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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-31
(45)【発行日】2023-11-09
(54)【発明の名称】インジェクション管を有する圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04C 29/00 20060101AFI20231101BHJP
   F04C 29/12 20060101ALI20231101BHJP
【FI】
F04C29/00 B
F04C29/12 D
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023003826
(22)【出願日】2023-01-13
(62)【分割の表示】P 2021053346の分割
【原出願日】2021-03-26
(65)【公開番号】P2023037002
(43)【公開日】2023-03-14
【審査請求日】2023-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】和田 遼介
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 ちひろ
(72)【発明者】
【氏名】砂原 裕也
(72)【発明者】
【氏名】入川 洪一
(72)【発明者】
【氏名】加藤 絵夢
【審査官】中村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開昭57-102594(JP,A)
【文献】特開2021-38683(JP,A)
【文献】特開2017-227165(JP,A)
【文献】特開平5-157069(JP,A)
【文献】特開2020-109297(JP,A)
【文献】特開2018-193965(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 29/00
F04C 29/06
F04C 29/12
F04B 39/00-39/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線(A)を包囲する円筒部(11)を有するケーシング(10)と、
圧縮室(45)を有し、第1溶接点(W1)において前記円筒部に溶接される、冷媒を圧縮するための圧縮機構(40)と、
低圧の前記冷媒を前記圧縮室へ案内する吸入管(15)と、
高圧の前記冷媒を前記ケーシングの外へ案内する吐出管(16)と、
前記低圧及び前記高圧の間の中間圧の前記冷媒を前記圧縮室へ案内するように構成され、前記軸線の延びる方向(z)に沿って見た平面視において前記第1溶接点と重なっている、インジェクション管(19)と、
を備える、圧縮機(90)。
【請求項2】
前記インジェクション管は、前記軸線と前記第1溶接点を結ぶ線分(L)と同じ方向に延びる、
請求項1に記載の圧縮機。
【請求項3】
前記圧縮機構は、第2溶接点(W2)によってさらに前記円筒部に溶接される、
請求項1又は請求項2に記載の圧縮機。
【請求項4】
少なくとも前記ケーシングと前記インジェクション管とを固定するロウ材(80)、
をさらに備え、
前記インジェクション管は、前記円筒部の内部空間へ突出しない、
請求項1から3のいずれか1項に記載の圧縮機。
【請求項5】
前記圧縮機構に挿入され、前記冷媒を前記インジェクション管から前記圧縮室へ案内する円筒状のインレット(70)、
をさらに備え、
前記ケーシングは、前記インジェクション管を包囲する継手管(11a)をさらに有し、
前記インジェクション管、前記継手管、及び前記インレットは、前記ロウ材によって互いに固定される、
請求項4に記載の圧縮機。
【請求項6】
前記圧縮機構は、前記軸線の延びる前記方向への前記冷媒の通過を許す貫通部(46b)を有し、
前記軸線と前記第1溶接点とを結ぶ前記線分は、前記貫通部と交差しない、
請求項2に記載の圧縮機。
【請求項7】
前記圧縮機構は、
シリンダ(41)、
前記シリンダと協働して前記圧縮室を画定するピストン(42)、及び
前記ピストンが前記シリンダの外部へ移動することを妨げるように前記シリンダに取り付けられるヘッド(46、47)、
を有する、
請求項6に記載の圧縮機。
【請求項8】
前記貫通部は前記ヘッドに設けられる、
請求項7に記載の圧縮機。
【請求項9】
前記第1溶接点は前記ヘッドと前記円筒部とを固定する、
請求項7又は請求項8に記載の圧縮機。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の圧縮機、
を備える、空気調和機(400)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
冷媒を圧縮室へ案内するためのインジェクション管を有する圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開昭59-82595号公報)に開示される圧縮機は、密閉容器と呼ばれるケーシングと、冷媒を圧縮するための圧縮機構を有する。圧縮機構の中には圧縮室が存在する。圧縮機はさらに、ケーシングの外部の冷媒を圧縮室へ案内するためのインジェクション管を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ケーシングの外部の冷媒の圧力と、圧縮室の内部の冷媒の圧力との大小関係が周期的に逆転することがある。この場合、冷媒はインジェクション管に沿って往復し、これによって脈動を発生させる。この脈動はインジェクション管を振動させ、ひいては圧縮機の騒音を誘発する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1観点に係る圧縮機は、ケーシングと、圧縮機構と、吸入管と、吐出管と、インジェクション管と、を備える。ケーシングは、円筒部を有する。円筒部は軸線を包囲する。圧縮機構は、冷媒を圧縮するためのものであり、圧縮室を有する。圧縮機構は、第1溶接点において円筒部に溶接される。吸入管は、低圧の冷媒を圧縮室へ案内する。吐出管は、高圧の冷媒をケーシングの外へ案内する。インジェクション管は、低圧及び高圧の間の中間圧の冷媒を圧縮室へ案内する。インジェクション管は、軸線の延びる方向に沿って見た平面視において第1溶接点と重なっている。
【0005】
この構成によれば、インジェクション管は、冷媒の圧力脈動に起因して、円筒部と第1溶接点が配列する方向に振動する。したがって、振動が印加されても円筒部とインジェクション管が異なる動きをするおそれが少ないので、圧縮機の振動を低減できる。 第2観点に係る圧縮機は、第1観点に係る圧縮機において、インジェクション管が、軸線と第1溶接点を結ぶ線分と同じ方向に延びる。
【0006】
この構成によれば、インジェクション管は円筒部、第1溶接点、及びインジェクション管の配列方向に延びる。したがって、冷媒の圧力脈動が、インジェクション管が延びる方向に振動を発生させても、圧縮機の振動を低減できる。
【0007】
第3観点に係る圧縮機は、第1観点又は第2観点に係る圧縮機において、圧縮機構が、第2溶接点によってさらに円筒部に溶接される。
【0008】
この構成によれば、円筒部と圧縮機構は、第1溶接点のみならず第2溶接点によっても固定される。したがって、圧縮機の振動をより効果的に低減できる。
【0009】
第4観点に係る圧縮機は、第1観点から第3観点のいずれか1つに係る圧縮機において、少なくともケーシングとインジェクション管とを固定する第1ロウ材、をさらに備える。インジェクション管は、円筒部の内部空間へ突出しない。
【0010】
この構成によれば、第1ロウ材がケーシングとインジェクション管との固定を確保するので、安定した組立のためにインジェクション管が円筒部の内部空間へ突出する必要がない。したがって、円筒部と圧縮機構を固定する第1溶接点を容易に配置できる。
【0011】
第5観点に係る圧縮機は、第4観点に係る圧縮機において、円筒状のインレットをさらに備える。インレットは、圧縮機構に挿入される。インレットは、冷媒をインジェクション管から圧縮室へ案内する。ケーシングは、インジェクション管を包囲する継手管をさらに有する。インジェクション管、継手管、及びインレットは、ロウ材によって互いに固定される。
【0012】
この構成によれば、インジェクション管、継手管、及びインレットは、ロウ材によって互いに固定される。したがって、これらの部品の間で生じうるガタツキを抑制できる。
【0013】
第6観点に係る圧縮機は、第2観点に係る圧縮機において、圧縮機構が、貫通部を有する。貫通部は、軸線の延びる方向への冷媒の通過を許す。軸線と第1溶接点とを結ぶ線分は、貫通部と交差しない。
【0014】
この構成によれば、軸線と第1溶接点とを結ぶ線分は圧縮機構の貫通部を通過しない。したがって、貫通部が冷媒の圧力脈動によって共振するおそれが少ない。
【0015】
第7観点に係る圧縮機は、第6観点に係る圧縮機において、圧縮機構が、シリンダ、ピストン、及びヘッドを有する。ピストンは、シリンダと協働して圧縮室を画定する。ヘッドは、ピストンがシリンダの外部へ移動することを妨げるようにシリンダに取り付けられる。
【0016】
この構成によれば、圧縮機構は、ヘッドを有する。よって、圧縮室からの冷媒漏洩が抑制される。
【0017】
第8観点に係る圧縮機は、第7観点に係る圧縮機において、貫通部がヘッドに設けられる。
【0018】
この構成によれば、軸線と第1溶接点とを結ぶ線分はヘッドに設けられる貫通部を貫通しない。したがって、ヘッドの振動への関与を低減できる。
【0019】
第9観点に係る圧縮機は、第7観点又は第8観点に係る圧縮機において、第1溶接点はヘッドと円筒部とを固定する。
【0020】
この構成によれば、第1溶接点はヘッドと円筒部を固定する。したがって、ヘッドの振動への関与を低減できる。
【0021】
第10観点に係る空気調和機は、第1観点から第9観点のいずれか1つに係る圧縮機、を備える。
【0022】
この構成によれば、空気調和機において、圧縮機の振動を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】第1実施形態に係る空気調和機400の回路図である。
図2】圧縮機90の垂直面に沿った断面図である。
図3】圧縮機90の水平面に沿った断面図である。
図4】インジェクション管19及びその周辺の構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<基本実施形態>
(1)全体構成
図1は、基本実施形態に係る空気調和機400を示す。空気調和機400は、室外ユニット100、室内ユニット200、連絡配管300を有する。
【0025】
室外ユニット100は、圧縮機90、四路切換弁110、室外熱交換器120、室外ファン130、室外膨張弁140、液閉鎖弁150、ガス閉鎖弁160を有する。
【0026】
室内ユニット200は、室内熱交換器220、室内ファン230を有する。
【0027】
連絡配管300は、液連絡配管310及びガス連絡配管320を有する。
【0028】
空気調和機400が冷房運転を行う場合、四路切換弁110は図1の実線の接続を形成し、冷媒は矢印Cの方向に循環する。冷房運転において、室内熱交換器220は蒸発器として機能し、室内ファン230と協働してユーザに冷たい空気を提供する。空気調和機400が暖房運転を行う場合、四路切換弁110は図1の破線の接続を形成し、冷媒は矢印Hの方向に循環する。暖房運転において、室内熱交換器220は凝縮器として機能し、室内ファン230と協働してユーザに温かい空気を提供する。
【0029】
(2)圧縮機90の詳細構成
図2は、圧縮機90を示す。圧縮機90は、低圧ガス冷媒を吸入し、それを圧縮することによって、高圧ガス冷媒を生成する。圧縮機90は、ロータリー圧縮機である。圧縮機90は、ケーシング10、吸入管15、吐出管16、インジェクション管19、モータ20、クランク軸30、圧縮機構40を有する。
【0030】
(2-1)ケーシング10
ケーシング10は、圧縮機90の各種構成要素、冷媒、潤滑油を収容する。ケーシング10は、気密的に接続された円筒部11、蓋部12、及び底部13を有する。円筒部11は軸線Aに対して回転対象の形状を有しており、軸線Aを包囲している。軸線Aは、z方向に延びている。ケーシング10の内部には、潤滑油が貯留される油貯留部17が存在する。
【0031】
(2-2)モータ20
モータ20は、圧縮機90の外部から電力の供給を受け、圧縮機構40を駆動する動力を発生する。モータ20は、円筒部11に取り付けられている。モータ20は、ステータ21、及びロータ22を有する。
【0032】
ステータ21は円筒形状を有し、円筒部11に固定されている。ステータ21は電力を交流磁界に変換する。
【0033】
ロータ22はステータ21の内側に配置される。ロータ22は、ステータ21が発する交流磁界と相互作用することによって回転する。
【0034】
(2-3)クランク軸30
クランク軸30はロータ22に固定されており、ロータ22とともに回転する。クランク軸30は、ロータ22が生み出す回転力を圧縮機構40へ伝達する。
【0035】
クランク軸30は、主軸部31と偏心部32を有する。偏心部32は、主軸部31に対して偏心している。主軸部31の一部はロータ22に固定される。偏心部32は、圧縮機構40の中に位置する。
【0036】
(2-4)圧縮機構40
圧縮機構40は、低圧ガス冷媒を圧縮することによって高圧ガス冷媒を生成する。圧縮機構40は、シリンダ41、ピストン42、フロントヘッド46、リアヘッド47、マフラ48を有する。
【0037】
シリンダ41は剛体製の部品である。シリンダ41には空洞が設けられている。その空洞にはピストン42が収容される。ピストン42は、円筒状の部材である。ピストン42もまた空洞を有し、その空洞には偏心部32が取り付けられる。ピストン42は、クランク軸30の回転によって、シリンダ41に接触しながら公転運動をする。
【0038】
シリンダ41とピストン42は協働して圧縮室45を画定する。圧縮室45は、互いに接触するシリンダ41及びピストン42によって囲まれる空間である。圧縮室45の容積は、ピストン42の公転に従って増減する。
【0039】
フロントヘッド46はシリンダ41の上面を塞ぐ。フロントヘッド46は、ピストン42がシリンダ41の外部へ移動することを妨げるようにシリンダ41に取り付けられる。フロントヘッド46には、圧縮室45から高圧ガス冷媒を吐出するための吐出ポート46aが設けられている。フロントヘッド46は大きな直径を有している。フロントヘッド46はケーシング10の円筒部11に固定される。これによって、圧縮機構40の全体がケーシング10に対して固定される。リアヘッド47はシリンダ41の下面を塞ぐ。リアヘッド47は、ピストン42がシリンダ41の外部へ移動することを妨げるようにシリンダ41に取り付けられる。マフラ48は、吐出ポート46aを覆うようにフロントヘッド46に取り付けられる。マフラ48は、吐出ポート46aから吐出される高圧ガス冷媒の圧力の脈動に起因する騒音を低減する。
【0040】
(2-5)、吸入管15、吐出管16、インジェクション管19
吸入管15、吐出管16、インジェクション管19はケーシング10に取り付けられる。吸入管15は、低圧ガス冷媒をケーシング10の外部から圧縮室45へ案内する。吐出管16は、ケーシング10の内部にある高圧ガス冷媒をケーシング10の外へ案内する。インジェクション管19は、典型的には比較的少量かつ中間圧の冷媒をケーシング10の外部から圧縮室45へ案内する。ここでいう中間圧とは、吸入管15から吸入される低圧冷媒の圧力と、吐出管16から吐出される高圧ガス冷媒の圧力との間の圧力である。
【0041】
(3)圧縮機構40の取り付け構造
図3は、水平面に沿った圧縮機90の模式的な断面図であり、すなわち、軸線Aの延びる方向に沿って見た平面視である。本図において、ケーシング10の円筒部11は、ハッチングを付した態様で断面が示されている。一方、圧縮機構40のフロントヘッド46、吸入管15、及びインジェクション管19は、上面が示されている。
【0042】
圧縮機構40のフロントヘッド46は、第1溶接点W1、第2溶接点W2、第3溶接点W3、第4溶接点W4、第5溶接点W5、及び第6溶接点W6において溶接によって円筒部11に固定される。図中の線分Lは、円筒部11の軸線Aと第1溶接点W1とを結ぶ。インジェクション管19は、この線分Lに沿って延びる。本図において、すなわち軸線Aの延びるz方向に沿って見た平面視において、インジェクション管19は第1溶接点W1と重なって見えている。
【0043】
圧縮機構40のフロントヘッド46には、貫通部46bが形成されている。ケーシング10の内部の冷媒は、貫通部46bを通過することができる。貫通部46bはまた、圧縮機構40を円筒部11へ取り付けることを容易にする機能、もしくは、吸入管15又はインジェクション管19を円筒部11又は圧縮機構40に接続することを容易にする機能、などを有していてもよい。図中では貫通部46bは圧縮機構40の中央部に設けられている一方、貫通部46bは圧縮機構40の周縁に切欠きとして設けられてもよい。貫通部46bは、線分Lが貫通部46b交差と交差しないような位置に設けられている。
【0044】
(4)吸入管15又はインジェクション管19の取り付け構造
図4は、インジェクション管19及びその周辺を示す。
【0045】
ケーシング10は、円筒部11に立てられた円筒状の継手管11aをさらに有している。継手管11aは円筒部11に溶接されている。インジェクション管19は、円筒状のインレット70に接続された状態で、継手管11aに挿入される。インレット70は、圧縮機構40に挿入されている。インレット70は、冷媒をインジェクション管19から圧縮機構40の圧縮室45へ案内する。継手管11aは、インジェクション管19及びインレット70を包囲している。
【0046】
ケーシング10とインジェクション管19は、ロウ材80によって相互に固定されている。ロウ材80の適用箇所は様々でありうる。例えば、インジェクション管19、継手管11a、及びインレット70がロウ材80によって互いに固定されてもよい。
【0047】
インジェクション管19は、円筒部11の内部空間へ突出しないように円筒部11に取り付けられる。
【0048】
以上にインジェクション管19に関して説明した取り付け構造は、吸入管15に適用されてもよい。
【0049】
(5)特徴
(5-1)
インジェクション管19は、冷媒の圧力脈動に起因して、円筒部11と第1溶接点W1が配列する方向、すなわち線分Lが延びる方向に振動する。したがって、振動が印加されても円筒部11とインジェクション管19が異なる動きをするおそれが少ないので、圧縮機90の振動を低減できる。
【0050】
(5-2)
インジェクション管19は、円筒部11、第1溶接点W1、及びインジェクション管19の配列方向に延びる。したがって、冷媒の圧力脈動が、インジェクション管19が延びる方向に振動を発生させても、圧縮機90の振動を低減できる。
【0051】
(5-3)
円筒部11と圧縮機構40は、第1溶接点W1のみならず第2溶接点W2、第3溶接点W3、第4溶接点W4、第5溶接点W5、及び第6溶接点W6によっても固定される。したがって、圧縮機90の振動をより効果的に低減できる。
【0052】
(5-4)
ロウ材80がケーシング10とインジェクション管19との固定を確保するので、安定した組立のためにインジェクション管19が円筒部11の内部空間へ突出する必要がない。したがって、円筒部11と圧縮機構40を固定する第1溶接点W1を容易に配置できる。
【0053】
(5-5)
インジェクション管19、継手管11a、及びインレット70は、ロウ材80によって互いに固定される。したがって、これらの部品の間で生じうるガタツキを抑制できる。
【0054】
(5-6)
軸線Aと第1溶接点W1とを結ぶ線分Lは圧縮機構40の貫通部46bを通過しない。したがって、貫通部46bが冷媒の圧力脈動によって共振するおそれが少ない。
【0055】
(5-7)
軸線Aと第1溶接点W1とを結ぶ線分Lは、フロントヘッド46に設けられる貫通部46bを貫通しない。したがって、フロントヘッド46の振動への関与を低減できる。
【0056】
(5-8)
圧縮機90の振動が低減するので、空気調和機400の動作が安定し、安全性が向上する。
【0057】
(6)変形例
(6-1)基本実施形態の第1変形例
基本実施形態の圧縮機90では、圧縮機構40が1つのシリンダ41を有している。これに代えて、圧縮機構40が2つ以上のシリンダ41を有してもよい。
【0058】
(6-2)基本実施形態の第2変形例
基本実施形態の圧縮機90では、インジェクション管19の圧力脈動に起因する振動を抑制するために、インジェクション管19が軸線Aの延びるz方向に沿って見た平面視において第1溶接点W1と重なっている。これに代えて、又は、これに加えて、吸入管15が軸線Aの延びるz方向に沿って見た平面視においていずれかの溶接点と重なっていてもよい。
【0059】
(6-3)基本実施形態の第3変形例
基本実施形態の圧縮機90では、インジェクション管19、継手管11a、及びインレット70が、単一のロウ材80によって互いに固定される。これに代えて、インジェクション管19、吸入管15、円筒部11、継手管11a、インレット70の少なくとも一部を互いに固定するために、複数の種類のロウ材が用いられてもよい。
【0060】
<むすび>
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0061】
10 :ケーシング
11 :円筒部
11a :継手管
15 :吸入管
16 :吐出管
19 :インジェクション管
40 :圧縮機構
41 :シリンダ
42 :ピストン
45 :圧縮室
46 :フロントヘッド(ヘッド)
46b :貫通部
47 :リアヘッド(ヘッド)
70 :インレット
80 :ロウ材
90 :圧縮機
100 :室外ユニット
200 :室内ユニット
300 :連絡配管
400 :空気調和機
A :軸線
L :線分
W1 :第1溶接点
W2 :第2溶接点
W3 :第3溶接点
W4 :第4溶接点
W5 :第5溶接点
W6 :第6溶接点
z :軸線の延びる方向
【先行技術文献】
【特許文献】
【0062】
【文献】特開昭59-82595号公報
図1
図2
図3
図4