IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ジボダン エス エーの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】有機化合物の改善または関連
(51)【国際特許分類】
   B01J 13/20 20060101AFI20231031BHJP
   A61K 8/11 20060101ALI20231031BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20231031BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20231031BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20231031BHJP
   A61K 8/04 20060101ALI20231031BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20231031BHJP
   A61K 8/87 20060101ALI20231031BHJP
   A61K 8/84 20060101ALI20231031BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20231031BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
B01J13/20
A61K8/11
A61K8/73
A61Q19/10
A61Q5/02
A61K8/04
A61K8/46
A61K8/87
A61K8/84
A61K8/81
A61K8/44
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021515561
(86)(22)【出願日】2019-09-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-06
(86)【国際出願番号】 EP2019074154
(87)【国際公開番号】W WO2020058044
(87)【国際公開日】2020-03-26
【審査請求日】2022-09-06
(31)【優先権主張番号】1815293.4
(32)【優先日】2018-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】501105842
【氏名又は名称】ジボダン エス エー
(74)【代理人】
【識別番号】110003971
【氏名又は名称】弁理士法人葛和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブルガレッリー,ネリー
(72)【発明者】
【氏名】ハリソン,イアン,ミシェル
【審査官】中田 光祐
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-515462(JP,A)
【文献】特表2003-526640(JP,A)
【文献】特表2003-503432(JP,A)
【文献】特表2020-509058(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 13/02- 13/22
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00- 90/00
C11D 1/00- 19/00
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分散媒体に分散された複数のマイクロカプセルを含み、マイクロカプセルがコアおよびコアの周りのシェルを含み、コアが少なくとも1つの機能性材料を含み、マイクロカプセルのシェルがキトサンでコーティングされ、分散媒体が追加の遊離キトサンを含み、マイクロカプセルのシェルをコーティングしているキトサンおよび分散媒体に含まれる遊離キトサンが、異なる平均分子量を有し、機能性材料が香料材料である、消費者製品。
【請求項2】
分散媒体に含まれる遊離キトサンが、60%より高い脱アセチル化グレードを有する、請求項1に記載の消費者製品。
【請求項3】
分散媒体に含まれる遊離キトサンが、500’000~5’000’000g/molの間の分子量を有する、請求項1または2に記載の消費者製品。
【請求項4】
マイクロカプセルのシェルをコーティングしているキトサンが、60%~100%の間の脱アセチル化グレードを有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の消費者製品。
【請求項5】
マイクロカプセルのシェルをコーティングしているキトサンが、3’000~1’000’000g/molの間の分子量を有する、請求項1~のいずれか一項に記載の消費者製品。
【請求項6】
コーティングされたマイクロカプセルが、以下のゼータ電位:
- pH4および0.001mol/Lのイオン濃度で、0mV~+50mVの間;
- pH5.4および0.001mol/Lのイオン濃度で、-20mV~+20mVの間;
- pH7および0.001mol/Lのイオン濃度で、-20mV未満、
を有する、請求項1~のいずれか一項に記載の消費者製品。
【請求項7】
コーティングされたマイクロカプセルが、0.5~25マイクロメートルの体積平均サイズを有する、請求項1~のいずれか一項に記載の消費者製品。
【請求項8】
分散媒体が、アニオン性界面活性剤、とりわけ脂肪酸スルファート、ラウレススルファート、サルコシンおよびサルコシナートからなる群から選択されるアニオン性界面活性剤を追加的に含む、請求項1~のいずれか一項に記載の消費者製品。
【請求項9】
マイクロカプセルのシェルがアミノプラスト樹脂、ポリ尿素樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリラート樹脂、およびそれらの混合物からなる群から選択される熱硬化性樹脂を含む、請求項1~のいずれか一項に記載の消費者製品。
【請求項10】
消費者製品の総重量に対して、0.01~5重量%のマイクロカプセルを含む、請求項1~のいずれか一項に記載の消費者製品。
【請求項11】
消費者製品の総重量に対して、0.00001~0.005重量%の遊離キトサンを含む、請求項1~1のいずれか一項に記載の消費者製品。
【請求項12】
消費者製品を製造する方法であって、以下のステップ:
- 複数のマイクロカプセルを提供すること、マイクロカプセルはコアおよびコアの周りのシェルを含み、コアは少なくとも1つの機能性材料を含む;
- 分散媒体を提供すること;
- マイクロカプセルを分散媒体に分散させること;
- 複数のコア-シェルマイクロカプセルをキトサンでコーティングして、複数のコーティングされたコア-シェルマイクロカプセルを得ること;
- 分散媒体に追加の遊離キトサンを添加すること、
を含む、前記方法。
【請求項13】
マイクロカプセルのシェルをコーティングしているキトサンおよび分散媒体に含まれる遊離キトサンが、異なる平均分子量を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
分散媒体に分散された複数のマイクロカプセルの、表面上の堆積およびすすぎ耐性を増強する方法であって、マイクロカプセルはコアおよびコアの周りのシェルを含み、コアは少なくとも1つの機能性材料を含み、該方法が以下のステップ:
- 複数のコア-シェルマイクロカプセルをキトサンでコーティングして、複数のコーティングされたコア-シェルマイクロカプセルを得ること;
- 分散媒体に追加の遊離キトサンを添加すること
を含む、前記方法。
【請求項15】
複数のマイクロカプセルの、表面上の堆積およびすすぎ耐性を増強するためのキトサンの使用であって、マイクロカプセルがコアおよびコアの周りのシェルを含み、コアが少なくとも1つの機能性材料を含み、マイクロカプセルが分散媒体に分散されており、複数のマイクロカプセルをキトサンでコーティングして、複数のコーティングされたマイクロカプセルを得ること、および分散媒体に追加の遊離キトサンを添加することによる、前記使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分散媒体中に分散された複数のマイクロカプセルを含む消費者製品、消費者製品を製造する方法、分散媒体に分散された複数のマイクロカプセルの堆積およびすすぎ耐性を増強する方法、ならびに分散媒体に分散された複数のマイクロカプセルの堆積およびすすぎ耐性を増強するためのキトサンの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
カプセル化された機能性材料を、消費者製品、例えば家庭用ケア製品、パーソナルケア製品およびファブリックケア製品など、に組み込むことが知られている。機能性材料は、例えば、香料材料、化粧品材料、薬物材料、および基材エンハンサーを包含する。
【0003】
かかる機能性材料の送達に具体的に好適なマイクロカプセルは、コア-シェルマイクロカプセルであり、ここでコアは機能性材料を含み、およびシェルは機能性材料に対して不浸透性または部分的に不浸透性である。大抵、これらのマイクロカプセルは水性媒体で使用され、およびカプセル化された機能性材料は疎水性である。このシェル材料がカプセル化された機能性材料に不浸透性または部分的に不浸透性であるという条件で、シェル材料の幅広い選択を使用することができる。
【0004】
機能性材料の中で、香料材料は様々な理由でカプセル化されている。マイクロカプセルは、香料成分を、それらとは不適合であり得るかまたはその中で不安定であり得る外部の懸濁媒体、例えば消費者製品ベースなどから分離および保護することができる。それらはまた、基材、例えば皮膚、髪の毛、布地、または硬いハウスホールドサーフェスなどへの香料材料の堆積を補助するために使用される。それらはまた、香料の時空間放出を制御する手段としても機能することができる。
【0005】
熱硬化性樹脂は、かかる香料組成物のための一般的なシェル材料である。アミノプラスト樹脂、ポリ尿素樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリラート樹脂、およびそれらの組み合わせから形成されたコア-シェルマイクロカプセルは、水性懸濁媒体に分散されたときに、界面活性剤含有媒体中でさえ、一般にフレグランスの漏出に対して非常に耐性がある。さらにまた、消費者製品、例えば洗濯洗剤またはコンディショナーなどに組み込まれたときに、それらは香料がそれらの製品に直接組み込まれる場合には達成できない香料の利点を提供する。
【0006】
しかしながら、多くの場合、滑らかな表面、およびとくにケラチン表面、例えば皮膚および髪などへの、これらのマイクロカプセルの堆積および付着は不十分であり、マイクロカプセルの使用に関連して期待される利点は最適ではない。これはとくに、大量の水を要するすすぎ流し製品の場合である。この場合において、堆積の欠如は、マイクロカプセルの希釈に起因し得る。大量のすすぎ水もまたマイクロカプセルを表面から洗い流し得る。
【0007】
WO 2014/064121 A2は、キトサン成分および有機アニオンを含むキトサン塩でコーティングされた有益剤送達粒子を開示している。これらの粒子は、未改変の粒子と比較して改善された堆積を表すことが示されている。しかしながら、それらの産生は、キトサン複合体のかなり精巧な予備形成を必要とし、これは次いで粒子の外面に付着する。
【発明の概要】
【0008】
したがって、先行技術における上述の欠点を克服することは、本発明の根底にある問題である。とりわけ、本発明の根底にある問題は、ケラチン基材への増強された堆積およびこれらの基材への堆積後の改善されたすすぎ耐性を示すマイクロカプセルを含む消費者製品を提供することである。マイクロカプセルは、産生が容易であり、およびそれらの用途に関して多用途であるべきである。それらの使用に関連して、製品組成の改変はないか、または最小限の製品組成の改変のみが必要とされるべきである。
【0009】
本発明の第1の側面において、分散媒体に分散された複数のマイクロカプセルを含む消費者製品が提供される。マイクロカプセルは、コアおよびコアの周りのシェルを含む。コアは少なくとも1つの機能性材料を含む。マイクロカプセルのシェルはキトサンでコーティングされている。分散媒体は、追加の遊離キトサンを含む。
【0010】
キトサンはキチンに由来するバイオポリマーであり、甲殻類の外骨格を形成し、および子嚢菌(Ascomycetes)、接合菌(Zygomycetes)、担子菌(Basidiomycetes)および不完全菌(Deuteromycetes)などの様々な真菌、例えば、ユミケカビ(Absidia)、ケカビ(Mucor)、アスペルギルスニガー(Aspergillus niger)、霊芝(Ganoderma lucidum)、リゾプスオリゼ(Rhizopus oryzae)等の形状を維持する。キトサン産生は、キチンのアルカリまたは酵素的脱アセチル化を要し、脱アセチル化グレードによって特徴付けられる。低い脱アセチル化グレード、典型的には80%未満の脱アセチル化と、高脱アセチル化グレード、典型的には80%以上の脱アセチル化の両方が存在する。脱アセチル化キトサンは、N-アセチル-D-グルコサミンおよびD-グルコサミン部分からなるコポリマーである。脱アセチル化グレードは、Hおよび/または13C核磁気共鳴分光法によって決定し得る。キトサンは、典型的には3’000~5’000’000g/molの範囲の分子量で入手可能である。分子量は、当技術分野において知られている方法に従って、粘度測定および/またはゲル浸透クロマトグラフィーによって決定し得る。
【0011】
本発明の文脈において、用語「遊離キトサン」は、マイクロカプセルが分散媒体中に分散されるときに、分散媒体によってマイクロカプセルから空間的に分離されるキトサンを記載するために使用される。
本明細書に使用されるとき、「消費者製品」は、それが販売される形態で使用または消費されることを意図し、これに続く商業的製造または改変を意図しない物品を意味する。
【0012】
マイクロカプセルのシェルがキトサンで「コーティング」されているということは、キトサンをシェルに堆積させることができることを意味する。一方、キトサンは、マイクロカプセルのシェルにグラフトまたは封入することもできる。グラフト化および封入はキトサンを新生マイクロカプセルのスラリーに添加することによって実施してもよく、カプセル化が行われるプロセスステップ中を意味する。代替的に、キトサンは、当技術分野で知られているカップリング剤を使用することによって、形成されたマイクロカプセルのシェルにグラフトしてもよい。
【0013】
本発明の文脈において、少なくとも1つの機能性材料は、具体的に香料材料および化粧品材料からなる群から選択される。
本発明の有利な態様において、分散媒体に含まれる遊離キトサンは、60%より高く、より具体的には70%より高く、さらにより具体的には80%より高い脱アセチル化グレードを有する。かかる高い脱アセチル化グレードを有するキトサンは、より低いアセチル化グレードを有するキトサンよりもより可溶性であり、したがって、本発明のためにより好適である。
【0014】
他の有利な態様において、分散媒体に含まれる遊離キトサンは、500’000~5’000’000g/molの間、より具体的には1’000’000~4’000’000g/molの間、さらにより具体的には、1’500’000~3’000’000g/molの間の分子量を有する。いかなる理論にも束縛されるものではないが、高分子量キトサンがケラチン表面、とりわけ髪、とマイクロカプセルの両方により良好に付着すると想定することは合理的である。
【0015】
本発明の他の有利な態様において、マイクロカプセルのシェルをコーティングしているキトサンは、60%~100%の間、より具体的には70%~90%の間、さらにより具体的には75%~85%の間の脱アセチル化グレードを有する。かかる高い脱アセチル化グレードを有するキトサンの水溶液はより濃縮されており、およびしたがってコーティングにより好適である。
他の有利な態様において、マイクロカプセルのシェルをコーティングしているキトサンおよび分散媒体に含まれる遊離キトサンは、異なる平均分子量を有する。
【0016】
マイクロカプセルのシェルをコーティングしているキトサンは、3’000~1’000’000g/molの間、より具体的には10’000~500’000g/molの間、さらにより具体的には30’000~300’000g/molの間の分子量を有することができる。キトサンの分子量が低すぎる場合、コーティングが不完全になり得る一方で、この分子量が大きすぎる場合、キトサンの糸(chitosan threads)が2以上のマイクロカプセルに吸着して、マイクロカプセルの凝集を引き起こし得る。
【0017】
マイクロカプセルに存在する電荷は、これらのマイクロカプセルのゼータ電位を測定することによって決定し得る。「ゼータ電位」
【数1】

は、特定の測定技法によって測定された、溶液中の任意の帯電した物体によって生成される見掛けの静電電位を意味する。ゼータ電位の理論的基礎および実際的な関連性の詳細な議論は、例として、「Zeta Potential in Colloid Sciences」(Robert. J. Hunter, Academic Press, London 1981, 1988)に見出すことができる。物体のゼータ電位は、物体の表面からある程度の距離で測定され、一般に、表面自体での静電電位と等しくなく、それよりも低い。それにもかかわらず、その値は、溶液中に存在する他の物体、例えば界面活性剤、高分子電解質および表面などとの静電相互作用を確立する物体の能力の好適な尺度を提供する。ゼータ電位は相対的な測定値であり、およびその値はそれが測定される方法に応じて異なる。本発明の場合において、マイクロカプセルのゼータ電位は、ZetaPALS機器(例えば、Brookhaven Instruments Corporation)を使用して、いわゆる位相分析光散乱法によって測定される。所与の物体のゼータ電位はまた、溶液中に存在するイオンの量にも依存し得る。本出願において特定されたゼータ電位の値は、所望のpHの水性緩衝液中で測定される。イオン濃度は0.001mol/Lである。
【0018】
本発明の有利な態様において、コーティングされたマイクロカプセルは、以下のゼータ電位:
- pH4および0.001mol/Lのイオン濃度で、0mV~+50mVの間、より具体的には+5mV~+40mVの間、さらにより具体的には+10mV~+30mVの間;
- pH5.4および0.001mol/Lのイオン濃度で、-20mV~+20mVの間、より具体的には-10mV~+10mVの間、さらにより具体的には-5mV~+5mVの間;
- pH7および0.001mol/Lのイオン濃度で、-20mV未満、より具体的には-40mV未満、さらにより具体的には-50mV未満、好ましくは-50mV~-60mVの間、
を有する。
【0019】
理論に束縛されるものではないが、ゼータ電位のかかるpH依存性により、5未満のpHでのコーティングと、pH5以上でのケラチン表面への遊離キトサン媒介付着の両方に最適な条件が達成されると想定される。
【0020】
本発明の有利な態様において、マイクロカプセルは、0.5~25マイクロメートル、より具体的には1~20マイクロメートル、さらにより具体的には5~15マイクロメートル、例えば10±2マイクロメートルの体積平均サイズを有する。かかるサイズを有するマイクロカプセルは、カプセル化された機能性材料の漏出に関する保管安定性、毛髪への堆積および機械的脆弱性の間の最適なバランスを提供する。
【0021】
マイクロカプセルのサイズは、当技術分野において知られているやり方で決定することができる。粒子サイズを測定する特定の方法は光散乱である。光散乱測定は、Malvern Mastersizer2000S装置およびミー散乱理論を使用して測定できる。ミー理論の原理およびどのように光散乱を使用して液滴サイズを測定するかは、例えば、H. C. van de Hulst, Light scattering by small particles. Dover, New York, 1981に見出すことができる。静的光散乱によって提供される主な情報は、光散乱強度の角度依存性であり、次にこれは液滴のサイズと形状に結びついている。しかしながら、標準的な操作方法において、回折物体のサイズに等しいサイズを有する球のサイズは、この物体の形状が何であれ、装置に付属したMalvern独自のソフトウェアによって計算される。多分散サンプルの場合において、全体的な散乱強度の角度依存性は、サンプルにおけるサイズ分布についての情報を含有している。出力は、カプセルサイズの関数として、所与のサイズクラスに属する液滴の総量を表すヒストグラムである一方、50サイズクラスの任意の数を選択できる。よって、得られたサイズは体積平均粒子サイズと称される。
【0022】
実験的に、数滴のスラリーが、散乱セルを通って流れる脱気された水の循環流に添加される。散乱強度の角度分布は、Malvern独自のソフトウェアによって測定および分析され、サンプルに存在する液滴の平均サイズおよびサイズ分布を提供する。単峰性(単分散)液滴分布の場合において、パーセンタイルDv(10)、Dv(50)およびDv(90)が液滴サイズ分布の特徴として使用される一方が、Dv(50)が分布の中央値に対応し、マイクロカプセルの体積平均サイズの尺度とされる。
【0023】
有利な態様において、マイクロカプセル、とりわけ体積平均サイズが10±2マイクロメートルであるものは、カプセル化された機能性材料に対するキトサンコーティングの比が約0.015~約0.025、より具体的には約0.018~約0.023である。カプセル化された機能性材料へのかかるキトサンコーティングは、本明細書で上に記載されたゼータ電位の所望のpH依存性を提供する。
【0024】
本発明のとりわけ有利な態様において、分散媒体は、さらにアニオン性界面活性剤を含む。
典型的なアニオン性界面活性剤は、これらに限定されないが、ナトリウムラウリルスルファート、ナトリウムラウレススルファート、ナトリウムトリデセススルファート、アンモニウムラウリルスルファート、アンモニウムラウレススルファート、カリウムラウレススルファート、ナトリウムトリデシルベンゼンスルホナート、ナトリウムドデシルベンゼンスルホナート、ナトリウムキシレンスルホナート、モノエタノールアミンラウリルスルファート、モノエタノールアミンラウレススルファート、トリエタノールアミンラウリルスルファート、トリエタノールアミンラウレススルファート、ラウリルサルコシン、ココイルサルコシン、ナトリウムラウリルサルコシナート、ナトリウムラウロイルサルコシナート、トリエチルアミンラウリルスルファート、トリエチルアミンラウレススルファート、ジエタノールアミンラウリルスルファート、ジエタノールアミンラウレススルファート、ラウリン酸モノグリセリドナトリウムスルファート、アンモニウムココイルスルファート、アンモニウムラウロイルスルファート、ナトリウムココイルスルファート、ナトリウムラウロイルスルファート、ナトリウムココイルイセチオナート、カリウムココイルスルファート、カリウムラウリルスルファート、モノエタノールアミンココイルスルファート、モノエタノールアミンラウリルスルファート、トリエタノールアミンラウリルスルファート、ナトリウムヒドロキシエチル-2-デシルエーテルスルファート、ナトリウムメチル-2-ヒドロキシデシルエーテルスルファート、ナトリウムヒドロキシエチル-2-ドデシルエーテルスルファート、ナトリウムモノエトキシル化ラウリルアルキルスルファート、C12-C18アルキルスルホナート、エトキシル化または天然の直鎖および分枝したC12-C18アルコールスルファート、エトキシル化または天然の直鎖および分枝したC12-C18アルコールスルファート、ならびにそれらの混合物を包含する。
【0025】
本発明によるアニオン性界面活性剤の役割は、洗浄剤として作用するだけでなく、ケラチン基材への遊離キトサンの堆積を補助することでもある。理論に束縛されるものではないが、アニオン性界面活性剤は、キトサンと、基材へのより良好な付着を示す複合体を形成すると想定される。
本発明の有利な態様において、アニオン性界面活性剤は、脂肪酸スルファート、ラウレススルファート、サルコシンおよびサルコシナートからなる群から選択される。これらの具体的なアニオン性界面活性剤の利点は、それらの洗浄力にある。
【0026】
マイクロカプセルのシェルは、無機材料、例えばシリカート、金属および金属酸化物など、または有機材料、例えば界面活性剤、天然、半合成および合成有機ポリマーなど、ならびにそれらの混合物からなる群から選択されるシェル形成材料を含んでいてもよい。具体的に好適なのは、シリカート、ゼラチン、ゼラチン/アラビアガム複合体、ゼラチン/カルボキシメチルセルロース複合体、アルギナート/カルシウム複合体、界面活性剤ラメラ相、および熱硬化性樹脂、例えばアミノプラスト樹脂、ウレア樹脂、ポリウレタン樹脂およびポリアクリル樹脂など、ならびにそれらの混合物を含むシェルである。かかる熱硬化性樹脂を含むシェルを有するマイクロカプセルは、機械的応力にさらされたときに依然として最適な脆弱性および機能性材料の放出を提供しながら、カプセル化されていない機能性材料の経時的な漏出に対して特に耐性がある。
【0027】
本発明の他の有利な態様において、消費者製品は、消費者製品の総重量に対して、0.01~5重量%、より具体的には0.1~2.5重量%、さらにより具体的には0.2~1重量%のマイクロカプセルを含む。
本発明の他の有利な態様において、消費者製品は、消費者製品の総重量に対して、0.00001~0.005重量%、より具体的には0.00005~0.001重量%、さらにより具体的には0.00008~0.0005重量%の遊離キトサンを含む。
【0028】
製品中の遊離キトサンの存在は、従来の光学顕微鏡下で見えるフィラメント様構造の発現によって認識でき、透過光および明視野条件下で、100~200の倍率で操作する。かかるフィラメントの典型的なセクションは、典型的には約10マイクロメートル~約50マイクロメートルの間であり、それらの長さは1mm以上にもなり得る。理論に束縛されるものではないが、出願人は、これらのフィラメント様構造の形成は、生成物中に存在するアニオン性界面活性剤とのキトサン複合体形成の結果であると考えている。
【0029】
本発明に関係する典型的な消費者製品は、パーソナルケア洗浄およびクレンジング組成物、例えばシャンプー、バスおよびシャワージェルならびに液体石鹸などを包含する。
本発明の他の有利な態様において、消費者製品のpHは、4~9、より具体的には5~8、さらにより具体的には5.5~6.5である。かかるpH条件は、分散媒体、コーティングされたマイクロカプセルおよび遊離キトサンを含む系の最適な安定性を提供する。
本発明によるマイクロカプセルを有するシャンプーにおいて使用するための成分の典型的な配合は、例えば、EP 0191 564 A2またはWO 1997/023194 A1に見出し得る。
マイクロカプセルは、好ましくは、シャンプー組成物の総重量に対して、パーソナルケア製品の0.01~5重量%、より具体的には0.1~2.5重量%、さらにより具体的には0.2~1重量%のレベルである。
【0030】
本発明の別の態様において、消費者製品は、1以上のアニオン性界面活性剤、および、アミノキシド界面活性剤、非イオン性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤およびそれらの混合物からなる群から選択され得る他の界面活性剤、脂肪酸と中性脂肪酸との混合物、電解質、1以上の防腐剤、ならびに任意に、pH制御剤、スキンケア剤、保湿剤、皮膚軟化剤、増粘剤、ビタミン、栄養素および染料からなる群から選択され得る有益剤を含む液体石鹸である。
液体石鹸において使用するための成分の典型的な配合は、例えば、CA 2812137 A1またはUS 2003/0050200 A1に見出し得る。
【0031】
本発明の別の態様において、消費者製品は、1以上のアニオン性界面活性剤、および、脂肪酸と中和脂肪酸の混合物、アミノキシド界面活性剤、非イオン性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、アミノキシド界面活性剤、アミノキシド界面活性剤およびそれらの混合物からなる群から選択され得る他の界面活性剤、電解質、1以上の防腐剤、ならびに任意に、増粘剤、pH制御剤、スキンケア剤、保湿剤、皮膚軟化剤、増粘剤、ビタミン、栄養素および染料などからなる群から選択され得る有益剤を含むシャワージェルである。
シャワージェルにおいて使用するための成分の典型的な製剤は、例えば、US 5,607,678またはUS 2012/0263668 A1に見出し得る。
【0032】
本発明に関係して、幅広い選択肢の機能性材料を用い得る。カプセルのコアは、とりわけ、香料材料、油、精油、フレグランス油、殺生物剤、フェロモン、化粧品材料および局所薬物からなる群から選択される疎水性材料を含んでいてもよい。
【0033】
本発明に従ってカプセル化し得る香料材料のリストは、香料の文献、例えば、「Perfume & Flavor Chemicals」,S. Arctander (Allured Publishing, 1994)に見出し得る。本発明によるカプセル化された香料は、好ましくは、ADOXALTM(2,6,10-トリメチルウンデカ-9-エナール)、AGRUMEXTM(2-(tert-ブチル)シクロヘキシルアセタート)、デカナール、2-メチルデカナール、ウンデカ-10-エナール、ウンデカナール、ドデカナール、2-メチルウンデカナール、(E)-ウンデカ-9-エナール、(E)-ドデカ-2-エナール)、ALLYL AMYL GLYCOLATE(アリル2-(イソペンチルオキシ)アセタート)、ALLYL CYCLOHEXYL PROPIONATE(アリル3-シクロヘキシルプロパノアート、アリルヘプタノアート、AMBER CORETM(1-((2-(tert-ブチル)シクロヘキシル)オキシ)ブタン-2-オール)、AMBERMAXTM(1,3,4,5,6,7-ヘキサヒドロ-.beta.,1,1,5,5-ペンタメチル-2H-2,4a-メタノナフタル-エン-8-エタノール)、AMYL SALICYLATE(ペンチル2-ヒドロキシベンゾアート)、APHERMATE(1-(3,3-ジメチルシクロヘキシル)エチルホルマート)、BELAMBRETM((1R,2S,4R)-2’-イソプロピル-1,7,7-トリメチルスピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,4’-[1,3]ジオキサン])、BIGARYL(8-(sec-ブチル)-5,6,7,8-テトラヒドロキノリン)、
【0034】
BOISAMBRENETM FORTETM((エトキシメトキシ)シクロドデカン)、BOISIRISTM((1S,2R,5R)-2-エトキシ-2,6,6-トリメチル-9-メチレンビシクロ[3.3.1]ノナン)、BORNYL ACETATE((2S,4S)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イルアセタート)、BUTYL BUTYRO LACTATE(1-ブトキシ-1-オキソプロパン-2-イルブチラート)、BUTYL CYCLOHEXYL ACETATE PARA(4-(tert-ブチル)シクロヘキシルアセタート)、CARYOPHYLLENE((Z)-4,11,11-トリメチル-8-メチレンビシクロ[7.2.0]ウンデカ-4-エン)、CASHMERANTM(1,1,2,3,3-ペンタメチル-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-インデン-4(5H)-オン)、CASSYRANETM(5-tert-ブチル-2-メチル-5-プロピル-2H-フラン)、CITRAL((E)-3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエナール)CITRATHALTMR((Z)-1,1-ジエトキシ-3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン)、CITRONELLAL(3,7-ジメチルオクタ-6-エナール)、CITRONELLOL(3,7-ジメチルオクタ-6-エン-1-オール)、CITRONELLYL ACETATE(3,7-ジメチルオクタ-6-エン-1-イルアセタート)、CITRONELLYL FORMATE (3,7-ジメチルオクタ-6-エン-1-イルホルマート)、CITRONELLYL NITRILE(3,7-ジメチルオクタ-6-エンニトリル)、CITRONELLYL PROPIONATE (3,7-ジメチルオクタ-6-エン-1-イルプロピオナート)、CLONAL(ドデカンニトリル)、CORANOL(4-シクロヘキシル-2-メチルブタン-2-オール)、
【0035】
COSMONETM((Z)-3-メチルシクロテトラデカ-5-エノン)、CYCLAMEN ALDEHYDE(3-(4-イソプロピルフェニル)-2-メチルプロパナール)、CYCLOGALBANATE(アリル2-(シクロヘキシルオキシ)アセタート)、CYCLOHEXYL SALICYLATE(シクロヘキシル2-ヒドロキシベンゾアート)、CYCLOMYRAL(8,8-ジメチル-1,2,3,4,5,6,7,8-オクタヒドロナフタレン-2-カルバルデヒド)、DAMASCENONE((E)-1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1,3-ジエン-1-イル)ブタ-2-エン-1-オン)、DAMASCONE ALPHA((E)-1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタ-2-エン-1-オン)、DAMASCONE DELTA((E)-1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)ブタ-2-エン-1-オン)、(E)-デカ-4-エナール)、DELPHONE(2-ペンチルシクロペンタノン)、DIHYDRO ANETHOLE(1-メトキシ-4-プロピルベンゼン)、DIHYDRO JASMONE(3-メチル-2-ペンチルシクロペンタ-2-エノン)、DIMETHYL BENZYL CARBINOL(2-メチル-1-フェニルプロパン-2-オール)、DIMETHYL BENZYL CARBINYL ACETATE(2-メチル-1-フェニルプロパン-2-イルアセタート)、
【0036】
DIMETHYL BENZYL CARBINYL BUTYRATE(2-メチル-1-フェニルプロパン-2-イルブチラート)、4,7-ジメチルオクタ-6-エン-3-オン、DIMETOL(2,6-ジメチルヘプタン-2-オール)、DIPENTENE(1-メチル-4-(プロパ-1-エン-2-イル)シクロヘキサ-1-エン)、DUPICALTM((E)-4-((3aS,7aS)-ヘキサヒドロ-1H-4,7-メタノインデン-5(6H)-イリデン)ブタナール)、EBANOLTM((E)-3-メチル-5-(2,2,3-トリメチルシクロペンタ-3-エン-1-イル)ペンタ-4-エン-2-オール)、エチルヘキサノアート、エチルオクタノアート、ETHYL LINALOOL((E)-3,7-ジメチルノナ-1,6-ジエン-3-オール)、ETHYL LINALYL ACETATE((Z)-3,7-ジメチルノナ-1,6-ジエン-3-イルアセタート)、エチルヘプタノアート、ETHYL SAFRANATE(エチル2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1,3-ジエン-1-カルボキシラート)、EUCALYPTOL((1s,4s)-1,3,3-トリメチル-2-オキサビシクロ[2.2.2]オクタン)、FENCHYL ACETATE((2S)-1,3,3-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イルアセタート)、FENCHYL ALCOHOL((1S,2R,4R)-1,3,3-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-オール)、FIXOLIDETM(1-(3,5,5,6,8,8-ヘキサメチル-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-2-イル)エタノン)、
【0037】
FLORALOZONETM(3-(4-エチルフェニル)-2,2-ジメチルプロパナール)、FLORHYDRAL(3-(3-イソプロピルフェニル)ブタナール)、FLOROCYCLENETM((3aR,6S,7aS)-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-1H-4,7-メタノインデン-6-イルプロピオナート)、FLOROPALTM(2,4,6-トリメチル-4-フェニル-1,3-ジオキサン)、FRESKOMENTHETM(2-(sec-ブチル)シクロヘキサノン)、FRUITATE((3aS,4S,7R,7aS)-エチルオクタヒドロ-1H-4,7-メタノインデン-3a-カルボキシラート)、FRUTONILE(2-メチルデカンニトリル)、GALBANONETM PURE(1-(3,3-ジメチルシクロヘキサ-1-エン-1-イル)ペンタ-4-エン-1-オン)、GARDOCYCLENETM((3aR,6S,7aS)-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-1H-4,7-メタノインデン-6-イルイソブチラート)、GERANIOL((E)-3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-オール)、GERANYL ACETATE SYNTHETIC((E)-3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イルアセタート)、GERANYL ISOBUTYRATE((E)-3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イルイソブチラート)、GIVESCONETM(エチル2-エチル-6,6-ジメチルシクロヘキサ-2-エンカルボキシラート)、HABANOLIDETM((E)-オキサシクロヘキサデカ-12-エン-2-オン)、HEDIONETM(メチル3-オキソ-2-ペンチルシクロペンタンアセタート)、HERBANATETM((2S)-エチル3-イソプロピルビシクロ[2.2.1]ヘプタ-5-エン-2-カルボキシラート)、
【0038】
HEXENYL-3-CIS BUTYRATE((Z)-ヘキサ-3-エン-1-イルブチラート)、HEXYL CINNAMIC ALDEHYDE((E)-2-ベンジリデンオクタナール)、HEXYL ISOBUTYRATE(ヘキシルイソブチラート)、HEXYL SALICYLATE(ヘキシル2-ヒドロキシベンゾアート)、INDOFLORTM(4,4a,5,9b-テトラヒドロインデノ[1,2-d][1,3]ジオキシン)、IONONE BETA((E)-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1-エン-1-イル)ブタ-3-エン-2-オン)、IRISONE ALPHA((E)-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタ-3-エン-2-オン)、IRONE ALPHA((E)-4-(2,5,6,6-テトラメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタ-3-エン-2-オン)、ISO E SUPERTM(1-(2,3,8,8-テトラメチル-1,2,3,4,5,6,7,8-オクタヒドロナフタレン-2-イル)エタノン)、ISOCYCLOCITRAL(2,4,6-トリメチルシクロヘキサ-3-エンカルバルデヒド)、ISONONYL ACETATE(3,5,5-トリメチルヘキシルアセタート)、ISOPROPYL METHYL-2-BUTYRATE(イソプロピル2-メチルブタノアート)、ISORALDEINETM 70((E)-3-メチル-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタ-3-エン-2-オン)、JASMACYCLENETM((3aR,6S,7aS)-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-1H-4,7-メタノインデン-6-イルアセタート)、JASMONE CIS((Z)-3-メチル-2-(ペンタ-2-エン-1-イル)シクロペンタ-2-エノン)、
【0039】
KARANALTM(5-(sec-ブチル)-2-(2,4-ジメチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)-5-メチル-1,3-ジオキサン)、KOAVONE((Z)-3,4,5,6,6-ペンタメチルヘプタ-3-エン-2-オン)、LEAF ACETAL((Z)-1-(1-エトキシエトキシ)ヘキサ-3-エン)、LEMONILETM((2E,6Z)-3,7-ジメチルノナ-2,6-ジエンニトリル)、LIFFAROMETM GIV((Z)-ヘキサ-3-エン-1-イルメチルカルボナート)、LILIALTM(3-(4-(tert-ブチル)フェニル)-2-メチルプロパナール)、LINALOOL(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエン-3-オール)、LINALYL ACETATE(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエン-3-イルアセタート)、MAHONIALTM((4E)-9-ヒドロキシ-5,9-ジメチル-4-デセナール)、MALTYL ISOBUTYRATE(2-メチル-4-オキソ-4H-ピラン-3-イルイソブチラート)、MANZANATE(エチル2-メチルペンタノアート)、MELONALTM(2,6-ジメチルヘプタ-5-エナール)、MENTHOL(2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサノール)、MENTHONE(2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサノン)、
【0040】
METHYL CEDRYL KETONE(1-((1S,8aS)-1,4,4,6-テトラメチル-2,3,3a,4,5,8-ヘキサヒドロ-1H-5,8a-メタノアズレン-7-イル)エタノン)、METHYL NONYL KETONE EXTRA(ウンデカン-2-オン)、METHYL OCTYNE CARBONATE(メチルノナ-2-イノアート)、METHYL PAMPLEMOUSSE(6,6-ジメトキシ-2,5,5-トリメチルヘキサ-2-エン)、MYRALDENE(4-(4-メチルペンタ-3-エン-1-イル)シクロヘキサ-3-エンカルバルデヒド)、NECTARYL(2-(2-(4-メチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)プロピル)シクロペンタノン)、NEOBERGAMATETM FORTE (2-メチル-6-メチレンオクタ-7-エン-2-イルアセタート)、NEOFOLIONETM((E)-メチルノナ-2-エノアート)、NEROLIDYLETM((Z)-3,7,11-トリメチルドデカ-1,6,10-トリエン-3-イルアセタート)、NERYL ACETATE HC((Z)-3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イルアセタート)、NONADYL(6,8-ジメチルノナン-2-オール)、NONENAL-6-CIS((Z)-ノナ-6-エナール)、NYMPHEALTM(3-(4-イソブチル-2-メチルフェニル)プロパナール)、ORIVONETM(4-(tert-ペンチル)シクロヘキサノン)、PARADISAMIDETM(2-エチル-N-メチル-N-(m-トリル)ブタンアミド)、PELARGENE(2-メチル-4-メチレン-6-フェニルテトラヒドロ-2H-ピラン)、PEONILETM(2-シクロヘキシリデン-2-フェニルアセトニトリル)、PETALIATM(2-シクロヘキシリデン-2-(o-トリル)アセトニトリル)、
【0041】
PIVAROSETM(2,2-ジメチル-2-フェイルエチルプロパノアート)、PRECYCLEMONETMB(1-メチル-4-(4-メチルペンタ-3-エン-1-イル)シクロヘキサ-3-エンカルバルデヒド)、PYRALONETM(6-(sec-ブチル)キノリン)、RADJANOLTM SUPER((E)-2-エチル-4-(2,2,3-トリメチルシクロペンタ-3-エン-1-イル)ブタ-2-エン-1-オール)、RASPBERRY KETONE (N112)(4-(4-ヒドロキシフェニル)ブタン-2-オン)、 RHUBAFURANETM(2,2,5-トリメチル-5-ペンチルシクロペンタノン)、ROSACETOL(2,2,2-トリクロロ-1-フェニルエチルアセタート)、ROSALVA (デカ-9-エン-1-オール)、ROSYFOLIA((1-メチル-2-(5-メチルヘキサ-4-エン-2-イル)シクロプロピル)-メタノール)、ROSYRANETM SUPER(4-メチレン-2-フェニルテトラヒドロ-2H-ピラン)、SERENOLIDE (2-(1-(3,3-ジメチルシクロヘキシル)エトキシ)-2-メチルプロピルシクロプロパンカルボキシラート)、SILVIALTM(3-(4-イソブチルフェニル)-2-メチルプロパナール)、SPIROGALBANONETM(1-(スピロ[4.5]デカ-6-エン-7-イル)ペンタ-4-エン-1-オン)、STEMONETM((E)-5-メチルヘプタン-3-オンオキシム)、SUPER MUGUETTM((E)-6-エチル-3-メチルオクタ-6-エン-1-オール)、SYLKOLIDETM((E)-2-((3,5-ジメチルヘキサ-3-エン-2-イル)オキシ)-2-メチルプロピルシクロプロパンカルボキシラート)、TERPINENE GAMMA(1-メチル-4-プロパン-2-イルシクロヘキサ-1,4-ジエン)、TERPINOLENE(1-メチル-4-(プロパン-2-イリデン)シクロヘキサ-1-エン)、TERPINYL ACETATE (2-(4-メチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)プロパン-2-イルアセタート)、TETRAHYDRO LINALOOL(3,7-ジメチルオクタン-3-オール)、TETRAHYDRO MYRCENOL(2,6-ジメチルオクタン-2-オール)、THIBETOLIDE (オキサシクロヘキサデカン-2-オン)、TRIDECENE-2-NITRILE((E)-トリデカ-2-エンニトリル)、UNDECAVERTOL((E)-4-メチルデカ-3-エン-5-オール)、VELOUTONETM(2,2,5-トリメチル-5-ペンチルシクロペンタノン)、VIRIDINETM((2,2-ジメトキシエチル)ベンゼン)、ZINARINETM (2-(2,4-ジメチルシクロヘキシル)ピリジン)およびそれらの混合物から選択される香料成分を含む。
【0042】
カプセル化された組成物中にカプセル化される香料材料および化粧品材料は、好ましくは疎水性である。好ましくは、化粧品材料は、1.5以上、より好ましくは3以上の計算されたオクタノール/水分配係数(ClogP)を有する。好ましくは、化粧品材料のClogPは2~7である。
【0043】
具体的に有用な化粧品材料は、皮膚軟化剤、平滑化活性剤、水和活性剤、鎮静および弛緩活性剤、装飾活性剤(decorative actives)、デオドラント、老化防止活性剤、排出活性剤、リモデリング活性剤、皮膚レベリング活性剤、防腐剤、抗酸化活性剤、抗菌または静菌活性剤、クレンジング活性剤、潤滑活性剤、構造化活性剤、ヘアコンディショニング活性剤、美白活性剤、テクスチャー活性剤、軟化活性剤、ふけ防止活性剤、および角質除去活性剤からなる群から選択され得る。
【0044】
具体的に有用な化粧品材料は、これらに限定されないが、疎水性ポリマー、例えばアルキルジメチルシロキサン、ポリメチルシルセスキオキサン、ポリエチレン、ポリイソブチレン、スチレン-エチレン-スチレンおよびスチレン-ブチレン-スチレンブロックコポリマーなど、鉱物油、例えば水素化イソパラフィン、シリコーン油など、植物油、例えばアルガン油、ホホバ油、アロエベラ油など、脂肪酸および脂肪アルコールおよびそれらのエステル、グリコリピド、ホスホリピド、スフィンゴリピド、例えばセラミドなど、ステロールおよびステロイド、テルペン、セスキテルペン、トリテルペンおよびそれらの誘導体、精油、例えばアルニカ油、アルテミシア油、バークツリー油(bark tree oil)、バーチリーフ油、カレンデュラ油、シナモン油、エキナセア油、ユーカリ油、ジンセン油、ナツメ油、ヘリアンサス油、ジャスミン油、ラベンダー油、ロータスシード油、ペリラ油、ローズマリー油、サンダルウッド油、ティーツリー油、タイム油、バレリアン油、ワームウッド油、イランイラン油、ユッカ油等など、を包含する。
【0045】
本発明の一態様において、化粧品材料は、サンダルウッド油、例えばフサヌススピカツスカーネル油など、パンテニルトリアセタート(CAS番号:94089-18-6)、トコフェリルアセタート、トコフェロール、ナリンギニン(CAS番号:480-41-1)、エチルリノレアート、ファルネシルアセタート、ファルネソール、シトロネリルメチルクロトナート(CAS番号:20770-40-5)、セラミド-2(1-ステアロイイル-C18-スフィンゴシン、CAS番号:100403-19-8)およびそれらの混合物からなる群から選択しもよい。
機能性材料は、任意に、様々な疎水性賦形剤、例えば非極性溶媒、油、ワックス、および非極性ポリマーなどと混合してもよい。
【0046】
本発明による消費者製品は、当技術分野で知られているポリマーコーティングされたマイクロカプセルを含む消費者製品と比較して、ケラチン基材上での改善されたマイクロカプセル堆積およびすすぎ耐性を示す。
ケラチン表面に堆積すると、マイクロカプセルは、マイクロカプセルシェルを介した拡散によって、またはマイクロカプセルシェルの機械的破裂に続いて、それらの機能性材料を放出することができる。機械的破裂は、機械的作用、例えばこすり、圧搾、コーミング、洗浄等または加熱、例えばヘアドライヤーを使用、などに続き得る。
機能性材料が香料組成物である場合、拡散媒介放出が特に所望される、なぜなら、この場合において、基材上のマイクロカプセルの適用後、長期間、例えば数時間にわたっていい香りが知覚され得るからである。一方、機械的な破裂は、驚くほど心地よい匂いのブーストを引き起こし得る。
【0047】
本発明の第2の態様において、消費者製品、とりわけ上記本明細書に記載のとおりの消費者製品を製造する方法を提供する。当該方法は、以下のステップ:
- 複数のマイクロカプセルを提供すること、マイクロカプセルはコアおよびコアの周りのシェルを含み、コアは少なくとも1つの機能性材料を含む;
- 分散媒体を提供すること;
- マイクロカプセルを分散媒体に分散させること;
- 複数のコア-シェルマイクロカプセルをキトサンでコーティングして、複数のコーティングされたコア-シェルマイクロカプセルを得ること;
- 分散媒体に追加の遊離キトサンを添加すること、
を含む。
【0048】
本発明の具体的に有利な態様において、消費者製品は、以下のステップを含む、好ましくは以下のステップからなる方法に従って形成され得る:
a)固形分が8~50重量%の間、より具体的には20~47重量%の間、さらにより具体的には35~45重量%の間のコーティングされていないマイクロカプセルを有するマイクロカプセルスラリーのpHを2.5~4.5、好ましくは3.5±0.2、の値に調整すること;
b)粉末形態の第1のキトサンC1を、1時間あたりコーティングされていないマイクロカプセル1kgあたり0.001kgのキトサンC1から1時間あたりコーティングされていないマイクロカプセル1kgあたり0.1kgのキトサンC1までの添加速度で攪拌しながら、前記コーティングされていないマイクロカプセルの完全なコーティングが達成されるまで、マイクロカプセルスラリーにゆっくりと加えること、ここで完全なコーティングのためのキトサンC1のレベルは、コーティングされたマイクロカプセルのスラリーがニンヒドリン水溶液を着色するレベルとして決定される。スラリーが希釈されている場合、または容器および攪拌器の幾何学的形状に応じて、最適な添加速度は変わり得る。この段階でのプロセスパラメータ最適化の重要な側面は、マイクロカプセルの凝集を回避することである;
【0049】
c)pHを4.5~5.5、好ましくは5±0.2の値に調整すること;
d)キトサン-コーティングマイクロカプセルのスラリーを得るために、c)で得られた混合物を、60℃より低い温度で、例えば室温で、数時間、例えば6時間、8時間、12時間以上撹拌しながら維持すること;
e)プロペラ攪拌器を使用して激しく攪拌しながら、pH3~4、例えば3.5を有する酢酸またはクエン酸の水溶液に第2のキトサンC2を可溶化することにより、第2の2重量%キトサン溶液を調製すること;
【0050】
f)消費者製品の総重量に対して、0.00001~0.005重量%、より具体的には0.00005~0.001重量%、さらにより具体的には0.00008~0.0005重量%の遊離キトサンのレベルを得るために、第2のキトサンC2溶液を消費者製品に添加すること;
g)キトサン-コーティングマイクロカプセルのスラリーを消費者製品に添加し、およびこれらのマイクロカプセルを攪拌しながらそこで分散させて、消費者製品中のコーティングされたマイクロカプセルのレベルが0.01~5重量%、より具体的には0.1~2.5重量%、さらにより具体的には0.2~1重量%であるようにすること。このステップの前に、任意に、スラリーを2~25、より具体的には5~20、例えば10倍に脱イオン水で希釈する希釈ステップを行ってもよい。
【0051】
ステップb)に関して、コーティングの程度は、スラリーに存在するカプセル化された機能性材料の重量に対する、スラリーに添加されたポリマーの重量の比として表し得る。カプセル化された機能性材料に対する最適なキトサンコーティングの比率は、マイクロカプセルのサイズおよびサイズ分布だけでなく、マイクロカプセルの表面に存在するアニオン性基の数およびキトサンの脱アセチル化グレード、その他のパラメーター間にも依存し得る。ゆえに、マイクロカプセルに対するコーティングの最適な比率は、ケースごとに異なり得る。例えば、カプセル化された機能性材料に対する最適なコーティングの比率は、0.005~0.5以上で変化することがあり、0.07、0.012、0.03、0.05、0.15、および0.25などの極めて多様な値を有する。カプセル化された機能性材料に対する最適なコーティングの比率は、スラリー中に存在するキトサン分子上に存在する実質的にすべてのカチオン性基がマイクロカプセルに結合する点である。この点は、いわゆるニンヒドリン比色試験での濃い青色の発現と一致する。当技術分野で知られている化学的メカニズムによれば(例えば、C. B. Bottom et al. Biochemical Education 6 (2010) 4-5参照)、この試験は、ニンヒドリン(2,2-ジヒドロキシ-1H-インデン-1,3(2H)-ジオン、CAS番号485-47-2)と反応して、Ruhemann Violet(3-ヒドロキシ-2-[(1,3-ジオキソ-インダニリデン-(2))-アミノ]-インデノン-(1)、CAS番号7185-16-2)の名前で知られている染料を形成する第一級アミンの特性に基づいている。本発明に従ってニンヒドリン試験を実施する方法は、以下の例2に記載されている。
【0052】
スラリーに懸濁剤、防腐剤または他の任意の従来の賦形剤をもう1つ添加することは任意であるが、ある周知の賦形剤を添加することによってスラリーを安定化することが従来行われている。
【0053】
例えば、スラリーが形成されると、スラリーを相分離、例えばクリーミングまたは沈降などから防ぐために、それに懸濁剤を添加することができる。従来の懸濁剤のいずれも本発明において使用し得る。従来の懸濁剤は、これらに限定されないが、デンプンおよびデンプン誘導体、例えば加工デンプン、デキストリン、マルトデキストリンなど、ガム、例えばアラビアガムまたはアカシアガム、キサンタンガム、トラガカンスガム、カラヤガム、グアーガムなど、セルロースおよびセルロース誘導体、例えばカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース/ラウリル-ジメチルアンモニウムエポキシ縮合物、ヒドロキシポピルセルロース、カチオン性セルロース(例えば、ポリクアテルニウム-4)、セルロースガムなど、カラギーナン、寒天、ペクチンおよびペクチン酸、ゼラチン、タンパク質加水分解物、
【0054】
ビニルおよびアリルモノマーのポリマーおよびコポリマー、例えばポリビニルピロリドン、ポリ(ビニルピロリドン-コ-ビニルアセタート)、ポリ(ビニルアルコール-コ-ビニルアセタート)(より具体的には、85~92%の間の加水分解度を有する加水分解されたポリビニルアセタート)、ビニルエステルホモポリマーおよびコポリマー、例えばビニルアセタート、ビニルピバラート、ビニルバーサタート、ポリ(ビニルメチルエーテル)など、ポリビニルアルキルアミン、例えばポリビニルメチルアミン、四級化ポリビニルアルキルアミン、ビニルピリジンおよび四級化ビニルピリジン、ビニルイミダゾリン、ビニルイミダゾール、ビニルイミダゾリニウム、ジメチルジアリルアンモニウムクロリドなど、ビニルスルホナートホモポリマーおよび/またはコポリマー、ポリアミンおよびポリイミン、エトキシル化ポリアミン、(メタ)アクリロイルモノマーから誘導されるポリマー、コポリマーおよびクロスポリマー、例えばメチルメチルアクリラート、エチルメタクリラート、2-エチル-ヘキシルアクリラート、ラウリルメタクリラート、C10-C30アルキルアクリラート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリラート(例えば2-ヒドロキシプロピルアクリラートおよび2-ヒドロキシプロピルメタクリラートなど)、アクリルアミドジメチルタウラート、アリール(メタ)アクリラート(例えばフェニルアクリラートおよびベンジルアクリラートなど)など、
【0055】
(メタ)アクリル酸およびそれらの塩、例えば(メタ)アクリル酸ナトリウムおよびカリウム、ナトリウムアクリロイルジメチルタウラートなど、(メタ)アクリルアミド、N-アルキル(メタ)アクリルアミド、例えばN,N-ジメチルアミノアルキルメタクリラート、4級化N-アルキル(メタ)アクリルアミド(例えばメタクリルアミドプロピル-トリメチルアンモニウムクロリド、アクリルアミド-チルトリモニウムクロリド、アクリルアミドラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、および(メタ)アクリルアミドアルキルスルホナートなど)など、ポリ(マレイン酸無水物)および(マレイン酸無水物-コ-ビニルエーテル)、およびそれらの加水分解物、ポリ(アクリル酸-コ-マレイン酸)コポリマー、ポリ(アルキレンオキシド)、ポリウレタンおよびポリ尿素、例えばアニオン性、カチオン性、非イオン性および両性ポリウレタンおよびポリ尿素、およびそれらの混合コポリマーなど、ならびにそれらの混合物などからなる群から選択される親水性コロイドを包含する。
【0056】
カビや他の微生物の不要な増殖を防ぐために、水性スラリーに生物学的防腐剤を添加することも従来行われている。
好適な防腐剤は、これらに限定されないが、四級化合物、ビグアニド化合物(CAS番号:32289-58-0、27083-27-8、28757-47-3、133029-32-0)、ポリアミノプロピルビグアニド、ヘキセチジン、パラ-クロロ-メタ-クレゾール、メテナミン、3-ビス(ヒドロキシメチル)-5,5-ジメチルイミダゾリジン-2,4-ジオン、クオタニウム-15、安息香酸、サリチル酸、ウンデカ-10-エン酸、ギ酸、ビフェニル-2-オールおよびそれらの塩、4-ヒドロキシ安息香酸およびそのエステルおよび塩、ソルビン酸およびその塩、イソチアゾリノン、2-ブロモ-2-ニトロ-1,3-プロパンジオール、5-ブロモ-5-ニトロ-1,3-ジオキサン、2-(チアゾール-4-イル)ベンズイミダゾール、ベンズイミダゾールカルバマート、3-(4-オロロフェニル)-1-(3,4-ジクロロフェニル)尿素、3-ヨード-2-プロピニルブチルカルバマート、エチル(2-メルカプトベンゾアト-(2-)-O、S)メルクラート(1-)ナトリウム、5-クロロ-2-(2,4-ジクロロフェノキシ)フェノール、ジクロロベンジルアルコール、クロロキシレノール、イミダゾリジニル尿素、フェノキシエタノール、ベンジルアルコールならびにそれらの混合物を包含する。
本発明の有利な態様において、キトサンが生物学的防腐剤として使用され、およびスラリーがいかなる追加の生物学的防腐剤も実質的に含まない。
【0057】
スラリーはまた、一般的に用いられるアジュバントを含有していてもよい。用語「アジュバント」はその快楽的性能(hedonic performance)以外に、組成物の性能に影響を及ぼし得る成分を指す。例えば、アジュバントは、香料組成物または前記組成物を含有する消費者製品をプロセシングするための補助として作用する成分であってもよく、またはそれは香料組成物または消費者製品の取り扱いまたは保管を改善してもよい。それはまた、色または質感を与えるなどの追加の利点を提供する成分であってもよい。それはまた、香料組成物または消費者製品に含有される1以上の成分に耐光性または化学安定性を与える成分であってもよい。香料組成物または消費者製品において一般的に使用されるアジュバントの性質およびタイプの詳細な記載は網羅はできないが、かかる成分は当業者には周知である。アジュバントの例は、溶媒、ワックス、油、顔料、染料材料および色素、増量剤、充填剤および強化剤、熱および光の有害作用に対する安定剤、増量剤、酸味料、緩衝剤および抗酸化剤を包含する。
【0058】
コア-シェルマイクロカプセルのスラリーの形態の組成物は、あらゆる種類の消費者製品に組み込むことができる。しかしながら、いくつかの用途では、乾燥粉末の形態でコア-シェルマイクロカプセルを添加することが所望される場合がある。よって、本発明に従って、スラリーを脱水して粉末形態のコア-シェルマイクロカプセルの組成物を形成するための任意の工程において、スラリーを脱水して、乾燥粉末形態の本発明の組成物を提供してもよい。
【0059】
所望される場合は、マイクロカプセルを乾燥粉末の形態で単離することができる。例えば、固体カプセルは、濾過によって単離し、乾燥することができる。単離されたカプセルの乾燥は、加熱することによって、例として、オーブン内でまたは加熱されたガス流との接触によって実施してもよい。好ましくは、分散体の乾燥は、噴霧乾燥または流動床乾燥によって行われる。噴霧乾燥技法および装置は当技術分野において周知である。噴霧乾燥プロセスは、懸濁したカプセルをノズルを通して乾燥チャンバに押し込む。カプセルは、乾燥チャンバの内部を移動する流体(例えば空気など)に同伴し得る。流体(例えば、150および120℃、より好ましくは170℃から200℃の間、さらにより好ましくは175℃から185℃の間の温度で加熱することができる)は、液体を蒸発させ、乾燥したカプセルを残し、それはプロセス機器から収集され、さらに処理することができる。
【0060】
噴霧乾燥工程の前にまたは後に、流動助剤、例えばシリカまたは同種のものなどをスラリーに添加して、低表面香料油を有する微細で自由流動性の粉末マイクロカプセルの実現を確実にすることが所望され得る。流動助剤は、シリカまたはシリカート、例えば沈殿、ヒュームドまたはコロイド状シリカなど、デンプン、カルシウムカルボナート、ナトリウムスルファート、変性セルロース、ゼオライト、または当技術分野において知られている他の無機粒子を包含する。
【0061】
マイクロカプセルのスラリーは、二流体ノズルまたは従来のスピン乾燥機でのスピン乾燥を使用して、従来の噴霧乾燥塔で噴霧乾燥してもよい。所望される場合は、少なくとも1つの親水コロイドを、それ自体で、または水溶液の形態で、マイクロカプセルスラリーに添加してもよい。典型的な親水コロイドは、デンプン、加工デンプン、例えばオクテニルスクシナート無水物で修飾されたデキストリンなど、およびアラビアガムを包含する。任意に、マルトデキストリンおよび糖アルコール、例えばソルビトール、マンニトールまたはマルチトールなどを添加してもよい。親水コロイドはそれ自体が機能性材料を含有していてもよい。この機能性材料は、カプセルのコアに存在する機能性材料と同じであっても、または異なる形態であってもよい。これは、(1)第2の機能性材料を水性の親水コロイド溶液に乳化し、任意にマルトデキストリンおよび糖または糖アルコールを含み、第2のスラリーを形成すること(2)第2のスラリーを第1の機能性材料を含むマイクロカプセルのスラリーと混合することおよび(3)この混合物を乾燥することの工程を実施することによって達成される。かかるプロセスは、WO 2007/137441 A1、例5に記載されている。
【0062】
本発明によって、組成物を、典型的には30~50重量%、およびより具体的には35~45重量%の範囲内の高いコア含有量を有するコア-シェルマイクロカプセルのスラリーの形態で得ることが可能である。
【0063】
本発明の第3の側面において、分散媒体、とりわけ消費者製品に含有される分散媒体に分散された複数のマイクロカプセルの、表面上、とりわけケラチン表面上の堆積およびすすぎ耐性を増強する方法を提供する。マイクロカプセルは、コアおよびコアの周りのシェルを含む。コアは、少なくとも1つの機能性材料を含む。
【0064】
方法は、以下のステップ:
- 複数のコア-シェルマイクロカプセルをキトサンでコーティングして、複数のコーティングされたコア-シェルマイクロカプセルを得ること;
- 分散媒体に追加の遊離キトサンを添加すること
を含む。
【0065】
本発明の第4の態様において、複数のマイクロカプセルの、表面上、とりわけケラチン表面上の堆積およびすすぎ耐性を増強するためのキトサンの使用を提供する。マイクロカプセルは、コアおよびコアの周りのシェルを含む。コアは、少なくとも1つの機能性材料を含む。マイクロカプセルは、分散媒体、とりわけ消費者製品に含有される分散媒体に分散される。使用は、複数のマイクロカプセルをキトサンでコーティングして、複数のコーティングされたマイクロカプセルを得ること、および分散媒体に追加の遊離キトサンを添加することを伴う。使用は、上記の方法の一部であることができる。
【0066】
本発明のさらなる利点および具体的な特色は、数個の例の以下の議論から明らかになる。
【0067】

例1:キトサンC1でのマイクロカプセルコーティング
機能性材料として香料材料を含むコアをカプセル化するアミノプラストマイクロカプセルは、EP 2 111 214 B1にプロセスP5.1として開示された方法に従って調製した。光散乱によって測定されたマイクロカプセルの体積平均直径は、10±0.5マイクロメートルであった。スラリーの固形分は42重量%であり、これは35.5重量%のカプセル化された香料に相当する。
【0068】
これらのマイクロカプセルを、以下のステップ:
a)マイクロカプセルスラリーのpHを3.5±0.2の値に調整すること;
b)表1に報告されているとおり、既知量のキトサンC1を粉末の形態で1000gのマイクロカプセルスラリーに、攪拌しながら、15分の期間にわたってゆっくり添加すること、およびpHを5±0.2の値に調整すること;
c)キトサンコーティングマイクロカプセルのスラリーを得るために、その結果得られる混合物を室温で6時間維持すること、
を実施することにより、キトサンC1でコーティングした。
【0069】
この手順を異なる量のキトサンC1で繰り返し、スラリーの機能性材料含有量に対するキトサンC1含有量の比率(以下、キトサン対機能性材料比率と称す)を0.007~0.13で変化させた[サンプル1.1~1.10]。この比率は、機能性材料がほぼ定量的にカプセル化され、したがって形成されたマイクロカプセルの重量に比例して変化することを考慮して、本明細書において単純化するために使用する。
【0070】
表1:カプセル化された機能性材料に対する初期キトサンの比率
【表1】
【0071】
例2:最適なキトサンコーティングの決定
サンプル1.1~1.10を超遠心分離し、およびNaOHを添加することによって上澄みのpHを6.5に上昇させた。次いで、脱イオン水中の2重量%のニンヒドリン5mlを5mlの上澄みと混合した。混合物中のベルベット色の発生は、遊離の非プロトン化アミン官能基の存在の証拠、したがって上澄み中の遊離キトサンの存在の証拠である。一方、上澄み中の遊離キトサンの存在は、マイクロカプセルの表面が吸着されたキトサンによって飽和され、完全にコーティングされていることの証拠である。ニンヒドリン-アミン錯体の発現は、定量的コーティングのために最適な機能性材料に対するキトサンの比率を超えた時点と見なすことができる。最適な機能性材料に対するキトサンの比率は、キトサンC1の供給源、分子量、および脱アセチル化グレードにほとんど依存しない(表1)。反対に、pH4でのゼータ電位はこれらのパラメーターに依存する(表2参照)。定量的コーティングに達すると、ゼータ電位の値がプラトーに達することも観察され、これはカプセルの表面がキトサンC1で効果的に飽和していることを確認している。プラトーでのゼータ電位の値は、異なるタイプのキトサンについて表2に示されている。
【0072】
表2:完全なコーティングの発現での最適な香料に対するキトサンC1の比率およびゼータ電位(マイクロカプセル直径:10μm)
【表2】
【0073】
例3:シャンプー組成物の調製および堆積データ
第1の一連の実験において、キトサンC1-コーティングマイクロカプセルスラリーを、パドルミキサーで穏やかに攪拌しながらシャンプー組成物に添加した(表3中、例3.3および3.4)。
第2の一連の実験において、pH3.5の脱イオン水中の2%キトサンC2溶液0.005gを、プロペラで穏やかに攪拌しながら99.995gのシャンプーベースに組み込み、および攪拌しながらその中に分散させた。次いで、キトサンC1-コーティングマイクロカプセルスラリーを攪拌しながら添加し、シャンプーベース中のスラリーのレベルがシャンプーベースの総重量に対して0.5重量%になるようにした。キトサンC2とキトサンC1-コーティングマイクロカプセルの両方の特徴を変化させた。堆積測定を実施する前に、混合物を終夜浸して柔らかくした。
第4の一連の実験において、比較サンプルは、キトサンC2の代わりにコーティングされていないマイクロカプセルおよびカチオン性グアーで調製した。
【0074】
シャンプーを、37℃の温度の水道水で事前に濡らした見本に適用した。シャンプーの量は見本の重量の10%であった。シャンプーの適用は、見本を20秒間穏やかにマッサージし、1分間待ち、37℃の温度の水道水で見本をすすぎ、および各見本を2本の指の間で上から下に垂直にスライドさせて余分な水を除去することによって実施した。堆積の程度は、Stream Motion softwareならびに香料中0.02重量%の蛍光剤としてのHostasol Yellow 3G、励起波長450nmおよび発光波長500nmを使用して、40×の倍率の蛍光光学顕微鏡で得られた画像分析顕微鏡写真によって決定した。堆積値とシャンプー組成物の詳細を表3に報告する。
【0075】
表3において、異なる分子量および起源を有するキトサンを使用した、キトサン-コーティングマイクロカプセルと遊離キトサンの組み合わせによって得られた堆積スコアを、非コーティングマイクロカプセル、カチオン性マイクロカプセル、異なる遊離カチオン性ポリマー(カチオン性グアー)および遊離キトサンがない場合で得られたスコアと比較している。
【0076】
表3:シャンプー配合および堆積データ
【表3】
【0077】
表4:モデルシャンプーベース組成
【表4】
【0078】
表3から明らかなとおり、最大の堆積は、200’000g/molのキトサンC1でコーティングされたカプセルと1’700’000g/molの非コーティングキトサンC2との組み合わせを使用することによって得られる。これはまた、キノコキトサンC1をコーティングとして使用した場合においても確認される。最後に、高分子量のカチオン性グアーは、キトサンC2と比較して、毛髪へのカプセル堆積の促進には有効ではない。