(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】耐衝撃性を有する透明ポリプロピレンコポリマー組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 23/16 20060101AFI20231031BHJP
C08F 2/44 20060101ALN20231031BHJP
C08F 4/654 20060101ALN20231031BHJP
【FI】
C08L23/16
C08F2/44 C
C08F4/654
(21)【出願番号】P 2020554289
(86)(22)【出願日】2019-04-17
(86)【国際出願番号】 US2019027888
(87)【国際公開番号】W WO2019204454
(87)【国際公開日】2019-10-24
【審査請求日】2022-01-17
(32)【優先日】2018-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590001706
【氏名又は名称】ダブリュー・アール・グレース・アンド・カンパニー-コーン
【氏名又は名称原語表記】W R GRACE & CO-CONN
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120754
【氏名又は名称】松田 豊治
(72)【発明者】
【氏名】カールト、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】チョン、チン
(72)【発明者】
【氏名】モントーヤ、アマイア
【審査官】岩田 行剛
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-149724(JP,A)
【文献】特開2005-220272(JP,A)
【文献】特開2010-202694(JP,A)
【文献】特開2015-025037(JP,A)
【文献】特表2005-529227(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0288228(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 23/12-23/16
C08F 2/44
C08F 4/654
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリプロピレン組成物であって、
ポリプロピレンランダムコポリマーを含む第1のポリマー相であって、前記ポリプロピレンランダムコポリマーが4重量%未満の量でエチレンを含有
し、前記ポリプロピレンランダムコポリマーが、230℃の温度及び2.16kgの荷重で15g/10分超のメルトフローレートを有する、第1のポリマー相と、
前記第1のポリマー相と組み合わされた第2のポリマー相であって、前記第2のポリマー相が、10重量%~20重量%の量でエチレンを含有
し、エラストマー特性を有するプロピレンエチレンコポリマーを含む、第2のポリマー相とを含み、
前記ポリプロピレン組成物が、230℃の温度及び2.16kgの荷重で15g/10分以上のメルトフローレートを有し、前記
ポリプロピレン組成物が、0℃で300インチ・ポンド~500インチ・ポンドのガードナー落下衝撃強度を有
し、前記ポリプロピレン組成物が5重量%未満の量の清澄化剤を更に含有し、前記ポリプロピレン組成物が、1mmで15%未満のヘイズを有し、
前記第1のポリマー相中の前記ポリプロピレンランダムコポリマーがチーグラー・ナッタ触媒を使用して生成されており、前記第2のポリマー相中のプロピレンエチレンコポリマーもまたチーグラー・ナッタ触媒を使用して生成されており、前記第1のポリマー相のポリプロピレンランダムコポリマー及び前記第2のポリマー相のプロピレンエチレンコポリマーの生成に使用される前記チーグラー・ナッタ触媒が、いずれも、置換フェニレン芳香族ジエステルを含む内部電子供与体を含む、
前記ポリプロピレン組成物。
【請求項2】
前記
ポリプロピレン組成物が、1重量%未満の量の清澄化剤を
含有する、請求項1に記載のポリプロピレン組成物。
【請求項3】
前記
ポリプロピレン組成物が400MPa~1000MPaの曲げ弾性率を有し、前記
ポリプロピレン組成物が、23℃で200J/m超、及び0℃で80J/m超のIZOD衝撃強度を有する、請求項1に記載のポリプロピレン組成物。
【請求項4】
前記ポリプロピレン組成物が、15%~30%の総キシレン可溶分含量を有する、請求項1に記載のポリプロピレン組成物。
【請求項5】
前記第1のポリマー相中の前記ポリプロピレンランダムコポリマーが固有粘度を有し、前記第2のポリマー相中の前記プロピレンエチレンコポリマーが固有粘度を有し、前記第2のポリマー相の固有粘度の前記第1のポリマー相の固有粘度に対する比が1.1~2である、請求項1に記載のポリプロピレン組成物。
【請求項6】
前記第1のポリマー相中のポリプロピレンランダムコポリマーが、2重量%~3.5重量%の量のエチレンを含有する、請求項1に記載のポリプロピレン組成物。
【請求項7】
前記第2のポリマー相中のプロピレンエチレンコポリマーが、14重量%~17重量%の量のエチレンを含有する、請求項1に記載のポリプロピレン組成物。
【請求項8】
前記第2のポリマー相が、20重量%~40重量%の量で前記ポリプロピレン組成物中に存在する、請求項1に記載のポリプロピレン組成物。
【請求項9】
前記ポリプロピレン組成物が、1mmで10%未満のヘイズを有し、23℃で300J/m~900J/mのノッチ付IZOD衝撃強度を有し、0℃で100J/m~600J/mのノッチ付IZOD衝撃強度を有する、請求項1に記載のポリプロピレン組成物。
【請求項10】
前記ポリプロピレン組成物が、17g/10分~30g/10分のメルトフローレートを有する、請求項1に記載のポリプロピレン組成物。
【請求項11】
前記
ポリプロピレン組成物がキシレン可溶性部分を有し、前記キシレン可溶性部分が0.75~1未満のKoenig B値を有する、請求項
1に記載のポリプロピレン組成物。
【請求項12】
前記
ポリプロピレン組成物がキシレン不溶性部分を有し、前記キシレン不溶性部分が0.75~1未満のKoenig B値を有し、前記第1のポリマー相中のポリプロピレンランダムコポリマーが10%未満のキシレン可溶性画分を有する、請求項
1に記載のポリプロピレン組成物。
【請求項13】
請求項1に記載のポリプロピレン組成物から形成される射出成形物品。
【請求項14】
請求項1に記載のポリプロピレン組成物から形成される保管容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願に対する相互参照)
本出願は、2018年4月18日の出願日を有する米国特許仮出願第62/659,214号の利益を主張するものであり、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
透明性は、多くのポリマー用途に非常に望ましい特性である。例えば、ポリマーを、透明性がユーザにとって非常に有益となり得る包装又は容器等の様々な異なる製品を製造するために使用することができる。多くの状況において、例えば、包装又は容器の壁を通して包装又は容器の内容物を見ることは非常に有利である。
【0003】
透過性を高くすることができる1種のポリマーは、半結晶性ポリプロピレンホモポリマーである。ポリプロピレンホモポリマーは、一般に、高い結晶化度及び大きな球晶のために、非常に半透明である。ポリプロピレンポリマーの透明性は、エチレン又は別のアルファ-オレフィンをポリマー鎖に組み込んで、ポリプロピレンランダムコポリマーを生成することによって改善することができる。また、核形成剤及び/又は清澄化剤をポリマーに組み込んで、結晶サイズを更に減少させ、清澄性を高めることができる。
【0004】
ポリプロピレンランダムコポリマーは優れた透明特性を有するが、ポリマーは、比較的低い耐衝撃性を有する傾向がある。そのため、冷蔵庫若しくは冷凍庫保管容器及び/又は長期保管容器の場合、より大きな耐衝撃性が必要とされる。しかしながら、ポリプロピレンポリマーの耐衝撃性を向上させる試みが行われると、ポリマーの透明性が低下する場合がある。
【0005】
過去に、ゴム様プロピレン-アルファ-オレフィンコポリマー相とブレンドされたホモポリマーマトリックスを含む、ポリプロピレンインパクトコポリマーが設計された。コポリマー相は、低温等での耐衝撃性を高めることが意図されている。プロピレン-アルファ-オレフィンコポリマーは、主に非晶質であり得るため、ポリマー組成物内にゴム相を形成するエラストマー特性を有する。プロピレン-アルファ-オレフィンコポリマーの組み込みは、耐衝撃性を改善するが、清澄性を犠牲にする。
【0006】
ゴム相を含有するヘテロ相ポリプロピレン組成物の透明性を改善するため、当業者は、マトリックスポリマーとゴム相ポリマーとの間の屈折率を一致させることを試みた。例えば、マトリックスポリマーにエチレンを添加することは、マトリックス相とゴム相との間の屈折率の差を低減するために使用され得る。しかしながら、過去の試みは、透明性と衝撃強度との所望のブレンドを有するポリマー組成物を適切に提供することができなかった。
【発明の概要】
【0007】
概して、本開示は、特性のバランスが改善されたポリプロピレンポリマー組成物に関する。本開示に従って作製されたポリプロピレンポリマー組成物は、例えば、優れた耐衝撃強度と共に、高い透明性を有するように配合され得る。例えば、ポリマー組成物は、優れた靭性特性を有しながら、比較的低いヘイズ値を示すことができる。一実施形態では、ポリプロピレンポリマー組成物は、ゴム様プロピレンエチレンコポリマーと組み合わされたポリプロピレンランダムコポリマーを含む。各ポリマー相のエチレン含有量は、所望の限界内で制御され得る。加えて、各ポリマー相の相対量を、特定の特性を最大化するように選択することができる。一実施形態では、一緒にブレンドされるポリマーはいずれも、ポリマー加工中に異なるパラメータ及び変数を慎重に制御することを可能にする特定のタイプのチーグラー・ナッタ触媒系を使用して作製される。
【0008】
一実施形態では、例えば、本開示は、第2のポリマー相と組み合わされた又はブレンドされた第1のポリマー相を含むポリプロピレン組成物に関する。第1のポリマー相は、ポリプロピレンランダムコポリマーを含む。ポリプロピレンランダムコポリマーは、約4重量%未満の量、例えば、約2重量%~約3.5重量%の量のエチレンを含有することができる。ポリプロピレンランダムコポリマーは、約10%未満、例えば約8%未満のキシレン可溶性画分を有し得る。ポリプロピレンランダムコポリマーは、一般に、約50重量%超の量、例えば、約60重量%超の量、例えば、約70重量%超の量で、ポリマー組成物中に存在する。
【0009】
第1のポリマー相とブレンドされた第2のポリマー相は、一般に、約10重量%~約20重量%の量のエチレンを含有するエラストマー様プロピレンエチレンコポリマーを含む。エラストマープロピレンエチレンコポリマーは、一般に、約10重量%超の量、例えば約15重量%超の量、例えば約20重量%超の量、及び一般に約40重量%未満の量、例えば約30重量%未満の量となり得る。
【0010】
一緒に組み合わせると、上記のポリマー相は、優れた特性のブレンドを有するポリプロピレン組成物をもたらす。ポリプロピレン組成物は、例えば、約15g/10分以上のメルトフローレートを有することができ、清澄化剤を含有することができ、1mmで約15%未満のヘイズを有し、23℃で約200J/m超、例えば約300J/m超、及び0℃で約80J/m超のIZOD衝撃強度を有することができる。加えて、組成物のキシレン可溶性部分は、0.75~1未満のKoenig B値を有し得る。更に、キシレン不溶性部分は、0.75~1未満のKoenig B値を有し得る。
【0011】
上に示すように、ポリマー組成物は、清澄化剤を含有することができる。清澄化剤は、約5重量%未満の量、例えば約3重量%未満の量、及び一般に約0.2重量%超の量で存在する。
【0012】
本開示のポリマー組成物を、多数の異なる種類の製品を作製するために使用することができる。一実施形態では、ポリマー組成物を使用して、射出成形物品等の様々な異なる成形物品を形成することができる。一実施形態では、ポリマー組成物を使用して、保管容器等の容器を形成することができる。保管容器は、例えば、食料品を保持するように構成されてもよく、又は倉庫、屋根裏、ガレージ等の長期保管容器を形成するために使用されてもよい。本開示のポリマー組成物は、輸送、流通、販売又は使用中に低温に曝される包装を製造するのに特に適している。例えば、ポリマー組成物は、冷蔵される食料品を含有するのに特に適している。
【0013】
本開示の他の特性及び態様は、以下でより詳細に考察される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本開示の完全かつ有効な開示は、添付の図面を参照することを含めて、本明細書の残りの部分に、より具体的に記載される。
【0015】
【
図1】本開示に従って作製された容器の一実施形態の斜視図である。
【0016】
本明細書及び図面における参照文字の使用を繰り返すことは、本発明の同じ又は類似の特性又は要素を表すことが意図される。
定義及び試験手順
【0017】
本明細書で使用される「プロピレン-エチレンコポリマー」という用語は、二次構成成分としてエチレンモノマーを有するプロピレンモノマーの大部分の重量パーセントを含有するコポリマーである。「プロピレン-エチレンコポリマー」(ポリプロピレンランダムコポリマー、PPR、PP-R、RCP、又はRACOとも呼ばれる)は、ポリマー鎖内にランダム又は統計的な分布で存在するエチレンモノマーの個々の繰り返し単位を持つポリマーである。
【0018】
ASTM D 1238試験法に従い、230℃で2.16kgの重量のプロピン系ポリマーを用いて、本明細書で使用されるメルトフローレート(MFR:Melt Flow Rate)を測定する。
【0019】
キシレン可溶分(XS:Xylene Solubles)は、ポリプロピレンランダムコポリマー樹脂のサンプルを熱いキシレンに溶解し、溶液を25℃まで冷却させた後に溶液中に残存する樹脂の重量パーセントとして定義される。これは、90分の沈殿時間を用いるASTM D5492-98による重量XS法とも呼ばれ、本明細書では「湿式法」とも呼ばれる。XSはまた、次のようにViscotek法に従って測定することができる:ポリマー0.4gを、130℃で60分間撹拌しながらキシレン20mLに溶解する。次いで、溶液を25℃に冷却し、90分後に不溶性ポリマー画分を濾別する。得られた濾液を、1.0mL/分で流れるTHF移動相を有するViscotek ViscoGEL H-100-3078カラムを使用して、フローインジェクションポリマー分析により分析する。カラムを、45℃で動作する光散乱、粘度計、及び屈折計の検出器を備えたViscotek Model 302 Triple Detector Arrayに連結する。計器較正をViscotek PolyCAL(商標)ポリスチレン標準で維持する。Viscotek機器及びサンプル調製手順が、5D98を対照サンプルとして使用して方法性能を確認することにより、一貫した結果を提供することを保証するため、ホモポリマー、例えばDow 5D98を参照材料として使用する。5D98のXS値は、最初は上記で特定されたASTM法を使用する試験に由来する。
【0020】
キシレン可溶性部分は、ASTM D5492-06から適合された方法によって決定され、また本明細書において「湿式方法」と呼ばれることもある。手順は、サンプルを2g秤量すること、及びそのサンプルを24/40ジョイントを備える400mLのフラスコ中のo-キシレン200mL中に溶解させることからなる。フラスコを水冷コンデンサに接続し、内容物を撹拌し、窒素(N2)下で加熱還流し、次いで、更に30分間還流を維持する。次いで、溶液を温度制御された水浴内で25℃で90分間冷却して、キシレン不溶性画分を結晶化させる。溶液が冷却し、不溶画分が溶液から沈殿した時点で、キシレン可溶部分(XS)のキシレン不溶部分(XI)からの分離を、25ミクロン濾紙を通して濾過することによって達成する。100mLの濾液を予め秤量したアルミニウムパン内に収集し、o-キシレンを窒素流下でこの100mLの濾液から蒸発させる。溶媒が蒸発した時点で、アルミニウムパン及び内容物を100℃の真空オーブン内に30分間又は乾燥するまで設置する。その後、アルミニウムパンを室温に冷却させ、秤量する。キシレン可溶性部分を、XS(重量%)=[(m3-m2)*2/m1]*100で計算し、式中、m1は使用されるサンプルの初期重量であり、m2は空のアルミニウムパンの重量であり、m3はパン及び残渣の重量である(アスタリスク、*、は、ここで及び本開示のその他の場所で、識別される用語又は値が乗算されていることを示す)。
【0021】
コポリマーにおけるランダム性又はブロック性の尺度であるKoenig B値は、KoenigB=[EP]/(2[P][E])によって計算され、式中、[EP]は、EP二量体の総モル分率(EP+PE)である。(「Spectroscopy of Polymers」2nd edition,Jack L.Koenig,1999,Elsevier;pp17-18)。
【0022】
曲げ弾性率は、ASTM 3641当たりタイプ1の試験片を使用してASTM D790-10法Aに従って1.3mm/分で決定され、ASTM D4101に従って成形される。
【0023】
Mw/Mn(「MWD」とも呼ばれる)及びMz/Mwは、ポリプロピレンに対するゲル透過クロマトグラフィー(GPC)分析法に従うGPCによって測定される。ポリマーを屈折計検出器及び4つのPLgel Mixed A(20μm)カラム(Polymer Laboratory Inc.)を備えたPL-220シリーズの高温ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)ユニットで分析する。オーブン温度は150℃に設定されており、オートサンプラーの高温及び加温ゾーンの温度はそれぞれ135℃及び130℃である。溶媒は、約200ppmの2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール(BHT)を含有する窒素パージされた1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB)である。流量は1.0mL/分であり、注入量は200μlであった。2mg/mLサンプル濃度は、サンプルを、N2パージ及び予熱したTCB(BHT200ppmを含む)に、160℃で穏やかに撹拌しながら2.5時間溶解させることによって調製される。
【0024】
GPCカラムセットは、20個の狭い分子量分布ポリスチレン標準を実行することによって較正される。標準の分子量(Mw)は、580~8400000g/molの範囲であり、標準は6つの「カクテル(cocktail)」混合物に含まれていた。各標準混合物は、個々の分子量間に少なくとも数十の間隔を有する。ポリスチレン標準は、1000000g/mol以上の分子量の場合には溶媒20mL中に0.005g、1000000g/mol未満の分子量の場合には20mLの溶媒中に0.001gで調製される。ポリスチレン標準を、撹拌下、150℃で30分間溶解させる。狭い標準混合物を、最初に、また最高分子量成分を減少させて分解効果を最小限に抑えるために実行する。対数分子量較正は、溶出体積の関数として四次多項式フィットを使用して生成される。同等のポリプロピレン分子量は、ポリプロピレン(Th.G.Scholte,N.L.J.Meijerink,H.M.Schoffeleers、及びA.M.G.Brands,J.Appl.Polym.SSci.,29,3763-3782(1984))、及びポリスチレン(E.P.Otocka,R.J.Roe,N.Y.Hellman,P.M.Muglia,Macromolecules,4,507(1971))について報告されたMark-Houwink係数を用いて下記等式を使用することによって計算される。
【数1】
式中、M
ppはpp当量MWであり、M
PSはPS当量MWであり、でPP及びPSに関するlog K及びMark-Houwink係数の値は下記表1に列挙される。
【表1】
【0025】
IZOD衝撃強度は、ASTM D4101に従って成形された試験片に対し、ASTM D 256に従って測定される。
【0026】
ガードナー衝撃試験は、ASTM D5420に従って測定される。
【0027】
ヘイズは、1mm厚の射出成形された試験片に対してBYKgardner Haze-Gard Plus 4725を使用し、ASTM試験D1003手順Aに従って測定される。
【0028】
β/αという用語は、不連続相のコポリマーの分子量の連続相のプロピレン系ポリマーの分子量に対する比に関し、β及びαは、135℃でデカリンで測定したとき、それぞれ、コポリマー系及びプロピレン系のポリマー分画の固有粘度の値である。(ASTM D 1601)。本開示の目的のため、β/αの値は、マトリックスポリマーのMFRから計算され、インパクトコポリマー全体のMFR及びビスブレーキング(visbreaking)前のFcは、以下のとおりである:
【数2】
【発明を実施するための形態】
【0029】
本考察は、例示的な実施形態のみの説明であり、本開示のより広範な態様を限定することを意図するものではないことを当業者は理解されたい。
【0030】
概して、本開示は、物理的特性の特有のブレンドを有するポリオレフィンポリマー組成物に関する。例えば、一実施形態では、ポリマー組成物は、透明性の特徴が優れているだけでなく、耐衝撃性にも優れるように配合することができる。加えて、ポリマー組成物は、良好な流動特性を有するように配合することができる。そのため、ポリマー組成物は、射出成形物品の形成に特に適している。一実施形態では、例えば、ポリマー組成物を使用して容器、特に容器内に入れた製品又は品物を容器又は包装の壁を通して見ることができる保管容器を形成することができる。
【0031】
一般に、本開示のポリプロピレン組成物は、ヘテロ相組成物を含む。詳しくは、ポリプロピレン組成物は、第2のポリマー相とブレンドされた第1のポリマー相を含む。両方のポリマー相は、制限された含有量のエチレン等のアルファ-オレフィンを含有するポリプロピレンコポリマーから形成される。例えば、一実施形態では、第1のポリマー相は、約4重量%未満の量のエチレンを含有するポリプロピレンランダムコポリマーを含む。第1のポリマー相は、一般に、第2のポリマー相よりも多い量でポリマー組成物中に存在するため、マトリックスポリマーを形成する。一方、第2のポリマー相は、エラストマー又はゴム様の特性を有するポリプロピレンコポリマーを含む。第2のポリマー相は、例えば約10%重量を超える量のエチレンを含有するプロピレンエチレンコポリマーを含んでもよい。特定の用途の物理的特性を最適化するために、2つの異なるポリマー相を一緒にブレンドすることができる。例えば、一実施形態では、衝撃強度と組み合わせて透明性を最大化するために、2つのポリマー相を一緒にブレンドすることができる。
【0032】
例えば、本開示のポリマー組成物は、23℃で約200J/m超、例えば約300J/m超、例えば約325J/m超、例えば約350J/m超、例えば約375J/m超、例えば約400J/m超、例えば約425J/m超、例えば更には450J/m超のIZOD衝撃強度を有することができる。23℃におけるIZOD衝撃強度は、一般に約900J/m未満である。ポリマー組成物はまた、より低い温度で優れた衝撃強度を示すことができる。例えば、ポリマー組成物は、0℃で約80J/m超、例えば約85J/m超、例えば約90J/m超のIZOD衝撃強度を有することができ、0℃におけるIZOD衝撃強度は、一般に約600J/m未満である。
【0033】
本開示のポリマー組成物はまた、ガードナー衝撃試験に従って試験した場合に優れた衝撃強度特性を示すことができる。例えば、ポリマー組成物は、0℃で約300インチ・ポンド超、例えば約310インチ・ポンド超、例えば約320インチインチ・ポンド超、例えば約330インチ・ポンド超、例えば約340インチ・ポンド超、例えば約350インチ・ポンド超、及び一般に約500インチ・ポンド未満のガードナー耐衝撃性を示すことができる。
【0034】
上述のように、優れた衝撃強度特性に加えて、本開示のポリマー組成物はまた、非常に良好な透明特性を有することができる。例えば、ポリマー組成物は、1mmで約15%未満、例えば約13%未満、例えば約10%未満、例えば約9%未満のヘイズを有し得る。1mmにおけるヘイズは、一般に約1%より大きい。
【0035】
ポリマー組成物の可撓性の性質は、第1のポリマー相及び第2のポリマー相の相対量及び第1の相中のコモノマーの量を含む様々な要因に応じて変化し得る。一般に、一般的開示のポリマー組成物は、約1000MPa未満、例えば約900MPa未満、例えば約800MPa未満、例えば約700MPa未満の曲げ弾性率を有し得る。一実施形態では、ポリマー組成物は、約600MPa未満の曲げ弾性率を有し得る。一般に、曲げ弾性率は、約200MPa超、例えば約400MPa超、例えば約500MPa超である。
【0036】
β/αという用語は、エラストマーコポリマーの分子量の第1のポリマー相のマトリックスポリマー又はポリマーの分子量に対する比に関する。各ポリマーの分子量は、各ポリマーの固有粘度に比例する。固有粘度は、所与の溶媒中及び所与の温度におけるポリマーの溶液の粘度を示す。これまで、透明性を高めるために、β/α比を低下させるため、第2相ポリマーを減少させた。しかしながら、予期せぬことに、本開示のポリマー組成物は、優れた透明特性を持ちながら、より高いβ/α比を有することができることが発見された。例えば、本開示のポリマー組成物は、約1超、例えば1.1以上のβ/α比を有し得る。例えば、β/α比は、約1.2超、例えば約1.3超であり得る。一般に、β/α比は、約2未満、例えば約1.8未満、例えば約1.6未満である。
【0037】
本開示に従って配合されたポリマー組成物はまた、比較的高い衝撃強度を保持しながら優れた流動特性を有することができる。例えば、本開示のポリマー組成物は、約3g/10分超、例えば約10g/10分超、例えば約15g/10分超、例えば約17g/10分超、例えば約19g/10分超、例えば約20g/10分超のメルトフローレートを有することができる。メルトフローレートは、一般に、約80g/10分未満、例えば約70g/10分未満、例えば約50g/10分未満、約35g/10分未満、例えば約30g/10分未満である。上記の流動特性により、ポリマー組成物は、射出成形用途での使用に特に適している。
【0038】
マトリックス相中に比較的低いキシレン可溶分含量を有する本開示のポリマー組成物を生成することもできる。全体として、ポリマー組成物は、約40重量%未満、例えば30重量%未満、例えば約28重量%未満、例えば約25重量%未満、例えば約23重量%未満、例えば約20重量%未満の総キシレン可溶分含量又はキシレン可溶性画分を有することができる。キシレン可溶分含量は、一般に約2重量%超、例えば約5重量%超、例えば約10重量%超、例えば約15重量%超である。
【0039】
加えて、ポリマー組成物はまた、望ましいKoenig B値を有し得る。本明細書に示されるように、Koenig B値は、一般に、コポリマーのランダム性又はブロック性の尺度であり、値は0~2の範囲となり得る。一般に、比較的低い値は、よりブロック状又はクラスター化したコモノマー分布を示唆し、一方で比較的高い値はコモノマー分布がより交互にあることを示唆する。一方、1の値は一般に、コモノマー単位の完全なランダム分布を示唆する。
【0040】
この点に関して、本明細書に開示されるポリマー組成物は、一般に1に近いKoenig B値を示す。例えば、ポリマー組成物は、0.75以上、例えば0.8以上、例えば0.83以上、例えば0.85以上のKoenig B値を示し得る。加えて、ポリマー組成物は、1未満、0.95以下、例えば0.9以下、例えば0.88以下、例えば0.86以下のKoenig B値を示し得る。特に、本明細書に示されるように、ポリマー組成物は、キシレン可溶性部分及びキシレン不溶性部分を有し得る。この点に関して、キシレン可溶性部分は、0.75以上、例えば0.8以上、例えば、0.83以上、例えば0.85以上のKoenig B値を有し得る。加えて、キシレン可溶性部分は、1未満、0.95以下、例えば0.9以下、例えば0.88以下、例えば0.86以下のKoenig B値を有し得る。更に、キシレン不溶性部分は、0.75以上、例えば0.8以上、例えば0.83以上、例えば0.85以上のKoenig B値を有し得る。加えて、キシレン不溶性部分は1未満、0.95以下、例えば0.9以下、例えば0.88以下、例えば0.86以下のKoenig B値を有し得る。
【0041】
上記のように、本開示のポリプロピレン組成物は、一般に、第2相ポリマーと組み合わされた第1相ポリマーを含む。第1相ポリマーは、ポリプロピレンのランダムコポリマーを含む。ランダムコポリマーは、例えば、プロピレンと、エチレン等のアルファ-オレフィンとのコポリマーであり得る。ポリプロピレンランダムコポリマーはポリプロピレン組成物においてマトリックスポリマーを形成し、約4重量%未満の量、例えば約3.8重量%未満の量、例えば約3.5重量%未満の量、及び一般に、約0.5重量%超の量、例えば約1重量%超の量、例えば約1.5重量%超の量、例えば約2重量%超の量のアルファ-オレフィンを含有し得る。第1相ポリマーは、一般に、約12重量%未満の量、例えば約10重量%未満の量、例えば、約8重量%未満の量、例えば、約6重量%未満の量、例えば、約4重量%未満の量のキシレン可溶分含量を有し得る。キシレン可溶分含量は、一般に約0.5重量%超、例えば約3重量%超である。
【0042】
以下により詳細に記載されるように、第1相ポリマーは、チーグラー・ナッタ触媒ポリマーを含むことができ、比較的広い分子量分布を有することができる。例えば、約3.8超、例えば約4超、例えば約4.3超、例えば約4.5超、例えば約4.8超、例えば約5超、例えば約5.2超、例えば約5.5超、例えば約5.7超、例えば約6超、及び一般に約9未満、例えば約8.5未満、例えば約8未満の分子量分布(Mw/Mn)。第1相ポリマーの重量平均分子量(GPCによって決定される)は、一般に約100000超、例えば約120000超である。
【0043】
第1相ポリマーを構成するポリプロピレンランダムコポリマーは、一実施形態では、比較的高いメルトフローレートを有する。例えば、第1相ポリマーは、約15g/10分超、例えば約18g/10分超、例えば約20g/10分超、約22g/10分超、例えば約25g/10分超のメルトフローレートを有することができる。第1相ポリマーのメルトフローレートは、一般に約80g/10分未満、例えば、約50g/10分未満である。
【0044】
第2相ポリマーもまた、プロピレン及びアルファ-オレフィンのコポリマーである。しかしながら、第2相ポリマーは、エラストマー又はゴム様の特性を有する。そのため、第2相ポリマーは、ポリマー組成物の耐衝撃性を劇的に改善することができる。
【0045】
ポリマー組成物中に分散相を形成する第2相ポリマーは、一般に、約10重量%を超える量、例えば約12重量%超の量、例えば約14重量%超の量、及び一般に約40重量%未満、例えば約30重量%未満、例えば約20重量%未満、例えば約17重量%未満のアルファ-オレフィン又はエチレンを含有する。第2相ポリマーは、少なくとも約130000、例えば少なくとも約140000、例えば少なくとも約150000、及び一般に約500000未満の重量平均分子量を有することができる。本明細書で使用される場合、第2相ポリマーは、キシレン可溶分の合計と等しくない。
【0046】
第1相ポリマー及び第2相ポリマーに加えて、本開示のポリプロピレン組成物は、様々な他の添加剤及び成分を含有することができる。例えば、ポリプロピレン組成物は、核形成剤、離型剤、スリップ剤、粘着防止剤、UV安定剤、熱安定剤(例えばDSTDP)、着色剤/染料等を含有することができる。一実施形態では、ポリマー組成物は、ヒンダードフェノール系酸化防止剤等の酸化防止剤を含有することができる。ポリマー組成物はまた、制酸剤を含有することができる。例えば、ポリマー組成物は、制酸剤及び酸化防止剤を含有することができる。ポリマー組成物はまた、酸掃去剤を含有することができる。添加剤のそれぞれは、一般に、約3重量%未満の量、例えば約2重量%未満の量、例えば約1重量%未満の量、例えば約0.5重量%未満の量、及び一般に約0.001重量%超の量でポリマー組成物中に存在し得る。
【0047】
一実施形態では、ポリプロピレン組成物は、清澄化剤を更に含有し得る。清澄化剤は、組成物の透明特性を更に改善するために添加することができる。清澄化剤は、例えば、組成物内にゲル化ネットワークを生成することができる化合物を含み得る。
【0048】
一実施形態では、清澄化剤は、ソルビトールアセタール誘導体等のソルビトール化合物を含んでもよい。一実施形態では、例えば、清澄化剤は、ベンジルソルビトールを含んでもよい。
【0049】
幾つかの実施形態で添加剤として使用することができるソルビトールアセタール誘導体に関して、ソルビトールアセタール誘導体は、式(I)に示される:
【化1】
式中、R1~R5は、水素及びC1~C3アルキルから選択される同じ又は異なる部分を含む。
【0050】
幾つかの実施形態では、ソルビトールアセタール誘導体が2,4-ジベンジリデンソルビトール(「DBS」)となるように、R1~R5は水素である。幾つかの実施形態では、ソルビトールアセタール誘導体が1,3:2,4-ジ-p-メチルジベンジリデン-D-ソルビトール(「MDBS」)となるように、R1、R4及びR5は水素であり、R2及びR3はメチル基である。幾つかの実施形態では、ソルビトールアセタール誘導体が1,3:2,4-ビス(3,4-ジメチロールベンジリデン)ソルビトール(「DMDBS」)となるように、R1~R4はメチル基であり、R5は水素である。幾つかの実施形態では、ソルビトールアセタール誘導体が1,2,3-トリデオキシ-4,6-:5,7ビス-O-(4-プロピルフェニルメチレン)ノニトール(「TBPMN」)となるように、R2、R3、及びR5はプロピル基(-CH2-CH2-CH3)であり、R1及びR4は水素である。
【0051】
使用され得る清澄化剤の他の実施形態として以下を挙げる:
1,3:2,4-ジベンジリデンソルビトール、
1,3:2,4-ビス(p-メチルベンジリデン)ソルビトール、
ジ(p-メチルベンジリデン)ソルビトール
ジ(p-エチルベンジリデン)ソルビトール
ビス(5’,6’,7’,8’-テトラヒドロ-2-ナフチリデン)ソルビトール。
【0052】
一実施形態では、清澄化剤はまた、ベンゼントリアミド等のビスアミドを含んでもよい。上記の清澄化剤を、単独で又は組み合わせて使用することができる。
【0053】
ポリマー組成物中に存在する場合、1つ以上の清澄化剤は、一般に約200ppm超の量、例えば約1800ppm超の量、例えば約2000ppm超の量、例えば約2200ppm超の量で添加される。1つ以上の清澄化剤は、一般に約8000ppm未満、例えば約6000ppm未満、例えば約5000ppm未満の量で存在する。組成物中に存在する清澄化剤の量は、使用される清澄化剤の種類を含む様々な要因に依存し得る。
【0054】
第1相ポリマー及び第2相ポリマーは、様々な異なる重合方法及び手順を用いて生成され得る。一実施形態では、チーグラー・ナッタ触媒を使用して両方のポリマーを生成する。例えば、オレフィン重合は、触媒、内部電子供与体、共触媒、及び任意に外部電子供与体を含む触媒系の存在下で生じ得る。式CH2=CHRのオレフィン(式中、Rは水素又は1~12個の原子を有する炭化水素ラジカルである)は、ポリマー生成物を形成するのに好適な条件下で触媒系と接触させることができる。共重合は、本開示のヘテロ相組成物を生成するために、方法-工程プロセスにおいて生じ得る。重合プロセスは、流動床若しくは撹拌床の反応器を使用して気相中で、又は不活性炭化水素溶媒若しくは希釈剤若しくは液体モノマーを使用してスラリー相で、既知の手法を使用して実施され得る。
【0055】
一実施形態では、第1相ポリマー及び第2相ポリマーは、連続ポリマー相のプロピレンランダムコポリマーが調製される第1段階と、エラストマープロピレンコポリマー生成される第2段階と、を含む2段階プロセスで生成することができる。第1段階の重合は、1つ以上のバルク反応器又は1つ以上の気相反応器で実行することができる。第2段階の重合は、1つ以上の気相反応器で実行することができる。第2段階の重合は、典型的には、第1段階の重合に続いて直接実行される。例えば、第1の重合段階から回収された重合生成物を、第2の重合段階に直接搬送することができる。ヘテロ相コポリマー組成物が生成される。
【0056】
本開示の一実施形態では、重合は、立体規則オレフィン重合触媒の存在下で実施される。例えば、触媒は、チーグラー・ナッタ触媒であってもよい。例えば、一実施形態では、商品名CONSISTAで販売され、W.R.Grace&Companyから商業的に入手可能な触媒を使用することができる。一実施形態では、フタレートを含有しない電子供与体が選択される。
【0057】
一実施形態では、触媒は、塩化チタン等のチタン部分、塩化マグネシウム等のマグネシウム部分、及び少なくとも1つの内部電子供与体を含有するプロ触媒組成物を含む。
【0058】
プロ触媒前駆体は、(i)マグネシウム、(ii)周期表IV族~VII族からの遷移金属化合物、(iii)ハロゲン化物、オキシハライド及び/又はアルコキシド、及び/又は(i)若しくは(i)及び/又は(ii)のアルコキシド、並びに(iv)(i)、(ii)及び(iii)の組み合わせを含むことができる。好適なプロ触媒前駆体の非限定例としては、ハロゲン化物、オキシハライド、マグネシウム、マンガン、チタン、バナジウム、クロム、モリブデン、ジルコニウム、ハフニウムのアルコキシド、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0059】
一実施形態では、プロ触媒前駆体は、唯一の金属成分としてマグネシウムを含有する。非限定的な例としては、無水塩化マグネシウム及び/又はそのアルコール付加物、マグネシウムアルコキシド及び又はアリールオキシド、混合マグネシウムアルコキシハライド、及び/又はカルボキシル化マグネシウムジアルコキシド若しくはアリールオキシドが挙げられる。
【0060】
一実施形態では、プロ触媒前駆体は、無水塩化マグネシウムのアルコール付加物である。無水塩化マグネシウム付加物は、一般にMgCl2-nROHとして定義され、式中、nは1.5~6.0、好ましくは2.5~4.0、最も好ましくは2.8~3.5モルの範囲の総アルコールを有する。ROHは、C1~C4アルコール、直鎖若しくは分枝鎖、又はアルコールの混合物である。好ましくは、ROHはエタノール、又はエタノールと高級アルコールとの混合物である。ROHが混合物である場合、エタノールの高級アルコールに対するモル比は、少なくとも80:20、好ましくは90:10、最も好ましくは少なくとも95:5である。
【0061】
一実施形態では、実質的に球状のMgCl2-nEtOH付加物は、噴霧結晶化プロセスによって形成され得る。一実施形態では、球状MgCl2前駆体は、約15~150ミクロン、好ましくは20~100ミクロン、最も好ましくは35~85ミクロンの平均粒径(Malvern d50)を有する。
【0062】
一実施形態では、プロ触媒前駆体は、遷移金属化合物及びマグネシウム金属化合物を含有する。遷移金属化合物は、一般式TrXxを有し、式中、Trは遷移金属、Xはハロゲン又はC1~10ヒドロカルボキシル又はヒドロカルビル基、xは、マグネシウム金属化合物と組み合わせられた化合物中のかかるX基の数である。Trが、第IV族、第V族又は第VI族の金属であってもよい。好ましくは、Trはチタン等の第IV族の金属である。Xが、塩化物、臭化物、C1~4アルコキシド又はフェノキシドあるいはこれらの混合物であってもよい。一実施形態では、Xは塩化物である。
【0063】
前駆体組成物は、前述の混合マグネシウム化合物、チタン化合物、又はそれらの混合物の塩素化によって調製され得る。
【0064】
一実施形態では、前駆体組成物は、式MgdTi(ORe)fXgを有する混合マグネシウム/チタン化合物であり、式中、Reは、1~14個の炭素原子を有する脂肪族又は芳香族炭化水素ラジカル又はCOR’であり、式中、R’は、1~14個の炭素原子を有する脂肪族又は芳香族炭化水素ラジカルであり、各ORe基は、同一又は異なり、Xは独立して、塩素、臭素、又はヨウ素であり、dは0.5~56、又は2~4、又は3であり、fは、2~116又は5~15であり、gは、0.5~116又は1~3である。
【0065】
本開示によれば、上述のプロ触媒前駆体は、少なくとも1つの内部電子供与体と組み合わされる。内部電子供与体は、置換フェニレン芳香族ジエステルを含むことができる。
【0066】
一実施形態では、第1の内部電子供与体は、以下の構造(I)を有する置換フェニレン芳香族ジエステルを含む。
【化2】
式中、R
1~R
14は、同一又は異なる。R
1~R
14は各々、水素、1~20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有するアルコキシ基、ヘテロ原子、及びそれらの組み合わせから選択される。R
1~R
14のうちの少なくとも1つは、水素ではない。
【0067】
一実施形態では、置換フェニレン芳香族ジエステルは、その全ての内容が参照により本明細書に組み込まれる、2008年12月31日に出願された米国特許出願第61/141,959号に開示される任意の置換フェニレン芳香族ジエステルであってもよい。
【0068】
一実施形態では、置換フェニレン芳香族ジエステルは、その全ての内容が参照により本明細書に組み込まれる、2011年12月20日に出願された国際公開第12088028号に開示される任意の置換フェニレン芳香族ジエステルであってもよい。
【0069】
一実施形態では、R1~R4のうちの少なくとも1つ(又は2つ、又は3つ、又は4つ)のR基(複数の場合もある)は、1~20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有するアルコキシ基、ヘテロ原子、及びそれらの組み合わせから選択される。
【0070】
一実施形態では、R5~R14のうちの少なくとも1つ(又は幾つか、又は全て)のR基(複数の場合もある)は、1~20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有するアルコキシ基、ヘテロ原子、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。別の実施形態では、R5~R9のうちの少なくとも1つ及びR10~R14のうちの少なくとも1つは、1~20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有するアルコキシ基、ヘテロ原子及びそれらの組み合わせから選択される。
【0071】
一実施形態では、R1~R4のうちの少なくとも1つ及びR5~R14の少なくとも1つは、1~20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有するアルコキシ基、ヘテロ原子及びこれらの組み合わせから選択される。別の実施形態では、R1~R4のうちの少なくとも1つ、R5~R9のうちの少なくとも1つ及びR10~R14うちの少なくとも1つは、1~20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1~20個炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有するアルコキシ基、ヘテロ原子及びそれらの組み合わせから選択される。
【0072】
一実施形態では、R1~R4の任意の連続するR基、及び/又はR5~R9の任意の連続するR基、及び/又はR10~R14の任意の連続するR基は、連結されて、環状又は環状内構造体を形成してもよい。環状/環状内構造体は、芳香族であっても、又は芳香族でなくてもよい。一実施形態では、環状/環状内構造体は、C5員環又はC6員環である。
【0073】
一実施形態では、R1~R4のうちの少なくとも1つは、1~20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、及びこれらの組み合わせから選択される。任意に、R5~R14のうちの少なくとも1つは、ハロゲン原子又は1~20個の炭素原子を有するアルコキシ基であってもよい。任意に、R1~R4、及び/又はR5~R9、及び/又はR10~R14は、連結されて、環状構造体又は環状内構造体を形成してもよい。環状構造体及び/又は環状内構造体は、芳香族であっても、又は芳香族でなくてもよい。
【0074】
一実施形態では、R1~R4、及び/又はR5~R9、及び/又はR10~R14の任意の連続するR基は、C5~C6員環のメンバーであってもよい。
【0075】
一実施形態では、構造(I)は、水素としてR1、R3及びR4を含む。R2は、1~20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、及びそれらの組み合わせから選択される。R5~R14は、同一であるか又は異なり、R5~R14の各々は、水素1~20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有するアルコキシ基、ハロゲン及びそれらの組み合わせから選択される。
【0076】
一実施形態では、R2は、C1~C8アルキル基、C3~C6シクロアルキル基、又は置換C3~C6シクロアルキル基から選択される。R2は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、t-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル基、シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基であり得る。
【0077】
一実施形態では、構造(I)は、メチルであるR2を含み、R5~R14の各々は、水素である。
【0078】
一実施形態では、構造(I)は、エチルであるR2を含み、R5~R14の各々は、水素である。
【0079】
一実施形態では、構造(I)は、t-ブチルであるR2を含み、R5~R14の各々は、水素である。
【0080】
一実施形態では、構造(I)は、エトキシカルボニルであるR2を含み、R5~R14の各々は、水素である。
【0081】
一実施形態では、構造(I)は、それぞれ水素としてR2、R3及びR4を含み、R1は、1~20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、及びそれらの組み合わせから選択される。R5~R14は、同一であるか又は異なり、各々は、水素、1~20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有するアルコキシ基、ハロゲン及びそれらの組み合わせから選択される。
【0082】
一実施形態では、構造(I)は、メチルであるR1を含み、R5~R14の各々は、水素である。
【0083】
一実施形態では、構造(I)は、水素であるR2及びR4を含み、R1及びR3は同じであるか又は異なる。R1及びR3の各々は、1~20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、及びそれらの組み合わせから選択される。R5~R14は、同一であるか又は異なり、R5~R14の各々は、1~20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有するアルコキシ基、ハロゲン及びこれらの組み合わせから選択される。
【0084】
一実施形態では、構造(I)は、同じであるか又は異なるR1及びR3を含む。R1及びR3の各々は、C1~C8アルキル基、C3~C6シクロアルキル基、又は置換C3~C6シクロアルキル基から選択される。R5~R14は同じであるか又は異なっており、R5~R14の各々は、水素、C1~C8アルキル基、及びハロゲンから選択される。好適なC1~C8アルキル基の非限定的な例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、i-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、i-ペンチル、ネオペンチル、t-ペンチル、n-ヘキシル、及び2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル基が挙げられる。好適なC3~C6シクロアルキル基の非限定的な例としては、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基が挙げられる。更なる実施形態では、R5~R14のうちの少なくとも1つは、C1~C8アルキル基又はハロゲンである。
【0085】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるR1、及びt-ブチル基であるR3を含む。R2、R4及びR5~R14の各々は、水素である。
【0086】
一実施形態では、構造(I)は、イソプロピル基であるR1及びR3を含む。R2、R4及びR5~R14の各々は、水素である。
【0087】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基としてR1、R5、及びR10の各々を含み、R3は、t-ブチル基である。R2、R4、R6~R9及びR11~R14の各々は、水素である。
【0088】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基としてR1、R7、及びR12の各々を含み、R3は、t-ブチル基である。R2、R4、R5、R6、R8、R9、R10、R11、R13、及びR14の各々は、水素である。
【0089】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基としてR1を含み、R3はt-ブチル基である。R7及びR12の各々は、エチル基である。R2、R4、R5、R6、R8、R9、R10、R11、R13、及びR14の各々は、水素である。
【0090】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基としてR1、R5、R7、R9、R10、R12、及びR14の各々を含み、R3は、t-ブチル基である。R2、R4、R6、R8、R11及びR13の各々は、水素である。
【0091】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基としてR1を含み、R3はt-ブチル基である。R5、R7、R9、R10、R12及びR14の各々は、i-プロピル基である。R2、R4、R6、R8、R11及びR13の各々は、水素である。
【0092】
一実施形態では、置換フェニレン芳香族ジエステルは、メチル基であるR
1を含む構造(II)を有し、R
3は、t-ブチル基である。R
2及びR
4の各々は、水素である。R
8及びR
9は、1-ナフトイル部分を形成するためのC
6員環の成員である。R
13及びR
14は、C
6員環の成員であり、別の1-ナフトイル部分を形成する。構造(II)は、以下に提供される。
【化3】
【0093】
一実施形態では、置換フェニレン芳香族ジエステルは、メチル基であるR
1を含む構造(III)を有し、R
3は、t-ブチル基である。R
2及びR
4の各々は、水素である。R
6及びR
7は、2-ナフトイル部分を形成するためのC
6員環の成員である。R
12及びR
13は、2-ナフトイル部分を形成するためのC
6員環の成員である。構造(III)は以下に提供される。
【化4】
【0094】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるR1を含み、R3はt-ブチル基である。R7及びR12の各々は、エトキシ基である。R2、R4、R5、R6、R8、R9、R10、R11、R13、及びR14の各々は、水素である。
【0095】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるR1を含み、R3はt-ブチル基である。R7及びR12の各々は、フッ素原子である。R2、R4、R5、R6、R8、R9、R10、R11、R13、及びR14の各々は、水素である。
【0096】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるR1を含み、R3はt-ブチル基である。R7及びR12の各々は、塩素原子である。R2、R4、R5、R6、R8、R9、R10、R11、R13、及びR14の各々は、水素である。
【0097】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるR1を含み、R3はt-ブチル基である。R7及びR12の各々は、臭素原子である。R2、R4、R5、R6、R8、R9、R10、R11、R13、及びR14の各々は、水素である。
【0098】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるR1を含み、R3はt-ブチル基である。R7及びR12の各々は、ヨウ素原子である。R2、R4、R5、R6、R8、R9、R10、R11、R13、及びR14の各々は、水素である。
【0099】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるR1を含み、R3はt-ブチル基である。R6、R7、R11、及びR12の各々は、塩素原子である。R2、R4、R5、R8、R9、R10、R13、及びR14の各々は、水素である。
【0100】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるR1を含み、R3はt-ブチル基である。R6、R8、R11、及びR13の各々は、塩素原子である。R2、R4、R5、R7、R9、R10、R12、及びR14の各々は、水素である。
【0101】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるR1を含み、R3はt-ブチル基である。R2、R4及びR5~R14の各々は、フッ素原子である。
【0102】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるR1を含み、R3はt-ブチル基である。R7及びR12の各々は、トリフルオロメチル基である。R2、R4、R5、R6、R8、R9、R10、R11、R13、及びR14の各々は、水素である。
【0103】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるR1を含み、R3はt-ブチル基である。R7及びR12の各々は、エトキシカルボニル基である。R2、R4、R5、R6、R8、R9、R10、R11、R13及びR14の各々は、水素である。
【0104】
一実施形態では、R1は、メチル基であり、R3は、t-ブチル基である。R7及びR12の各々は、エトキシ基である。R2、R4、R5、R6、R8、R9、R10、R11、R13、及びR14の各々は、水素である。
【0105】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるR1を含み、R3はt-ブチル基である。R7及びR12の各々は、ジエチルアミノ基である。R2、R4、R5、R6、R8、R9、R10、R11、R13、及びR14の各々は、水素である。
【0106】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるR1を含み、R3は2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル基である。R2、R4及びR5~R14の各々は、水素である。
【0107】
一実施形態では、構造(I)は、各々がsec-ブチル基であるR1及びR3を含む。R2、R4及びR5~R14の各々は、水素である。
【0108】
一実施形態では、置換フェニレン芳香族ジエステルは、R
1及びR
2がC
6員環の成員であり、1,2-ナフタレン部分を形成する、構造(IV)を有する。R
5~R
14の各々は、水素である。構造(IV)は、以下に提供される。
【化5】
【0109】
一実施形態では、置換フェニレン芳香族ジエステルは、R
2及びR
3がC
6員環の成員であり、2,3-ナフタレン部分を形成する、構造(V)を有する。R
5~R
14の各々は、水素である。構造(V)は、以下に提供される。
【化6】
【0110】
一実施形態では、構造(I)は、各々メチル基であるR1及びR4を含む。R2、R3、R5~R9、及びR10~R14の各々は、水素である。
【0111】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるR1を含む。R4は、i-プロピル基である。R2、R3、R5~R9、及びR10~R14の各々は、水素である。
【0112】
一実施形態では、構造(I)は、R1、R3、及びR4を含み、これらは各々、i-プロピル基である。R2、R5~R9及びR10~R14の各々は、水素である。
【0113】
一実施形態では、R1及びR4のそれぞれは、メチル基、エチル基、及びビニル基から選択される。R2及びR3のそれぞれは、水素、二級アルキル基、又は三級アルキル基から選択され、R2及びR3は、同時に水素ではない。換言すれば、R2が水素である場合、R3は水素ではない(逆もまた同様)。
【0114】
一実施形態では、二座様式で配位することができるポリエーテルを一般に含む第2の内部電子供与体が使用されてもよい。一実施形態では、第2の内部電子供与体は、構造VIの置換1,3-ジエーテルである。
【化7】
式中、R
1及びR
2は、同一又は異なる、メチル、C
2~C
18直鎖又は分岐鎖アルキル、C
3~C
18シクロアルキル、C
4~C
18シクロアルキル-アルキル、C
4~C
18アルキル-シクロアルキル、フェニル、有機ケイ素、C
7~C
18アリールアルキル、又はC
7~C
18アルキルアリールラジカルであり、R
1又はR
2もまた水素原子であってもよい。
【0115】
一実施形態では、第2の内部電子供与体は、環状又は多環式の構造VIIを有する1,3-ジエーテルを含んでもよい。
【化8】
式中、R
1、R
2、R
3、及びR
4は、構造VIのR
1及びR
2について記載したとおりであるか、又は組み合わせされて、任意にN、O又はSヘテロ原子を含有する、1つ以上のC
5~C
7縮合芳香族又は非芳香族環構造を形成してもよい。第2の内部電子供与体の特定の例としては、
4,4-ビス(メトキシメチル)-2,6-ジメチルヘプタン、9,9-ビス(メトキシメチル)フルオレン、又はこれらの混合物が挙げられる。
【0116】
前駆体は、無機ハロゲン化合物、好ましくはハロゲン化チタン化合物と更に反応(ハロゲン化)し、内部電子供与体を組み込むことにより、固体プロ触媒に変換される。
【0117】
前駆体のハロゲン化のための1つの好適な方法は、前駆体を、任意に炭化水素又はハロゲン化炭化水素希釈剤の存在下、高温で、四価のチタンハロゲン化物と反応させることによるものである。好ましい四価のチタンハロゲン化物は、四塩化チタンである。
【0118】
得られるプロ触媒組成物は、一般に、約0.5%~約6重量%、例えば約1.5%~約5重量%、例えば約2重量%~約4重量%の量でチタンを含有することができる。固体触媒は、一般に、約5重量%超の量、例えば約8重量%超の量、例えば約10重量%超の量、例えば約12重量%超の量、例えば約14重量%超の量、例えば約16重量%超の量のマグネシウムを含有することができる。マグネシウムは、約25重量%未満の量、例えば約23重量%未満の量、例えば約20重量%未満の量で触媒中に含有される。内部電子供与体は、約30重量%未満の量、例えば約25重量%未満の量、例えば約22重量%未満の量、例えば約20重量%未満の量、例えば約19重量%未満の量で、触媒組成物中に存在し得る。内部電子供与体は、一般に、約5重量%超の量、例えば約9重量%超の量で存在する。
【0119】
一実施形態では、プロ触媒組成物を、触媒系を形成するために共触媒と組み合わせる。触媒系は、重合条件下でオレフィンと接触させたときにオレフィン系ポリマーを形成する系である。触媒系は、任意に、外部電子供与体、活性制限剤、及び/又は様々な他の成分を含み得る。
【0120】
本明細書で使用される「共触媒」は、プロ触媒を活性重合触媒に変換することができる物質である。共触媒は、アルミニウム、リチウム、亜鉛、スズ、カドミウム、ベリリウム、マグネシウム、及びこれらの組み合わせの水素化物、アルキル、又はアリールを含んでもよい。一実施形態では、共触媒は、式R3Alで表されるヒドロカルビルアルミニウムコ触媒であり、式中、各Rは、アルキル、シクロアルキル、アリール又はヒドリドラジカルであり、少なくとも1つのRは、ヒドロカルビルラジカルであり、2つ又は3つのRラジカルは、複素環構造を形成する環状ラジカルに結合することができ、各Rは同じであっても異なっていてもよく、ヒドロカルビルラジカルである各Rは、1~20個の炭素原子、好ましくは1~10個の炭素原子を有する。更なる実施形態では、各アルキルラジカルは直鎖又は分枝鎖であってよく、かかるヒドロカルビルラジカルは、混合ラジカルであってもよく、すなわち、ラジカルはアルキル基、アリール基、及び/又はシクロアルキル基を含有し得る。好適なラジカルの非限定的な例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、2-メチルペンチル、n-ヘプチル、n-オクチル、イソオクチル、2-エチルヘキシル、5,5-ジメチルヘキシル、n-ノニル、n-デシル、イソデシル、n-ウンデシル、n-ドデシルである。
【0121】
好適なヒドロカルビルアルミニウム化合物の非限定的な例は次のとおりである:トリイソブチルアルミニウム、トリ-n-ヘキシルアルミニウム、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、ジ-n-ヘキシルアルミニウムヒドリド、イソブチルアルミニウムジヒドリド、n-ヘキシルアルミニウムジヒドリド、ジイソブチルヘキシルアルミニウム、イソブチルジヘキシルアルミニウム、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ-n-プロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ-n-ブチルアルミニウム、トリ-n-オクチルアルミニウム、トリ-n-デシルアルミニウム、トリ-n-ドデシルアルミニウム。一実施形態では、好ましい共触媒は、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ-n-ヘキシルアルミニウム、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、及びジ-n-ヘキシルアルミニウムヒドリドから選択され、最も好ましい共触媒は、トリエチルアルミニウムである。
【0122】
一実施形態では、共触媒は、式RnAlX3-nで表されるヒドロカルビルアルミニウム化合物であり、式中、n=1又は2であり、Rはアルキルであり、Xはハロゲン化物又はアルコキシドである。好適な化合物の非限定的な例は、次のとおりである:メチルアルミノオキサン、イソブチルアルミノキサン、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジイソブチルアルミニウムクロリド、テトラエチルジアルミノオキサン、テトライソブチルジアルミノオキサン、ジエチルアルミニウムクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、メチルアルミニウムジクロリド、及びジメチルアルミニウムクロリド。
【0123】
一実施形態では、触媒組成物は、外部電子供与体を含む。本明細書で使用される「外部電子ドナー」は、プロ触媒形成とは無関係に添加される化合物であり、金属原子に一対の電子を供与することができる少なくとも1つの官能基を含有する。特定の理論に拘束されるものではないが、外部電子供与体は、触媒の立体選択性を強化する(すなわち、フォルマントポリマー中のキシレン可溶性物質を還元する)と考えられている。
【0124】
一実施形態では、外部電子供与体は、アルコキシレート、アミン、エーテル、カルボキシレート、ケトン、アミド、カルバメート、ホスフィン、ホスフェート、ホスファイト、スルホンネート、スルホン、及び/又はスルホキシドのうちの1つ以上から選択され得る。
【0125】
一実施形態では、外部電子供与体はアルコキシシランである。アルコキシシランは、一般式SiRm(OR’)4-m(I)を有するアルコキシシランであり、式中、Rは、独立して、各出現時に、水素、又は1つ以上の14族、15族、16族若しくは17族のヘテロ原子を含有する1つ以上の置換基で任意に置換されているヒドロカルビル基若しくはアミノ基であり、当該R’は、水素及びハロゲン以外の原子を最大20個含有し、R’はC1~4アルキル基であり、mは0、1、2又は3である。一実施形態では、Rは、C6~12アリール、アルキル若しくはアラルキル、C3~12シクロアルキル、C3~12分岐鎖アルキル、又はC3~12環式若しくは非環式アミノ基であり、R’はC1~4アルキルであり、mは1又は2である。好適なシラン組成物の非限定的な例としては、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジ-tert-ブチルジメトキシシラン、メチルシクロヘキシルジメトキシシラン、メチルシクロヘキシルジエトキシシラン、エチルシクロヘキシルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジ-n-プロピルジメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、ジイソブチルジエトキシシラン、イソブチルイソプロピルジメトキシシラン、ジ-n-ブチルジメトキシシラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ジエチルアミノトリエトキシシラン、シクロペンチルピロリジノジメトキシシラン、ビス(ピロリジノ)ジメトキシシラン、ビス(ペルヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、及びジメチルジメトキシシランが挙げられる。一実施形態では、シラン組成物は、ジシクロペンチルジメトキシシラン(DCPDMS)、メチルシクロヘキシルジメトキシシラン(MChDMS)、ジイソプロピルジメトキシシラン(DIPDMS)、n-プロピルトリメトキシシラン(NPTMS)、ジエチルアミノトリエトキシシラン(DATES)、又はn-プロピルトリエトキシシラン(PTES)、及びこれらの任意の組み合わせである。
【0126】
一実施形態では、外部供与体は、少なくとも2つのアルコキシシランの混合物であり得る。更なる実施形態では、混合物は、ジシクロペンチルジメトキシシラン及びメチルシクロヘキシルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン及びテトラエトキシシラン、又はジシクロペンチルジメトキシシラン及びn-プロピルトリエトキシシランであり得る。
【0127】
一実施形態では、外部電子供与体は、ベンゾエート及び/又はジオールエステルのうちの1つ以上から選択される。別の実施形態では、外部電子供与体は、2,2,6,6-テトラメチルピペリジンである。更に別の実施形態では、外部電子供与体はジエーテルである。
【0128】
一実施形態では、触媒組成物は、活性制限剤(ALA:activity limiting agent)を含む。本明細書で使用される「活性制限剤」(「ALA」)は、高温(すなわち、約85℃を超える温度)で触媒活性を低下させる物質である。ALAは、重合反応器の不調を抑制又はさもなければ阻止し、重合プロセスの継続を確実にする。典型的には、チーグラー・ナッタ触媒の活性は、反応器の温度が上昇するにつれて増大する。チーグラー・ナッタ触媒はまた、典型的には、生成されたポリマーの融点に近い温度で高い活性を維持する。発熱重合反応によって生じた熱は、ポリマー粒子凝集体を形成させる場合があり、最終的にはポリマー生成プロセスを中断させ得る。ALAは、高温で触媒活性を低下させ、それにより反応器の不調を阻止し、粒子の凝集を低減(又は阻止)し、重合プロセスの継続を確実にする。
【0129】
活性制限剤は、カルボン酸エステル、ジエーテル、ポリ(アルケングリコール)、ポリ(アルケングリコール)エステル、ポリ(アルケングリコール)エステル、ジオールエステル及びこれらの組み合わせであってもよい。カルボン酸エステルは、脂肪族又は芳香族のモノ又はポリカルボン酸エステルであり得る。好適なモノカルボン酸エステルの非限定的な例としては、エチル及びメチルベンゾエート、エチルp-メトキシベンゾエート、メチルp-エトキシベンゾエート、エチルp-エトキシベンゾエート、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、酢酸エチル、エチルp-クロロベンゾエート、ヘキシルp-アミノベンゾエート、ナフテン酸イソプロピル、n-アミルトルエート、シクロヘキサン酸エチル、及びピバル酸プロピルが挙げられる。
【0130】
一実施形態では、外部電子供与体及び/又は活性制限剤を、反応器に別々に加えてもよい。別の実施形態では、外部電子供与体及び活性制限剤を予め混合し、次いで混合物として反応器に添加してもよい。混合物では、2つ以上の外部電子供与体又は2つ以上の活性制限剤を使用することができる。一実施形態では、混合物は、ジシクロペンチルジメトキシシラン及びミリスチン酸イソプロピル、ジシクロペンチルジエトキシシラン及びポリ(エチレングリコール)ラウレート、ジシクロペンチルジメトキシシラン及びミリスチン酸イソプロピル及びポリ(エチレングリコール)ジオレエート、メチルシクロヘキシルジメトキシシラン及びミリスチン酸イソプロピル、n-プロピルトリメトキシシラン及びミリスチン酸イソプロピル、ジメチルジメトキシシラン及びメチルシクロヘキシルジメトキシシラン及びミリスチン酸イソプロピル、ジシクロペンチルジメトキシシラン及びn-プロピルトリエトキシシラン及びミリスチン酸イソプロピル、並びにジシクロペンチルジメトキシシラン及びテトラエトキシシラン及びミリスチン酸イソプロピル、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0131】
一実施形態では、触媒組成物は、前述の活性制限剤のいずれかと組み合わせた前述の外部電子供与体のいずれかを含む。
【0132】
上記の触媒系は、本開示のヘテロ相ポリマー組成物の生成に特に適していることがわかっている。
【0133】
本開示のポリプロピレン組成物の物理的特性、特に組成物の流動特性により、組成物は、成形物品の製造に特に適している。ポリプロピレン組成物を、例えば、射出成形、吹込成形、及び回転成形の用途で使用することができる。
【0134】
本開示のポリプロピレンポリマー組成物を、多数の様々な物品及び製品を作製するために使用することができる。優れた耐衝撃性と併せて高い透明特性を有するポリマー組成物により、ポリマー組成物は、保管容器の製造に特に適している。保管容器は、例えば、食品包装であってもよい。ポリマーの耐衝撃特性により、保管容器は、例えば、冷凍庫内に食料品を入れておくために使用することができる。
図1を参照すると、例えば、本開示に従って作製された保管容器の一実施形態が示されている。図示されるように、保管容器10は、1つ以上の品目を受容するための中空内部を画定する容器部分14を備える。容器部分14を蓋12と一致させることができる。蓋12は、容器部分14のリムと連動するチャネル及びフランジを備えることができる。本開示によれば、容器10の内容物を容器の壁を通して見ることができる。
【0135】
食品容器に加えて、本開示に従って様々な他の保管容器を作製することができる。例えば、本開示のポリマー組成物を使用して、より大きな保管容器を作製することができる。例えば、より大きな保管容器は、温度スイングが生じ得る、屋根裏、ガレージ又は他の保管施設内に種々の品目を保管するように設計することができる。
【0136】
本開示は、以下の実施例を参照してよりよく理解され得る。
【実施例】
【0137】
様々な異なるヘテロ相ポリプロピレンコポリマーのサンプルを製造し、衝撃強度及びヘイズを含む様々な特性について試験した。ヘテロ相コポリマーを、一般に、上記の触媒と共に上述したプロセスを使用して作製した。詳しくは、コポリマーは、第1の気相反応器内でマトリックスポリマーを作製した後、第1の反応器の内容物を第2の気相反応器に通過させる連続重合として知られる二重反応器構成で作製した。コモノマーとしてエチレンを使用した。エチレン含有量を、第1相ポリマー及び第2相ポリマーにおいて制御した。
【0138】
試験片へと射出成形したポリマーペレットサンプルを製造した。ペレット化の間に、ペンタエリスリトールテトラキス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)1000ppm;トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト1000ppm;酸掃去剤(ハイドロタルサイト)180ppm;グリセロールモノステアレート2000ppm、及び清澄化剤4000ppmを含む添加剤パッケージをポリマーに加えた。試験片をASTM試験D4101に従って作製して、屈曲試験及びIZOD試験用の試験片を製造した。
【0139】
以下のポリプロピレン組成物を生成した。
【表2】
表1
【0140】
サンプル1番~5番を本開示に従って作製した。サンプル6番は典型的なランダムコポリマーであり、比較サンプルである。
【0141】
上記の組成物を様々な特性について試験した。以下の結果を得た。
【表3】
表2
【0142】
上に示すように、ポリプロピレンヘテロ相ポリマー組成物は、非常に低いヘイズと併せて優れた耐衝撃強度を示した。
【0143】
本発明に対するこれら及び他の修正及び変形は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、当業者によって実施され得、これは、添付の特許請求の範囲においてより具体的に記載される。加えて、様々な実施形態の態様は、全体的に又は部分的に交換され得ることを理解されたい。更に、当業者であれば、前述の説明はあくまで例としてであり、そのような添付の特許請求の範囲に更に記載されるように本発明を限定することを意図するものではないことを理解するであろう。
本発明は以下の態様を含む。
[1]
ポリプロピレン組成物であって、
ポリプロピレンランダムコポリマーを含む第1のポリマー相であって、前記ポリプロピレンランダムコポリマーが約4重量%未満の量のエチレンを含有する、第1のポリマー相と、
前記第1のポリマー相と組み合わされた第2のポリマー相であって、前記第2のポリマー相が、約10重量%~約20重量%の量のエチレンを含有するプロピレンエチレンコポリマーを含む、第2のポリマー相とを含み、
前記ポリプロピレン組成物が、230℃の温度及び2.16kgの荷重で15g/10分以上のメルトフローレートを有し、前記組成物が、0℃で約300インチ・ポンド~約500インチ・ポンドのガードナー落下衝撃強度を有する、組成物。
[2]
前記組成物が、約1重量%未満の量の清澄化剤を更に含有し、前記ポリプロピレン組成物が、1mmで約15%未満のヘイズを有する、[1]に記載のポリプロピレン組成物。
[3]
前記組成物が、約400MPa~約1000MPaの曲げ弾性率を有する、[1]又は[2]のいずれかに記載のポリプロピレン組成物。
[4]
前記組成物が、23℃で約200J/m超、及び0℃で約80J/m超のIZOD衝撃強度を有する、[1]~[3]のいずれかに記載のポリプロピレン組成物。
[5]
前記ポリプロピレン組成物が、約15%~約30%の総低温キシレン可溶分含量を有する、[1]~[4]のいずれかに記載のポリプロピレン組成物。
[6]
前記第1のポリマー相中のポリプロピレンランダムコポリマーが固有粘度を有し、前記第2のポリマー相中のプロピレンエチレンコポリマーが固有粘度を有し、前記第2相ポリマーの固有粘度の前記第1相ポリマーに対する比が約1.1~約2である、[1]~[5]のいずれか記載のポリプロピレン組成物。
[7]
前記第1のポリマー相中のポリプロピレンランダムコポリマーが、約2重量%~約3.5重量%の量のエチレンを含有する、[1]~[6]のいずれかに記載のポリプロピレン組成物。
[8]
前記第2のポリマー相中のプロピレンエチレンコポリマーが、約14重量%~約17重量%の量のエチレンを含有する、[1]~[7]のいずれかに記載のポリプロピレン組成物。
[9]
前記第2のポリマー相が、約20重量%~約40重量%の量で前記ポリプロピレン組成物中に存在する、[1]~[8]のいずれかに記載のポリプロピレン組成物。
[10]
前記ポリプロピレン組成物が、1mmで約10%未満のヘイズを有し、23℃で約300J/m~約900J/mのノッチ付IZOD衝撃強度を有し、0℃で約100J/m~約600J/mのノッチ付IZOD衝撃強度を有する、[1]~[9]のいずれかに記載のポリプロピレン組成物。
[11]
前記ポリプロピレン組成物が、約17g/10分~約30g/10分のメルトフローレートを有する、[1]~[10]のいずれかに記載のポリプロピレン組成物。
[12]
前記第1のポリマー相中のポリプロピレンランダムコポリマーが、チーグラー・ナッタ触媒されており、前記第2のポリマー相中の前記プロピレンエチレンコポリマーもまた、チーグラー・ナッタ触媒されている、[1]~[11]のいずれかに記載のポリプロピレン組成物。
[13]
前記第1のポリマー相のポリプロピレンランダムコポリマー及び前記第2のポリマー相の前記プロピレンエチレンコポリマーの生成に使用される前記チーグラー・ナッタ触媒が、いずれも、置換フェニレン芳香族ジエステルを含む内部電子供与体を含む、[12]に記載のポリプロピレン組成物。
[14]
前記組成物が、キシレン可溶性部分を有し、前記キシレン可溶性部分が0.75~1未満のKoenig B値を有する、[13]に記載のポリプロピレン組成物。
[15]
前記組成物がキシレン不溶性部分を有し、前記キシレン不溶性部分が0.75~1未満のKoenig B値を有する、[13]に記載のポリプロピレン組成物。
[16]
前記第1のポリマー相のポリプロピレンランダムコポリマーが、約10%未満のキシレン可溶性画分を有する、[1]~[15]のいずれかに記載のポリプロピレン組成物。
[17]
前記組成物が、制酸剤及び抗酸化剤を更に含有する、[1]~[16]のいずれかに記載のポリプロピレン組成物。
[18]
[1]~[17]のいずれかに記載のポリプロピレン組成物から形成される成形物品。
[19]
前記成形物品が射出成形物品である、[18]に記載の成形物品。
[20]
[1]~[17]のいずれかに記載のポリプロピレン組成物から形成される保管容器。
[21]
前記保管容器が食品包装を含む、[20]に記載の保管容器。