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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】鼻マスクインタフェースアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/06 20060101AFI20231031BHJP
【FI】
A61M16/06 A
【請求項の数】 12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021169861
(22)【出願日】2021-10-15
(62)【分割の表示】P 2019206159の分割
【原出願日】2012-06-29
(65)【公開番号】P2022009193
(43)【公開日】2022-01-14
【審査請求日】2021-11-08
(31)【優先権主張番号】61/504,061
(32)【優先日】2011-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504298349
【氏名又は名称】フィッシャー アンド ペイケル ヘルスケア リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100106655
【弁理士】
【氏名又は名称】森 秀行
(72)【発明者】
【氏名】クレイグ、ロバート、プレンティス
(72)【発明者】
【氏名】バーナード、ツー、ロン、アイピー
(72)【発明者】
【氏名】リチャード、ボーイズ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス、リチャードソン
(72)【発明者】
【氏名】ガレス、マクダーモット
【審査官】関本 達基
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0006101(US,A1)
【文献】国際公開第2010/135785(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスクアセンブリのインタフェースアセンブリのためのクリップ部材であって、前記クリップ部材は、
本体であって、前記本体の近位端のところにある周面によって画定される開口部を有している、前記本体と、
前記近位端に配置された保持手段であって、前記保持手段が複数のスロットを画定する複数の支柱を備え、前記複数の支柱が前記周面に対して間隔を空けて配置されている、前記保持手段と、
前記複数の支柱の外側を取り囲むリングと、
を備え、
前記保持手段は、別個のシール部材の前記クリップ部材上へのオーバーモールドによる固定を可能とするように構成されており、
前記クリップ部材の遠位端は、フレームに取り付けられるように、かつ、前記フレームから取り外されるように構成されており、
前記複数の支柱の各々は第1端および第2端を有しており、前記複数の支柱の前記第1端は前記本体の近位端のところに位置し、前記複数の支柱は、前記第1端から前記第2端へと前記クリップ部材の遠位端から遠ざかる方向に延びており、
前記リングは、前記複数の支柱の前記第2端のところに位置している、
クリップ部材。
【請求項2】
前記複数の支柱は、等間隔に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のクリップ部材。
【請求項3】
前記複数の支柱と間に介在するスロットとの間に1:2の比率がもたらされるように、前記支柱が前記周面に沿って間隔を空けて配置されている、請求項1に記載のクリップ部材。
【請求項4】
前記保持手段は、互いに平行な、少なくとも1つの近位面および少なくとも1つの遠位面を含む、請求項1から3のうちのいずれか一項に記載のクリップ部材。
【請求項5】
前記少なくとも1つの遠位面が、前記本体の近位端を取り囲むリング状の面を含む、請求項4に記載のクリップ部材。
【請求項6】
前記少なくとも1つの近位面が、前記複数の支柱の前記第2端を含む、請求項4または5に記載のクリップ部材。
【請求項7】
前記リングは、前記複数の支柱前記第2端の外側を囲んでいる、請求項6に記載のクリップ部材。
【請求項8】
前記クリップ部材は、前記近位端の大きな底面積から、より小さな底面積となるように遠位側に向けて先細となっている、前記請求項1から7のうちのいずれか一項に記載のクリップ部材。
【請求項9】
前記遠位端は、前記フレームの表面に対して密封されるように適合された遠位面を含む、請求項1から8のうちのいずれか一項に記載のクリップ部材。
【請求項10】
前記フレームの1つまたは複数の突出部と協働するように構成された1つまたは複数の窪みを含む、請求項1から9のうちのいずれか一項に記載のクリップ部材。
【請求項11】
請求項1から10のうちのいずれか一項に記載のクリップ部材に接続されたシール部材を含む、マスクアセンブリ。
【請求項12】
請求項11に記載のマスクアセンブリと、
- 前記クリップ部材に接続されるか、または接続可能なフレーム、
- 導管に接続されるか、または接続可能な導管コネクタ、
- エルボ管形のコネクタ、および
- ヘッドギア
のうちの1つ以上と、
を備えたインタフェースアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、陽圧療法のためのインタフェースアセンブリに関する。より詳しくは、本発明は鼻マスクインタフェースアセンブリとヘッドギアに関する。
【背景技術】
【0002】
インタフェースは、使用者に陽圧下で呼吸ガスを供給するために使用できる。使用者の鼻を覆う構成では、鼻マスクは一般に鼻梁を覆う。一般に、単独のシールによって使用者の鼻の一部が取り囲まれる。
【0003】
このような鼻マスクは通常、シール部材に接続されるT継手フレームを有するヘッドギアを用いて使用者の顔に固定される。漏れを十分に減らすために、一般に、ヘッドギアを締めるため、使用者の鼻梁に高い圧力がかかる。換言すれば、ヘッドギアを締めるにつれて、シリコーンのシールによって鼻梁にかかる負荷が一般には徐々に増大する。圧力は不快の原因となりえ、場合によっては、時間の経過により圧迫潰瘍につながることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、上記の点を少なくともある程度改善するか、または少なくとも一般の人々または医療従事者に有益な選択肢を提供するような1つまたは複数の構成および/または方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1つの態様において、インタフェースアセンブリ用シール部材は、顔面接触面を含む。顔面接触面は、少なくとも部分的に開口部を画定する縁辺を含む。顔面接触面はまた、第一の頬面と第二の頬面も含む。第一の頬面は第一の肉厚部を含み、第二の頬面は第二の肉厚部を含む。
【0006】
好ましくは、第一と第二の肉厚部はシール部材の内面に形成される。
【0007】
好ましくは、シール部材の遠位部はクリップ部材の上にオーバーモールドされる。好ましくは、クリップはある要素を含み、これはインタフェースフレームの相補的な要素を受ける。好ましくは、クリップ部材は遠位方向にテーパが付けられている。
【0008】
1つの態様において、インタフェースアセンブリ用シール部材は、顔面接触面を含む。顔面接触面は、少なくとも部分的に開口部を画定する縁辺を含む。顔面接触面はまた、上唇接触面と、第一の頬面と、第二の頬面と、を含む。側壁が顔面接触面の遠位方向に延びる。側壁は、上唇面から第一の頬面への移行部の付近に第一の下側角部を含む。側壁は、上唇面から第二の頬面への移行部の付近に第二の下側角部を含む。第一の下側角部と第二の下側角部の断面の厚さは、側壁のうち、縦方向に見て第一の下側角部と第二の下側角部の上方に位置する部分と比較して、より厚い。
【0009】
好ましくは、シール部材の遠位部はクリップ部材の上にオーバーモールドされる。好ましくは、クリップはある要素を含み、これはインタフェースフレームの相補的な要素を受ける。好ましくは、クリップ部材は遠位方向にテーパが付けられている。
【0010】
1つの態様において、インタフェースアセンブリ用シール部材は、顔面接触面を含む。顔面接触面は、少なくとも部分的に開口部を画定する縁辺を含む。顔面接触面はまた、上唇接触面と、第一の頬面と、第二の頬面と、を含む。側壁が顔面接触面の遠位方向に延びる。側壁は、第一の頬面に対応する部分に沿って延びる第一の肉厚帯状部と、第二の頬面に対応する部分に沿って延びる第二の肉厚帯状部と、を含む。
【0011】
好ましくは、シール部材の遠位部はクリップ部材の上にオーバーモールドされる。好ましくは、クリップはある要素を含み、これはインタフェースフレームの相補的な要素を受ける。好ましくは、クリップ部材は遠位方向にテーパが付けられている。
【0012】
好ましくは、シール部材の側壁の、第一と第二の肉厚帯状部の遠位側の断面は、第一と第二の肉厚帯状部の近位側の断面に関して、より厚い。
【0013】
好ましくは、シール部材の遠位部はクリップ部材の上にオーバーモールドされる。好ましくは、クリップはある要素を含み、これはインタフェースフレームの相補的な要素を受ける。好ましくは、クリップ部材は遠位方向にテーパが付けられている。
【0014】
1つの態様において、インタフェースアセンブリ用ヘッドギアは本体を含む。第一の下側ストラップと第二の下側ストラップが本体から本体の反対に延びる。第一の上側ストラップと第二の上側ストラップが本体から本体の反対に延びる。第一の下側ストラップは第一の下側ストラップの中心線を含む。第二の下側ストラップは第二の下側ストラップの中心線を含む。第一の上側ストラップは第一の上側ストラップの中心線を含む。第一と第二の下側ストラップの中心線は相互に交差してから、第一の上側ストラップの中心線と交差する。
【0015】
好ましくは、第二の上側ストラップは第二の上側ストラップの中心線を含み、第一の上側ストラップの中心線は第二の上側ストラップの中心線に対応する。
【0016】
好ましくは、第一の下側ストラップの中心線と第二の下側ストラップの中心線の交差点は、第一の上側ストラップの中心線から約23mmの距離だけずれている。
【0017】
好ましくは、第一の下側ストラップの中心線は第一の上側ストラップの中心線と、第二の下側ストラップの中心線が第一の上側ストラップの中心線と交差する位置から約43mmの位置で交差する。
【0018】
好ましくは、第一の上側ストラップの中心線と第二の上側ストラップの中心線は、相互に相関し、ヘッドギアの本体全体とは交差しない。
【0019】
好ましくは、第一の下側ストラップの中心線は第一の上側ストラップの中心線に関してある角度で延び、この角度は約20度~約50度である。
【0020】
1つの態様において、インタフェースアセンブリに使用されるL字管は、近位端と遠位端を有する本体を含む。近位端と遠位端は相互に関してある角度をなし、屈曲部が近位端から遠位端への移行部に画定される。屈曲部は複数の通気穴を含む。複数の通気穴は、L字管の本体と一体に形成される。
【0021】
1つの態様において、インタフェースアセンブリに使用されるL字管は、近位端と遠位端を有する本体を含む。近位端と遠位端は相互に関してある角度をなし、屈曲部が近位端から遠位端への移行部に画定される。屈曲部は複数の通気穴を含む。通気穴の1つまたは複数は、円錐形の第一の部分とラッパ形の第二の部分を含む。
【0022】
好ましくは、円錐形の第一の部分は内側部分であり、ラッパ形の第二の部分は外側部分である。
【0023】
好ましくは、通気穴は本体と一体に形成される。
【0024】
1つの態様において、インタフェースアセンブリはフレームを含み、シールがこのフレームに着脱式に接続される。シールは、本願において説明および/または図示されたいずれかのものにしたがって構成される。
【0025】
1つの態様において、インタフェースアセンブリはフレームを含み、ヘッドギアがこのフレームに着脱式に接続される。ヘッドギアは、本願において説明および/または図示されたいずれかのものにしたがって構成される。
【0026】
1つの態様において、インタフェースアセンブリはフレームを含み、導管コネクタがこのフレームに接続される。導管コネクタは、本願において説明および/または図示されたいずれかのものにしたがって構成されるL字管を含む。
【0027】
1つの態様において、インタフェースアセンブリはフレームを含み、シールとヘッドギアがこのフレームに着脱式に接続される。シールは本願において説明および/または図示されたいずれかのものにしたがって構成され、ヘッドギアは本願において説明および/または図示されたいずれかのものにしたがって構成される。
【0028】
1つの態様において、インタフェースアセンブリはフレームを含み、シールがこのフレームに接続され、導管コネクタがこのフレームに接続される。導管コネクタはL字管を含む。シールは本願において説明および/または図示されたいずれかのものにしたがって構成され、L字管は本願において説明および/または図示されたいずれかのものにしたがって構成される。
【0029】
1つの態様において、インタフェースアセンブリはフレームを含み、ヘッドギアがこのフレームに接続され、導管コネクタがフレームに接続される。導管コネクタはL字管を含む。ヘッドギアは本願において説明および/または図示されたいずれかのものにしたがって構成され、L字管は本願において説明および/または図示されたいずれかのものにしたがって構成される。
【0030】
1つの態様において、インタフェースアセンブリはフレームを含み、シールとヘッドギアがこのフレームに接続され、導管コネクタがこのフレームに接続される。導管コネクタはL字管を含む。シールは本願において説明および/または図示されたいずれかのものにしたがって構成される。ヘッドギアは本願において説明および/または図示されたいずれかのものにしたがって構成される。L字管は本願において説明および/または図示されたいずれかのものにしたがって構成される。
【0031】
本明細書において、特許明細書、他の外部文献または他の情報源に言及されている場合、これは一般に本発明の特徴を説明するための背景を提供することを目的としている。特に明確な別段の記載がないかぎり、かかる外部文献への言及は、いずれかの法域において、かかる文献またはかかる情報源が先行技術である、または当業界の一般的知識の一部であると認めるものと解釈されるべきではない。
【0032】
ここで、本発明の上記およびその他の特徴、態様、利点を、好ましい実施形態の図面を参照しながら説明するが、この実施形態は例示のためであり、本発明を限定しようとはしていない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】好ましい、また代替的な実施形態のインタフェースとともに使用可能な、使用者に加熱された加湿ガス流を供給するためのシステム、たとえば持続気道陽圧システムの概略図である。
図2】本発明の特定の特徴、態様、利点にしたがって構築、構成されたインタフェースアセンブリの斜視図である。
図3図2の線3-3に沿って切ったインタフェースアセンブリの断面図である。
図4図2のインタフェースアセンブリのシール部材とクリップの背面図である。
図5図4の線5-5に沿って切ったインタフェースアセンブリの断面図である。
図6図4のシール部材とクリップの側面図であり、肉厚部が破線で示され、シール部材の湾曲する動作が一点鎖線で示される。
図7】変位に応じた抵抗のグラフである。
図8】シール部材の斜視図であり、3種類の部分が斜線で示される。
図9図4のクリップの斜視図である。
図10図4のクリップの他の斜視図である。
図11図4のシール部材とクリップおよび図2のインタフェースアセンブリのマスクフレームの斜視図である。
図12図2のインタフェースアセンブリのL字管の正面図である。
図13図12の線13-13に沿って切ったL字管の断面図である。
図14図13の線14-14により示される領域内で切られたL字管の拡大断面図である。
図15図2の線15-15に沿って切ったインタフェースアセンブリの断面図である。
図16図2のインタフェースアセンブリと共に使用されるヘッドギアアセンブリの、図2のインタフェースアセンブリのフレームに結合される前の図である。
図17】フレームからシールとクリップが分離された状態の、代替的インタフェースアセンブリの斜視図である。
図18図17のインタフェースアセンブリの、図17の線18-18に沿って切った断面図である。
図19図17のインタフェースアセンブリの、シールとクリップがフレームに組み付けられた状態の、図18のそれと同様の断面図である。
図20図17のインタフェースアセンブリのシールとクリップの、図17の線20-20に沿って切った断面図である。
図21図17のインタフェースアセンブリのフレームの背面図である。
図22図17のインタフェースアセンブリのフレームの正面図である。
図23図17のインタフェースアセンブリのフレームの、図21の線23-23に沿って切った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の特定の特徴、態様、利点にしたがって構築、構成されるインタフェース20は、たとえば、ただしこれに限定されないが、CPAP療法の提供を改良することができる。特に、密閉式インタフェース20は、改善された密閉特性を示し、その一方で、使用者の鼻梁にかかる圧力を制限することができる。
【0035】
システムの概要
当然のことながら、インタフェース20は呼吸管理全般において使用されるあらゆる送達機器と共に、たとえばベンチレータと共に使用できるが、密閉式インタフェース20について、加湿CPAPシステムでの使用に関連して説明する。送達システムはまた、VPAP(可変気道陽圧)、BiPAP(バイレベル気道陽圧)または、呼吸療法における使用に適したその他の形態とすることもできる。
【0036】
これも当然のことながら、患者インタフェース20の各種の特徴、態様、利点は、鼻マスクに関連して説明されるものの、他のインタフェース構成、たとえば、ただしこれらに限定されないが、使用者の鼻と口の周囲を密閉する口鼻マスクやフルフェイスマスク、使用者の口の周囲を密閉する口マスク、および使用者の鼻の下方を密閉する鼻枕またはその他の種類のマスク等にも使用できる。
【0037】
図1を参照すると、加湿持続気道陽圧(CPAP)システム22が示されている。図のCPAPシステム22は、加湿、加圧されたガスを、加湿ガス輸送路、すなわち吸気導管24に接続されたインタフェース20を通じて使用者Uに供給する。
【0038】
吸気導管24は、ある量の水32を収容するようになされた加湿室30の出口26に接続される。吸気導管24は加熱装置(図示せず)たとえば、ただしこれに限定されないが、加熱ワイヤ等を含んでいてもよい。加熱装置は、吸気導管24の壁を加熱することによって、吸気導管24内の加湿されたガスの結露を低減させることができる。
【0039】
加湿室30は好ましくは、プラスチック材料から形成され、加湿器36のヒータプレート34と直接接触する熱伝導率の高いベース(たとえば、アルミニウムベース)を有していてもよい。加湿器36は、コントローラ40またはその他を使用する。コントローラは、たとえば、ただしこれに限定されないが、関連するメモリの中に保存されたコンピュータソフトウェアの命令を実行する、マイクロプロセッサに基づくコントローラを含んでいてもよい。
【0040】
コントローラ40は、使用者入力インタフェース42(たとえば、ダイヤル)を含む複数の入力源からの入力命令を受ける。使用者入力インタフェース42により、使用者Uに供給されるガスの湿度、温度またはその他の特性の所定の数値(たとえば、事前設定値)を設定できる。コントローラ40はまた、他の入力源からの入力を受けてもよい。たとえば、図の構成においてはコネクタ50を通じて接続される温度および/または流速センサ44、46がコントローラ40と通信できる。これに加えて、ヒータプレートの温度センサ52がコントローラと通信できる。
【0041】
使用者インタフェース42を介して入力可能な使用者による湿度または温度の設定値とその他の入力との組み合わせに応答して、コントローラ40は、加湿室30の中に収容される水32を適当に加熱するために、いつ、および/またはどれだけヒータプレート34にエネルギーを供給するべきかを判断する。加湿室30の中のある量の水32が加熱されると、水蒸気が加湿室30の中の水32の水面より上の空間に充満し始める。水蒸気は加湿室30の出口26から、ガス供給装置54(たとえば、ブロワ)から供給され、入口56から加湿室30に入るガス(たとえば、空気)の流れとともに出る。
【0042】
ガス供給装置54は好ましくは、気流発生器60を含み、これは変速ファンであってもよく、または可変調圧器を含んでいてもよい。図の構成では、気流発生器60は変速ファンを含む。気流発生器60は好ましくは、空気またはその他のガスを入口62から吸引する。気流発生器60は、たとえば、ただしこれらに限定されないが、コントローラ64により制御可能であるか、コントローラ40により制御可能である。コントローラ64は、どのような適当な基準にしたがってファン速度、調整圧力またはその他を制御してもよい。たとえば、コントローラ64は、コントローラ40からの入力と、使用者インタフェース66(たとえば、ダイヤル)で設定可能な、圧力および/またはファン速度の使用者設定値(たとえば、事前設定値)に応答してもよい。
【0043】
患者用インタフェース
図2図3を参照すると、インタフェース20は一般に、マスクアセンブリ100を含む。マスクアセンブリ100は一般に、フレーム102と、シール104と、シール104をフレーム102に固定するために使用されるクリップ106と、を含む。マスクシール104とクリップ106は、別々に形成して合体させることができ、あるいは、構成によっては、マスクシール104とクリップ106を一体化させて、単体の構成部品とすることができる。図の構成では、マスクシール104はマスクシールクリップ106の上にオーバーモールドされている。コネクタ108は、呼吸導管(図示せず)をマスクフレーム102に接続する。
【0044】
ここで、図4を参照すると、シール104が背面から示されており、これは使用者の顔に当てて担持される面である。シール104は、顔面接触面110を含む。図4に示されるように、顔面接触面110は好ましくは、少なくとも部分的に開口部114を画定する縁辺112を含む。図の構成では、縁辺112は開口部114を取り囲んでいる。開口部114には、少なくとも使用者の鼻の下側部分と先端が入るように設計される。好ましくは、開口部114は概してT字形、ただし逆T字形である。
【0045】
顔面接触面110は一般に、使用者の顔面と、赤唇の境界の上方の鼻孔の下方の位置において接触するようになされた口唇面120を含む。顔面接触面110はまた、2つの分離した頬面122も含み、これらは顔面接触面110の口唇面120と顔面接触面110の横断面124との間に延びる。頬面122は、使用者の頬内側面および/または使用者の鼻外側面と接触しうる。横断面124は使用者の鼻を覆うように延びて、2つの頬面122を接続することができる。その他の構成も可能である。
【0046】
図5の切断斜視図に示されるように、顔面接触面110は好ましくは、シール104の中で材料の断面が最も薄い部分を含む。顔面接触面110は有利な点として、容易に変形して、使用者の顔の高低、たとえば上唇、頬内側、鼻外側、鼻梁のうちの1つまたは複数と密着することができる。有利な点として、顔面接触面110の断面が使用者の口唇を覆う部分で薄いことから、伸縮性が大きく、その結果、使用者の口唇の上方の領域にかかる圧力が最小限となる。シール104は、どのような適当な構成であってもよい。図の実施形態において、シール104は膨張式である。そのため、シール104の内部に含まれる圧力によって顔面接触面110が使用者の顔に押し付けられる。
【0047】
再び図4を参照すると、図のシール104はまた、2つの肉厚パネル130も含み、これらは隠れ線で示されている。パネル130は一般に、頬面122から横断面124への移行部の付近で、頬面122の上側部分に沿って位置付けられる。パネル130は、シール104の内面に形成することができる。パネル130は局所的に肉厚の領域を表しており、これはシール104の密閉能力を高めることがわかっている。現在、パネル130は使用者の鼻外側面に対する横方向の圧力を増大させると考えられており、これによってシール104からの圧力が使用者の鼻の形状によりぴったりと合う。換言すれば、パネル130は使用者の鼻の外側に対する挟み効果を生じさせ、シール104からの圧力が使用者の鼻の形状によりぴったりと合うことができる。
【0048】
図5図6を参照すると、シール104の内面はさらに、少なくとも1つの肉厚帯状部132を含む。図5図6には1つの肉厚帯状部132が示されているが、構成によっては、肉厚帯状部132により提供される特性を実現したいとの希望を念頭に、2つまたはそれ以上の肉厚帯状部または肉厚領域を設けることができる。
【0049】
図の肉厚帯状部132は、シール104の側壁134に沿って位置付けられている。側壁134は、顔面接触面110から前方に延びる。帯状部132は好ましくは、シール104の各側面の内側の、より大きな下側領域136と、シール104の内側の上側部分に巻き付くことによって下側領域136間に延びる、より細い接続リブ140を含む。シール104がシステム22から圧力を受けると、肉厚帯状部132は、側壁134が外側に膨らむ可能性および/またはその程度を減少させるのに役立つ。側壁134が外側に膨らむことによって、望まれないシール104の変形が生じる可能性があり、それがシール104の性能に不利な影響を与えかねない。
【0050】
図5を参照すると、側壁134は好ましくは、肉薄近位部142(すなわち、使用者の顔面に近い)と、肉薄遠位部144(すなわち、使用者の顔面から遠い)を含む。肉薄近位部142は、肉厚帯状部132によって肉薄遠位部144に接続される。好ましくは、顔面接触面110は肉壁近位部142から内側に巻き込むフランジを形成する。より好ましくは、顔面接触面110は側壁134の近位部142から遠ざかるにつれてテーパが付けられている。
【0051】
引き続き図5を参照すると、遠位部144は肩状部146においてクリップ106に向かって内側に巻き込む。構成によっては、遠位部144は肩状部146において縁150に向かって内側に巻き込む。図の構成では、縁150はクリップ106の一部と共にオーバーモールドされる。
【0052】
肩状部と肉薄遠位部144および肉厚帯状部132の組み合わせによって、シール104は、2011年4月15日出願の米国仮特許出願第61/476,188号明細書、2011年7月4日出願の同第61/504,295号明細書、2011年10月28日出願の同第61/553,067号明細書、2011年10月31日出願の同第61/553,872号明細書、2012年4月13日出願の国際特許出願第PCT/IB2012/000858号明細書において開示されているものと同様の湾曲動作を示し、これらの出願の全体を参照によって本願に援用する。湾曲動作は、図6において一点鎖線によりやや概略的に表され、参照文字Rで示されている。シール104の遠位部は、ヒンジポイントHの周囲で旋回でき、その間、最も遠位部が肩状部の領域で湾曲してせり出し、これは図6において一点鎖線で示される湾曲部分Rにより示されている。
【0053】
肉薄遠位部144と、肩状部146のより短い半径は、シール104の座屈と湾曲を制御するのに役立つ。これに加えて、システム22からの圧力を受けた時に、内圧により、湾曲領域でシールが動かなくなってしまう可能性が小さくなり、湾曲動作が起こりやすくなる。さらに、硬化された帯状部132はヒンジポイントHに向かって下方に延びるが、ヒンジポイントHより下まで延びている必要はない。硬化された帯状部132はまた、遠位部144が湾曲し、変形しうる程度を制限するものとしても機能する。それゆえ、遠位部144が湾曲できるのは、肉厚帯状部132が縁150に当接するまでに限られる。
【0054】
これに加えて、肉薄近位部142を硬化された帯状部132と顔面接触面110の間に位置付けることによって、肉薄近位部142は、マスクアセンブリ100の装着中に若干変形できる。好ましくは、肉薄近位部142は遠位部144より前にある程度変形しうる。湾曲効果により、使用者にとっての快適さが向上する。有利な点として、湾曲効果により、シール104の形状は、様々な鼻梁の高さに対応するように変化できる一方で、負荷に対する変化は最小限に保たれる。
【0055】
図7を参照すると、湾曲効果によって提供される違いを示す試験データのグラフが示されている。2つのマスク、すなわちFisher & Paykel HealthcareによってZest(商標)の商品名で販売されている先行技術の鼻マスクを、湾曲効果を有する試作品のマスクと比較した。鼻梁領域でのマスクの変形を、変形を起こすのに必要な力に関して示した。図のように、変形量の範囲全体を通じて、試作品のマスクは1.5Nをはるかに下回ったままであったが、先行技術によるマスクは同じ変形範囲で4Nの力を超えた。さらに、図7に示されるように、どの変形距離においても、試作品のマスクは先行技術のマスクよりはるかに低かった。それゆえ、試作品のマスクについて、変位していない状態から最大限に変位するまでの力は全体で約1Nであった。さらに、最後の7mm(たとえば、13mm~20mmの変位)で受けた力の増分は約0.3N未満であった。
【0056】
図17~23を参照すると、インタフェースアセンブリ100の代替的な実施形態は、肉厚帯状部132に加えて、またはその代わりに、少なくとも1つの下側肉厚帯状部300を有するシール104を含む。少なくとも1つの下側肉厚帯状部300と後述する他の特徴を除き、図17~23のインタフェースアセンブリ100は、図2~16のインタフェースアセンブリ100と同じ、または同様である。したがって、両実施形態における同じ、または対応する構成部品または特徴を示すために、同じ参照番号が使用されている。特に図20を参照すると、好ましくは下側肉厚帯状部300が肉厚帯状部132に加えて提供されている。下側肉厚帯状部300は、シール104の下側部分内と、好ましくはシール104の下半分および/または肉厚帯状部132の下方に配置される。肉厚帯状部300は、シール104の側壁134の下側部分に沿って位置付けられ、好ましくは、前後方向において肉厚帯状部132と概して、または実質的に整列する。しかしながら、他の構成では、帯状部132、300は前後方向において相互にずれていてもよい。他の代替的な構成では、肉厚帯状部132および/または300の一部または全部は、シール104を直立させた時(図20に示される向き)、概して、または実質的に水平面内に配置することができる。いくつかのこのような構成では、1つまたは複数の肉厚帯状部132および/または300が、概して、または実質的にシール104の横方向に延びていてもよい。たとえば、1つの肉厚帯状部132または300を設けることができ、これは、構成によっては、概して、または実質的にシール104の中央線にあってもよい。あるいは、2つまたはそれ以上の肉厚帯状部132または300を設けることができ、これはたとえば、シール104の中央線の上下に離間させることができる。さらに、1つまたは複数の概して、または実質的に横方向の帯状部と1つまたは複数の概して、または実質的に縦方向または円周方向の帯状部の組み合わせを設けることができる。
【0057】
図の帯状部300は好ましくは、シール104の各側面の内側の、より大きな上側領域302と、より大きな上側部分302間に延びるより細い接続リブ304を含む。上側領域302および/または接続リブ304は好ましくは、形状において、帯状領域132の下側領域136とリブ140と同様である。しかしながら、図の構成において、帯状部300は、帯状部132より幾分小さく縮小されており、これは、シール104の下側部分がシール104の上側部分より(前後方向に)幾分薄いことに対応する。好ましくは、帯状部300は帯状部132と実質的に同様または同じ機能を果たす。たとえば、帯状部300は好ましくは、側壁134が外側に膨らむ可能性および/または程度を減少させ、それによって、シール104の下側部分は帯状部132に関して上述したものと同様または同じ方法による湾曲動作を見せる。
【0058】
ここで、図8を参照すると、図のシール104の右下部分に3種類の断面が示されている。図のシール104の角付近にある、一番下の断面には参照文字Aが付されている。もう少し高い位置の断面には参照文字Bが付され、さらに高い断面には参照文字Cが付されている。図のように、真ん中の断面Bは2つの隣接する断面A、Cより実質的に厚い。3種類の断面A、B、Cは相互に比較的近く、厚さに広いばらつきがあることによって、使用者の顔面に対する負荷を各所に分散させることが可能となる。
【0059】
現在、使用者の顔面は、ある領域において、他の領域と比較して、より大きな負荷または圧力に耐えられると考えられている。内壁134の厚さを厚くすると、力は側壁134を通じてクリップ106から顔面接触面110へとよりよく伝達されうる。同様に、側壁134の厚さを薄くすると、側壁を通じてクリップ106と顔面接触面110との間で伝えられる力が小さくなる。構成によっては、使用者の顔面は、頬骨突起のすぐ下の上顎領域において、圧力により耐えられると考えられている。この理由から、下側角領域152は、より厚い領域(たとえば、B領域)を含む。フレーム102により提供される額接触点につなげると、シール104の2つの下側領域152と額接触点の間に三角形の支持部が画定されうる。三角形の支持部は顔面上に安定した基盤を提供し、これは使用中の外れに抵抗するのを支援することができる。
【0060】
シール104をクリップ106に永久的に取り付けるためには、オーバーモールド法を使用できる。図9を参照すると、クリップ106が、シール104が取り付けられていない状態で示されている。クリップ106は、どのような適当な剛性または半剛性材料でも形成できる。1つの構成において、クリップ106はポリカーボネート材料で形成される。シール104が好ましくはシリコーン材料で形成されるため、およびクリップ106がポリカーボネート材料で形成されるため、保持構造160をクリップ106に設けることにより、シール104がクリップ106にオーバーモールドにより固定されるようになっている。換言すれば、シール104のシリコーン材料は一般に、クリップ106のポリカーボネート材料に接着しないため、シール104は、シリコーン材料を保持構造160の要素の周囲に確実にロックすることによって、クリップ106上に保持される。
【0061】
クリップ106の保持構造160は、クリップ106の近位端162に形成される。図の保持構造160は、クリップ106と一体に形成されているが、これら2つは別に形成して、あらゆる適当な方法で合体させることもできる。しかしながら、一体化された構造により、製造性が改善され、完成品はより耐久性の高いものとなる。
【0062】
保持構造160は複数の支柱164を含み、これらが複数のスロット166を画定する。好ましくは、支柱164は、クリップ106の近位端に開口部170を画定する周面168に沿って離間されている。より好ましくは、支柱164は、周面168に沿って実質的に均等に離間されている。さらにより好ましくは、支柱164は、周面168に沿って、支柱164と介在するスロット166との比が約1:2となるように離間される。この1:2の比は、シール104とクリップ106の間の接続強度が最大になることがわかった。
【0063】
図9図10を引き続き参照すると、保持構造160は好ましくは、少なくとも1つの遠位面172と少なくとも1つの近位面174を含み、これらは概して相互に平行である。図の構成において、少なくとも1つの遠位面172はリング状の面を含み、これはクリップ106の近位端162を取り囲み、その一方で、少なくとも1つの近位面174は支柱164の複数の端を含む。平行面172、174は、オーバーモールド工程中に受ける締付力による圧縮とそれによる歪みを最小限にするのに役立つ。
【0064】
さらに、図9図10に示されるように、スロット166は概して、リング176によって取り囲まれる。図の構成では、リング176は支柱164の遠位端で支柱164の外側を取り囲む。他の構成もまた可能である。しかしながら、図の構成は製造しやすい構成を提供する。
【0065】
図10を参照すると、クリップ106の遠位端180はフレーム102に取り付けられるように構成される。好ましくは、クリップ106はフレーム102に取り付けやすく、フレーム102から取り外しやすいため、クリップ106とそれに取り付けられるシール104のクリーニングが容易となる。より好ましくは、遠位部180は、フレーム102の表面と密閉状態となるようになされている。さらにより好ましくは、遠位面182はフレーム102の表面と密着するようになされている。
【0066】
引き続き図10を参照すると、クリップ106の遠位部180は1つまたは複数の窪み184を含む。好ましくは、窪み184はまた、フレーム102と密着するように設計される。特に、薄型のフレーム102は1つまたは複数の突出部190を含み、これはクリップ106に向かって後方に延びる。ぴったりと合うようにし、また、アセンブリ100を薄くするために、有利な態様としては、クリップ106の窪み184にこれらの突出部が収まる。
【0067】
図3図11を参照すると、フレーム102とクリップ106は好ましくは、気密、すなわち密閉された関係で相互に接続される。図の構成において、フレーム102は、クリップ106に向かって延びる取付ボス192を含む。取付ボス192は、外面194を含み、その周囲にクリップ106の遠位端180の内面196がスライドする。好ましくは、ボス192とクリップ106の遠位端180の間の接続はテーパ嵌め合いである。より好ましくは、接続部は1:40の医療用テーパ形状を含み、これは2つの構成部品間の漏れを最小限にする密着面を提供する。さらにより好ましくは、テーパ接続部は、フレーム102の背面200からクリップ106の遠位面182まで測定した時の移動距離が2mmの締まり嵌めを含む。図のボス192の外面194と図の遠位端180の内面196は概して円筒形であるが、その他の形状も可能である。
【0068】
図17~23を参照すると、代替的なインタフェースアセンブリ100は、クリップ106とフレーム102の間の着脱式取付構成の改良を含む。特に、取付ボス192が、その円周に沿って間欠的、すなわち不連続の壁を含む。好ましくは、近位端(すなわち、使用者に最も近い)は、少なくとも1つ、好ましくは複数の凹部または切欠き310を含み、これは取付ボス192の遠位端に向かって延び、クリップ106をフレーム102に接続しやすくする。特に、切欠き310によって、クリップ106をフレーム102に組み付けている間に、ボス192の、切欠き310間の壁部が内側に曲がり、取付ボス192の直径が有効に小さくなる。図の構成では、切欠き310は概して、または実質的に三角形であり、4つの切欠き310が設けられている。しかしながら、切欠き310は、他の形状(たとえば、概して、または実質的に長方形、正方形、台形、半円形)および数(たとえば、2、3、5、6またはそれ以上)でもよい。これに加えて、好ましくは、切欠き310は取付ボス192の円周に沿って不均等に離間されている。図の構成では、切欠き310は上側1対および下側1対として配置され、上下の対の個々の切欠き310間の円周方向の距離は、上側の対のうちの1つの切欠き310と、下側の対のうちの、それに隣接する切欠き310との間の円周方向の距離より小さい。好ましくは、他の点において、図17~23のインタフェースアセンブリ100の取付ボス192は、たとえばテーパ嵌め合いを含め、図2~16のインタフェースアセンブリ100の取付ボス192と同様である。
【0069】
図17~23のクリップ106とフレーム102は好ましくは、締まり嵌めまたはインターロック構成320も含んでいてよく、これはクリップ106とフレーム102の間の接続を保持するのに役立ち、および/またはこれによってクリップ106をフレーム102から分離させるのに必要な力が大きくなる。このような構成では好ましくは、クリップ106とフレーム102が意図せず、または望まずに分離する可能性が低減する。好ましくは、クリップ106とフレーム102の一方は少なくとも1つの突出部を含み、クリップ106とフレーム102の他方は、突出部を収容する大きさと形状の少なくとも1つの窪みを含む。図の構成において、クリップ106は1対の突出部322を含み、フレーム102は相補的な1対の窪み324を含むが、この構成は逆にすることもできる。好ましくは、突出部322は、クリップ106の遠位端180の内面196の上下に配置され、窪み324はフレーム102の取付ボス192の外面194の上下に配置される。図の構成では、突出部322と窪み324は相互に正反対の位置にあり、各々がそれぞれの面196と194の円周方向に長く、締まり嵌めまたはインターロック面の長さが最大限となり、それによってフレーム102とクリップ106の分離が阻止され、軸方向の長さが最小限となる傾向がある。
【0070】
好ましくは、図17~23のインタフェースアセンブリ100のフレーム102は少なくとも1つの窪み330を含み、ここには使用時に、クリップ106の遠位部180が収まる。図の構成において、フレーム102は1対の窪み330を含み、これらは取付ボス192の両側に位置付けられ、クリップ106と相互作用して、クリップ106がフレーム102に関して回転するのを阻止または防止する。好ましくは、窪み330の下端は取付ボス192の付近に位置付けられ、窪み330の上端は取付ボス192から横方向に外側に向かって横方向に延びる。図2~16のクリップ106と比較して、図17~23のクリップ106の遠位部180の円周の少なくとも一部の壁厚は、より薄い。図17~23のクリップ106は肩状部332において、より肉厚部へと移行し、これは遠位方向に面する面334を画定する。好ましくは、遠位面182がフレーム102と接触することに加えて、面334が図19に示されるように窪み330の端面336と接触し、クリップ106とフレーム102の間が密閉状態となるのに役立つ。これに加えて、面334と端面336の間の接触は、クリップ106とフレーム102の間の完全な接続位置を画定できる。肩状部332は、クリップ106の窪み184によって画定でき、それゆえ窪み184と等しい範囲に及ぶ。窪み184と窪み330の係合は、クリップ106がフレーム102に関して回転するのを阻止または防止することができる。他の構成において、肩状部332は窪み184より長い距離を取り囲むことができ、または1つの肩状部332が遠位部180全体を取り囲むことができる。
【0071】
図3図11参照すると、ボス192は好ましくは、コネクタ108とのボール接続部204のためのソケットを画定する内面202を取り囲む。図の構成において、コネクタ108は一般に、L字管206とスイベル210を含む。スイベル210は、吸気導管24またはその他の呼吸管に接続するために使用できる。好ましくは、L字管206は、ボール204とソケット202によって画定される接合部によってフレーム102に接続され、その一方で、スイベル210はカンチレバー式の突起構成212によってL字管に接続される。
【0072】
ボール204とソケット202により画定される接合部によれば、好ましくは、範囲の限定された旋回運動が可能となる。構成によっては、ボール204はソケット202に関して最大約30度旋回できる。希望に応じて、旋回運動のこれ以外の範囲も画定できる。
【0073】
図の構成において、フレーム102の、背面202を有する側からボール204をフレーム102のソケット202の中に押し込む。換言すれば、L字管206はソケットを通じて接続し、ボール204をソケット202に押し込んで係合させる。このような構成では、L字管206は使用者によってフレーム102から容易に取り外される可能性が低くなる。
【0074】
他方で、スイベル210は、L字管206から容易に取り外せるように設計される。好ましくは、スイベル210はその軸の周囲でL字管206に関して360度回転でき、スイベル210は、わずか約30Nの力でL字管206から軸方向に取り外すことができる。さらに、L字管206とスイベル210の間の接続は好ましくは、接続部での漏れを減少させるように設計される。図の構成では、漏れは、10cmHOで約0.05~約0.4L/分に保たれる。
【0075】
図3を参照すると、L字管206の遠位端214は好ましくは、2つまたはそれ以上の切欠き領域または窪み216を含む。窪み216はどのような適当な形状であってもよく、図の構成では、窪み216は半円形の形状を有し、これは上方に向かってL字管206の遠位端214の中へと延びる。L字管206の遠位端214はまた、少なくとも1つの突起220、好ましくは2つまたはそれ以上の突起220を含む。好ましくは、突起220の各々は、約70度の弧に沿って延びる。より好ましくは、突起220の各々は概して、2つの窪み216間の中央にあり、突起220の各々はL字管206の遠位端214の外面の周囲で約70度にわたって延びる。
【0076】
スイベル210は好ましくは、概して円筒形の形状である。図3に示されるように、スイベル210は内側に延びる隆条222を有する。隆条222は好ましくは、内面全周に及ぶ。構成によっては、隆条222には中断部があってもよい。しかしながら、好ましくは、隆条222は、突起220全体を収容するほど大きな中断部を持たず、それによって隆条222と突起220が協働して、スイベル210をL字管206の遠位端214の周囲に取り付けられた状態に保つことができる。スイベル210をL字管206に組み付ける際、窪み216によって突起220が内側に曲がり、それによって突起220は隆条222に沿ってスライドし、その後、外側にスナップ式に戻り、突起220を隆条222の下に固定する。このために、肩状部224(図12参照)から突起220の頂点までの距離(図12においてXで示される)は、スイベルの近位端226(図3参照)から隆条222の下側縁辺までの距離と実質的に等しいか、これより若干大きい。
【0077】
ここで、図12を参照すると、L字管206は好ましくは、一体に形成された複数の通気穴230を含む。通気穴230はL字管206に固定される別のインサートに形成することができるが、通気穴230を一体に形成することによって、審美的外観がより美しくなり、また、インタフェースアセンブリ100の組み付けが単純化される。通気穴は好ましくは、L字管206の面に、すなわちボール204のある近位端から遠位端214に向かう曲がり角の外側に形成される。その他の構成も可能である。
【0078】
図13を参照すると、通気穴230は好ましくは2つの部分からなる構成を含む。通気穴230のうちの1つまたは複数の近位端232は内面234に至る円錐形の窪みを形成する。換言すれば、通気穴230のうちの1つまたは複数の近位端232は皿穴形状の面を含む。通気穴230のうちの1つまたは複数の遠位端236はラッパ形の表面を含む。換言すれば、通気穴230のうちの1つまたは複数の遠位端は、砂時計の形状の一部を含む。好ましくは、近位端232の円錐形状と遠位端236のラッパ形は概して軸方向に整列し、2つの形状間のスムーズな移行を特徴とする。より好ましくは、通気穴230の全部または実質的に全部がこの構成を有する。さらにより好ましくは、通気穴230の全部または実質的に全部は概して相互に平行である。
【0079】
図13を引き続き参照すると、通気穴230の近位端232は好ましくは、円錐面を画定し、これは断面で見た時に、L字管の近位端の軸方向の中心線CLに対して実質的に平行である。換言すれば、軸方向の中心線CLは概して、製造中のダイまたはインサートが挿抜される方向と相互に関連する。より好ましくは、断面で見た時に、通気穴の近位端232は少なくとも1つの側壁(断面で見た時)を有し、これは、断面で見た時に、概して平行に延びる(基準線PL参照)か、または平行方向に関して概して斜めになり、近位方向に移動するにつれて(すなわち、近位端232が広がるにつれて)、表面は平行方向から逸れる。このように、通気穴230の全部または実質的部分の近位端232は、1つのインサートから形成でき、それと同時に、インサートを容易に引き抜くことができる。構成によっては、インサートまたはダイをL字管の遠位端214から引き抜くことができ、通気穴230の表面は、インサートのそのような挿抜方向に合わせて適当に構成される。
【0080】
好ましくは、壁厚(すなわち、内面234と外面240の間の距離)は約1.5mmである。このような構成では、近位端232(すなわち、図14の円錐部分)は約0.5mmであり、その一方で、遠位端236(すなわち、図14のラッパ形部分)は約1.0mmである。その他の寸法と構成も可能である。図の構成は、通気穴230から出る空気流に関連するノイズレベルを適切に低減させることがわかっている。
【0081】
再び図2を参照すると、1つまたは複数のヘッドギアクリップ250がフレーム102に取り付けられているように示されている。図の構成において、2つのヘッドギアクリップ250がフレーム102に固定されている。フレーム102は概して、耳252を含み、これは各ヘッドギアクリップ250に関連付けられる。耳252は好ましくは、L字管206のためのソケットを画定する内面202から概して横方向に外側に延びる。
【0082】
図15に示されているように、耳252の各々は支柱254を含み、その一方で、クリップ250の各々はフック256を含む。フック256と支柱254によって、容易に接続可能、切断可能な構成が提供される。好ましくは、クリップ250は対称であるため、1つのクリップをフレーム102の左右両側に使用できる。
【0083】
構成によっては、フック256と支柱254の間にわずかな干渉を設けて、使用中にフック256が意図せず外れる可能性を低くすることができる。構成によっては、フック256と支柱254は、支柱254の周囲での特定の角定位でフック256からより外しやすくなるような形状とすることができる(たとえば、フック256を支柱254の周囲でシール106から離れる方向に旋回させることによって、支柱254の形状から、より外しやすくすることができる)。さらに、フック256が支柱254に関して旋回可能であるため、クリップ250のフレーム102に関する角定位を変化させて、頭の形状の違いにより対応しやすくすることができる。
【0084】
各クリップ250は、クリップ250の主要本体262を貫通して画定されるスロット260を含む。スロット260は、ヘッドギアアセンブリ266の下側ストラップ264を受け入れられる大きさと構成である。好ましくは、下側ストラップ264はスロット260に通されて、折り返される。より好ましくは、下側ストラップ264はフック・ループ式固定部を含み、これによって下側ストラップ264はスロット260に通され、折り返されて、それ自体に固定される。他の構成もまた使用できる。
【0085】
ヘッドギアアセンブリ266はまた、1対の最上部ストラップ270と1対の上側ストラップ272を含む。最上部ストラップ270、上側ストラップ272、下側ストラップ264は好ましくは、主要本体274で集合する。さらに、ストラップ264、270、272の各々は好ましくは、終端にフック・ループ式固定部の一部を形成するタブ276を有する。タブ276は、ストラップ264、270、272の端に超音波溶接することができる。
【0086】
ストラップ264、270、272と本体274とが一緒にヘッドギアアセンブリ266を画定する。構成によっては、ヘッドギアアセンブリは3層構造を有し、これはライクラ、発泡材およびUBL(unbroken loop)材料で形成される層を含む。有利な点として、UBL材料により、タブ276を接着させることのできる表面が提供される。構成によっては、3層構造の厚さは約4mmである。
【0087】
最上部ストラップ270はバックルと接続でき、これは概して頭頂部に据えられる。バックルと組み合わせた時、最上部ストラップ270は一般にクラウンストラップを画定する。上側ストップ272はフレーム102のT継手部分に形成されたスロット280に通され(図2参照)、下側ストラップ264は前述のようにクリップ250に通される。構成によっては、フレーム102のT継手部分のスロット280は、スロット280を画定する材料の裂け目を有し、それによって上側ストラップ272により画定されるループをフレーム102に着脱することができ、その際、タブ276を、ストラップ272の、タブ276がフック・ループ式固定具で取り付けられている部分から分離しなくてよい。
【0088】
図17~23の代替的なインタフェース構成100において、スロット280は、スロット280の下端に開口部340を画定し、その上端に閉鎖端342を有する。特に、フレーム102の中央部分344はスロット280の内側に沿って延び、スロット280の閉鎖端342を画定する上側部分346へと移行する。外側部分350は、スロット280の外側に沿って延び、終端に内側に延びるタブ352があり、これは中央部分344に向かって延びるが、そこに至る前に終わり、スロット280の開口部340が画定される。上側閉鎖端342は、上側ストラップ272がフレーム102から上方向に外れるのを防止し、タブ352は、上側ストラップ272がフレーム102から下方向に意図せず、または望まずに外れるのを阻止する。
【0089】
本体274は好ましくは、各種のストラップ264、270、272と相互接続する領域およびストラップ264、270、272に向かってテーパが付けられており(先細となっており)、ストラップ264、270、272の交差部を補強する領域として画定される。本体274は、頭がい骨の外後頭隆起点の下方に据えられるように構成することができる。使用者に装着した時のこのような位置付けによって、使用者が首を回した時のヘッドギアアセンブリ266の動きが減少する。さらに、ストラップが取り付けられると、概して直線的なストラップの構成によって立体的構成が得られる。換言すれば、図16に示されるように、下側ストラップ264が本体274から実質的に直線的に延びる。そのため、概して中央線LSが下側ストラップ264の各々に沿って延びる。同様に、図16に示されるように、上側ストラップ272もまた、本体274から実質的に直線的に延びる。そのため、概して中心線USが両方の上側ストラップ272に沿って延びる。図の構成において、中心線USは本体274の全体とは交差しない。換言すれば、本体の一部は中心線USからずれ、それと交差しない。構成によっては、概して中心線LSは概して中心線USに関してある角度で位置付けられる。好ましくは、この角度は約20度~約50度の間である。
【0090】
図の構成では、下側ストラップの中心線LSは、本体274と上側ストラップの中心線USの間の位置で交差する。構成によっては、下側ストラップの中心線LSは、上側ストラップの中心線USの、下側ストラップ264が位置付けられるのと同じ側で交差する。構成によっては、下側ストラップの中心線LSの交差点は上側ストラップの中心線USから距離Nだけずれる。好ましくは、距離Nは約23mmである。構成によっては、下側ストラップの中心線LSは上側スラップの中心線USと、距離Mだけ離れた位置で交差する。好ましくは、距離Mは約43mmである。その他の構成もまた可能である。
【0091】
本発明を特定の実施形態に関して説明したが、当業者にとって明らかなその他の実施形態もまた本発明の範囲に含まれる。それゆえ、各種の変更や改良を加えても、本発明の主旨と範囲から逸脱しない。たとえば、各種の構成部品の位置を希望に応じて変更してもよい。さらに、本発明の実施に、必ずしも特徴、態様、利点のすべてが必要であるとはかぎらない。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲によってのみ定義されるものとする。
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