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特許7376565石油および天然ガスの生産システムとその運転方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】石油および天然ガスの生産システムとその運転方法
(51)【国際特許分類】
   E21B 47/00 20120101AFI20231031BHJP
【FI】
E21B47/00
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021502080
(86)(22)【出願日】2020-02-19
(86)【国際出願番号】 JP2020006515
(87)【国際公開番号】W WO2020171119
(87)【国際公開日】2020-08-27
【審査請求日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】P 2019028023
(32)【優先日】2019-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000222174
【氏名又は名称】東洋エンジニアリング株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】511292161
【氏名又は名称】株式会社エクスビジョン
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【氏名又は名称】義経 和昌
(72)【発明者】
【氏名】小松 洋一
(72)【発明者】
【氏名】八田 勇紀
(72)【発明者】
【氏名】北山 陽喜
(72)【発明者】
【氏名】黒田 直祐
(72)【発明者】
【氏名】田畑 友啓
(72)【発明者】
【氏名】水谷 裕一
【審査官】荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】特表平05-509400(JP,A)
【文献】実開昭59-189145(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21B 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイプラインを介して石油および天然ガスを含む流体を生産する石油および天然ガスの生産システムであって、
石油および天然ガスを含む流体から石油および天然ガスと他の成分を分離するためのセパレータが配置され、前記セパレータに至る前の前記パイプラインの一部分に測定セクションが配置されており、
前記測定セクションが、内部を通過する石油および天然ガスを含む流体中の砂を観察するための観察用パイプと、照明容器を備えており、前記観察用パイプ内部に可視光線乃至赤外線を照射するための照明ユニットと、カメラ容器を備えており、前記観察用パイプ内部を撮影するためのカメラユニットと、前記カメラユニットで撮影された画像を解析するための画像処理ユニットを有し、
前記観察用パイプが、前記セパレータに至るまでの前記パイプラインの一部分と置換されており、
前記照明ユニットと前記カメラユニットが、前記石油および天然ガスを含む流体が通過可能な100mm以下の間隔w1をおいて対向配置されている、石油および天然ガスの生産システム。
【請求項2】
前記照明ユニットが、棒状の前記照明容器、前記照明容器内に接続された光源、および前記照明容器の長さ方向に可動自在の照明用ミラーを備えており、
前記カメラユニットが、棒状の前記カメラ容器、前記カメラ容器内に接続されたカメラおよび前記カメラ容器の長さ方向に可動自在のカメラ用ミラーを備えており、
前記照明ユニットの棒状の照明容器が、一部が前記観察用パイプの外側に位置し、残部が前記観察用パイプの内側に突き出すように取り付けられており、
前記カメラユニットの棒状のカメラ容器が、一部が前記観察用パイプの外側に位置し、残部が前記観察用パイプの内側に突き出すように取り付けられており、
前記観察用パイプ内において、前記照明ユニットの照明容器の突き出し部分と前記カメラユニットの棒状のカメラ容器の突き出し部分が前記間隔w1をおいて対向配置されており、
前記照明ユニットの照明容器の突き出し部分と前記カメラユニットの棒状のカメラ容器の突き出し部分のそれぞれの対向されている面が透明(全光線透過率[ISO13468-1、JIS K 7361-1]が90%以上)である、請求項1記載の石油および天然ガスの生産システム。
【請求項3】
前記照明ユニットの照明容器が、一部外周面が長さ方向に連続した平面を有する円柱形状であり、
前記カメラユニットの前記棒状のカメラ容器が、一部外周面が長さ方向に連続した平面を有する円柱形状であり、
前記照明ユニットの照明容器の平面と前記カメラユニットの前記棒状のカメラ容器の平面が対向配置されている、請求項2記載の石油および天然ガスの生産システム。
【請求項4】
前記照明ユニットの照明容器と前記カメラユニットの前記棒状のカメラ容器が、前記石油および天然ガスを含む流体が通過可能な間隙を維持した状態で一体化されている、請求項2または3記載の石油および天然ガスの生産システム。
【請求項5】
前記照明ユニットが板状の前記照明容器を有し、前記カメラユニットが板状の前記カメラ容器を有しており、
前記板状の照明容器が、第1面と、第1面と厚さ方向反対側の第2面、第1面と第2面を囲む4つの側面を有し、一部が前記観察用パイプに固定されているものであり、
前記板状のカメラ容器が、第1面と、第1面と厚さ方向反対側の第2面、第1面と第2面を囲む4つの側面を有し、一部が前記観察用パイプに固定されているものであり、
前記板状の照明容器と前記板状のカメラ容器は、それぞれの第1面同士が半径方向に前記間隔w1をおいて対向配置されている、請求項1記載の石油および天然ガスの生産システム。
【請求項6】
前記照明ユニットが棒状の前記照明容器を有し、前記カメラユニットが棒状の前記カメラ容器を有しており、
前記棒状の照明容器の一部が前記観察用パイプに固定され、前記棒状のカメラ容器の一部が前記観察用パイプに固定されており、
前記棒状の照明容器の先端面と前記棒状のカメラ容器の先端面が、前記観察用パイプの断面の中心を含まない位置で半径方向に前記間隔w1をおいて対向配置されている、請求項1記載の石油および天然ガスの生産システム。
【請求項7】
前記観察用パイプが、両端に接続されたアダプターを介して前記パイプラインに対して着脱自在に取り付けられている、請求項1~6のいずれか1記載の石油および天然ガスの生産システム。
【請求項8】
前記画像処理ユニットが、撮影された画像から石油および天然ガスを含む流体中の砂の粒子径、砂の粒度分布、および砂量(m)を含む砂についての測定要素のいずれか1、2または全部を測定できる、請求項1~7のいずれか1項記載の石油および天然ガスの生産システム。
【請求項9】
前記測定セクションの観察用パイプが、少なくとも前記照明ユニットと前記カメラユニットが配置された部分の外径および内径が拡張されて流路面積が増加されている、請求項1~8のいずれか1項記載の石油および天然ガスの生産システム。
【請求項10】
前記測定セクションの観察用パイプが、少なくとも前記照明ユニットと前記カメラユニットが配置された部分の外径および内径が拡張されて流路面積が増加されており、
前記流路面積の増加割合が、石油および天然ガスを含む流体の流れ方向に対向する前記照明容器と前記カメラ容器の合計断面積を目安として調整される、請求項1~8のいずれか1項記載の石油および天然ガスの生産システム。
【請求項11】
請求項1記載の石油の生産システムの運転方法であって、
油井またはガス井から生産された石油および天然ガスを含む流体が前記観察用パイプを通過する過程の測定セクションにおいて石油および天然ガスを含む流体中の砂についての測定要素を測定することによって、砂が混入する出砂が発生した井戸を特定し、前記出砂の発生のタイミングを把握して、前記出砂が発生した井戸からの生産を停止するか、また生産量を調整する、石油および天然ガスの生産システムの運転方法。
【請求項12】
請求項2記載の石油および天然ガスの生産システムの運転方法であって、
油井またはガス井から生産された石油および天然ガスを含む流体が前記観察用パイプを通過する過程の測定セクションにおいて、
前記照明ユニットの照明用ミラーと前記カメラユニットのカメラ用ミラーを前記観察用パイプの半径方向に対向する位置になるように同期させて移動させながら石油および天然ガスを含む流体中の砂についての測定要素を測定することによって、砂が混入する出砂が発生した井戸を特定し、前記出砂の発生のタイミングを把握して、前記出砂が発生した井戸からの生産を停止するか、また生産量を調整する、石油および天然ガスの生産システムの運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油田またはガス田から石油および天然ガスを生産する際に出砂を伴う場合の生産システムとその運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
海底を含む地面を掘削して石油および天然ガスを含む流体を生産するとき、地層が崩れることにより流体に砂が混じる出砂現象が生じることがある。このような出砂現象が生じた場合、生産装置などの損傷が引き起こされることが問題になるため、対象となる石油および天然ガスを含む流体の観察が重要となる。
【0003】
US2012/0076364A1には、地面に掘った穴の中の流体分析のための画像処理方法とシステムの発明が記載されている。US2015/0138557A1には、地面または海底面での光源を含む流体のイメージベース測定装置の発明が記載されている。US9,678,016B2には、流体の本体部、第1および第2の目視検査部、光源、カメラ、第1および第2のスプレー要素を含んだ流体分析器の発明が記載されている。
発明の概要
【0004】
本発明は、油田またはガス田から生産される石油および天然ガス中の砂を測定することで、円滑な石油および天然ガス生産ができるようにするための、石油および天然ガスの生産システムとその運転方法を提供することを課題とする。
【0005】
本発明は、その一つの実施形態において、パイプラインを介して石油および天然ガスを含む流体を生産する石油および天然ガスの生産システムであって、
石油および天然ガスを含む流体から石油および天然ガスと他の成分を分離するためのセパレータが配置され、前記セパレータに至る前のパイプラインの一部分に測定セクションが配置されており、
前記測定セクションが、内部を通過する石油および天然ガスを含む流体中の砂を観察するための観察用パイプと、前記観察用パイプ内部に可視光線乃至赤外線を照射するための照明ユニットと、前記観察用パイプ内部を撮影するためのカメラユニットと、前記カメラユニットで撮影された画像を解析するための画像処理ユニットを有し、
前記観察用パイプが、前記セパレータに至るまでのパイプラインの一部分と置換されており、
前記照明ユニットと前記カメラユニットが、前記石油および天然ガスを含む流体が通過可能な100mm以下の間隔をおいて対向配置されている、石油および天然ガスの生産システムを提供する。
【0006】
本発明は他の実施形態において、上記した石油および天然ガスの生産システムの運転方法を提供する。本発明のさらなる実施形態は以下に記載され、また添付図面に基づいて説明される。
【0007】
本発明の実施形態に基づく石油および天然ガスの生産システムによれば、例えば出砂現象の発生を容易にかつ速やかに確認することができるようになり、特定のパイプラインからの石油および天然ガスの生産停止や生産量を減少させるなどの対策をとることができるため、石油および天然ガスの円滑な生産ができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の原理に基づく一つの例示的な石油および天然ガスの生産システムの全体を示す概略図。
図2】本発明の原理に基づく一つの例示的な石油および天然ガスの生産システムの測定セクションの外観の正面図。
図3図3(a)は、本発明の原理に基づく一つの例示的な棒状の照明容器と棒状のカメラ容器を使用した、図2における観察用パイプの半径方向の断面図、図3(b)はその軸方向の部分断面図。
図4図4(a)は、図3(a)で使用した照明容器とカメラ容器の平面図、図4(b)は図4(a)とは異なる形態のそれぞれの平面図。
図5図5(a)は、図3(a)、図3(b)における照明ユニットとカメラユニットのそれぞれの軸方向断面図、図5(b)は、図5(a)において照明用ミラーとカメラ用ミラーを移動させた状態を示す軸方向断面図。
図6図6(a)は、板状の照明容器と板状のカメラ容器を使用した、本発明の原理に基づく別実施形態である、図2における観察用パイプの半径方向の断面図、図6(b)はその軸方向の部分断面図。
図7図7(a)はさらに別実施形態である図2における観察用パイプの半径方向の断面図、図7(b)は図7(a)とは異なる実施形態の半径方向の断面図。
図8図8(a)は、棒状の照明容器と棒状のカメラ容器を使用した、さらに別実施形態である図2における観察用パイプの半径方向の断面図、図8(b)は図8(a)の部分拡大図、図8(c)は図8(a)とは異なる実施形態の半径方向の断面図。
図9図6(b)とは異なる、本発明の原理に基づく一つの例示的な実施形態の軸方向の部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<石油および天然ガスの生産システム>
添付図面を参照して、石油および天然ガスの生産システムを説明する。図1に示すとおり、本発明の一つの実施形態による例示的な石油および天然ガスの生産システムは、油層またはガス層1からパイプライン3を介して、地面50に設置されたプラットホーム6まで送ることにより、石油および天然ガスを生産するためのものである。パイプライン3は油井内またはガス井内に配置されたチュービング2に対して、バルブ5を介して接続されている。
【0010】
図1に示す例では、チュービング2とパイプライン3が地上部分で、すなわち地面50上で接続されているが、別の例ではこれらは地下または海底で接続された形態でもよく、またパイプライン3が地下に配置された形態でもよい。油層またはガス層1は、地下、海底下のいずれにあるものでもよい。
【0011】
幾つかの例では、油層またはガス層1に近い油井内またはガス井内には、砂などの固形物が石油および天然ガス中に混入した状態でチュービング2内に入ることを防止するためのスクリーン(図示せず)が取り付けられている。
【0012】
井戸中のチュービング2とパイプライン3は、油田またはガス田の規模に応じて数十~数百本程度、あるいはそれ以上が使用されることができる。またチュービング2とパイプライン3は、それぞれの長さ方向に直交する方向(半径方向)の断面が円形かそれに近似した形状のものであることができる。
【0013】
プラットホーム6上には、石油および天然ガスを含む流体から石油および天然ガスと他の成分を分離するためのセパレータ7が配置されている。なお、油田またはガス田が海底にある場合には、海底面上にセパレータ7を設置することもできる。また石油および天然ガスと分離する他の成分は、天然ガスを除いたガス、水(地層水)などであってよい。
【0014】
幾つかの例では、1台のセパレータ7に複数本のパイプライン3が接続されていてよい。パイプライン3の本数が多い場合には、複数のセパレータ7を使用することができる。例えば、パイプライン3が50~500本あるときは、パイプライン(100~500本の枝パイプ)のうち5~50本がマニフォールドで1本の幹パイプにまとめられた後、まとめられた1本の幹パイプごとに一台のセパレータ7と接続される構成とすることができる。
【0015】
セパレータ7としては、縦型もしくは横型の重力分離装置を、単独または複数台並列または複数台直列に使用することができる。なお、スクリーンを通過してチュービング2およびパイプライン3内に混入した砂などの固形物を分離するときは、別途設置したハイドロサイクロンなどを使用することができる。
【0016】
プラットホーム6まで送られた石油および天然ガスを含む流体から分離された石油および天然ガスは、タンカーで輸送されるか、パイプラインを経て製油所などに送られる。
【0017】
一つの例示的な態様において、測定セクション10(10a、10b)は、セパレータ7に至る前のパイプライン3の一部分に配置されている。測定セクション10は、複数箇所に設置することができる。図1の例では、縦方向(地面50と垂直方向)に伸ばされたパイプライン3の部分に測定セクション10aが設置され、横方向(地面50と平行方向)に伸ばされたパイプライン3の部分に測定セクション10bが設置されている。
【0018】
一つの例示的な態様において、測定セクション10はそれぞれ、内部を通過する石油および天然ガスを含む流体中の砂を観察するための観察用パイプ11と、観察用パイプ11内部に可視光線乃至赤外線を照射するための照明ユニット20と、観察用パイプ11内部を撮影するためのカメラユニット30と、カメラユニット30で撮影された画像を解析するための画像処理ユニット40を有している。
【0019】
照明ユニット20は、外部電源と電気的に接続されており、カメラユニット30はケーブル41により画像処理ユニット40と接続されている。
【0020】
測定セクション10は、上記の例のように複数本のパイプライン(枝パイプ)が1本の幹パイプにまとめられているような形態では、枝パイプの全てに設置することが好ましいが、複数本の枝パイプの内の一部本数のそれぞれに設置することもできるし、前記した幹パイプのみに設置することもできる。また図1に示すように1本のパイプライン3の複数箇所に測定セクションを設けることもできる。
【0021】
一つの例示的な態様において、観察用パイプ11は、セパレータ7に至る前のパイプライン3の一部分(1本のパイプライン3の一部分)と置換されているものであることができる。
【0022】
図2に示す例では、チュービング2側のパイプライン3aと観察用パイプ11の第1端部11aがアダプター9aを介して接続されており、セパレータ7側のパイプライン3bと観察用パイプ11の第2端部11bがアダプター9bを介して接続されている。観察用パイプ11は、パイプライン3と同じ材質からなるものを使用することができる。
【0023】
一つの例示的な態様において、アダプター9a、9bを使用した観察用パイプ11とパイプライン3a、3bとの接続方法としては、以下に説明する嵌め込み方式、ねじ込み方式と嵌め込み方式の組み合わせ、ねじ込み方式などの接続方式を使用することができる。しかしこれらは限定的なものではなく、他の任意の適切な接続方式とすることもできる。
【0024】
例示的な嵌め込み方式では、必要に応じて耐油性のシールテープや耐油性のOリングを介して、アダプター9a内にパイプライン3aの端部と観察用パイプ11の第1端部11aを嵌め込み、同様にしてアダプター9b内に汲み上げ用パイプ3bの端部と観察用パイプ11の第2端部11bを嵌め込んで接続する。
【0025】
ねじ込み方式と嵌め込み方式の例示的な組み合わせでは、内部にねじ部が形成されたアダプター9aに対して、端部外表面にねじ部が形成されたパイプライン3aと第1端部11aの外表面にねじ部が形成された観察用パイプ11をねじ込み、アダプター9bとパイプライン3bと観察用パイプ11の第2端部11bは、上記した嵌め込み方式と同様にして接続する。この方法では、ねじ込み方式と嵌め込み方式を適用する部分は、逆でもよい。
【0026】
ねじ込み方式を適用する場合には、予めそれに対応した観察用パイプ11を用意する必要がある。このような観察用パイプ11としては、外表面にねじ部が形成された内筒と、二つの外筒(第1の外筒と第2の外筒)の二重構造からなり、内筒の一端部の外側に第1の外筒がねじ込まれ、内筒の反対側の端部の外側に第2の外筒がねじ込まれたものを使用することができる。
【0027】
第1の外筒と第2の外筒としては、いずれも一端部側(内筒側)が内表面にねじ部を有し、反対側の他端部側が外表面にねじ部を有しているものを使用することができる。この場合にアダプター9a、9bとしては、いずれも内表面にねじ部を有するものを使用し、パイプライン3a、3bとしてはいずれも端部外表面にねじ部を有するものを使用することができる。使用時には、アダプター9aをパイプライン3aにねじ込み、アダプター9a内に二重構造の観察用パイプ11の第1の外筒をねじ込んで接続し、アダプター9bをパイプライン3bにねじ込み、アダプター9b内に二重構造の観察用パイプ11の第2の外筒をねじ込んで接続する。
【0028】
次に図3図5を参照して、測定セクションの一実施形態である測定セクション10Aの例を説明する。測定セクション10Aの観察用パイプ11には、照明ユニット20とカメラユニット30が取り付けられている。
【0029】
照明ユニット20は、棒状(柱状)の照明容器21、照明容器21に接続された光源22および容器内に配置された照明用ミラー23を備えている。光源22と照明用ミラー23は、いずれも照明容器21の長さ方向(図5の上下方向)に可動自在になっている。
【0030】
照明ユニット20は、一つの実施形態において、カメラユニット(またはビデオカメラユニット)30と組み合わせることで、観察用パイプ11内を通過する石油および天然ガスを含む流体を例えば連続的に撮影する(動画を撮影する)ことができる。
【0031】
棒状の照明容器21は、耐圧性および耐油性の点からステンレスなどの金属のほか、合成樹脂からなるものでもよい。棒状の照明容器21は、幅方向の断面形状が円形、楕円形、四角形などのものであることができ、石油および天然ガスを含む流体の流れを阻害せず、破損し難くするため、幅が狭く、角部が丸みを帯びているものが好ましい。観察用パイプ11の半径方向断面で見た棒状の照明容器21の幅は、例えば24mm以下にすることができる。
【0032】
棒状の照明容器21の幅方向の断面形状としては、図4(a)に示すようにカメラユニット30に対向する円形の一部面が平面21aになっているもの、図4(b)に示す四角形のものなどにすることができる。図4(a)、(b)の照明容器21は、いずれも角部が丸みを帯びるように加工されていることができる。照明容器21の面21aは、光源22から発せられる光線に対して透過性である。一つの例では、棒状の照明容器21の面21aの全部または一部は透明(全光線透過率[ISO 13468-1、JIS K 7361-1]が90%以上)になっている。
【0033】
光源22は、観察用パイプ11内に可視光線から赤外線までの範囲の任意の波長の光線を照射するためのものである。照射する光線の種類(波長)は、石油および天然ガスの組成(含有成分の割合)に応じて選択することができ、一つの例では、波長720~1100nmの赤外線を照射できるものが好ましい。
【0034】
光源22は、棒状の照明容器21に接続できるものであればよく、光ファイバー、LEDライトなどを使用することができる。図5の例では、棒状の照明容器21の底面21c側に光源(光ファイバー)22の先端面(光照射面)22aが接続された形態が示されているが、光源22の先端面22aが照明容器21の内部に突き出された形態でもよい。
【0035】
可動自在の照明用ミラー23は、図5(a)、(b)に示すとおり、照明容器21内の底面21c側から天面21b側まで移動可能なものである。照明用ミラー23の移動は、複数の段階的なものであってもよいし、連続的なものであってもよい。
【0036】
照明用ミラー23は、光源22から発射された光を反射できるものであれば任意のものであってよく、顕微鏡、カメラなどに使用されている公知の光学機器用ミラーを使用することができる。照明用ミラー23の角度(基準面となる底面21cに対する角度)は特に制限されるものではないが、例えば45度を基準角度として調整することができる。
【0037】
カメラユニット(またはビデオカメラユニット)30は、棒状(柱状)のカメラ容器31、カメラ容器31内に接続されたカメラ32、およびカメラ容器31の長さ方向(図5の上下方向)に可動自在のカメラ用ミラー33を備えている。カメラ32およびカメラ用ミラー33は、いずれもカメラ容器31の長さ方向(図5の上下方向)に可動自在になっている。
【0038】
カメラユニット30は、照明ユニット20と組み合わせることで、観察用パイプ11内を通過する石油および天然ガスを含む流体を連続的に撮影する(動画を撮影する)ことができる。棒状のカメラ容器31は、耐圧性および耐油性の点からステンレスなどの金属のほか、合成樹脂からなるものでもよい。
【0039】
棒状のカメラ容器31は、幅方向の断面形状が円形、楕円形、四角形などのものであることができ、石油および天然ガスを含む流体の流れを阻害せず、破損し難くするため、幅が狭く、角部が丸みを帯びているものが好ましい。観察用パイプ11の半径方向断面で見た棒状のカメラ容器31の幅は、例えば24mm以下にすることができる。
【0040】
棒状のカメラ容器31の幅方向の断面形状としては、図4(a)に示すように照明ユニット20に対向する円形の一部面が平面31aになっているもの、図4(b)に示す四角形のものなどにすることができる。図4(a)、(b)のカメラ容器31は、いずれも角部が丸みを帯びるように加工されていることができる。カメラ容器31の面31aは、照明ユニット20から受光される光線に対して透過性である。一つの例では、棒状のカメラ容器31の面31aの全部または一部は透明(全光線透過率[ISO 13468-1、JIS K 7361-1]が90%以上)になっている。
【0041】
カメラユニット30で使用するカメラ32は、一つの例では高フレームレートカメラを使用することができる。高フレームレートカメラとしては、例えば、特開2014-160516号公報の画像処理装置に記載されている(段落番号0096、0097)、Basler製のA504k(モノクロ)/kc(カラー)またはMicrotron製のEosens MC1362(モノクロ)/1363(カラー)を使用することができる。これらのカメラは、最大で1280×1024画素の画像を、500fpsでリアルタイム出力することができる。また、これらのカメラでは、画像の行数を減らすことでフレームレートを上げることが可能となっており、例えば1280×512画素であれば1000fpsで出力できる。
【0042】
可動自在のカメラ用ミラー33は、図5(a)、(b)に示すとおり、カメラ容器31内の底面31c側から天面31b側まで移動可能なものである。カメラ用ミラー33の移動は、複数の段階的なものであってもよいし、連続的なものであってもよい。
【0043】
カメラ用ミラー33は、照明ユニット20の照明用ミラー23で反射された光をさらに反射できるものであれば任意のものであってよく、顕微鏡、カメラなどに使用されている公知の光学機器用ミラーを使用することができる。カメラ用ミラー33の角度(基準面となる底面31cに対する角度)は特に制限されるものではないが、例えば45度を基準角度として調整することができる。カメラ用ミラー33の角度と照明用ミラー23の角度は、同じであることが好ましい。
【0044】
一つの実施形態によれば、図3に例示的に示されているように、照明ユニット20の棒状の照明容器21は、底面21c側が観察用パイプ11の外側に位置し、天面21b側が観察用パイプ11の内側に突き出すように取り付けられている。カメラユニット30の棒状のカメラ容器31は、底面31c側が観察用パイプ11の外側に位置し、天面31b側が観察用パイプ11の内側に突き出すように取り付けられている。
【0045】
観察用パイプ11内における照明容器21とカメラ容器31の突き出し長さは特に制限されるものではないが、突き出し部分の長さが大きいと石油および天然ガスを含む流体による抵抗が大きくなるため(石油および天然ガスを含む流体の流れを阻害し易くなるため)、観察用パイプ11の直径の半分程度以下であることが好ましい。
【0046】
一つの実施形態によれば、観察用パイプ11の内部において、照明容器21の面21aと、これに対向するカメラ容器31の面31aの間には、石油および天然ガスを含む流体が通過することができ、かつ前記流体を撮影できるようにするための間隔(w1)が設けられている。
【0047】
一つの例では間隔(w1)は100mm以下であり、好ましくは1~10mmであることができる。なお、石油および天然ガスを含む流体に砂が含まれているときは、スクリーンを通過して入り込んだ砂は通常は粒径が0.1~0.01mm程度のものであるため、間隔(w1)の大きさの選択に際しては、石油および天然ガスを含む流体が通過できればよく、実質的に砂の粒径は考慮しなくともよい。
【0048】
間隔w1は、照明容器21の天面21bから底面21cとカメラ容器31の天面31bから底面31cの全体にわたって同じ幅であることが好ましい。
【0049】
一つの実施形態において、観察用パイプ11内における照明容器21の突き出し部分の長さ(天面21bの高さ位置)とカメラ容器31の突き出し部分の長さ(天面31bの高さ位置)は、同じであることが好ましい。照明容器21とカメラ容器31は、観察用パイプ11内に取り付けるとき、例えばそれぞれの天面21bと天面31bの高さと、間隔w1を一定にするため、石油および天然ガスを含む流体の流れを阻害しないようにして、一部分が相互に接続された形態にすることができる。例えば、照明容器21の天面21bとカメラ容器31の天面31bを間隔w1が維持されるように相互に接続して、照明容器21の底面21cとカメラ容器31の底面31cを間隔w1が維持されるように相互に接続することができる。
【0050】
一つの実施形態において、図3に示す測定セクション10Aは、観察用パイプ11の周面に形成された取り付け穴から、棒状の照明容器21の一部と棒状のカメラユニット31の一部を差し込んで組み立てることができる。前記差し込み部分には、ゴム製の筒状シール部材などを介在させることで、観察用パイプ11内を流れる石油および天然ガスを含む流体が外部に漏れ出ないようにすることができる。
【0051】
次に図6を参照して、測定セクションの別の一実施形態である測定セクション10Bを説明する。測定セクション10Bの観察用パイプ11には、照明ユニット120とカメラユニット130が取り付けられている。
【0052】
一つの実施形態において、照明ユニット120は、板状の照明容器121、照明容器121内に収容された光源122を備えている。照明ユニット120は、カメラユニット(またはビデオカメラユニット)130と組み合わせることで、観察用パイプ11内を通過する石油および天然ガスを含む流体を連続的に撮影する(動画を撮影する)ことができる。
【0053】
一つの実施形態において、板状の照明容器は、第1面121aと、第1面121aと厚さ方向反対側の第2面121b、第1面121aと第2面121bを囲む、内側側面121cと外側側面121dを含む4つの側面を有している。板状の照明容器121は、石油および天然ガスを含む流体の流れを阻害せず、破損し難くするため、薄く、角部が丸みを帯びているものが好ましい。観察用パイプ11の半径方向断面で見て、板状の照明容器121は、例えば厚さ24mm以下にすることができる。
【0054】
光源122は、板状の照明容器121のカメラユニット130に対向する第1平面121a側に光源122の光照射部分が位置するように取り付けられている。光源122の光照射部分が面している第1平面121aの全部または一部(光源の光照射部分が面している部分)は、光源122から発せられる光線に対して透過性である。一つの例では、第1平面121aの全部または一部は透明(全光線透過率[ISO 13468-1、JIS K 7361-1]が90%以上)になっている。光源としては、光ファイバーやLEDライトなどを使用することができる。
【0055】
一つの実施形態において、カメラユニット130は、板状のカメラ容器131、カメラ容器131内に収容されたカメラ132を備えている。カメラユニット130は、照明ユニット120と組み合わせることで、観察用パイプ11内を通過する石油および天然ガスを含む流体を連続的に撮影する(動画を撮影する)ことができる。
【0056】
一つの実施形態において、板状のカメラ容器131は、第1面131aと、第1面131aと厚さ方向反対側の第2面131b、第1面131aと第2面131bを囲む、内側側面131cと外側側面131dを含む4つの側面を有している。板状のカメラ容器131は、石油および天然ガスを含む流体の流れを阻害せず、破損し難くするため、角部が丸みを帯びているものが好ましい。観察用パイプ11の半径方向断面で見て、板状のカメラ容器131は、例えば厚さ24mm以下にすることができる。
【0057】
カメラ132は、板状のカメラ容器131の照明ユニット120に対向する第1面131a側にカメラ132のレンズ部分が位置するように取り付けられている。カメラ132のレンズ部分が面している第1平面131aの全部または一部(カメラのレンズが面している部分)は、照明ユニット120から受光される光線に対して透過性である。一つの例では、第1平面131aの全部または一部は透明(全光線透過率[ISO 13468-1、JIS K 7361-1]が90%以上)になっている。カメラ132としては、上記した高フレームレートカメラを使用することができる。
【0058】
一つの実施形態によれば、図6aに例示的に示されているように、照明ユニット120の板状の照明容器121は、外側側面121d側が観察用パイプ11の外側に位置し、内側側面121c側が観察用パイプ11の内側に突き出すように取り付けられている。カメラユニット130の板状のカメラ容器131は、外側側面131d側が観察用パイプ11の外側に位置し、内側側面131c側が観察用パイプ11の内側に突き出すように取り付けられている。
【0059】
観察用パイプ11内における照明容器121とカメラ容器131の突き出し長さは特に制限されるものではないが、突き出し部分の長さが大きいと石油および天然ガスを含む流体による抵抗が大きくなるため(石油および天然ガスを含む流体の流れを阻害し易くなるため)、観察用パイプ11の直径の半分程度以下であることが好ましい。
【0060】
一つの実施形態によれば、観察用パイプ11の内部において、照明容器121の第1面121aとカメラ容器131の第1平面131aの間には、石油および天然ガスを含む流体が通過することができ、かつ前記流体を撮影できるようにするための間隔(w1)が設けられている。光源122とカメラ132は、間隔(w1)をおいて対向配置されていることができる。
【0061】
一つの例では間隔(w1)は100mm以下であり、好ましくは1~10mmであることができる。なお、石油および天然ガスを含む流体に砂が含まれているときは、スクリーンを通過して入り込んだ砂は、通常は粒径が0.1~0.01mm程度のものであるため、間隔(w1)の大きさの選択に際しては、実質的に砂の粒径は考慮しなくともよい。
【0062】
間隔w1は、照明容器121の第1平面121aの全面とカメラ容器131の第1平面131aの全面において同じ幅であることが好ましい。
【0063】
一つの実施形態において、観察用パイプ11内における照明容器121の突き出し部分の長さとカメラ容器131の突き出し部分の長さは同じであることが好ましい。照明容器121とカメラ容器131は、観察用パイプ11内に取り付けるときに間隔w1を一定にするため、石油および天然ガスを含む流体の流れを阻害しないようにして一部分が相互に接続された形態にすることができる。例えば、照明容器121の内側側面121cとカメラ容器131の内側側面131cを間隔w1が維持されるように相互に接続して、照明容器121の外側側面121dとカメラ容器131の外側側面131dを間隔w1が維持されるように相互に接続することができる。
【0064】
一つの実施形態において、図6に示す測定セクション10Bは、観察用パイプ11の周面に形成された取り付け穴から板状の照明容器121の一部と棒状のカメラ容器131の一部を差し込んで組み立てることができる。前記差し込み部分には、ゴム製の筒状シール部材などを介在させることで、観察用パイプ11内を流れる石油および天然ガスを含む流体が外部に漏れ出ないようにすることができる。
【0065】
次に図7および図8を参照して、測定セクションの別実施形態である測定セクション10C~10Fの例を説明する。測定セクション10C~10Fは、図6に示す測定セクションと同様の照明ユニット120とカメラユニット130を使用したものである。
【0066】
図7(a)に示す測定セクション10Cでは、照明ユニット120の板状の照明容器121が観察用パイプ11の半径方向に見た両端側で観察用パイプ11の内壁に固定され、カメラユニット130の板状のカメラ容器131が、観察用パイプ11の半径方向に見た両端側で観察用パイプ11の内壁に固定されている。
【0067】
板状の照明容器121と板状のカメラ容器131は、観察用パイプ11の断面の中心を挟んで半径方向に対向されるように配置されている。照明容器121とカメラ容器131の間には、測定セクション10Bの場合と同様の間隔w1が維持されている。
【0068】
照明ユニット120は、図示していないリードワイヤで電源と接続され、カメラユニット130は、図示していないリードワイヤおよびケーブルにより電源と画像処理ユニット40に接続されている。
【0069】
図7(b)に示す測定セクション10Dは、図7(a)に示す測定セクション10Cとは、観察用パイプ11内部における照明ユニット120とカメラユニット130の取り付け位置が異なるほかは同じものである。この場合、板状の照明容器121と板状のカメラ容器131は、観察用パイプ11の断面の中心を除いた位置、すなわち中心から偏心した位置で半径方向に対向されるように配置されている。
【0070】
図8(a)に示す測定セクション10Eは、図8(b)に示すような観察用パイプ11の半径方向に対向する照明ユニット220とカメラユニット230を使用している。照明ユニット220は、棒状(柱状)の照明容器221の先端面221a側に光源222が収容配置されている。照明容器221の先端面221aは、光源222から発せられる光線に対して透過性である。一つの例では、先端面221aの全部または一部は透明(全光線透過率[ISO 13468-1、JIS K 7361-1]90%以上)である。
【0071】
カメラユニット230は、棒状(柱状)のカメラ容器231の先端面231a側にカメラ232が収容配置されているものである。カメラ231の先端面231aは、照明ユニット220から受光される光線に対して透過性である。一つの例では、先端面231aの全部または一部は透明(全光線透過率[ISO 13468-1、JIS K 7361-1]90%以上)である。
【0072】
照明容器221とカメラ容器231は、図6(a)に示す実施形態と同様にして観察用パイプ11に取り付けられている。照明容器221の先端面221aとカメラ容器231の先端面231aの間に、上述の例と同様の間隔(w1)が設けられている。
【0073】
図8(c)に示す測定セクション10Fは、観察用パイプ11に対する照明ユニット220とカメラユニット230の取り付け位置が異なっているほかは、図8(a)に示す照明ユニット10Eと同じものである。すなわち図8(a)に示す照明ユニット10Eでは照明容器221の先端面221aとカメラ容器231の先端面231aは観察用パイプ11の半径方向断面の中心を挟んで対向しているが、図8(c)に示す測定セクション10Fでは照明容器221の先端面221aとカメラ容器231の先端面231aは観察用パイプ11の半径方向中心から偏心した位置を挟んで対向している。
【0074】
再度図2を参照すると、一つの実施形態において、画像処理ユニット40は、観察用パイプ11内において照明ユニット20とカメラユニット30の組み合わせで撮影された砂の連続画像(動画)から、砂についての測定要素を求めることができる。
【0075】
砂についての測定要素としては、撮影された画像から得られる、石油および天然ガスを含む流体中の砂の粒子径、砂の粒度分布、および砂量(m)を含む、砂についての測定要素いずれか1、いずれか2または全部とすることができる。
【0076】
画像処理ユニット40としては、上記した特開2014-160516号公報に記載の画像処理装置を使用することができる。前記画像処理装置は、コプロセッサ、フレームメモリおよびCPUを備えているものであることができ(前記公報の図1図3参照)、例えば株式会社エクスビジョンが提供する「ハイスピードインスペクション」を使用することができる。「ハイスピードインスペクション」によれば、約1,600個の対象物の1msでのトラッキングが可能である。
【0077】
本発明の石油および天然ガスの生産システムでは、測定セクション10内は実用時において石油および天然ガスを含む流体が流れるものであるため、石油および天然ガスを含む流体の円滑な流れを阻害しないことが重要となる。
【0078】
このため、本発明の石油および天然ガスの生産システムでは、観察用パイプ11の半径方向の断面積(内径基準の断面積)(A1)と、照明容器21(照明容器121、221)の石油および天然ガスを含む流体の流れ方向に対向する断面積(a1)と、カメラ容器31(カメラ容器131、231)の石油および天然ガスを含む流体の流れ方向に対向する断面積(a2)が、次式(I):
[(a1+a2)/A1]×100 (I)
から求められる面積割合が30%以下であるものが好ましい。上記式(I)から求められる面積割合は、20%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましい。
【0079】
このように式(I)から求められる面積割合が小さくなっていると、石油および天然ガスを含む流体の流れを阻害しないため、石油および天然ガスを含む流体中に含まれている砂についての測定要素の測定結果もより正確になる。
【0080】
なお、観察用パイプ11内に照明ユニット20とカメラユニット30を配置したときに石油および天然ガスを含む流体が通過する面積(流路面積)が減少することを解消するため、照明ユニット20とカメラユニット30が配置されている部分を含む観察用パイプ11の外径および内径を拡張して、前記流路面積を増加させることもできる。
【0081】
前記流路面積の増加割合は、石油および天然ガスを含む流体の流れ方向に対向する前記照明ユニットの照明容器21と前記カメラユニットのカメラ容器31の合計断面積(a1+a2)を目安として調整することができる。例えば、上記の式(I)から求められる面積割合が30%であるときは、30%に相当する流路面積が増加されるように、観察用パイプ11の外径および内径を拡張させることができる。
【0082】
<石油および天然ガスの生産システムの運転方法>
本発明は、上記した石油および天然ガスの生産システムを運転して、油田またはガス田1からチュービング2、パイプライン3を使用して石油(天然ガスを含む石油)を生産する過程において、測定セクション10(測定セクション10A~F)で砂についての測定要素(砂の粒径、砂の粒度分布および砂量(m)などの砂の測定要素)を測定する。
【0083】
図1に示すように油田またはガス田1からチュービング2、パイプライン3を介して生産された石油および天然ガスを含む流体は、測定セクション10(測定セクション10A~F)を通過する。
【0084】
このとき、測定セクション10A(図3図5に示す実施形態)では、次のようにして石油および天然ガスを含む流体が撮影される。
【0085】
石油および天然ガスを含む流体は図3(b)に示す矢印方向に流れ、一部が図3(a)に示す照明ユニット20とカメラユニット30の間の間隔w1の隙間を通る。照明ユニット20の光源22から照射された所定波長(可視光線から赤外線の範囲)の光は、照明用ミラー23に当たって向きを変え、照明容器21の透明な平面21aを通過して間隔w1の石油および天然ガスを含む流体が通過している隙間を横切り、カメラ容器31の透明な平面31aからカメラ容器31内に入る。
【0086】
カメラ容器31内に入った光線はカメラ用ミラー33に当たって向きを変え、カメラ32(カメラレンズ32a)に至り、間隔w1の隙間を通過する石油および天然ガスを含む流体が撮影される。撮影された画像情報は画像処理ユニット40に送られて処理される。この一連の撮影を連続的に実施することによってデータが蓄積され、石油および天然ガスを含む流体に含まれている砂についての測定要素が測定される。
【0087】
なお、測定セクション10Aでは、図5(a)の状態から図5(b)の状態まで照明用ミラー23の位置を底面21c側から天面21b側まで移動させ、それと同期させてカメラ用ミラー33の位置を底面31cから天面31bまで移動させながら連続的に撮影することもできる。このようにして照明用ミラー23とカメラ用ミラー33を同期させて連続的に移動させながら撮影すると、より高い精度で砂についての測定要素が測定できるようになるので好ましい。
【0088】
他の測定セクション10B~10Fを使用して測定を実施した場合であっても、測定セクション10Aと同様に高い精度で砂についての測定要素を測定することができる。例えば、図6に示す測定セクション10Bでは、照明ユニット120とカメラユニット130の間隔w1の隙間を流れる石油および天然ガスを含む流体を連続的に撮影することができる。
【0089】
なお、図6の測定セクション10Bに代えて、図9に示すように複数の光源122と複数のカメラ132を組み合わせたものを使用すると、移動する砂をより長い時間撮影することが可能となり、砂を3次元的に捉えることができるようになるため好ましい。
【0090】
なお、パイプライン3の測定箇所に応じて異なる測定セクションを設置することができるほか、複数の測定セクションにおける測定値を平均値として算出し、評価することもできる。
【0091】
本発明の測定セクションを含む石油および天然ガスの生産システムを実施することによって、砂についての測定要素から出砂状況を把握することができるようになるため、出砂現象が発生した井戸を容易にかつ速やかに特定できるようになる。それにより、出砂現象が発生した井戸からの石油(天然ガスを含む石油)の生産を停止するか、また石油および天然ガスの生産量を調整するという対応ができるようになる。その結果、輸送経路の砂による閉塞、油井またはガス井内の機器、プラットホーム7上の機器の損傷も防止することができるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明の石油および天然ガスの生産システムと運転方法は、油田およびガス田からの石油および天然ガスの生産設備において利用することができる。
【符号の説明】
【0093】
1 油層またはガス層
2 チュービング
3 パイプライン
6 プラットホーム
7 セパレータ
10 測定セクション
11 観察用パイプ
20 照明ユニット
30 カメラユニット
40 画像処理ユニット

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9