IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダイキン工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-装置評価システム及び装置評価方法 図1
  • 特許-装置評価システム及び装置評価方法 図2
  • 特許-装置評価システム及び装置評価方法 図3
  • 特許-装置評価システム及び装置評価方法 図4A
  • 特許-装置評価システム及び装置評価方法 図4B
  • 特許-装置評価システム及び装置評価方法 図5A
  • 特許-装置評価システム及び装置評価方法 図5B
  • 特許-装置評価システム及び装置評価方法 図6A
  • 特許-装置評価システム及び装置評価方法 図6B
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-31
(45)【発行日】2023-11-09
(54)【発明の名称】装置評価システム及び装置評価方法
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/49 20180101AFI20231101BHJP
   F24F 11/63 20180101ALI20231101BHJP
【FI】
F24F11/49
F24F11/63
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021031620
(22)【出願日】2021-03-01
(62)【分割の表示】P 2019051639の分割
【原出願日】2019-03-19
(65)【公開番号】P2021081185
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2021-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】藤本 修二
(72)【発明者】
【氏名】稲生 明弘
(72)【発明者】
【氏名】定井 静香
(72)【発明者】
【氏名】笠原 伸一
【審査官】町田 豊隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-292213(JP,A)
【文献】特開2018-194291(JP,A)
【文献】特開2004-293810(JP,A)
【文献】特開2017-150677(JP,A)
【文献】特開2016-084969(JP,A)
【文献】特開2005-291642(JP,A)
【文献】特開2010-003292(JP,A)
【文献】特開2018-194257(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/49
F24F 11/63
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1空間(S)の空気調和を行う、第1の熱源ユニット(20)を有する第1の空調装置(100A)、及び、前記第1の熱源ユニット(20)とは別の、前記第1の空調装置(100A)とは独立した第2の熱源ユニット(20)を有する第2の空調装置(100B)のうち、少なくとも前記第1の空調装置を評価する装置評価システムであって、
前記第1の空調装置が所定の運転状態で運転される第1評価用運転の際に得られる所定の第1評価指標に基づき前記第1の空調装置を評価する第1評価部(212)と、
前記第2の空調装置を制御する第1空調制御部(214)と、
を備え、
前記第1の空調装置の評価には、前記第1の空調装置の冷媒量の評価、性能の評価、及び故障の評価の少なくとも1つを含み、
前記第1評価部は、前記第1の空調装置の設置時に前記第1評価用運転として行われる第1運転の際に得られる前記第1評価指標に基づき前記第1の空調装置を評価する第1評価処理と、前記第1評価処理の後に前記第1評価用運転として行われる第2運転の際に得られる前記第1評価指標に基づき前記第1の空調装置を評価する第2評価処理と、を行い、
前記第1空調制御部は、前記第1の空調装置の前記第1運転及び前記第2運転が行われる前、及び/又は、前記第1の空調装置の前記第1運転及び前記第2運転の実行中に、前記第2の空調装置を運転する、
装置評価システム(200)。
【請求項2】
前記第1の空調装置及び前記第2の空調装置は、前記第1空間に利用ユニット(50)が設置される蒸気圧縮式の空調装置である、
請求項1に記載の装置評価システム。
【請求項3】
前記第2評価処理は、前記第1評価処理から第1期間が経過した時、及び、前回の前記第2評価処理から前記第1期間が経過した時に、繰り返し行われる、
請求項1又は2に記載の装置評価システム。
【請求項4】
第1空間(S)の空気調和を行う、第1の熱源ユニット(50)を有する第1の空調装置(100A)、及び、前記第1の熱源ユニット(50)とは別の、前記第1の空調装置(100A)とは独立した第2の熱源ユニット(50)を有する第2の空調装置(100B)のうち、少なくとも前記第1の空調装置を評価する装置評価方法であって、前記第1の空調装置の評価には、前記第1の空調装置の冷媒量の評価、性能の評価、及び故障の評価の少なくとも1つを含み、
前記装置評価方法は、
前記第1の空調装置の設置時に、前記第1の空調装置を所定の運転状態で運転する第1運転の際に得られる第1評価指標に基づき前記第1の空調装置を評価する第1評価ステップ(S6)と、
前記第1評価ステップの後に、前記第1の空調装置を前記所定の運転状態で運転する第2運転の際に得られる前記第1評価指標に基づき前記第1の空調装置を評価する第2評価ステップ(S17)と、
前記第1の空調装置の前記第1運転及び前記第2運転が行われる前、及び/又は、前記第1の空調装置の前記第1運転及び前記第2運転の実行中に、前記第2の空調装置を運転する空調制御ステップ(S1,S12)と、
を備える、装置評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
空気調和装置を評価する装置評価システム及び空気調和装置の評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特許第5334909号明細書)に開示されているように、所定の運転状態になるように空調装置を運転し(ここでは、この運転を評価用運転と呼ぶ)、評価用運転時の所定の指標に基づき空調装置を評価する技術が従来から存在する。特許文献1(特許第5334909号明細書)には、空調装置の設置初期の冷媒充填時などに、冷媒量不足の検知を目的として空調装置を評価することが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような空調装置の評価技術を用いて、空調装置の設置初期に空調装置が評価され、年月を経て空調装置が再評価される場合がある。しかし、再評価の際に評価用運転時の熱負荷を空調装置の設置初期と同一とすることは困難である。そのため、再評価は、一般に、異なる熱負荷下で行われる評価用運転に基づいて行われている。
【0004】
しかし、熱負荷の相違は評価の精度に少なからず影響を与えるため、空調装置の設置初期の評価用運転時の熱負荷と、その後の再評価時に行われる評価用運転時の熱負荷とは、なるべく近い値であることが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1観点に係る装置評価システムは、第1空間の空気調和を行う第1の空調装置及び第2の空調装置のうち、少なくとも第1の空調装置を評価する。第1の空調装置は、第1の熱源ユニットを有する。第2の空調装置は、第1の熱源ユニットとは別の、第1の空調装置とは独立した第2の熱源ユニットを有する。装置評価システムは、第1評価部と、第1空調制御部と、を備える。第1評価部は、第1の空調装置が所定の運転状態で運転される第1評価用運転の際に得られる所定の第1評価指標に基づき第1の空調装置を評価する。第1空調制御部は、第2の空調装置を制御する。第1評価部は、第1評価処理と、第2評価処理と、を行う。第1評価処理では、第1評価部は、第1の空調装置の設置時に第1評価用運転として行われる第1運転の際に得られる第1評価指標に基づき第1の空調装置を評価する。第2評価処理では、第1評価部は、第1評価処理の後に第1評価用運転として行われる第2運転の際に得られる第1評価指標に基づき第1の空調装置を評価する。第1空調制御部は、第1の空調装置の第1運転及び第2運転の少なくとも一方が行われる前、及び/又は、第1の空調装置の第1運転及び第2運転の少なくとも一方の実行中に、第2の空調装置を運転する。
【0006】
第1観点に係る装置評価システムでは、空調装置の設置初期の評価時と、空調装置の設置から時間が経過した後の評価時とで、熱負荷の条件を近づけることが可能で、精度良く空調装置を評価できる。
【0007】
第2観点に係る装置評価システムは、第1観点の装置評価システムであって、第1の空調装置の評価には、第1の空調装置の冷媒量の評価、性能の評価、及び故障の評価の少なくとも1つを含む。
【0008】
第2観点に係る装置評価システムは、各種評価内容について精度良く評価できる。
【0009】
他の観点に係る装置評価システムでは、第1空調制御部は、第1の空調装置の第1運転及び第2運転の少なくとも一方が行われる前、及び/又は、第1の空調装置の第1運転及び第2運転の少なくとも一方の実行中に、第2の空調装置を運転することで、第1空間の温度を目標温度に近づける及び/又は第1空間の湿度を目標湿度に近づける。
【0010】
この観点に係る装置評価システムでは、空調装置の設置初期の評価時と、空調装置の設置から時間が経過した後の評価時とで、第1空間の温度や湿度を近づけることが可能で、精度良く空調装置を評価できる。
【0011】
第3観点に係る装置評価システムは、第1観点又は第2観点の装置評価システムであって、第1の空調装置及び第2の空調装置は、第1空間に利用ユニットが設置される蒸気圧縮式の空調装置である。
【0012】
第4観点に係る装置評価システムは、第1観点から第3観点のいずれかの装置評価システムであって、第2評価処理は、第1評価処理から第1期間が経過した時、及び、前回の第2評価処理から第1期間が経過した時に、繰り返し行われる。
【0013】
第4観点に係る装置評価システムでは、空調装置を定期的に精度良く評価できる。
【0014】
他の観点に係る装置評価システムは、第2評価部と、第2空調制御部と、を備える。第2評価部は、第2の空調装置が所定の運転状態で運転される第2評価用運転の際に得られる所定の第2評価指標に基づき第2の空調装置を評価する。第2空調制御部は、第1の空調装置を制御する。第2評価部は、第3評価処理と、第4評価処理と、を行う。第3評価処理では、第2評価部は、第2の空調装置の設置時に第2評価用運転として行われる第3運転の際に得られる第2評価指標に基づき第2の空調装置を評価する。第4評価処理では、第2評価部は、第3評価処理の後に第2評価用運転として行われる第4運転の際に得られる第2評価指標に基づき第2の空調装置を評価する。第2空調制御部は、第2の空調装置の第3運転及び第4運転の少なくとも一方が行われる前、及び/又は、第2の空調装置の第3運転及び第4運転の少なくとも一方の実行中に、第1の空調装置を運転する。
【0015】
この観点に係る装置評価システムでは、第2の空調装置についても、空調装置の設置初期の評価時と、空調装置の設置から時間が経過した後の評価時とで、熱負荷の条件を近づけることが可能で、精度良く空調装置を評価できる。
【0016】
第5観点に係る装置評価方法は、第1空間の空気調和を行う第1の空調装置及び第2の空調装置のうち、少なくとも第1の空調装置を評価する装置評価方法である。第1の空調装置は、第1の熱源ユニットを有する。第2の空調装置は、第1の熱源ユニットとは別の、第1の空調装置とは独立した第2の熱源ユニットを有する。装置評価方法は、第1評価ステップと、第2評価ステップと、空調制御ステップと、を備える。第1評価ステップでは、第1の空調装置の設置時に、第1の空調装置を所定の運転状態で運転する第1運転の際に得られる第1評価指標に基づき第1の空調装置が評価される。第2評価ステップでは、第1評価ステップの後に、第1の空調装置を所定の運転状態で運転する第2運転の際に得られる第1評価指標に基づき第1の空調装置が評価される。空調制御ステップでは、第1の空調装置の第1運転及び第2運転の少なくとも一方が行われる前、及び/又は、第1の空調装置の第1運転及び第2運転の少なくとも一方の実行中に、第2の空調装置が運転される。
【0017】
第5観点に係る装置評価方法では、空調装置の設置初期の評価時と、空調装置の設置から時間が経過した後の評価時とで、熱負荷の条件を近づけることが可能で、精度良く空調装置を評価できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本開示の一実施形態に係る装置評価システムの評価対象である第1空調装置及び第2空調装置を含む空調システムを概略的に示す図である。
図2図1の空調システムの第1空調装置及び第2空調装置の概略構成図である。
図3】本開示の一実施形態に係る装置評価システムのブロック図である。
図4A図3の装置評価システムによる、第1空調装置の設置時の第1空調装置の評価のフローチャートの一例である。
図4B図3の装置評価システムによる、第1評価処理の後に実施される第1空調装置の評価のフローチャートの一例である。
図5A図3の装置評価システムによる、第1空調装置の設置時の第1空調装置の評価のフローチャートの他の例である。
図5B図3の装置評価システムによる、第1評価処理の後に実施される第1空調装置の評価の他の例である。
図6A図3の装置評価システムによる、第1空調装置の設置時の第1空調装置の評価のフローチャートの更に他の例である。
図6B図3の装置評価システムによる、第1評価処理の後に実施される第1空調装置の評価のフローチャートの更に他の例である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本開示の一実施形態に係る装置評価システム200及び装置評価システム200による空調装置の評価方法について、図面を参照しながら説明する。
【0020】
(1)全体構成
本開示の一実施形態に係る装置評価システム200、及び、装置評価システム200の評価の対象である第1空調装置100A及び第2空調装置100Bの概要について、図1図3を参照しながら説明する。
【0021】
図1は、装置評価システム200の評価対象である第1空調装置100A及び第2空調装置100Bを含む空調システム100を概略的に示す図である。図2は、第1空調装置100A及び第2空調装置100Bの概略構成図である。図3は、装置評価システム200のブロック図である。
【0022】
空調システム100は、第1空調装置100Aと、第2空調装置100Bとを主に含む。本実施形態では、第1空調装置100A及び第2空調装置100Bは、いずれも蒸気圧縮式の空調装置である。第1空調装置100Aと第2空調装置100Bとは、空間Sの冷房(除湿を含む)及び暖房を行う空調装置である。ただし、第1空調装置100A及び第2空調装置100Bは、冷房及び暖房が可能な空調装置でなくてもよい。例えば、第1空調装置100A及び第2空調装置100Bは、冷房専用の空調装置であってもよい。
【0023】
本実施形態では、第1空調装置100A及び第2空調装置100Bは、同一の構造及び仕様を有する。そこで、説明の簡略化のため、以下の説明及び図面では、第1空調装置100A及び第2空調装置100Bを構成する部品や機器等に、第1空調装置100Aの制御部を示す参照符号60A及び第2空調装置100Bの制御部を示す参照符号60Bを除き、同一の参照符号を使用する。なお、第1空調装置100Aの制御部60Aと第2空調装置100Bの制御部60Bとに異なる参照符号を使用するのは、説明の都合上であり、両制御部60A,60Bも互いに同一の機能を有する。
【0024】
なお、第1空調装置100A及び第2空調装置100Bは、同一の構造や仕様を有していなくてもよい。第1空調装置100Aと第2空調装置100Bとは、異なる構造や仕様を有してもよい。
【0025】
第1空調装置100A及び第2空調装置100Bは、同一の空間Sを空調対象とする空調装置である。言い換えれば、第1空調装置100Aの利用ユニット50及び第2空調装置100Bの利用ユニット50は、いずれも空間Sに設置されている。なお、空調装置100A,100Bの利用ユニット50が同一の空間Sに設置されているとは、空調装置100Aの利用ユニット50が設置されている場所と、空調装置100Bの利用ユニット50が設置されている場所とが、壁等で仕切られていないことを意味する。
【0026】
なお、本実施形態では、同一の空間Sに空調装置が2台設置されるが、空間Sに設置される空調装置の台数は2台に限定されるものではない。空間Sには3台以上の空調装置が設置されてもよい。
【0027】
装置評価システム200は、第1空調装置100A及び第2空調装置100Bの少なくとも一方を評価するシステムである。本実施形態では、装置評価システム200は、第1空調装置100A及び第2空調装置100Bの両方を評価するシステムである。なお、空間Sに3台以上の空調装置が設置される場合には、装置評価システム200は、3台以上の空調装置の少なくとも一部を評価するシステムである。
【0028】
装置評価システム200は、主に、第1空調装置100A及び第2空調装置100Bを評価する機能を備えた評価装置210を有する。評価装置210は、空調システム100の設置されるサイトに設置されるコンピュータである。評価装置210は、第1空調装置100A及び第2空調装置100Bと通信可能に接続されていることが好ましい。
【0029】
装置評価システム200による第1空調装置100A及び第2空調装置100Bの評価には、第1空調装置100A及び第2空調装置100Bの、冷媒量の評価、性能の評価、及び故障の評価の少なくとも1つを含む。具体的な評価内容については後述する。装置評価システム200は、後述する評価項目の全てについて第1空調装置100A及び第2空調装置100Bを評価してもよいし、一部の内容について第1空調装置100A及び第2空調装置100Bを評価してもよい。
【0030】
以下で、第1空調装置100Aの詳細構成、装置評価システム200の詳細構成、及び装置評価システム200による第1空調装置100Aの評価について説明する。
【0031】
(2)第1空調装置の詳細構成
第1空調装置100Aの詳細構成について説明する。上述のように、第1空調装置100A及び第2空調装置100Bは同一の構造及び仕様を有するため、ここでは、第1空調装置100Aについてのみ説明し、第2空調装置100Bについての説明は省略する。
【0032】
第1空調装置100Aは、主として、1台の熱源ユニット20と、1台の利用ユニット50と、液冷媒連絡配管2及びガス冷媒連絡配管4と、制御部60Aと、を備えている(図2参照)。液冷媒連絡配管2及びガス冷媒連絡配管4は、熱源ユニット20と利用ユニット50とを接続する配管である(図2参照)。制御部60Aは、熱源ユニット20及び利用ユニット50の各種機器や各種部品の動作を制御する。
【0033】
なお、本実施形態の第1空調装置100Aは、利用ユニット50を1台有するが、利用ユニット50の台数は1台に限定されない。第1空調装置100Aは、2台以上の利用ユニット50を有してもよい。また、本実施形態の第1空調装置100Aは、熱源ユニット20を1台有するが、熱源ユニット20の台数は1台に限定されない。第1空調装置100Aは、2台以上の熱源ユニット20を有してもよい。また、第1空調装置100Aは、熱源ユニット20及び利用ユニット50が単一のユニットに組み込まれている一体型装置であってもよい。
【0034】
熱源ユニット20と利用ユニット50とは、液冷媒連絡配管2及びガス冷媒連絡配管4を介して接続されることで、冷媒回路10を構成する(図2参照)。冷媒回路10には、冷媒が封入される。冷媒回路10に封入される冷媒は、限定するものではないが、例えばR32等のフルオロカーボン系の冷媒である。冷媒回路10は、熱源ユニット20の圧縮機21、流向切換機構22、熱源側熱交換器23、及び膨張機構25や、利用ユニット50の利用側熱交換器52を有する(図2参照)。
【0035】
第1空調装置100Aは、主な運転モードとして、冷房運転を実行する冷房運転モードと、除湿運転を実行する除湿運転モードと、暖房運転を実行する暖房運転モードと、を有する。冷房運転は、熱源側熱交換器23を凝縮器として機能させ、利用側熱交換器52を蒸発器として機能させ、利用ユニット50が設置される空間Sの空気を冷却する運転である。除湿運転は、冷房運転と同様に、熱源側熱交換器23を凝縮器として機能させ、利用側熱交換器52を蒸発器として機能させる運転である。ただし、除湿運転は、空間Sの除湿を主目的とする。暖房運転は、熱源側熱交換器23を蒸発器として機能させ、利用側熱交換器52を凝縮器として機能させ、利用ユニット50が設置されている空間Sの空気を加熱する運転である。また、第1空調装置100Aは、暖房運転中に、暖房運転を中断しデフロスト運転を行う。デフロスト運転は、熱源側熱交換器23を凝縮器として機能させ、利用側熱交換器52を蒸発器として機能させることで、熱源側熱交換器23に付着した霜を除去するための運転である。また、第1空調装置100Aは、装置評価システム200が第1空調装置100Aを評価する際に、所定の評価用運転を行う。これらの運転の具体的内容については後述する。
【0036】
第1空調装置100Aの詳細について更に説明する。
【0037】
(2-1)利用ユニット
利用ユニット50は、空間Sに設置されるユニットである。例えば、利用ユニット50は、天井埋込式のユニットである。ただし、第1空調装置100A及び第2空調装置100Bの利用ユニット50は、天井埋込式に限定されるものではなく、一方又は両方が、天井吊下式、壁掛式、又は床置式であってもよい。
【0038】
また、利用ユニット50は、空間S以外に設置されてもよい。例えば、利用ユニット50は、屋根裏、機械室、ガレージ等に設置されてもよい。その場合、利用ユニット50から空間Sへと、利用側熱交換器52において冷媒と熱交換した空気を供給する空気通路が設置される。空気通路は、例えばダクトである。ただし、空気通路のタイプは、ダクトに限定されるものではなく適宜選択されればよい。
【0039】
利用ユニット50は、上述のように、液冷媒連絡配管2及びガス冷媒連絡配管4を介して熱源ユニット20に接続され、冷媒回路10の一部を構成している。
【0040】
利用ユニット50は、冷媒回路10の一部を構成する利用側冷媒回路10aを有する(図2参照)。利用側冷媒回路10aは、主として利用側熱交換器52を有する(図2参照)。利用ユニット50は、ファンモータ53aにより駆動される利用側ファン53を有する(図2参照)。利用ユニット50は、各種のセンサを有する。本実施形態では、利用ユニット50が有する各種センサには、液側温度センサ54と、ガス側温度センサ55と、空間温度センサ56と、空間湿度センサ57と、を含む(図2参照)。利用ユニット50は、利用ユニット50の動作を制御する利用側制御部64を有する(図2参照)。
【0041】
(2-1-1)利用側熱交換器
利用側熱交換器52では、利用側熱交換器52を流れる冷媒と、空間Sの空気との間で熱交換が行われる。利用側熱交換器52は、タイプを限定するものではないが、例えば、図示しない複数の伝熱管とフィンとを有するフィン・アンド・チューブ型熱交換器である。
【0042】
利用側熱交換器52の一端は、冷媒配管を介して液冷媒連絡配管2と接続される。利用側熱交換器52の他端は、冷媒配管を介してガス冷媒連絡配管4と接続される。冷房運転時、除湿運転時及びデフロスト運転時には、利用側熱交換器52に液冷媒連絡配管2側から冷媒が流入し、利用側熱交換器52は蒸発器として機能する。暖房運転時には、利用側熱交換器52にガス冷媒連絡配管4側から冷媒が流入し、利用側熱交換器52は凝縮器として機能する。
【0043】
(2-1-2)利用側ファン
利用側ファン53は、利用ユニット50のケーシング(図示せず)内に空間S内の空気を吸入して利用側熱交換器52に供給し、利用側熱交換器52において冷媒と熱交換した空気を、空間Sへと吹き出す機構である。利用側ファン53は、例えばターボファンである。ただし、利用側ファン53のタイプは、ターボファンに限定されるものではなく適宜選択されればよい。利用側ファン53は、ファンモータ53aによって駆動される。利用側ファン53は、回転数を変更可能なファンモータ53aによって駆動される風量可変のファンである。
【0044】
(2-1-3)センサ
利用ユニット50は、液側温度センサ54と、ガス側温度センサ55と、空間温度センサ56と、空間湿度センサ57と、をセンサとして有する(図2参照)。温度センサや湿度センサのタイプは、適宜選択されればよい。
【0045】
なお、利用ユニット50は、センサ54~57の一部のみを有してもよい。また、利用ユニット50は、センサ54~57以外のセンサを有してもよい。
【0046】
液側温度センサ54は、利用側熱交換器52の液側と液冷媒連絡配管2とを接続する冷媒配管に設けられる。液側温度センサ54は、利用側熱交換器52の液側の冷媒配管を流れる冷媒の温度を計測する。
【0047】
ガス側温度センサ55は、利用側熱交換器52のガス側とガス冷媒連絡配管4とを接続する冷媒配管に設けられる。ガス側温度センサ55は、利用側熱交換器52のガス側の冷媒配管を流れる冷媒の温度を計測する。
【0048】
空間温度センサ56は、利用ユニット50のケーシング(図示せず)の空気の吸入側に設けられる。空間温度センサ56は、利用ユニット50のケーシングに流入する空間Sの空気の温度(空間温度Tr)を検出する。
【0049】
空間湿度センサ57は、利用ユニット50のケーシング(図示せず)の空気の吸入側に設けられる。空間湿度センサ57は、利用ユニット50のケーシングに流入する空間Sの空気の湿度(空間湿度Hr)を検出する。
【0050】
(2-1-4)利用側制御部
利用側制御部64は、利用ユニット50を構成する各部の動作を制御する。
【0051】
利用側制御部64は、利用ユニット50を制御するために設けられたマイクロコンピュータや、マイクロコンピュータが実施可能な制御プログラムが記憶されているメモリ等を有する。なお、ここで説明する利用側制御部64の構成は一例に過ぎず、以下で説明する利用側制御部64の機能は、ソフトウェアで実現されても、ハードウェアで実現されても、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせで実現されてもよい。
【0052】
利用側制御部64は、利用側ファン53、液側温度センサ54、ガス側温度センサ55、空間温度センサ56、及び空間湿度センサ57と、制御信号や情報のやりとりを行うことが可能に電気的に接続されている(図2参照)。
【0053】
利用側制御部64は、利用ユニット50を操作するためのリモコン(図示せず)から送信される各種信号を受信可能に構成されている。リモコンから送信させる各種信号には、利用ユニット50の運転/停止を指示する信号や、各種設定に関する信号を含む。各種設定に関する信号には、例えば、運転モードの切換信号や、冷房運転や暖房運転の設定温度Trsや設定湿度Hrsに関する信号を含む。
【0054】
利用側制御部64は、伝送線66により、制御信号等のやりとりを行うことが可能な状態で熱源ユニット20の熱源側制御部62に接続されている。なお、利用側制御部64と熱源側制御部62とは、物理的な伝送線66により接続されてなくてもよく、無線により通信可能に接続されてもよい。利用側制御部64及び熱源側制御部62は、協働して第1空調装置100A全体の動作を制御する制御部60Aとして機能する。制御部60Aについては後述する。
【0055】
(2-2)熱源ユニット
熱源ユニット20は、空間Sの外に配置されている。熱源ユニット20は、例えば第1空調装置100Aの設置される建物の屋上や、建物に隣接して設置されている。
【0056】
熱源ユニット20は、液冷媒連絡配管2及びガス冷媒連絡配管4を介して利用ユニット50に接続されている。熱源ユニット20は、利用ユニット50と共に冷媒回路10を構成する(図2参照)。
【0057】
熱源ユニット20は、冷媒回路10の一部を構成する熱源側冷媒回路10bを有する(図2参照)。熱源側冷媒回路10bは、主として、圧縮機21と、流向切換機構22と、熱源側熱交換器23と、膨張機構25と、アキュムレータ24と、液側閉鎖弁14と、ガス側閉鎖弁16と、を有する(図2参照)。熱源ユニット20は、ファンモータ28aにより駆動される熱源側ファン28を有する(図2参照)。熱源ユニット20は、各種センサを有する。熱源ユニット20の有するセンサについては後述する。熱源ユニット20は、熱源側制御部62を有する(図2参照)。
【0058】
ただし、熱源ユニット20は、必ずしも上記構成要素の全てを有する必要はなく、熱源ユニット20の構成要素は適宜選択されればよい。例えば、熱源ユニット20は、膨張機構25を構成として有さず、同様の膨張機構を、熱源ユニット20に代えて、利用ユニット50が有してもよい。
【0059】
また、熱源ユニット20は、吸入管12aと、吐出管12bと、第1ガス冷媒管12cと、液冷媒管12dと、第2ガス冷媒管12eと、を有する(図2参照)。
【0060】
吸入管12aは、流向切換機構22と圧縮機21の吸入側とを接続する(図2参照)。吸入管12aには、アキュムレータ24が設けられる(図2参照)。
【0061】
吐出管12bは、圧縮機21の吐出側と流向切換機構22とを接続する(図2参照)。
【0062】
第1ガス冷媒管12cは、流向切換機構22と熱源側熱交換器23のガス側とを接続する(図2参照)。
【0063】
液冷媒管12dは、熱源側熱交換器23の液側と液冷媒連絡配管2とを接続する(図2参照)。液冷媒管12dには、膨張機構25が設けられている(図2参照)。液冷媒管12dと液冷媒連絡配管2との接続部には、液側閉鎖弁14が設けられている(図2参照)。
【0064】
第2ガス冷媒管12eは、流向切換機構22とガス冷媒連絡配管4とを接続する(図2参照)。第2ガス冷媒管12eとガス冷媒連絡配管4との接続部には、ガス側閉鎖弁16が設けられている(図2参照)。
【0065】
以下に、熱源ユニット20の主な構成について更に説明する。
【0066】
(2-2-1)圧縮機
圧縮機21は、吸入管12aから冷凍サイクルにおける低圧の冷媒を吸入し、図示しない圧縮機構で冷媒を圧縮して、圧縮した冷媒を吐出管12bへと吐出する機器である。本実施形態では、熱源ユニット20は、圧縮機21を1台だけ有するが、圧縮機21の台数は1台に限定されるものではない。例えば、熱源ユニット20は、並列に接続された複数の圧縮機21を有してもよい。また、熱源ユニット20が複数段で冷媒を圧縮する場合には、熱源ユニット20は、直列に接続された複数の圧縮機21を有してもよい。
【0067】
圧縮機21は、タイプを限定するものではないが、例えば、ロータリ式やスクロール式等の容積圧縮機である。圧縮機21の図示しない圧縮機構は、モータ21aによって駆動される(図2参照)。モータ21aにより圧縮機構(図示せず)が駆動されることで、圧縮機構により冷媒が圧縮される。モータ21aは、インバータによる回転数制御が可能なモータである。モータ21aの回転数(運転周波数)が制御されることで、圧縮機21の容量が制御される。なお、圧縮機21の圧縮機構は、モータ以外の原動機(例えば内燃機関)で駆動されてもよい。
【0068】
(2-2-2)流向切換機構
流向切換機構22は、冷媒の流向を切り換えることで、熱源側熱交換器23の状態を、凝縮器として機能する第1状態と蒸発器として機能する第2状態との間で変更する機構である。なお、流向切換機構22が熱源側熱交換器23の状態を第1状態とする時、利用側熱交換器52は蒸発器として機能する。一方、流向切換機構22が熱源側熱交換器23の状態を第2状態とする時、利用側熱交換器52は凝縮器として機能する。
【0069】
本実施形態では、流向切換機構22は四路切換弁である。ただし、流向切換機構22は四路切換弁に限られるものではない。例えば、流向切換機構22は、複数の電磁弁及び冷媒管が下記のような冷媒の流れ方向の切り換えを実現できるように組み合わせられて構成されてもよい。
【0070】
冷房運転時、除湿運転時、及びデフロスト運転時には、流向切換機構22は、熱源側熱交換器23の状態を第1状態とする。言い換えれば、冷房運転時、除湿運転時、及びデフロスト運転時には、流向切換機構22は、吸入管12aを第2ガス冷媒管12eと連通させ、吐出管12bを第1ガス冷媒管12cと連通させる(図2中の流向切換機構22内の実線参照)。冷房運転時、除湿運転時、及びデフロスト運転時には、圧縮機21が吐出する冷媒は、冷媒回路10内を、熱源側熱交換器23、膨張機構25、利用側熱交換器52の順に流れ、圧縮機21へと戻る。
【0071】
暖房運転時には、流向切換機構22は、熱源側熱交換器23の状態を第2状態とする。言い換えれば、暖房運転時には、流向切換機構22は、吸入管12aを第1ガス冷媒管12cと連通させ、吐出管12bを第2ガス冷媒管12eと連通させる(図2中の流向切換機構22内の破線参照)。暖房運転時には、圧縮機21が吐出する冷媒は、冷媒回路10内を、利用側熱交換器52、膨張機構25、熱源側熱交換器23の順に流れ、圧縮機21へと戻る。
【0072】
(2-2-3)熱源側熱交換器
熱源側熱交換器23では、内部を流れる冷媒と熱源ユニット20の設置場所の空気(熱源空気)との間で熱交換が行われる。熱源ユニット20が室外に設置される場合、熱源側熱交換器23では、内部を流れる冷媒と室外空気との間で熱交換が行われる。
【0073】
熱源側熱交換器23は、タイプを限定するものではないが、例えば、図示しない複数の伝熱管とフィンとを有するフィン・アンド・チューブ型熱交換器である。
【0074】
熱源側熱交換器23の一端は、液冷媒管12dに接続されている。熱源側熱交換器23の他端は、第1ガス冷媒管12cに接続されている。
【0075】
熱源側熱交換器23は、冷房運転時、除湿運転時及びデフロスト運転時には凝縮器(放熱器)として機能し、暖房運転時には蒸発器として機能する。
【0076】
(2-2-4)膨張機構
膨張機構25は、冷媒回路10において熱源側熱交換器23と利用側熱交換器52との間に配置される(図2参照)。膨張機構25は、熱源側熱交換器23と液側閉鎖弁14との間の液冷媒管12dに配置されている(図2参照)。熱源ユニット20が膨張機構25を有する代わりに、利用ユニット50が膨張機構25と同様の膨張機構を有する場合には、膨張機構は、利用ユニット50の内部の、液冷媒連絡配管2と利用側熱交換器52との間を接続する冷媒管に設けられればよい。
【0077】
膨張機構25は、液冷媒管12dを流れる冷媒の圧力や流量の調節を行う。本実施形態では、膨張機構25は開度可変の電子膨張弁である。ただし、膨張機構25は、電子膨張弁に限定されるものではない。膨張機構25は、感温筒式の膨張弁やキャピラリーチューブであってもよい。
【0078】
(2-2-5)アキュムレータ
アキュムレータ24は、流入する冷媒をガス冷媒と液冷媒とに分離する気液分離機能を有する。また、アキュムレータ24は、利用ユニット50の運転負荷の変動等に応じて発生する余剰冷媒の貯留機能を有する容器である。アキュムレータ24は、吸入管12aに設けられる(図2参照)。アキュムレータ24に流入する冷媒は、ガス冷媒と液冷媒とに分離され、上部空間に集まるガス冷媒が圧縮機21へと流出する。
【0079】
(2-2-6)液側閉鎖弁及びガス側閉鎖弁
液側閉鎖弁14は、液冷媒管12dと液冷媒連絡配管2との接続部に設けられている弁である。ガス側閉鎖弁16は、第2ガス冷媒管12eとガス冷媒連絡配管4との接続部に設けられている弁である。液側閉鎖弁14及びガス側閉鎖弁16は、例えば、手動で操作される弁である。
【0080】
(2-2-7)熱源側ファン
熱源側ファン28は、熱源ユニット20の図示しないケーシング内に熱源ユニット20外部の熱源空気を吸入して熱源側熱交換器23に供給し、熱源側熱交換器23において冷媒と熱交換した空気を熱源ユニット20のケーシング外に排出するためのファンである。
【0081】
熱源側ファン28は、例えばプロペラファンである。ただし、熱源側ファン28のファンのタイプは、プロペラファンに限定されず、適宜選択されればよい。
【0082】
熱源側ファン28は、ファンモータ28aによって駆動される(図2参照)。熱源側ファン28は、回転数を変更可能なファンモータ28aによって駆動される風量可変のファンである。
【0083】
(2-2-8)センサ
熱源ユニット20には、各種センサが設けられている。例えば、熱源ユニット20は、以下の温度センサ及び圧力センサを有する。温度センサや圧力センサのタイプは、適宜選択されればよい。
【0084】
熱源ユニット20の有するセンサには、吐出圧力センサ30、吸入圧力センサ31、吸入温度センサ32、吐出温度センサ33、熱交温度センサ34、液側温度センサ35、及び熱源空気温度センサ36を含む(図2参照)。なお、熱源ユニット20は、上述のセンサ30~36の一部のみを有してもよい。また、熱源ユニット20は、上述のセンサ30~36以外のセンサを有してもよい。
【0085】
吐出圧力センサ30は、吐出管12bに設けられている(図2参照)。吐出圧力センサ30は、吐出圧力Pdを計測するセンサである。
【0086】
吸入圧力センサ31は、吸入管12aに設けられている(図2参照)。吸入圧力センサ31は、吸入圧力Psを計測するセンサである。
【0087】
吸入温度センサ32は、吸入管12aに設けられている(図2参照)。吸入温度センサ32は、吸入温度Tsを計測するセンサである。
【0088】
吐出温度センサ33は、吐出管12bに設けられている(図2参照)。吐出温度センサ33は、吐出温度Tdを計測するセンサである。
【0089】
熱交温度センサ34は、熱源側熱交換器23に設けられている(図2参照)。熱交温度センサ34は、熱源側熱交換器23を流れる冷媒の温度を計測する。熱交温度センサ34は、冷房運転時には凝縮温度Tcに対応する冷媒温度を計測し、暖房運転時には蒸発温度Teに対応する冷媒温度を計測する。
【0090】
液側温度センサ35は、液冷媒管12d(熱源側熱交換器23の液側)に設けられ、液冷媒管12dを流れる冷媒の温度Tbを計測する。熱源側熱交換器23の状態が第1状態に切り換えられている時には、熱交温度センサ34が計測する凝縮温度Tcから、液側温度センサ35が計測する冷媒の温度Tbを減じることで、冷凍サイクルの過冷却度SCrが算出される。
【0091】
熱源空気温度センサ36は、熱源空気の温度を計測する。
【0092】
(2-2-9)熱源側制御部
熱源側制御部62は、熱源ユニット20を構成する各部の動作を制御する。
【0093】
熱源側制御部62は、熱源ユニット20を制御するために設けられたマイクロコンピュータやマイクロコンピュータが実施可能な制御プログラムが記憶されているメモリ等を有する。なお、ここで説明する熱源側制御部62の構成は一例に過ぎず、以下で説明する熱源側制御部62の機能は、ソフトウェアで実現されても、ハードウェアで実現されても、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせで実現されてもよい。
【0094】
熱源側制御部62は、圧縮機21、流向切換機構22、膨張機構25、熱源側ファン28、吐出圧力センサ30、吸入圧力センサ31、吸入温度センサ32、吐出温度センサ33、熱交温度センサ34、液側温度センサ35、及び熱源空気温度センサ36、と制御信号や情報のやりとりを行うことが可能に電気的に接続されている(図2参照)。
【0095】
熱源側制御部62は、伝送線66により、制御信号等のやりとりを行うことが可能な状態で、利用ユニット50の利用側制御部64に接続されている。熱源側制御部62と利用側制御部64とは、協働して第1空調装置100A全体の動作を制御する制御部60Aとして機能する。制御部60Aについては後述する。
【0096】
(2-3)冷媒連絡配管
第1空調装置100Aは、冷媒連絡配管として、液冷媒連絡配管2と、ガス冷媒連絡配管4と、を有する。液冷媒連絡配管2及びガス冷媒連絡配管4は、第1空調装置100Aの設置時に、第1空調装置100Aの設置サイトで施工される配管である。液冷媒連絡配管2及びガス冷媒連絡配管4には、設置場所や、熱源ユニット20と利用ユニット50との組み合わせ等の設置条件に応じて様々な長さや径の配管が使用される。
【0097】
利用ユニット50の利用側冷媒回路10aと、熱源ユニット20の熱源側冷媒回路10bとが、液冷媒連絡配管2とガス冷媒連絡配管4とにより接続されることで、第1空調装置100Aの冷媒回路10が構成される。
【0098】
(2-4)制御部
制御部60Aは、熱源ユニット20の熱源側制御部62と利用ユニット50の利用側制御部64とが伝送線66を介して通信可能に接続されることによって構成されている。制御部60Aは、熱源側制御部62や利用側制御部64のマイクロコンピュータがメモリに記憶されたプログラムを実行することで、第1空調装置100A全体の動作を制御する。
【0099】
なお、本実施形態では、熱源側制御部62と利用側制御部64とが制御部60Aを構成するが、制御部60Aの構成はこのような形態に限定されない。
【0100】
例えば、第1空調装置100Aは、熱源側制御部62及び利用側制御部64に加えて、あるいは熱源側制御部62及び利用側制御部64に代えて、以下で説明する制御部60Aの機能の一部又は全部を実現する制御装置を有してもよい。この制御装置は、第1空調装置100Aの制御専用の装置でもよいし、第1空調装置100Aを含む複数の空調装置を制御する装置でもよい。制御装置は、空調システム100の設置される場所とは別の場所に設置されるサーバでもよい。
【0101】
制御部60Aは、図2に示されるように、圧縮機21、流向切換機構22,膨張機構25、熱源側ファン28及び利用側ファン53を含む熱源ユニット20及び利用ユニット50の各種機器と電気的に接続されている。また、制御部60Aは、図2に示されるように、熱源ユニット20に設けられた各種センサ30~36及び利用ユニット50に設けられた各種センサ54~57と電気的に接続されている。
【0102】
制御部60Aは、各種センサ30~36,54~57の計測信号や、利用側制御部64が図示しないリモコンから受信する指令等に基づいて、第1空調装置100Aの運転及び停止や、第1空調装置100Aの各種機器21,22,25,28,53等の動作を制御する。また、制御部60Aは、装置評価システム200からの指示に基づき、第1空調装置100Aの運転及び停止や、第1空調装置100Aの各種機器21,22,25,28,53等の動作を制御する。冷房運転時、暖房運転時、及びデフロスト運転時の第1空調装置100Aの動作の制御については後述する。また、装置評価システム200からの指示に基づく、制御部60Aによる第1空調装置100Aの動作の制御については、装置評価システム200の説明と合わせて後述する。
【0103】
(2-5)第1空調装置の動作
冷房運転時、暖房運転時、及びデフロスト運転時の第1空調装置100Aの動作の制御について説明する。なお、除湿運転は、その主目的が空間Sの除湿であり、制御対象が空間Sの湿度である点で冷房運転と相違するものの、除湿運転時の第1空調装置100Aの動作は、冷房運転時の第1空調装置100Aの動作と同様であるため、説明は省略する。
【0104】
(2-5-1)冷房運転時の動作
第1空調装置100Aに対して冷房運転の実行が指示されると、制御部60Aは、第1空調装置100Aの運転モードを冷房運転モードに設定する。制御部60Aは、熱源側熱交換器23の状態が凝縮器として機能する第1状態になるよう、流向切換機構22を図2において実線で示す状態に制御し、圧縮機21、熱源側ファン28、及び利用側ファン53を運転する。
【0105】
制御部60Aは、冷房運転時に、例えば以下のように第1空調装置100Aの機器を制御する。なお、ここで説明する冷房運転時の第1空調装置100Aの動作の制御は一例であって、制御部60Aによる冷房運転時の第1空調装置100Aの制御方法を限定するものではない。例えば、制御部60Aは、ここで説明する以外のパラメータに基づいて各種機器の動作を制御してもよい。
【0106】
制御部60Aは、熱源側ファン28を駆動するファンモータ28aの回転数や、利用側ファン53を駆動するファンモータ53aの回転数を所定の回転数に制御する。制御部60Aは、例えば、ファンモータ28aの回転数を最大回転数に制御する。制御部60Aは、ファンモータ53aの回転数を、リモコンに入力される風量の指示等に基づいて適宜制御する。
【0107】
制御部60Aは、熱源側熱交換器23の液側出口における冷媒の過冷却度SCrが所定の目標過冷却度SCrsになるように、膨張機構25の一例である電子膨張弁を開度調節する。熱源側熱交換器23の液側出口における冷媒の過冷却度SCrは、例えば、熱交温度センサ34で計測される凝縮温度Tcから液側温度センサ35の計測値(温度Tb)を差し引くことで算出される。過冷却度SCrは、その他のセンサの計測値に基づいて算出されてもよい。
【0108】
制御部60Aは、吸入圧力センサ31の計測値(吸入圧力Ps)に相当する蒸発温度Teが、空間温度センサ56により計測される空間温度Trと設定温度Trsとの温度差により決まる目標蒸発温度Tesに近づくように、圧縮機21の運転容量を制御する。圧縮機21の運転容量の制御は、モータ21aの回転数制御により行われる。
【0109】
冷房運転時に、以上のように第1空調装置100Aの機器の動作が制御されると、冷媒は冷媒回路10を以下のように流れる。
【0110】
圧縮機21が起動されると、冷凍サイクルにおける低圧のガス冷媒が圧縮機21に吸入され、圧縮機21で圧縮されて冷凍サイクルにおける高圧のガス冷媒となる。高圧のガス冷媒は、流向切換機構22を経由して熱源側熱交換器23に送られ、熱源側ファン28によって供給される熱源空気と熱交換を行って凝縮し、高圧の液冷媒となる。高圧の液冷媒は、液冷媒管12dを流れ、膨張機構25において圧縮機21の吸入圧力近くまで減圧されて気液二相状態の冷媒となり、利用ユニット50へと送られる。利用ユニット50へと送られた気液二相状態の冷媒は、利用側熱交換器52において、利用側ファン53により利用側熱交換器52へと供給される空間Sの空気と熱交換を行って蒸発して低圧のガス冷媒となる。低圧のガス冷媒は、ガス冷媒連絡配管4を経由して熱源ユニット20に送られ、流向切換機構22を経由してアキュムレータ24に流入する。アキュムレータ24に流入した低圧のガス冷媒は、再び、圧縮機21に吸入される。一方、利用側熱交換器52に供給された空気の温度は、利用側熱交換器52を流れる冷媒と熱交換することで低下し、利用側熱交換器52で冷却された空気は空間Sに吹き出す。
【0111】
(2-5-2)暖房運転時の動作
第1空調装置100Aに対して暖房運転の実行が指示されると、制御部60Aは、第1空調装置100Aの運転モードを暖房運転モードに設定する。制御部60Aは、熱源側熱交換器23の状態が蒸発器として機能する第2状態になるよう、流向切換機構22を図2において破線で示す状態に制御し、圧縮機21、熱源側ファン28、利用側ファン53を運転する。
【0112】
制御部60Aは、暖房運転時に、例えば以下のように第1空調装置100Aの機器を制御する。なお、ここで説明する暖房運転時の第1空調装置100Aの動作の制御は一例であって、制御部60Aによる暖房運転時の第1空調装置100Aの制御方法を限定するものではない。例えば、制御部60Aは、ここで説明する以外のパラメータに基づいて各種機器の動作を制御してもよい。
【0113】
制御部60Aは、熱源側ファン28を駆動するファンモータ28aの回転数や、利用側ファン53を駆動するファンモータ53aの回転数を所定の回転数に制御する。制御部60Aは、例えば、ファンモータ28aの回転数を最大回転数に制御する。制御部60Aは、ファンモータ53aの回転数を、リモコンに入力される風量の指示等に基づいて適宜制御する。
【0114】
制御部60Aは、利用側熱交換器52の液側出口における冷媒の過冷却度SCrが所定の目標過冷却度SCrsになるように、膨張機構25の一例である電子膨張弁を開度調節する。利用側熱交換器52の液側出口における冷媒の過冷却度SCrは、例えば、吐出圧力センサ30の計測値(吐出圧力Pd)から換算される凝縮温度Tcから、液側温度センサ54の計測値を差し引くことで算出される。
【0115】
制御部60Aは、吐出圧力センサ30の計測値(吐出圧力Pd)に相当する凝縮温度Tcが、空間温度センサ56により計測される空間温度Trと設定温度Trsとの温度差により決まる目標凝縮温度Tcsに近づくように、圧縮機21の運転容量を制御する。圧縮機21の運転容量の制御は、モータ21aの回転数制御により行われる。
【0116】
暖房運転時に、以上のように第1空調装置100Aの機器の動作が制御されると、冷媒は冷媒回路10を以下のように流れる。
【0117】
圧縮機21が起動されると、冷凍サイクルにおける低圧のガス冷媒が圧縮機21に吸入され、圧縮機21で圧縮されて冷凍サイクルにおける高圧のガス冷媒となる。高圧のガス冷媒は、流向切換機構22を経由して利用側熱交換器52に送られ、利用側ファン53によって供給される空間Sの空気と熱交換を行って凝縮し、高圧の液冷媒となる。利用側熱交換器52へと供給された空気の温度は、利用側熱交換器52を流れる冷媒と熱交換することで上昇し、利用側熱交換器52で加熱された空気は空間Sに吹き出す。利用側熱交換器52から流出する高圧の液冷媒は、液冷媒連絡配管2を経由して熱源ユニット20に送られ、液冷媒管12dに流入する。液冷媒管12dを流れる冷媒は、膨張機構25を通過する際に圧縮機21の吸入圧力近くまで減圧され、気液二相状態の冷媒となって熱源側熱交換器23に流入する。熱源側熱交換器23に流入した低圧の気液二相状態の冷媒は、熱源側ファン28によって供給される熱源空気と熱交換を行って蒸発して低圧のガス冷媒となり、流向切換機構22を経由してアキュムレータ24に流入する。アキュムレータ24に流入した低圧のガス冷媒は、再び、圧縮機21に吸入される。
【0118】
(2-5-3)デフロスト運転時の動作
制御部60Aは、第1空調装置100Aの運転モードが暖房運転モードにある時に、流向切換機構22を制御して一時的に熱源側熱交換器23の状態を第1状態に切り換えてデフロスト運転を行う。デフロスト運転は、熱源側熱交換器23に付着した霜を溶かして除去するための運転である。
【0119】
制御部60Aは、暖房運転時に、所定のデフロスト開始条件が成立したと判断すると、流向切換機構22を制御し、熱源側熱交換器23の状態を、蒸発器として機能する第2状態から凝縮器として機能する第1状態へと切り換える。
【0120】
なお、デフロスト開始条件とは、その条件が成立した時に、熱源側熱交換器23の除霜を行うことが好ましい条件である。例えば、制御部60Aは、熱交温度センサ34により計測される冷媒の温度が所定温度以下になった時に、デフロスト開始条件が成立したと判断する。デフロスト開始条件が成立したか否かの判断の閾値に用いられる所定温度は、例えば-5℃である。また、制御部60Aは、暖房運転の継続時間が所定時間を超えた時に、デフロスト開始条件が成立したと判断してもよい。
【0121】
デフロスト運転時には、第1空調装置100Aは例えば以下のように動作する。なお、ここで説明するデフロスト運転時の第1空調装置100Aの動作は一例であって、デフロスト運転時の第1空調装置100Aの動作を限定するものではない。
【0122】
制御部60Aは、デフロスト運転開始前に、圧縮機21を一旦停止する、又は、圧縮機21の回転数を低減する。その後、制御部60Aは、所定のタイミングで、流向切換機構22を暖房運転時の状態から冷房運転時と同様の状態に切り換え、圧縮機21を所定の回転数で運転する(デフロスト運転を開始する)。制御部60Aは、熱源側熱交換器23に付着した霜を溶かすため、圧縮機21の回転数を比較的高く制御する。制御部60Aは、熱源側ファン28を最大風量より小さな所定風量に制御する。制御部60Aは、利用側ファン53を停止する。制御部60Aは、デフロスト運転開始直後には膨張機構25の一例としての電子膨張弁をほぼ全開に調節し、その後、電子膨張弁の開度を適宜調節する。
【0123】
そして、制御部60Aは、デフロスト運転中に、デフロスト終了条件が成立したと判断すると、デフロスト運転を終了し、暖房運転に復帰する。例えば、制御部60Aは、熱交温度センサ34により計測される冷媒温度が所定の終了判断温度以上になり、かつ、その状態が所定時間以上継続した場合に、デフロスト終了条件が成立したと判断する。
【0124】
なお、デフロスト終了条件は、上記の条件に限定されない。例えば、制御部60Aは、熱交温度センサ34により計測される冷媒温度が所定の終了判断温度以上になると、直ちにデフロスト終了条件が成立したと判断してもよい。
【0125】
(3)装置評価システム
次に、図3を参照しながら、第1空調装置100A及び第2空調装置100Bを評価する装置評価システム200について説明する。
【0126】
装置評価システム200は、主に評価装置210を有する。本実施形態では、評価装置210はコンピュータである。評価装置210は、単一のコンピュータから構成されてもよいし、通信可能に接続された複数のコンピュータから構成されてもよい。なお、ここで説明する評価装置210の構成は、一例に過ぎず、以下で説明する評価装置210の機能は、ソフトウェアで実現されても、ハードウェアで実現されても、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせで実現されてもよい。
【0127】
評価装置210は、空調システム100の設置されるサイトに配置される、第1空調装置100A及び第2空調装置100Bとは別置きの独立した装置である。ただし、これに限定されるものではなく、評価装置210は、第1空調装置100A及び/又は第2空調装置100Bに搭載されてもよい。
【0128】
なお、評価装置210は、空調システム100の設置されるサイト以外の場所に設置され、第1空調装置100A及び第2空調装置100Bと通信可能に接続されてもよい。
【0129】
評価装置210は、空間Sに設置される空調装置(第1空調装置100A及び第2空調装置100B)の評価だけを行う装置ではなくてもよい。評価装置210は、第1空調装置100A及び第2空調装置100Bの設置される建物内の空間S以外の空間の空調を行う空調装置や、空調システム100の設置されている場所とは別の場所に設置されている空調装置についても評価を行ってもよい。
【0130】
評価装置210は、第1空調装置100Aの制御部60A及び第2空調装置100Bの制御部60Bと通信可能に接続されている。評価装置210と、制御部60A及び制御部60Bと、物理的な通信線により通信可能に接続されてもよいし、無線により通信可能に接続されてもよい。
【0131】
評価装置210は、制御部60Aに対し、第1空調装置100Aの動作を指示する信号を送信可能である。言い換えれば、評価装置210は、第1空調装置100Aの動作を制御可能である。また、評価装置210は、制御部60Bに対し、第2空調装置100Bの動作を指示する信号を送信可能である。言い換えれば、評価装置210は、第2空調装置100Bの動作を制御可能である。また、評価装置210は、制御部60Aから、第1空調装置100Aの動作状態に関する情報や、第1空調装置100Aが有する各種センサの計測データを受信可能である。また、評価装置210は、制御部60Bから、第2空調装置100Bの動作状態に関する情報や、第2空調装置100Bが有する各種センサの計測データを受信可能である。
【0132】
評価装置210は、コンピュータのCPUが、メモリに記憶されたプログラムを実行することで、主に評価部212及び空調制御部214として機能する(図3参照)。
【0133】
(3-1)評価部
評価部212は、第1評価部の一例である。評価部212は、第1空調装置100Aが所定の運転状態で運転される第1評価用運転の際に得られる所定の第1評価指標に基づき第1空調装置100Aを評価する。より具体的には、評価部212は、第1空調装置100Aの評価処理として、第1評価処理と、第2評価処理と、を行う。第1評価処理では、評価部212は、第1空調装置100Aの設置時に第1評価用運転として行われる第1運転の際に得られる第1評価指標に基づき第1空調装置100Aを評価する。第2評価処理では、評価部212は、第1評価処理から所定期間経過後に第1評価用運転として行われる第2運転の際に得られる第1評価指標に基づき第1空調装置100Aを評価する。第1評価用運転及び第1評価指標については後述する。
【0134】
第1評価処理は、第1空調装置100Aの熱源ユニット20及び利用ユニット50が据え付けられ、熱源ユニット20及び利用ユニット50が液冷媒連絡配管2及びガス冷媒連絡配管4により接続された後の、第1空調装置100Aの試運転時等に行われる。
【0135】
第2評価処理は、例えば、第1評価処理から第1期間が経過した時、及び、前回の第2評価処理から第1期間が経過した時に、繰り返し行われる。具体的には、第2評価処理は、例えば、第1評価処理が行われてから1年が経過した時、及び、その後、更に1年が経過する度に繰り返し行われる。ただし、第2評価処理は、定期的に行われなくてもよい。例えば、第2評価処理は、図示しない入力部からの要求に応じて、任意のタイミングで行われてもよい。
【0136】
評価部212は、第2評価部の一例である。評価部212は、第2空調装置100Bが所定の運転状態で運転される第2評価用運転の際に得られる所定の第2評価指標に基づき第2空調装置100Bを評価する。より具体的には、評価部212は、第2空調装置100Bの評価処理として、第3評価処理と、第4評価処理と、を行う。第3評価処理では、評価部212は、第2空調装置100Bの設置時に第2評価用運転として行われる第3運転の際に得られる第2評価指標に基づき第2空調装置100Bを評価する。第4評価処理では、評価部212は、第3評価処理から所定期間経過後に第2評価用運転として行われる第4運転の際に得られる第2評価指標に基づき第2空調装置100Bを評価する。
【0137】
第3評価処理は、第2空調装置100Aの熱源ユニット20及び利用ユニット50が据え付けられ、熱源ユニット20及び利用ユニット50が液冷媒連絡配管2及びガス冷媒連絡配管4により接続された後の、第2空調装置100Bの試運転時等に行われる。
【0138】
第4評価処理は、例えば、第3評価処理から第2期間が経過した時、及び、前回の第4評価処理から第2期間が経過した時に、繰り返し行われる。具体的には、第4評価処理は、例えば、第3評価処理が行われてから1年が経過した時、及び、その後、更に1年が経過する度に繰り返し行われる。なお、第4評価処理が実行される間隔(第2期間)は、第1評価処理が実行される間隔(第1期間)と同一でなくてもよい。第4評価処理は、定期的に行われなくてもよい。例えば、第4評価処理は、図示しない入力部からの要求に応じて、任意のタイミングで行われてもよい。
【0139】
(3-2)空調制御部
空調制御部214は、第1空調装置100Aを制御する第2空調制御部の一例である。空調制御部214は、第1空調装置100Aの制御部60Aに対し、第1空調装置100Aの動作を指示する信号を送信することで、第1空調装置100Aの動作を制御する。
【0140】
空調制御部214は、第2空調装置100Bを制御する第1空調制御部の一例である。空調制御部214は、第2空調装置100Bの制御部60Bに対し、第2空調装置100Bの動作を指示する信号を送信することで、第2空調装置100Bの動作を制御する。
【0141】
空調制御部214は、第1空調装置100Aを制御して、第1空調装置100Aに第1評価用運転としての第1運転や第2運転を行わせる。
【0142】
また、空調制御部214は、第1空調装置100Aにおいて第1運転及び第2運転の少なくとも一方が行われる前、及び/又は、第1空調装置100Aにおける第1運転及び第2運転の少なくとも一方の実行中に、第2空調装置100Bを運転する。
【0143】
言い換えれば、空調制御部214は、以下の4つのタイミングのうち少なくとも1つのタイミングで、第2空調装置100Bを運転する。
1)第1空調装置100Aにおいて第1運転が行われる前
2)第1空調装置100Aにおいて第2運転が行われる前
3)第1空調装置100Aにおける第1運転中
4)第1空調装置100Aにおける第2運転中
【0144】
好ましくは、空調制御部214は、第1空調装置100Aにおいて第1運転及び第2運転の少なくとも一方が行われる前、及び/又は、第1空調装置100Aにおける第1運転及び第2運転の少なくとも一方の実行中に、第2空調装置100Bを運転することで、空間Sの温度を目標温度Aに近づける。また、空調制御部214は、第1空調装置100Aにおいて第1運転及び第2運転の少なくとも一方が行われる前、及び/又は、第1空調装置100Aにおける第1運転及び第2運転の少なくとも一方の実行中に、第2空調装置100Bを運転することで、空間Sの温度の調節に代えて、又は、空間Sの温度の調節に加えて、空間Sの湿度を目標湿度Bに近づけてもよい。
【0145】
空調制御部214は、第2空調装置100Bを制御して、第1空調装置100Bに第2評価用運転としての第3運転や第4運転を行わせる。
【0146】
また、空調制御部214は、第2空調装置100Bにおいて上述の第3運転及び第4運転の少なくとも一方が行われる前、及び/又は、第2空調装置100Bにおける第3運転及び第4運転の少なくとも一方の実行中に、第1空調装置100Aを運転する。
【0147】
言い換えれば、空調制御部214は、以下の4つのタイミングのうち少なくとも1つのタイミングで、第1空調装置100Aを運転する。
1)第2空調装置100Bにおいて第3運転が行われる前
2)第2空調装置100Bにおいて第4運転が行われる前
3)第2空調装置100Bにおける第3運転中
4)第2空調装置100Bにおける第4運転中
【0148】
好ましくは、空調制御部214は、第2空調装置100Bにおいて第3運転及び第4運転の少なくとも一方が行われる前、及び/又は、第2空調装置100Bにおける第3運転及び第4運転の少なくとも一方の実行中に、第1空調装置100Aを運転することで、空間Sの温度を目標温度Aに近づける。また、空調制御部214は、第2空調装置100Bにおいて第3運転及び第4運転の少なくとも一方が行われる前、及び/又は、第2空調装置100Bにおける第3運転及び第4運転の少なくとも一方の実行中に、第1空調装置100Aを運転することで、空間Sの温度の調節に代えて、又は、空間Sの温度の調節に加えて、空間Sの湿度を目標湿度Bに近づけてもよい。
【0149】
空調制御部214による第1空調装置100A及び第2空調装置100Bの制御については、評価部212による第1空調装置100A及び第2空調装置100Bの評価についての説明と合わせて後ほど更に説明する。
【0150】
(4)空調装置の評価
装置評価システム200による空調装置100A,100Bの評価について、装置評価システム200による第1空調装置100Aの評価を例に説明する。前提として、第1空調装置100Aの評価時には、第2空調装置100Bは空間Sを空調可能な状態で設置場所に設置されているものとする。なお、装置評価システム200による第2空調装置100Bの評価は、装置評価システム200による第1空調装置100Aの評価と同様であるので、説明の重複を避けるため、ここでは説明を省略する。
【0151】
装置評価システム200による第1空調装置100Aの評価には、前述のように第1空調装置100Aの冷媒量の評価、第1空調装置100Aの性能の評価、及び、第1空調装置100Aの故障の評価の少なくとも1つを含む。
【0152】
(4-1)装置評価システムによる第1空調装置の評価の流れ
初めに、図4A及び図4Bのフローチャートを参照して、装置評価システム200による第1空調装置100Aの評価の流れを説明する。ここでは、装置評価システム200の評価内容は限定せずに、第1空調装置100Aの評価の基本的な流れを説明する。第1空調装置100Aの評価の具体例については、別途説明する。
【0153】
なお、以下の説明では、第1空調装置100Aの設置時と、第1評価処理から所定期間経過後とで、同一の評価内容について第1空調装置100Aを評価することを想定している。
【0154】
<第1空調装置の設置時>
装置評価システム200は、第1空調装置100Aの設置時に第1空調装置100Aを評価する。この評価を第1評価と呼ぶ。例えば、装置評価システム200は、第1空調装置100Aの設置作業者が、評価装置210の図示しない入力部に第1空調装置100Aの評価の実行を指示すると、第1評価を行う。ただし、第1評価は、第1空調装置100Aの設置作業者の指示をトリガーとして行われなくてもよい。例えば、装置評価システム200は、第1空調装置100Aと初めて通信可能に接続された時を、第1空調装置100Aの設置時とみなし、この時に第1評価を行ってもよい。
【0155】
装置評価システム200が第1評価を行う際、評価装置210の空調制御部214は、好ましくは、第1空調装置100Aが第1評価用運転としての第1運転を行う前に第2空調装置100Bを運転する(図4A、ステップS1参照)。具体的には、空調制御部214は、空間Sの温度が、第1空調装置100Aの評価に適した所定の目標温度Aになるように第2空調装置100Bを運転する。空調制御部214は、第2空調装置100Bを運転することで空間Sの温度を目標温度Aに調節するのに代えて又は加えて、空間Sの湿度が第1空調装置100Aの評価に適した目標湿度Bに調節してもよい。
【0156】
ステップS1で第2空調装置100Bが運転されると、評価装置210は、空間Sの環境が目標状態になったか否かを判断する(ステップS2)。なお、ここで、空間Sの環境が目標状態になるとは、空間Sの温度の調節を目的として第2空調装置100Bが運転される場合、空間Sの温度が目標温度A又は目標温度Aに近い温度になることをいう。また、空間Sの環境が目標状態になるとは、空間Sの湿度の調節を目的として第2空調装置100Bが運転される場合、例えば、空間Sの湿度が目標湿度B又は目標湿度Bより低い湿度になることをいう。
【0157】
装置評価システム200は、空間Sの環境が目標状態になると(図4AのステップS2でYes)、第1空調装置100Aの第1評価用運転としての第1運転を開始する。具体的には、評価装置210の空調制御部214は、第1空調装置100Aが所定の運転状態になるように第1空調装置100Aを運転する(図4A、ステップS3参照)。なお、図4Aのフローチャートでは、空調制御部214は、第1空調装置100Aが第1運転を開始した後も、空間Sの環境が前述の目標状態になるように第2空調装置100Bの運転を継続する。
【0158】
装置評価システム200の評価装置210は、第1空調装置100Aが所定の運転状態になった後に、第1空調装置100Aの評価に用いられる第1判定指標を取得する。
【0159】
第1判定指標は、例えば、第1空調装置100Aの制御部60Aが評価装置210に対して送信する、各種センサ30~36,54~57の計測値の1つ又は複数である。また、例えば、第1判定指標は、第1空調装置100Aから送信されてくる各種センサ30~36,54~57の計測値に基づいて評価装置210が算出する値であってもよい。また、第1判定指標は、第1空調装置100Aの制御部60Aが、第1空調装置100Aの各種センサ30~36,54~57の計測値に基づいて算出し、評価装置210に対して送信してくる値であってもよい。また、第1判定指標は、評価装置210に対して送信されてくる、第1空調装置100Aに取り付けられている電流計(図示せず)により計測される第1空調装置100Aの圧縮機21の電流値等であってもよい。
【0160】
なお、装置評価システム200は、第1空調装置100Aの運転状態が所定状態になった後に、初めて第1判定指標としての各種センサの計測値等を取得する必要はない。例えば、装置評価システム200の評価装置210は、第1空調装置100Aの運転開始時点から各種センサの計測値等を連続的に取得してもよい。そして、評価装置210は、各種センサの計測値に基づいて第1空調装置100Aの運転状態が所定状態になっているか否かを判断し、第1空調装置100Aの運転状態が所定状態になっていると判断した後に得られた各種センサの計測値等を第1判定指標として利用してもよい。また、他の形態では、評価装置210は、第1空調装置100Aの運転状態が所定状態になったことを示す信号が第1空調装置100Aから送信されてきた後に得た各種センサの計測値等を、第1判定指標として利用してもよい。
【0161】
評価装置210の空調制御部214は、装置評価システム200が第1判定指標を取得すると、第1空調装置100A及び第2空調装置100Bを停止する(図4A、ステップS5)。
【0162】
なお、本実施形態では、空調制御部214は、ステップS5において第2空調装置100Bを停止するが、第2空調装置100Bの停止タイミングは、このタイミングに限定されない。例えば、空調制御部214は、空間Sの環境が目標状態になった時点で(ステップS2でYesと判断され、第1空調装置100Aの第1運転が開始される前に)、第2空調装置100Bを停止してもよい。
【0163】
また、ここでは第1空調装置100A及び第2空調装置100Bを運転する必要がない場合を想定しているため、ステップS5において空調制御部214が第1空調装置100A及び第2空調装置100Bを停止させている。しかし、第1空調装置100A及び/又は第2空調装置100Bの運転が必要な場合、空調制御部214は、ステップS5において、第1空調装置100A及び/又は第2空調装置100Bを停止させなくてもよい。
【0164】
次に、ステップS6では、評価部212は、ステップS4で得られた第1評価指標に基づき第1空調装置100Aを評価する(第1評価処理)。
【0165】
<第1評価処理の後の第1空調装置の評価時>
装置評価システム200は、第1評価処理から所定期間経過後に、第1空調装置100Aを評価する。この評価を第2評価と呼ぶ。なお、ここでは、第1評価処理後に第2評価が行われた後、更に行われる第1空調装置100Aの評価についても第2評価と呼ぶ。
【0166】
本実施形態では、装置評価システム200の評価装置210は、第2評価を実行するタイミングであるか否かを自ら判断し(図4B、ステップS11)、第2評価を実行するタイミングである場合に第2評価を実行する。
【0167】
例えば、具体的には、評価装置210は、前回実行された評価処理(第1評価処理又は第2評価処理)からの経過時間を計測する図示しないタイマーを備える。そして、評価装置210は、前回の評価処理から所定期間(例えば1年)が経過した時であって、第1空調装置100A及び第2空調装置100Bの両方が停止しているタイミングを、第2評価を実行するタイミングと判断する。
【0168】
なお、評価装置210は、自律的に第2評価を実行しなくてもよい。評価装置210は、第1空調装置100Aのメンテナンス作業者等が、第1評価処理後に評価装置210の図示しない入力部に第1空調装置100Aの評価の実行を指示する時に、第2評価を行ってもよい。
【0169】
第2評価における図4BのステップS12~ステップS17の処理は、第1評価における図4AのステップS1~ステップS6の処理と同様である。そのため、ここでは、ステップS12~ステップS17の処理について、補足しておくべき事項を除き説明は省略する。
【0170】
図4BのステップS13では、図4AのステップS2と同様に、空間Sの状態が目標状態に制御される。ステップS13における目標状態は、ステップS2における目標状態と同一であることが好ましい。言い換えれば、第1空調装置100Aの設置時に行われる第1評価処理と、第1評価処理から所定期間の経過後に実施される第2評価処理とは、空間Sの温度及び/又は湿度が実質的に同一の条件で行われることが好ましい。空間Sの温度及び/又は湿度が実質的に同一の条件で第1評価処理及び第2評価処理が行われる結果、第1空調装置100Aの評価に与える空間Sの温度及び/又は湿度の違いによる影響を抑制できる。
【0171】
<装置評価システムによる第1空調装置の評価処理の流れの変形例>
図4A及び図4Bのフローチャートでは、空調制御部214は、第2空調装置100Bを運転して空間Sの状態を目標状態にした後に、第1空調装置100Aを制御して、第1空調装置100Aに第1評価用運転としての第1運転や第2運転を開始させている。しかし、第1空調装置100A及び第2空調装置100Bの運転の順序はこの順序に限定されるものではない。
【0172】
例えば、空調制御部214は、図5A及び図5Bのフローチャートのように、第1空調装置100Aに第1運転や第2運転を開始させた後に(図5AのステップS21、図5BのステップS32)、第2空調装置100Bの運転を開始させてもよい。そして、装置評価システム200は、空間Sの環境が目標状態になり、第1空調装置100Aの運転状態が所定状態になった後に(図5AのステップS23及び図5BのステップS34でYes)、第1空調装置100Aの評価に用いられる第1判定指標を取得する。なお、図5A及び図5Bにフローチャートで示した評価の流れは、第1空調装置100A及び第2空調装置100Bの運転開始のタイミングを除き、図4A及び図4Bのフローチャートを用いて説明した評価の流れと同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0173】
また、他の実施形態では、空調制御部214は、第1評価の際に、第2空調装置100Bを運転しなくてもよい(図6Aのフローチャート参照)。図6Aのフローチャートでは、第1評価の際、空調制御部214は、第1空調装置100Aの第1運転を開始する(ステップS41)。そして、装置評価システム200は、第1空調装置100Aの運転状態が所定状態になった後に、第1空調装置100Aの評価に用いられる第1判定指標を取得する(ステップS42)。なお、図6Aのフローチャートに沿って第1評価が行われる際には、評価装置210は、第1空調装置100Aの制御部60Aから空間Sの環境条件を取得することが好ましい(ステップS43参照)。空間Sの環境条件には、空間Sの温度及び湿度の少なくとも一方を含む。ステップS44及びステップS45については、図4AにおけるステップS5及びステップS6と同様であるので、ここでは説明は省略する。
【0174】
図6Aのフローチャートのように第1評価の際に第2空調装置100Bが運転されない時には、第2評価は、例えば図6Bのフローチャートに従って行われる。
【0175】
装置評価システム200は、第2評価を実行するタイミングにあると判定すると(ステップS51)、第2評価を開始する。具体的には、評価装置210の空調制御部214は、第2空調装置100Bの運転を開始する(ステップS52)。ステップS52では、空調制御部214は、図6AのステップS43で取得された空間Sの環境条件を実現するように第2空調装置100Bを制御する。そして、評価装置210は、空間Sの環境条件が、図6AのステップS43で取得された空間Sの環境条件と概ね同一になっていると判断すると(ステップS53)、空調制御部214は第2運転を開始する(ステップS54)。なお、空間Sの温度や湿度は、第1空調装置100A及び第2空調装置100Bの空間温度センサ56や空間湿度センサ57を用いて取得されればよい。なお、ステップS54~ステップS57で行われる処理は、図4BのステップS14~ステップS17で行われる処理と同様であるため、ここでは説明は省略する。
【0176】
第2評価が図6Bのフローチャートのように行われることで、空間Sの温度及び/又は湿度が実質的に同一の条件で第1評価処理と第2評価処理とを行うことができる。空間Sの温度及び/又は湿度が実質的に同一の条件で第1評価処理及び第2評価処理が行われる結果、第1空調装置100Aの評価に与える空間Sの温度及び/又は湿度の違いによる影響を抑制できる。
【0177】
(4-2)装置評価システムによる第1空調装置の評価例
装置評価システム200による第1空調装置100Aの評価例について以下に説明する。
【0178】
(4-2-1)冷媒量の評価
第1空調装置100Aの冷媒量の評価の例について説明する。
【0179】
初めに、第1空調装置100Aの冷媒量の評価の際に行われる第1空調装置100Aの第1評価用運転について説明する。なお、冷媒量の評価の際に行われる第1評価用運転としての第1運転及び第2運転は同一の運転である。
【0180】
冷媒量の評価のための第1評価用運転では、熱源側熱交換器23の状態が凝縮器として機能する第1状態になるように流向切換機構22が制御されることが好ましい。言い換えれば、冷媒量の評価のための第1評価用運転は、冷媒回路10を冷房運転時と同様の向きに冷媒が流れる状態で行われることが好ましい。
【0181】
また、冷媒量の評価のための第1評価用運転では、第1空調装置100Aは以下のように制御されることが好ましい。言い換えれば、空調制御部214は、第1空調装置100Aの制御部60Aに対し、以下のような状態になるように指示を与えることが好ましい。なお、空調制御部214の指示は、制御部60Aに対し第1空調装置100Aの各種機器の動作を具体的に指示するものでもよいし、制御部60Aに対し第1空調装置100Aが実現すべき運転状態を指示するものでもよい。
【0182】
冷媒量の評価のための第1評価用運転では、第1空調装置100Aの熱源側熱交換器23における冷媒の凝縮圧力が所定値になるように、熱源側ファン28が熱源側熱交換器23に供給される空気の量が制御される。言い換えれば、冷媒量の評価のための第1評価用運転では、熱源側熱交換器23における冷媒の凝縮圧力が所定値になるように、ファンモータ28aの回転数が制御される。なお、冷媒の凝縮圧力は、吐出圧力センサ30を用いて検知されてもよいし、熱交温度センサ34によって検知される凝縮温度Tcから算出されてもよい。
【0183】
また、冷媒量の評価のための第1評価用運転では、蒸発器として機能する利用側熱交換器52の出口の過熱度が正の値(>0)になるように膨張機構25が制御される。なお、過熱度は、例えば、ガス側温度センサ55の計測値と液側温度センサ54の計測値との差として算出される。
【0184】
また、冷媒量の評価のための第1評価用運転では、蒸発圧力が所定値になるように、圧縮機21の運転容量が制御される。言い換えれば、冷媒量の評価のための第1評価用運転では、蒸発圧力が所定値になるように、モータ21aの回転数が制御される。なお、冷媒の蒸発圧力は、吸入圧力センサ31を用いて検知されてもよいし、液側温度センサ54によって検知される蒸発温度Teから算出されてもよい。
【0185】
評価装置210は、第1評価用運転としての第1運転又は第2運転が行われて、第1空調装置100Aが所定の運転状態になると(凝縮圧力、過熱度及び蒸発圧力が目標値で安定すると)、過冷却度を第1評価指標として取得する(図4AのステップS4,図4BのステップS15)。例えば、評価装置210は、第1空調装置100Aから熱交温度センサ34の計測する凝縮温度Tcと液側温度センサ35の計測する温度Tbとを取得する。そして、評価装置210は、熱交温度センサ34の計測する凝縮温度Tcから液側温度センサ35の計測する温度Tbを差し引いて得られる過冷却度SCrを第1評価指標として取得する。あるいは、評価装置210は、吐出圧力センサ30により計測される吐出圧力Pdを凝縮温度Tcに換算した値から液側温度センサ35の計測する温度Tbを差し引いて得られる過冷却度SCrを第1評価指標として取得してもよい。
【0186】
そして、評価装置210の評価部212は、評価装置210が取得した第1評価指標としての過冷却度SCrに基づき、第1空調装置100Aの冷媒量を評価する(図4AのステップS6,図4BのステップS17)。具体的には、評価部212は、過冷却度SCrが目標過冷却度よりも小さい場合には、冷媒量が不足していると評価する。例えば、第1空調装置100Aの設置時に行われる第1評価処理では、評価部212は、冷媒量の充填量不足を判断することができる。また、例えば、第1評価処理から所定期間経過後に行われる第2評価処理では、評価部212は、冷媒の漏洩を判断することができる。
【0187】
評価装置210は、評価部212が第1空調装置100Aの冷媒量が不足していると評価した場合、その旨を第1空調装置100Aのユーザや第1空調装置100Aの設置作業者やメンテナンス作業者等に報知することが好ましい。例えば、評価装置210は、図示しないディスプレイに冷媒量不足を報知する情報を表示させることが好ましい。また、評価装置210は、第1空調装置100Aの設置作業者やメンテナンス作業者等が保持する携帯端末等に冷媒量不足を報知してもよい。
【0188】
(4-2-2)性能の評価
第1空調装置100Aの性能の評価方法の例について説明する。なお、第1空調装置100Aの性能の評価は、熱源側熱交換器23の目詰まりの評価と、利用側熱交換器52及び/又は利用ユニット50に設けられるエアフィルタの目詰まりの評価と、を含む。熱交換器23,52の目詰まりとは、熱交換器23,52に付着したホコリ等の影響で、熱交換器23,52に設けられた空気の流路(例えば、熱交換器23,52のフィンの隙間)が塞がれたり、狭くなったりした影響で、ファン28,53の供給する空気が熱交換器23,52を通過しづらくなっている状態を意味する。また、エアフィルタの目詰まりとは、エアフィルタに付着したホコリ等の影響で、ファン53の供給する空気がエアフィルタを通過しづらくなっている状態を意味する。
【0189】
初めに、第1空調装置100Aの熱源側熱交換器23の目詰まりの評価(以後、記載の簡略化のため、熱源側の目詰まり評価と呼ぶ)の際に行われる第1空調装置100Aの第1評価用運転について説明する。なお、熱源側の目詰まり評価の際に行われる第1評価用運転としての第1運転及び第2運転は同一の運転である。
【0190】
熱源側の目詰まり評価のための第1評価用運転では、熱源側熱交換器23の状態が凝縮器として機能する第1状態になるように流向切換機構22が制御されることが好ましい。言い換えれば、熱源側の目詰まり評価のための第1評価用運転は、冷媒回路10を冷房運転時と同様の向きに冷媒が流れる状態で行われることが好ましい。
【0191】
また、熱源側の目詰まり評価のための第1評価用運転では、過冷却度及び過熱度が正の値(>0)になるように、圧縮機21のモータ21aの回転数、熱源側ファン28のファンモータ28aの回転数、及び膨張機構25としての電子膨張弁の開度が制御される。過冷却度は、凝縮温度Tcから熱源側熱交換器23の出口の冷媒の温度Tbを引いた値である。過熱度は、利用側熱交換器52の出口の冷媒温度から蒸発温度Teを引いた値である。熱源側ファン28のファンモータ28aの回転数は、過冷却度及び過熱度が正の値になり得る範囲であって、できるだけ小さな所定値に制御されることが好ましい。
【0192】
次に、利用側熱交換器52及び/又は利用ユニット50に設けられるエアフィルタの目詰まりの評価(以後、記載の簡略化のため、利用側の目詰まり評価と呼ぶ)の際に行われる第1空調装置100Aの第1評価用運転について説明する。なお、利用側の目詰まり評価の際に行われる第1評価用運転としての第1運転及び第2運転は同一の運転である。
【0193】
利用側の目詰まり評価のための第1評価用運転では、熱源側熱交換器23の状態が凝縮器として機能する第1状態になるように流向切換機構22が制御されることが好ましい。言い換えれば、熱源側の目詰まり評価のための第1評価用運転は、冷媒回路10を冷房運転時と同様の向きに冷媒が流れる状態で行われることが好ましい。
【0194】
また、利用側の目詰まり評価のための第1評価用運転では、過冷却度及び過熱度が正の値(>0)になるように、圧縮機21のモータ21aの回転数、熱源側ファン28のファンモータ28aの回転数、及び膨張機構25としての電子膨張弁の開度が制御される。過冷却度は、凝縮温度Tcから熱源側熱交換器23の出口の冷媒の温度Tbを引いた値である。過熱度は、利用側熱交換器52の出口の冷媒温度から蒸発温度Teを引いた値である。利用側ファン53のファンモータ53aの回転数は、比較的小さな所定値に制御されることが好ましい。
【0195】
熱源側の目詰まり評価の際には、評価装置210は、第1評価用運転としての第1運転又は第2運転が行われて、第1空調装置100Aが所定の運転状態になると(各状態量の値がそれぞれ概ね一定値になると)、第1熱交換温度差と、第1熱交換量Q1と、を第1評価指標として取得する。例えば、評価装置210は、第1空調装置100Aが所定の運転状態になると、第1空調装置100Aから、吐出圧力センサ30の計測値(吐出圧力Pd)、吸入圧力センサ31の計測値(吸入圧力Ps)、吸入温度センサ32の計測値(吸入温度Ts)、吐出温度センサ33の計測値(吐出温度Td)、熱交温度センサ34の計測値、液側温度センサ35の計測値、熱源空気温度センサ36の計測値、及び圧縮機21のモータ21aの回転数Nを情報として取得する。そして、評価装置210は、凝縮温度(例えば熱交温度センサ34の計測値)から熱源空気温度(熱源空気温度センサ36の計測値)を差し引いて得られる第1熱交換温度差を第1評価指標として取得する(図4AのステップS4,図4BのステップS15)。また、評価装置210は、以下の式で算出される第1熱交換量Q1を第1評価指標として取得する(図4AのステップS4,図4BのステップS15)。
(式1)
Q1=G×Δhc=f(Pd,Ps,Ts,N)×(hcin-hcout)
【0196】
なお、ここで、Gは冷媒回路10の冷媒循環量、Δhcは熱源側熱交換器23の入口側エンタルピーhcinと熱源側熱交換器23の出口側エンタルピーhcoutとの差を意味する。なお、入口側エンタルピーhcinは、冷媒の特性と熱源側熱交換器23の入口側の温度及び圧力とに基づいて算出される。出口側エンタルピーhcoutは、冷媒の特性と熱源側熱交換器23の出口側の温度及び圧力とに基づいて算出される。関数f(Pd,Ps,Ts,N)は、圧縮機21の特性等に基づく式であって、吐出圧力Pd、吸入圧力Ps、吸入温度Ts及びモータ21aの回転数Nを変数として冷媒循環量Gを算出するための式である。
【0197】
そして、評価装置210の評価部212は、評価装置210が取得した第1評価指標としての第1熱交換温度差及び第1熱交換量Q1に基づき、第1空調装置100Aの熱源側の目詰まりを評価する(図4AのステップS6,図4BのステップS17)。評価部212は、第1熱交換温度差から見て第1熱交換量Q1が小さい場合には、熱源側熱交換器23において目詰まりが発生していると判断する。例えば、評価部212は、第1熱交換量Q1が第1熱交換温度差の値に対して定められた基準値より小さい場合、熱源側熱交換器23において目詰まりが発生していると判断する。
【0198】
利用側の目詰まり評価の際には、評価装置210は、第1評価用運転としての第1運転又は第2運転が行われて、第1空調装置100Aが所定の運転状態になると(各状態量の値がそれぞれ概ね一定値になると)、第2熱交換温度差と、第2熱交換量Q2と、を第1評価指標として取得する。例えば、評価装置210は、第1空調装置100Aが所定の運転状態になると、第1空調装置100Aから、吐出圧力センサ30の計測値(吐出圧力Pd)、吸入圧力センサ31の計測値(吸入圧力Ps)、吸入温度センサ32の計測値(吸入温度Ts)、液側温度センサ54の計測値、ガス側温度センサ55の計測値、空間空気温度センサ56の計測値、及び圧縮機21のモータ21aの回転数Nを情報として取得する。そして、評価装置210は、空間空気温度(空間空気温度センサ56の計測値)から蒸発温度(例えば吸入圧力Psから算出される蒸発温度Te)を差し引いて得られる第2熱交換温度差を第1評価指標として取得する(図4AのステップS4,図4BのステップS15)。また、評価装置210は、以下の式で算出される第2熱交換量Q2を第1評価指標として取得する(図4AのステップS4,図4BのステップS15)。
(式2)
Q2=G×Δhe=f(Pd,Ps,Ts,N)×(heout-hein)
【0199】
なお、ここで、Gは冷媒回路10の冷媒循環量、Δheは利用側熱交換器52の出口側エンタルピーheoutと利用側熱交換器52の入口側エンタルピーheinとの差を意味する。なお、出口側エンタルピーheoutは、冷媒の特性と利用側熱交換器52の出口側の温度及び圧力とに基づいて算出される。入口側エンタルピーheinは、冷媒の特性と利用側熱交換器52の入口側の温度及び圧力とに基づいて算出される。関数f(Pd,Ps,Ts,N)は、圧縮機21の特性等に基づく式であって、吐出圧力Pd、吸入圧力Ps、吸入温度Ts及びモータ21aの回転数Nを変数として冷媒循環量Gを算出するための式である。
【0200】
そして、評価装置210の評価部212は、評価装置210が取得した第1評価指標としての第2熱交換温度差及び第2熱交換量Q2に基づき、第1空調装置100Aの利用側の目詰まりを評価する(図4AのステップS6,図4BのステップS17)。評価部212は、第2熱交換温度差から見て第2熱交換量Q2が小さい場合には、利用側熱交換器52及び/又は利用ユニット50に設けられるエアフィルタにおいて目詰まりが発生していると判断する。例えば、評価部212は、第2熱交換量Q2が第2熱交換温度差の値に対して定められた基準値より小さい場合、利用側熱交換器52及び/又は利用ユニット50に設けられるエアフィルタにおいて目詰まりが発生していると判断する。
【0201】
評価装置210は、評価部212が熱源側又は利用側で目詰まりが発生していると評価した場合、その旨を第1空調装置100Aのユーザや第1空調装置100Aの設置作業者やメンテナンス作業者等に報知することが好ましい。例えば、評価装置210は、図示しないディスプレイに熱源側又は利用側における目詰まりの発生を報知する情報を表示させることが好ましい。また、評価装置210は、第1空調装置100Aの設置作業者やメンテナンス作業者等が保持する携帯端末等に熱源側又は利用側における目詰まりの発生を報知してもよい。
【0202】
(4-2-3)故障の評価
第1空調装置100Aの故障の評価方法の例について説明する。なお、ここでの第1空調装置100Aの故障とは、第1空調装置100Aの能力が、第1空調装置100Aが発揮すべき能力に対して著しく不足している状態を意味する。
【0203】
第1空調装置100Aの故障の評価の際に行われる第1空調装置100Aの第1評価用運転は、例えば、空間Sの温度を所定の設定温度Trsに制御する通常の冷房運転である。第1空調装置100Aの故障の評価の際に行われる第1評価用運転は、好ましくは第2空調装置100Bにより空間Sの環境条件が所定条件(例えば設定温度Trsより高い所定温度Tra)に調節された後、第2空調装置100Bを停止して行われる。
【0204】
評価装置210は、第1空調装置100Aの第1評価用運転としての第1運転又は第2運転から基準時間t1が経過した後に、第1空調装置100Aの空間温度センサ56が計測した空間温度Trを第1評価指標として取得する。
【0205】
そして、評価装置210の評価部212は、第1評価指標としての空間温度Trに基づき、第1空調装置100Aの故障を評価する。例えば、評価部212は、空間温度Trが所定の第1基準温度X1(設定温度Trs<第1基準温度X1<第1評価用運転開始時の所定温度Tra)に達していない場合、第1空調装置100Aは故障していると判断する。なお、評価部212は、評価装置210が取得した熱源空気温度センサ36の計測値に応じて、異なる第1基準温度X1や、異なる基準時間t1を用いてもよい。また、評価部212は、第1空調装置100Aが故障していると判断した場合に、第1空調装置100Aから各種情報を更に取得して、第1空調装置100Aの故障箇所を判断してもよい。また、評価部212は、空間温度Trが第1基準温度X1には達しているものの、第2基準温度X2に達していない場合(設定温度Trs<第2基準温度X2<第1基準温度X1)、第1空調装置100Aは、故障ではないが、性能が低下していると判断してもよい。
【0206】
評価装置210は、評価部212が、第1空調装置100Aが故障していると評価した場合、その旨を第1空調装置100Aのユーザや第1空調装置100Aの設置作業者やメンテナンス作業者等に報知することが好ましい。例えば、評価装置210は、図示しないディスプレイに故障を報知する情報を表示させることが好ましい。また、評価装置210は、第1空調装置100Aの設置作業者やメンテナンス作業者等が保持する携帯端末等に故障を報知してもよい。
【0207】
(5)特徴
(5-1)
本実施形態の装置評価システム200は、第1空間の一例としての空間Sの空気調和を行う第1空調装置100A及び第2空調装置100Bのうち、少なくとも第1空調装置100Aを評価する。装置評価システム200は、第1評価部の一例としての評価部212と、第1空調制御部の一例としての空調制御部214と、を備える。評価部212は、第1空調装置100Aが所定の運転状態で運転される第1評価用運転の際に得られる所定の第1評価指標に基づき第1空調装置100Aを評価する。空調制御部214は、第2空調装置100Bを制御する。評価部212は、第1評価処理と、第2評価処理と、を行う。第1評価処理では、評価部212は、第1空調装置100Aの設置時に第1評価用運転として行われる第1運転の際に得られる第1評価指標に基づき第1空調装置100Aを評価する。第2評価処理では、評価部212は、第1評価処理の後に第1評価用運転として行われる第2運転の際に得られる第1評価指標に基づき第1空調装置100Aを評価する。空調制御部214は、第1空調装置100Aの第1運転及び第2運転の少なくとも一方が行われる前、及び/又は、第1空調装置100Aの第1運転及び第2運転の少なくとも一方の実行中に、第2空調装置100Bを運転する。
【0208】
本実施形態の装置評価システム200では、第1空調装置100Aの設置初期の評価時と、第1空調装置100Aの設置から時間が経過した後の評価時とで、熱負荷の条件を近づけることが可能で、精度良く第1空調装置100Aを評価できる。
【0209】
(5-2)
本実施形態の装置評価システム200では、第1空調装置100Aの評価には、第1空調装置100Aの冷媒量の評価、性能の評価、及び故障の評価の少なくとも1つを含む。
【0210】
本実施形態の装置評価システム200は、各種評価内容について精度良く評価できる。
【0211】
(5-3)
本実施形態の装置評価システム200では、空調制御部214は、第1空調装置100Aの第1運転及び第2運転の少なくとも一方が行われる前、及び/又は、第1空調装置100Aの第1運転及び第2運転の少なくとも一方の実行中に、第2空調装置100Bを運転することで、空間Sの温度を目標温度に近づける及び/又は空間Sの湿度を目標湿度に近づける。
【0212】
本実施形態の装置評価システム200では、第1空調装置100Aの設置初期の評価時と、第1空調装置100Aの設置から時間が経過した後の評価時とで、空間Sの温度や湿度を近づけることが可能で、精度良く第1空調装置100Aを評価できる。
【0213】
(5-4)
本実施形態の装置評価システム200では、第2評価処理は、第1評価処理から第1期間が経過した時、及び、前回の第2評価処理から第1期間が経過した時に、繰り返し行われる。
【0214】
この装置評価システム200では、第1空調装置100Aを定期的に精度良く評価できる。
【0215】
(5-5)
本実施形態の装置評価システム200では、第2評価部の一例としての評価部212は、第2空調装置100Bが所定の運転状態で運転される第2評価用運転の際に得られる所定の第2評価指標に基づき第2空調装置100Bを評価する。なお、第2空調装置100Bの評価は、第1空調装置100Aの評価と同様に、第2空調装置100Bの冷媒量の評価、性能の評価、及び故障の評価の少なくとも1つを含むことが好ましい。
【0216】
第2空調制御部の一例としての空調制御部214は、第1空調装置100Aを制御する。評価部212は、第3評価処理と、第4評価処理と、を行う。第3評価処理では、評価部212は、第2空調装置100Bの設置時に第2評価用運転として行われる第3運転の際に得られる第2評価指標に基づき第2空調装置100Bを評価する。第4評価処理では、評価部212は、第3評価処理の後に第2評価用運転として行われる第4運転の際に得られる第2評価指標に基づき第2空調装置100Bを評価する。空調制御部214は、第2空調装置100Bの第3運転及び第4運転の少なくとも一方が行われる前、及び/又は、第2空調装置100Bの第3運転及び第4運転の少なくとも一方の実行中に、第1空調装置100Aを運転する。
【0217】
本実施形態の装置評価システム200では、第2空調装置100Bについても、装置の設置初期の評価時と、装置の設置から時間が経過した後の評価時とで、熱負荷の条件を近づけることが可能で、精度良く空調装置を評価できる。
【0218】
なお、本実施形態では、評価部212が第2評価部として機能し、空調制御部214が第2空調制御部として機能する。ただし、このような態様に限定されるものではない。評価装置210は、評価部212とは別の第2評価部を有してもよいし、空調制御部214とは別の第2空調制御部を有してもよい。
【0219】
(5-6)
本実施形態の装置評価方法は、空間Sの空気調和を行う第1空調装置100A及び第2空調装置100Bのうち、少なくとも第1空調装置100Aを評価する装置評価方法である。装置評価方法は、第1評価ステップ(上記実施形態における図4AのステップS6)と、第2評価ステップ(上記実施形態における図4BのステップS17)と、空調制御ステップ(上記実施形態における図4AのステップS1及び図4BのステップS12)と、を備える。第1評価ステップでは、第1空調装置100Aの設置時に、第1空調装置100Aを所定の運転状態で運転する第1運転の際に得られる第1評価指標に基づき第1空調装置100Aが評価される。第2評価ステップでは、第1評価ステップの後に、第1空調装置100Aを所定の運転状態で運転する第2運転の際に得られる第1評価指標に基づき第1空調装置100Aが評価される。空調制御ステップでは、第1空調装置100Aの第1運転及び第2運転の少なくとも一方が行われる前、及び/又は、第1空調装置100Aの第1運転及び第2運転の少なくとも一方の実行中に、第2空調装置100Bが運転される。
【0220】
本実施形態の装置評価方法では、第1空調装置100Aの設置初期の評価時と、第1空調装置100Aの設置から時間が経過した後の評価時とで、熱負荷の条件を近づけることが可能で、精度良く第1空調装置100Aを評価できる。
【0221】
(6)変形例
(6-1)変形例A
装置評価システム200は、第1空調装置100A及び第2空調装置100Bの一方だけの評価だけを行うものであってもよい。なお、この時、評価対象ではない第1空調装置100A又は第2空調装置100Bは、空間Sの温度や湿度を調節する電気ヒーター、ボイラー、吸着式の除湿装置や加湿装置であってもよい。
【0222】
<付記>
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0223】
50 利用ユニット
100A 第1空調装置(第1の空調装置)
100B 第2空調装置(第2の空調装置)
200 装置評価システム
212 評価部(第1評価部、第2評価部)
214 空調制御部(第1空調制御部、第2空調制御部)
S 空間(第1空間)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0224】
【文献】特許第5334909号明細書
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B