(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】血漿分離及び保管用の装置及び方法
(51)【国際特許分類】
B04B 1/02 20060101AFI20231031BHJP
B04B 7/08 20060101ALI20231031BHJP
B04B 9/10 20060101ALI20231031BHJP
G01N 33/48 20060101ALI20231031BHJP
G01N 33/49 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
B04B1/02
B04B7/08
B04B9/10
G01N33/48 C
G01N33/48 K
G01N33/49 B
(21)【出願番号】P 2021523557
(86)(22)【出願日】2019-07-09
(86)【国際出願番号】 US2019040945
(87)【国際公開番号】W WO2020014190
(87)【国際公開日】2020-01-16
【審査請求日】2022-07-07
(32)【優先日】2018-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521010872
【氏名又は名称】サンドストーン ダイアグノスティックス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SANDSTONE DIAGNOSTICS, INC.
【住所又は居所原語表記】6624 Owens Drive, Pleasanton, California 94588, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】ウルリッチ シャフ
(72)【発明者】
【氏名】キュンジン ホン
(72)【発明者】
【氏名】ローラ フレドリクセン
(72)【発明者】
【氏名】ガブリエラ イアコベッティ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン エパーソン
(72)【発明者】
【氏名】アリ ラヒミアン
(72)【発明者】
【氏名】グレグ ソマー
(72)【発明者】
【氏名】ショーン ホン
(72)【発明者】
【氏名】エリック ケンダル
【審査官】塩谷 領大
(56)【参考文献】
【文献】実開昭52-145578(JP,U)
【文献】特表2016-507065(JP,A)
【文献】英国特許出願公告第01276730(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B04B 1/00-15/12
G01N 33/48-33/98
G01N 35/00-37/00
G01N 1/00- 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料流体を受領するように構成されたカートリッジであって、前記試料流体は、重質画分及び軽質画分を含
み、前記カートリッジは、上板及び底板を含み、その両方は前記カートリッジの周囲を中心とした外部シールに接合され
、前記外部シールはエラストマ材料を含
み、前記上板と前記外部シールとの間、若しくは前記底板と前記外部シールとの間に隙間又は穴が存在
せず、前記カートリッジは、前記上板と底板との間の平面に実質的に垂直な回転軸を有
し、前記カートリッジは、前記軽質画分から前記重質画分を遠心分離するために有効速度で回転するように構成され
、前記カートリッジは、内部及び外部を有し、空洞を閉囲する
、カートリッジを含み、
前記空洞は、
前記カートリッジの前記外部を前記カートリッジの前記内部に接続する入口穴であって、前記入口穴は前記試料流体を受領するように構成される
、入口穴と、
試料受領空洞であって、前記試料受領空洞は、
全試料
流体を保持するために十分な容積を有し、前記入口穴に接続される
、試料受領空洞と、
前記試料受領空洞と接続し、前記試料受領空洞から半径方向外方の先細領域であって、前記先細領域は、前記先細領域が前記
試料受領空洞に接続する場合に、前記試料受領空洞と同じ厚さを実質的に有
し、前記先細領域の上表面又は底表面の少なくとも1つは、前記回転軸に垂直な平面に対して傾斜する
、先細領域と、
前記先細領域と接続し、前記先細領域から半径方向外方であり、遠位空洞に接続し、前記遠位空洞から半径方向内方の
環状の分離チャネルであって、前記分離チャネルは、上表面及び底表面を有
し、前記分離チャネルは、前記試料受領空洞又は前記遠位空洞のいずれより薄
く、前記
分離チャネルの前記上表面及び前記底表面は、互いに実質的に平行であ
り、前記
分離チャネルの前記上表面及び前記底表面は、前記回転軸に実質的に垂直であ
り、前記
分離チャネルの前記上表面と前記底表面の少なくとも一部の間の距離は、前記カートリッジが試料流体を含有し、有効速度で回転している時に、前記カートリッジが停止している時に比べて増加する
、分離チャネルとを含み、
前記遠位空洞は、前記重質画分の詰めた容積以上、且つ全試料流体の容積未満である容積を有する、装置。
【請求項2】
前記カートリッジは円盤形状であり、前記回転軸は前記円盤の前記周囲内にある、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記試料受領空洞は、前記回転軸の中心に置かれる、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記カートリッジは、前記回転軸から外方の第1の方向の長さ、及び前記第1の方向に垂直な幅を備えた、広義の長方形又は楔形状であ
り、前記長さは前記幅より長
く、前記回転軸は、前記試料受領空洞から内方の前記カートリッジの外側にある、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
密封シールは、前記カートリッジが停止している時に前記先細領域と遠位空洞との間に存在し、流体通路は、前記カートリッジが有効速度で回転し、試料流体を含有する時に、前記先細領域と遠位空洞との間に存在する、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記分離チャネルの前記上表面と底表面の少なくとも一部の間の距離は、前記カートリッジが試料流体を含有し、有効速度で回転している時に、前記カートリッジが停止している時に比べて少なくとも0.1mmだけ増加する、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記分離チャネルの前記上表面及び前記底表面は、前記カートリッジが流体試料を含有し、有効速度で回転している時に、前記回転軸に実質的に垂直であるままである、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記上板及び底板は、前記カートリッジが停止している時に前記
分離チャネル内で互いに接触する、請求項1~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記上板及び底板は、前記カートリッジが停止している時に前記分離チャネル全体にわたって接触する、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記外部シールの前記エラストマ材料は、前記上板
及び底板が作成される
材料より可撓性である、請求項1~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記エラストマ材料は熱可塑性エラストマを含み、前記上板及び底板は非エラストマ熱可塑性物質を含む、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記入口穴はエラストマ・ストッパを含有する、請求項1~11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記エラストマ・ストッパは、前記外部シールを含む前記同じエラストマ材料から作成される、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記カートリッジの前記内部は空気を排出される、請求項12又は13に記載の装置。
【請求項15】
前記カートリッジは、使用前に気体を透さないポーチ内に含有される、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記カートリッジは、前記入口穴から半径方向外方に少なくとも1つの追加の穴を有し、前記カートリッジの前記外部を前記カートリッジの前記内部に接続し、前記追加の穴は穿刺可能なシールで覆われる、請求項1~15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記穿刺可能なシールはアルミニウムを含む、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記カートリッジが停止している時に、前記上板及び前記底板の両方と接触するOリング又はガスケットを更に含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記Oリング又はガスケットは、前記遠位空洞と前記先細領域又は試料受領空洞との間に密封シールを形成し、流体通路は、前記カートリッジが流体試料を含有し、有効速度で回転している時に、前記Oリング又はガスケットの周りに存在する、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記分離チャネルは、その底表面又は上表面からの少なくとも1つの突起、及び少なくとも1つの接点を更に含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
前記分離チャネルの残りは先細部により前記接点に接続される、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記分離チャネルの少なくとも1つの表面は、前記カートリッジが停止している時に
対向する表面と密封シールを形成する、前記カートリッジの前記本体に溶融した少なくとも1つのエラストマ・ガスケットを含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
前記エラストマ・ガスケットの前記材料は、95ショアA硬度未満の硬さを有する、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記エラストマ・ガスケットの前記材料は、25ショアA硬度~70ショアA硬度の硬さを有する、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記エラストマ・ガスケットは、前記カートリッジが停止している時に、前記対向する表面と接触する分離チャネル若しくは遠位空洞内に弁又はフラップを更に含む、請求項22~24のいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
前記弁又はフラップは、半径方向内方側面上に緩やかな傾斜表面、及び前記半径方向外方側面上に急勾配若しくは凹部表面を有する、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記分離チャネルは、少なくとも1つの接続チャネルを更に含
み、前記接続チャネルは、前記分離チャネル内の前記上表面又は底表面内の溝であり、前記回転軸から前記半径方向外方に位置付けられる、請求項1~26のいずれか一項に記載の装置。
【請求項28】
少なくとも1つの接続チャネルは、前記先細領域から前記遠位空洞への前記分離チャネルの長さに延在する、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記分離チャネルは、少なくとも1つの経路チャネルを更に含
み、前記少なくとも1つの経路チャネルは、前記分離チャネル内の前記上表面又は底表面内の溝であり、環状リング又はリング区分の形状を有する、請求項1~28のいずれか一項に記載の装置。
【請求項30】
前記分離チャネルの前記内部で回転の中心に向かって内方に面する全表面は、前記回転軸に垂直な平面に対して60度以下の角度を有する、請求項1~29のいずれか一項に記載の装置。
【請求項31】
前記分離チャネル又は先細領域の一部は、前記分離チャネルの
平均厚さより厚く、前記試料受領空洞の
平均厚さより薄い、血漿収集空洞を更に含む、請求項27~30のいずれか一項に記載の装置。
【請求項32】
前記血漿収集空洞は、前記分離チャネルの
内縁部より前記回転軸から実質的に遠い、請求項31に記載の装置。
【請求項33】
前記試料流体は全血であり、前記軽質画分は血漿である、請求項1~32のいずれか一項に記載の装置。
【請求項34】
前記カートリッジは抗凝血剤を含有する、請求項33に記載の装置。
【請求項35】
前記カートリッジは化学安定剤を含有する、請求項33又は34に記載の装置。
【請求項36】
前記カートリッジはセパレータゲルを含有する、請求項33~35のいずれか一項に記載の装置。
【請求項37】
試料流体から軽質画分を獲得する方法であって、
請求項1~36のいずれか一項に記載の前記装置の中に試料流体を置くことと、
前記カートリッジを遠心分離機に接続することと、
前記重質画分の少なくとも一部が前記遠位空洞内に含有されるように、前記カートリッジを有効速度で有効時間回転させることと、
前記カートリッジを停止することができることと、
軽質画分を前記試料受領空洞又は先細領域から抜き取ることとを含む、方法。
【請求項38】
前記流体試料を防腐剤又は抗凝血剤と接触させることを更に含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記防腐剤又は抗凝血剤は、ヌクレアーゼ活性の低減に有効である、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記試料流体は血液であり、前記方法は、水溶性密度媒体上に前記血液を層にすることを更に含む、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
前記軽質画分は白血球を含有する、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記軽質画分は、微小量の細胞又は血小板を除いてエクソソームを含有する、請求項37~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記試料流体は1mL未満の容積を有する、請求項37に記載の方法。
【請求項44】
前記有効速度は3000~12000RPMである、請求項37~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記有効時間は10分未満である、請求項37~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記カートリッジは、有効速度で有効時間回転した後に低減した速度で第2の時間回転される、請求項44又は45に記載の方法。
【請求項47】
前記低減した速度は、1000~5000RPMの範囲であり、前記第2の時間は10~120秒の範囲である、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記カートリッジが停止できることと、上澄みを抜き取ることとの間に少なくとも6時間が経過する、請求項37~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記カートリッジが停止できることと、上澄みを抜き取ることとの間に少なくとも20時間が経過する、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記カートリッジが停止できることと、上澄みを抜き取ることとの間に少なくとも48時間が経過する、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
血液試料のヘマトクリットを概算する方法であって、
(i)血液試料を請求項33の前記装置の中に置くことと
、
(ii)前記カートリッジを有効速度で回転することと
、
(iii)前記有効速度で回転する間に前記カートリッジの画像を捕捉することと
、
(iv)色などの光特性により前記血漿画分及び細胞画分を同定することと
、
(v)前記血漿画分及び細胞画分の前記相対半径長さを測定することと
、
(vi)前記血漿画分及び細胞画分の前記相対容積を計算することと
、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体試料の流体分離に関し、詳細には全血を血漿と血球成分に分離する遠心分離カートリッジを含む装置、及びその使用方法に関する。
【0002】
血液分析は様々な診断目的で広範囲に使用され、通常は血清又は血漿試料のない赤血球を必要とする。全血試料は、典型的にはヒトの患者又は(獣医的状況で)動物などの対象から血液の吸引を促すために、真空収集管に取り付けることができる針を通して静脈穿刺によって収集される。血清又は血漿(軽質画分)と赤血球(重質画分)への血液の分離は、次いで遠心分離によって達成される。分離した血漿又は血清試料の分析処理はほとんどの場合に採血の時点で行われないので、血液は、収集場所から分析研究所に輸送されることにより、採血と分離及び処理との間に遅延が生じる。しかし分離していない血球と長期間接触すると、細胞内容物及び代謝物質を放出し続けることにより血清又は血漿が劣化する。従って多くの分析のために、血液は分析研究所に輸送する前に遠心分離によって分離しなければならない。
【背景技術】
【0003】
臨床試験のために、血清又は血漿は、細胞成分から遠心分離した後に尚別の容器の中に移動されることがあり、このような移動操作は時間が掛り、労働力を要するか、又は高額な自動処理を必要とする。遠心分離後に液体及び血球相の分離を維持する別の従来の方法は、一種のフェーズセパレータを提供することである。ポリエステルゲルなどのチキソトロピーゲルは、多くの採血及び分離管内に見ることできる最も一般的なフェーズセパレータである。このような採血管は、Colombusによる米国特許第4,050,451号明細書及びGiglielloによる米国特許第3,920,549号明細書に示されたように、液体と血球の界面にゲルを配置するためにゲルの比重に依拠する。遠心力を受けると、最初に管の底面に配置されるゲルは、液体と血球の界面に上方に動く。効果的であるが、セパレータとしてチキソトロピーゲルを使用することは、限られた保存期間を有するだけでなく、血漿の細胞/血小板の汚染の可能性、又は下流の分析若しくは器具に影響を与える血清試料内にフィブリンを形成することなどの性能問題を助長することが公知である。
【0004】
これらの理由で、血液の流体相を機械的に仕切る種々の装置が設計され、提案されてきた。例えば機械的セパレータは、Volgerによる米国特許第5,533,518号明細書に記載されたように、まず管壁に付着し、遠心分離中に上昇した重力により相界面に位置付けられる。遠心分離を受けて管の内部空間で動くことができるセパレータの別の例は、米国特許第3,887,464号明細書に記載されている。遠心分離されると、遠心力によって作動する内部弁を含有するピストンは、液相を通って下がる一方で、容器の内部表面との封止係合を維持する。その動きは、ポジティブストップ手段により所定の距離で終わり、内部弁は、遠心分離が終了すると血液の液相と固相との間に不可侵の障壁を提供するために自動的に閉鎖する。米国特許第9,682,373B2号明細書は、別個の密度を持つ複数の材料を含有し、液相及び固(血球)相の密度の中間の総合密度を所有するセパレータ本体を開示している。まず血液試料及び懸濁粒子は、セパレータの周りを通ることができ、遠心分離の完了後に、セパレータは拡大して(管は収縮して)流体が管を通過するのを防ぐ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような機械的セパレータはゲルセパレータの一部の限界を克服するが、ある特定の状況では障壁の破損を含む著しい欠点がある。追加として、構造の複雑性に起因して、ほとんどの機械的セパレータは複雑であり、複数の部品の組立技法を必要とする製造に費用が掛かる。更にこのような機械的セパレータの圧倒的大部分は、作動するために最小の大きさの遠心分離機を必要とする、従来の血液管内で作用するように設計されている。益々医療及び健康診断用の採血は、携帯瀉血作業及びフィンガースティックなどの毛細血管採血技術などを備えて最終顧客に向かって移動している。それにもかかわらず、分析試験研究所は、効率を維持し、ある特定の型の試験には分離した血漿が引き続き必要とされるために高度に中央集権化したままである。従来の血液管の標準の大きさ及び遠心分離中に回転の中心を管の外側に置く必要性、大きい力の下で管を支持する必要性、並びに使用者を高速構成要素から守るために必要な外装に起因して、互換性遠心分離機は、必然的に非常に大きいので容易に携帯できない。それに応じて、(i)遠心分離中及び遠心分離後に血漿及び血球の相互汚染を防ぎ、(ii)完全に機能的だが構造的に単純な障壁を有し、(iii)細胞の汚染が少ない血漿を提供することができ、(iv)低減した時間枠で血液を分離することができ、(v)最小の大きさの遠心分離機で分離できる、分離装置を開発する必要が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
遠心分離カートリッジを含む装置、及び粒子を含有する流体懸濁をペレット状の重質画分と回収可能な上澄み又は重質画分とに分離するためのカートリッジを使用する方法が記載される。装置及び方法は、全血を軽質血漿画分と重質細胞画分に分離するために適用されてもよい。本発明は、血漿画分内の全血から引き出した粒子のサブ集団を保持するように構成されてもよい。装置及び方法は、主に全血から血漿の分離の適用において記載されているが、装置及び方法は、密度により分離可能な少なくとも2つの画分を含有する他の流体混合物に適用してもよいことを理解されたい。
【0007】
装置は、周囲で閉じ、円盤形状の中心により近い回転軸に向かって受領空洞に開く、中空円盤形状カートリッジを含んでもよい。別法として、装置は、外端で閉じ、近位端で受領空洞及び入口穴に開く中空の細長いカートリッジを含んでもよく、近位端は回転軸により近い。
【0008】
カートリッジは、超音波溶接、接着剤、又はオーバーモールドなどによって取り付けた上板及び底板から主に構築されることがある。好ましい実施形態では、上板及び底板は、力を受けて引張し、力が除去された時にその元の形状に戻ることができる、ゴム状、弾性、又はエラストマ材料によって接合される。
【0009】
全血又は試料流体は、入口穴を通って上記の受領空洞の中に充填されてもよい。カートリッジは、次いで遠心分離機及びスパンの中に置かれてもよい。血液は、次いで遠心力に起因して、1つ又は複数のチャネルを通って周囲に向かって動いてもよい。血液は、次いで遠心力により回転軸に向かう血漿画分(上澄み若しくは軽質画分)と周囲又は外端に向かう細胞画分(ペレット若しくは重質画分)に分離されてもよい。カートリッジの外端又は周囲は、遠心分離の終了後に細胞画分の一部若しくは細胞画分全部を含有するような大きさにされた、1つ又は複数の遠位空洞を有してもよい。円盤形状の実施形態では、細胞画分を含有するような大きさにされた空洞は、リング形状の遠位空洞であってもよい。血漿画分の上澄みは、遠心分離の終了後に1つ又は複数のチャネルを経由して受領空洞に戻ってもよい。
【0010】
流体の表面張力及び毛細管現象は、スピン後、特に1mL未満などの小容積の流体が分離されるべき時に、分離の維持に重要な役割を果たすことがある。遠心分離中のカートリッジの弾性変形及び遠心分離後の弾性反発は、スピン後の分離の維持に必須の役割を果たすこともある。チャネルは、深部及び浅部を有してもよい。浅部は、毛細管現象を介してチャネルを通ってウィッキングを推し進めてもよい。浅いチャネル部は、可変チャネル深さ又は可変チャネル幅のいずれかとして実装されてもよい。受領空洞を周囲空洞に接続するチャネルは、上板と底板の分離により遠心分離中に拡大し、遠心分離後に弾性反発によって接触してもよい。チャネルを含んでもよいカートリッジの内部の一部は、受領空洞と遠位空洞との間の液体の相互交換を防ぐ密封シール又はガスケットを形成することがある、エラストマを含んでもよい。この手法で、血漿画分は細胞画分から密封シールされてもよい。
【0011】
血漿画分は、入口穴を通る液体吸引などにより、受領空洞から回収されてもよい。装置は、別法として血漿を回収するために分離チャンバを含有してもよく、又は血漿を抽出するために1つ若しくは複数の出口穴を含んでもよい。血漿は、遠心分離後にカートリッジにより分離した状態を1日以上維持された後、血漿が抽出されて、カートリッジ内に1日以上保存されてもよい。
【0012】
装置及び方法は、流体分離のために使用した従来の管状の遠心分離システムより、携帯が容易であり又は小型である遠心分離システムが可能であり得る。装置及び方法は、従来の遠心分離システムがない施設で収集した直後に血液を分離し、分離した血漿を分析研究所に輸送することができ得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】円盤形状のカートリッジの実施形態の平面図及び断面図である。
【
図2】分離チャネル内に突起を備えたカートリッジのより多くの実施形態の断面図である。
【
図3】回転スピン前、回転スピン中、及び回転スピン後の試料流体を含有する
図1の実施形態である。
【
図4】Oリング並びにポスト及び通路の配列を含む、円盤形状のカートリッジの平面図である。
【
図5】回転スピン前及び回転スピン後の
図4の実施形態の周囲に向かう断面の詳細を示す。
【
図6】エラストマ・ガスケットを備えた代替円盤形状のカートリッジの実施形態の平面図、断面図、及び断面詳細を示す。
【
図7】
図6の実施形態の周囲からの代替実施形態の詳細を示す。
【
図8】エラストマ・ガスケット及びシムを備えた円盤形状のカートリッジの平面図、並びに円盤形状のカートリッジの使用前及び使用後の断面図を示す。
【
図9】エラストマ・ガスケット、経路チャネル及び複数の接続チャネルを備えた、円盤形状のカートリッジの平面図並びに断面図を示す。
【
図10】エラストマ・ガスケット、経路チャネル、接続チャネル、血漿収集空洞、及び通気チャネルを備えた、円盤形状のカートリッジの実施形態の平面図並びに断面の詳細を示す。
【
図11】試料受領空洞の浅部及び深部並びにチャネル弁を備えた、代替実施形の断面を示す。
【
図12】ガスケットエラストマ、複数の経路チャネル、接続及び通気チャネル、並びに血漿収集用のアクセス領域を備えた、円盤形状のカートリッジの平面図並びに断面図を示す。
【
図13】モータ用の嵌合特徴、入口穴内のストッパ、及び血漿収集用の出口穴を含む、円盤形状のカートリッジの平面図並びに断面図を示す。
【
図14】試料流体を含有し、回転スピン前、回転スピン中、及び回転スピン後にセパレータゲルと組み合わせた、円盤形状のカートリッジを示す。
【
図15】回転スピン前、回転スピン中、及び回転スピン後に粒子のサブ集団分離用の密度媒体を備えた、円盤形状のカートリッジを示す。
【
図16】カートリッジ・キャリア内に閉囲された血漿収集溝を備えた、円盤形状のカートリッジを含む実施形態の断面を示す。
【
図17】回転スピン前、回転スピン中、及び回転スピン後に侵入空洞内に血液を備えたカートリッジの代替非円盤形状の実施形態の側断面図を示す。
【
図18】試料受領空洞の浅部及び深部を備えた、カートリッジの実施形態の平面図並びに断側面図を示す。
【
図19】カートリッジの別の実施形態の側断面図を示す。
【
図20】カートリッジと組み合わせたカートリッジ・ホルダを含む、実施形態の平面図及び断側面図を示す。
【
図21】非円盤形状のカートリッジの実施形態の平面図及び断側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
説明、シナリオ、例及び図面は、非限定的な実施形態である。「発明」の全ての言及は、「実施形態」を指す。代替の変形形態及び実施形態、並びにそれらの様々な組合せが想定されてもよく、本明細書に記載の実施形態は、本発明の例示的実施形態に過ぎないことを理解されたい。図面は一定の縮尺ではなく、その代わりに概して本明細書に論じた様々な概念を例示することに重点が置かれていることも理解されたい。
【0015】
カートリッジ又は装置とも呼ばれる本発明の装置は、遠心分離機内で使用し、回転軸を中心にスピンすることを意図する。以下に説明するために、用語「遠位」、「近位」、「端部」、「内方」、「外方」、及び使用する場合に同様の空間用語は、回転軸に関するものとする。「平面図」は、典型的には実施形態を見下ろし、回転軸の中を見ている。「側面図」は垂直の回転軸を有し、「内方」は回転軸により近付くことを特徴とし、「外方」は回転軸から遠ざかることを特徴とする。同様に「遠位」及び「端部」の特徴は回転軸から比較的遠く、「近位」及び「内方」の特徴は回転軸に比較的近い。
【0016】
本明細書に記載された実施形態は、試料流体をより高い及びより低い密度の位相成分に、すなわち重質(ペレット)画分及び軽質(流体の上澄み)画分に分離する際に使用することを意図した装置、並びに装置の使用方法から成る。本発明の装置は、全血から血漿又は血清を分離させ、血漿又は血清の回収を促進するために使用することができる。本明細書に記載された実施形態は、全血を含む試料を指すことがあり、全血は血漿画分と細胞画分に分離される。方法及び装置は、より高い密度の重質画分(細胞画分に対応する)と、より低い密度の軽質画分(血漿画分に対応する)に分離されてもよい、分離可能な混合物(全血に対応する)を含む試料により一般的に適用されてもよいことを理解されたい。場合によって、重質画分は遠心分離に続いて詰められた血球などの詰められた粒子を含んでもよいことを理解されたい。具体的には詰められた血球は、遠心分離に続いて総血液容積の百分率の特定の範囲を占有することが公知である。
【0017】
血漿又は血清は、細胞画分から装置の構成要素の異なる弾性を通して分離した状態で維持されてもよく、これにより装置の2つの構成要素の間の密封した領域は、回転力又は遠心分離が試料を充填した装置に加えられた時に開き、密封した領域は回転力又は遠心分離が取り除かれた時に閉じる。密封シールは、液体及び気体の流れが封止された領域にわたって制限又は完全に防止され得ることを意味することを理解されたい。
【0018】
本明細書に記載された装置で処理する試料の例示的容積は、0.1mL~10mLの範囲内であってもよい。代替実施形態では、装置は、10~30mLの容積を持つ試料を処理するために使用されてもよい。一部の実施形態は、0.05mL~1mLなどの範囲のより小さい容積の範囲に最適化されてもよい。カートリッジは、試料をより高い密度画分とより低い密度画分に分離することができるように、有効時間に有効速度で回転される。回転の有効速度の例は、少なくとも3,000RPM、例えば少なくとも6,000RPMだが、好ましくは12,000RPM未満の回転速度を含む。有効回転速度は、従来の血液分離に使用する回転速度より高い、例えば8,000~12,000RPMの範囲も含んでもよい。回転に対する有効時間の範囲の一例は、10~600秒である。好ましい有効時間の範囲は30~300秒である。有効時間に有効速度でのカートリッジの回転に続いて、第2の時間にわたってスピン速度が低減してもよい。例えば、カートリッジは、10~120秒間に1,000~5,000RPMで回転してもよい。第2の時間におけるこの回転は、内部表面から重微粒子を切り離し、より高純度の血漿画分(又は他の軽質画分)を生成することができることがある。
【0019】
本発明の装置は上板及び底板を含み、その両方が周囲の周りのシールに接合される。カートリッジの上板及び底板の例示的材料は、これに限定されないが、医療グレードのポリプロピレンを含んでもよい。追加の例示的材料は、ポリエチレン、ポリスチレン、ABS、PET、PETG、PVDF、及びTopas(登録商標)COCポリマである。カートリッジは、2~15cm、より好ましくは4~10cmの範囲内の直径を持つ円盤形状であってもよい。
【0020】
遠心分離機は、回転モータにカートリッジを取り付けるための嵌合ハブを有してもよい。遠心分離機は、必ずしもそうではないが、典型的にはハブを通る回転軸を含む。一部の実施形態では、回転軸は、回転軸の点でカートリッジを通過する。一部の実施形態では、カートリッジは、装置の実施形態の一部、若しくは方法の実施形態の一部として、又は使用中に遠心分離機の回転モータに直接結合してもよい。
【0021】
次に図面を参照すると、
図1Aは円盤形状のカートリッジ101の平面図を示す。中心から周囲に向かうカートリッジの主要要素は、試料受領空洞102、受領空洞から外方の先細領域103、分離チャネル104、分離チャネル104から外方の遠位空洞105、並びに上板107及び底板108を固定する外部シール106を含む。
【0022】
外部シール106は、分離要素であってもよく、又は底板108若しくは上板107又は両方の一部であってもよい。すなわち外部シール106の機能は、分離構成要素なしに実現されてもよい。外部シール106は、接着剤を含んでもよく、又は超音波溶接、接着剤、溶媒、圧入によって生成されてもよく、又は好ましくはオーバーモールドによって形成されたエラストマ接合であってもよい。最も好ましくは、外部シール106は、上板又は底板の材料より弾性的(より低い弾性率)である材料から作成される分離要素になる。外部シール106は、熱可塑性エラストマ、シリコンエラストマ、ポリウレタンエラストマ、フルオロエラストマ、又はブチルゴムなどのエラストマ材料から組み立てられてもよい。本明細書のエラストマ材料は、粘弾特性を持つ材料を指し、粘弾特性は力を受けて実質的に伸びる又は引張してもよく、圧縮力を受けて小さい隙間を塞ぐように一致してもよく、力が取り除かれた時に元の構成に戻ってもよい。エラストマ材料は、95ショアA硬度未満の硬さを有してもよく、好ましくは25ショアA硬度~70ショアA硬度の硬さを有してもよい。外部シール106は、上板107及び底板108で隙間のない密封シール(すなわちいかなる気体、液体又は固体の通路も防ぐシール)を形成してもよい。
【0023】
図1Bは、円盤形状のカートリッジ101の断側面図を示す。示された実施形態では、底板108内の窪みは、底板108上の底内部表面及び上板107上の平坦な上内部表面で受領空洞102を形成し、上板の入口穴109で開く。他の実施形態では、侵入空洞又は侵入チャンバとも呼ばれる受領空洞は、上板内のみの窪み、又は上板及び底板内の組み合わせた窪みから形成されてもよい。
図1Bに示された一実施形態では、試料受領空洞は、回転軸111上に中心を置いてもよい。この実施形態では、回転軸111は、上板107と底板108との間の平面に垂直である。他の実施形態では、試料受領空洞は、回転軸を含有してもよく、又は回転軸を中心とした環状空洞であることなどにより回転軸を包囲してもよい。入口穴109は受領空洞102と流体連通して配置され、示された実施形態では、流体を抜き取るための手段が受領空洞102に接近できるように位置付けられる。受領空洞102から外方に、受領空洞と流体連通し、回転軸に垂直な平面に対して15°~85°の先細角度を持つ先細領域103が存在する。好ましくは、先細角度は20°~75°になる。
図1Bに示された例では、先細角度は、底板内のみに実装されているが、底板及び上板の両方、又は上板のみに先細角度を実装することができる。受領空洞102及び先細領域103を組み合わせた容積は、血液試料などの受領する試料流体の容積以上になる。
【0024】
引き続き
図1Bを参照すると、先細領域103から外方に、上板107及び底板108によって形成された分離チャネル104がある。示された実施形態では、分離チャネルは、先細領域103と接合し、その上表面と底内部表面との間に固定高さを備えて先細領域103を中心に周囲に延在する、環状チャネルである。分離チャネル104の高さは、カートリッジが停止している時に0.5mm以下であってもよい。後に説明するように、分離チャネル104の高さは、カートリッジが液体を含有し、有効速度で回転する時に増加してもよい。より好ましくは、分離チャネル104の高さは、円盤が停止している時に0.1mm未満であってもよい。一部の実施形態では、分離チャネルは、カートリッジが停止している時に測定不能な高さ(0に等しい高さ)を有してもよい。分離チャネル104の半径長さは、カートリッジ101の総半径の1/10~1/2であってもよい。より好ましくは、環状分離チャネル104の幅は、カートリッジ101の半径の1/5~1/3であってもよい。分離チャネル104の上部表面及び下部表面は、実質的に平坦であり、示されたように回転軸に垂直であってもよい。分離チャネル104は、任意選択的に血漿などの分離した流体の上澄みの重力流れを毛細管現象によって支援されて受領空洞102の中に戻すのを促すために、分離チャネルの遠位端から近位受領空洞102に戻って、回転軸に垂直な平面から例えば1~45度だけ下方に傾斜してもよい。分離チャネル104の遠位端に接続されるのは、細胞収集溝とも呼ばれる遠位空洞105である。
図1に示された実施形態では、遠位空洞は、カートリッジの周囲内に延在するリング形状である。他の実施形態は、カートリッジの周囲を中心に分配された複数の遠位空洞を有してもよい。遠位空洞105の高さは、分離チャネル104内の最小高さより大きくてもよい。遠位空洞の高さは、受領空洞の高さ以下であってもよい。遠位空洞105の容積は、遠心分離後の試料流体の重質画分によって占有された容積より大きく、全試料流体の容積より小さくあるべきである。例えば遠位空洞105の容積は、血液の予想される容積の50%~60%であってもよく、それをカートリッジが分離するように構成される。血液分離を意図する実施形態については、遠位空洞105の容積は、受領空洞102及び先細領域103を組み合わせた容積の30~60%になる。遠位空洞105の幅は、円盤形状のカートリッジ101の半径の1/15~1/5であってもよい。より好ましくは、遠位空洞105の幅は、円盤形状のカートリッジ101の半径の1/10~1/5であってもよい。遠位空洞105の容積は、血球を詰めた容積以上であることが望ましい。
【0025】
カートリッジ101は、試料受領空洞102、先細領域103、分離チャネル104、及び遠位空洞105を含む内部を有することが見られる。前の特徴の表面は内部表面である。カートリッジの内部は、入口穴により外部に繋げられる。
【0026】
次に
図2A、2B、及び2Cを参照すると、実施形態は、少なくとも1つの突起201を更に含み、突起201は、分離チャネル104の上表面又は底表面から延在してもよい。示された実施形態では、突起201は、途切れのないカートリッジの周囲に延在する環状突起であるが、部分的に周囲に延在する突起が可能である。1つ又は複数の環状突起201は、カートリッジ101が停止している時に底板108と上板107との間に1つ又は複数の接点202を生成する。上板及び底板は、接点で接触してもよく(例えば距離0を有する)、又は0.05mm未満などの狭いチャネルが接点202で上部と底部との間に存在してもよいことを理解されたい。接点202は、
図2Aに示されたように、遠位空洞105と先細領域103との間の流体伝達を防ぐように作用してもよい。突起201は、対向する板に向かう上板107及び底板108の一方又は両方の伸長部を含んでもよい。環状突起201は、上板107及び底板108と同じ材料から作成されてもよい。突起201は、スピン前に接点202を形成してもよく、これはカートリッジが有効速度で回転すると同時に試料流体を含有している時に、試料用の通路を提供して遠位空洞105に粒子を堆積するために開いてもよく、試料の上澄み画分とペレット画分との間に障壁(すなわち接点202)を提供するために遠心分離後に再度閉じてもよい。
【0027】
図2Aを参照すると、円盤形状の実施形態の断側面図は、分離チャネル104の遠位端で底板108から1つの環状突起201を備えて示されている。1つの環状接点202が上板107と底板108との間に示されており、遠位空洞105から先細領域103を分離する。この例及び以下の例では、突起201は、カートリッジの中心に向かって回転軸に面する傾斜表面を有する。この傾斜表面は、回転中に粒子を表面に接着させることなく血球などの粒子を遠位空洞105の中に動かすことを促進し得る。表面は、回転軸に垂直な平面に対して1~45度傾斜してもよい。
【0028】
図2B及び2Cは、突起201の代替構成を含む実施形態の詳細な断側面図を示す。
【0029】
図2Bを参照すると、円盤形状の実施形態の片側の遠位端の代替実施形態の詳細が示されている。この例では、1つの環状突起201は底板108から延在し、別の環状突起201は上板107から延在し、分離チャネル104の遠位端付近に2つの接点202を形成する。内部環状突起201の近位表面は傾斜してもよい一方で、外部環状突起201の近位表面は垂直であってもよい。
【0030】
図2Cを参照すると、2つの環状突起201は底板108から延在して示されている。2つの突起は、
図2Bに示された2つの突起より互いから大きい距離を有する。代替実施形態では、分離チャネルは、3つ以上の突起を含んでもよい。代替実施形態では、突起は、上板から、又は上板及び底板の両方から延在してもよい。複数の突起は、血液を血漿と細胞画分に分離した後に遠位空洞とより近位の空洞との間に十分でより有効な封止を提供する利点を有する。各接点202は、例えばより近位の接点が遠心分離の初期段階(すなわちより低い遠心分離速度)で開いた後に、より高い遠心分離速度で遠位の環状突起が開くように、異なる開口圧力を有してもよい。
【0031】
図1のカートリッジ101の作用機構は、
図3A~3Cに例示されている。
図3A~3Cに示された作用機構は、概ね本明細書に記載された他の実施形態に適用可能である。
【0032】
図3Aは、遠心分離の前に全血301(又は他の試料流体)を充填したカートリッジ101の実施形態を示す。カートリッジ101は、充填した全血又は試料流体301が試料の充填直後に抗凝血剤に接触するように、抗凝血剤などの添加剤を好ましくは試料受領空洞102内に含んでよい。抗凝血剤は、これに限定されないが、ヘパリンの塩、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)の塩、又はクエン酸ナトリウムを含んでよい。全血又は試料流体301は、スピン前に試料受領空洞102及び先細領域103内に留まってもよい。回転スピン中に、全血301は、まず遠心力により先細領域の中に移動されてもよい。全血は、最初に分離チャネル104に入ることができないことがあり、流体上の遠心力に起因して圧力が増強する。この圧力により、外部シール106の材料が変形して伸長することがあり、分離チャネル104内の上板107と底板108との間の距離は
図3Bに示されたように増加する。これにより距離が増加し、分離チャネルの高さが拡大することにより、全血又は試料流体301が分離チャネル104及び遠位空洞105の中に通ることができる。遠心分離時に、分離チャネル104の上表面と底表面の少なくとも一部の間の距離は、50%より増加してもよい。分離チャネル103の容積が増加したことにより、
図3Bに示されたように、全試料流体301を分離チャネル及び遠位空洞105に入れることができ得る。外部シール106の弾性変形に起因した流体の遠位移動は、(i)回転軸からの距離が増加したことに起因して有効な遠心力を増加すること、(ii)細胞が分離するために移動しなければならない距離を低減すること、並びに(iii)表面が遠心力の効果に平行であり、従って表面の接着に影響され難い領域の中に流体を動かすことにより、分離効果を増加させ得る。有効なスピン速度でスピンすることによって発生した遠心力は、次いで
図3Bに示されたように細胞画分303(重質画分)から血漿302(軽質画分)を分離する。より重い細胞画分303は、遠位空洞105内にペレットを形成するために外方に運ばれる一方で、血漿画分302は、カートリッジのより内方に配置された領域内で細胞画分303上に浮く。
【0033】
図3Cを参照すると、遠心分離後に外部シール106はその元の状態に跳ね返ってもよく、分離チャネル104はその元の寸法に戻ってもよい。
図3Cは、遠位空洞105内のより重い細胞画分303の分離及び捕捉を示す。より軽い血漿画分302のほとんどは、カートリッジの弾性反発により試料受領空洞102及び先細領域103などのカートリッジの内方部の中に排出される。一部の実施形態では、分離チャネル104の停止状態は完全に閉じ、分離チャネル104内に含有された全ての血漿は内方に排出される。一部の実施形態では、血漿は、次いで更なる使用又は処理のために入口穴を通って回収されてもよい。
【0034】
次に
図4を参照すると、円盤形状のカートリッジ101の実施形態の平面図の一部が示されており、これは遠位空洞105から半径方向内方、且つ環状分離チャネル104から半径方向外方にOリング401を含む。Oリング401は、シリコンゴム、フルオロエラストマ、又は他のゴム材料などのエラストマ材料から作成されてもよい。Oリング401は、圧縮されていない間に2cm~8cmの外径及び1.5mm~5mmの厚さを有してもよい。Oリング401の堅さは、ショア硬度60A以下、より好ましくは30A~50Aの範囲内であってもよい。一連の通路403及びポスト402は、Oリング401から外方、且つ遠位空洞105から内方に配置されてもよい。後に記載するように、Oリング401は、上板と底板(図示せず)との間に配置され、カートリッジ101が停止している間に試料受領空洞102と遠位空洞105との間に密封シールを形成してもよい。カートリッジが回転していると同時に試料流体を含有している時に、圧力により上板及び底板が
図3Bに関連して先に記載されたように分離してもよく、流体及び粒子がOリングを通ることができる。ポスト402は、全てのポスト403が遠心分離中に衝突する粒子を遠位空洞105に向けるように、Oリング401に向かう平坦でない表面を表して示されているが、流体及び粒子は通路403の周囲を通過し得る。通路403は、ポスト402の間に空間を含み、ポスト402より大きい深さを備える。ポスト402及び通路403は、Oリング401と細胞捕捉溝105との間に連続した異なる高さの空間を交互に含んでもよい。通路403及びポスト402の目的は、Oリング401を適所に保持することである一方で、遠心分離中にOリングのエラストマ材料は外方に拡張するので、流体は通過できる。別の実施形態では、Oリング401は、分離チャネル104の内縁部に向かって位置付けられてもよく、そこでOリング401は試料受領空洞102と接触し、その場合にポスト402及び通路403は、Oリング401と分離チャネル104の本体との間に置かれてもよい。別法として、Oリングは分離チャネル104の中間に置かれてもよく、Oリングを2つの断面に二分する。
【0035】
図5Aは、回転スピン前に静止している、
図4の実施形態のB-B断面を示す。一実施形態では、Oリング401は、上板107内に配置された上溝501及び底板108内に配置された底溝502内に含有されてもよい。Oリング401を保持する上溝501及び底溝502は、長方形であるように示されているが、Oリング401の輪郭に実質的に一致するように丸みを帯びてもよい。遠心分離前に、Oリング401は、上板107と底板108との間で圧縮されてもよく、受領空洞102と遠位空洞105との間に密封シールを形成する。上溝501と底溝502との間の最大表面距離は、圧縮されていないOリング401の厚さより小さくてもよい。分離チャネル104は、スピン前に完全に閉じてもよく(すなわち高さ0を有する)、又は0.5mm未満の高さを有してもよい。ポスト402及び通路403(この断面には示されていない)は底板内に示されているが、上板107内に配置されてもよい。ポスト402は、カートリッジ101の上板107及び底板108の両方の一部であってもよい。底板108上のポスト402は、カートリッジが停止している時に上板107の対応する表面に接触してもよい。代替実施形態では、上板107上のポスト402は、底板108の表面に接触してもよい。代替実施形態では、スピン前にポスト402と対向する部分との間に隙間が存在してもよい。
【0036】
図5Bは、有効速度で回転スピン中に同時に試料流体301を含有している間の、
図4の実施形態のB-B断面の遠位部を示す。この実施形態では、弾性外部シール106は、回転力若しくは流体圧又は両方に起因して拡大してもよく、上板107と底板108との間の距離が増加する。遠心分離中にポスト402の上表面と他方の板(この例では上板107)上の対向する表面との間の最小距離は、Oリング401の厚さより小さくなければならない。スピン中、ポスト402はOリング401を保持してシールの形成を防止してもよく、流体が通路403を通って流れることができてもよい。全血などの試料流体は、従ってOリング401の周りを通り細胞捕捉溝105の中に外部方向503に流れてもよい。スピン中、堆積する粒子はOリング401の周りを通過し、開いた通路403を通って遠位空洞105の中に入ってもよく、
図3Bに示されたペレットと同様に遠位空洞内にペレットを形成する。回転スピンが完了してカートリッジが再度停止した後、上板107、底板108、及びOリング401の構造は、
図5Aに示されたように停止構成に戻ってもよい。Oリング401は、上板107と底板108との間を再度圧縮してもよく、これにより遠位空洞105と分離チャネル104との間に密封シールを形成し、各空洞内に流体又は粒子を含有してもよい。例えば細胞画分(図示せず)は遠位空洞105内に含有されてもよい一方で、大半の血漿画分(図示せず)は空洞の内方に排出されてもよい。
【0037】
次に
図6Aを参照すると、カートリッジ101は、分離チャネル104内に一部が配置されたガスケット601から成ってもよい。このようなガスケット601は、
図1Aに関連して先に記載されたように、外部シール106を含む同じ型のエラストマ材料から作成されたエラストマ・ガスケットであってもよい。ガスケット601は、外部シール106と同一材料から、又は異なるエラストマ材料から組み立てられてもよい。このようなガスケット601は、主に環状分離チャネル104内に位置付けて示されており、一部は境界609が遠位空洞105内に配置されるように、遠位空洞105の一部に延在する。
【0038】
図6Bは、
図6Aの実施形態の断側面図を示す。
図6Bでは、ガスケット601は上板107に取り付けて示され、ガスケット602の近位表面は先細領域103内に先細に示されている。ガスケット602の表面に対する先細角度は、回転軸に垂直な平面に対して15°~85°であってもよい。好ましくは、先細角度は20°~75°になる。ガスケット601は、カートリッジが示されたように停止している時に分離チャネル104が閉じるように、分離チャネル内で底板108にも接触するように示されている。カートリッジが有効速度で回転すると同時に試料流体を含有する場合、分離チャネルは外部シールが伸長することに起因して拡張してもよく、
図2に関連して先に記載されたように流体が試料受領空洞102から遠位空洞105に通ることができる。試料流体を含有するカートリッジが有効速度で有効時間の回転を完了し、回転が止まった後、細胞画分は遠位空洞105内に維持されてもよい一方で、ほとんどの血漿画分は先細領域103及び試料受領空洞102の中に内方に排出されてもよい。ガスケット601は、上板107に取り付けて示されているが、別法として反対方向に先細を備えて底板108に付着されてもよい。代替実施形態では、1つのガスケットが上板に取り付けられ、1つのガスケットが底板に取り付けられるなど、複数のエラストマ・ガスケットが一緒に実装されてもよい。このようなガスケットは、密封シールを形成するために互いに接触してもよい。
【0039】
図6Cを参照すると、
図6Bの断面の詳細が示されている。ガスケット601は、圧縮深さ603だけ分離チャネル104内に圧縮されて示されており、
図6Bに示された試料受領空洞102と遠位空洞105との間に密封シールを形成する。ガスケット601の圧縮の深さは、10~1000ミクロンであってもよい。示された実施形態では、遠位空洞105は底板108、上板107、及びガスケット601から表面によって囲まれている。エラストマ材料は、材料の粘弾性に起因して圧縮された時に対向する表面内の小さい窪みなどの小さい不完全性を塞いでもよく、強固な密封シールが可能であることを理解されたい。このようなガスケット601は、停止している間にカートリッジ101の上板107と底板108との間の気体又は液体の通路に対して密封シールを形成するために、オーバーモールド若しくは接着などの不可逆的処理中に、上板107又は底板108のいずれかに付けることが好ましい。密封シールは、カートリッジが有効速度で回転すると同時に記載されたように試料流体を含有する時に破断してもよく、密封シールは、カートリッジの回転が止まった時に再建されてもよい。
【0040】
図6D及び6Eに続いて
図7A~7Dは、ガスケット601を含む円盤形状のカートリッジ101の周囲に向かう代替実施形態の断面詳細図を示す。これらの実施形態では、全分離チャネル104を塞ぐ代わりに、ガスケット601は、上板107の一部のみを覆って示されている。このような実施形態では、ガスケット601によって覆われていない分離チャネル104の高さは、カートリッジが停止している間にゼロであってもよく、又は高さは0.5mm未満若しくは0.1mm未満などの異なる値であってもよい。
図6D、6E、及び7A~7Dの実施形態は、
図6A~6Cに示されたように分離チャネルを通って延在するガスケットと組み合わされてもよいことを理解されたい。
図6D、6E、及び7A~7Dの実施形態は、別法として示されたように上板の代わりに底板にガスケットの特徴を溶解してもよいことを理解されたい。
【0041】
図6Dを参照すると、ガスケット601は、エラストマ弁604を更に含むように示されている。このようなエラストマ弁604は、遠心力若しくは試料流体からの圧力又は両方によって作動されるように設計されてもよく、受領空洞102から外方に遠位空洞105に向かうように1方向のみに開いてもよい。一例として、エラストマ弁604は、それからエラストマ弁604が組み立てられるエラストマ材料の粘弾性に起因して、カートリッジが有効速度で回転する時に外方に偏向してもよい。示された実施形態では、エラストマ弁604は、カートリッジ内で内部空洞に近位傾斜表面を提供する。いずれかに論じたように、傾斜表面は、衝突粒子を表面に維持するより、むしろ遠心分離中に遠位空洞に向かって偏向させることができる。示された実施形態では、底板108は、分離チャネル104と遠位空洞105との間に位置付けられた衝突表面605を含む。衝突表面605は、示されたような底板108内の内角部によって表されてもよい。エラストマ弁604は、底板108との小さい空間重複を有するように示されており、これは弁が圧迫を受けることを表すことを意味する。弁604の遠位表面は、示されたように実質的に垂直である。遠位表面は別法として凹部であってもよい。凹部又は実質的に垂直な遠位表面は、遠位空洞内の流体圧力が、カートリッジが試料を含有する間に圧縮シールを強化する後にスピンが終了することがあるという利点を有する。
【0042】
図6Eは別の実施形態を示し、ここではガスケット601は複数のエラストマ弁606を含み、上板107に付着している。底板108は、分離チャネル104と遠位空洞105との間に配置された窪み607を所有してもよい。ここに示されたエラストマ弁606は、丸みを帯びた表面を有する。ここでは、密封シールは、このようなエラストマ弁606がカートリッジ101の底板108内の窪み607の表面と相互作用する場所に形成されてもよい。ガスケット601は別法として底板108に付着されてもよく、窪み607は上板107上に据えられてもよいことを理解されたい。弁606は底板108との小さい空間重複を有するように示されており、これは、カートリッジが停止している間に弁が圧縮されていることを表すことを意味する。
【0043】
次に
図7Aを参照すると、遠位空洞105は、弾性ガスケット601のフラップ701が勾配表面702と干渉してもよいように、カートリッジ101の底板108上に勾配表面702を有してもよい。弾性ガスケット601のフラップ701は、真っ直ぐ又は垂直線に対して0~45度の角度で傾斜してもよい。好ましくは、勾配表面702の傾きの絶対値は、圧縮されていない時にフラップ701の傾きの値より大きくなる。密封シールは、フラップ701と勾配表面702の界面に形成されてもよい。これは、703で示された重複領域によって表されている。そのエラストマ材料の圧縮に起因して、フラップ702は、カートリッジが停止している時に勾配表面702と同じ傾きを実際には採用してもよい。
【0044】
次に
図7Bを参照すると、遠位空洞105は、カートリッジ101の底板108上にフラップ701を抱えるために窪み605を含む。弾性ガスケット601のフラップ701は、近位傾斜表面704及び遠位表面を含んでもよく、遠位表面は、示されたように実質的に垂直又は凹部である。フラップ701は、衝突表面605で対向する板に接触し、そこでフラップ701は、いずれかに記載したように、有効速度でスピンする前後に密封シールを形成することがあり、細胞画分と血漿画分との間の分離を維持する効果を備える。フラップ701は、いずれかに記載したようにカートリッジが有効速度で回転し、試料を含有する時に、遠心力又は圧力によって開くことがある。好ましくは、フラップ704の先端は、示されたように表面605に衝突する。概して、フラップ上の内方に面する表面、弁、又は分離チャネルの表面の回転軸に垂直な平面に対して60°未満の角度が、細胞を遠位空洞の中に偏向させるために十分な傾き又は先細であってもよい。
【0045】
次に
図7Cを参照すると、弾性ガスケット601は、回転スピン前にカートリッジが停止している間に、示されたような先細フラップ705及び長いフラップ701を含む。この実施形態では、カートリッジ101の底板108上のフラップ窪み605の近位区分上の表面は、フラップ705の先細表面に平行であるように設計されている。先細フラップ705の先端、若しくはフラップ701の先端、又は両方は、カートリッジ101が停止している時に、環状分離チャネル104と遠位空洞105との間に複数の封止点を提供するために衝突表面605を圧迫してもよい。
【0046】
図7Dは、回転スピン中で、同時にカートリッジが試料流体301を含有する間の
図7Cの実施形態を示す。遠心分離時に、弾性ガスケット601のフラップ705及びフラップ701の両方は、粘弾性材料上の遠心力の作用に起因して、方向707に半径方向外方に偏向されてもよく、試料流体301がガスケット601を通過してカートリッジ101の遠位空洞105に入ることができる。ガスケットの伸長部が遠心力によって偏向される作用のこの機構は、概して
図6D、6E、7A、及び7Bに関連して記載された実施形態にも適用可能である。このような遠心偏向は、血液試料などの試料流体が過剰な剪断応力に曝されず、試料に含有された粒子への損傷の可能性が低減するという利点を有する。血液の場合、このような剪断応力は、赤血球の破裂(溶血現象)を生じる可能性がある。
【0047】
図8Aは、カートリッジ101の上板107と底板108との間にシム801とも呼ばれる複数の内部スペーサを含む、代替実施形態を示す。シムはいかなる表面にも付着しないが、カートリッジが停止している間にガスケット601の圧縮により適所に保持されてもよい。外部シール106は、圧縮力を受けてエラストマのオーバーモールドによって組み立てられてもよく、残りの圧縮力をもたらす。シム801用の例示的材料は、これに限定されないが、硬質プラスチック又はステンレス鋼などの金属を含んでもよい。シム801の直径は、遠位空洞105の幅以下であってもよい。シム801の厚さは0.025~0.2mmであってもよい。このような実施形態は、少なくとも1つのシムを含む。半径方向に対称である複数のシムを有することが理想的である。シム801は、分離チャネル104内のどこに配置されてもよい。
【0048】
図8Bは、カートリッジ内に試料流体を置く前に停止している、
図8Aの実施形態の断側面図を示す。実施形態は、遠心分離前に分離チャネル104内に配置されたガスケット601及び2つのシム801を含む。シム801は、分離チャネル104の一部又は完全な開口をもたらしてもよい。
図8Bに示された構成では、試料流体(図示せず)は、有効速度でカートリッジを回転時に分離チャネル103を通ってシムの周りを動いてもよい。試料流体は、
図3Bに示された構成と同様に遠位空洞105及び分離チャネル104に入ってもよい。シム801の存在により、流体が最小剪断応力でガスケット601を通過することができることがある。遠心分離中の流体圧力は、いずれかに記載されたように分離チャネル104を広げてもよい。これにより、シム801が分離チャネル104から逃れて遠位空洞105に入ることができ得る。
【0049】
図8Cは、全血がより軽い血漿画分302とより重い細胞画分303に遠心分離した後でカートリッジが停止した後の、
図8Aの実施形態の断側面図を示す。シム801は、遠位空洞105の幅以下の直径を有してもよく、上記のようにスピン中に外方に遠位空洞105の中に移動して示されている。シムが分離チャネル103から取り除かれた状態で、外部シール106は、分離チャネルを閉じるために接触してもよく、遠位空洞105と内部空洞との間に密封シールを形成する。
【0050】
図9及び10は、接続チャネル901及び経路チャネル902を更に含む、カートリッジ101内の分離チャネル104の様々な構成を含む代替実施形態を示す。本明細書では、接続チャネル901及び経路チャネル902は、どちらも分離チャネル104の残余内の上表面と底表面との間の距離より大きい深さを持つ溝を指す。一部の実施形態では、分離チャネル内の上表面と底表面との間の距離は、接続チャネル901又は経路チャネル902内を除いてゼロになる。
【0051】
図9Aを参照すると、カートリッジ101の実施形態の平面図が示されている。試料受領空洞を経路チャネル902に繋ぐ、4つの接続チャネル901が示されている。代替実施形態では、接続チャネルは、先細領域を遠位空洞に繋いでもよい。この代替実施形態は、先細領域と遠位空洞との間に密封シールを形成するのを防ぐはずであり、試料流体は、受領空洞から遠位空洞に容易に進むことができるという利点を備える。経路チャネル902は、分離チャネル104内の環状溝として示されている。線分又は一部の環状部などの経路チャネル用の非環状形状が可能である。経路チャネル902から内方の分離チャネルの一部は、内部接触部903とラベル付けされている。経路チャネル902から外方及び遠位空洞105から内方の分離チャネルの一部は、外部接触部904とラベル付けされている。接続チャネル901は、半径方向に対称に示されており、接続チャネルを非対称に分配した実施形態が可能である。代替実施形態は、1~24個の範囲の接続チャネルを有してもよい。後続の図についての断面表示は、接続チャネル901を通って切断するE-E断面に対して905、及び内部接触部903を通って切断するF-F断面に対して906とラベル付けされている。
【0052】
図9Bを参照すると、
図9Aの実施形態のE-E断側面図が示されている。接続チャネル901は、経路チャネル902と等しい深さを有して示されている。経路チャネルは、別法として経路チャネルと異なる深さを有してもよい。接続チャネル及び経路チャネルは、0.01mm~0.5mmの深さを有してもよい。好ましくは、接続チャネル及び経路チャネルは、0.025mm~0.2mmの深さを有してもよい。示された実施形態は、
図6に関連して記載されたエラストマ・ガスケットに類似したエラストマ・ガスケット601を更に含む。一部の実施形態は、エラストマ・ガスケットがなくてもよい。一部の実施形態では、接続チャネル又は経路チャネルは、上板又は底板内に直接ではなく、むしろエラストマ・ガスケット601内の溝であってもよい。外部接触部904は、経路チャネル902と遠位空洞105との間に密封シールを形成してもよい。経路チャネル902の遠位表面は、いずれかに論じたように遠心分離中に粒子を遠位空洞の中に偏向するのを促すために、示されたように傾斜してもよい。
【0053】
図9Cを参照すると、
図9Aの実施形態の断側面
図F-Fが示されている。エラストマ・ガスケット601は、外部接触部904及び内部接触部903の両方又はいずれかで圧迫されてもよい。一部の代替実施形態では、0.1mm未満などの小さい隙間は、上板と底板との間に外部接触部及び内部接触部903の両方又はいずれかで存在してもよい。カートリッジが有効速度で回転すると同時に試料流体を含有する場合、試料は、まず接続チャネル901及び経路チャネル902に入ってもよい。遠心力は、接続チャネル901及び経路チャネル902内の流体圧力を増加させ、これは分離チャネル104、具体的には内部シール903及び外部シール904を開くことを促進する。少なくとも1つの経路チャネルを備える実施形態は、流体圧力がより大きい表面積にわたって発揮され、カートリッジ内の開く力を増加するという利点を有する。従って分離チャネル104を開くために必要な流体圧力が低減する。有効速度で有効時間の回転が完了した後、外部シール106によって発揮されたあらゆる圧縮力は、外部接触部904及び内部接触部903上に焦点を合わせ、外部接触部904に密封シールを再建する助けになる。代替実施形態は、2~6個の経路チャネルなどの複数の経路チャネル902を有してもよい。代替実施形態は、経路チャネルのみ又は接続チャネルのみを有してもよい。
【0054】
次に
図10Aを参照すると、接続チャネル901及び通気チャネル1001を含む実施形態の平面図が示されている。接続チャネル901及び通気チャネル1001は、どちらも試料受領空洞102を経路チャネル902に繋ぐように示されている。カートリッジ101が停止している時、試料流体は、接続チャネル901を通って経路チャネル902の中に動いてもよい。通気チャネル1001は、空気用の通路を提供することにより経路チャネル902が試料流体で完全に満たされるのを支援する手段として機能してもよい。通気チャネル1001は、示されたように接続チャネル901より幅が小さくてもよい。示された実施形態は、血漿収集空洞1002を更に含み、血漿収集空洞1002はリム壁1003によって囲まれてもよい。血漿収集空洞1002は、上板107内の入口穴リム1005から接近可能であってもよい。回転軸1006は、カートリッジ101の中心にあってもよい。血漿収集空洞1002は、内部シール903より回転軸1006に近くてもよい。このような血漿収集空洞1002は、血漿が予想可能な場所から収集され得るという利点を有することがある。分離後に分離された血漿は、経路チャネル902及び接続チャネル901を通る毛細管現象の助けで、血漿収集空洞1002の中に流れてもよい。
【0055】
図10Bは、
図10Aの実施形態のG-G断面を示す。血漿収集空洞1002の遠位表面は、いずれかに論じたように、遠心分離中に遠位空洞105の中への細胞の偏向を促進するように示されたように傾斜してもよい。血漿収集空洞1002の深さは、分離チャネル104の深さ以上であってもよい。血漿収集空洞1002の深さは、受領空洞102の深さより小さくてもよい。血漿収集空洞1002の容積は、カートリッジの使用後に分離された血漿の予想される容積以上であってもよい。例えば、血漿収集空洞1002は、遠位空洞105の40%~100%の容積を有してもよい。
【0056】
次に
図11を参照すると、円盤形状のカートリッジ101の実施形態101の断面が示されている。実施形態は、少なくとも1つの先細分離チャネル1106を含んでもよい。チャネルは受動侵入弁1104及び主チャネル1105を含んでもよく、主チャネル1105は示されたように近位部が
図11に遠位端より薄いように、その近位端からその遠位端に先細の厚さを含んでもよい。実施形態は、遠位受動弁1107及び遠位空洞105を含む。一実施形態では、受動弁1104における高さ又は厚さZは、その最大値Xにおけるチャネル1105の高さ又は厚さより小さくてもよく、これは次いで遠位空洞105の高さ又は厚さYより小さい。すなわちZ<X<Yである。より深い部分1102及びより浅い部分1103を備える、非対称の侵入空洞が
図11に示されている。追加として、入口穴109も、カートリッジの回転軸に対して非対称、又は試料受領空洞102に対して非対称であってもよい。一実施形態では、
図11に示されたようなウィッキングリッジ1103は、試料流体を充填できる一方で通気を維持するために、試料受領空洞102の基部における高さが変化してもよい。追加として、ウィッキングリッジ1103は、入口穴用の基部、又はスピン後の試料流体若しくは血漿のより軽い部分のための収集領域を形成してもよい。血漿は、毛細管現象によりウィッキングリッジ1103の中に流れてもよい。血漿は、先に記載した1105及び/又は1106の先細の厚さに起因して、一部の毛細管現象によりウィッキングリッジ1103上に流れてもよい。他の実施形態におけるように、カートリッジは、外部シール1101により外部で接合されてもよい。
【0057】
次に
図12Aを参照すると、接続チャネル901、通気チャネル1001、血漿収集空洞1002、経路チャネル902及び内部経路チャネル1204を含む、別の実施形態の平面図が示されている。1組の内部接触部903は、経路チャネル904と内部経路チャネル1204との間に示され、別の組の内部接触部904は、内部経路チャネル1204から内方に示されている。示されたカートリッジの実施形態は非対称であってもよく、回転軸1202は、(点線1203で示されているように)入口穴の中心、又は試料受領空洞102の中心ではなくてもよい。試料受領空洞102を含むカートリッジの構造全体は対称ではなくてもよいが、カートリッジ101の重心は回転軸1202に据えられる。血漿収集空洞は、一部の内部接触部から外方、且つ分離チャネル104の環状境界内に配置されてもよい。血漿回収点1201は、入口穴1203から接近可能であってもよい。
【0058】
図12Bは、
図12Aの実施形態の断側面
図H-Hを示す。血漿回収点1201は、血漿収集空洞1002から半径方向内方に配置された、血漿収集空洞1002と流体連通する狭い空洞であってもよい。
図10に関連して記載されたように、血漿は、カートリッジ101内の血液試料の遠心分離に続いて、経路チャネル902、接続チャネル902、及び内部経路チャネル1204を通って血漿収集空洞1002の中に流れてもよい。外部接触部904は、
図9に関連して記載されたように、カートリッジが停止している時に遠位空洞105と経路チャネル902との間に密封シールを提供する助けとなってもよい。分離チャネル104の境界内に血漿収集空洞1002を配置することは、遠心分離に続いて外部シール106を弛緩している間に、好ましいこの場所に血漿画分を蓄積させることにより、血漿収集空洞内に血漿画分の回収を高める助けとなることがある。
【0059】
図13Aは、上板1301内の窪み、入口穴109、及び入口穴109内に配置された弾性ストッパ1302を含む、円盤形状のカートリッジ101の平面図を示す。試料受領空洞102は、上板107及び底板108内の両方を組み合わせた窪みから形成されてもよい。先細領域は、上板及び底板の両方の先細部から形成されてもよい。
図13Aは、カートリッジ101の平面図を示す。ストッパ1302は、穿刺した時に再封止し得る気密シールを提供するように構成された、ゴムなどのエラストマ材料を含んでもよい。ストッパは、カートリッジの前又は後の実施形態のいずれかと組み合わせてもよい。カートリッジは、流体を抜き取るための手段により試料流体(すなわち血漿)のより軽い部分を抽出できるために、出口穴1303及び出口穴の上に置かれた箔シール1304を更に含んでもよい。出口穴1303は、示されたように試料受領空洞102の周囲に位置付けられてもよい。別法として、出口穴1303は、先細領域103内に位置付けられてもよい。箔シール1304は、積層アルミニウム箔、積層ガラス層、又はプラスチック層を含んでもよく、密閉型気体及び流体障壁を提供してもよい。箔シール1304は、感圧接着剤又は熱接着剤を含んでもよい。
【0060】
図14Bを参照すると、
図14Aの実施形態の断側面図が示されている。カートリッジは、カートリッジが停止している時に、カートリッジが試料受領空洞102と遠位空洞105との間に密封シールを形成するように、分離チャネル104内に1つ又は複数の突起201を更に含んでもよい。別法として、カートリッジは、Oリング、1つ若しくは複数のガスケット、又は先に記載したように密封シールを提供する他の手段を含んでもよい。カートリッジは、遠心分離機のモータ軸とかみ合うように構成されたハブ1305を更に含んでもよい。
【0061】
図13の実施形態では、弾性ストッパ1302は、排気されたカートリッジで試料流体を収集する機能を提供してもよい。例えば、これに限定されないが、試料受領空洞102、先細領域103、分離チャネル104、及び遠位空洞105を含むカートリッジの内部は、製造中に部分的に空気が排出されてもよい。排気されたカートリッジは、大気圧より低い圧力で気体を含有してもよい。このような排気された容器は、当技術分野に公知である。カートリッジの排気は、翼状針などの試料収集装置を患者及びストッパ1302を通して翼状針に管類で接続した第2の針に接続することにより、例えば採血を促進し得る。血液は、次いでストッパ1302を通る差圧により患者からカートリッジの中に吸引されるはずである。ストッパ1302はプラグ1306を含んでもよく、プラグ1306は、いかなる隙間もないカートリッジの入口穴1307の伸長部に圧入するように適合されてもよい。このようなストッパは、カートリッジ101内に取り外し可能に装着するように適合される一方で、ストッパ1306のプラグ1306が入口穴の伸長部と接触する場所に密封シールを提供してもよい。別法として、ストッパは、溶媒、接着剤、熱接合、又は射出オーバーモールド処理などにより、カートリッジ101の入口穴109に恒久的に付着されてもよい。排気されたカートリッジのストッパ1302は、試料流体が針からカートリッジ内に収集されるように、カートリッジの内部の低減した圧力と流体連通できる流体移動針によって穿刺されてもよい。流体移動針は取り外されてもよく、ストッパ1302はカートリッジ101を再度封止してもよい。カートリッジ101は、長期間大気圧より低い圧力(すなわち真空)で気体を保持するために複数の層を含んでもよい。カートリッジ101は、添加剤を含有してもよい。弾性ストッパ1302の内部表面又は外部表面も、添加剤で覆われてもよい。添加剤は、これに限定されないが、抗凝血剤、安定剤、及び界面活性剤を含んでもよい。カートリッジ101は、抗凝血剤を含有してもよい。抗凝血剤は、これに限定されないが、ヘパリン、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、又はクエン酸ナトリウムを含んでよい。カートリッジ101は、防腐剤としても公知の安定剤を含有してもよい。防腐剤は、これに限定されないが、DNAなどの核酸高分子の破壊を低減するように構成された物質、細胞膜の破壊を低減又は防ぐように構成された物質、及び細胞代謝を低減又は阻止するように構成された物質を含んでもよい。防腐剤は、上に列挙した抗凝血剤を含んでもよい。カートリッジ101は、前述の添加剤の様々な4を含む混合物を含有してもよい。
【0062】
図13に示された実施形態のカートリッジは、アルミニウムを部分的に含むポーチなどの気体を透さないポーチ内に保存され、ノズル真空シーラ又は真空チャンバシーラなどの手段によって排気されてもよい。このようなカートリッジによる血液の遠心分離後に、血漿は、箔シール1304の穿刺及び試料受領空洞102から又は先細領域103からの吸引によって抽出されてもよい。
【0063】
次に
図14Aを参照すると、円盤形状のカートリッジ101の実施形態の断側面図が示されており、これは、回転スピン前だが血液試料などの試料流体301の投入後にセパレータゲル1401を含有してもよい。それ以外は、この実施形態の詳細は
図1及び
図3と関連して記載された詳細に類似している。セパレータゲル1401は、まず示されたような実施形態の遠位空洞105内にある。セパレータゲル1401は、別法として試料受領空洞102内などのカートリッジ内の内部場所のいずれに保存されてもよい。セパレータゲル1401は、より軽い血漿画分より大きく、より重い細胞画分より小さい密度を有してもよい。血液の例に対して、セパレータゲルは1.03g/cc~1.08g/ccの密度を有してもよい。セパレータゲルは、典型的に管内に血液分離を維持するために使用されるより低い粘弾性のチキソトロピーゲルであってもよい。より低い粘弾性は、ゲルが管より小さい直径の空洞内に維持されるので好都合である。セパレータゲル1401の容積は、分離チャネル104の容積以下であってもよい。別法として、セパレータゲルの容積は、遠位空洞の容積の20%~50%であってもよい。
【0064】
図14Bは、回転スピン中の
図14Aの実施形態を示し、ここでは全血又は試料流体301は細胞画分303と血漿画分302に分離されており、セパレータゲル1401は細胞画分303と血漿画分302との間に層を形成する。外部シール106の伸縮に起因して、分離された血液成分及びセパレータゲルは、この状態で分離チャネル104及び遠位空洞105内にある。
【0065】
図14Cは、回転スピンが有効速度で完了してカートリッジが停止に戻った後の
図14Aの実施形態を示す。先に記載したように、外部シール106の弾性反発により、血漿302が試料受領空洞102及び先細領域103の中に押し戻される。密度ゲルは、本明細書に列挙されたカートリッジの実施形態のいずれと組み合わされてもよく、血漿回収の効果(すなわち受領空洞102内の回収可能な血漿302の百分率)は、機械的分離のみから増加することがあるという利点を備える。セパレータゲル1401は、表面張力に起因して分離チャネル104内に安定して保たれてもよい。
【0066】
次に
図15Aを参照すると、密度媒体1502及び白血球などの懸濁した標的粒子1501を含有する試料流体301を含有する、回転スピン前のカートリッジの実施形態の一部の断側面図が示されている。示されたカートリッジの実施形態は、
図2に関連して記載された構造と類似した構造であり、突起201及び接点202を含み、接点202はカートリッジが停止している時に密封シールを形成してもよい。密度媒体1502は、全血又は試料流体301より大きく、白血球などの標的粒子1501より大きいが、赤血球などの非標的粒子の密度より小さい質量密度を持つ水溶液媒体であってもよい。密度媒体1502は、パーコール内などのシリカナノ粒子、又はフィコールパック内などの高濃度塩及びポリマの水溶液を含んでもよい。密度媒体1502は、最初に遠位空洞105内に含有されてもよい。密度媒体1502は、最初に環状分離チャネル104内にある程度及び遠位空洞105内にある程度含有されてもよい。標的粒子1501は、これに限定されないが、エクソソーム又は循環腫瘍細胞を含んでもよい。追加として、標的粒子としてのエクソソームについては、全血は、微小量の細胞又は血小板を除いて標的粒子を含有する、あらゆる試料流体懸濁によって置換されてもよい。このような適用では、血漿の残余細胞数の許容範囲(すなわち無視できると考えてもよい細胞若しくは血小板の量)は、1ミリリットル当たり全血試料10
4~10
8内の細胞量の1~0.001%以下であってもよい。
【0067】
図15Bは、回転スピン中の
図15Aの実施形態を示す。標的粒子1501は、血漿302として表された軽質画分と密度媒体1502との間の界面に層を形成してもよい。赤血球303として表されたより密度が高い非標的粒子は、遠心力を受けてスピン中の密度媒体1502を通過してもよく、遠位空洞105内に堆積してもよい。
【0068】
図15Cは、回転スピンが完了してカートリッジが停止した後の
図15Aのこの実施形態を示す。白血球1501として表された標的粒子は、血漿302と共に弾性外部シール106がその最初の構成に戻る際に、試料受領空洞102の中に押し出されてもよい。この実施形態では、白血球及び血漿は、環状突起201により遠位空洞105から仕切られる。この実施形態では、密度媒体1502は2つの突起201の間で先細になっており、2つの突起201は接点202で密封シールを形成してもよい。別法として、密度媒体1502は一部が血漿画分302と混合されてもよく、これは一部の使用に容認され得る。白血球1501(又は他の標的粒子)は、次いで赤血球画分303から汚染されることなく試料受領空洞102から回収され得る。
【0069】
図16は、試料受領空洞102、環状分離チャネル104、入口穴109、環状突起201、及び先に記載されたように遠心分離機上にカートリッジを固定するためのハブ1305を含む、カートリッジ101の実施形態を示す。追加としてこの実施形態では、カートリッジ101は、いずれかに述べた先細領域への変更として、試料受領空洞102と環状分離チャネル104との間に位置付けられた血漿収集溝1607を更に含んでもよい。血漿収集溝1607は、上板107と底板108との間に、分離チャネル104に隣接して空洞を含んでもよい。血漿収集溝は、血漿の毛細血管の保持を促すために内部リム1609によって囲まれてもよい。示されたように、内部リム1609は、血漿収集溝1607の空洞の内部の環状リブである。血漿収集溝1607の高さは、分離チャネル104より大きく、試料受領空洞102の高さ以下であってもよい。血漿収集溝1607の容積は、カートリッジの使用後に分離した血漿の予想される容積以上であってもよい。例えば血漿収集溝1607は、遠位空洞105の40%~100%の容積を有してもよい。血漿収集溝は、カートリッジが1mL未満の血液容積などの小さい血液容積を分離するように構成される時に最も好都合であることがある。
【0070】
引き続き
図16を参照すると、カートリッジ101は、試料流体を遠心分離して血漿画分と細胞画分などのその軽質画分と重質画分に分離した後に、カートリッジ・キャリア1601内に置かれてもよい。カートリッジ・キャリアは、上部1602、底部1603、及び閉鎖するための手段1604を含んでもよい。カートリッジ・キャリア1601は、含有したカートリッジ101に圧力を掛けるように構成されてもよい。カートリッジ・キャリア1601は圧力リッジ1605を更に含んでもよく、圧力リッジ1605は、遠位空洞105とカートリッジ101内の他の空洞との間の機械的シールを高めるために、リングリッジ201又はカートリッジ101の他の特徴の上に位置付けられてもよい。キャリア1601は、入口穴109の上に位置付けられた出口開口1608を有してもよい。外部開口1608は、流体抜取装置1606を血漿収集溝1607に接近させ得る。カートリッジ・キャリア1601は、密封外部シールを形成するために外部シール106のエラストマ材料と接触して圧縮してもよい。カートリッジ・キャリア1601は、保存及び輸送中に分離した成分の間の機械的シールを保護して高める余分の層を提供してもよい。カートリッジ・キャリア1601を使用する1つの利点は、分離した血液を移動する時などに生物安全性を改善し得る。この図に示されたようなカートリッジ・キャリアは、試料流体の異なる画分の間の分離の安定性を高めるために、
図1~15と関連して論じた実施形態のいずれと組み合わされてもよい。
【0071】
図17は、異なる段階(
図17A~17C)で非円盤形状のカートリッジ1701の実施形態の単純化した断側面図を示す。
図17Aは、スピン前に全血又は試料流体301を充填したカートリッジ1701を示す。カートリッジ1701は、底板1705に付着した上板1704を含む。上板1704及び底板1705は、射出成形によって製造されてもよい。上板1704及び底板1705は、遠位端1703に接続して遠位端1703で封止されてもよい。上板1704及び底板1705は、中空チャネル1708を形成する。近位端における底板1705内の窪みは、侵入チャンバとも呼ばれる試料受領空洞1707を形成してもよく、これは上部に開口を有してもよい。
図17Aでは、1707’は、底板1705内の試料受領空洞1707の基部又は底面を示す。必ずしもそうではないが、典型的には、受領空洞1707の容積は、受領空洞1707の中に充填された試料流体が、過充填することなくスピン中にチャネル1708の中に移動してもよいように、チャネル1708の容積とほぼ等しくてもよい。一部の実施形態は、受領空洞1707及びチャネル1708の異なる容積を有してもよい。上板1704内の開口は、入口穴1706を形成してもよい。全血又は試料流体301は、入口穴1706を通り、受領空洞1707の中に入ってカートリッジの中に充填されてもよい。カートリッジ1701は、試料流体301を血漿302と血球303への分離などの軽質部と重質部に分離するために、遠心分離機上でスピンされてもよい。軽質部と重質部の分離のための有効なスピン速度は、3000rpm~12000rpmであってもよい。軽質画分と重質画分の分離のための有効なスピン時間は、30~600秒であってもよい。
【0072】
図17A~17Cに、ハブ又はロータへのカートリッジの取付要素は示されていない。回転軸も示されていない。
図17Aを参照すると、回転軸は、典型的には上板1704に垂直な試料受領空洞1707の左又はカートリッジ1701の近位端における垂線であるはずである。
【0073】
図17Bは、スピン中に血漿302が血球303から分離している間の
図17Aの実施形態を示す。試料流体301は、試料受領空洞1707からチャネル1708の中に完全に出なくてもよく、試料流体の一部は試料受領空洞1707内に残っていてもよい。
【0074】
図17Cはスピン後のカートリッジ1701を示す。
図17Bでは、スピン中に受領空洞1707内に血漿302が存在してもよい。これにより、スピン後に血漿302の一部が受領空洞1707の中に流れて戻ることがあり、これは、カートリッジの中に充填された試料流体302の過剰容積の結果として生じることがある。微粒子の全て及び血漿302の一部は、表面張力及び毛管力に起因して、チャネル1708内に保持されてもよい。
【0075】
図18A~18Dは2つの代替実施形態を示す。
図18A及び18Bは平面図であり、
図18C及び18Dは実施形態の断側面図である。カートリッジ1701は入口穴1706を含む。試料受領空洞1707は、1806及び1805のそれぞれにより
図18Cに示されたように、深部及び浅部を備えて構築されてもよい。線1801は、試料受領空洞1707内の深部と浅部との間の境界を示す。1803は、J-J断面に対する印を示す。毛管力に起因して、入口穴1706を通って充填された試料流体は、まずカートリッジ1701の浅部1805を充填し、入口1706は流体によって包囲されないので、流体が入る際に空気が入口穴1706から通気し続け得るという利点を備える。入口穴1706は、入口穴1706が流体に包囲されるのを防ぐために、深部1806及び浅部1805の両方と重なってもよい。
【0076】
図18Bは、
図18Aの代替実施形態を示す。この実施形態では、チャネルの浅部1805は浅くてもよく、深部1806は深くてもよい。浅部1805及び深部1806(
図18D参照)は、
図18Bに示されたように、チャネルから試料受領空洞1707の中に延在してもよい。線1802は、チャネルの深部と浅部との境界を示す。線1804はK-K断面の印を示す。
【0077】
図18Cは
図18AからのJ-J断面を示す。侵入空洞の深部1805及び浅部1806に留意されたい。
【0078】
図18Dは、
図18Bの侵入空洞を通るK-K断面を示す。侵入空洞の深部1805及び浅部1806に留意されたい。
【0079】
図19は、遠位空洞1902、分離チャネル1901、及び試料受領空洞1707を備えた、カートリッジ1701の代替実施形態の断側面図を示す。チャネルの拡大は、主に深いチャネル深さを通ってもよい。この実施形態は、同じ試料流体容積に対してより短いカートリッジが可能であり得る。
【0080】
図20Aは、カートリッジ1701がカートリッジ・ホルダ又はキャリア2001の中に可逆的に置かれた、尚別の実施形態の平面図を示す。一実施形態及び使用方法では、カートリッジ・ホルダ2001は再利用できてもよい一方で、カートリッジ1701は使い捨てであってもよい。追加として、回転軸2004は、カートリッジ・ホルダ2001が平衡錘2005を含む実施形態ではなくてもよい。平衡錘は、流体を充填したカートリッジ1701に結合されたカートリッジ・ホルダ2001の重心が、回転軸2004の上に直接重なるような大きさにされる。2003は、カートリッジ・キャリア1701の遠位端を示す。L-L断面の印は2006と示されている。カートリッジ・キャリア2001は、カートリッジ1701が遠心分離中に受動的に保持されるように構築されてもよい。
【0081】
図20Bは、
図20Aの実施形態のL-L断面を示す。円形断面は平衡錘2005を小型に保ち、スピン中にカートリッジ・ホルダ2001の空気力学も向上することがある。
【0082】
次に
図21Aを参照すると、試料受領空洞102、受領空洞から外方の先細領域103、分離チャネル104、分離チャネル104から外方の遠位空洞105、並びに上板107及び底板108を固定する外部シール106を含む、非円盤形状のカートリッジ2101の実施形態の平面図が示されている。回転軸2102は、典型的には
図21A及び21Bに示されたように、試料受領空洞102の左の垂線であるはずである。
【0083】
図21Bは、
図21Aの実施形態のM-M断側面図を示す。示された実施形態では、底板108内の窪みは、底板108上の底内部表面及び上板107上の平坦な上内部表面で受領空洞102を形成し、上板内の入口穴109で開く。他の実施形態では、受領空洞は、上板内のみの窪み、又は上板及び底板内の組み合わせた窪みから形成されてもよい。入口穴109は、受領空洞102と流体連通して配置され、示された実施形態では、流体抜き取りのための手段が受領空洞102に接近できるように位置付けられている。受領空洞102から外方に、受領空洞と流体連通する先細領域103が存在する。受領空洞102と先細領域103を組み合わせた容積は、受領空洞102の中に充填された試料流体がスピン中にそれを過充填することなくチャネル104の中に動くことがあるように、受領する試料流体の容積以上になる。
【0084】
2101に類似した非円盤形状のカートリッジは、エラストマ外部シール、試料受領空洞、先細領域、分離チャネル、及び遠位空洞を含む、
図1~9に関連して論じた円板形状の実施形態の要素を採用してもよい。このようなカートリッジは、円形断面又は楔形状の形を有してもよい。具体的には、
図2B、2C、5A、5B、6C、6D、6E、7A、7B、7C、及び7Dなどの周辺詳細図は、主な特徴が全環よりむしろ環状区分を形成し、回転軸が試料受領空洞に近位のカートリッジの外側に置かれる、細長いカートリッジの型に直接移されてもよい。
【0085】
試料受領空洞102若しくは1707又は試料受領空洞102の先細領域103の内部などの環状分離チャネル104若しくはチャネル1708の一部は、3M Company(55144-1000、米国ミネソタ州St.Paul)製のScotcch Guard(登録商標)などの疎水材料で最初に覆われてもよい。このような被覆は、カートリッジが血液を不適切に充填し、カートリッジの入口穴が、入口穴から通気がないことに起因して血液によって包囲される状況を避ける役に立つことがある。
【0086】
このような被覆は、全表面にも塗布されてもよい。加えてこのような被覆は、スピン中にチャネルから空気を抜くことができるために、チャネル全体又は放射線状などに塗布されもよい。
図18Bの線1802は、別法として線の片側のみを被覆したチャネル内の線を画定すると解釈されてもよい。このような被覆は、全血により親水属性を有するように変えられてもよい。分離チャネルの表面の親水性被覆は、スピン後に受領空洞(102若しくは1707)又は血漿収集溝(1607)に血漿が動く支援をしてもよい。界面活性剤は被覆として使用してもよい。被覆は電荷を含んでもよい。
【0087】
一部の実施形態では、被覆は、受領空洞、チャネル、又は他の領域若しくは要素内などのカートリッジの内部に使用してもよい。このような被覆は、疎水性、親水性、酵素、染料、着色剤、防腐剤、増粘剤、pH調節物質、緩衝剤、タンパク質、又は他の物質であってもよい。一部の実施形態では、化学薬品が流体の一部若しくは全てと化学的、静電気的、又は機械的に相互作用するように、化学的、生物学的、又は非生物学的物質を提供する、緩い、すなわち「浮動」要素が導入されてもよい。このような浮動要素は、カートリッジの内部を被覆する代替手段であってもよい。具体的には、このような浮動要素は、所望の化学薬品が長期保存できない、又は被覆に適さない場合に使用してもよい。一部の実施形態では、微粒子を使用してもよい。微粒子の直径は0.1~500μmであってもよい。微粒子は、微粒子を使用してヌクレアーゼ活性を低減できるように被覆を有してもよい。微粒子材料は、微粒子材料がより重い流体成分の上で浮動し、若しくはより軽い流体要素の下に沈む、又は中間密度であるように選択されてもよい。微粒子は、被覆などの化学薬品を保持する、又は充填材として作動するために使用されてもよい。
【0088】
一構成では、実施形態は、凝固血液から血清を分離するために使用されてもよい。カートリッジは、シリカ粒子又はPDMS-PEO界面活性剤などの凝固形成を加速するための物質を含有してもよい。カートリッジとかみ合うように構成された遠心分離機は、血清発生の時機を合わせるための手段、及び凝固形成を加速するための物質と血液を混合するための手段を組み込んでもよい。遠心分離機は一方向に、次いで他方向にカートリッジを繰り返し回転させることにより混合を促進してもよい。遠心分離機は、10分~60分間経過後に血清の分離を促進するためにカートリッジをスピンしてもよい。
【0089】
カートリッジを製造するステップは、例として上板及び底板の3D印刷、射出成形、プレス加工、機械加工によって作成することと、あらゆる所望の被覆を加えること、並びに/又は密度媒体若しくは他の物質を充填することと、超音波溶接、接着剤、圧入、又はオーバーモールドを介した上板及び底板の組立と、任意に接着剤、圧入、又はオーバーモールドを介した上板及び弾性ストッパの組立と、入口穴若しくは出口穴又は両方の上に取り外し可能なカバー又はシールを置くことと、ラベルを置くことと、任意にハブを固定することとを含んでもよい。理想的には上板及び底板は一体式であるが、そのような必要はない。
【0090】
任意に取り外し可能なカバーが、入口穴、若しくは出口穴、又は両方の上に置かれてもよい。カバーは、カートリッジの内部に清浄性又は無菌性を提供してもよく、取り外した時に破棄し、スピン後に交換し、又は使用したカートリッジを破棄する前に交換してもよい。別法として、カバーは、漏れを防ぐために流体がカートリッジの中に置かれた後に取り付けてもよい。このカバーは、分離した血漿若しくは他の上澄みを取り除く又は抽出する前に取り除かれるはずである。カバーは、穿刺可能、若しくは気密、又は両方であってもよい。製造したカートリッジは、輸送又は保管用に滅菌袋の中に置かれてもよい。製造したカートリッジを輸送又は保管するための滅菌袋は、気密であってもよい。カートリッジは、有効期限などをシリアル化し、又は印を付けてもよい。
【0091】
使用時のステップは、カートリッジで開始することと、輸送又は保管袋からカートリッジを調達することと、入口穴又はストッパの上のあらゆるシールを取り除くことと、任意に緩い、すなわち「浮動」要素を追加することと、ストッパ又は入口穴を通って試料受領空洞の中に流体を置くことと、入口穴の任意の取り外し可能なカバーを置くことと、カートリッジを遠心分離機の中又はカートリッジ・キャリアの中に置くことと、カートリッジを遠心分離することと、遠心分離機からカートリッジを取り外すことと、ピペット又は流体移動のあらゆる手段の使用などにより、所望の血漿又は他の上澄みを抽出することとを含んでもよい。
【0092】
所望の血漿の抽出の代わりに、又は所望の血漿の抽出に加えて、ヘマトクリットなどの観察又は測定は、カートリッジ内の分離した要素から行われてもよい。例えば、カートリッジと共に使用する遠心分離機は、血液試料内のヘマトクリット(詰めた赤血球の容積の百分率)を概算するために、遠心分離の終了近くで血球画分の高さ及び血漿画分の高さを分析する画像システムを含んでもよい。
【0093】
システムは、使い捨て可能なカートリッジ及び再利用可能な遠心分離機の供給を含んでもよい。システムは、再利用可能なカートリッジ・キャリアも含んでもよい。システムは、満たす若しくは空にするピペット又はカップなどの使用するための用具と、使用したカートリッジ又は廃棄流体を廃棄するための構成要素と、所望の血漿若しくは他の上澄みの輸送又は保管用の二次容器も含んでもよい。
【0094】
本明細書の多くの検討は、血液画分と呼ばれることがある、全血から血漿を隔離又は分離のためのカートリッジに関するが、実施形態の装置、システム及び方法によって分離されてもよい、多くの他の生物体液が存在する。一例として、精漿が全精液から隔離されてもよい。別の例として、尿がより軽い成分及び取り除く上皮細胞などのより重い成分に分離されてもよい。尚別の例として、一部の生物混合物は、細胞培養又は臓器細胞などの非流体細胞の収集から始まり、次いで細胞は液化され、例えば細胞壁を破壊するためにブレンダ内に置かれ、又は処理される。実施形態は、残りの全細胞を分離するために使用されてもよい。得られる上澄みは、ウィルス、タンパク質、遊離抗体、DNA、又は対象の他の生物要素を含んでもよい。一部の実施形態では、ポートは、生体試料に対して全細胞を含むことが多い遠心ペレットを取り除くことを提供してもよい。他の実施形態では、上板及び底板の一方又は両方のビューイングポートは、ペレット、媒体ゲル、ビーズ、及び又は上澄みの目視検査を可能にすることがある。このような検査は、特定の型の細胞などの成分の観察を含んでもよく、又は容積の測定を含んでもよい。
【0095】
実施形態は、非生物体液への適用も含む。具体的には実施形態は、組成物流体から懸濁粒子などのより重い成分を遠心分離することにより、組成物流体からより軽い流体を抽出するのに適する。組成物流体は、液体、気体、エアロゾル、ゲル、混合物、又は懸濁液であってもよい。本明細書に記載された実施形態は、提言した寸法、容積又は材料を備えた実施形態であっても非限定的である。化学分析又は検査、汚染制御、及び化学薬品製造などの一部の用途は、実質的により大きい構成要素を使用してもよい。
【0096】
Ideal(理想的な)、Ideally(理想的に)、Optimum(最適な)、及びPreferred(好ましい)について-「ideal」、「ideally」、「optimum」、「optimum」、「should(べきである)」、及び「preferred」の用語の使用は、本発明を説明する文脈で使用する時に、本発明の1つ又は複数の適用に対する1つ又は複数の実施形態に対して特に最良の形態を指す。このような最良の形態は非限定的であり、当業者は理解するように、全ての実施形態、用途、又は実装技術に最良の形態でなくてもよい。
【0097】
全ての例は試料の実施形態である。具体的には、語句「発明」は、全ての条件下で「本発明の実施形態」を意味すると解釈するべきである。例、シナリオ、及び図面は非限定的である。本発明の唯一の限定は特許請求の範囲内である。
【0098】
May(してもよい)、Could(可能である)、Option(任意の)、Mode(形態)、Alternative(代替)、及びFeature(特徴)について-「may」、「could」、「option」、「optional」、「mode」、「alternative」、「typical(典型的な)」、「ideal」、及び「feature」の用語の使用は、本発明を説明する文脈で使用する時に、特に本発明の様々な実施形態を指す。記載された利点は、その利点を提供するそれらの実施形態のみを指す。本明細書における全ての説明は、当業者が理解するように非限定的である。語句「configured to(構成される)」は、「adapted to(適合される)」も意味する。語句「a configuration(構成)」は「an embodiment(実施形態)」を意味する。
【0099】
本明細書における全ての数字の範囲は、非限定的な例示的実施形態に過ぎない。図面の簡単な説明は、非限定的な例示的実施形態に過ぎない。
【0100】
本発明の実施形態は、全ての特許請求の範囲の全ての特徴、要素、及び限定の全ての組合せ並びに部分的組合せを明らかに含む。本発明の実施形態は、本明細書における全ての特徴、要素、例、実施形態、表、値、範囲、及び図面、図形、図面、並びに全ての図面シートの全ての組合せ並びに部分的組合せを明らかに含む。本発明の実施形態は、特許請求の範囲、明細書、及び図面に記載された全ての方法のあらゆる組合せを実装するために装置並びにシステムを明らかに含む。本発明の方法の実施形態は、従属方法クレームステップの全ての組合せをあらゆる機能順で明らかに含む。本発明の方法の実施形態は、あらゆる装置クレームを指す時に、装置クレームにおける要素の全ての組合せを含む、任意及び全ての他の装置クレームに対するそれらの置換を明らかに含む。