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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】シリンジ・アダプタ
(51)【国際特許分類】
   A61M 39/10 20060101AFI20231031BHJP
   A61J 1/20 20060101ALI20231031BHJP
   A61M 5/162 20060101ALI20231031BHJP
   A61M 39/22 20060101ALI20231031BHJP
   A61M 39/24 20060101ALI20231031BHJP
   A61M 39/26 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
A61M39/10 120
A61J1/20 314C
A61M5/162
A61M39/22
A61M39/24
A61M39/26
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021519706
(86)(22)【出願日】2019-10-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-13
(86)【国際出願番号】 US2019054098
(87)【国際公開番号】W WO2020076561
(87)【国際公開日】2020-04-16
【審査請求日】2022-07-05
(31)【優先権主張番号】16/158,179
(32)【優先日】2018-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505403186
【氏名又は名称】ケアフュージョン 303、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マンスール、ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】ユーイング 、リンダ
(72)【発明者】
【氏名】メイソン、ユージーン
(72)【発明者】
【氏名】フラウスト、トマス
(72)【発明者】
【氏名】キャラハン、ライアン
【審査官】田中 玲子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/056465(WO,A1)
【文献】特表2012-521806(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0030293(US,A1)
【文献】特開平08-196628(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 39/10
A61J 1/20
A61M 5/162
A61M 39/22
A61M 39/24
A61M 39/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンジと結合するためのシリンジ・アダプタであって、
ハウジングと、
前記ハウジングに配置された無針コネクタであって、接続ポートを有する無針コネクタと、
前記ハウジングと摺動可能に係合する連絡部材であって、前記シリンジ・アダプタの非作動状態と作動状態との間で、前記ハウジングに対して摺動可能である連絡部材と、
前記連絡部材から延び、且つ前記連絡部材を通って配置された導管と、
前記連絡部材から延びるカニューレであって、前記非作動状態において、前記カニューレは前記無針コネクタ内に引っ込められており、また前記作動状態において、前記カニューレは前記無針コネクタを通って、且つ前記無針コネクタを軸線方向に越えて突出している、カニューレと
前記無針コネクタ内に配置されたピストン要素であって、前記ピストン要素は、ピストン・ヘッドと、前記ピストン・ヘッドを通って配置された密封可能なオリフィスとを有し、前記密封可能なオリフィスは、前記ピストン要素が非圧縮状態にあるとき密封状態にあり、前記ピストン要素が圧縮状態にあるとき開放状態にある、ピストン要素と、
前記シリンジ・アダプタが前記シリンジに結合され、且つ前記作動状態にあるときの、第1の流体経路及び第2の流体経路であって、前記第2の流体経路は、少なくとも、前記接続ポート、前記ピストン要素、及び前記導管を通って流れる、第1の流体経路及び第2の流体経路と
を有するシリンジ・アダプタ。
【請求項2】
前記接続ポートは、前記シリンジ・アダプタが前記シリンジと結合されていないときに前記ピストン・ヘッド及び前記密封可能なオリフィスと密封的に同一面をなす、請求項に記載のシリンジ・アダプタ。
【請求項3】
記導管は、前記シリンジ・アダプタが前記シリンジと結合され、且つ前記非作動状態にあるとき、前記無針コネクタから流体的に分離されている、請求項2に記載のシリンジ・アダプタ。
【請求項4】
前記導管は、前記シリンジ・アダプタが前記シリンジと結合され、且つ前記作動状態にあるとき、前記無針コネクタと流体連通している、請求項に記載のシリンジ・アダプタ。
【請求項5】
前記連絡部材から、且つ前記連絡部材を通って延びるダクトをさらに有し、前記ダクトは、前記カニューレを、フィルタ・ハウジングに配置された少なくとも1つのベントに流体的に結合する、請求項に記載のシリンジ・アダプタ。
【請求項6】
前記フィルタ・ハウジング内に配置されたフィルタと、前記フィルタ及び前記カニューレの間に配置された弁とをさらに有し、前記弁は、流体が前記少なくとも1つのベントから前記フィルタを通って前記カニューレに流れることができるように構成されており、且つ前記カニューレから前記フィルタへの流体の流れを防止するように構成されている、請求項に記載のシリンジ・アダプタ。
【請求項7】
前記第1の流体経路は、前記シリンジ内にろ過した周囲空気を提供するように構成され、また前記第2の流体経路は、前記シリンジからの流体が、前記シリンジ・アダプタに結合された静脈内セットに流れることができるように構成される、請求項に記載のシリンジ・アダプタ。
【請求項8】
前記第1の流体経路は、少なくとも、前記カニューレ、前記ダクト、及び前記少なくとも1つのベントを通って流れる、請求項に記載のシリンジ・アダプタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、流体移送用途に用いられる医療用コネクタに関する。より詳細には、本開示は、医療現場において流体を移送するためのシリンジ・アダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
医療用コネクタは医療用流体を伝達、調製、及び送達するために広く使用されている。医療用流体の送達には、医療用流体をシリンジなどの流体源から静脈内(IV:intravenous)セットを介して静脈内に投与することが含まれ得る。
【0003】
潰れることが可能な(collapsible)バッグなどの他の流体源とは異なり、流体が充填されたシリンジは、剛構造を備え、シリンジのプランジャが静止しており、シリンジから流体が引き出されたときに潰れることができない。結果として、シリンジから引き出される流体と置き換わるために、シリンジ内に周囲空気が導入される必要がある。流体がシリンジから引き出されるにつれて、空気のシリンジへの進入を可能にする従来のアプローチには、シリンジとIVセットとの間にデバイスを取り付けることが含まれる。例えば、このデバイスには、従来、雌ルアーを越えて突出するカニューレを有する、開放した雌ルアーが含まれる。カニューレは、カニューレの他端にあるフィルタがカニューレを介してシリンジ内への空気経路を提供するようにシリンジ内に挿入される。しかしながら、シリンジが空になり、除去されて、別のシリンジと交換される必要がある場合、カニューレが雌ルアーを越えて突出しているため、雌ルアーは大気に晒されることになり、シリンジの交換中に開放システム(開放系)を生じる。
【発明の概要】
【0004】
本開示の態様はシリンジと結合するためのシリンジ・アダプタを提供する。シリンジ・アダプタは、ハウジングと、ハウジングに配置された無針コネクタとを備える。ハウジングには、連絡部材が摺動可能に係合している。連絡部材は、ハウジングに対して、シリンジ・アダプタの非作動状態と作動状態との間で摺動可能である。連絡部材からカニューレが延在する。非作動では、カニューレは無針コネクタ内に引っ込められている。作動状態では、カニューレは、無針コネクタを通って、無針コネクタを軸線方向に越えて突出している。
【0005】
いくつかの態様では、無針コネクタには、ピストン要素が配置される。ピストン要素は、ピストン・ヘッドと、ピストン・ヘッドを通って配置された密封可能なオリフィスとを備え、密封可能なオリフィスは、ピストン要素が非圧縮状態にある場合には密封状態にあり、ピストン要素が圧縮状態にある場合には開放状態にある。
【0006】
いくつかの態様では、無針コネクタは、シリンジ・アダプタがシリンジと分離されている場合に、ピストン・ヘッド及び密封可能なオリフィスと密封するように同一面をなす接続ポートを備える。
【0007】
いくつかの態様では、導管は連絡部材から延在し、連絡部材を通って配置され、シリンジ・アダプタがシリンジと結合され、非作動状態にある場合、導管は、無針コネクタから流体的に分離されている。
【0008】
いくつかの態様では、シリンジ・アダプタがシリンジと結合され、作動状態にある場合、導管は、無針コネクタと流体連通している。
【0009】
いくつかの態様では、連絡部材から連絡部材を通ってダクトが延在しており、ダクトは、カニューレをフィルタ・ハウジングに配置された少なくとも1つのベントに流体的に結合する。
【0010】
いくつかの態様では、フィルタ・ハウジング内にはフィルタが配置され、フィルタとカニューレとの間には弁が配置されている。弁は、流体が少なくとも1つのベントからフィルタを通ってカニューレに流れることができるように構成されており、カニューレからフィルタへの流体の流れを防止するように構成されている。
【0011】
いくつかの態様では、シリンジ・アダプタがシリンジに結合され、作動状態にある場合、第1の流体経路と第2の流体経路とが提供される。
【0012】
いくつかの態様では、第1の流体経路は、シリンジ内にろ過した周囲空気を提供するように構成されており、第2の流体経路は、シリンジからの流体がシリンジ・アダプタに結合された静脈内セットに流れることができるように構成されている。
【0013】
いくつかの態様では、第1の流体経路は、少なくとも、カニューレ、ダクト、及び少なくとも1つのベントを通る。
【0014】
いくつかの態様では、第2の流体経路は、少なくとも、接続ポート、ピストン要素、及び導管を通る。
【0015】
本開示の他のいくつかの態様は、シリンジを流体システムに結合するためのシリンジ・アダプタを提供する。シリンジ・アダプタは、雌コネクタを備える。本体は、雌コネクタと流体連通している。雄コネクタは、雌コネクタ及び本体と流体連通している。雄コネクタは、医療デバイスと結合するように構成されている。カニューレは、本体を軸線方向に通り、雌コネクタを通って延出している。フィルタ・ハウジングは、カニューレと流体連通している。フィルタ・ハウジングは、雌コネクタを越えて軸線方向に挙上されており、第1の流体経路は、フィルタ・ハウジング及びカニューレを通って形成され、第2の流体経路は雌コネクタ、本体及び雄コネクタを通って形成される。フィルタ・ハウジングは、フィルタ・ハウジング内に配置されたフィルタが第1の流体経路内の流体と接触するのを防止するように構成されており、雄コネクタが医療デバイスから分離されると、閉鎖システムが提供される。
【0016】
いくつかの態様では、可撓性チューブが、フィルタ・ハウジングをカニューレに流体的に結合する。
【0017】
いくつかの態様では、雌コネクタは、カニューレがシリンジのチャンバ内に配されるように、シリンジに結合される。
【0018】
いくつかの態様では、シリンジ及び可撓性チューブのまわりにクリップが配される。クリップは、可撓性チューブをシリンジに固定するように構成されている。
【0019】
いくつかの態様では、医療デバイスは静脈内セットである。さらなる態様において、医療デバイスは無針コネクタである。
【0020】
本開示のいくつかの他の態様は、シリンジと結合するためのシリンジ・アダプタを提供する。シリンジ・アダプタは、シリンジと結合するように構成された雌コネクタを備える。本体は、雌コネクタと流体連通している。雄コネクタは、雌コネクタ及び本体と流体連通している。雄コネクタは、医療デバイスと結合するように構成されている。チャンバは本体から延在し、本体と流体連通しており、チャンバは、医療デバイスへの後の送達のために、シリンジから流体を受容するように構成されている。無針コネクタは、雌コネクタに配置され、雌コネクタと流体連通しており、無針コネクタは、雌コネクタがシリンジから分離されると、閉鎖システムを提供するように構成されている。
【0021】
いくつかの態様では、雌コネクタと無針コネクタとの間に、弁が配置されている。
【0022】
いくつかの態様では、チャンバは、弾性バッグ、非弾性バッグ、及び潰れることが可能なプラスチック容器のうちの1つである。
【0023】
主題技術の付加的な特徴及び利点は、以下の説明に示され、これらの説明からある程度明らかになるか、又は主題技術の実施によって学習され得る。主題技術の利点は、記載された説明及び本願の特許請求の範囲、並びに添付図面において特に指摘された構造によって実現され、得られるであろう。
【0024】
前述の概要及び以下の詳細な説明の双方は、例示であり、説明のためのものであり、権利請求される主題技術のさらなる説明を提供するように意図されていることが理解されるべきである。
【0025】
主題技術についてのさらなる理解を提供するために含まれており、この説明に組み込まれ、その一部を構成する添付図面は、主題技術の態様を例示し、本明細書と共に、主題技術の原理について説明するために役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本開示の態様による流体送達システムの概略図である。
図2】本開示の態様による、詳細を示すために一部が切断され切り取られた、分離された非作動状態で示されたシリンジ・アダプタの側面図である。
図3】本開示の態様による、シリンジがシリンジ・アダプタに極めて近接しているが、分離されている、分離された非作動状態で示された図2のシリンジ・アダプタの側面図である。
図4】本開示の態様による、シリンジがシリンジ・アダプタに結合されている、結合された非作動状態で示された図2のシリンジ・アダプタの側面図である。
図5】本開示の態様による、シリンジがシリンジ・アダプタに結合されている、結合された作動状態で示された図2のシリンジ・アダプタの側面図である。
図6】本開示の態様による、図4のシリンジ・アダプタの詳細側面図である。
図7】本開示の態様による、図5のシリンジ・アダプタの詳細側面図である。
図8】本開示の態様による、シリンジ・アダプタの代替実施例の斜視図である。
図9】本開示の態様による、図8のシリンジ・アダプタの断面斜視図である。
図10】本開示の態様による、シリンジに取り付けられた図8のシリンジ・アダプタの側面図である。
図11】本開示の態様による、図10のシリンジに取り付けられたシリンジ・アダプタの断面側面図である。
図12】本開示の態様による、シリンジ・アダプタの別の代替実施例の斜視図である。
図13】本開示の態様による、シリンジに取り付けられた図12のシリンジ・アダプタの斜視図である。
図14】本開示の態様による、図12のシリンジ・アダプタのエア・ベントの断面図である。
図15】本開示の態様による、内部流体経路を示すために一部が切断され切り取られた、シリンジに取り付けられた図12のシリンジ・アダプタの詳細側面図である。
図16】本開示の態様による、充填前状態にある容器を示すシリンジ・アダプタの別の代替実施例の斜視図である。
図17】本開示の態様による、充填状態にある容器を示す図16のシリンジ・アダプタの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下の詳細な説明では、主題技術についての理解を与えるために、具体的な詳細が示される。しかしながら、主題技術がこれらの具体的な詳細のうちの一部を含まなくても実施され得ることは当業者には明らかであろう。他の場合には、主題技術を不明瞭にしないために、周知の構造及び技術は詳細に示されていない。
【0028】
「態様(aspect)」などの語句は、そのような態様が主題技術にとって必須であること、又はそのような態様が主題技術のすべての構成に当てはまることを意味していない。態様に関連する開示は、すべての構成、又は1つ又は複数の構成に当てはまり得る。態様は、開示の1つ又は複数の実例を提供し得る。「態様」などの語句は1つ又は複数の態様を指すことがあり、逆もまた同様である。「実施例」などの語句は、そのような実施例が主題技術にとって必須であること、又はそのような実施例が主題技術のすべての構成に当てはまることを意味していない。実施例に関連する開示は、すべての実施例、又は1つ又は複数の実施例に当てはまり得る。実施例は、開示の1つ又は複数の実例を提供し得る。「実施例」などの語句は1つ又は複数の実施例を指すことがあり、逆もまた同様である。「構成」などの語句は、そのような構成が主題技術にとって必須であること、又はそのような構成が主題技術のすべての構成に当てはまることを意味していない。構成に関連する開示は、すべての構成、又は1つ又は複数の構成に当てはまり得る。構成は、開示の1つ又は複数の実例を提供し得る。「構成」などの語句は1つ又は複数の構成を指すことがあり、逆もまた同様である。
【0029】
図1図17に示すシリンジ・アダプタの様々な実施例は、流体源と結合され、IVセットからの流体源の交換中に、閉鎖された密封面を含む閉鎖システムを提供するように構成されている。特定の実施例では、IVセットからの流体源の交換中に閉鎖された密封面を含むことに加えて、シリンジ・アダプタはまた、流体が流体源から引き出されるにつれて、ろ過された空気が流体源に進入できるようにするために、エア・ベントと流体連通したカニューレも備える。このような実施例では、シリンジ・アダプタは、流体源内の流体がエア・ベントに配置されたフィルタと接触するのを防止するように構成されている。
【0030】
図1は例示的な流体送達システム100を示している。流体送達システム100は、シリンジ110、シリンジ・アダプタ112、及び静脈内(IV)セット114を備える。流体送達システム100は、シリンジ・アダプタ112が用いられる例示的なシステムであり、シリンジ・アダプタ112は他の流体送達システムで使用されてもよいことが理解される。シリンジ110は、シリンジ・バレル116、シリンジ・バレル116の一端においてシリンジ・バレル116から半径方向外側に延在するカラー118、及びシリンジ・バレル116の反対端に形成された端部壁120を備える。シリンジ110は、プランジャ122も備える。プランジャ122は、本体124、本体124の一端に取り付けられたサムプレス(thumb press)126、及び本体124の反対端に取り付けられたストッパ128(想像線で図示)を備える。シリンジ・バレル116は、シリンジ・バレル116のストッパ128と端部壁120との間のシリンジ・バレル116内にシリンジ・チャンバ130が形成されるように、プランジャ122のストッパ128及び本体124を摺動可能に受容する。先端部132は、端部壁120から軸線方向外側に延在し、シリンジ・チャンバ130と流体連通している。いくつかの態様において、先端部132は雄ルアー・コネクタである。
【0031】
シリンジ・アダプタ112は、先端部132と組み合わせ結合(matingly couple)するように構成されている。シリンジ・アダプタ112はまた、IVセット114のコネクタ134とも組み合わせ結合するように構成されている。IVセット114は、フィッティング138に接続されたチューブ136を備える。例えば、フィッティング138は、IV針などの輸液デバイス(図示せず)への接続に適した無針ルアー・コネクタである。いくつかの態様において、ポンピング・セグメント140は、チューブを介して流体を流れさせるための蠕動操作に適したチューブの一部であり、ポンプ(図示せず)内におけるポンピング・セグメント140の適切な配置を容易にするために整合フィッティング142を備え、且つチューブ136のセグメント同士を接続する。IVセット114はまた、チューブ136を通る流れを停止させるために閉鎖することができるクランプ144も備える。
【0032】
図2図7は、シリンジ・アダプタ200の実施例を示している。いくつかの態様において、シリンジ・アダプタ200は、連絡部材212と摺動可能に係合されたハウジング210を備える。ハウジング210は、ハウジング210の一端に配置された接続ポート214と、ハウジング210の他端に配置された受容開口216とを備える。雌コネクタ218は、接続ポート214に隣接したハウジング210の部分を形成する。雌コネクタは、様々な医療デバイスの構成要素上の雄コネクタと結合するように構成されている。いくつかの態様において、雌コネクタは、様々な医療デバイスの構成要素上の雄ルアー・コネクタと結合するように構成された雌ルアー・コネクタである。ハウジング210はまた、接続ポート214と受容部222との間に無針コネクタ部220が配置されるように、無針コネクタ部220及び受容部222を備える。受容部222は、無針コネクタ部220と受容開口216との間に配置されている。
【0033】
無針コネクタ224は、ハウジング210の無針コネクタ部220に配置されている。無針コネクタ224は、接続ポート214及び雌コネクタ218を備える。無針コネクタ224はまた、ハウジング210の無針コネクタ部220内に配置された中空シリンダ226も備える。中空シリンダ226は、一端においてヘッド228と、他端において基部230とを備える。中空シリンダ226のヘッド228は、接続ポート214からヘッド228までボア232が延在するように、ハウジング210の無針コネクタ部220内の接続ポート214から軸線方向内側にずれている。接続ポート214、ボア232及び中空シリンダ226はすべて、同軸に整合されている。
【0034】
無針コネクタ224はまた、弾性変形可能なピストン要素234を備える。図2に示したシリンジ・アダプタ200の分離された非作動状態では、弾性変形可能なピストン要素234は、接続ポート214と基部230との間に捕捉されている。ピストン要素234は、ピストン236と、ピストン236に形成された圧縮可能部材238とを備える。いくつかの態様において、圧縮可能部材238は複数のベロー240を備える。ピストン236は、ピストン・ヘッド242を備える。ピストン・ヘッド242は、内部に配置された密封可能なオリフィス244を備え、密封可能なオリフィス244は、ピストン要素234が圧縮されていない場合には密封状態にあり、ピストン要素234が圧縮されている場合には開放状態にある。図2及び図3に示すような、シリンジ・アダプタ200の分離された非作動状態では、ピストン要素234は圧縮されておらず、密封可能なオリフィス244は密封状態にあり、それにより、圧縮可能部材238は基部230に対して押し付けられ、一方、ピストン・ヘッド242はボア232内においてハウジング210に対して内部に位置し、周囲の接続ポート214と密封するように同一面をなして(flush with)、共同で平らで閉鎖された拭き取り可能な(swabable)表面245を形成する。さらに、ピストン要素234は中空であり、圧縮可能部材238の出口オリフィス247から密封可能なオリフィス244まで延在するピストン通路246を備える。
【0035】
受容部222は、無針コネクタ部220に隣接して配置された移行部248を含む。移行部248は、基部230と肩部250との間にチャンバ252が形成されるように、基部230から軸線方向にずれた環状肩部250を備える。チャンバ252は、出口オリフィス247を介してピストン通路246に流体結合されており、肩部250に配置された開口部253と同軸に整合されている。チャネル254は、受容部222に配置されており、移行部248内のチャンバ252に隣接して配置された閉鎖端部256を備える。チャネル254は、閉鎖端部256に近接して配置された移送通路258を含む。チャネル254は、移送通路258を介してチャンバ252に流体結合されている。チャネル254は、閉鎖端部256から肩部250を通って開放端部260まで軸線方向に延在する。チャネル254の開放端部260は、受容部222内で終了し、ハウジング210の受容開口216から軸線方向にずれている。受容部222はまた、肩部250と受容開口216との間に軸線方向に延在するスロット262も備える。スロット262は、シリンジ・アダプタ200が、結合された非作動状態から結合された作動状態に移行するときに、連絡部材212の首部264を摺動可能に案内するように構成されている。
【0036】
特に図2及び図6図7を参照すると、連絡部材212は、首部264、カニューレ266、及び導管268を備える。首部264は、連絡部材212から半径方向に延在し、入口ポート272を備えた弁ハウジング270で終了する。ダクト274は、連絡部材212内において、首部264及び弁ハウジング270を通って、入口ポート272まで配置されている。フィルタ・ハウジング276は、入口ポート272によって流体連通するように受容されている。フィルタ・ハウジング276は、フィルタ278を包囲し、周囲空気がフィルタ278を通過できるように構成された少なくとも1つのベント280を備える。弁282は、弁ハウジング270内に配置され、流体が少なくとも1つのベント280からフィルタ278を通ってダクト274内に流れることができ、且つ流体がダクト274からフィルタ・ハウジング276へ反対方向に流れるのを防止して、フィルタ278が、場合によりダクト274内の流体で濡らされないことを保証するように構成されている。
【0037】
カニューレ266は、連絡部材212から、また連絡部材212を通って軸線方向に延在し、一端ではダクト274に流体結合され、反対端では開口267で終了する。導管268は、カニューレ266から半径方向にずれており、連絡部材212から、また連絡部材212を通って軸線方向に延在する。連絡部材212の外部では、クラウン284が導管268の端部に配置されており、それにより、導管268は軸線方向においてクラウン284で終了して、通路286と流体結合する。クラウン284のまわりには、第1のOリング288が配置されており、通路286と連絡部材212との間の導管268のまわりには、第2のOリング290が配置されている。連絡部材212の内部では、導管268が出口ポート292に流体結合されている。コネクタ294は、出口ポート292のまわりに配置されており、例えば、IVセット114のコネクタ134などの様々な医療デバイスと結合するように構成されている。
【0038】
シリンジ・アダプタ200の組み立て時、連絡部材212は、ハウジング210の受容開口216によって、摺動可能に係合するように受容され、それにより、導管268はチャネル254によって摺動可能に受容され、カニューレ266は開口部253に配置された第3のOリング296によって摺動可能に受容され、首部264はスロット262によって摺動可能に受容される。第3のOリング296は、カニューレ266がOリング296内に沿って密封可能に摺動できるようにしながらも、カニューレ266を開口部253に対して密封するように構成されている。
【0039】
図3は、例えば、IVセット114などのIVセットに結合されている、分離された非作動状態にあるシリンジ・アダプタ200を示している。例えば、シリンジ110などのプレフィルドシリンジが、シリンジ・アダプタ200に極めて近接しており、シリンジ・アダプタ200と結合する準備ができている。分離された非作動状態では、カニューレ266は無針コネクタ内に引っ込められている。例えば、ピストン要素234は圧縮されておらず、それにより、カニューレ266の開口267は圧縮可能部材238内のピストン通路246に配され、首部264は受容開口216に近接したスロット262内に存在し、また導管268は開放端部260近接してチャネル254内に配されており、それにより、通路286は移送通路258と整合されておらず、導管268は無針コネクタ224から流体的に分離されている。さらに、密封可能なオリフィス244は密封状態にあり、ピストン・ヘッド242は周囲の接続ポート214と密封するように同一面(実質的に平坦な面)をなして、平らで閉鎖された拭き取り可能な表面245を形成する。
【0040】
図4は、シリンジ110を有した、結合され非作動状態にあるシリンジ・アダプタ200を示している。シリンジ110がシリンジ・アダプタ200に結合された状態で、雄ルアー先端部132がピストン・ヘッド242と接触し、ピストン要素234を圧縮して、密封可能なオリフィス244を密封状態から開放状態に移動させる。結合された非作動状態では、首部264及び導管268は、分離された非作動状態におけるのと同様に配されているが、ピストン要素234が圧縮状態にあるので、カニューレ266の開口267は、圧縮可能部材238ではなく、今度はピストン236内のピストン通路246に配されている。通路286と移送通路258とは、この状態では整合されておらず、第1のOリング288がチャネル254と密封するように接触しているため、フィルタ・ハウジング276からの周囲空気がチャネル254を通り、第1のOリング288を通過して、出口ポート292を介してIVセット114に流れ込むことが防止される。これは、IVセット114がポンプ内に挿入されるポンピング・セグメント140を備え、シリンジ・アダプタ200が結合された作動状態に移行する前にポンプを作動させる場合において特に有用である。さらに、プランジャ122がこの状態で偶発的に押圧されたとしても、弁282が、シリンジ・チャンバ130からの流体がフィルタ278に流れるのを防止する。
【0041】
流体がシリンジ110からIVセット114に流れることができるようにするためには、シリンジ・アダプタ200は、図5に示すように、結合された作動状態に入る必要がある。シリンジ・アダプタ200が結合された非作動状態から結合された作動状態を入るために、ハウジング210は、カニューレ266が無針コネクタ224から突出するように、連絡部材212のまわりで軸線方向に摺動され、連絡部材212にロックされる。例えば、首部264は、スロット262内において肩部250に近接して配され、連絡部材212は肩部250に当接し、導管268は、クラウン284がチャネル254の閉鎖端部256と当接した状態で、チャネル254内に配され、カニューレ266の開口267は、無針コネクタ224における流体吸入部(fluid intake)を軸線方向に越えた位置で端部壁120を軸線方向に越えてシリンジ110内に配される。クラウン284がチャネル254の閉鎖端部256に当接すると、通路286は移送通路258と整合して、導管268をチャンバ252と流体的に結合し、無針コネクタ224に流体的に結合する。第2のOリング290は、導管268をチャネル254に対して密封して、通路286に進入する流体が第2のOリング290を軸線方向に通過してチャネル254内に進むのを防止する。
【0042】
シリンジ・アダプタ200が、結合された作動状態にある場合、第1の流体経路は、少なくとも1つのベント280、ダクト274、及びカニューレ266を少なくとも通って形成される。例えば、周囲空気は、少なくとも1つのベント280、フィルタ278、弁282、ダクト274、カニューレ266、カニューレ266の開口267を通ってシリンジ・チャンバ130に入る第1の流体経路に進入する。第1の流体経路が、ろ過した周囲空気をシリンジ・チャンバ130に提供するにつれて、シリンジ・チャンバ130に貯留部(reservoir)が形成されて、プランジャ122を押圧する必要なく、シリンジ・チャンバ130内の流体が第2の流体経路を通って放出されるか、又は流れることが可能となる。第2の流体経路は、少なくとも接続ポート214、導管268及び出口ポート294を通って形成される。例えば、シリンジ・チャンバ130からの流体は、先端部132及びカニューレ266のまわりを通り、続いて、接続ポート214において、ボア232、開放状態にある密封されたオリフィス244、ピストン通路246、出口オリフィス247、チャンバ252、移送通路258、通路286、導管268及び出口ポート294を通る第2の流体経路を通ってIVセット114に流れる。いくつかの態様では、シリンジ・チャンバ130内の流体は、重力によって第2の流体経路を通って流れる。IVセット114がポンピング・セグメント140を備えた他の態様では、バッグ・ポンプ(図示せず)が、ポンピング・セグメント140をバッグ・ポンプ内に挿入して、蠕動操作を調節し、第2の流体経路を介して流体を流れさせるように用いられる。例えば、シリンジ・アダプタ200は、別個のシリンジポンプを必要とすることなく、消費したIVバッグがシリンジ110及びシリンジ・アダプタ200と交換され得るように、大容量ポンプ(LVP)などのバッグ・ポンプとともに用いることができる。
【0043】
シリンジ110が交換される準備ができると、シリンジ・アダプタ200は、ハウジング210を連絡部材212に対して軸線方向に摺動させることによって、結合された作動状態から結合された非作動状態へ移行され、次にシリンジ110をシリンジ・アダプタ200から分離することによって、結合された非作動状態から分離された非作動状態に移行される。分離された非作動状態では、密封可能なオリフィス244は密封状態にあり、ピストン・ヘッド242は、ボア232内においてハウジング210に対して内部に位置し、周囲接続ポート214と密封するように同一面をなし、それにより、交換用シリンジをシリンジ・アダプタ200に結合する前に、閉鎖した平坦な表面245を拭き取ることができる。
【0044】
図8図11は、シリンジ・アダプタ800の別の実施例を示している。シリンジ・アダプタ200と同様に、シリンジ・アダプタ800は流体源に結合可能であり、第1の流体経路を備え、第1の流体経路は、第1の流体経路にあるフィルタが流体源内の流体に晒されるのを防止しながらも、流体が流体源から第2の流体経路を通って引き出されるにつれて、ろ過された空気が流体源に進入できるようにする。シリンジ・アダプタ800もまた、IVセットからの流体源の交換中に閉鎖システムを提供する。
【0045】
シリンジ・アダプタ800は、雌コネクタ810と、雄コネクタ812と、雌コネクタ810を雄コネクタ812に流体的に結合する本体814とを備える。いくつかの態様において、雌コネクタ810は雌ルアー・コネクタであり、雄コネクタ812は雄ルアー・コネクタである。シリンジ・アダプタ800はまた、本体814を通って半径方向に延在する通路816を備える。フィルタ・ハウジング818は、本体814の外側にある通路816の端部に流体的に結合されている。フィルタ・ハウジング818はベント820で終了し、ベント820もまた通路816と流体連通している。フィルタ822は、フィルタ・ハウジング818内に配置されており、ベント820に進入する周囲空気をろ過する。いくつかの態様では、フィルタ・ハウジング818内においてフィルタ822と通路816との間に弁(図示せず)が配置されており、弁は、周囲空気がフィルタ822を介してベント820から通路816へ流れることができ、且つ流体が通路816からフィルタ822に流れるのを防止するように構成されている。いくつかの態様において、フィルタ・ハウジング818及びフィルタ822が雌コネクタ810よりも上方に(例えば、軸線方向に越えて)配されるように、フィルタ・ハウジング818は、雌コネクタ810に対して挙上され、通路816に対して角度をなして、雄コネクタ812から軸線方向に離れて、雌コネクタ810を軸線方向に越えて延在する。
【0046】
シリンジ・アダプタ800はまた、本体814内に配置された通路816の端部において通路816に流体的に結合されたカニューレ824を備える。カニューレ824は、本体814内で軸線方向に延在し、雌コネクタ810を通って延出している。カニューレ824の開口826は、雌コネクタ810から軸線方向にずれて雌コネクタ810の外側に配されている。第1の流体経路は、少なくとも、カニューレ824、通路816及びベント820を通って形成される。第2の流体経路は、少なくとも、雌コネクタ810、本体814及び雄コネクタ812を通って形成される。
【0047】
雌コネクタ810は、例えば、シリンジ110などの流体源の雄コネクタと結合するように構成されている。雄コネクタ812は、例えば、IVセット114などの医療デバイスの雌コネクタと結合するように構成されている。動作中、シリンジ・アダプタ800はIVセット114に結合され、シリンジ110は、カニューレ824の開口826がシリンジ110のシリンジ・チャンバ130内に配されるように、シリンジ・アダプタ800に結合される。第1の流体経路がシリンジ・チャンバ130にろ過した周囲空気を提供するにつれて、シリンジ・チャンバ130に貯留部が形成されて、プランジャ122を押圧する必要なく、シリンジ・チャンバ130内の流体が第2の流体経路を通って放出されることが可能となる。さらに、フィルタ・ハウジング818が、通路816に対して角度をなして、雄コネクタ812から軸線方向に離れ、雌コネクタ810を軸線方向に越えて延在する態様では、第2の流体経路における流体吸入部に対するフィルタ・ハウジング818の配置により、プランジャ122が偶発的に押圧されたとしても、フィルタ822はシリンジ・チャンバ130からの流体と接触することを防止される。いくつかの態様では、シリンジ・チャンバ130内の流体は、重力によって第2の流体経路を通って流れる。IVセット114がポンピング・セグメント140を備えた他の態様では、ポンピング・セグメント140をバッグ・ポンプ内に挿入して、蠕動操作を調節し、第2の流体経路を介して流体を流れさせるように、バッグ・ポンプ(図示せず)が用いられる。
【0048】
シリンジ110が交換される準備ができると、シリンジ・アダプタ800は、依然としてシリンジ110に結合されたまま、IVセット114から分離され、シリンジの交換中に閉鎖システムを提供する。シリンジ110及びシリンジ・アダプタ800の双方は廃棄することができ、新たなシリンジ・アダプタ800をIVセット114に結合することができ、そのため閉鎖システムを壊す必要なく、交換用シリンジをシリンジ・アダプタ800に結合することができる。
【0049】
図12図15は、シリンジ・アダプタ1200の別の実施例を示している。シリンジ・アダプタ200と同様に、シリンジ・アダプタ1200は流体源に結合可能であり、また第1の流体経路を備え、第1の流体経路は、第1の流体経路にあるフィルタが流体源内の流体に晒されるのを防止しながらも、流体が第2の流体経路を通って流体源から引き出されるにつれて、ろ過された空気が流体源に進入できるようにする。シリンジ・アダプタ1200もまた、IVセットからの流体源の交換中に閉鎖システムを提供する。
【0050】
シリンジ・アダプタ800と同様に、シリンジ・アダプタ1200は、雌コネクタ1210と、雄コネクタ1212と、雌コネクタ1210を雄コネクタ1212に流体的に結合する本体1214とを備える。いくつかの態様において、雌コネクタ1210は雌ルアー・コネクタであり、雄コネクタ1212は雄ルアー・コネクタである。シリンジ・アダプタ1200は、本体1214を通って半径方向に延在する通路1216を備える。可撓性チューブ1218は、本体1214の外側にある通路1216の端部に流体的に結合されている。可撓性チューブ1218はまた、フィルタ・ハウジング1220に流体的に結合されている。フィルタ・ハウジング1220はベント1222で終了し、ベント1222はまた可撓性チューブ1218と流体連通している。フィルタ1224は、フィルタ・ハウジング1220内においてベント1222と可撓性チューブ1218との間に配置されており、ベント1222に進入する周囲空気を可撓性チューブ1218へろ過する。いくつかの態様では、フィルタ1224をフィルタ・ハウジング1220内に固定し、フィルタ1224の交換を容易にするために、キャップ1225がフィルタ・ハウジング1220に蝶番式で結合されている。
【0051】
シリンジ・アダプタ1200はまた、本体1214内に配置された通路1216の端部において通路1216に流体的に結合されたカニューレ1226を備える。カニューレ1226は、本体1214内で軸線方向に延在し、雌コネクタ1210を通って延出している。カニューレ1226の開口1228は、雌コネクタ1210から軸線方向にずれて、雌コネクタ1210の外側に配されている。第1の流体経路は、少なくとも、カニューレ1226、通路1216、可撓性チューブ1218、及びベント1222を通って形成される。第2の流体経路は、少なくとも、雌コネクタ1210、本体1214、及び雄コネクタ1212を通って形成される。
【0052】
シリンジ・アダプタ1200は、例えば、シリンジ110などの流体源と結合するように構成されており、シリンジ・アダプタ1200がシリンジ110に結合されている場合に、可撓性チューブ1218をシリンジ110のシリンジ・バレル116に対して適所に固定するためのクリップ1230を備える。いくつかの態様では、クリップ1230は、可撓性チューブ1218をシリンジ・バレル116に保持するために、シリンジ・バレル116及び可撓性チューブ1218のまわりにクリップ1230を配置するのを容易にするためのスリット1232を有した環状形状を備える。例えば、シリンジ・アダプタ1200がシリンジ110に結合されている場合、可撓性チューブ1218は、シリンジ・バレル116に沿って軸線方向に配され、それにより、フィルタ・ハウジング1220がカラー118に近接した状態で、クリップ1230がシリンジ・バレル116のまわりに配され、可撓性チューブ1218は、シリンジ・バレル116に対して固定され、クリップ1230とシリンジ・バレル116との間に配される。フィルタ・ハウジング1220が、カラー118に近接し、シリンジ・チャンバ130の任意の流体の高さより上方に(例えば、軸線方向に越えて)配されているので、フィルタ・ハウジングは雌コネクタ1210に対して挙上されて(すなわち高位に配置されて)おり、プランジャ122が偶発的に押圧されたとしても、フィルタ1224はシリンジ・チャンバ130からの流体と接触するのを防止される。
【0053】
雌コネクタ1210は、例えば、シリンジ110などの流体源の雄コネクタと結合するように構成されている。雄コネクタ1212は、例えば、無針コネクタ1234などの医療デバイスの雌コネクタと結合するように構成されており、無針コネクタ1234は、次に、例えば、IVセット114に結合される。動作中、シリンジ・アダプタ1200は、無針コネクタ1234を介してIVセット114に結合され、シリンジ110は、カニューレ1226の開口1228がシリンジ110のシリンジ・チャンバ130内に配されるように、シリンジ・アダプタ1200に結合される。第1の流体経路がシリンジ・チャンバ130にろ過した周囲空気を提供するにつれて、シリンジ・チャンバ130に貯留部が形成されて、プランジャ122を押圧する必要なく、シリンジ・チャンバ130内の流体が第2の流体経路を通って放出されることが可能となる。さらに、フィルタ・ハウジング1220及びフィルタ1224がシリンジ・チャンバ130内の任意の流体の高さよりも高くなっているので、プランジャ122が偶発的に押圧された場合に、フィルタ1224はシリンジ・チャンバ130からの流体と接触するのを防止される。いくつかの態様では、シリンジ・チャンバ130内の流体は、重力によって第2の流体経路を通って流れる。IVセット114がポンピング・セグメント140を備えた他の態様では、ポンピング・セグメント140をバッグ・ポンプ内に挿入して、蠕動操作を調節し、第2の流体経路を介して流体を流れさせるように、バッグ・ポンプ(図示せず)が用いられる。
【0054】
図16図17は、シリンジ・アダプタ1600の別の実施例を示している。シリンジ・アダプタ1600もまた、IVセットからの流体源の交換中に閉鎖システムを提供する。シリンジ・アダプタ1600は、雌コネクタ1610と、雄コネクタ1612と、雌コネクタ1610を雄コネクタ1612に流体的に結合する本体1614とを備える。いくつかの態様において、雌コネクタ1610は雌ルアー・コネクタであり、雄コネクタ1612は雄ルアー・コネクタである。シリンジ・アダプタ1600は、本体1614に流体的に結合され、本体1614から外側に延在するチャンバ1616を備える。チャンバ1616は、例えば、弾性バッグ、非弾性バッグ、又は潰れることが可能なプラスチック容器とすることができる。いくつかの態様において、シリンジ・アダプタ1600は、チャンバ1616を支持するためのホルダ1618を備える。シリンジ・アダプタ1600はまた、雌コネクタ1610に配置され、雌コネクタ1610と流体連通した無針コネクタ1620を備える。いくつかの態様では、無針コネクタ1620は、雌コネクタ1610と一体的に形成されている。他のいくつかの態様では、無針コネクタ1620は、雌コネクタ1610に結合可能な雄コネクタを備える。無針コネクタ1620はまた、シリンジ110などの医療デバイスの雄コネクタに結合可能な雌フィッティング1622を備える。無針コネクタ1620と雌コネクタ1610との間には、例えば、逆止弁などの弁1624(想像線で図示)が配置されている。弁1624は、無針コネクタ1620から雌コネクタ1610への流体の流れを可能にし、且つ雌コネクタ1610から無針コネクタ1620への流体の流れを防止するように構成されている。
【0055】
動作時、シリンジ・アダプタ1600の雄コネクタ1612は、例えば、ポンプフィッティング又はIVセット114のコネクタ134などの医療デバイスに結合される。シリンジ・アダプタ1600が医療デバイスに結合されると、次に、シリンジ110はシリンジ・アダプタ1600の無針コネクタ1620に結合される。シリンジ110のプランジャ122が押圧されて、シリンジ110内の流体を、無針コネクタ1620、雌コネクタ1610を介して、チャンバ1616内に押し出す。例えば、チャンバ1616が弾性エラストマーバッグである態様では、チャンバ1616は、図16に示すように流体を未充填であり、図17に示すように流体で膨らんで充填される。流体がシリンジ110から空になり、チャンバ1616に充填されると、シリンジ110がシリンジ・アダプタ1600から分離されて、無針コネクタ1620によって閉鎖システムを提供することができる。大気圧によってチャンバ1616内の流体が抵抗を伴うことなく流れることが可能となるため、チャンバ1616の流体は、続いて重力により、又はポンプ(図示せず)を介して、雄コネクタ1612を通ってIVセット114に流れることができる。付加的な投薬が必要とされる場合、無針コネクタ1620を拭き取ることができ、上述したように、新たなシリンジが無針コネクタ1620に結合されてチャンバ1616を充填する。
【0056】
上記の説明は、本明細書において説明した様々な構成を当業者が実施することができるように提供されている。主題技術について様々な図面及び構成を参照しながら具体的に説明してきたが、これらは例示のみを目的とし、主題技術の範囲を限定するように受け取られるべきではないことを理解されたい。
【0057】
主題技術を実施するためには、多くの他の方法が存在する。本明細書で説明する様々な機能及び要素は、主題技術の範囲から逸脱することなく、示したものとは異なるように分割されてもよい。これらの構成に対する様々な改変が当業者には容易に明らかとなるであろう。また、本明細書で定義される一般的な原理が他の構成に適用されてもよい。よって、当業者により、主題技術の範囲を逸脱することなく、主題技術に対する多くの変更及び改変がなされてもよい。
【0058】
本明細書で使用される場合、項目のいずれかを分離する「及び」又は「又は」という用語を伴う一連の項目に後続する「~のうちの少なくとも1つ」という語句は、その列記の各要素(例えば各項目)ではなく、列記全体を修飾する。「~のうちの少なくとも1つ」という語句は、列記した各項目のうちの少なくとも1つを選択することを要求するものではなく、むしろ、この語句は、項目のいずれか1つのうちの少なくとも1つ、及び/又は、項目の任意の組み合わせのうちの少なくとも1つ、及び/又は、項目のそれぞれのうちの少なくとも1つを含む意味を許容する。実例として、「A、B及びCのうちの少なくとも1つ」又は「A、B又はCのうちの少なくとも1つ」は、それぞれ、Aのみ、Bのみ、若しくはCのみ;A、B、及びCの任意の組み合わせ;並びに/又は、A、B及びCのそれぞれのうちの少なくとも1つを意味する。
【0059】
さらに、「含む(include)」又は「有する(have)」等の用語が説明又は請求項で使用される限りにおいて、このような用語は、「備える(comprise)」が請求項において移行語として用いられた場合に解釈されるように、「備える」という用語と同様に包括的であることが意図される。本明細書では、「例示的」という語は「実例、場合又は例示として機能する」ことを意味するように使用される。本明細書で「例示的」として説明される任意の実施例は、他の実施例よりも好ましい又は有利なものとして解釈されなくてもよい。
【0060】
単数形での要素の言及は、特に述べられていない限り、「1つ及び1つのみ」を意味するのではなく、「1つ又は複数」を意味することが意図される。「いくつかの」という用語は、1つ又は複数を指す。当業者には公知であるか、又は後に公知となる本開示を通して説明される様々な構成の要素に対するすべての構造上又は機能上の均等物は、参照により本明細書に明白に組み込まれ、且つ主題技術によって包含されることが意図される。さらに本明細書に開示されたものは、そのような開示が上記の説明に明白に記載されているかどうかに関わらず、公衆に提供されることは意図されていない。
【0061】
主題技術の特定の態様及び実施例について説明してきたが、これらは実例として提示したに過ぎず、主題技術の範囲を限定するようには意図されていない。実際、本明細書で説明される新規な方法及びシステムは、それらの精神から逸脱することなく、様々な他の形態で具体化されてもよい。添付の請求項及びそれらの均等物は、主題技術の範囲及び精神内に入るような形態又は改変に及ぶことが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17