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特許7376713V字型接合部品受入部を備えた超音波溶着装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】V字型接合部品受入部を備えた超音波溶着装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 20/10 20060101AFI20231031BHJP
   B29C 65/08 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
B23K20/10
B29C65/08
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022525806
(86)(22)【出願日】2019-11-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-31
(86)【国際出願番号】 EP2019080241
(87)【国際公開番号】W WO2021089122
(87)【国際公開日】2021-05-14
【審査請求日】2022-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】522080546
【氏名又は名称】シュンク ソノジステム ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100168985
【弁理士】
【氏名又は名称】蜂谷 浩久
(74)【代理人】
【識別番号】100149401
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 浩史
(72)【発明者】
【氏名】フェイ, マニュエル
(72)【発明者】
【氏名】ムラー, シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】ワゲンバッハ, ライナー
(72)【発明者】
【氏名】ヴァーナー, ヴァルデマー
(72)【発明者】
【氏名】グンター, ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】コーゼキー, ダリウス
(72)【発明者】
【氏名】ベッカー, シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】コホ, オイゲン
【審査官】松田 長親
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/161715(WO,A1)
【文献】特表2008-505468(JP,A)
【文献】特開2018-140396(JP,A)
【文献】特開2005-319483(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 20/10
B29C 65/08
H01R 43/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソノトロード表面(112)を備えたソノトロード(102)、
横摺動部表面(114)を備えた横摺動部(104)、
接触表面(116)を備えた接触要素(106)、
接合部品(110,110’)を挿入する挿入室(108)、
第1の停止縁(120)を備えた第1の受け要素(118)、および
第2の停止縁(124)を備えた第2の受け要素(122)を含み、
前記挿入室(108)は、第1の側が第1の軸方向(y)に前記ソノトロード表面(112)により、第2の側が第2の軸方向(x)に前記横摺動部表面(114)により、かつ前記第2の側に対向する第3の側が前記接触表面(116)により規定されており、
前記第1の受け要素(118)および前記第2の受け要素(122)は、開始位置と終了位置の間で互いに対して移動可能に配置されており、
前記第1の停止縁(120)および前記第2の停止縁(124)は、前記挿入室(108)の開口側と反対側の前記終了位置で一緒になり、前記接合部品(110)を収容する接合部品受入部(126)を形成し、かつ前記開始位置では離れており、
前記接合部品受入部(126)は、前記挿入室(108)内で前記接合部品(110)を前記第1の軸方向(y)および前記第2の軸方向(x)に位置決めするためにV字形状をしている、超音波溶着装置(100)。
【請求項2】
前記終了位置で、前記第2の軸方向(x)の第1の停止縁(120)は、少なくとも前記横摺動部表面(114)を越える部分で突出し、かつ/あるいは
前記終了位置で、前記第2の軸方向(x)の第2の停止縁(124)は、少なくとも前記接触表面(116)を超える部分で突出している、請求項1に記載の超音波溶着装置(100)。
【請求項3】
前記終了位置で、前記第1の停止縁(120)は、前記ソノトロード表面(112)に対してある角度で整列され、かつ/あるいは
前記終了位置で、前記第2の停止縁(124)は、前記ソノトロード表面(112)に対してある角度で整列される、請求項1または2に記載の超音波溶着装置(100)。
【請求項4】
前記第1の受け要素(118)および前記第2の受け要素(122)は、互いに独立して移動可能に配置される、請求項1から3のいずれか一項に記載の超音波溶着装置(100)。
【請求項5】
前記終了位置で、前記第1の受け要素(118)は前記第2の受け要素(122)の動きを制限し、かつ/あるいは
前記終了位置で、前記第2の受け要素(122)は前記第1の受け要素(118)の動きを制限する、請求項1から4のいずれか一項に記載の超音波溶着装置(100)。
【請求項6】
駆動力を加えて前記第1の受け要素(118)および/または前記第2の受け要素(122)を前記開始位置と前記終了位置の間で動かすように構成された駆動装置(128)を更に含む、
請求項1から5のいずれか一項に記載の超音波溶着装置(100)。
【請求項7】
前記接合部品(110)の所定の全断面積に基づいて、前記駆動装置(128)のための制御信号(132)を生成するように構成された制御装置(130)を更に含み、
前記制御信号(132)に基づいて、前記駆動装置(128)は、前記第1の受け要素(118)および/または前記第2の受け要素(122)を、前記開始位置と総断面積に応じた終了位置の間で移動させるように構成される、請求項6に記載の超音波溶着装置(100)。
【請求項8】
前記横摺動部(104)は、前記開始位置と前記終了位置の間で移動可能に配置され、
前記第2の軸方向(x)における前記横摺動部表面(114)と前記接触表面(116)の間の距離は、前記横摺動部(104)の開始位置の方が前記横摺動部(104)の終了位置よりも大きい、請求項1から7のいずれか一項に記載の超音波溶着装置(100)。
【請求項9】
駆動力を加えて前記第1の受け要素(118)および/または前記第2の受け要素(122)を前記開始位置と前記終了位置の間で動かすように構成された駆動装置(128)を更に含み、
前記横摺動部(104)は、前記開始位置と前記終了位置の間で移動可能に配置され、
前記第2の軸方向(x)における前記横摺動部表面(114)と前記接触表面(116)の間の距離は、前記横摺動部(104)の開始位置の方が前記横摺動部(104)の終了位置よりも大きく、
前記駆動装置(128)は、駆動力を加えることで、前記横摺動部(104)を前記開始位置と前記終了位置の間でも移動させるように構成される、請求項1から5のいずれか一項に記載の超音波溶着装置(100)。
【請求項10】
前記接合部品(110)の所定の全断面積に基づいて、前記駆動装置(128)のための制御信号(132)を生成するように構成された制御装置(130)を更に含み、
前記制御信号(132)に基づいて、前記駆動装置(128)は、前記第1の受け要素(118)および/または前記第2の受け要素(122)を、前記開始位置と総断面積に応じた終了位置の間で移動させるように構成される、請求項9に記載の超音波溶着装置(100)。
【請求項11】
前記駆動装置(128)は、前記第1の受け要素(118)および/または前記第2の受け要素(122)の移動に応じて前記横摺動部(104)を移動させるように構成される、請求項9または10に記載の超音波溶着装置(100)。
【請求項12】
前記第1の受け要素(118)は、前記第2の軸方向(x)に摺動可能に取り付けられ、かつ/あるいは
前記第2の受け要素(122)は、前記第2の軸方向(x)に摺動可能に取り付けられている、請求項1から11のいずれか一項に記載の超音波溶着装置(100)。
【請求項13】
前記第1の受け要素(118)は、回転可能に取り付けられ、かつ/あるいは
前記第2の受け要素(122)は、回転可能に取り付けられている、請求項1から12のいずれか一項に記載の超音波溶着装置(100)。
【請求項14】
追加の第1の停止縁(404)を備えた追加の第1の受け要素(402)、および
追加の第2の停止縁(408)を備えた追加の第2の受け要素(406)を更に含み、
前記追加の第1の受け要素(402)および前記追加の第2の受け要素(406)は、追加の開始位置と追加の終了位置との間で互いに対して移動可能であるように配置され、
前記追加の第1の停止縁(404)および追加の第2の停止縁(408)は、前記挿入室(108)の追加の開口側と反対側の前記追加の終了位置で一緒になり、追加の接合部品(110)を収容する追加の接合部品受入部(400)を形成し、前記追加の開始位置で離されており、
前記追加の接合部品受入部(400)は、前記追加の接合部品(110)を前記挿入室(108)内で前記第1の軸方向(y)および前記第2の軸方向(x)に位置決めするためにV字形をしている、請求項1から13のいずれか一項に記載の超音波溶着装置(100)。
【請求項15】
前記接合部品受入部(126)および前記追加の接合部品受入部(400)は、前記挿入室(108)の対向する両側面に配置されている、請求項14に記載の超音波溶着装置(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波溶着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な技術分野において、2つの部品を機械的に確実にかつ/あるいは電気的に結合することが必要な場合がある。例えば、様々な目的で、ケーブルまたはその素線を機械的かつ電気的に結合することが必要となる場合がある。これは、例えば、ワイヤーハーネスまたはケーブル織機を製造するのに使用することができ、これを用いて、例えば、車両内の電気消費部材を、互いに、エネルギー源および/または制御システムに電気的に接続することができる。
【0003】
いわゆる超音波溶着は、導電性部品同士を物質的に結合させ、高い強度と良好な電気伝導性を持たせるために開発された。これは特殊な形態の摩擦溶着で、接合相手部材または溶着金属とも呼ばれる接合対象部材を互いに面接触させ、低圧かつ高周波の機械的振動のもとで互いに移動させるものである。この場合、ソノトロードの助けを借りて振動を発生させることができ、典型的には20kHz~50kHzの周波数の超音波振動が発生し、接合相手部材の少なくとも一方に伝達される。その結果、塑性流動により、接合相手部材の材料が必ずしも溶融することなく、接合相手部材同士が表面近くで浸透または噛み合わされる。そのため、超音波溶着は、接合相手部材に及ぼす影響が少なく、迅速かつ経済的にこれらの部材を接合することができる。
【0004】
超音波溶着は、特に、ケーブルの素線など、金属の接合相手部材の溶着に用いることができ、これは超音波金属溶着とも呼ばれる。この目的のために、接合相手部材は、一般に、ソノトロードとアンビルとの間の超音波溶着装置の受入室に挿入され、そこで所定の圧力で一緒に押圧される。ソノトロード内で結合された振動により、2つの接合相手部材は互いに擦れ合い、固体状態で物質と物質が結合される。接合する金属の融点には達しないが、短距離拡散を利用して、高強度、均質で耐久性のある溶着金属接合を得ることができる。
【0005】
高強度の溶着継手を作るには、溶着する前に接合する相手部材同士を相対的に正確に位置決めすることが重要である。例えば、剥がされたケーブルの端を溶着する場合、2つ以上のケーブルの端をソノトロードの上に横に並べて置くことは避けなければならない。可能であれば、ケーブルの端が重なるように超音波溶着装置に挿入すべきである。超音波溶着装置の操作者の熟練度に応じて、ケーブル端を正しく挿入するのに多かれ少なかれ時間を必要とすることがある。
【0006】
例えば、EP2981389B1は、傾斜可能な前面を持つ横摺動部について記載しており、これにより、ケーブル端部を溶着室内で互いに重ね合わせて配置することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
発明の要約および有利な実施形態
超音波溶着装置の要件は、接合部品をできるだけ少ない力で挿入してその後の溶着工程に最も適した位置に配置できることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような要件は、独立請求項の発明の主題によって満たすことができる。有利な実施形態は、従属請求項および以下の説明で定義される。
【0009】
本発明の第1の側面は、ソノトロード表面を備えたソノトロード、横摺動部表面を有する横摺動部、接触表面を有する接触要素、および接合部品を挿入する挿入室を含む超音波溶着装置に関する。前記挿入室は、前記ソノトロード表面により第1の側面が第1の軸方向に規定され、前記横摺動部表面により第2の側面が第2の軸方向に規定され、前記接触表面により第2の側面と対向する第3の側面が規定される。さらに、超音波溶着装置は、第1の停止端を有する第1の受け要素および第2の停止端を有する第2の受け要素を含む。第1の受け要素および第2の受け要素は、開始位置と終了位置との間で互いに対して移動可能に配置されている。終了位置では、第1の停止端と第2の停止端は、挿入室の開口側面の反対側に集められ、接合部品を収容する接合部品受入部を形成する。開始位置では、第1停止縁と第2停止縁は離間している。この場合、接合部品受入部は、挿入室内で接合部品を第1の軸方向および第2の軸方向に位置決めするためにV字形状をしている。
【0010】
本発明の範囲を何ら限定することなく、本発明の実施形態に関連する着想および可能な構造は、特に、以下に説明する思考および知見に基づくものと考えることができる。
【0011】
挿入室は、溶着工程の前に接合部品が挿入される室と見なされるかもしれない。挿入室は、接合部品が限られた容積にしか収容されないように、少なくとも3つの側面で規定されてもよい。
【0012】
ソノトロード表面は、少なくとも横摺動部表面と接触表面の間の部分に延在していてもよい。第2の軸方向は、例えば、第1の軸方向と直交するように配置されてもよいし、ソノトロード表面と平行に配置されてもよい。つまり、ソノトロード表面は、横摺動部表面または接触表面に対してほぼ、すなわち所定の許容範囲内で直交するように配置されていてもよい。あるいは、ソノトロード表面が、横摺動部表面または接触表面に対して僅かな角度で整列されることもできる。横摺動部表面と接触表面は、ほぼ、すなわち所定の許容範囲内で、互いに平行に、あるいはわずかな角度で整列されてもよい。
【0013】
第3の軸方向において、挿入室は、少なくとも1つの側面で、少なくとも部分的に開口していてもよい。この場合、第3の軸方向は、第1の軸方向および第2の軸方向と直交するように配置されてもよい。
【0014】
例えば、挿入室は、左側が横摺動部表面、すなわち横摺動部の表面によって規定され、右側が接触表面、すなわち接触要素の表面によって規定されてもよい。挿入室は、底面がソノトロード表面、すなわちソノトロードの表面によって規定されてもよい。ソノトロード表面の反対側、例えば上部では、挿入室は少なくとも部分的に開口し、接合部品を例えば上方から第1の軸方向に挿入できるようにしてもよい。第3の軸方向において、挿入室は、例えば前部および/または後部の少なくとも一方の側で少なくとも部分的に開口し、例えば前部および/または後部から第3の軸方向に接合部品を挿入することができるようにしてもよい。別の表現をすれば、横摺動部表面、接触表面およびソノトロード表面は、開口された枠、特にU字型の枠のように挿入室を囲んでもよい。
【0015】
特に、いわゆるインラインスプライスを溶着する場合、挿入室は、第3軸方向で対向する2辺の少なくとも部分的に開口し、接合部品を相互に対向する方向に挿入できるようにしてもよい。
【0016】
挿入室を規定する側面は、接合部品が横摺動部表面、接触表面、またはソノトロード表面に接している側面と理解してもよい。このことは、接合部品が、横摺動部表面、接触表面またはソノトロード表面によって規定される限界を超えて挿入室から移動することができないことを意味する。接合部品のためのそのような境界を形成するために、挿入室のそれぞれの側面が横摺動部表面、接触表面またはソノトロード表面によって完全に覆われていることは絶対的に必要ではない。その代わりに、挿入室は、接合部品が挿入室から移動できないことが保証される限り、それぞれの側面に部分的にのみ覆われていてもよい。
【0017】
例えば、横摺動部は、横摺動部表面と接触表面とが互いの方向にまたは互いの方向から離れて移動できるように、第2の軸方向に移動可能に配置されてもよい。このようにすれば、挿入室を第2の軸方向に小さくすることも大きくすることもできる。例えば、挿入室の最大幅を規定するために利用することができる。
【0018】
接合部品が挿入された後、一方では、例えば横摺動部を第2の軸方向に移動させて横摺動部表面と接触表面を相対的に互いに向かって移動させ、他方では、例えばアンビルを第1の軸方向に移動させてソノトロード表面とアンビルのアンビル面を相対的に互いに向かって移動させて、挿入室を一時的に溶着室に縮小してもよい。この場合、接合部品は、定められた圧力で押し付けられてもよい。
【0019】
第1の受け要素と第2の受け要素は、終了位置に移動するときは相対的に互いに向かって移動し、開始位置に移動するときは相対的に互いから離れて移動することができる。このため、両方の受け要素を可動に配置してもよい。しかし、2つの受け要素のうちの1つだけを可動に配置することもできる。終了位置で2つの停止縁は、接合部品の配置が第1の軸方向および第2の軸方向で制限されるように、互いに対して位置決めされてもよい。これは、2つの停止縁が、第1の軸方向でソノトロード表面に向かって先細りのV字形状すなわち楔形状を形成することで達成される。別の表現をすれば、2つの受け要素によって形成される接合部品受入部は、接合部品が挿入され得るV字形すなわち楔形の切り込みを有してもよい。これにより、接合部品は、横摺動部表面および接触表面に対する第2軸方向と、ソノトロード表面に対する第1軸方向との両方に定められた位置を占めることが保証される。
【0020】
2つの停止縁を一緒にしたり離したりすることは、2つの停止縁を互いに近づけるかまたは互いから遠ざけることを目的とした2つの停止縁間の相対的な動きのことである。2つの停止縁は、直線および/または曲線であってよく、ソノトロード表面に対して同じまたは異なる程度に傾斜していてもよい。したがって、停止縁の設計によっては、V字形状すなわち楔形状は、当然だが非対称形状または少なくとも部分的に湾曲した輪郭を有する形状のこともある。
【0021】
接合部品受入部の2つの停止縁、またはその仮想延長線は、点すなわち狭義の領域に収束することができる。点は、曲線または丸みを帯びた先端と見なすこともできる。例えば、点は、横摺動部表面によって規定される平面と、接触表面によって規定される平面との間の中間の空間に配置されてもよい。この場合、2つの停止端は、互いに接触しても接触しなくてもよい。V字形状すなわち楔形状は対称でも非対称でもよく、言い換えれば、2つの停止縁により形成されるV字形状または楔形状の脚部は、ソノトロード表面に対してほぼ同じ角度または異なる角度を持っていてもよい。また、2つの停止縁のうちの1つは、ソノトロード表面に対して少なくともほぼ直交するように、または横摺動部表面および/または接触表面に対して少なくともほぼ平行に整列されてもよい。ただし、2つの停止縁は、2つの受け要素の終了位置で、それぞれソノトロード表面に対して斜めに整列されていると好都合である。接合部品受入部の2つの停止縁は、さらに、共通の平面内に配置されてもよく、すなわち、第2の軸方向に互いに整列されてもよく、あるいは、互いに横方向にずらして配置されてもよい。このようなV字型テーパは、溶着中に一度に1つの接合部品だけがソノトロード表面に載るように、すなわちソノトロードと直接接触するようにするために使用されてもよい。
【0022】
接合部品受入部は、接合部品を第3の軸方向に移動させることができる形状でもよい。例えば、接合部品は、まず接合部品受入部に挿入または予め配置され、その後、第3の軸方向に移動させて挿入室に押し込まれるようにしてもよい。
【0023】
接合部品受入部は、挿入室の開口側に対向して配置されてもよい。これは、挿入室が、2つの受け要素が開始位置にあるときに接合部品受入部が配置されることになる側で開いており、2つの受け要素を一緒にすることによってこの側で少なくとも部分的に規定されることを意味する。接合部品受入部自体は、実際の挿入室の外側に配置されてもよい。これは、第3の軸方向で、接合部品受入部がソノトロード表面に対して明確な隙間、例えば1cmから10cmの間の隙間を持つことを意味する。開始位置では、例えば、挿入室の関連する側面は、制限なく接近可能であってもよい。
【0024】
例えば、第2の受け要素に対する第1の受け要素の配置を変えることで、すなわち第1の受け要素の終了位置および/または第2の受け要素の終了位置を変えることで、2つの受け要素の終了位置における2つの停止縁により含まれる開口角および/または2つの停止縁のソノトロード表面に対するそれぞれの傾斜を変えることが可能である。したがって、開口角または2つの停止縁のそれぞれの傾斜を、接合部品の全体断面またはそれぞれの場合において最大断面を有する接合部品に順応させることができる。このような順応は、断面が変化し、接合部品の数が変化しても、可能であれば、最大の断面を有する接合部品がソノトロード表面に位置し、他の接合部品は溶着される前に互いの上、または少なくとも最大の断面を有する接合部品の上に位置するように意図して行うことができる。
【0025】
必要なら、例えば接合部品の好ましくない組み合わせの場合には、挿入室は、例えば自由に調整可能な横摺動部によってさらに制限されることができる。ただし、これは、接合部品受入部によってもたらされる接合部品の事前整列にとって絶対必要というわけではない。実際、横摺動部は、挿入室が最大幅を有するように、接合部品の挿入中にその程度まで引き込まれることもある。これにより、操作者の挿入室への手の届きやすさが改善される場合がある。
【0026】
最も単純なケースでは、2つの受け要素は、摺動可能な板で構成され、各停止縁が板の斜めの前縁によって形成されることができる。ただし、他の任意の実施形態も可能である。例えば、2つの受け要素は、斜めに配置された棒として構成されてもよい。例えば、2つの受け要素のうちの少なくとも1つが、回転可能または回転および摺動可能に取り付けられてもよい。本質的なことは、2つの受け要素の終了位置で、2つの停止縁が、接合部品のための幾何学的に規定された受入部を形成し、この受入部により接合部品が第1の軸方向および第2の軸方向に規定された位置に保持されることである。
【0027】
このような方法を用いれば、未熟な作業者でも、圧接や溶着を行う前に、接合部品を決まった位置に重ねることができるため、挿入室への接合部品の挿入が容易になる可能性がある。特に、接合部品受入部は、挿入中に最も大きな断面を有する接合部品を最下部に配置することを容易にし、溶着中に最も大きな断面を有する接合部品のみがソノトロードと直接機械的に接触し、他の接合部品はこの接合部品上に載り、および/または他の接合部品の上に載るようにすることができる。終了位置における2つの受け要素の配置に応じて、第2の軸方向、例えば水平方向における接合部品の特定の配置を指定することもできる。例えば、これにより、接合部品を横摺動部表面および/または接触表面から規定された距離、例えば横摺動部表面と接触表面との間の挿入室のほぼ中央に配置することができる。このことは、接合部品を使用者に依存せずに予め位置合わせすることができる、すなわち、溶着工程の前にほぼ理想的な位置に持ってくることができることを意味する。
【0028】
一実施形態によれば、終了位置で、第2の軸方向における第1の停止縁は、少なくとも部分的に横摺動部表面を越えて突出してもよい。それに加えてまたはその代わりに、終了位置で、第2の軸方向における第2の停止縁は、接触表面を超えて少なくとも部分的に突出してもよい。
【0029】
別の表現をすれば、2つの受け要素は、第1の停止縁または第2の停止縁の一部のみが、横摺動部表面で規定される平面と接触表面によって規定される平面との間の中間空間に位置するように、終了位置に配置されてもよい。例えば、横摺動部表面と接触表面との間の距離は、挿入室の最大幅を規定することができる。2つの停止縁の少なくとも一方が横摺動部表面または接触表面を越えて突出していることに起因して、挿入室のソノトロード表面に向かう幅を、少なくとも一方の側、例えば下方で制限することができるのに対して、ソノトロード表面に対向する側、例えば上部では最大のままであってもよい。その結果、接合部品の挿入を容易にし、なおかつ接合部品がソノトロード表面上に横並びになることを防ぐことができる。
【0030】
一実施形態によれば、終了位置において、第1の停止縁は、ソノトロード表面に対して斜めに位置合わせされてもよい。それに加えて或いはその代わりに、終了位置において、第2停止縁は、ソノトロード表面に対して斜めに整列されてもよい。
【0031】
言い換えれば、2つの停止縁のうちの1つは、ソノトロード表面に対して少なくともほぼ直交するように整列されてもよく、2つの停止縁のうちのもう1つは、ソノトロード表面に対して斜めに整列されてもよい。両方の停止縁がソノトロード表面に対して斜めに整列されていると特に好都合である。これにより、挿入中に、接合部品が第2の軸方向で規定された位置に置かれること、または第2の軸方向で横摺動部表面からおよび接触表面から特定の距離にあることを確実にすることができる。特に、これにより、接合部品をソノトロード表面に対して、または横摺動部表面と接触表面との間で中央に位置させることができる。このことは、溶着結果に好影響を与える可能性がある。既に述べたように、停止縁は、ソノトロード表面に対してほぼ同じ角度または異なる角度を含んでいてもよい。
【0032】
一実施形態によれば、第1の受け要素および第2の受け要素は、互いに独立して可動するように配置されてもよい。
【0033】
すなわち、2つの受け要素は、互いに独立して調整可能であってもよい。例えば、これにより、2つの受け要素の終了位置を互いに独立して調整することができる。したがって、接合部品受入部は、接合部品の異なる断面に対して柔軟に調整することができる。
【0034】
一実施形態によれば、終了位置で、第1の受け要素は、第2の受け要素の動きを制限することができる。これに加えて或いはその代わりに、終了位置で、第2の受け要素は、第1の受け要素の動きを制限してもよい。
【0035】
別の表現をすると、終了位置で、第1の受け要素は第2の受け要素のための停止部を形成してもよく、停止部は第2の受け要素の終了位置を特定し、またはその逆も可能である。したがって、ソノトロード表面に対する第2の停止縁の傾斜は、例えば、第1の受け要素の終了位置を変更するか、またはその逆によって、変えることができる。
【0036】
例えば、第1の受け要素は摺動自在に取り付けられ、第2の受け要素は回転自在に取り付けられてもよい。この場合、終了位置において、第1の受け要素は、第2の受け要素の回転運動を制限するように構成されてもよい。ソノトロード表面に対する第2の停止縁の傾斜は、この場合、第2の受け要素の回転角度に依存してもよい。したがって、例えば、開始位置から出発する回転角が大きいほど、傾斜は小さくてもよい。第2の受け要素の最大回転角度、したがって第2の停止縁の最小傾斜は、この場合、第1の受け要素の終了位置で規定される。
【0037】
一実施形態によれば、超音波溶着装置は、駆動装置をさらに含んでもよい。駆動装置は、駆動力を加えると、第1の受け要素および/または第2の受け要素を開始位置と終了位置との間で移動させるように構成されてもよい。
【0038】
駆動装置は、モーターにより2つの受け要素を移動させる装置と見なすことができる。この目的のために、駆動装置は、例えば、電動モーターを含んでもよい。また、例えば線形作動装置の形態の空気圧式または油圧式作動装置を備えた駆動装置も考えられる。駆動装置は、第1の受け要素を第2の受け要素に機械的に結合するための結合要素および/または2つの受け要素のそれぞれの移動を誘導するための誘導要素を含んでもよい。機械的結合は、例えば、ある伝達比を考慮して、第1の受け要素の動きを第2の受け要素の動きに変換するように構成されてもよく、またはその逆も可能である。それに加えて或いはその代わりに、駆動装置は、2つの受け要素のうちの少なくとも1つを横摺動部に機械的に結合する追加の結合要素を含んでもよい。このような機械的結合の代わりに、駆動装置は、2つの受け要素のそれぞれについて、または横摺動部についても、例えば電気モーターなどの専用の作動装置要素を含んでもよい。この場合、作動装置要素は、2つの受け要素または2つの受け要素のうちの少なくとも1つを横摺動部に機械的に結合する必要なく、対応する制御システムによって互いに依存して調整可能であってもよい。この駆動装置により、2つの受け要素を正確かつ再現性よく調整することができる。
【0039】
一実施形態によれば、超音波溶着装置は、接合部品の所定の総断面積に基づいて駆動装置の制御信号を生成するように構成された制御装置をさらに含んでもよい。この場合、制御信号に基づいて、駆動装置は、第1の受け要素および/または第2の受け要素を、開始位置と総断面積に順応される終了位置との間で移動させるように構成されてもよい。
【0040】
制御装置は、例えば、超音波溶着装置の操作者からの入力を処理するように構成されてもよい。例えば、制御装置が、操作者の入力に基づいて、接合部分の総断面積または最大断面積を計算することができる。駆動装置は、(総)断面積計算値を、2つの受け要素の対応する移動に変換するように、あるいは対応する選択された終了位置に移動するように構成されることができる。例えば、(総)断面積計算値が大きいほど、接合部品受入部の開口角を大きく選択することができる。さらに、制御信号に基づいて、駆動装置は、第2の軸方向における接合部品受入部の位置および/または(総)断面積計算値に対応する横摺動部表面と接触表面との間の距離を調整するように構成されてもよい。本実施形態は、超音波溶着装置の動作をさらに簡略化することができる。特に、手動で行うべき操作工程数を減らすことができる。
【0041】
一実施形態によれば、横摺動部は、開始位置と終了位置との間で移動可能に配置されてもよい。この場合、横摺動部表面と第2の軸方向における接触表面との間の距離は、横摺動部の終了位置よりも開始位置でより大きくてもよい。
【0042】
つまり、横摺動部を移動させて挿入室の幅を変えることができる。特に、横摺動部は、ソノトロード表面または接触表面に対して第2の軸方向に相対的に摺動可能に配置されていてもよい。横摺動部の開始位置を横摺動部の引き込み位置と見なし、終了位置を横摺動部の引き抜き位置と見なしてもよい。
【0043】
一実施形態によれば、駆動装置は、駆動力を加えて横摺動部を開始位置と終了位置との間でも移動させるように構成されてもよい。
【0044】
この場合、駆動装置は、横摺動部を独立して、または2つの受け要素に依存して移動させるように構成されてもよい。
【0045】
一実施形態によれば、駆動装置は、第1の受け要素および/または第2の受け要素の移動に応じて横摺動部を移動させるように構成されてもよい。
【0046】
別の表現をすれば、横摺動部は、2つの受け要素のうちの少なくとも1つが第1の終了位置にある場合は第1の終了位置にあってもよく、2つの受け要素のうちの少なくとも1つが第1の終了位置からずれた第2の終了位置にある場合は第1の終了位置からずれた第2の終了位置にあってもよい。例えば、横摺動部は、接合部品受入部の開口角が小さくなるにつれて、横摺動部表面の接触表面に対する距離が小さくなるように、またはその逆に、2つの受け要素のうちの少なくとも1つに結合されてもよい。その結果、横摺動部と第1または第2受け要素は、一工程で一緒に調整されることがある。したがって、超音波溶着装置の操作がさらに簡素化される。
【0047】
一実施形態によれば、第1の受け要素は、第2の軸方向に摺動可能に取り付けられてもよい。それに加えてあるいはその代わりに、第2の受け要素は、第2の軸方向に摺動可能に取り付けられてもよい。
【0048】
別の表現をすれば、これにより、第1または第2の受け要素をソノトロード表面に平行に調整することができる。例えば、横摺動部と共に第1の受け要素を第2の軸方向に摺動可能に取り付けてもよい。2つの受け要素は、これら2つの受け要素がそれぞれの終了位置に移動されるときに互いに向かって直線的に移動され、それぞれの開始位置に移動されるときに互いから離れるように、互いに反対方向に摺動可能に取り付けられてもよい。その結果、第1または第2の受け要素の取り付けは、ほとんど設計努力なしで実施することができる。
【0049】
一実施形態によれば、第1の受け要素が回転可能に取り付けられてもよく、さらにあるいは代わりに、第2の受け要素が回転可能に取り付けられてもよい。
【0050】
例えば、設置スペースが限られるという理由から、2つの受け要素のうち少なくとも1つが回転可能に取り付けられていてもよい。また、2つの受け要素のうち少なくとも1つが回転可能かつ摺動可能に取り付けられていてもよい。
【0051】
一実施形態によれば、超音波溶着装置は、追加の第1の停止縁を有する追加の第1の受け要素および追加の第2の停止縁を有する追加の第2の受け要素を含んでもよい。この場合、追加の第1の受け要素および追加の第2の受け要素は、追加の開始位置と追加の終了位置との間で互いに対して可動に配置されてもよい。更なる第1の停止縁および更なる第2の停止縁は、挿入室の更なる開口側と反対の更なる終了位置で一緒にされ、更なる接合部品を収容する更なる接合部品受入部を形成してもよく、更なる開始位置に離れて移動されてもよい。この場合、更なる接合部品を第1の軸方向および第2の軸方向に位置決めするために、接合部品受入部はV字形状であってもよい。
【0052】
例えば、第1の受け要素および追加の第1の受け要素は、それぞれ横摺動部の側に配置されてもよく、第1の受け要素と追加の第1の受け要素との間に横摺動部を移動可能に配置することができる。同様に、例えば第2の受け要素および更なる第2の受け要素は、各々、接触要素の側に配置されてもよい。この場合、第1の受け要素は、追加の第1の受け要素とともに、開始位置と終了位置との間で移動可能であってもよい。さらにあるいは代りに、第2の受け要素は、追加の第2の受け要素とともに、開始位置と終了位置との間で移動可能であってもよい。例えば、接合部品受入部と更なる接合部品受入部は、互いに対向しておよび/または挿入室の異なる側に配置されてもよい。その結果、接合部品は、定義された方向で、異なる側、特に対向する側から挿入室に挿入される。例えば、第1の受け要素と更なる第1の受け要素は同一の構造でもよい。例えば、第2の受け要素及と更なる第2の受け要素も同一の構造であってもよい。
【0053】
一実施形態によれば、接合部品受入部と更なる接合部品受入部は、挿入室の対向する側に配置されてもよい。
【0054】
対向する側は、例えば、第3の軸方向に並んだ挿入室の前側または後側であってもよい。また、接合部品受入部と追加の接合部品受入部とは、互いに整列して配置されてもよい。しかし、接合部品受入部と更なる接合部品受入部とが、互いに横方向にずれて配置されることも可能である。これにより、インラインスプライスの形で溶着される細長い接合部品を、それぞれ正しく位置合わせされた状態で対向する側から挿入室に導入することができる。
【0055】
なお、本発明の実施形態の可能な構造および利点は、本明細書において、一部は本発明に従って構成された超音波溶着装置を参照し、一部はこれを操作または使用する態様を参照して説明されている。当業者は、個々の実施形態について説明された構造を、類似の方法で他の実施形態に好適に移転し、本発明のさらなる実施形態に到達するために順応させ、かつ/あるいは交換し、相乗効果をもたらす可能性があることを認識している。
【図面の簡単な説明】
【0056】
本発明の有利な実施形態を、添付の図面を参照して以下にさらに説明するが、図面および説明はいずれも、本発明を何ら限定するものとして解釈されないものとする。
図1図1は、受け要素が終了位置にある、本発明の例示的な実施形態による超音波溶着装置を示す概略図である。
図2図2は、図1の超音波溶着装置で、受け要素が別の終了位置にある状態を示す。
図3図3は、図1の超音波溶着装置で、受け要素が開始位置にある状態を示す。
図4図4は、図1の超音波溶着装置を上方から見た図である。
図5図5は、図1の超音波溶着装置の透視図である。
図6図6は、図2の超音波溶着装置の透視図である。
【0057】
図は、単なる模式図であり、正確な縮尺ではない。様々な図面における同一の参照数字は、同一の構造または同一の効果を有する構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0058】
図1は、ソノトロード102、横摺動部104および接触要素106を備えた超音波溶着装置100の概略図である。ソノトロード102、横摺動部104および接触要素106は、接合部品110、ここでは例として、一つに溶着されるケーブル端を有する3本のケーブルを挿入する挿入室108を規定する。挿入室108は、ソノトロード102のソノトロード表面112によって、第一の側、ここでは下側に規定されている。それによって、第1の側は、第1の軸方向yに挿入室108を規定する。第2の側、ここでは左側、または第2の側に対向する第3の側、ここでは右側で、挿入室108は、それぞれ横摺動部104の横摺動部表面114または接触要素106の接触表面116により規定される。第2の側および第3の側は、第1の軸方向yと直交する第2の軸方向xに挿入室108を規定する。例えば、挿入室108は、第1の側に対向する第4の側、ここでは上側が開口されている。同様に、挿入室108は、第5の側、ここでは前側、および第5の側と対向する第6の側、ここでは後側が開口されており、この例では、挿入室108に接合部品110を前、後、および上から挿入することができるようになっている。接合部品110を溶着するには、例えば図3に示すように、両方の軸方向x,yに移動可能に配置されたアンビルによって上側を閉じることができる。
【0059】
最良の溶着結果を得るには、接合部品110は、挿入室108内で第1の軸方向yに互いにできるだけ上方に配置され、特に、ソノトロード表面112に接合部品110が並ばないようにすることが望ましい。これを防止するために、最も大きな断面積を有する接合部品110を最下部に配置し、残りの接合部品110を最も大きな断面積を有する接合部品110の上に配置するのが有効である。
【0060】
超音波溶着装置100の操作者によるこのような挿入室108における接合部品110の配置を容易にするために、この超音波溶着装置100は、第1の停止縁120を有する第1の受け要素118と第2の停止縁124を有する第2の受け要素122を含む。2つの受け要素118,122はそれぞれ、開始位置と終了位置との間で移動可能に、ここでは一例として、第2の軸方向xに摺動可能に配置されており、さらにまたは代わりに、図6に示すように、2つの受け要素118,122の少なくとも一方は回転可能に取り付けられていてもよい。図1は、2つの受け要素118,122のそれぞれがその終了位置にある状態を示している。この場合、それぞれがソノトロード表面112に対して斜めに延びる2つの停止縁120,124は、互いに組み合わされて、接合部品110を挿入可能なV字形の接合部品受入部126を形成している。表現を変えると、結合された2つの停止縁120,124は、挿入室108の前面側に対向するV字状すなわち楔状の切り込みを形成している。この切り込みに、接合部品110を挿入することができる。接合部品受け126のV字形状は、好ましくは最大の断面積を有する接合部品110がV字形状の先端で静止し、残りの接合部品110が互いに重なるかまたは最大の断面積を有する接合部品110の上に位置するが、ソノトロード表面112にはないように、第1の軸方向y、すなわちソノトロード表面112に対して直角、および第2の軸方向x、すなわちソノトロード表面112に対して水平、に接合部品110を揃える効果を有している。
【0061】
2つの受け要素118,122の終了位置は、この例では、第1の停止縁120の一部が横摺動部表面114から突出し、第2の停止縁124の一部が接触表面116から突出するように選択される。言い換えれば、V字形の先端は、xの位置、すなわち、横摺動部表面114のxの位置と、接触表面116のxの位置との間に位置する第2の軸方向xの位置にある。先端のx位置に応じて、接合部品110は、ソノトロード表面112に対して挿入室108内に、例えば、中央に配置されるか、より左側にずらされるか、または、より右側にずらされるかのいずれかに配置される。したがって、先端のx位置、すなわち2つの受け要素118,122の対応するそれぞれの終了位置は、接合部品110の最大の断面に依存して選択されてもよい。
【0062】
図1に例として示すように、2つの受け要素118,122は、それぞれの終了位置で、例えば停止縁120,124の領域で互いに接触していてもよい。この場合、第1の受け要素118が、終了位置で第2の受け要素122のための停止部を形成すること、またはその逆が可能である。別の表現をすれば、第2の受け要素122はその終了位置に位置する第1の受け要素118に突き当たるまで、第2の軸方向xにのみ変位することができる。この意味において、第2の受け要素122の終了位置は、第1の受け要素118の終了位置によって規定されてもよい。ただし、2つの受け要素118,122が互いに独立して移動できるように配置することもできる。
【0063】
さらに、超音波溶着装置100は、2つの受け要素118,122に第2の軸方向xに作用する駆動力を加える駆動装置128を含み、これにより、2つの受け要素118,122がそれぞれの開始位置と終了位置との間で相互に反対方向に変位するようになっている。一例として、駆動装置128は、ここでは2つの別個の直進作動装置によって形成されており、その各々は、受け要素118,122のうちの1つに結合されている。
【0064】
例示的な実施形態によれば、駆動装置128は、制御装置130で制御されてもよい。これは、操作者の入力、例えば接合部品110の最大断面積または全断面積に関する入力に基づいて、対応する制御信号132を生成するように構成されてもよい。駆動装置128は、制御信号132に基づいて、2つの受け要素118,122を対応する終了位置に移動させるように構成されてもよい。例えば、V字形の先端、すなわち停止縁120,124の収束する領域が、横摺動部表面114と接触表面116との間でより中心側に配置されるように、制御装置130により終了位置が選択されてもよく、接合部品110の最大断面積および/または全断面積がより大きくなるようにしてもよい。
【0065】
受け要素118,122と同様に、横摺動部104も、第2の軸方向xにおける開始位置と終了位置との間で摺動可能に配置されてもよく、横摺動部114の開始位置で、横摺動部表面114が接触表面116と共に第2の軸方向xにおける挿入室108の最大幅を特定することができる。必要に応じて、横摺動部104は、駆動装置128が関連する受け要素に駆動力を加えると関連する受け要素と横摺動部104が互いに依存して動くことができるように、2つの受け要素118,122の少なくとも1つに機械的に結合されてもよい。この場合、横摺動部104の移動は、関連する受け要素の移動の線形または非線形関数と見なされ、またはその逆も然りである。この機能は、対応する制御曲線または経路誘導により実現されてもよい。
【0066】
図2は、図1の超音波溶着装置100を、接合部品受入部126が図1と比較して第2の軸方向xにさらに左側に移動している2つの受け要素118,122の別の終了位置で示す。別の表現をすると、ここでは、2つの停止縁120,124によって形成されるV字形の先端は、横摺動部表面114により規定される平面と、接触表面116により規定される平面との間のほぼ中央に位置するが、図1における先端は、横摺動部表面114よりも接触表面116の方に近いところに位置している。これにより、図1に比べてより大きな断面積を持つ接合部品110を挿入室108に配置することができる。この先端は、第1の軸方向yでソノトロード表面112の下方に位置していると有利である。これにより、接合部品110をソノトロード表面112に位置決めするための十分なスペースが確保され、溶着過程で最下段の接合部品110がソノトロード表面112に平らに載る。
【0067】
図3は、図1の超音波溶着装置100の溶着工程の様子を示す。この場合、2つの受け要素118,122はそれぞれの開始位置にある。横摺動部104はその終了位置にある。挿入室108は、挿入室108とは異なり、アンビル302によって上側が閉じている溶着室300に縮小されている。積層された接合部品110は、溶着室300内で規定の圧力で押し付けられ、ソノトロード102の超音波振動により溶着される。より正確には、第1軸方向yで、接合部品110は、ソノトロード表面112とソノトロード表面112に向けられたアンビル面304の間で、また、第2軸方向xで、横摺動部表面114と接触表面116の間で互いに押し合わされる。両方の受け要素118,122は、溶着室300の外側のそれぞれの開始位置にある。
【0068】
図4は、図1の超音波溶着装置100を上から見た図である。ここでは、インラインスプライスを行うために、前側から挿入室108に接合部品110を挿入し、さらに後側から接合部品110’を挿入していることが分かる。分かりやすくするために、図4は、各場合における接合部品110,110’の一例のみを示す。挿入室108の第1軸方向yおよび第2軸方向xの両側で接合部品110,110’を好適に支持するために、この例では、超音波溶着装置100は、追加の接合部品110’を挿入する接合部品受入部126に加え、さらにV字型の接合部品受入部400を含む。接合部品受入部126と同様に、追加の接合部品受入部400は、追加の第1の停止縁404を有する追加の第1の受け要素402と追加の第2の停止縁408を有する追加の第2の受け要素406を含む。追加の受け要素402,406はそれぞれ、開始位置と終了位置との間で第2の軸方向xに摺動可能に配置され、それぞれの終了位置で追加の接合部品受入部400を形成することもできる。
【0069】
インラインスプライスを溶着するためには、図4に示すように、2つの接合部品受入部126,400が互いに反対側に配置され、その中に配置された接合部品110,110’が第3の軸方向zに互いに整列するようにすると好都合である。第3の軸方向zは、第1の軸方向yおよび第2の軸方向xに直交するように整列されてもよい。
【0070】
横摺動部104は、例えば、第1の受け要素118と更なる第1の受け要素402との間に配置されてもよい。さらにまたは代わりに、接触要素106は、第2の受け要素122と追加の第2の受け要素406との間に配置されてもよい。
【0071】
受け要素118,122,402,406は、例えば、それぞれ、前面が面取りされた停止縁としての単純な板、例えば曲げ板として実装することができる。しかしながら、他の好適な実施形態、例えば、湾曲した輪郭を有する停止縁も可能である。さらにまたは代わりに、受け要素118,122,402,406も、既に述べたように、図6に模式的に示されるように、枢動するように配置されてもよい。
【0072】
図5は、図1の超音波溶着装置100を透視した図である。第1の受け要素118および更なる第1の受け要素402を直線で誘導する直線誘導装置500を見ることができる。駆動装置128の構成要素と見なし得る直線誘導装置500は、2つの受け要素118,402の調整路に依存して横摺動部104を調整するように構成されてもよい。ここで、受け要素118,122,402,406はそれぞれ、より小さな断面を有する電気ケーブルを溶着するのに特に好適な終了位置にある。
【0073】
図6は、図2の超音波溶着装置100を透視した図である。図2を参照して既に説明したように、ここでは、挿入中に、より大きな断面積を有する電気ケーブルが横摺動部104と接触要素106との間のほぼ中間に位置するように、受け要素118,122,402,406の終了位置が選択される。さらに、第1の受け要素118および追加の第1の受け要素402とは対照的に、第2の受け要素122および追加の第2の受け要素406は、開始位置と終了位置との間で調節可能なように、ここでは回転可能に取り付けられていることが分かる。
【0074】
本発明の様々な実施形態について、以下に改めて他の言葉で要約する。
【0075】
受け要素118,122,402,406の移動経路は、例えば、制御曲線または対応するプログラムされた作動駆動で指定されてもよい。接合部品110または更なる接合部品110’の挿入用のV字形状の挿入部を形成するために、第1の受け要素118の反対側に配置された第2の受け要素122または更なる第1の受け要素402の反対側に配置された更なる第2の受け要素406は、溶着される接合部品110の数および断面に応じて、追加的に連結されてもよい。
【0076】
既に述べたように、第1の受け要素118、402および/または第2の受け要素122,406は、それぞれの場合に、例えば制御曲線によって、所定の伝達比、特に可変の伝達比に対応する横摺動部104の移動に依存して移動可能であってもよい。
【0077】
ソノトロード表面112に対する停止縁120,124,404,408のそれぞれの傾斜は、例えば、関連する受け要素118,122,402,406を適宜枢動させることによって、変えることができる。
【0078】
なお、「有する」、「含む」などの用語は、他の要素や工程を排除するものではなく、「1つ」という用語は、複数を排除するものではない。さらに、上記の例示的な実施形態の1つを参照して説明された構造または工程は、上記の他の例示的な実施形態の他の構造または工程と組み合わせて使用することもできる。特許請求の範囲における参照数字は、限定とみなされない。
【符号の説明】
【0079】
参照符号一覧
y 第1の軸方向
x 第2の軸方向
z 第3の軸方向
100 超音波溶着装置
102 ソノトロード
104 横摺動部
106 接触要素
108 挿入室
110 接合部品
110’ 追加の接合部品
112 ソノトロード表面
114 横摺動部表面
116 接触表面
118 第1の受け要素
120 第1の停止縁
122 第2の受け要素
124 第2の停止縁
126 接合部品受入部
128 駆動装置
130 制御装置
132 制御信号
300 溶着室
302 アンビル
304 アンビル表面
400 追加の接合部品受入部
402 追加の第1の受け要素
404 追加の第1の停止縁
406 追加の第2の受け要素
408 追加の第2の停止縁
500 直線誘導装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6