(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-31
(45)【発行日】2023-11-09
(54)【発明の名称】管理システム
(51)【国際特許分類】
B65G 1/137 20060101AFI20231101BHJP
【FI】
B65G1/137 B
(21)【出願番号】P 2019214971
(22)【出願日】2019-11-28
【審査請求日】2022-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(73)【特許権者】
【識別番号】500352063
【氏名又は名称】株式会社デンソーエスアイ
(74)【代理人】
【識別番号】100095795
【氏名又は名称】田下 明人
(74)【代理人】
【識別番号】100143454
【氏名又は名称】立石 克彦
(72)【発明者】
【氏名】牛嶋 隆雄
(72)【発明者】
【氏名】岡田 竜
(72)【発明者】
【氏名】松本 頼明
(72)【発明者】
【氏名】石原 一輝
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-206111(JP,A)
【文献】特開2008-047049(JP,A)
【文献】特開2014-139753(JP,A)
【文献】特開2007-230717(JP,A)
【文献】特開2009-122955(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/137
B65G 63/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
読取装置及び表示装置を利用して屋外に一時的にストックされる物品を管理する管理システムであって、
前記物品には、個別に識別番号が設定されるとともに、所定の管理番号が記録された記録媒体が付され、
前記識別番号は、前記物品を特定して区別するための番号であって、前記管理番号は、前記記録媒体を特定して区別するための番号であり、
前記識別番号及び前記管理番号をデータベース化して管理するためのサーバを備え、
前記読取装置は、
前記識別番号を取得する読取側取得部と、
前記記録媒体から前記管理番号を読み取る読取部と、
受信したGPS信号に応じて前記物品がストックされる位置を検出する物品位置検出部と、
前記読取側取得部により取得された前記識別番号と前記読取部により読み取られた前記管理番号と前記物品位置検出部により検出された前記物品の位置に関する物品位置情報とを関連付けて前記サーバに送信する送信部と、
を備え、
前記表示装置は、
前記識別番号を取得する表示側取得部と、
前記表示側取得部により取得された前記識別番号に関連付けられる前記管理番号及び前記物品位置情報を前記サーバから受信する受信部と、
受信した前記物品位置情報を利用して前記物品の位置を表示する表示部と、
を備えることを特徴とする管理システム。
【請求項2】
前記記録媒体は、非接触通信可能な無線タグであり、
前記表示装置は、前記無線タグとの通信結果を利用して当該表示装置を基準とする前記無線タグの位置を推定する推定部を備え、
前記表示部には、受信した管理番号を記録した前記無線タグの位置が前記推定部により推定される場合に、当該表示装置を基準とする前記無線タグの位置が前記物品の位置として表示されることを特徴とする請求項1に記載の管理システム。
【請求項3】
前記表示部には、前記物品の位置とともに前記表示装置の位置が表示されることを特徴とする請求項1又は2に記載の管理システム。
【請求項4】
前記識別番号は、光学的に読み取り可能に情報コードに記録され、
前記読取側取得部及び前記表示側取得部の少なくともいずれか一方は、前記情報コードを光学的に読み取ることで前記識別番号を取得することを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の管理システム。
【請求項5】
前記記録媒体は、前記物品に対して着脱可能に付されることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の管理システム。
【請求項6】
前記サーバでは、既にデータベース化されている前記識別番号が再度受信されると、受信結果に応じて当該識別番号に関連付けられている前記物品位置情報が更新されることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一時的にストックされる物品を管理する管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、出庫前の受注生産品等の物品を屋外のストックヤード等に一時的にストックし、出庫指示が出されることで、その出庫指示された物品をストックヤード等から探し出して出庫する作業がなされている。このような作業では、多数の物品がストックされたストックヤード等から出庫対象となる物品を探し出す探索作業に労力がかかるという問題があり、このような問題を解決するための技術として、例えば、下記特許文献1に開示される資材保管位置管理システムが知られている。
【0003】
この資材保管位置管理システムでは、管理対象となる資材には、それぞれタグが付され、資材を運ぶ移動媒体には、資材に付されたタグを読み取るタグ読取手段が設けられるとともに位置検出用タグが付されている。また、資材保管場所には、撮像範囲を異ならせるように複数の撮像部が配置されている。そして、資材搬入開始から搬入終了までの移動媒体の移動履歴に基づいて、資材が搬入された場所を撮像した撮像部が特定されると、この撮像部の撮像画像から資材の搬入位置が特定されて、資材名称等とともにデータベースに登録される。これにより、資材搬出時には、搬出対象となる資材の位置を容易に特定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の資材保管位置管理システムのような構成では、資材の搬入位置の特定等に必ず移動媒体が必要となるだけでなく、資材保管場所に複数の撮像部を配置するため、管理作業が煩雑になるという問題がある。このため、例えば、ストックヤード等に物品に応じたサイズの枠線を予め引いてその枠線毎にQRコード(登録商標)をそれぞれ付し、ストックした枠線に対応するQRコードを読み取ることで、物品の位置を管理する管理方法が考えられる。しかしながら、このような管理方法では、枠線通りに物品をストックする必要があり、ストック作業が煩雑になるという問題がある。特に、種々の物品を隙間なくストックするような作業では、枠線を利用したストック作業自体が採用できない場合もある。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、一時的にストックされる物品の位置を容易に管理し得る構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲の請求項1に記載の発明は、
読取装置(20a)及び表示装置(20b)を利用して屋外に一時的にストックされる物品(M)を管理する管理システム(10)であって、
前記物品には、個別に識別番号が設定されるとともに、所定の管理番号が記録された記録媒体(T)が付され、
前記識別番号は、前記物品を特定して区別するための番号であって、前記管理番号は、前記記録媒体を特定して区別するための番号であり、
前記識別番号及び前記管理番号をデータベース化して管理するためのサーバ(60)を備え、
前記読取装置は、
前記識別番号を取得する読取側取得部(40)と、
前記記録媒体から前記管理番号を読み取る読取部(30)と、
受信したGPS信号に応じて前記物品がストックされる位置を検出する物品位置検出部(50)と、
前記読取側取得部により取得された前記識別番号と前記読取部により読み取られた前記管理番号と前記物品位置検出部により検出された前記物品の位置に関する物品位置情報と
を関連付けて前記サーバに送信する送信部(27)と、
を備え、
前記表示装置は、
前記識別番号を取得する表示側取得部(40)と、
前記表示側取得部により取得された前記識別番号に関連付けられる前記管理番号及び前記物品位置情報を前記サーバから受信する受信部(27)と、
受信した前記物品位置情報を利用して前記物品の位置を表示する表示部(23)と、
を備えることを特徴とする。
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明では、一時的にストックされる物品には、個別に識別番号が設定されるとともに、所定の管理番号が記録された記録媒体が付されている。そして、読取装置において、読取側取得部により取得された識別番号と読取部により読み取られた管理番号と物品位置検出部により検出された物品の位置に関する物品位置情報とが関連付けられて送信部によりサーバに送信される。そして、表示装置において、表示側取得部により取得された識別番号に関連付けられる管理番号及び物品位置情報が受信部によりサーバから受信されると、この受信した物品位置情報を利用して物品の位置が表示部に表示される。
【0009】
これにより、探索対象となる物品の識別番号を表示側取得部に取得させることで、その識別番号から特定される物品の位置が表示部に表示されるので、多数の物品がストックヤード等にストックされる場合であっても、探索対象となる物品の位置を容易に把握して管理することができる。特に、物品を一時的にストックするストック作業時には、識別番号が取得された物品の記録媒体から管理番号を読み取る作業を行なえばよいので、サーバのデータベースへの登録作業等を簡素化することができる。
【0010】
請求項2の発明では、物品に付される記録媒体は、非接触通信可能な無線タグであり、表示装置には、無線タグとの通信結果を利用して当該表示装置を基準とする無線タグの位置を推定する推定部が設けられる。そして、表示部では、受信した管理番号を記録した無線タグの位置が推定部により推定される場合に、当該表示装置を基準とする無線タグの位置が物品の位置として表示される。
【0011】
これにより、GPS信号の精度が低いために物品位置情報から特定された物品の位置に誤差が生じている場合でも、物品位置情報に基づいて物品がストックされる可能性のある範囲を特定し、この範囲内で推定部により無線タグの位置、すなわち、物品の位置を推定することができる。このため、探索対象となる物品の位置を高精度に推定して表示することができる。
【0012】
請求項3の発明では、表示部には、物品の位置とともに表示装置の位置が表示されるため、表示装置の位置、すなわち、作業者自身の位置と物品の位置との位置関係を容易に視認することができる。
【0013】
請求項4の発明では、識別番号は、光学的に読み取り可能に情報コードに記録され、読取側取得部及び表示側取得部の少なくともいずれか一方により、情報コードを光学的に読み取ることで識別番号が取得される。これにより、識別番号を手入力するような作業も不要となるので、管理作業に関して利便性を高めることができる。
【0014】
請求項5の発明では、記録媒体は、物品に対して着脱可能に付されるため、出庫時等の管理が不要となるタイミングで記録媒体を取り外し、その後に他の管理対象となる物品に付すことで、記録媒体を繰り返し使用することができる。
【0015】
請求項6の発明では、サーバでは、既にデータベース化されている識別番号が再度受信されると、受信結果に応じて当該識別番号に関連付けられている物品位置情報が更新される。これにより、既に物品位置情報がサーバのデータベースに登録された物品であっても、その後に物品の位置を移動した際に、その物品の識別番号を読取側取得部にて取得する作業を行うとともに当該物品の記録媒体から管理番号を読み取る作業を行うことで、サーバのデータベースにおける物品位置情報を容易に更新することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第1実施形態に係る管理システムの概略構成を示す説明図である。
【
図2】
図2(A)は、完成車両が一時保管される各ストックヤードを説明する説明図であり、
図2(B)は、1つのストックヤードの一部となる
図2(A)の範囲Xを拡大して示す説明図である。
【
図3】
図3(A)は、
図1の携帯端末の電気的構成を例示するブロック図であり、
図3(B)は、無線タグ処理部の電気的構成を例示するブロック図であり、
図3(C)は、情報コード読取部の電気的構成を例示するブロック図である。
【
図4】ストック時の作業の流れを説明するフローチャートである。
【
図5】出庫時の作業の流れを説明するフローチャートである。
【
図6】完成車両の位置と携帯端末の位置とが各ストックヤードとともに表示部に画面表示された状態を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1実施形態]
以下、本発明に係る管理システムを具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に示す管理システム10は、屋外に一時的にストックされる物品を管理するシステムとして構成されている。本実施形態では、管理対象の物品として、製品完成後に屋外のストックヤードSに一時保管される受注生産品の完成車両Mが採用されており、各完成車両Mには、個別に機番等の識別番号が設定されている。
【0018】
各完成車両Mは、例えば、
図2(A)(B)に例示するように、製品完成後に出庫指示が出されるまでの間、工場敷地内に4箇所設けたストックヤードSa~Sdのいずれかに一時保管される。各ストックヤードSa~Sdは、多くの完成車両Mを一時保管するために広いスペースが確保されており、例えば、ストックヤードSaは、1辺が100m程度の広いスペースとして構築されている。特に、各ストックヤードSa~Sdでは、個々にストックする際の基準となる枠線等が明確に設定されておらず、より多くの完成車両Mを密集して一時保管できるようになっている。
【0019】
また、各完成車両Mには、所定の管理番号が記録された記録媒体が付されている。本実施形態では、上記記録媒体として、RFタグなどの無線タグTが採用されており、この無線タグTは、クリアケースやマグネット等を利用することで、完成車両Mの読み取り易い表面にて着脱可能に付されている。なお、無線タグTは、ストックヤードに一時保管される際に完成車両Mに付されることに限らず、保管作業前の車両製造段階で付されてもよい。
【0020】
管理システム10は、ストック作業時に使用する携帯端末20aと、物品探索作業時に使用する携帯端末20bと、携帯端末20a及び携帯端末20bと通信可能なサーバ60とを備えている。
【0021】
携帯端末20aは、作業者(ユーザ)によって携帯されて様々な場所で用いられる携帯型の情報読取端末として構成されており、アンテナを介して送受信される電波を媒介として無線タグTに記憶されている情報を読み書きする機能に加えて、バーコードや二次元コードなどの情報コードCを読み取る情報コードリーダとしての機能を兼ね備え、読み取りを二方式で行いうる構成となっている。なお、携帯端末20aは、「読取装置」の一例に相当し得る。
【0022】
図3(A)に示すように、携帯端末20aの筐体内には、携帯端末20a全体を制御する制御部21が設けられている。この制御部21は、マイコンを主体として構成されるものであり、CPU、システムバス、入出力インタフェース等を有し、半導体メモリ等からなる記憶部22とともに情報処理装置を構成している。この記憶部22には、後述する登録処理を実行するためのプログラム等が制御部21により実行可能に予め格納されている。また、制御部21には、
図3(A)に示すように、表示部23、操作部24、バイブレータ25、ブザー26、外部インタフェース27などが接続されている。
【0023】
表示部23は、公知のタッチパネル型の表示装置として構成されており、液晶表示器等の公知の表示デバイスとして構成される表示部と、この表示部の表示画面に重ねられる透明性の操作パネルとを備え、制御部21によって表示内容が制御されるように構成される。操作部24は、上記操作パネルと筐体の側面等に設けられる複数のキーとを備え、その操作に応じた操作信号を制御部21に対して与える構成をなしており、制御部21は、この操作信号を受けて操作信号の内容に応じた動作を行う。バイブレータ25およびブザー26は、制御部21によって制御される構成をなしており、それぞれ、制御部21からの指令を受けて動作する。外部インタフェース27は、上位端末等の外部機器との間での無線通信又は有線通信を行うためのインタフェースとして構成されており、制御部21と協働して通信処理を行う構成をなしている。また、筐体内には、図略の電源部が設けられており、この電源部やバッテリによって制御部21や各種電気部品に電力が供給されるようになっている。
【0024】
また、携帯端末20aは、制御部21により制御されて外部の情報を読み取り可能な情報読取部として機能する無線タグ処理部30及び情報コード読取部40を備えている。
【0025】
まず、無線タグ処理部30について、
図3(B)を用いて説明する。
無線タグ処理部30は、アンテナ34及び制御部21と協働して無線タグTとの間で電磁波による通信を行ない、無線タグTに記憶されるデータ(管理番号)の読取り、或いは無線タグTに対するデータの書込みを行なうように機能するものである。この無線タグ処理部30は、公知の電波方式で伝送を行う回路として構成されており、
図3(B)にて概略的に示すように、送信回路31、受信回路32、整合回路33などを有している。
【0026】
送信回路31は、キャリア発振器、符号化部、増幅器、送信部フィルタ、変調部などによって構成されており、キャリア発振器から所定の周波数のキャリア(搬送波)が出力される構成をなしている。また、符号化部は、制御部21に接続されており、当該制御部21より出力される送信データを符号化して変調部に出力している。変調部は、キャリア発振器からのキャリア(搬送波)、及び符号化部からの送信データが入力される部分であり、キャリア発振器より出力されるキャリア(搬送波)に対し、通信対象へのコマンド送信時に符号化部より出力される符号化された送信符号(変調信号)によってASK(Amplitude Shift Keying)変調された被変調信号を生成し、増幅器に出力している。増幅器は、入力信号(変調部によって変調された被変調信号)を所定のゲインで増幅し、その増幅信号を送信部フィルタに出力しており、送信部フィルタは、増幅器からの増幅信号をフィルタリングした送信信号を、整合回路33を介してアンテナ34に出力している。このようにしてアンテナ34に送信信号が出力されると、その送信信号が送信電波として当該アンテナ34より外部に放射される。
【0027】
一方、アンテナ34によって受信された応答信号は、整合回路33を介して受信回路32に入力される。この受信回路32は、受信部フィルタ、増幅器、復調部、二値化処理部、複号化部などによって構成されており、アンテナ34を介して受信された応答信号を受信部フィルタによってフィルタリングした後、増幅器によって増幅し、その増幅信号を復調部によって復調する。そして、その復調された信号波形を二値化処理部によって二値化し、復号化部にて復号化した後、その復号化された信号を受信データとして制御部21に出力している。なお、無線タグ処理部30は、記録媒体から管理番号を読み取る「読取部」の一例に相当し得る。
【0028】
次に、情報コード読取部40について、
図3(C)を用いて説明する。
情報コード読取部40は、情報コードを光学的に読み取るように機能するもので、
図3(C)に示すように、複数個のLEDやレンズ等から構成される照明部41、結像レンズ42、CCDエリアセンサからなる受光センサ43などを備えた構成をなしており、制御部21と協働してバーコードや二次元コードなどの情報コードCを光学的に読み取るように機能する。
【0029】
この情報コード読取部40によって読み取りを行う場合、まず、制御部21によって指令を受けた照明部41から照明光Lfが出射され、この照明光Lfが読取口を通って情報コードCが付される読取対象Rに照射される。そして、照明光Lfが情報コードCにて反射した反射光Lrは読取口を通って筐体内に取り込まれ、結像レンズ42を通って受光センサ43に受光される。読取口と受光センサ43との間に配される結像レンズ42は、情報コードCの像を受光センサ43上に結像させる構成をなしており、受光センサ43はこの情報コードCの像に応じた受光信号を出力する。受光センサ43から出力された受光信号は、画像データとして記憶部22に記憶され、情報コードCに記録される情報を取得するためのデコード処理に用いられるようになっている。なお、情報コード読取部40には、受光センサ43からの信号を増幅する増幅回路や、その増幅された信号をデジタル信号に変換するAD変換回路等が設けられているがこれらの回路については図示を省略している。
【0030】
また、携帯端末20aは、周知のGPS衛星から受信したGPS信号に応じて現在位置を検出するためのGPS受信部50を備えている。このGPS受信部50は、当該携帯端末20aの現在位置が完成車両Mをストックした位置であるとして、完成車両Mがストックされる位置に関する物品位置情報(緯度,経度)を制御部21に出力するように構成されている。なお、GPS受信部50は、受信したGPS信号に応じて物品がストックされる位置を検出する「物品位置検出部」の一例に相当し得る。
【0031】
このように構成される携帯端末20aは、
図4に示すように、生産工場で完成車両Mが完成することで(S101)、作業者が完成車両Mを所定の保管指示書にて指示された場所に移動させて(S103)、一時保管(仮置き)する際に使用される(S105)。具体的には、上記保管指示書に従って作業者が完成車両MをストックヤードSにストックする際に、所定の操作に応じて制御部21にてなされる登録処理により、識別番号と管理番号と物品位置情報とが取得されて、これら識別番号、管理番号及び物品位置情報が関連付けられて外部インタフェース27を介してサーバ60に送信される。なお、携帯端末20aの外部インタフェース27は、「送信部」の一例に相当し得る。
【0032】
この登録処理では、上記保管指示書に記載されたQRコード等の情報コードCに記録される識別番号が、情報コード読取部40を利用して光学的に読み取られて取得される。なお、携帯端末20aの情報コード読取部40は、「読取側取得部」の一例に相当し得る。そして、例えば、
図1の完成車両Maを一時保管する場合には、この完成車両Maに付された無線タグTに記録される管理番号が、無線タグ処理部30を利用して読み取られる。また、完成車両Maがストックされる位置に関する物品位置情報が、GPS受信部50にて受信されたGPS信号に応じて取得される。
【0033】
携帯端末20bは、携帯端末20aと同等の機能を有する携帯型の情報読取端末として構成されている。この携帯端末20bは、
図5に示すように、所定の出庫指示書によって特定の完成車両Mに対して出庫指示がなされることで(S201)、作業者がその完成車両Mが一時保管されている概略の場所を探索して(S203)、その場所に移動する途中で完成車両Mの位置を特定する際に使用される(S205)。その後、作業者は、その完成車両Mを操縦して出荷場に搬入する(S207)。
【0034】
このように、上記出庫指示書に従って作業者が完成車両MをストックヤードSから移動させる際に、所定の操作に応じて制御部21にてなされる探索処理により、取得された識別番号から特定される完成車両Mの位置が表示部23に画面表示される。
【0035】
具体的には、上記探索処理では、上記出庫指示書に記載されたQRコード等の情報コードCに記録される識別番号が、情報コード読取部40を利用して光学的に読み取られて取得される。なお、携帯端末20bの情報コード読取部40は、「表示側取得部」の一例に相当し得る。そして、このように取得された識別番号が外部インタフェース27を介してサーバ60に送信されることで、この識別番号に関連付けられる管理番号及び物品位置情報が外部インタフェース27を介してサーバ60から受信される。そして、この受信した物品位置情報を利用して完成車両Mの位置が表示部23に画面表示される。なお、携帯端末20bの外部インタフェース27は、「受信部」の一例に相当し得る。
【0036】
特に、本実施形態では、受信した管理番号を記録した無線タグTが無線タグ処理部30の通信範囲に無い場合には、
図6に例示するように、上記物品位置情報から特定される完成車両Mの位置Paと携帯端末20bの位置Pbとが各ストックヤードSが明示されたマップとともに画面の拡大操作可能に表示部23に画面表示される。これにより、作業者は、出庫指示された完成車両Mの概略の位置を容易に把握することができる。なお、上記マップは、外部から取得される国土地理院等の地図データに基づいて表示されてもよいし、予め自社制作等した地図データに基づいて表示されてもよい。
【0037】
そして、完成車両Mの位置Paと携帯端末20bの位置Pbとが近くなるように作業者が移動することで、受信した管理番号を記録した無線タグTが無線タグ処理部30にて通信可能な状態になる。例えば、
図1の完成車両Mbを出庫させる場合、完成車両Mbに付された無線タグTの管理番号が無線タグ処理部30により読み取られると、制御部21にてなされる物品位置推定処理により、無線タグTとの通信結果を利用して当該携帯端末20bを基準とする無線タグTの位置が推定されて、携帯端末20bを基準とする無線タグTの位置(方向や距離)が完成車両Mbの位置として画面表示される状態に切り替わる。なお、携帯端末20bは、「表示装置」の一例に相当し、上記物品位置推定処理を行う制御部21は、無線タグTとの通信結果を利用して当該携帯端末20bを基準とする無線タグTの位置を推定する「推定部」の一例に相当し得る。
【0038】
上述した無線タグTとの通信結果を利用して無線タグTの位置を推定する方法としては、例えば、特開2016-167114公報などに開示された、無線タグTから送信される応答信号の受信信号強度(RSSI)を利用してその無線タグTの位置を推定する技術等を好適に用いることができる。これにより、作業者は、出庫指示された完成車両Mの位置を迅速かつ正確に把握することができる。
【0039】
サーバ60は、上述した識別番号、管理番号及び物品位置情報を関連付けて更新可能に記憶するデータベースを備えている。このサーバ60は、携帯端末20aから受信した識別番号等に応じてデータベースを更新し、携帯端末20bから所定の要求とともに受信した識別番号に関連付けられる管理番号及び物品位置情報をその携帯端末20bに送信するように構成されている。
【0040】
このため、サーバ60では、既にデータベース化されている識別番号が再度受信されると、この受信結果に応じて当該識別番号に関連付けられている物品位置情報が更新されることになる。これにより、既に物品位置情報がサーバ60のデータベースに登録された完成車両Mであっても、その後に完成車両Mの位置を移動した際に、制御部21にて上記登録処理を実施してその完成車両Mの識別番号を取得するとともに当該完成車両Mの無線タグTから管理番号を読み取ることで、サーバ60のデータベースにおける物品位置情報を容易に更新することができる。
【0041】
以上説明したように、本実施形態に係る管理システム10では、一時的にストックされる完成車両Mには、個別に識別番号が設定されるとともに、所定の管理番号が記録された無線タグTが付されている。そして、携帯端末20aにおいて、取得された識別番号と無線タグ処理部30を利用して読み取られた管理番号とGPS受信部50を利用して検出された完成車両Mの位置に関する物品位置情報とが関連付けられてサーバ60に送信される。そして、携帯端末20bにおいて、取得された識別番号に関連付けられる管理番号及び物品位置情報がサーバ60から受信されると、この受信した物品位置情報を利用して完成車両Mの位置が表示部23に画面表示される。
【0042】
これにより、探索対象となる完成車両Mの識別番号を携帯端末20bに取得させることで、その識別番号から特定される物品の位置が表示部23に表示されるので、多数の完成車両Mが各ストックヤードSa~Sd等にストックされる場合であっても、探索対象となる完成車両Mの位置を容易に把握して管理することができる。特に、完成車両Mを一時的にストックするストック作業時には、携帯端末20aを利用して識別番号が取得された完成車両Mの無線タグTから管理番号を読み取る作業を行なえばよいので、サーバ60のデータベースへの登録作業等を簡素化することができる。
【0043】
特に、本実施形態では、完成車両Mに付される記録媒体として非接触通信可能な無線タグTを採用しており、携帯端末20bの制御部21にてなされる物品位置推定処理により、無線タグTとの通信結果を利用して当該携帯端末20bを基準とする無線タグTの位置が推定される。そして、表示部23では、受信した管理番号を記録した無線タグTの位置が推定される場合に、当該携帯端末20bを基準とする無線タグTの位置が完成車両Mの位置として表示される。
【0044】
これにより、GPS信号の精度が低いために物品位置情報から特定された完成車両Mの位置に誤差が生じている場合でも、物品位置情報に基づいて完成車両Mがストックされる可能性のある範囲を特定し、この範囲内で無線タグTの位置、すなわち、完成車両Mの位置を推定することができる。このため、探索対象となる完成車両Mの位置を高精度に推定して表示することができる。
【0045】
また、本実施形態では、表示部23の表示画面には、完成車両Mの位置Paとともに携帯端末20bの位置Pbが表示されるため、携帯端末20bの位置Pb、すなわち、作業者自身の位置と完成車両Mの位置との位置関係を容易に視認することができる。
【0046】
また、本実施形態では、識別番号は、光学的に読み取り可能に情報コードCに記録され、情報コード読取部40によって情報コードCを光学的に読み取ることで識別番号が取得される。これにより、識別番号を手入力するような作業も不要となるので、管理作業に関して利便性を高めることができる。
【0047】
また、本実施形態では、無線タグTは、完成車両Mに対して着脱可能に付されるため、出庫時等の管理が不要となるタイミングで無線タグTをその完成車両Mから取り外し、その後に他の管理対象となる物品に付すことで、無線タグTを繰り返し使用することができる。
【0048】
[他の実施形態]
なお、本発明は上記実施形態及び変形例等に限定されるものではなく、例えば、以下のように具体化してもよい。
(1)完成車両Mなどの管理対象となる物品には、管理番号が記録された記録媒体として、無線タグTが付されることに限らず、例えば、管理番号が光学的に読み取り可能に記録されたバーコードやQRコード等の情報コードが付されてもよい。
【0049】
(2)本発明において管理対象となる物品は、出庫指示待ちの完成車両Mに限らず、例えば、受注生産相当の資材や金型など、屋外(GPS信号を受信可能な場所)に一時的にストックされる物品であればよい。
【0050】
(3)携帯端末20a,20bでは、情報コード読取部40を利用して情報コードCを光学的に読み取ることで識別番号が取得されることに限らず、例えば、操作部24に対する手入力操作に応じて識別番号が取得されてもよい。
【符号の説明】
【0051】
10…管理システム
20a…携帯端末(読取装置)
20b…携帯端末(表示装置)
21…制御部(推定部)
23…表示部
27…外部インタフェース(送信部,受信部)
30…無線タグ処理部(読取部)
40…情報コード読取部(読取側取得部,表示側取得部)
50…GPS受信部(物品位置検出部)
60…サーバ
C…情報コード
M,Ma,Mb…完成車両(物品)
T…無線タグ
S,Sa~Sd…ストックヤード