(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】二重摩擦振り子の三次元防振サポート
(51)【国際特許分類】
F16F 15/02 20060101AFI20231031BHJP
【FI】
F16F15/02 L
(21)【出願番号】P 2022515914
(86)(22)【出願日】2021-11-12
(86)【国際出願番号】 CN2021130356
(87)【国際公開番号】W WO2022121622
(87)【国際公開日】2022-06-16
【審査請求日】2022-03-10
(31)【優先権主張番号】202011455646.0
(32)【優先日】2020-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】502192546
【氏名又は名称】清華大学
【氏名又は名称原語表記】Tsinghua University
【住所又は居所原語表記】Tsinghua University,Haidian District,Beijing 100084,P.R.China
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】潘鵬
(72)【発明者】
【氏名】曹迎日
(72)【発明者】
【氏名】王海深
【審査官】児玉 由紀
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第108842921(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110130500(CN,A)
【文献】特開2010-276185(JP,A)
【文献】特開平11-351325(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 15/00-15/36
E04H 9/02
E04B 1/62-1/99
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二重摩擦振り子の三次元防振サポートであって、
下端面は第1の摺動摩擦面であり、前記第1の摺動摩擦面は凹球面である第1のサポート板と、
前記第1のサポート板と上下方向に間隔をあけて配
置され、且つ前記第1のサポート板の下方に位置する第2のサポート板であって、前記第1のサポート板と前記第2のサポート板との両方の少なくとも一方は水平方向に移動可能であり、前記第2のサポート板の上端面は第2の摺動摩擦面であり、前記第2の摺動摩擦面は凹球面である第2のサポート板と、
前記第1のサポート板と前記第2のサポート板との間に設けられ
、垂直載置力が調整可能にするように、断面積が調整可能であり、前記第1のサポート板と前記第2のサポート板に対して摺動可能である垂直防振ユニットと、
前記第1のサポート板と前記垂直防振ユニットとの間に位置し、下端が前記垂直防振ユニットの頂部に接続され、上端面の少なくとも一部は前記第1の摺動摩擦面に
密着し、前記第1の摺動摩擦面に対して摺動可能である第1の摺動端部と、
前記第2のサポート板と前記垂直防振ユニットとの間に位置し、上端が前記垂直防振ユニットの底部に接続され、下端面の少なくとも一部は前記第2の摺動摩擦面に
密着し、前記第2の摺動摩擦面に対して摺動可能である第2の摺動端部と、を備え、
前記垂直防振ユニットは、第1の接続板、第2の接続板及び弾性支持部材を備え、前記第1の接続板と前記第2の接続板は上下方向に間隔をあけて配
置され、且つ前記第1の接続板が前記第2の接続板の上方に位置し、前記弾性支持部材は前記第1の接続板と前記第2の接続板との間に設けられ、前記第1の接続板が前記第1の摺動端部に接触され、前記第2の接続板が前記第2の摺動端部に接触され、前記第1の接続板と前記第2の接続板は形状が同じで中心対称形状であり、
前記第1の摺動端部は第1の接続部と第1のスライドブロックを備え、前記第1のスライドブロックの上端面は前記第1の摺動摩擦面に接触され、前記第1のスライドブロックの下端面は前記第1の接続部の上端面に接続され、前記第1の接続部の下端面は前記第1の接続板の上端面に接触され、前記第1のスライドブロックの断面積は前記第1の接続部の断面積よりも小さくし、
前記第2の摺動端部は第2の接続部と第2のスライドブロックを備え、前記第2のスライドブロックの下端面は前記第2の摺動摩擦面に接触され、前記第2のスライドブロックの上端面は前記第2の接続部の下端面に接続され、前記第2の接続部の上端面は前記第2の接続板の下端面に接続され、前記第2のスライドブロックの断面積は前記第2の接続部の断面積よりも小さい、二重摩擦振り子の三次元防振サポート。
【請求項2】
前記弾性支持部材は弾性材料ブロックであり、前記弾性材料ブロックは、純粋な弾性材料からなり、または多層のゴム材料ブロックと多層の金属板を交互に積層して形成される、請求項1に記載の二重摩擦振り子の三次元防振サポート。
【請求項3】
前記弾性支持部材は、設計された積み重ね形態に従ってディスクスプリングを組み合わせて形成される、請求項1に記載の二重摩擦振り子の三次元防振サポート。
【請求項4】
前記垂直防振ユニットはガイドロッドをさらに備え、前記ガイドロッドの下端は前記第2の摺動端部の上端面に接続され、前記第1の接続板に第1の穿孔が設けられ、前記第2の接続板に第2の穿孔が設けられ、前記第1の接続部の下端面に第1の凹溝が設けられ、前記第1の凹溝、前記第1の穿孔及び前記第2の穿孔は上下方向に対向し、前記ガイドロッドの上端は前記第1の穿孔と前記第2の穿孔を通過して前記第1の凹溝内に伸び入り、前記ガイドロッドの上端面と前記第1の凹溝の内底面との間に隙間があり、前記弾性支持部材は前記ガイドロッドに套設され、且つ前記弾性支持部材の上端面は前記第1の接続板の下端面に接触され、前記弾性支持部材の下端面は前記第2の接続板の上端面に接触される、請求項2に記載の二重摩擦振り子の三次元防振サポート。
【請求項5】
前記垂直防振ユニットはガイドロッドをさらに備え、前記第1の接続板の下端面に第2の凹溝が設けられ、前記ガイドロッドの下端は前記第2の接続板の上端面に接続され、前記ガイドロッドの上端を前記第2の凹溝内に合わせ、且つ前記ガイドロッドの上端面と前記第2の凹溝の内底面との間に隙間があり、
前記弾性支持部材は前記ガイドロッドに套設され、且つ前記弾性支持部材の上端面は前記第1の接続板の下端面に接触され、前記弾性支持部材の下端面は前記第2の接続板の上端面に接触される、請求項3に記載の二重摩擦振り子の三次元防振サポート。
【請求項6】
前記第2の凹溝、前記ガイドロッド及び前記弾性支持部材はいずれも複数であり、複数の前記ガイドロッドは第2の接続板の重心中心に対して対称的に間隔をあけて配
置され、複数の前記第2の凹溝、複数の前記ガイドロッド及び複数の前記弾性支持部材は互いに対応する、請求項5に記載の二重摩擦振り子の三次元防振サポート。
【請求項7】
前記第1の接続板の下端面に複数の突出柱が設けられ、各前記突出柱の下端面に1つの前記第2の凹溝が設けられる、請求項6に記載の二重摩擦振り子の三次元防振サポート。
【請求項8】
第1の接続部材と第2の接続部材をさらに備え、前記第1の接続部は上下方向に沿って前記第1の接続部を貫通する第1の貫通穴を有し、前記第1の接続部材は第1の貫通穴を通過して第1の接続板内に伸び入り、前記第2の接続部は上下方向に沿って前記第2の接続部を貫通する第2の貫通穴を有し、前記第2の接続部材は前記第2の貫通穴を通過して前記第2の接続板内に伸び入る、請求項1に記載の二重摩擦振り子の三次元防振サポート。
【請求項9】
前記第1の摺動端部の上端面は第1の凸状円弧面であり、前記第1の凸状円弧面の曲率半径は前記第1の摺動摩擦面の曲率半径と同じであり、且つ前記第1の摺動摩擦面の面積は前記第1の凸状円弧面の面積よりも大きくし、前記第2の摺動端部の下端面は第2の凸状円弧面であり、前記第2の凸状円弧面の曲率半径は前記第2の摺動摩擦面の曲率半径と同じであり、且つ前記第2の摺動摩擦面の面積は前記第2の凸状円弧面の面積よりも大きい、請求項1に記載の二重摩擦振り子の三次元防振サポート。
【請求項10】
前記第1のサポート板に下向きに延びる第1の止めリングが設けられ、前記第1の止めリングは前記第1の摺動摩擦面の周囲に環設され、前記第2のサポート板に上向きに延びる第2の止めリングが設けられ、前記第2の止めリングは前記第2の摺動摩擦面の周囲に環設される、請求項8に記載の二重摩擦振り子の三次元防振サポート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は土木工学構造の技術分野に関し、特に二重摩擦振り子の三次元防振サポートに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、積層ゴム防振サポートなどの一般的に使用されている防振サポートは、防振サポートの固有振動周期が上部質量に関係があるため、上部構造質量の変化に伴って防振(振動)性能が変化し、設計や長期使用に不利であり、それと同時に、地下鉄の振動などによる地盤の垂直振動が建物の使用快適性に影響を与えるが、環境の垂直振動に対する従来の防振サポートの防振能力がない。
【発明の概要】
【0003】
本願は、発明者が以下の事実と問題の発見と認識に基づいてなされたものである。
【0004】
発明者は、環境垂直振動に対する防振サポートの防振能力を向上させるために、関連技術では、二重摩擦振り子の防振サポートのスライドブロック内に垂直防振ユニットを設置し、垂直防振ユニットの垂直載置力が大きく、剛性が低いという特点を利用することによって、防振サポートの固有振動周期を低下すると同時に、一般的に使用されている防振ユニットは通常、エネルギー散逸能力も備え、垂直振動のエネルギーを放散することができ、これらの2つのメカニズムの共同作用により、垂直方向の防振効果を達成することができるが、二重摩擦振り子防振サポートの内部の取付スペースの制限により、垂直防振ユニットの断面積が制限され、垂直防振ユニットの載置力の調製可能な範囲が制限され、異なる振動振幅での垂直方向の防振と支持要件を十分に満たすことができない。
【0005】
本願は、関連技術における技術的問題の一つを少なくともある程度で解決することを主旨とする。
【0006】
このため、本願の実施例は二重摩擦振り子の三次元防振サポートを提供し、前記二重摩擦振り子の三次元防振サポートの垂直載置力と垂直方向の剛性調整範囲が大きくし、強い設計性があり、異なる振動環境での防振と支持需要を満たすことができる。
【0007】
本願の実施例による二重摩擦振り子の三次元防振サポートは、下端面は第1の摺動摩擦面であり、前記第1の摺動摩擦面は凹球面である第1のサポート板と、前記第1のサポート板と上下方向に間隔をあけて配置され、且つ前記第1のサポート板の下方に位置する第2のサポート板であって、前記第1のサポート板と前記第2のサポート板との両方の少なくとも一方は水平方向に移動可能であり、前記第2のサポート板の上端面は第2の摺動摩擦面であり、前記第2の摺動摩擦面は凹球面である第2のサポート板と、前記第1のサポート板と前記第2のサポート板との間に設けられ、その垂直載置力が大きく、且つ垂直方向の剛性が小さく、その垂直載置力が調整可能にするように、その断面積が調整可能であり、前記第1のサポート板と前記第2のサポート板に対して摺動可能である垂直防振ユニットと、前記第1のサポート板と前記垂直防振ユニットとの間に位置し、下端が前記垂直防振ユニットの頂部に接続され、上端面の少なくとも一部は前記第1の摺動摩擦面に密着し、前記第1の摺動摩擦面に対して摺動可能である第1の摺動端部と、前記第2のサポート板と前記垂直防振ユニットとの間に位置し、上端が前記垂直防振ユニットの底部に接続され、下端面の少なくとも一部は前記第2の摺動摩擦面に密着し、前記第2の摺動摩擦面に対して摺動可能である第2の摺動端部と、を備える。
【0008】
本願の実施例による二重摩擦振り子の三次元防振サポートは、第1のサポート板と第2のサポート板との間に垂直防振ユニットを設置し、垂直防振ユニットと第1のサポート板との間に第1の摺動端部を設置し、垂直防振ユニットと第2のサポート板との間に第2の摺動端部を設置することによって、第1の摺動端部は第1のサポート板に対して摺動可能であり、第2の摺動端部は第2のサポート板に対して摺動可能であり、垂直防振ユニットを第1のサポート板と第2のサポート板に対して移動させることができ、水平方向の防振を実現するだけでなく、垂直防振ユニットと第1のサポート板及び第2のサポート板との直接合わせを回避し、第1のサポート板及び第2のサポート板は垂直防振ユニットの断面積に対する制限を取り消し、三次元防振サポートの垂直載置力の調整に便利であり、異なる振動環境における垂直方向防振の需要を満たす。
【0009】
いくつかの実施例において、前記垂直防振ユニットは、第1の接続板、第2の接続板及び弾性支持部材を備え、前記第1の接続板と前記第2の接続板は上下方向に間隔をあけて配置され、且つ前記第1の接続板が前記第2の接続板の上方に位置し、前記弾性支持部材は前記第1の接続板と前記第2の接続板との間に設けられ、前記第1の接続板が前記第1の摺動端部に接触され、前記第2の接続板が前記第2の摺動端部に接触され、前記第1の接続板と前記第2の接続板は形状が同じで中心対称形状である。
【0010】
いくつかの実施例において、前記第1の摺動端部は第1の接続部と第1のスライドブロックを備え、前記第1のスライドブロックの上端面は前記第1の摺動摩擦面に接触され、前記第1のスライドブロックの下端面は前記第1の接続部の上端面に接続され、前記第1の接続部の下端面は前記第1の接続板の上端面に接触され、前記第1のスライドブロックの断面積は前記第1の接続部の断面積より小さく、前記第2の摺動端部は第2の接続部と第2のスライドブロックを備え、前記第2のスライドブロックの下端面は前記第2の摺動摩擦面に接触され、前記第2のスライドブロックの上端面は前記第2の接続部の下端面に接続され、前記第2の接続部の上端面は前記第2の接続板の下端面に接続され、前記第2のスライドブロックの断面積は前記第2の接続部の断面積より小さい。
【0011】
いくつかの実施例において、前記弾性支持部材は弾性材料ブロックであり、前記弾性材料ブロックは、純粋な弾性材料からなり、または多層のゴム材料ブロックと多層の金属板を交互に積層して形成される。
【0012】
いくつかの実施例において、前記弾性支持部材は、設計された積み重ね形態に従ってディスクスプリングを組み合わせて形成される。
【0013】
いくつかの実施例において、前記垂直防振ユニットはガイドロッドをさらに備え、前記ガイドロッドの下端は前記第2の摺動端部の上端面に接続され、前記第1の接続板に第1の穿孔が設けられ、前記第2の接続板に第2の穿孔が設けられ、前記第1の接続部の下端面に第1の凹溝が設けられ、前記第1の凹溝、前記第1の穿孔及び前記第2の穿孔は上下方向に対向し、前記ガイドロッドの上端は前記第1の穿孔と前記第2の穿孔を通過して前記第1の凹溝内に伸び入り、前記ガイドロッドの上端面と前記第1の凹溝の内底面との間に隙間があり、前記弾性支持部材は前記ガイドロッドに套設され、且つ前記弾性支持部材の上端面は前記第1の接続板の下端面に接触され、前記弾性支持部材の下端面は前記第2の接続板の上端面に接触される。
【0014】
いくつかの実施例において、前記垂直防振ユニットはガイドロッドをさらに備え、前記第1の接続板の下端面に第2の凹溝が設けられ、前記ガイドロッドの下端は前記第2の接続板の上端面に接続され、前記ガイドロッドの上端を前記第2の凹溝内に合わせ、且つ前記ガイドロッドの上端面と前記第2の凹溝の内底面との間に隙間があり、前記弾性支持部材は前記ガイドロッドに套設され、且つ前記弾性支持部材の上端面は前記第1の接続板の下端面に接触され、前記弾性支持部材の下端面は前記第2の接続板の上端面に接触される。
【0015】
いくつかの実施例において、前記第2の凹溝、前記ガイドロッド及び前記弾性支持部材はいずれも複数であり、複数の前記ガイドロッドは第2の接続板の重心中心に対して対称的に間隔をあけて配置され、複数の前記第2の凹溝、複数の前記ガイドロッド及び複数の前記弾性支持部材は互いに対応する。
【0016】
いくつかの実施例において、前記第1の接続板の下端面に複数の突出柱が設けられ、各前記突出柱の下端面に1つの前記第2の凹溝が設けられる。
【0017】
いくつかの実施例において、前記二重摩擦振り子の三次元防振サポートは第1の接続部材と第2の接続部材をさらに備え、前記第1の接続部は上下方向に沿って前記第1の接続部を貫通する第1の貫通穴を有し、前記第1の接続部材は第1の貫通穴を通過して第1の接続板内に伸び入り、前記第2の接続部は上下方向に沿って前記第2の接続部を貫通する第2の貫通穴を有し、前記第2の接続部材は前記第2の貫通穴を通過して前記第2の接続板内に伸び入る。
【0018】
いくつかの実施例において、前記第1の摺動端部の上端面は第1の凸状円弧面であり、前記第1の凸状円弧面の曲率半径は前記第1の摺動摩擦面の曲率半径と同じであり、且つ前記第1の摺動摩擦面の面積は前記第1の凸状円弧面の面積より大きく、前記第2の摺動端部の下端面は第2の凸状円弧面であり、前記第2の凸状円弧面の曲率半径は前記第2の摺動摩擦面の曲率半径と同じであり、且つ前記第2の摺動摩擦面の面積は前記第2の凸状円弧面の面積より大きい。
【0019】
いくつかの実施例において、前記第1のサポート板に下向きに延びる第1の止めリングが設けられ、前記第1の止めリングは前記第1の摺動摩擦面の周囲に環設され、前記第2のサポート板に上向きに延びる第2の止めリングが設けられ、前記第2の止めリングは前記第2の摺動摩擦面の周囲に環設される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本願の上記及び/又は追加の態様及び利点は、以下の図面と組み合わせた実施形態の説明から明らかになり、理解しやすくなる。
【
図1】本願の一実施例による二重摩擦振り子の三次元防振サポートを示す構造模式図である。
【
図2】
図1の二重摩擦振り子の三次元防振サポートを示す断面図である。
【
図3】
図1の二重摩擦振り子の三次元防振サポートの断面図を示す分解図である。
【
図4】本願の他の実施例による二重摩擦振り子の三次元防振サポートを示す構造模式図である。
【
図5】
図4の二重摩擦振り子の三次元防振サポートを示す断面図である。
【
図6】本願のさらなる実施例による二重摩擦振り子の三次元防振サポートを示す断面図である。
【
図7】
図4の二重摩擦振り子の三次元防振サポートの第1の接続板を示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本願の実施例を詳しく説明し、前記実施例の例を図面に示す。以下、図面を参照して説明した実施例は例示であり、本願を解釈するためのものであり、本願を制限するためのものとして理解されるべきではない。
【0022】
図1-
図7に示すように、本願の実施例による二重摩擦振り子の三次元防振サポート1は、第1のサポート板10、第2のサポート板20、垂直防振ユニット、第1の摺動端板40及び第2の摺動端板50を備える。
【0023】
図1と
図2に示すように、第2のサポート板20と第1のサポート板10は上下方向に間隔をあけて配
置され、且つ第2のサポート板20は第1のサポート板10の下方に位置し、第1のサポート板10と第2のサポート板20が水平方向(ここの「水平方向」は上下方向に垂直な水平面内のいずれの方向として理解できる)に相対移動可能である。第1のサポート板10の下端面は第1の摺動摩擦面101であり、第2のサポート板の下端面は第2の摺動摩擦面201であり、第1の摺動摩擦面101と第2の摺動摩擦面201の両方とも球面であり、垂直防振ユニットの上端は第1の摺動摩擦面101に接続され、且つ相対摺動可能であり、垂直防振ユニットの下端は第2の摺動摩擦面201に接続され、相対摺動可能である。
【0024】
説明する必要があることとして、建設プロジェクトでは、第1のサポート板10は上部構造に接続され、第2のサポート板20は下部構造または基礎に接続され、それにより、構造には水平剛性が低い防振層を構築することができ、上部構造における地盤の水平振動の応答を低下させる。
【0025】
具体的に、
図1、
図2、
図3、
図5及び
図6に示すように、第1の摺動端部40は第1のサポート板10と垂直防振ユニットとの間に位置し、第1の摺動端部40の下端は垂直防振ユニットの頂部に接続され、第1の摺動端部40の上端面の少なくとも一部は第1の摺動摩擦面101に
密着し、第1の摺動端部40が第1のサポート板10に対して摺動可能である。
【0026】
図1と
図2に示すように、第2の摺動端部50は第2のサポート板20と垂直防振ユニットとの間に位置し、第2の摺動端部50の上端は垂直防振ユニットの底部に接続され、第2の摺動端部50の下端面の少なくとも一部は第2の摺動摩擦面201に接続され、第2の摺動端部50は第2のサポート板20に対して摺動可能である。このため、水平荷重の作用下で、第1のサポート板10は第2のサポート板20に対して水平移動し、垂直防振ユニットは両端の第1の摺動端部40と第2の摺動端部50とともに摺動摩擦面に摺動する。
【0027】
理解できることとして、上部構造の垂直方向荷重は第1のサポート板10と第1の摺動端部40を介して垂直防振ユニットに伝達し、垂直防振ユニットから第2の摺動端部50と第2のサポート板20に伝達し続き、最後に下部構造または基礎に伝達し、垂直方向荷重の伝達経路に垂直載置力が大きく、垂直方向剛性が小さい垂直防振ユニットを設置することによって、二重摩擦振り子の三次元防振サポート1の垂直方向固有振動周期を小さくして垂直方向防振に使用することができる。
【0028】
発明者は、関連技術における垂直方向防振アセンブリは垂直防振ユニットのみを備え、垂直防振ユニットは第1のサポート板10と第2のサポート板20に直接接触され、第1のサポート板10と第2のサポート板20の自体の断面積の制限により、垂直防振ユニットの摺動可能な領域が制限され、第1のサポート板10、第2のサポート板20及び垂直防振ユニットの可能な相対摺動を満たすために、垂直防振ユニットの最大外径は対応する摺動面の最大外径よりも小さくなければならないため、垂直防振ユニットの断面積の調整可能な範囲が制限され、異なる振動環境に適用できないことを発見した。
【0029】
上記の問題に基づいて、発明者は、垂直防振ユニットを第1の摺動端部40を介して第1のサポート板10と合わせ、垂直防振ユニットを第2の摺動端部50を介して第2のサポート板20に合わせることを提案する。第1の摺動端部40と第2の摺動端部50の平面サイズはいずれも垂直防振ユニットの平面サイズから独立できるので、第1の摺動端部40と第1のサポート板10の可能な相対摺動、第2の摺動端部50と第2のサポート板20の可能な相対摺動を満たす前提で、垂直防振ユニットの平面サイズを任意に調整でき、即ち垂直防振ユニットの断面積を任意に調整できる。
【0030】
理解できることとして、他の条件は変更しないが、垂直防振ユニットの断面積が大きいほど、その垂直方向載置能力が大きくなる。これにより、垂直防振ユニットは振動強度と支持対象物体の質量の違いに応じて、自体の断面積を調整することができ、二重摩擦振り子の三次元防振サポートの垂直方向載置能力に対する上部構造の要件を満たし、それにより、二重摩擦振り子の三次元防振サポートの汎用性と実用性を向上させる。例えば、上部構造の垂直方向荷重が大きくなる場合、垂直防振ユニットの断面積を増加するために、より大きい断面積の垂直防振ユニットに交換するだけでよく、構造に接続された第1のサポート板10と第2のサポート板20を交換する必要がなく、交換プロセスが速く、構造への外乱が小さい。
【0031】
本願の実施例による二重摩擦振り子の三次元防振サポートは、第1のサポート板と第2のサポート板との間に垂直防振ユニットを設置し、垂直防振ユニットと第1のサポート板との間に第1の摺動端部を設置し、垂直防振ユニットと第2のサポート板との間に第2の摺動端部を設置することによって、第1の摺動端部は第1のサポート板に対して摺動可能であり、第2の摺動端部は第2のサポート板に対して摺動可能であり、垂直防振ユニットを第1のサポート板と第2のサポート板に対して移動させることができ、水平方向の防振を実現するだけでなく、垂直防振ユニットと第1のサポート板及び第2のサポート板との直接合わせを回避し、第1のサポート板及び第2のサポート板は垂直防振ユニットの断面積に対する制限を取り消し、二重摩擦振り子の三次元防振サポートの垂直載置力の調整に便利であり、異なる振動環境における垂直方向防振の需要を満たす。
【0032】
いくつかの実施例において、
図2に示すように、垂直防振ユニットは第1の接続板301、第2の接続板302及び弾性支持部材304を備え、第1の接続板301と第2の接続板302は上下方向に間隔をあけて配
置され、且つ第1の接続板301は第2の接続板302の上方に位置し、弾性支持部材304は第1の接続板301と第2の接続板302との間に設けられ、第1の接続板301が第1の摺動端部40に接触され、第2の接続板302が第2の摺動端部50に接触される。
【0033】
好ましくは、第1の接続板301と第2の接続板302は形状が同じで、中心対称形状である。
【0034】
いくつかの実施例において、
図1-
図3に示すように、第1の摺動端部40は第1の接続部401と第1のスライドブロック402を備え、第1のスライドブロック402の上端面は第1の摺動摩擦面101に接触され、第1のスライドブロック402の下端面は第1の接続部401の上端面に接続され、第1の接続部401の下端面は第1の接続板301の上端面に接触され、第1のスライドブロック402の断面積が第1の接続部401の断面積より小さい。
【0035】
図2と
図3に示すように、垂直防振ユニットの上端は第1の接続部401に接触されるため、断面積が小さい第1のスライドブロック402は第1の摺動摩擦面101に合わせる場合、大きな摺動可能なスペースを有することができ、断面積が大きい第1の接続部401は垂直防振ユニットに接触されることにより、第1の摺動端部40と垂直防振ユニットの接続の安定性を確保することができる。
【0036】
図2と
図3に示すように、第2の摺動端部50は第2の接続部501と第2のスライドブロック502を備え、第2のスライドブロック502の下端面は第2の摺動摩擦面201に接触され、第2のスライドブロック502の上端面は第2の接続部501の下端面に接続され、第2の接続部501の上端面は第2の接続板302の下端面に接続され、第2のスライドブロック502の断面積が第2の接続部501の断面積より小さい。
【0037】
図2と
図3に示すように、垂直防振ユニットの下端は第2の接続部501に接触されることにより、断面積が小さい第2のスライドブロック502は第2の摺動摩擦面201に合わせる場合、大きな摺動可能なスペースを有することができ、断面積が大きい第2の接続部501は垂直防振ユニットに接触されることにより、第2の摺動端部50と垂直防振ユニットの接続の安定性を確保することができる。
【0038】
いくつかの実施例において、
図2と
図3に示すように、弾性支持部材304は積層ゴムであり、複数の弾性支持ブロック3041と複数の層状板3042を備え、複数の弾性支持ブロック3041は上下方向に積層するように設置され、隣接する2つの弾性支持ブロック3041の間に1つの層状板3042が設けられる。
【0039】
これにより、層状板は弾性支持部材の横方向の変形を抑制し、弾性支持部材の剛性と構造強度を向上させることができ、弾性支持部材は、高圧力の作用下で不可逆的に変形しにくく、弾性支持部材の支持能力を高める。好ましくは、弾性支持ブロックはゴム部材であり、層状板は鋼などの硬い材料からなる。
【0040】
さらに、
図2と
図3に示すように、垂直防振ユニットはガイドロッド303をさらに備え、ガイドロッド303の下端は第2の摺動端部50の上端面に接続され、第1の接続板301に第1の穿孔3011が設けられ、第2の接続板302に第2の穿孔3021が設けられ、第1の接続部401の下端面に第1の凹溝4012が設けられ、第1の凹溝4012、第1の穿孔3011及び第2の穿孔3021は上下方向に対向し、ガイドロッド303の上端は第1の穿孔3011と第2の穿孔3021を通過して第1の凹溝4012内に伸び入り、ガイドロッド303の上端面と第1の凹溝4012的内底面との間に隙間があり、弾性支持部材304はガイドロッド303に套設され、且つ弾性支持部材304の上端面は第1の接続板301の下端面に接触され、弾性支持部材304の下端面は第2の接続板302の上端面に接触される。
【0041】
理解できることとして、上部構造により二重摩擦振り子の三次元防振サポート1に印加される圧力は第1のサポート板10と第1の摺動端部40を介して第1の接続板301に作用され、第1の接続板301は下へ移動して弾性支持部材304を圧縮させ、ガイドロッド303の上端と第1の凹溝4012との間に隙間があり、ガイドロッド303が圧力を受けなく、上部構造の垂直方向荷重は順次に第1のサポート板10、第1の接続板301、弾性支持部材304、第2の接続板302、第2のサポート板20を介して下部構造または基礎に伝達される。
【0042】
理解できることとして、ガイドロッド303は弾性支持部材304の圧縮をガイドすることができ、具体的に、
図4と
図5に示すように、第2の凹溝3012は、凹状の円形溝であり、凹状の円形溝の直径はガイドロッド303よりやや大きく、ガイドロッド303と凹状の円形溝はガイドロッド303の軸線方向に沿って相対移動する。
【0043】
説明する必要があることとして、二重摩擦振り子の三次元防振サポート1の垂直方向剛性は弾性支持部材304の垂直方向剛性にほぼ同じであり、弾性支持部材304は大きな垂直載置力と小さい垂直方向剛性を有するため、二重摩擦振り子の三次元防振サポート1は小さい垂直方向固有振動周期を有し、且つ弾性支持部材304の自体変形はまた振動エネルギーを吸収して、垂直方向防振を実現する。
【0044】
また、水平方向の振動が三次元防振サポート1に作用される場合、第1のサポート板10は第1の摺動端部40に対して摺動し、第1の摺動端部40に横方向力を提供し、それにより、第1の凹溝4012の内壁とガイドロッド303を接触させ、弾性支持部材304が横方向力を受けなく、水平荷重は順次に第1のサポート板10、第1の摺動端部40、ガイドロッド303、第2の摺動端部50、第2のサポート板20を介して伝達される。
【0045】
さらに、弾性支持ブロック3041とガイドロッド303との間に隙間があり、理解できることとして、弾性支持ブロック3041はガイドロッド303に套設され、二重摩擦振り子の三次元防振サポート1が垂直方向の圧力を受ける場合、弾性支持ブロック3041が圧力を受けて横方向に膨張し、弾性支持ブロック3041とガイドロッド303との間にギャップを残すことにより、弾性支持ブロック3041に可動スペースを提供することができ、弾性支持ブロック3041がガイドロッド303に接触された後、ガイドロッド303の上下移動に影響を及ぼし、構造が合理的である。
【0046】
また、弾性支持部材304は
図1、
図2及び
図3に示すようなものに限定されなく、例えば、
図4、
図5及び
図6に示すように、弾性支持部材304は複数のディスクスプリングであり、複数のディスクスプリングは上下方向に積み重ねられる。
【0047】
さらに、
図6と
図7に示すように、弾性支持部材304はディスクスプリングである場合、第1の接続板301の下端面に第2の凹溝3012が設けられ、ガイドロッド303の下端は第2の接続板302の上端面に接続され、ガイドロッド303の上端を第2の凹溝3012内に合わせ、且つガイドロッド303の上端面と第2の凹溝3012の内底面との間に隙間がある。
【0048】
また、単一のディスクスプリングの限られた載置力を考慮すると、より大きな垂直方向荷重を受ける複数組のディスクスプリンググループを必要とする。それにより、
図6に示すように、凹溝3011、ガイドロッド303及び弾性支持部材304はいずれも複数であってもよく、複数の第2の凹溝3012は第1の接続板301の中心点に対して中心対称的に間隔をあけて配
置され、複数の第2の凹溝3012、複数のガイドロッド303及び複数の弾性支持部材304は互いに対応し、それにより、二重摩擦振り子の三次元防振サポート1の防振能力と防振信頼性を向上させることができる。
【0049】
さらに、第2の凹溝3012は
図6に示すような設置方式に制限されなく、例えば、
図4と
図5に示すように、第1の接続板301の下端面に複数の突出柱3013が設けられ、各突出柱3013の下端面に1つの第2の凹溝3012が設けられ、ガイドロッド303の上端が突出柱3013上の第2の凹溝3012内に伸び入り、突出柱3013の下端面は弾性支持部材304の上端面に接触され、第1の接続板301の厚さをガイドロッド303の垂直方向の最大変位よりも大きくする必要せずに、第2の凹溝3012の等価深さを増加させることと同等であり、その結果、第1の接続板301の厚さを最適化し、使用した材料を節約することができる。さらに、
図5に示すように、二重摩擦振り子の三次元防振サポート1は第1の接続部材60と第2の接続部材70をさらに備え、第1の接続部401は上下方向に沿って第1の接続部401を貫通する第1の貫通穴4011を有し、第1の接続部材60は第1の貫通穴4011を通過して第1の接続板301内に伸び入り、第2の接続部501は上下方向に沿って第2の接続部501を貫通する第2の貫通穴5011を有し、第2の接続部材70は第2の貫通穴5011を通過して第2の接続板302内に伸び入る。
【0050】
これにより、第1の摺動端部40は垂直防振ユニットに取り外し可能に接続され、第2の摺動端部50は垂直防振ユニットに取り外し可能に接続され、第1の凸状円弧面403または第2の凸状円弧面503が摩損した場合、垂直防振ユニットが第1のサポート板10と第2のサポート板20に直接接触されると、垂直防振ユニット全体を交換する必要がある場合と比較して、本願は、第1の摺動端部40または第2の摺動端部50を交換するだけでよく、その結果、二重摩擦振り子の三次元防振サポート1の耐用年数を延長させ、メンテナンスコストを削減できる。
【0051】
いくつかの実施例において、
図5に示すように、第1の摺動摩擦面101は上向きに凹んでおり、第2の摺動摩擦面201は下向きに凹んでおり、且つ第1の摺動摩擦面101と上下方向に対向する。
【0052】
さらに、
図5に示すように、第1の摺動端部40の上端面は第1の凸状円弧面403であり、第1の凸状円弧面403の曲率半径は第1の摺動摩擦面101の曲率半径と同じであり、且つ第1の摺動摩擦面101の面積は第1の凸状円弧面403の面積より大きい。これにより、第1の凸状円弧面403は第1の摺動摩擦面101に十分に
密着することができ、その結果、第1の摺動端部40と第1のサポート板10との相対摺動が安定し、水平方向の防振を実現する。
【0053】
第2の摺動端部50の下端面は第2の凸状円弧面503であり、第2の凸状円弧面503の曲率半径は第2の摺動摩擦面201の曲率半径と同じであり、且つ第2の摺動摩擦面201の面積は第2の凸状円弧面503の面積より大きい。これにより、第2の凸状円弧面503は第2の摺動摩擦面201に十分に密着することができ、その結果、第2の摺動端部50と第2のサポート板20との相対摺動が安定し、水平方向の防振を実現する。
【0054】
さらに、
図2、
図5及び
図7に示すように、第1のサポート板10に下向きに延びる第1の止めリング102が設けられ、第1の止めリング102は第1の摺動摩擦面101の周囲に環設され、第2のサポート板20に上向きに延びる第2の止めリング202が設けられ、第2の止めリング202は第2の摺動摩擦面201の周囲に環設される。
【0055】
理解できることとして、第1の止めリング102は第2の凸状円弧面503をリミットすることができ、第2の止めリング202は第2の凸状円弧面503をリミットすることができ、第1の摺動端部40または第2の摺動端部50の過度の変位により第1の摺動摩擦面101または第2の摺動摩擦面201から滑り出すことを回避する。
【0056】
さらに、
図2に示すような実施例は、第1の摺動摩擦面101の曲率半径は第2の摺動摩擦面201の曲率半径と同じである。理解できることとして、設計及び製造プロセスを簡素化するように、第1の摺動摩擦面101、第2の摺動摩擦面201、第1の凸状円弧面403及び第2の凸状円弧面503の曲率半径を同じ値にするほうが良い。
【0057】
以下、
図1-
図7を参照して本願のいくつかの具体的な例による二重摩擦振り子の三次元防振サポートを説明する。
【0058】
例1
図1-
図3に示すように、本願の実施例による二重摩擦振り子の三次元防振サポート1は、第1のサポート板10、第2のサポート板20、第1の摺動端部40、第2の摺動端部50、垂直防振ユニット、ガイドロッド303、弾性支持部材304、第1の接続部材60及び第2の接続部材70を備える。
【0059】
第1のサポート板10と第2のサポート板20は上下方向に間隔をあけて配置され、第1のサポート板10は第2のサポート板20の上方に位置し、第1のサポート板10は下向きに延びる第1の止めリング102を有し、第1のサポート板10の下端面は第1の摺動摩擦面101であり、第1の止めリング102は第1の摺動摩擦面101の外周に環設され、第2のサポート板20は上向きに延びる第2の止めリング202を有し、第2のサポート板20の上端面は第2の摺動摩擦面201であり、第2の止めリング202は第2の摺動摩擦面201の外周に環設される。
【0060】
第1の摺動端部40、垂直防振ユニット及び第2の摺動端部50は第1のサポート板10と第2のサポート板20との間に設けられ、第1の摺動端部40、垂直防振ユニット及び第2の摺動端部50は上から下まで順次に接続され、第1の摺動端部40は第1のスライドブロック402と第1の接続部401を備え、第1のスライドブロック402の上端面は第1の凸状円弧面403であり、第1の凸状円弧面403の曲率半径は第1の摺動摩擦面101の曲率半径と同じであり、第1の凸状円弧面403は第1の摺動摩擦面101に密着し、且つ第1の摺動摩擦面101の面積は第1の凸状円弧面403の面積より大きく、第1の摺動端部40と第1のサポート板10は相対摺動可能である。
【0061】
第2の摺動端部50は第2のスライドブロック502と第2の接続部501を備え、第2のスライドブロック502の下端面は第2の凸状円弧面503であり、第2の凸状円弧面503の曲率半径は第2の摺動摩擦面201の曲率半径と同じであり、第2の凸状円弧面503は第2の摺動摩擦面201に密着し、且つ第2の摺動摩擦面201の面積は第2の凸状円弧面503の面積より大きく、第2の摺動端部50と第2のサポート板20は相対摺動可能である。
【0062】
垂直防振ユニットは第1の接続板301と第1の接続板301の下方に間隔をあけて位置する第2の接続板302を備え、第1の接続板301の中心に上下方向に沿って第1の接続板301を貫通する第1の穿孔3011が設けられ、第2の接続板302の中心に上下方向に沿って第2の接続板302を貫通する第2の穿孔3021が設けられ、第1の接続部401に第1の凹溝4012が設けられ、第1の凹溝4012、第1の穿孔3011及び第2の穿孔3021は上下方向に対向する。
【0063】
ガイドロッド303の下端は第2の接続部501の上端面に接続され、ガイドロッド303の上端は第1の穿孔3011と第2の穿孔3021を通過して第1の凹溝4012内に伸び入り、且つガイドロッド303の上端面と第1の凹溝4012の内底面との間に隙間があり、ガイドロッド303に弾性支持部材304が套設され、弾性支持部材304の下端面は第2の接続板302の上端面に接触され、弾性支持部材304の上端面は第1の接続板301の下端面に接触される。弾性支持部材304は上下方向に沿って積み重ねられる複数のゴムブロックを含み、隣接する2つのゴムブロックの間に1つの金属層状板3042が設けられる。
【0064】
第1の接続部401は上下方向に沿って第1の接続部401を貫通する第1の貫通穴4011を有し、第2の接続部501は上下方向に沿って第2の接続部501を貫通する第2の貫通穴5011を有し、第1の接続部材60は第1の貫通穴4011を通過して第1の接続板301内に伸び入り、第1の摺動端部40と垂直防振ユニットを接続させ、第2の接続部501に上下方向に沿って第2の接続部501を貫通する第2の貫通穴5011が設けられ、第2の接続部材70は第2の貫通穴5011を通過して第2の接続板302内に伸び入り、第2の摺動端部50と垂直防振ユニットを接続させる。
【0065】
例2
図4、
図5及び
図7に示すように、弾性支持部材304は複数の積み重ねられたディスクスプリングであり、第1の接続板301の下端面に間隔をあけて配
置される複数の突出柱3013が設けられ、突出柱3013は第1の接続板301の中心点に対して中心対称的に分布され、各突出柱3013の下端面に1つの第2の凹溝3012が設けられ、ガイドロッド303は複数であり、且つ複数のガイドロッド303は複数の第2の凹溝3012に一々対応し、ガイドロッド303の下端は第2の接続板302の上端面に接続され、ガイドロッド303の上端は対応する第2の凹溝3012内に伸び入り、且つガイドロッド303の上端面と第2の凹溝3012の底壁との間に隙間があり、各ガイドロッド303に1つの弾性支持部材304が套設され、弾性支持部材304の下端面は第2の接続板302の上端面に接触され、弾性支持部材304の上端面は突出柱3013の下端面に接触される点が例1と異なる。
【0066】
例3
図6に示すように、第1の摺動端部40は第1の接続板301に固定して接続され、第2の摺動端部50は第2の接続板302に固定して接続され、且つ第2の凹溝3012は第1の接続板301の下端面に直接形成される点が例2と異なる。
【0067】
本願の説明では、理解する必要があることとして、「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚み」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」「時計回り」、「逆時計回り」、「軸方向」、「径方向」、「周方向」等という用語で指示する方位または位置関係は図面に示される方位または位置関係であり、本願を容易に説明し、説明を簡素化するためだけのものであり、言われる装置または素子は特定の方位を有し、特定の方位で構造と操作される必要があることを指示したり暗示したりするのではななく、したがって、本願を限制するものとして理解されるべきではない。
【0068】
なお、「第1」、「第2」という用語は、説明目的でのみ使用され、相対的な重要性を示したり暗示したり、示された技術的機能の数を暗黙的に示したりするものとして理解することはできない。それにより、「第1」、「第2」で定義された特徴には、1つまたは複数のこの特徴が明示的または暗黙的に含まれる場合がある。本願の説明では、「複数」は、特に明記しない限り、少なくとも2つ、例えば2つ、3つであるなどを意味する。
【0069】
本願において、特に明確に指定および制限されていない限り、「取り付け」、「繋がり」、「接続」、「固定」等の用語は広い意味で理解すべきであり、例えば、固定接続、取り外し可能な接続、または一体接続であってもよいし、機械的接続、電気的接続または相互通信であってもよいし、直接接続、または中間媒体を介した間接接続であってもよいし、2つの素子内部の連通または2つの素子相互作用関係であってもよい。当業者にとって、具体的な場合によって本願における上記用語の具体的な意味を理解することができる。
【0070】
本願では、特に明確に指定および制限されていない限り、第1の特徴が第2の特徴の「上」または「下」に位置するのは、第1及び第2の特徴の直接接触であってもよいし、第1及び第2の特徴の中間媒体による間接接触であってもよい。そして、第1の特徴は第2の特徴「の上」、「上方」及び「上面」に位置するのは、第1の特徴が第2の特徴の真上方または斜め上に位置してもよいか、第1の特徴の水平高度が第2の特徴より高いことのみを示す。第1の特徴は第2の特徴「の下」、「下方」及び「下面」に位置するのは、第1の特徴が第2の特徴の真下方または斜め下に位置してもよいか、第1の特徴の水平高度が第2の特徴より低いことのみを示す。
【0071】
本願において、「一実施例」、「いくつかの実施例」、「例」、「具体例」、又は「いくつかの例」という参照用語などの説明は、該実施例又は例を組み合わせて説明した具体的な特徴、構造、材料又は特点が本発明の少なくとも1つの実施例又は例に含まれる。本明細書において、上記の用語の例示的な叙述は必ずしも同じ実施例又は例を指す必要がない。さらに、説明される具体的な特徴、構造、材料又は特点は任意の1つ又は複数の実施例又は例において適切な方式で結合することができる。なお、矛盾がない場合、当業者は、本明細書に記載されている異なる実施例又は例及び異なる実施例又は例の特徴を結合及び組み合わせることができる。
【0072】
以上で本願の実施例を示して説明したが、理解できることとして、上記実施例は例示であり、本願を制限するものとして理解されるべきではなく、当業者は本願の範囲内で上記実施例に対して変化、修正、置換及び変形を行うことができる。
【0073】
本願は、出願番号が202011455646.0で、出願日が2020年12月10日である中国特許出願に基づいて提出され、該中国特許出願の優先権を主張し、該中国特許出願の全部内容をここで援用により本願に組み込む。
【符号の説明】
【0074】
二重摩擦振り子の三次元防振サポート1、第1のサポート板10、第1の摺動摩擦面101、第1の止めリング102、第2のサポート板20、第2の摺動摩擦面201、第2の止めリング202、第1の接続板301、第1の穿孔3011、第2の凹溝3012、突出柱3013、第2の接続板302、第2の穿孔3021、ガイドロッド303、弾性支持部材304、弾性支持ブロック3041、層状板3042、第1の摺動端部40、第1の接続部401、第1の貫通穴4011、第1の凹溝4012、第1のスライドブロック402、第1の凸状円弧面403、第2の摺動端部50;第2の接続部501、第2の貫通穴5011、第2のスライドブロック502、第2の凸状円弧面503、第1の接続部材60、第2の接続部材70。