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特許7376497ドラム・ブレーキのためのリニア・アクチュエーター
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】ドラム・ブレーキのためのリニア・アクチュエーター
(51)【国際特許分類】
   F16D 51/22 20060101AFI20231031BHJP
【FI】
F16D51/22 Z
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020550868
(86)(22)【出願日】2019-03-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-02
(86)【国際出願番号】 FR2019050656
(87)【国際公開番号】W WO2019180391
(87)【国際公開日】2019-09-26
【審査請求日】2022-02-08
(31)【優先権主張番号】1852562
(32)【優先日】2018-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】517271212
【氏名又は名称】ヒタチ アステモ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブーロン、フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】キュビゾーユ、シリル
【審査官】山本 健晴
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-502230(JP,A)
【文献】特開2014-121264(JP,A)
【文献】実開昭61-009637(JP,U)
【文献】特開2001-012521(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0087422(US,A1)
【文献】国際公開第00/037819(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 51/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の、とりわけ、自動車の、ドラム・ブレーキ(10)のためのリニア・アクチュエーター(16)であって、前記リニア・アクチュエーター(16)は、
前記リニア・アクチュエーター(16)の主軸線(A)の周りに回転することができるネジ山付きロータリー・エレメント(22)と、
ネジ山付きリニア作動エレメント(18)であって、前記ネジ山付きリニア作動エレメント(18)は、前記ネジ山付きロータリー・エレメント(22)と協働し、前記ネジ山付きリニア作動エレメント(18)は、前記主軸線(A)に沿ってスライドすることができる、ネジ山付きリニア作動エレメント(18)と、
中間ホイール(30)であって、前記中間ホイール(30)は、前記主軸線(A)に対して平行の2次軸線(C)の周りに回転することができ、前記中間ホイール(30)は、前記ネジ山付きロータリー・エレメント(22)と連結されている、中間ホイール(30)と、
前記ネジ山付きロータリー・エレメント(22)、前記ネジ山付きリニア作動エレメント(18)、および前記中間ホイール(30)を囲むハウジング(40)と
を含み、
前記ハウジング(40)は、単一のパーツから作製されている、リニア・アクチュエーター(16)において、
前記ハウジング(40)は、壁部(44)によって境界を定められた全体的に円筒状の形状の中空の本体部(42)を含み、中空の本体部(42)は、前記主軸線(A)と同軸になっており、前記ネジ山付きロータリー・エレメント(22)および前記ネジ山付き作動エレメントは、前記主軸線(A)に沿って可動であり、
前記ハウジング(40)は、前記中空の本体部(42)の前記壁部から前記主軸線(A)に対して垂直方向に延在する中空のスリーブ(64)を含み、前記中間ホイール(30)は、前記2次軸線(C)の周りに回転可能に装着されており、
前記2次軸線Cと同軸のピン(68)は、前記スリーブ(64)に締結されており、前記中間ホイール(30)の回転に関してガイドを実施することを特徴とする、リニア・アクチュエーター(16)。
【請求項2】
前記ネジ山付きリニア作動エレメント(18)は、前記中空の本体部(42)の第1の軸線方向の端部(42a)に対して軸線方向に突出しており、前記中空の本体部(42)の前記第1の軸線方向の端部(42a)は、前記ネジ山付きリニア作動エレメント(18)が前記主軸線(A)に沿っスライドする際に前記ネジ山付きリニア作動エレメント(18)のガイドを実施するガイド・エレメント(54)を支持することを特徴とする、請求項1に記載のリニア・アクチュエーター(16)。
【請求項3】
前記リニア・アクチュエーター(16)は、スライド式リニア作動エレメント(20)を含み、前記スライド式リニア作動エレメント(20)は、前記中空の本体部(42)の第2の軸線方向の端部(42b)に対して前記主軸線(A)に沿ってスライドすることができるように装着されており、前記スライド式リニア作動エレメント(20)は、スライドに関して、前記ネジ山付きロータリー・エレメント(22)と一体になっていることを特徴とする、請求項2に記載のリニア・アクチュエーター(16)。
【請求項4】
前記中空の本体部(42)の前記第2の軸線方向の端部(42b)は、前記スライド式リニア作動エレメント(20)が前記主軸線(A)に沿っスライドする際に前記スライド式リニア作動エレメント(20)のガイドを実施するガイド・エレメント(54)を支持することを特徴とする、請求項3に記載のリニア・アクチュエーター(16)。
【請求項5】
それぞれのガイド・エレメント(54)は、前記中空の本体部(42)の前記軸線方向の端部に締結されており、前記中空の本体部(42)の前記軸線方向の端部は、圧着によって前記ガイド・エレメント(54)に関連付けられていることを特徴とする、請求項4に記載のリニア・アクチュエーター(16)。
【請求項6】
前記リニア・アクチュエーター(16)は、前記ハウジング(40)の中で回転することができるように装着されているリング・ギヤ(32)を含み、前記リング・ギヤ(32)は、前記中間ホイール(30)と協働する外側歯(34)を含み、前記リング・ギヤ(32)の中において、前記ネジ山付きロータリー・エレメント(22)が、前記主軸線(A)に沿ってスライドすることができるように装着されており、前記リング・ギヤ(32)は、前記主軸線(A)の周りの回転に関して前記ネジ山付きロータリー・エレメント(22)と一体になっていることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のリニア・アクチュエーター(16)。
【請求項7】
前記スリーブ(64)の外側周辺壁部(76)は、ネジ山付になっており、相補的なネジ山付きナット(82)を受け入れることを特徴とする、請求項6に記載のリニア・アクチュエーター(16)。
【請求項8】
前記ネジ山付きナット(82)は、ロックナットであることを特徴とする、請求項7に記載のリニア・アクチュエーター(16)。
【請求項9】
前記スリーブ(64)は、自由端面(72)を含み、前記自由端面(72)は、前記中間ホイール(30)と係合されている平坦なギヤ・ホイール(26)をガイドするためのピン(70)を支持しており、前記ガイド・ピン(70)は、前記スリーブ(64)の軸線に対して平行に配向されていることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載のリニア・アクチュエーター(16)。
【請求項10】
車両の、とりわけ、自動車のドラム・ブレーキ(10)であって、前記ドラム・ブレーキ(10)は、固定されたプレート(12)と、2つのセグメント(14)とを含み、前記2つのセグメント(14)は、前記プレート(12)の上で移動することができるように装着されており、前記プレート(12)に対して回転することができるドラムの内側によって支持される摩擦表面の上に支持するために、互いから離れるように移動することができる、ドラム・ブレーキ(10)において、前記ドラム・ブレーキ(10)は、請求項1から9のいずれか一項に記載のリニア・アクチュエーター(16)を含み、前記リニア・アクチュエーター(16)は、前記プレート(12)に締結されており、前記リニア・アクチュエーター(16)は、互いに向かい合っている前記セグメント(14)の2つの第1の端部(14a)を互いから分離するように配置されていることを特徴とする、ドラム・ブレーキ(10)。
【請求項11】
前記プレート(12)は、開口部と、第1の面(12a)と、前記第1の面(12a)の反対側の第2の面(12b)とを含み、前記開口部は、前記スリーブ(64)によって通過されており、前記中空の本体部(42)の支持面(74)は、第1の面(12a)に接触して支持しており、前記ネジ山付きナット(82)は、前記プレート(12)が前記ネジ山付きナット(82)と前記中空の本体部(42)との間にクランプされるように、前記第2の面(12b)に接触して支持していることを特徴とする、請求項7に従属する請求項10に記載のドラム・ブレーキ(10)。
【請求項12】
前記プレートの前記開口部は、前記スリーブ(64)の外周辺壁部(76)の形状と相補的な形状のものであり、前記形状は、非円形になっていることを特徴とする、請求項11に記載のドラム・ブレーキ(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のドラム・ブレーキのブレーキ・ライニング・アクチュエーターに関する。
【0002】
また、本発明は、そのようなアクチュエーターを提供されたブレーキおよびブレーキング・デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
ドラム・ブレーキは、典型的に、3つのタイプのブレーキングを実施するために、自動車の中で使用される。
- 常用ブレーキング:常用ブレーキングは、典型的にブレーキ・ペダルを介して、車両を減速させることおよび/または車両の動きを止めることから構成される;
- パーキング・ブレーキング:パーキング・ブレーキングは、停止されたときに、典型的にハンド・ブレーキを介して車両の動きを止めることを可能にする;
- 緊急ブレーキング:緊急ブレーキングは、常用ブレーキングの故障のケースにおいて、車両を減速させることおよび/または車両の動きを止めることから構成され、緊急ブレーキングは、典型的に、パーキング・ブレーキングと同じデバイスによって提供される。
【0004】
ドラム・ブレーキを提供されたほとんどの車両において、これらの3つのタイプのブレーキングが同じドラム・ブレーキによって実施されるということが知られている。具体的にはおよび典型的には、パーキング・ブレーキング機能は、ケーブルによって提供され、ケーブルは、乗客コンパートメントの中に位置付けされているハンド・ブレーキ・コントロールを、第1のブレーキング・セグメントの可動端部の周りのドラムの中の枢動レバーに接続し、リアクション・タイ・ロッドを介して第2のブレーキング・セグメントを分離する。
【0005】
ドラム・ブレーキは、典型的に、ドラムを含み、ドラムは、ホイールと同軸になっており、ブレーキされることとなるパーツと一体になった中空の円筒から構成されている。ブレーキング・ライニングを提供されたブレーキング・セグメントは、ドラムの内側の表面に接触して擦ることが可能である。ブレーキングに関して、セグメントの第1の端部が、回転に関して動きを止められているプレートと一体になったストップ・プレートの上で、回転に対して接線方向に支持されている状態で、セグメントの第2の端部同士が、互いから離れるように移動させられ、ドラムの内側の面に対抗してライニングを適用する。
【0006】
ドラム・ブレーキは、リニア・アクチュエーターを含み、リニア・アクチュエーターは、セグメントの第1の端部同士の互いからの分離を引き起こすことが意図されているプレートによって支持されている。
【0007】
リニア・アクチュエーターは、ネジ山付きロータリー・エレメントとネジ山付きリニア作動エレメントとを受け入れるハウジングを含み、ネジ山付きロータリー・エレメントおよびネジ山付きリニア作動エレメントは、ネジ山付きリニア作動エレメントの線形の移動を引き起こすために互いに協働する。
【0008】
また、ハウジングは、中間ホイールを支持しており、中間ホイールは、電気モータリゼーションから来る移動をネジ山付きロータリー・エレメントに伝達する。
【0009】
公知の実施形態によれば、中間ホイールを装着することは、ハウジングの上に追加される、中間ホイールのいずれかの側に配設されている2つのフランジによって実施される。
【0010】
これらのフランジをハウジングの上に組み立てることは、リニア・アクチュエーターの多数のコンポーネントを伴い、また、さまざまなパーツの特定の組み立て時間を伴う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、構造が簡単化されたリニア・アクチュエーターを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、車両の、とりわけ、自動車の、ドラム・ブレーキのためのリニア・アクチュエーターであって、リニア・アクチュエーターは、リニア・アクチュエーターの主軸線Aの周りに回転することができるネジ山付きロータリー・エレメントと、ネジ山付きリニア作動エレメントであって、ネジ山付きリニア作動エレメントは、ネジ山付きロータリー・エレメントと協働し、ネジ山付きリニア作動エレメントは、前記主軸線Aに沿ってスライドすることができる、ネジ山付きリニア作動エレメントと、中間ホイールであって、中間ホイールは、前記主軸線Aに対して平行の2次軸線の周りに回転することができ、中間ホイールは、ネジ山付きロータリー・エレメントと連結されている、中間ホイールと、ネジ山付きロータリー・エレメント、ネジ山付きリニア作動エレメント、および中間ホイールを囲むハウジングとを含む、リニア・アクチュエーターにおいて、ハウジングは、単一のパーツから作製されていることを特徴とする、リニア・アクチュエーターを提案する。
【0013】
好ましくは、ハウジングは、壁部によって境界を定められた全体的に円筒状の形状の中空の本体部を含み、中空の本体部は、主軸線Aと同軸になっており、ネジ山付きロータリー・エレメントおよびネジ山付き作動エレメントは、主軸線Aに沿って可動であり、ハウジングは、中空の本体部の壁部から主軸線Aに対して垂直方向に延在する中空のスリーブを含み、中間ホイールは、2次軸線の周りに回転可能に装着されている。
【0014】
好ましくは、ネジ山付きリニア作動エレメントは、中空の本体部の第1の軸線方向の端部に対して軸線方向に突出しており、中空の本体部の前記第1の軸線方向の端部は、主軸線Aに沿ったスライドによってネジ山付きリニア作動エレメントのガイドを実施するガイド・エレメントを支持する。
【0015】
好ましくは、リニア・アクチュエーターは、スライド式リニア作動エレメントを含み、スライド式リニア作動エレメントは、中空の本体部の第2の軸線方向の端部に対して前記主軸線Aに沿ってスライドすることができるように装着されており、中空の本体部は、スライドに関して、ネジ山付きロータリー・エレメントと一体になっている。
【0016】
好ましくは、中空の本体部の前記第2の軸線方向の端部は、主軸線Aに沿ったスライドによってスライド式リニア作動エレメントのガイドを実施するガイド・エレメントを支持する。
【0017】
好ましくは、それぞれのガイド・エレメントは、中空の本体部の軸線方向の端部に締結されており、中空の本体部の軸線方向の端部は、圧着によってガイド・エレメントに関連付けられている。
【0018】
好ましくは、リニア・アクチュエーターは、ハウジングの中で回転することができるように装着されているリング・ギヤを含み、前記リング・ギヤは、中間ホイールと協働する外側歯を含み、前記リング・ギヤの中において、ネジ山付きロータリー・エレメントが、主軸線Aに沿ってスライドすることができるように装着されており、リング・ギヤは、主軸線Aの周りの回転に関してネジ山付きロータリー・エレメントと一体になっている。
【0019】
好ましくは、スリーブの外側周辺壁部は、ネジ山付になっており、相補的なネジ山付きナットを受け入れる。
【0020】
好ましくは、ネジ山付きナットは、ロックナットである。
【0021】
好ましくは、スリーブは、自由端面を含み、自由端面は、中間ホイールと係合されている平坦なギヤ・ホイールをガイドするためのピンを支持しており、前記ガイド・ピンは、スリーブの半径方向の軸線に対して平行に配向されている。
【0022】
また、本発明は、車両の、とりわけ、自動車のドラム・ブレーキであって、ドラム・ブレーキは、固定されたプレートと、2つのセグメントとを含み、2つのセグメントは、プレートの上で移動することができるように装着されており、前記プレートに対して回転することができるドラムの内側によって支持される摩擦表面の上に支持するために、互いから離れるように移動することができる、ドラム・ブレーキにおいて、ドラム・ブレーキは、本発明によるリニア・アクチュエーターを含み、リニア・アクチュエーターは、プレートに締結されており、リニア・アクチュエーターは、互いに向かい合っている前記セグメントの2つの第1の端部を互いから分離するように配置されていることを特徴とする、ドラム・ブレーキを提案する。
【0023】
好ましくは、プレートは、開口部と、第1の面と、第1の面の反対側の第2の面とを含み、開口部は、スリーブによって通過されており、中空の本体部の支持面は、第1の面に接触して支持しており、ネジ山付きナットは、プレートがネジ山付きナットと中空の本体部との間にクランプされるように、第2の面に接触して支持している。
【0024】
好ましくは、プレートの開口部は、スリーブの外側壁部の形状と相補的な形状のものであり、前記形状は、非円形になっている。
【0025】
本発明の他の特質および利点は、以下の詳細な説明を読むときに明らかになるはずであり、以下の詳細な説明の理解のために、添付の図が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明によるリニア・アクチュエーターを含むドラム・ブレーキを図式的に示す図である。
図2図1に示されているリニア・アクチュエーターの分解斜視図である。
図3図1および図2に示されている組み立てられたリニア・アクチュエーターの斜視図である。
図4図1に示されているドラム・ブレーキの詳細図であり、プレートの上にリニア・アクチュエーターを装着していることを示す図である。
図5】別の面による、図1に示されているドラム・ブレーキの図であり、ネジ山付きナットによるプレートのクランピングを示す図である。
図6】電気モータリゼーションのサポート・プレートがプレートの上に組み立てられている、図5のものと同様の図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、自動車のドラム・ブレーキ10一部分を示している。このドラム・ブレーキ10は、車両(図示せず)のフレームに対して回転に関して固定されているプレート12と、周辺ドラム(図示せず)とを含み、周辺ドラムは、プレートの周りに装着されており、また、プレート12に対して、および、プレート・フレームに対して、回転軸線Rの周りに回転することが可能である。
【0028】
プレート12は、全体的に平坦なコンポーネントであり、回転軸線Rの周りの回転のものである。それは、ドラムに面する第1の面12aの上において、所定の手段を支持しており、所定の手段は、それがドラムと協働することを可能にする。
【0029】
したがって、プレートは、セグメント14を支持しており、セグメント14は、ドラムによって支持される摩擦表面に接触して支持するために、それらが互いから離れるように移動することができるように、プレート12の主平面に対して平行にプレート12の上を移動するように装着可能である。
【0030】
また、プレート12は、リニア・アクチュエーター16を支持しており、リニア・アクチュエーター16は、互いに向かい合っているセグメント14の第1の端部14aと協働する。
【0031】
リニア・アクチュエーター16は、ネジ山付きリニア作動エレメント18およびスライド式リニア作動エレメント20を含み、ネジ山付きリニア作動エレメント18およびスライド式リニア作動エレメント20は、リニア・アクチュエーター16の主軸線Aにしたがって可動であり、また、互いからセグメント14を分離させるために互いから離れるように移動可能であり、したがって、ドラムの摩擦表面の上にセグメント14の摩擦を発生させることが可能である。
【0032】
また、リニア・アクチュエーター16は、ネジ山付きロータリー・エレメント22を含み、ネジ山付きロータリー・エレメント22は、リニア・アクチュエーター16の主軸線Aの周りに回転することができるように装着されており、ネジ山付きロータリー・エレメント22は、ネジ山(図示せず)を含み、そのネジ山は、ネジ山付きリニア作動エレメント18の相補的なネジ山(図示せず)と連結されており、ネジ山付きロータリー・エレメント22の回転が、主軸線Aに沿ったネジ山付きリニア作動エレメント18のスライドを作り出すようになっている。
【0033】
また、ネジ山付きロータリー・エレメント22は、主軸線Aに沿ったネジ山付きリニア作動エレメント18のスライドの方向の反対側の方向に主軸線Aに沿ってスライドすることによって移動することが可能であり、ネジ山付きロータリー・エレメント22は、主軸線Aに沿ってスライドすることによって、スライド式リニア作動エレメント20と一体になっている。
【0034】
したがって、第1の方向へのネジ山付きロータリー・エレメント22の回転の間に、ネジ山付きリニア作動エレメント18は、外向きにスライドして駆動しており、それは、それに関連付けられたセグメント14がドラムの摩擦表面に接触して支持することを引き起こす。このスライドに反応して、ネジ山付きロータリー・エレメントは、主軸線Aに沿って反対側方向にスライドして駆動しており、結果的に、外向きにスライドするようにスライド式リニア作動エレメント20を駆動し、他方のセグメント14がドラムの摩擦表面に接触して支持することを引き起こす。
【0035】
他方の方向へのネジ山付きロータリー・エレメント22の回転は、ネジ山付きリニア作動エレメント18の内向きのスライドを引き起こし、また、反作用によって、スライド式リニア作動エレメント20の内向きのスライドを引き起こす。
【0036】
ネジ山付きロータリー・エレメント22は、電気モータリゼーションによって主軸線Aの周りに回転して駆動され、電気モータリゼーションは、図5に示されているサポート・プレート24によって、プレート12の第2の面12bの上に装着されており、すなわち、リニア・アクチュエーター16を支持する面の反対側にある面12bの上に装着されている。モータリゼーションは、プレート12の平面に対して垂直の出力シャフトを含む。
【0037】
リニア・アクチュエーター16は、平坦なギヤ・ホイール26を含み、平坦なギヤ・ホイール26は、モータリゼーションの出力シャフトに連結されており、プレート12の平面に対して垂直の軸線Bの周りの回転に関して可動である。平坦なギヤ・ホイール26は、環状の歯28を含み、それは、リニア・アクチュエーター16の中間ギヤ・ホイール30と連結されている。
【0038】
中間ギヤ・ホイール30は、2次軸線Cの周りに回転することが可能であり、2次軸線Cは、主軸線Aに対して平行になっており、2次軸線Cは、主軸線Aに対して、プレート12の主平面の他方の側に位置付けされている。
【0039】
リニア・アクチュエーター16は、リング・ギヤ32を含み、リング・ギヤ32は、主軸線Aの周りに回転することが可能であり、リング・ギヤ32は、外側歯34を含み、外側歯34は、中間ギヤ・ホイール30の歯と連結されている。
【0040】
リング・ギヤ32は、内側環状面36を含み、内側環状面36は、主軸線Aと同軸の円筒形状になっており、内側環状面36の横断面(すなわち、主軸線Aに対して垂直になっている)は、非円形になっている。たとえば、内側環状面36のセクションは、多角形になっている。
【0041】
ネジ山付きロータリー・エレメント22は、外側周辺壁部38を含み、外側周辺壁部38の形状は、リング・ギヤ32の内側環状面36の形状と相補的になっている。結果的に、ネジ山付きロータリー・エレメント22の外側周辺壁部38は、主軸線Aと同軸の円筒形状になっており、その横断面(すなわち、主軸線Aに対して垂直になっている)は、非円形になっている。上記に定義されている内側環状面36の例によれば、外側周辺壁部38の断面は、多角形になっている。
【0042】
ネジ山付きロータリー・エレメント22は、結果的に、主軸線Aの周りの回転に関してリング・ギヤ32と一体になっている。しかし、ネジ山付きロータリー・エレメント22は、リング・ギヤ32に対して主軸線Aに沿ってスライドするように装着可能になっている。
【0043】
これは、主軸線Aに沿ったネジ山付きロータリー・エレメント22のスライドにおいて、リング・ギヤ32がガイドを実施するということを結果として生じさせる。
【0044】
したがって、モータリゼーションから来る駆動移動は、平坦なギヤ・ホイール26に伝達され、次いで、中間ギヤ・ホイール30に伝達され、次いで、リング・ギヤ32に伝達され、そして、ネジ山付きロータリー・エレメント22に伝達される。この駆動移動は、回転から構成されており、その回転は、ネジ山付きリニア作動エレメント18のスライド移動、および、ネジ山付きロータリー・エレメント22のスライド移動へと、これらの2つのエレメントの協働を介して、変換される。
【0045】
また、リニア・アクチュエーター16は、ハウジング40を含み、ハウジング40は、ネジ山付きロータリー・エレメント22と、リング・ギヤ32と、中間ホイール30とを囲んでいる。
【0046】
また、このハウジング40は、部分的にのみであるが、ネジ山付きリニア作動エレメント18およびスライド式リニア作動エレメント20を囲んでおり、すなわち、これらの2つのエレメント18、20のそれぞれは、ハウジング40の外側に延在する一部分を含み、それに関連付けられたセグメント14と協働する。
【0047】
そのうえ、ハウジング40は、リニア・アクチュエーター16とプレート12との締結を可能にするように実施される。
【0048】
ハウジング40は、中空の本体部42を含み、中空の本体部42は、主に円筒状の形状のものであり、中空の本体部42は、主軸線Aと同軸になっている。この中空の本体部は、ネジ山付きロータリー・エレメント22と、リング・ギヤ32と、ネジ山付きリニア作動エレメント18と、スライド式リニア作動エレメント20とを受け入れている。
【0049】
中空の本体部42は、2つの円筒形状の内側壁部44を含み、円筒形状の内側壁部44のそれぞれのものは、主軸線Aと同軸の回転の円筒形状の壁部であり、それらは、互いに対して軸線方向にオフセットされている。
【0050】
それぞれの円筒形状の内側壁部44は、中空の本体部42の中のリング・ギヤ32の回転に関してガイドを実施するために、リング・ギヤ32の環状の端部部分46と協働する。
【0051】
リング・ギヤ32およびネジ山付きリニア作動エレメント18は、中空の本体部42の中に完全に受け入れられており、主軸線Aに沿って中空の本体部の中を移動することが可能である。
【0052】
ネジ山付きリニア作動エレメント18は、中空の本体部42の第1の軸線方向の端部42aにおいて、中空の本体部42の中に部分的に受け入れられており、ネジ山付きリニア作動エレメント18の一部分48は、中空の本体部42の第1の軸線方向の端部42aに対して、ハウジングから外向きに突出している。
【0053】
ネジ山付きリニア作動エレメント18のこの部分48は、ネジ山付きリニア作動エレメント18に関連付けられたセグメント14に対して作用する。
【0054】
同様に、スライド式リニア作動エレメント20は、中空の本体部42の第2の軸線方向の端部42bにおいて、中空の本体部42の中に部分的に受け入れられており、スライド式リニア作動エレメント20の一部分52は、中空の本体部42の第2の軸線方向の端部42bに対して、ハウジングから外向きに突出している。
【0055】
スライド式リニア作動エレメント20のこの部分52は、スライド式リニア作動エレメント20に関連付けられたセグメント14に対して作用する。
【0056】
また、ハウジング40は、2つのガイド・エレメント54を含み、ガイド・エレメント54のそれぞれのものは、中空の本体部42の軸線方向の端部42a、42bにおいて装着されており、ネジ山付きリニア作動エレメント18の並進またはスライド式リニア作動エレメント20の並進に関して、ガイドを実施する。
【0057】
ガイド・エレメント54は、中空の本体部42の上に追加されたエレメントである。好ましくは、ガイド・エレメント54は、焼結によって実施され、それらは、中空の本体部42の関連の軸線方向の端部42a、42bに圧着されている。
【0058】
それぞれのガイド・エレメント54は、主軸線Aと同軸の回転エレメントから構成されており、それは、環状の端部部分56を含み、環状の端部部分56を通して、ガイド・エレメントは、中空の本体部42の関連の軸線方向の端部42a、42bの中に入れ子にされている。
【0059】
好適な実施形態によれば、環状の端部部分56は、周辺面58を含み、周辺面58は、ガイド・エレメント54の位置を維持するために、中空の本体部42の円筒形状の内側壁部44と協働する。
【0060】
それぞれのガイド・エレメント54は、環状の部分60をさらに含み、環状の部分60は、円形オリフィスの境界を定めており、ネジ山付きリニア作動エレメント18またはスライド式リニア作動エレメント20は、軸線方向のスライドの可能性を伴って、任意のクリアランスなしに受け入れられている。
【0061】
ガイド・エレメント54がネジ山付きリニア作動エレメント18の並進またはスライド式リニア作動エレメント20の並進に関してガイドを実施するのは、この環状の部分60を通してである。
【0062】
また、ハウジング40は、2つのシーリング・エレメント62を支持しており、シーリング・エレメント62のそれぞれのものは、可撓性の回転エレメントから構成されており、可撓性の回転エレメントは、ダストなどのようなエレメントの侵入から、それぞれのガイド・エレメント54とネジ山付きリニア作動エレメント18またはスライド式リニア作動エレメント20との間のスライド接続を保護するために、一方では中空の本体部42に対して突出し、他方ではガイド・エレメント54に対して突出する、ネジ山付きリニア作動エレメント18の一部分またはスライド式リニア作動エレメント20の一部分と一体になっている。
【0063】
ハウジング40は、スリーブ64を含み、スリーブ64は、中空の本体部42とともに単一のパーツから作製されており、スリーブ64は、主軸線Aに対して垂直の方向に沿って延在している。
【0064】
スリーブ64は、チューブ状のエレメントであり、チューブ状のエレメントの内側の体積66は、中空の本体部42の内側の体積と連通している。
【0065】
中間ギヤ・ホイール30は、スリーブ64の内側の体積66の中に配設されており、2次軸線Cと同軸のピン68は、スリーブ64の内側の体積66を通してスリーブ64に締結されており、中間ギヤ・ホイール30の回転に関してガイドを実施する。
【0066】
平坦なギヤ・ホイール26は、スリーブ64の自由端部によって支持されている。より正確には、平坦なギヤ・ホイール26の回転軸線Bと同軸のガイド・ロッド70は、スリーブ64の自由端部の横断方向の面72に締結されている。
【0067】
平坦なギヤ・ホイール26が適切な位置にあるときには、それは、スリーブ64の内側の体積66に対して部分的に延在し、中間ギヤ・ホイール30と係合することが可能である。
【0068】
図4から図6において見ることができるように、リニア・アクチュエーター16がプレート12の上に装着されているときには、中空の本体部42、および、中空の本体部42の中に配置されているコンポーネントのすべては、プレート12の第1の面12aに締結されている。スリーブ64は、スリーブ64(それは、平坦なギヤ・ホイール26および中間ギヤ・ホイール30を支持している)がプレート12の第2の面12bに対して突出するように、プレートの中に形成された開口部を通過している。
【0069】
中空の本体部42の外側壁部は、支持面74を含み、支持面74は、プレート12の第1の面12aに面しており、プレート12の第1の面12aと接触した状態になっている。
【0070】
スリーブ64の外側壁部76は、主として、スリーブ64の主軸線と同軸の円筒状の形状のものである。スリーブ64の主軸線に対して垂直の平面に沿ったこの外側壁部76の断面は、非円形形状のものである。
【0071】
ここで、とりわけ図2において見ることができるように、外側壁部76の断面は、主として楕円形状のものである。外側壁部76は、スリーブ64の主軸線を中心とした円筒78の円弧の中の2つの部分と、円筒78の円弧の中の部分の端部同士を接続する2つの平坦なスポット80とを含む。
【0072】
したがって、プレート12の開口部(それは、スリーブ64によって通過される)の形状は、スリーブ64の外側壁部76の断面と相補的になっている。
【0073】
これは、スリーブ64の主軸線の周りのリニア・アクチュエーター16の任意の回転を防止することを可能にする。
【0074】
そのうえ、スリーブ64の外側壁部76の円筒78の円弧の中の部分はネジ山付きになっており、それらは、プレート12の上にハウジング40をクランプするために、ネジ山付きナット82と協働する。
【0075】
好適な実施形態によれば、ネジ山付きナット82は、ロックナットであり、それは、たとえばロッキング・ワッシャー(図示せず)などのような従来の手段によって、ハウジング40のクランピング位置にロックされる。
【0076】
図5において見ることができるように、電気モータリゼーションのサポート・プレート24は、スリーブ64およびネジ山付きナット82をカバーすることによって、プレート12の第2の面12bの上に装着されている。シーリング・システム84は、プレート24、スリーブ64、およびネジ山付きナット82の間に配設されている。
【符号の説明】
【0077】
10 ドラム・ブレーキ
12 プレート
12a 第1の面
12b 第2の面
14 セグメント
14a 第1の端部
16 リニア・アクチュエーター
18 ネジ山付きリニア作動エレメント
20 スライド式リニア作動エレメント
22 ネジ山付きロータリー・エレメント
24 サポート・プレート
26 平坦なギヤ・ホイール
28 環状の歯
30 中間ギヤ・ホイール
32 リング・ギヤ
34 外側歯
36 内側環状面
38 外側周辺壁部
40 ハウジング
42 中空の本体部
42a 第1の軸線方向の端部
42b 第2の軸線方向の端部
44 円筒形状の内側壁部
46 環状の端部部分
48 部分
52 部分
54 ガイド・エレメント
56 環状の端部部分
58 周辺面
60 環状の部分
62 シーリング・エレメント
64 スリーブ
66 内側の体積
68 ピン
70 ガイド・ロッド
72 横断方向の面
74 支持面
76 外側壁部
78 円筒の円弧の中の部分
80 平坦なスポット
82 ネジ山付きナット
84 シーリング・システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6