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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】有機電界発光素子
(51)【国際特許分類】
   H10K 85/60 20230101AFI20231031BHJP
   C07D 401/14 20060101ALI20231031BHJP
   C07D 403/10 20060101ALI20231031BHJP
   C07D 403/14 20060101ALI20231031BHJP
   C07D 405/14 20060101ALI20231031BHJP
   C07D 413/14 20060101ALI20231031BHJP
   C07D 417/14 20060101ALI20231031BHJP
   C07D 471/04 20060101ALI20231031BHJP
   C07D 487/04 20060101ALI20231031BHJP
   H10K 50/11 20230101ALI20231031BHJP
   H10K 50/16 20230101ALI20231031BHJP
   H10K 50/18 20230101ALI20231031BHJP
【FI】
H10K85/60
C07D401/14
C07D403/10 CSP
C07D403/14
C07D405/14
C07D413/14
C07D417/14
C07D471/04 112T
C07D487/04 137
H10K50/11
H10K50/16
H10K50/18
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021213579
(22)【出願日】2021-12-28
(62)【分割の表示】P 2019572549の分割
【原出願日】2018-05-18
(65)【公開番号】P2022058442
(43)【公開日】2022-04-12
【審査請求日】2022-01-27
(31)【優先権主張番号】10-2017-0083739
(32)【優先日】2017-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520069590
【氏名又は名称】ソリュース先端素材株式会社
【氏名又は名称原語表記】SOLUS ADVANCED MATERIALS CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イ、ヨン ファン
(72)【発明者】
【氏名】オム、ミン シク
(72)【発明者】
【氏名】シム、ジェ イ
(72)【発明者】
【氏名】パク、ウ ジェ
(72)【発明者】
【氏名】ハン、ソン イ
【審査官】辻本 寛司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/204406(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/069442(WO,A1)
【文献】特表2014-507383(JP,A)
【文献】国際公開第2016/204375(WO,A1)
【文献】特開2019-006767(JP,A)
【文献】国際公開第2018/012718(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0045558(KR,A)
【文献】特開2016-121120(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 85/60
C07D 401/14
C07D 403/10
C07D 403/14
C07D 405/14
C07D 413/14
C07D 417/14
C07D 471/04
C07D 487/04
H10K 50/11
H10K 50/16
H10K 50/18
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも電子輸送層、電子輸送補助層、及び発光層を含む有機電界発光素子であって、
電子輸送層、及び電子輸送補助層の少なくともいずれかは下記化学式2で表される化合物又は下記化学式3で表される化合物を含み、
【化1】
【化2】
(化学式2及び3中、
及びXは、CRであり;
は、水素、重水素、シアノ基、C~C40のアルキル基、及びC~C60のアリール基からなる群から選択され;
のR及びXのRは、互いに同一又は異なり;
Ar乃至Arは、互いに同一又は異なり、それぞれ独立に、C~C40のアルケニル基、C~C40のアルキニル基、C~C40のシクロアルキル基、核原子数3乃至40のヘテロシクロアルキル基、C~C40のアルキル基、C~C60のアリール基、C~C40のアルキルオキシ基、C~C60のアリールオキシ基、C~C40のアルキルシリル基、C~C60のアリールシリル基、C~C40のアルキルボロン基、C~C60のアリールボロン基、C~C60のアリールホスフィン基、C~C60のアリールホスフィンオキシド基、及びC~C60のアリールアミン基からなる群から選択され、但し、Ar乃至Arがすべて同じ場合を除き;
前記R、Ar乃至Arのアルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルシリル基、アリールシリル基、アルキルボロン基、アリールボロン基、アリールホスフィン基、アリールホスフィンオキシド基、及びアリールアミン基は、それぞれ独立に、重水素、シアノ基、ニトロ基、C~C40のアルケニル基、C~C40のアルキニル基、C~C40のシクロアルキル基、核原子数3乃至40のヘテロシクロアルキル基、C~C40のアルキル基、C~C60のアリール基、C~C40のアルキルオキシ基、C~C60のアリールオキシ基、C~C40のアルキルシリル基、C~C60のアリールシリル基、C~C40のアルキルボロン基、C~C60のアリールボロン基、C~C60のアリールホスフィン基、C~C60のアリールホスフィンオキシド基、及びC~C60のアリールアミン基からなる群から選択される1種以上の置換基で置換されるか又は置換されず、この時、前記置換基が複数個である場合、これらは互いに同一又は異なる。)
前記電子輸送層、電子輸送補助層、及び発光層は、下記化学式Aで表される化合物及び下記化学式Bで表される化合物を含まない、有機電界発光素子。
【化3】
(前記化学式Aで、
~L、およびYは、それぞれ独立して、単一結合、または置換もしくは非置換のC6~C30アリーレン基であり、
Arは、置換もしくは非置換のC6~C30アリール基、置換もしくは非置換のC2~C30ヘテロ環基、置換もしくは非置換のC6~C30アリールアミン基、またはこれらの組み合わせであり、
~Rは、それぞれ独立して、水素、重水素、置換もしくは非置換のC1~C20アルキル基、置換もしくは非置換のC6~C30アリール基、置換もしくは非置換のC2~C30ヘテロ環基、置換もしくは非置換のニトリル基、置換もしくは非置換のイソニトリル基、ヒドロキシ基、チオール基、またはこれらの組み合わせであり、
~Rは、それぞれ独立して存在したり、隣接した基は互いに連結されて環を形成し、
~R、およびArのうちの少なくとも1つは、置換もしくは非置換のトリフェニレン基、または置換もしくは非置換のカルバゾリル基であるが、
およびRのうちのいずれか1つとRおよびRのうちのいずれか1つが同時に置換もしくは非置換のカルバゾリル基ではなく、
~Rのうちのいずれか1つが置換のカルバゾリル基である場合、置換基はカルバゾリル基ではなく、
前記化学式Aの「置換」とは、少なくとも1つの水素が重水素、ハロゲン基、ヒドロキシ基、アミノ基、C1~C30アミン基、C6~C30アリールアミン基、ニトロ基、C1~C40シリル基、C1~C30アルキル基、C3~C30シクロアルキル基、C2~C30ヘテロシクロアルキル基、C6~C30アリール基、C2~C30ヘテロ環基、C1~C20アルコキシ基、C1~C10トリフルオロアルキル基またはシアノ基で置換されたことを意味する)。
【化4】
(前記化学式Bで、
~Lは、それぞれ独立して、単一結合、または置換もしくは非置換のC6~C30アリーレン基、または置換もしくは非置換のC2~C30ヘテロアリーレン基であり、
Ar~Arは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC6~C30アリール基、置換もしくは非置換のC2~C30ヘテロ環基、またはこれらの組み合わせであり、
前記化学式Bの「置換」とは、少なくとも1つの水素が重水素、ハロゲン基、ヒドロキシ基、アミノ基、C1~C30アミン基、C6~C30アリールアミン基、ニトロ基、C1~C40シリル基、C1~C30アルキル基、C3~C30シクロアルキル基、C2~C30ヘテロシクロアルキル基、C6~C30アリール基、C2~C30ヘテロ環基、C1~C20アルコキシ基、C1~C10トリフルオロアルキル基またはシアノ基で置換されたことを意味する)。
【請求項2】
前記化学式2及び3において、前記Ar乃至Arは、互いに同一又は異なり、それぞれ独立に、C~C40のアルキル基、C~C60のアリール基、C~C60のアリールオキシ基、C~C60のアリールホスフィンオキシド基、及びC~C60のアリールアミン基から選択され;
前記Ar乃至Arのアルキル基、アリール基、アリールオキシ基、アリールホスフィンオキシド基、及びアリールアミン基は、それぞれ独立に、重水素、シアノ基、ニトロ基、C~C40のアルキル基、C~C60のアリール基、C~C60のアリールオキシ基、C~C60のアリールホスフィンオキシド基、及びC~C60のアリールアミン基からなる群から選択される1種以上の置換基で置換されるか又は置換されず、この時、前記置換基が複数個である場合、これらは互いに同一又は異なる、請求項1に記載の有機電界発光素子。
【請求項3】
前記化学式2及び3において、前記Ar乃至Arは、互いに同一又は異なり、それぞれ独立に、C~C60のアリール基からなる群から選択され、
前記Ar乃至Arのアリール基は、それぞれ独立に、重水素、シアノ基、ニトロ基、C~C40のアルキル基、C~C60のアリール基、C~C60のアリールオキシ基、C~C60のアリールホスフィンオキシド基、及びC~C60のアリールアミン基からなる群から選択される1種以上の置換基で置換されるか又は置換されないものである、請求項1に記載の有機電界発光素子。
【請求項4】
前記化学式2及び3において、前記Ar乃至Arは、互いに同一又は異なり、それぞれ独立に、下記の構造式から選択される置換体である、請求項1に記載の有機電界発光素子。
【化5】
【化6】
【化7】
【請求項5】
前記化学式2で表される化合物又は前記化学式3で表される化合物は、下記の化合物1乃至696のうちのいずれか1つで表される、請求項1に記載の有機電界発光素子。
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
【化21】
【化22】
【化23】
【化24】
【化25】
【化26】
【化27】
【化28】
【化29】
【化30】
【化31】
【化32】
【化33】
【化34】
【化35】
【化36】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な有機化合物及びこれを用いた有機電界発光素子に関し、より詳しくは
、電子輸送能及び発光能に優れた化合物、及びこれを1つ以上の有機物層に含むことで、
発光効率、駆動電圧、寿命などの特性が向上した有機電界発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
1950年代のBernanoseによる有機薄膜における発光の観測を起点に、19
65年のアントラセン単結晶を利用した青色電気発光の観測に続いた有機電界発光(El
ectroluminescent)素子に関する研究は、1987年には、Tangら
によって正孔層と発光層とに機能分離した積層構造の有機電界発光素子が提示された。以
後、高効率かつ長寿命の有機電界発光素子を製造するため、素子内にそれぞれの特徴的な
有機物層を導入する形態に発展されてきており、これに使用するための特化した物質の開
発に続いた。
【0003】
有機電界発光素子においては、両電極の間に電圧を印加すると、陽極から正孔が、陰極
から電子が有機物層に注入される。注入された正孔と電子とが結合して励起子(Exci
ton)が生成され、この励起子が基底状態に戻る際に発光する。なお、有機物層に使用
される物質は、その機能によって、発光物質、正孔注入物質、正孔輸送物質、電子輸送物
質、電子注入物質などに分類される。
【0004】
有機電界発光素子の発光層の形成材料は、発光色によって、青色、緑色、赤色の発光材
料に区分され得る。その他、より良好な天然色を具現するための発光材料として、黄色及
びオレンジ色の発光材料がさらに使用される。また、色純度を高めると共にエネルギー転
移による発光効率の増大を図るため、発光材料として、ホスト/ドーパント系のものを使
用することができる。
【0005】
ドーパント物質としては、有機物質を使用する蛍光ドーパントと、Ir、Ptなどの重
原子(Heavy atoms)含有金属錯体化合物を使用する燐光ドーパントとに分け
ることができる。このような燐光材料は、理論的に蛍光に比べて4倍も発光効率を向上さ
せることが可能であるため、燐光ドーパントだけでなく、燐光ホスト材料にも関心が集中
している。
【0006】
現在、正孔注入層、正孔輸送層、正孔遮断層、電子輸送層に使用される物質としては、
NPB、BCP、Alqなどが広く知られており、発光物質としては、アントラセン誘
導体が蛍光ドーパント/ホスト材料として報告されている。特に、発光材料のうち、効率
向上の側面で大きなメリットを有している燐光材料としては、Firpic、Ir(pp
y)、(acac)Ir(btp)などのようなIrを含む金属錯体化合物が青色、
緑色、赤色のドーパント材料として使用されている。現在は、CBPが燐光ホスト材料と
して優れた特性を示している。
【0007】
しかし、従来、発光物質は、発光特性の側面では有利であるが、ガラス転移温度が低く
、熱的安定性が低いため、有機電界発光素子の寿命という面では満足できない。従って、
優れた性能を有する発光物質の開発が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】日本公開特許公報第2001-160489号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述の問題点を解決するため、本発明は、有機電界発光素子に適用可能であり、要求さ
れる適正範囲のエネルギー準位、電気化学的安定性、熱的安定性などを満足させることで
、電子輸送能及び発光能に優れた新規な有機化合物を提供することを目的としている。
【0010】
また、本発明は、前記新規な有機化合物を含むことで、低い駆動電圧及び高い発光効率
を示し、かつ寿命が向上した有機電界発光素子を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するため、本発明は、下記の化1で表される化合物を提供する。
【化1】
(式中、
及びXは、互いに同一又は異なり、それぞれ独立に、CR又はNであり、この時
、X及びXがいずれもCRである場合、複数のRは、互いに同一又は異なり;
は、水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、C~C40のアルキル基、C~C60
のアリール基、及び核原子数5乃至60のヘテロアリール基からなる群から選択され;
Ar乃至Arは、互いに同一又は異なり、それぞれ独立に、C~C40のアルケニ
ル基、C~C40のアルキニル基、C~C40のシクロアルキル基、核原子数3乃至
40のヘテロシクロアルキル基、C~C40のアルキル基、C~C60のアリール基
、核原子数5乃至60のヘテロアリール基、C~C40のアルキルオキシ基、C~C
60のアリールオキシ基、C~C40のアルキルシリル基、C~C60のアリールシ
リル基、C~C40のアルキルボロン基、C~C60のアリールボロン基、C~C
60のアリールホスフィン基、C~C60のアリールホスフィンオキシド基、及びC
~C60のアリールアミン基からなる群から選択され、但し、Ar乃至Arがすべて
同じ場合を除き;
前記R、Ar乃至Arのアルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、ヘテロ
シクロアルキル基、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルキルオキシ基、ア
リールオキシ基、アルキルシリル基、アリールシリル基、アルキルボロン基、アリールボ
ロン基、アリールホスフィン基、アリールホスフィンオキシド基、及びアリールアミン基
は、それぞれ独立に、重水素、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、C~C40のアルケニ
ル基、C~C40のアルキニル基、C~C40のシクロアルキル基、核原子数3乃至
40のヘテロシクロアルキル基、C~C40のアルキル基、C~C60のアリール基
、核原子数5乃至60のヘテロアリール基、C~C40のアルキルオキシ基、C~C
60のアリールオキシ基、C~C40のアルキルシリル基、C~C60のアリールシ
リル基、C~C40のアルキルボロン基、C~C60のアリールボロン基、C~C
60のアリールホスフィン基、C~C60のアリールホスフィンオキシド基、及びC
~C60のアリールアミン基からなる群から選択される1種以上の置換基で置換されるか
又は置換されず、この時、前記置換基が複数個である場合、これらは互いに同一又は異な
る。)
【0012】
また、本発明は、陽極、陰極、及び前記陽極と陰極との間に介在した1層以上の有機物
層を含み、前記1層以上の有機物層のうちの少なくとも1つは、前記化1で表される化合
物を含むものである有機電界発光素子を提供する。
【0013】
前記化1で表される化合物を含む有機物層は、正孔注入層、正孔輸送層、発光補助層、
発光層、電子輸送層、電子輸送補助層、及び電子注入層からなる群から選択される。
【0014】
この時、前記化1で表される化合物は、発光層の燐光ホスト材料、電子輸送層、及び電
子輸送補助層の電子輸送材料として使用することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の化1で表される化合物は、熱的安定性及び発光特性に優れているため、有機電
界発光素子における有機物層の材料として使用することが可能である。
【0016】
特に、本発明の化1で表される化合物を、燐光ホスト材料又は電子輸送材料として使用
する場合、従来のホスト材料又は電子輸送材料に比べて、低い駆動電圧及び高い電流効率
を有する有機電界発光素子を製造することができ、さらには、性能及び寿命の向上したフ
ルカラーディスプレイパネルとして製造することもできる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明について詳述する。
【0018】
1.有機化合物
本発明に係る新規な有機化合物は、2つの電子求引性基(electron-with
drawing group、EWG)がリンカー(linker)を介して連結された
構造を基本骨格とし、この時、2つの電子求引性基は、それぞれ、ピリミジンとトリアジ
ンであり、連結基は、m,m-ビフェニレンである。このような基本骨格に種々の置換基
が導入された化合物は、前記化1で表される。
【0019】
前記化1で表される化合物は、電子求引性基(EWG)の特性に優れた2つの6員ヘテ
ロ環(例えば、ピリミジンとトリアジン)が連結基を介して連結され、電気化学的に安定
で、電子輸送性に優れ、かつ高い三重項エネルギー、ガラス転移温度、及び熱的安定性に
優れている。これにより、前記化1で表される化合物は、優れた電子輸送能力及び発光特
性を有しているため、有機電界発光素子の有機物層である発光層、電子輸送層及び電子注
入層のうちのいずれか1つの材料として使用することができる。好ましくは、発光層、電
子輸送層、及び電子輸送層にさらに積層される電子輸送補助層のうちのいずれか1つの材
料、より好ましくは、電子輸送層又は電子輸送補助層の材料として使用することができる
【0020】
このような化1で表される化合物は、化合物の分子量が有意に増大することで、ガラス
転移温度が向上し、これにより、従来の単環の6員ヘテロ環化合物に比べて、高い熱的安
定性を有することができる。
【0021】
また、前記化1で表される化合物は、m,m-ビフェニレン(m,m-bipheny
lene)連結基によって有機物層の結晶化抑制効果を奏することができる。これにより
、前記化1で表される化合物が適用された有機電界発光素子は、耐久性及び寿命特性が大
きく向上できる。なお、連結基としてm,m-ビフェニレン基を有する化1で表される化
合物が適用された有機電界発光素子は、連結基としてp,p-ビフェニレン又はm,p-
ビフェニレンを有する化合物が適用された有機電界発光素子に比べて、優れた駆動電圧、
発光ピーク及び電流効率を示すことができる。
【0022】
また、前記化1で表される化合物は、前記基本骨格に導入される種々の置換基(例えば、
芳香族環、ヘテロ環)によって、化合物の分子量が有意に増大することで、ガラス転移温
度が向上し、これを含む有機電界発光素子の耐久性及び寿命特性を大きく向上することが
できる。このような化1の化合物は、有機電界発光素子の有機物層の材料、特に電子輸送
層材料及び発光層材料として使用することができる。
【0023】
従って、前記化1で表される化合物は、有機電界発光素子に使用する場合、優れた熱的
安定性及びキャリア輸送能(特に、電子輸送能及び発光能)が期待されると共に、素子の
駆動電圧、効率、寿命などが向上できる。
【0024】
また、前記化1で表される化合物は、電子輸送に非常に有利であると共に、長寿命特性
を示す。このような化合物の優れた電子輸送能力は、有機電界発光素子において高効率と
高移動性(mobility)を有することができ、置換基の方向や位置によって、HO
MO及びLUMOエネルギー準位を容易に調節し得る。それで、このような化合物を使用
する有機電界発光素子において、高い電子輸送性を示すことができる。
【0025】
具体的に、本発明に係る化1で表される化合物は、下記の化2又は化3で表される。
【化2】
【化3】
式中、X及びX、Ar乃至Arは、それぞれ、化1での定義と同様である。
【0026】
本発明に係る一例において、好ましくは、前記X及びXのうちの少なくとも1つは
、Nであることができる。より好ましくは、前記X及びXのうちの1つは、CR
あり、他の1つは、Nであることができる。
【0027】
また、本発明に係る一例において、好ましくは、前記Ar乃至Arは、互いに同一
又は異なり、それぞれ独立に、C~C40のアルキル基、C~C60のアリール基、
核原子数5乃至60のヘテロアリール基、C~C60のアリールオキシ基、C~C
のアリールホスフィンオキシド基、及びC~C60のアリールアミン基から選択する
ことができる。
【0028】
さらに好ましくは、前記Ar乃至Arは、互いに同一又は異なり、それぞれ独立に
、C~C60のアリール基及び/又は核原子数5乃至60のヘテロアリール基であるこ
とができる。具体的な一例としては、Ar乃至Arのうちの1つがC~C60のア
リール基である場合、残りの3つがC~C60のアリール基及び/又は核原子数5乃至
60のヘテロアリール基であることができる。他の一例としては、Ar乃至Arのう
ちの2つがC~C60のアリール基である場合、残りの2つがC~C60のアリール
基及び/又は核原子数5乃至60のヘテロアリール基であることができる。また他の一例
としては、Ar乃至Arのうちの3つがC~C60のアリール基である場合、残り
の1つがC~C60のアリール基及び/又は核原子数5乃至60のヘテロアリール基で
あることができる。さらに他の一例としては、Ar乃至ArがいずれもC~C60
のアリール基であることができる。
【0029】
また、本発明に係る一例において、好ましくは、前記Ar乃至Arのアルキル基、
アリール基、ヘテロアリール基、アリールオキシ基、アリールホスフィンオキシド基、及
びアリールアミン基は、それぞれ独立に、重水素、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、C
~C40のアルキル基、C~C60のアリール基、核原子数5乃至60のヘテロアリー
ル基、C~C60のアリールオキシ基、C~C60のアリールホスフィンオキシド基
、及びC~C60のアリールアミン基から群から選択される1種以上の置換基で置換さ
れるか又は置換されず、この時、前記置換基が複数個である場合、これらは互いに同一又
は異なることができる。
【0030】
このようなAr乃至Arは、すべて同一である場合を除いては、それぞれ独立に、
下記の構造式から選択される置換体により具体化可能である。なお、各置換体を構成する
炭素のうちのいずれか1つは、前記化1の炭素と結合(連結)され、この場合、化1の炭
素と結合(連結)される置換体の炭素には、1つの水素が存在しない。
【化4】
【化5】
【化6】
【0031】
上記のような本発明に係る化1で表される化合物は、下記に例示する化合物1乃至69
6のうちのいずれか1つで表される化合物により具体化可能である。しかし、本発明の化
1で表される化合物は、下記の例示によって限定されるものではない。
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
【化21】
【化22】
【化23】
【化24】
【化25】
【化26】
【化27】
【化28】
【化29】
【化30】
【化31】
【化32】
【化33】
【化34】
【化35】
【化36】
【化37】
【化38】
【化39】
【化40】
【化41】
【化42】
【化43】
【化44】
【化45】
【化46】
【化47】
【化48】
【化49】
【化50】
【0032】
本発明において、「アルキル」とは、炭素数1乃至40の直鎖又は側鎖の飽和炭化水素
に由来する1価の置換基を意味する。このようなアルキルとしては、例えば、メチル、エ
チル、プロピル、イソブチル、sec-ブチル、ペンチル、iso-アミル、ヘキシルな
どが挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
本発明において、「アルケニル」(alkenyl)とは、炭素-炭素二重結合を1つ
以上有する炭素数2乃至40の直鎖又は側鎖の不飽和炭化水素に由来する1価の置換基を
意味する。このようなアルケニルとしては、例えば、ビニル(vinyl)、アリル(a
llyl)、イソプロペニル(isopropenyl)、2-ブテニル(2-bute
nyl)などが挙げられるが、これに限定されない。
【0034】
本発明において、「アルキニル」(alkynyl)とは、炭素-炭素三重結合を1つ
以上有する炭素数2乃至40の直鎖又は側鎖の不飽和炭化水素に由来する1価の置換基を
意味する。このようなアルキニルとしては、例えば、エチニル(ethynyl)、2-
プロパニル(2-propynyl)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0035】
本発明において、「アリール」とは、単環又は2以上の環の組み合わせからなる炭素数
6乃至60の芳香族炭化水素に由来する1価の置換基を意味する。また、2以上の環が互
いにペンダント(pendant)又は縮合された形態を含むこともできる。このような
アリールとしては、例えば、フェニル、ナフチル、フェナントリル、アントリルなどが挙
げられるが、これらに限定されない。
【0036】
本発明において、「ヘテロアリール」とは、核原子数5乃至60のモノヘテロサイクリ
ック又はポリヘテロサイクリック芳香族炭化水素に由来する1価の置換基を意味する。な
お、環中の1つ以上の炭素、好ましくは、1乃至3の炭素が、N、O、S又はSeのよう
なヘテロ原子で置換される。また、2以上の環がペンダント(pendant)又は縮合
形態を含むことができ、さらには、アリール基との縮合形態を含むこともできる。このよ
うなヘテロアリールとしては、例えば、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジ
ニル、トリアジニルのような6員のモノサイクリック環、フェノキサチエニル(phen
oxathienyl)、インドリジニル(indolizinyl)、インドリル(i
ndolyl)、プリニル(purinyl)、キノリル(quinolyl)、ベンゾ
チアゾール(benzothiazole)、カルバゾリル(carbazolyl)の
ようなポリサイクリック環、及び2-プラニル、n-イミダゾリル、2-イソキサゾリル
、2-ピリジニル、2-ピリミジニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
本発明において、「アリールオキシ」は、RO-で表される1価の置換基であり、前記
Rとは、炭素数6乃至60のアリールを意味する。このようなアリールオキシとしては、
例えば、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、ジフェニルオキシなどが挙げられるが、これ
らに限定されない。
【0038】
本発明において、「アルキルオキシ」は、R’O-で表される1価の置換基であり、前
記R’とは、1乃至40のアルキルを意味する。このようなアルキルオキシは、直鎖(l
inear)、側鎖(branched)、又はサイクリック(cyclic)構造を含
むことができる。このようなアルキルオキシとしては、例えば、メトキシ、エトキシ、n
-プロポキシ、1-プロポキシ、t-ブトキシ、n-ブトキシ、ペントキシなどが挙げら
れるが、これらに限定されない。
【0039】
本発明において、「アリールアミン」とは、炭素数6乃至60のアリールで置換された
アミンを意味する。
【0040】
本発明において、「シクロアルキル」とは、炭素数3乃至40のモノサイクリック又は
ポリサイクリック非芳香族炭化数素に由来する1価の置換基を意味する。このようなシク
ロアルキルとしては、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ノル
ボルニル(norbornyl)、アダマンチン(adamantine)などが挙げら
れるが、これらに限定されない。
【0041】
本発明において、「ヘテロシクロアルキル」とは、核原子数3乃至40の非芳香族炭化
水素に由来する1価の置換基を意味し、環中の1つ以上の炭素、好ましくは、1乃至3の
炭素が、N、O、S又はSeのようなヘテロ原子で置換される。このようなヘテロシクロ
アルキルとしては、例えば、モルホリン、ピペラジンなどが挙げられるが、これらに限定
されない。
【0042】
本発明において、「アルキルシリル」とは、炭素数1乃至40のアルキル基で置換され
たシリルを、「アリールシリル」とは、炭素数6乃至60のアリール基で置換されたシリ
ルを意味する。
【0043】
本発明において、「アルキルボロン」とは、炭素数1乃至40のアルキル基で置換され
たボロンを、「アリールボロン」とは、炭素数6乃至60のアリール基で置換されたボロ
ンを意味する。
【0044】
本発明において、「アリールホスフィン」とは、炭素数6乃至60のアリール基で置換
されたホスフィンを、「アリールホスフィンオキシド」とは、炭素数6乃至60のアリー
ル基で置換されたホスフィンがOを含むものを意味する。
【0045】
本発明において、「縮合環」とは、縮合の脂肪族環、縮合の芳香族環、縮合のヘテロ脂
肪族環、縮合のヘテロ芳香族環、又はこれらの組み合わせ形態を意味する。
【0046】
このような本発明の化1で表される化合物は、後述する実施例の合成過程を参照して種
々に合成することができる。
【0047】
2.有機電界発光素子
本発明は、前記化1で表される化合物を含む有機電界発光素子を提供する。
【0048】
より具体的に、本発明に係る有機電界発光素子は、陽極(anode)、陰極(cat
hode)、及び陽極と陰極との間に介在した1層以上の有機物層を含み、前記1層以上
の有機物層のうちの少なくとも1つは、前記化1で表される化合物を含む。なお、化合物
は、単独で使用又は2以上を混合して使用することができる。
【0049】
前記1層以上の有機物層は、正孔注入層、正孔輸送層、発光補助層、発光層、電子輸送
層、及び電子注入層のうちのいずれか1つ以上であることができ、この中で少なくとも1
つの有機物層は、前記化1で表される化合物を含むことができる。具体的に、前記化1で
表される化合物を含む有機物層は、発光層及び電子輸送層であることが好ましい。
【0050】
本発明の有機電界発光素子の発光層は、ホスト材料(好ましくは、燐光ホスト材料)を
含むことができる。また、本発明の有機電界発光素子の発光層は、前記化1で表される化
合物以外の化合物をホストとして含むことができる。
【0051】
このような本発明の有機電界発光素子の構造は、特に限定されないが、非制限的な例と
しては、例えば、基板、陽極、正孔注入層、正孔輸送層、発光補助層、発光層、電子輸送
層、及び陰極が順次積層された構造が挙げられる。なお、前記正孔注入層、正孔輸送層、
発光補助層、発光層、電子輸送層、及び電子注入層のうちの1つ以上は、前記化1で表さ
れる化合物を含むことができ、好ましくは、発光層が、前記化1で表される化合物を含む
ことができる。ここで、前記電子輸送層の上には、電子注入層をさらに積層することがで
きる。また、本発明の有機電界発光素子の構造は、電極と有機物層との界面に、絶縁層又
は接着層が挿入される構造であることができる。
【0052】
一方、本発明の有機電界発光素子は、前記有機物層のうちの1層以上が、前記化1で表
される化合物を含むことを除いては、当業界で公知の材料及び方法によって有機物層及び
電極を形成して製造することができる。
【0053】
前記有機物層は、真空蒸着法や溶液塗布法によって形成することができる。前記溶液塗
布法としては、例えば、スピンコート法、ディップコート法、ドクターブレード法、イン
クジェット印刷法、又は熱転写法などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0054】
本発明の有機電界発光素子の製造時に使用される基板としては、特に限定されないが、
シリコンウェハ、石英、ガラス板、金属板、プラスチックフィルム、及びシートなどを使
用することができる。
【0055】
また、陽極物質としては、バナジウム、クロム、銅、亜鉛、金のような金属又はこれら
の合金;亜鉛酸化物;インジウム酸化物、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム
亜鉛酸化物(IZO)のような金属酸化物;ZnO:Al又はSnO2:Sbのような金
属と酸化物との組み合わせ;ポリチオフェン、ポリ(3-メチルチオフェン)、ポリ[3
,4-(エチレン-1,2-ジオキシ)チオフェン](PEDT)、ポリピロール、又は
ポリアニリンのような電導性高分子;及び、カーボンブラックなどが挙げられるが、これ
らに限定されない。
【0056】
また、陰極物質としては、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、チタニウ
ム、インジウム、イットリウム、リチウム、ガドリウム、アルミニウム、銀、スズ、又は
鉛のような金属又はこれらの合金;及び、LiF/Al又はLiO2/Alのような多層
構造物質などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0057】
なお、正孔注入層、正孔輸送層、及び発光補助層としては、特に限定されず、当業界で
周知の物質を使用することができる。
【0058】
以下、本発明を実施例を挙げて詳述する。但し、後述の実施例は、本発明の例示に過ぎ
ず、本発明は、下記の実施例によって限定されるものではない。
【0059】
[準備例1]化合物Z-1の合成
<ステップ1>2,4-ジクロロ-6-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イ
ル)ピリミジン(2,4-dichloro-6-(9,9-dimethyl-9H-
fluoren-2-yl)pyrimidine)の合成
【化51】
【0060】
窒素気流下、2,4,6-トリクロロピリミジン(1.83g、10mmol)、(9
,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)ボロン酸(2.38g、10.0mmo
l)、Pd(OAc)(0.11g、5mol%)、PPh(0.26g、1mmo
l)、NaCO(2.10g、20mmol)、トルエン/DME/HO(10m
l/30ml/20ml)を混合した後、8時間加熱還流を行った。反応終了後、室温ま
で冷却させ、メチレンクロライドで抽出した後、MgSOを入れ、ろ過した。得られた
有機層から溶媒を除去した後、カラムクロマトグラフィーを用いて、2,4-ジクロロ-
6-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)ピリミジン(2.72g、収率
80%)の化合物を得た。
1H-NMR: δ 1.69 (s, 6H), 7.13 (s, 1H), 7.28 (t, 1H), 7.38 (t, 1H), 7.55 (d, 1H),
7.78 (d, 1H), 7.90 (m, 2H), 8.09 (d, 1H)
【0061】
<ステップ2>2-クロロ-4-(3-クロロフェニル)-6-(9,9-ジメチル-9
H-フルオレン-2-イル)ピリミジン(2-chloro-4-(3-chlorop
henyl)-6-(9,9-dimethyl-9H-fluoren-2-yl)p
yrimidineの合成
【化52】
【0062】
窒素気流下、<ステップ1>で合成された2,4-ジクロロ-6-(9,9-ジメチル
-9H-フルオレン-2-イル)ピリミジン(3.41g、10mmol)、(3-クロ
ロフェニル)ボロン酸(1.56g、10.0mmol)、Pd(PPh(0.5
7g、5mol%)、NaCO(2.10g、20mmol)、DME/HO(4
0ml/20ml)を混合した後、8時間加熱還流を行った。反応終了後、室温まで冷却
させ、メチレンクロライドで抽出した後、MgSOを入れ、ろ過した。得られた有機層
から溶媒を除去した後、カラムクロマトグラフィーを用いて、2-クロロ-4-(3-ク
ロロフェニル)-6-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)ピリミジン(
3.29g、収率79%)の化合物を得た。
1H-NMR: δ 1.69 (s, 6H), 7.28 (t, 1H), 7.38 (t, 1H), 7.50 (m, 3H), 7.76 (m, 2H),
7.90 (m, 2H), 7.97 (s, 1H), 8.09 (d, 1H), 8.33 (s, 1H)
【0063】
<ステップ3>3-(4-(3-クロロフェニル)-6-(9,9-ジメチル-9H-フ
ルオレン-2-イル)ピリミジン-2-イル)-9-フェニル-9H-カルバゾール(3
-(4-(3-chlorophenyl)-6-(9,9-dimethyl-9H-
fluoren-2-yl)pyrimidine-2-yl)-9-phenyl-9
H-carbazole)の合成
【化53】
【0064】
窒素気流下、<ステップ2>で合成された2-クロロ-4-(3-クロロフェニル)-
6-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)ピリミジン(4.17g、10
mmol)、(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)ボロン酸(2.87g、
10.0mmol)、Pd(PPh(0.57g、5mol%)、KCO(2
.76g、20mmol)、1,4-ジオキサン/HO(80ml/20ml)を混合
した後、8時間加熱還流を行った。反応終了後、室温まで冷却させ、メチレンクロライド
で抽出した後、MgSOを入れ、ろ過した。得られた有機層から溶媒を除去した後、カ
ラムクロマトグラフィーを用いて、3-(4-(3-クロロフェニル)-6-(9,9-
ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)ピリミジン-2-イル)-9-フェニル-9H
-カルバゾール(4.86%、収率78%)の化合物を得た。
1H-NMR: δ 1.69 (s, 6H), 7.16 (t, 1H), 7.30 (m, 3H), 7.50 (m, 8H), 7.70 (m, 3H),
7.90 (m, 6H), 8.09 (d, 1H), 8.23 (s, 1H), 8.55 (d, 1H)
【0065】
<ステップ4>化合物Z-1の合成
【化54】
【0066】
窒素気流下、<ステップ3>で合成された3-(4-(3-クロロフェニル)-6-(
9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)ピリミジン-2-イル)-9-フェニ
ル-9H-カルバゾール(6.24g、10mmol)、4,4,4’,4’,5,5,
5’,5’-オクタメチル-2-2’-ビ(1,3,2-ジオキサボロラン)(5.07
g、20.0mmol)、Pd(dppf)Cl(0.36g、5mol%)、XPh
os(0.47g、1mmol)、KOAc(1.96g、20mmol)、1,4-ジ
オキサン(100ml)を混合した後、8時間加熱還流を行った。反応終了後、室温まで
冷却させ、MgSO4を入れ、ろ過した。得られた有機層から溶媒を除去した後、カラム
クロマトグラフィーを用いて、目的化合物である化合物Z-1(3.57g、収率50%
)を得た。
1H-NMR: δ 1.20 (s, 12H), 1.69 (s, 6H), 7.16 (t, 1H), 7.35 (m, 3H), 7.55 (m, 8H)
, 7.85 (m, 9H), 8.09 (d, 1H), 8.23 (s, 1H), 8.55 (d, 1H)
【0067】
[準備例2]化合物Z-2の合成
<ステップ1>2,4-ジクロロ-6-(トリフェニレン-2-イル)-1,3,5-ト
リアジン(2,4-dichloro-6-(triphenylen-2-yl)-1
,3,5-triazine)の合成
【化55】
【0068】
Mg(0.24g、10mmol)、I(0.1g)、乾燥THF(30mL)を入
れて溶かした後、2-ブロモトリフェニレン(3.07g、10mmol)を入れ、2時
間加熱還流を行い、溶液を用意した。2,4,6-トリクロロ-1,3,5-トリアジン
(1.84g、10mmol)を、乾燥THF(30mL)に溶かし、0℃に冷却した後
、上記で用意された溶液を1時間にかけて徐々に添加し、これを2時間撹拌した。反応終
了後、有機層をMgSOで乾燥させ、減圧濃縮した後、ヘキサンで精製し、2,4-ジ
クロロ-6-(トリフェニレン-2-イル)-1,3,5-トリアジン(2.06g、収
率55%)の化合物を得た。
1H-NMR: δ 7.60 (m, 6H), 8.15 (d, 1H), 8.30 (m, 2H), 9.27 (s, 1H), 9.60 (d, 1H)
【0069】
<ステップ2>2-([1,1’:2’,1”-テルフェニル]-3-イル)-4-クロ
ロ-6-(トリフェニレン-2-イル)-1,3,5-トリアジン(2-([1,1’:
2’,1”-terphenyl]-3-yl)-4-chloro-6-(triph
enylen-2-yl)-1,3,5-triazineの合成
【化56】
【0070】
Mg(0.24g、10mmol)、I(0.1g)、乾燥THF(30mL)を入
れて溶かした後、3-ブロモ-1,1’:2’,1”-テルフェニル(3.09g、10
mmol)を入れ、2時間加熱還流を行い、溶液を用意した。<ステップ1>で合成され
た2,4-ジクロロ-6-(トリフェニレン-2-イル)-1,3,5-トリアジン(3
.76g、10mmol)を、乾燥THF(30mL)に溶かし、0℃に冷却した後、上
記で用意された溶液を1時間にかけて徐々に添加し、これを2時間撹拌した。反応終了後
、有機層をMgSOで乾燥させ、減圧濃縮した後、メタノールで再結晶し、2-([1
,1’:2’,1”-テルフェニル]-3-イル)-4-クロロ-6-(トリフェニレン
-2-イル)-1,3,5-トリアジン(2.85g、収率50%)を得た。
1H-NMR: δ 7.50 (m, 15H), 7.95 (m, 3H), 8.15 (d, 1H), 8.31 (m, 3H), 9.27 (s, 1H)
, 9.60 (d, 1H)
【0071】
<ステップ3>化合物Z-2の合成
【化57】
【0072】
2-クロロ-4-(3-クロロフェニル)-6-(9,9-ジメチル-9H-フルオレ
ン-2-イル)ピリミジンの代わりに、2-([1,1’:2’,1”-テルフェニル]
-3-イル)-4-クロロ-6-(トリフェニレン-2-イル)-1,3,5-トリアジ
ン(5.70g、10.0mmol)を使用し、(9-フェニル-9H-カルバゾール-
3-イル)ボロン酸の代わりに、(3-クロロフェニル)ボロン酸(1.56g、10.
0mmol)を使用したこと以外は、[準備例1]の<ステップ3>と同様にして、目的
化合物である化合物Z-2(3.87g、収率60%)を得た。
1H-NMR: δ 7.50 (m, 17H), 7.95 (m, 4H), 8.15 (m, 2H), 8.31 (m, 3H), 9.27 (s, 1H)
, 9.60 (d, 1H)
【0073】
[準備例3]化合物Z-3の合成
【化58】
【0074】
(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)ボロン酸の代わりに、2-(4,
4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)キノリン(2.
55g、10.0mmol)を使用し、(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル
)ボロン酸の代わりに、フェナントレン-2-イルボロン酸(2.22g、10.0mm
ol)を使用したこと以外は、[準備例1]と同様にして、目的化合物である化合物Z-
3(3,45g、収率59%)を得た。
1H-NMR: δ 1.20 (s, 12H), 7.54 (m, 2H), 7.66 (m, 5H), 7.85 (m, 7H), 8.21 (d, 1H)
, 8.46 (s, 1H), 8.70 (m, 2H), 9.11 (d, 1H), 9.19 (s, 1H)
【0075】
[準備例4]化合物Z-4の合成
【化59】
【0076】
2-ブロモトリフェニレンの代わりに、6-ブロモ-2-フェニルベンゾ[d]オキサ
ゾール(2.74g、10.0mmol)を使用し、3-ブロモ-1,1’:2’,1”
-テルフェニルの代わりに、2-(4-ブロモフェニル)-1-フェニル-1H-ベンゾ
[d]イミダゾール(3.49g、10.0mmol)を使用したこと以外は、[準備例
2]と同様にして、目的化合物である化合物Z-4(3.78g、収率58%)を得た。
*1H-NMR: δ 7.30 (m, 3H), 7.50 (m, 10H), 7.80 (m, 3H), 7.96 (m, 5H), 8.16 (m, 3H
), 8.56 (d, 1H)
【0077】
[準備例5]化合物Z-5の合成
【化60】
【0078】
(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)ボロン酸の代わりに、9,9’-
スピロビ[フルオレン]-2-イルボロン酸(3.60g、10.0mmol)を使用し
、(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)ボロン酸の代わりに、(9,9-ジ
フェニル-9H-フルオレン-4-イル)ボロン酸(3.62g、10.0mmol)を
使用したこと以外は、[準備例1]と同様にして、目的化合物である化合物Z-5(5.
20g、収率57%)を得た。
1H-NMR: δ 1.20 (s, 12H), 7.20 (m, 16H), 7.40 (m, 8H), 7.67 (m, 2H), 7.89 (m, 9H
), 8.09 (d, 1H), 8.23 (s, 1H)
【0079】
[準備例6]化合物Z-6の合成
【化61】
【0080】
2-ブロモトリフェニレンの代わりに、2-ブロモ-1,10-フェナントロリン(2
.59g、10.0mmol)を使用し、3-ブロモ-1,1’:2’,1”-テルフェ
ニルの代わりに、2-(4-ブロモフェニル)-4-フェニルキナゾリン(3.61g、
10.0mmol)を使用したこと以外は、[準備例2]と同様にして、目的化合物であ
る化合物Z-6(3.64g、収率56%)を得た。
1H-NMR: δ 7.50 (m, 8H), 7.90 (m, 10H), 8.10 (m, 3H), 8.45 (d, 1H), 8.65 (d, 1H)
, 8.80 (d, 1H)
【0081】
[準備例7]化合物Z-7の合成
【化62】
【0082】
(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)ボロン酸の代わりに、(11,11
-ジメチル-11H-ベンゾ[a]フルオレン-8-イル)ボロン酸(2.88g、10
.0mmol)を使用し、(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)ボロン酸の
代わりに、(4-(7H-ベンゾ[c]カルバゾール-7-イル)フェニル)ボロン酸(
3.37g、10.0mmol)を使用したこと以外は、[準備例1]と同様にして、目
的化合物である化合物Z-7(4.48g、収率55%)を得た。
1H-NMR: δ 1.20 (s, 12H), 1.82 (s, 6H), 7.30 (m, 2H), 7.50 (m, 8H), 7.90 (m, 11H
), 8.05 (m, 2H), 8.19 (m, 3H), 8.50 (m, 2H)
【0083】
[準備例8]化合物Z-8の合成
【化63】
【0084】
2-ブロモトリフェニレンの代わりに、ブロモベンゼン(1.57g、10.0mmo
l)を使用し、3-ブロモ-1,1’:2’,1”-テルフェニルの代わりに、5-ブロ
モベンゾ[b]ナフト[2,1-d]チオフェン(3.13g、10.0mmol)を使
用したこと以外は、[準備例2]と同様にして、目的化合物である化合物Z-8(2.7
0g、収率54%)を得た。
1H-NMR: δ 7.50 (m, 9H), 7.95 (m, 2H), 8.10 (m, 3H), 8.40 (m, 3H), 8.97 (d, 1H)
【0085】
[準備例9]化合物Z-9の合成
【化64】
【0086】
(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)ボロン酸の代わりに、ピリジン-
3-イルボロン酸(1.22g、10.0mmol)を使用し、(9-フェニル-9H-
カルバゾール-3-イル)ボロン酸の代わりに、ナフト[2,1-b]ベンゾフラン-1
0-イルボロン酸(2.62g、10.0mmol)を使用したこと以外は、[準備例1
]と同様にして、目的化合物である化合物Z-9(3.05g、収率53%)を得た。
1H-NMR: δ 1.20 (s, 12H), 7.50 (m, 7H), 7.80 (m, 5H), 7.99 (d, 1H), 8.50 (m, 4H)
, 9.24 (s, 1H)
【0087】
[準備例10]化合物Z-10の合成
【化65】
【0088】
2-ブロモトリフェニレンの代わりに、1-ブロモ-4-フルオロベンゼン(1.75
g、10.0mmol)を使用し、3-ブロモ-1,1’:2’,1”-テルフェニルの
代わりに、1-ブロモ-4-(トリフルオロメチル)ベンゼン(2.25g、10.0m
mol)を使用したこと以外は、[準備例2]と同様にして、目的化合物である化合物Z
-10(2.23g、収率52%)を得た。
1H-NMR: δ 7.31 (m, 2H), 7.48 (m, 2H), 7.70 (m, 4H), 7.97 (s, 1H), 8.17 (d, 1H),
8.50 (m, 2H)
【0089】
[準備例11]化合物Z-11の合成
【化66】
【0090】
(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)ボロン酸の代わりに、p-トリル
ボロン酸(1.35g、10.0mmol)を使用し、(9-フェニル-9H-カルバゾ
ール-3-イル)ボロン酸の代わりに、ジフェニル(4-(4,4,5,5-テトラメチ
ル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)ホスフィンオキシド(4.0
4g、10.0mmol)を使用したこと以外は、[準備例1]と同様にして、目的化合
物である化合物Z-11(3.30g、収率51%)を得た。
1H-NMR: δ 1.20 (s, 12H), 2.34 (s, 3H), 7.15 (m, 2H), 7.50 (m, 9H), 7.67 (s, 1H)
, 7.80 (m, 6H), 7.96 (m, 4H), 8.23 (s, 1H)
【0091】
[準備例12]化合物Z-12の合成
【化67】
2,4-ジクロロ-6-(トリフェニレン-2-イル)-1,3,5-トリアジンの代
わりに、2,4-ジクロロ-6-フェノキシ-1,3,5-トリアジン(2.42g、1
0.0mmol)を使用し、3-ブロモ-1,1’:2’,1”-テルフェニルの代わり
に、4-ブロモベンゾニトリル(1.82g、10.0mmol)を使用したこと以外は
、[準備例2]の<ステップ2~3>と同様にして、目的化合物である化合物Z-12(
1.92g、収率50%)を得た。
1H-NMR: δ 7.00 (m, 3H), 7.29 (m, 2H), 7.48 (m, 2H), 7.82 (m, 2H), 7.95 (m, 3H),
8.16 (m, 1H)
【0092】
[準備例13]化合物Z-13の合成
【化68】
【0093】
(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)ボロン酸の代わりに、(9,9-
ジメチル-10-フェニル-9,10-ジヒドロアクリジン-3-イル)ボロン酸(3.
29g、10.0mmol)を使用し、(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル
)ボロン酸の代わりに、フェニルボロン酸(1.21g、10.0mmol)を使用した
こと以外は、[準備例1]と同様にして、目的化合物である化合物Z-13(3.27g
、収率51%)を得た。
1H-NMR: δ 1.20 (s, 12H), 1.69 (s, 6H), 7.00 (m, 2H), 7.20 (m, 10H), 7.50 (m, 4H
), 7.67 (s, 1H), 7.80 (m, 2H), 8.23 (s, 1H), 8.35 (m, 2H)
【0094】
[準備例14]化合物Z-14の合成
<ステップ1>4-クロロ-6-(10H-フェノキサジン-10-イル)-N,N-ジ
フェニル-1,3,5-トリアジン-2-アミン(4-chloro-6-(10H-p
henoxazine-10-yl)-N,N-diphenyl-1,3,5-tri
azine-2-amine)の合成
【化69】
【0095】
アルゴン気流下、10H-フェノキサジン(1.83g、10.0mmol)を乾燥T
HF(60ml)に溶かした後、n-ブチルリチウム(1.6M in hexane
solution)(6.25ml、10.0mmol)を徐々に添加した後、10分間
撹拌した。4,6-ジクロロ-N,N-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-アミ
ン(3.17g、10.0mmol)を乾燥THF(50ml)に溶かした後、上記で作
った溶液を10分間徐々に添加し、6時間加熱還流を行った。常温に冷却した後、水10
0mlを添加してフィルタリングし、水とヘキサンで洗い流した後、エタノールで精製し
て、4-クロロ-6-(10H-フェノキサジン-10-イル)-N,N-ジフェニル-
1,3,5-トリアジン-2-アミン(2.41g、収率52%)の化合物を得た。
1H-NMR: δ 7.00 (m, 4H), 7.20 (m, 14H)
【0096】
<ステップ2>化合物Z-14の合成
【化70】
【0097】
2-クロロ-4-(3-クロロフェニル)-6-(9,9-ジメチル-9H-フルオレ
ン-2-イル)ピリミジンの代わりに、<ステップ1>で合成された4-クロロ-6-(
10H-フェノキサジン-10-イル)-N,N-ジフェニル-1,3,5-トリアジン
-2-アミン(4.63g、10.0mmol)を使用し、(9-フェニル-9H-カル
バゾール-3-イル)ボロン酸の代わりに、(3-クロロフェニル)ボロン酸(1.56
g、10.0mmol)を使用したこと以外は、[準備例1]<ステップ3>と同様にし
て、目的化合物である化合物Z-14(2,86g、収率53%)を得た。
1H-NMR: δ 7.00 (m, 4H), 7.20 (m, 14H), 7.48 (m, 2H), 7.97 (s, 1H), 8.16 (m, 1H)
【0098】
[準備例15]化合物Z-15の合成
【化71】
【0099】
(9,9,-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)ボロン酸の代わりに、ナフト[
1,2-b]ベンゾフラン-10-イルボロン酸(2.62g、10.0mmol)を使
用し、(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)ボロン酸の代わりに、フェニル
ボロン酸(1.21g、10.0mmol)を使用したこと以外は、[準備例1]と同様
にして、目的化合物である化合物Z-15(3.10g、収率54%)を得た。
1H-NMR: δ 1.20 (s, 12H), 7.50 (m, 6H), 7.70 (m, 3H), 7.85 (m, 3H), 8.10 (m, 3H)
, 8.23 (s, 1H), 8.35 (m, 2H)
【0100】
[準備例16]化合物Z-16の合成
【化72】
【0101】
4,6-ジクロロ-N,N-ジフェニル-1,3,5-トリアジンの代わりに、9-(
4,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-9H-カルバゾール(3.1
5g、10.0mmol)を使用し、10H-フェノキサジンの代わりに、11-フェニ
ル-11,12-ジヒドロインドロ[2,3-a]カルバゾール(3.32g、10.0
mmol)を使用したこと以外は、[準備例14]と同様にして、目的化合物である化合
物Z-16(3.77g、収率55%)を得た。
1H-NMR: δ7.20 (m, 4H), 7.35 (m, 3H), 7.50 (m, 10H), 7.95 (m, 4H), 8.15 (m, 3H),
8.55 (m, 3H)
【0102】
[合成例1]化合物1の合成
【化73】
【0103】
窒素気流下、2,4-ジフェニル-6-(3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,
3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)ピリミジン(4.34g、10.0m
mol)、2-(3-クロロフェニル)-4-(ナフタレン-2-イル)-6-フェニル
-1,3,5-トリアジン(3.93g、10.0mmol)、Pd(OAc)(0.
11g、5mol%)、Xphos(0.47g、2mmol)、CsCO(6.5
1g、20mmol)、トルエン/EtOH/HO(80ml/40ml/20ml)
を混合し、100℃で60時間撹拌した。反応終了後、メチレンクロライドで抽出し、M
gSOを入れ、ろ過した。得られた有機層の溶媒を除去した後、カラムクロマトグラフ
ィーを用いて、目的化合物である化合物1(3.72g、収率56%)を得た。
[LCMS]:665
【0104】
[合成例2]化合物8の合成
【化74】
【0105】
2,4-ジフェニル-6-(3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオ
キサボロラン-2-イル)フェニル)ピリミジンの代わりに、4-([1,1’-ビフェ
ニル]-4-イル)-2-フェニル-6-(3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,
3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)ピリミジン(5.10g、10.0m
mol)を使用し、2-(3-クロロフェニル)-4-(ナフタレン-2-イル)-6-
フェニル-1,3,5-トリアジンの代わりに、2-(3-クロロフェニル)-4,6-
ジフェニル-1,3,5-トリアジン(3.43g、10.0mmol)を使用したこと
以外は、合成例1と同様にして、目的化合物である化合物8(3.94g、収率57%)
を得た。
[LCMS]:691
【0106】
[合成例3]化合物186の合成
【化75】
【0107】
2,4-ジフェニル-6-(3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオ
キサボロラン-2-イル)フェニル)ピリミジンの代わりに、4-(9,9-ジメチル-
9H-フルオレン-2-イル)-2-フェニル-6-(3-(4,4,5,5-テトラメ
チル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)ピリミジン(5.50g、
10.0mmol)を使用し、2-(3-クロロフェニル)-4-(ナフタレン-2-イ
ル)-6-フェニル-1,3,5-トリアジンの代わりに、2-(3-クロロフェニル)
-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(3.43g、10.0mmol)を使
用したこと以外は、合成例1と同様にして、目的化合物である化合物186(4.24g
、収率58%)を得た。
[LCMS]:731
【0108】
[合成例4]化合物206の合成
【化76】
【0109】
2-(3-クロロフェニル)-4-(ナフタレン-2-イル)-6-フェニル-1,3
,5-トリアジンの代わりに、2-(3-クロロフェニル)-4-(ジベンゾ[b,d]
フラン-4-イル)-6-フェニル-1,3,5-トリアジン(4.33g、10.0m
mol)を使用したこと以外は、合成例1と同様にして、目的化合物である化合物206
(4.82g、収率59%)を得た。
[LCMS]:705
【0110】
[合成例5]化合物219の合成
【化77】
【0111】
2,4-ジフェニル-6-(3-(4,4,5,5,-テトラメチル-1,3,2-ジ
オキサボロラン-2-イル)フェニル)ピリミジンの代わりに、4-(ジベンゾ[b,d
]チオフェン-4-イル)-2-フェニル-6-(3-(4,4,5,5-テトラメチル
-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)ピリミジン(5.40g、10
.0mmol)を使用し、2-(3-クロロフェニル)-4-(ナフタレン-2-イル)
-6-フェニル-1,3,5-トリアジンの代わりに、2-(3-クロロフェニル)-4
,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(3.43g、10.0mmol)を使用し
たこと以外は、合成例1と同様にして、目的化合物である化合物219(4.33g、収
率60%)を得た。
[LCMS]:721
【0112】
[合成例6]化合物311の合成
【化78】
【0113】
2,4-ジフェニル-6-(3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオ
キサボロラン-2-イル)フェニル)ピリミジンの代わりに、4-([1,1’-ビフェ
ニル]-4-イル)-2-フェニル-6-(3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,
3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)ピリミジン(5.10g、10.0m
mol)を使用し、2-(3-クロロフェニル)-4-(ナフタレン-2-イル)-6-
フェニル-1,3,5-トリアジンの代わりに、2-([1,1’-ビフェニル]-3-
イル)-4-(3-クロロフェニル)-6-フェニル-1,3,5-トリアジン(4.1
9g、10.0mmol)を使用したこと以外は、合成例1と同様にして、目的化合物で
ある化合物311(4.53g、収率59%)を得た。
[LCMS]:767
【0114】
[合成例7]化合物314の合成
【化79】
【0115】
2,4-ジフェニル-6-(3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオ
キサボロラン-2-イル)フェニル)ピリミジンの代わりに、4-([1,1’-ビフェ
ニル]-4-イル)-2-フェニル-6-(3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,
3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)ピリミジン(5.10g、10.0m
mol)を使用し、2-(3-クロロフェニル)-4-(ナフタレン-2-イル)-6-
フェニル-1,3,5-トリアジンの代わりに、2-(3-クロロフェニル)-4-(ジ
ベンゾ[b,d]フラン-3-イル)-6-フェニル-1,3,5-トリアジン(4.3
3g、10.0mmol)を使用した以外は、合成例1と同様にして、目的化合物である
化合物314(4.53g、収率58%)を得た。
[LCMS]:781
【0116】
[合成例8]化合物687の合成
【化80】
【0117】
2,4-ジフェニル-6-(3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオ
キサボロラン-2-イル)フェニル)ピリミジンの代わりに、4-(ナフタレン-1-イ
ル)-2-(ナフタレン-2-イル)-6-(3-(4,4,5,5-テトラメチル-1
,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)ピリミジン(5.34g、10.0
mmol)を使用し、2-(3-クロロフェニル)-4-(ナフタレン-2-イル)-6
-フェニル-1,3,5-トリアジンの代わりに、2-(3-クロロフェニル)-4,6
-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(3.43g、10.0mmol)を使用したこ
と以外は、合成例1と同様にして、目的化合物である化合物687(4.08g、収率5
7%)を得た。
[LCMS]:715
【0118】
[合成例9]化合物688の合成
【化81】
【0119】
2,4-ジフェニル-6-(3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオ
キサボロラン-2-イル)フェニル)ピリミジンの代わりに、2-([1,1’-ビフェ
ニル]-4-イル)-4-フェニル-6-(3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,
3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)ピリミジン(5.10g、10.0m
mol)を使用し、2-(3-クロロフェニル)-4-(ナフタレン-2-イル)-6-
フェニル-1,3,5-トリアジンの代わりに、2-(3-クロロフェニル)-4,6-
ジ(ピリジン-2-イル)-1,3,5-トリアジン(3.45g、10.0mmol)
を使用したこと以外は、合成例1と同様にして、目的化合物である化合物688(3.8
8g、収率56%)を得た。
[LCMS]:693
【0120】
[合成例10]化合物689の合成
【化82】
【0121】
2,4-ジフェニル-6-(3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオ
キサボロラン-2-イル)フェニル)ピリミジンの代わりに、化合物Z-1(7.15g
、10.0mmol)を使用し、2-(3-クロロフェニル)-4-(ナフタレン-2-
イル)-6-フェニル-1,3,5-トリアジンの代わりに、化合物Z-2(6.46g
、10.0mmol)を使用したこと以外は、合成例1と同様にして、目的化合物である
化合物689(6.59g、収率55%)を得た。
[LCMS]:1199
【0122】
[合成例11]化合物690の合成
【化83】
【0123】
2,4-ジフェニル-6-(3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオ
キサボロラン-2-イル)フェニル)ピリミジンの代わりに、化合物Z-3(5.85g
、10.0mmol)を使用し、2-(3-クロロフェニル)-4-(ナフタレン-2-
イル)-6-フェニル-1,3,5-トリアジンの代わりに、化合物Z-4(6.53g
、10.0mmol)を使用したこと以外は、合成例1と同様にして、目的化合物である
化合物690(5.81g、収率54%)を得た。
[LCMS]:1076
【0124】
[合成例12]化合物691の合成
【化84】
【0125】
2,4-ジフェニル-6-(3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオ
キサボロラン-2-イル)フェニル)ピリミジンの代わりに、化合物Z-5(9.12g
、10.0mmol)を使用し、2-(3-クロロフェニル)-4-(ナフタレン-2-
イル)-6-フェニル-1,3,5-トリアジンの代わりに、化合物Z-6(6.50g
、10.0mmol)を使用したこと以外は、合成例1と同様にして、目的化合物である
化合物691(7.42g、収率53%)を得た。
[LCMS]:1400
【0126】
[合成例13]化合物692の合成
【化85】
【0127】
2,4-ジフェニル-6-(3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオ
キサボロラン-2-イル)フェニル)ピリミジンの代わりに、化合物Z-7(8.15g
、10.0mmol)を使用し、2-(3-クロロフェニル)-4-(ナフタレン-2-
イル)-6-フェニル-1,3,5-トリアジンの代わりに、化合物Z-8(5.00g
、10.0mmol)を使用したこと以外は、合成例1と同様にして、目的化合物である
化合物692(5.99g、52%)を得た。
[LCMS]:1153
【0128】
[合成例14]化合物693の合成
【化86】
【0129】
2,4-ジフェニル-6-(3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオ
キサボロラン-2-イル)フェニル)ピリミジンの代わりに、化合物Z-9(5.75g
、10.0mmol)を使用し、2-(3-クロロフェニル)-4-(ナフタレン-2-
イル)-6-フェニル-1,3,5-トリアジンの代わりに、化合物Z-10(4.29
g、10.0mmol)を使用したこと以外は、合成例1と同様にして、目的化合物であ
る化合物693(4.29g、収率51%)を得た。
[LCMS]:842
【0130】
[合成例15]化合物694の合成
【化87】
【0131】
2,4-ジフェニル-6-(3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオ
キサボロラン-2-イル)フェニル)ピリミジンの代わりに、化合物Z-11(5.75
g、10.0mmol)を使用し、2-(3-クロロフェニル)-4-(ナフタレン-2
-イル)-6-フェニル-1,3,5-トリアジンの代わりに、化合物Z-12(4.2
9g、10.0mmol)を使用したこと以外は、合成例1と同様にして、目的化合物で
ある化合物694(4.35g、収率50%)を得た。
[LCMS]:870
【0132】
[合成例16]化合物695の合成
【化88】
【0133】
2,4-ジフェニル-6-(3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオ
キサボロラン-2-イル)フェニル)ピリミジンの代わりに、化合物Z-13(6.41
g、10.0mmol)を使用し、2-(3-クロロフェニル)-4-(ナフタレン-2
-イル)-6-フェニル-1,3,5-トリアジンの代わりに、化合物Z-14(5.4
0g、10.0mmol)を使用したこと以外は、合成例1と同様にして、目的化合物で
ある化合物695(5.19g、収率51%)を得た。
[LCMS]:1019
【0134】
[合成例17]化合物696の合成
【化89】
【0135】
2,4-ジフェニル-6-(3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオ
キサボロラン-2-イル)フェニル)ピリミジンの代わりに、Z-15(5.74g、1
0.0mmol)を使用し、2-クロロ-4-(ナフタレン-2-イル)-6-フェニル
-1,3,5-トリアジンの代わりに、化合物Z-16(6.87g、10.0mmol
)を使用したこと以外は、合成例1と同様にして、目的化合物である化合物696(5.
71g、収率52%)を得た。
[LCMS]:1099
【0136】
[実施例1~7]青色有機電界発光素子の製作
上述の合成例で合成された化合物1、8、186、206、219、311、314、
687~696を、常法で高純度の昇華精製を行った後、下記のように青色有機電界発光
素子を製作した。
【0137】
まず、ITO(Indium Tin Oxide)が1500Åの厚さで薄膜コーテ
ィングされたガラス基板を、蒸留水で超音波洗浄を行った。蒸留水洗浄が終わると、イソ
プロピルアルコール、アセトン、メタノールなどの溶剤で超音波洗浄を行い、乾燥させた
後、UVオゾン洗浄機(Powersonic405、ファシンテック製)に移送させた
後、UVを用いて前記基板を5分間洗浄し、真空蒸着装置に基板を移送した。
【0138】
上記のように用意されたITO透明電極の上に、DS-205((株)ドゥサン電子製
、80nm)/NPB(15nm)/ADN+5%DS-405((株)ドゥサン電子製
、30nm)/表1に記載の電子輸送層材料(30nm)/LiF(1nm)/Al(2
00nm)の順に積層し、有機電界発光素子を製作した。
【0139】
[比較例1]青色有機電界発光素子の製作
電子輸送層の材料として、化合物1の代わりに、Alqを使用したこと以外は、上述
の実施例1と同様にして、青色有機電界発光素子を製作した。
【0140】
[比較例2]青色有機電界発光素子の製作
電子輸送層の材料として、化合物1の代わりに、化合物T-1を使用したこと以外は、
上述の実施例1と同様にして、青色有機電界発光素子を製作した。
【0141】
[比較例3]青色有機電界発光素子の製作
電子輸送層の材料として、化合物1の代わりに、化合物T-2を使用したこと以外は、
上述の実施例1と同様にして、青色有機電界発光素子を製作した。
【0142】
上述の実施例1乃至17、比較例1乃至3において使用されたNPB、AND、Alq
、T-1及びT-2の構造は、下記の通りである。
【化90】
【化91】
【0143】
[評価例1]
実施例1乃至17、比較例1乃至3において製作された各青色有機電界発光素子につい
て、電流密度10mA/cmでの駆動電圧、電流効率、発光ピークを測定し、その結果
を下記の表1に示す。
【0144】
【表1】
【0145】
表1に示されたように、上述の合成例において合成された化合物1、8、186、20
6、219、311、314、687~696を電子輸送層に使用した青色有機電界発光
素子(実施例1乃至17)は、従来のAlqを電子輸送層に使用した青色有機電界発光
素子(比較例1)に比べて、駆動電圧、発光ピーク及び電流効率の面で優れた性能を示す
ものであることがわかった。また、上述の合成例において合成された化合物1、8、18
6、206、219、311、314、687~696を電子輸送層に使用した青色有機
電界発光素子(実施例1乃至17)は、連結基としてm,m-ビフェニレンを有すること
で、p,p-ビフェニレン又はm,p-ビフェニレンを有する化合物を電子輸送層に使用
した青色有機電界発光素子(比較例2及び3)に比べて、駆動電圧、発光ピーク及び電流
効率の面で優れた性能を示すものであることがわかった。
【0146】
[実施例18乃至34]青色有機電界発光素子の製作
上述の合成例において合成された化合物1、8、186、206、219、311、3
14、687~696を、常法で高純度の昇華精製を行った後、下記の過程に従って青色
有機電界発光素子を製作した。
まず、ITO(Indium Tin Oxide)が1500Åの厚さで薄膜コーティ
ングされたガラス基板を、蒸留水で超音波洗浄を行った。蒸留水洗浄が終わると、イソプ
ロピルアルコール、アセトン、メタノールなどの溶剤で超音波洗浄を行い、乾燥させた後
、UVオゾン洗浄機(Powersonic405、ファシンテック製)に移送させた後
、UVを用いて前記基板を5分間洗浄し、真空蒸着装置に基板を移送した。
【0147】
上記のように用意されたITO透明電極の上に、DS-205((株)ドゥサン電子製
、80nm)/NPB(15nm)/ADN+5%DS-405((株)ドゥサン電子製
、30nm)/表2に記載の電子輸送補助層材料(5nm)/Alq(25nm)/L
iF(1nm)/Al(200nm)の順に積層し、有機電界発光素子を製作した。
【0148】
[比較例4]青色有機電界発光素子の製作
電子輸送補助層の材料として、化合物1を使用せずに、電子輸送層の材料であるAlq
を、25nmから30nmに変更して蒸着したこと以外は、実施例18と同様にして、
青色有機電界発光素子を製作した。
【0149】
[比較例5]青色有機電界発光素子の製作
電子輸送補助層の材料として、化合物1の代わりに、化合物T-1を使用したこと以外
は、実施例18と同様にして、青色有機電界発光素子を製作した。
【0150】
[比較例6]青色有機電界発光素子の製作
電子輸送補助層の材料として、化合物1の代わりに、化合物T-2を使用したこと以外
は、実施例18と同様にして、青色有機電界発光素子を製作した。
【0151】
[評価例2]
実施例18乃至34、比較例4乃至6において製作された各青色有機電界発光素子につ
いて、電流密度10mA/cmでの駆動電圧、発光ピーク、電流効率を測定し、その結
果を下記の表2に示す。
【0152】
【表2】
【0153】
表2に示されたように、上述の合成例において合成された化合物1、8、186、20
6、219、311、314、687~696を電子輸送補助層に使用した青色有機電界
発光素子(実施例18乃至34)は、電子輸送補助層を有しない青色有機電界発光素子(
比較例4)に比べて、電流効率、発光ピーク及び駆動電圧の面で優れた性能を示すもので
あることがわかった。また、上述の合成例において合成された化合物1、8、186、2
06、219、311、314、687~696を電子輸送補助層に使用した青色有機電
界発光素子(実施例18乃至34)は、連結基としてm,m-ビフェニレンを有すること
で、p,p-ビフェニレン又はm,p-ビフェニレンを有する化合物を電子輸送補助層に
使用した青色有機電界発光素子(比較例5及び6)に比べて、駆動電圧、発光ピーク及び
電流効率の面で優れた性能を示すものであることがわかった。
【0154】
[実施例35乃至51]緑色有機電界発光素子の製作
上述の合成例において合成された化合物1、8、186、206、219、311、3
14、687~696を、常法で高純度の昇華精製を行った後、下記の過程に従って緑色
有機電界発光素子を製作した。
【0155】
まず、ITO(Indium Tin Oxide)が1500Åの厚さで薄膜コーテ
ィングされたガラス基板を、蒸留水で超音波洗浄を行った。蒸留水洗浄が終わると、イソ
プロピルアルコール、アセトン、メタノールなどの溶剤で超音波洗浄を行い、乾燥させた
後、UVオゾン洗浄機(Powersonic405、ファシンテック製)に移送させた
後、UVを用いて前記基板を5分間洗浄し、真空蒸着装置に基板を移送した。
【0156】
上述のように用意したITO透明電極の上に、m-MTDATA(60nm)/TCT
A(80nm)/90%の表2に記載のホスト材料+10%のIr(ppy)(300
nm)/BCP(10nm)/Alq(30nm)/LiF(1nm)/Al(200
nm)の順に積層し、有機電界発光素子を製作した。
【0157】
[比較例7]緑色有機電界発光素子の製作
発光層の形成の際に、発光ホスト材料として、化合物1の代わりに、CBPを使用した
こと以外は、実施例35と同様にして、有機電界発光素子を製作した。
【0158】
[比較例8]緑色有機電界発光素子の製作
発光層の形成の際に、発光ホスト材料として、化合物1の代わりに、化合物T-1を使
用したこと以外は、実施例35と同様にして、有機電界発光素子を製作した。
【0159】
[比較例9]緑色有機電界発光素子の製作
発光層の形成の際に、発光ホスト材料として、化合物1の代わりに、化合物T-2を使
用したこと以外は、実施例35と同様にして、有機電界発光素子を製作した。
【0160】
上述の実施例35乃至51、比較例7乃至9において使用されたm-MTDATA、T
CTA、Ir(ppy)、CBP、及びBCPの構造は、下記の通りである。
【化92】
【化93】
【0161】
[評価例]
実施例35乃至51、比較例7乃至9において製作された各緑色有機電界発光素子につい
て、電流密度10mA/cmでの駆動電圧、電流効率、及び発光ピークを測定し、その
結果を下記の表3に示す。
【0162】
【表3】
【0163】
表3に示されたように、上述の合成例において合成された化合物1、8、186、20
6、219、311、314、687~696を発光層に使用した緑色有機電界発光素子
(実施例35乃至51)は、従来のCBPを発光層に使用した緑色有機電界発光素子(比
較例7)に比べて、電流効率及び駆動電圧の面で優れた性能を示すものであることがわか
った。また、上述の合成例において合成された化合物1、8、186、206、219、
311、314、687~696を発光層に使用した緑色有機電界発光素子(実施例35
乃至51)は、連結基としてm,m-ビフェニレンを有することで、p,p-ビフェニレ
ン又はm,p-ビフェニレンを有する化合物を電子輸送補助層に使用した青色有機電界発
光素子(比較例8及び9)に比べて、駆動電圧、発光ピーク及び電流効率の面で優れた性
能を示すものであることがわかった。