(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】バナジウムタングステン合金ターゲット素材の製造方法
(51)【国際特許分類】
C22C 1/04 20230101AFI20231031BHJP
C22C 27/02 20060101ALI20231031BHJP
B22F 3/14 20060101ALI20231031BHJP
B22F 1/00 20220101ALI20231031BHJP
B22F 1/14 20220101ALI20231031BHJP
B22F 1/052 20220101ALI20231031BHJP
B22F 5/00 20060101ALI20231031BHJP
C23C 14/34 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
C22C1/04 E
C22C27/02 101Z
B22F3/14 D
B22F1/00 P
B22F1/00 R
B22F1/14 500
B22F1/052
B22F5/00 Z
C23C14/34 A
(21)【出願番号】P 2021564487
(86)(22)【出願日】2021-04-09
(86)【国際出願番号】 CN2021086057
(87)【国際公開番号】W WO2022134380
(87)【国際公開日】2022-06-30
【審査請求日】2021-10-29
(31)【優先権主張番号】202011525482.4
(32)【優先日】2020-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520292741
【氏名又は名称】寧波江豊電子材料股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】姚 力軍
(72)【発明者】
【氏名】辺 逸軍
(72)【発明者】
【氏名】潘 傑
(72)【発明者】
【氏名】王 学澤
(72)【発明者】
【氏名】李 苛
【審査官】中西 哲也
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第105463387(CN,A)
【文献】特開2017-088465(JP,A)
【文献】特開2004-076064(JP,A)
【文献】特開2003-226963(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104946950(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第112538607(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 1/00 - 9/30
C23C 14/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バナジウムタングステンターゲット素材は、含有質量%で、11%~19%のWを含み、残りがバナジウムであり、
(1)バナジウム粉とタングステン粉とを処方に従って混合した後、型に入れるステップと、
(2)炉内に入れて真空引きした後、ホットプレス焼結を行い、バナジウムタングステン合金ターゲット素材を取得するステップと、
を含
み、
ステップ(1)において、前記混合の方式はドライブレンドであり、前記混合におけるジルコニアボールと粉との質量比は(1~2):10であり、前記混合の時間は24~26hであり、前記バナジウム粉の粒度は74μm未満であり、前記タングステン粉の粒度は2~3μmであり、
ステップ(2)において、前記ホットプレス焼結は、10~15℃/minで定温まで昇温して保温し、その後、5~8℃/minで昇温して保温保圧することを含み、前記定温の温度は1000~1050℃であり、前記保温の時間は1~1.2hであり、前記保温保圧における温度は1260~1300℃であり、前記保温保圧において、120~130min内で35~40MPaに加圧し、前記保温保圧の時間は1.5~2hである、バナジウムタングステン合金ターゲット素材の製造方法。
【請求項2】
ステップ(2)に記載の
真空引きの終点は、絶対真空度が40Pa以下になるまで真空引きすることである、請求項1に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、ターゲット材の製造分野に属し、バナジウムタングステン合金ターゲット素材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、国内の赤外線検出等の業界の発展に伴い、高純度バナジウムタングステンターゲット材に対する需要量が大幅に増加し、現在、国内で生産されているバナジウムタングステンターゲット材は密度が低く、ハイエンド電子業界のターゲット材の質量に対する要求を満たすことができず、一部しかローエンド製品に使用されていない。現在、世界では、米国のような少数の先進国や地域のみが高純度・高密度のバナジウムタングステンターゲット材を生産することができ、バナジウムタングステンターゲット材の生産技術を研究開発することは、海外の独占を打ち破り、マイクロエレクトロニクス業界のコストを低減する有力な手段である。
【0003】
CN104946950Aにおけるバナジウムタングステン合金ターゲット材およびその製造方法のように、該ターゲット材は、バナジウム粉、タングステン粉、および粘着剤で作製されてなり、ここで、バナジウム粉とタングステン粉との質量配合比は19:1~3:2であり、前記バナジウム粉およびタングステン粉の純度が99.5%を超える。該製造方法は、割合に従ってバナジウム粉およびタングステン粉を秤量し、両者を均一に十分に混合するステップと、均一に混合されたバナジウム粉およびタングステン粉に粘着剤を加え、更に均一に混合し、処理して乾燥したバナジウムタングステン粉と粘着剤との複合粉末材料を取得するステップと、ステップ(2)の複合粉末材料をプラズマ溶射するステップと、溶射で得られた部材を取り外し、前記部材を処理して完成品を取得するステップとを含む。この発明のバナジウムタングステン合金ターゲット材は、均一性が良く、安定性が高い。この発明の製造方法は、プラズマ溶射方式を採用し、簡単で実行しやすく、型の設計および高価なプレス装置が不要で、操作しやすく、製造されたターゲット材はスパッタリング性能が良好で、不純物が少なく、光学コーティングに適用される。
【0004】
CN105463387Aは、真空焼結プロセスを採用して金属タングステンおよびバナジウムタングステン合金ターゲット材を製造することを開示しており、製造プロセスの流れは、順に、純度≧99.95%、粒度≦5μmの金属タングステン粉またはバナジウムタングステン合金粉を原料として選択し、造粒装置を用いて1~3mm粒子に作製し、型内に入れてタップし、等方圧加圧成形や真空焼結が終了した後、静置冷却し、ターゲット材完成品を取得する。粉を造粒してから等方圧焼結することは、プロセスが簡単で実行しやすく、操作しやすく、制御しやすく、製造されたターゲット材はスパッタリング性能が良好で、不純物が少なく、ターゲット材は均一性が良く、安定性が高い。サーモクロミズム適用を満たし、光学コーティングにも適用される。
【0005】
しかし、上記製造方法では、製造過程に別の試薬を加える必要があり、製造過程が複雑であり、または緻密度が悪い等の問題が依然として存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願の目的は、バナジウムタングステン合金ターゲット素材の製造方法を提供することにあり、該方法により製造されたバナジウムタングステン合金ターゲット素材は、緻密度が高く、該ターゲット素材を用いて製造されたターゲット材は、スパッタリングを行う時に、優れたスパッタリング性能を有し、スパッタリング過程で異常放電等の現象を回避することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために、本願は、以下の技術案を採用する。
【0008】
本願は、バナジウムタングステン合金ターゲット素材の製造方法であって、前記バナジウムタングステンターゲット素材は、含有質量%で、11%~19%のWを含み、残りがバナジウムであり、
前記製造方法は、
(1)バナジウム粉とタングステン粉とを処方に従って混合した後、型に入れるステップと、
(2)炉内に入れて真空引きした後、ホットプレス焼結を行い、前記バナジウムタングステン合金ターゲット素材を取得するステップと、を含むバナジウムタングステン合金ターゲット素材の製造方法を提供する。
【0009】
本願に係る製造方法は、ターゲット素材におけるバナジウムとタングステンとの配合比を再設計し、特定の焼結プロセスを用いることにより緻密度≧98.79%のバナジウムタングステン合金ターゲット素材の製造を実現し、該ターゲット素材を用いて製造されたターゲット材は、スパッタリングを行う時に、優れたスパッタリング性能を有し、スパッタリング過程で異常放電等の現象を回避することができる。
【0010】
本願の好ましい技術案として、ステップ(1)に記載の混合の方式はドライブレンドである。
【0011】
好ましくは、ステップ(1)に記載の混合におけるジルコニアボールと粉との質量比は(1~2):10であり、例えば、1:10、1.1:10、1.2:10、1.3:10、1.4:10、1.5:10、1.6:10、1.7:10、1.8:10、1.9:10、または2:10等であってもよいが、列挙された数値に限定されず、該範囲内の列挙されていない他の数値も同様に適用される。
【0012】
本願の好ましい技術案として、前記混合の時間は24~26hであり、例えば、24h、24.1h、24.2h、24.3h、24.4h、24.5h、24.6h、24.7h、24.8h、24.9h、25h、25.1h、25.2h、25.3h、25.4h、25.5h、25.6h、25.7h、25.8h、25.9h、または26h等であってもよいが、列挙された数値に限定されず、該範囲内の列挙されていない他の数値も同様に適用される。
【0013】
好ましくは、前記バナジウム粉の粒度は75μm未満であり、例えば、74μm、73μm、72μm、71μm、70μm、65μm、60μm、55μm、50μm、45μm、40μm、または34μm等であってもよいが、列挙された数値に限定されず、該範囲内の列挙されていない他の数値も同様に適用される。
【0014】
好ましくは、前記タングステン粉の粒度は2~3μmであり、例えば、2μm、2.1μm、2.2μm、2.3μm、2.4μm、2.5μm、2.6μm、2.7μm、2.8μm、2.9μmまたは3μm等であってもよいが、列挙された数値に限定されず、該範囲内の列挙されていない他の数値も同様に適用される。
【0015】
本願の好ましい技術案として、ステップ(2)に記載の真空引きの終点は、絶対真空度が40Pa以下になるまで真空引きし、例えば、40Pa、30Pa、20Pa、10Pa、5Pa、3Pa、または1Pa等であってもよいが、列挙された数値に限定されず、該範囲内の列挙されていない他の数値も同様に適用される。
【0016】
本願において、ホットプレス焼結の前に、粉をホットプレス炉とセットとなる黒鉛型内に入れる時、平面度<5mmを確保し、人手でプレス柱によりバナジウムタングステン粉末を圧密し、平面度<0.5mmを確保し、焼結が終了した後に冷却する時、圧力が-0.06~-0.08MPaになるまでアルゴンガスを充填し、炉内温度が200℃未満となると、型および素材を取り出す。
【0017】
本願の好ましい技術案として、ステップ(2)に記載のホットプレス焼結は、10~15℃/minで定温まで昇温して保温し、その後、5~8℃/minで昇温して保温保圧することを含み、例えば、10℃/min、10.5℃/min、11℃/min、11.5℃/min、12℃/min、12.5℃/min、13℃/min、13.5℃/min、14℃/min、14.5℃/min、または15℃/min等であってもよいが、列挙された数値に限定されず、該範囲内の列挙されていない他の数値も同様に適用される。
【0018】
本願の好ましい技術案として、前記定温の温度は1000~1050℃であり、例えば、1000℃、1005℃、1010℃、1015℃、1020℃、1025℃、1030℃、1035℃、1040℃、1045℃、または1050℃等であってもよいが、列挙された数値に限定されず、該範囲内の列挙されていない他の数値も同様に適用される。
【0019】
好ましくは、前記保温の時間は1~1.2hであり、例えば、1h、1.01h、1.02h、1.03h、1.04h、1.05h、1.06h、1.07h、1.08h、1.09h、1.1h、1.12h、1.14h、1.16h、1.18h、または1.2h等であってもよいが、列挙された数値に限定されず、該範囲内の列挙されていない他の数値も同様に適用される。
【0020】
本願の好ましい技術案として、前記保温保圧における温度は1260~1300℃であり、例えば、1260℃、1265℃、1270℃、1275℃、1280℃、1285℃、1290℃、1295℃、または1300℃等であってもよいが、列挙された数値に限定されず、該範囲内の列挙されていない他の数値も同様に適用される。
【0021】
本願の好ましい技術案として、前記保温保圧において、120~130min内で35~40MPaに加圧し、例えば、120min、121min、122min、123min、124min、125min、126min、127min、128min、129minまたは130min等であってもよく、例えば、35MPa、35.5MPa、36MPa、36.5MPa、37MPa、37.5MPa、38MPa、38.5MPa、39MPa、39.5MPaまたは40MPa等であってもよいが、列挙された数値に限定されず、該範囲内の列挙されていない他の数値も同様に適用される。
【0022】
本願の好ましい技術案として、前記保温保圧の時間は1.5~2hであり、例えば、1.5h、1.55h、1.6h、1.65h、1.7h、1.75h、1.8h、1.85h、1.9h、1.95hまたは2h等であってもよいが、列挙された数値に限定されず、該範囲内の列挙されていない他の数値も同様に適用される。
【0023】
本願において、ホットプレス焼結を採用する場合、昇温過程を厳しく制御する必要があるとともに、保温時に保温温度を厳しく限定する必要があり、温度が高すぎるまたは低すぎると、ターゲット素材の性能に影響を及ぼす。
【0024】
本願の好ましい技術案として、前記バナジウムタングステンターゲット素材は、含有質量%で、11%~19%のWを含み、残りがバナジウムであり、
前記製造方法は、
(1)バナジウム粉とタングステン粉とを処方に従って混合した後、型に入れるステップと、
(2)炉内に入れて真空引きした後、ホットプレス焼結を行い、前記バナジウムタングステン合金ターゲット素材を取得するステップと、を含み、
前記ホットプレス焼結は、10~15℃/minで定温まで昇温して保温し、その後、5~8℃/minで昇温して保温保圧することを含み、前記保温保圧における温度は1260~1300℃である。
【発明の効果】
【0025】
従来の技術案と比べ、本願は、少なくとも以下の有益な効果を有する。
【0026】
本願に係る製造方法は、ターゲット素材におけるバナジウムとタングステンとの配合比を再設計し、特定の焼結プロセスを用いることにより緻密度≧98.79%のバナジウムタングステン合金ターゲット素材の製造を実現し、該ターゲット素材を用いて製造されたターゲット材は、スパッタリングを行う時に、優れたスパッタリング性能を有し、スパッタリング過程で異常放電等の現象を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本願の実施例1に係るバナジウムタングステン合金ターゲット素材のSEM写真である。
【
図2】本願の実施例2に係るバナジウムタングステン合金ターゲット素材のSEM写真である。
【
図3】本願の実施例3に係るバナジウムタングステン合金ターゲット素材のSEM写真である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本願を更に詳細に説明する。ただし、下記実例は本願の簡単な例に過ぎず、本願の特許請求の範囲を代表又は制限するものではなく、本願の保護範囲は特許請求の範囲を基準とする。
【0029】
本願をより良く説明し、本願の技術案を理解しやすくするために、本願の典型的であるが非限定的な実施例は、以下のとおりである。
【0030】
実施例1
本願は、バナジウムタングステン合金ターゲット素材の製造方法を提供し、バナジウムタングステンターゲット素材は、含有質量%で、11%のWを含み、残りがバナジウムであった。
【0031】
前記製造方法は、以下のステップを含む。
【0032】
(1)バナジウム粉とタングステン粉とを処方に従って混合した後、型に入れた。
【0033】
(2)炉内に入れて真空引きした後、ホットプレス焼結を行い、前記バナジウムタングステン合金ターゲット素材を取得した。
【0034】
ステップ(1)に記載の混合の方式はドライブレンドであり、前記混合において、ジルコニアボールと粉との質量比は1:10であり、前記混合の時間は24hであり、前記バナジウム粉の粒度は74μm未満であり、前記タングステン粉の粒度は2~2.5μmであった。
【0035】
ステップ(2)に記載の真空引きの終点は、絶対真空度が40Paとなるまで真空引きすることであり、前記ホットプレス焼結は、12℃/minで定温まで昇温して保温し、その後、7℃/minで昇温して保温保圧することを含み、前記定温の温度は1020℃であり、前記保温の時間は1.1hであり、前記保温保圧中の温度は1280℃であり、前記保温保圧において、125min内で37MPaに加圧し、前記保温保圧の時間は1.5hであった。
【0036】
得られたバナジウムタングステン合金ターゲット素材は
図1に示すように、緻密度が99.82%であり、ターゲット材に作製した後、スパッタリング性能が良好であった。
【0037】
実施例2
本願は、バナジウムタングステン合金ターゲット素材の製造方法を提供し、前記バナジウムタングステンターゲット素材は、含有質量%で、19%のWを含み、残りがバナジウムであった。
【0038】
前記製造方法は、以下のステップを含む。
【0039】
(1)バナジウム粉とタングステン粉とを処方に従って混合した後、型に入れた。
【0040】
(2)炉内に入れて真空引きした後、ホットプレス焼結を行い、前記バナジウムタングステン合金ターゲット素材を取得した。
【0041】
ステップ(1)に記載の混合の方式はドライブレンドであり、前記混合において、ジルコニアボールと粉との質量比は2:10であり、前記混合の時間は25hであり、前記バナジウム粉の粒度は55μm未満であり、前記タングステン粉の粒度は2.7~3μmであった。
【0042】
ステップ(2)に記載の真空引きの終点は、絶対真空度が20Paとなるまで真空引きすることであり、前記ホットプレス焼結は、10℃/minで定温まで昇温して保温し、その後、5℃/minで昇温して保温保圧することを含み、前記定温の温度は1000℃であり、前記保温の時間は1hであり、前記保温保圧中の温度は1300℃であり、前記保温保圧において、120min内で40MPaに加圧し、前記保温保圧の時間は2hであった。
【0043】
得られたバナジウムタングステン合金ターゲット素材は
図2に示すように、緻密度が98.82%であり、ターゲット材に作製した後、スパッタリング性能が良好であった。
【0044】
実施例3
本願は、バナジウムタングステン合金ターゲット素材の製造方法を提供し、前記バナジウムタングステンターゲット素材は、含有質量%で、15%のWを含み、残りがバナジウムであった。
【0045】
前記製造方法は、以下のステップを含む。
【0046】
(1)バナジウム粉とタングステン粉とを処方に従って混合した後、型に入れた。
【0047】
(2)炉内に入れて真空引きした後、ホットプレス焼結を行い、前記バナジウムタングステン合金ターゲット素材を取得した。
【0048】
ステップ(1)に記載の混合の方式はドライブレンドであり、前記混合において、ジルコニアボールと粉との質量比は1.2:10であり、前記混合の時間は26hであり、前記バナジウム粉の粒度は35μm未満であり、前記タングステン粉の粒度は2.5~3μmであった。
【0049】
ステップ(2)に記載の真空引きの終点は、絶対真空度が10Paとなるまで真空引きすることであり、前記ホットプレス焼結は、15℃/minで定温まで昇温して保温し、その後、8℃/minで昇温して保温保圧することを含み、前記定温の温度は1050℃であり、前記保温の時間は1.2hであり、前記保温保圧中の温度は1260℃であり、前記保温保圧において、130min内で35MPaに加圧し、前記保温保圧の時間は1.7hであった。
【0050】
得られたバナジウムタングステン合金ターゲット素材は
図3に示すように、緻密度が98.79%であり、ターゲット材に作製した後、スパッタリング性能が良好であった。
【0051】
実施例4
本願は、バナジウムタングステン合金ターゲット素材の製造方法を提供し、前記バナジウムタングステンターゲット素材は、含有質量%で、13%のWを含み、残りがバナジウムであった。
【0052】
前記製造方法は、以下のステップを含む。
【0053】
(1)バナジウム粉とタングステン粉とを処方に従って混合した後、型に入れた。
【0054】
(2)炉内に入れて真空引きした後、ホットプレス焼結を行い、前記バナジウムタングステン合金ターゲット素材を取得した。
【0055】
ステップ(1)に記載の混合の方式はドライブレンドであり、前記混合において、ジルコニアボールと粉との質量比は1.7:10であり、前記混合の時間は24hであり、前記バナジウム粉の粒度は40μm未満であり、前記タングステン粉の粒度は2~2.7μmであった。
【0056】
ステップ(2)に記載の真空引きの終点は、絶対真空度が40Paとなるまで真空引きすることであり、前記ホットプレス焼結は、13℃/minで定温まで昇温して保温し、その後、6℃/minで昇温して保温保圧することを含み、前記定温の温度は1030℃であり、前記保温の時間は1hであり、前記保温保圧中の温度は1270℃であり、前記保温保圧において、127min内で38MPaに加圧し、前記保温保圧の時間は1.7hであった。
【0057】
得られたバナジウムタングステン合金ターゲット素材の緻密度が99.25%であり、ターゲット材に作製した後、スパッタリング性能が良好であった。
【0058】
比較例1
実施例1との区別は、前記バナジウムタングステン合金におけるWの含有量が25%であり、得られたバナジウムタングステン合金ターゲット素材の緻密度が96.25%であり、ターゲット材に作製した後、スパッタリング過程において異常放電が存在したことだけにある。
【0059】
比較例2
実施例1との区別は、前記バナジウムタングステン合金におけるWの含有量が4%であり、得られたバナジウムタングステン合金ターゲット素材の緻密度が97.05%であり、ターゲット材に作製した後、スパッタリング過程において異常放電が存在したことだけにある。
【0060】
比較例3
実施例1との区別は、ホットプレス焼結で1280℃に直接昇温して保温し、得られたバナジウムタングステン合金ターゲット素材の緻密度が95.65%であり、ターゲット材に作製した後、スパッタリング過程において異常放電が存在したことだけにある。
【0061】
比較例4
実施例1との区別は、前記保温保圧中の温度が1100℃であり、得られたバナジウムタングステン合金ターゲット素材の緻密度が98.15%であり、ターゲット材に作製した後、スパッタリング過程で得られたメッキ膜の厚さが均一でなかったことだけにある。
【0062】
比較例5
実施例1との区別は、前記保温保圧中の温度が1400℃であり、得られたバナジウムタングステン合金ターゲット素材の緻密度が97.45%であり、ターゲット材に作製した後、スパッタリング過程で得られたメッキ膜の品質が悪かったことだけにある。
【0063】
上記実施例および比較例の結果から分かるように、本願に係る製造方法は、ターゲット素材におけるバナジウムとタングステンとの配合比を再設計し、特定の焼結プロセスを用いることにより緻密度≧98.79%のバナジウムタングステン合金ターゲット素材の製造を実現し、該ターゲット素材を用いて製造されたターゲット材は、スパッタリングを行う時に、優れたスパッタリング性能を有し、スパッタリング過程で異常放電等の現象を回避することができる。
【0064】
本願は、上記実施例により本願の詳細な構造特徴を説明したが、本願は上記詳細な構造特徴に限定するものではなく、即ち、本願は上記詳細な構造特徴に依存して実施しなければならないことを意味するものではないことを、出願人より声明する。
【0065】
以上、本願の好ましい実施形態を詳細に説明したが、本願は上記実施形態における具体的な内容に限定するものではなく、本願の技術的思想の範囲内で、本願の技術案に対して様々な簡単な変形を行うことができる。
【0066】
なお、上記具体的な実施形態において説明した各具体的な技術的特徴は、矛盾がない場合、任意の適切な形態で組み合わせることができ、不要な重複を回避するために、本願では様々な可能な組み合わせの形態については特に説明しない。
【0067】
また、本願の各種の異なる実施形態間においても任意に組み合わせることができ、本願の思想に違反しない限り、同様に本願の開示内容と見なすべきである。