(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】スプレードリフトを低減するための組成物および方法
(51)【国際特許分類】
A01N 25/04 20060101AFI20231031BHJP
A01N 39/04 20060101ALI20231031BHJP
A01P 13/00 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
A01N25/04 102
A01N39/04 A
A01P13/00
(21)【出願番号】P 2021520251
(86)(22)【出願日】2019-06-19
(86)【国際出願番号】 AU2019050628
(87)【国際公開番号】W WO2019241838
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2022-05-16
(32)【優先日】2018-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】520503038
【氏名又は名称】ニューファーム・オーストラリア・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】シャーマ,サミット
(72)【発明者】
【氏名】ハーボトル,サイモン
【審査官】鳥居 福代
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/001346(WO,A1)
【文献】特表2011-522045(JP,A)
【文献】米国特許第06364926(US,B1)
【文献】国際公開第97/015187(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0302409(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第102696611(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性殺有害生物剤塩と、タンパク質および脂肪酸を含むドリフト低減剤とを含み、脂肪酸の濃度が前記溶液濃縮物1L当たり5g以上である、スプレー施用のための水性殺有害生物剤溶液濃縮物
であって、
ここで、前記脂肪酸は、C
6
~C
22
脂肪酸またはその塩であり、および
前記タンパク質は、カゼイン、アルブミン、ラクトアルブミン、乳清タンパク質、ダイズタンパク質分離物、エンドウタンパク質、穀物のタンパク質、ウシのタンパク質、またはこれらの塩もしくは組合せから選択される、
前記殺有害生物剤溶液濃縮物。
【請求項2】
前記タンパク質が、溶液濃縮物1L当たり0.1g以上で存在する、請求項1に記載の殺有害生物剤溶液濃縮物。
【請求項3】
タンパク質:脂肪酸の重量比が、1:500から1:1までの範囲である、請求項1または2に記載の水性殺有害生物剤溶液濃縮物。
【請求項4】
前記脂肪酸が、5g/Lから300g/Lまでの範囲の量で存在する、請求項1から3のいずれか一項に記載の水性殺有害生物剤溶液濃縮物。
【請求項5】
前記タンパク質が、0.1g/Lから100g/Lまでの量で存在する、請求項1から4のいずれか一項に記載の水性殺有害生物剤溶液濃縮物。
【請求項6】
前記水溶性殺有害生物剤塩が、除草剤、植物成長調整物質および殺線虫剤からなる群から選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載の水性殺有害生物剤溶液濃縮物。
【請求項7】
前記水溶性殺有害生物剤塩が、カルボン酸塩、ホスホン酸塩、スルホン酸塩またはこれらの混合物から選択される塩の形態の有機酸系殺有害生物剤であり、前記水溶性殺有害生物剤塩が、アルカリ金属対イオン、アンモニア対イオン、アミン対イオン、およびこれらの混合物から選択される塩対イオンを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の水性殺有害生物剤溶液濃縮物。
【請求項8】
前記水溶性殺有害生物剤
塩が、前記水溶性殺有害生物剤
塩の活性イオンを基準にして50g/L以上の量で存在する、請求項1から7のいずれか一項に記載の水性殺有害生物剤溶液濃縮物。
【請求項9】
水溶性殺有害生物剤塩が、水溶性殺有害生物剤塩の活性イオンを基準にして少なくとも100g/Lの量で存在する、請求項1から8のいずれか一項に記載の水性殺有害生物剤溶液濃縮物。
【請求項10】
前記脂肪酸が、オレイン酸、リシノール酸、リノール酸、ヘキサン酸、ペラルゴン酸、ステアリン酸、これらの塩、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から9のいずれか一項に記載の水性殺有害生物剤溶液濃縮物。
【請求項11】
前記タンパク質が、1g/L~10g/Lの量で存在する、請求項1から10のいずれか一項に記載の水性殺有害生物剤溶液濃縮物。
【請求項12】
前記殺有害生物剤が、カルボン酸塩およびリン酸塩の形態の除草剤からなる群から選択される、請求項1から11のいずれか一項に記載の水性殺有害生物剤溶液濃縮物。
【請求項13】
前記殺有害生物剤が、芳香族酸系除草剤、有機リン系除草剤、フェノキシアルカン酸系除草剤、アリールオキシフェノキシアルカン酸系除草剤、ピコリン酸系除草剤、およびキノロンカルボン酸系除草剤からなる群から選択される1つまたは複数のものの水溶性塩から選択される、請求項1から12のいずれか一項に記載の水性殺有害生物剤溶液濃縮物。
【請求項14】
前記殺有害生物剤が、2,4-D、ジカンバ、MCPA、アミノピラリド、クロピラリド、ピクロラム、ハラウキシフェン、フロピラウキシフェン、ジクロルプロップ、メコプロップ、ジクロルプロップ-P、およびメコプロップ-Pからなる群から選択される1つ以上の酸系除草剤の水溶性塩を含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の水性殺有害生物剤溶液濃縮物。
【請求項15】
前記殺有害生物剤が、3,4,4-トリフルオロ-3-ブテン酸およびN-(3,4,4-トリフルオロ-1-オキソ-3-ブテニル)グリシンの水溶性塩からなる群から選択される殺線虫剤;エテホン、ジベレリン酸、グリホシン、マレイン酸ヒドラジド、メフルイジド、1-ナフタレン酢酸およびトリヨード安息香酸の水溶性塩からなる群から選択される植物成長調整物質、ならびに、水溶性有機リン系殺虫剤から選択される1つ以上を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の水性殺有害生物剤溶液濃縮物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、スプレードリフトが低減している、スプレー施用のための水性殺有害生物剤溶液濃縮物(aqueous pesticidal solution concentrate)、該溶液濃縮物を調製する方法、および、該濃縮物を用いてスプレードリフトを低減させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]殺有害生物剤の施用により標的外へのスプレードリフトが生じる可能性があることは、農産業および地域社会にとっての懸念事項である。スプレードリフトが生じた結果である標的外への移動は、近隣作物に悪影響を及ぼし環境への悪影響の原因となる潜在的可能性を有する。さらに、スプレードリフトの場合、所望の地域において要求される有害生物防除を達成するには、他の要因で必要になる場合より多くの化学薬品の使用を余儀なくされる可能性がある。
【0003】
[0003]スプレードリフトは、特に、スプレーノズルにより生成された微細な液滴の空中浮遊による移動が原因で生じ、その被害は、液滴が蒸発し風速や風向の急激な変化の影響を受けること(wind shear)により拡大する。サイズが150ミクロン未満、特に105ミクロン未満の小さい液滴は、かなり長い距離を進むことがある。
【0004】
[0004]スプレードリフトは、スプレー施用に先立ってスプレータンク中にて殺有害生物剤濃縮物を水で希釈する際、そこに添加物を加えることによって制御し得る。これまでは、高分子量ポリマー、例えば、多糖類ガム、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキシドおよび他の合成ポリマーなどがドリフト制御剤として使用されてきた。高分子量ポリマーは、水性溶液濃縮物(aqueous solution concentrate)への分散が難しい場合があり、結果としてスプレーノズルを詰まらせかねない。こうしたポリマーは水溶性塩殺有害生物剤とは適合性がないことも多く、その理由は、ポリマーがそのような殺有害生物剤と一緒になるとゲルを形成するからである。エステル化された種子油および鉱油も検討されてきたが、そのような油は概して溶液濃縮物中に容易に組み込むことができず、組み込めば当該濃縮物および/またはスプレー施用に先立って調製された希釈された濃縮物の安定性が損なわれる結果を伴う。
【0005】
[0005]ドリフト制御剤が殺有害生物剤に対して所定のドリフト制御レベルをもたらす量で存在できるように殺有害生物剤濃縮物中にドリフト制御剤を含ませることは、有用であろう。濃縮物中でドリフト制御剤を使用するには、保存時の濃縮物の安定性を賦与する必要があるため、さらなる課題が発生する。スプレー散布(spraying)に用いる希釈された濃縮物中よりはるかに高い担持量の殺有害生物剤および何らかのアジュバントの存在も、相分離、沈殿、ゲル形成、または、濃縮物を好都合に分配するには許容できない高い粘性につながる可能性がある不適合成分の問題を悪化させる。さらに、濃縮物中へのドリフト制御剤の組込みには、希釈された濃縮物のスプレー施用に先立って濃縮物を希釈する際に起こる相分離または沈殿などの問題が生じるというリスクが伴う。希釈時に起こる問題は、農業環境において使用される水の質が多様であることによりしばしば拡大する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
[0006]殺有害生物剤溶液濃縮物中で使用できるドリフト制御剤が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[0007]本発明者らは、水性殺有害生物剤濃縮物中のタンパク質と脂肪酸との組合せは、濃縮物の状態でも希釈時にも安定な製剤が得られることを可能にし、希釈された溶液の霧化性能に対しては、希釈された濃縮物のスプレー施用時の有意なドリフト低減をもたらすという有益な影響力をもつことを見出した。したがって、水溶性殺有害生物剤塩と、タンパク質および脂肪酸を含むドリフト低減剤とを含み、脂肪酸の濃度が5g/L以上である、スプレー施用のための水性殺有害生物剤溶液濃縮物が提供される。
【0008】
[0008]本発明の水性殺有害生物剤溶液濃縮物は、水溶性殺有害生物剤塩の、例えば水溶性塩の形態の有機殺有害生物剤などの、水性溶液濃縮物であり得る。本発明は、有機酸系殺有害生物剤、例えば、アルカリ金属塩、アンモニア塩およびアミン塩から選択される水溶性塩の形態のカルボン酸系、ホスホン酸系およびスルホン酸系殺有害生物剤のドリフト制御に特に適している。
【0009】
[0009]本発明は、さらに、本発明の水性殺有害生物剤溶液濃縮物を用いた有害生物防除のための方法であって、該水性殺有害生物剤溶液濃縮物を水で希釈するステップと、希釈した該濃縮物を、防除の対象となる有害生物の発生場所(locus)へのスプレー施用により施用するステップとを含む、方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0010]本明細書において使用される用語「殺有害生物剤」は、液体組成物の形態で一般的に施用される、殺虫剤、抗真菌剤、除草剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、植物成長調整物質(plant growth regulator)およびこれらの混合物を包含する。本発明の濃縮物において使用するための好ましい殺有害生物剤は、殺線虫剤、植物成長調整物質および除草剤、特に除草剤である。殺有害生物剤は、水溶性殺有害生物剤塩であり、例えば、除草剤酸(herbicidal acid)、植物成長調整物質および殺線虫剤の塩から選択されるものなどである。より好ましい殺有害生物剤は、除草剤酸の水溶性塩、特にオーキシン系除草剤の水溶性塩であり、例えば、安息香酸系除草剤、フェノキシ酢酸系除草剤、フェノキシ酪酸系除草剤、ピリジンカルボン酸系除草剤、フェノキシプロピオン酸系除草剤およびピコリン酸系除草剤からなる群から選択される1つまたは複数の除草剤の水溶性塩などである。
【0011】
[0011]用語「含む(comprise、comprises、comprising)」または「含まれる、構成される(comprised)」が本明細書(「特許請求の範囲」を含む)において使用される場合、これらの用語は、記載された特徴、整数、ステップまたは成分の存在を規定するものであって、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップもしくは成分またはこれらの群の存在を除外するものではないと解釈されるべきである。
【0012】
[0012]用語「スプレー混合物」は、除草剤濃縮物組成物が、スプレー施用に適した液体希釈剤中、特に水中に入った状態のものを指す。スプレー混合物は、アジュバント、例えば界面活性剤およびスプレー油を含有することができ、このようなアジュバントは、除草剤濃縮物の一部であるかスプレー混合物の調製中に添加されたものであるかのいずれか、またはその両方である。
【0013】
[0013]本明細書において使用される用語「水溶性殺有害生物剤」は、本濃縮物中で使用される濃度で水に可溶な、あらゆる殺有害生物剤を包含する。典型的には、水溶性殺有害生物剤、例えば除草剤酸の水溶性塩は、50g/L以上、例えば100g/L、150g/L以上、200g/L以上、300g/L以上、500g/L以上または600g/L以上の純水に25℃の温度で可溶性を有するであろう。
【0014】
[0014]用語「脂肪酸」は、脂肪族モノカルボン酸を指す。種々の実施形態は、一般には非分枝であり、約6個から約24個までの、例えば約8個から22個までの偶数個の炭素を含有する既知の天然型の脂肪酸がもつ脂肪族炭化水素鎖を有する脂肪酸を含むが、脂肪族炭化水素鎖中に12個から18個までの炭素を有する脂肪酸を含む実施形態もある。本発明の実施形態は、天然型の脂肪酸だけでなく非天然型の脂肪酸も包含し、これらの脂肪酸は奇数個の炭素を含有してもよい。したがって、本発明のいくつかの実施形態では、脂肪酸は、奇数個の炭素、例えば7個から23個までの炭素を有し、他の実施形態では、11個から19個までの炭素を有する。
【0015】
[0015]種々の実施形態における脂肪酸の脂肪族炭化水素鎖は、不飽和であり得る。用語「不飽和」は、1つ以上の二重結合および/または置換基をもつ脂肪族炭化水素鎖を有する脂肪酸を指す。これに対し、「飽和」炭化水素鎖は、二重結合も置換基も一切もたない。したがって、炭化水素鎖の各炭素は、「飽和」しており、最大数の水素を有する。
【0016】
[0016]本明細書において使用される用語「アジュバント」は幅広い用語であり、当技術分野の当業者にはその通常かつ慣習的な意味で受け取られるべきであり(したがって特別または独自の意味に限定されるべきではない)、限定するものではないが、他の薬剤の効果を修飾する、より特定すれば、殺有害生物剤の実効性を高めるまたは混合物の物理的性質を改変するために使用される、薬剤を指す。
【0017】
[0017]殺有害生物剤濃縮物は、典型的には、水性液体担体を含む。用語「液体担体」は、脂肪酸もタンパク質も界面活性剤などのアジュバントも含まない水性の担体を指すために使用される。液体担体は、水、および、任意で、液体担体の約0重量%から約50重量%までの量の共溶媒であり得る。いくつかの実施形態において、アルコールまたはグリコールなどの共溶媒の存在は、殺有害生物剤の濃度およびその水溶性によっては、濃縮物組成物の安定化を助けるために有用である。オーキシン系除草剤の水溶性塩の場合は、共溶媒は必要でない可能性もあり、または共溶媒が存在するとしても、その量は一般的に、例えば液体担体の5重量%以下に限定され得る。
【0018】
[0018]脂肪酸は、塩の形態、例えば、アルカリ金属塩(特に、リチウム、カリウムもしくはナトリウム塩、またはこのような塩の混合物)、アンモニア塩またはアミン塩のうちの1つ以上であってよい。さらに、脂肪酸は、異なる個々の脂肪酸の混合物、例えば、天然型の脂肪酸においてよく見られるそうした混合物を含んでもよい。また、溶液のpHおよび溶液中の対イオンの存在によっては、種々の脂肪酸塩が溶液を形成する場合があることも理解されよう。
【0019】
[0019]本発明の殺有害生物剤溶液濃縮物は、水溶性殺有害生物剤塩である活性物質と、タンパク質および脂肪酸を含むドリフト低減剤とを含む。
[0020]殺有害生物剤活性物質は、水溶性であるか、または水に可溶な形態であり、溶液濃縮物は水性溶液濃縮物である、すなわち、活性物質は溶液中に存在する。殺有害生物剤は、水溶性塩の形態で、例えば、アルカリ金属や、アンモニアおよびアミンから選択されるものなどの窒素塩基またはこれらの混合物で形成される、殺有害生物剤酸の塩の形態で、存在し得る。
【0020】
[0021]本発明の殺有害生物剤溶液濃縮物中での殺有害生物剤の濃度は、殺有害生物剤の可溶性および有効性によって決まってこよう。典型的には、殺有害生物剤は、50g/L以上、例えば、100g/L以上、150g/L以上、200g/L以上、300g/L以上、400g/L以上または500g/L以上の量で存在するであろう。殺有害生物剤酸の水溶性塩の形態である殺有害生物剤の場合は、対応する塩濃度は、溶液濃縮物1リットル当たりの塩の酸当量グラム(gram of acid equivalent)を単位として表され得る。
【0021】
[0022]ドリフト低減剤は、タンパク質および脂肪酸を含む。組成物中におけるタンパク質および脂肪酸の濃度は、他の成分の存在、および、当該組成物の推奨されるスプレー施用法において要求されるドリフト低減度、例えば、殺有害生物剤のスプレー施用に用いられることになる水での希釈度などによって決まってこよう。一連の実施形態において、ドリフト低減剤は、タンパク質を100g/L以下、好ましくは30g/L以下、例えば、0.1g/L~30g/L、0.5g/L~20g/L、または1g/L~15g/Lの量で、および、脂肪酸を300g/L以下、例えば、5g/L~300g/L、10g/L~300g/L、20g/L~250g/L、または50g/L~250g/Lの量で、含む。殺有害生物剤をスプレー散布するために形成された希釈された組成物においては、ドリフト低減剤の濃度が、濃縮物における濃度からきわめて顕著に低減されることは理解されよう。
【0022】
[0023]好ましい脂肪酸は、C6~C22脂肪酸またはその塩であり、飽和または不飽和脂肪酸であり得る。一連の実施形態において、脂肪酸は、C8~C22脂肪酸もしくはその塩、好ましくはC14~C20脂肪酸もしくはその塩、またはこれらの組合せである。C6~C22脂肪酸またはその塩の例としては、オレイン酸、リシノール酸、リノール酸、ヘキサン酸、ラウリン酸、デカン酸、ペラルゴン酸、ステアリン酸、これらの塩およびその混合物が挙げられる。一連の実施形態において、脂肪酸は、エチレン系不飽和脂肪酸である。不飽和C16~C20脂肪酸(特に、C16~C18脂肪酸)は、タンパク質と組み合わせた場合にスプレードリフト低減において良好に機能することが見出された。例えば、具体的な例において、本発明者らは、殺有害生物剤溶液濃縮物が、オレイン酸、リシノール酸、リノール酸から選択される脂肪酸、その塩およびその混合物を有することが効果的であることを見出した。
【0023】
[0024]本発明の殺有害生物剤溶液濃縮物は、ドリフト低減剤の一部として、タンパク質を含む。さまざまな起源に由来するタンパク質、例えば、植物性および動物性タンパク質が使用され得る。タンパク質の例は、乳性タンパク質(例えば、カゼイン、カゼインナトリウム、カゼインカルシウム、ラクトアルブミン、粉乳、乳清タンパク質)、植物性タンパク質(例えば、コムギ由来などのグルテン、ダイズ抽出物、ピーナッツ抽出物、ゼイン)、動物性タンパク質(例えば、魚、肉および卵タンパク質)である。特に好適なタンパク質の例は、カゼイン、アルブミン、ラクトアルブミン、乳清タンパク質、ダイズタンパク質分離物、穀物のタンパク質、またはこれらの塩もしくは組合せから選択され得る。カゼイン酸ナトリウムは、ドリフト低減剤のタンパク質成分として好都合な選択肢であることが見出された。
【0024】
[0025]本発明の殺有害生物剤溶液濃縮物は、さまざまな比でのタンパク質と脂肪酸との組合せを含有することが可能であり、特定の溶液濃縮物については、タンパク質:脂肪酸の最適比は容易に決定できる。一連の実施形態において、タンパク質対脂肪酸の重量比は、1:500から1:1まで、好ましくは1:100から1:5までの範囲である。
【0025】
[0026]本発明の殺有害生物剤溶液濃縮物中に存在する殺有害生物剤活性物質は、一般的には、水性の濃縮物に可溶である。共溶媒は、必要に応じ、可溶性を改善するために存在し得る。一連の実施形態において、殺有害生物剤活性物質は、殺有害生物剤酸と適当な陽イオンである対イオンとの塩の形態の水溶性殺有害生物剤である。そのような殺有害生物剤の例は、酸性基、例えば、カルボン酸、ホスホン酸、スルホン酸などを含み、殺有害生物剤は、例えばアルカリ金属、アンモニアおよびアミンから選択される対イオンを含み得る。
【0026】
[0027]アルカリ金属対イオン(alkali metal counter ion)の例としては、ナトリウム、カリウムおよびリチウムイオンが挙げられる。
[0028]一実施形態においては、殺有害生物剤塩は、酸系殺有害生物剤、例えばオーキシン系除草剤と窒素塩基とで形成される塩である。窒素塩基は、さまざまな化合物、例えば式Iの化合物から選択され得る:
【0027】
【0028】
[式中、
R1は、水素、C1~C10アルキル、C1~C10アルカノールおよびC1~C10アミノアルキルからなる群から選択され;
R2およびR3は、水素、C1~C6アルキル、C1~C6アルカノール、C1~C6アミノアルキル、ならびに、R2とR3とが一緒になって、式Iに記載の窒素と任意で環構成員としてOおよびNから選択されるさらなるヘテロ原子とを含有する5または6員の複素環を完成させておりC1~C6アルキルにより置換されていてもよい基からなる群から独立に選択される。R2とR3とが複素環を完成させている式Iの化合物の例としては、ピペラジン、モルホリン、およびそれらのN-アルキル誘導体が挙げられる。
【0029】
[0029]1つ以上の窒素塩基が好ましくは存在し、一実施形態においては、1つ以上の窒素塩基は、アンモニア、C1~C10アルキルアミン、ジ(C1~C6アルキル)アミン、トリ(C1~C6アルキル)アミン、C1~C10アルカノールアミン、C1~C6アルキル(C1~C6アルカノール)アミンおよびジ(C1~C6アルキル)(C1~C6アルカノール)アミンからなる群から選択される1つ以上を含む。
【0030】
[0030]窒素塩基は、一連の実施形態において、アンモニア、C1~C10アルキルアミン、ジ(C1~C4アルキル)アミン、トリ(C1~C4アルキル)アミン、C1~C10アルカノールアミン、C1~C4アルキル(C1~C4アルカノール)アミンおよびジ(C1~C4アルキル)(C1~C4アルカノール)アミンからなる群から選択される1つ以上を含有する。
【0031】
[0031]別の実施形態において、アミンは、脂環式アミンであって、例えば、1つ以上の環窒素と任意で別のヘテロ原子、例えば窒素または酸素とを含む5および6員の脂肪族環であり置換されていてもよい脂環式アミンを包含する。
【0032】
[0032]容易に入手可能な窒素塩基の具体例としては、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、トリプロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、イソブチルアミン、ジイソブチルアミン、トリイソブチルアミン、1-メチルプロピルアミン(D,L)、ビス(1-メチル)プロピルアミン(D,L)、1,1-ジメチルエチルアミン、ペンチルアミン、ジペンチルアミン、トリペンチルアミン、2-ペンチルアミン、3-ペンチルアミン、2-メチルブチルアミン、3-メチルブチルアミン、ビス(3-メチルブチル)アミンおよびトリス(3-メチルブチル)アミン、ジグリコールアミン、イソホロンジアミンならびにアミノメチルピペラジンからなる群から選択される窒素塩基が挙げられる。
【0033】
[0033]さらなる一実施形態において、殺有害生物剤活性物質は、酸性基、例えば、カルボン酸、ホスホン酸、スルホン酸などを含み、殺有害生物剤は、第四級アミン、例えば式IIの第四級アミンである対イオンを含む
【0034】
【0035】
(式中、R1、R2およびR3は、式Iについて定義されている通りであり、R4は、式IのR1について定義されている通りである)。第四級アミンの具体例としては、テトラ(C1~C4アルキル)アミン、例えばテトラメチルアンモニウムが挙げられる。
【0036】
[0034]好ましい一連の実施形態において、水溶性殺有害生物剤塩は、50g/L以上かつ750g/L以下、好ましくは150g/L以上かつ750g/L以下、より好ましくは300g/L以上、例えば500g/L以上の量で存在する。この場合の量は、殺有害生物剤として活性なイオンを基準にしたものであり、例えば酸当量(gae/L)である。
【0037】
[0035]本発明の殺有害生物剤溶液濃縮物中に存在する殺有害生物剤は、一実施形態においては、除草剤、好ましくは、水溶性除草剤、例えば、除草剤酸の塩であり、この場合の除草剤は、例えば、除草剤中に存在するカルボン酸、リン酸、ホスホン酸およびスルホン酸基の塩の形態であり得る。
【0038】
[0036]酸系除草剤の塩は、芳香族酸系除草剤、有機リン系除草剤、チアジアジノン(thiadiazinone)、フェノキシアルカン酸系除草剤、アリールオキシフェノキシアルカン酸系除草剤、ピコリン酸系除草剤、キノロンカルボン酸系除草剤およびこれらのうち2つ以上で構成される混合物からなる群から選択される1つまたは複数のものの塩から選択され得る。より好ましい除草剤は、オーキシン系除草剤、例えば、芳香族酸系除草剤、フェノキシアルカン酸系除草剤、ピコリン酸系除草剤およびこれらのうち2つ以上で構成される混合物である。
【0039】
[0037]塩対イオンは、例として、アルカリ金属塩、例えばカリウムもしくはナトリウム塩または窒素塩対イオン、例えばアンモニアまたはアミン、例えば第一級、第三級もしくは第四級アミン塩の対イオンであり得る。アミン対イオンの具体例は、前述の式Iの対イオンである。
【0040】
[0038]容易に入手可能な窒素塩基の具体例としては、限定されないが、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、テトラメチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、トリプロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、イソブチルアミン、ジイソブチルアミン、トリイソブチルアミン、1-メチルプロピルアミン(D,L)、ビス(1-メチル)プロピルアミン(D,L)、1,1-ジメチルエチルアミン、ペンチルアミン、ジペンチルアミン、トリペンチルアミン、2-ペンチルアミン、3-ペンチルアミン、2-メチルブチルアミン、3-メチルブチルアミン、ビス(3-メチルブチル)アミン、トリス(3-メチルブチル)アミン、N,N-ビス(3-アミノプロピル)メチルアミン、ジグリコールアミン、イソホロンジアミンおよびアミノピペラジン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロパノールアミン、エチルアミン、ベンジルアミン、トリイソプロパノールアミン(triisiopropanolamine)、ブチルイソプロパノールアミン、N-(β-アミノエチル)エタノールアミン、N-メチルモノエタノールアミン、N-エチルモノエタノールアミン、N-ブチルモノエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミンおよびN-ブチルジエタノールアミン、アミノメチルプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオールならびに2-アミノ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-1,3-ジオールからなる群から選択される窒素塩基が挙げられる。
【0041】
[0039]好ましい窒素塩基の具体例は、アンモニア、メチルアミン、イソプロピルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、ジメチルエタノールアミンおよびジグリコールアミンからなる群から選択され得る。
【0042】
[0040]特定の一実施形態において、殺有害生物剤は、安息香酸系除草剤、イミダゾリノン、チアジアジノン、フェノキシ酢酸系除草剤、フェノキシ酪酸系除草剤、フェノキシプロピオン酸系除草剤、ピコリン酸系除草剤および有機リン系除草剤、安息香酸系除草剤、イミダゾリノン、チアジアジノン、フェノキシ酢酸系除草剤、フェノキシ酪酸系除草剤、フェノキシプロピオン酸系除草剤、ピコリン酸系除草剤、特に、2,4-D、ジカンバ、アミノピラリド、クロピラリド、ピクロラム、ハラウキシフェン、フロピラウキシフェン(flopyrauxifen)、ジクロルプロップ、メコプロップ、ジクロルプロップ-P、メコプロップ-P、ベンタゾン、イマザモックス、イマザピル、グリホセートおよびグルホシネートからなる群から選択される酸系除草剤の1つ以上の水溶性塩を含む。
【0043】
[0041]特に好適な水溶性除草剤としては、オーキシン系除草剤、例えば、3,6-ジクロロ-2-メトキシ安息香酸(ジカンバ)、2,4-D、クロメプロップ;ジクロルプロップ;ジクロルプロップ-P、MCPA;MCPB;メコプロップ;メコプロップ-P;クロラムベン;TBA、ピクロラム、クロピラリド、アミノピラリドおよびこれらのうち2つ以上で構成される混合物の水溶性塩が挙げられる。
【0044】
[0042]一実施形態においては、組成物は、3,6-ジクロロ-2-メトキシ安息香酸(ジカンバ)、2,4-D、クロメプロップ;ジクロルプロップ;ジクロルプロップ-P、MCPA;MCPB;メコプロップ;メコプロップ-P;クロラムベン;TBA、ピクロラム、クロピラリドまたはアミノピラリドからなる群から選択される2つ以上の除草剤の混合物を含む。そのような混合物の具体例としては、(a)ジカンバ、ジクロルプロップ-Pおよび2,4-D、(b)MCPAおよびメコプロップ-P、(c)ジカンバおよびジクロルプロップ-P、(d)2,4-Dおよびジクロルプロップ-P、ならびにe)2,4-Dおよびメコプロップ-Pが挙げられる。
【0045】
[0043]一連の実施形態における殺有害生物剤溶液濃縮物は、除草剤酸の水溶性除草剤塩を含み、ここで、除草剤塩は、溶液濃縮物1リットル当たりの除草剤酸当量(gae/L)を基準にして、50g/L以上、例えば、100g/L以上、150g/L以上、200g/L以上、300g/L以上、500g/L以上または600g/L以上かつ典型的には750g/L以下の量で存在する。
【0046】
[0044]本発明は、2,4-D、ジカンバおよびこれらの混合物の塩から選択される、殺有害生物剤溶液濃縮物タイプの殺有害生物剤を用いて使用するのに特に適しており、この場合の塩は、アミン塩から選択される。そのような組成物の1つの具体例としては、米国特許第9,179,673号のオーキシン系除草剤組成物が挙げられる。その記載内容が参照により本明細書に組み込まれる同文献は、2,4-Dおよび/またはジカンバであるオーキシン系除草剤の溶液を含みモノメチルアミンおよびジメチルアミン対イオンを含有する水性の液体除草剤組成物であって、モノメチルアミン対ジメチルアミンのモル比が、20:1から1:1まで、好ましくは20:1から7:3まで、さらにより好ましくは20:1から4:1まで、1:20から4:6の範囲であり、オーキシン系除草剤の濃度が、除草剤酸当量を基準にして500g/L以上である、水性の液体除草剤組成物を開示している。
【0047】
[0045]水溶性殺有害生物剤としては、一定の殺線虫剤および植物成長調整物質が挙げられる。本発明において用いられ得る例示的な水溶性殺線虫剤としては、3,4,4-トリフルオロ-3-ブテン酸およびN-(3,4,4-トリフルオロ-1-オキソ-3-ブテニル)グリシンの水溶性塩が挙げられる。
【0048】
[0046]本発明において用いられ得る例示的な水溶性植物成長調整物質としては、エテホン、ジベレリン酸、グリホシン、マレイン酸ヒドラジド、メフルイジド、1-ナフタレン酢酸およびトリヨード安息香酸の水溶性塩が挙げられる。
【0049】
[0047]水溶性殺虫剤としては、例えば、水溶性有機リン系殺虫剤、例えばアセフェートおよびメタミドホスを挙げ得る。
[0048]当業者であれば、これらの殺有害生物剤は、ラベルに書かれた使用比率で水と混合された場合に溶解するだけの十分な水溶性を呈するということを容易に理解するであろう。
【0050】
[0049]本発明の組成物の殺有害生物剤成分は、異なる有害生物種、例えば、2種類以上の雑草および線虫の混在を防除するための殺有害生物剤の混合物を含み得る。一実施形態において、殺有害生物剤は、除草剤の混合物、例えば、安息香酸系除草剤、イミダゾリノン、フェノキシ酢酸系除草剤、フェノキシ酪酸系除草剤、フェノキシプロピオン酸系除草剤、ピリジンカルボン酸系除草剤、ピコリン酸系除草剤および有機リン系除草剤からなる群から選択される2つ以上の除草剤酸の塩、特に、2,4-D、MCPA、ジカンバ、アミノピラリド、クロピラリド、ピクロラム、ハラウキシフェン、フロピラウキシフェン、ジクロルプロップ、メコプロップ、ジクロルプロップ-P、メコプロップ-P、イマザモックス、イマザピル、ベンタゾン、グリホセートおよびグルホシネートのうち2つ以上の水溶性塩を含み得る。このような組合せの使用により、施用の実用性が改善され得る。混合物の具体例としては、グリホセートの塩と、安息香酸系除草剤、イミダゾリノン、フェノキシ酢酸系除草剤、フェノキシ酪酸系除草剤、フェノキシプロピオン酸系除草剤、ピリジンカルボン酸系除草剤、ピコリン酸系除草剤および有機リン系除草剤、特に、2,4-D、MCPA、ジカンバ、アミノピラリド、クロピラリド、ピクロラム、ハラウキシフェン、フロピラウキシフェン、ジクロルプロップ、メコプロップ、イマザモックス、イマザピルのうち1つまたは複数の塩との混合物が挙げられる。別の実施形態において、混合物は、2,4-D、MCPA、ジカンバ、アミノピラリド、クロピラリド、ピクロラム、ハラウキシフェン、フロピラウキシフェン、ジクロルプロップ、メコプロップ、ジクロルプロップ-P、メコプロップ-P、イマザモックスおよびイマザピルのうち2つ以上を含む。
【0051】
[0050]本発明の濃縮物組成物は必要に応じて、共溶媒を、例えば、水性液体担体の50重量%以下の量で含有し得る。したがって、共溶媒は、いくつかの実施形態では、水性液体担体の0重量%から50重量%まで、例えば、0重量%~35重量%、0重量%~30重量%、または0重量%~25重量%である。多くの場合、例えばある種の高度に水溶性のオーキシン塩の場合は、共溶媒を使用しなくても高い担持量の除草剤酸当量が得られることから水が唯一の液体担体となるようにすることができるが、必要に応じて共溶媒を使用し得る。水溶性は、塩対イオンおよび/または殺有害生物剤酸の性質に依存して大幅に変動する可能性があり、場合によっては、共溶媒が、殺有害生物剤の所望の担持量に見合う安定性の獲得を助けることがある。したがって、いくつかの実施形態において、例えば、オーキシン系除草剤のある種の水溶性塩の場合は、共溶媒は5重量%以下または2重量%以下であってよく、組成物は共溶媒を含まなくてもよい。他の実施形態では、共溶媒の存在は組成物の安定性にとって有利な場合があり、共溶媒は、殺有害生物剤の担持量および水溶性によっては、例えば5重量%~35重量%、または15重量%~30重量%の量で存在し得る。
【0052】
[0051]任意の共溶媒の性質は、殺有害生物剤を基準にして選び得る。いくつかの事例においては、アルコール溶媒またはグリコールが有用であることが見出されている。
[0052]本発明の濃縮物組成物は、陰イオン性、陽イオン性、非イオン性、両性界面活性剤およびこれらの混合物から選択され得る界面活性剤を必要に応じて含有し得る。典型的には、界面活性剤成分は、組成物の15重量%以下(例えば、0重量%~10重量%)または10重量%以下(例えば、0重量%~5重量%)を占めることになろう。多くの場合、例えばオーキシン系除草剤の塩の場合は、殺有害生物剤担持量を最適化するためには、界面活性剤をほとんどまたはまったく有さないことが好ましい場合がある。
【0053】
[0053]本発明の殺有害生物剤溶液濃縮物は、脂肪酸を含む。脂肪酸は、溶液濃縮物中に5g/L以上で存在する。典型的には、脂肪酸は、約300g/L以下の量で存在する。本発明者らは、以下で実証されるように、0.1重量%などきわめて小量の脂肪酸は、カゼインなどのタンパク質と組み合わせて使用されるかどうかによらず、スプレードリフトの制御には効果がないことを見出した。好ましくは、脂肪酸は、10g/L~300g/L、例えば、20g/L~250g/L、または、最も好ましくは50g/L~250g/Lの量で存在する。タンパク質は、0.1g/Lから100g/Lまで、好ましくは0.5g/Lから20g/Lまで、より好ましくは1g/Lから15g/Lまで、例えば1g/L~10g/Lの量で存在し得る。
【0054】
[0054]本発明者らは、ドリフト低減剤の実効性、および安定性は、溶液濃縮物を水中の1%試料として決定される、組成物のpHによって変動し得ることを見出した。一般的には、pHは、3.5から9まで、好ましくは5.5から8.0までの範囲である。
【0055】
[0055]本発明の殺有害生物剤溶液濃縮物組成物は、希釈およびスプレー施用時にスプレーを形成するが、この微細スプレーにおいては、殺有害生物剤による防除に使用される施用量(application rate)でテストしたときの、直径が150μmを下回る、特に105μm未満である液滴の割合が、ドリフト低減成分を含まない組成物の値より低下している。
【0056】
[0056]本発明は、さらに、本発明の水性殺有害生物剤溶液濃縮物を用いた有害生物防除のための方法であって、該水性殺有害生物剤溶液濃縮物を水で希釈するステップと、希釈した該濃縮物を、防除の対象となる有害生物の発生場所へのスプレー施用により施用するステップとを含む、方法を提供する。
【0057】
[0057]本発明の方法は、水性除草剤溶液濃縮物の希釈により形成されるスプレー混合物を、防除の対象となる雑草の発生場所に施用することを包含する。スプレー混合物が施用される最適な施用量は、除草剤の有効性に影響する可能性のある特定の製剤、除草剤、およびアジュバントが存在する場合はアジュバントによって決まってこよう。一連の実施形態において、本方法は、スプレー混合物を、除草剤の1ヘクタール当たりの施用量30gae/ha~5000gae/ha、特に40gae/ha~2000gae/ha、例えば100gae/ha~1000gae/haの範囲で施用することを含む。
【0058】
[0058]一連の実施形態において、本方法は、除草剤塩の濃度が0.01重量%~20重量%、好ましくは1重量%~10重量%である、本発明の濃縮物から形成されたスプレー混合物を施用することを含む。
【0059】
[0059]一連の実施形態において、本方法は、本発明の濃縮物組成物をスプレーアジュバント、特にスプレー油および希釈剤、典型的には水と混合することにより除草剤のスプレー混合物を形成するステップを含む。スプレー油の例としては、パラフィン系のスプレー油、植物由来の油、例えば、植物油および植物油エステル、例えば植物油のメチルおよびエチルエステルが挙げられる。一実施形態においては、スプレー油は、例えば50%~98%の油量の、パラフィン油、ナフサベースの石油、植物ベースの油などの油と、乳化剤および/または湿潤剤として機能する、例えば1重量%~40重量%の1つまたは複数の界面活性剤とを含有する。別の実施形態において、スプレー油は、60~85%の乳化可能な油、例えばパラフィン油、ナフサベースの石油、植物ベースの油と、15~40%の非イオン性界面活性剤とを含有し得る。一実施形態では、スプレー油は、パラフィン油を含む。
【0060】
[0060]「植物油濃縮物」として正確に特定される製品は、典型的には、60~85%の植物油(すなわち、種子または果実油、最も一般的には、綿、アマニ、ダイズまたはヒマワリに由来するもの)と15~40%の非イオン性界面活性剤とからなる。アジュバントの性能は、植物油を、典型的には植物油に由来する脂肪酸のエステル、例えばメチルまたはエチルエステルに置き換えることにより、改善されることが可能である。スプレー混合物に添加される油ベースのアジュバントの量は、一般的には約2.5体積%を超えず、より典型的には、その量は、約0.1体積%から約1体積%までである。スプレー混合物に添加される油ベースのアジュバントの施用量は、典型的には、1ヘクタール当たり約250mlから5Lまでの間、例えば、1ヘクタール当たり1L~約5Lであり、メチル化種子油ベースのアジュバントは、特に、1ヘクタール当たり約1Lから約2.5Lまでの施用量で典型的には使用される。
【0061】
[0061]油を含有するスプレーアジュバントは、乳化剤が含有されていてもいなくてもよく、特に、メチル化種子油またはエチル化種子油は、スプレー混合物において特に適合性がある。したがって、本発明の一実施形態は、スプレー混合物を形成することをさらに含む、雑草を防除するための混合物または方法に関する。スプレー混合物を形成するステップは、本発明の濃縮物組成物を水および任意でアジュバントと混合することを包含し得る。好ましい一態様においては、スプレー油などのアジュバントが使用され、スプレー油は、クロップオイル濃縮物(crop oil concentrate)または植物油濃縮物、例えば、エステル化種子油、例えばメチル化またはエチル化種子油であり得る。本発明の方法は、アジュバントをスプレー混合物に添加すること(任意の順序での添加または混合)、および、標的雑草の防除に効果的な量のスプレー混合物と作物とを接触させることを包含し得る。
【0062】
[0062]濃縮物の体積対濃縮物の希釈に使用される水の体積の比は、一般的に、約1:10から約1:5000まで、より典型的には約1:20から約1:2000までの範囲である。効果的な防除に必要な希釈されたスプレー混合物の量は、濃縮物の濃度、他のアジュバントの存在および濃度、水での希釈度などのさまざまな因子によって決まる。これらの条件は、当業者による計算および簡単な実験作業により決定することができる。
【0063】
[0063]一連の実施形態において、スプレー油は、雑草内部への除草剤の浸透を強化する脂肪酸または脂肪酸誘導体、例えば、メチルまたはエチルエステル誘導体を含む。スプレー油は、本質的に、非イオン性、陰イオン性または陽イオン性である界面活性剤を含み得る。一実施形態においては、スプレー油は、非イオン性界面活性剤、例えば、アルコキシル化アルキルアルコール界面活性剤を含む。好ましい一実施形態において(in one preference)、スプレー水中のスプレー油の濃度は、水100L当たりスプレー油200ml~1000mlの範囲、好ましくは水100L当たり300ml~700mlの範囲、さらにより好ましくは水100L当たり約500mlである。
【0064】
[0064]さらなる一実施形態において、本方法は、タンク混合として当技術分野において公知の方法ステップにより、さらなる除草剤をスプレー混合物中に含ませることを含み得る。例えば、一実施形態において、本方法は、オーキシン系除草剤塩およびタンク混合されたさらなる活性物質またはアジュバントを含む本発明の濃縮物からスプレー混合物を形成することを含み、さらなる活性物質またはアジュバントは、除草剤、殺虫剤、抗真菌剤、植物成長調節剤、毒性緩和剤、硫酸アンモニウムまたは液体肥料であり得る。除草剤のタンク混合では、さらなるオーキシン系除草剤、例えば先述したもの、および、有機リン系除草剤、例えば、グリホセート、グルホシネートおよびグルホシネート-Pからなる群から選択される除草剤を組み込んでもよい。
【0065】
[0065]次に、以下の実施例を参照して、本発明を説明する。実施例は、本発明の例証のために提供するものであり、本発明の範囲を限定するものでは決してないということは理解されたい。
【実施例】
【0066】
[0066]本実施例において言及する場合、殺有害生物剤酸の塩の殺有害生物剤塩形態での濃度は、酸当量の濃度を基準としている。
[0067]
実施例1(比較例)
[0068]目的:種々異なる油を含有する2,4-D DMA MMA塩含有水性製剤を調製および評価すること。
【0067】
【0068】
[0069]表1: 2,4-D DMA MMA水性塩と種々異なる油とを含有する試験混合物(1 ストックは、4g/Lのカゼイン、および、DMA MMA塩可溶性濃縮物としての700g/Lの2,4-Dを含有する)。
【0069】
[0070]ストック溶液中の2,4-Dの濃度は、56.72%w/wである。カゼインは、ストック中に0.324%w/wの量で存在する。
[0071]手順:表1に示す通りの、油および2,4-D DMA MMAストック製剤を含有する物理的混合物を調製した。所要量の2,4-Dアミンストックおよび油を100mlメスフラスコに移し、水道水を足して所定の体積にした。メスフラスコを振とうさせて内容物を混合した。混合物について、物理的外観を確認し、水道水に5%v/v希釈した場合の希釈特性を調べた。
【0070】
[0072]観察
[0073]すべての混合物(表1に示すもの)は煙霧状の外観であり、このことは、これらの油は2,4-D DMA MMA水溶液に不溶であることを示している。すべての混合物は、保存中に相分離を示した。これらの混合物は、5%v/v希釈の条件で水道水に添加した際にも相分離を呈したことから、好適な製剤ではなかった。
【0071】
[0074]油を含有する2,4-Dアミン組成物を安定化させるために、界面活性剤を用いた追加製剤試験を実施した。
[0075]
実施例2(比較例)
[0076]目的:界面活性剤および油を含有する2,4-D DMA MMA塩含有水性製剤を調製および評価すること。
【0072】
【0073】
[0077]表2: 2,4-D DMA MMA水性塩、種々異なる油および界面活性剤を含有する試験混合物(2 ストックは、4g/Lのカゼイン、および、DMA MMA塩可溶性濃縮物としての700g/Lの2,4-Dを含有する)。
【0074】
[0078]手順:表2に示す通りの、油、界面活性剤および2,4-D DMA MMAストック製剤を含有する物理的混合物を調製した。所要量の2,4-Dアミンストックおよび油を200mlメスフラスコに移し、水道水を足して所定の体積にした。メスフラスコを振とうさせて内容物を混合した。混合物について、物理的外観および保存中の均質性を確認した。
【0075】
[0079]観察
[0080]水性2,4-D DMA MMA、界面活性剤および油を含有する混合物すべてが不安定であり、急速に分離した。この試験結果は、油および脂質を2,4-Dアミン水性塩中に容易に組み込むことはできず、組み込めば濃縮物の安定性および製剤の希釈特性が損なわれる結果を伴うことを示した。
【0076】
[0081]
実施例3(比較例)
[0082]ポリマーを用いた試験
[0083]水性2,4-D DMA MMAおよび合成ポリエチレンオキシドポリマーを含有する組成物も、表3に示す通りに試作した。
【0077】
【0078】
[0084]表3: 2,4-D DMA MMA水性塩およびポリマーを含有する試験混合物。
[0085]手順
[0086]0.62gのポリエチレンオキシドを150mLの水に添加し、水和するまで穏やかに撹拌させて、均質な粘稠溶液を得た。カゼインを2,4-D、DMAおよびMMAと共にこの溶液に添加し、均質な溶液が得られるまで撹拌させた。最後に、この溶液に水を足して1Lにした。
【0079】
[0087]観察
[0088]混合物は保存中に沈殿の発生を呈したことから、安定な組合せではなかった。
[0089]
実施例4
[0090]目的:2,4-D DMA MMA水性濃縮物へのオレイン酸の混和性をアセスメントすること。
【0080】
[0091]手順:本試験では、ジメチルアミンおよびモノメチルアミンとしての700gae/Lの2,4-Dと4g/Lのカゼインとを含有するストック製剤を使用した。オレイン酸の形態の脂肪酸(Palmac 750、成分は72%w/wのC18:1)および2,4-D DMA MMAストック製剤を表4に示す通りに含有する物理的混合物を調製した。所要量の2,4-Dストック製剤を20mlガラスバイアルに移した。次いで、磁気撹拌棒(Magnetic flea)をバイアルに入れ、低速で撹拌するように設定した。撹拌しながら、次いで所要量のオレイン酸を各バイアルに滴加した。
【0081】
[0092]合わせたものを30分間混合し、物理的外観についてモニタリングした。目視検査では、この溶液は清澄であり、室温では混濁、分離または沈殿いずれの徴候もないことが示された。混合物を、希釈特性および作製された安定な希釈物についてテストした。
【0082】
【0083】
[0093]表4:量を変化させた2,4-D DMA MMA水性塩およびオレイン酸を含有する試験混合物。(4 ストックは、4g/Lのカゼイン、および、DMA MMA塩可溶性濃縮物としての700g/Lの2,4-Dを含有する)。
【0084】
[0094]ストック溶液中の2,4-Dの濃度は、56.72%w/wである。カゼインは、ストック中に0.324%w/wの量で存在する。
[0095]観察およびコメント
・混合物1~3(表4に示すもの)は、清澄な物理的混合物となり、視認できる固体はみられなかった。
【0085】
・すべての組合せを希釈安定性についてテストした(5%v/v、公称20ppm硬度のMelbourne水道水中)。混合物No.2およびNo.3は、希釈した際、特に効果的な乳剤を形成した。
【0086】
・2,4-D DMA MMAを含有するストック製剤にオレイン酸を添加することにより、アミン臭の相当大きな低減が達成された。混合物No.1におけるアミン臭の低減は、わずかであった。混合物No.2およびNo.3におけるアミン臭は、オレイン酸を含有しない2,4-Dアミンと比較して有意に低減された。
【0087】
混合物No.2の特質は好ましいものであったため、物理的パラメーターについてさらに評価した。
[0096]
実施例5
[0097]DMA MMA塩として50%w/vの2,4-Dを含有する追加の製剤混合物(表5に示すもの)を、表4に示す通りの混合物No.2に基づいて調製した。
【0088】
[0098]DMA MMA塩としての500g/Lの2,4-Dと25%w/vのオレイン酸とを含有する混合物200mLの調製および評価、ならびに、これに伴うスプレー液滴分布の特徴付け。
【0089】
[0099]
【0090】
【0091】
[0100]表5:DMA MMA塩としての50%w/vの2,4-Dを含有する物理的混合物。(5 ストックは、4g/Lのカゼイン、および、DMA MMA塩可溶性濃縮物としての700g/Lの2,4-Dを含有する)。
【0092】
[0101]200mlの混合物は、ストックである2,4-Dアミンとオレイン酸とを、磁気撹拌子を用いてガラスビーカー中で混合することにより、表5に示す通りに調製した。10分間の混合を経て清澄な溶液が得られた。この混合物を、表6に示す通りの物理的パラメーターについてテストした。
【0093】
【0094】
[0102]表6:DMA MMA塩としての50%w/vの2,4-Dと25.3%w/vのオレイン酸とを含有する混合物の物理的パラメーター。
[0103]表5の組成物のスプレー液滴径分析
[0104]表5の組成物を水道水に希釈して、最終濃度を1.4%v/vとした。この濃度は、7g/Lの2,4-D酸と等価であり、圃場への施用量に換算すると、水100L/haにつき2,4-D 700g.a.e/haとなる。テスト品溶液を、フラットファンノズルであるXR11002ノズルを3.0Barの圧力で用いてスプレー散布した。その結果得られたスプレー液滴分布を、VisiSizeソフトウェアを搭載したOxford Laser画像化システムを用いて分析した。この機器を、スプレーノズルの直下30cm地点におけるスプレーパターン断面の画像が得られるように設定した。このスプレーパターン断面内に記録されたすべての液滴について正確な径が得られるように画像を処理することにより、ノズル、圧力および分析対象となる流体コンビネーション(fluid combination)に特異的なスプレー液滴分布を得る。直径<105μmの液滴が液滴分布測定図に占める累積体積パーセントを、ドリフト可能性画分(driftable fraction)と定義する。
【0095】
[0105]テスト品溶液のドリフト可能性画分を、ノズルおよび圧力設定を一致させた場合における水(特に明記しない限り)のドリフト可能性画分と比較する。
[0106]1.4%v/vで水に希釈した表5の組成物のドリフト可能性画分を、2,4-Dが同じ最終濃度になるように希釈した2,4-D DMA MMA可溶性濃縮物比較参照のドリフト可能性画分と共に測定した。結果を表7に示す。
【0096】
【0097】
[0107]表7: 2,4-D DMA MMAストックおよび表5の通りに調製した混合物であるテスト品溶液のドリフト可能性画分の水との比較率。
[0108]表5の組成物の評価時の観察およびコメント
[0109]表5の組成物は満足な物理的および希釈特性を有することが見出された。実験室の水道水(公称20ppm硬度)、CIPAC標準水D(342ppm硬度)、CIPAC標準水C(500ppm硬度)および3WHO(1000ppm硬度)の各水でテストしたエマルション安定性は良好であった。
【0098】
[0110]表5の組成物のアミン臭は、標準の2,4-D DMA MMA可溶性濃縮物溶液比較参照と比較して有意に低減された。
[0111]希釈された製剤のドリフト可能性画分測定値は、標準の2,4-D DMA MMA可溶性濃縮物比較参照の価を有意に下回った。
【0099】
[0112]
実施例6a:追加試験および観察
[0113]表5の組成物の最初の物理的特性が満足なものであったことを踏まえて、同組成物の1Lバッチを個々の原材料から調製した。
【0100】
[0114]スケールアップした1Lバッチの外観は完全に清澄ではなく、わずかな煙霧を有した。
[0115]観察された煙霧状態の形成および影響力を調査するために、2つの追加製剤を調製した。一方の製剤はカゼインを含有するもの(製剤No.1)であり、もう一方は、表5に示す通りのカゼインを含有しないもの(製剤No.2)である。製剤No.1およびNo.2は両方とも、500g/Lの2,4-D DMA MMAと25%w/vのオレイン酸とを含有した。
【0101】
[0116]脂肪酸濃度が製剤の外観に及ぼす影響力をアセスメントするために、DMA MMA塩としての500g/Lの2,4-D、カゼインおよび異なる量のオレイン酸を含有するさらに2つの製剤を調製した。(表8の製剤No.3および製剤No.4)。
【0102】
[0117]製剤例No.1~No.4
【0103】
【0104】
[0118]表8:製剤No.1、No.3およびNo.4:オレイン酸およびカゼインを含む2,4-D DMA MMA水性製剤。製剤No.2:オレイン酸を含みカゼインを含有しない2,4-D DMA MMA水性製剤。
【0105】
[0119]製剤No.1、No.3およびNo.4(カゼインおよびオレイン酸を含有する製剤)の調製。
[0120]DMAおよびMMA塩としての500g酸当量の2,4-D、カゼイン、オレイン酸および水を含有する製剤を調製した。100gの水をビーカーに添加し、続いて、所要量のDMA(60%水溶液)およびMMA(40%水溶液)をこのビーカーにゆっくり添加した。内容物は、オーバーヘッド攪拌機を用いて低速でかき混ぜることにより混合した。撹拌しながら、所要量のカゼインをビーカーに添加した。カゼインが溶解したら、2,4-D酸原体(98.0%wt/wt)をビーカーに徐々に添加した。塩基および2,4-D酸原体をすべて添加してから、内容物を混合して清澄な溶液を得た。次いで、オレイン酸をビーカーに添加し混合して、清澄な溶液を得た。混合物を1Lメスフラスコに移し、公称20ppm硬度の水を足して所定の体積にした。こうして得られた製剤は、わずかに煙霧状であり、視認可能な固体の微粒子物質を含んでいなかった。
【0106】
[0121]注1:カゼインをアルカリ性塩基にあらかじめ溶解してから2,4-D DMA MMAオレイン酸溶液に添加した製剤も調製した。あらかじめ溶解したカゼインを用いて調製した製剤は、清澄であり、視認可能な固体の微粒子物質を含んでいなかった。
【0107】
[0122]注2: 2,4-D酸原体(2,4-D acid technical)の溶解に用いられるアルカリ性塩基の量は、製造中の揮発性物質損失量によって変動し得る。2,4-D工業用原体(technical material)を完全に中和させるには、過剰な塩基が必要になる場合がある。
【0108】
[0123]製剤No.2(カゼインを含有しない比較製剤)の調製。
[0124]DMAおよびMMA塩としての500g酸当量の2,4-D、オレイン酸および水を含有する製剤を調製した。100gの水をビーカーに添加し、続いて、所要量のDMA(60%水溶液)およびMMA(40%水溶液)をこのビーカーにゆっくり添加した。内容物は、オーバーヘッド攪拌機を用いて低速でかき混ぜることにより混合した。撹拌しながら、所要量の2,4-D酸原体(98.0%wt/wt)をビーカーに徐々に添加した。塩基および2,4-D酸原体をすべて添加してから、内容物を混合して清澄な溶液を得た。次いで、オレイン酸をビーカーに添加し混合して、清澄な溶液を得た。混合物を1Lメスフラスコに移し、公称20ppm硬度の水を足して所定の体積にした。
【0109】
[0125]注:2,4-D酸原体の溶解に用いられるアルカリ性塩基の量は、製造中の揮発性物質損失量によって変動し得る。2,4-D原体を完全に中和させるには、過剰な塩基が必要になる場合がある。
【0110】
[0126]製剤No.1、No.2(比較製剤)、No.3およびNo.4の特性。
【0111】
【0112】
[0127]表9:製剤No.1~No.4の物理的パラメーター。
[0128]製剤No.1~No.4についての観察。
・製剤No.1およびNo.2の希釈テストを行ったところ、希釈特性に差があることが示された。希釈時には、カゼインを含有する製剤No.1は、不透明な/乳白色の液体を瞬時に生じる結果となった。カゼインを含有しない製剤は、希釈時に半透明で透視性の液体を形成した。
【0113】
・1.4%v/vで水に希釈した際の製剤No.1およびNo.2(比較製剤)についてのドリフト可能性画分測定値には、有意差があった。カゼインを含有する製剤No.1は、ドリフト可能性画分が63%低減する結果となったが、これに対して、カゼインを含有しない比較製剤No.2は、同じ条件下での水の値と比較して、ドリフト可能性画分を有意に変化させなかった。(表9)。
【0114】
[0129]製剤No.3およびNo.4について、希釈率が1.4%v/vである場合の霧化時の結果的なドリフト可能性画分を調べるテストを行った。製剤No.3は、ドリフト可能性画分を製剤No.1の値と同等程度まで低減したが、ドリフト可能性画分の低減は、最も少ない量のオレイン酸を含有していた製剤No.4ほど有意ではなかった。
【0115】
[0130]結論(製剤No.1~No.4)。
[0131]製剤No.1~No.4を調製し、物理的パラメーターおよび液滴径分布について評価した。得られた結果から、2,4-D DMA MMA製剤中のカゼインおよびオレイン酸は、製剤一体型の(in-can)ドリフト低減系として効果的であることが示された。調製された製剤は、カゼイン含有の有無により、スプレー液滴径分布において有意差を呈する。カゼインおよびオレイン酸を含む2,4-D DMA MMAオレイン酸水性製剤は、ドリフト可能性画分の相当大きな低減を示した。カゼインを含有しない製剤においては、ドリフト可能性画分の有意な低下はみられなかった。カゼインは、硬水への許容レベルの希釈特性を達成するには決定的に重要であることも見出された。
【0116】
[0132]成分の相互作用および成分がスプレー特性に及ぼす効果の評価。
[0133]オレイン酸およびカゼインが製剤のスプレー特性、および、相互作用が存在する場合にはその大きさに及ぼす寄与について評価するために、実験モデルの要因デザインを用いた。モデルは、それぞれ2つのレベルからなる3つの変数で構成されており、すべての測定値を、2,4-Dアミンからなりカゼインおよびオレイン酸を含有しない「ブランク」溶液の測定値と比較した。
【0117】
[0134]定数 - 化学量論に基づく酸対塩基比が1:1である、540g/Lの2,4-D DMA MMA塩。
[0135]変数A:アミン含有量 - レベル1=10%モル過剰、レベル2=20%モル過剰。
【0118】
[0136]変数B:カゼイン - レベル1=2g/L、レベル2=8g/L
[0137]変数C:オレイン酸 - レベル1=100g/L、レベル2=250g/L
[0138]「ブランク」溶液=15%モル過剰の700g/Lの2,4-D DMA MMA塩溶液。
【0119】
[0139]各製剤を水で希釈して2,4-Dの濃度を7g/Lとし、Teejet AIXR11003ノズルから2.75Barでスプレー散布した。<105μmの累積体積%を測定した。
【0120】
[0140]
【0121】
【0122】
[0141]
【0123】
【0124】
[0142]実験調査の要因デザインの評価:
[0143]各変数のスコアの大きさおよびその組合せは、影響のレベルを示している。ゼロからの偏差が大きくなるほど、希釈された製剤のスプレー液滴分布の結果的なドリフト可能性画分に及ぶ影響が大きくなることを示している。
【0125】
[0144]正または負の値は、変数の増加に伴う正または負の影響力と相関する。
[0145]単独の成分がスプレードリフトに及ぼす影響に関しては、このデザインは、製剤中のアミンのレベルが高くなるほどスプレードリフト低減性能に対して有害な効果が及ぶことを示している。同様に、オレイン酸濃度が増加すると正の影響も強くなる。
【0126】
[0146]カゼイン濃度の変動により示されるのは、弱い影響のみである。
[0147]この結果は、カゼインとオレイン酸との間にはきわめて強い正の相互作用があり、この相互作用は、これらの製剤におけるスプレー溶液のドリフト可能性画分の低減をもたらす主要な寄与因子であることも示している。カゼインとアミン含有量の増加との間に中程度の負の相互作用があることも明らかである。
【0127】
[0148]このデザインは、スプレードリフト低減性能に関しては、アミン含有量とオレイン酸濃度との間には有意な相互作用がないこと、および、3つの成分すべてが合わさった場合の相互作用は相対的に弱いことも示している。
【0128】
[0149]オレイン酸およびカゼインの存在は有意なドリフト低減の潜在的可能性につながることが示されている。この効果の大きさは、オレイン酸およびアミンの濃度に大きく影響を受けるが、カゼイン濃度の変動は、それほど有意な影響力をもたない。しかし、その相互作用の値から、カゼインの存在は、有意なドリフト低減効果をもたらす点でこれらの製剤において決定的に重要であることは確実である。
【0129】
[0150]追加研究
[0151]2,4-D DMA MMA中のカゼインおよびオレイン酸が良好なドリフト低減効果を示したため、代替的な脂肪酸およびタンパク質を含有する製剤を調製し、その物理的特性およびスプレー液滴径分布を評価する追加試験を実施した。短鎖、中鎖および長鎖長の脂肪酸を、選抜した球状タンパク質と共に評価する。
【0130】
[0152]
実施例7
[0153]代替材料
[0154]試験に含めた脂肪酸
・C6 ヘキサン酸 CH3(CH2)4COOH 短鎖
・C9 ペラルゴン酸(ノナン酸) CH3(CH2)7COOH 中鎖
・C18:2 リノール酸 C18H32O2 長鎖不飽和
・C18:1 リシノール酸 C18H34O3 分枝水酸化
[0155]試験に含めたタンパク質
・カゼイン酸ナトリウム
・ダイズタンパク質分離物
・ラクトアルブミン
[0156]DMA MMA塩としての500g/Lの2,4-Dを3~4g/Lのタンパク質および180g/Lの脂肪酸との組合せで含有する製剤を調製し、水を足して所定の体積にした。
【0131】
[0157]これらの試験製剤の物理的特性について、1.4%v/vで水に希釈した場合の霧化時の結果的なスプレー液滴分布のドリフト可能性画分の分析を含めて評価した。テスト結果を表12に提示する。
【0132】
【0133】
[0158]表12:代替的な脂肪酸およびタンパク質を含有する製剤の組成、ならびに、希釈された溶液の結果的なドリフト低減性能。
[0159]2,4-D DMA MMAおよびカゼインを用いて製剤化した場合には、C6~C18脂肪酸すべてについて、それらのスプレー液滴分布のドリフト可能性画分の水との比較率が低減する結果となった。これらの脂肪酸はオレイン酸とカゼインとの組合せと同様に振る舞い、そのすべてがドリフト低減特性を賦与することが示された。
【0134】
[0160]同様に、ラクトアルブミン、ダイズタンパク質分離物またはカゼイン酸ナトリウムをオレイン酸との組合せで使用した場合には、そのすべてが、オレイン酸とカゼインとを用いた製剤においても観察されたように、希釈された溶液のドリフト低減性能を示す結果となった。
【0135】
[0161]追加例として、表13に詳細を示す通りに、DMA MMA塩としての500g/Lの2,4-Dおよび種々の異なる量のオレイン酸およびカゼイン酸ナトリウムを含有する製剤No.5、No.6およびNo.7を調製した。
【0136】
[0162]これらの製剤は、表8に従って調製された製剤No.1、No.3およびNo.4の繰返しに見えるが、ここではカゼインの代わりにカゼイン酸ナトリウムが使用されている。
【0137】
【0138】
[0163]表13:製剤No.5~No.7:オレイン酸およびカゼイン酸ナトリウムを含有する2,4-D DMA MMA水性製剤。
[0164]製剤No.5、No.6およびNo.7(カゼイン酸ナトリウムおよびオレイン酸を含有する製剤)の調製
[0165]DMAおよびMMA塩としての500g酸当量の2,4-D、カゼイン酸ナトリウム、オレイン酸および水を含有する製剤を調製した。100gの水をビーカーに添加し、続いて、所要量のDMA(60%水溶液)およびMMA(40%水溶液)をこのビーカーにゆっくり添加した。内容物は、オーバーヘッド攪拌機を用いて低速でかき混ぜることにより混合した。撹拌しながら、所要量のカゼイン酸ナトリウムをビーカーに添加した。カゼイン酸ナトリウムが溶解したら、2,4-D酸原体(98.0%wt/wt)をビーカーに徐々に添加した。塩基および2,4-D酸原体をすべて添加してから、内容物を混合して清澄な溶液を得た。次いで、オレイン酸をビーカーに添加し混合して、清澄な溶液を得た。混合物を1Lメスフラスコに移し、公称20ppm硬度の水を足して所定の体積にした。こうして得られた製剤は、清澄であり、視認可能な固体の微粒子物質を含んでいなかった。
【0139】
[0166]注1: 2,4-D酸原体の溶解に用いられるアルカリ性塩基の量は、製造中の揮発性物質損失量によって変動し得る。2,4-D工業用原体を完全に中和させるには、過剰な塩基が必要になる場合がある。
【0140】
[0167]製剤No.5~No.7を、物理的パラメーターについて、ドリフト可能性画分の測定値を含めて評価した。
[0168]製剤No.5、No.6およびNo.7の特性。
【0141】
【0142】
[0169]表14:製剤No.5~No.7の物理的パラメーター。
[0170]この結果から、2,4-D DMA MMA製剤中のさまざまな濃度のカゼイン酸ナトリウムおよびオレイン酸は、製剤一体型のドリフト低減系として効果的であり、3つの製剤すべてについてドリフト可能性画分が有意に低減していることが示された。カゼイン酸ナトリウムを含有する製剤は、硬水への許容レベルの希釈特性を有することも見出された。2,4-Dアミン製剤中のオレイン酸と共に用いられる共配合成分(co-formulant)としてのカゼイン酸ナトリウムの特性は、カゼインのそうした特性と著しく異なるものではない。
【0143】
[0171]ドリフト低減をもたらす添加物としての脂肪酸のさらなる応用例として、DMA MMA塩としての500g/LのMCPA、ジクロルプロップ-P、メコプロップ-P、ならびに、DMA MMA塩としての、2,4-Dとジクロルプロップ-Pとの組合せおよび2,4-Dとメコプロップ-Pとの組合せ(それぞれ250g/L)、ならびに、DMA MMA塩としての、ジカンバとジクロルプロップ-Pとの組合せおよびジカンバとメコプロップ-Pとの組合せ(それぞれ250g/L)を含有する水性製剤を、オレイン酸およびカゼイン酸ナトリウムを用いて調製した。これらの製剤を水で1.4%v/vに希釈してスプレー分析に供した結果を、表15に提示する。
【0144】
【0145】
[0172]表15:オレイン酸およびカゼイン酸ナトリウムを含有する、2,4-D、MCPA、ジクロルプロップ-P、メコプロップ-P、2,4-D+ジクロルプロップ-P、2,4-D+メコプロップ-P、ジカンバ+ジクロルプロップ-P、およびジカンバ+メコプロップ-Pの各製剤を希釈したものについてのスプレー分析結果。
【0146】
[0173]オレイン酸およびカゼイン酸ナトリウムを含むドリフト低減系は、MCPA、ジクロルプロップ-Pおよびメコプロップ-P濃縮物の形で製剤化された場合は、2,4-D濃縮物に製剤化された場合に有するのと等しい性能を有することが示された。オレイン酸およびカゼイン酸ナトリウムを含む、2,4-D、ジカンバ、ジクロルプロップ-Pおよびメコプロップ-Pの多様な組合せも、良好なドリフト低減性能を示した。
【0147】
[0174]略語
[0175]MMA - モノメチルアミン塩
[0176]DMA - ジメチルアミン塩
[0177]本実施例において言及されるDMA MMA塩は、塩の混合物の形態である酸系殺有害生物剤を表す。DMA MMAは、一般的に、約4:1のモル比でDMAおよびMMAを含有する塩を指す。
【0148】
[0178]
実施例8
[0179]本実施例は、脂肪酸の量の影響について、泡制御をもたらす量としてCN102696611で報告されている0.1重量%以下という量と、本発明の組成物が含む脂肪酸5g/L以上という量とを比較するものである。
【0149】
[0180]
【0150】
【0151】
[0181]*正の値はスプレードリフトの潜在的可能性の増加に相当するのに対し、負の値はスプレードリフトの潜在的可能性の低減を示す。
[0182]
【0152】
【0153】
[0183]本発明の組成物は、スプレードリフト制御において劇的な改善を示す。
[0184]
実施例9:本実施例は、本発明の組成物の有効性を、いくつかの市販の組成物と比較するものである。
【0154】
[0185]
【0155】
【0156】
[0186]
【0157】
【0158】
[0187]
【0159】
【0160】
[0188]
【0161】
【0162】
[0189]
【0163】
【0164】
[0190]
【0165】
【0166】
・温室試験では、トラック・スプレーヤー(track sprayer)を用いて散布処理した。小区画圃場試験では、手持ち式のスプレーブームを用いて散布処理した。
・製剤は、多段階の施用量(温室の場合は8段階、圃場試験の場合は4段階)にわたって比較した。
【0167】
・処理液は、試験に用いるすべての製剤について等価の施用量を送達するように調製した。
・製剤の有効性の改善に注目した。
【0168】
[0191]2,4-Dの結果(GHT-BE)
[0192]対象:鉢植えの苗2種を対象とした用量反応生物学的有効性アッセイ(dose-response bio-efficacy assay)。
【0169】
[0193]結果:
[0194]8段階施用量を用いた用量反応処理群の平均新鮮重量(7回反復)を、すべての製剤について平均した。
【0170】
[0195]結果の分析には、分散の要因分析を用いた。
[0196]データをすべての製剤にわたって、および各製剤について個別に平均したところ、施用量に対する明らかな反応が認められた。
【0171】
[0197]
【0172】
【0173】
・オレイン酸(15%~25%)を含有する製剤は、Silybum marianum苗に施用した場合、CC1と同程度に有効であった。
・オレイン酸(15%~25%)を含有する製剤は、Brassica napus苗に施用した場合、CC1およびCC2より有効であった。
【0174】
[0198]用量反応分析:
[0199]8段階施用量を用いた用量反応処理群の平均防除率(%)(7回反復)を、すべての製剤について分析した。
【0175】
[0200]プロビット - 最小二乗法
[0201]
【0176】
【0177】
[0202]この結果は、以下のことを示している:
・オレイン酸を含有する製剤のLD50値は、CC1およびCC2の値より有意に低かった
・オレイン酸を含有する製剤のLD90値は、CC2の値より有意に低かった
・オレイン酸を含有する製剤のLD90値は、CC1より低いかそれと同等であった
[0203]FT-BE-A-FALLOW-QLD
[0204]対象:Tribulus terrestrisに対して4段階施用量を用いた反応有効性試験。
【0178】
[0205]結果:
[0206]4段階施用量を用いた用量反応処理群の平均防除率(%)(4回反復)を、すべての製剤について平均した。
【0179】
[0207]結果の分析には、分散の要因分析を用いた。
[0208]データをすべての製剤にわたって、および各製剤について個別に平均したところ、施用量に対する明らかな反応が認められた。
【0180】
[0209]
【0181】
【0182】
・オレイン酸を含有する製剤は、Tribulus terrestrisに対しては、CC1より効果的であった。
・オレイン酸を含有する製剤は、Tribulus terrestrisに対しては、CC1より高いレベルでの早期の防除が得られる結果となった。
【0183】
[0210]FT-BE-A-FALLOW-NSW
[0211]対象:2つの種に対して4段階施用量を用いた反応有効性試験。
[0212]結果:
[0213]4段階施用量を用いた用量反応処理群の平均防除率(%)(4回反復)を、すべての製剤について平均した。
【0184】
[0214]結果の分析には、分散の要因分析を用いた。
[0215]データをすべての製剤にわたって、および各製剤について個別に平均したところ、施用量に対する明らかな反応が認められた。
【0185】
[0216]
【0186】
【0187】
・オレイン酸を含有する製剤は、Amaranthus mitchelliiおよびTribulus micrococcusに対しては、CC1より効果的であった。
[0217]FT-BE CS-WHEAT-QLD
[0218]対象:1つの種に対して4段階施用量を用いた反応有効性試験。
【0188】
[0219]結果:
[0220]4段階施用量を用いた用量反応処理群の平均防除率(%)(4回反復)を、すべての製剤について平均した。
【0189】
[0221]結果の分析には、分散の要因分析を用いた。
[0222]データをすべての製剤にわたって、および各製剤について個別に平均したところ、施用量に対する明らかな反応が認められた。
【0190】
[0223]
【0191】
【0192】
・オレイン酸を含有する製剤は、Raphanus raphanistrumに対しては、CC1と同等以上に効果的であった。
・オレイン酸を含有する製剤は、Raphanus raphanistrumに対しては、CC2より効果的であった。
【0193】
[0224]FT-BE CS-WHEAT-SA
[0225]対象:1つの種に対して4段階施用量を用いた反応有効性試験。
[0226]結果:
[0227]4段階施用量を用いた用量反応処理群の平均防除率(%)(4回反復)を、すべての製剤について平均した。
【0194】
[0228]結果の分析には、分散の要因分析を用いた。
[0229]データをすべての製剤にわたって、および各製剤について個別に平均したところ、施用量に対する明らかな反応が認められた。
【0195】
[0230]
【0196】
【0197】
・オレイン酸を含有する製剤は、Raphanus raphanistrumの防除において、CC1およびCC2と同程度以上に効果的であった。
[0231]FT-BE-A-Wheat-ND1
[0232]対象:4つの種に対して4段階施用量を用いた反応有効性試験。
【0198】
[0233]結果:
[0234]4段階施用量を用いた用量反応処理群の平均防除率(%)(4回反復)を、すべての製剤について平均した。
【0199】
[0235]結果の分析には、分散の要因分析を用いた。
[0236]データをすべての製剤にわたって、および各製剤について個別に平均したところ、施用量に対する明らかな反応が認められた。
【0200】
[0237]
【0201】
【0202】
・オレイン酸を含有する製剤は、Amaranthus retroflexus、Bassia scoparia、Chenopodium quinoaおよびChenopodium albumに対して、早期のアセスメント時点ではCC1よりどちらかといえば有効であった。
【0203】
[0238]FT-BE-A-WHEAT-ND2
[0239]対象:1つの種に対して4段階施用量を用いた反応有効性試験。
[0240]結果:
[0241]4段階施用量を用いた用量反応処理群の平均防除率(%)(4回反復)を、すべての製剤について平均した。
【0204】
[0242]結果の分析には、分散の要因分析を用いた。
[0243]データをすべての製剤にわたって、および各製剤について個別に平均したところ、施用量に対する明らかな反応が認められた。
【0205】
[0244]
【0206】
【0207】
・オレイン酸を含有する製剤は、Chenopodium albumに対して、すべてのアセスメント時点でCC1およびCC2より有効であった。
[0245]FT-BE-A-Arg-Corn
[0246]対象:2つの種に対して4段階施用量を用いた反応有効性試験。
【0208】
[0247]結果:
[0248]4段階施用量を用いた用量反応処理群の平均防除率(%)(4回反復)を、すべての製剤について平均した。
【0209】
[0249]結果の分析には、分散の要因分析を用いた。
[0250]データをすべての製剤にわたって、および各製剤について個別に平均したところ、施用量に対する明らかな反応が認められた。
【0210】
[0251]
【0211】
【0212】
・CC1は、Portulaca oleraceaに対して、アセスメント期間の早期に、オレイン酸を含有する製剤と比較して有効性に劣る傾向がみられた
[0252]タンク混合 - 2,4-Dおよびグリホセート
[0253]FT-BE-B-FALLOW-QLD-2017
[0254]対象:3つの種に対して4段階施用量を用いた反応有効性試験。
【0213】
[0255]タンク混合濃度が、2,4-D 269g ae/ha&グリホセート283g ae/ha;2,4-D 538g ae/ha&グリホセート566g ae/ha;2,4-D 795g ae/ha&グリホセート845g ae/ha;2,4-D 1077g ae/ha&グリホセート1133g ae/haのものを、共配合製品(co-formulated product)CC3と比較した。
【0214】
[0256]結果:
[0257]4段階施用量を用いた用量反応処理群の平均防除率(%)(4回反復)を、すべてのタンク混合調製物について平均した。
【0215】
[0258]結果の分析には、分散の要因分析を用いた。
[0259]データをすべてのタンク混合調製物にわたって、および各タンク混合調製物について個別に平均したところ、施用量に対する明らかな反応が認められた。
【0216】
[0260]各2,4-D製剤については、施用量に対する明らかな反応が認められた。
[0261]
【0217】
【0218】
・いずれの種に対する防除率においても、タンク混合物と、市販の共配合製品CC2との間で有意差はみられなかった
・真正双子葉植物種または単子葉植物種を対象としたいずれの処理群においても拮抗作用は観察されなかった
[0262]FT-BE-B-FALLOW-SA
[0263]対象:3つの種に対して4段階施用量を用いた反応有効性試験。
【0219】
[0264]タンク混合濃度が、2,4-D 269g ae/ha&グリホセート283g ae/ha;2,4-D 538g ae/ha&グリホセート566g ae/ha;2,4-D 795g ae/ha&グリホセート845g ae/ha;2,4-D 1077g ae/ha&グリホセート1133g ae/haのものを、共配合製品CC3と比較した。
【0220】
[0265]結果:
[0266]4段階施用量を用いた用量反応処理群の平均防除率(%)(4回反復)を、すべてのタンク混合調製物について平均した。
【0221】
[0267]結果の分析には、分散の要因分析を用いた。
[0268]データをすべてのタンク混合調製物にわたって、および各タンク混合調製物について個別に平均したところ、施用量に対する明らかな反応が認められた。
【0222】
[0269]
【0223】
【0224】
[0270]
【0225】
【0226】
・いずれの種に対しても、施用27日後の防除率において、タンク混合調製物間で有意差はみられなかった
・いずれの種に対して行ったいずれの処理においても拮抗作用は観察されなかった
[0271]FT-BE-B-Arg-Corn-2017
[0272]対象:2つの種に対して4段階施用量を用いた反応有効性試験。
【0227】
[0273]タンク混合濃度が、2,4-D 270g ae/ha&グリホセート286g ae/ha;2,4-D 540g ae/ha&グリホセート570g ae/ha;2,4-D 795g ae/ha&グリホセート845g ae/ha;2,4-D 1080g ae/ha&グリホセート1140g ae/haのものを、共配合製品CC3と比較した。
【0228】
[0274]結果:
[0275]4段階施用量を用いた用量反応処理群の平均防除率(%)(4回反復)を、すべてのタンク混合調製物について平均した。
【0229】
[0276]結果の分析には、分散の要因分析を用いた。
[0277]データをすべてのタンク混合調製物にわたって、および各タンク混合調製物について個別に平均したところ、施用量に対する明らかな反応が認められた。
【0230】
[0278]
【0231】
【0232】
【0233】
・いずれの種に対する防除率においても、タンク混合調製物間で有意差はみられなかった
・どちらの種に対して行ったいずれの処理においても拮抗作用は観察されなかった