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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-31
(45)【発行日】2023-11-09
(54)【発明の名称】ドアロック装置及びドア
(51)【国際特許分類】
   E05B 41/00 20060101AFI20231101BHJP
   B60J 5/00 20060101ALI20231101BHJP
   E05B 77/24 20140101ALI20231101BHJP
   E05B 81/56 20140101ALI20231101BHJP
   E05B 81/76 20140101ALI20231101BHJP
   E05B 85/12 20140101ALI20231101BHJP
【FI】
E05B41/00 H
B60J5/00 H
E05B77/24
E05B81/56
E05B81/76
E05B85/12 Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023005154
(22)【出願日】2023-01-17
(62)【分割の表示】P 2021016053の分割
【原出願日】2016-09-30
(65)【公開番号】P2023041723
(43)【公開日】2023-03-24
【審査請求日】2023-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 俊彦
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-197912(JP,A)
【文献】特開2015-59296(JP,A)
【文献】特開2004-136802(JP,A)
【文献】特開2004-27559(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00-85/28
B60J 5/00- 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアロック装置であって、
車両のドアの車内側に設けられ、識別性の低い暗表示と、識別性の高い明表示とに切り換え可能なタッチパネルと、
前記タッチパネルによって取得された入力に基づいて、前記ドアを開閉不能な施錠状態と開閉可能な開錠状態とに遷移させる制御ユニットと、を有し、
前記制御ユニットは、前記ドアが前記施錠状態にあるときに前記タッチパネルを前記暗表示にし、前記ドアが前記開錠状態にあるときに前記タッチパネルを前記明表示にし、
前記ドアの車内側側面には、乗員が把持するための把持部が設けられ、
前記タッチパネルが前記把持部の車内側に向く内方面に設けられ、
前記タッチパネルは前記暗表示を行うとき前記把持部の前記内方面と意匠的に同一な外観を呈するドアロック装置。
【請求項2】
前記内方面は前記車両の前方、又は、前上方に向かって延び、
前記タッチパネルは、前記内方面の延在方向に沿って延在している請求項1に記載のドアロック装置。
【請求項3】
前記把持部はアームレストから延設され、且つ、上方に開口した凹部を有するプルハンドルによって構成され、
前記タッチパネルは前記凹部に対して車幅方向に重なっている請求項1又は請求項2に記載のドアロック装置。
【請求項4】
前記把持部はドアトリムの車内側に両端において結合され、且つ、アーチ状に車内側に張り出したアシストグリップによって構成され、
前記ドアトリムの車内側の側面と前記アシストグリップの中央部とは車幅方向に離間し、
前記タッチパネルは前記中央部に重なるように配置されている請求項1又は請求項2に記載のドアロック装置。
【請求項5】
車速度、変速機のギアポジション、及びパーキングブレーキの動作状態のうち少なくとも1つを取得する車両状態センサを更に備え、
前記制御ユニットは、前記車両状態センサが前記車速度を取得している場合には前記車速度が所定の速度以下であるか、前記車両状態センサが前記ギアポジションを取得している場合には前記ギアポジションがパーキング位置にあるときか、又は、前記車両状態センサが前記パーキングブレーキの前記動作状態を取得している場合には前記パーキングブレーキが作動しているかのいずれかが満たされたときに、前記タッチパネルによって取得された前記入力に基づく前記ドアの前記開錠状態への遷移を許可する請求項1に記載のドアロック装置。
【請求項6】
前記制御ユニットは、前記車速度が所定の閾値より大きいと判定したときに、前記ドアを前記施錠状態とする請求項5に記載のドアロック装置。
【請求項7】
前記タッチパネルは押圧力を検出可能に構成され、
前記制御ユニットは、前記タッチパネルによって検出された前記押圧力が所定の閾値以上であるときに、前記タッチパネルへの前記入力があったと判定し、前記タッチパネルによって検出された前記入力の有無に基づいて、前記施錠状態と前記開錠状態との間で遷移させる請求項1に記載のドアロック装置。
【請求項8】
前記車両は所定の乗降位置と前記乗降位置とは異なる所定の運転位置との間で変位する座席と、当該座席を前記乗降位置と前記運転位置との間で変位させるシートアクチュエータとを備え、
前記シートアクチュエータは前記制御ユニットによって制御され、
前記制御ユニットは、前記タッチパネルが識別性の高い前記明表示を行っているときに、前記タッチパネルによって取得された前記入力に基づいて、前記シートアクチュエータを作動させることにより、前記座席を前記乗降位置とする請求項5に記載のドアロック装置。
【請求項9】
前記把持部及び前記タッチパネルが共通の透明なカバー部材によって覆われている請求項1~請求項8のいずれか1つの項に記載のドアロック装置。
【請求項10】
請求項1又は請求項2に記載のドアロック装置が設けられたドアであって、
外面を構成するアウタパネルと、前記アウタパネルの車内側に配置されたインナパネルと、前記インナパネルの車内側に配置されたドアトリムとを備え、
前記ドアトリムには、アームレストと、一端側において前記アームレストの前部側に結合し、アーチ状に車内側に張り出したアシストグリップが設けられ、
前記アシストグリップは前記把持部を構成し、
前記タッチパネルは前記アシストグリップに設けられていることを特徴とするドア。
【請求項11】
請求項1又は請求項2に記載のドアロック装置が設けられたドアであって、
外面を構成するアウタパネルと、前記アウタパネルの車内側に配置されたインナパネルと、前記インナパネルの車内側に配置されたドアトリムとを備え、
前記ドアトリムには、アームレストと、前記アームレストから延設され、且つ、上方に開口した凹部を有するプルハンドルとが設けられ、
前記プルハンドルは前記把持部を構成し、
前記タッチパネルは前記プルハンドルに設けられていることを特徴とするドア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車に搭載され、ドアと車体との間の係止状態を制御するドアロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自動車用ドアには、ドアと車体との間の係止状態を解除し、ドアの開扉動作を可能とするインサイドハンドルが設けられている。更に、乗員の安全性を確保するため、自動車用ドアにはインサイドハンドルによるドアとボディとの間の施錠状態の解除を不能とするためのドアロックノブが設けられている。
【0003】
ドアの内側のデザイン性の向上、及び車内側のドアスペースの有効活用を目的として、ドアの内側に取り付けられていた従来のインサイドハンドルをなくし、ドアと車体との係止状態を解除するための解除手段をドア内側に配置した入力手段により遠隔操作するようにした自動車用ドアであって、車両状態検出手段からの出力に応じて作動するインターロック機構が組み合わされているものが知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第3951884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の自動車用ドアでは、入力手段にはインターロック機構の作動の有無が表示されないため、乗員はドアとボディとの間の施錠状態の解除が不能となっているか否かを知ることはできない。そのため、インターロック機構が作動しているにも関わらず乗員が入力手段を操作する虞や、ドアを開けることが好ましくないときに乗員がインターロック機構が作動していると思い込み不用意に入力手段を操作してしまう虞があった。
【0006】
本発明は、以上の背景を鑑み、インサイドハンドルをなくしたドアと車体との係止状態を解除するための解除手段をドア内側に配置した入力手段により操作するように構成し、且つドアが車体に係止された状態に保持されているときに保持されていることを乗員が容易に識別できるドアロック装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、車両のドアロック装置(2)であって、車両のドア(2)に設けられ、前記車両の車体側に設けられたストライカ(10)と協働して、前記ドアを選択的に閉位置にラッチするラッチ機構(14)と、前記ラッチ機構を、前記ドアを閉位置に保持した状態にロックするロック機構(17)と、前記ドアの車内側に設けられた、光学的表示部(34)及びタッチセンサ(32)を備えた表示/入力装置(28)と、前記ラッチ機構を選択的にアンラッチするラッチアクチュエータ(16)と、前記車両の状態を検出する車両状態センサ(40、80、90)と、前記ロック機構を選択的にロックするロックアクチュエータ(18)と、前記車両状態センサの出力に基づいて、前記ロックアクチュエータの作動を制御する制御ユニット(42)とを有し、前記制御ユニットが、更に、前記ロックアクチュエータがロックしている状態の時には、前記光学的表示部が識別性の低い暗表示を行い、且つ前記タッチセンサの入力を無視し、前記ロックアクチュエータがアンロックしている状態の時には、前記光学的表示部が識別性の高い明表示を行い、かつ前記タッチセンサの入力に基づいて、前記ラッチアクチュエータを作動させることにより、前記ラッチ機構をアンラッチするべく構成されていることを特徴とするドアロック装置が提供される。
【0008】
この構成によれば、ロック機構がロックされているときには光学的表示部は暗表示を行い、ロック機構がアンロックされているときには、光学的表示部は明表示を行うため、乗員はロック機構がロックされているか否かを容易に識別することができる。また、ドアを閉位置にラッチするラッチ機構をアンラッチするためには乗員はタッチセンサに入力する必要がある。ロック機構によってドアが閉位置にロックされた、例えば、運転手によってロックされているときや車両の走行によってロックされた場合において、タッチセンサの入力が無視されるため、乗員はドアの閉位置にラッチするラッチ機構をアンラッチすることができない。そのため、乗員の安全性が確保される。更に、光学的表示部が識別性の低い暗表示を行うことによってタッチセンサは乗員に識別されにくいため、乗員がタッチセンサに触れようとする虞も少なくなり、乗員の安全性がより高められる。
【0009】
また、上記課題を解決するために、車両のドアロック装置(2)であって、車両のドア(4)に設けられ、前記車両の車体側に設けられたストライカ(10)と協働して、前記ドアを選択的に閉位置にラッチするラッチ機構(14)と、前記ドアの車内側に設けられた、光学的表示部(34)及びタッチセンサ(32)を備えた表示/入力装置(28)と、前記ラッチ機構を選択的にアンラッチするラッチアクチュエータと、前記車両の走行状態を検出する車両状態センサ(40、80、90)と、前記タッチセンサ及び前記車両状態センサの信号に基づいて前記ラッチアクチュエータ及び前記光学的表示部を制御する制御ユニット(42)とを有し、前記制御ユニットは、前記車両状態センサの信号に基づいて前記車両が走行していると判定した場合に前記光学的表示部が識別性の低い暗表示を行い、且つ前記タッチセンサの入力を無視し、前記車両状態センサの信号に基づいて前記車両が停車していると判定した場合に、前記光学的表示部が識別性の高い明表示を行い、かつ前記タッチセンサの入力に基づいて、前記ラッチアクチュエータを作動させることにより、前記ラッチ機構をアンラッチするべく構成されていることを特徴とするドアロック装置が提供される。
【0010】
この構成によれば、車両が走行している場合にはタッチセンサの入力が無視されるため、乗員はドアの閉位置にラッチするラッチ機構をアンラッチすることができないため、ドアが車体に係止された状態に保持される。そのとき、光学的表示部が識別性の低い暗表示を行うため、乗員はロック機構がロックされているか否かを識別することができる。よって、乗員がタッチセンサに触れようとする虞が少なくなり、乗員の安全性がより高められる。
【0011】
また、上記の構成において、前記ラッチ機構を、前記ドアを閉位置に保持した状態にロックするロック機構と、前記ロック機構を選択的にロックするロックアクチュエータ(18)とを有し、前記制御ユニットは、前記車両が停車されていると判定した場合に前記ロック機構をアンロックし、前記車両が走行されていると判定した場合に前記ロック機構をロックするとよい。
【0012】
この構成によれば、車両走行時にはロック機構がロックされ光学的表示部は暗表示を行う。一方、停車時にはロック機構がアンロックされ光学的表示部は明表示を行う。よって、乗員はロック機構がロックされているか否かを容易に識別することができる。更に、車両走行時にドアが閉位置に保持した状態にロックされるため、乗員の安全性がより高められる。
【0013】
また、上記の構成において、前記車両状態センサが車速度、変速機のギアポジション、及びパーキングブレーキの動作状態のうち少なくとも1つを取得するセンサであり、前記制御装置は、少なくとも、前記車両センサが車速度を取得している場合(40)には前記車速度が所定の速度以下であるか、前記車両センサがギアポジションを取得している場合(80)には前記ギアポジションがパーキング位置にあるときか、又は、前記車両センサがパーキングブレーキの動作状態を取得している場合(90)には前記パーキングブレーキが作動しているときのいずれかのときに、前記ロックアクチュエータをアンロックするとよい。
【0014】
車速が所定の速度以下であるか、ギアポジションがパーキング位置にあるか、又は、パーキングブレーキがパーキング位置にあるとき、車速は小さいか、又は、車両の車輪の回転が規制されている。この構成によれば、ラッチ機構をアンラッチし、ドアの開閉動作が可能となるタイミングを、車速が小さいか、又は、車両の車輪の回転が規制されたときに限ることができるため、乗員の安全性がより高められる。
【0015】
また、上記の構成において、前記表示/入力装置がタッチパネルであるとよい。
【0016】
この構成によれば、タッチセンサと光学的表示部が一体となり、前記表示/入力装置がコンパクトになる。
【0017】
また、上記の構成において、前記ドアの車内側側面には、乗員が把持するための把持部(24、26)が設けられ、前記把持部は車内側に向かう内方面と車外側に向う外方面とを有し、前記タッチパネルが前記把持部の前記内方面に設けられるとよい。
【0018】
乗員がドアを開くとき把持部を押すとき、乗員の掌が把持部の車内側に向かう内方面に接触することが多い。この構成によれば、乗員がドアを押す動作と同時に、容易にタッチセンサにタッチすることが可能となる。
【0019】
また、上記の構成において、前記タッチパネルは前記暗表示を行うとき前記把持部の前記内方面と意匠的に同一な外観を呈するとよい。
【0020】
この構成によれば、把持部の外観の審美性が高められる。
【0021】
また、上記の構成において、前記把持部及び前記タッチパネルが共通の透明なカバー部材(30)によって覆われているとよい。
【0022】
また、上記の構成において、前記車両は所定の乗降位置と前記乗降位置とは異なる所定の運転位置との間で変位する座席(36)と、当該座席を前記乗降位置と前記運転位置との間で変位させるシートアクチュエータ(38)とを備え、前記シートアクチュエータは前記制御ユニットによって制御され、前記制御ユニットは、前記光学的表示部が識別性の高い明表示を行っているときに、前記タッチセンサの入力に基づいて、前記シートアクチュエータを作動させることにより、前記座席を前記乗降位置とするとよい。
【0023】
この構成によれば、乗員によってドアが開かれたときに、乗員が乗降しやすい位置に座席が移動し、乗員による乗降動作が容易になる。
【0024】
以上の構成によれば、インサイドハンドルをなくしたドアと車体との係止状態を解除するための解除手段をドア内側に配置した入力手段により操作するように構成し、且つドアが車体に係止された状態に保持されているときに保持されていることを乗員が容易に識別できるドアロック装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明に係るドアの車内側の側面図
図2】本発明に係るドアロック装置のラッチ装置、及びロック装置の模式図
図3】第1実施形態に係るドアロック装置の光学的表示部が(A)暗表示を行っている場合と(B)明表示を行っている場合のアシストグリップ部分の拡大図
図4】第1実施形態に係るドアロック装置の制御ブロック図
図5】第1実施形態に係るドアロック装置の制御ユニットのフローチャート
図6】第2実施形態に係るドアロック装置の光学的表示部が(A)暗表示を行っている場合と(B)明表示を行っている場合のプルハンドル部分の拡大図
図7】第3実施形態に係るドアロック装置のフローチャート
図8】ドアロック装置の制御ブロック図の変形例
図9】ドアロック装置の制御ブロック図の変形例
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に本発明によるドアロック装置の3つの実施形態を、図1図9を参照して説明する。
【0027】
<<第1実施形態>>
本発明に係るドアロック装置2は自動車等の車両に適用される。車両には、乗員が乗降を行う開口部と、その開口部にヒンジを介して車体に回動可能に結合したドア4が設けられている。図1に示されるように、第1実施形態に係るドア4はその外面を構成するアウタパネル5と、アウタパネル5の車内側に配置されたインナパネル6と、インナパネル6の車内側に配置され、車内側面を構成するドアライニング8とを備える。
【0028】
車体の開口部のセンタピラー(図示せず)にはストライカ10が設けられている。ドア4の後端でありストライカ10に対向する位置にストライカ10に係合するラッチ12を有するラッチ機構14が設けられている。ラッチ12はドア4に対して回動可能に形成され、回動によって図2に示されるラッチ位置(図2の実線)と図2に示されるオープン位置(図2の2点鎖線)との間で変位する。ドア4が車体に対して閉じられた閉位置にあり、ラッチ12がラッチ位置になると、ラッチ12はストライカ10に係合し、ドア4は閉位置に保持(ラッチ)される。ラッチ12がオープン位置にあるときには、ラッチ12はストライカ10に係合せず、ドア4は車体に係止されない。ラッチ12は付勢手段13(例えばねじりコイルばね)によって、オープン位置からラッチ位置に向けて付勢されている。
【0029】
ドアロック装置2には、ラッチ12を変位させるラッチアクチュエータ16が備えられている。ラッチアクチュエータ16は、ラッチ12の一端に当接する突端部を有し、ラッチアクチュエータ16の駆動によって突端部が押し出されることによって、ラッチ12はラッチ位置からオープン位置に移動する。ラッチアクチュエータ16は例えばリニアモータを用いて構成される。
【0030】
更に、ドアロック装置2はラッチ12をラッチ位置に保持するロック機構17とロックアクチュエータ18とが備えられている。ロック機構17は、ラッチ12に設けられた凹部17aとロックアクチュエータ18の突端部に設けられ凹部と嵌合可能な凸部とを備えている。ロックアクチュエータ18は伸張するように構成されている。ロックアクチュエータ18は駆動によって、凸部が凹部に嵌合しラッチ12はラッチ位置に移動させるべく伸張する。ロックアクチュエータ18が駆動しているときは、凸部が凹部に嵌合した状態で保持され、ラッチ12はラッチ位置に保持(ロック)される。ロックアクチュエータ18はリニアモータを用いて構成される。
【0031】
従来のドアロックノブをロックする動作はロックアクチュエータ18を駆動させることに対応する。従来のインサイドハンドルを開く動作は、ラッチアクチュエータ16を駆動させることに対応する。ロックアクチュエータ18が駆動しているときラッチ12はラッチ位置にロックされドア4と車体との係合は解除することはできないため、ロック機構17は従来のインターロック機構の機能を果たす。
【0032】
図1に示されるように、ドアライニング8の車内側には、車内に居る乗員のドア4の操作を可能とし、また、乗員が車内で快適に過ごせるようにするための部材を備えたドアトリム20が形成されている。ドアトリム20には着席している乗員の側方に設けられ、乗員の腕を載置するためのアームレスト22が備えられている。アームレスト22はドアトリム20の車内側に向かう面が段差状に車内側に膨出することによって形成され、アームレスト22は車両の前後方向に延在するように設けられている。アームレスト22の外周にはアームレスト22に弾性を付与する弾性材が設けられている。弾性材は乗員が腕を載置するときに快適に感じるよう最適な弾性を備えている。
【0033】
アームレスト22の前端には、アームレスト22から延設され、上方に開口した凹部を有するプルハンドル24が設けられている。プルハンドル24は、凹部を把持してドア4を開閉できる程度の剛性を有する樹脂によって形成されており、乗員が凹部を把持してドア4を開閉するため把持部として機能する。具体的には、乗員が凹部を把持してドア4を車外方向へ押し出すことによってドア4は開かれ、乗員が凹部を把持して車内側へ引くことによってドア4は閉じられる。なお、図示を省略するが、プルハンドル24の上面にはドア4のパワーウインドウを操作するための操作パネル等が設けられている。
【0034】
ドアライニング8の車内側には、アーチ状に車内側に張り出したアシストグリップ26が設けられている。アシストグリップ26は、一端側がアームレスト22の前部側に結合し、他端側がドアトリム20の基面部(車内側側面部)の上端部に結合し、乗員が把持できる程度の太さを有して前傾する態様で延びている。アシストグリップ26もまた、乗員が凹部を把持してドア4を開閉するため把持部として機能する。アシストグリップ26は、乗員が把持し車両の外側へドア4を押し出し、且つ引くことができる程度の比較的硬質の材料(例えば、樹脂や木材等)により構成されている。
【0035】
アシストグリップ26には、乗員が接触等の動作を介して入力を行うためのタッチパネル28が設けられている。タッチパネル28はその画面がアシストグリップ26の表面と連続する態様でアシストグリップ26に埋め込まれ固定されている。タッチパネル28とアシストグリップ26は共通の透明なカバー部材30によって覆われている。タッチパネル28の画面は、把持部の車内に向かう面に設けられている。タッチパネル28は乗員の画面への接触を検知するタッチセンサ32と、バックライト及び透明液晶ディスプレイを有する光学的表示部34とを備える。タッチパネル28は画面表示を行い、乗員からの入力を受け付ける表示/入力装置として機能する。光学的表示部34はバックライトが点灯された明表示と、バックライトが消灯された暗表示とを行う。図3(A)に示されるように、光学的表示部34が明表示を行っているときは、車内にいる乗員によってタッチパネル28の画面が視認されやすく、タッチパネル28は把持部の表面に比べて識別性の高い状態にある。一方、図3(B)に示されるように、光学的表示部34が暗表示を行っているときには、タッチパネル28の画面は透明となり、乗員には把持部が透けて見えるように構成されている。そのため、光学的表示部34が暗表示を行っているときには、光学的表示部34が明表示を行っているときに比べて、タッチパネル28の画面は視認されにくく、タッチパネル28は識別性の低い状態にある。
【0036】
本実施形態では、バックライトが消灯されているときは、タッチパネル28の画面は透明になるため、アシストグリップ26の意匠面が透けて見える。そのため、バックライトが消灯されているときにも、タッチパネル28とその周辺のアシストグリップ26の外観が連続した態様となり意匠性がよい。本実施形態では、タッチパネル28はいわゆるインセル型のTFT液晶ディスプレイである。タッチパネル28は静電容量方式によって画面への接触を検出する機構の一部(又は全部)が液晶ディスプレイのTFT(薄膜トランジスタ)の内部に組み込まれている。タッチパネル28には、車内のバッテリや発電装置等から電力が供給されている。
【0037】
車両の内部には乗員が着席する運転席、助手席、後部座席が備えられている。各座席36は車体のフロアに設けられたレールにスライダを介して結合し、車体のフロアに対して前後及び左右に移動する。そのレールには、座席3をレールに沿って変位させるためシートアクチュエータ38が設けられている。図4に示されるように、シートアクチュエータ38は座席36に作用し、所定の入力信号を受信すると対応する座席36を乗員の乗降し易い乗降位置(例えば、座席36が可能な限り下げられた位置)に移動させ、上記所定の入力信号とは異なる所定の入力信号を受信すると対応する座席36を乗員が車内で快適に過ごせる運転位置(例えば、乗降位置よりも座席36が上げられ、着席時に乗員が快適に膝を曲げることのできる位置)に移動させる。
【0038】
車両の車体の中央、且つ下部に車速度センサ40が設けられている。車速度センサ40は車両の状態を検出する車両状態センサとして機能する。車速度センサ40は車速度を検出する。但し、本明細書で記載する車速とは車両の速さであり、車速の絶対値のみを表すものとする。
【0039】
更に、ドア4には手動ロック手段41が設けられている。手動ロック手段41はドア4のロックが行われる施錠位置とアンロックが行われる施錠解除位置とに変位可能に構成されたドアロックボタン41aを備えている。手動ロック手段41は、ドアロックボタン41aの位置に応じた信号を送信し、受信した信号に応じてドアロックボタン41aを変位可能に構成されている。
【0040】
図1に示されるように、ドアライニング8とインナパネル6との間の適切な位置には制御ユニット42が設けられている。制御ユニット42は、図4に示されるように、車速度センサ40、手動ロック手段41、及びタッチパネル28のタッチセンサ32からの信号を受信可能に接続されている。更に、制御ユニット42は、ラッチアクチュエータ16及びロックアクチュエータ18、シートアクチュエータ38、及びタッチパネル28の光学的表示部(バックライト及び液晶ディスプレイ)34を制御可能に接続されている。この構成によって、制御ユニット42は、所定のフローに基づいて、タッチセンサ32及び車速度センサ40からの信号に基づいて、ロックアクチュエータ18及びラッチアクチュエータ16を駆動させ、光学的表示部34の表示を制御することができる。制御ユニット42はロックアクチュエータ18、及びラッチアクチュエータ16の駆動状態を記憶する所定のメモリ(図示せず)を備えている。
【0041】
次に、図5のフロー図を参照して、制御ユニット42によって行われる処理を説明する。車両が始動し、エンジンが駆動すると、制御ユニット42は車速度センサ40から信号を受信し車両の車速を算出し、算出された車速が所定の速度である臨界速度(例えば、毎時10キロメートル)以下か否かを判定する(ST1)。
【0042】
車速が臨界速度以下であると判定された場合には、制御ユニット42は手動ロック手段41からの信号を受信し、手動ロック手段41のドアロックノブが施錠解除位置にあるか否かを判定する(ST2)。手動ロック手段41のドアロックノブが施錠解除位置にあると判定された場合には、ロックアクチュエータ18が停止しているときは停止状態を維持し、ロックアクチュエータ18が駆動しているときには、制御ユニット42はロックアクチュエータ18を停止する(ST3)。ST3の処理が行われた後、ロック機構17をアンロックされた状態にあり、ラッチ12のラッチ位置へロックは解除されている。制御ユニット42は、ロックアクチュエータ18の駆動状態をメモリに書き込む(ST4)。
【0043】
ST1において車速が臨界速度よりも大きいと判定された場合、又は、ST2において手動ロック手段41のボタンが施錠位置にあると判定された場合には、制御ユニット42は、ロックアクチュエータ18が駆動しているときには駆動状態を維持し、ロックアクチュエータ18が停止しているときには駆動させる(ST5)。ST5の処理が行われた後、ロック機構17をロックされた状態にあり、ラッチ12はラッチ位置にロックされている。制御ユニット42は、ロックアクチュエータ18の駆動状態をメモリに書き込む(ST6)。制御ユニット42は、ドアロックボタン41aが施錠解除位置にあるときは、手動ロック手段41のドアロックボタン41aを施錠位置に変位させる(ST7)。
【0044】
ST3又はST4の処理の後、制御ユニット42はメモリからロックアクチュエータ18が駆動されているか否かを読み取る(ST8)。ロックアクチュエータ18が駆動していると制御ユニット42が判定した場合には、光学的表示部34が暗表示を行うように制御し(ST9)、座席36が運転位置にないときは、シートアクチュエータ38を駆動させ座席36を運転位置に移動させる(ST10)。
【0045】
一方、ロックアクチュエータ18が駆動していないと制御ユニット42が判定した場合には、制御ユニット42は光学的表示部34が明表示を行うように制御する(ST11)。更に、制御ユニット42はタッチセンサ32からの信号を検知し、乗員によるタッチパネル28への接触が検知されたかを判別する(ST12)。タッチパネル28への接触が検知された場合には、制御ユニット42は、ラッチ機構14はラッチ12がオープン位置にあるアンラッチされた状態となるよう、ラッチアクチュエータ16が駆動していないときは、ラッチアクチュエータ16を駆動させる(ST13)。更に、座席36が乗降位置にないときは、シートアクチュエータ38を駆動し座席36を乗降位置に移動させる(ST14)。
【0046】
次に、ドアロック装置2の動作について説明する。車両のエンジンが始動すると、ドア4開閉装置に電力が供給される。制御ユニット42は常に車速度センサ40から信号を受信し、車両の車速を算出する。
【0047】
車両が臨界速度よりも早い速度となると、タッチパネル28のバックライトは消灯され、タッチパネル28の画面は乗員によって識別されにくくなる。同時に、乗員によるドア4の開閉動作が禁止され、乗員が車内で快適に過ごせる位置に座席36が移動する。車両が臨界速度以下の速度になり停止すると、バックライトが点灯され、タッチパネル28の画面が乗員によって識別されやすくなる。同時に、乗員が車両に乗降しやすくなる位置に座席36が移動する。
【0048】
車両が停止し、乗員がアシストグリップ26を把持しアシストグリップ26を押し出すと、乗員はタッチパネル28の画面に接触する。タッチパネル28への乗員の接触が検知されると、ドア4と車体との間の係止状態が解除され、乗員の車両への乗降が可能となる。乗員が乗車しアシストグリップ26を把持してドア4を閉じるとき、乗員はアシストグリップ26の車外に向かう面に接触し、タッチパネル28には接触しない。そのため、ラッチ12はストライカ10に当接した後、一旦オープン位置に変位し、ドア4が完全に閉じられたときにラッチ12は付勢力に従ってストライカ10と係合するラッチ位置に変位しドア4は車体に係止される。
【0049】
次に、ドアロック装置2の効果について説明する。ドアロック装置2では車速が臨界速度より大きいとき、タッチパネル28の識別性は低い。車両が停止しているときに比べて走行しているときにタッチパネル28の識別性が低下しているため、車両が走行しているときに乗員がドア4の施錠を解除しようとする虞が少ない。また、ドア4の車体への係止を解除するためのタッチパネル28がアシストグリップ26に設けられているため、ドア4の開閉動作が可能とするためには乗員はアシストグリップ26を把持すればよく、ドア4の車体への係止を解除が容易になる。
【0050】
更に、アシストグリップ26の車内側に向かう面にタッチパネル28が設けられているため、乗員はドア4を開くときにはタッチパネル28に接触しやすく、容易にドア4と車体との係合を解除することができる。一方、乗員がドア4を閉じるときには、アシストグリップ26の車内側に向かう面には接触しにくいため、ラッチ12がオープン位置に保持された状態とならず、乗員のドア4を閉じる動作が容易になる。
【0051】
車両が臨界速度以上の速度で走行しているときには、制御ユニット42がタッチパネル28からの接触に対応する信号を受信してもいかなる処理も行わない。車両が臨界速度以上の速度で走行しているときにドア4が開閉されることがなくなり、乗員の安全性が高まる。
【0052】
ドア4が解錠されるときに、シートアクチュエータ38によって座席36が乗員の乗降しやすい位置に移動する。そのため車両から乗員の乗降がしやすい。
【0053】
<<第2実施形態>>
本発明の第2実施形態に係るドアロック装置2は、第1実施形態とはタッチパネル28の設置場所のみが異なる。第1実施形態ではタッチパネル28はアシストグリップ26に設けられていたが、第2実施形態では、図6に示されるように、タッチパネル28はプルハンドル24の車内側側面に設けられている。
【0054】
図7(A)に示されるように、ラッチ機構14がドア4を閉位置に保持した状態からアンロックされ、乗員によるドア4の開閉が可能となると、第1実施形態と同様にタッチパネル28は点灯し、タッチパネル28の識別力が高い状態となる。一方、ラッチ機構14がドア4を閉位置に保持した状態にロックされているとき(例えば、車両が所定の速度より早い速度で走行しているとき)は、図7(B)に示されるように、第1実施形態と同様にタッチパネル28は消灯し識別力は低くなる。タッチパネル28が点灯しているときに、乗員がドア4を開くため、プルハンドル24に設けられた凹部を把持してドアを押し出す際にタッチパネル28の画面に接触すると、ラッチアクチュエータ16が駆動し、ラッチ12はオープン位置となる。
【0055】
第2実施形態においても、車両が停止しているときに比べて走行しているときにタッチパネル28の識別力が低下しているため、車両が走行しているときに乗員がドア4の施錠を解除しようとする虞が少ない。また、タッチパネル28はプルハンドル24の車内側の面に設けられているため、乗員がプルハンドル24を把持し、ドア4を押し出すときに、タッチパネル28に接触しやすい。そのため、ドア4の車体への係止を解除しドア4を開く動作が容易になる。
【0056】
<<第3実施形態>>
本発明の第3実施形態に係るドアロック装置2は、制御ユニット42が行う制御フローのみが異なる。図7を参照して、第3実施形態に係る制御ユニット42によって行われる処理について説明する。車両が始動し駆動している間、制御ユニット42は常に車速度センサ40から信号を受信する。制御ユニット42は受信した信号に基づいて車両の車速を算出し車速が臨界速度よりも大きいか否かを判定する(ST1)。車速が臨界速度以下であると判定された場合には、手動ロック手段41のドアロックボタン41aが施錠解除位置にあるか否かを判定する(ST2)。ST1において車速が臨界速度よりも大きいと判定された場合、又は、ST2において手動ロック手段41のドアロックボタン41aが施錠位置にあると判定された場合には、制御ユニット42は、ロックアクチュエータ18が停止している場合はロックアクチュエータ18を駆動させ、ロックアクチュエータ18が駆動している場合は駆動を維持する(ST5)。ロックアクチュエータ18の駆動によって、ロック機構がロックされ、ラッチ12はラッチ位置にロックされる。同時に、光学的表示部34に暗表示を行うように制御し(ST9)、座席36が運転位置にないときはシートアクチュエータ38を駆動させ座席36を運転位置とし(ST10)、ドアロックボタン41aが施錠解除位置にあるときはドアロックボタン41aの位置を施錠位置に移動させる(ST7)。一方、ST1において車速が臨界速度以下であると判定され、且つ、ST2においてドアロックボタン41aが施錠解除位置にあると判定された場合には、制御ユニット42はロックアクチュエータ18の駆動しているときは停止し、ロックアクチュエータ18が停止しているときは停止状態を維持させ(ST3)、光学的表示部34に明表示を行うように制御する(ST6)。更に、車速が臨界速度以下であり、且つ、タッチパネル28によって乗員の接触が検知された場合(ST12)、ラッチアクチュエータ16が停止しているときはラッチアクチュエータ16を駆動させ、ラッチアクチュエータ16が駆動していないときには駆動した状態を維持する(ST13)。そのため、ST10の処理の後、ラッチ12はオープン位置にある。同時に、座席36が乗降位置にないときはシートアクチュエータ38を駆動させ座席36を乗降位置に移動させる(ST14)。
【0057】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明において、タッチパネル28を用いて入力手段を構成したが、タッチパネル28には限定されず、例えば、タッチセンサ32としてボタンを用い、光学的表示部34としてボタンを点灯消灯させる発光ダイオードを用いてもよい。
【0058】
また、タッチパネル28を用いる場合であっても、インセル型のTFT液晶ディスプレイを用いたものには限定されず、タッチパネル28であればいかなる態様であってもよい。例えば、タッチパネル28は有機エレクトロルミネッセンスを用いたものであってもよい。また、タッチセンサ32は静電容量方式に限定されない。例えば、抵抗膜方式や表面弾性波方式であってもよい。また、タッチパネル28は必ずしも透明でなくてもよく、消灯時にタッチパネル28の画面表示が黒となる場合には、アシストグリップ26を黒にすることによって、液晶タッチパネル28とその周辺のアシストグリップ26の外観が連続した態様となり意匠性よく構成される。
【0059】
制御ユニット42の設置場所には限定されず、車両の車体、例えば車体下部に設けられてもよい。制御ユニット42と車速度センサ40との接続、制御ユニット42と車速度センサ40との接続、タッチパネル28と車速度センサ40との接続は有線の電気的な配線には限らない。これらの接続は信号のやりとり可能ないかなる態様であってもよく、例えば、無線や光ファイバ等による配線による接続であってもよい。
【0060】
第1実施形態及び第2実施形態の車両状態センサは車速度センサ40であったが、車両状態センサは車速度センサ40には限定されない。図8に示されるように、車両状態センサは変速機の状態を示すシフトレバーのレンジを検知するレンジセンサ80を有し、レンジセンサ80からの信号に基づいて、制御ユニット42はシフトレバーがパーキング位置にあるか否かを判断するように構成してもよい。そのときは、シフトレバーがパーキング位置にあると判断された場合には、ロックアクチュエータ18の駆動を停止し、レンジセンサ80によってシフトレバーがパーキング位置ではない位置(例えば、リバース位置、ニュートラル位置、ドライブ位置等)にあると判断された場合には、制御ユニット42は、ロックアクチュエータ18を駆動させる。
【0061】
また、図9に示されるように、車両状態センサはパーキングブレーキの状態を検知するパーキングブレーキセンサ90を有し、パーキングブレーキセンサ90から送信されるパーキングブレーキの状態に関する信号に基づいて制御ユニット42はパーキングブレーキがパーキング位置にあるか否かを判断するように構成してもよい。そのときは、パーキングブレーキがパーキング位置にあると判断された場合には、ロックアクチュエータ18の駆動を停止し、パーキングブレーキがパーキング位置にないと判断された場合には、ロックアクチュエータ18を駆動させる。また、車両状態センサは車速度センサ40とレンジセンサ80とパーキングブレーキセンサ90とのうち複数を備えていてもよい。また、車両状態センサは、ドア4の車外側の車両や人の往来を検知するセンサを含んでいてもよい。上記センサを含むことによって、乗員がドア4を開く際の安全性がより高められる。
【0062】
また、第1実施形態、及び第2実施形態では、車速が臨界速度より大きくなったときに、制御ユニット42がシートアクチュエータ38を駆動させ、座席36を運転位置に移動する構成としていたが、制御ユニット42が座席36を運転位置に移動するタイミングはそれには限定されない。例えば、車速が零よりも大きくなったときに、制御ユニット42がシートアクチュエータ38を駆動させ、座席36を運転位置に移動するように制御ユニット42の処理を構成してもよい。
【0063】
また、タッチセンサ32は乗員による接触を検出するものとしたが、押圧力を検知し、所定の押圧力以上の場合に、ラッチ機構14がアンラッチされるように構成してもよい。押圧力を検知することによって、乗員の意図しない接触によるアンラッチや、子供の手が触れることによるアンラッチが回避され、より乗員の安全性が高められる。
【符号の説明】
【0064】
2 :ドアロック装置
4 :ドア
10 :ストライカ
14 :ラッチ機構
16 :ラッチアクチュエータ
17 :ロック機構
18 :ロックアクチュエータ
24 :プルハンドル
26 :アシストグリップ
28 :タッチパネル(表示/入力装置)
30 :カバー部材
32 :タッチセンサ
34 :光学的表示部
36 :座席
38 :シートアクチュエータ
40 :車速度センサ(車両状態センサ)
42 :制御ユニット
80 :レンジセンサ(車両状態センサ)
90 :パーキングブレーキセンサ(車両状態センサ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9