(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】ポリエステル及び弾性繊維を含む廃織物の処理方法
(51)【国際特許分類】
C08J 11/08 20060101AFI20231031BHJP
【FI】
C08J11/08 ZAB
(21)【出願番号】P 2022077017
(22)【出願日】2022-05-09
【審査請求日】2022-05-09
(32)【優先日】2021-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】501296612
【氏名又は名称】南亞塑膠工業股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】NAN YA PLASTICS CORPORATION
【住所又は居所原語表記】NO.201,TUNG HWA N.RD.,TAIPEI,TAIWAN
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】廖 ▲徳▼超
(72)【発明者】
【氏名】▲荘▼ 榮仁
(72)【発明者】
【氏名】翁 梓桓
【審査官】井上 恵理
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第110790980(CN,A)
【文献】特開2003-047928(JP,A)
【文献】特開2014-188399(JP,A)
【文献】特開2003-053394(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106279759(CN,A)
【文献】特開2008-031127(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0096400(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 11/00
B29B 17/00
B09B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステル及び弾性繊維を含む廃織物を提供する工程と、
前記弾性繊維の一部を溶解するために、第1の極性溶媒を用いて第1の温度で前記廃織物を処理する、第1段階の分離処理を行う工程と、
使用済みの前記第1の極性溶媒を回収し、前記弾性繊維の他部を溶解するために、第2の極性溶媒を用いて前記第1の温度より高い第2の温度で前記第1段階の分離処理を行った前記廃織物を処理する、第2段階の分離処理を行う工程と、
使用済みの前記第2の極性溶媒、及び前記第2段階の分離処理を行った前記廃織物を回収する工程と、を含み、
前記第1の極性溶媒及び前記第2の極性溶媒は、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAC)、N-メチルピロリドン(NMP)、γ-ブチロラクトン(GBL)及びジメチルスルホキシド(DMSO)からなる群から選択され
、
前記第1段階の分離処理での処理時間は、30分~120分であり、前記第1の温度は、10℃~35℃であり、
前記第2段階の分離処理での処理時間は、30分~120分であり、前記第2の温度は、70℃~130℃である、ことを特徴とするポリエステル及び弾性繊維を含む廃織物の処理方法。
【請求項2】
前記廃織物を提供する工程において、前記廃織物が断片に分割されることを含む、請求項1に記載のポリエステル及び弾性繊維を含む廃織物の処理方法。
【請求項3】
前記弾性繊維は、ポリウレタンの弾性繊維であり、前記弾性繊維の前記廃織物での含有量は、2重量%~40重量%である、請求項1に記載のポリエステル及び弾性繊維を含む廃織物の処理方法。
【請求項4】
前記第1段階の分離処理において、前記廃織物と前記第1の極性溶媒との固液比は、1:5~1:20であり、
前記第2段階の分離処理において、前記第1段階の分離処理を行った前記廃織物と前記第2の極性溶媒との固液比は、1:5~1:20である、請求項
1に記載のポリエステル及び弾性繊維を含む廃織物の処理方法。
【請求項5】
前記第1の極性溶媒及び前記第2の極性溶媒はそれぞれ、ジメチルホルムアミド又はジメチルアセトアミドである、請求項
4に記載のポリエステル及び弾性繊維を含む廃織物の処理方法。
【請求項6】
前記第1の極性溶媒及び前記第2の極性溶媒はそれぞれ、ジメチルホルムアミドとジメチルアセトアミドとの混合溶媒であり、
ジメチルホルムアミドとジメチルアセトアミドとの体積比(ジメチルホルムアミド:ジメチルアセトアミド)は、1:2である、請求項
5に記載のポリエステル及び弾性繊維を含む廃織物の処理方法。
【請求項7】
使用済みの前記第1の極性溶媒を回収することには、使用済みの前記第1の極性溶媒から前記弾性繊維の前記一部を回収することを含み、
使用済みの前記第2の極性溶媒を回収することには、使用済みの前記第2の極性溶媒から前記弾性繊維の前記他部を回収することを含み、
前記第2段階の分離処理を行った前記廃織物を回収することには、前記第2段階の分離処理を行った前記廃織物からポリエステル繊維を回収し、ポリエステル粒子を製造することを含む、請求項1に記載のポリエステル及び弾性繊維を含む廃織物の処理方法。
【請求項8】
前記弾性繊維の残留部分を溶解するために、第3の極性溶媒を用いて前記第2の温度より高い第3の温度で前記第2段階の分離処理を行った前記廃織物を処理する、第3段階の分離処理を行う工程と、
使用済みの前記第3の極性溶媒、及び前記第3段階の分離処理を行った前記廃織物を回収する工程と、を更に含み、
前記第3の極性溶媒は、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、γ-ブチロラクトン及びジメチルスルホキシドからなる群から選択される、請求項1に記載のポリエステル及び弾性繊維を含む廃織物の処理方法。
【請求項9】
前記第1段階の分離処理での処理時間は、30分~120分であり、前記第1の温度は、10℃~35℃であり、
前記第2段階の分離処理での処理時間は、30分~120分であり、前記第2の温度は、45℃~60℃であり、
前記第3段階の分離処理での処理時間は、30分~120分であり、前記第3の温度は、70℃~130℃である、請求項
8に記載のポリエステル及び弾性繊維を含む廃織物の処理方法。
【請求項10】
前記第1の極性溶媒、前記第2の極性溶媒及び前記第3の極性溶媒はそれぞれ、ジメチルホルムアミド又はジメチルアセトアミドである、請求項
9に記載のポリエステル及び弾性繊維を含む廃織物の処理方法。
【請求項11】
前記第1の極性溶媒、前記第2の極性溶媒及び前記第3の極性溶媒はそれぞれ、ジメチルホルムアミドとジメチルアセトアミドとの混合溶媒であり、
ジメチルホルムアミドとジメチルアセトアミドとの体積比(ジメチルホルムアミド:ジメチルアセトアミド)は、1:2である、請求項
10に記載のポリエステル及び弾性繊維を含む廃織物の処理方法。
【請求項12】
使用済みの前記第1の極性溶媒を回収することには、使用済みの前記第1の極性溶媒から前記弾性繊維の前記一部を回収することを含み、
使用済みの前記第2の極性溶媒を回収することには、使用済みの前記第2の極性溶媒から前記弾性繊維の前記他部を回収することを含み、
使用済みの前記第3の極性溶媒を回収することには、使用済みの前記第3の極性溶媒から前記弾性繊維の前記残留部分を回収することを含み、
前記第3段階の分離処理を行った前記廃織物を回収することには、前記第3段階の分離処理を行った前記廃織物から前記ポリエステル繊維を回収し、ポリエステル粒子を製造することを含む、請求項
8に記載のポリエステル及び弾性繊維を含む廃織物の処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃織物を資源化する技術に関し、特に、少なくとも2段階の溶媒処理で廃織物から弾性繊維を分離させて回収する、ポリエステル及び弾性繊維を含む廃織物の処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人々の生活や消費水準の改善に沿って、紡績物の使用サイクルが大幅に短縮され、大量の廃織物が処理される問題を起こす。その中で、ポリエステル/弾性繊維混紡繊維が一定の割合を占めているが、このような混紡織物の回収が容易ではなく、廃棄したら環境に悪影響を及ぼす。環境保護と資源保護の観点から、回収・再利用は廃織物を処理するための最も理想的な方法である。
【0003】
現在、廃織物の再生には、物理的再生法、エネルギー再生法、化学的再生法の3つの主要な方法がある。物理的再生法は、廃織物に予備処理を行って再利用可能な状態に加工することであり、例えば、古着を断片にカットしてぼろきれとして用いるか、若しくは、破損程度が少ない廃カーペットを回復することが挙げられる。エネルギー再生法は、発電に用いる熱エネルギーを生成するために、廃織物における発熱量が高い化学繊維を焼却することである。エネルギー再生法は、再生できない廃織物を処理することに適切である。化学的再生法は、廃織物に含まれた高分子ポリマーを解重合して、解重合物(例えば、モノマー)で新たな化学繊維を製造する。化学的再生法は、価値が高い高分子ポリマーの再生に初歩的な成功を達成する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする技術の課題は、従来技術の不足に対し、溶媒の使用量を低減し、且つバッチ処理ができ、また、処理を行って得たポリエステル及び弾性繊維が回収・再利用できる、ポリエステル及び弾性繊維を含む廃織物の処理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の技術的課題を解決するために、本発明が採用する一つの技術的手段は、ポリエステル及び弾性繊維を含む廃織物の処理方法である。前記ポリエステル及び弾性繊維を含む廃織物の処理方法は、ポリエステル及び弾性繊維を含む廃織物を提供する工程と、前記弾性繊維の一部を溶解するために、第1の極性溶媒を用いて第1の温度で前記廃織物を処理する、第1段階の分離処理を行う工程と、使用済みの前記第1の極性溶媒を回収し、前記弾性繊維の他部を溶解するために、第2の極性溶媒を用いて前記第1の温度より高い第2の温度で前記第1段階の分離処理を行った前記廃織物を処理する、第2段階の分離処理を行う工程と、使用済みの前記第2の極性溶媒、及び前記第2段階の分離処理を行った前記廃織物を回収する工程と、を含み、なかでも、前記第1の極性溶媒及び前記第2の極性溶媒は、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAC)、N-メチルピロリドン(NMP)、γ-ブチロラクトン(GBL)及びジメチルスルホキシド(DMSO)からなる群から選択される。
【0006】
本発明の一つの実施形態において、前記廃織物を提供する工程において、前記廃織物が断片に分割されることを含む。
【0007】
本発明の一つの実施形態において、前記弾性繊維は、ポリウレタンの弾性繊維であり、前記弾性繊維の前記廃織物での含有量は、2重量%~40重量%である。
【0008】
本発明の一つの実施形態において、前記第1段階の分離処理での処理時間は、30分~120分であり、前記第1の温度は、10℃~35℃であり、前記第2段階の分離処理での処理時間は、30分~120分であり、前記第2の温度は、70℃~130℃である。
【0009】
本発明の一つの実施形態において、前記第1段階の分離処理において、前記廃織物と前記第1の極性溶媒との固液比は、1:5~1:20であり、前記第2段階の分離処理において、前記第1段階の分離処理を行った前記廃織物と前記第2の極性溶媒との固液比は、1:5~1:20である。
【0010】
本発明の一つの実施形態において、前記第1の極性溶媒及び前記第2の極性溶媒はそれぞれ、ジメチルホルムアミド又はジメチルアセトアミドである。
【0011】
本発明の一つの実施形態において、前記第1の極性溶媒及び前記第2の極性溶媒はそれぞれ、ジメチルホルムアミドとジメチルアセトアミドとの混合溶媒であり、ジメチルホルムアミドとジメチルアセトアミドとの体積比(ジメチルホルムアミド:ジメチルアセトアミド)は、1:2である。
【0012】
本発明の一つの実施形態において、使用済みの前記第1の極性溶媒を回収することには、使用済みの前記第1の極性溶媒から前記弾性繊維の前記一部を回収することを含み、使用済みの前記第2の極性溶媒を回収することには、使用済みの前記第2の極性溶媒から前記弾性繊維の前記他部を回収することを含み、前記第2段階の分離処理を行った前記廃織物を回収することには、前記第2段階の分離処理を行った前記廃織物からポリエステル繊維を回収し、ポリエステル粒子を製造することを含む。
【0013】
本発明の一つの実施形態において、前記廃織物の処理方法は、前記弾性繊維の残留部分を溶解するために、第3の極性溶媒を用いて前記第2の温度より高い第3の温度で前記第2段階の分離処理を行った前記廃織物を処理する、第3段階の分離処理を行う工程と、使用済みの前記第3の極性溶媒、及び前記第3段階の分離処理を行った前記廃織物を回収する工程と、を更に含み、なかでも、前記第3の極性溶媒は、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、γ-ブチロラクトン及びジメチルスルホキシドからなる群から選択される。
【0014】
本発明の一つの実施形態において、前記第1段階の分離処理での処理時間は、30分~120分であり、前記第1の温度は、10℃~35℃であり、前記第2段階の分離処理での処理時間は、30分~120分であり、前記第2の温度は、45℃~60℃であり、前記第3段階の分離処理での処理時間は、30分~120分であり、前記第3の温度は、70℃~130℃である。
【0015】
本発明の一つの実施形態において、前記第1の極性溶媒、前記第2の極性溶媒及び前記第3の極性溶媒はそれぞれ、ジメチルホルムアミド又はジメチルアセトアミドである。
【0016】
本発明の一つの実施形態において、前記第1の極性溶媒、前記第2の極性溶媒及び前記第3の極性溶媒はそれぞれ、ジメチルホルムアミドとジメチルアセトアミドとの混合溶媒であり、ジメチルホルムアミドとジメチルアセトアミドとの体積比(ジメチルホルムアミド:ジメチルアセトアミド)は、1:2である。
【0017】
本発明の一つの実施形態において、使用済みの前記第1の極性溶媒を回収することには、使用済みの前記第1の極性溶媒から前記弾性繊維の前記一部を回収することを含み、使用済みの前記第2の極性溶媒を回収することには、使用済みの前記第2の極性溶媒から前記弾性繊維の前記他部を回収することを含み、使用済みの前記第3の極性溶媒を回収することには、使用済みの前記第3の極性溶媒から前記弾性繊維の前記残留部分を回収することを含み、前記第3段階の分離処理を行った前記廃織物を回収することには、前記第3段階の分離処理を行った前記廃織物から前記ポリエステル繊維を回収し、ポリエステル粒子を製造することを含む。
【発明の効果】
【0018】
本発明の有利な効果として、本発明に係るポリエステル及び弾性繊維を含む廃織物の処理方法は、「弾性繊維の一部を溶解するために、第1の極性溶媒を用いて第1の温度で廃織物を処理し、次に、弾性繊維の他部を溶解するために、第2の極性溶媒を用いて第2の温度で第1段階の分離処理を行った廃織物を処理し、そして、使用済みの第1の極性溶媒、第2の極性溶媒及び第2段階の分離処理を行った廃織物を回収する」、及び「前記第1の極性溶媒及び前記第2の極性溶媒は、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、γ-ブチロラクトン及びジメチルスルホキシドからなる群から選択される」といった技術特徴により、ポリエステル繊維及び弾性繊維の分離及び回収・再利用を実現する。また、従来の処理方法に比べて、本発明の処理方法は、溶媒の使用量が大幅に低減されるため、生産コスト及び環境に対する危害を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の第一実施形態に係るポリエステル及び弾性繊維を含む廃織物の処理方法のフローチャートである。
【
図2】本発明の第一実施形態に係るポリエステル及び弾性繊維を含む廃織物の処理方法を実現するための装置を示す図である。
【
図3】本発明の第一実施形態に係るポリエステル及び弾性繊維を含む廃織物の処理方法を実現するためのもう1つの装置を示す図である。
【
図4】本発明の第二実施形態に係るポリエステル及び弾性繊維を含む廃織物の処理方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の特徴及び技術内容がより一層分かるように、以下の本発明に関する詳細な説明と添付図面を参照されたい。しかし、提供される添付図面は参考と説明のために提供するものに過ぎず、本発明の請求の範囲を制限するためのものではない。
【0021】
以下、所定の具体的な実施態様によって「ポリエステル及び弾性繊維を含む廃織物の処理方法」を説明し、当業者は、本明細書に開示された内容に基づいて本発明の利点と効果を理解することができる。本発明は、他の異なる具体的な実施態様によって実行または適用でき、本明細書における各細部についても、異なる観点と用途に基づいて、本発明の構想から逸脱しない限り、各種の修正と変更を行うことができる。また、事前に説明するように、本発明の添付図面は、簡単な模式的説明であり、実際のサイズに基づいて描かれたものではない。以下の実施形態に基づいて本発明に係る技術内容を更に詳細に説明するが、開示される内容によって本発明の保護範囲を制限することはない。また、本明細書において使用される「または」という用語は、実際の状況に応じて、関連して挙げられる項目におけるいずれか1つまたは複数の組み合わせを含むことがある。
【0022】
別段の定めがない限り、本発明で使用される用語は、当業者によって一般的に理解される意味を有する。以下の実施形態で使用されている材料は、特に明記されていない限り、市販の材料である。以下の例で使用される操作または器具は、特に明記しない限り、当技術分野における一般的な操作または器具である。以下の実施例に記載されている比率、含有量等は、特に断りのない限り重量に基づくものである。
【0023】
[第一実施形態]
図1に示すように、本発明の第一実施形態において、ポリエステル及び弾性繊維を含む廃織物の処理方法を提供する。ポリエステル及び弾性繊維を含む廃織物の処理方法は、2段階の溶媒処理で廃織物から弾性繊維を分離させて回収することによって、廃織物におけるポリエステル繊維及び弾性繊維の分離、回収・再利用を実現する。
図1に示すように、本発明の第一実施形態に係る処理方法は主に、ポリエステル繊維及び弾性繊維を含む廃織物を提供する工程S100と、第1の極性溶媒を用いて第1の温度で廃織物に第1段階の分離処理を行う工程S102と、使用済みの第1の極性溶媒を回収し、第2の極性溶媒を用いて第2の温度で第1段階の分離処理を行った廃織物に第2段階の分離処理を行う工程S104と、使用済みの第2の極性溶媒、及び第2段階の分離処理を行った前記廃織物を回収する工程S106と、を含む。本明細書で言及された「廃織物」とは、服、シーツ等の廃棄若しくは使用済みの織物(例えば、服、シーツ等)、又はスクラップ、布片などの繊維製造プロセスで発生する廃棄物である。
【0024】
工程S100において、廃織物は、ポリエステル繊維/弾性繊維混紡織物であってもよい。ポリエステル繊維は例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維であり、弾性繊維は例えば、ポリウレタン弾性繊維(Spandex)であるが、本発明はこれに制限されるものではない。ポリエステル繊維の廃織物での含有量は、60重量%~98重量%であり、弾性繊維の廃織物での含有量は、2重量%~40重量%であってもよい。実際に応用する時に、廃織物は、複数個の織物断片に分割されてもよい。分割方法として、カット又は引き裂きを採用してもよい。なかでも、織物断片のそれぞれは、ポリエステル繊維及び弾性繊維を含む。また、織物断片のサイズは、この後の処理条件に応じて調整することができる。例えば、織物断片のサイズは、長さ3cm×幅3cmであってもよいが、以上の内容はあくまでも、実施できる実施形態であり、本発明はこれに制限されるものではない。
【0025】
工程S102において、第1段階の分離処理は、廃織物(又は織物断片)を第1の極性溶媒に浸漬させて、固液共存の混合系を形成した後に、第1の温度で30分~120分反応を行うことにより、一部の弾性繊維が第1の極性溶媒に溶解され、ポリエステル繊維に影響しない。第1の極性溶媒は、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAC)、N-メチルピロリドン(NMP)、γ-ブチロラクトン(GBL)及びジメチルスルホキシド(DMSO)からなる群から選択される。第1の温度は、10℃~35℃であってもよい。第1の分離処理を行った後の効率を向上するために、廃織物(又は織物断片)を第1の極性溶媒に均一に分散させ、第1の極性溶媒は、DMF又はDMACを採用してもよく、また、廃織物(又は織物断片)と第1の極性溶媒との固液比を、1:5~1:20に制御し、第1の温度を20℃~25℃に制御する。
【0026】
図2及び
図3に示すように、第1段階の分離処理において、織物断片21aと第1の極性溶媒22aとの混合系2を、反応装置1(例えば、反応槽)に置いて、撹拌又は撹拌なしの条件で3℃/minの加熱速度で10℃~35℃に加熱され、30分~120分を維持する。以上の内容はあくまでも、実施できる実施形態であり、本発明はこれに制限されるものではない。一つの実施形態において、第1の極性溶媒として、ジメチルホルムアミドとジメチルアセトアミドとの混合溶媒を用いてもよく、なかでも、ジメチルホルムアミドとジメチルアセトアミドとの体積比は、1:2である。特筆すべきことは、このような混合溶媒は、弾性繊維(例えば、ポリウレタン弾性繊維)に対して良好な溶解力を有し、且つ毒性が低い。
【0027】
工程S104において、第2段階の分離処理は、第1段階の分離処理を行った廃織物(又は織物断片)を第2の極性溶媒に浸漬させて、固液共存の混合系を形成した後に、第1の温度より高い第2の温度で30分~120分反応を行うことにより、残留の弾性繊維、染料及び残留の不純物が第2の極性溶媒に溶解され、ポリエステル繊維に影響しない。第2の極性溶媒は、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAC)、N-メチルピロリドン(NMP)、γ-ブチロラクトン(GBL)及びジメチルスルホキシド(DMSO)からなる群から選択される。第2の温度は、70℃~130℃であってもよい。説明すべきことは、第2段階の分離処理で使用した第2の極性溶媒は、第1段階の分離処理で使用した第1の極性溶媒と同一又は異なってもよい。
【0028】
第1段階の分離処理で使用した第1の極性溶媒に、水洗い、ろ過、乾燥を行って弾性繊維を得ることができる。分析によれば、第1段階の分離処理では、75%以上のポリエステル繊維が混入されない弾性繊維を回収することができ、繊維原料として応用されて体操用クッション、家具保護用クッションなどのTPU製品を製造することができるが、本発明はこれに制限されるものではない。実際に応用する時に、約5倍量の水を先に添加することで、第1の極性溶媒から弾性繊維が析出され、次に、第1回の吸引ろ過で固体と液体とを分離し、且つ固形分を水に3分浸漬し、そして、第2回の吸引ろ過を行い、乾燥した後に弾性繊維を得られる。
【0029】
第2の分離処理を行った後の効率を向上するために、廃織物(又は織物断片)を第2の極性溶媒に均一に分散させ、第2の極性溶媒は、DMF又はDMACを採用してもよく、また、廃織物(又は織物断片)と第2の極性溶媒との固液比を、1:5~1:20に制御し、第2の温度を110℃~120℃に制御する。特筆すべきことは、本発明に係る処理方法は、2段階の溶媒処理で廃織物から弾性繊維を分離させるものであり、溶媒の使用量が大幅に低減され、生産コスト及び環境に対する危害を低減するだけでなく、再生ポリエステル繊維の純度を向上することができる。
【0030】
図2及び
図3に示すように、第2段階の分離処理において、第1段階の分離処理を行った織物断片21bと第2の極性溶媒22bとの混合系2を、反応装置1(例えば、反応槽)に置いて、撹拌又は撹拌なしの条件で3℃/minの加熱速度で70℃~130℃に加熱され、30分~120分を維持する。以上の内容はあくまでも、実施できる実施形態であり、本発明はこれに制限されるものではない。一つの実施形態において、第2の極性溶媒として、ジメチルホルムアミドとジメチルアセトアミドとの混合溶媒を用いてもよく、なかでも、ジメチルホルムアミドとジメチルアセトアミドとの体積比は、1:2である。
【0031】
工程S106において、第2段階の分離処理で使用した第2の極性溶媒に、水洗い、ろ過、乾燥を行って弾性繊維を得ることができる。分析によれば、第2段階の分離処理では、8%以上のポリエステル繊維が混入されない弾性繊維を回収することができ、繊維原料として応用されて体操用クッション、家具保護用クッションなどのTPU製品を製造することができるが、本発明はこれに制限されるものではない。同様に、約5倍量の水を先に添加することで、第2の極性溶媒から弾性繊維が析出され、次に、第1回の吸引ろ過で固体と液体とを分離し、且つ固形分を水に3分浸漬し、そして、第2回の吸引ろ過を行い、乾燥した後に弾性繊維を得られる。
【0032】
また、第2段階の分離処理を行った廃織物(又は織物断片)には基本的にポリエステル繊維のみを含み、水洗い、ろ過、乾燥を行ってポリエステル繊維を得ることができる。ポリエステル繊維は、物理再生法又は化学再生法によってモノマー及び/又はオリゴマーに解重合された後に、再重合によって、再生ポリエステル粒子(r-PET)を製造することができる。分析によれば、解重合を行って得たモノマー及び/又はオリゴマーの回収率は、95%以上に至った上で、弾性繊維が混入されることはない。工程S106が完成すれば、ポリエステル繊維及び弾性繊維の分離及び回収・再利用を実現する。実際に応用する時に、第2段階の分離処理を行った廃織物(又は、織物断片)の洗浄回数は、3回であってもよく、毎回の水洗いにおける固液比(織物と水との比)は例えば、1:5であってもよい。水洗いを行った後に、吸引ろ過で固体と液体とを分離し、且つ固形分を水に3分浸漬し、それを3回繰り返して、100℃で乾燥すればポリエステル繊維を得られる。
【0033】
更に説明すると、物理再生法は、押出機で処理した廃織物(織物断片)を溶融させて押出造粒することであってもよい。また、化学再生法は、まず化学解重合液で廃織物(織物断片)におけるポリエステル繊維を解重合させて、特定の条件で解重合で得たモノマー及び/又はオリゴマーを再重合を行って造粒する。化学解重合液は、水、メタノール、エタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール又はそれらの組合せであってもよいが、本発明はこれに制限されるものではない。
【0034】
[第二実施形態]
図3に示すように、本発明の第二実施形態において、ポリエステル及び弾性繊維を含む廃織物の処理方法を提供する。ポリエステル及び弾性繊維を含む廃織物の処理方法は、少なくとも2段階の溶媒処理で廃織物から弾性繊維を分離させて回収することによって、廃織物におけるポリエステル繊維及び弾性繊維の分離、回収・再利用を実現する。
図3に示すように、本発明の第二実施形態に係る処理方法は主に、ポリエステル繊維及び弾性繊維を含む廃織物を提供する工程S200と、第1の極性溶媒を用いて第1の温度で廃織物に第1段階の分離処理を行う工程S202と、使用済みの第1の極性溶媒を回収し、第2の極性溶媒を用いて第2の温度で第1段階の分離処理を行った廃織物に第2段階の分離処理を行う工程S204と、使用済みの第2の極性溶媒を回収し、第3の極性溶媒を用いて第3の温度で第2段階の分離処理を行った廃織物に第3段階の分離処理を行う工程S206と、使用済みの第3の極性溶媒、及び第3段階の分離処理を行った前記廃織物を回収する工程S208と、を含む。工程S200において、廃織物は、ポリエステル繊維/弾性繊維混紡織物であってもよい。ポリエステル繊維は例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維であり、弾性繊維は例えば、ポリウレタン弾性繊維(Spandex)であるが、本発明はこれに制限されるものではない。ポリエステル繊維の廃織物での含有量は、60重量%~98重量%であり、弾性繊維の廃織物での含有量は、2重量%~40重量%であってもよい。実際に応用する時に、廃織物は、複数個の織物断片に分割されてもよい。分割方法として、カット又は引き裂きを採用してもよい。なかでも、織物断片のそれぞれは、ポリエステル繊維及び弾性繊維を含む。また、織物断片のサイズは、この後の処理条件に応じて調整することができる。例えば、織物断片のサイズは、長さ3cm×幅3cmであってもよいが、上述したのはあくまでも実施できる実施形態であり、本発明はこれに制限されるものではない。
【0035】
工程S202において、第1段階の分離処理は、廃織物(又は織物断片)を第1の極性溶媒に浸漬させて、固液共存の混合系を形成した後に、第1の温度で30分~120分反応を行うことにより、一部の弾性繊維が第1の極性溶媒に溶解され、ポリエステル繊維に影響しない。第1の極性溶媒は、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAC)、N-メチルピロリドン(NMP)、γ-ブチロラクトン(GBL)及びジメチルスルホキシド(DMSO)からなる群から選択される。第1の温度は、10℃~35℃であってもよい。第1の分離処理を行った後の効率を向上するために、廃織物(又は織物断片)を第1の極性溶媒に均一に分散させ、第1の極性溶媒は、DMF又はDMACを採用してもよく、また、廃織物(又は織物断片)と第1の極性溶媒との固液比を、1:5~1:20に制御し、第1の温度を20℃~25℃にする。
【0036】
図2及び
図3に示すように、第1段階の分離処理において、織物断片21aと第1の極性溶媒22aとの混合系2を、反応装置1(例えば、反応槽)に置いて、撹拌又は撹拌なしの条件で3℃/minの加熱速度で10℃~35℃に加熱され、30分~120分を維持する。以上の内容はあくまでも、実施できる実施形態であり、本発明はこれに制限されるものではない。一つの実施形態において、第1の極性溶媒として、ジメチルホルムアミドとジメチルアセトアミドとの混合溶媒を用いてもよく、なかでも、ジメチルホルムアミドとジメチルアセトアミドとの体積比は、1:2である。特筆すべきことは、このような混合溶媒は、弾性繊維(例えば、ポリウレタン弾性繊維)に対して良好な溶解力を有する。
【0037】
工程S204において、第2段階の分離処理は、第1段階の分離処理を行った廃織物(又は織物断片)を第2の極性溶媒に浸漬させて、固液共存の混合系を形成した後に、第1の温度より高い第2の温度で30分~120分反応を行うことにより、他部の弾性繊維が第2の極性溶媒に溶解され、ポリエステル繊維に影響しない。第2の極性溶媒は、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAC)、N-メチルピロリドン(NMP)、γ-ブチロラクトン(GBL)及びジメチルスルホキシド(DMSO)からなる群から選択される。第2の温度は、45℃~60℃であってもよい。説明すべきことは、第2段階の分離処理で使用した第2の極性溶媒は、第1段階の分離処理で使用した第1の極性溶媒と同一又は異なってもよい。
【0038】
第1段階の分離処理で使用した第1の極性溶媒に、水洗い、ろ過、乾燥を行って弾性繊維を得ることができる。具体的な内容は、第一実施形態を参考することができるため、ここで重複に説明しない。分析によれば、第1段階の分離処理では、75%以上のポリエステル繊維が混入されない弾性繊維を回収することができ、繊維原料として応用されて体操用クッション、家具保護用クッションなどのTPU製品を製造することができるが、本発明はこれに制限されるものではない。
【0039】
第2の分離処理を行った後の効率を向上するために、廃織物(又は織物断片)を第2の極性溶媒に均一に分散させ、第2の極性溶媒は、DMF又はDMACを採用してもよく、また、廃織物(又は織物断片)と第2の極性溶媒との固液比を、1:5~1:20に制御し、第2の温度を50℃~55℃にする。
【0040】
図2及び
図3に示すように、第2段階の分離処理において、第1段階の分離処理を行った織物断片21bと第2の極性溶媒22bとの混合系2を、反応装置1(例えば、反応槽)に置いて、撹拌又は撹拌なしの条件で3℃/minの加熱速度で45℃~60℃に加熱され、30分~120分を維持する。以上の内容はあくまでも、実施できる実施形態であり、本発明はこれに制限されるものではない。一つの実施形態において、第2の極性溶媒として、ジメチルホルムアミドとジメチルアセトアミドとの混合溶媒を用いてもよく、なかでも、ジメチルホルムアミドとジメチルアセトアミドとの体積比は、1:2である。
【0041】
工程S206において、第3段階の分離処理は、第2段階の分離処理を行った廃織物(又は織物断片)を第3の極性溶媒に浸漬させて、固液共存の混合系を形成した後に、第2の温度より高い第3の温度で30分~120分反応を行うことにより、残留の弾性繊維、染料及び残留の不純物が第3の極性溶媒に溶解され、ポリエステル繊維に影響しない。第3の極性溶媒は、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAC)、N-メチルピロリドン(NMP)、γ-ブチロラクトン(GBL)及びジメチルスルホキシド(DMSO)からなる群から選択される。第3の温度は、70℃~130℃であってもよい。説明すべきことは、第3段階の分離処理で使用した第3の極性溶媒は、第1段階の分離処理で使用した第1の極性溶媒(第2段階の分離処理で使用した第2の極性溶媒)と同一又は異なってもよい。
【0042】
第2段階の分離処理で使用した第2の極性溶媒に、水洗い、ろ過、乾燥を行って弾性繊維を得ることができる。具体的な内容は、第一実施形態を参考することができるため、ここで重複に説明しない。分析によれば、第2段階の分離処理では、4.7%以上のポリエステル繊維が混入されない弾性繊維を回収することができ、繊維原料として応用されて体操用クッション、家具保護用クッションなどのTPU製品を製造することができるが、本発明はこれに制限されるものではない。
【0043】
第3の分離処理を行った後の効率を向上するために、廃織物(又は織物断片)を第3の極性溶媒に均一に分散させ、第2の極性溶媒は、DMF又はDMACを採用してもよく、また、廃織物(又は織物断片)と第3の極性溶媒との固液比を、1:5~1:20に制御し、第3の温度を105℃~115℃にする。特筆すべきことは、本実施形態に係る処理方法は、3段階の溶媒処理で廃織物から弾性繊維を分離させるものであり、溶媒の使用量が大幅に低減され、生産コスト及び環境に対する危害を低減するだけでなく、再生ポリエステル繊維の純度を向上することができる。
【0044】
図2及び
図3に示すように、第3段階の分離処理において、第2段階の分離処理を行った織物断片21cと第3の極性溶媒22cとの混合系2を、反応装置1(例えば、反応槽)に置いて、撹拌又は撹拌なしの条件で3℃/minの加熱速度で70℃~130℃に加熱され、30分~120分を維持する。以上の内容はあくまでも、実施できる実施形態であり、本発明はこれに制限されるものではない。一つの実施形態において、第3の極性溶媒として、ジメチルホルムアミドとジメチルアセトアミドとの混合溶媒を用いてもよく、なかでも、ジメチルホルムアミドとジメチルアセトアミドとの体積比は、1:2である。
【0045】
工程S208において、第3段階の分離処理で使用した第3の極性溶媒に、水洗い、ろ過、乾燥を行って弾性繊維を得ることができる。分析によれば、第3段階の分離処理では、0.1%以上の弾性繊維を回収することができる。また、第3段階の分離処理を行った廃織物(又は織物断片)には基本的にポリエステル繊維のみを含み、水洗い、ろ過、乾燥を行ってポリエステル繊維を得ることができる。具体的な内容は、第一実施形態を参考することができるため、ここで重複に説明しない。ポリエステル繊維は、物理再生法又は化学再生法によってモノマー及び/又はオリゴマーに解重合された後に、再重合によって、再生ポリエステル粒子(r-PET)を製造することができる。分析によれば、解重合を行って得たモノマー及び/又はオリゴマーの回収率は、95%以上に至った上で、弾性繊維が混入されることはない。工程S208が完成すれば、ポリエステル繊維及び弾性繊維の分離及び回収・再利用を実現する。
【0046】
更に説明すると、物理再生法は、押出機で処理した廃織物(織物断片)を溶融させて押出造粒することであってもよい。また、化学再生法は、まず化学解重合液で廃織物(織物断片)におけるポリエステル繊維を解重合させて、特定の条件で解重合で得たモノマー及び/又はオリゴマーを再重合を行って造粒する。化学解重合液は、水、メタノール、エタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール又はそれらの組合せであってもよいが、本発明はこれに制限されるものではない。
【0047】
[実施形態による有利な効果]
本発明の有利な効果として、本発明に係るポリエステル及び弾性繊維を含む廃織物の処理方法は、「弾性繊維の一部を溶解するために、第1の極性溶媒を用いて第1の温度で廃織物を処理し、次に、弾性繊維の他部を溶解するために、第2の極性溶媒を用いて第2の温度で廃織物を処理し、そして、使用済みの第1の極性溶媒、第2の極性溶媒及び第2段階の分離処理を行った廃織物を回収する」、及び「前記第1の極性溶媒及び前記第2の極性溶媒は、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、γ-ブチロラクトン及びジメチルスルホキシドからなる群から選択される」といった技術特徴により、ポリエステル繊維及び弾性繊維の分離及び回収・再利用を実現する。
【0048】
更に説明すると、本発明に係る処理方法は、少なくとも2段階の溶媒処理で廃織物から弾性繊維を分離させて回収し、溶媒の使用量が大幅に低減され、生産コスト及び環境に対する危害を低減するだけでなく、再生ポリエステル繊維の純度を向上することができる。
【0049】
更に説明すると、本発明に係る処理方法は、繊維資源の再生には大きな経済的利益があり、工業化生産の要件を満たしている。
【0050】
以上に開示された内容は、ただ本発明の好ましい実行可能な実施態様であり、本発明の請求の範囲はこれに制限されない。そのため、本発明の明細書及び図面内容を利用して成される全ての等価な技術変更は、いずれも本発明の請求の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0051】
1…反応装置
2…混合系
21a…織物断片
21b…第1段階の分離処理を行った織物断片
21c…第2段階の分離処理を行った織物断片
22a…第1の極性溶媒
22b…第2の極性溶媒
22c…第3の極性溶媒
S100、S102、S104、S106…処理方法の工程
S200、S202、S204、S206、S208…処理方法の工程