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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-31
(45)【発行日】2023-11-09
(54)【発明の名称】半導体集積回路装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/82 20060101AFI20231101BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20231101BHJP
   H01L 27/088 20060101ALI20231101BHJP
   H01L 21/8238 20060101ALI20231101BHJP
   H01L 27/092 20060101ALI20231101BHJP
【FI】
H01L21/82 B
H01L29/78 613Z
H01L27/088 331E
H01L27/092 G
H01L27/092 F
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020555988
(86)(22)【出願日】2019-10-29
(86)【国際出願番号】 JP2019042396
(87)【国際公開番号】W WO2020095765
(87)【国際公開日】2020-05-14
【審査請求日】2022-09-21
(31)【優先権主張番号】P 2018211140
(32)【優先日】2018-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】514315159
【氏名又は名称】株式会社ソシオネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】白木 陽子
【審査官】脇水 佳弘
(56)【参考文献】
【文献】特表2022-509506(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0174642(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0197069(US,A1)
【文献】特開2005-32839(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0211276(US,A1)
【文献】特表2014-505995(JP,A)
【文献】国際公開第2018/150913(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0197788(US,A1)
【文献】特開2017-22302(JP,A)
【文献】特開平9-139429(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/82
H01L 29/786
H01L 27/088
H01L 21/8238
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スタンダードセルを含む半導体集積回路装置であって、
前記スタンダードセルは、
埋め込み配線層に形成されており、第1方向に延び、第1電源電圧を供給する第1電源配線と、
前記埋め込み配線層に形成されており、前記第1方向に延び、前記第1電源電圧と異なる第2電源電圧を供給する第2電源配線と、
平面視で前記第1電源配線と前記第2電源配線との間にある第1導電型の立体構造トランジスタである、第1トランジスタと、
深さ方向において前記第1トランジスタよりも上に形成されており、平面視で前記第1電源配線と前記第2電源配線との間にある第2導電型の立体構造トランジスタである、第2トランジスタと、
前記深さ方向において前記埋め込み配線層よりも上に形成されており、前記第1トランジスタのソースまたはドレインとなる第1端子に接続された第1ローカル配線と、
前記深さ方向において前記第1ローカル配線よりも上に形成されており、前記第2トランジスタのソースまたはドレインとなる第2端子に接続された第2ローカル配線と、
平面視で前記第1電源配線と前記第1ローカル配線とが重なる位置に形成されており、前記第1電源配線と前記第1ローカル配線とを接続する第1コンタクトと、
平面視で前記第2電源配線と前記第2ローカル配線とが重なる位置に形成されており、前記第2電源配線と前記第2ローカル配線とを接続する第2コンタクトとを備え、
前記第2コンタクトは、前記深さ方向における長さが前記第1コンタクトよりも長く、かつ、平面視におけるサイズが前記第1コンタクトよりも大きい
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項2】
請求項1記載の半導体集積回路装置において、
前記スタンダードセルは、
平面視で前記第1方向と垂直をなす方向である第2方向に延びており、かつ、前記深さ方向に延びており、前記第1および第2トランジスタのゲートとなる、ゲート配線を備える
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項3】
請求項1記載の半導体集積回路装置において、
前記第1および第2トランジスタのチャネル部は、平面視で重なりを有している
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項4】
請求項1記載の半導体集積回路装置において、
前記第1および第2ローカル配線は、平面視で前記第1方向と垂直をなす方向である第2方向に延びている
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項5】
請求項4記載の半導体集積回路装置において、
前記第2コンタクトは、前記第1コンタクトよりも、前記第2方向における長さが長い
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項6】
スタンダードセルを含む半導体集積回路装置であって、
前記スタンダードセルは、
埋め込み配線層に形成されており、第1方向に延び、第1電源電圧を供給する第1電源配線と、
前記埋め込み配線層に形成されており、前記第1方向に延び、前記第1電源電圧と異なる第2電源電圧を供給する第2電源配線と、
平面視で前記第1電源配線と前記第2電源配線との間にある第1導電型の立体構造トランジスタである、第1トランジスタと、
深さ方向において前記第1トランジスタよりも上に形成されており、平面視で前記第1電源配線と前記第2電源配線との間にある第2導電型の立体構造トランジスタである、第2トランジスタと、
前記深さ方向において前記埋め込み配線層よりも上に形成されており、前記第1トランジスタのソースまたはドレインとなる第1端子に接続された第1ローカル配線と、
前記深さ方向において前記第1ローカル配線よりも上に形成されており、前記第2トランジスタのソースまたはドレインとなる第2端子に接続された第2ローカル配線と、
前記深さ方向において前記第1ローカル配線よりも上に形成されており、前記第2トランジスタのソースまたはドレインの他方となる第3端子に接続された第3ローカル配線と、
平面視で前記第1ローカル配線と前記第3ローカル配線とが重なる位置に形成されており、前記第1ローカル配線と前記第3ローカル配線とを接続する第1コンタクトと、
平面視で前記第2電源配線と前記第2ローカル配線とが重なる位置に形成されており、前記第2電源配線と前記第2ローカル配線とを接続する第2コンタクトとを備え、
前記第2コンタクトは、平面視におけるサイズが前記第1コンタクトよりも大きい
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項7】
請求項6記載の半導体集積回路装置において、
前記スタンダードセルは、
平面視で前記第1方向と垂直をなす方向である第2方向に延びており、かつ、前記深さ方向に延びており、前記第1および第2トランジスタのゲートとなる、ゲート配線を備える
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項8】
請求項6記載の半導体集積回路装置において、
前記第1および第2トランジスタのチャネル部は、平面視で重なりを有している
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項9】
請求項6記載の半導体集積回路装置において、
前記第1、第2および第3ローカル配線は、平面視で前記第1方向と垂直をなす方向である第2方向に延びている
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項10】
請求項9記載の半導体集積回路装置において、
前記第2コンタクトは、前記第1コンタクトよりも、前記第2方向における長さが長い
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項11】
スタンダードセルを含む半導体集積回路装置であって、
前記スタンダードセルは、
埋め込み配線層に形成されており、第1方向に延び、第1電源電圧を供給する第1電源配線と、
前記埋め込み配線層に形成されており、前記第1方向に延び、前記第1電源電圧を供給する第2電源配線と、
前記埋め込み配線層に形成されており、前記第1電源配線と前記第2電源配線との間において前記第1方向に延び、前記第1電源電圧と異なる第2電源電圧を供給する第3電源配線と、
平面視で前記第1電源配線と前記第2電源配線との間にある第1導電型の立体構造トランジスタである、第1トランジスタと、
深さ方向において前記第1トランジスタよりも上に形成されており、平面視で前記第1電源配線と前記第2電源配線との間にある第2導電型の立体構造トランジスタである、第2トランジスタと、
前記深さ方向において前記埋め込み配線層よりも上に形成されており、前記第1トランジスタのソースまたはドレインとなる第1端子に接続された第1ローカル配線と、
前記深さ方向において前記埋め込み配線層よりも上に形成されており、前記第2トランジスタのソースまたはドレインとなる第2端子に接続された第2ローカル配線と、
平面視で前記第1電源配線と前記第1ローカル配線とが重なる位置に形成されており、前記第1電源配線と前記第1ローカル配線とを接続する第1コンタクトと、
平面視で前記第3電源配線と前記第2ローカル配線とが重なる位置に形成されており、前記第3電源配線と前記第2ローカル配線とを接続する第2コンタクトとを備え、
前記第2コンタクトは、前記深さ方向における長さが前記第1コンタクトよりも長く、かつ、平面視でのサイズが前記第1コンタクトよりも大きい
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項12】
請求項11記載の半導体集積回路装置において、
前記スタンダードセルは、
平面視で前記第1方向と垂直をなす方向である第2方向に延びており、かつ、前記深さ方向に延びており、前記第1および第2トランジスタのゲートとなる、ゲート配線を備える
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項13】
請求項11記載の半導体集積回路装置において、
前記第1および第2トランジスタのチャネル部は、平面視で重なりを有している
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項14】
請求項11記載の半導体集積回路装置において、
前記第1および第2ローカル配線は、平面視で前記第1方向と垂直をなす方向である第2方向に延びている
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項15】
請求項14記載の半導体集積回路装置において、
前記第2コンタクトは、前記第1コンタクトよりも、前記第2方向における長さが長い
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、立体構造トランジスタを含むスタンダードセルを備えた半導体集積回路装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板上に半導体集積回路を形成する方法として、スタンダードセル方式が知られている。スタンダードセル方式とは、特定の論理機能を有する基本的単位(例えば、インバータ,ラッチ,フリップフロップ,全加算器など)をスタンダードセルとして予め用意しておき、半導体基板上に複数のスタンダードセルを配置して、それらのスタンダードセルを配線で接続することによって、LSIチップを設計する方式のことである。
【0003】
また、LSIの基本構成要素であるトランジスタは、ゲート長の縮小(スケーリング)により、集積度の向上、動作電圧の低減、および動作速度の向上を実現してきた。しかし近年、過度なスケーリングによるオフ電流と、それによる消費電力の著しい増大が問題となっている。この問題を解決するため、トランジスタ構造を従来の平面型から立体型に変更した立体構造トランジスタが盛んに研究されている。
【0004】
非特許文献1,2では、新規デバイスとして、立体構造のP型FETとN型FETを基板に対して垂直方向に積層した立体構造デバイスと、これを用いたスタンダードセルが開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】Ryckaert J. et al., "The Complementary FET (CFET) for CMOS scaling beyond N3", 2018 Symposium on VLSI Technology Digest of Technical Papers
【文献】A. Mocuta et al., "Enabling CMOS Scaling Towards 3nm and Beyond", 2018 Symposium on VLSI Technology Digest of Technical Papers
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本明細書では、立体構造のP型FETとN型FETを基板に対して垂直方向に積層した立体構造デバイスのことを、非特許文献1の記載にならい、CFET(Complementary FET)と呼ぶことにする。また、基板に対して垂直をなす方向のことを、深さ方向と呼ぶ。
【0007】
CFETでは、P型FETとN型FETは深さ方向に積層されている。このため、P型FETとN型FETは、深さ方向においてその上下にある配線層との距離が互いに異なっている。したがって、例えばコンタクトを介してトランジスタを配線に接続する場合、コンタクトの深さ方向における長さがP型FETとN型FETとで異なってしまい、これにより、トランジスタの特性のバランスがくずれる可能性がある。
【0008】
本開示は、CFETを用いたスタンダードセルについて、トランジスタの特性のバランスが保たれるレイアウト構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の第1態様では、スタンダードセルを含む半導体集積回路装置であって、前記スタンダードセルは、埋め込み配線層に形成されており、第1方向に延び、第1電源電圧を供給する第1電源配線と、前記埋め込み配線層に形成されており、前記第1方向に延び、前記第1電源電圧と異なる第2電源電圧を供給する第2電源配線と、平面視で前記第1電源配線と前記第2電源配線との間にある第1導電型の立体構造トランジスタである、第1トランジスタと、深さ方向において前記第1トランジスタよりも上に形成されており、平面視で前記第1電源配線と前記第2電源配線との間にある第2導電型の立体構造トランジスタである、第2トランジスタと、前記深さ方向において前記埋め込み配線層よりも上に形成されており、前記第1トランジスタのソースまたはドレインとなる第1端子に接続された第1ローカル配線と、前記深さ方向において前記第1ローカル配線よりも上に形成されており、前記第2トランジスタのソースまたはドレインとなる第2端子に接続された第2ローカル配線と、平面視で前記第1電源配線と前記第1ローカル配線とが重なる位置に形成されており、前記第1電源配線と前記第1ローカル配線とを接続する第1コンタクトと、平面視で前記第2電源配線と前記第2ローカル配線とが重なる位置に形成されており、前記第2電源配線と前記第2ローカル配線とを接続する第2コンタクトとを備え、前記第2コンタクトは、前記深さ方向における長さが前記第1コンタクトよりも長く、かつ、平面視におけるサイズが前記第1コンタクトよりも大きい。
【0010】
この態様によると、スタンダードセルは、埋め込み配線層に形成された第1および第2電源配線間に、第1導電型の立体構造トランジスタである第1トランジスタと、深さ方向において第1トランジスタよりも上に形成された、第2導電型の立体構造トランジスタである第2トランジスタとを備える。第1コンタクトは、第1トランジスタの端子に接続された第1ローカル配線と、第1電源配線とを接続する。第2コンタクトは、第2トランジスタの端子に接続された第2ローカル配線と、第2電源配線とを接続する。そして、第2コンタクトは、深さ方向における長さが第1コンタクトよりも長く、かつ、平面視におけるサイズが第1コンタクトよりも大きい。これにより、深さ方向における長さが異なる第1および第2コンタクトの抵抗の違いが小さく抑えられるので、第1トランジスタに対する電源供給経路と第2トランジスタに対する電源供給経路とにおいて、抵抗の違いが抑制される。したがって、第1および第2トランジスタの特性のバランスを保つことができる。
【0011】
本開示の第2態様では、スタンダードセルを含む半導体集積回路装置であって、前記スタンダードセルは、埋め込み配線層に形成されており、第1方向に延び、第1電源電圧を供給する第1電源配線と、前記埋め込み配線層に形成されており、前記第1方向に延び、前記第1電源電圧と異なる第2電源電圧を供給する第2電源配線と、平面視で前記第1電源配線と前記第2電源配線との間にある第1導電型の立体構造トランジスタである、第1トランジスタと、深さ方向において前記第1トランジスタよりも上に形成されており、平面視で前記第1電源配線と前記第2電源配線との間にある第2導電型の立体構造トランジスタである、第2トランジスタと、前記深さ方向において前記埋め込み配線層よりも上に形成されており、前記第1トランジスタのソースまたはドレインとなる第1端子に接続された第1ローカル配線と、前記深さ方向において前記第1ローカル配線よりも上に形成されており、前記第2トランジスタのソースまたはドレインとなる第2端子に接続された第2ローカル配線と、前記深さ方向において前記第1ローカル配線よりも上に形成されており、前記第2トランジスタのソースまたはドレインの他方となる第3端子に接続された第3ローカル配線と、平面視で前記第1ローカル配線と前記第3ローカル配線とが重なる位置に形成されており、前記第1ローカル配線と前記第3ローカル配線とを接続する第1コンタクトと、平面視で前記第2電源配線と前記第2ローカル配線とが重なる位置に形成されており、前記第2電源配線と前記第2ローカル配線とを接続する第2コンタクトとを備え、前記第2コンタクトは、平面視におけるサイズが前記第1コンタクトよりも大きい。
【0012】
この態様によると、スタンダードセルは、埋め込み配線層に形成された第1および第2電源配線間に、第1導電型の立体構造トランジスタである第1トランジスタと、深さ方向において第1トランジスタよりも上に形成された、第2導電型の立体構造トランジスタである第2トランジスタとを備える。第1コンタクトは、第1トランジスタの端子に接続された第1ローカル配線と、第2トランジスタの端子に接続された第3ローカル配線とを接続する。第2コンタクトは、第2トランジスタの端子に接続された第2ローカル配線と、第2電源配線とを接続する。そして、第2コンタクトは、平面視におけるサイズが第1コンタクトよりも大きい。これにより、深さ方向に長い第2コンタクトの抵抗を小さく抑えられるので、第1トランジスタへの電源供給経路と第2トランジスタへの電源供給経路とにおいて、抵抗の違いが抑制される。したがって、第1および第2トランジスタの特性のバランスを保つことができる。
【0013】
本開示の第3態様では、スタンダードセルを含む半導体集積回路装置であって、前記スタンダードセルは、埋め込み配線層に形成されており、第1方向に延び、第1電源電圧を供給する第1電源配線と、前記埋め込み配線層に形成されており、前記第1方向に延び、前記第1電源電圧を供給する第2電源配線と、前記埋め込み配線層に形成されており、前記第1電源配線と前記第2電源配線との間において前記第1方向に延び、前記第1電源電圧と異なる第2電源電圧を供給する第3電源配線と、平面視で前記第1電源配線と前記第2電源配線との間にある第1導電型の立体構造トランジスタである、第1トランジスタと、深さ方向において前記第1トランジスタよりも上に形成されており、平面視で前記第1電源配線と前記第2電源配線との間にある第2導電型の立体構造トランジスタである、第2トランジスタと、前記深さ方向において前記埋め込み配線層よりも上に形成されており、前記第1トランジスタのソースまたはドレインとなる第1端子に接続された第1ローカル配線と、前記深さ方向において前記埋め込み配線層よりも上に形成されており、前記第2トランジスタのソースまたはドレインとなる第2端子に接続された第2ローカル配線と、平面視で前記第1電源配線と前記第1ローカル配線とが重なる位置に形成されており、前記第1電源配線と前記第1ローカル配線とを接続する第1コンタクトと、平面視で前記第3電源配線と前記第2ローカル配線とが重なる位置に形成されており、前記第3電源配線と前記第2ローカル配線とを接続する第2コンタクトとを備え、前記第2コンタクトは、前記深さ方向における長さが前記第1コンタクトよりも長く、かつ、平面視でのサイズが前記第1コンタクトよりも大きい。
【0014】
この態様によると、スタンダードセルは、埋め込み配線層に形成された、第1電源電圧を供給する第1および第2電源配線間に、第1導電型の立体構造トランジスタである第1トランジスタと、深さ方向において第1トランジスタよりも上に形成された、第2導電型の立体構造トランジスタである第2トランジスタとを備える。また、第1および第2電源配線間に、第2電源電圧を供給する第3電源配線がある。第1コンタクトは、第1トランジスタの端子に接続された第1ローカル配線と、第1電源配線とを接続する。第2コンタクトは、第2トランジスタの端子に接続された第2ローカル配線と、第3電源配線とを接続する。そして、第2コンタクトは、深さ方向における長さが第1コンタクトよりも長く、かつ、平面視におけるサイズが第1コンタクトよりも大きい。これにより、深さ方向における長さが異なる第1および第2コンタクトの抵抗の違いが小さく抑えられるので、第1トランジスタに対する電源供給経路と第2トランジスタに対する電源供給経路とにおいて、抵抗の違いが抑制される。したがって、第1および第2トランジスタの特性のバランスを保つことができる。
【発明の効果】
【0015】
本開示によると、CFETを用いたスタンダードセルについて、トランジスタの特性のバランスが保たれるレイアウト構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】(a),(b)は第1実施形態に係るスタンダードセルのレイアウト構造の例を示す平面図
図2図1のレイアウト構造の平面視横方向における断面図
図3】(a)~(c)は図1のレイアウト構造の平面視縦方向における断面図
図4図1のスタンダードセルの回路図
図5】(a),(b)は第1実施形態に係るスタンダードセルのレイアウト構造の他の例を示す平面図
図6】(a),(b)は第2実施形態に係るスタンダードセルのレイアウト構造の例を示す平面図
図7図6のスタンダードセルの回路図
図8】(a),(b)は第3実施形態に係るスタンダードセルのレイアウト構造の例を示す平面図
図9図8のスタンダードセルの回路図
図10】各実施形態で示したスタンダードセルを用いた回路ブロックのレイアウトの例
図11】CFETを備えた半導体装置の構造を示す断面図
図12】CFETを備えた半導体装置の構造を示す断面図
図13】CFETを備えた半導体装置の構造を示す断面図
図14】CFETを備えた半導体装置の構造を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。以下の実施の形態では、半導体集積回路装置は複数のスタンダードセル(本明細書では、適宜、単にセルという)を備えており、この複数のスタンダードセルのうち少なくとも一部は、CFET、すなわち、立体構造のP型FETとN型FETを基板に対して垂直方向に積層した立体構造デバイスを備えるものとする。
【0018】
まず、CFETの基本構造について説明する。図11図14はCFETを備えた半導体装置の構造を示す図であり、図11はX方向における断面図、図12はY方向におけるゲート部分の断面図、図13はY方向におけるソース・ドレイン部分の断面図、図14は平面図である。なお、X方向はナノワイヤが延びる方向、Y方向はゲートが延びる方向、Z方向は基板面と垂直をなす方向としている。また、図11図14は概略図であり、各部の寸法や位置等は必ずしも整合していない。
【0019】
この半導体装置では、シリコン(Si)基板等の半導体基板301の表面に素子分離領域302が形成されており、素子分離領域302により、素子活性領域30aが画定されている。素子活性領域30aでは、P型FET上にN型FETが形成されている。
【0020】
素子活性領域30aでは、半導体基板301上に積層トランジスタ構造390aが形成されている。積層トランジスタ構造390aは、半導体基板301上に形成されたゲート構造391を含む。ゲート構造391は、ゲート電極356、複数のナノワイヤ358、ゲート絶縁膜355、絶縁膜357を含む。ゲート電極356は、Y方向に延び、Z方向に立ち上がる。ナノワイヤ358は、X方向でゲート電極356を貫通し、Y方向及びZ方向に配列されている。ゲート絶縁膜355は、ゲート電極356とナノワイヤ358との間に形成されている。ゲート電極356及びゲート絶縁膜355は、X方向において、ナノワイヤ358の両端から後退した位置に形成されており、この後退した部分に絶縁膜357が形成されている。半導体基板301上に、絶縁膜357の両脇において、絶縁膜316が形成されている。321,322は層間絶縁膜である。
【0021】
また、図12に示すように、ゲート電極356は、開口部375に設けられたビア385によって、上層の配線と接続される。
【0022】
例えば、ゲート電極356には、チタン、チタン窒化物又は多結晶シリコン等を用いることができる。例えば、ゲート絶縁膜355には、ハフニウム酸化物、アルミニウム酸化物又はハフニウム及びアルミニウムの酸化物等の高誘電率材料を用いることができる。例えば、ナノワイヤ358にはシリコン等を用いることができる。例えば、絶縁膜316、絶縁膜357には、シリコン酸化物又はシリコン窒化物等を用いることができる。
【0023】
この半導体装置では、Z方向に配列するナノワイヤ358の本数は4であり、素子活性領域30aでは、半導体基板301側の2本のナノワイヤ358の各端部にp型半導体層331pが形成されている。p型半導体層331pに接する2つのローカル配線386がX方向でゲート構造391を挟むようにして形成されている。また、半導体基板101から離間する側の2本のナノワイヤ358の各端部にn型半導体層341nが形成されている。n型半導体層341nに接する2つのローカル配線388がX方向でゲート構造391を挟むようにして形成されている。ローカル配線386とローカル配線388との間に絶縁膜332が形成されている。ローカル配線388の上に絶縁膜389が形成されている。例えば、p型半導体層331pはp型SiGe層であり、n型半導体層341nはn型Si層である。例えば、絶縁膜332には、シリコン酸化物又はシリコン窒化物等を用いることができる。
【0024】
また、図13に示すように、ローカル配線388は、ビア3071を介して、埋め込み配線3101と接続される。ローカル配線386は、ビア3072を介して、埋め込み配線3102と接続される。
【0025】
このように、積層トランジスタ構造390aは、ゲート電極356、ナノワイヤ358、ゲート絶縁膜355及びP型半導体層331pを含むP型FETを有する。このP型FETでは、一方のP型半導体層331pがソース領域として機能し、他方のP型半導体層331pがドレイン領域として機能し、ナノワイヤ358がチャネルとして機能する。積層トランジスタ構造390aは、ゲート電極356、ナノワイヤ358、ゲート絶縁膜355及びN型半導体層341nを含むN型FETも有する。このN型FETでは、一方のN型半導体層341nがソース領域として機能し、他方のN型半導体層341nがドレイン領域として機能し、ナノワイヤ358がチャネルとして機能する。
【0026】
なお、積層トランジスタ構造より上層については、ビアおよび金属配線によりトランジスタ間の配線等が行われるが、これらは既知の配線プロセスによって実現が可能である。
【0027】
なお、ここでは、P型FETおよびN型FETにおけるナノワイヤの本数は、それぞれ、Y方向に4本、Z方向に2本、計8本ずつであるものとしたが、ナノワイヤの本数はこれに限られるものではない。また、P型FETとN型FETのナノワイヤの本数は、異なっていてもかまわない。
【0028】
また、本明細書では、ナノワイヤの両端に形成され、トランジスタのソースまたはドレインとなる端子を構成する半導体層部のことを「パッド」という。上述したCFETの基本構造例では、p型半導体層331pおよびn型半導体層341nが、パッドに相当する。
【0029】
また、以降の実施形態における平面図および断面図においては、各絶縁膜等の記載は省略することがある。また、以降の実施形態における平面図および断面図については、ナノワイヤおよびその両側のパッドを、簡易化した直線状の形状で記載することがある。また、本明細書において、「同一サイズ」等のように、サイズ等が同じであることを意味する表現は、製造上のばらつき範囲を含んでいるものとする。
【0030】
(第1実施形態)
図1図3は第1実施形態に係るセルのレイアウト構造の例を示す図であり、図1(a),(b)は平面図、図2は平面視横方向における断面図、図3(a)~(c)は平面視縦方向における断面図である。具体的には、図1(a)は下部、すなわち基板に近い側に形成された立体構造トランジスタ(ここではP型ナノワイヤFET)を含む部分を示し、図1(b)は上部、すなわち基板から遠い側に形成された立体構造トランジスタ(ここではN型ナノワイヤFET)を含む部分を示す。図2は線X1-X1’の断面、図3(a)は線Y1-Y1’の断面、図3(b)は線Y2-Y2’の断面、図3(c)は線Y3-Y3’の断面である。
【0031】
また図4図1図3に示すセルの回路図である。図4に示すように、図1図3に示すセルは、P型トランジスタP1およびN型トランジスタN1を有し、入力A、出力Yのインバータ回路を実現している。
【0032】
なお、以下の説明では、図1等の平面図において、図面横方向をX方向(第1方向に相当)、図面縦方向をY方向(第2方向に相当)、基板面に垂直な方向をZ方向(深さ方向に相当)としている。また、図1等の平面図において縦横に走る点線、および、図2等の断面図において縦に走る点線は、設計時に部品配置を行うために用いるグリッドを示す。グリッドは、X方向において等間隔に配置されており、またY方向において等間隔に配置されている。なお、グリッド間隔は、X方向とY方向とにおいて同じであってもよいし異なっていてもよい。また、グリッド間隔は、層ごとに異なっていてもかまわない。さらに、各部品は必ずしもグリッド上に配置される必要はない。ただし、製造ばらつきを抑制する観点から、部品はグリッド上に配置される方が好ましい。
【0033】
図1(a)に示すように、セルのY方向における両端において、X方向に延びる電源配線11,12がそれぞれ設けられている。電源配線11,12はともに、埋め込み配線層に形成された埋め込み電源配線(BPR:Buried Power Rail)である。電源配線11は電源電圧VDDを供給し、電源配線12は電源電圧VSSを供給する。
【0034】
M1配線層には、X方向に延びる配線61,62が形成されている。配線61は入力A、配線62は出力Yに相当する。
【0035】
セルの下部には、X方向に延びるナノワイヤ21が形成されており、セルの上部には、X方向に延びるナノワイヤ26が形成されている。ナノワイヤ21,26は、平面視で重なっている。ナノワイヤ21の両端に、P型半導体がドーピングされたパッド22a,22bが形成されている。ナノワイヤ26の両端に、N型半導体がドーピングされたパッド27a,27bが形成されている。ナノワイヤ21がP型トランジスタP1のチャネル部を構成し、パッド22a,22bがP型トランジスタP1のソースまたはドレインとなる端子を構成する。ナノワイヤ26がN型トランジスタN1のチャネル部を構成し、パッド27a,27bがN型トランジスタN1のソースまたはドレインとなる端子を構成する。P型トランジスタP1は、Z方向において埋め込み配線層よりも上に形成されており、N型トランジスタN1は、Z方向においてP型トランジスタP1よりも上に形成されている。
【0036】
ゲート配線31は、セルのX方向におけるほぼ中央においてY方向に延びており、かつ、セルの下部から上部にかけてZ方向に延びている。ゲート配線31は、P型トランジスタP1およびN型トランジスタN1のゲートとなる。すなわち、ナノワイヤ21、ゲート配線31、およびパッド22a,22bによって、P型トランジスタP1が構成される。ナノワイヤ26、ゲート配線31、およびパッド27a,27bによって、N型トランジスタN1が構成される。また、セルのX方向における両端に、ダミーゲート配線35a,35bが形成されている。ダミーゲート配線35a,35bは、ゲート配線31と同様に、Y方向およびZ方向に延びている。
【0037】
セルの下部において、Y方向に延びるローカル配線41,42が形成されている。ローカル配線41は、パッド22aと接続されている。ローカル配線42は、パッド22bと接続されている。セルの上部において、Y方向に延びるローカル配線43,44が形成されている。ローカル配線43は、パッド27aと接続されている。ローカル配線44は、パッド27bと接続されている。
【0038】
ローカル配線41は、電源配線11と平面視で重なる位置まで延びており、コンタクト51を介して、電源配線11と接続されている。コンタクト51は、平面視で電源配線11とローカル配線41とが重なる位置に形成されている。ローカル配線43は、電源配線12と平面視で重なる位置まで延びており、コンタクト52を介して、電源配線12と接続されている。コンタクト52は、平面視で電源配線12とローカル配線43とが重なる位置に形成されている。ローカル配線42,44は、コンタクト53を介して接続されている。コンタクト53は、平面視でローカル配線42とローカル配線44とが重なる位置に形成されている。
【0039】
配線61は、コンタクト71を介して、ゲート配線31と接続されている。配線62は、コンタクト72を介して、ローカル配線44と接続されている。
【0040】
ここで、N型トランジスタN1はP型トランジスタP1よりも上方、すなわち埋め込み配線層から遠い位置にある。このため、図3(a)から分かるように、電源配線12とN型トランジスタN1とを接続するコンタクト52は、電源配線11とP型トランジスタP1とを接続するコンタクト51よりも深さ方向における長さが長い。このため、コンタクト51,52を平面視において同一サイズで形成した場合には、コンタクト52の抵抗はコンタクト51よりも大きくなってしまう。この結果、トランジスタP1,N1の特性のバランスが悪くなる可能性がある。
【0041】
そこで、本実施形態では、コンタクト52の平面視におけるサイズをコンタクト51よりも大きくして、コンタクト52の抵抗を小さくしている。これにより、上述したトランジスタP1,N1の特性のバランスの問題を緩和することができる。ここで示した例では、コンタクト52は、X方向におけるサイズはコンタクト51と同一にし、Y方向におけるサイズをコンタクト51よりも大きくしている(w2>w1)。また、Y方向において、電源配線12の下端からコンタクト52の下端までの距離Sを、電源配線11の上端からコンタクト51の上端までの距離Sと同一にしている。これは、後述するとおり、Y方向において隣接する2個のセルにおいて、コンタクト間の距離(2S)が保たれるようにするためである。
【0042】
また、コンタクト52を、ローカル配線42,44を接続するコンタクト53と比較する。コンタクト52は、コンタクト53よりも深さ方向における長さが長く形成されており、かつ、平面視におけるサイズがコンタクト53よりも大きくなっている。
【0043】
以上のように本実施形態によると、スタンダードセルは、埋め込み配線層に形成された電源配線11,12間に、ナノワイヤFETであるP型トランジスタP1と、深さ方向においてP型トランジスタP1よりも上に形成された、ナノワイヤFETであるN型トランジスタN1とを備える。コンタクト51は、P型トランジスタP1の端子であるパッド22aに接続されたローカル配線41と、電源配線11とを接続する。コンタクト52は、N型トランジスタN1の端子であるパッド27aに接続されたローカル配線43と、電源配線12とを接続する。そして、コンタクト52は、Z方向における長さがコンタクト51よりも長く、かつ、平面視におけるサイズがコンタクト51よりも大きい。これにより、Z方向における長さが異なるコンタクト51,52の抵抗の違いが小さく抑えられるので、P型トランジスタP1に対するVDD供給経路とN型トランジスタN1に対するVSS供給経路とにおいて、抵抗の違いが抑制される。したがって、P型トランジスタP1およびN型トランジスタN1の特性のバランスを保つことができる。
【0044】
(他の例)
図5は本実施形態に係るセルのレイアウト構造の他の例を示す平面図であり、(a)は下部を示し、(b)は上部を示す。図5の例では、下部はN型ナノワイヤFET(N型トランジスタN1)を含み、上部はP型ナノワイヤFET(P型トランジスタP1)を含む。すなわち、上述した実施形態と対比すると、P型トランジスタP1およびN型トランジスタN1のZ方向における上下関係が入れ替わっている。
【0045】
図5のレイアウト構造は、図1のレイアウト構造をY方向に反転させたものに相当しており、構成の詳細は、図1のレイアウト構造と同様である。そして、電源配線11とP型トランジスタP1とを接続するコンタクト54の平面視におけるサイズを、電源配線12とN型トランジスタN1とを接続するコンタクト53よりも大きくして、コンタクト54の抵抗を小さくしている。この構成でも、上述の実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0046】
(第2実施形態)
図6は第2実施形態に係るセルのレイアウト構造の例を示す平面図であり、(a)はP型ナノワイヤFETを含む下部、(b)はN型ナノワイヤFETを含む上部を示す。また図7図6に示すセルの回路図である。図7に示すように、図6に示すセルは、P型トランジスタP21,P22およびN型トランジスタN21,N22を有し、入力A,B、出力Yの2入力NAND回路を実現している。なお、セルの断面構造は、第1実施形態で示した図2および図3を参照して、理解することができる。
【0047】
図6(a)に示すように、セルのY方向における両端において、X方向に延びる電源配線11,12がそれぞれ設けられている。電源配線11,12はともに、埋め込み配線層に形成されたBPRである。電源配線11は電源電圧VDDを供給し、電源配線12は電源電圧VSSを供給する。
【0048】
M1配線層には、X方向に延びる配線161,162,163が形成されている。配線161は入力A、配線162は入力B、配線163は出力Yに相当する。
【0049】
セルの下部には、X方向に延びるナノワイヤ121a,121bが形成されており、セルの上部には、X方向に延びるナノワイヤ126a,126bが形成されている。ナノワイヤ121a,126aは平面視で重なっており、ナノワイヤ121b,126bは平面視で重なっている。ナノワイヤ121aの図面左側に、P型半導体がドーピングされたパッド122aが形成されており、ナノワイヤ121bの図面右側に、P型半導体がドーピングされたパッド122bが形成されている。また、ナノワイヤ121a,121bの間に、P型半導体がドーピングされたパッド122cが形成されている。ナノワイヤ126aの図面左側に、N型半導体がドーピングされたパッド127aが形成されており、ナノワイヤ126bの図面右側に、N型半導体がドーピングされたパッド127bが形成されている。また、ナノワイヤ126a,126bの間に、N型半導体がドーピングされたパッド127cが形成されている。ナノワイヤ121a,121bがP型トランジスタP21,P22のチャネル部をそれぞれ構成し、パッド122aがP型トランジスタP21のソースまたはドレインとなる端子を構成し、パッド122bがP型トランジスタP22のソースまたはドレインとなる端子を構成し、パッド122cがP型トランジスタP21,P22のソースまたはドレインとなる端子を構成する。ナノワイヤ126a,126bがN型トランジスタN21,N22のチャネル部をそれぞれ構成し、パッド127aがN型トランジスタN21のソースまたはドレインとなる端子を構成し、パッド127bがN型トランジスタN22のソースまたはドレインとなる端子を構成し、パッド127cがN型トランジスタN21,N22のソースまたはドレインとなる端子を構成する。
【0050】
ゲート配線131,132は、Y方向に延びており、かつ、セルの下部から上部にかけてZ方向に延びている。ゲート配線131は、P型トランジスタP21およびN型トランジスタN21のゲートとなり、ゲート配線132は、P型トランジスタP22およびN型トランジスタN22のゲートとなる。すなわち、ナノワイヤ121a、ゲート配線131、およびパッド122a,122cによって、P型トランジスタP21が構成されており、ナノワイヤ121b、ゲート配線132、およびパッド122b,122cによって、P型トランジスタP22が構成されている。ナノワイヤ126a、ゲート配線131、およびパッド127a,127cによって、N型トランジスタN21が構成されており、ナノワイヤ126b、ゲート配線132、およびパッド127b,127cによって、N型トランジスタN22が構成されている。また、セルのX方向における両端に、ダミーゲート配線135a,135bが形成されている。ダミーゲート配線135a,135bは、ゲート配線131,132と同様に、Y方向およびZ方向に延びている。
【0051】
セルの下部において、Y方向に延びるローカル配線141,142,143が形成されている。ローカル配線141は、パッド122aと接続されている。ローカル配線142は、パッド122bと接続されている。ローカル配線143は、パッド122cと接続されている。セルの上部において、Y方向に延びるローカル配線144,145,146が形成されている。ローカル配線144は、パッド127aと接続されている。ローカル配線145は、パッド127bと接続されている。ローカル配線146は、パッド127cと接続されている。
【0052】
ローカル配線141は、電源配線11と平面視で重なる位置まで延びており、コンタクト151を介して、電源配線11と接続されている。コンタクト151は、平面視で電源配線11とローカル配線141とが重なる位置に形成されている。ローカル配線142は、電源配線11と平面視で重なる位置まで延びており、コンタクト152を介して、電源配線11と接続されている。コンタクト152は、平面視で電源配線11とローカル配線142とが重なる位置に形成されている。ローカル配線144は、電源配線12と平面視で重なる位置まで延びており、コンタクト153を介して、電源配線12と接続されている。コンタクト153は、平面視で電源配線12とローカル配線144とが重なる位置に形成されている。
【0053】
配線161は、コンタクト171を介して、ゲート配線131と接続されている。配線162は、コンタクト172を介して、ゲート配線132と接続されている。配線163は、コンタクト173を介して、ローカル配線145と接続されており、また、コンタクト174を介して、ローカル配線143と接続されている。
【0054】
ここで、N型トランジスタN21,N22はP型トランジスタP21,P22よりも上方、すなわち埋め込み配線層から遠い位置にある。このため、電源配線12とトランジスタN21とを接続するコンタクト153は、電源配線11とトランジスタP21,P22とを接続するコンタクト151,152よりも深さ方向における長さが長い。このため、コンタクト151,152,153を平面視において同一サイズで形成した場合には、コンタクト153の抵抗はコンタクト151,152よりも大きくなってしまう。この結果、トランジスタP21,P22,N21,N22の特性のバランスが悪くなる可能性がある。
【0055】
そこで、本実施形態では、コンタクト153の平面視におけるサイズをコンタクト151,152よりも大きくして、コンタクト153の抵抗を小さくしている。これにより、上述したトランジスタP21,P22,N21,N22の特性のバランスの問題を緩和することができる。
【0056】
以上のように本実施形態によると、スタンダードセルは、埋め込み配線層に形成された電源配線11,12間に、ナノワイヤFETであるP型トランジスタP21,P22と、深さ方向においてP型トランジスタP21,P22よりも上に形成された、ナノワイヤFETであるN型トランジスタN21,N22とを備える。コンタクト151は、P型トランジスタP21の端子であるパッド122aに接続されたローカル配線141と、電源配線11とを接続する。コンタクト152は、P型トランジスタP22の端子であるパッド122bに接続されたローカル配線142と、電源配線11とを接続する。コンタクト153は、N型トランジスタN21の端子であるパッド127aに接続されたローカル配線144と、電源配線12とを接続する。そして、コンタクト153は、Z方向における長さがコンタクト151,152よりも長く、かつ、平面視におけるサイズがコンタクト151,152よりも大きい。これにより、Z方向における長さが異なるコンタクト151,152,153の抵抗の違いが小さく抑えられるので、P型トランジスタP21,P22に対するVDD供給経路とN型トランジスタN21,N22に対するVSS供給経路とにおいて、抵抗の違いが抑制される。したがって、P型トランジスタP21,P22およびN型トランジスタN21,N22の特性のバランスを保つことができる。
【0057】
(第3実施形態)
図8は第3実施形態に係るセルのレイアウト構造の例を示す平面図であり、(a)はP型ナノワイヤFETを含む下部、(b)はN型ナノワイヤFETを含む上部を示す。図8に示すセルは、いわゆるダブルハイトセルであり、第1および第2実施形態で示したセル(シングルハイトセル)の2倍の高さ(Y方向におけるサイズ)を有する。また図9図8に示すセルの回路図である。図9に示すように、図8に示すセルは、P型トランジスタP31,P32およびN型トランジスタN31,N32を有し、入力A、出力Yのバッファ回路を実現している。なお、セルの断面構造は、第1実施形態で示した図2および図3を参照して、理解することができる。
【0058】
図8(a)に示すように、セルのY方向における両端において、X方向に延びる電源配線13,14がそれぞれ設けられている。また、セルのY方向における中央部において、X方向に延びる電源配線15が設けられている。電源配線15のY方向における幅は、電源配線13,14のほぼ2倍になっている。電源配線13,14,15はいずれも、埋め込み配線層に形成されたBPRである。電源配線13,14は電源電圧VDDを供給し、電源配線15は電源電圧VSSを供給する。
【0059】
M1配線層には、X方向に延びる配線261,262,263が形成されている。配線261は入力A、配線262は出力Yに相当する。
【0060】
セルの下部には、X方向に延びるナノワイヤ221,223が形成されており、セルの上部には、X方向に延びるナノワイヤ226,228が形成されている。ナノワイヤ221,226は、電源配線13,15の間の領域に形成されており、平面視で重なっている。ナノワイヤ223,228は、電源配線14,15の間の領域に形成されており、平面視で重なっている。ナノワイヤ221の両端に、P型半導体がドーピングされたパッド222a,222bが形成されている。ナノワイヤ223の両端に、P型半導体がドーピングされたパッド224a,224bが形成されている。ナノワイヤ226の両端に、N型半導体がドーピングされたパッド227a,227bが形成されている。ナノワイヤ228の両端に、N型半導体がドーピングされたパッド229a,229bが形成されている。ナノワイヤ221がP型トランジスタP32のチャネル部を構成し、パッド222a,222bがP型トランジスタP32のソースまたはドレインとなる端子を構成する。ナノワイヤ223がP型トランジスタP31のチャネル部を構成し、パッド224a,224bがP型トランジスタP31のソースまたはドレインとなる端子を構成する。ナノワイヤ226がN型トランジスタN32のチャネル部を構成し、パッド227a,227bがN型トランジスタN32のソースまたはドレインとなる端子を構成する。ナノワイヤ228がN型トランジスタN31のチャネル部を構成し、パッド229a,229bがN型トランジスタN31のソースまたはドレインとなる端子を構成する。
【0061】
ゲート配線231,232は、Y方向に延びており、かつ、セルの下部から上部にかけてZ方向に延びている。ゲート配線231は電源配線13,15の間の領域に形成されており、ゲート配線232は電源配線14,15の間の領域に形成されている。ゲート配線231は、P型トランジスタP32およびN型トランジスタN32のゲートとなり、ゲート配線232は、P型トランジスタP31およびN型トランジスタN31のゲートとなる。すなわち、ナノワイヤ221、ゲート配線231、およびパッド222a,222bによって、P型トランジスタP32が構成されており、ナノワイヤ223、ゲート配線232、およびパッド224a,224bによって、P型トランジスタP31が構成されている。ナノワイヤ226、ゲート配線231、およびパッド227a,227bによって、N型トランジスタN32が構成されており、ナノワイヤ228、ゲート配線232、およびパッド229a,229bによって、N型トランジスタN31が構成されている。また、セルのX方向における両端に、ダミーゲート配線235a,235b,235c,235dが形成されている。ダミーゲート配線235a,235b,235c,235dは、ゲート配線231,232と同様に、Y方向およびZ方向に延びている。
【0062】
セルの下部において、Y方向に延びるローカル配線241,242,243,244が形成されている。ローカル配線241は、パッド222aと接続されている。ローカル配線242は、パッド222bと接続されている。ローカル配線243は、パッド224aと接続されている。ローカル配線244は、パッド224bと接続されている。セルの上部において、Y方向に延びるローカル配線245,246,247が形成されている。ローカル配線245は、パッド227a、および、パッド229aと接続されている。ローカル配線246は、パッド229bと接続されている。ローカル配線247は、パッド227bと接続されている。
【0063】
ローカル配線241は、電源配線13と平面視で重なる位置まで延びており、コンタクト251を介して、電源配線13と接続されている。コンタクト251は、平面視で電源配線13とローカル配線241とが重なる位置に形成されている。ローカル配線243は、電源配線14と平面視で重なる位置まで延びており、コンタクト252を介して、電源配線14と接続されている。コンタクト252は、平面視で電源配線14とローカル配線243とが重なる位置に形成されている。ローカル配線245は、電源配線15と平面視で重なっており、コンタクト253を介して、電源配線15と接続されている。コンタクト253は、平面視で電源配線15とローカル配線245とが重なる位置に形成されている。
【0064】
ローカル配線242とローカル配線247とは、コンタクト254を介して接続されている。ローカル配線244とローカル配線246とは、コンタクト255を介して接続されている。
【0065】
配線261は、コンタクト271を介して、ゲート配線232と接続されている。配線262は、コンタクト272を介して、ローカル配線247と接続されている。配線263は、コンタクト273を介して、ゲート配線231と接続されており、かつ、コンタクト274を介して、ローカル配線246と接続されている。
【0066】
ここで、トランジスタN31,N32はトランジスタP31,P32よりも上方、すなわち埋め込み配線層から遠い位置にある。このため、電源配線15とトランジスタN31,N32とを接続するコンタクト253は、電源配線13,14とトランジスタP31,P32とを接続するコンタクト251,252よりも、深さ方向における長さが長い。このため、コンタクト251,252,253を平面視において同一サイズで形成した場合には、コンタクト253の抵抗はコンタクト251,252よりも大きくなってしまう。この結果、トランジスタP31,P32,N31,N32の特性のバランスが悪くなる可能性がある。
【0067】
そこで、本実施形態では、コンタクト253の平面視におけるサイズをコンタクト251,252よりも大きくして、コンタクト253の抵抗を小さくしている。これにより、上述したトランジスタP31,P32,N31,N32の特性のバランスの問題を緩和することができる。
【0068】
ここで示した例では、コンタクト253は、X方向におけるサイズはコンタクト251,252と同一にし、Y方向におけるサイズをコンタクト251,252よりも大きくしている。また、コンタクト253は、セルのY方向における中央部をまたぐように、形成されている。これにより、Y方向において対向するローカル配線241,243との間の間隔(S2)を十分に大きくとることができる。したがって、半導体集積回路装置の製造容易性、信頼性、および、歩留まりが向上する。
【0069】
以上のように本実施形態によると、スタンダードセルは、埋め込み配線層に形成された、VDDを供給する電源配線13,14間に、ナノワイヤFETであるP型トランジスタP31,P32と、深さ方向においてP型トランジスタP31,P32よりも上に形成された、ナノワイヤFETであるN型トランジスタN31,N32とを備える。また、電源配線13,14間に、VSSを供給する電源配線15がある。コンタクト251は、P型トランジスタP32の端子であるパッド222aに接続されたローカル配線241と、電源配線13とを接続する。コンタクト252は、P型トランジスタP31の端子であるパッド224aに接続されたローカル配線243と、電源配線14とを接続する。コンタクト253は、N型トランジスタN31,N32の端子であるパッド227a,229aに接続されたローカル配線245と、電源配線15とを接続する。そして、コンタクト253は、Z方向における長さがコンタクト251,252よりも長く、かつ、平面視におけるサイズがコンタクト251,252よりも大きい。これにより、Z方向における長さが異なるコンタクト251,252,253の抵抗の違いが小さく抑えられるので、P型トランジスタP31,P32に対するVDD供給経路とN型トランジスタN31,N32に対するVSS供給経路とにおいて、抵抗の違いが抑制される。したがって、P型トランジスタP31,P32およびN型トランジスタN31,N32の特性のバランスを保つことができる。
【0070】
(他の例)
本実施形態に係るセルは、下部はN型FET(N型トランジスタN31,N32)を含み、上部はP型FET(P型トランジスタP31,P32)を含むように構成してもよい。この場合は、セルのY方向における両端に電源電圧VSSを供給する電源配線を設けて、セルのY方向における中央部に電源電圧VDDを供給する電源配線を設けて、上の例と同様のレイアウトとすればよい。
【0071】
また、本実施形態は、トリプルハイトまたはそれ以上のセル高さのセルに適用することも可能である。この場合、セルのY方向における両端にある電源配線以外の電源配線に、上述したコンタクト253のような、Y方向におけるサイズが大きいコンタクトを配置することによって、P型トランジスタに対するVDD供給経路とN型トランジスタに対するVSS供給経路とにおいて、抵抗の違いを抑制することができる。
【0072】
(回路ブロックのレイアウト例)
図10は上述の各実施形態で示したセルを用いた回路ブロックのレイアウトの例である。図10はセルの下部を図示している。C11,C12,C13,C14は第1実施形態で示したインバータセル、C21,C22,C23は第2実施形態で示したNANDセル、C31は第3実施形態で示したバッファセルである。NANDセルC22は、X方向およびY方向において反転されている。インバータセルC12は、Y方向において反転されている。インバータセルC13は、X方向において反転されている。
【0073】
図10の例では、Y方向において隣接するセルC21,C22において、Y方向におけるサイズが大きいコンタクト551,552が対向する部分でも、間隔2Sが確保されている。また、シングルハイトセルであるNANDセルC21における、Y方向におけるサイズが大きいコンタクト551とこれに対向するローカル配線542との間の間隔はaである。これに対して、ダブルハイトセルであるバッファセルC31では、Y方向におけるサイズが大きいコンタクト553とこれに対向するローカル配線541との間の間隔が、aよりも大きいbである(b>a)。
【0074】
なお、上述の各実施形態では、トランジスタは1本のナノワイヤを備えるものとしたが、トランジスタの一部または全部は、複数本のナノワイヤを備えてもよい。この場合、平面視でY方向において複数本のナノワイヤを設けてもよいし、Z方向において複数本のナノワイヤを設けてもよい。また、Y方向およびZ方向の両方においてそれぞれ複数本のナノワイヤを設けてもよい。また、セルの上部と下部とにおいて、トランジスタが備えるナノワイヤの本数が異なっていてもよい。
【0075】
また、上述の各実施形態では、ナノワイヤの断面形状はほぼ正方形としているが、これに限られるものではない。例えば、円形や長方形であってもよい。
【0076】
また、上述の各実施形態では、立体構造トランジスタとしてナノワイヤFETを例にとって説明を行ったが、これに限られるものではない。例えば、セルの下部に形成されるトランジスタは、フィン型トランジスタであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本開示では、CFETを用いたスタンダードセルを備えた半導体集積回路装置について、できるので、例えば半導体チップの性能向上に有用である。
【符号の説明】
【0078】
11,12,13,14,15 電源配線
21,26 ナノワイヤ
22a,27a パッド(端子)
31 ゲート配線
41,42,43,44 ローカル配線
51,52,53,54,55 コンタクト
121,126 ナノワイヤ
122a,122b,127a パッド(端子)
131,132 ゲート配線
141,142,144
151,152,153 コンタクト
221,223,226,228 ナノワイヤ
231,232 ゲート配線
241,243,245 ローカル配線
251,252,253 コンタクト
P1,P21,P22,P31,P32 P型トランジスタ
N1,N21,N22,N31,N32 N型トランジスタ
図1
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