IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダイキン工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-油圧ユニット 図1
  • 特許-油圧ユニット 図2
  • 特許-油圧ユニット 図3
  • 特許-油圧ユニット 図4
  • 特許-油圧ユニット 図5
  • 特許-油圧ユニット 図6
  • 特許-油圧ユニット 図7
  • 特許-油圧ユニット 図8
  • 特許-油圧ユニット 図9
  • 特許-油圧ユニット 図10
  • 特許-油圧ユニット 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-31
(45)【発行日】2023-11-09
(54)【発明の名称】油圧ユニット
(51)【国際特許分類】
   F15B 20/00 20060101AFI20231101BHJP
   F15B 1/26 20060101ALI20231101BHJP
【FI】
F15B20/00 E
F15B1/26
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019212482
(22)【出願日】2019-11-25
(65)【公開番号】P2021085416
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-09-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100176463
【弁理士】
【氏名又は名称】磯江 悦子
(74)【代理人】
【識別番号】100183232
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 敏行
(72)【発明者】
【氏名】山崎 敬二郎
【審査官】藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-253674(JP,A)
【文献】特開2001-038114(JP,A)
【文献】特開2005-195081(JP,A)
【文献】特開2012-041767(JP,A)
【文献】特開平10-089316(JP,A)
【文献】特開平05-071511(JP,A)
【文献】特開2008-303985(JP,A)
【文献】特開2011-085044(JP,A)
【文献】特開2012-097822(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 20/00
F15B 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動油を貯留する作動油タンク(10)と、
上記作動油タンク(10)内の作動油を吸い込んで油圧アクチュエータへ吐出する油圧ポンプ(30)と、
上記油圧ポンプ(30)の作動油の吐出圧力を検出する圧力検出部(91)と、
上記圧力検出部(91)によって検出された吐出圧力に基づいて、上記油圧ポンプ(30)の作動油の吐出圧力が一定となるように、上記油圧ポンプ(30)を制御する保圧制御部(61)と、
上記油圧ポンプ(30)の回転数を検出する回転数検出部(92)と、
上記保圧制御部(61)の制御が行われているとき、少なくとも、上記圧力検出部(91)によって検出された吐出圧力の変動幅が所定の変動幅(PW)を上回り、かつ、上記回転数検出部(92)によって検出された回転数が所定の回転数(RT)を上回ると、メンテナンスを促す警告を発報する警告発報部(63,93,263)と
上記油圧ポンプ(30)の回転数を検出する回転数検出部(92)と、
上記回転数検出部(92)によって検出された回転数に基づいて、上記油圧ポンプ(30)の回転数が一定となるように、上記油圧ポンプ(30)を制御する流量制御部(62)と
を備え、
上記保圧制御部(61)の制御が行われているとき、上記圧力検出部(91)によって検出された吐出圧力の変動幅が所定の変動幅(PW)を上回り、かつ、上記回転数検出部(92)によって検出された回転数が所定の回転数(RT)を上回ると共に、上記流量制御部(62)の制御が行われているとき、上記圧力検出部(91)によって検出された吐出圧力が所定の圧力(PT)を下回ると、上記警告が発報されることを特徴とする油圧ユニット(1)。
【請求項2】
作動油を貯留する作動油タンク(10)と、
上記作動油タンク(10)内の作動油を吸い込んで油圧アクチュエータへ吐出する油圧ポンプ(30)と、
上記油圧ポンプ(30)の作動油の吐出圧力を検出する圧力検出部(91)と、
上記圧力検出部(91)によって検出された吐出圧力に基づいて、上記油圧ポンプ(30)の作動油の吐出圧力が一定となるように、上記油圧ポンプ(30)を制御する保圧制御部(61)と、
上記油圧ポンプ(30)の回転数を検出する回転数検出部(92)と、
上記保圧制御部(61)の制御が行われているとき、少なくとも、上記圧力検出部(91)によって検出された吐出圧力の変動幅が所定の変動幅(PW)を上回り、かつ、上記回転数検出部(92)によって検出された回転数が所定の回転数(RT)を上回ると、メンテナンスを促す警告を発報する警告発報部(63,93,263)と
上記油圧ポンプ(30)の回転数を検出する回転数検出部(92)と、
上記回転数検出部(92)によって検出された回転数に基づいて、上記油圧ポンプ(30)の回転数が一定となるように、上記油圧ポンプ(30)を制御する流量制御部(62)と、
上記油圧ポンプ(30)を駆動するモータ(40)と、
上記モータ(40)の消費電流を検出する消費電流検出部(264)と
を備え、
上記保圧制御部(61)の制御が行われているとき、上記圧力検出部(91)によって検出された吐出圧力の変動幅が所定の変動幅(PW)を上回り、かつ、上記回転数検出部(92)によって検出された回転数が所定の回転数(RT)を上回ると共に、上記流量制御部(62)の制御が行われているとき、上記消費電流検出部(264)によって検出された消費電流が所定の消費電流を下回ると、上記警告が発報されることを特徴とする油圧ユニット(201)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、油圧ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、油圧ユニットとしては、作動油タンク内の作動油を吸い込んで油圧アクチュエータへ吐出する油圧ポンプを備えたものがある(例えば特許文献1(特許第4245065号公報)参照)。この油圧ユニットでは、例えば、作動油タンク内の作動油がなくなると、ドライ運転状態となるため、油圧ポンプが停止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4245065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の油圧ユニットでは、油圧ポンプはストレーナを介して作動油タンク内の作動油を吸い込むが、ストレーナの目詰まりで油圧ポンプへの作動油の流量が低下すると、ドライ運転と判断されて、油圧ポンプがいきなり停止してしまう。
【0005】
要するに、上記従来の油圧ユニットには、異常停止前に警告が出ないという問題がある。
【0006】
本開示の課題は、異常停止する前に警告を出すことができる油圧ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様の油圧ユニットは、
作動油を貯留する作動油タンクと、
上記作動油タンク内の作動油を吸い込んで油圧アクチュエータへ吐出する油圧ポンプと、
上記油圧ポンプの作動油の吐出圧力を検出する圧力検出部と、
上記圧力検出部によって検出された吐出圧力に基づいて、上記油圧ポンプの作動油の吐出圧力が一定となるように、上記油圧ポンプを制御する保圧制御部と、
上記油圧ポンプの回転数を検出する回転数検出部と、
上記保圧制御部の制御が行われているとき、少なくとも、上記圧力検出部によって検出された吐出圧力の変動幅が所定の変動幅を上回り、かつ、上記回転数検出部によって検出された回転数が所定の回転数を上回ると、メンテナンスを促す警告を発報する警告発報部と
を備える。
【0008】
上記構成によれば、上記保圧制御部の制御が行われているとき、少なくとも、圧力検出部によって検出された吐出圧力の変動幅が所定の変動幅を上回り、かつ、上記回転数検出部によって検出された回転数が所定の回転数を上回ると、メンテナンスを促す警告が発報される。したがって、上記油圧ポンプの異常停止前に警告を出すことができる。
【0009】
一態様の油圧ユニットでは、
上記油圧ポンプの回転数を検出する回転数検出部と、
上記回転数検出部によって検出された回転数に基づいて、上記油圧ポンプの回転数が一定となるように、上記油圧ポンプを制御する流量制御部と
を備え、
上記保圧制御部の制御が行われているとき、上記圧力検出部によって検出された吐出圧力の変動幅が所定の変動幅を上回り、かつ、上記回転数検出部によって検出された回転数が所定の回転数を上回ると共に、上記流量制御部の制御が行われているとき、上記圧力検出部によって検出された吐出圧力が所定の圧力を下回ると、上記警告が発報される。
【0010】
上記態様によれば、上記保圧制御部の制御が行われているとき、圧力検出部によって検出された吐出圧力の変動幅が所定の変動幅を上回り、かつ、回転数検出部によって検出された回転数が所定の回転数を上回ると共に、流量制御部の制御が行われているとき、圧力検出部によって検出された吐出圧力が所定の圧力を下回ると、メンテナンスを促す警告が発報される。したがって、上記警告が発報された場合、吐出圧力の変動幅が所定の変動幅を上回り、かつ、回転数が所定の回転数を上回るだけで警告が発報された場合よりも、メンテナンスの必要性が高くなる。すなわち、上記吐出圧力の変動幅が所定の変動幅を上回り、かつ、回転数が所定の回転数を上回るだけで発報される警告よりも、緊急性が高い警告を発報することができる。
【0011】
一態様の油圧ユニットでは、
上記油圧ポンプの回転数を検出する回転数検出部と、
上記回転数検出部によって検出された回転数に基づいて、上記油圧ポンプの回転数が一定となるように、上記油圧ポンプを制御する流量制御部と、
上記油圧ポンプを駆動するモータと、
上記モータの消費電流を検出する消費電流検出部と
を備え、
上記保圧制御部の制御が行われているとき、上記圧力検出部によって検出された吐出圧力の変動幅が所定の変動幅を上回り、かつ、上記回転数検出部によって検出された回転数が所定の回転数を上回ると共に、上記流量制御部の制御が行われているとき、上記消費電流検出部によって検出された消費電流が所定の消費電流を下回ると、上記警告が発報される。
【0012】
上記態様によれば、上記保圧制御部の制御が行われているとき、圧力検出部によって検出された吐出圧力の変動幅が所定の変動幅を上回り、かつ、回転数検出部によって検出された回転数が所定の回転数を上回ると共に、流量制御部の制御が行われているとき、消費電流検出部によって検出された消費電流が所定の消費電流を下回ると、メンテナンスを促す警告が発報される。したがって、上記警告が発報された場合、吐出圧力の変動幅が所定の変動幅を上回り、かつ、回転数が所定の回転数を上回るだけで警告が発報された場合よりも、メンテナンスの必要性が高くなる。すなわち、上記吐出圧力の変動幅が所定の変動幅を上回り、かつ、回転数が所定の回転数を上回るだけで発報される警告よりも、緊急性が高い警告を発報することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示の第1実施形態の油圧ユニットの斜視図である。
図2】上記油圧ユニットの正面図である。
図3】上記油圧ユニットの背面図である。
図4】上記油圧ユニット1の回路図である。
図5】上記油圧ユニットの保圧制御および流量制御を説明するための特性図である。
図6】油圧ポンプの吐出圧力とモータの回転数との時間変化を示すグラフである。
図7】油圧ポンプの吐出圧力とモータの回転数との時間変化を示す他のグラフである。
図8】本開示の第2実施形態の油圧ユニットの回路図である
図9】上記モータの消費電流の時間変化を示すグラフである。
図10】上記モータの消費電流の時間変化を示す他のグラフである。
図11】上記モータの消費電流の時間変化を示す他のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の油圧ユニットを図示の実施の形態により詳細に説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0015】
〔第1実施形態〕
図1は、本開示の第1実施形態の油圧ユニット1を斜め上方から見た図を示す。この油圧ユニット1は、例えば、射出成形機、プレス機、工作機械などの産業機械(主機)の油圧アクチュエータ(例えば油圧シリンダ)に作動油を供給する。
【0016】
油圧ユニット1は、作動油を貯留する油タンク10と、油タンク10の上部に取り付けられた架台20と、油圧ポンプ30と、油圧ポンプ30を駆動するモータ40(図2に示す)と、油圧ポンプ30から吐出された作動油を冷却するオイルクーラ50と、モータなどを制御するコントローラ60とを備える。油圧ポンプ30、モータ40、オイルクーラ40およびコントローラ60は、架台20に載置されている。なお、油タンク10は、作動油タンクの一例である。
【0017】
油タンク10の前壁10aの上部には、ユーザが油タンク10内の作動油の残量を視認するための油面計70が取り付けられている。また、油タンク10の前壁10aかつ油面計70の下側には、排油口11が設けられている。
【0018】
モータ40は、例えばIPM(Interior Permanent Magnet)モータなどの可変速モータである。
【0019】
図2は、油圧ユニット1を前側から見た図を示す。また、図3は、油圧ユニット1を後側から見た図を示す。
【0020】
油圧ユニット1は、図2図3に示すように、モータ40およびオイルクーラ50に冷却空気を供給する冷却ファン80を備える。冷却ファン80から吹き出された冷却空気は、オイルクーラ50を通過した後、モータ40が配置された風路を流れる。この風路は、架台20とカバー21とコントローラ60とで画定される。
【0021】
また、油圧ユニット1は、架台20に挿通された例えば円筒状のサクションパイプ22を備える。このサクションパイプ22の一端部は、油圧ポンプ30の吸入側に着脱可能に接続されている。一方、サクションパイプ22の他端部は、油タンク10内に位する。また、サクションパイプ22の下端部には、サクションパイプ22に吸引される作動油からゴミを取り除くための例えば円筒状のストレーナ23が設けられている。これにより、油圧ポンプ30の駆動時、油タンク10内の作動油はストレーナ23を介してサクションパイプ22内に吸い込まれて油圧ポンプ30に向かって流れる。油圧ポンプ30に吸い込まれた作動油は上記油圧アクチュエータへ吐出される。
【0022】
図4は、油圧ユニット1の回路図である。
【0023】
油圧ユニット1は、油圧ポンプ30によって吐出される作動油の圧力(以下「吐出圧力」という。)を検出する圧力センサ91と、モータ40の回転数を検出するエンコーダ92とを備える。この圧力センサ91により検出された吐出圧力を示す圧力信号は、コントローラ60へ出力される。また、エンコーダ92により検出されたモータ40の回転数(油圧ポンプ30の回転数)を示す回転数信号も、コントローラ60へ出力される。なお、圧力センサ91は、圧力検出部の一例である。また、エンコーダ92は、回転数検出部の一例である。
【0024】
また、油圧ユニット1では、油圧ポンプ30の駆動時、油圧ポンプ30から吐出された作動油はディスチャージライン24で上記アクチュエータ側へ流す。このディスチャージライン24は、可変絞り弁27が設けられた第1リターンライン25と、オイルクーラ50と、第2リターンライン26とを介して油タンク10に接続されている。これにより、ディスチャージライン24内の作動油は、第1リターンライン25などで油タンク10に戻せるようになっている。
【0025】
また、オイルクーラ50を通過する作動油を冷却するための冷却ファン80は、ファン81と、このファン81を駆動するファンモータ82とを有する。このファンモータ82は、コントローラ60から送出される制御信号で駆動が制御される。
【0026】
また、ディスチャージライン24において第1リターンライン25との接続箇所よりも下流側の部分24aは、リリーフ弁29が設けられた第3リターンライン28を介して油タンク10と連通している。この部分24aは、ディスチャージライン24において圧力センサ91が接続される部分でもある。圧力センサ91は、第1リターンライン25の部分24a内の作動油の圧力を検出するようになっている。
【0027】
コントローラ60は、マイクロコンピュータと入出力回路となどで構成されている。このコントローラ60は、圧力センサ91からの圧力信号とエンコーダ92からの圧力信号となどが入力される。一方、コントローラ60は、駆動信号をモータ40に出力したり、報知信号をスピーカ93に出力したりする。
【0028】
また、コントローラ60は、保圧制御部61、流量制御部62および異常判定部63を有する。この保圧制御部61、流量制御部62および異常判定部63は、それぞれ、ソフトウェアで構成されている。なお、異常判定部63とスピーカ93とが、警告発報部の一例である。
【0029】
保圧制御部61は、圧力センサ91からの圧力信号に基づいて、油圧ポンプ30の作動油の吐出圧力が所定の圧力PSETで一定となるように、油圧ポンプ30を制御する(図5参照)。このとき、保圧制御部61は、圧力センサ91からの圧力信号が示す吐出圧力を所定の圧力PSETとするための駆動信号をモータ40に出力する。
【0030】
流量制御部62は、エンコーダ92からの回転数信号に基づいて、油圧ポンプ30の回転数が所定の回転数RSETで一定となるように、油圧ポンプ30を制御する(図5参照)。より具体的に言うと、流量制御部62は、エンコーダ92からの回転数信号が示すモータ40の回転数から、例えばテーブルなどを用いて油圧ポンプ30の二次側の作動油の流量を算出して、この作動油の流量が所定流量となるように、モータ40に駆動信号を出力する。
【0031】
ここで、モータ40の回転数は単位時間あたりの回転数であって、モータ40の回転数から算出される作動油の流量は単位時間あたりの流量である。
【0032】
異常判定部63には、第1判定部63a、第2判定部63bおよび第3判定部63cが設けられている。
【0033】
第1判定部63aは、保圧制御部61の制御(以下「保圧制御」という。)が行われているとき、圧力センサ91によって検出された吐出圧力の変動幅が所定の変動幅Pを上回っているか否かを判定する。この第1判定部63aによって、上記吐出圧力の変動幅が所定の変動幅Pを上回っていると判定されると、後述する第2判定部63bの判定が行われる。一方、第1判定部63aによって、上記吐出圧力の変動幅が所定の変動幅P以下であると判定されると、後述する第2判定部63bの判定が行われず、再度、第1判定部63aの判定が行われる。要するに、上記吐出圧力の変動幅が所定の変動幅Pを上回ると判定されるまで、第1判定部63aの判定が繰り返される。なお、上記吐出圧力の変動幅が所定の変動幅Pを上回るだけでは、負荷回路の状態変化による圧力不安定が上記吐出圧力の変動となっているかもしれないため、メンテナンスを促す警告はスピーカ93から発報されない。
【0034】
ここで、所定の変動幅Pとしては、例えば、所定の圧力PSETの13%に設定される。このように設定された場合、所定の圧力PSETが例えば7MPaであれば、所定の変動幅Pは0.91MPaとなる。
【0035】
第2判定部63bは、保圧制御時、第1判定部63aの判定に引き続いて判定を行う。より具体的に言うと、保圧制御が行われている場合、第1判定部63aによって、上記吐出圧力の変動幅が所定の変動幅Pを上回っていると判定されたとき、第2判定部63bは、エンコーダ92によって検出されたモータ40の回転数が所定の回転数Rを上回ると、報知信号がスピーカ93に出力される(図5参照)。これにより、メンテナンスを促す第1警告がスピーカ93から発報される。この第1警告は、メンテナンスの緊急性が比較的低レベルであることが伝わるように、例えば「油タンク内の油面が低下している可能性、または、ストレーナが目詰まりしている可能性があります。油タンクおよびストレーナのメンテナンスをすることをお勧めします。」のような内容に設定される。
【0036】
ここで、所定の回転数Rは、例えば、保圧制御の最大回転数の13%に設定される。このように設定された場合、保圧制御の最大回転数が例えば4000min-1であれば、所定の回転数Rは520min-1となる。
【0037】
第3判定部63cは、流量制御時、第2判定部63bの判定に引き続いて判定を行う。より具体的に言うと、保圧制御が行われているとき、第2判定部63bによって、エンコーダ92によって検出されたモータ40の回転数が所定の回転数Rを上回っていると判定された後、流量制御が行われているとき、圧力センサ91によって検出された吐出圧力が所定の圧力Pを下回ると、報知信号がスピーカ93に出力される。これにより、メンテナンスを促す第2警告がスピーカ93から発報される。この第2警告は、メンテナンスの緊急性が比較的高レベルであることが伝わるように、例えば「油タンク内の油面が低下している可能性、または、ストレーナが目詰まりしている可能性があります。できるだけ早く、油タンクおよびストレーナのメンテナンスをすることをお勧めします。」のような内容に設定される。なお、上記第2警告の内容は、第1警告のときよりもメンテナンスを行う必要性が高いことを示す内容であれば、特に限定されない。
【0038】
ここで、所定の圧力Pは、例えば、油圧ポンプ30の異常停止させるときの圧力Pの2倍に設定される。このように設定された場合、上記油圧ポンプ30の異常停止させるときの圧力Pが例えば0.5MPaであれば、上記吐出圧力が、1.0MPaを下回ると、報知信号がスピーカ93に出力される。
【0039】
図5は、油圧ユニット1の保圧制御および流量制御を説明するための特性図である。
【0040】
上記保圧制御では、油圧ポンプ30の吐出圧力が所定の圧力PSETとなるようにモータ40の回転数が制御される。
【0041】
上記流量制御では、モータ40の回転数が所定の回転数RSETとなるように、モータ40の回転数(が制御される。
【0042】
また、網掛けのハッチングで示す領域E1は、油圧ポンプ30の異常停止させるべき領域を示す。一方、斜線のハッチングで示す領域E2は、ユーザに緊急メンテナンスを勧めるべき領域E2を示す。
【0043】
上記構成の油圧ユニット1では、上記保圧制御が行われているとき、第1判定部63aが、圧力センサ91によって検出された吐出圧力の変動幅が所定の変動幅Pを上回っていると判定し、かつ、第2判定部63bが、エンコーダ92によって検出された回転数が所定の回転数を上回っていると判定すると、メンテナンスを促す第1警告がスピーカ93から発報される。したがって、油圧ポンプ30の異常停止前に警告を出すことができる。
【0044】
例えば、圧力センサ91によって検出された吐出圧力と、エンコーダ92によって検出されたモータ40の回転数とが、状態C1から矢印A1方向に変化して状態C2となると、第1警告が発報される。
【0045】
また、上記保圧制御が行われているとき、第1判定部63aが、圧力センサ91によって検出された吐出圧力の変動幅が所定の変動幅Pを上回ると判定しただけでは、メンテナンスを促す警告はスピーカ93から発報されない。したがって、油タンク10内の油面が低下している可能性、または、ストレーナが目詰まりしている可能性が高くなっていると断言し難いときは、メンテナンスをするようにユーザが誘導されない。その結果、無駄なメンテナンスを低減することができる。
【0046】
また、上記保圧制御が行われているとき、第1判定部63aが、圧力センサ91によって検出された吐出圧力の変動幅が所定の変動幅Pを上回っていると判定し、かつ、第2判定部63bが、エンコーダ92によって検出された回転数が所定の回転数を上回っていると判定した後、所定の回転数RSETによる流量制御が行われているとき、第3判定部63cが、圧力センサ91によって検出された吐出圧力が所定圧力を下回っていると判定すると、メンテナンスを促す第2警告がスピーカ93から発報される。したがって、上記第2警告は、第1警告よりも多い発報条件を満たしたときに発報されるので、第1警告よりも緊急性が高い警告とすることができる。
【0047】
例えば、圧力センサ91によって検出された吐出圧力と、エンコーダ92によって検出されたモータ40の回転数とが、状態C3から矢印A2の方向に変化して領域E2内の状態になると、第2警告が発報される。
【0048】
また、第1警告および第2警告は緊急性のレベルを互いに異ならせることができるので、ユーザは油圧ユニット1のメンテナンスの必要性を段階的に把握することができる。
【0049】
図6は、保圧制御時、ストレーナ23の開口の約0%~94%が目詰まりしているとき、圧力センサ91によって検出された吐出圧力と、エンコーダ92によって検出されたモータ40の回転数との時間変化を示すグラフである。
【0050】
図7は、保圧制御時、ストレーナ23の開口の約95%が目詰まりしているとき、圧力センサ91によって検出された吐出圧力と、エンコーダ92によって検出されたモータ40の回転数との時間変化を示すグラフである。
【0051】
図6図7との比較から明らかなように、ストレーナ23の開口の目詰まりが進むと、吐出圧力の変動幅が大きくなる。そして、図示しないが、ストレーナ23の開口において約95%を超える目詰まりが生じると、回転数がさらに増加する。
【0052】
上記第1実施形態では、第1リターンライン25に可変絞り弁27を設けていたが、可変絞り弁19の換わりに可変絞り弁19以外の流量制御弁(例えば流量調整弁)を設けるようにしてもよい。
【0053】
上記第1実施形態では、報知信号がスピーカ93に出力されていたが、例えば、液晶表示部などの表示部、または、複数色の発光が可能な警告灯に出力されてもよい。
【0054】
上記第1実施形態では、圧制御部60a、流量制御部62および異常判定部63は、それぞれ、ソフトウェアで構成されていたが、少なくとも一つが、ハードウェアで構成されてもよい。
【0055】
上記第1実施形態では、第1判定部63aで判定基準として使用される所定の変動幅Pとしては、例えば、所定の圧力PSETの13%に設定されていたが、13%以外に設定してもよい。このように設定する場合、例えば、所定の圧力PSETの10%~15%の範囲内に入るように、所定の変動幅Pを設定するのが好ましい。
【0056】
上記第1実施形態において、第1判定部63aの判定は、所定時間毎に繰り返されるようにしてもよい。
【0057】
上記第1実施形態では、第2判定部63bで判定基準として使用される所定の回転数Rとしては、例えば、保圧制御の最大回転数の13%に設定されていたが、13%以外に設定してもよい。このように設定する場合、例えば、保圧制御の最大回転数の10%~15%の範囲内に入るように、所定の回転数Rを設定するのが好ましい。
【0058】
上記第1実施形態では、第3判定部63cで判定基準として使用される所定の圧力Pとしては、例えば、油圧ポンプ30の異常停止させるときの圧力Pの2倍に設定されていたが、2倍以外に設定してもよい。このように設定する場合、例えば、油圧ポンプ30の異常停止させるときの圧力Pの1.5倍~2.5倍の範囲内に入るように、所定の圧力Pを設定するのが好ましい。
【0059】
上記第1実施形態では、第1判定部63a、第2判定部63bおよび第3判定部63cの全ての判定が行われるようになっていたが、例えば、第1判定部63aの判定は行われるが、第2判定部63bおよび第3判定部63cの判定は行われないようにしてもよい。あるいは、第1判定部63aおよび第3判定部63cの判定は行われるが、第2判定部63bの判定は行われないようにしてもよい。このようにする場合、例えば、第1判定部63aによって、吐出圧力の変動幅が所定の変動幅Pを上回っていると判定された後、流量制御が行われているとき、圧力センサ91によって検出された吐出圧力が所定の圧力Pを下回っているか否かを判定する。その結果、上記第1実施形態と同様に、油タンク10内での油面低下、または、ストレーナ23の目詰まりの検知精度を上げることができる。
【0060】
〔第2実施形態〕
図8は、本開示の第2実施形態の油圧ユニット201の回路図である。
【0061】
油圧ユニット201は、コントローラ260を備えている点が、上記第1実施形態と異なる。
【0062】
コントローラ260は、異常判定部263と、モータ40の消費電流を検出する消費電流検出部264とを有している。この異常判定部263および消費電流検出部264は、それぞれ、ソフトウェアで構成されている。なお、異常判定部263とスピーカ93とが、警告発報部の一例である。
【0063】
異常判定部263の第3判定部263cは、上記第1実施形態の第3判定部63cとは異なる判定を行う。
【0064】
第3判定部263cは、流量制御時、第2判定部63bの判定に引き続いて判定を行う。より具体的に言うと、保圧制御が行われているとき、第2判定部63bによって、エンコーダ92によって検出されたモータ40の回転数が所定の回転数Rを上回っていると判定された後、流量制御が行われているとき、消費電流検出部264によって検出された消費電流が所定の消費電流を下回ると、報知信号がスピーカ93に出力される。これにより、メンテナンスを促す第2警告がスピーカ93から発報される。この第2警告は、メンテナンスの緊急性が比較的高レベルであることが伝わるように、例えば「油タンク内の油面が低下している可能性、または、ストレーナが目詰まりしている可能性があります。できるだけ早く、油タンクおよびストレーナのメンテナンスをすることをお勧めします。」のような内容に設定される。なお、上記第2警告の内容は、第1警告のときよりもメンテナンスを行う必要性が高いことを示す内容であれば、特に限定されない。
【0065】
ここで、上記所定の消費電流は、例えば、ストレーナ23の目詰まりが完全にないときのモータ40の消費電流の70%に設定される。
【0066】
消費電流検出部264は、例えば、モータ40に電流を供給する配線に設けられた電流計(図示せず)を用いて、モータ40の消費電流を検出する。
【0067】
上記構成の油圧ユニット201では、異常判定部263に第3判定部263cを設けているので、第1実施形態の第3判定部63cと同様の作用効果が得られる。
【0068】
図9は、流量制御時、ストレーナ23の開口が目詰まりしてないとき、消費電流検出部264によって検出された消費電流の時間変化を示すグラフである。
【0069】
図10は、流量制御時、ストレーナ23の開口の約90%が目詰まりしているとき、消費電流検出部264によって検出された消費電流の時間変化を示すグラフである。
【0070】
図11は、流量制御時、ストレーナ23の開口の約95%が目詰まりしているとき、消費電流検出部264によって検出された消費電流の時間変化を示すグラフである。
【0071】
図9図10図11との比較から明らかなように、流量制御時であるので、モータ40の回転数は変化しないが、ストレーナ23の開口の目詰まりが進むと、モータ40の消費電流が低下する。なお、油圧ポンプ30の吐出圧力は、図9のときよりも図10のときの方が低い。また、油圧ポンプ30の吐出圧力は、図10のときよりも図11のときの方が低い。
【0072】
上記第2実施形態では、異常判定部263および消費電流検出部264は、それぞれ、ソフトウェアで構成されていたが、少なくとも一方が、ハードウェアで構成されてもよい。
【0073】
上記第2実施形態では、上記所定の消費電流は、例えば、ストレーナ23の目詰まりが完全にないときのモータ40の消費電流の70%に設定されていたが、70%以外にしてもよい。このように設定する場合、ストレーナ23の目詰まりが完全にないときのモータ40の消費電流の65%~75%の範囲内に入るように、上記所定の消費電流を設定するのが好ましい。
【0074】
本開示の具体的な実施の形態について説明したが、本開示は上記実施形態およびその変形例に限定されるものではなく、本開示の範囲内で種々変更して実施することができる。例えば、上記実施形態で記載した内容の一部を削除または置換したものを、本開示の一実施形態としてもよい。また、上記第2実施形態においても、上記第1実施形態の変形例のような変形を行ってもよい。
【符号の説明】
【0075】
1 油圧ユニット
22 サクションパイプ
23 ストレーナ
30 油圧ポンプ
40 モータ
60,260 コントローラ
61 保圧制御部
62 流量制御部
63,263 異常判定部
63a 第1判定部
63b 第2判定部
63c,263c 第3判定部
91 圧力センサ
92 エンコーダ
264 消費電流検出部
所定の変動幅
所定の回転数
所定の圧力
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11