に示されている。
【0069】
[00067]
図7に示す実施形態は、概して2つのカメラ10a及び27aのみが撮像システムに設けられる点においてのみ
図6に示した実施形態と異なる。結果として、
図7に示す実施形態では1つのビームスプリッタ22aのみが設けられる。
図6を参照して以上で説明したように、ビームAの一部A
1は、ビームスプリッタ22aを通過してカメラ10aに向けられる。このようにして、液滴の影20を位置20aにあるカメラ10aで検出することができる。ビームAの残りの部分A
2は第1のビームスプリッタ22aによって分岐され、任意のレンズ26aを通過することができる。ビームAの残りの部分A
2はカメラ27aに入射する。これによって、液滴、マーカ15a、及びマーカ16aの画像は異なる焦点で処理することができる。例えば、液滴及びマーカ15aを捕捉した画像はカメラ10aを介して処理し、マーカ16aを捕捉した画像はカメラ27aによって処理することができる。別の例では、液滴及びマーカ15aを捕捉した画像はカメラ10aを介して処理することができ、液滴及びマーカ16aを捕捉した画像はカメラ27aによって処理することができる。
【0070】
[00068] 代替的な実施形態では、バックライトは、異なる波長を有する、又は異なる偏光を有する2つのビームを供給することができる。好ましくは、バックライトは、異なる波長を有する3つのビームを供給することができ、異なる各ビームは、1つが燃料ターゲットに、1つがマーカ15aに、そしてもう1つがマーカ16aにと異なる要素に向けられる。この実施形態では、ビームスプリッタ22a及び23aはダイクロイック(すなわち異なる波長を選択的に透過及び反射するもの)である。ビームスプリッタは、複数の2つ又は3つのビームの1つ以上を透過させ、複数のビームの1つ以上の他のビームを反射するように選ぶことができる。
【0071】
[00069] 特に、異なる波長の2つの照明ビームが撮像システムに供給される場合、第1のカメラ10aで受け取られるように一方の波長を通過させ、カメラ27aで受け取られるように他方の波長を反射する第1のダイクロイックビームスプリッタ22aが設けられる。結果として、少なくとも燃料ターゲットの影20、及びマーカ15a又は16aの一方のインフォーカス画像を受け取れる可能性がある。
【0072】
[00070] 代替的に、
図6のようにバックライトによって異なる波長の3つのビームが供給される場合、第1のカメラ10aで受け取られるように1つの波長を通過させ、他の2つの波長を第2のダイクロイックビームスプリッタ23aに向けて反射する第1のダイクロイックビームスプリッタ22aが設けられる。第2のビームスプリッタ23aは、第2のカメラ25aで受け取られるように第1のビームスプリッタ22aが反射した2つの波長の一方を通過させ、第3のカメラ27aで受け取られるように第1のビームスプリッタ22aが反射した他方の波長を反射するように選択される。結果として、2つのマーカ15a、16aのそれぞれ、及び燃料ターゲットの影20のインフォーカス画像を受け取れる可能性がある。
【0073】
[00071] 一部の実施形態では、バックライト19a及び19bからのビームのオブスキュレーションができるだけないマーカを使用するのが望ましい可能性がある。例えば、マーカは、リングに取り付けられた1つ又は2つのクロスヘアの形態をとってよい。リングは、バックライトビームを全く遮らないように、又はバックライトビームをわずかしか遮らないように配置することができる。このようにして、燃料ターゲットからの小さな回折パターンと重なる大きなオブスキュレーションからの回折光を回避し、燃料ターゲットの画像ブレを回避できる可能性がある。
【0074】
[00072]
図8aは、バックライト19aからカメラ10aまでの照明ビームAの経路上のマーカの別の例示的な実施形態を示している。
図8には様々な平面が示されており、P1はカメラに最も近いマーカ115aが位置する平面を示し、P2はカメラから最も遠いマーカ116aが位置する平面を示し、PLはレンズが位置する平面を示し、PCはカメラ10aの光センサ、又は光センサプロパーの像面を示す。
図8aでは、マーカ115aは以前に紹介されたマーカ15aに対応し、マーカ116aは以前に紹介されたマーカ16aに対応する。
【0075】
[00073]
図8aの実施形態では、マーカ115a及び116aは、寸法d×dの不透明な正方形を含む。代替的に、マーカ115a及び116aは、直径Dを有する不透明な円形を含むことができる。ある実施形態では、dは、例えば20μmから400μmの範囲であってよい。ある実施形態では、Dは2から7mmの範囲であってよい。正方形又は円形のマーカ115a、116aを、光ビームA(すなわち照明ビームA)の経路内に所望の角度で配置された、光ビームAの光を実質的に透過するプレート上に印刷、塗装あるいは貼付することができる。プレートは、例えばガラスプレート、又は結晶物質から作られたプレートである。代替的に、マーカ115a、116aは複数の細線間に懸架することができる。線の太さは寸法dよりかなり小さいことが好ましく、光ビームAの伝搬経路に対する線の角度は、マーカの縁部と位置合わせされても位置合わせされなくてもよい。カメラ10aで受け取られる画像の歪みを最も小さくする線の太さ及び角度を選ぶことが望ましい可能性がある。
【0076】
[00074]
図8bは、
図8aの平面P1の図を示している。マーカ115aが示されたy軸に対して角度θに配向されていることが分かる。平面P2に位置するマーカ116aは、2つのマーカ115a、116aがビームAの経路上で互いを遮らないように、異なる角度に(すなわち角度θでない)配向することができる。代替的に、マーカ115a、116aは、示されたy軸に対して同じ角度に配向することができる。この場合は、マーカ115a、116aの相対位置を、その各回折パターンが互いに重ならないように調整することが望ましい可能性がある。
【0077】
[00075] レンズ平面PLのレンズは、燃料ターゲットの焦点画像をカメラの像面PC上に作成するように配置される。マーカ115a、116aは、レンズからの距離が燃料ターゲットと異なる位置に配置されるため焦点がずれている可能性がある。結果として、各マーカ115a、116aは、レンズ平面PL及びカメラの像面PCに回折パターンを作成する。焦点ずれの正方形マーカ115a、116aからの回折パターンは、おおよそ十字の形状をとる。つまり、回折パターンの最大値は十字の領域と類似する領域内にある。
図8cはカメラ10aの像面PCの図を示している。
図8cにマーカ115aの回折パターン30を見ることができる。たとえマーカ115a及びその回折パターン30の画像の焦点がずれていたとしても、回折パターン30の十字を構成する2つの線の幅はマーカ115aのサイズと同程度となり、これによってマーカ115aのx及びy座標を、回折パターン30の全体サイズbに基づいて予想されるよりはるかに高い精度で求めることが可能になる。
【0078】
[00076] カメラ10a(すなわち光検出器10a)は、
図8dに示されているように、個々の画素(又はフォトサイト)で形成された検出器グリッド32を有することができる。マーカを画素グリッド32のy軸に対して(例えば5から20度の間の)ある角度に配向することによって、回折パターン30の十字の中心のx及びy座標を決定するときにサブピクセル精度を達成できる可能性がある。マーカ115a、115bの位置及び配向を、十字30を形成する2つのアームの回折パターンが燃料ターゲットの影像と重ならないように選ぶべきであることは当業者が理解するであろう。
【0079】
[00077] マーカ115a、116aにより形成された回折パターンがレンズ口径(
図8aの寸法l)内に収まることを確実にすることが望ましい可能性がある。特定の正方形マーカの回折パターンのサイズbは次式を用いて近似することができる。
b=Lλ/d
式中、Lは特定のマーカとレンズ平面PL内のレンズとの間の距離であり、λはバックライトが放出した光の波長であり、dは特定の正方形マーカの1辺の長さである。例として、dは10μmから100μmの範囲に収まるように選ぶことができる。長さdが短ければ短いほど、マーカの画像の達成可能な解像度が高くなる。長さdがより短い場合、比較的大きなレンズを提供することが望ましい可能性がある。長さdが短いと回折パターンbが大きくなるため、比較的大きなレンズによって、より大きな回折パターンbのより多く又は全てを捕捉することが可能になる。長さdが長ければ長いほど、回折パターンと背景光レベルのコントラストが良好になる。
【0080】
[00078] 他の実施形態では、マーカの1つ以上は、寸法d’×d’を有する小さな正方形アパーチャを有する不透明なプレートを含むことができる。これによって実質的にdよりも短い長さd’を選択することが可能になる。なぜなら、背景光が減少することによって、小さな正方形アパーチャを有する不透明なプレートを使用する際に得られる回折パターンの検出が、透明なプレート上の小さな不透明のマーカから得られる回折パターンより容易になるためである。この場合、不透明なプレートの回折パターンが燃料ターゲットの回折パターンと干渉することを回避するために、バックライトビームAの直径を大きくすることが望ましい可能性がある。これはマーカが過度にビームを塞がないように、マーカをバックライトビームの光軸からさらに遠ざけることを伴う場合もある。
【0081】
[00079] 上記において、マーカは外側部分5bから突出する構造として説明してきた。例えば外側部分を貫通する構造や、単に外側部分5bにある穴としてのマーカの代替的な実施形態も考えられる。ここで関連があることは、液滴及び1つ以上のマーカが撮像システムの視野に同時に存在するように撮像システムを配置することである。外側部分5bを貫通する構造は、その構造が視野に存在することを最適化するために外側部分5bに対する構造の高さを調整できる可能性がある。
【0082】
[00080] ある実施形態では、本発明はマスク検査装置の一部を構成することができる。マスク検査装置は、EUV放射を使用してマスクを照明し、撮像センサを使用してマスクから反射した放射をモニタすることができる。撮像センサが受け取った画像は、マスクに欠陥があるか否かを判定するのに使用される。マスク検査装置は、EUV放射源からEUV放射を受け取り、これをマスクに向かう放射ビームに形成するように構成された光学部品(例えばミラー)を含むことができる。マスク検査装置はさらに、マスクから反射したEUV放射を集め、撮像センサでマスクの像を形成するように構成された光学部品(例えばミラー)を含むことができる。マスク検査装置は、撮像センサにおけるマスクの像を解析し、その解析結果からマスク上に欠陥が存在するかどうかを判定するように構成されたプロセッサを含むことができる。プロセッサはさらに、マスクがリソグラフィ装置で使用されるときに検出されたマスク欠陥が基板に投影される像に許容できない欠陥を生じさせるかどうかを判定するように構成されてよい。
【0083】
[00081] ある実施形態では、本発明はメトロロジ装置の一部を構成することができる。メトロロジ装置は、基板上のレジストに形成された投影パターンの、基板上に既に存在するパターンに対するアライメントを測定するのに使用することができる。この相対アライメントの測定はオーバーレイと称される場合がある。メトロロジ装置は、例えばリソグラフィ装置にすぐ隣接して位置することができ、基板(及びレジスト)の処理が完了する前のオーバーレイの測定に使用することができる。
【0084】
[00082] 本文ではリソグラフィ装置との関連で本発明の実施形態への具体的な言及がなされているが、本発明の実施形態は他の装置に用いることもできる。本発明の実施形態は、マスク検査装置、メトロロジ装置、又はウェーハ(又は他の基板)やマスク(又は他のパターニングデバイス)といったオブジェクトを測定又は処理する任意の装置の一部を構成することができる。これらの装置は、一般にリソグラフィツールと称される場合がある。このようなリソグラフィツールは、真空条件又は周囲(非真空)条件を使用することができる。
【0085】
[00083] 「EUV放射」という用語は、4~20nmの範囲内、例えば13~14nmの範囲内の波長を有する電磁放射を包含すると考えられてよい。EUV放射は、10nm未満、例えば6.7nm又は6.8nmなどの4~10nmの範囲内の波長を有してよい。
【0086】
[00084]
図1及び
図2は、放射源SOをレーザ生成プラズマLPP源として示しているが、EUV放射を生成する任意の適切な放射源を使用することができる。例えば、放電を使用して燃料(例えばスズ)をプラズマ状態に変換することによってEUV放出プラズマを生成することができる。このタイプの放射源は、放電生成プラズマ(DPP)源と称される場合がある。放電は、放射源の一部を構成し得る、又は電気接続を介して放射源SOに接続された別個のエンティティであり得る電源によって生成することができる。
【0087】
[00085] 完全を期するならば、ここで、撮像システム及び別の撮像システムのうちの特定の1つを参照して説明したものは、撮像システム及び別の撮像システムのうちの他の1つにも適用できる可能性があるとされる。
【0088】
[00086] 本文では、IC製造におけるリソグラフィ装置の使用について特に言及したが、本明細書に記載のリソグラフィ装置は他の用途を有する可能性があることを理解されたい。考えられる他の用途には、集積光学系、磁気ドメインメモリの誘導及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造が含まれる。
【0089】
[00087] 本発明の実施形態は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又はそれらのいずれかの組み合わせにおいて実施可能である。また、本発明の実施形態は、1つ以上のプロセッサによって読み取り及び実行され得る機械読み取り可能媒体上に記憶された命令としても実施することができる。機械読み取り可能媒体は、機械(例えばコンピューティングデバイス)によって読み取り可能な形態の情報を記憶又は送信するためのいずれかの機構を含み得る。例えば、機械読み取り可能媒体は、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイス、電気、光、音、又は他の形態の伝搬信号(例えば搬送波、赤外線信号、デジタル信号等)、及び他のものを含むことができる。さらに、一定の動作を実行するものとして本明細書ではファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令を記載することができるが、そのような記載は単に便宜上のものであり、そういった動作は実際には、コンピューティングデバイス、プロセッサ、コントローラ、又はファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令等を実行する他のデバイスから得られることは認められよう。
【0090】
[00088] 以上、本発明の特定の実施形態を説明したが、説明とは異なる方法でも本発明を実践できることが理解される。上記の説明は、制限ではなく例示を目的としている。したがって、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、記載された本発明に変更を加えることができることは当業者には明らかであろう。