(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】弾性の抗菌フィルムおよびそれから作られるソケット
(51)【国際特許分類】
A61L 27/34 20060101AFI20231031BHJP
A61K 9/70 20060101ALI20231031BHJP
A61K 31/496 20060101ALI20231031BHJP
A61K 31/65 20060101ALI20231031BHJP
A61K 38/18 20060101ALI20231031BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20231031BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20231031BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20231031BHJP
A61L 27/16 20060101ALI20231031BHJP
A61L 27/18 20060101ALI20231031BHJP
A61L 27/20 20060101ALI20231031BHJP
A61L 27/22 20060101ALI20231031BHJP
A61L 27/24 20060101ALI20231031BHJP
A61L 27/26 20060101ALI20231031BHJP
A61L 27/28 20060101ALI20231031BHJP
A61L 27/40 20060101ALI20231031BHJP
A61L 27/44 20060101ALI20231031BHJP
A61L 27/50 20060101ALI20231031BHJP
A61L 27/54 20060101ALI20231031BHJP
A61L 27/58 20060101ALI20231031BHJP
A61L 31/04 20060101ALI20231031BHJP
A61L 31/06 20060101ALI20231031BHJP
A61L 31/08 20060101ALI20231031BHJP
A61L 31/10 20060101ALI20231031BHJP
A61L 31/12 20060101ALI20231031BHJP
A61L 31/14 20060101ALI20231031BHJP
A61L 31/16 20060101ALI20231031BHJP
A61N 1/39 20060101ALI20231031BHJP
A61P 23/00 20060101ALI20231031BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20231031BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20231031BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20231031BHJP
A61P 31/10 20060101ALI20231031BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
A61L27/34
A61K9/70
A61K31/496
A61K31/65
A61K38/18
A61K45/00
A61K47/26
A61K47/34
A61L27/16
A61L27/18
A61L27/20
A61L27/22
A61L27/24
A61L27/26
A61L27/28
A61L27/40
A61L27/44
A61L27/50
A61L27/50 300
A61L27/54
A61L27/58
A61L31/04 100
A61L31/04 110
A61L31/04 120
A61L31/06
A61L31/08
A61L31/10
A61L31/12
A61L31/12 100
A61L31/14
A61L31/14 500
A61L31/16
A61N1/39
A61P23/00
A61P29/00
A61P31/00
A61P31/04
A61P31/10
A61P43/00 121
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021002539
(22)【出願日】2021-01-12
(62)【分割の表示】P 2017551593の分割
【原出願日】2016-03-31
【審査請求日】2021-01-29
(32)【優先日】2015-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】520119079
【氏名又は名称】ファウンドリー セラピューティクス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100113376
【氏名又は名称】南条 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100179394
【氏名又は名称】瀬田 あや子
(74)【代理人】
【識別番号】100185384
【氏名又は名称】伊波 興一朗
(74)【代理人】
【識別番号】100137811
【氏名又は名称】原 秀貢人
(72)【発明者】
【氏名】ワン ホンレイ
(72)【発明者】
【氏名】ロー ジンナン
【審査官】工藤 友紀
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0165795(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0198278(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 27/00-27/60
A61L 31/00-31/18
A61K 9/00-9/72
A61K 31/00-31/80
A61K 38/00-38/58
A61K 45/00-45/08
A61K 47/00-47/69
A61N 1/39
A61P 31/00-31/22
A61P 41/00-43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上フィルム層、中フィルム層、および下フィルム層を含む移植可能なフィルムを製造する方法であって、前記方法は:
生分解性ポリマー、放出剤、および活性剤を溶媒中で混合し、前記溶媒を蒸発させて中フィルム層を形成することによって、中フィルム層を形成するステップ、ここで、前記活性剤は、中フィルム層の40wt%から80wt%を構成する、
浸漬コーティングによって前記中フィルム層の上表面に上フィルム層を形成するステップ、ここで、前記上フィルム層は、生分解性ポリマーを含む、および
浸漬コーティングによって前記中フィルム層の下表面に下フィルム層を形成するステップ、ここで、前記下フィルム層は、生分解性ポリマーを含む、
を含み、
ここで、前記中フィルム層の周囲は、移植可能なフィルムが手術部位に移植される際に、前記中フィルム層の周囲が手術部位で体液と接触するように、前記上フィルム層および下フィルム層の形成後に露出したままであ
り、
かつ
前記放出剤は、前記中フィルム層の周囲が手術部位で体液と接触する際に、前記中フィルム層の生分解性ポリマーから溶解または離脱する1または複数の親水性小分子を含む、
方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記活性剤は、麻酔薬を含む
方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
前記放出剤は、ポリソルベートを含む
方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、
前記放出剤は、ポリエチレングリコールを含む、
方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、
前記中フィルム層、上フィルム層、および下フィルム層の生分解性ポリマーは、それぞれポリ(ラクチド-コ-グリコリド)を含む、
方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、
前記移植可能なフィルム中に1または複数の穴を形成するステップをさらに含む、
方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、
前記1または複数の穴は、前記移植可能なフィルムが手術部位に移植される際に、活性剤の放出を増強するように構成される、
方法。
【請求項8】
請求項6に記載の方法であって、
1または複数の穴は円形の穴である、
方法。
【請求項9】
請求項6に記載の方法であって、
前記1または複数の穴は、それぞれ0.1mmから5mmの範囲の直径を有する、
方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法であって、
手術部位に移植される際に、前記移植可能なフィルムが14日間の期間にわたって手術部位で活性剤を放出するよう構成される、
方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法であって、
手術部位に移植される際に、少なくとも10wt%の活性剤が移植から24時間以内に放出される、
方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法であって、
前記移植可能なフィルムは、1μmから2000μmの範囲の厚さを有する、
方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法であって、
前記上および下フィルム層は、少なくとも移植前に活性剤を含まない、
方法。
【請求項14】
請求項1に記載の方法であって、
前記放出剤は、
ソルビトール、キシリトール、マンニトール、200~2000Daの数平均分子量を有するポリエチレングリコール、ポリソルベートまたは尿素の1以上を含む、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機器の移植と関連する感染を防ぐ、抗生物質アーティクルに関する。
【背景技術】
【0002】
過去10年にわたり、心血管系移植可能電子デバイス(CIED)の使用が劇的に拡大しており、主に除細動器療法の増加によって駆り立てられている。CIEDの導入以来、ジェネレーターの移行、リードの転置、およびTwindler症候群のような、非常に多くの合併症例が存在していて、それらは全て移植の移行または転置に関与し、さらに介入が必要となる。CIEDを収容するためのポーチは、体内に移植されたときに安定した環境を作ることを目的として開発されている。この役割のために用いられる典型的なポーチは、3つのサイドで密封されて、デバイスを前記ポーチの中へ置くための1つの開口部を有する。
【0003】
さらに、CIEDが移植される割合が増加するにつれて、CIED感染の数に、関係する増加が見られる(Voigt et al.PACE.2010;33(4):414-419)。CIED感染と関連する入院患者死亡率は、8.4%~11.6%の範囲である(Tarakji et al.Heart Rhythm.2010;7(8):1043-1047)。CIED感染を治療する平均費用は非常に高く、およそ146,000米国ドルである。しかしながら、2013年以来、米国では、Centers for Medicare&Medicaid Services(CMS)は、CIEDのような医療機器の外科的移植の結果として得られる感染の治療と関連する費用を病院に返済するのをやめている(http://www.cms.gov/newsroom/mediareleasedatabase/fact-sheets/2013-fact-sheets-items/2013-08-02-3.html)。したがって、院内CIED感染の治療において、患者および病院の両方に重大な経済的影響が存在する。移植可能な医療機器に付着させることのできる、または、その表面の周りを包む、抗菌アーティクルは、抗菌剤が時間とともに医療機器の周囲環境中に溶出することによって、感染を低減、防止、または軽減するのを助け得る。
【0004】
国際特許出願公報WO2008/127411、WO2008/136856、WO2009/113972、WO2012/064963およびWO2013/013123に開示される多くの抗菌アーティクルは、CIED移行およびその移植に起因する感染と関連する問題の対処を探し求めている。TYRX,Inc.によって開発されたこのAbsorbable Antibacterial Envelope(Medtronicによって買収された医療機器企業)は、体内に移植されたときに安定した環境を作るのを助けるために、ペースメーカーパルス発生器または除細動器を保持するように設計された、完全に吸収性の滅菌補綴である。TYRX Absorbable Antibacterial Envelopeは、吸収性フィラメント(グリコリド、カプロラクトン、およびトリメチレンカーボネートから作られるポリマー)から織られた、大きな孔を有するメッシュであり、吸収性ポリアリレートポリマーによってコーティングされている。吸収性ポリマーコーティングは、2つの抗菌剤:ミノサイクリンおよびリファンピシンを含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このシステムおよびそれに似た他のものは、それらの使用目的に効果的であることが判明されているが、これらのデバイスは、新たな挑戦および問題を提示する。第一に、前記デバイスで用いられるエンベロープ/ポーチは、挿入されるCIEDよりも通常大きな開口部を有しており、CIEDが滑り落ちる潜在的なリスクをもたらす。さらに、これらのデバイスは、非常に多くのサイズのCIEDに応じるように設計され、材料の相対的な剛性および非弾力性のせいで、より小さなCIEDが滑り落ちるリスクを増大させる。それ故に、様々なサイズのCIEDを確実に保持することのできる新規かつ改善された設計および構造に関する必要性が存在する。
【0006】
さらに、上記のアーティクルは、感染を対処する何らかの助けになるが、これらの抗菌アーティクルの使用での問題が存在する。例えば、上述のアーティクルは、特に、両方の薬剤が異なる親水値を有する場合は、リファンピンおよびミノサイクリンでの場合と同様に、しばしば、両方の薬剤を一緒に表面上にコーティングし、または、両方の薬剤を材料内に染み込ませて、両方の薬剤の放出を一緒に制御することができない。1よりも多い抗菌剤を用いることが得策である場合、両方の薬剤の放出を、必要とされる期間にわたり、必要とされる濃度の活性剤をそれらが提供するように、制御することが重要である。さらに、表面上にコーティングされた抗菌剤は、簡単に放出される傾向があり、したがって、長期間にわたり抗菌剤の放出速度に対する制御が最小限である。したがって、改善された抗生物質アーティクルに関する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、異なるサイズのCIEDを確実に保持することが可能であるように設計された、柔らかくて弾性の生分解性の制御放出の抗生物質ソケット(例えばスリーブまたはバンド)が提供される。そのようなものとして、ソケット(すなわち、スリーブ、バンドまたはポケット)は、少なくとも1つの開口部を有する弾性材料で構成されて、デバイスおよびしたがって開口部の全ては、挿入される物体よりも小さい。ソケットおよびその開口部は、挿入される物体よりも大きなサイズに伸ばすことができ、前記デバイスの簡単な挿入を可能にする。前記デバイスが挿入された時点で、エラストマーのポリマー材料で作られたソケットは、その元のサイズに戻ることが可能であり、したがって、そこへ挿入されたデバイスを確実に保持する。弾性の生分解性の制御放出の抗生物質ソケットは、体内に移植されたときに安定した環境を提供して;および、制御された様式で、移植中および/または移植後に、少なくとも1つの抗菌剤の放出によって感染を低減、防止、または軽減させるために、心臓移植可能電子デバイス(CIED)を確実に保持することを目的とする。薬剤放出は、ポリマーの選択、層の追加、様々な層の厚さのチューニング、および、放出剤の使用によって制御される。
【0008】
したがって、本発明の第一の態様では、移植可能な医療機器を確実に保持するための、制御放出の抗生物質ソケットが提供され、以下を備える:
少なくとも1つのポリマー層から作られる、少なくとも1つのフィルム(前記の少なくとも1つのフィルムは、ソケットに形成される);
少なくとも1つの抗生物質製剤;および
ソケットにおける少なくとも1つの開口部、
ここで、前記の少なくとも1つのポリマー層は、生分解性のエラストマーのポリマー材料を含み;および
前記の少なくとも1つの抗生物質製剤は、前記の少なくとも1つのポリマー層の少なくとも1つの中に分散されて、および/または、フィルムが少なくとも2つのポリマー層を含む場合は、前記の少なくとも1つの抗生物質製剤は、2つのポリマー層の間に別個の層として配置される。
【0009】
ソケットの実施態様では、ソケットは、少なくとも1つの開口部を備えるポケット、または、少なくとも2つの開口部を備えるスリーブ/バンドの形状であり得ることが理解されよう。ソケットが移植可能な医療機器を確実に保持するためには、エラストマーの材料から作られたソケットは、その中に挿入される医療機器よりも小さいことがさらに理解される。このことは、フィルムを作り上げるエラストマーのポリマー材料から生産される弾力的に保持する力によって、ソケットが医療機器(例えば、CIEDデバイス)を確実に保持する結果となり得る。
【0010】
本発明の第二の態様では、移植可能な医療機器を確実に保持するための、少なくとも1つのポリマー層から作られた、制御放出の抗生物質フィルムが提供され、フィルムは、生分解性のエラストマーのポリマー材料から作られた、少なくとも1つのポリマー層を含み;および少なくとも1つの抗生物質製剤は、前記の少なくとも1つのポリマー層の少なくとも1つの中に分散されて、および/または、フィルムが少なくとも2つのポリマー層を含む場合は、前記の少なくとも1つの抗生物質製剤は、2つのポリマー層の間に別個の層として配置される。
【0011】
ソケット(およびしたがって開口部)は、ソケット中へのCIEDの挿入を可能にするために、少なくとも1.1倍(例えば、1.2倍~10倍)伸長可能であり、および、ソケット内のCIEDを確実に保持して滑り落ちるのを防ぐために、80%よりも高くまで元に戻ることができる。本明細書において言及され得るアーティクルの構成は、少なくとも1つのフィルム(それ自体が、少なくとも1つのポリマー層および少なくとも1つの抗菌剤を含む);および、表面上に非常に多くの穴および少なくとも1つの開口部を備える。
【0012】
本発明のソケットおよび/またはフィルムの特定の実施態様では:
(a)フィルムは、少なくとも2つのポリマー層を有してよい。例えば、フィルムは、2~10のポリマー層(例えば、2~9のポリマー層、例えば、3~7のポリマー層)を有してよい;
(b)フィルムは、ソケット中に挿入された物体上に弾発力を加える;
(c)ソケットまたはフィルムは、伸長後に、デバイスを弾発係合する(または弾力的に保持する)ことができ、または、その元のサイズから、拡張したサイズに伸長して、そして、その元のサイズ、または拡張したサイズマイナス(拡張したサイズと元のサイズとの間の違いの80%)よりも大きくないサイズに戻ることが可能であり、場合により、ソケットまたはフィルムは、その元のサイズから、拡張したサイズに伸長して、そして、その元のサイズ、または拡張したサイズマイナス(拡張したサイズと元のサイズとの間の違いの90%)よりも大きくないサイズに戻ることが可能である;
(d)前記の少なくとも1つのポリマー層の生体吸収性ポリマーは、ポリ(DL-ラクチド-コ-カプロラクトン)(DL-PLCL)、または、より具体的には、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリグリコリド(PGA)、ポリ(L-乳酸)(PLA)、ポリ(トリメチレンカーボネート)(PTMC)、ポリジオキサノン(PDO)、ポリ(4-ヒドロキシ酪酸)(PHB)、ポリヒドロキシアルカノエート類(PHA)、ポリ(ホスファゼン)、ポリ(リン酸エステル)、ポリ(アミノ酸)、ポリデプシペプチド類、ポリ(ブチレンサクシネート)(PBS)、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンフマレート、ポリイミノカーボネート類、ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)(PLCL)、ポリ(グリコリド-コ-カプロラクトン)(PGCL)コポリマー、ポリ(D,L-乳酸)、ポリグリコール酸、ポリ(L-ラクチド-コ-D,L-ラクチド)、ポリ(L-ラクチド-コ-グリコリド)、ポリ(D,L-ラクチド-コ-グリコリド)、ポリ(グリコリド-トリメチレンカーボネート)、ポリ(グリコリド-コ-カプロラクトン)(PGCL)、ポリ(エチルグルタメート-コ-グルタミン酸)、ポリ(tert-ブチルオキシ-カルボニルメチルグルタメート)、ポリ(セバシン酸グリセロール)、チロシン由来のポリカーボネート、ポリ1,3-ビス-(p-カルボキシフェノキシ)ヘキサン-コ-セバシン酸、ポリホスファゼン、エチルグリシネートポリホスファゼン、ポリカプロラクトン コ-ブチルアクリレート、ポリヒドロキシ酪酸のコポリマー、無水マレイン酸のコポリマー、ポリ(トリメチレンカーボネート)のコポリマー、ポリエチレングリコール(PEG)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびセルロース誘導体、多糖類(例えば、ヒアルロン酸、キトサンおよびスターチ)、タンパク質(例えば、ゼラチンおよびコラーゲン)またはPEG誘導体およびそれらのコポリマーからなる群の1つまたは複数より選択され得る(例えば、前記の少なくとも1つのポリマー層の生体吸収性ポリマーは、ポリ(DL-ラクチド-コ-カプロラクトン)(DL-PLCL)、または、より具体的には、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリグリコリド(PGA)、ポリ(L-乳酸)(PLA)、ポリジオキサノン(PDO)、ポリ(4-ヒドロキシ酪酸)(PHB)、ポリヒドロキシアルカノエート類(PHA)、PEGおよびその誘導体、およびそれらのコポリマーからなる群の1つまたは複数より選択され得る(例えば、ポリ(DL-ラクチド-コ-カプロラクトン)(DL-PLCL)、または、より具体的には、ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)(PLCL)、ポリ(グリコリド-コ-カプロラクトン)(PGCL)コポリマー、または、より好ましくは、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリグリコリド(PGA)、ポリ(L-乳酸)(PLA)、PEGおよびその誘導体およびそれらのコポリマーからなる群の1つまたは複数より選択される。言及され得る特定のポリマーは、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ(DL-ラクチド-コ-カプロラクトン)(DL-PLCL)、ポリ(グリコリド-コ-カプロラクトン)(PGCL)、ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)(PLCL)およびその誘導体およびそれらのコポリマーを含む));
(e)前記の少なくとも1つのポリマー層の生体吸収性ポリマーは、ポリ(エステル-ウレタン)類、ポリ(ジオールシトレート類)、およびポリ(4-ヒドロキシブチレート)類、ポリ(セバシン酸グリセロール)、およびstar-ポリ(ε-カプロラクトン-コ-D,L-ラクチド)、ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)(PLCL)、ポリ(DL-ラクチド-コ-カプロラクトン)(DL-PLCL)、ポリ(グリコリド-コ-カプロラクトン)(PGCL)、および、ジ-、トリ-、またはマルチポリマーの合成を通して調製され、ブロック、星形、または線形の構造で構築的に配列され、および、熱可塑性プラスチックまたは熱硬化性として調製された、他の生分解性のエラストマー、それらのコポリマー、および混合物またはブレンド(例えば、PLCL、DL-PLCLおよびPGCL、そのコポリマー、および混合物またはブレンド、例えば、PLCL、そのコポリマー、および混合物またはブレンド)からなる群の1つまたは複数より選択され得る;
(f)前記の少なくとも1つのポリマー層の少なくとも1つは、6よりも大きな疎水性-脂溶性バランスを有する1つまたは複数の生体適合性親水性小分子からなる放出剤をさらに含んでよい(例えば、放出剤は、ソルビトール、キシリトール、グリセリン、マンニトール、200~2000の数平均分子量を有するポリエチレングリコール(PEG)、ポリソルベートおよび尿素(例えば、ポリソルベート40、または、より具体的には、ポリソルベート20、ポリソルベート60およびポリソルベート80の1つまたは複数から選択される)からなる群の1つまたは複数より選択される));
(g)前記の少なくとも1つのポリマー層のうちの1つの生体吸収性のエラストマーのポリマー材料は、ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)(PLCL)であり得て(例えば、90:10~60:40のPLA対PCL比を有する)または、その誘導体、およびそれらのコポリマー、および/または、前記の少なくとも1つのポリマー層のうちの1つの生体吸収性のエラストマーのポリマー材料は、ポリ(DL-ラクチド-コ-カプロラクトン)(DL-PLCL)(例えば、90:10~50:50のDL-PLA対PCL比を有する)またはその誘導体およびそれらのコポリマーであり、および/または、前記の少なくとも1つのポリマー層のうちの1つの生体吸収性のエラストマーのポリマー材料は、ポリ(グリコリド-コ-カプロラクトン)(PGCL)(例えば、90:10~10:90のPGA対PCL比を有する)またはその誘導体およびそれらのコポリマーであり、または、より具体的には、前記の少なくとも1つのポリマー層のうちの1つの生体吸収性のエラストマーのポリマー材料は、PCLおよびPLAのブレンドであってよい(例えば、PCLおよびPLAのブレンド比は、1:9~9:1のwt:wt比を有する);
(h)前記の少なくとも1つのポリマー層のうちの1つの生体吸収性のエラストマーのポリマー材料は、DL-PLCLまたはPGCL、または、より具体的には、PLCLと、ポリソルベート20、ポリソルベート60、ポリソルベート80、または、200~2000ダルトンの分子量を有するポリエチレングリコールから選択される1つまたは複数の群より選択される放出剤との、放出剤に対するPLCLが25:1~1:9のwt:wt比でのブレンドであってよい;
(i)少なくとも1つのポリマー層のうちの1つの生体吸収性ポリマーは、PCLまたはPLAであってよい;
(j)少なくとも1つのポリマー層のうちの1つの生体吸収性ポリマーは、ポリ(D,L-ラクチド/グリコリド)のコポリマー、例えば、PLGAであってよい(例えば、1:9~9:1のPLA対PGA比を有する);
(k)ポリマーの数平均分子量は、5,000ダルトン以上(例えば、5,000~500,000ダルトンまたは、5,000ダルトンと500,000ダルトンとの間)であってよい;
(l)前記の少なくとも1つの抗生物質製剤は、それが中に存在するそれぞれのポリマー層の生体吸収性ポリマーと混和性であってよい;
(m)ポリマーフィルムの少なくとも1つの層において、前記の少なくとも1つの抗生物質製剤は、それが中に存在するポリマー層の少なくとも1つの中に均一に分配され得る(例えば、前記の少なくとも1つの抗生物質製剤がポリマー層内に分配される場合は、前記ポリマー層内に均一に分配される);
(n)フィルムが少なくとも2つのポリマー層を有する場合は、前記の少なくとも1つの抗生物質製剤は、少なくとも2つのポリマー層の中に分配される;
(o)フィルムが少なくとも2つのポリマー層を有する場合は、前記の少なくとも1つの抗生物質製剤は、2つのポリマー層の間に挟まれた別個の層を形成する;
(p)フィルムが少なくとも2つのポリマー層を有し、および、前記の少なくとも1つの抗生物質製剤が少なくとも3つの抗生物質層として存在する場合は、抗生物質層は、ポリマー層の間に挟まれ、第一の抗生物質製剤の層は、第二の抗生物質製剤の2つの層の間、または、第二の抗生物質製剤の層と第三の抗生物質製剤の層との間に挟まれる;
(q)フィルムが少なくとも2つのポリマー層を有し、および、前記の少なくとも1つの抗生物質製剤が少なくとも2つの抗生物質層として存在する場合は、抗生物質層は、ポリマー層の間に挟まれ、第一の抗生物質製剤の層は、ポリマー層と第二の抗生物質層との間に挟まれる;
(r)ポリマーフィルムの少なくとも1つの層において、前記の少なくとも1つの抗生物質製剤は、前記ポリマー層の0.1wt~99wt%、例えば、0.1wt%~95wt%(例えば、0.1wt%~90wt%または0.1wt%~80wt%、例えば、0.1wt%~60wt%)の量で存在してよく、例えば、ポリマーフィルムの少なくとも1つの層において、前記の少なくとも1つの抗生物質製剤は、前記ポリマー層の0.1wt%~30wt%(例えば、1wt%~25wt%)の量で存在してよく、場合により、前記ポリマー層は溶剤流延(solvent cast)であり、および/または、ポリマーフィルムの前記の少なくとも1つの層において、前記の少なくとも1つの抗生物質製剤は、前記ポリマー層の10wt%~95wt%(例えば、10wt%~60wt%、または30wt%~95wt%、例えば、40wt%~80wt%)の量で存在してよく、場合により、前記ポリマー層は、基材上に噴霧コーティングされたものである;
(s)フィルムは、穴をさらに含んでよく、例えば、穴のそれぞれの直径は、0.1mm~5mm(例えば、0.3mm~2mm、または、より具体的には、0.3mm~1mm)または、0.5mm~15mm(例えば、1mm~20mm)であってよく、場合により:
(i)穴の形状は、均一でなくてよく、または、穴は円形であってよい;および/または
(ii)穴のサイズは均一でなくてよい;および/または
(iii)フィルムから構成されたソケット上の穴は、フィルム全体にわたって均等に分配されてよく、または、フィルムの中位に集中してよく(シールを避ける)、または、シールにより近くてよい;
(t)フィルムの合計の厚さは、1μm~2000μm(例えば、10μm~500μm、例えば、40μm~300μm)であってよい。
(u)ポリマーフィルムのそれぞれの層の厚さは、0.01μm~1000μm(例えば、0.01μm~200μm)であってよい;
(v)前記の少なくとも1つの抗生物質製剤は、防腐剤、殺菌剤、または、より具体的には、抗菌剤または抗真菌剤であってよく(例えば、抗菌剤は、テトラサイクリンおよびその誘導体(例えば、ミノサイクリン、チゲサイクリンおよびドキシサイクリン)、リファンピン、トリクロサン、クロルヘキシジン、ペニシリン類、アミノグリシド類、キノロン類、バンコマイシン、ゲンタマイシン、セファロスポリン系(例えばセファロスポリン)、カルバペネム類、イミペネム、エルタペネム、抗菌ペプチド、セクロピン-メリチン、メガイニン、デルマセプチン、カテリシジン、α-デフェンシン類、α-プロテグリン類、および、薬学的に許容できるそれらの塩(例えば、リファンピンおよび別の抗菌剤の組み合わせ、例えば、リファンピンおよびテトラサイクリン誘導体の組み合わせ)からなる群の1つまたは複数より選択されてよく、抗菌剤は、リファンピンと、ミノサイクリン、ドキシサイクリン、および、チゲサイクリンから選択される群の1つまたは複数との組み合わせ(例えば、リファンピンとドキシサイクリン、リファンピンとチゲサイクリン、または、より具体的には、リファンピンとミノサイクリン、例えば、リファンピンおよび/またはミノサイクリンの組み合わせ、例えば、リファンピンとミノサイクリンの組み合わせであってよく、ミノサイクリンに対するリファンピンの比は、1:10~10:1(wt/wt)(例えば2:5~5:2(wt/wt))であり、抗真菌剤は、アゾール類(例えば、ケトコナゾール、クロトリマゾール、ミコナゾール、エコナゾール、イトラコナゾール、フルコナゾール、ビフコナゾール、テルコナゾール、ブタコナゾール、チオコナゾール、オキシコナゾール、スルコナゾール、サペルコナゾール、クロトリマゾール、ボリコナゾール、クロトリマゾール)、アリルアミン類(例えば、テルビナフィン)、モルホリン類(例えば、アモロルフィンおよびナフチフィン)、グリセオフルビン、ハロプロジン、ブテナフィン、トルナフテート、ナイスタチン、シクロヘキサミド、シクロピロックス、フルシトシン、テルビナフィン、アンホテリシンB、および、薬学的に許容できるそれらの塩からなる群の1つまたは複数より選択されてよい。
(w)前記の少なくとも1つの抗生物質製剤は、移植後1~30日の期間にわたり、抗生物質フィルムから放出され得て、例えば
(i)前記の少なくとも1つの抗生物質製剤は、移植後3~14日の期間にわたり、抗生物質フィルムから放出され得る;
(ii)前記の少なくとも1つの抗生物質製剤の10wt%よりも多くは、移植の24時間以内に放出され得て、前記の少なくとも1つの抗生物質製剤の残部は、移植後3~14日の期間にわたり、抗生物質フィルムから放出される。
(x)フィルムは、単一のポリマー層を有してよく、および、少なくとも1つの抗生物質を含む(例えば、前記の少なくとも1つの抗生物質は、ミノサイクリンおよび/またはリファンピシンである);
(y)フィルムは、3つのポリマー層を有してよく、中位層は、少なくとも1つの抗生物質を含む(例えば、前記の少なくとも1つの抗生物質は、ミノサイクリンおよび/またはリファンピシンである);
(z)フィルムは、3つのポリマー層を有してよく、中位層は、少なくとも1つの抗生物質を含み(例えば、前記の少なくとも1つの抗生物質は、ミノサイクリンまたはリファンピシンである)、外側の層は、さらなる抗生物質を含む(例えば、中位層の前記の少なくとも1つの抗生物質がミノサイクリンである場合、外側の層のさらなる抗生物質はリファンピシンであり、逆も同様であるという条件で、さらなる抗生物質は、ミノサイクリンまたはリファンピシンである)。
(aa)フィルムは、5つのポリマー層を有してよく、中位層は、少なくとも1つの抗生物質を含み(例えば、前記の少なくとも1つの抗生物質は、ミノサイクリンまたはリファンピシンである)、中位層のすぐ上および下の層は、さらなる抗生物質を含み(例えば、中位層の前記の少なくとも1つの抗生物質がミノサイクリンである場合、外側の層のさらなる抗生物質はリファンピシンであり、逆も同様であるという条件で、さらなる抗生物質は、ミノサイクリンまたはリファンピシンである);
(bb)フィルムは、5つのポリマー層を有してよく、ここで、中位層のすぐ上および下の層は、抗生物質を含む(例えば、抗生物質は、ミノサイクリンおよび/またはリファンピシンである;
(cc)フィルムは、5つのポリマー層を有してよく、中位の2つの層は、少なくとも1つの抗生物質を含む(例えば、前記の少なくとも1つの抗生物質は、ミノサイクリンおよび/またはリファンピシンである);
(dd)フィルムは、2つのポリマー層を有してよく、2つの層は、それぞれ、少なくとも1つの抗生物質を含む(例えば、前記の少なくとも1つの抗生物質は、ミノサイクリンおよび/またはリファンピシンである);
(ee)フィルムの全体重量に対する前記の少なくとも1つの抗生物質の量は、0.001wt%~30wt%、または、より具体的には、0.001wt%~20wt%、例えば、0.001wt%~20wt%(例えば、0.01wt%~5wt%、または0.5wt%~5wt%)であってよい;
(ff)フィルムは、2つの外側の層を有し、外側の層は、粗くて、滑らかでない表面を有してよい。
【0013】
本明細書において言及され得るフィルムおよび/またはソケットの実施態様では:
(i)フィルムは、中に分散された少なくとも1つの抗生物質を含む単一のポリマー層である(例えば、前記の少なくとも1つの抗生物質は、ミノサイクリンおよび/またはリファンピシンである);または
(ii)フィルムは、中に分散された少なくとも1つの抗生物質を含む放出剤およびポリマー材料を含む単一のポリマー層である(例えば、前記の少なくとも1つの抗生物質は、ミノサイクリンおよび/またはリファンピシンである);または
(iii)フィルムは、上、中位、および、下の層が存在するように3つのポリマー層を有し、ここで、中位層はポリマー材料のみからなり、上および下の層は、それぞれ、その中に分散された少なくとも1つの抗生物質を含む(例えば、前記の少なくとも1つの抗生物質は、ミノサイクリンおよび/またはリファンピシンである);または
(iv)フィルムは、上、中位、および、下の層が存在するように3つのポリマー層を有し、ここで、中位層はポリマー材料のみからなり、上および下のポリマー層は、それぞれ、その中に分散された少なくとも1つの抗生物質をさらに含む放出剤およびポリマー材料をさらに含む(例えば、前記の少なくとも1つの抗生物質は、ミノサイクリンおよび/またはリファンピシンである);または
(v)フィルムは、上、上-中間、中位、下-中間、および下の層が存在するように5つの層を有し、ここで、中位層はポリマー材料のみからなり、上-中間および下-中間の層は、その中に分散された少なくとも1つの抗生物質を含み(例えば、前記の少なくとも1つの抗生物質は、ミノサイクリンおよび/またはリファンピシンである)、および、上および下のポリマー層は、その中に分散された少なくとも1つのさらなる抗生物質を含み(例えば、前記の少なくとも1つのさらなる抗生物質は、ミノサイクリンおよび/またはリファンピシンである)、場合により、上-中間および下-中間の層がリファンピシンを含む場合、上および下の層は、その中に分散されたミノサイクリンを含み、または逆も同様である;または
(vi)フィルムは、1つの中央ポリマー層、および、中に分散された少なくとも1つの抗生物質を含む2つの外側ポリマー層(例えば、前記の少なくとも1つの抗生物質は、ミノサイクリンおよび/またはリファンピシンである)を、中央層と外側ポリマー層のそれぞれとの間に挟まれた抗生物質層(例えば、抗生物質層は、ミノサイクリンおよび/またはリファンピシンを含む)とともに含む、5つの層を有する;または
(vii)フィルムは、上、上-中間、中位、下-中間、および下の層が存在するように5つの層を有し、ここで、中位層はポリマー材料のみからなり、上-中間および下-中間のポリマー層は、それぞれ、その中に分散された少なくとも1つの抗生物質をさらに含む放出剤およびポリマー材料を含み(例えば、前記の少なくとも1つの抗生物質は、ミノサイクリンおよび/またはリファンピシンである)、上および下のポリマー層は、それぞれ、その中に分散された少なくとも1つのさらなる抗生物質を含む放出剤およびポリマー材料を含み(例えば、前記の少なくとも1つのさらなる抗生物質は、ミノサイクリンおよび/またはリファンピシンである)、場合により、上-中間および下-中間のポリマー層がリファンピシンを含む場合、上および下のポリマー層は、その中に分散されたミノサイクリンを含み、または逆も同様である;または
(viii)フィルムは、上、上-中間、上-中位-中間、中位、下-中位-中間、下-中間および下のポリマー層が存在するように7つの層を有し、ここで、中位層はポリマー材料のみからなり、上-中位-中間および下-中位-中間のポリマー層は、それぞれ、その中に分散された少なくとも1つの抗生物質を含むポリマー材料を含み(例えば、前記の少なくとも1つの抗生物質は、ミノサイクリンおよび/またはリファンピシンである)、上-中間および下-中間のポリマー層は、それぞれ、ポリマー材料および放出剤を含み、上および下のポリマー層は、それぞれ、その中に分散された少なくとも1つのさらなる抗生物質をさらに含み(例えば、前記の少なくとも1つの抗生物質は、ミノサイクリンおよび/またはリファンピシンである)、場合により、上-中位-中間および下-中位-中間のポリマー層がリファンピシンを含む場合、上および下のポリマー層は、その中に分散されたミノサイクリンを含み、または逆も同様である;または
(ix)フィルムは、上、上-中間、上-中位-中間、中位、下-中位-中間、下-中間および下のポリマー層が存在するように7つの層を有し、ここで、中位層はポリマー材料のみからなり、上-中位-中間および下-中位-中間の層は、少なくとも1つの抗生物質からなり(例えば、前記の少なくとも1つの抗生物質は、ミノサイクリンおよび/またはリファンピシンである)、上-中間および下-中間の層は、ポリマー材料および放出剤を含み、前記の上および下の層は、それぞれ、ポリマー材料およびその中に分散された少なくとも1つのさらなる抗生物質を含み(例えば、前記の少なくとも1つの抗生物質は、ミノサイクリンおよび/またはリファンピシンである)、場合により、上-中位-中間および下-中位-中間のポリマー層がリファンピシンを含む場合、上および下のポリマー層は、その中に分散されたミノサイクリンを含み、または逆も同様である;または
(x)フィルムは、上、上-中間、上-中位-中間、中位、下-中位-中間、下-中間および下のポリマー層が存在するように7つの層を有し、ここで、中位層は、ポリマー材料のみからなり、上-中位-中間および下-中位-中間のポリマー層は、それぞれ、その中に分散された少なくとも1つの抗生物質を含むポリマー材料を含み(例えば、前記の少なくとも1つの抗生物質は、ミノサイクリンおよび/またはリファンピシンである)、上-中間および下-中間のポリマー層は、それぞれ、ポリマー材料および放出剤を含み、上および下のポリマー層は、それぞれ、ポリマー材料および放出剤を含み、およびそれぞれ、その中に分散された少なくとも1つのさらなる抗生物質をさらに含み(例えば、前記の少なくとも1つのさらなる抗生物質は、ミノサイクリンおよび/またはリファンピシンである)、場合により、上-中位-中間および下-中位-中間のポリマー層がリファンピシンを含む場合、上および下のポリマー層は、その中に分散されたミノサイクリンを含み、または逆も同様である;または
(xi)フィルムは、上、上-中間、上-中位-中間、中位、下-中位-中間、下-中間および下のポリマー層が存在するように7つの層を有し、ここで、中位、上-中間および下-中間のポリマー層は、ポリマー材料のみからなり、上-中位-中間および下-中位-中間のポリマー層は、それぞれ、その中に分散された少なくとも1つの抗生物質を含むポリマー材料を含み(例えば、前記の少なくとも1つの抗生物質は、ミノサイクリンおよび/またはリファンピシンである)、上および下のポリマー層は、それぞれ、その中に分散された少なくとも1つのさらなる抗生物質を含み(例えば、前記の少なくとも1つのさらなる抗生物質は、ミノサイクリンおよび/またはリファンピシンである)、場合により、上-中位-中間および下-中位-中間のポリマー層がリファンピシンを含む場合、上および下のポリマー層は、その中に分散されたミノサイクリンを含み、または逆も同様である;または
(xii)フィルムは、7つの層を有し、中位層は、生分解性の弾性のポリマー層であり、中位層のすぐ上および下の層は、少なくとも1つの抗生物質を含み(例えば、前記の少なくとも1つの抗生物質は、ミノサイクリンおよび/またはリファンピシンである)、抗生物質層の上の層は、ポリマー層であり、外側の層は、それぞれ、ポリマー材料およびさらなる抗生物質を含む(例えば、中間層の前記の少なくとも1つの抗生物質がミノサイクリンである場合、外側の層のさらなる抗生物質はリファンピシンであり、逆も同様であるという条件で、さらなる抗生物質はミノサイクリンまたはリファンピシンである);または
(xiii)フィルムは、上、上-中間、上-中位-中間、中位、下-中位-中間、下-中間および下のポリマー層が存在するように7つの層を有し、ここで、中位、上-中間および下-中間のポリマー層は、ポリマー材料のみからなり、上-中位-中間および下-中位-中間のポリマー層は、それぞれ、その中に分散された少なくとも1つの抗生物質を含むポリマー材料を含み(例えば、前記の少なくとも1つの抗生物質は、ミノサイクリンおよび/またはリファンピシンである)、上および下のポリマー層は、それぞれ、ポリマー材料および放出剤を含み、および、その中に分散された少なくとも1つのさらなる抗生物質をそれぞれ含み(例えば、前記の少なくとも1つのさらなる抗生物質は、ミノサイクリンおよび/またはリファンピシンである)、場合により、上-中位-中間および下-中位-中間のポリマー層がリファンピシンを含む場合、上および下のポリマー層は、その中に分散されたミノサイクリンを含み、または逆も同様である;または
(xiv)フィルムは3つのポリマー層を有し、ここで、中位ポリマー層は、その中に分散された少なくとも1つの抗生物質を含む(例えば、前記の少なくとも1つの抗生物質は、ミノサイクリンおよび/またはリファンピシンである);または
(xv)フィルムは3つのポリマー層を有し、ここで、中位ポリマー層は、その中に分散された少なくとも1つの抗生物質を含み(例えば、前記の少なくとも1つの抗生物質は、ミノサイクリンおよび/またはリファンピシンである)、上および下の層は、その中に分散された少なくとも1つのさらなる抗生物質を含む(例えば、前記の少なくとも1つのさらなる抗生物質は、ミノサイクリンまたはリファンピシンであり;場合により、中位層の前記の少なくとも1つの抗生物質がミノサイクリンである場合、外側の層の前記の少なくとも1つのさらなる抗生物質はリファンピシンであり、逆も同様である);または
(xvi)フィルムは3つのポリマー層を有し、ここで、中位ポリマー層は、その中に分散された少なくとも1つの抗生物質を含む放出剤およびポリマー材料を含み(例えば、前記の少なくとも1つの抗生物質は、ミノサイクリンおよび/またはリファンピシンである)、上および下の層は、それぞれ、その中に分散された少なくとも1つのさらなる抗生物質を含む放出剤およびポリマー材料を含む(例えば、前記の少なくとも1つのさらなる抗生物質は、ミノサイクリンまたはリファンピシンであり;場合により、中位層の前記の少なくとも1つの抗生物質がミノサイクリンである場合、外側の層の前記の少なくとも1つのさらなる抗生物質はリファンピシンであり、逆も同様である);または
(xvii)フィルムは、上、上-中間、中位、下-中間、および下の層が存在するように5つのポリマー層を有し、ここで、中位層は、その中に分散された少なくとも1つの抗生物質を含み(例えば、前記の少なくとも1つの抗生物質は、ミノサイクリンまたはリファンピシンである)、上-中間および下-中間のポリマー層は、その中に分散された少なくとも1つのさらなる抗生物質を含む(例えば、前記の少なくとも1つのさらなる抗生物質は、ミノサイクリンまたはリファンピシンであり、場合により、中位層の前記の少なくとも1つの抗生物質がミノサイクリンである場合、上-中間および下-中間の層の前記の少なくとも1つのさらなる抗生物質はリファンピシンであり、逆も同様である);または
(xviii)フィルムは、上、上-中間、中位、下-中間、および下の層が存在するように5つのポリマー層を有し、ここで、中位層は、その中に分散された少なくとも1つの抗生物質を含み(例えば、前記の少なくとも1つの抗生物質は、ミノサイクリンまたはリファンピシンである)、上-中間および下-中間のポリマー層は、その中に分散された少なくとも1つのさらなる抗生物質を含み(例えば、中位層の前記の少なくとも1つの抗生物質がミノサイクリンである場合、上-中間および下-中間の層の前記の少なくとも1つのさらなる抗生物質はリファンピシンであり、逆も同様であるという条件で、前記の少なくとも1つのさらなる抗生物質はミノサイクリンまたはリファンピシンである)、上および下の層は、それぞれ、ポリマー材料および放出剤を含む;または
(xix)フィルムは、上、上-中間、中位、下-中間、および下の層が存在するように5つのポリマー層を有し、ここで、上-中間および下-中間のポリマー層は、少なくとも1つの抗生物質を含む(例えば、さらなる抗生物質は、ミノサイクリンおよび/またはリファンピシンである);または
(xx)フィルムは4つのポリマー層を有し、ここで、中位の2つのポリマー層は、少なくとも1つの抗生物質を含む(例えば、前記の少なくとも1つの抗生物質は、ミノサイクリンおよび/またはリファンピシンである);または
(xxi)フィルムは4つのポリマー層を有し、ここで、中位の2つのポリマー層は、その中に分散された少なくとも1つの抗生物質を含み(例えば、前記の少なくとも1つの抗生物質は、ミノサイクリンおよび/またはリファンピシンである)、2つの最も外側の層は、ポリマー材料および放出剤を含む;または
(xxii)フィルムは2つのポリマー層を有し、ここで、前記の2つのポリマー層は、それぞれ、少なくとも1つの抗生物質を含む(例えば、前記の少なくとも1つの抗生物質は、ミノサイクリンおよび/またはリファンピシンである);または
(xxiii)フィルムは2つのポリマー層を有し、ここで、ポリマー層のうちの1つは、少なくとも1つの抗生物質をさらに含み(例えば、前記の少なくとも1つの抗生物質は、ミノサイクリンおよび/またはリファンピシンである)、他方のポリマー層は、少なくとも1つの抗生物質(例えば、前記の少なくとも1つの抗生物質はミノサイクリンおよび/またはリファンピシンである)および放出剤をさらに含み、場合により、放出剤も含む層内の抗生物質は、ミノサイクリンであり、他方の層はリファンピシンを含み、または逆も同様である;または
(xxiv)フィルムは、上、上-中間、中位、下-中間、および下の層が存在するように5つの層を有し、ここで、中位層はポリマー材料のみからなり、上-中間および下-中間のポリマー層は、それぞれ、ポリマー材料およびその中に分散された少なくとも1つの抗生物質を含み(例えば、前記の少なくとも1つの抗生物質は、ミノサイクリンおよび/またはリファンピシンである)、上および下のポリマー層は、それぞれ、ポリマー材料、放出剤、および、その中に分散された少なくとも1つのさらなる抗生物質を含み(例えば、前記の少なくとも1つのさらなる抗生物質は、ミノサイクリンおよび/またはリファンピシンである)、場合により、上-中間および下-中間のポリマー層がリファンピシンを含む場合、上および下のポリマー層は、その中に分散されたミノサイクリンを含み、または逆も同様である;または
(xxv)フィルムは、上、上-中位、下-中位および下の層が存在するように4つの層を有し、ここで、上の層は、ポリマー材料、放出剤、および、少なくとも1つの抗生物質を含み(例えば、前記の少なくとも1つのさらなる抗生物質は、ミノサイクリンおよび/またはリファンピシンである)、上-中位の層は、少なくとも1つの抗生物質からなり(例えば、前記の少なくとも1つのさらなる抗生物質は、ミノサイクリンおよび/またはリファンピシンである)、下-中位の層は、ポリマー材料および少なくとも1つの抗生物質を含み(例えば、前記の少なくとも1つのさらなる抗生物質は、ミノサイクリンおよび/またはリファンピシンである)、下の層は、ポリマー材料のみからなる.
【0014】
用語「少なくとも1つの抗生物質」が、1つよりも多い層を有するフィルムまたはそれから作られるソケットに関して上記で用いられる場合、抗生物質を含むすべての層における同一の抗生物質(または同一の混合物)の使用、および/または、フィルムまたはそれから作られるソケットの層における異なる抗生物質(および/または抗生物質の異なる混合物)を指し得ることが理解されよう。
【0015】
本明細書に記載のソケットの実施態様では、移植可能な医療機器は、心血管系移植可能電子デバイス(CIED)であってよい。
【0016】
本発明のさらなる態様では、以下が提供される:
(i)感染および関係がある疾患および障害の治療または予防での使用のための、本発明の第一および第二の態様(および、単独または任意の適切な組み合わせのいずれかでのそれらの様々な実施態様)で示されるソケットまたはフィルム;
(ii)感染および関係がある疾患および障害の治療または予防での使用のための薬物の製造での、本発明の第一および第二の態様(および、単独または任意の適切な組み合わせのいずれかでのそれらの様々な実施態様)で示されるソケットまたはフィルム;または
(iii)コーティングされた移植可能な医療機器を提供するために、本発明の第一の態様(および、単独または任意の適切な組み合わせのいずれかでのその様々な実施態様)で示されるソケットの中に、移植可能な医療機器の少なくとも一部を置くステップ、および、前記移植から生じる感染および関係がある疾患および障害を治療または予防するために、コーティングされた移植された医療機器を、対象の中に置くステップ、を含む、治療の方法。
【0017】
上記の態様の実施態様では、フィルムは、対象の中に移植される医療機器の表面の少なくとも一部をカバーするために用いられ得る。
【0018】
本発明のさらなる態様では、医療機器および本発明の第一の態様(および、単独または任意の適切な組み合わせのいずれかでのその様々な実施態様)で示されるソケットを含む、移植可能な医療機器が提供され、フィルムは、医療機器の一部または全体をカバーし、そして、移植後に体内での医療機器の移行を低減または防止するのに適切である。例えば、フィルムは、医療機器の一部または全体を取り囲むエンベロープまたはポーチの形状で提供され得る。特定の実施態様では、デバイスは、フィルムの露出した表面の全体または一部の上にコーティングされた、さらなる活性剤(例えば増殖因子、抗炎症薬、または麻酔薬)をさらに含んでよい。
【0019】
また、本発明のさらなる態様では、本発明の第一および第二の態様(および、単独または任意の適切な組み合わせのいずれかでのそれらの様々な実施態様)で示されるソケットまたはフィルムを作成するための方法が提供され、ソケットが2以上のポリマー層を有するフィルムから作られる場合、または、フィルムが2以上のポリマー層を有する場合、フィルムは、ポリマー層を一緒に合わせるために、加熱溶融、加熱圧縮、噴霧コーティング、浸漬コーティング、ケミカルグラフティング、静電気吸着、化学的架橋の1つまたは複数の使用によって調製される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1-3】本発明の一実施態様によって設計された、穴を有するアーティクル(医療機器を取り囲むソケット)の略図を示す。
【
図4】本発明の実施態様に係る、層状の設計の例を示す。
【
図5】本発明の例示された実施態様における、ミノサイクリン(5-1)およびリファンピン(5-2)の累積放出プロファイルを示す。
【
図6】本発明の一実施態様に係る、単一のフィルムにおけるミノサイクリンおよびリファンピンの累積放出プロファイルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の抗生物質ソケットは、ソケットに少なくとも1つの開口部を有する、弾性のフィルム材料(1つまたは複数のエラストマーのポリマー層を含む)から作られるソケットに関する。ソケットは、保持することが意図される物体よりも小さく、したがって、それに挿入された物体を確実に保持(例えば、物体を弾発係合し、保持し、または固定)するように、物体が挿入されるのを可能にするサイズまで伸長されて、それから、その元のサイズに戻る(作られている弾性の材料に起因する)。挿入された物体の確実な/弾力性の固定は、CIEDが滑り落ちる可能性を大いに低減させる。加えて、ソケット(または、ソケットが作られるフィルム)は、粗い表面を有してもよく、それは、物体をソケットに固定するのを助け、および、体内への移植後にソケットが物体を固定するのも助け得る。加えて、粗い表面は、フィルム/それから作られるソケットが表面に付着する(すなわち、表面に接着する)のも防ぎ得て、例えば、粗さは、ソケットの内側表面が互いに接着しないのを確実にし得て、それにより、デバイスを挿入するためのソケットの簡単な開口を可能にする。さらに、ソケット(または、ソケットが作られるフィルム)は、摩擦を増やして移植の移行を減らすのを助け、ならびに、滲出液の流出を可能にし得る、非常に多くの穴を含んでもよい。ソケットの設計は、したがって、デバイスがソケットの外に落ちるリスクを伴わずに、様々なサイズの医療機器(例えばCIED)を確実に保持し、移植中のデバイスの移行を防止または低減することが可能である。
【0022】
加えて、本発明の抗生物質ソケットは、単一層または多層の生分解性/生体吸収性ポリマーフィルムを含んでよく、少なくとも1つの抗生物質製剤が、少なくとも1つのポリマー層の中に含まれ、または、抗生物質は、少なくとも2つのポリマー層によってカプセル化された別個の層として配置されて、所望の期間、前記の少なくとも1つの抗生物質製剤に関する必要な溶出プロファイルを提供する制御放出マトリックスを形成してよい。また、単一層または多層構造は、抗炎症薬のような他の機能性製剤、または麻酔薬または増殖因子剤が取り込まれてもよい。
【0023】
したがって、移植可能な医療機器を確実に保持するための、制御放出の抗生物質ソケットが提供され、以下を備える:
少なくとも1つのポリマー層から作られる、少なくとも1つのフィルム(前記の少なくとも1つのフィルムは、ソケットに形成される);
少なくとも1つの抗生物質製剤;および
ソケットにおける少なくとも1つの開口部、ここで
前記の少なくとも1つのポリマー層は、生分解性のエラストマーのポリマー材料を含み;および
前記の少なくとも1つの抗生物質製剤は、前記の少なくとも1つのポリマー層の少なくとも1つの中に分散されて、および/または、フィルムが少なくとも2つのポリマー層を含む場合は、前記の少なくとも1つの抗生物質製剤は、2つのポリマー層の間に別個の層として配置される。
【0024】
本明細書で用いられる場合、用語「ソケット」は、別個の物体を、前記の別個の物体の全体または一部を取り囲むことによって、確実に保持することが意図されるデバイスを意味することが意図される(例えば、ソケットは、物体の一部をカバーされないままにして物体のさらなる接続性を可能にし得る)。本発明の文脈から、ソケットは、保持することが意図される物体よりも小さいことが意図されること、および、保持される物体よりも大きなサイズに伸長され得て、それから、保持される物体がソケット内に置かれた時点でその元のサイズに戻るように、その弾性の性質によって確実な保持を達成することが理解される。明らかであるように、ソケットは、物体がその中に挿入されるのを可能にするための少なくとも1つの開口部を必要とし、したがって、ソケットは、単一の開口部を有する場合は、ポケットと記載されてもよい。代替の配列では、ソケットは、2つの開口部を有してよく、したがって、スリーブまたはバンドと呼ばれてもよい。ソケットは、2つよりも多い開口部を含んでもよいことが理解されよう。
【0025】
ソケットは、少なくとも1つのフィルムから作られる。したがって、移植可能な医療機器を確実に保持するための、少なくとも1つのポリマー層から作られたフィルムも提供されて、フィルムは以下を含む:
生分解性のエラストマーのポリマー材料から作られた、少なくとも1つのポリマー層;および
少なくとも1つの抗生物質製剤は、前記の少なくとも1つのポリマー層の少なくとも1つの中に分散されて、および/または、フィルムが少なくとも2つのポリマー層を含む場合は、前記の少なくとも1つの抗生物質製剤は、2つのポリマー層の間に別個の層として配置される。
【0026】
明らかであるように、ソケットおよびフィルムの両方とも、それらは任意の方向に伸長/変形して、それらの元のサイズおよび形状に戻ることができる点で、弾性である。この特性は、ソケットがその中に置かれた物体を確実に保持するのを可能にする。これは、フィルムを含むエラストマーのポリマー材料によって、ソケットの中に挿入された物体に加えられた弾発力によって達成され得る。したがって、ソケットまたはフィルムは、伸長後に、フィルムから形成されたソケットの中に挿入されたデバイスを、弾発係合するまたは弾力的に保持することができる。追加的または代替的に、ソケットまたはフィルムは、その元のサイズから、拡張したサイズに伸長して、そして、その元のサイズ、または拡張したサイズマイナス(拡張したサイズと元のサイズとの間の違いの80%)よりも大きくないサイズに戻ることができ、場合により、ソケットまたはフィルムはその元のサイズから、拡張したサイズに伸長して、そして、その元のサイズ、または拡張したサイズマイナス(拡張したサイズと元のサイズとの間の違いの90%)よりも大きくないサイズに戻ることができる。
【0027】
本発明の制御放出の抗生物質ソケットは、ソケット内の物体(すなわち、CIED)の高い安定性を提供し、物体がソケットの外に落ちる可能性を減らし、広範囲の物体(すなわち、異なるサイズのCIED)に関して、1つのサイズのソケットを用いて効果的にそれを達成することが可能である。弾性のポリマー材料の選択は、弾性率と歪み回復との複雑なバランスである。高弾性(低弾性率)を有する特定のポリマーは、歪み回復が低く、および、物体をうまく保持することができない。相対的に低弾性(高弾性率)である他のポリマーは、異なるサイズの物体を確実に保持することのできるスリーブの構築に適切でない。スリーブの設計は、その中の物体(すなわちCIED)の安定性を高めるのを助ける。したがって、ポリマーフィルムを形成するのに用いられる材料の選択においては注意する必要がある。
【0028】
本発明の第一の実施態様における、ソケットを作り上げる制御放出の弾性の生分解性の抗生物質フィルムは、単一層または多層を含んでよく、少なくとも1つの抗生物質製剤を少なくとも1つの層内に含み、所望の期間、前記の少なくとも1つの抗生物質製剤に関する必要な溶出プロファイルを提供する制御放出マトリックスを形成する。1つまたは複数の層は、同一層内またはフィルムの他の層において、少なくとも1つの抗生物質製剤の放出の制御を高めるための放出剤を含んでよい。また、単一層または多層構造は、抗炎症薬のような他の機能性製剤、または麻酔薬または増殖因子剤が取り込まれてもよい。
【0029】
したがって、移植可能な医療機器を確実に保持するための、少なくとも1つのポリマー層から作られた、制御放出の抗生物質フィルムが提供されて、フィルムは、生分解性のエラストマーのポリマー材料から作られた、少なくとも1つのポリマー層を含み;少なくとも1つの抗生物質製剤は、前記の少なくとも1つのポリマー層の少なくとも1つの中に分散されて、および/または、フィルムが少なくとも2つのポリマー層を含む場合は、前記の少なくとも1つの抗生物質製剤は、2つのポリマー層の間に別個の層として配置される。
【0030】
本発明の制御放出の抗生物質ソケットおよびフィルムは、以前の薬剤溶出アーティクルと比較して、高い制御の薬剤溶出特性を提供する。これは、様々な因子のチューニング、例えば、活性剤(単数または複数)が、異なる層(単数または複数)の中に取り込まれる場合は(ポリマー層の中に分散されるようと、またはポリマー層の間に挟まれた別個の層が形成されようと)、さらなる層(ポリマー層または薬剤層)の使用、使用されるポリマーの制御、層の厚さの制御、薬剤-ポリマー混成比、放出剤(単数または複数)の添加、および、活性剤(単数または複数)の放出比を制御するために設計された層状構造によって、達成される。これらの特性は、ポリマーフィルムからの異なる放出プロファイルを有する2以上の活性剤の放出プロファイルが、独立に制御され得るポリマーフィルムの設計を可能にすることが理解されよう。このことは、活性剤が同時に放出されるのを可能にし、または、活性剤の一方または他方が、他方の活性剤と比較してより迅速に放出されることなどを可能にする。
【0031】
本明細書で用いられる場合、用語「抗生物質フィルム」および「抗生物質製剤」は、抗菌、抗真菌、防腐または殺菌性のフィルムおよび/または製剤を指し得る。特定の例では、「抗生物質フィルム」および「抗生物質製剤」は、抗菌剤または抗真菌剤を指し得る。
【0032】
本明細書において言及され得る抗菌剤の例は、テトラサイクリンおよびその誘導体(例えば、ミノサイクリン、チゲサイクリンおよびドキシサイクリン)、リファンピン、トリクロサン、クロルヘキシジン、ペニシリン類、アミノグリシド類、キノロン類、バンコマイシン、ゲンタマイシン、セファロスポリン類(例えばセファロスポリン)、カルバペネム類、イミペネム、エルタペネム、抗菌ペプチド、セクロピン-メリチン、メガイニン、デルマセプチン、カテリシジン、α-デフェンシン類、α-プロテグリン類、薬学的に許容できるそれらの塩およびそれらの組み合わせを含む。言及され得る抗菌剤の特定の組み合わせは、リファンピンおよび別の抗菌剤の組み合わせ、例えば、リファンピンおよびテトラサイクリン誘導体の組み合わせを含む(例えばミノサイクリン、ドキシサイクリン、および、チゲサイクリン、そのような組み合わせは、リファンピンとドキシサイクリン、リファンピンとチゲサイクリン、または、より具体的には、リファンピンとミノサイクリンを含む)。
【0033】
例えば、抗菌剤が、リファンピンおよびミノサイクリンの組み合わせである場合、ミノサイクリンに対するリファンピンの比は、1:10~10:1(wt/wt)(例えば、2:5~5:2(wt/wt))である。
【0034】
本明細書において用いられる場合、「リファンピシン」および「リファンピン」は、本明細書において相互交換可能に用いられて、CAS番号13292-46-1を有する活性剤、またはその塩類および/または溶媒和物を指す。
【0035】
本明細書において言及され得る抗真菌剤の例は、アゾール類(例えば、ケトコナゾール、クロトリマゾール、ミコナゾール、エコナゾール、イトラコナゾール、フルコナゾール、ビフコナゾール、テルコナゾール、ブタコナゾール、チオコナゾール、オキシコナゾール、スルコナゾール、サペルコナゾール、クロトリマゾール、ボリコナゾール、クロトリマゾール)、アリルアミン類(例えば、テルビナフィン)、モルホリン類(例えば、アモロルフィンおよびナフチフィン)、グリセオフルビン、ハロプロジン、ブテナフィン、トルナフテート、ナイスタチン、シクロヘキサミド、シクロピロックス、フルシトシン、テルビナフィン、アンホテリシンB、および、薬学的に許容できるそれらの塩を含む。
【0036】
本明細書において用いられる場合、用語「放出剤」または「親水性小分子」は、2000ダルトン未満の分子量を有し、水と接触した場合または生理学的条件において、マトリックスから溶解または除去することが可能な、天然または合成の化学物質を指し得る。本明細書において言及され得る放出剤の例は、ソルビトール、キシリトール、グリセリン、マンニトール、200~2000ダルトンの数平均分子量を有するポリエチレングリコール(PEG)、ポリソルベートおよび尿素、または、6よりも大きな疎水性-脂溶性バランスを有する任意の分子(例えば、2000ダルトン未満の分子量を有するもの)を含む。
【0037】
本明細書において用いられる場合、用語「ポリマー層」は、厚さが制御された、抗生物質製剤(本明細書に定義)を含む/含まない、固形または半固形フィルムを形成する、処方された組成物を指し得る。ポリマー層の組み合わせは、薬剤制御放出の挙動を発揮する薬剤容器としての役割を果たし得る。本明細書において言及され得る本発明の特定の実施態様では、抗生物質製剤がポリマー層内に存在する場合、ポリマー材料は、ポリマー層の少なくとも1wt%(例えば、少なくとも2wt%、例えば、少なくとも5wt%)を含んでよい。
【0038】
本明細書において用いられる場合、「抗生物質層」は、少なくとも1つまたは複数の抗生物質材料を含むが、ポリマー材料は実質的にフリーである(すなわち、前記層の微量不純物として0.5wt%未満のポリマー材料が存在し得る)、または、より具体的には、抗生物質層内にポリマー材料が不存在である、ポリマー層の表面上に置かれた抗生物質層の規定された層を指し得る。誤解を避けるために、抗生物質層は、完成したフィルムにおいて環境と直接的に接触するポリマー層の表面上にあることはできず、すなわち、抗生物質層のそれぞれは、2つのポリマー層の間に最終的にカプセル化されている。このカプセル化は、直接的(例えば、抗生物質層は、2つのポリマー層の間に挟まれる)または間接的(例えば、抗生物質層のそれぞれがポリマー層の一方に直接接触するように、2つの抗生物質層は互いの上に置かれ、2つのポリマー層の間にカプセル化される)であってよい。抗生物質層がポリマー層内にカプセル化され得るように(例えば、抗生物質層のフットプリントは、それをカプセル化するポリマー層のフットプリントよりも小さいように調節される)、抗生物質層は、連続的または非連続的であってよいことが理解されよう。加えて、抗生物質層は、ポリマー基材層の表面上の微粒子層の形状を取り得ることが理解されよう。
【0039】
本発明のフィルムは、フィルムの単一層として有益な効果を提供することが可能であるが、フィルムに関する本発明の特定の実施態様は、少なくとも2つのポリマー層を有する。例えば、フィルムは、ポリマー層のみであろうと、またはポリマー層と抗生物質層との組み合わせであろうと、抗生物質層がフィルムの外側の層でない限り、2~9層、例えば、3~7層(例えば、3~5層)を有してよい。本明細書において言及され得る実施態様では、フィルムは、2~9のポリマー層、例えば、3~7のポリマー層(例えば、3~5のポリマー層)を有してよい。
【0040】
本明細書において用いられる場合、用語「生体吸収性のポリマー」および「生分解性ポリマー」は、体液との接触によって、少なくとも部分的に破壊され得る、または、より具体的には、完全に分解され得る材料を指し、破壊された産物は、老廃物として体から除去されるか、または、さらなる代謝プロセス(例えば同化プロセス)で体によって使用されるかのいずれかである。
【0041】
生体吸収性ポリマーの例は、ポリ(DL-ラクチド-コ-カプロラクトン)(DL-PLCL)、または、より具体的には、ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)(PLCL)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリグリコリド(PGA)、ポリ(L-乳酸)(PLA)、ポリ(トリメチレンカーボネート)(PTMC)、ポリジオキサノン(PDO)、ポリ(4-ヒドロキシ酪酸)(PHB)、ポリヒドロキシアルカノエート類(PHA)、ポリ(ホスファゼン)、ポリ(リン酸エステル)、ポリ(アミノ酸)、ポリデプシペプチド類、ポリ(ブチレンサクシネート)(PBS)、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンフマレート、ポリイミノカーボネート類、ポリ(D,L-乳酸)、ポリグリコール酸、ポリ(L-ラクチド-コ-D,L-ラクチド)、ポリ(L-ラクチド-コ-グリコリド)(PLGL)、ポリ(D,L-ラクチド-コ-グリコリド)、ポリ(グリコリド-トリメチレンカーボネート)、ポリ(グリコリド-コ-カプロラクトン)(PGCL)、ポリ(エチルグルタメート-コ-グルタミン酸)、ポリ(tert-ブチルオキシ-カルボニルメチルグルタメート)、ポリ(セバシン酸グリセロール)、チロシン由来のポリカーボネート、ポリ1,3-ビス-(p-カルボキシフェノキシ)ヘキサン-コ-セバシン酸、ポリホスファゼン、エチルグリシネートポリホスファゼン、ポリカプロラクトン コ-ブチルアクリレート、ポリヒドロキシ酪酸のコポリマー、無水マレイン酸のコポリマー、ポリ(トリメチレンカーボネート)のコポリマー、ポリエチレングリコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびセルロース誘導体、ヒアルロン酸、キトサン、スターチなどの多糖類、ゼラチン、コラーゲンのようなタンパク質、または、PEG誘導体およびそれらの組み合わせを含む。
【0042】
言及され得る特定の生体吸収性ポリマーは、ポリ(DL-ラクチド-コ-カプロラクトン)(DL-PLCL)、または、より具体的には、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリグリコリド(PGA)、ポリ(L-乳酸)(PLA)、ポリジオキサノン(PDO)、ポリ(4-ヒドロキシ酪酸)(PHB)、ポリヒドロキシアルカノエート類(PHA)、PEGおよびその誘導体、およびそれらのコポリマー(例えば、ポリ(DL-ラクチド-コ-カプロラクトン)(DL-PLCL)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリグリコリド(PGA)、ポリ(L-乳酸)(PLA)、PEGおよびその誘導体およびそれらのコポリマーからなる群の1つまたは複数より選択される)を含む。本明細書において言及され得るさらなるポリマーは、ポリ(エステル-ウレタン)類、ポリ(ジオールシトレート類)、ポリ(4-ヒドロキシブチレート)類、ポリ(セバシン酸グリセロール)、およびstar-ポリ(ε-カプロラクトン-コ-D,L-ラクチド)、ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)(PLCL)、ポリ(グリコリド-コ-カプロラクトン)(PGCL)、および、ジ-、トリ-、またはマルチポリマーの合成を通して調製され、ブロック、星形、または線形の構造で構築的に配列され、および、熱可塑性プラスチックまたは熱硬化性として調製された、他の生分解性のエラストマー、それらのコポリマー、および混合物またはブレンドを含む。本明細書において言及され得る特定のポリマーは、DL-PLCL、PGCLおよびPLCL、それらのコポリマー、および、それらの混合物またはブレンドを含む。
【0043】
本明細書において用いられる場合、用語「弾性ポリマー」は、歪みの影響または圧力に耐えることができ、圧力が取り除かれたときに、その元のサイズおよび形状に戻ることができる材料を指す。例えば、弾性ポリマーは、任意の方向にその元のサイズの10倍まで伸長され得て(例えば、その元のサイズの1.1倍~4倍)、それから伸長の解放後に、その元のサイズの少なくとも80%、例えば、少なくとも90%まで戻り得る。例えば、フィルムを、サイズAからサイズBまで伸長した場合(サイズCの違い)、CがB-Aである場合、伸長および解放後に、B-(0.8×C)の最大サイズ、例えば、B-(0.9×C)の最大サイズまでフィルムが戻る結果となる。すなわち、フィルムを0.1cmから0.11cmに伸ばした場合(0.01cmの違い)、生じるフィルムは、フィルムがその元のサイズの少なくとも80%まで戻る場合は、0.11-(0.8×0.01)=0.102cmの最大サイズを有し、または、フィルムが伸長後にその元のサイズの少なくとも90%まで戻る場合は、0.101cmの最大サイズを有する。フィルムは、その元のサイズ、または、ほぼその元のサイズに戻り得ることが理解されよう。
【0044】
抗生物質フィルムは、単一ポリマー、1つまたは複数の層を有するポリマーブレンドまたはコポリマーとして調製することができる。フィルムまたはそれから作られるソケットの特定の実施態様では:
(a)前記の少なくとも1つのポリマー層のうちの1つの生体吸収性のエラストマーのポリマー材料は、PCLおよびPLAのブレンド(例えば、PCLおよびPLAのブレンド比は、1:9~9:1のwt:wt比を有する)、または、PCLおよびPGAのブレンド(例えば、PCLおよびPGAのブレンド比は、1:9~9:1のwt:wt比を有する)であってよい;または
(b)前記の少なくとも1つのポリマー層のうちの1つの生体吸収性のエラストマーのポリマー材料は、PCL、または、DL-PLCLのようなポリ(DL-ラクチド/カプロラクトン)のコポリマー(例えば、1:9~9:1のDL-PLA対PCL比を有する)、または、PLCLのようなポリ(ラクチド/カプロラクトン)のコポリマー(例えば、1:9~9:1のPLA対PCL比を有する)、または、PGCLのようなポリ(グリコリド/カプロラクトン)のコポリマー(例えば、1:9~9:1のPCL対PGA比を有する)であってよい;または
(c)前記の少なくとも1つのポリマー層のうちの1つの生体吸収性のエラストマーのポリマー材料は、ポリ(DL-ラクチド-コ-カプロラクトン)(DL-PLCL)、または、より具体的には、PCLおよびPLAのブレンド(例えば、PCLおよびPLAのブレンド比は、1:9~9:1のwt:wt比を有する)、ポリ(エステル-ウレタン)類、ポリ(ジオールシトレート類)、およびポリ(4-ヒドロキシブチレート)類、ポリ(セバシン酸グリセロール)、star-ポリ(ε-カプロラクトン-コ-D,L-ラクチド)、ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)(PLCL)、ポリ(グリコリド-コ-カプロラクトン)(PGCL)または他の生分解性のエラストマーであってよい;または
(d)前記の少なくとも1つのポリマー層のうちの1つの生体吸収性のエラストマーのポリマー材料は、1つまたは複数のコポリマー(例えば、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリグリコリド(PGA)、ポリ(L-乳酸)(PLA)、PEGおよびその誘導体およびそれらのコポリマーからなる群の1つまたは複数より選択される)、例えば、ポリ(グリコリド/カプロラクトン)またはポリ(ラクチド/カプロラクトン)のコポリマー(例えば、9:1~6:4のPLA対PCL比を有する)またはその誘導体およびそれらのコポリマーであってよい;または
(e)前記の少なくとも1つのポリマー層のうちの1つの生体吸収性のエラストマーのポリマー材料は、PLCLおよびPCLのブレンドであってよい(例えば、PLCLおよびPCLのブレンド比は、1:9~9:1のwt:wt比を有する)。
【0045】
本明細書において言及され得るさらなるポリマーのエラストマーの材料は、以下を含む:
a)前記の少なくとも1つのポリマー層のうちの1つの生体吸収性のエラストマーのポリマー材料は、ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)(PLCL)(例えば、90:10~60:40のPLA対PCL比を有する)またはその誘導体およびそれらのコポリマーである;および/または
b)前記の少なくとも1つのポリマー層のうちの1つの生体吸収性のエラストマーのポリマー材料は、ポリ(DL-ラクチド-コ-カプロラクトン)(DL-PLCL)(例えば、90:10~50:50のDL-PLA対PCL比を有する)またはその誘導体およびそれらのコポリマーである;および/または
c)前記の少なくとも1つのポリマー層のうちの1つの生体吸収性のエラストマーのポリマー材料は、ポリ(グリコリド-コ-カプロラクトン)(PGCL)(例えば、90:10~10:90のPGA対PCL比を有する)またはその誘導体およびそれらのコポリマーである;および/または
d)前記の少なくとも1つのポリマー層のうちの1つの生体吸収性のエラストマーのポリマー材料は、PLCLまたはDL-PLCLまたはPGCLと、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80、または、200~2000ダルトンの分子量を有するポリエチレングリコールから選択される1つまたは複数の群より選択される放出剤との、放出剤に対するPLCLまたはDL-PLCLまたはPGCLが25:1~1:9のwt:wt比でのブレンドである。
【0046】
本明細書において言及され得る特定のポリマーは、PLCL、DL-PLCLおよびPGCLを含む。
【0047】
上述のポリマー層を組み合わせて単一の多層フィルムを形成し得ることが理解されよう。このフィルムは、ポリマー層のみを有してよく、または、抗生物質層が2つのポリマー層の間に最終的にカプセル化される限り、ポリマー層の間に散在された抗生物質層を有してもよい。
【0048】
本明細書に開示される本発明の特定の実施態様では、ポリマーの数平均分子量は、5,000ダルトン以上であってよく、例えば、5000ダルトンよりも大きい(例えば、5,000~500,000ダルトン)。
【0049】
抗生物質フィルムは、フィルムまたはソケットの構成要素の部分を含むフィルムの少なくとも1つの層内に、放出剤を含んでよい。放出剤は、層がポリマー層であろうと、または抗生物質層であろうと、フィルムの前記の少なくとも1つの層のうちの少なくとも1つに存在してよく、または、フィルムを作る層の1つよりも多くフィルム内の層の合計数までの中に存在してよい。存在する場合は、放出剤は、単一の放出剤であってよく、または、1つよりも多い放出剤であってよいことが理解されよう。1つよりも多い放出剤(例えば、2~10の放出剤)が存在する場合は、放出剤は、一緒に混合されて、上述のフィルムの1つまたは複数の層に適用され得るブレンドを形成し得る。あるいは、少なくとも2つの放出剤(例えば、3~9の放出剤)が存在する場合は、それぞれの放出剤は、フィルムの2つよりも多い層が放出剤を含むことを意図する限り、フィルムの別個の層に適用され得る。またさらに代替的に、少なくとも3つの放出剤(例えば、4~10の放出剤)が存在する場合は、放出剤の少なくとも2つのブレンド(例えば、3~9のブレンド)が調製され得て、それぞれのブレンドは、フィルムの2つよりも多い層が放出剤を含むことを意図する限り、フィルムの別個の層に適用され得る。層内に存在する場合、放出剤は、前記層の0.1wt%~50wt%の量で存在してよい。
【0050】
抗生物質フィルムは、少なくとも1つのポリマー層内に分配される、少なくとも1つの抗生物質製剤を含む。抗生物質製剤は、抗生物質フィルムの1つまたは複数のポリマー層内に分配され得る(例えば、不均一に、または、より具体的には、均一に分配される)。したがって、必須ではないが、本発明の特定の実施態様では、前記の少なくとも1つの抗生物質製剤は、それが中に存在するそれぞれのポリマー層の生体吸収性のポリマーと混和性である。例えば:
(i)フィルムが少なくとも2つのポリマー層を有する場合は、前記の少なくとも1つの抗生物質製剤は、少なくとも2つのポリマー層内に分配される;および/または
(ii)フィルムが少なくとも2つのポリマー層を有する場合は、前記の少なくとも1つの抗生物質製剤は、2つのポリマー層の間に挟まれた別個の層を形成する;および/または
(ii)フィルムが少なくとも2つのポリマー層を有し、および、前記の少なくとも1つの抗生物質製剤が少なくとも3つの抗生物質層として存在する場合は、抗生物質層は、ポリマー層の間に挟まれ、第一の抗生物質製剤の層は、第二の抗生物質製剤の2つの層の間、または、第二の抗生物質製剤の層と第三の抗生物質製剤の層との間に挟まれる;および/または
(iii)フィルムが少なくとも2つのポリマー層を有し、および、前記の少なくとも1つの抗生物質製剤が少なくとも2つの抗生物質層として存在する場合は、抗生物質層は、ポリマー層の間に挟まれ、第一の抗生物質製剤の層は、ポリマー層と第二の抗生物質層との間に挟まれる。
【0051】
ポリマーフィルムの少なくとも1つの層において、前記の少なくとも1つの抗生物質製剤は、前記ポリマー層の0.1wt%~99wt%、例えば、0.1wt%~95wt%(例えば、0.1wt%~90wt%または0.1wt%~80wt%、例えば、0.1wt%~60wt%)の量で、例えば、ポリマーフィルムの少なくとも1つの層内に存在してよく、前記の少なくとも1つの抗生物質製剤は、前記ポリマー層の0.1wt%~30wt%の量で存在してよく、場合により、前記ポリマー層は溶剤流延であり、および/または、ポリマーフィルムの前記の少なくとも1つの層において、前記の少なくとも1つの抗生物質製剤は、前記ポリマー層の10wt%~95wt%(例えば、10wt%~60wt%または30wt%~95wt%、例えば、40wt%~80wt%)の量で存在してよく、場合により、前記ポリマー層は、基材上に噴霧コーティングされたものである。
【0052】
抗生物質フィルムは、単一層フィルムまたは多層層フィルムの混成物として形成することができる。混成物は、少なくとも1つのタイプの生分解性ポリマーおよび少なくとも1つの抗生物質製剤からなる。それぞれのポリマー層は、1つの生分解性ポリマーまたはポリマーブレンドから形成することができる。例えば、コラーゲンのような表面上の組織増殖を促進するための薬剤が取り込まれた、または取り込まれていない、生分解性ポリマーフィルムの外側の層、抗生物質製剤が取り込まれた生分解性ポリマーの中位層、および、活性剤を含まない生分解性ポリマーの第三の層。別の多層フィルムの混成物は、増殖因子剤を含む、または含まない生分解性ポリマーの層であり得て、生分解性ポリマー混成物の3つの層は抗生物質製剤を含み、および、増殖因子剤を含むまたは含まない生分解性ポリマーフィルムの層が続く。3つの層内の抗生物質製剤は、含有量および濃度分配が同一または異なってよい。
【0053】
抗生物質フィルムのさらなる例は、以下を含む:
(a)単一のポリマー層を有するフィルムであって、少なくとも1つの抗生物質を含む(例えば、前記の少なくとも1つの抗生物質は、ミノサイクリンおよび/またはリファンピシンである);
(b)3つのポリマー層を有するフィルムであって、中位層は少なくとも1つの抗生物質を含む(例えば、前記の少なくとも1つの抗生物質は、ミノサイクリンおよび/またはリファンピシンである);
(c)3つのポリマー層を有するフィルムであって、中位層は少なくとも1つの抗生物質を含み(例えば、前記の少なくとも1つの抗生物質は、ミノサイクリンまたはリファンピシンである)、および、外側の層はさらなる抗生物質を含む(例えば中位層の前記の少なくとも1つの抗生物質がミノサイクリンである場合、外側の層のさらなる抗生物質はリファンピシンであり、逆も同様であるという条件で、さらなる抗生物質は、ミノサイクリンまたはリファンピシンである);
(d)5つのポリマー層を有するフィルムであって、中位層は少なくとも1つの抗生物質を含み(例えば、前記の少なくとも1つの抗生物質は、ミノサイクリンまたはリファンピシンである)、および、中位層のすぐ上および下の層はさらなる抗生物質を含む(例えば中位層の前記の少なくとも1つの抗生物質がミノサイクリンである場合、外側の層のさらなる抗生物質はリファンピシンであり、逆も同様であるという条件で、さらなる抗生物質は、ミノサイクリンまたはリファンピシンである);
(e)5つのポリマー層を有するフィルムであって、中位層のすぐ上およびすぐ下の層は、抗生物質を含む(例えば、さらなる抗生物質は、ミノサイクリンおよび/またはリファンピシンである;
(f)4つのポリマー層を有するフィルムであって、中位の2つの層は少なくとも1つの抗生物質を含む(例えば、前記の少なくとも1つの抗生物質は、ミノサイクリンおよび/またはリファンピシンである);
(g)2つのポリマー層を有するフィルムであって、2つの層のそれぞれは、少なくとも1つの抗生物質を含む(例えば、前記の少なくとも1つの抗生物質は、ミノサイクリンおよび/またはリファンピシンである)。
【0054】
さらなる例は、上記の発明の概要のセクションに実施態様(i)~(xxv)として提供され、簡略化のためにここでは全体を省略する。これらの例から、層化デザインは対称であってよいが、そうである必要はないことに注意が必要である。すなわち、層化デザインは、事実上、対称であり得て、これの例は、上記の発明の概要のセクションに例(xxv)として提供される。
【0055】
抗生物質ポリマーフィルムおよびそれから作られるソケットの少なくとも1つの層において、前記の少なくとも1つの抗生物質製剤は、前記ポリマー層の0.1wt%~99wt%、例えば0.1wt%~95wt%(例えば、0.1wt%~90wt%または0.1wt%~80wt%、0.1wt%~60wt%、例えば、0.1wt%~30wt%または10wt%~60wt%)の量で存在する。それぞれのポリマー層内に存在する実際の量は、フィルムの層が調製された方法に応じて変化し得る。例えば、ポリマー層が溶剤流延である場合は、前記の少なくとも1つの抗生物質製剤は、前記ポリマー層の0.1wt%~30wt%の量で存在してよく、ポリマー層が、基材上にそれを噴霧コーティングすることによって形成された場合は、前記の少なくとも1つの抗生物質製剤は、10wt%~95wt%(例えば、10wt%~60wt%、または、30wt%~95wt%、例えば、40wt%~80wt%)の量で存在してよい。
【0056】
上記に注意したように、フィルムおよびそれから作られるソケットは、2つのポリマー層の間に最終的にカプセル化される前記の1つまたは複数の抗生物質製剤の1つまたは複数の層を含んでよい。そのような別個の抗生物質層では、前記の少なくとも1つの抗生物質製剤は、前記層の10wt%~100wt%の量で存在してよい。前記層は、放出剤または他の薬学的に許容できるアジュバント、希釈剤または分散剤をさらに含んでよい。
【0057】
前記の少なくとも1つの抗生物質製剤は、フィルム全体(すなわちフィルムの全ての層)の重量の、0.001wt%~30wt%、または、より具体的には、0.001wt%~20wt%、例えば、0.001wt%~20wt%(例えば、0.01wt%~5wt%、または0.5wt%~5wt%)から構成されてよい。
【0058】
フィルム/ソケットが効果的であることを証明するためには、前記の1つまたは複数の抗生物質製剤を、制御された様式で、長期間にわたって放出することが必要であることが理解されよう。例えば、前記の少なくとも1つの抗生物質製剤は、移植後1~30日の期間にわたり、または、より具体的には、移植後3~14日の期間にわたり、抗生物質フィルムから放出される。
【0059】
本明細書において言及され得る、特定のフィルムおよびそれから作られるソケットは、前記の少なくとも1つの抗生物質製剤の10wt%よりも多くが、移植の24時間以内に放出される抗生物質フィルム/ソケットを含み、前記の少なくとも1つの抗生物質製剤の全体は、移植後3~14日の期間にわたり、抗生物質フィルムから放出される。
【0060】
本発明の抗生物質フィルムおよびそれから作られるソケットは、医薬において用いることができることが理解されよう。例えば、本明細書において言及される抗生物質フィルムは、感染および関係がある疾患および障害の治療または予防において用いることができる。加えて、本明細書において言及されるフィルムは:
(a)感染および関係がある疾患および障害の治療または予防での使用のための薬物の製造;および
(b)感染および関係がある疾患および障害を治療または予防するために、制御放出の抗生物質フィルムを対象に適用するステップを含む治療の方法において用いられ得る。
【0061】
本明細書において言及される、抗生物質フィルムおよびそれから作られるソケットは、以下により詳細に説明されるように、医療機器の表面の少なくとも一部をカバーするために用いられ得て、それから対象の中に移植される。
【0062】
上述のように、フィルムおよびそれから作られるソケットは、移植可能な医療機器に適用され得て、ここで、生じるデバイスは、医療機器および本明細書に記載のソケットの形状での抗生物質フィルムを含み、ここで、ソケットは、医療機器の一部または全体をカバーし、そして、移植後の体内の医療機器の移行を低減または防止するのに適切である。例えば、フィルムから作られるソケットは、医療機器の一部または全体を取り囲むエンベロープ、ポーチ、ポケット、スリーブまたはバンドの形状で提供され得る。デバイスは、フィルムの露出した表面の全体または一部の上にコーティングされたさらなる活性剤(例えば増殖因子)をさらに含んでよい。デバイスの一実施態様を、
図1に関して以下に示す。
【0063】
用語「移植可能な医療機器」は、本明細書において用いられる場合、経皮的に移植することのできる医療機器、または、経皮コンポーネントを含む任意の内在の医療機器を指す。本明細書において言及され得る移植可能な医療機器の例は、とりわけ、動静脈シャント、左心補助循環装置、心血管系移植可能電子デバイス(CIED)、組織拡張器、胃ラップバンド、脊髄刺激装置、髄腔内注入ポンプ、深部脳刺激装置、胃電気刺激装置、仙骨神経刺激装置、および、迷走神経刺激装置を含む。
【0064】
図1は、対象の体の部位への移植のために移植可能な医療機器に連結することのできる、アーティクル基材に成形された抗生物質フィルムの略図である。アーティクルは、デバイスを周辺組織または組織の一部につなぎとめるのを助けることによって、移植可能なデバイスを対象の体内の所望の部位に固定するために用いられ得る。また、アーティクルは、フィルム内の抗生物質製剤の存在に起因して、細菌の増殖を阻害することもできる。
【0065】
図1では、上記に定義される制御放出の抗菌フィルム110を含む本発明に係るソケット100は、完全または部分的に開いていてよい2つの開口部120および130を備え、したがって、バンドまたはスリーブ、ならびにソケットと説明され得る。ソケット自体およびしたがって開口部120/130は、ソケットの中に挿入されて保持される物体よりも小さい。また、ソケットは、示されるように、フィルム110内に複数の穴140を含んでもよい。示されるように、ソケットは単一のフィルムから作られ、したがって、単一のサイドシール150のみ必要とし、曲がったシールコーナー160を含んでもよい。ソケットは、1つよりも多いフィルムを用いて製造され得て、その結果、さらなるサイドシールが必要になり得ることが理解されよう。
図1に示すように、開口部120/130は、同じサイズであってよい。しかしながら、開口部は異なるサイズであってもよいことが明確に検討される。特定の実施態様では、穴は、0.1mm~5mm(例えば、0.3mm~2mmまたは0.3mm~1mm)であってよい。
図1に示されるように、穴は、均一な形状およびサイズを有してよい(例えば、全てが同じサイズの円形形状である)。しかしながら、穴は、形状が不規則であってよく(それぞれの穴は、規定されない形状である)、または、任意の形状であってよいこと(例えば、ランダムに規定された形状)、および、穴のサイズは均一でなくてよいことが明確に検討される。穴は、
図2および
図3に示されるように中位に集中してよく(シールおよび開口部を避ける)、または、
図1に示されるように、バンド全体にわたって均等に分配されてよく、または、シールおよび開口部により近くてよい。本発明の特定の実施態様によれば、スリーブは、
図1に示すように、一方の末端でシールすることによって形成されてよく、または、複数の末端でシールされる。コーナーシールは、
図1に示すように曲がっていてよく、角があってよく、または四角くてよい。
【0066】
図2では、本発明に係るソケット200は、制御放出の抗菌フィルム210(すなわち、上記に定義される任意のフィルム)から作られて、2つの開口部220および230、複数の穴(例えば、1つまたは複数の穴)240、2つのサイドシール250、および、角があるシールコーナー260を有する。ソケットは、そこに挿入される物体(すなわちCIED)よりも小さくて、そして、様々な異なるサイズのCIEDを収納することが可能であり得ることが理解されよう。
図2に示すように、開口部は、異なるサイズであってよいが;開口部は同じサイズであってもよいことが明確に検討される。特定の実施態様では、穴は、0.1mm~5mm(例えば、0.3mm~2mm)であってよい。
図2のソケットは、
図2に示すように、2つの末端で2つのフィルムを一緒にシールすることによって形成されて、スリーブまたはバンド様の構造が形成され得る。本発明のさらなる実施態様によれば、コーナーシールは、
図2に示すように角があってよく、または、曲がっていてよく、または四角くてよい。また、コーナーシールは、任意の技術的に適切な様式で角があってよいことも検討される。
【0067】
図3では、制御放出の抗菌フィルム310(すなわち、上記に記載の任意のフィルム)を含む、本発明に係るポケット300の形態でのソケットが提供されて、1つの開口部320、複数の穴(例えば、1つまたは複数の穴)330、3つのサイドシール340、曲がったシールコーナー350、および、角のあるシールコーナー360を有する。
図3に示すように、ポケットは、3つの末端で少なくとも2つのフィルムを一緒にシールすることによって形成されてよく、1つの末端は開いたままであり開口部として作用する。全ての末端が一緒にシールされ得て、シールされたフィルムに適切な寸法の開口部を切り込むことによって新しい開口部が作られ得ることが理解されよう(これは、単一のフィルムならびに2よりも多いフィルムを用いて適用し得る)。
【0068】
本明細書において用いられる場合、用語「アーティクル」は、医療機器ユニット全体、すなわち、フィルムおよび移植可能な医療機器を指し得て、また、移植可能な医療機器を完全または部分的にカバーすることができる、ソケットとしての形状をしたフィルムを指し得る(すなわち、メッシュ、ポーチ、バッグ、エンベロープ、スリーブ、バンド、ポケットまたはレセプタクル(その全てが、穴を有してよく、または有さなくてよい))。
【0069】
上記のように、ソケット(例えば、
図3の300)は、移植可能なデバイスがフィルムに挿入されるのを可能にするため、および、リードまたはワイヤのような付属品の挿入を可能にするための、開口部320を有するエンベロープの形状であってよい。また、アーティクル300の表面は、ポーチの質量を減らすため、および、周辺組織への活性剤の放出を効率的に高めるための、全てのあり得る形状および寸法を有する、フィルム310内の穴330を含んでもよい。これは、本明細書において記載または検討される他の形状のソケットに一般的に適用可能であることが理解されよう。アーティクルのサイズ、形状および重量は、移植の要件によって変化し得る。あるいは、フィルムは、医療機器の全体または一部をカバーするように、細長い一片に切断され得て、そして、1つずつ適用され得る。そのような例では、フィルムは、例えば、粘着、熱接着、または、フィルム自体の性質に起因する粘着(例えば、プラスチックパラフィンフィルムを物体に付着させる様式)の使用によって、任意の接着方法によって適用され得る。
【0070】
図1~3のソケットは、(1)デバイスの移行または浸食を低減する;(2)アーティクル内に移植された医療機器を確実に保持して、それが滑り落ちるリスクを低減する;(3)様々なサイズの医療機器を確実に保持して、それが滑り落ちるリスクを低減する;(4)移植された医療機器と組織層との間の直接的な接触をなくす;および(5)必要な溶出速度で所望の期間、抗生物質製剤を放出するように構成される。これは、ソケットおよび本発明のソケットを形成する抗生物質フィルム(単数または複数)の特性によって達成される。
【0071】
抗生物質アーティクルは、多用途のプラットフォームであり、異なる機能が可能であり得る。例えば、抗生物質製剤の制御放出は、移植可能な医療機器の表面上の細菌コロニー化を防止または低減するのに十分である。加えて、デバイスは、体の組織と直接接触しているフィルムの表面を、1つまたは複数の増殖因子でコーティングすることによって、エンベロープの外側表面上の組織付着を高めるような、他の機能を組み込むこともできる。
【0072】
アーティクルは、移植される医療機器の必要性によって、任意の形状およびサイズを有するように設計され得ることが理解されよう。
【0073】
図1に記載のアーティクルのフィルムは、少なくとも1つの層またはいくつかの層の生分解性ポリマーフィルムによって形成され得る。前記ポリマー層の少なくとも1つは、抗生物質製剤を含む。しかしながら、異なる層は、異なる機能、例えば、薬剤取込層、薬剤放出制御層、移植後の組織-内部成長を促進する層などを有し得る。
【0074】
図4は、本発明の態様に係る様々な多層フィルムを提供する。単一層~多層のフィルムは、1μm~2000μm(例えば、10μm~500μm、例えば、40μm~300μm)のフィルムの合計の厚さを有し得る。一般に、多層フィルム(または単一層フィルム)については、ポリマーフィルムのそれぞれの層の厚さは、0.01μm~1000μm(例えば、0.01μm~200μm)であってよい。
【0075】
本発明の様々な実施態様の多層デザインを
図4に示す。デザイン4-1は、3層フィルムを示し、中位層は、少なくとも1つまたは複数の薬剤を含む、薬剤含有生分解性ポリマーフィルムのピースであってよく1、外側の2つの層2は、放出剤ブレンドをさらに含むが、同一または異なるポリマー材料によって形成され得る、任意の活性剤を含まない生分解性ポリマーフィルムであってよい。デザイン4-2は、3層フィルムを示し、中位層は、少なくとも1つまたは複数の薬剤を含む薬剤含有生分解性ポリマーフィルムのピースであり3、このフィルム(3)の表面は、1つまたは複数の薬剤を含む薬剤含有生分解性ポリマー層の層4によってコーティングされる。デザイン4-3は、5層フィルムを示し、中位の3つの層は、デザイン4-2と同様であり、外側の2つの表面層は、放出剤を含み得て薬剤を含む/含まない、生分解性ポリマー層である5。デザイン4-4は、4層フィルムを示し、中位の2つの層6は、薬剤を含み、外側表面5のフィルムは、放出剤を含み得て薬剤を含む/含まない、生分解性ポリマー層である。デザイン4-5は、2層フィルムを示し、両方の層は、1または2つの薬剤を含む7。デザイン4-6は、5層フィルムを示し、中位層は、いかなる活性剤または放出剤も含まない、生分解性の弾性ポリマーフィルムのピースであり得て8、このフィルム(8)の表面は、1つまたは複数の薬剤を含む薬剤含有生分解性ポリマー層の層によってコーティングされ4、2つの外側表面層は、薬剤を含み得るまたは含み得ないポリマーおよび放出剤のブレンドである9。デザイン4-7は、7層フィルムを示し、中位層は、いかなる活性剤または放出剤も含まない生分解性の弾性ポリマーフィルムのピースであってよく8、このフィルム(8)の表面は、1つまたは複数の薬剤を含む薬剤含有生分解性ポリマー層の層によってコーティングされ4、そのすぐ後の2つの層は、放出剤を含むまたは含まないポリマーのブレンドであり10、外側表面層は、薬剤を含み得るまたは含み得ない、ポリマーおよび放出剤のブレンドである9。
【0076】
これらのフィルムは、それぞれの層を別個に作って、これらの別個のフィルム層を加熱溶融、加熱圧縮、ケミカルグラフティング、静電気吸着、化学的架橋などを通して一緒に積み重ねることによって調製され得る。代替的または追加的に、フィルム層は、基材として用いてもよく、および、一方または両方の表面上に噴霧または浸漬コーティングして、さらなるポリマー層(単数または複数)を形成してもよい。好ましいフィルム調製方法は、流延成形、噴霧コーティングおよび加熱圧縮である。
【0077】
上述の様々な実施態様は、制限されることを意図せず、提供される原理を用いて、本発明の主旨および範囲を逸脱しない(例えば、現状の特許請求の範囲に記載された発明の範囲を逸脱しない)、異なる薬剤またはポリマー組成および/または異なるフィルム特性を有するさらなるデザインを作り出すことができる。本明細書において言及され得るデザインは、フィルムが少なくとも2層を有するものを含む。本発明の主な目的は、異なる薬剤に関する薬剤-ポリマーマトリックスにおいて、1つまたは複数の活性剤の薬剤放出プロファイルを独立に制御することが可能であることである。異なる活性剤は、異なる効能および異なる親水性を有するので、それぞれの薬剤に関して1つのポリマー処方を用いることによって薬剤放出プロファイルを制御するのはむしろ挑戦である。
図4に示すデザインは、両方の薬剤に関して所望の薬剤放出プロファイルを得るために、異なる活性剤の薬剤放出プロファイルを別個に制御することを可能にする。
【0078】
抗生物質アーティクルは、移植可能な医療機器を部分的にカバーまたは完全にラッピングする、異なる形状および寸法に仕立てることができる。それぞれの層の厚さは、0.01μm~1000μm(例えば、0.01μm~200μm)の範囲である。
【0079】
抗生物質アーティクルは、生体吸収性であり、それは移植可能な医療機器に一時的な定着を与えることができ、そして、徐々に体によって吸収/排出されて、患者に快適性を与える。アーティクルは、移植された医療機器と組織層との間の直接的な接触を除去して、移植されたデバイスの移行または浸食を低減させ得る。アーティクルは、良好な機械的強度で、完全に吸収性である。
【0080】
抗生物質アーティクルの表面上での組織の増殖は、外科医の必要に従って表面上に増殖因子の層を取り込むことによって制御することができる。
【0081】
本発明のソケットおよび/またはフィルムは、以下の利点を提供する:
(1)弾性のソケットは、移植したとき-特に、様々なサイズのCIEDを合わせるために用いたときに、医療機器が滑り落ちるのを防ぐように、デバイスをしっかりと保持することができる;
(2)ソケットは、医療機器を確実に保持し、および、移植中のデバイスの移行を防止または低減することができる;
(3)薬剤放出制御は、フィルム内のそれぞれの薬剤に関する所望の薬剤放出プロファイルに従って、独立にチューニングされ得る-放出される抗生物質製剤が1つよりも多い場合に、特に挑戦である;
(4)抗生物質製剤は、それらが不可欠な部分を形成するポリマー層の全体にわたって分配されて、抗生物質製剤をより安定にさせて、ポリマー表面上への薬剤の層のコーティングと関連する壊れやすい問題点を低減する;
(5)抗生物質製剤(単数または複数)のバースト段階は、本発明のフィルム技術を用いて制御するのがより簡単であり、最初およびその後の制御放出段階における抗生物質製剤の送達のより一貫した制御を可能にする。
【実施例】
【0082】
一般的調製
薬剤放出のカイネティクスを示すために、フィルムのサンプルを2cm×2cmサイズに切断して、連続的な薬剤溶出試験のために、4mLのPBSバッファー(溶出媒体として)を含むバイアル中に浸漬した。バイアルを37℃のインキュベーターシェイカー内においた。定期的に、溶出媒体を逆相HPLC分析のために引き抜き、リファンピシンおよびミノサイクリンの溶出量を決定して、新鮮なPBS溶液(4mL)で置き換えた。累積薬剤放出を計算してプロットした(
図4~
図6を参照)。
【0083】
表1および
図4は、実施例で用いた一連のデザインを挙げる。表は、本発明に係る組成物を(単独であろうと、または組み合わせであろうと)生産するのに用いることのできる多くのポリマー、ならびに、抗生物質を挙げる。代替のポリマーおよび抗生物質が用いられ得ることが理解されよう。
【0084】
【0085】
実施例1(デザイン4-1、フィルムコード1-1および1-2)
1-A 薬剤吸収性フィルムに関する流延成形
1.8gのPLCL樹脂、700mgのソルビトールおよび160mgのミノサイクリン(フィルムコード1-1;フィルムコード1-2に関してはリファンピシン)を、10mLの5:5のv/v比のアセトン/エタノール溶媒混合物中に溶解した。混合物を、4時間よりも長い間、均等に混合した。混合後、溶液は均質であり、5mLの溶液を、それから、ガラス板上に注ぎ、フィルムアプリケーターによって吸引して、乾燥の際にフィルムを形成した。フィルムが完全に乾燥した後に、溶媒の蒸発に続いて、フィルムをガラス板から取り外した。
【0086】
1-B 制御層フィルムに関する流延成形
同様に、1.8gのPLCL樹脂および50mgのソルビトールを、10mLのアセトン中に溶解した。均質溶液をガラス板上に注いで、フィルムアプリケーターによって吸引して、溶媒の蒸発に続いてフィルムを形成した。フィルムを、それから、ガラス板から取り除いた。
【0087】
1-C フィルム圧縮
1-Aによるフィルムを挟む1-Bによる2つのフィルムを用いて、デザイン4-1による組成物を調製した。生じたフィルムの積み重ねを並べて、加熱圧縮機を用いて60℃、6MPaで50秒間、圧縮した。
【0088】
実施例2(デザイン4-2、フィルムコード1-3および1-4)
2-A 薬剤-生分解性フィルムに関する流延成形
1.8gのPLCL/PLC樹脂(2:8重量比)および160mgのミノサイクリン(フィルムコード1-3;フィルムコード1-4に関してはリファンピシン)を、5:5のv/v比を有する10mLのアセトン/エタノール溶媒混合物中に溶解した。流延成形手順は、実施例1-Aに記載したのと同一であった。
【0089】
2-B 薬剤-PLGA混合物の噴霧コーティング
同様に、180mgのPLGA樹脂および20mgのミノサイクリン(フィルムコード1-3;フィルムコード1-4に関してはリファンピシン)を、5:5のv/v比を有する10mLのアセトン/エタノール溶媒混合物中に溶解した。2mLの調製された溶液を用いて、フィルム2Aの両側の上を、同じ回数で噴霧ノズルを繰り返して通過させることによって、2-Aで調製されたフィルム上に、混合物を噴霧コーティングした。
【0090】
実施例3(デザイン4-3、フィルムコード1-5および1-6)
中位の3つの層を、実施例2での手順に従って調製した。2つの外側の層を、実施例1-Bに従って調製した。5つの層のフィルムの積み重ねを適切に並べて、60℃、6MPaで、50秒間、加熱圧縮機によって圧縮した。
【0091】
実施例4(デザイン4-4、フィルムコード1-7および1-8)
外側の2つの層を、実施例1-Bに従って調製した。2つの中位の薬剤ポリマー層を、実施例2-Bに従って調製した。生じたフィルムを適切に並べて、60℃、6MPaで50秒間、加熱圧縮機によって圧縮した。
【0092】
実施例5(デザイン4-5、フィルムコード1-9および1-10)
2つの層を、実施例1-Aおよび2-Aに従って調製した。フィルム圧縮手順は1-Cと同じである。
【0093】
実施例6(デザイン4-6、フィルムコード1-11および1-12)
6-A 弾性の生分解性ポリマーフィルムに関するフィルム圧縮
PLCL樹脂を、150℃、60Mpaで1分間、加熱圧縮した。
【0094】
6-B 薬剤-PLGA混合物の噴霧コーティング
180mgのPLGA樹脂および20mgのミノサイクリン(フィルムコード1-11;フィルムコード1-12に関してはリファンピシン)を、5:5のv/v比を有する10mLのアセトン/エタノール溶媒混合物中に溶解した。2mLの調製された溶液を用いて、フィルム6Aの両側の上を、同じ回数で噴霧ノズルを繰り返して通過させることによって、6-Aで調製されたフィルム上に、混合物を噴霧コーティングした。
【0095】
6-C 小分子薬剤フィルムのブレンドに関する流延成形
1.8gのPLCL樹脂、250mgのポリソルベートおよび160mgのミノサイクリン(フィルムコード1-1;フィルムコード1-2に関してはリファンピシン)を、5:5のv/v比の10mLのアセトン/エタノール溶媒混合物中に溶解した。混合物を、4時間よりも長い間、均等に混合した。混合後、溶液は均質であり、5mLの溶液を、それから、ガラス板上に注ぎ、フィルムアプリケーターによって吸引して、乾燥の際にフィルムを形成した。フィルムが完全に乾燥した後に、溶媒の蒸発に続いて、フィルムをガラス板から取り外した。
【0096】
6-D フィルム圧縮
デザイン4-6による組成物を、6-Bによってコーティングされたフィルム6-Aを挟む6-Cによる2つのフィルムを用いて調製した。生じたフィルムの積み重ねを並べて、60℃、6MPaで50秒間、加熱圧縮機によって圧縮した。
【0097】
実施例7(デザイン4-7、フィルムコード1-13および1-14)
7-A 小分子制御フィルムのブレンドに関する流延成形
1.8gのPLCL樹脂および50mgのポリソルベートを、5:5のv/v比の10mLのアセトン/エタノール溶媒混合物中に溶解した。混合物を、4時間よりも長い間、均等に混合した。混合後、溶液は均質であり、5mLの溶液を、それから、ガラス板上に注ぎ、フィルムアプリケーターによって吸引して、乾燥の際にフィルムを形成した。フィルムが完全に乾燥した後に、溶媒の蒸発に続いて、フィルムをガラス板から取り外した。
【0098】
7-B フィルム圧縮
6-Bによってコーティングされたフィルム6-Aを挟む7-Aによる2つのフィルムを用いて、デザイン4-7による組成物を調製した。積み重ねは、6-Cによる2つのフィルムの間にさらに挟まれる。生じたフィルムの積み重ねを並べて、加熱圧縮機を用いて60℃、6MPaで50秒間、圧縮した。
【0099】
実施例8(単一層、放出剤を含む、フィルムコード1-15および1-16)
フィルム調製手順は、単一層を作製するための実施例1-Aと同一である。
【0100】
実施例9(単一層 放出剤を含まない、フィルムコード1-17および1-18)
9-A 薬剤吸収性フィルムに関する流延成形
0.5gのPLCL樹脂および160mgのミノサイクリン(フィルムコード1-1;フィルムコード1-2に関してはリファンピシン)を、5:5のv/v比の10mLのアセトン/エタノール溶媒混合物中に溶解した。混合物を、4時間よりも長い間、均等に混合した。混合後、溶液は均質であり、5mLの溶液を、それから、ガラス板上に注ぎ、フィルムアプリケーターによって吸引して、乾燥の際にフィルムを形成した。フィルムが完全に乾燥した後に、溶媒の蒸発に続いて、フィルムをガラス板から取り外した。
【0101】
実施例10(混合された薬剤)
実施例3でのプロトコルに従って、フィルムを調製した。中位層を、120mgのミノサイクリンおよび160mgのリファンピンの薬剤混合物を用いて調製した。2つの間欠的な(intermittent)層を、実施例2-Bに従って、ミノサイクリンの噴霧コーティングによって調製した。外側の2つの層を、実施例1-Bに従って調製した。5つの層のフィルムの積み重ねを適切に並べて、60℃、6MPaで50秒間、加熱圧縮機によって圧縮した。2つの抗生物質の累積放出プロファイルを
図6に示す。
【0102】
実施例11
図5は、実施例1~9(フィルムコード1-1~1-18)で調製された単一のフィルムおよび異なる層状のフィルムデザインからの2つの抗生物質の累積放出を示す。両方の抗生物質の薬剤密度は、0.05mg~0.1mg/cm
2である。
図5に示すように、単一の薬剤フィルムについては、放出剤の不存在は、非常に遅い放出でのフィルムをもたらし、一方で、放出剤の存在は、速い放出プロファイルでの高い初期バーストを与える。ミノサイクリンは、リファンピンよりも親水性なので、ミノサイクリンは、さらにいっそう速く放出する。層状のフィルムデザインについては、リファンピンおよびミノサイクリンの放出プロファイルおよび初期バースト速度は、異なるデザインを通してチューニングおよび良好に制御される。
【0103】
この結果は、異なるデザインでのそれぞれの薬剤の放出挙動を知ることによって、所望の放出プロファイルを提供するように薬剤混合物の放出プロファイルをチューニングすることができることを示す。このことは、
図6から明らかに見ることができ、それは、リファンピンが常に他の親水性対応物(この場合はミノサイクリン)よりも低い初期バーストおよび遅い放出プロファイルを有する文献データからの、有意な改善を示す。
【0104】
実施例12
フィルムに関する阻害ゾーン(ZOI)を、Kirby-Bauer法に従って判定した。試験は、Escherisia Coli(E.coli)およびS.aureus、S.epidermidisasの証明を試験するために選択した。E.coliは、ヒトに共通して見られる他の細菌の中で最も高い最小阻止濃度(MIC)を有する。E.coliのMICは、S.aureus、S.epidermidis、MRSA、S.capitisなどよりも20倍高い。
【0105】
E.coliを、ストック溶液からLysogeny培地(LB培地)中に接種して、37℃でインキュベートして、それから、使い捨てスプレッダーによって寒天プレートの全体に均等に広げた。15mm直径フィルムを、寒天プレートの中央にしっかりと押し付けて、37℃でインキュベートした。24時間ごとに、滅菌鉗子を用いて、ピースを他の新鮮な寒天プレートに移した。ZOIの直径を毎日測定して記録した。
【0106】
【0107】
実施例13
ソケットの弾性およびフィットを、異なるソケットサイズおよびCIEDサイズを用いて試験した。良好なフィットとは、CIEDをソケットの中に簡単に挿入することができて、ひっくり返された場合に外に落ちず、ソケットによって保持される場合である。
【0108】