(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】感光性樹脂組成物およびそれを用いたドライフィルムフォトレジスト、感光性エレメント、回路基板、およびディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
G03F 7/033 20060101AFI20231031BHJP
G03F 7/027 20060101ALI20231031BHJP
G03F 7/004 20060101ALI20231031BHJP
C08F 220/30 20060101ALI20231031BHJP
C08F 290/14 20060101ALI20231031BHJP
C08F 2/44 20060101ALI20231031BHJP
C08L 33/14 20060101ALI20231031BHJP
C08F 265/06 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
G03F7/033
G03F7/027 502
G03F7/004 512
C08F220/30
C08F290/14
C08F2/44 C
C08L33/14
C08F265/06
(21)【出願番号】P 2022525501
(86)(22)【出願日】2020-12-28
(86)【国際出願番号】 KR2020019182
(87)【国際公開番号】W WO2021137546
(87)【国際公開日】2021-07-08
【審査請求日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】10-2019-0179687
(32)【優先日】2019-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0179688
(32)【優先日】2019-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0098834
(32)【優先日】2020-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0098837
(32)【優先日】2020-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518215493
【氏名又は名称】コーロン インダストリーズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100083138
【氏名又は名称】相田 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100189625
【氏名又は名称】鄭 元基
(74)【代理人】
【識別番号】100196139
【氏名又は名称】相田 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100199004
【氏名又は名称】服部 洋
(72)【発明者】
【氏名】ボン ドンフン
(72)【発明者】
【氏名】シム サンファ
【審査官】塚田 剛士
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-167394(JP,A)
【文献】国際公開第2015/012272(WO,A1)
【文献】特開2007-286477(JP,A)
【文献】特開2004-004546(JP,A)
【文献】国際公開第2015/080257(WO,A1)
【文献】特開2013-037272(JP,A)
【文献】特開平11-316456(JP,A)
【文献】特開2007-256669(JP,A)
【文献】国際公開第2018/117047(WO,A1)
【文献】特開2012-159651(JP,A)
【文献】特開2019-035932(JP,A)
【文献】国際公開第2013/125429(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第108490737(CN,A)
【文献】特開2009-042720(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/033
G03F 7/027
G03F 7/004
C08F 220/30
C08F 290/14
C08F 2/44
C08L 33/14
C08F 265/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される繰り返し単位、下記化学式2で表される繰り返し単位、下記化学式3で表される繰り返し単位、および下記化学式4で表される繰り返し単位を含むアルカリ現像性バインダ樹脂、光重合開始剤、および光重合性化合物を含み、
下記化学式13で表される繰り返し単位、下記化学式14で表される繰り返し単位、下記化学式15で表される繰り返し単位、下記化学式16で表される繰り返し単位および下記化学式17で表される繰り返し単位を含む第1アルカリ現像性バインダ樹脂;および
下記化学式14で表される繰り返し単位、下記化学式15で表される繰り返し単位、および下記化学式16で表される繰り返し単位を含む第2アルカリ現像性バインダ樹脂;をさらに含み、
下記(1)または(2)のいずれか一つを満たす、感光性樹脂組成物:
(1)現像液
であるNa
2
CO
3
1重量%水溶液が含有された断面直径が10cm
、高さが60cmの円筒状容器に、感光性樹脂組成物が含有された感光性樹脂層試料を現像液に対して感光性樹脂層試料の体積比率が2×10
-5m
3/Lになるように投入し、前記容器内部の現像液を1000cc/min以上1200cc/min以下の速度で循環させて容器上端で噴射時、現像液噴射を始めてから60分が経過した後の容器内の発生した泡の最高高さ地点と、現像液噴射を始めた直後の容器内現像液の最高高さ地点の間の高さ差の間隔が80mm以下であるか、
(2)感光性樹脂組成物が含有され、厚さ5μm以上30μm以下の感光性樹脂層試料に対して、前記感光性樹脂層試料の軸力が5N以下
であり、昇温速度が10℃/minである条件で50℃以上125℃以下の温度区間で得られた絶対粘度の最小値が300Pa・s以下であり、
【化1】
前記化学式1において、
R
1は水素、または炭素数1~10のアルキルであり、
R
2は炭素数1~10のアルキ
レンであり、
Arは炭素数6~20のアリールであり、
nは1~20の整数であり、
【化2】
前記化学式2において、
R
3は水素、または炭素数1~10のアルキルであり、
【化3】
前記化学式3において、
R
4は水素、または炭素数1~10のアルキルであり、
R
5は炭素数1~10のアルキルであり、
【化4】
前記化学式4において、
Arは炭素数6~20のアリールで
あり、
【化9】
前記化学式13において、
R
3
”は水素であり、
【化10】
前記化学式14において、
R
3
’は炭素数1~10のアルキルであり、
【化11】
前記化学式15において、
R
4
”は炭素数1~10のアルキルであり、R
5
”は炭素数1~10のアルキルであり、
【化12】
前記化学式16において、
Arは炭素数6~20のアリールであり、
【化13】
前記化学式17において、
R
4
’は水素であり、
R
5
’は炭素数1~10のアルキルである。
【請求項2】
前記化学式1で表される繰り返し単位は前記アルカリ現像性バインダ樹脂に含有された全体繰り返し単位モル含有量100モル%を基準として5モル%以上40モル%以下で含有される、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記化学式1で表される繰り返し単位は下記化学式1-1で表される単量体から由来した繰り返し単位である、請求項1に記載の感光性樹脂組成物:
【化5】
前記化学式1-1において、
R
1は水素、または炭素数1~10のアルキルであり、
R
2は炭素数1~10のアルキ
レンであり、
Arは炭素数6~20のアリールであり、
nは1~20の整数である。
【請求項4】
前記アルカリ現像性バインダ樹脂は前記アルカリ現像性バインダ樹脂に含有された全体繰り返し単位モル含有量100モル%を基準として、
前記化学式2で表される繰り返し単位20モル%以上60モル%以下を含む、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項5】
前記アルカリ現像性バインダ樹脂は前記アルカリ現像性バインダ樹脂に含有された全体繰り返し単位モル含有量100モル%を基準として、
前記化学式3で表される繰り返し単位1モル%以上30モル%以下、および
前記化学式4で表される繰り返し単位30モル%以上60モル%以下を含む、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項6】
前記化学式4で表される繰り返し単位100モルに対して、前記化学式3で表される繰り返し単位のモル比が10モル以上99モル以下である、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項7】
前記光重合性化合物は2官能(メタ)アクリレート化合物を含む、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項8】
前記光重合性化合物は3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物を含む、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項9】
前記3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物は炭素数1~20の中心グループに炭素数1~10のアルキレンオキシドグループおよび(メタ)アクリレート官能基がそれぞれ3個以上結合された構造を有する、請求項8に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項10】
前記3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物は下記化学式12で表される化合物を含む、請求項8に記載の感光性樹脂組成物:
【化18】
前記化学式12において、
R
14は水素、または炭素数1~10のアルキルであり、
R
15は炭素数1~10のアルキレンであり、
R
16は炭素数1~20の中心グループを含むpが官能基であり、
n12は1~20の整数であり、
pは前記R
16に置換される官能基数であり、3~10の整数である。
【請求項11】
前記光重合性化合物は単官能(メタ)アクリレート化合物をさらに含む、請求項8に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項12】
前記単官能(メタ)アクリレート化合物は炭素数1~10のアルキレンオキシドグループを含む(メタ)アクリレートを含む、請求項11に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項13】
前記単官能(メタ)アクリレート化合物は下記化学式11で表される化合物を含む、請求項11に記載の感光性樹脂組成物:
【化19】
前記化学式11において、
R
11は水素、または炭素数1~10のアルキルであり、
R
12は炭素数1~10のアルキレンであり、
R
13は炭素数1~10のアルキルであり、
n11は1~20の整数である。
【請求項14】
請求項1に記載の感光性樹脂組成物を含有した感光性樹脂層を含む、ドライフィルムフォトレジスト。
【請求項15】
前記ドライフィルムフォトレジストは下記(1)または(2)のいずれか一つを満たす、請求項
14に記載のドライフィルムフォトレジスト:
(1)現像液
であるNa
2
CO
3
1重量%水溶液が含有された断面直径が10cm
、高さが60cmの円筒状容器に、感光性樹脂組成物が含有された感光性樹脂層試料を現像液に対して感光性樹脂層試料の体積比率が2×10
-5m
3/Lになるように投入し、前記容器内部の現像液を1000cc/min以上1200cc/min以下の速度で循環させて容器上端で噴射時、現像液噴射を始めてから60分が経過した後の容器内の発生した泡の最高高さ地点と、現像液噴射を始めた直後の容器内現像液の最高高さ地点の間の高さ差の間隔が80mm以下であるか、
(2)前記感光性樹脂層は厚さ5μm以上30μm以下の感光性樹脂層試料に対して、前記感光性樹脂層試料の軸力が5N以下
であり、昇温速度が10℃/minである条件で50℃以上125℃以下の温度区間で得られた絶対粘度の最小値が300Pa・s以下である。
【請求項16】
高分子基材;および前記高分子基材上に形成された感光性樹脂層を含み、
前記感光性樹脂層は、下記化学式1で表される繰り返し単位;下記化学式2で表される繰り返し単位;下記化学式3で表される繰り返し単位;および下記化学式4で表される繰り返し単位;を含むアルカリ現像性バインダ樹脂と光重合性化合物を含み、
下記化学式13で表される繰り返し単位、下記化学式14で表される繰り返し単位、下記化学式15で表される繰り返し単位、下記化学式16で表される繰り返し単位、および下記化学式17で表される繰り返し単位を含む第1アルカリ現像性バインダ樹脂;および
下記化学式14で表される繰り返し単位、下記化学式15で表される繰り返し単位、および下記化学式16で表される繰り返し単位を含む第2アルカリ現像性バインダ樹脂;をさらに含み、
下記(1)または(2)のいずれか一つを満たす、感光性エレメント:
(1)現像液
であるNa
2
CO
3
1重量%水溶液が含有された断面直径が10cm
、高さが60cmの円筒状容器に、感光性樹脂層試料を現像液に対して感光性樹脂層試料の体積比率が2×10
-5m
3/Lになるように投入し、前記容器内部の現像液を1000cc/min以上1200cc/min以下の速度で循環させて容器上端で噴射時、現像液噴射を始めてから60分が経過した後の容器内の発生した泡の最高高さ地点と、現像液噴射を始めた直後の容器内現像液の最高高さ地点の間の高さ差の間隔が80mm以下であるか、
(2)前記感光性樹脂層は厚さ5μm以上30μm以下の感光性樹脂層試料に対して、前記感光性樹脂層試料の軸力が5N以下
であり、昇温速度が10℃/minである条件で50℃以上125℃以下の温度区間で得られた絶対粘度の最小値が300Pa・s以下であ
り、
【化1】
前記化学式1において、
R
1
は水素、または炭素数1~10のアルキルであり、
R
2
は炭素数1~10のアルキレンであり、
Arは炭素数6~20のアリールであり、
nは1~20の整数であり、
【化2】
前記化学式2において、
R
3
は水素、または炭素数1~10のアルキルであり、
【化3】
前記化学式3において、
R
4
は水素、または炭素数1~10のアルキルであり、
R
5
は炭素数1~10のアルキルであり、
【化4】
前記化学式4において、
Arは炭素数6~20のアリールであり、
【化9】
前記化学式13において、
R
3
”は水素であり、
【化10】
前記化学式14において、
R
3
’は炭素数1~10のアルキルであり、
【化11】
前記化学式15において、
R
4
”は炭素数1~10のアルキルであり、R
5
”は炭素数1~10のアルキルであり、
【化12】
前記化学式16において、
Arは炭素数6~20のアリールであり、
【化13】
前記化学式17において、
R
4
’は水素であり、
R
5
’は炭素数1~10のアルキルである。
【請求項17】
請求項1に記載の感光性樹脂組成物を含有した感光性樹脂層を含む、回路基板。
【請求項18】
請求項1に記載の感光性樹脂組成物を含有した感光性樹脂層を含む、ディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は感光性樹脂組成物およびそれを用いたドライフィルムフォトレジスト、感光性エレメント、回路基板、およびディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
感光性樹脂組成物は印刷回路基板(Printed Circuit Board;PCB)やリードフレーム(Lead Frame)に用いられているドライフィルムフォトレジスト(Dry Film Photoresist,DFR)、液状フォトレジスト(Liquid Photoresist Ink)などの形態で用いられている。
現在は印刷回路基板(PCB)やリードフレームの製造だけでなく、プラズマディスプレイパネル(PDP)のリブバリア(Rib barrier)やその他ディスプレイのITO電極、バスアドレス(Bus Address)電極、ブラックマトリクス(Black Matrix)製造などにもドライフィルムフォトレジストが広く使用されている。
【0003】
一般にこのようなドライフィルムフォトレジストは銅張積層板(Copper Clad Laminates)上に積層される用途として多く使用される。これと関連して印刷回路基板(Printed Circuit Board,PCB)の製造過程の一例としては、PCBの原版素材である銅張積層板をラミネーションするために先に前処理工程を経る。前処理工程は外層工程ではドリリング、デバーリング(deburring)、スクラビングなどの順であり、内層工程ではスクラビングまたは酸洗を経る。スクラビング工程ではbristle brushおよびjet pumice工程が主に用いられ、酸洗はsoft etchingおよび5wt%硫酸酸洗を経る。
前処理工程を経た銅張積層板に回路を形成させるためには一般に銅張積層板の銅層上にドライフィルムフォトレジスト(以下、DFRという)をラミネーションする。この工程ではラミネータを用いてDFRの保護フィルムを剥がしながらDFRのフォトレジスト層を銅表面の上にラミネーションさせる。一般にラミネーションの速度0.5~3.5m/min、温度100~130℃、ローラー圧力加熱ロール圧力10~90psiで行う。
ラミネーション工程を経た印刷回路基板は基板の安定化のために15分以上放置した後所望する回路パターンが形成されたフォトマスクを用いてDFRのフォトレジストに対して露光を行う。この過程でフォトマスクに紫外線を照射すれば紫外線が照射されたフォトレジストは照射された部位で含有された光開始剤によって重合が開始される。先ず初期にはフォトレジスト内の酸素が消耗し、次に活性化したモノマーが重合されて架橋反応が起きてその後多量のモノマーが消耗して重合反応が行われる。一方、未露光部位は架橋反応が行われていない状態で存在する。
【0004】
次にフォトレジストの未露光の部分を除去する現像工程を行うが、アルカリ現像性DFRの場合、現像液として0.8~1.2wt%のポタシウムカーボネートおよびソジウムカーボネート水溶液が使用される。この工程で未露光の部分のフォトレジストは現像液内で結合剤高分子のカルボン酸と現像液のけん化反応により洗浄され、硬化したフォトレジストは銅表面の上に残留する。
次に内層および外層工程により異なる工程を経て回路が形成される。内層工程では腐食と剥離工程によって基板上に回路が形成され、外層工程ではメッキおよびテンティング工程を経た後エッチングとソルダ剥離を行って所定の回路を形成させる。
一方、ドライフィルムは印刷回路基板製造工場で適用する際、湿式工程を経て、未露光部位を溶かす現像工程やドライフィルムを除去する剥離工程でけん化反応によりアルカリ溶液により溶解するが、前記溶解反応時泡が発生して泡が過多発生するとチャンバから溢れ出るなどの問題がある。
かかる問題を解決するために泡を抑制させる消泡剤をアルカリ溶液に0.1~3%の割合で使用している。
しかし、過度な消泡剤を使用すると生産費用が上昇すると共に生産性が落ちる問題を有しており、消泡剤を過多使用する場合、ドライフィルムの成分と結合して水に溶けないスカム(scum)が発生してエッチング不良やメッキ不良の原因になっている。したがって、現像および剥離工程で泡発生量が少なく消泡剤の使用が必要ないドライフィルムの必要性が増大した。
一方、ドライフィルムフォトレジストを銅張積層板へのラミネーション時ドライフィルムフォトレジストの粘度が過度に高い場合、銅張積層板に対するドライフィルムフォトレジストの密着力が充分でなく印刷回路基板の耐久性が確保されにくい限界があった。
したがって、十分に低い粘度を有するドライフィルムフォトレジストの必要性が増大した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は疎水性が増大したバインダ樹脂により現像および剥離工程における泡発生を減らして工程の効率性を高め得る感光性樹脂組成物を提供するためのものである。
本発明は回路基板やディスプレイ装置への適用のための基板との熱接着温度付近で硬化せず十分に低い粘度を有することができ、基板に対する密着力が向上した感光性樹脂組成物を提供するためのものである。
また、本発明は前記の感光性樹脂組成物を用いたドライフィルムフォトレジスト、感光性エレメント、回路基板、およびディスプレイ装置を提供するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本明細書では、下記化学式1で表される繰り返し単位、下記化学式2で表される繰り返し単位、下記化学式3で表される繰り返し単位、および下記化学式4で表される繰り返し単位を含むアルカリ現像性バインダ樹脂、光重合開始剤、および光重合性化合物を含み、下記(1)または(2)のいずれか一つを満たす、感光性樹脂組成物を提供する。
(1)現像液が含有された断面直径が10cm以上の容器に、感光性樹脂組成物が含有された感光性樹脂層試料を現像液に対して感光性樹脂層試料の体積比率が2×10
-5m
3/Lになるように投入し、前記容器内部の現像液を1000cc/min以上1200cc/min以下の速度で循環させて容器上端で噴射時、現像液噴射を始めてから60分が経過した後の容器内の発生した泡の最高高さ地点と、現像液噴射を始めた直後の容器内現像液の最高高さ地点の間の高さ差の間隔が80mm以下であるか、
(2)感光性樹脂組成物が含有され、厚さ5μm以上30μm以下の感光性樹脂層試料に対して、前記感光性樹脂層試料の軸力が5N以下である条件で50℃以上125℃以下の温度区間で得られた絶対粘度の最小値が300Pa・s以下であり、
【化1】
前記化学式1において、R
1は水素、または炭素数1~10のアルキルであり、R
2は炭素数1~10のアルキルであり、Arは炭素数6~20のアリールであり、nは1~20の整数であり、
【化2】
前記化学式2において、R
3は水素、または炭素数1~10のアルキルであり、
【化3】
前記化学式3において、R
4は水素、または炭素数1~10のアルキルであり、R
5は炭素数1~10のアルキルであり、
【化4】
前記化学式4において、Arは炭素数6~20のアリールである。
本明細書ではまた、前記感光性樹脂組成物を含有した感光性樹脂層を含むドライフィルムフォトレジストが提供される。
【0007】
本明細書ではまた、高分子基材;および前記高分子基材上に形成された感光性樹脂層を含み、下記(1)または(2)のいずれか一つを満たす、感光性エレメントが提供される。
(1)現像液が含有された断面直径が10cm以上の容器に、感光性樹脂層試料を現像液に対して感光性樹脂層試料の体積比率が2×10-5m3/Lになるように投入し、前記容器内部の現像液を1000cc/min以上1200cc/min以下の速度で循環させて容器上端で噴射時、現像液噴射を始めてから60分が経過した後の容器内の発生した泡の最高高さ地点と、現像液噴射を始めた直後の容器内現像液の最高高さ地点の間の高さ差の間隔が80mm以下であるか、
(2)前記感光性樹脂層は厚さ5μm以上30μm以下の感光性樹脂層試料に対して、前記感光性樹脂層試料の軸力が5N以下である条件で50℃以上125℃以下の温度区間で得られた絶対粘度の最小値が300Pa・s以下である。
本明細書ではまた、前記感光性樹脂組成物を含有した感光性樹脂層を含む回路基板およびディスプレイ装置が提供される。
以下、発明の具体的な実施形態による感光性樹脂組成物およびそれを用いたドライフィルムフォトレジスト、感光性エレメント、回路基板、およびディスプレイ装置についてより詳細に説明する。
本明細書で明示的な言及がない限り、専門用語は単に特定の実施例を言及するためのものであり、本発明を限定することを意図しない。
本明細書で使用される単数形は文脈上明らかに逆の意味を示さない限り複数形も含む。
本明細書で使用される「含む」の意味は、特定の特性、領域、整数、段階、動作、要素および/または成分を具体化し、他の特定の特性、領域、整数、段階、動作、要素、成分および/または群の存在や付加を除外させるものではない。
【0008】
そして、本明細書では「第1」および「第2」のように序数を含む用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的で使用され、前記序数によって限定されない。例えば、本発明の権利範囲内で第1構成要素は第2構成要素とも名付けられてもよく、同様に第2構成要素は第1構成要素と名付けられてもよい。
本明細書で、置換基の例示は以下で説明するが、これに限定されるものではない。
本明細書で、「置換」という用語は化合物内の水素原子の代わりに他の官能基が結合することを意味し、置換される位置は水素原子が置換される位置すなわち、置換基が置換可能な位置であれば限定されず、2以上置換される場合、2以上の置換基は互いに同一または異なってもよい。
本明細書で「置換または非置換された」という用語は、重水素;ハロゲン基;シアノ基;ニトロ基;ヒドロキシ基;カルボニル基;エステル基;イミド基;アミド基;1次アミノ基;カルボキシ基;スルホン酸基;スルホンアミド基;ホスフィンオキシド基;アルコキシ基;アリールオキシ基;アルキルチオキシ基;アリールチオキシ基;アルキルスルホキシ基;アリールスルホキシ基;シリル基;ホウ素基;アルキル基;シクロアルキル基;アルケニル基;アリール基;アラルキル基;アラルケニル基;アルキルアリール基;アルコキシシリルアルキル基;アリールホスフィン基;またはN、OおよびS原子のうち1個以上を含むヘテロ環基からなる群より選ばれた1個以上の置換基で置換または非置換されたり、前記例示した置換基のうち2以上の置換基が連結された置換または非置換されたことを意味する。例えば、「2以上の置換基が連結された置換基」はビフェニル基であり得る。すなわち、ビフェニル基はアリール基であり得、2個のフェニル基が連結された置換基と解釈されることもできる。
【0009】
本明細書で、
または
は他の置換基に連結される結合を意味し、直接結合はLで表される部分に別途の原子が存在しない場合を意味する。
本明細書で、(メタ)アクリルはアクリルおよびメタクリルをすべて含む意味である。
本明細書において、アルキル基はアルカン(alkane)から由来した1価の官能基であり、直鎖または分枝鎖であり得、前記直鎖アルキル基の炭素数は特に限定されないが1~20であることが好ましい。また、前記分枝鎖アルキル基の炭素数は3~20である。アルキル基の具体的な例としてはメチル、エチル、プロピル、n-プロピル、イソプロピル、ブチル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、1-メチル-ブチル、1-エチル-ブチル、ペンチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert-ペンチル、ヘキシル、n-ヘキシル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、4-メチル-2-ペンチル、3,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル、ヘプチル、n-ヘプチル、1-メチルヘキシル、オクチル、n-オクチル、tert-オクチル、1-メチルヘプチル、2-エチルヘキシル、2-プロピルペンチル、n-ノニル、2,2-ジメチルヘプチル、1-エチル-プロピル、1,1-ジメチル-プロピル、イソヘキシル、2-メチルペンチル、4-メチルヘキシル、5-メチルヘキシル、2,6-ジメチルヘプタン-4-イルなどがあるが、これらに限定されない。前記アルキル基は置換または非置換され得、置換される場合の置換基の例示は上述したとおりである。
本明細書において、アリール基はアレーン(arene)から由来した1価の官能基であり、特に限定されないが炭素数6~20のことが好ましく、単環式アリール基または多環式アリール基であり得る。前記アリール基が単環式アリール基としてはフェニル基、ビフェニル基、テルフェニル基などになるが、これに限定されるものではない。前記多環式アリール基としてはナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基、ピレニル基、ペリレニル基、クリセニル基、フルオレニル基などになるが、これに限定されるものではない。前記アリール基は置換または非置換され得、置換される場合の置換基の例示は上述したとおりである。
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0010】
1.感光性樹脂組成物
発明の一実施形態によれば、下記化学式1で表される繰り返し単位、下記化学式2で表される繰り返し単位、下記化学式3で表される繰り返し単位、および下記化学式4で表される繰り返し単位を含むアルカリ現像性バインダ樹脂、光重合開始剤、および光重合性化合物を含み、下記(1)または(2)のいずれか一つを満たす、感光性樹脂組成物が提供されることができる。
(1)現像液が含有された断面直径が10cm以上の容器に、感光性樹脂組成物が含有された感光性樹脂層試料を現像液に対して感光性樹脂層試料の体積比率が2×10
-5m
3/Lになるように投入し、前記容器内部の現像液を1000cc/min以上1200cc/min以下の速度で循環させて容器上端で噴射時、現像液噴射を始めてから60分が経過した後の容器内の発生した泡の最高高さ地点と、現像液噴射を始めた直後の容器内現像液の最高高さ地点の間の高さ差の間隔が80mm以下であるか、
(2)感光性樹脂組成物が含有され、厚さ5μm以上30μm以下の感光性樹脂層試料に対して、前記感光性樹脂層試料の軸力が5N以下である条件で50℃以上125℃以下の温度区間で得られた絶対粘度の最小値が300Pa・s以下であり、
【化1】
前記化学式1において、R
1は水素、または炭素数1~10のアルキルであり、R
2は炭素数1~10のアルキルであり、Arは炭素数6~20のアリールであり、nは1~20の整数であり、
【化2】
前記化学式2において、R
3は水素、または炭素数1~10のアルキルであり、
【化3】
前記化学式3において、R
4は水素、または炭素数1~10のアルキルであり、R
5は炭素数1~10のアルキルであり、
【化4】
前記化学式4において、Arは炭素数6~20のアリールである。
本発明者らは、前記一実施形態の感光性樹脂組成物は、アルカリ現像性バインダ樹脂内に前記化学式1で表される繰り返し単位を含め、アルカリ現像性バインダ樹脂の疎水性の程度を増加させることにより、前記感光性樹脂組成物を用いたドライフィルムフォトレジストの現像工程で泡(foam)発生を抑制して優れた現像性を示し、基板密着力を向上させて適正物性(解像度、細線密着力など)を確保できることを実験によって確認して発明を完成した。
【0011】
また、本発明者らは、前記一実施形態の感光性樹脂組成物は、アルカリ現像性バインダ樹脂内に前記化学式1で表される繰り返し単位を含め、アルカリ現像性バインダ樹脂の耐熱特性を向上させることにより、前記感光性樹脂組成物を用いたドライフィルムフォトレジストの熱硬化温度が高くなり、熱硬化温度付近まで熱処理時十分に低い粘度を有することにより、回路基板やディスプレイ装置への適用のために前記ドライフィルムフォトレジストを基板に熱接着時熱接着温度で低い粘度により基板に対する密着力を高め得ることを確認して発明を完成した。
(1)アルカリ現像性バインダ樹脂
本発明のアルカリ現像性バインダ樹脂は前記化学式1で表される繰り返し単位、前記化学式2で表される繰り返し単位、前記化学式3で表される繰り返し単位、および前記化学式4で表される繰り返し単位を含み得る。
具体的には、前記アルカリ現像性バインダ樹脂は前記化学式1で表される繰り返し単位、前記化学式2で表される繰り返し単位、前記化学式3で表される繰り返し単位、および前記化学式4で表される繰り返し単位のランダム共重合体を含み得る。
前記アルカリ現像性バインダ樹脂内に前記化学式1で表される繰り返し単位を含め、アルカリ現像性バインダ樹脂の疎水性の程度を増加させることにより、前記感光性樹脂組成物を用いたドライフィルムフォトレジストの現像工程で泡(foam)発生を抑制して優れた現像性を示し、基板密着力を向上させて適正物性(解像度、細線密着力など)を確保できる。
【0012】
前記化学式1において、R
1は水素、または炭素数1~10のアルキルのいずれか一つであり得、前記炭素数1~10のアルキルの具体的な例としてはメチルが挙げられる。
前記化学式1において、R
2は炭素数1~10のアルキルであり、前記炭素数1~10のアルキルの具体的な例としてはエチルが挙げられる。
前記化学式1において、Arは炭素数6~20のアリールであり、前記炭素数6~20のアリールの具体的な例としてはフェニルが挙げられる。
前記化学式1で表される繰り返し単位は下記化学式1-1で表される単量体から由来した繰り返し単位であり得る。
【化5】
前記化学式1-1において、R
1は水素、または炭素数1~10のアルキルであり、R
2は炭素数1~10のアルキルであり、Arは炭素数6~20のアリールであり、nは1~20の整数である。前記化学式1-1において、R
1、R
2、Ar、nに関する内容は前記化学式1で上述した内容と同様である。
前記化学式1-1で表される単量体の具体的な例として、フェノキシポリエチレンオキシアクリレート、より具体的には2-フェノキシエチルメタクリレート(PHEMA)が挙げられる。
【0013】
前記化学式1で表される繰り返し単位は前記アルカリ現像性バインダ樹脂に含有された全体繰り返し単位モル含有量100モル%を基準として5モル%以上40モル%以下、または5モル%以上30モル%以下、または5モル%以上25モル%以下、または10モル%以上25モル%以下で含有され得る。
前記化学式2~4において、R
3およびR
4は互いに同一または相異なり、それぞれ独立して水素、または炭素数1~10のアルキルであり、R
5は炭素数1~10のアルキルであり、Arは炭素数6~20のアリールである。
前記化学式2~4において、R
3およびR
4は互いに同一または相異なり、それぞれ独立して水素、または炭素数1~10のアルキルのいずれか一つであり得、前記炭素数1~10のアルキルの具体的な例としてはメチルが挙げられる。
R
5は炭素数1~10のアルキルであり、前記炭素数1~10のアルキルの具体的な例としてはメチルが挙げられる。
Arは炭素数6~20のアリールであり、前記炭素数6~20のアリールの具体的な例としてはフェニルが挙げられる。
前記化学式2で表される繰り返し単位は下記化学式2-1で表される単量体から由来した繰り返し単位であり得る。
【化6】
前記化学式2-1において、R
3は水素、または炭素数1~10のアルキルである。前記化学式2-1において、R
3に関する内容は前記化学式2で上述した内容と同様である。前記化学式2-1で表される単量体の具体的な例として、メタクリル酸(Methacrylic acid,MAA)が挙げられる。
前記化学式3で表される繰り返し単位は下記化学式3-1で表される単量体から由来した繰り返し単位であり得る。
【化7】
前記化学式3-1において、R
4は水素、または炭素数1~10のアルキルであり、R
5は炭素数1~10のアルキルである。前記化学式3-1において、R
4およびR
5に関する内容は前記化学式3で上述した内容と同様である。前記化学式3-1で表される単量体の具体的な例として、メチルメタクリレート(Methylmethacrylate,MMA)が挙げられる。
前記化学式4で表される繰り返し単位は下記化学式4-1で表される単量体から由来した繰り返し単位であり得る。
【化8】
前記化学式4-1において、Arは炭素数6~20のアリールである。前記化学式4-1において、Arに関する内容は前記化学式4で上述した内容と同様である。前記化学式4-1で表される単量体の具体的な例として、スチレン(Styrene,SM)が挙げられる。
【0014】
前記アルカリ現像性バインダ樹脂は前記アルカリ現像性バインダ樹脂に含有された全体繰り返し単位モル含有量100モル%を基準として、前記化学式2で表される繰り返し単位20モル%以上60モル%以下、または20モル%以上50モル%以下、または30モル%以上40モル%以下を含み得る。
また、前記アルカリ現像性バインダ樹脂は前記アルカリ現像性バインダ樹脂に含有された全体繰り返し単位モル含有量100モル%を基準として、前記化学式3で表される繰り返し単位1モル%以上30モル%以下、または1モル%以上20モル%以下、または5モル%以上30モル%以下、および前記化学式4で表される繰り返し単位30モル%以上60モル%以下、または30モル%以上50モル%以下、または30モル%以上40モル%以下を含み得る。
【0015】
より具体的には、前記化学式4で表される繰り返し単位100モルに対して、前記化学式3で表される繰り返し単位のモル比が10モル以上99モル以下、または15モル以上95モル以下、または20モル以上95モル以下、または10モル以上50モル以下、または10モル以上40モル以下、または10モル以上30モル以下であり得る。
このように、疎水性の前記化学式4で表される繰り返し単位含有量が増加することにより、アルカリ現像性バインダ樹脂の疎水性の程度もまた増大し、前記感光性樹脂組成物を用いたドライフィルムフォトレジストの現像工程で泡(foam)発生を抑制することができる。
前記アルカリ現像性バインダ樹脂は重量平均分子量が30000g/mol以上150000g/mol以下であり、ガラス転移温度は20℃以上150℃以下であり得る。そのため、ドライフィルムフォトレジストのコーティング性、追従性、そして回路形成後レジスト自体の機械的強度が向上することができる。
【0016】
本明細書で、重量平均分子量はGPC法によって測定したポリスチレン換算の重量平均分子量を意味する。前記GPC法によって測定したポリスチレン換算の重量平均分子量を測定する過程では、通常知られている分析装置と示差屈折率検出器(Refractive Index Detector)などの検出器および分析用カラムを用い得、通常適用される温度条件、溶媒、flow rateを適用することができる。
前記測定条件の具体的な例として、アルカリ現像性バインダ樹脂は1.0(w/w)% in THF(固形分基準約0.5(w/w)%)の濃度になるようにテトラヒドロフランに溶解させて0.45μm Pore SizeのSyringe Filterを用いて濾過後GPCに20μlを注入し、GPCの移動相はテトラヒドロフラン(Tetrahydrofuran,THF)を使用し、1.0mL/分の流速で流入し、カラムはAgilent PLgel 5μm Guard(7.5×50mm)1個とAgilent PLgel 5μm Mixed D(7.5×300mm)2個を直列連結し、検出器としてはAgilent 1260 InfinityIIsystem,RI Detectorを用いて40℃で測定した。
これを、テトラヒドロフランに0.1(w/w)%濃度で下記のように多様な分子量を有するポリスチレンを溶解させたポリスチレン標準品試料(STD A、B、C、D)を0.45μm Pore SizeのSyringe Filterで濾過後GPCに注入して形成された検定曲線を用いてアルカリ現像性バインダ樹脂の重量平均分子量(Mw)の値を求めた。
STD A(Mp):791,000/27,810/945
STD B(Mp):282,000/10,700/580
STD C(Mp):126,000/4,430/370
STD D(Mp):51,200/1,920/162
ガラス転移温度はDSC(Differential Scanning Calorimeter)(Perkin-Elmer社、DSC-7)にreferenceとバインダポリマーを比較した。温度設定は20℃で15分維持した後、200℃まで昇温速度1℃/minで昇温させて測定し得る。
【0017】
前記アルカリ現像性バインダ樹脂は酸価が120mgKOH/g以上200mgKOH/g以下、または140mgKOH/g以上160mgKOH/g以下であり得る。酸価は前記アルカリ現像性バインダ樹脂1g余りをサンプリングして50ml混合溶剤(MeOH 20%、Acetone80%)に溶かして1%-フェノールフタレイン指示薬を二滴添加した後、0.1N-KOHで滴定して酸価を測定した。
前記アルカリ現像性バインダ樹脂は、固形分を基準として感光性樹脂組成物総重量に対して、20重量%以上80重量%以下で含まれる。前記アルカリ現像性バインダ樹脂の含有量が前記範囲内にある場合は回路形成後、細線密着力を強化させる効果を得ることができる。前記重量の基準である固形分は、前記感光性樹脂組成物から溶媒を除いた残り成分を意味する。
本発明のアルカリ現像性バインダ樹脂の含有量は感光性樹脂組成の総重量に対して40重量%以上70重量%以下であり得る。前記アルカリ現像性バインダ樹脂の含有量が全体感光性樹脂組成物に対して40重量%未満の場合、現像ターミナルの汚染が発生して短絡などの不良を招く短所があり、70重量%を超える場合は密着力と解像度などの回路物性が不良になる問題がある。
【0018】
一方、前記アルカリ現像性バインダ樹脂として、下記化学式13で表される繰り返し単位、下記化学式14で表される繰り返し単位、下記化学式15で表される繰り返し単位、下記化学式16で表される繰り返し単位および下記化学式17で表される繰り返し単位を含む第1アルカリ現像性バインダ樹脂;および下記化学式14で表される繰り返し単位、下記化学式15で表される繰り返し単位、および下記化学式16で表される繰り返し単位を含む第2アルカリ現像性バインダ樹脂;をさらに含み得る。
【化9】
前記化学式13において、
R
3”は水素であり、
【化10】
前記化学式14において、
R
3’は炭素数1~10のアルキルであり、
【化11】
前記化学式15において、
R
4”は炭素数1~10のアルキルであり、R
5”は炭素数1~10のアルキルであり、
【化12】
前記化学式16において、
Arは炭素数6~20のアリールであり、
【化13】
前記化学式17において、
R
4’は水素であり、
R
5’は炭素数1~10のアルキルである。
【0019】
具体的には、前記第1アルカリ現像性バインダ樹脂は前記化学式13で表される繰り返し単位、前記化学式14で表される繰り返し単位、前記化学式15で表される繰り返し単位、前記化学式16で表される繰り返し単位および前記化学式17で表される繰り返し単位のランダム共重合体を含み得る。
前記化学式13~17において、前記炭素数1~10のアルキルの具体的な例としてはメチルが挙げられる。
Arは炭素数6~20のアリールであり、前記炭素数6~20のアリールの具体的な例としてはフェニルが挙げられる。
前記化学式14で表される繰り返し単位は下記化学式14-1で表される単量体から由来した繰り返し単位であり得る。
【化14】
前記化学式14-1において、R
3”は炭素数1~10のアルキルである。前記化学式14-1において、R
3”に関する内容は前記化学式14で上述した内容と同様である。前記化学式14-1で表される単量体の具体的な例として、メタクリル酸(Methacrylic acid,MAA)が挙げられる。
前記化学式15で表される繰り返し単位は下記化学式15-1で表される単量体から由来した繰り返し単位であり得る。
【化15】
前記化学式15-1において、R
4”は炭素数1~10のアルキルであり、R
5”は炭素数1~10のアルキルである。前記化学式15-1において、R
4”およびR
5”に関する内容は前記化学式15で上述した内容と同様である。前記化学式15-1で表される単量体の具体的な例として、メチルメタクリレート(Methylmethacrylate,MMA)が挙げられる。
前記化学式16で表される繰り返し単位は下記化学式16-1で表される単量体から由来した繰り返し単位であり得る。
【化16】
前記化学式16-1において、Arは炭素数6~20のアリールである。前記化学式16-1において、Arに関する内容は前記化学式16で上述した内容と同様である。前記化学式16-1で表される単量体の具体的な例として、スチレン(Styrene,SM)が挙げられる。
【0020】
前記第1アルカリ現像性バインダ樹脂は重量平均分子量が30000g/mol以上150000g/mol以下であり、ガラス転移温度は20℃以上150℃以下であり得る。そのため、ドライフィルムフォトレジストのコーティング性、追従性、そして回路形成後レジスト自体の機械的強度が向上することができる。また、前記第1アルカリ現像性バインダ樹脂は酸価が140mgKOH/g以上160mgKOH/g以下であり得る。
また、前記第2アルカリ現像性バインダ樹脂は重量平均分子量が20000g/mol以上130000g/mol以下であり、ガラス転移温度は30℃以上160℃以下であり得る。そのため、ドライフィルムフォトレジストのコーティング性、追従性、そして回路形成後レジスト自体の機械的強度が向上することができる。
本明細書で、重量平均分子量はGPC法によって測定したポリスチレン換算の重量平均分子量を意味する。前記GPC法によって測定したポリスチレン換算の重量平均分子量を測定する過程では、通常知られている分析装置と示差屈折率検出器(Refractive Index Detector)などの検出器および分析用カラムを用い得、通常適用される温度条件、溶媒、flow rateを適用することができる。
前記測定条件の具体的な例として、アルカリ現像性バインダ樹脂は1.0(w/w)% in THF(固形分基準約0.5(w/w)%)の濃度になるようにテトラヒドロフランに溶解させて0.45μm Pore SizeのSyringe Filterを用いて濾過後GPCに20μlを注入し、GPCの移動相はテトラヒドロフラン(Tetrahydrofuran,THF)を使用し、1.0mL/分の流速で流入し、カラムはAgilent PLgel 5μm Guard(7.5×50mm)1個とAgilent PLgel 5μm Mixed D(7.5×300mm)2個を直列に連結し、検出器としてはAgilent 1260 Infinity II System,RI Detectorを用いて40℃で測定した。
【0021】
これを、テトラヒドロフランに0.1(w/w)%濃度で下記のように多様な分子量を有するポリスチレンを溶解させたポリスチレン標準品試料(STD A、B,C,D)を0.45μm Pore SizeのSyringe Filterで濾過後GPCに注入して形成された検定曲線を用いてアルカリ現像性バインダ樹脂の重量平均分子量(Mw)の値を求めた。
STD A(Mp):791,000/27,810/945
STD B(Mp):282,000/10,700/580
STD C(Mp):126,000/4,430/370
STD D(Mp):51,200/1,920/162
ガラス転移温度はDSC(Differential Scanning Calorimeter)(Perkin-Elmer社、DSC-7)にreferenceとバインダポリマーを比較した。温度設定は20℃で15分維持した後、200℃まで昇温速度1℃/minで昇温させて測定し得る。
前記アルカリ現像性バインダ樹脂の酸価は前記アルカリ現像性バインダ樹脂1g余りをサンプリングして50ml混合溶剤(MeOH 20%、Acetone80%)に溶かして1%-フェノールフタレイン指示薬を二滴添加した後、0.1N-KOHで滴定して酸価を測定した。
前記第1アルカリ現像性バインダ樹脂は酸価が140mgKOH/g以上160mgKOH/g以下であり得る。また、前記第2アルカリ現像性バインダ樹脂は酸価が160mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であり得る。
具体的には、前記第1アルカリ現像性バインダ樹脂と第2アルカリ現像性バインダ樹脂のガラス転移温度比率が1:1.5以上1:5以下、1:1.5以上1:3以下、1:1.5以上1:2以下、1:1.5以上1:1.8以下、1:1.5以上1:75以下、または1:1.5以上1:6以下であり得る。
【0022】
また、前記第1アルカリ現像性バインダ樹脂と第2アルカリ現像性バインダ樹脂の酸価比率が1:1.01以上1:1.5以下、1:1.01以上1:1.25以下、1:1.01以上1:1.2以下、または1:1.01以上1:1.1以下であり得る。
一方、前記一実施形態の感光性樹脂組成物に含まれる前記第1アルカリ現像性バインダ樹脂は前記化学式3で表される繰り返し単位1モルに対して前記化学式4で表される繰り返し単位を1.2モル以上3モル以下、1.2モル以上2モル以下、1.5モル以上2モル以下または1.5モル以上1.6モル以下で含み得る。
また、前記一実施形態の感光性樹脂組成物に含まれる前記第1アルカリ現像性バインダ樹脂は前記化学式17で表される繰り返し単位1モルに対して前記化学式15で表される繰り返し単位を2モル以上10モル以下、3モル以上10モル以下、3モル以上5モル以下または4モル以上5モル以下で含み得る。
一方、前記第2アルカリ現像性バインダ樹脂は下記化学式14で表される繰り返し単位、下記化学式15で表される繰り返し単位、および下記化学式16で表される繰り返し単位のランダム共重合体を含み得る。
【化10】
前記化学式14において、R
3’は炭素数1~10のアルキルであり、
【化11】
前記化学式15において、R
4”は炭素数1~10のアルキルであり、R
5”は炭素数1~10のアルキルであり、
【化12】
前記化学式16において、Arは炭素数6~20のアリールである。
前記化学式14で表される繰り返し単位は下記化学式14-1で表される単量体から由来した繰り返し単位であり得る。
【化14】
前記化学式14-1において、R
3”は炭素数1~10のアルキルである。前記化学式14-1において、R
3”に関する内容は前記化学式14で上述した内容と同様である。前記化学式14-1で表される単量体の具体的な例として、メタクリル酸(Methacrylic acid,MAA)が挙げられる。
前記化学式15で表される繰り返し単位は下記化学式15-1で表される単量体から由来した繰り返し単位であり得る。
【化15】
前記化学式15-1において、R
4”は炭素数1~10のアルキルであり、R
5”は炭素数1~10のアルキルである。前記化学式15-1において、R
4”およびR
5”に関する内容は前記化学式15で上述した内容と同様である。前記化学式15-1で表される単量体の具体的な例として、メチルメタクリレート(Methylmethacrylate,MMA)が挙げられる。
【0023】
前記化学式16で表される繰り返し単位は下記化学式16-1で表される単量体から由来した繰り返し単位であり得る。
【化16】
前記化学式16-1において、Arは炭素数6~20のアリールである。前記化学式16-1において、Arに関する内容は前記化学式6で上述した内容と同様である。前記化学式16-1で表される単量体の具体的な例として、スチレン(Styrene,SM)が挙げられる。
具体的には、前記第1アルカリ現像性バインダ樹脂は前記化学式14で表される繰り返し単位:前記化学式15で表される繰り返し単位:前記化学式16で表される繰り返し単位を1:(2以上5以下):(0.2以上0.9以下)、1:(2以上3以下):(0.5以上0.9以下)、1:(2.5以上3以下):(0.6以上0.9以下)または1:(2.75以上3以下):(0.6以上0.75以下)で含み得る。
また、前記第2アルカリ現像性バインダ樹脂は前記化学式14で表される繰り返し単位:前記化学式15で表される繰り返し単位:前記化学式16で表される繰り返し単位を1:(1.1以上2以下):(0.2以上0.99以下)、1:(1.5以上2以下):(0.5以上0.99以下)、または1:(1.5以上1.75以下):(0.75以上0.99以下)で含み得る。
【0024】
一方、発明の一実施形態の感光性樹脂組成物は前記第1アルカリ現像性バインダ樹脂100重量部に対して第2アルカリ現像性バインダ樹脂を500重量部以上1000重量部以下、600重量部以上800重量部以下、700重量部以上800重量部以下で含み得る。
上記の通りに第1アルカリ現像性バインダ樹脂100重量部に対して第2アルカリ現像性バインダ樹脂を500重量部以上の過量で添加することにより、感光性樹脂に疎水性機能を付与して現像液に対する耐性を増加させて回路物性向上する技術的効果が具現されることができる。
【0025】
(2)光重合開始剤
本発明による感光性樹脂組成物に含まれる光重合開始剤は、UVおよびその他radiationによって光重合性モノマーの連鎖反応を開始させる物質であって、ドライフィルムフォトレジストの硬化に重要な役割をする。
前記光重合開始剤として使用できる化合物としては、2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノンなどのアントラキノン誘導体;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾフェノン、フェナントレンキノン、4,4’-ビス-(ジメチルアミノ)ベンゾフェノンなどのベンゾイン誘導体が挙げられる。
その他にも2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’-5,5’-テトラフェニルビスイミダゾール、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-[4-モルフォリノフェニル]ブタン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、1-[4-(2-ヒドロキシメトキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、3,3-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、ベンゾフェノン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン、1-(4-イソプロピルフェニル)2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-(4-ドデシルフェニル)-2ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、4-ベンゾイル-4’-メチルジメチルスルフィド、4-ジメチルアミノ安息香酸、メチル4-ジメチルアミノベンゾエート、エチル4-ジメチルアミノベンゾエート、ブチル4-ジメチルアミノベンゾエート、2-エチルヘキシル4-ジメチルアミノベンゾエート、2-イソアミル4-ジメチルアミノベンゾエート、2,2-ジエトキシアセトフェノン、ベンジルケトンジメチルアセタール、ベンジルケトンβ-メトキシジエチルアセタール、1-フェニル-1,2-プロピルジオキシム-o,o’-(2-カルボニル)エトキシエーテル、メチルo-ベンゾイルベンゾエート、ビス[4-ジメチルアミノフェニル)ケトン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾイン、メトキシベンゾイン、エトキシベンゾイン、イソプロポキシベンゾイン、n-ブトキシベンゾイン、イソブトキシベンゾイン、tert-ブトキシベンゾイン、p-ジメチルアミノアセトフェノン、p-tert-ブチルトリクロロアセトフェノン、p-tert-ブチルジクロロアセトフェノン、チオキサントン、2-メチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、ジベンゾスベロン、α,α-ジクロロ-4-フェノキシアセトフェノン、ペンチル4-ジメチルアミノベンゾエートより選ばれた化合物を光重合開始剤として使用できるが、これに限定されるものではない。
【0026】
前記光重合開始剤の含有量は固形分を基準として、感光性樹脂組成物総重量に対して1重量%以上10重量%以下で含まれる。前記光重合開始剤の含有量が前記範囲内にある場合は十分な感度を得ることができる。前記重量の基準である固形分は、前記感光性樹脂組成物から溶媒を除いた残り成分を意味する。
前記光重合開始剤の含有量が1重量%未満の場合、光効率が低くて露光量が多く入らなければならないので生産効率性がきわめて低下する短所があり、10重量%を超える場合はフィルムが破れやすい(brittle)短所と現像液汚染性が高くなり短絡などの不良を招く問題がある。
【0027】
(3)光重合性化合物
本発明の光重合性化合物はUV露光後現像液に対する耐性を有してパターン形成を可能にする。
前記光重合性化合物は2官能(メタ)アクリレート化合物を含み得る。前記2官能(メタ)アクリレート化合物はアルキレングリコール系ジ(メタ)アクリレート、またはビスフェノール系ジ(メタ)アクリレートを含み得る。
前記アルキレングリコール系ジ(メタ)アクリレートとしては下記化学式5で表される化合物を使用できる。
【化17】
前記化学式5において、l+nは2または3の整数であり、mは12~18の整数である。
【0028】
前記化学式5で表される化合物は感光性樹脂組成物の疎水性を向上させて現像液およびメッキ液に対する耐性を顕著に増加させ、硬化膜の剥離時間を短軸させることができる。
本発明では前記化学式5で表される化合物を感光性樹脂組成物固形分総重量に対して10重量%以上60重量%以下、または20重量%以上40重量%以下であり得る。
仮に、前記化学式5で表される化合物の含有量が感光性樹脂組成物固形分総重量に対して、10重量%未満の場合、化学式5で表される化合物の添加による効果が不十分であり、60重量%を超える場合には疎水性が増加して露光後現像工程での現像時間が急激に増加する問題が発生し得る。
前記ビスフェノール系ジ(メタ)アクリレートとしてはエチレンオキシドが含有された前記ビスフェノール系ジ(メタ)アクリレートを使用できる。前記エチレンオキシドが含有された前記ビスフェノール系ジ(メタ)アクリレートは分子当たりエチレンオキシドが8モル超過16モル以下で含有されたビスフェノール系ジ(メタ)アクリレートを含み得る。
【0029】
前記エチレンオキシドが8モル超過16モル以下で含有されたビスフェノール系ジ(メタ)アクリレートの例としてはMiwon Specialty Chemical Co.,Ltd.製品のMiramer M2100(BPA(EO)
10DA、Bisphenol A(EO)
10 Diacrylate)、Miramer M2200(BPA(EO)
20DA、Bisphenol A(EO)
20 Diacrylate)、Miramer M2101(Bisphenol A(EO)
10 Dimethacrylate)などを使用できる。
一方、前記光重合性化合物は3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物を含み得る。
前記3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物は炭素数1~20の中心グループに炭素数1~10のアルキレンオキシドグループおよび(メタ)アクリレート官能基がそれぞれ3個以上結合された構造を有することができる。
前記3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物は下記化学式12で表される化合物を含み得る。
【化18】
前記化学式12において、R
14は水素、または炭素数1~10のアルキルであり、R
15は炭素数1~10のアルキレンであり、R
16は炭素数1~20の中心グループを含むpが官能基であり、n12は1~20の整数であり、pは前記R
16に置換される官能基数であり、3~10の整数である。
【0030】
前記光重合性化合物は単官能(メタ)アクリレート化合物をさらに含み得る。すなわち、本発明の一実施形態による感光性樹脂組成物は単官能(メタ)アクリレート化合物、および3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物の混合物を含み得る。
前記単官能(メタ)アクリレート化合物は炭素数1~10のアルキレンオキシドグループを含む(メタ)アクリレートを含み得る。
より具体的には、前記単官能(メタ)アクリレート化合物は下記化学式11で表される化合物を含み得る。
【化19】
前記化学式11において、R
11は水素、または炭素数1~10のアルキルであり、R
12は炭素数1~10のアルキレンであり、R
13は炭素数1~10のアルキルであり、n11は1~20の整数である。
前記化学式11で表される単官能(メタ)アクリレート化合物、および前記化学式12で表される3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物を含み、既存製品との回路物性は同等であるが光硬化速度を速くしてそれによるフィルムで発色が発現する時間を早くし、発色変化量を高めるようにする技術的理由からコントラスト変更時間が改善されることにより、優れた現像性を確保できる。
【0031】
具体的には、前記化学式11において、n11は1~20の整数、1~10の整数、または5~10の整数であり得る。前記化学式11で表される単官能(メタ)アクリレート化合物の例は大きく限定されないが、例えば下記化学式Aで表されるA040(Methoxy propylene glycol [400] acrylate)であり得る。
【化20】
前記一実施形態の感光性樹脂組成物が前記化学式11で表される単官能(メタ)アクリレート化合物を含むことにより、光硬化速度を速くする技術的原因によって露光する部分のフィルム色変化を早く具現する効果を具現することができる。
また、前記化学式12において、n12は1~20の整数、1~10の整数、または1~5の整数であり、pは前記R
16に置換される官能基数を意味し、3~10の整数、3~5の整数、または3~4の整数であり得る。
すなわち、前記化学式12において、前記R
16に置換される官能基数を意味するpが3~10の整数であることによって前記化学式12で表される3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物であり得る。
【0032】
具体的には、前記3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物は下記化学式12-1で表されることができる。
【化21】
前記化学式12-1において、R
20は3価の有機基であり、R
21~R
23はそれぞれ独立して炭素数1~10のアルキレンであり、R
24~R
26はそれぞれ独立して水素、または炭素数1~10のアルキルであり、n~n5はそれぞれ独立して1~20の整数である。
前記化学式12-1においてn13~n15は1~20の整数、1~10の整数、または1~5の整数であり得る。
前記化学式12で表される3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物の例は大きく限定されないが、例えば下記化学式Bで表されるT063(Trimethylolpropane [EO]
6 triacrylate)であり得る。
【化22】
前記一実施形態の感光性樹脂組成物が前記化学式12で表される3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物を含むことにより、単官能(メタ)アクリレート化合物に比べて前記化学式12で表される3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物が、光硬化時架橋結合が増加して反応基が多い技術的原因によって回路物性低下を防止して発色変化量を増加させる効果を具現することができる。
【0033】
一方、前記一実施形態の感光性樹脂組成物は、前記単官能(メタ)アクリレート化合物100重量部に対して前記3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物を110重量部以上500重量部以下、110重量部以上300重量部以下、110重量部以上200重量部以下、または150重量部以上200重量部以下で含み得る。
前記一実施形態の感光性樹脂組成物は、前記単官能(メタ)アクリレート化合物に対して前記3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物を過量含むことにより、前記化学式11で表される単官能(メタ)アクリレート化合物の光硬化速度を速くしてフィルムの色変化を早く具現する効果および前記化学式12で表される3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物の光硬化時架橋結合を増加させて単官能物質のみ添加時発生する回路物性低下を防止させて反応基の量が増加して発色変化量を増加させる効果が同時に具現されることができる。
前記一実施形態の感光性樹脂組成物は、前記単官能(メタ)アクリレート化合物100重量部に対して前記3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物を100重量部未満で含まれる場合、回路低下および発色変化量が減少する技術的問題が発生し得る。
また、前記光重合性化合物は、2官能(メタ)アクリレート化合物、前記化学式11で表される単官能(メタ)アクリレート化合物、および前記化学式12で表される3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物を含み得る。
【0034】
すなわち、前記一実施形態の感光性樹脂組成物は光重合性化合物を含み、前記光重合性化合物は単官能(メタ)アクリレート化合物、3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物、および2官能(メタ)アクリレート化合物を含み得る。
具体的には、前記一実施形態の感光性樹脂組成物は前記単官能(メタ)アクリレート化合物100重量部に対して前記2官能(メタ)アクリレート化合物を500重量部以上1500重量部以下、500重量部以上1000重量部以下、750重量部以上1000重量部以下、800重量部以上900重量部以下で含み得る。
すなわち、前記一実施形態の感光性樹脂組成物は前記単官能(メタ)アクリレート化合物100重量部に対して前記3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物を110重量部以上で含み、前記2官能(メタ)アクリレート化合物を500重量部以上1500重量部以下で含み得る。
また、前記一実施形態の感光性樹脂組成物は、前記3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物100重量部に対して前記2官能(メタ)アクリレート化合物を500重量部以上1000重量部以下、500重量部以上800重量部以下、500重量部以上750重量部以下、500重量部以上700重量部以下、500重量部以上600重量部以下で含み得る。
前述したように単官能(メタ)アクリレート化合物、3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物および2官能(メタ)アクリレート化合物を含むと同時に、前記重量範囲を満たすように含むことにより、前記一実施形態の感光性樹脂組成物は適切な回路物性の発現が可能であり、10mJ/cm2以上の光量を与えた時、露光する部分の早い発色および変色が可能な技術的効果が具現されることができる。
【0035】
より具体的には、前記一実施形態の感光性樹脂組成物は、前記2官能(メタ)アクリレート化合物100重量部に対して前記化学式11で表される単官能(メタ)アクリレート化合物、および前記化学式12で表される3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物を100重量部以下、50重量部以下、1重量部以上100重量部以下、または1重量部以上50重量部以下で含み得る。
前記光重合性化合物の含有量は固形分を基準として感光性樹脂組成物総重量に対して、10重量%以上70重量%以下で含まれ得る。前記光重合性化合物の含有量が前記範囲内にある場合は光感度と解像度、密着性などを強化させる効果を得ることができる。前記重量の基準である固形分は、前記感光性樹脂組成物から溶媒を除いた残り成分を意味する。
【0036】
(4)感光性樹脂組成物
前記感光性樹脂組成物は下記(1)または(2)のいずれか一つを満たすことができる。
(1)現像液が含有された断面直径が10cm以上の容器に、感光性樹脂組成物が含有された感光性樹脂層試料を現像液に対して感光性樹脂層試料の体積比率が2×10-5m3/Lになるように投入し、前記容器内部の現像液を1000cc/min以上1200cc/min以下の速度で循環させて容器上端で噴射時、現像液噴射を始めてから60分が経過した後の容器内の発生した泡の最高高さ地点と、現像液噴射を始めた直後の容器内現像液の最高高さ地点の間の高さ差の間隔が80mm以下であるか、
(2)感光性樹脂組成物が含有され、厚さ5μm以上30μm以下の感光性樹脂層試料に対して、前記感光性樹脂層試料の軸力が5N以下である条件で50℃以上125℃以下の温度区間で得られた絶対粘度の最小値が300Pa・s以下である。
具体的には、前記感光性樹脂組成物は現像液が含有された断面直径が10cm以上の容器に、感光性樹脂組成物が含有された感光性樹脂層試料を現像液に対して感光性樹脂層試料の体積比率が2×10-5m3/Lになるように投入し、前記容器内部の現像液を1000cc/min以上1200cc/min以下の速度で循環させて容器上端で噴射時、現像液噴射を始めてから60分が経過した後の容器内の発生した泡の最高高さ地点と、現像液噴射を始めた直後の容器内現像液の最高高さ地点の間の高さ差の間隔が80mm以下、または60mm以下、または1mm以上80mm以下、または1mm以上60mm以下、または10mm以上60mm以下、または20mm以上60mm以下、または40mm以上60mm以下であり得る。
前記現像液噴射を始めてから60分が経過した後の容器内の発生した泡の最高高さ地点と、現像液噴射を始めた直後の容器内現像液の最高高さ地点はすべて同一に地面に平行な容器の底を基準として測定した垂直の高さを意味する。
そして、前記二つの地点の間の高さ差の間隔は前記現像液噴射を始めてから60分が経過した後の容器内の発生した泡の最高高さから、前記現像液噴射を始めた直後の容器内現像液の最高高さを引いた値を意味する。
【0037】
具体的には、前記高さ差の間隔を測定する方法の例としては下記図面1に記載された通りルーラーが表示された泡測定機を用いることができる。
前記現像液が含有された断面直径が10cm以上の容器に、感光性樹脂組成物が含有された感光性樹脂層試料を現像液に対して感光性樹脂層試料の体積比率が2×10
-5m
3/Lになるように投入し、前記容器内部の現像液を1000cc/min以上1200cc/min以下の速度で循環させて容器上端で噴射時、現像液噴射を始めてから60分が経過した後の容器内の発生した泡の最高高さ地点と、現像液噴射を始めた直後の容器内現像液の最高高さ地点の間の高さ差の間隔が80mm超過で過度に増加すると、未露光部位を溶かす現像工程やドライフィルムを除去する剥離工程でけん化反応によりアルカリ溶液により溶解するが、前記溶解反応時泡が発生して泡が過多発生するとチャンバから溢れ出るなどの問題が発生し得る。
前記現像液が含有された断面直径が10cm以上の容器に、感光性樹脂組成物が含有された感光性樹脂層試料を現像液に対して感光性樹脂層試料の体積比率が2×10
-5m
3/Lになるように投入し、前記容器内部の現像液を1000cc/min以上1200cc/min以下の速度で循環させて容器上端で噴射時、現像液噴射を始めてから60分が経過した後の容器内の発生した泡の最高高さ地点と、現像液噴射を始めた直後の容器内現像液の最高高さ地点の間の高さ差の間隔が80mm以下で減少することは、感光性樹脂組成物が前記化学式1で表される繰り返し単位を含んで疎水性の程度が増加したアルカリ現像性バインダ樹脂を使用することによるものと見られる。
前記容器の断面直径が10cm以上、または10cm以上20cm以下であり得、前記断面直径は地面に平行な単面最大直径を意味する。より具体的には、前記容器は地面に平行な単面直径が10cm以上の円筒状容器を用いる。前記容器の具体的な例示を下記
図1に記載した。
【0038】
前記現像液は0.1重量%以上5重量%以下、または0.9重量%以上1.1重量%以下の濃度を有するアルカリ水溶液を使用できる。前記アルカリ水溶液のpHは9以上11以下の範囲であり得、その温度は、感光性樹脂層の現像性に合わせて調節され得る。前記アルカリ水溶液の具体的な例としては炭酸ナトリウム水溶液、炭酸カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液などを使用できる。
前記現像液は前記容器全体高さの5%以上50%以下、または10%以上50%以下で含有され得る。そのため、前記現像液の高さ以上発生した泡の高さを測定するのに充分である。
また、前記現像液が噴射される容器の上端地点と、前記現像液噴射を始めた直後の容器内溶液の最高高さ地点の間の高さ差の間隔が30cm以上55cm以下であり得る。
前記現像液が噴射される容器の上端地点と、前記現像液噴射を始めた直後の容器内溶液の最高高さ地点はすべて同一に地面に平行な容器の底を基準として測定した垂直の高さを意味する。
【0039】
そして、前記二つの地点間の高さ差の間隔は前記現像液が噴射される容器の上端地点の高さから、前記現像液噴射を始めた直後の容器内現像液の最高高さを引いた値を意味する。
具体的には、前記高さ差の間隔を測定する方法の例としては、下記図面1に記載された通りルーラーが表示された泡測定機を用いることができる。
前記現像液が噴射される容器の上端地点と、前記現像液噴射を始めた直後の容器内溶液の最高高さ地点の間の高さ差の間隔が30cm未満で過度に減少する場合、容器上端まで泡が過度に発生することにより試料種類による泡発生程度の差を比較しにくい。
前記現像液が噴射される容器の上端地点と、前記現像液噴射を始めた直後の泡分析機内溶液の最高高さ地点の間の高さ差の間隔が55cm超過で過度に増加する場合、泡の発生量が充分でなく試料種類による泡発生程度の差を比較しにくい。
前記現像液が含有された断面直径が10cm以上の容器に、感光性樹脂組成物が含有された感光性樹脂層試料を現像液に対して感光性樹脂層試料の体積比率が2×10-5m3/Lになるように投入する。
前記現像液に対して感光性樹脂層試料の体積比率が2×10-5m3/Lを満たす条件で、現像液の体積と感光性樹脂層試料の体積を制限なしに変更して適用できる。具体的には前記感光性樹脂層試料の厚さと断面積を制限なしに変更して適用することが可能である。
このように、前記現像液の体積、感光性樹脂層試料の体積(厚さ、断面積)は、前記現像液に対して感光性樹脂層試料の体積比率が2×10-5m3/Lを満たす条件下で制限されないが、一例を挙げて説明すると、前記現像液は例えば、0.5リットル以上1.5リットル以下、または0.8リットル以上1.2リットル以下、または0.9リットル以上1.1リットル以下の範囲内で自由に調節可能である。また、前記感光性樹脂層試料の厚さは例えば、0.01μm以上1mm以下、または1μm以上100μm以下、または30μm以上50μm以下の範囲内で自由に調節可能である。また、前記感光性樹脂層試料の面積は地面に平行な単面の面積であって、例えば、0.1m2以上1m2以下、または0.4m2以上0.6m2以下の範囲内で自由に調節可能である。
【0040】
前記容器内部の現像液を1000cc/min以上1200cc/min以下の速度で循環することは現像液循環ポンプを用いることができる。すなわち、前記容器内部の現像液は現像液循環ポンプの作動時容器下端部のノズルを介して抜け出て現像液循環ポンプを通過して容器上端部に移動して容器上端でノズルを介して噴射され得る。
前記現像液の循環時現像液の循環速度は1000cc/min以上1200cc/min以下であり得る。また、前記現像液の循環圧力が1kgf/cm2以上10kgf/cm2以下、または4kgf/cm2以上6kgf/cm2以下であり得る。
前記循環速度と循環圧力を満たす条件下では多様なノズルを制限なしに適用でき、前記循環速度と循環圧力は前記現像液噴射を始めてから60分が経過した後の容器内の発生した泡の最高高さ地点と、現像液噴射を始めた直後の容器内現像液の最高高さ地点の間の高さ差の間隔測定に適用することができる。
前記現像液噴射を始めてから60分が経過した後の容器内の発生した泡の最高高さ地点と、現像液噴射を始めた直後の容器内現像液の最高高さ地点の間の高さ差の間隔は二つの地点間の最短距離をルーラーを用いて肉眼で測定する。この時、前記現像液噴射を始めてから60分が経過した後の容器内の発生した泡の最高高さ地点、そして現像液噴射を始めた直後の容器内現像液の最高高さ地点それぞれで最大の高さは容器の底を基準とした最高高さを意味する。
【0041】
一方、感光性樹脂組成物が含有され、厚さ5μm以上30μm以下の感光性樹脂層試料に対して、前記感光性樹脂層試料の軸力が5N以下である条件で50℃以上125℃以下の温度区間で得られた絶対粘度の最小値が300Pa・s以下、または100Pa・s以下、または1Pa・s以下300Pa・s以下、または1Pa・s以下100Pa・s以下、または5Pa・s以下280Pa・s以下であり得る。
前記絶対粘度を測定する方法の例としては粘度測定機を用いることができ、前記粘度測定機の例としてはDHR-2(TA Instrument)が挙げられる。
具体的な絶対粘度測定条件を調べると、50℃以上125℃以下の温度区間で5℃/min以上15℃/min以下、または8℃/min以上12℃/min以下の昇温速度で粘度を測定することができる。すなわち、50℃から始めて5℃/min以上15℃/min以下、または8℃/min以上12℃/min以下の昇温速度で125℃まで温度を高めて粘度を測定することができる。前記昇温速度を維持する具体的な方法の例は大きく限定されず、既に知られている多様な方法を制限なく使用可能である。
また、前記絶対粘度は5L/min以上15L/min以下、または8L/min以上12L/min以下の速度で窒素を注入する条件下で測定することができる。前記窒素を注入する具体的な方法の例は大きく限定されず、既に知られている多様な方法を制限なく使用可能である。
また、前記絶対粘度は1 1/s以上3 1/sの剪断速度で測定することができる。前記剪断速度が3 1/s超過で過度に増加するとflowタイプの粘度測定器に無理がかかり測定が難しいという限界がある。
【0042】
また、前記絶対粘度は感光性樹脂層試料の軸力が5N以下、または3N以下、または-5N以上5N以下、または-3N以上3N以下、または-1N以上1N下で測定され得る。前記軸力(axial force)は前記感光性樹脂層試料に与えられる荷重状態で任意の垂直断面での内力の形態で生じる力をその断面に対する法線成分と接線成分に分解時、法線成分の力を意味する。すなわち、前記軸力は部材断面に作用する断面力の一つであり、その面の中心に作用して軸方向に作用する力を意味する。
前記絶対粘度測定に使用される感光性樹脂層試料の厚さは5μm以上30μm以下であり得る。前記感光性樹脂層試料の厚さや断面積は光学顕微鏡により測定することができる。
前記感光性樹脂組成物が含有され、厚さ5μm以上30μm以下の感光性樹脂層試料に対して、前記感光性樹脂層試料の軸力が5N以下である条件で50℃以上125℃以下の温度区間で得られた絶対粘度の最小値が300Pa・s超過で過度に増加すると、回路基板やディスプレイ装置への適用のために前記ドライフィルムフォトレジストを基板に熱接着時熱接着温度で粘度が十分に低くなりにくく基板に対する密着力が減少する問題が発生し得る。
感光性樹脂組成物が含有され、厚さ5μm以上30μm以下の感光性樹脂層試料に対して、前記感光性樹脂層試料の軸力が5N以下である条件で50℃以上125℃以下の温度区間で得られた絶対粘度の最小値が300Pa・s以下で十分に低くなるのは、感光性樹脂組成物が前記化学式1で表される繰り返し単位を含んで疎水性の程度が増加したアルカリ現像性バインダ樹脂を使用することによるものと見られる。
【0043】
一方、前記絶対粘度の最小値が得られた温度は110℃以上123℃以下、または110℃以上116℃未満であり得る。前記一実施形態の感光性樹脂組成物は硬化温度に至る前に回路基板やディスプレイ装置への適用のために前記ドライフィルムフォトレジストを基板に熱接着時熱接着温度である110℃近傍で絶対粘度の最小値が得られる。そのため、回路基板やディスプレイ装置への適用のために前記ドライフィルムフォトレジストを基板に熱接着時熱接着温度で低い粘度により基板に対する密着力を高めることができる。
具体的には、前記感光性樹脂層試料の硬化温度は115℃以上125℃以下、または116℃以上125℃以下であり得る。そのため、前記一実施形態の感光性樹脂組成物は、回路基板やディスプレイ装置への適用のために前記ドライフィルムフォトレジストを基板に熱接着時熱接着温度である110℃近傍で硬化が行われず基板に対する密着力を高めることができる。
具体的には、前記感光性樹脂層試料に対して、110℃温度での絶対粘度値が5Pa・s以上400Pa・s以下であり得る。
前記感光性樹脂組成物は固形分を基準として、アルカリ現像性バインダ樹脂20重量%以上80重量%以下、光重合開始剤1重量%以上10重量%以下、および光重合性化合物10重量%以上70重量%以下を含み得る。
【0044】
前記感光性樹脂組成物は溶剤をさらに含み得る。前記溶剤としては一般的にメチルエチルケトン(MEK)、メタノール、THF、トルエン、アセトンより選ばれたものを使用して前記溶剤として特に限定されるものではなく、含有量も、光重合開始剤、アルカリ現像性バインダ樹脂および光重合性化合物の含有量に応じて調節して含有され得る。
また、前記感光性樹脂組成物は必要に応じてその他添加剤をさらに含み得るが、その他添加剤としては、可塑剤としてフタル酸エステル形態のジブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジアリルフタレート;グリコールエステル形態のトリエチレングリコールジアセテート、テトラエチレングリコールジアセテート;酸アミド形態のp-トルエンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、n-ブチルベンゼンスルホンアミド;トリフェニルホスフェートなどを使用できる。
本発明において感光性樹脂組成物の取り扱い性を向上させるためにロイコ染料や着色物質を入れることもできる。前記ロイコ染料としては、トリス(4-ジメチルアミノ-2-メチルフェニル)メタン、トリス(4-ジメチルアミノ-2メチルフェニル)メタン、フルオラン染料などが挙げられる。その中でも、ロイコクリスタルバイオレットを使用した場合、コントラストが良好で好ましい。ロイコ染料を含有する場合の含有量は感光性樹脂組成物中に0.1重量%以上10重量%以下であり得る。コントラストの発現の観点から、0.1重量%以上が好ましく、保存安定性を維持する観点では10重量%以下が好ましい。
【0045】
着色物質としては、例えばトルエンスルホン酸1水和物、フクシン、フタロシアニングリーン、オーラミン塩基、パラマゼンタ、クリスタルバイオレット、メチルオレンジ、ナイルブルー2B、ビクトリアブルー、マラカイトグリーン、ダイアモンドグリーン、ベーシックブルー20などが挙げられる。前記着色物質を含有する場合の添加量は感光性樹脂組成物中に0.001重量%以上1重量%以下であり得る。0.001重量%以上の含有量では取り扱い性向上という効果があり、1重量%以下の含有量では保存安定性を維持する効果がある。
その他にその他添加剤としては熱重合防止剤、染料、変色剤(discoloring agent)、密着力促進剤などをさらに含み得る。
【0046】
2.ドライフィルムフォトレジスト
発明の他の実施形態によれば、前記一実施形態の感光性樹脂組成物を含有した感光性樹脂層を含むドライフィルムフォトレジストが提供されることができる。前記感光性樹脂組成物に係る内容は前記一実施形態で上述した内容をすべて含む。
具体的には、前記感光性樹脂層は前記一実施形態の感光性樹脂組成物の乾燥物あるいは硬化物を含み得る。前記乾燥物とは、前記一実施形態の感光性樹脂組成物の乾燥工程を経て得られる物質を意味する。前記硬化物とは、前記一実施形態の感光性樹脂組成物の硬化工程を経て得られる物質を意味する。前記感光性樹脂層の厚さが大きく限定されるものではないが、例えば、0.01μm~1mm範囲内で自由に調節可能である。
前記ドライフィルムフォトレジストの厚さが大きく限定されるものではないが、例えば、0.01μm~1mm範囲内で自由に調節可能である。前記ドライフィルムフォトレジストの厚さが特定数値だけ増加または減少する場合、ドライフィルムフォトレジストで測定される物性もまた、一定数値だけ変化し得る。
前記ドライフィルムフォトレジストは基材フィルムおよび保護フィルムをさらに含み得る。前記基材フィルムはドライフィルムフォトレジストを製造する間感光性樹脂層の支持体の役割をするものであり、粘着力を持っている感光性樹脂層の露光時取り扱いを容易にするものである。
【0047】
前記基材フィルムは各種プラスチックフィルムが使用可能であり、例えば、アクリル系フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム、ポリノルボルネン(PNB)フィルム、シクロオレフィンポリマー(COP)フィルム、およびポリカーボネート(PC)フィルムからなる群より選ばれた1種以上のプラスチックフィルムを含み得る。前記基材フィルムの厚さは大きく限定されるものではないが、例えば、0.01μm~1mm範囲内で自由に調節可能である。
前記保護フィルムは取り扱い時レジストの損傷を防止し、ゴミのような異物から感光性樹脂層を保護する保護カバーの役割をするものであって、感光性樹脂層の基材フィルムが形成されていない裏面に積層される。前記保護フィルムは感光性樹脂層を外部から保護する役割をするものであって、ドライフィルムフォトレジストを後工程に適用する時は容易に離脱し、保管および流通する時には離型しないように適当な離型性と粘着性を必要とする。
前記保護フィルムは各種プラスチックフィルムが使用可能であり、例えば、アクリル系フィルム、ポリエチレン(PE)フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム、ポリノルボルネン(PNB)フィルム、シクロオレフィンポリマー(COP)フィルム、およびポリカーボネート(PC)フィルムからなる群より選ばれた1種以上のプラスチックフィルムを含み得る。前記保護フィルムの厚さが大きく限定されるものではないが、例えば、0.01μm~1mm範囲内で自由に調節可能である。
【0048】
前記ドライフィルムフォトレジストは下記(1)または(2)のいずれか一つを満たす。
(1)現像液が含有された断面直径が10cm以上の容器に、感光性樹脂組成物が含有された感光性樹脂層試料を現像液に対して感光性樹脂層試料の体積比率が2×10-5m3/Lになるように投入し、前記容器内部の現像液を1000cc/min以上1200cc/min以下の速度で循環させて容器上端で噴射時、現像液噴射を始めてから60分が経過した後の容器内の発生した泡の最高高さ地点と、現像液噴射を始めた直後の容器内現像液の最高高さ地点の間の高さ差の間隔が80mm以下であるか、
(2)前記感光性樹脂層は厚さ5μm以上30μm以下の感光性樹脂層試料に対して、前記感光性樹脂層試料の軸力が5N以下である条件で50℃以上125℃以下の温度区間で得られた絶対粘度の最小値が300Pa・s以下である。
【0049】
具体的には、前記ドライフィルムフォトレジストは現像液が含有された断面直径が10cm以上の容器に、感光性樹脂組成物が含有された感光性樹脂層試料を現像液に対して感光性樹脂層試料の体積比率が2×10-5m3/Lになるように投入し、前記容器内部の現像液を1000cc/min以上1200cc/min以下の速度で循環させて容器上端で噴射時、現像液噴射を始めてから60分が経過した後の容器内の発生した泡の最高高さ地点と、現像液噴射を始めた直後の容器内現像液の最高高さ地点の間の高さ差の間隔が80mm以下、または60mm以下、または1mm以上80mm以下、または1mm以上60mm以下、または10mm以上60mm以下、または20mm以上60mm以下、または40mm以上60mm以下であり得る。
前記現像液噴射を始めてから60分が経過した後の容器内の発生した泡の最高高さ地点と、現像液噴射を始めた直後の容器内現像液の最高高さ地点はすべて同一に地面に平行な容器の底を基準として測定した垂直の高さを意味する。
そして、前記二つの地点の間の高さ差の間隔は前記現像液噴射を始めてから60分が経過した後の容器内の発生した泡の最高高さから、前記現像液噴射を始めた直後の容器内現像液の最高高さを引いた値を意味する。
【0050】
具体的には、前記高さ差の間隔を測定する方法の例としては、下記図面1に記載された通り、ルーラーが表示された泡測定機を用いることができる。
前記現像液が含有された断面直径が10cm以上の容器に、感光性樹脂組成物が含有された感光性樹脂層試料を現像液に対して感光性樹脂層試料の体積比率が2×10
-5m
3/Lになるように投入し、前記容器内部の現像液を1000cc/min以上1200cc/min以下の速度で循環させて容器上端で噴射時、現像液噴射を始めてから60分が経過した後の容器内の発生した泡の最高高さ地点と、現像液噴射を始めた直後の容器内現像液の最高高さ地点の間の高さ差の間隔が80mm超過で過度に増加すると、未露光部位を溶かす現像工程やドライフィルムを除去する剥離工程でけん化反応によりアルカリ溶液により溶解するが、前記溶解反応時泡が発生して泡が過多発生するとチャンバから溢れ出るなどの問題が発生し得る。
前記容器の断面直径が10cm以上、または10cm以上20cm以下であり得、前記断面直径は地面に平行な単面最大直径を意味する。より具体的には、前記容器は地面に平行な単面直径が10cm以上である円筒状容器を使用できる。前記容器の具体的な例示を下記
図1に記載した。
【0051】
前記現像液は0.1重量%以上5重量%以下、または0.9重量%以上1.1重量%以下の濃度を有するアルカリ水溶液を使用できる。前記アルカリ水溶液のpHは9以上11以下の範囲であり得、その温度は、感光性樹脂層の現像性に合わせて調節できる。前記アルカリ水溶液の具体的な例としては炭酸ナトリウム水溶液、炭酸カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液などを使用できる。
前記現像液は前記容器全体高さの5%以上50%以下、または10%以上50%以下で含有され得る。そのため、前記現像液の高さ以上発生した泡高さを測定するのに充分である。
また、前記現像液が噴射される容器の上端地点と、前記現像液噴射を始めた直後の容器内溶液の最高高さ地点の間の高さ差の間隔が30cm以上55cm以下であり得る。
前記現像液が噴射される容器の上端地点と、前記現像液噴射を始めた直後の容器内溶液の最高高さ地点はすべて同一に地面に平行な容器の底を基準として測定した垂直の高さを意味する。
【0052】
そして、前記二つの地点の間の高さ差の間隔は前記現像液が噴射される容器の上端地点の高さから、前記現像液噴射を始めた直後の容器内現像液の最高高さを引いた値を意味する。
具体的には、前記高さ差の間隔を測定する方法の例としては、下記図面1に記載された通り、ルーラーが表示された泡測定機を用いることができる。
前記現像液が噴射される容器の上端地点と、前記現像液噴射を始めた直後の容器内溶液の最高高さ地点の間の高さ差の間隔が30cm未満で過度に減少する場合、容器上端まで泡が過度に発生することにより試料種類による泡発生程度の差を比較しにくい。
前記現像液が噴射される容器の上端地点と、前記現像液噴射を始めた直後の泡分析機内溶液の最高高さ地点の間の高さ差の間隔が55cm超過で過度に増加する場合、泡の発生量が充分でなく試料の種類による泡発生程度の差を比較しにくい。
前記現像液が含有された断面直径が10cm以上の容器に、感光性樹脂組成物が含有された感光性樹脂層試料を現像液に対して感光性樹脂層試料の体積比率が2×10-5m3/Lになるように投入し得る。
【0053】
前記現像液に対して感光性樹脂層試料の体積比率が2×10-5m3/Lを満たす条件で、現像液の体積と感光性樹脂層試料の体積を制限なしに変更して適用できる。具体的には前記感光性樹脂層試料の厚さと断面積を制限なしに変更して適用することが可能である。
このように、前記現像液の体積、感光性樹脂層試料の体積(厚さ、断面積)は、前記現像液に対して感光性樹脂層試料の体積比率が2×10-5m3/Lを満たす条件下で制限されないが、一例を挙げて説明すると、前記現像液は例えば、0.5リットル以上1.5リットル以下、または0.8リットル以上1.2リットル以下、または0.9リットル以上1.1リットル以下の範囲内で自由に調節可能である。また、前記感光性樹脂層試料の厚さは例えば、0.01μm以上1mm以下、または1μm以上100μm以下、または30μm以上50μm以下の範囲内で自由に調節可能である。また、前記感光性樹脂層試料の面積は地面に平行な単面の面積であって、例えば、0.1m2以上1m2以下、または0.4m2以上0.6m2以下の範囲内で自由に調節可能である。
前記容器内部の現像液を1000cc/min以上1200cc/min以下の速度で循環することは現像液循環ポンプを用いることができる。すなわち、前記容器内部の現像液は現像液循環ポンプの作動時容器下端部のノズルを介して抜け出て現像液循環ポンプを通過して容器上端部に移動して容器上端でノズルを介して噴射され得る。
前記現像液の循環時現像液の循環速度は1000cc/min以上1200cc/min以下であり得る。また、前記現像液の循環圧力が1kgf/cm2以上10kgf/cm2以下、または4kgf/cm2以上6kgf/cm2以下であり得る。
【0054】
前記循環速度と循環圧力を満たす条件下では多様なノズルを制限なしに適用でき、前記循環速度と循環圧力は前記現像液噴射を始めてから60分が経過した後の容器内の発生した泡の最高高さ地点と、現像液噴射を始めた直後の容器内現像液の最高高さ地点の間の高さ差の間隔測定に適用することができる。
前記現像液噴射を始めてから60分が経過した後の容器内の発生した泡の最高高さ地点と、現像液噴射を始めた直後の容器内現像液の最高高さ地点の間の高さ差の間隔は二つの地点間の最短距離をルーラーを用いて肉眼で測定する。この時、前記現像液噴射を始めてから60分が経過した後の容器内の発生した泡の最高高さ地点、そして現像液噴射を始めた直後の容器内現像液の最高高さ地点それぞれで最大の高さは容器の底を基準とした最高高さを意味する。
一方、前記ドライフィルムフォトレジストに含有された感光性樹脂層は、厚さ5μm以上30μm以下の感光性樹脂層試料に対して、前記感光性樹脂層試料の軸力が5N以下である条件で50℃以上125℃以下の温度区間で得られた絶対粘度の最小値が300Pa・s以下、または100Pa・s以下、または1Pa・s以下300Pa・s以下、または1Pa・s以下100Pa・s以下、または5Pa・s以下280Pa・s以下であり得る。
前記絶対粘度を測定する方法の例としては粘度測定機を用いることができ、前記粘度測定機の例としてはDHR-2(TA Instrument)が挙げられる。
具体的な絶対粘度測定条件を調べれば、50℃以上125℃以下の温度区間で5℃/min以上15℃/min以下、または8℃/min以上12℃/min以下の昇温速度で粘度を測定する。すなわち、50℃から始めて5℃/min以上15℃/min以下、または8℃/min以上12℃/min以下の昇温速度で125℃まで温度を高めて粘度を測定することができる。前記昇温速度を維持する具体的な方法の例は大きく限定されず、既に知られている多様な方法を制限なく使用可能である。
【0055】
また、前記絶対粘度は5L/min以上15L/min以下、または8L/min以上12L/min以下の速度で窒素を注入する条件下で測定することができる。前記窒素を注入する具体的な方法の例は大きく限定されず、既に知られている多様な方法を制限なく使用可能である。
また、前記絶対粘度は1 1/s以上3 1/sの剪断速度で測定することができる。前記剪断速度が3 1/s超過で過度に増加するとflowタイプの粘度測定器に無理がかかり測定が難しいという限界がある。
また、前記絶対粘度は感光性樹脂層試料の軸力が軸力が5N以下、または3N以下、または-5N以上5N以下、または-3N以上3N以下、または-1N以上1N下で測定され得る。前記軸力(axial force)は前記感光性樹脂層試料に与えられる荷重状態で任意の垂直断面での内力の形態で生じる力をその断面に対する法線成分と接線成分に分解時、法線成分の力を意味する。すなわち、前記軸力は部材断面に作用する断面力の一つであり、その面の中心に作用して軸方向に作用する力を意味する。
前記絶対粘度測定に使用される感光性樹脂層試料の厚さは5μm以上30μm以下であり得る。前記感光性樹脂層試料の厚さや断面積は光学顕微鏡をにより測定することができる。
【0056】
前記ドライフィルムフォトレジストに含有された感光性樹脂層が厚さ5μm以上30μm以下の感光性樹脂層試料に対して、前記感光性樹脂層試料の軸力が5N以下である条件で50℃以上125℃以下の温度区間で得られた絶対粘度の最小値が300Pa・s超過で過度に増加すると、回路基板やディスプレイ装置への適用のために前記ドライフィルムフォトレジストを基板に熱接着時熱接着温度で粘度が十分に低くなりにくくて基板に対する密着力が減少する問題が発生し得る。
前記ドライフィルムフォトレジストに含有された感光性樹脂層が厚さ5μm以上30μm以下の感光性樹脂層試料に対して、前記感光性樹脂層試料の軸力が5N以下である条件で50℃以上125℃以下の温度区間で得られた絶対粘度の最小値が300Pa・s以下で十分に低くなるのは、感光性樹脂組成物が前記化学式1で表される繰り返し単位を含んで疎水性の程度が増加したアルカリ現像性バインダ樹脂を使用することによるものであると見られる。
一方、前記絶対粘度の最小値が得られた温度は110℃以上123℃以下、または110℃以上116℃未満であり得る。前記他の実施形態のドライフィルムフォトレジストは、硬化温度に至る前に回路基板やディスプレイ装置への適用のために前記ドライフィルムフォトレジストを基板に熱接着時熱接着温度の110℃近傍で絶対粘度の最小値が得られる。そのため、回路基板やディスプレイ装置への適用のために前記ドライフィルムフォトレジストを基板に熱接着時熱接着温度で低い粘度により基板に対する密着力を高めることができる。
【0057】
具体的には、前記感光性樹脂層試料の硬化温度は115℃以上125℃以下、または116℃以上125℃以下であり得る。そのため、前記他の実施形態のドライフィルムフォトレジストは回路基板やディスプレイ装置への適用のために前記ドライフィルムフォトレジストを基板に熱接着時熱接着温度である110℃近傍で硬化が行われず基板に対する密着力を高めることができる。
具体的には、前記感光性樹脂層試料に対して、110℃温度での絶対粘度値が5Pa・s以上400Pa・s以下であり得る。
前記ドライフィルムフォトレジストを製造する方法の例は大きく限定されるものではなく、例えばポリエチレンテレフタレートのような通常の基材フィルムの上に通常のコーティング方法を用いて前記一実施形態の感光性樹脂組成物をコーティングさせた後、乾燥させて、前記乾燥された感光性樹脂層上面にポリエチレンのような通常の保護フィルムを用いてラミネーションさせてドライフィルムを製造することができる。
前記一実施形態の感光性樹脂組成物をコートする方法は特に制限されず、例えばコーティングバーなどの方法が用いられる。
前記コートされた感光性樹脂組成物を乾燥させる段階は熱風オーブン、ホットプレート、熱風循環炉、赤外線炉などの加熱手段によって実施され得、50℃以上100℃以下の温度で行い得る。
【0058】
3.感光性エレメント
発明のまた他の実施形態によれば、高分子基材;および前記高分子基材上に形成された感光性樹脂層を含み、下記(1)または(2)のいずれか一つを満たす感光性エレメントが提供されることができる。
(1)現像液が含有された断面直径が10cm以上の容器に、感光性樹脂層試料を現像液に対して感光性樹脂層試料の体積比率が2×10-5m3/Lになるように投入し、前記容器内部の現像液を1000cc/min以上1200cc/min以下の速度で循環させて容器上端で噴射時、現像液噴射を始めてから60分が経過した後の容器内の発生した泡の最高高さ地点と、現像液噴射を始めた直後の容器内現像液の最高高さ地点の間の高さ差の間隔が80mm以下であるか、
(2)前記感光性樹脂層は厚さ5μm以上30μm以下の感光性樹脂層試料に対して、前記感光性樹脂層試料の軸力が5N以下である条件で50℃以上125℃以下の温度区間で得られた絶対粘度の最小値が300Pa・s以下である。
具体的には、前記感光性エレメントは現像液が含有された断面直径が10cm以上の容器に、感光性樹脂層試料を現像液に対して感光性樹脂層試料の体積比率が2×10-5m3/Lになるように投入し、前記容器内部の現像液を1000cc/min以上1200cc/min以下の速度で循環させて容器上端で噴射時、現像液噴射を始めてから60分が経過した後の容器内の発生した泡の最高高さ地点と、現像液噴射を始めた直後の容器内現像液の最高高さ地点の間の高さ差の間隔が80mm以下、または60mm以下、または1mm以上80mm以下、または1mm以上60mm以下、または10mm以上60mm以下、または20mm以上60mm以下、または40mm以上60mm以下であり得る。
【0059】
前記現像液が含有された断面直径が10cm以上の容器に、感光性樹脂層試料を現像液に対して感光性樹脂層試料の体積比率が2×10-5m3/Lになるように投入し、前記容器内部の現像液を1000cc/min以上1200cc/min以下の速度で循環させて容器上端で噴射時、現像液噴射を始めてから60分が経過した後の容器内の発生した泡の最高高さ地点と、現像液噴射を始めた直後の容器内現像液の最高高さ地点の間の高さ差の間隔に係る内容は前記一実施形態と他の実施形態で上述した内容をすべて含む。すなわち、前記感光性樹脂層は前記化学式1で表される繰り返し単位;前記化学式2で表される繰り返し単位;前記化学式3で表される繰り返し単位;および前記化学式4で表される繰り返し単位;を含むアルカリ現像性バインダ樹脂と光重合性化合物を含み得る。
また、前記感光性樹脂層は厚さ5μm以上30μm以下の感光性樹脂層試料に対して、前記感光性樹脂層試料の軸力が5N以下である条件で50℃以上125℃以下の温度区間で得られた絶対粘度の最小値が300Pa・s以下であり得る。
前記感光性樹脂層および絶対粘度に係る内容は前記一実施形態と他の実施形態で上述した内容をすべて含む。すなわち、前記感光性樹脂層は前記化学式1で表される繰り返し単位;前記化学式2で表される繰り返し単位;前記化学式3で表される繰り返し単位;および前記化学式4で表される繰り返し単位;を含むアルカリ現像性バインダ樹脂と光重合性化合物を含み得る。
【0060】
前記化学式1で表される繰り返し単位;前記化学式2で表される繰り返し単位;前記化学式3で表される繰り返し単位;および前記化学式4で表される繰り返し単位;を含むアルカリ現像性バインダ樹脂と光重合性化合物に係る内容は前記一実施形態で上述したすべての内容を含む。
前記高分子基材は各種プラスチックフィルムが使用可能であり、例えば、アクリル系フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム、ポリノルボルネン(PNB)フィルム、シクロオレフィンポリマー(COP)フィルム、およびポリカーボネート(PC)フィルムからなる群より選ばれた1種以上のプラスチックフィルムを含み得る。前記高分子基材の厚さは大きく限定されるものではないが、例えば、0.01μm~1mm範囲内で自由に調節可能である。
前記高分子基材の具体的な例としては未延伸ポリエステルフィルムを一軸延伸し、その一面にバインダ樹脂と有機粒子を含む調液を塗布して残りの一軸延伸するインラインコーティング方式によってアンチブロッキング層が形成されたポリエステルフィルムが挙げられる。
【0061】
前記高分子基材は通常製造時の走行性および巻き取り特性を考慮して添加されてきたアンチブロッキング剤を添加しない代わりにインラインコーティング方式を選択し、透明性を阻害しない代替粒子を使用した有機粒子層を備えたものである。
ここで走行性および巻き取り特性を考慮して透明性を阻害しない粒子が使用された有機粒子の例としてはメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、ノーマルブチルメタクリレート、ノーマルブチルメチルメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸の共重合体または三元共重合体などのアクリル系粒子;ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系粒子;アクリルとオレフィン系の共重合体;または単一重合体の粒子を形成した後その層上に異なる種類の単量体をコートした多層多成分系粒子などの有機粒子などが挙げられる。
このような有機粒子は具体的には球形であり、かつバインダ樹脂との屈折率の差を有さなければならない。ここで「球形」は楕円において短軸(a)と長軸(b)の比が0.5<a/b<2であり、長方形において対角線(d)との関係がd2≦a2+b2であるもので定義される。そして、六面体において頂点間の距離が最も長い軸(f)とa、b軸以外のc軸との関係はf2≦c2+a2+b2で定義する。粒子の形状が球形である場合のみ走行性の側面から好ましい。
【0062】
そして、有機粒子のバインダ樹脂との屈折率の差異は0.05以下であることをその特徴とする。屈折率の差が0.05より大きいとHazeを増加させる。これは散乱光が多いことを意味し、このような散乱光が多い場合はサイドウォールのスムージング効果が落ちる。これは有機粒子の大きさと量にも依存する。有機粒子は平均粒径が0.5μm~5μm程度であることが良く、これより小さい場合は走行特性および巻き取り特性が低下し、5μmより大きい場合はヘイズを増加させて、脱落問題の発生を勘案して好ましくない。有機粒子の含有量はバインダ樹脂との総量を基準として1~10重量%であることが好ましい。
有機粒子の含有量がバインダ樹脂との総量を基準として1重量%未満であれば、アンチブロッキング効果が不十分でスクラッチに弱く、巻き取り特性、走行特性が悪くなり、10重量%を超えるとヘイズが増加して透明特性が悪くなる問題があり得る。
一方、前記のような有機粒子に加えて無機系粒子を添加することもできるので、このときは通常使用されてきた無機系アンチブロッキング剤を添加するのは好ましくなく、粒子の大きさが100nm以下のコロイダルシリカを添加することが好ましい。その含有量はバインダ樹脂100重量部に対して10重量部以下で含むことが好ましい。前記のような粒子大きさと含有量を満たす時、ドライフィルムフォトレジストを用いたパターン形成でアンチブロッキング層により発生するサイドウォールの欠損や噴火口のような溝を発生させない。
【0063】
このような有機粒子を未延伸のポリエステルフィルム上に塗布するための接着剤の役割をするバインダ樹脂としては有機粒子と相容性が良いものを使用すると良いが、このような樹脂の例としては、不飽和ポリエステル、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、ノーマルブチルメタクリレート、ノーマルブチルメチルメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸の共重合体または三元共重合体などのようなアクリル系樹脂;ウレタン系樹脂;エポキシ系樹脂;またはメラミン系樹脂などが挙げられ、好ましくはアクリル系樹脂である。
バインダ樹脂と有機粒子で調液することにおいて使用できる好ましいソルベントは水である。
このようにバインダ樹脂に有機粒子を含む調液を、PETペレットを溶融押出して得られた未延伸ポリエステルフィルムを一軸に延伸した後、一軸に延伸されたフィルム上に塗布する。塗布は一軸延伸フィルムの少なくとも一面に行われ得、その厚さは最終乾燥後の厚さを基準として30nm~200nm程度であることが好ましい。仮に、有機粒子を含む調液を一軸延伸フィルム上に30nmより薄く塗布すると有機粒子の脱落が容易でスクラッチに脆弱で、白粉が発生する問題があり、200nmより厚く塗布すると調液の粘度上昇によってコーティング速度が速いインラインコーティングではコーティング方向にコーティングラインが発生する。
【0064】
このようにインラインコーティング方式によって、一般的なアンチブロッキング剤でない有機粒子を使用して塗布して得られた前記高分子基材は、粒子層により巻き取り特性および走行特性は維持され、かつ光透過性に優れた有機粒子によって透明性に優れた基材フィルムである。
感光性樹脂層の積層は高分子基材において有機粒子を含む層の反対面に行われるため、このように有機粒子を含む層の反対面に感光性樹脂層が形成されることにより従来のようにアンチブロッキング剤を含む基材フィルムが積層されることにより現れる噴火口形状の傷の発生がない。シリカなどの粒子は有機粒子に比べてその大きさが大きいだけでなくその分布が基材フィルム全般にわたっているので感光性樹脂層と隣接する部分でもシリカの影響がわずかにでも現れる。
これに対して、本発明で使用された高分子基材においてはその大きさが0.5μm~5μmの有機粒子であり、その有機粒子層が感光性樹脂層と隣接していないので有機粒子の物理的影響が及ばない。また、優れた光透過性を有する有機粒子を使用することによりサイドウォールの欠損も減らすことができ、その他の回路物性を阻害しないようになる。
前記感光性エレメントは感光性樹脂層上に形成された保護フィルムをさらに含み得る。前記保護フィルムは取り扱い時感光性樹脂層の損傷を防止し、ゴミのような異物から感光性樹脂層を保護する保護カバーの役割をするものであって、感光性樹脂層の高分子基材が形成されていない裏面に積層される。前記保護フィルムは感光性樹脂層を外部から保護する役割をものであって、感光性エレメントを後工程に適用する時は容易に離脱し、かつ保管および流通する時には離型しないように適当な離型性と粘着性を必要とする。
【0065】
前記保護フィルムは各種プラスチックフィルムを使用でき、例えば、アクリル系フィルム、ポリエチレン(PE)フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム、ポリノルボルネン(PNB)フィルム、シクロオレフィンポリマー(COP)フィルム、およびポリカーボネート(PC)フィルムからなる群より選ばれた1種以上のプラスチックフィルムを含み得る。前記保護フィルムの厚さは大きく限定されるものではないが、例えば、0.01μm~1mm範囲内で自由に調節可能である。
【0066】
4.回路基板、ディスプレイ装置
発明のまた他の実施形態によれば、前記一実施形態の感光性樹脂組成物を含有した感光性樹脂層を含む、回路基板またはディスプレイ装置が提供されることができる。前記感光性樹脂組成物に係る内容は前記一実施形態で上述した内容をすべて含む。
前記回路基板またはディスプレイ装置に関する具体的な内容は特に限定されず、従来の知られている多様な技術構成を制限なしに適用可能である。
前記回路基板またはディスプレイ装置に含まれた感光性樹脂層は開口部がないフィルム形態であり得、開口部を有するパターン形態でもあり得る。
前記パターン形態の感光性樹脂層を形成する方法の例としては、前記他の実施形態のドライフィルムフォトレジストの感光性樹脂層を基板上に積層させた後、露光および現像を行う方法が挙げられる。また、前記他の実施形態の感光性エレメントの感光性樹脂層を基板上に積層させた後、露光および現像を行う方法が挙げられる。
【0067】
基板としては銅箔積層板、ITOおよびIZOなどの透明電極がスパッタリングまたは蒸着されたガラス基板、フィルム基板、誘電体ペーストが塗布されたガラス基板、シリコンウエハ、非晶質シリコンが蒸着されたガラスウエハ、銅、タンタル、モリブデンなどの金属箔膜がスパッタリングされたシリコンウエハなどを用いることができる。
露光工程はUV、可視光線、レーザ、その中でも波長350~410nmの光、特にi線(365nm)またはh線(405nm)などの光源を含むLaser Direct露光機を用いることが好ましい。Laser Direct露光機を利用時、露光エネルギ量が3~15mJ/cm2以下の条件で、一般的なランプ露光機を用いる場合、露光エネルギ量が20mJ/cm2以下の条件で作業が可能であり、PCB、リードフレーム、PDP、およびその他ディスプレイ素子などのイメージを製造するのに有用である。
現像工程はディップ法、シャワー法、スプレー法、ブラシ法などによることができ、現像液としては水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア、アミン類などのアルカリ水溶液を使用できる。
【0068】
前記他の実施形態のドライフィルムフォトレジストあるいは感光性エレメントが感光性樹脂層上に保護フィルムを有する場合、感光性樹脂層を回路基板またはディスプレイ装置製造用基板上に積層工程以前に保護フィルムを除去する工程をさらに経ることができる。
また、前記他の実施形態のドライフィルムフォトレジストあるいは感光性エレメントが感光性樹脂層一面に積層された高分子基材あるいは基材フィルムを有する場合、露光工程直後の高分子基材あるいは基材フィルムを除去する工程をさらに経ることができる。
そのため、前記他の実施形態のドライフィルムフォトレジストあるいは感光性エレメントに含有された感光性樹脂層が前記回路基板またはディスプレイ装置に含まれ得る。
また、本発明のドライフィルムフォトレジストを使用して以後通常のエッチング/メッキ工程を経て微細線幅を有する回路を形成し、公知の工程によって微細線幅を有するPCB、その他にリードフレーム、PDP、その他ディスプレイ素子、半導体素子などにイメージを生成するにあたって生産性を極大化することができる。
具体的に例えば、上述したパターン形態の感光性樹脂層により露出した下部の基板をエッチングまたはメッキすることによって、導体パターン、印刷配線基板、リードフレーム、ITO電極、ブラックマトリクス、半導体バンプなどを製造することができる。必要に応じて、前記エッチングまたはメッキ以後に前記パターン形態の感光性樹脂層を現像液より強いアルカリ性を有する水溶液により基板から剥離して除去することもできる。
【発明の効果】
【0069】
本発明によれば、疎水性が増大したバインダ樹脂により現像および剥離工程における泡発生を減らして工程の効率性を高め得る感光性樹脂組成物およびそれを用いたドライフィルムフォトレジスト、感光性エレメント、回路基板、およびディスプレイ装置が提供されることができる。
また、本発明によれば、回路基板やディスプレイ装置への適用のための基板との熱接着温度付近で硬化せず十分に低い粘度を有することができ、基板に対する密着力が向上した感光性樹脂組成物およびそれを用いたドライフィルムフォトレジスト、回路基板、およびディスプレイ装置が提供されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【
図1】実験例1で使用された泡測定機のイメージを示す図である。
【
図2】実施例1で得られた絶対粘度測定結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0071】
発明を下記の実施例でより詳細に説明する。ただし、下記の実施例は本発明を例示するだけであり、本発明の内容は下記の実施例によって限定されない。
<製造例および比較製造例:アルカリ現像性バインダ樹脂の製造>
製造例1
4口丸底フラスコに機械式攪拌機(mechanical stirrer)と還流装置を取り付けた後、窒素でフラスコ内部をパージした。前記窒素でパージされたフラスコにメチルエチルケトン(Methyl Ethyl Ketone,MEK)68gおよびメタノール(Methanol,MeOH)5gを投入した後、アゾビスイソブチロニトリル(azobisisobutyronitrile,AIBN)0.9gを投入して完全に溶解させた。ここに単量体としてメタクリル酸(Methacrylic acid,MAA)24g、メチルメタクリレート(Methylmethacrylate,MMA)6g、スチレン(Styrene,SM)30g、および2-フェノキシエチルメタクリレート(2-phenoxyethyl methacrylate,PHEMA)40gの単量体混合物を投入し、80℃まで昇温した後6時間の間重合してアルカリ現像性バインダ樹脂(重量平均分子量:65000g/mol、ガラス転移温度98℃、固形分含有量47.3重量%、酸価157mgKOH/g)を製造した。
前述した製造例で製造されたアルカリ現像性バインダ樹脂は1.0(w/w)% in THF(固形分基準約0.5(w/w)%)の濃度になるようにテトラヒドロフランに溶解させて0.45μm Pore SizeのSyringe Filterを用いて濾過後GPCに20μlを注入した。GPCの移動相はテトラヒドロフラン(Tetrahydrofuran,THF)を使用し、1.0mL/分の流速で流入し、カラムはAgilent PLgel 5μm Guard(7.5×50mm)1個とAgilent PLgel 5μm Mixed D(7.5×300mm)2個を直列に連結した。Agilent 1260 InfinityIIsystem,RI Detectorを用いて40℃で測定した。
酸価はアルカリ現像性バインダ樹脂1gをサンプリングして50ml混合溶剤(MeOH 20%、Acetone80%)に溶かして1%-フェノールフタレイン指示薬を二滴添加した後、0.1N-KOHで滴定して酸価を測定した。
固形分含有量は前述した製造例で製造されたアルカリ現像性バインダ樹脂の重量を基準としてオーブンで150℃、120分間加熱した後残った固形分の重量パーセント比率を測定した。
【0072】
製造例2
4口丸底フラスコに機械式攪拌機(mechanical stirrer)と還流装置を取り付けた後、窒素でフラスコ内部をパージした。前記窒素でパージされたフラスコにメチルエチルケトン(Methyl Ethyl Ketone,MEK)80gおよびメタノール(Methanol,MeOH)7.5gを投入した後、アゾビスイソブチロニトリル(azobisisobutyronitrile,AIBN)0.45gを投入して完全に溶解させた。ここに単量体としてアクリル酸(Acrylic acid,AA)8g、メタクリル酸(Methacrylic acid,MAA)15g、ブチルアクリレート(Butyl acrylate,BA)15g、メチルメタクリレート(Methyl methacrylate,MMA)52g、およびスチレン(Styrene,SM)10gの単量体混合物を投入し、80℃まで昇温した後6時間の間重合してアルカリ現像性バインダ樹脂を製造した。
前記アルカリ現像性バインダ樹脂は、重量平均分子量71538g/mol、ガラス転移温度79℃、固形分含有量51.4重量%、酸価156.3mgKOH/gで測定された。
製造例3
4口丸底フラスコに機械式攪拌機(mechanical stirrer)と還流装置を取り付けた後、窒素でフラスコ内部をパージした。前記窒素でパージされたフラスコにメチルエチルケトン(Methyl Ethyl Ketone,MEK)110gおよびメタノール(Methanol,MeOH)10gを投入した後、アゾビスイソブチロニトリル(azobisisobutyronitrile,AIBN)1gを投入して完全に溶解させた。ここに単量体としてメタクリル酸(Methacrylic acid,MAA)30g、メチルメタクリレート(Methyl methacrylate,MMA)100g、およびスチレン(Styrene,SM)30gの単量体混合物を投入し、80℃まで昇温した後6時間の間重合してアルカリ現像性バインダ樹脂(重量平均分子量49852g/mol、ガラス転移温度125℃、固形分含有量48.5重量%、酸価163.17mgKOH/g)を製造した。
【0073】
比較製造例1
4口丸底フラスコに機械式攪拌機(mechanical stirrer)と還流装置を取り付けた後、窒素でフラスコ内部をパージした。前記窒素でパージされたフラスコにMEK(Methyl Ethyl Ketone)90gおよびPGMEA(Propylene GlycolMonomehtyl Ether Acetate)10gを投入した後、アゾビスイソブチロニトリル(azobisisobutyronitrile,AIBN)0.8gを投入して完全に溶解させた。ここにメタクリル酸メチル20g、メチルメタクリレート70gおよびスチレン10gの単量体混合物を投入し、80℃まで昇温した後6時間の間重合してアルカリ現像性バインダ樹脂(重量平均分子量:60000g/mol)を製造した。
【0074】
<実施例および比較例:感光性樹脂組成物およびドライフィルムフォトレジストの製造>
下記表1に記載された組成に従い、光重合開始剤類を溶剤のメチルエチルケトン(MEK)に溶かした後、光重合性化合物とアルカリ現像性バインダ樹脂を添加して機械的攪拌機を用いて約1時間程度混合して感光性樹脂組成物を製造した。
前記収得された感光性樹脂組成物を40μmのPETフィルムの上にコーティングバー(bar)を用いてコーティングさせた。コートされた感光性樹脂組成物層は熱風オーブンを用いて乾燥させるが、このとき乾燥温度は80℃であり、乾燥時間は5分であり、乾燥後の感光性樹脂組成物層の厚さは40μmであった。
乾燥が完了した感光性樹脂組成物層の上に保護フィルム(ポリエチレン)を用いてラミネーションしてドライフィルムフォトレジストを製造した。
前記PETフィルムは次のような工程によって製造された。
エチレングリコールとテレフタル酸からエステル交換反応、重縮合反応を行ってPETを製造した。このPETペレットを120℃で8時間の間減圧乾燥した後、押出機に供給して280℃で溶融した。これを静電印加キャスト法を用いて表面温度20℃のキャスティングドラムに巻き付けて冷却固化し、未延伸フィルムを作った。押出機の吐出量を調節して未延伸フィルムの厚さを250μmに調節した。その次、未延伸フィルムを縦方向に4倍延伸した後、その一面に、アクリル系樹脂4gと有機粒子としてポリメチルメタクリレート0.1gを水95.9gに混合した調液をグラビアを用いて最終乾燥後厚さ50nmになるように塗布した。ここで使用されたポリメチルメタクリレートは表面にポリスチレンでコートされたものとして球形であり、アクリル系樹脂との屈折率差が0.03のものである。
【0075】
有機粒子を含む調液が塗布された縦方向一軸延伸フィルムを120℃で予熱し、横方向に4倍延伸した。
このフィルムを定めた長さ下で最高温度230℃で10秒間熱固定し、常温に冷却して総厚さ20μm、コート層の厚さ50nmのポリエステルフィルムを得た。
【表1】
【0076】
<実験例>
前記実施例および比較例で製造されたドライフィルムフォトレジストについて、下記方法で物性を測定し、その結果を表2に示した。
1.現像液とのけん化反応性
前記実施例および比較例で製造されたドライフィルムフォトレジストで保護フィルムと支持体であるPETフィルムを剥がした感光性樹脂層を用いて、厚さ40μm、面積0.50m
2の試料を製造した。
その後、前記感光性樹脂層試料を30±1℃の現像液であるNa
2CO
3 1重量%水溶液1.0リットルが含有された円筒状泡分析機(断面直径:10cm、高さ:60cm、下記
図1を参照)に入れた後、ノズルを介して泡分析機の上端部および下端部と連結された現像液循環ポンプ(循環速度1000~1200cc/min、循環圧力5kgf/cm
2)を用いて、60分間現像液を循環させて泡分析機の上端部から泡分析機の内部に噴射した。
具体的には、前記現像液循環ポンプを作動させると泡分析機内部の現像液が下端部のノズルを介して抜け出て現像液循環ポンプを通過して泡分析機の上端部に移動して容器上端でノズルを介して噴射され得る。
この時、前記現像液が噴射される泡分析機の上端地点と、前記現像液噴射を始めた直後の容器内溶液の最高高さ地点の間の高さ差の間隔は概ね48cmであった。
この時、「現像液噴射を始めてから60分が経過した後の泡分析機内の発生した泡の最高高さ地点」と「現像液噴射を始めた直後の泡分析機内溶液の最高高さ地点」の間の高さ差の間隔を泡分析機の表面に設けられたルーラーにより測定し、発生した泡の高さとして求め、これを用いて現像液とのけん化反応性を評価した。
2.細線密着力(単位:μm)
前記実施例および比較例で製造されたドライフィルムフォトレジストの保護フィルムを剥がしてドライフィルムフォトレジストの感光性樹脂層がブラシ(Brush)研磨処理された1.6mm厚さの銅張積層板の銅層表面と接触するように基板予熱ロール温度120℃、ラミネータロール温度115℃、ロール圧力4.0kgf/cm
2そしてロール速度2.0min/mの条件でHAKUTO MACH 610iを用いてラミネーションして積層体を形成した。
前記積層体でドライフィルムフォトレジストの支持体であるPETフィルムを剥がした後、回路評価用フォトマスクを使用し、ORC社のEXM-1201(平行光露光機)を用いて40mJ/cm
2の露光量に到達するまで紫外線を照射した後15分放置した。その後30±1℃のNa
2CO
3 1.0wt%水溶液でスプレー圧力1.5kgf/cm
2で噴射方式の現像条件で最小現像時間の2倍の時間の間現像を実施した。
現像が完了した積層体で、感光性樹脂層の最小線幅をZEISS AXIOPHOT Microscopeで測定して細線密着力として評価した。この値が小さいほど細線密着力に優れると評価することができる。
【0077】
3.1:1解像度(単位:μm)
前記実施例および比較例で製造されたドライフィルムフォトレジストの保護フィルムを剥がしてドライフィルムフォトレジストの感光性樹脂層がブラシ(Brush)研磨処理された1.6mm厚さの銅張積層板の銅層表面と接触するように基板予熱ロール温度120℃、ラミネータロール温度115℃、ロール圧力4.0kgf/cm2そしてロール速度2.0min/mの条件でHAKUTO MACH 610iを用いてラミネーションして積層体を形成した。
前記積層体でドライフィルムフォトレジストの支持体であるPETフィルムを剥がした後、現像後の回路ライン(line)幅と回路ラインの間の空間(space)の間隔が1:1になるように回路評価用フォトマスクを使用し、ORC社のEXM-1201(平行光露光機)を用いて40mJ/cm2の露光量に到達するまで紫外線を照射した後15分放置した。その後30±1℃のNa2CO3 1.0wt%水溶液でスプレー圧力1.5kgf/cm2で噴射方式の現像条件で最小現像時間の2倍の時間の間現像を実施した。
現像が完了した積層体で、感光性樹脂層間の間隔の最小値をZEISS AXIOPHOT Microscopeで測定して1:1解像度として評価した。この値が小さいほど1:1解像度値に優れると評価することができる。
4.剥離速度(単位:秒)
前記実施例および比較例で製造されたドライフィルムフォトレジストの保護フィルムを剥がしてドライフィルムフォトレジストの感光性樹脂層がブラシ(Brush)研磨処理された1.6mm厚さの銅張積層板の銅層表面と接触するように基板予熱ロール温度120℃、ラミネータロール温度115℃、ロール圧力4.0kgf/cm2そしてロール速度2.0min/mの条件でHAKUTO MACH 610iを用いてラミネーションして積層体を形成した。
前記積層体でドライフィルムフォトレジストの支持体であるPETフィルムを剥がした後、回路評価用フォトマスクを使用してORC社のEXM-1201(平行光露光機)を用いて40mJ/cm2の露光量に到達するまで紫外線を照射した後15分放置した。その後30±1℃のNa2CO3 1.0wt%水溶液でスプレー圧力1.5kgf/cm2で噴射方式の現像条件で最小現像時間の2倍の時間の間現像を実施した。
そして3%水酸化ナトリウム水溶液(温度50℃を使用して銅張積層板から感光性樹脂層を剥離した。この時、感光性樹脂層が銅張積層板から落ちるのに所要する時間を測定した。
【0078】
【表2】
前記表2で見るように実施例は比較例に対して泡発生高さが顕著に減少して現像液とのけん化反応性が低いだけでなく、より微細な細線密着力および解像度を有して優れた現像性を有することができる。また、剥離工程時より速い剥離速度を有することができることが分かった。
【0079】
5.絶対粘度
前記実施例および比較例で製造されたドライフィルムフォトレジストで保護フィルムと支持体であるPETフィルムを剥がした感光性樹脂層に対して、DHR-2(TA Instrument)装備を用いて、下記条件下に温度による絶対粘度を測定して下記
図2に示し、これにより絶対粘度の最小値、絶対粘度の最小値での温度、および硬化温度を求めて下記表3に記載した。
<絶対粘度の測定条件>
-Test type=Flow type,Temp
-Gas=Nitrogen(10L/min)
-開始温度(Start Temp.)=50℃
-最終温度(Final Temp.)=125℃
-昇温速度(Ramp rate)=10℃/min
-剪断速度(Shear rate)=1(1/s)
-軸力(Axial Force)=3N以下である時の値測定
【表3】