(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】エネルギ補給口用部材の駆動装置
(51)【国際特許分類】
B60K 15/05 20060101AFI20231031BHJP
B60K 1/04 20190101ALI20231031BHJP
【FI】
B60K15/05 B
B60K1/04 Z
(21)【出願番号】P 2021153685
(22)【出願日】2021-09-21
【審査請求日】2022-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金子 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 和輝
(72)【発明者】
【氏名】大塚 晋
【審査官】中川 隆司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0142512(US,A1)
【文献】米国特許第05478250(US,A)
【文献】特表2013-544486(JP,A)
【文献】特開2012-218530(JP,A)
【文献】特開2016-088122(JP,A)
【文献】特開2002-240580(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102018117226(DE,A1)
【文献】独国特許出願公開第102019000462(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 15/05
B60K 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体側開口に露出して配置される車両へのエネルギ補給のための補給口を上方から覆う前進位置と、前記補給口の上方から退いた後退位置と、の間で進退可能な庇部材と、
前記庇部材を前記前進位置と前記後退位置との間で進退させる庇駆動部と、
前記車体側開口を閉じる閉位置と、前記車体側開口を開放する開位置と、の間で移動可能な開閉リッドと、
前記開閉リッドを前記閉位置と前記開位置との間で移動させるリッド駆動部と、
前記補給口にエネルギ補給ガンが接続されているか否かを検知するガン接続検知部と、
前記庇部材が前記後退位置にある状態で、前記ガン接続検知部により前記補給口に前記エネルギ補給ガンが接続されていることが検知された場合に、前記庇駆動部に前記庇部材を前記後退位置から前記前進位置へ前進させる前進駆動を実行させる
と共に、前記庇部材が前記前進位置にある状態で、前記ガン接続検知部により前記補給口への前記エネルギ補給ガンの接続が解除されたことが検知された場合に、前記庇駆動部に前記庇部材を前記前進位置から前記後退位置へ後退させる後退駆動を実行させる制御部と、
を備え
、
前記制御部は、前記開閉リッドが前記開位置にある状態で、前記庇駆動部に実行させた前記後退駆動が完了した場合に、前記リッド駆動部に前記開閉リッドを前記開位置から前記閉位置へ移動させる閉駆動を実行させる、エネルギ補給口
用部材の駆動装置。
【請求項2】
前記庇部材は、前記後退位置で前記車体側開口よりも車体内側に収まり、前記前進位置で前記車体側開口よりも車体外方へ突出し、
前記制御部は、前記リッド駆動部に実行させた前記開閉リッドを前記閉位置から前記開位置へ移動させる開駆動が完了した以後に、前記庇駆動部に前記前進駆動を実行させる、請求項
1に記載されたエネルギ補給口
用部材の駆動装置。
【請求項3】
車体側開口に露出して配置される車両へのエネルギ補給のための補給口を上方から覆う前進位置と、前記補給口の上方から退いた後退位置と、の間で進退可能な庇部材と、
前記庇部材を前記前進位置と前記後退位置との間で進退させる庇駆動部と、
前記車体側開口を閉じる閉位置と、前記車体側開口を開放する開位置と、の間で移動可能な開閉リッドと、
前記開閉リッドを前記閉位置と前記開位置との間で移動させるリッド駆動部と、
前記補給口にエネルギ補給ガンが接続されているか否かを検知するガン接続検知部と、
前記庇部材が前記後退位置にある状態で、前記ガン接続検知部により前記補給口に前記エネルギ補給ガンが接続されていることが検知された場合に、前記庇駆動部に前記庇部材を前記後退位置から前記前進位置へ前進させる前進駆動を実行させる制御部と、
を備え
、
前記庇部材は、前記後退位置で前記車体側開口よりも車体内側に収まり、前記前進位置で前記車体側開口よりも車体外方へ突出し、
前記制御部は、前記リッド駆動部に実行させた前記開閉リッドを前記閉位置から前記開位置へ移動させる開駆動が完了した以後に、前記庇駆動部に前記前進駆動を実行させる、エネルギ補給口
用部材の駆動装置。
【請求項4】
前記庇駆動部に前記庇部材を進退させる力を付与するアクチュエータと、前記リッド駆動部に前記開閉リッドを移動させる力を付与するアクチュエータと、は同じ電動アクチュエータである、請求項
1乃至3の何れか一項に記載されたエネルギ補給口
用部材の駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギ補給口用部材の駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の車体側開口に露出して配置される給油口や充電口などの補給口を上方から覆う庇部材を備える装置が知られている(例えば、特許文献1)。補給口は、開閉リッドが車体側開口を閉じる閉位置から車体側開口を開放する開位置まで移動した際に露出して、車両へのエネルギ補給を行うための給油ガンや充電ガンなどのエネルギ補給ガンに接続可能になる。また、庇部材は、車体側開口に露出した補給口を上方から覆う。この庇部材によれば、開閉リッドが開位置にある状態でも、補給口を上方から覆うので、補給口への雨や雪の進入を防ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1記載の装置では、開閉リッドが閉位置から開位置へ移動するのと同時に庇部材が扇状に開いて補給口を上方から覆う。従って、車両使用者などの操作者が、開閉リッドの開状態で車両側開口にて露出する補給口にエネルギ補給ガンを接続させようとする際には既に、補給口が庇部材により上方から覆われているため、補給口へのエネルギ補給ガンの接続操作が庇部材に邪魔されて困難となるおそれがある。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、補給口へのエネルギ補給ガンの接続操作性を損なうことなく、庇部材を用いて補給口への雨や雪の進入を防ぐことが可能なエネルギ補給口用部材の駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、車体側開口に露出して配置される車両へのエネルギ補給のための補給口を上方から覆う前進位置と、前記補給口の上方から退いた後退位置と、の間で進退可能な庇部材と、前記庇部材を前記前進位置と前記後退位置との間で進退させる庇駆動部と、前記車体側開口を閉じる閉位置と、前記車体側開口を開放する開位置と、の間で移動可能な開閉リッドと、前記開閉リッドを前記閉位置と前記開位置との間で移動させるリッド駆動部と、前記補給口にエネルギ補給ガンが接続されているか否かを検知するガン接続検知部と、前記庇部材が前記後退位置にある状態で、前記ガン接続検知部により前記補給口に前記エネルギ補給ガンが接続されていることが検知された場合に、前記庇駆動部に前記庇部材を前記後退位置から前記前進位置へ前進させる前進駆動を実行させると共に、前記庇部材が前記前進位置にある状態で、前記ガン接続検知部により前記補給口への前記エネルギ補給ガンの接続が解除されたことが検知された場合に、前記庇駆動部に前記庇部材を前記前進位置から前記後退位置へ後退させる後退駆動を実行させる制御部と、を備え、前記制御部は、前記開閉リッドが前記開位置にある状態で、前記庇駆動部に実行させた前記後退駆動が完了した場合に、前記リッド駆動部に前記開閉リッドを前記開位置から前記閉位置へ移動させる閉駆動を実行させる、エネルギ補給口用部材の駆動装置である。
【0007】
この構成によれば、補給口にエネルギ補給ガンが接続されると、庇部材が後退位置から前進位置へ前進して補給口を上方から覆う。このため、補給口への雨や雪の進入を防ぐことができる。また、補給口にエネルギ補給ガンが接続されないと、庇部材が後退位置から前進位置へ前進することは無い。このため、補給口へのガンの接続操作が庇部材に邪魔されることは回避される。従って、補給口へのエネルギ補給ガンの接続操作性を損なうことなく、庇部材を用いて補給口への雨や雪の進入を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係るエネルギ補給口
用部材の駆動装置が車体に取り付けられてリッド閉位置にある状態を斜め上方から見た図である。
【
図2】
図1に示す駆動装置を矢印II-IIに沿うように切断した際の断面図である。
【
図3】実施形態のエネルギ補給口
用部材の駆動装置が車体に取り付けられる前の状態を斜め上方から見た図である。
【
図4】実施形態のエネルギ補給口
用部材の駆動装置がリッド開位置にある状態をリッド正面から見た図である。
【
図5】実施形態のエネルギ補給口
用部材の駆動装置をリッド開位置でリッド側面から見た側面図である。
【
図6】実施形態のエネルギ補給口
用部材の駆動装置が備えるリッド駆動部及び庇駆動部のリッド閉位置での状態を表した側面図である。
【
図7】実施形態のエネルギ補給口
用部材の駆動装置のリッド開動作時の状態変化を表した斜視図である。
【
図8】実施形態のエネルギ補給口
用部材の駆動装置のリッド開動作時の状態変化を表した側面図である。
【
図9】実施形態のエネルギ補給口
用部材の駆動装置の構成図である。
【
図10】実施形態のエネルギ補給口
用部材の駆動装置の動作フローチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、
図1~
図10を参照して、本発明に係るエネルギ補給口
用部材の駆動装置の具体的な実施形態について説明する。
【0010】
本実施形態のエネルギ補給口
用部材の駆動装置1(以下、単に駆動装置1と称す。)は、補給口2(
図2や
図4参照)の周辺に配置される部材の駆動を制御する装置である。駆動装置1が駆動制御する対象の部材は、後述の如く、補給口2が設けられた車体側開口を開閉する開閉リッド、及び、開閉リッドの開状態で補給口2への雨や雪の進入を防ぐ庇部材である。
【0011】
駆動装置1は、例えばガソリン車やディーゼル車,電気自動車,ハイブリッド自動車などの車両に搭載される。車体側開口は、車体側面や車体前面などに設けられた、車体4(
図1参照)の内外を貫く開口である。尚、車体側開口は、車体4自体に設けられた開口4a(
図3参照)であってもよいし、或いは、車体4に設けられた開口4aに取り付けられたボックス体の開口であってもよい。本実施例において、車体側開口は、後述するインレットボックス10のボックス開口13であるものとする。
【0012】
補給口2は、車両への給油やバッテリ充電などのエネルギ補給のために設けられた給油口や充電口である。補給口2は、管部や電線の一端に設けられている。この管部や電線の他端は、車体奥側(すなわち、車体内側)に配置された給油タンクやバッテリなどに接続されている。補給口2は、車体側開口に開閉リッドの開状態で車体外方へ露出するように配置される。尚、補給口2は、操作者により開閉可能なキャップにより覆われてよい。補給口2には、キャップ開状態でエネルギ供給のためのガン3(
図7(D)~(F)参照)が接続可能である。ガン3は、ガソリンスタンドなどに設置された給油ガンや充電スタンドなどに設置された充電ガンなどのエネルギ補給ガンである。
【0013】
駆動装置1は、
図4及び
図5に示す如く、インレットボックス10と、開閉リッド20と、庇部材30と、を備えている。
【0014】
インレットボックス10は、補給口2を収容する箱状の車体側部材である。インレットボックス10は、車体4に設けられた開口4aに嵌るように車体4に取り付けられている。インレットボックス10は、車体4の開口4aに合わせて車体内側に配置されている。インレットボックス10は、底壁部11と、側壁部12と、ボックス開口13と、を有している。底壁部11と側壁部12とは、補給口2を収容する収容空間14を形成している。底壁部11は、例えば四角板状の部位である。側壁部12は、底壁部11の周縁を取り囲むように底壁部11の縁部から立設した壁部位である。
【0015】
ボックス開口13は、インレットボックス10に収容空間14を挟んで底壁部11と対向する側に設けられた開口である。ボックス開口13は、開閉リッド20が閉位置にあるときに閉じられ、開閉リッド20が閉位置にないときに開放される。ボックス開口13の開放時は、収容空間14内の補給口2がボックス開口13を通じて車両外方に露出される。インレットボックス10は、ボックス開口13の法線が例えば水平方向に一致する方向に延び或いは車体内側から車体外側にかけて水平方向よりも上方に傾いて延びるように車体4に取り付けられている。
【0016】
インレットボックス10は、枠部15を有している。枠部15は、ボックス開口13の周縁部に沿って環状に形成されている。枠部15は、ボックス開口13の周縁部から枠外方向に向けて延出するようにフランジ状に形成されている。インレットボックス10は、枠部15の裏面が車体4の開口4a周縁の表面などに当接することにより車体4に位置決めされる。
【0017】
開閉リッド20は、ボックス開口13を開閉する蓋部材である。開閉リッド20は、ボックス開口13を閉じる閉位置と、ボックス開口13を開放する開位置(具体的には、全開位置と称す。)との間で移動可能である。開閉リッド20は、インレットボックス10に対して第一軸線Z1(
図5参照)を中心にして回動可能である。開閉リッド20は、操作者の手動操作によることなく後述の如くリッド駆動部40からの駆動力を用いて回動することが可能である。
【0018】
開閉リッド20は、リッド駆動部40からの駆動力付与により全開位置に達した後は、その駆動力が無くなっても、全開位置に保持される。この開閉リッド20の全開位置での保持は、開閉リッド20の自重により或いはスプリング(図示せず)による付勢力により実現される。開閉リッド20は、リッド本体部21と、リッドアーム部22と、を有している。
【0019】
リッド本体部21は、ボックス開口13を塞ぐ板状に形成された部材である。リッド本体部21は、ボックス開口13に合わせた形状(例えば略長方形状)及び大きさに形成されている。リッド本体部21は、開閉リッド20の閉位置でボックス開口13の周縁における枠部15や車体表面に面一になってボックス開口13を閉じるように位置する。尚、リッド本体部21の表面は、車体表面に合わせて湾曲していてもよい。
【0020】
リッドアーム部22は、一端部がリッド本体部21に連結される、アーム状に延びる部位である。リッドアーム部22は、インレットボックス10の底壁部11を貫通して車体内外に延びている。リッドアーム部22の一端部は、底壁部11よりも車体外側においてリッド本体部21に回動自在に連結されている。リッドアーム部22の他端部は、上記の底壁部11よりも車体内側においてインレットボックス10に対して第一軸線Z1を中心にして回動可能に支持されている。
【0021】
リッドアーム部22の他端部は、後述の如くリッド駆動部のギア体に回動不能に取り付け固定されている。リッドアーム部22は、他端部にてそのギア体と一体で第一軸線Z1を中心にして回動する。第一軸線Z1は、水平に延びる軸である。例えばボックス開口13が車体側面に設けられている場合は、第一軸線Z1は、車両前後方向に延びる。
【0022】
リッドアーム部22は、一対設けられており、一対のリッドアーム部22は、第一軸線Z1の延びる方向に離れて配置されている。一対のリッドアーム部22は、互いに同期して回動する。
【0023】
開閉リッド20は、また、リッドアーム部22とは別の補助アーム部23を有している。補助アーム部23は、一端部がリッド本体部21に回動自在に連結されかつ他端部がインレットボックス10に対して第一軸線Z1とは別の軸線を中心にして回動可能に支持された、アーム状に延びる部位である。補助アーム部23は、一対設けられており、一対の補助アーム部23は、上記の軸線の延びる方向に離れて配置されている。一対の補助アーム部23は、互いに同期して回動する。
【0024】
補助アーム部23の上記の軸線を中心にした回動は、リッドアーム部22の第一軸線Z1を中心にした回動と連動して、リッド本体部21がボックス開口13に対して平行な状態に維持されるように行われる。すなわち、開閉リッド20は、リッド本体部21がリッドアーム部22と補助アーム部23との協働によりボックス開口13に対して平行な状態に維持されるように第一軸線Z1を中心にして回動する。
【0025】
庇部材30は、開閉リッド20の全開位置で補給口2への雨や雪の進入を防ぐ部材である。庇部材30は、補給口2を上方から覆う前進位置と、補給口2を上方から覆わない後退位置と、の間で進退可能である。庇部材30は、インレットボックス10に対して第二軸線Z2を中心にして回動可能である。庇部材30は、操作者の手動操作によることなく後述の如く庇駆動部50からの駆動力を用いて回動することが可能である。
【0026】
庇部材30は、庇駆動部50からの駆動力付与により後退位置に達した後は、その駆動力が無くなっても、後退位置に保持される。この庇部材30の後退位置での保持は、庇部材30の自重により或いはスプリング(図示せず)による付勢力により実現される。庇部材30は、庇板部31と、支持部32と、を有している。
【0027】
庇板部31は、補給口2を上方から覆う板状に形成された部位である。庇板部31は、略水平に又は補給口2の上縁に合わせて湾曲して形成されている。庇板部31は、前進位置で補給口2を上方から覆う状態になると共に、後退位置で補給口2の上方から退いた状態になる。
【0028】
支持部32は、庇板部31を第二軸線Z2を中心にして回動可能に支持するアーム状の部位である。支持部32は、第二軸線Z2に回動可能に支持されている。支持部32は、一対設けられており、一対の支持部32は、庇板部31の軸方向両端に一体的に接続されている。尚、支持部32は、第二軸線Z2回りに平面状に広がるように扇状の面をなすように形成されていてよく、この場合は、支持部32は、庇部材30の前進位置で庇板部31と一体となって補給口2を上方や側方から覆う。
【0029】
インレットボックス10の底壁部11には、庇部材30が貫通可能な貫通孔11aが設けられている。貫通孔11aは、逆U字状或いは上側が閉じたコの字状に形成されている。庇部材30は、後退位置で庇板部31及び支持部32がボックス開口13よりも車体内側に収まる(より具体的には、底壁部11よりも車体内側に収まる)ように位置し、前進位置で庇板部31及び支持部32が貫通孔11aを貫通して底壁部11よりも突出する(より具体的には、ボックス開口13よりも車体外方へ突出する)ように位置する。
【0030】
駆動装置1は、
図6に示す如く、リッド駆動部40と、庇駆動部50と、を備えている。リッド駆動部40は、開閉リッド20を閉位置と全開位置との間で回動させて移動させる部位である。庇駆動部50は、庇部材30を前進位置と後退位置との間で進退させる部位である。リッド駆動部40に開閉リッド20を移動させる力を付与するアクチュエータと、庇駆動部50に庇部材30を進退させる力を付与するアクチュエータと、は同じ電動アクチュエータ60である。
【0031】
すなわち、リッド駆動部40及び庇駆動部50は、一つの共用した電動アクチュエータ60により駆動される。電動アクチュエータ60は、電力供給により駆動力を発生する電動モータである。電動アクチュエータ60は、駆動力として、開閉リッド20を閉位置と全開位置との間で移動させる開閉駆動力を発生してリッド駆動部40に付与することができると共に、庇部材30を前進位置と後退位置との間で進退させる進退駆動力を発生して庇駆動部50に付与することができる。
【0032】
電動アクチュエータ60は、出力軸線Z0を中心にして回転可能な出力軸体61に直に或いは減速機などを介して連結されている。出力軸線Z0は、第一軸線Z1及び第二軸線Z2に平行に延びている。出力軸線Z0と、第一軸線Z1と、第二軸線Z2と、は鉛直方向に間隔をおいて一直線に並ぶように配置されている。
【0033】
出力軸体61には、モータギア62が固定されている。モータギア62は、略円形板状に形成されている。モータギア62は、出力軸体61の回転に伴って一体的に回転する。モータギア62は、外歯62aを有している。外歯62aは、外周全域のうち一部の領域に亘るように複数設けられている。モータギア62の外周は、外歯62aが設けられた外歯領域と、外歯62aが設けられていない非外歯領域と、を有している。モータギア62の外歯領域は、180°以下の範囲に設けられている。モータギア62の外歯領域は、例えば、後述のリッド作動ギア41に噛合する第一領域と、後述の庇作動ギア51に噛合する第二領域と、を有し、第一領域と第二領域とがオーバーラップしないように設定されていてよい。
【0034】
リッド駆動部40は、リッド作動ギア41を有している。リッド作動ギア41は、インレットボックス10に対して第一軸線Z1に回転可能に支持されている。リッド作動ギア41は、開閉リッド20のリッドアーム部22に連結されている。リッド作動ギア41は、略円形板状に形成されている。リッド作動ギア41は、リッドアーム部22と一体的に回転する。リッド作動ギア41は、モータギア62の外歯62aに噛合可能な外歯41aを有している。外歯41aは、外周全域のうち少なくとも一部の領域に亘るように複数設けられている。
【0035】
庇駆動部50は、庇作動ギア51を有している。庇作動ギア51は、インレットボックス10に対して第二軸線Z2に回転可能に支持されている。第二軸線Z2は、出力軸線Z0及び第一軸線Z1に平行に延びている。庇作動ギア51は、庇部材30に連結されている。庇作動ギア51は、略円形板状に形成されている。庇作動ギア51は、庇部材30と一体的に回転する。庇作動ギア51は、モータギア62の外歯62aに噛合可能な外歯51aを有している。外歯51aは、外周全域のうち少なくとも一部の領域に亘るように複数設けられている。
【0036】
モータギア62の外歯62aは、リッド作動ギア41の外歯41aと庇作動ギア51の外歯51aとのうち何れか一方に選択的に噛合する。すなわち、モータギア62の外歯62aがリッド作動ギア41の外歯41aに噛合するタイミングと、モータギア62の外歯62aが庇作動ギア51の外歯51aに噛合するタイミングと、はオーバーラップしないように設定されている。
【0037】
尚、モータギア62の回転中、外歯62aがリッド作動ギア41の外歯41aと庇作動ギア51の外歯51aとのうち何れにも噛合しないタイミングがあってもよい。特に、外歯62aがリッド作動ギア41の外歯41aと庇作動ギア51の外歯51aとのうち何れか一方に噛合してから他方に噛合するまでの間に、何れにも噛合しないときがあってもよい。
【0038】
モータギア62の外歯62aがリッド作動ギア41の外歯41aに噛み合っていると、モータギア62が出力軸線Z0を中心にして回転した際に、そのモータギア62の回転に伴ってリッドアーム部22が第一軸線Z1を中心にして回転する。このとき、庇作動ギア51の外歯51aは、モータギア62の非外歯領域に対向しており、モータギア62の外歯62aと庇作動ギア51の外歯51aとは互いに噛み合っていない。
【0039】
また、モータギア62の外歯62aが庇作動ギア51の外歯51aに噛み合っていると、モータギア62が出力軸線Z0を中心にして回転した際に、そのモータギア62の回転に伴って庇部材30が第二軸線Z2を中心にして回転する。このとき、リッド作動ギア41の外歯41aは、モータギア62の非外歯領域に対向しており、モータギア62の外歯62aとリッド作動ギア41の外歯41aとは互いに噛み合っていない。
【0040】
駆動装置1は、
図9に示す如く、制御部70と、センサスイッチ部80と、を備えている。制御部70は、電動アクチュエータ60を用いてリッド駆動部40を開閉リッド20が閉位置と全開位置との間で回動するように開閉駆動させるリッド制御を実行すると共に、電動アクチュエータ60を用いて庇駆動部50を庇部材30が前進位置と後退位置との間で進退するように進退駆動させる庇制御を実行する部位である。センサスイッチ部80は、上記のリッド制御及び庇制御を実行するうえで必要な情報を出力する部位である。
【0041】
センサスイッチ部80は、補給開始スイッチ81と、リッド開閉位置検知部82と、庇進退位置検知部83と、ガン接続検知部84と、を有している。
【0042】
補給開始スイッチ81は、開閉リッド20が閉位置にあるときに開閉リッド20を全開位置へ移行させて補給口2へのガン3の接続を許容するために車両運転者や車両所有者などの操作者により操作されるオン/オフスイッチである。補給開始スイッチ81は、車室内に設けられ或いはスマートフォンの専用アプリに設けられている。補給開始スイッチ81は、操作者による操作に応じた補給開始スイッチ情報を出力する。
【0043】
リッド開閉位置検知部82は、開閉リッド20の閉位置と全開位置との間の位置に応じたリッド開閉位置情報を検知して出力するセンサ部である。リッド開閉位置検知部82は、ボックス開口13の近傍や第一軸線Z1近傍に配設されている。尚、リッド開閉位置検知部82は、開閉リッド20が閉位置にあるか否か及び開閉リッド20が全開位置にあるか否かを出力するものであってよい。
【0044】
庇進退位置検知部83は、庇部材30の前進位置と後退位置との間の位置に応じた庇進退位置情報を検知して出力するセンサ部である。庇進退位置検知部83は、底壁部11の貫通孔11aの近傍や第二軸線Z2近傍に配設されている。尚、庇進退位置検知部83は、庇部材30が前進位置にあるか否か及び庇部材30が後退位置にあるか否かを出力するものであってよい。
【0045】
ガン接続検知部84は、補給口2にガン3が接続されているか否かに応じたガン接続情報を検知して出力するセンサ部である。ガン接続検知部84は、補給口2の近傍に配設されている。ガン接続検知部84は、ガン接続情報として、補給口2にガン3が挿入されて接続されている場合にオン情報を出力し、補給口2へのガン3の接続が解除されている場合にオフ情報を出力する。
【0046】
尚、ガン接続検知部84は、補給口2へのガン3の接続を光や圧力などの変化を用いて検知するものであってもよいし、補給口2に接続されたガン3からのエネルギ供給の開始(例えば給油開始や充電開始)の検知により或いはそのエネルギ供給の開始を検知した外部スタンド側からの通知により補給口2へのガン3の接続を検知するものであってもよい。
【0047】
制御部70は、マイクロコンピュータを主体に構成されている。制御部70は、情報入力部71と、駆動判断部72と、パターン記憶部73と、駆動指令部74と、を有している。補給開始スイッチ81、リッド開閉位置検知部82、庇進退位置検知部83、及びガン接続検知部84の各出力情報は、情報入力部71に入力される。情報入力部71に入力された情報は、駆動判断部72に供給される。
【0048】
駆動判断部72は、情報入力部71から供給される情報を、パターン記憶部73に予め記憶されているパターンに照らし合わせて、現状が上記のリッド制御及び庇制御のどの工程段階にあるかを判断する部位である。パターン記憶部73は、センサスイッチ部80の入力とリッド制御及び庇制御の工程段階との関係パターンを記憶している。駆動判断部72の判断結果は、駆動指令部74に入力される。駆動指令部74は、駆動判断部72の判断結果に従って電動アクチュエータ60に対して指令を行う部位である。
【0049】
以下、
図10を参照して、駆動装置1の動作について説明する。
開閉リッド20が閉位置にあるときは、補給口2へのガン3の接続は不可能である。また、開閉リッド20が閉位置にあるときは、
図8(A)に示す如く、モータギア62の外歯62aは、リッド作動ギア41の外歯41aに噛み合っている一方、庇作動ギア51の外歯51aには噛み合っていない。モータギア62とリッド作動ギア41との噛み合いは、開閉リッド20が全開位置に達するまで継続することが可能である。
【0050】
操作者は、開閉リッド20が閉位置にある状態で車両の給油やバッテリ充電などの補給を希望する場合は、まず、補給開始スイッチ81をオン操作する。補給開始スイッチ81がオン操作されると、オンの補給開始スイッチ情報が情報入力部71に入力される(
図10に示すステップS100)。かかる入力がなされると、駆動判断部72は、補給開始スイッチ情報がオンとなったとして、リッド駆動部40に開閉リッド20を閉位置から全開位置へ移動させる開駆動を実行させるべきタイミングと判断する。そして、駆動指令部74は、リッド駆動部40に開駆動を実行させ、具体的には、電動アクチュエータ60に対して開駆動力が発生するように電力供給を行う(ステップS101)。
【0051】
上記の電力供給が行われると、電動アクチュエータ60が開駆動力を発生し、
図8(B)に示す如く、出力軸体61がモータギア62と共に一体的に出力軸線Z0を中心にして第一周方向(
図6及び
図8において左回り方向)に回転する。この場合は、モータギア62がリッド作動ギア41と噛み合っているので、リッド作動ギア41がリッドアーム部22と共に一体的に第一軸線Z1を中心にして第二周方向(
図6及び
図8において右回り方向)に回転する。上記のモータギア62とリッド作動ギア41との噛み合いは、開閉リッド20が全開位置に達するまで継続する。このため、上記した出力軸体61、モータギア62、リッド作動ギア41、及びリッドアーム部22の回転は、
図8(C)に示す如く開閉リッド20が全開位置に達するまで継続して行われる。
【0052】
開閉リッド20が全開位置に達すると、リッド開閉位置検知部82から情報入力部71へ開閉リッド20が全開位置に達したことを示すリッド開閉位置情報が入力される(ステップS102)。かかる入力がなされると、駆動判断部72は、開閉リッド20が全開位置に達したとして、リッド駆動部40の開駆動を停止させるべきタイミングと判断する。そして、駆動指令部74は、リッド駆動部40の開駆動を停止させ、具体的には、電動アクチュエータ60に対して開駆動力が発生しなくなるように電力供給を停止する(ステップS103)。
【0053】
上記の電力供給が停止すると、電動アクチュエータ60が開駆動力を発生しなくなり、
図8(D)に示す如く、出力軸体61、モータギア62、リッド作動ギア41、及びリッドアーム部22の回転が停止する。この際、開閉リッド20は全開位置に達しており、補給口2はボックス開口13を通して車体外方へ露出する。また、この際、モータギア62とリッド作動ギア41とは噛み合わなくなる。
【0054】
上記の如く補給口2がボックス開口13を通して車体外方へ露出すると、その補給口2へのガン3の接続が可能になる。
図7(D)に示す如く補給口2にガン3が接続されると、ガン接続検知部84から情報入力部71へガン3が補給口2に接続されたことを示すガン接続情報が入力される(ステップS104)。かかる入力がなされると、駆動判断部72は、補給口2にガン3が接続されたとして、庇駆動部50に庇部材30を後退位置から前進位置へ前進させる前進駆動を実行させるべきタイミングと判断する。そして。駆動指令部74は、庇駆動部50に前進駆動を実行させ、具体的には、電動アクチュエータ60に対して前進駆動力が発生するように電力供給を行う(ステップS105)。
【0055】
上記の電力供給が行われると、電動アクチュエータ60が前進駆動力を発生し、
図8(E)に示す如く、出力軸体61がモータギア62と共に一体的に出力軸線Z0を中心にして第一周方向(
図6及び
図8において左回り方向)に回転する。かかる回転が生じると、モータギア62が庇作動ギア51と噛み合うので、庇作動ギア51が庇部材30と共に一体的に第二軸線Z2を中心にして第二周方向(
図6及び
図8において右回り方向)に回転する。上記のモータギア62と庇作動ギア51との噛み合いは、庇部材30が前進位置に達するまで継続する。このため、上記した出力軸体61、モータギア62、庇作動ギア51、及び庇部材30の回転は、庇部材30が前進位置に達するまで継続して行われる。
【0056】
庇部材30が前進位置に達すると、庇進退位置検知部83から情報入力部71へ庇部材30が前進位置に達したことを示す庇進退位置情報が入力される(ステップS106)。かかる入力がなされると、駆動判断部72は、庇部材30が前進位置に達したとして、庇駆動部50の前進駆動を停止させるべきタイミングと判断する。そして、駆動指令部74は、庇駆動部50の前進駆動を停止させ、具体的には、電動アクチュエータ60に対して前進駆動力が発生しなくなるように電力供給を停止する(ステップS107)。
【0057】
上記の電力供給が停止すると、電動アクチュエータ60が前進駆動力を発生しなくなり、
図8(F)に示す如く、出力軸体61、モータギア62、庇作動ギア51、及び庇部材30の回転が停止する。この際、庇部材30は前進位置に達しており、補給口2はその庇部材30により上方から覆われる。また、この際、モータギア62と庇作動ギア51とは噛み合った状態に維持される。
【0058】
このように、駆動装置1においては、開閉リッド20が閉位置にある状態で補給開始スイッチ81がオン操作されることにより、開閉リッド20が、閉位置から全開位置へ移動する。そして、開閉リッド20が全開位置に達した後、ガン3がインレットボックス10の収容空間14内の補給口2に接続されることにより、庇部材30が後退位置から前進位置へ前進する。
【0059】
上記の構成においては、開閉リッド20が全開位置にある状態で、補給口2にガン3が接続されると、庇部材30が後退位置から前進位置へ前進して補給口2の上方で底壁部11の貫通孔11aから突出し更にボックス開口13よりも車体外方へ突出する。このため、開閉リッド20が全開位置にある状態で、補給口2が庇部材30により上方から覆われるので、補給口2への雨や雪の進入を防ぐことができる。
【0060】
また、上記の構成においては、ガン3が補給口2に接続されない限り、庇部材30が後退位置から前進位置へ前進することは無い。すなわち、庇部材30が後退位置から前進位置へ前進する前、補給口2の上方に庇部材30が存在しない状態でその補給口2にガン3を挿入して接続させることが可能である。補給口2にガン3が接続される際には未だ、庇部材30が前進位置に無く後退位置に維持されたままであって補給口2が庇部材30によって上方から覆われていないので、補給口2へのガン3の接続操作が庇部材30に邪魔されて困難となることは回避され、その接続操作性を向上させることができる。
【0061】
従って、駆動装置1によれば、補給口2へのガン3の接続操作性を損なうことなく、補給口2へのガン3の接続後は庇部材30を用いて補給口2への雨や雪の進入を防ぐことができる。
【0062】
また、庇部材30は、後退位置でボックス開口13よりも車体内側に収まり、前進位置でボックス開口13よりも車体外方へ突出する。上記の構成においては、開閉リッド20が全開位置に達しない限り、庇部材30が後退位置から前進位置へ前進することは無い。すなわち、庇部材30が後退位置から前進位置へ前進する前に開閉リッド20の閉位置から全開位置への移動が開始されて開閉リッド20が全開位置に達した以後に、庇部材30が後退位置から前進位置へ前進する。
【0063】
このため、開閉リッド20が全開位置に達していない状態で庇部材30が前進位置へ前進することは無いので、開閉リッド20と庇部材30との干渉が生じるのは回避され、開閉リッド20及び庇部材30の損傷を防止することができる。
【0064】
次に、開閉リッド20が全開位置にあり、庇部材30が前進位置にあり、補給口2にガン3が接続されている状態で、操作者は、車両への補給が完了して開閉リッド20を閉位置へ戻すことを希望する場合は、ガン3を補給口2から引き抜いて補給口2へのガン3の接続を解除する。補給口2へのガン3の接続が解除されると、ガン接続検知部84から情報入力部71へ補給口2へのガン3の接続が解除されたことを示すガン接続情報が入力される(ステップS110)。かかる入力がなされると、駆動判断部72は、補給口2へのガン3の接続が解除されたとして、庇駆動部50に庇部材30を前進位置から後退位置へ後退させる後退駆動を実行させるべきタイミングと判断する。そして。駆動指令部74は、庇駆動部50に後退駆動を実行させ、具体的には、電動アクチュエータ60に対して後退駆動力が発生するように電力供給を行う(ステップS111)。
【0065】
上記の電力供給が行われると、電動アクチュエータ60が後退駆動力を発生し、出力軸体61がモータギア62と共に一体的に出力軸線Z0を中心にして第二周方向(
図6及び
図8において右回り方向)に回転する。この場合は、モータギア62が庇作動ギア51と噛み合っているので、庇作動ギア51が庇部材30と共に一体的に第二軸線Z2を中心にして第一周方向(
図6及び
図8において左回り方向)に回転する。上記のモータギア62と庇作動ギア51との噛み合いは、庇部材30が後退位置に達するまで継続する。このため、上記した出力軸体61、モータギア62、庇作動ギア51、及び庇部材30の回転は、庇部材30が後退位置に達するまで継続して行われる。
【0066】
庇部材30が後退位置に達すると、庇進退位置検知部83から情報入力部71へ庇部材30が後退位置に達したことを示す庇進退位置情報が入力される(ステップS112)。かかる入力がなされると、駆動判断部72は、庇部材30が後退位置に達したとして、庇駆動部50の後退駆動を停止させるべきタイミングと判断する。そして、駆動指令部74は、庇駆動部50の後退駆動を停止させ、具体的には、電動アクチュエータ60に対して後退駆動力が発生しなくなるように電力供給を停止する(ステップS113)。
【0067】
上記の電力供給が停止すると、電動アクチュエータ60が後退駆動力を発生しなくなり、出力軸体61、モータギア62、庇作動ギア51、及び庇部材30の回転が停止する。この際、庇部材30が後退位置に達しており、補給口2がその庇部材30により上方から覆われなくなる。また、この際、モータギア62と庇作動ギア51とは噛み合わなくなる。
【0068】
上記の如く庇駆動部50の後退駆動が停止されると、次に、駆動判断部72は、リッド駆動部40に開閉リッド20を全開位置から閉位置へ移動させる閉駆動を実行させるべきタイミングと判断する。そして、駆動指令部74は、リッド駆動部40に閉駆動を実行させ、具体的には、電動アクチュエータ60に対して閉駆動力が発生するように電力供給を行う(ステップS114)。
【0069】
上記の電力供給が行われると、電動アクチュエータ60が閉駆動力を発生し、出力軸体61がモータギア62と共に一体的に出力軸線Z0を中心にして第二周方向(
図6及び
図8において右回り方向)に回転する。かかる回転が生じると、モータギア62がリッド作動ギア41と噛み合うので、リッド作動ギア41がリッドアーム部22と共に一体的に第一軸線Z1を中心にして第一周方向(
図6及び
図8において左回り方向)に回転する。上記のモータギア62とリッド作動ギア41との噛み合いは、開閉リッド20が閉位置に達するまで継続する。このため、上記した出力軸体61、モータギア62、リッド作動ギア41、及びリッドアーム部22の回転は、開閉リッド20が閉位置に達するまで継続して行われる。
【0070】
開閉リッド20が閉位置に達すると、リッド開閉位置検知部82から情報入力部71へ開閉リッド20が閉位置に達したことを示すリッド開閉位置情報が入力される(ステップS115)。かかる入力がなされると、駆動判断部72は、開閉リッド20が閉位置に達したとして、リッド駆動部40の閉駆動を停止させるべきタイミングと判断する。そして、駆動指令部74は、リッド駆動部40の閉駆動を停止させ、具体的には、電動アクチュエータ60に対して閉駆動力が発生しなくなるように電力供給を停止する(ステップS116)。
【0071】
上記の電力供給が停止すると、電動アクチュエータ60が閉駆動力を発生しなくなり、出力軸体61、モータギア62、リッド作動ギア41、及びリッドアーム部22の回転が停止する。この際、開閉リッド20は閉位置に達しており、ボックス開口13を通した車体外方への補給口2の露出が生じなくなる。また、この際、モータギア62とリッド作動ギア41とは噛み合った状態に維持される。
【0072】
尚、上記の如くリッド駆動部40の閉駆動が停止された後、開閉リッド20が閉位置に達したことを示す通知が操作者に対して行われることとしてもよい(ステップS117)。
【0073】
このように、駆動装置1においては、開閉リッド20が全開位置にあり、庇部材30が前進位置にあり、補給口2にガン3が接続されている状態で、補給口2へのガン3の接続が解除されることにより、庇部材30が前進位置から後退位置へ後退すると共に、庇部材30の後退位置への到達後、開閉リッド20が全開位置から閉位置へ移動する。
【0074】
上記の構成においては、開閉リッド20が全開位置にありかつ庇部材30が前進位置にある状態で、補給口2へのガン3の接続が解除された場合、庇部材30が前進位置から後退位置へ後退しない限り、開閉リッド20が全開位置から閉位置へ移動することは無い。すなわち、開閉リッド20が全開位置から閉位置へ移動する前に、庇部材30の後退が完了する。このため、庇部材30が前進位置に保持された状態で開閉リッド20が閉位置へ移動することは無いので、開閉リッド20と庇部材30との干渉が生じるのは回避され、開閉リッド20及び庇部材30の損傷を防止することができる。
【0075】
また、上記の構成においては、庇部材30を前進位置から後退位置へ後退させかつ開閉リッド20を全開位置から閉位置へ移動させるうえで、補給口2に接続されたガン3を引き抜いてその接続を解除させる操作を行うこととすればよく、その補給口2へのガン3の接続解除操作以外に別途スイッチ操作を行うことは不要である。このため、庇部材30を前進位置から後退位置へ後退させかつ開閉リッド20を全開位置から閉位置へ移動させるための操作の簡素化を図ることができる。
【0076】
更に、駆動装置1においては、リッド駆動部40に開閉リッド20を移動させる力を付与するアクチュエータと、庇駆動部50に庇部材30を進退させる力を付与するアクチュエータと、は同じ電動アクチュエータ60である。電動アクチュエータ60は、発生した駆動力を出力軸体61に伝達して、その出力軸体61に固定されたモータギア62を回転させる。モータギア62は、外周全域のうち一部の領域に亘って設けられた複数の外歯62aを有している。モータギア62の外歯62aは、モータギア62の回転に応じて、開閉リッド20に連結するリッド駆動部40のリッド作動ギア41の外歯41aと、庇部材30に連結する庇駆動部50の庇作動ギア51の外歯51aとのうち何れか一方に選択的に噛合する。
【0077】
モータギア62がリッド作動ギア41に噛み合っているときは、モータギア62が庇作動ギア51に噛み合う事態は生じることはなく、モータギア62の回転に伴って開閉リッド20のみが第一軸線Z1を中心にして回動して開閉動作する。また、モータギア62が庇作動ギア51に噛み合っているときは、モータギア62がリッド作動ギア41に噛み合う事態は生じることはなく、モータギア62の回転に伴って庇部材30のみが第二軸線Z2を中心にして回動して進退する。
【0078】
この構成によれば、一つの電動アクチュエータ60を用いて、リッド駆動部40のリッド作動ギア41及び庇駆動部50の庇作動ギア51を順次駆動させることができる。具体的には、補給開始時は、リッド作動ギア41を開駆動させて開閉リッド20を閉位置から全開位置へ移動させると共に、その開駆動の完了後、補給口2にガン3が接続された以後は、庇作動ギア51を前進駆動させて庇部材30を後退位置から前進位置へ前進させることができる。また、補給完了後、補給口2へのガン3の接続が解除されたときは、庇作動ギア51を後退駆動させて庇部材30を前進位置から後退位置へ後退させると共に、その後退駆動の完了後は、リッド作動ギア41を閉駆動させて開閉リッド20を全開位置から閉位置へ移動させることができる。
【0079】
従って、一つの電動アクチュエータ60を共用してリッド駆動部40の開閉駆動と庇駆動部50の進退駆動とを実現することができるので、リッド制御及び庇制御を適切に行いつつ構成の簡素化を図ることができる。
【0080】
また、補給開始時は、まず、電動アクチュエータ60から出力軸体61及びモータギア62を介してリッド作動ギア41へ駆動力が付与されてリッド駆動部40が開駆動され、開閉リッド20が全開位置に達してその開駆動が完了すると、一旦、電動アクチュエータ60の作動が停止される。そして、補給口2にガン3が接続されると、電動アクチュエータ60の作動が再開され、電動アクチュエータ60から出力軸体61及びモータギア62を介して庇作動ギア51へ駆動力が付与されて庇駆動部50が前進駆動される。すなわち、補給開始時は、リッド駆動部40の開駆動が完了してからすなわち開閉リッド20が全開位置に達してから、庇駆動部50の前進駆動が開始されるまですなわち庇部材30が後退位置から前進するまでの間、電動アクチュエータ60の作動が停止される。
【0081】
このため、補給口2へのガン3の接続操作が行われるときに、補給口2の周辺に配置される部材が動くことは無いので、その部材とガン3との干渉が生じることは確実に回避され、その部材とガン3との損傷を防止することができる。
【0082】
尚、上記の実施形態においては、ボックス開口13が特許請求の範囲に記載した「車体側開口」に、ガン3が特許請求の範囲に記載した「エネルギ補給ガン」に、それぞれ相当している。
【0083】
ところで、上記の実施形態においては、庇駆動部50の後退駆動からリッド駆動部40の閉駆動への切り替わり時に電動アクチュエータ60への電力供給が停止されて電動アクチュエータ60の作動が停止されることとしている。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、庇駆動部50の後退駆動からリッド駆動部40の閉駆動への切り替わり時に電動アクチュエータ60への電力供給が連続して行われて電動アクチュエータ60の作動が途切れなく継続して行われることとしてもよい。
【0084】
また、上記の実施形態においては、リッド駆動部40に開閉リッド20を移動させる力を付与するアクチュエータと、庇駆動部50に庇部材30を進退させる力を付与するアクチュエータと、は同じ電動アクチュエータ60であるものとしている。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、リッド駆動部40に開閉リッド20を移動させる力を付与するアクチュエータと、庇駆動部50に庇部材30を進退させる力を付与するアクチュエータと、は互いに異なっていてもよい。この変形形態では、リッド駆動部40のリッド作動ギア41を回転させる力と、庇駆動部50の庇作動ギア51を回転させる力と、がそれぞれ独立した別々のアクチュエータで発生することとなり、開閉リッド20の開閉動作と庇部材30の進退動作とを木目細かく制御することが可能となる。
【0085】
尚、本発明は、上述した実施形態や変形形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0086】
1:駆動装置、2:補給口、3:ガン、4:車体、4a:開口、10:インレットボックス、13:ボックス開口、14:収容空間、20:開閉リッド、21:リッド本体部、22:リッドアーム部、30:庇部材、40:リッド駆動部、41:リッド作動ギア、50:庇駆動部、51:庇作動ギア、60:電動アクチュエータ、61:出力軸体、62:モータギア、70:制御部、80:センサスイッチ部、81:補給開始スイッチ、82:リッド開閉位置検知部、83:庇進退位置検知部、84:ガン接続検知部、Z0:出力軸線、Z1:第一軸線、Z2:第二軸線。