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  • 特許-シャフト付きセラミックヒータ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】シャフト付きセラミックヒータ
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20231031BHJP
   H01L 21/205 20060101ALI20231031BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20231031BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20231031BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20231031BHJP
   H05B 3/06 20060101ALI20231031BHJP
   H05B 3/18 20060101ALI20231031BHJP
   H05B 3/74 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
H01L21/68 R
H01L21/205
H01L21/302 101G
H01L21/31 C
H01L21/78 N
H05B3/06 B
H05B3/18
H05B3/74
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021529940
(86)(22)【出願日】2020-06-10
(86)【国際出願番号】 JP2020022833
(87)【国際公開番号】W WO2021002168
(87)【国際公開日】2021-01-07
【審査請求日】2021-10-04
【審判番号】
【審判請求日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】P 2019122787
(32)【優先日】2019-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】相川 賢一郎
(72)【発明者】
【氏名】竹林 央史
(72)【発明者】
【氏名】久野 達也
【合議体】
【審判長】瀧内 健夫
【審判官】松永 稔
【審判官】中野 浩昌
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-312976(JP,A)
【文献】特開平06-279974(JP,A)
【文献】特開2006-339678(JP,A)
【文献】特開2017-011049(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0002217(US,A1)
【文献】特開2014-124213(JP,A)
【文献】特開2005-158933(JP,A)
【文献】特表2014-511572(JP,A)
【文献】特開2011-023475(JP,A)
【文献】特表2018-506853(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/683, H01L21/3065, H05B3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
RF電極及び複数の抵抗発熱体が埋設されたセラミックプレートと、
前記セラミックプレートのウエハ載置面とは反対側の面に設けられた中空のセラミックシャフトと、
前記セラミックシャフトの内部空間に収容され、前記セラミックプレートのウエハ載置面とは反対側の面から前記RF電極に接合されたRF給電ロッドと、
前記セラミックシャフトの内部空間に収容され、前記セラミックプレートのウエハ載置面とは反対側の面から前記複数の抵抗発熱体のそれぞれに接合された複数の発熱体給電ロッドと、
を備え、
前記RF給電ロッド及び前記複数の発熱体給電ロッドのうち前記セラミックシャフトの内部空間に位置する部分の外周面は、絶縁薄膜で覆われており、前記絶縁薄膜は、エアロゾルデポジション膜であり、前記RF給電ロッド及び前記複数の発熱体給電ロッドのうち前記セラミックプレートに差し込まれた部分の外周面は、絶縁薄膜で覆われていない
シャフト付きセラミックヒータ。
【請求項2】
前記絶縁薄膜は、厚みが10μm以上200μm以下である、
請求項1に記載のシャフト付きセラミックヒータ。
【請求項3】
前記抵抗発熱体は、前記セラミックプレートの複数のゾーンのそれぞれに設けられている、
請求項1又は2に記載のシャフト付きセラミックヒータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャフト付きセラミックヒータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体ウエハの搬送、露光、CVDなどの成膜プロセスや、洗浄、エッチング、ダイシングなどの微細加工においては、ウエハを保持するシャフト付きセラミックヒータが使用される。こうしたシャフト付きセラミックヒータとして、特許文献1に示すように、抵抗発熱体が埋設されたセラミックプレートと、セラミックプレートのウエハ載置面とは反対側の面に設けられた中空のセラミックシャフトと、セラミックシャフトの内部空間に収容された発熱体給電ロッドとを備えたものが開示されている(図4参照)。発熱体給電ロッドは、セラミックプレートのウエハ載置面とは反対側の面から抵抗発熱体に接合されている。また、発熱体給電ロッドのうちセラミックシャフトの内部空間に位置する部分の外周面は、セラミックスにより形成された絶縁部材で覆われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-51317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
こうしたシャフト付きセラミックヒータにおいて、発熱体給電ロッドを覆う絶縁部材として絶縁スリーブなどを用いた場合、絶縁スリーブはある程度の厚みが必要になるため、複数の発熱体給電ロッドをセラミックシャフトの内部空間に収容しようとすると、セラミックシャフトの径を大きくする必要があった。しかしながら、セラミックシャフトの径を大きくすると、ウエハ載置面やウエハの均熱性が悪化したりセラミックシャフトとセラミックプレートとの接合界面における応力が大きくなったりするため、セラミックシャフトの径を大きくするには限界があった。
【0005】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、給電ロッド間の絶縁性を確保しつつ給電ロッドの配置密度を高めることを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のシャフト付きセラミックヒータは、
RF電極及び抵抗発熱体が埋設されたセラミックプレートと、
前記セラミックプレートのウエハ載置面とは反対側の面に設けられた中空のセラミックシャフトと、
前記セラミックシャフトの内部空間に収容され、前記セラミックプレートのウエハ載置面とは反対側の面から前記RF電極に接合されたRF給電ロッドと、
前記セラミックシャフトの内部空間に収容され、前記セラミックプレートのウエハ載置面とは反対側の面から前記抵抗発熱体に接合された発熱体給電ロッドと、
を備え、
前記RF給電ロッド及び前記発熱体給電ロッドの少なくとも一方のうち前記セラミックシャフトの内部空間に位置する部分の外周面は、絶縁薄膜で覆われており、前記絶縁薄膜は、エアロゾルデポジション(AD)膜又は溶射膜である、
ものである。
【0007】
このシャフト付きセラミックヒータでは、RF給電ロッド及び発熱体給電ロッドの少なくとも一方のうちセラミックシャフトの内部空間に位置する部分の外周面は、絶縁薄膜で覆われており、絶縁薄膜は、AD膜又は溶射膜である。そのため、絶縁薄膜の厚みは十分薄くなる。したがって、給電ロッド間の絶縁性を確保しつつ給電ロッドの配置密度を高めることができる。その結果、セラミックシャフトの内部空間に収容可能な給電ロッドの数を多くしたり、同じ数の給電ロッドを径の小さいセラミックシャフトの内部空間に収容したりすることができる。
【0008】
本発明のシャフト付きセラミックヒータにおいて、前記絶縁薄膜は、厚みが10μm以上200μm以下であってもよい。こうすれば、本発明の効果がより確実に得られる。
【0009】
本発明のシャフト付きセラミックヒータにおいて、前記抵抗発熱体は、前記セラミックプレートの複数のゾーンのそれぞれに設けられ、前記発熱体給電ロッドは、前記抵抗発熱体ごとに設けられていてもよい。複数のゾーンのそれぞれに抵抗発熱体を備えたいわゆる多ゾーンヒータにおいて、本発明は特に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態のシャフト付きセラミックヒータの縦断面図。
図2】シャフト付きセラミックヒータの横断面図。
図3】シャフト付きセラミックヒータの横断面図。
図4】従来のシャフト付きセラミックヒータの縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の好適な実施形態を、図面を参照しながら以下に説明する。図1は本実施形態のシャフト付きセラミックヒータの縦断面図である。
【0012】
シャフト付きセラミックヒータは、図1に示すように、セラミックプレートと、セラミックシャフトと、RF給電ロッドと、発熱体給電ロッドとを備えている。セラミックプレートには、RF電極及び抵抗発熱体が埋設されている。RF電極は、プラズマを発生させる際に高周波電圧が印加される電極である。抵抗発熱体は、セラミックプレートの複数のゾーンのそれぞれに設けられている。セラミックシャフトは、セラミックプレートのウエハ載置面とは反対側の面にダイレクトボンディングにより接合された中空シャフトである。RF給電ロッドは、セラミックシャフトの内部空間に収容され、セラミックプレートのウエハ載置面とは反対側の面からRF電極に接合されている。発熱体給電ロッドは、セラミックシャフトの内部空間に収容され、セラミックプレートのウエハ載置面とは反対側の面から抵抗発熱体に接合されている。発熱体給電ロッドは、抵抗発熱体ごとに設けられている。各給電ロッドの材質としては、例えばモリブデン、チタン、ニッケルなどが挙げられる。RF給電ロッドのうちセラミックシャフトの内部空間に位置する部分の外周面は、絶縁薄膜(例えばアルミナ薄膜)で覆われている。発熱体給電ロッドのうちセラミックシャフトの内部空間に位置する部分の外周面は、絶縁薄膜(例えばアルミナ薄膜)で覆われている。いずれの絶縁薄膜も、AD膜又は溶射膜である。特に、AD法(プラズマAD法を含む)は、微細なセラミック粒子の薄い膜を精度よく形成するのに適している。また、AD法は、衝撃固化現象でセラミック粒子を成膜することができるため、セラミック粒子を高温で焼結する必要がない。絶縁薄膜は、厚みが10μm以上200μm以下であることが好ましい。
【0013】
以上説明した本実施形態のシャフト付きセラミックヒータでは、RF給電ロッド及び発熱体給電ロッドのうちセラミックシャフトの内部空間に位置する部分の外周面は、絶縁薄膜で覆われており、絶縁薄膜は、AD膜又は溶射膜である。そのため、絶縁薄膜の厚みは十分薄くなる。したがって、給電ロッド間の絶縁性を確保しつつ給電ロッドの配置密度を高めることができる。その結果、従来と同じ径のセラミックシャフトの内部空間に収容可能な給電ロッドの数を多くしたり(図2参照)、従来と同じ数の給電ロッドを従来よりも小径のセラミックシャフトの内部空間に収容したり(図3参照)することができる。
【0014】
また、絶縁薄膜は、厚みが10μm以上200μm以下であることが好ましい。こうすれば、本実施形態の効果がより確実に得られる。
【0015】
なお、セラミックプレートには、静電電極が埋設されていてもよい。
【0016】
本出願は、2019年7月1日に出願された日本国特許出願第2019-122787号を優先権主張の基礎としており、引用によりその内容の全てが本明細書に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明は、例えば半導体ウエハの搬送、露光、CVDなどの成膜プロセスや、洗浄、エッチング、ダイシングなどの微細加工に利用可能である。
図1
図2
図3
図4