IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメントの特許一覧

特許7376688表示装置、表示方法およびコンピュータプログラム
<>
  • 特許-表示装置、表示方法およびコンピュータプログラム 図1
  • 特許-表示装置、表示方法およびコンピュータプログラム 図2
  • 特許-表示装置、表示方法およびコンピュータプログラム 図3
  • 特許-表示装置、表示方法およびコンピュータプログラム 図4A
  • 特許-表示装置、表示方法およびコンピュータプログラム 図4B
  • 特許-表示装置、表示方法およびコンピュータプログラム 図4C
  • 特許-表示装置、表示方法およびコンピュータプログラム 図5A
  • 特許-表示装置、表示方法およびコンピュータプログラム 図5B
  • 特許-表示装置、表示方法およびコンピュータプログラム 図5C
  • 特許-表示装置、表示方法およびコンピュータプログラム 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】表示装置、表示方法およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G09G 5/00 20060101AFI20231031BHJP
   G09G 5/38 20060101ALI20231031BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
G09G5/00 510A
G09G5/00 510B
G09G5/38 100
H04N5/74 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022507937
(86)(22)【出願日】2020-03-18
(86)【国際出願番号】 JP2020012130
(87)【国際公開番号】W WO2021186646
(87)【国際公開日】2021-09-23
【審査請求日】2022-08-18
(73)【特許権者】
【識別番号】310021766
【氏名又は名称】株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 雄祐
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 友由
(74)【代理人】
【識別番号】100134256
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 武司
(72)【発明者】
【氏名】西舘 正臣
(72)【発明者】
【氏名】森 英樹
【審査官】村上 遼太
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-344962(JP,A)
【文献】特開2015-156523(JP,A)
【文献】国際公開第2019/202935(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B21/00-21/10
21/12-21/30
21/56-21/64
33/00-33/16
G06F 3/033-3/039
G06T 1/00
11/60-13/80
17/05
19/00-19/20
G09G 5/00-5/36
5/377-5/42
H04N 5/66-5/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動するオブジェクトである移動オブジェクトを配置した画像であって、(1)円筒状の画面に巻かれたかのように表示される平面画像である表示対象領域と、(2)前記円筒状の画面に表示される前記表示対象領域の接合部分である境界に対応する端であって前記表示対象領域における一方の端の外側に設けられた第1余白領域と、(3)前記表示対象領域における前記一方の端と反対側の端の外側に設けられた第2余白領域とを含む画像を生成する生成部と、
前記生成部により生成された複数の画像の前記表示対象領域の内容を前記円筒状の画面に順次表示させる表示制御部と、
を備え、
前記生成部は、前記表示対象領域を移動する第1移動オブジェクトが前記表示対象領域と前記第1余白領域との境界に接した場合、前記表示対象領域と前記第2余白領域との境界に接するように、前記第1移動オブジェクトと同じ態様の第2移動オブジェクトを前記第2余白領域に配置し、
前記生成部は、前記第1移動オブジェクトが前記表示対象領域から前記第1余白領域に出て行くにつれて、前記第2移動オブジェクトが前記第2余白領域から前記表示対象領域へ入っていくように複数の画像を生成することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記生成部は、移動オブジェクトの移動の軌跡を示すトレイルオブジェクトを前記表示対象領域に配置し、
前記生成部は、前記第1移動オブジェクトの全体が前記表示対象領域から前記第1余白領域に入った場合、前記第1移動オブジェクトに付加したトレイルオブジェクトを徐々に短くするとともに、前記第2移動オブジェクトに付加するトレイルオブジェクトの生成を開始することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1余白領域および前記第2余白領域の幅は、前記移動オブジェクトの幅と同じであることを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
移動するオブジェクトである移動オブジェクトと、前記移動オブジェクトの移動の軌跡を示すトレイルオブジェクトとを配置した画像であって、(1)円筒状の画面に巻かれたかのように表示される平面画像である表示対象領域と、(2)前記円筒状の画面に表示される前記表示対象領域の接合部分である境界に対応する端であって前記表示対象領域における一方の端の外側に設けられた第1余白領域と、(3)前記表示対象領域における前記一方の端と反対側の端の外側に設けられた第2余白領域とを含む画像を生成する生成部と、
前記生成部により生成された複数の画像の前記表示対象領域の内容を前記円筒状の画面に順次表示させる表示制御部と、
を備え、
前記移動オブジェクトの幅は、前記トレイルオブジェクトの幅以下であり、
前記生成部は、前記表示対象領域を移動する第1移動オブジェクトが前記表示対象領域と前記第1余白領域との境界に接した場合、前記表示対象領域と前記第2余白領域との境界に接するように、前記第1移動オブジェクトと同じ態様の第2移動オブジェクトを前記第2余白領域に配置するとともに前記第1移動オブジェクトを消去し、
前記生成部は、前記第1移動オブジェクトを消去後、それまで前記第1移動オブジェクトに付加したトレイルオブジェクトを徐々に短くしつつ、前記第2移動オブジェクトが前記第2余白領域から前記表示対象領域へ入っていくように複数の画像を生成し、
前記生成部は、前記第2移動オブジェクトの全体が前記第2余白領域から前記表示対象領域に入った場合、前記第2移動オブジェクトに付加するトレイルオブジェクトの生成を開始することを特徴とする表示装置。
【請求項5】
表示装置が、
移動するオブジェクトである移動オブジェクトを配置した画像であって、(1)円筒状の画面に巻かれたかのように表示される平面画像である表示対象領域と、(2)前記円筒状の画面に表示される前記表示対象領域の接合部分である境界に対応する端であって前記表示対象領域における一方の端の外側に設けられた第1余白領域と、(3)前記表示対象領域における前記一方の端と反対側の端の外側に設けられた第2余白領域とを含む画像を生成するステップと、
前記生成するステップで生成された複数の画像の前記表示対象領域の内容を前記円筒状の画面に順次表示させるステップと、
を実行し、
前記生成するステップは、前記表示対象領域を移動する第1移動オブジェクトが前記表示対象領域と前記第1余白領域との境界に接した場合、前記表示対象領域と前記第2余白領域との境界に接するように、前記第1移動オブジェクトと同じ態様の第2移動オブジェクトを前記第2余白領域に配置し、
前記生成するステップは、前記第1移動オブジェクトが前記表示対象領域から前記第1余白領域に出て行くにつれて、前記第2移動オブジェクトが前記第2余白領域から前記表示対象領域へ入っていくように複数の画像を生成することを特徴とする表示方法。
【請求項6】
表示装置が、
移動するオブジェクトである移動オブジェクトと、前記移動オブジェクトの移動の軌跡を示すトレイルオブジェクトとを配置した画像であって、(1)円筒状の画面に巻かれたかのように表示される平面画像である表示対象領域と、(2)前記円筒状の画面に表示される前記表示対象領域の接合部分である境界に対応する端であって前記表示対象領域における一方の端の外側に設けられた第1余白領域と、(3)前記表示対象領域における前記一方の端と反対側の端の外側に設けられた第2余白領域とを含む画像を生成するステップと、
前記生成するステップで生成された複数の画像の前記表示対象領域の内容を前記円筒状の画面に順次表示させるステップと、
を実行し、
前記移動オブジェクトの幅は、前記トレイルオブジェクトの幅以下であり、
前記生成するステップは、前記表示対象領域を移動する第1移動オブジェクトが前記表示対象領域と前記第1余白領域との境界に接した場合、前記表示対象領域と前記第2余白領域との境界に接するように、前記第1移動オブジェクトと同じ態様の第2移動オブジェクトを前記第2余白領域に配置するとともに前記第1移動オブジェクトを消去し、
前記生成するステップは、前記第1移動オブジェクトを消去後、それまで前記第1移動オブジェクトに付加したトレイルオブジェクトを徐々に短くしつつ、前記第2移動オブジェクトが前記第2余白領域から前記表示対象領域へ入っていくように複数の画像を生成し、
前記生成するステップは、前記第2移動オブジェクトの全体が前記第2余白領域から前記表示対象領域に入った場合、前記第2移動オブジェクトに付加するトレイルオブジェクトの生成を開始することを特徴とする表示方法。
【請求項7】
移動するオブジェクトである移動オブジェクトを配置した画像であって、(1)円筒状の画面に巻かれたかのように表示される平面画像である表示対象領域と、(2)前記円筒状の画面に表示される前記表示対象領域の接合部分である境界に対応する端であって前記表示対象領域における一方の端の外側に設けられた第1余白領域と、(3)前記表示対象領域における前記一方の端と反対側の端の外側に設けられた第2余白領域とを含む画像を生成する機能と、
前記生成する機能により生成された複数の画像の少なくとも前記表示対象領域の内容を、前記円筒状の画面を有する表示装置に出力する機能と、
をコンピュータに実現させ、
前記生成する機能は、前記表示対象領域を移動する第1移動オブジェクトが前記表示対象領域と前記第1余白領域との境界に接した場合、前記表示対象領域と前記第2余白領域との境界に接するように、前記第1移動オブジェクトと同じ態様の第2移動オブジェクトを前記第2余白領域に配置し、
前記生成する機能は、前記第1移動オブジェクトが前記表示対象領域から前記第1余白領域に出て行くにつれて、前記第2移動オブジェクトが前記第2余白領域から前記表示対象領域へ入っていくように複数の画像を生成することを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項8】
移動するオブジェクトである移動オブジェクトと、前記移動オブジェクトの移動の軌跡を示すトレイルオブジェクトとを配置した画像であって、(1)円筒状の画面に巻かれたかのように表示される平面画像である表示対象領域と、(2)前記円筒状の画面に表示される前記表示対象領域の接合部分である境界に対応する端であって前記表示対象領域における一方の端の外側に設けられた第1余白領域と、(3)前記表示対象領域における前記一方の端と反対側の端の外側に設けられた第2余白領域とを含む画像を生成する機能と、
前記生成する機能により生成された複数の画像の少なくとも前記表示対象領域の内容を、前記円筒状の画面を有する表示装置に出力する機能と、
をコンピュータに実現させ、
前記移動オブジェクトの幅は、前記トレイルオブジェクトの幅以下であり、
前記生成する機能は、前記表示対象領域を移動する第1移動オブジェクトが前記表示対象領域と前記第1余白領域との境界に接した場合、前記表示対象領域と前記第2余白領域との境界に接するように、前記第1移動オブジェクトと同じ態様の第2移動オブジェクトを前記第2余白領域に配置するとともに前記第1移動オブジェクトを消去し、
前記生成する機能は、前記第1移動オブジェクトを消去後、それまで前記第1移動オブジェクトに付加したトレイルオブジェクトを徐々に短くしつつ、前記第2移動オブジェクトが前記第2余白領域から前記表示対象領域へ入っていくように複数の画像を生成し、
前記生成する機能は、前記第2移動オブジェクトの全体が前記第2余白領域から前記表示対象領域に入った場合、前記第2移動オブジェクトに付加するトレイルオブジェクトの生成を開始することを特徴とするコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、データ処理技術に関し、特に表示装置、表示方法およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
360度映像を表示可能な円筒透明スクリーンディスプレイが提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
移動するオブジェクトを含む平面に描かれた画像を円筒状のスクリーンに表示する場合、画像の両端に当たる境界でのオブジェクトの表示が不自然になることがあった。
【0004】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、1つの目的は、円筒状のスクリーンにおける画像表示の不自然さを低減する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の表示装置は、移動するオブジェクトである移動オブジェクトを配置した画像であって、円筒状の画面に表示される表示対象領域と、表示対象領域における一方の端の外側に設けられた第1余白領域と、表示対象領域における一方の端と反対側の端の外側に設けられた第2余白領域とを含む画像を生成する生成部と、生成部により生成された複数の画像の表示対象領域の内容を円筒状の画面に順次表示させる表示制御部と、を備える。生成部は、表示対象領域を移動する第1移動オブジェクトが表示対象領域と第1余白領域との境界に接した場合、表示対象領域と第2余白領域との境界に接するように、第1移動オブジェクトと同じ態様の第2移動オブジェクトを第2余白領域に配置し、生成部は、第1移動オブジェクトが表示対象領域から第1余白領域に出て行くにつれて、第2移動オブジェクトが第2余白領域から表示対象領域へ入っていくように複数の画像を生成する。
【0006】
本発明の別の態様もまた、表示装置である。この装置は、移動するオブジェクトである移動オブジェクトと、移動オブジェクトの移動の軌跡を示すトレイルオブジェクトとを配置した画像であって、円筒状の画面に表示される表示対象領域と、表示対象領域における一方の端の外側に設けられた第1余白領域と、表示対象領域における一方の端と反対側の端の外側に設けられた第2余白領域とを含む画像を生成する生成部と、生成部により生成された複数の画像の表示対象領域の内容を円筒状の画面に順次表示させる表示制御部と、を備える。移動オブジェクトの幅は、トレイルオブジェクトの幅以下であり、生成部は、表示対象領域を移動する第1移動オブジェクトが表示対象領域と第1余白領域との境界に接した場合、表示対象領域と第2余白領域との境界に接するように、第1移動オブジェクトと同じ態様の第2移動オブジェクトを第2余白領域に配置するとともに第1移動オブジェクトを消去し、生成部は、第1移動オブジェクトを消去後、それまで第1移動オブジェクトに付加したトレイルオブジェクトを徐々に短くしつつ、第2移動オブジェクトが第2余白領域から表示対象領域へ入っていくように複数の画像を生成し、生成部は、第2移動オブジェクトの全体が第2余白領域から表示対象領域に入った場合、第2移動オブジェクトに付加するトレイルオブジェクトの生成を開始する。
【0007】
本発明のさらに別の態様は、表示方法である。この方法は、表示装置が、移動するオブジェクトである移動オブジェクトを配置した画像であって、円筒状の画面に表示される表示対象領域と、表示対象領域における一方の端の外側に設けられた第1余白領域と、表示対象領域における一方の端と反対側の端の外側に設けられた第2余白領域とを含む画像を生成するステップと、生成するステップで生成された複数の画像の表示対象領域の内容を円筒状の画面に順次表示させるステップと、を実行し、生成するステップは、表示対象領域を移動する第1移動オブジェクトが表示対象領域と第1余白領域との境界に接した場合、表示対象領域と第2余白領域との境界に接するように、第1移動オブジェクトと同じ態様の第2移動オブジェクトを第2余白領域に配置し、生成するステップは、第1移動オブジェクトが表示対象領域から第1余白領域に出て行くにつれて、第2移動オブジェクトが第2余白領域から表示対象領域へ入っていくように複数の画像を生成する。
【0008】
本発明のさらに別の態様もまた、表示方法である。この方法は、表示装置が、移動するオブジェクトである移動オブジェクトと、移動オブジェクトの移動の軌跡を示すトレイルオブジェクトとを配置した画像であって、円筒状の画面に表示される表示対象領域と、表示対象領域における一方の端の外側に設けられた第1余白領域と、表示対象領域における一方の端と反対側の端の外側に設けられた第2余白領域とを含む画像を生成するステップと、生成するステップで生成された複数の画像の表示対象領域の内容を円筒状の画面に順次表示させるステップと、を実行し、移動オブジェクトの幅は、トレイルオブジェクトの幅以下であり、生成するステップは、表示対象領域を移動する第1移動オブジェクトが表示対象領域と第1余白領域との境界に接した場合、表示対象領域と第2余白領域との境界に接するように、第1移動オブジェクトと同じ態様の第2移動オブジェクトを第2余白領域に配置するとともに第1移動オブジェクトを消去し、生成するステップは、第1移動オブジェクトを消去後、それまで第1移動オブジェクトに付加したトレイルオブジェクトを徐々に短くしつつ、第2移動オブジェクトが第2余白領域から表示対象領域へ入っていくように複数の画像を生成し、生成するステップは、第2移動オブジェクトの全体が第2余白領域から表示対象領域に入った場合、第2移動オブジェクトに付加するトレイルオブジェクトの生成を開始する。
【0009】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現をシステム、プログラム、プログラムを格納した記録媒体などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、円筒状のスクリーンにおける画像表示の不自然さを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施例の表示装置の外観を示す図である。
図2】画像と、その画像が表示される円筒状のスクリーンの関係を模式的に示す図である。
図3】第1実施例の表示装置の機能ブロックを示すブロック図である。
図4A】App画像の例を示す図である。
図4B】App画像の例を示す図である。
図4C】App画像の例を示す図である。
図5A】App画像の例を示す図である。
図5B】App画像の例を示す図である。
図5C】App画像の例を示す図である。
図6】変形例のシステムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1実施例>
図1は、第1実施例の表示装置10の外観を示す。表示装置10は、ホログラムスクリーン技術を使用した360度映像表示可能な円筒透明スクリーンディスプレイである。表示装置10は、円筒状の透明なスクリーン12に映像を投影することで、周囲360度どこからでも映像を楽しむことができるディスプレイである。
【0013】
表示装置10は、プロジェクタ14と鏡16を備える。プロジェクタ14は、画像(映像)の光を上方向に投射する。鏡16は、プロジェクタ14から投射された光をスクリーン12へ反射することにより、画像(映像)をスクリーン12に投影する。
【0014】
スクリーン12に投影される画像(映像)は、パーティクル20とトレイル22を含む。パーティクル20は、仮想的な空間内を移動するオブジェクトであり、実施例では、空間内を飛び交う光の粒子を示す描画オブジェクトである。トレイル22は、パーティクル20に追従して空間内を移動するオブジェクトであり、実施例では、パーティクル20の移動の軌跡を示す描画オブジェクトである。表示装置10は、不図示のカメラにより撮像されたユーザの手の動きに合わせてパーティクル20とトレイル22とが円筒内を回転し続ける画像(映像)をスクリーン12に表示させる。
【0015】
図2は、画像と、その画像が表示される円筒状のスクリーンの関係を模式的に示す。図2の左側に示すように、画像を生成するアプリケーションは、或る位置に設置された仮想カメラ30の視点からの見え方を示す平面画像32を生成する。表示装置10では、図2の右側に示すように、平面画像32があたかも円筒状に巻かれたかのように、その平面画像を円筒状のスクリーン12に投影する。したがって、表示装置10のスクリーン12に表示される画像には、実際には、平面画像32における左端と右端との接合部分である境界36が存在する。
【0016】
従来、境界36を跨いでパーティクル20やトレイル22を移動させる場合、パーティクル20やトレイル22の表示が不自然になることがあった。例えば、パーティクル20やトレイル22の表示が一瞬途切れたり、また、表示がカクつくことがあった。実施例では、円筒状のスクリーン12における画像表示の不自然さを低減する技術を提案する。
【0017】
図3は、第1実施例の表示装置10の機能ブロックを示すブロック図である。本明細書のブロック図で示す各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのプロセッサ、CPU、メモリをはじめとする素子や電子回路、機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0018】
表示装置10は、カメラ40、処理部42、表示部44を備える。カメラ40は、表示装置10の近傍にいるユーザを撮像する。表示部44は、図1に関連して既述したスクリーン12、プロジェクタ14、鏡16を含む。処理部42は、カメラ40により撮像されたユーザの手の動きに合わせて、パーティクル20とトレイル22をスクリーン12に表示させるためのデータ処理を実行する。
【0019】
処理部42は、動作検出部50、画像生成部52、表示制御部54を含む。これら複数の機能ブロックの機能が実装されたコンピュータプログラムが、所定の記録媒体に格納され、その記録媒体を介して表示装置10のストレージにインストールされてもよい。または、上記コンピュータプログラムが、ネットワークを介してダウンロードされ、表示装置10のストレージにインストールされてもよい。表示装置10のCPUは、上記コンピュータプログラムをメインメモリに読み出して実行することにより、上記複数の機能ブロックの機能を発揮してもよい。
【0020】
動作検出部50は、カメラ40から出力されたユーザを映した画像をもとに、ユーザの手の動きを検出する。例えば、動作検出部50は、ユーザの手が左方向または右方向に動いたことを検出する。
【0021】
画像生成部52は、円筒状のスクリーン12に投影される画像であり、パーティクル20とトレイル22を配置した画像を生成する。画像生成部52により生成される画像を以下「App画像」とも呼ぶ。図4AはApp画像の例を示す。App画像60は、表示対象領域62、左余白領域64a、右余白領域64bを含む。表示対象領域62は、スクリーン12において表示対象となる領域である。左余白領域64aは、表示対象領域62における左端の外側に設けられた領域である。右余白領域64bは、表示対象領域62における右端の外側に設けられた領域である。左余白領域64aおよび右余白領域64bの幅(第1実施例では横幅)の長さは、パーティクル20の幅(第1実施例では横幅)の長さと同じである。
【0022】
表示制御部54は、画像生成部52により順次生成された複数のApp画像60について、複数のApp画像60の表示対象領域62の内容をスクリーン12に順次表示させる。例えば、表示制御部54は、各App画像60の表示対象領域62の内容を投影するよう指示する信号をプロジェクタ14へ出力してもよく、プロジェクタ14は、表示制御部54から指示された各App画像60の表示対象領域62の内容をスクリーン12に順次投影してもよい。これにより、パーティクル20とトレイル22が飛び交う映像がスクリーン12に表示される。
【0023】
画像生成部52は、パーティクル描画部56とトレイル描画部58を含む。パーティクル描画部56は、動作検出部50により検出されたユーザの手の動きをもとに、パーティクル20を表示対象領域62に配置する。例えば、ユーザの手が右方向に動いたことが検出されると、パーティクル描画部56は、複数のApp画像60に亘ってパーティクル20の配置位置を少しずつ右方向にずらすことにより、パーティクル20が右方向に動く映像を生成する。
【0024】
トレイル描画部58は、複数のApp画像60に亘るパーティクル20の動きを監視し、パーティクル20の移動の軌跡を示すトレイル22を、パーティクル20に付加する態様で表示対象領域62に配置する。パーティクル20の最大長は予め定められる。トレイル描画部58は、表示対象領域62に複数のパーティクル20が存在する場合、複数のパーティクル20のそれぞれに対してトレイル22を付加する。
【0025】
図4Aは、典型的にはユーザが手を右方向に動かした場合に生成されるApp画像60を示している。同図のトレイル22aは、パーティクル20aが右方向に移動したことを示している。図4AのApp画像60の次に生成されるApp画像60では、パーティクル20aとトレイル22aは、図4Aに示す位置より右側にずれた位置に表示される。なお、App画像60は、複数のパーティクル20と複数のトレイル22を含んでよく、また、1回のユーザの動作に応じて、複数のパーティクル20と複数のトレイル22が新たに生成されてもよい。
【0026】
図4BもApp画像の例を示す。パーティクル描画部56は、表示対象領域62を移動するパーティクル20aが表示対象領域62と右余白領域64bとの境界(以下「右境界」とも呼ぶ。)に接した場合、言い換えれば、パーティクル20aの右端座標が右境界の座標に一致した場合、表示対象領域62と左余白領域64aとの境界(以下「左境界」とも呼ぶ。)に接するように、パーティクル20aと同じ態様のパーティクル20bを左余白領域64aに配置する。すなわち、パーティクル描画部56は、パーティクル20bの右端座標が左境界の座標に一致するように、パーティクル20bを左余白領域64aに配置する。パーティクル20aの縦座標とパーティクル20bの縦座標は同じである。また、パーティクル20bは、パーティクル20aと同じ形状、模様、色彩であってもよく、パーティクル20bは、パーティクル20aをコピーした画像であってもよい。
【0027】
パーティクル描画部56は、図4BのApp画像60に続く複数のApp画像60に亘り、パーティクル20aとパーティクル20bとを同じ態様(同じ方向かつ同じ速度)で移動させた位置に配置する。パーティクル描画部56は、パーティクル20aが表示対象領域62から右余白領域64bに入っていく(すなわち徐々に非表示となっていく)につれて、パーティクル20bが左余白領域64aから表示対象領域62に入っていく(すなわち表示される部分が拡大していく)ように複数のApp画像60を生成する。パーティクル20aの全体が表示対象領域62から右余白領域64bに入るまで、すなわち、パーティクル20bの全体が左余白領域64aから表示対象領域62に入るまでは、パーティクル20bに対するトレイル生成機能は有効化されない。
【0028】
図4CもApp画像の例を示す。図4Cに示すように、パーティクル描画部56は、パーティクル20aの全体が表示対象領域62から右余白領域64bに入った場合、パーティクル20aの描画を終了し、すなわち、以降生成するApp画像60からパーティクル20aを消去する。トレイル描画部58は、パーティクル20aの全体が表示対象領域62から右余白領域64bに入った場合、それまでパーティクル20aに付加したトレイル22aの長さを時間経過とともに徐々に短くしていく。言い換えれば、トレイル描画部58は、パーティクル20a消去後の複数のApp画像60に亘って、トレイル22aの長さを徐々に短くしていき、パーティクル20aが消去されてから所定時間経過後に、App画像60上からトレイル22aを消去する。
【0029】
また、トレイル描画部58は、パーティクル20aの全体が表示対象領域62から右余白領域64bに入った場合であり、すなわち、パーティクル20bの全体が左余白領域64aから表示対象領域62に入った場合、パーティクル20bに付加するトレイル22bの生成処理(例えばパーティクル20bの動きの監視とトレイル22bの描画)を開始する。トレイル描画部58は、パーティクル描画部56により配置されたパーティクル20bの左端座標が、表示対象領域62の左境界の座標値に一致する場合に、パーティクル20bの全体が左余白領域64aから表示対象領域62に入ったことを検知してもよい。トレイル描画部58は、パーティクル20bの全体が左余白領域64aから表示対象領域62に入った後の複数のApp画像60に亘って、トレイル22bの長さを、予め定められた最大長に達するまで徐々に長くしていく。
【0030】
消滅後のパーティクル20aに対するトレイル22aが短くなっていく速度と、パーティクル20bに対するトレイル22bが長くなっていく速度は同じである。言い換えれば、トレイル描画部58は、トレイル22aを短くする速度と同じ速度でトレイル22bを長くしていく。これにより、トレイル22aとトレイル22bの合計は、予め定められたトレイルの最大長が維持される。
【0031】
上記の図4A図4Cの例では、パーティクル20aが右方向へ移動することとしたが、パーティクル20aが左方向へ移動する場合は、右と左を入れ替えた処理となる。すなわち、パーティクル描画部56は、パーティクル20aが表示対象領域62と左余白領域64aとの境界に接した場合、表示対象領域62と右余白領域64bとの境界に接するように、パーティクル20bを右余白領域64bに配置する。パーティクル描画部56は、パーティクル20aが表示対象領域62から左余白領域64aに出て行くにつれて、パーティクル20bが右余白領域64bから表示対象領域62へ入っていくように複数のApp画像60を生成する。
【0032】
また、トレイル描画部58は、パーティクル20aの全体が表示対象領域62から左余白領域64aに入った場合であり、すなわち、パーティクル20bの全体が右余白領域64bから表示対象領域62に入った場合、パーティクル20aに付加したトレイルオブジェクトを徐々に短くする。それとともに、トレイル描画部58は、パーティクル20bに付加するトレイルオブジェクトの生成を開始する。
【0033】
第1実施例の表示装置10によると、表示対象領域62の両端に余白領域を設け、パーティクル20が一方の余白領域に入っていくについて、代替のパーティクル20を他方の余白領域から出現させる。これにより、パーティクル20が画像の境界を跨ぐ際の(例えば表示対象領域62の右端から左端に移動する場合の)表示のカクつきを抑制し、あたかも連続して繋がった面の上をパーティクル20が動くように見せることができる。同様に、トレイル22が画像の境界を跨ぐ際の表示のカクつきを抑制し、あたかも連続して繋がった面の上をトレイル22が動くように見せることができる。
【0034】
また、図4Cに関連して説明したように、パーティクル20bの全体が左余白領域64aから表示対象領域62に入ったことを契機に、パーティクル20bに付加するトレイル22bの生成処理を開始することで、画像生成部52の計算量の増加を抑制することができる。さらにまた、左余白領域64aと右余白領域64bの幅(横幅)をパーティクル20の幅(横幅)と同じにすることで、App画像60のサイズの増加を抑制し、画像生成部52の計算量の増加を抑制することができる。なお、第1実施例に記載の技術は、1種類のオブジェクト(例えばパーティクル20)だけをApp画像60上で移動させる場合にも有用である。
【0035】
<第2実施例>
本実施例に関して、第1実施例と相違する点を中心に以下説明し、共通する点の説明を省略する。本実施例の構成要素のうち第1実施例の構成要素と同一または対応する構成要素には同一の符号を付して説明する。
【0036】
第2実施例の表示装置10の外観構成は、図1に示した第1実施例の表示装置10の外観構成と同じである。また、第2実施例の表示装置10の機能ブロックは、図3に示した第1実施例の表示装置10の機能ブロックと同じである。
【0037】
第2実施例のパーティクル20の幅は、トレイル22の幅以下である。この幅は、第2実施例では縦幅であり、すなわち、パーティクル20の移動方向と垂直方向の長さである。また、第2実施例でのパーティクル20の色は、トレイル22の色と同一の色または類似する色(例えば色相環において隣または近くに位置する色)であることが好ましい。
【0038】
図5A図5BはApp画像の例を示す。パーティクル描画部56は、図5Aに示すように、表示対象領域62を移動するパーティクル20aが表示対象領域62と右余白領域64bとの境界に接した場合、図5Bに示すように、表示対象領域62と左余白領域64aとの境界に接するように、パーティクル20bを左余白領域64aに配置する。それとともに、パーティクル描画部56は、パーティクル20aを消去する。言い換えれば、パーティクル描画部56は、図5Aに続くApp画像60にはパーティクル20aを配置しない。
【0039】
トレイル描画部58は、パーティクル20aが消去された時点で、パーティクル20aに対する監視機能をオフにする。ただし、トレイル描画部58は、パーティクル20aの消去後の複数のApp画像60に亘り、それまでパーティクル20aに付加したトレイル22aを時間経過に伴い徐々に短くしていく。それとともに、パーティクル描画部56は、パーティクル20aの消去後の複数のApp画像60に亘って、パーティクル20bが左余白領域64aから表示対象領域62に徐々に入っていくようにパーティクル20を描画する。
【0040】
図5CもApp画像の例を示す。図5Cに示すように、トレイル描画部58は、パーティクル20bの全体が左余白領域64aから表示対象領域62に入った場合、パーティクル20bに付加するトレイル22bの生成を開始する。
【0041】
第2実施例の表示装置10によると、パーティクル20の大きさが小さく、トレイル22の幅以下である場合、図5Bに示すように短時間、表示対象領域62においてパーティクル20が非表示となるが、トレイル22の表示によりパーティクル20の非表示を補えるため、画像の境界を目立たせず、あたかも連続して繋がった面の上をパーティクル20とトレイル22が動くように見せることができる。また、第2実施例の表示装置10では、パーティクル20の配置数が一時的にも増加しないため、画像生成部52の計算量の増加を抑制することができる。
【0042】
以上、本発明を第1実施例と第2実施例をもとに説明した。これらの実施例は例示であり、各構成要素あるいは各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0043】
上記実施例では、表示装置10のスクリーン12に投影する画像を表示装置10自身が生成したが、変形例として、表示装置10の外部の装置が画像を生成してもよい。図6は、変形例のシステムの構成を示す。このシステムでは、表示装置10は、実施例の画像生成部52に代えて通信部70を備える。通信部70は、カメラ40により撮像されたユーザの映像を、LAN・WAN・インターネット等を含む通信網72を介して、情報処理装置80へ送信する。また、通信部70は、情報処理装置80から送信された画像(例えば実施例のApp画像60)のデータを、通信網72を介して受信する。表示制御部54は、プロジェクタ14を制御して、情報処理装置80から送信された画像をスクリーン12に表示させる。
【0044】
情報処理装置80は、サーバやPCであってもよい。情報処理装置80は、通信部82と処理部42を備える。通信部82は、表示装置10から送信されたユーザの映像を処理部42へ入力し、また、処理部42から出力された、表示装置10のスクリーン12に表示すべき画像データを表示装置10へ送信する。処理部42は、動作検出部50、画像生成部52、出力部84を備える。実施例で既述したように、処理部42の機能ブロックは、コンピュータプログラムとして実装されてもよい。
【0045】
動作検出部50と画像生成部52の処理は、実施例と同様であるため説明を省略する。出力部84は、画像生成部52により生成された複数のApp画像60の少なくとも表示対象領域62の内容を通信部82へ出力し、通信部82を介して表示装置10へ送信する。出力部84は、App画像60の表示対象領域62の内容を表示装置10へ送信してもよく、App画像60全体を表示装置10へ送信してもよい。後者の場合、表示装置10の表示制御部54は、App画像60の表示対象領域62の内容を抽出してスクリーン12に表示させる。第1変形例の構成は、第1実施例と第2実施例のいずれにも適用可能であり、また、第1変形例のシステムは、第1実施例と第2実施例それぞれの効果を奏する。
【0046】
また、上記実施例では言及していないが、App画像60の余白領域は、表示対象領域62の左右に代えて上下に設けられてもよく、表示対象領域62の左右とともに上下にも設けられてもよい。
【0047】
上述した実施例および変形例の任意の組み合わせもまた本開示の実施の形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施例および変形例それぞれの効果をあわせもつ。また、請求項に記載の各構成要件が果たすべき機能は、実施例および変形例において示された各構成要素の単体もしくはそれらの連携によって実現されることも当業者には理解されるところである。
【産業上の利用可能性】
【0048】
この発明は、円筒状の画面に画像を表示する表示装置に利用できる。
【符号の説明】
【0049】
10 表示装置、 12 スクリーン、 52 画像生成部、 54 表示制御部、 56 パーティクル描画部、 58 トレイル描画部。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6