(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-31
(45)【発行日】2023-11-09
(54)【発明の名称】銅薄膜付基材用アンダーコート剤、銅薄膜付基材、導電性フィルム及び電極フィルム
(51)【国際特許分類】
C09D 175/14 20060101AFI20231101BHJP
C09D 5/00 20060101ALI20231101BHJP
C09D 4/02 20060101ALI20231101BHJP
C09D 7/61 20180101ALI20231101BHJP
C09D 133/02 20060101ALI20231101BHJP
B32B 15/20 20060101ALI20231101BHJP
B32B 15/082 20060101ALI20231101BHJP
B32B 15/08 20060101ALI20231101BHJP
B32B 27/16 20060101ALI20231101BHJP
B32B 27/20 20060101ALI20231101BHJP
H01B 5/14 20060101ALI20231101BHJP
【FI】
C09D175/14
C09D5/00 D
C09D4/02
C09D7/61
C09D133/02
B32B15/20
B32B15/082
B32B15/08 N
B32B27/16 101
B32B27/20 Z
H01B5/14 A
(21)【出願番号】P 2020049831
(22)【出願日】2020-03-19
【審査請求日】2022-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000168414
【氏名又は名称】荒川化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】川添 圭
(72)【発明者】
【氏名】冨樫 春久
(72)【発明者】
【氏名】木村 和毅
【審査官】井上 恵理
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-230208(JP,A)
【文献】特開2014-108979(JP,A)
【文献】特開2018-062648(JP,A)
【文献】特開2009-286972(JP,A)
【文献】特開2016-008241(JP,A)
【文献】国際公開第2015/049169(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D
B32B 15/00
B32B 27/00
H01B 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水酸基含有(メタ)アクリレート(a1)及びポリイソシアネート(a2)を含むモノマー成分の反応物であるポリウレタン(メタ)アクリレート(A)、
エポキシ基含有ビニル化合物を含むモノマー成分の重合体(b1)と、α,β-不飽和カルボン酸(b2)との反応物(B)、
分子内に2個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート(C)、
及び金属酸化物微粒子(D)、
を含む、銅薄膜付基材用アンダーコート剤。
【請求項2】
(a1)成分が、水酸基含有直鎖アルキル(メタ)アクリレートである、請求項1に記載の銅薄膜付基材用アンダーコート剤。
【請求項3】
(a2)成分が、直鎖脂肪族ジイソシアネートのビウレット体、アロファネート体、イソシアヌレート体及びアダクト体からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の銅薄膜付基材用アンダーコート剤。
【請求項4】
(D)成分の平均粒子径が5~100nmである、請求項1~3のいずれか1項に記載の銅薄膜付基材用アンダーコート剤。
【請求項5】
銅薄膜付基材用アンダーコート剤における(A)~(D)成分の含有量が、固形分換算で、(A)~(D)成分の総量100質量部に対して以下の範囲である、請求項1~4のいずれか1項に記載の銅薄膜付基材用アンダーコート剤。
(A)成分:30~60質量部
(B)成分:5~20質量部
(C)成分:10~40質量部
(D)成分:10~30質量部
【請求項6】
さらに、光重合開始剤(E)を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の銅薄膜付基材用アンダーコート剤。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載のアンダーコート剤からなるアンダーコート層、銅薄膜層及び基材を含む、銅薄膜付基材。
【請求項8】
基材がプラスチックである、請求項7に記載の銅薄膜付基材。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の銅薄膜付基材を用いてなる、導電性フィルム。
【請求項10】
請求項9に記載の導電性フィルムから得られる、電極フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銅薄膜付基材用アンダーコート剤、銅薄膜付基材、導電性フィルム及び電極フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書において「銅薄膜付基材」とは、プラスチック成型品やプラスチックフィルム、金属、ガラス、紙、ナノセルロース紙、木材等の各種機材の表面に銅薄膜が形成されてなる物品をいう。以下、ITO導電性フィルムの代替品としての銅薄膜付プラスチックフィルムを例に挙げ、背景技術について説明する。
【0003】
ITO導電性フィルムは透明性と導電性に優れるため、スマートフォンやタブレットPC等のタッチパネル用の電極フィルムとして賞用されているが、インジウムが高価なレアメタルであるためコストの面で問題があり、またITO層が一般に硬く脆いため曲げや変形に弱い等加工性の点で課題がある。
【0004】
そこで、加工性に優れる導電性フィルムとして、銅薄膜付プラスチックフィルムが提案されている。このものは、ITOよりも抵抗率が低い銅を導電層とするため導電性が良好であり、何より安価でもある。そのため、銅薄膜付プラスチックフィルムを電極フィルムとするタッチパネルは、更なる大画面化が可能となり、例えばインタラクティブ型のデジタル・サイネージとしての有効活用が期待される。
【0005】
従来の銅薄膜付プラスチックフィルムは、一般的には、基材となるプラスチックフィルムにニッケルを蒸着させた後、更に銅を蒸着させることにより得られる。このニッケル蒸着層は、フィルムと銅蒸着層を密着させるためのアンカー層として機能する。そして、銅蒸着プラスチックフィルムにレジストを電極パターン状に塗工し、エッチング液(アルカリ溶液、酸性溶液)で処理した後、該レジストを除去することによって、目的とする電極フィルムが得られる。
【0006】
しかし、かかる銅薄膜付プラスチックフィルムは、ニッケルが耐アルカリ性及び耐酸性に乏しいことから、エッチング処理後に基材フィルムから銅薄膜が剥離又は脱落する問題があった。そこで、アンカー層として、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を主成分とするアンダーコート剤を用いる方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一方で、銅薄膜付プラスチックフィルムにアンダーコート剤を用いる場合は、アンダーコート剤を基材フィルムに塗工した後に該フィルムを一旦巻き取るため、基材フィルムのアンダーコート面において耐ブロッキング性及び耐摩耗性が要求されることが多い。しかしながら、特許文献1のアンダーコート剤は、これら特性に劣る問題があった。
【0009】
本発明は、基材と銅薄膜との初期密着性、アルカリ処理後の密着性(以下、耐アルカリ密着性ともいう。)及び酸処理後の密着性(以下、耐酸密着性ともいう。)に優れ、かつ耐ブロッキング性及び耐摩耗性にも優れたアンダーコート層を形成し得る、新規な銅薄膜付基材用のアンダーコート剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、鋭意検討した結果、所定のポリウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ基含有ビニル化合物を含むモノマー成分の重合体とα,β-不飽和カルボン酸との反応物、分子内に2個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート及び金属酸化物微粒子を含むアンダーコート剤によって、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、以下の銅薄膜付基材用アンダーコート剤、銅薄膜付基材、導電性フィルム及び電極フィルムに関する。
【0011】
1.水酸基含有(メタ)アクリレート(a1)及びポリイソシアネート(a2)を含むモノマー成分の反応物であるポリウレタン(メタ)アクリレート(A)、
エポキシ基含有ビニル化合物を含むモノマー成分の重合体(b1)と、α,β-不飽和カルボン酸(b2)との反応物(B)、
分子内に2個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート(C)、
及び金属酸化物微粒子(D)、
を含む、銅薄膜付基材用アンダーコート剤。
【0012】
2.(a1)成分が、水酸基含有直鎖アルキル(メタ)アクリレートである、上記項1に記載の銅薄膜付基材用アンダーコート剤。
【0013】
3.(a2)成分が、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体、アロファネート体、イソシアヌレート体及びアダクト体からなる群より選ばれる少なくとも1種である、上記項1又は2に記載の銅薄膜付基材用アンダーコート剤。
【0014】
4.(D)成分の平均粒子径が5~100nmである、上記項1~3のいずれか1項に記載の銅薄膜付基材用アンダーコート剤。
【0015】
5.銅薄膜付基材用アンダーコート剤における(A)~(D)成分の含有量が、固形分換算で、(A)~(D)成分の総量100質量部に対して以下の範囲である、上記項1~4のいずれか1項に記載の銅薄膜付基材用アンダーコート剤。
(A)成分:30~60質量部
(B)成分:5~20質量部
(C)成分:10~40質量部
(D)成分:10~30質量部
【0016】
6.さらに、光重合開始剤(E)を含む、上記項1~5のいずれか1項に記載の銅薄膜付基材用アンダーコート剤。
【0017】
7.上記項1~6のいずれか1項に記載のアンダーコート剤からなるアンダーコート層、銅薄膜層及び基材を含む、銅薄膜付基材。
【0018】
8.基材がプラスチックである、上記項7に記載の銅薄膜付基材。
【0019】
9.上記項7又は8に記載の銅薄膜付基材を用いてなる、導電性フィルム。
【0020】
10.上記項9に記載の導電性フィルムから得られる、電極フィルム。
【発明の効果】
【0021】
本発明のアンダーコート剤は、基材の表面に平滑な硬化膜を形成する。また、該硬化膜は活性エネルギー線によって硬化し、基材と銅薄膜との初期密着性のみならず、耐アルカリ密着性及び耐酸密着性の双方に優れ、かつ耐ブロッキング性、耐摩耗性が良好であるアンダーコート層を与える。
【0022】
本発明の銅薄膜付基材は、基材と銅薄膜との初期密着性、耐アルカリ密着性及び耐酸密着性(以下、3つの密着性を纏めて、銅薄膜密着性ともいう)が良好であるため、該銅薄膜付基材をエッチング液(アルカリ溶液、酸性溶液)で処理しても基材から銅薄膜が脱落し難い。また、該銅薄膜付基材のうち、特に基材がプラスチックのものは、ITO導電性フィルムを代替する導電性フィルムとして有用である。
【0023】
本発明の導電性フィルムは、各種電極フィルムとして、例えばタッチパネル、ICカード用基板、ICタグ用基板、電子ペーパー用基板、フレキシブルディスプレイ用基板等の用途に供し得る。特に、スマートフォンやタブレットPC等のタッチパネル用の電極フィルムとして好適である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[銅薄膜付基材用アンダーコート剤]
本発明の銅薄膜付基材用アンダーコート剤(以下、単にアンダーコート剤という)は、水酸基含有(メタ)アクリレート(a1)及びポリイソシアネート(a2)を含むモノマー成分の反応物であるポリウレタン(メタ)アクリレート(A)(以下、(A)成分という)、エポキシ基含有ビニル化合物を含むモノマー成分の重合体(b1)と、α,β-不飽和カルボン酸(b2)との反応物(B)(以下、(B)成分という)、分子内に2個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート(C)(以下、(C)成分という)、及び金属酸化物微粒子(D)(以下、(D)成分という)を含むものである。
【0025】
本明細書において、「(メタ)アクリル」は「アクリル及びメタクリルからなる群より選択される少なくとも1つ」を意味する。同様に、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート及びメタクリレ-トからなる群より選択される少なくとも1つ」を意味し、「(メタ)アクリロイル基」は「アクリロイル基及びメタクリロイル基からなる群より選択される少なくとも1つ」を意味する。
【0026】
<ポリウレタン(メタ)アクリレート(A)>
(A)成分は、水酸基含有(メタ)アクリレート(a1)(以下、(a1)成分という。)及びポリイソシアネート(a2)(以下、(a2)成分という。)を含むモノマー成分(以下、単にモノマー成分ともいう。)の反応物であれば、特に限定されない。(A)成分は、1種を単独で、又は2種以上を併用できる。
【0027】
(水酸基含有(メタ)アクリレート(a1))
(a1)成分は、分子内に少なくとも1個の水酸基と、少なくとも1個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物であれば、各種公知のものを特に制限なく使用できる。(a1)成分は、1種を単独で、又は2種以上を併用できる。
【0028】
(a1)成分は、例えば、水酸基含有モノ(メタ)アクリレート、水酸基含有グリセリン(メタ)アクリレート、水酸基含有ポリグリセリンポリ(メタ)アクリレート、水酸基含有ペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、水酸基含有ポリペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、水酸基含有トリメチロールプロパンポリ(メタ)アクリレート、水酸基含有ポリトリメチロールプロパンポリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0029】
上記水酸基含有モノ(メタ)アクリレートは、例えば、水酸基含有直鎖アルキル(メタ)アクリレート、水酸基含有直鎖アルキル(メタ)アクリレートカプロラクトン付加物、水酸基含有分岐アルキル(メタ)アクリレート、水酸基含有分岐アルキル(メタ)アクリレートカプロラクトン付加物、水酸基含有シクロアルキル(メタ)アクリレート、水酸基含有シクロアルキル(メタ)アクリレートカプロラクトン付加物、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートカプロラクトン付加物等が挙げられる。
【0030】
上記水酸基含有直鎖アルキル(メタ)アクリレートは、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0031】
上記水酸基含有直鎖アルキル(メタ)アクリレートカプロラクトン付加物は、例えば、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートカプロラクトン付加物、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートカプロラクトン付加物、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートカプロラクトン付加物等が挙げられる。
【0032】
上記水酸基含有分岐アルキル(メタ)アクリレートは、例えば、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0033】
上記水酸基含有分岐アルキル(メタ)アクリレートカプロラクトン付加物は、例えば、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートカプロラクトン付加物、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートカプロラクトン付加物、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートカプロラクトン付加物等が挙げられる。
【0034】
上記水酸基含有シクロアルキル(メタ)アクリレートは、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシシクロヘキシル等が挙げられる。
【0035】
上記水酸基含有シクロアルキル(メタ)アクリレートカプロラクトン付加物は、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシシクロヘキシルカプロラクトン付加物等が挙げられる。
【0036】
上記ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートカプロラクトン付加物は、例えば、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートカプロラクトン付加物、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートカプロラクトン付加物等が挙げられる。
【0037】
上記水酸基含有グリセリン(メタ)アクリレートは、例えば、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性グリセリンモノ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性グリセリンモノ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性グリセリンジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性グリセリンジ(メタ)アクリレート、並びに、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート及びグリセリントリ(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも2種からなる混合物等が挙げられる。
【0038】
上記水酸基含有ポリグリセリンポリ(メタ)アクリレートは、例えば、ジグリセリンジ(メタ)アクリレート、ジグリセリントリ(メタ)アクリレート、トリグリセリンジ(メタ)アクリレート、トリグリセリントリ(メタ)アクリレート、トリグリセリンテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0039】
上記水酸基含有ペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレートは、例えば、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、並びに、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート及びペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも2種からなる混合物等が挙げられる。
【0040】
上記水酸基含有ポリペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレートは、例えば、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、並びに、これら(メタ)アクリレートより選択される少なくとも2種からなる混合物等が挙げられる。
【0041】
上記水酸基含有トリメチロールプロパンポリ(メタ)アクリレートは、例えば、トリメチロールプロパンジ(メタ) アクリレート等が挙げられる。
【0042】
上記水酸基含有トリメチロールプロパンポリ(メタ)アクリレートは、例えば、トリメチロールプロパンジ(メタ) アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0043】
(a1)成分は、得られる硬化膜の銅薄膜密着性が優れる点から、分子内に1~5個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物であるのが好ましく、同様の点から、分子内に1~3個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物であるのがより好ましく、同様の点から、分子内に1個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物であるのが特に好ましい。
【0044】
(a1)成分は、得られる硬化膜の銅薄膜密着性が優れる点から、上記水酸基含有モノ(メタ)アクリレートが好ましく、同様の点から、上記水酸基含有直鎖アルキル(メタ)アクリレートがより好ましい。上記水酸基含有直鎖アルキル(メタ)アクリレートとしては、同様の点から、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0045】
上記モノマー成分における(a1)成分の含有量は、特に限定されないが、硬化膜の硬度、耐摩耗性のバランスに優れる点から、固形分換算で、上記モノマー成分100質量%に対して20~80質量%程度が好ましく、30~70質量%程度がより好ましい。
【0046】
(ポリイソシアネート(a2))
(a2)成分は、分子内に少なくとも2個のイソシアネート基を有する化合物であれば、各種公知のものを特に制限なく使用できる。上記ポリイソシアネートは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0047】
(a2)成分は、例えば、直鎖脂肪族ジイソシアネート、分岐脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、これらジイソシアネートのビウレット体、イソシアヌレート体、アロファネート体、アダクト体、並びに、ビウレット体、イソシアヌレート体、アロファネート体及びアダクト体からなる群より選択される2種以上が反応して得られる複合体等が挙げられる。
【0048】
上記直鎖脂肪族ジイソシアネートは、例えば、メチレンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘプタメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0049】
上記分岐脂肪族ジイソシアネートは、例えば、ジエチルペンチレンジイソシアネート、トリメチルブチレンジイソシアネート、トリメチルペンチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0050】
上記脂環式ジイソシアネートは、例えば、水添キシレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、シクロヘプチレンジイソシアネート、シクロデシレンジイソシアネート、トリシクロデシレンジイソシアネート、アダマンタンジイソシアネート、ノールボルネンジイソシアネート、ビシクロデシレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0051】
上記芳香族ジイソシアネートは、例えば、4,4’-ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート等のジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルテトラメチルメタンジイソシアネート等のテトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジベンジルイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、m-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0052】
上記ジイソシアネートの上記ビウレット体は、
下記構造式:
【化1】
[式中、n
bは、1以上の整数であり、R
bA~R
bEはそれぞれ独立に、直鎖脂肪族ジイソシアネート残基、分岐脂肪族ジイソシアネート残基、脂環式ジイソシアネート残基及び芳香族ジイソシアネート残基のいずれかであり、R
bα~R
bβはそれぞれ独立に、イソシアネート基又は
【化2】
(n
b1は、0以上の整数であり、R
b1~R
b5はR
bA~R
bEと同様であり、R
b’~R
b'' はそれぞれ独立に、イソシアネート基又はR
bα~R
bβ自身の基である。R
b4~R
b5、R
b''は、各構成単位ごとに基が異なっていてもよい。)である。R
bD~R
bE、R
bβは、各構成単位ごとに基が異なっていてもよい。]で表される化合物等が挙げられる。
【0053】
上記ジイソシアネートの上記ビウレット体は、具体的には、デュラネート24A-100、デュラネート22A-75P、デュラネート21S-75E(以上、旭化成(株)製)、デスモジュールN3200A(ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体)(以上、住友バイエルウレタン(株)製)等が挙げられる。
【0054】
上記ジイソシアネートの上記イソシアヌレート体は、
下記構造式:
【化3】
[式中、n
iは、0以上の整数であり、R
iA~R
iEはそれぞれ独立に、直鎖脂肪族ジイソシアネート残基、分岐脂肪族ジイソシアネート残基、脂環式ジイソシアネート残基及び芳香族ジイソシアネート残基のいずれかであり、R
iα~R
iβはそれぞれ独立に、イソシアネート基又は
【化4】
(n
i1は、0以上の整数であり、R
i1~R
i5はR
iA~R
iEと同様であり、R
i’~R
i'' はそれぞれ独立に、イソシアネート基又はR
iα~R
iβ自身の基である。R
i5、R
i''は、各構成単位ごとに基が異なっていてもよい。)である。R
iD~R
iE、R
iβは、各構成単位ごとに基が異なっていてもよい。]で表される化合物等が挙げられる。
【0055】
上記ジイソシアネートの上記イソシアヌレート体は、具体的には、デュラネートTPA-100、デュラネートTKA-100、デュラネートMFA-75B、デュラネートMHG-80B(以上、旭化成(株)製)、コロネートHXR、コロネートHX(以上、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体)(以上、東ソー(株)製)、タケネートD-127N(水添キシリレンジイソシアネートのイソシアヌレート体)(以上、三井化学(株)製)、VESTANAT T1890/100(イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート体)(以上、エボニック・ジャパン(株)製)等が挙げられる。
【0056】
上記ジイソシアネートの上記アロファネート体は、
下記構造式:
【化5】
[式中、n
aは、0以上の整数であり、R
aAは、アルキル基、アリ-ル基、ポリエーテル基、ポリエステル基又はポリカーボネート基であり、R
aB~R
aGは、それぞれ独立に、直鎖脂肪族ジイソシアネート残基、分岐脂肪族ジイソシアネート残基、脂環式ジイソシアネート残基及び芳香族ジイソシアネート残基のいずれかであり、R
aα~R
aγはそれぞれ独立に、イソシアネート基又は
【化6】
(n
a1は、0以上の整数であり、R
a1~R
a6はR
aB~R
aGと同様であり、R
a’~R
a''' はそれぞれ独立に、イソシアネート基又はR
aα~R
aγ自身の基である。R
a1~R
a4、R
a’~R
a'''は、各構成単位ごとに基が異なっていてもよい。)である。R
aB~R
aE、R
aα~R
aγは、各構成単位ごとに基が異なっていてもよい。]で表される化合物等が挙げられる。
【0057】
上記ジイソシアネートの上記アロファネート体は、具体的には、コロネート2793(東ソー(株)製)、タケネートD-178N(三井化学(株)製)等が挙げられる。
【0058】
上記ジイソシアネートの上記アダクト体は、
下記構造式:
【化7】
[式中、n
adは0以上の整数であり、R
adA~R
adEは、それぞれ独立に、直鎖脂肪族ジイソシアネート残基、分岐脂肪族ジイソシアネート残基、脂環式ジイソシアネート残基及び芳香族ジイソシアネート残基のいずれかであり、R
ad1~R
ad2は、それぞれ独立に
【化8】
(式中、n
ad’は0以上の整数であり、R
ad’~R
ad’’はR
adA~R
adEと同様であり、R
ad’’’は、R
ad1~R
ad2自身の基であり、R
ad’~R
ad’’’は、各構成単位ごとに基が異なっていてもよい。)
であり、R
adD~R
adE、R
ad2は、各構成単位ごとに基が異なっていてもよい。]
で示されるトリメチロールプロパンとジイソシアネートのアダクト体、
下記構造式
【化9】
[式中、n
ad1は0以上の整数であり、R
adα~R
adεは、それぞれ独立に、直鎖脂肪族ジイソシアネート残基、分岐脂肪族ジイソシアネート残基、脂環式ジイソシアネート残基及び芳香族ジイソシアネート残基のいずれかであり、R
adA~R
adBは、それぞれ独立に
【化10】
(式中、n
ad1’は0以上の整数であり、R
adδ’~R
adε’はR
adα~R
adεと同様であり、R
adB’は、R
adA~R
adB自身の基であり、R
adδ’~R
adε’、R
adB’は、各構成単位ごとに基が異なっていてもよい。)
R
adδ~R
adεは、各構成単位ごとに基が異なっていてもよい。]
で示されるグリセリンとジイソシアネートのアダクト体等が挙げられる。
【0059】
上記ジイソシアネートの上記アダクト体は、具体的には、デュラネートP301-75E(以上、旭化成(株)製)、タケネートD-110N、タケネートD-160N(以上、三井化学(株)製)、コロネートL、コロネートHL(以上、東ソー(株)製)等が挙げられる。
【0060】
なお、上記の各式中、「直鎖脂肪族ジイソシアネート残基、分岐脂肪族ジイソシアネート残基、脂環式ジイソシアネート残基及び芳香族ジイソシアネート残基」とは、上記直鎖脂肪族ジイソシアネート、上記分岐脂肪族ジイソシアネート、上記脂環式ジイソシアネート及び上記芳香族ジイソシアネートからイソシアネート基を除いた残りの基を意味する。
【0061】
(a2)成分は、硬化膜の銅薄膜密着性及び耐摩耗性のバランスに優れる点から、上記直鎖脂肪族ジイソシアネートのビウレット体、アロファネート体、イソシアヌレート体及びアダクト体からなる群より選ばれる少なくとも1種であるのが好ましい。(a2)成分は、同様の点から、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体、アロファネート体、イソシアヌレート体及びアダクト体からなる群より選ばれる少なくとも1種であるのがより好ましい。
【0062】
(a2)成分のイソシアネート基含有率(NCO%)は、特に限定されないが、硬化膜の硬度、耐摩耗性のバランスに優れる点から、10~30%程度が好ましい。
【0063】
上記モノマー成分における(a2)成分の含有量は、特に限定されないが、硬化膜の硬度、耐摩耗性のバランスに優れる点から、固形分換算で、上記モノマー成分100質量%に対して20~80質量%程度が好ましく、30~70質量%程度がより好ましい。
【0064】
(ポリオール(a3))
上記モノマー成分には、(a1)成分、(a2)成分以外に、ポリオール(a3)(以下、(a3)成分という)を含み得る。
【0065】
(a3)成分は、分子内に少なくとも2個の水酸基を有する化合物であれば、各種公知のものを特に制限なく使用できる。(a3)成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0066】
(a3)成分は、例えば、脂肪族ポリオール、脂環族ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、ポリブタジエン系ポリオール、(メタ)アクリル系ポリオール等が挙げられる。
【0067】
上記脂肪族ポリオールは、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、ジメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール、2、2-ジエチル-1,3-プロパンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、1,4-テトラメチレンジオール、1,3-テトラメチレンジオール、2-メチル-1,3-トリメチレンジオール、1,5-ペンタメチレンジオール、1,6-ヘキサメチレンジオール、3-メチル-1,5-ペンタメチレンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタメチレンジオール、ペンタエリスリトールジアクリレート、1,9-ノナンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール等の2個の水酸基を含有する脂肪族アルコール類、キシリトールやソルビトール等の糖アルコール類、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン等の3個以上の水酸基を含有する脂肪族アルコール類等が挙げられる
【0068】
上記脂環族ポリオールは、例えば、1,4-シクロヘキサンジオール、シクロヘキシルジメタノール等のシクロヘキサンジオール類、水添ビスフェノールA等の水添ビスフェノール類、トリシクロデカンジメタノール等が挙げられる。
【0069】
上記ポリエーテル系ポリオールは、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリペンタメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール等のポリアルキレングリコールや、これらポリアルキレングリコールのランダム或いはブロック共重合体等が挙げられる。
【0070】
上記ポリエステル系ポリオールは、例えば、多価アルコールと多価カルボン酸又はその無水物との縮合重合物;環状エステル(ラクトン)の開環重合物;多価アルコール、多価カルボン酸又はその無水物、及び環状エステルの3種類の成分による反応物などが挙げられる。
【0071】
上記多価アルコールは、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4-テトラメチレンジオール、1,3-テトラメチレンジオール、2-メチル-1,3-トリメチレンジオール、1,5-ペンタメチレンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサメチレンジオール、3-メチル-1,5-ペンタメチレンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタメチレンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、シクロヘキサンジオール類(1,4-シクロヘキサンジオールなど)、ビスフェノール類(ビスフェノールAなど)、糖アルコール類(キシリトールやソルビトールなど)などが挙げられる。
【0072】
上記多価カルボン酸又はその無水物は、例えば、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸等の脂肪族ジカルボン酸;1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、オールトフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、パラフェニレンジカルボン酸、トリメリット酸等の芳香族ジカルボン酸、又はその無水物等が挙げられる。
【0073】
上記環状エステルとしては、例えば、プロピオラクトン、β-メチル-δ-バレロラクトン、ε-カプロラクトンなどが挙げられる。
【0074】
上記ポリカーボネート系ポリオールは、例えば、多価アルコールとホスゲンとの反応物;環状炭酸エステル(アルキレンカーボネートなど)の開環重合物などが挙げられる。
【0075】
上記多価アルコールは、例えば、上記ポリエステル系ポリオールに例示された多価アルコール等が挙げられ、上記アルキレンカーボネートは、例えば、エチレンカーボネート、トリメチレンカーボネート、テトラメチレンカーボネート、ヘキサメチレンカーボネートなどが挙げられる。
【0076】
なお、上記ポリカーボネートポリオールは、分子内にカーボネート結合を有し、末端がヒドロキシル基である化合物であればよく、カーボネート結合とともにエステル結合を有していてもよい。
【0077】
上記ポリオレフィン系ポリオールは、例えば、飽和炭化水素骨格としてエチレン、プロピレン、ブテン等のホモポリマーまたはコポリマーを有し、その分子末端に水酸基を有するものが挙げられる。
【0078】
上記ポリブタジエン系ポリオールは、例えば、炭化水素骨格としてブタジエンの共重合体を有し、その分子末端に水酸基を有するものが挙げられる。ポリブタジエン系ポリオールは、その構造中に含まれるエチレン性不飽和基の全部または一部が水素化された水添化ポリブタジエンポリオールであってもよい。
【0079】
上記(メタ)アクリル系ポリオールは、例えば、(メタ)アクリル酸エステルの重合体又は共重合体の分子内にヒドロキシル基を少なくとも2つ有しているものが挙げられる。上記(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。
【0080】
上記モノマー成分における(a3)成分の含有量は、特に限定されないが、硬化膜の硬度、耐摩耗性のバランスに優れる点から、固形分換算で、上記モノマー成分100質量%に対して0~70質量%程度が好ましく、0~50質量%程度がより好ましい。
【0081】
<ポリウレタン(メタ)アクリレート(A)の物性及び製造方法>
(A)成分の物性は、特に限定されない。(A)成分の重量平均分子量(Mw)は、硬化性の点から、1,000~10,000程度がより好ましい。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法におけるポリスチレン換算値をいうが、その測定方法は特に限定されず、各種公知の手段を採用でき、市販の測定器(例えば、製品名「HLC-8220」、東ソー(株)製)も利用できる。以下、同様である。
【0082】
(A)成分の(メタ)アクリロイル基当量は、200~2,000g/eqが好ましい。その範囲であれば、硬化膜(アンダーコート層)の形成時におけるフィルムのカールをより抑制できる。なお、本明細書において、(メタ)アクリロイル基当量は、(メタ)アクリロイル基1つあたりの分子量で示され、「分子量/1分子当たりの(メタ)アクリロイル基数」で算出することができる。以下、同様である。
【0083】
(A)成分の製造方法は、(a1)成分及び(a2)成分必要に応じて(a3)成分を反応させる方法であれば特に限定はされず、各種公知の製造方法が例示される。具体的には、例えば、(a1)成分、(a2)成分及び必要に応じて(a3)成分を、触媒存在下で、適切な反応温度(例えば60~90℃等)で反応させる方法等が挙げられる。また、(a1)成分、(a2)成分及び(a3)成分を反応させる順序は特に限定されず、それぞれを任意で混合させて反応させる方法、全成分を一括で混合させて反応させる方法等が挙げられる。
【0084】
上記触媒は、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート等の有機錫触媒、オクチル酸錫などの有機酸錫、チタンエチルアセトアセテート等の有機チタン触媒、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート等の有機ジルコニウム触媒、鉄アセチルアセトネート等の有機鉄触媒等が挙げられる。上記触媒は1種を単独で、又は2種以上を併用してもよい。
【0085】
(A)成分において、(a2)成分に含まれるイソシアネート基と、(a1)成分に含まれる水酸基とのモル比(NCO/OH)は、特に限定されないが、硬化膜の硬度、耐摩耗性のバランスに優れる点から、1.0~6.0程度が好ましく、1.0~3.0程度がより好ましい。
【0086】
(A)成分において、(a2)成分に含まれるイソシアネート基と、(a1)成分及び(a3)成分に含まれる水酸基とのモル比(NCO/OH)は、特に限定されないが、硬化膜の硬度、耐摩耗性のバランスに優れる点から、1.0~6.0程度が好ましく、1.0~3.0程度がより好ましい。
【0087】
<エポキシ基含有ビニル化合物を含むモノマー成分の重合体と、α,β-不飽和カルボン酸との反応物(B)>
(B)成分は、エポキシ基含有ビニル化合物を含むモノマー成分(以下、単にモノマー成分ともいう。)の重合体(b1)(以下、(b1)成分という。)と、α,β-不飽和カルボン酸(b2)(以下、(b2)成分という。)との反応物であれば、特に限定されない。(B)成分は、1種を単独で、又は2種以上を併用できる。
【0088】
(エポキシ基含有ビニル化合物を含むモノマー成分の重合体(b1))
(b1)成分は、エポキシ基含有ビニル化合物を含むモノマー成分の重合体であれば、特に限定されない。(b1)成分は、1種を単独で、又は2種以上を併用できる。
【0089】
上記エポキシ基含有ビニル化合物は、分子内に少なくとも1個のエポキシ基と1個のビニル基を有する化合物であれば、各種公知のものを特に制限なく使用できる。上記エポキシ基含有ビニル化合物は、1種を単独で、又は2種以上を併用できる。
【0090】
上記エポキシ基含有ビニル化合物は、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、β-メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3、4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、ビニルシクロヘキセンモノオキサイド(すなわち、1,2-エポキシ-4-ビニルシクロヘキサン)、4‐ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル等が挙げられる。上記エポキシ基含有ビニル化合物は、硬化膜の耐摩耗性に優れる点から、グリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0091】
上記モノマー成分は、上記エポキシ基含有ビニル化合物の他に、分子内にビニル基を1つ有する化合物を含み得る。該化合物は、各種公知のものを特に制限なく使用でき、1種を単独で、又は2種以上を併用できる。
【0092】
上記分子内にビニル基を1つ有する化合物は、例えば、直鎖脂肪族アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類、分岐脂肪族アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類、環状脂肪族アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類、窒素含有(メタ)アクリル酸エステル類、芳香族ビニル化合物、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル等が挙げられる。
【0093】
上記直鎖脂肪族アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類は、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。
【0094】
上記分岐脂肪族アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類は、例えば、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソステアリル等が挙げられる。
【0095】
上記環状脂肪族アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類は、例えば、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸t-ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル等が挙げられる。
【0096】
上記窒素含有(メタ)アクリル酸エステル類は、例えば、(メタ)アクリロリルモルフォリン、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド、イソプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0097】
上記芳香族ビニル化合物は、例えば、スチレン、α―メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン等が挙げられる。
【0098】
上記分子内にビニル基を1つ有する化合物は、硬化膜の耐摩耗性に優れる点から、(メタ)アクリル酸メチルが好ましい。
【0099】
上記モノマー成分において、上記エポキシ基含有ビニル化合物と分子内にビニル基を1つ有する化合物との含有比率は、特に限定されないが、通常、質量比で10/0~2/8であり、硬化膜の耐摩耗性を考慮すると、好ましくは10/0~5/5である。
【0100】
上記モノマー成分における上記エポキシ基含有ビニル化合物の含有量は、特に限定されないが、上記モノマー成分100質量%に対して、50~100質量%であるのが好ましい。
【0101】
上記モノマー成分における上記分子内にビニル基を1つ有する化合物の含有量は、特に限定されないが、上記モノマー成分100質量%に対して、0~50質量%であるのが好ましい。
【0102】
(エポキシ基含有ビニル化合物を含むモノマー成分の重合体(b1)の物性及び製造方法)
(b1)成分の物性は、特に限定されない。(b1)成分の重量平均分子量(Mw)は、5,000~50,000程度が好ましい。(b1)成分のエポキシ基当量は、硬化膜の耐摩耗性の点で、100~300g/eqが好ましい。なお、本明細書において、エポキシ基当量は、エポキシ基1つあたりの分子量で示され、「分子量/1分子当たりのエポキシ基数」で算出することができる。以下、同様である。
【0103】
(b1)成分の製造方法は、例えば、公知のラジカル重合法が挙げられる。(b1)成分の製造方法としては、ラジカル重合開始剤及び必要に応じて連鎖移動剤の存在下、上記エポキシ基含有ビニル化合物、及び必要に応じて分子内にビニル基を1つ有する化合物を加熱して、ラジカル重合させる方法が例示される。また、反応溶媒として有機溶剤を使用できる。
【0104】
上記ラジカル重合開始剤は、特に限定されず、各種公知のものを使用することができる。例えば、無機過酸化物、有機過酸化物、アゾ化合物等が挙げられる。無機過酸化物は、例えば、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等が挙げられる。有機過酸化物は、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド等が挙げられる。アゾ化合物は、例えば、2,2‘‐アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル‐2、2’‐アゾビスブチレート等が挙げられる。
【0105】
上記ラジカル重合開始剤の使用量は特に限定されず、上記モノマー成分の合計100質量部に対して、通常0.01~8質量部である。
【0106】
上記連鎖移動剤は、各種公知のものを特に制限なく使用できる。1種を単独で、又は2種以上を併用できる。連鎖移動剤は、例えば、ラウリルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、2-メルカプトベンゾチアゾール、ブロムトリクロルメタン等が挙げられる。
【0107】
上記連鎖移動剤の使用量は特に限定されず、上記モノマー成分の合計100質量部に対して、通常0.01~5質量部である。
【0108】
(α,β-不飽和カルボン酸(b2))
(b2)成分は、α,β-不飽和カルボン酸であれば、各種公知のものを特に限定なく使用することができる。(b2)成分は、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、ムコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水ムコン酸等が挙げられる。(b2)成分は、1種を単独で、又は2種以上を併用できる。(b2)成分は、アンダーコート剤の活性エネルギー線硬化性に優れる点から、アクリル酸が好ましい。
【0109】
<エポキシ基含有ビニル化合物を含むモノマー成分の重合体と、α,β-不飽和カルボン酸との反応物(B)の物性及び製造方法>
(B)成分の物性は、特に限定されない。(B)成分の重量平均分子量(Mw)は、5,000~50,000が好ましい。その範囲であれば、硬化膜(アンダーコート層)の形成時におけるフィルムのカールをより抑制でき、アンダーコート剤の安定性もより優れたものとなる。
【0110】
(B)成分の(メタ)アクリロイル基当量は、200~400g/eqが好ましい。その範囲であれば、硬化膜の耐摩耗性がより優れたものとなる。
【0111】
(B)成分の水酸基価(JIS K0070。以下、水酸基価というときは同様)は、硬化膜の硬化性の点から、100~300mgKOH/gが好ましい。
【0112】
(B)成分の製造方法は、(b1)成分と(b2)成分を付加反応(エポキシ開環反応)させる方法であれば、公知の反応条件を採用することができる。具体的には、例えば、必要に応じて触媒の存在下、(b1)成分と(b2)成分を加熱させる方法等が挙げられる。
【0113】
上記触媒は、例えば、トリフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン等のホスフィン類;テトラメチルアンモニウムクロライド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド等の4級アンモニウム塩、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ベンジルメチルアミン、トリブチルアミン等のアミン類;2-メチルイミダゾール等のイミダゾール類;ジブチル錫ラウレート等のラウリン酸エステル類等が挙げられる。上記触媒は1種を単独で、又は2種以上を併用してもよい。上記触媒の使用量は、特に限定されないが、(b1)成分及び(b2)成分の合計量100質量部に対して、通常、0.01~5質量部とすることが好ましい。
【0114】
また、上記付加反応の際、必要に応じて重合禁止剤を用いてもよい。重合禁止剤は、例えば、メトキノン、ハイドロキノン、トリメチルハイドロキノン、N-ニトロソフェニルヒドロキシルアミン等が挙げられる。なお、重合禁止剤の使用量は特に限定されないが、得られるアンダーコート剤の硬化性が悪化する場合があるため、(b1)成分及び(b2)成分の合計量100質量部に対して、通常、1質量部以下にすることが好ましい。また、重合を防止するために、反応系に空気を吹き込む等してもよい。
【0115】
(B)成分における(b1)成分の使用量は、特に限定されないが、硬化膜の耐摩耗性の点から、(B)成分100質量%に対して、60~80質量%であるのが好ましい。
【0116】
(B)成分における(b2)成分の使用量は、特に限定されないが、硬化膜の耐摩耗性の点から、(B)成分100質量%に対して、20~40質量%であるのが好ましい。
【0117】
(B)成分における(b2)成分の使用量は、特に限定されないが、活性エネルギー線照射後に(b2)成分を残存させない、及びゲル化を抑制する観点から、(b1)成分に含まれるエポキシ基のモル数と同モル程度とすることが好ましい。
【0118】
<分子内に2個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート(C)>
(C)成分は、分子内に2個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートであれば、特に限定されず、各種公知のものを用いることができる。(C)成分は、1種を単独で、又は2種以上を併用してもよい。
【0119】
(C)成分は、例えば、アルキレンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、環構造含有ジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0120】
上記アルキレンジオールジ(メタ)アクリレートは、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,7-ヘプタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0121】
上記1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートの市販品は、HDDA(ダイセル・オールネクス(株)製)、ビスコート#230(大阪有機化学工業(株)製)等が例示される。上記1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレートの市販品は、ビスコート#260(大阪有機化学工業(株)),NKエステルA-NOD-N(新中村化学工業(株)製)等が例示される。上記ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートの市販品は、ライトアクリレートNP-A(共栄社化学(株)製)等が例示される。
【0122】
上記ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートは、例えば、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイドのブロック又はランダム共重合の少なくとも1種の構造を有するポリエーテルポリオールのジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートは、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートは、例えば、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0123】
上記ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレートの市販品は、ファンクリルFA-222A(日立化成(株)製)等が例示される。トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートの市販品は、SR272(ARKEMA社製)、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレートの市販品は、SR268(ARKEMA社製)等が例示される。上記ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートの市販品は、DPGDA(ダイセル・オールネクス(株)製)等が例示される。上記トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートの市販品は、TPGDA(ダイセル・オールネクス(株)製)、ビスコート#310HP(大阪有機化学工業(株)製)等が例示される。上記テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレートの市販品は、例えば、NKエステルA-200(新中村化学工業(株)製)、アロニックスM-240(東亞合成(株)製)等が例示される。
【0124】
上記環構造含有ジ(メタ)アクリレートは、例えば、1,4-シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキシルジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビス(2-(メタ)アクリロキシエチル)-ヒドロキシエチル-イソシアヌレート、ジシクロペンタジエンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0125】
上記ジシクロペンタジエンジ(メタ)アクリレートの市販品は、ライトアクリレートDCP-A(共栄社化学(株)製)等が例示される。エチレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレートの市販品は、ビームセット750(荒川化学工業(株)製)、アロニックスM-211B(東亞合成(株)製)等が例示される。
【0126】
(C)成分は、硬化膜の銅薄膜密着性が優れる点から、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートが好ましく、同様の点から、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートがより好ましく、同様の点から、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0127】
<金属酸化物微粒子(D)>
(D)成分は、金属酸化物微粒子であれば、特に限定されず、各種公知のものを用いることができる。(D)成分は、1種を単独で、又は2種以上を併用してもよい。
【0128】
(D)成分は、例えば、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化アンチモン、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛、ITO(インジウム錫オキサイド)、ATO(アンチモン錫オキサイド)、酸化カルシウム、酸化マグネシウム等が挙げられる。なお、(D)成分は、さらにアルミニウム、リン、フッ素等でドープされたものを使用しても良い。
【0129】
(D)成分は、硬化膜の耐ブロッキング性及び銅薄膜密着性に優れる点から、シリカが好ましい。シリカは、例えば、湿式法で製造されるシリカゾルや、乾式法で製造されるフュームドシリカ等が挙げられる。シリカは、アンダーコート剤の保存安定性に優れる点から、シリカゾルが好ましい。
【0130】
上記シリカゾルは、具体的には水を分散媒とした水性コロイド、または有機溶剤を分散媒としてコロイド状に分散させたオルガノゾルの形態であるもの(例えば、オルガノシリカゾル)等が挙げられる。
【0131】
上記シリカゾルは、シリカの微粒子が水又は有機溶剤を分散媒として、均一に分散されており、かつ経時で沈降せず、安定した分散状態を維持されているコロイド溶液となっている。シリカゾルは、例えば、特開平11-43319号公報に記載された方法により調整することができる。
【0132】
上記シリカゾルにおける分散媒は、特に限定されないが、好ましいものは、水、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系分散媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル系分散媒、メタノール、エタノール、イソプロプルアルコール等のアルコール系分散媒である。上記分散媒は、1種を単独で、又は2種以上を併用してもよい。
【0133】
上記シリカゾルの平均粒子径は、特に限定はされないが、5~100nmが好ましく、30~60nmとするのがより好ましい。シリカゾルの平均粒子径がこの範囲であれば、入手が容易となり、また、シリカゾル自体の安定性が高くなって透明性に優れたアンダーコート層が得られる傾向にある。なお、当該平均粒子径は、BET法によって計測された平均粒子径である。
【0134】
前記シリカゾルの市販品としては、例えば、メタノールシリカゾル、MA-ST-M、MA-ST-L、IPA-ST、IPA-ST-ZL、IPA-ST-UP、MEK-ST-40、MEK-ST-L、MEK-ST-ZL、MEK-ST-UP(以上、日産化学(株)製)、クォートロンPL-1-IPA、PL-2L-MEK(以上、扶桑化学工業(株)製)等が挙げられる。
【0135】
上記シリカゾルは、シランカップリング剤等で表面処理されたシリカであってもよい。シランカップリング剤の使用量は特に限定されないが、アンダーコート剤における粘着性を抑制できる点から、上記シリカゾル100質量部に対して、固形分換算で、30質量部以下であることが好ましい。
【0136】
上記フュームドシリカは、乾式法で作製された非晶質のシリカであり、ケイ素を含む揮発性化合物を気相で反応させることにより得ることができる。具体的には、例えば、四塩化ケイ素(SiCl4)等のケイ素化合物を酸素と水素の炎中で加水分解して生成されたもの等が挙げられる。
【0137】
上記アンダーコート剤における(A)~(D)成分の含有量は特に限定されない。(A)~(D)成分の含有量は、硬化膜の銅薄膜密着性、耐ブロッキング性、耐摩耗性及び柔軟性のバランスに優れる点から、(A)~(D)成分の総量100質量部に対して、固形分換算で、(A)成分:30~60質量部、(B)成分:5~20質量部、(C)成分:10~40質量部、(D)成分:10~30質量部であることが好ましく、同様の点から、(A)成分:30~50質量部、(B)成分:5~15質量部、(C)成分:10~35質量部、(D)成分:15~25質量部であることがより好ましい。
【0138】
(光重合開始剤)
上記アンダーコート剤は、光重合開始剤を含み得る。光重合開始剤は1種を単独で、又は2種以上を併用してもよい。光重合開始剤は、例えば、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニルケトン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-シクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキサイド、4-メチルベンゾフェノン等が挙げられる。なお、光重合開始剤は、紫外線硬化を行なう場合に使用されるが、電子線硬化をする場合には、必ずしも必要ではない。
【0139】
上記アンダーコート剤における光重合開始剤の含有量は、特に制限されない。光重合開始剤の含有量は、(メタ)アクリロイル基の反応進行の観点から、固形分換算で、アンダーコート剤組成物100質量部に対して、0.5~15質量部程度が好ましい。
【0140】
(溶剤)
上記アンダーコート剤は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、溶剤を用いることも出来る。溶剤は、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、エタノール、n-プロピルアルコ-ル、イソプロピルアルコ-ル、n-ブタノール、イソブチルアルコ-ル、tert-ブチルアルコ-ル、ジアセトンアルコ-ル、アセトン、アセチルアセトン、トルエン、キシレン、n-ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n-ヘプタン、イソプロピルエーテル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、1,4-ジオキサン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテ-ト、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテ-ト等が挙げられる。上記溶剤は1種を単独で、又は2種以上を併用してもよい。
【0141】
上記アンダーコート剤における溶剤の含有量は、特に限定されない。溶剤の含有量は、塗工性の観点から、上記アンダーコート剤100質量部に対し、0~200質量部程度含むことが好ましい。また、溶剤の含有量は、塗工性の観点から、上記アンダーコート剤の固形分濃度が5~50質量%程度となる範囲で含有することが好ましい。
【0142】
(添加剤)
上記アンダーコート剤には、本発明の効果を損なわない限りにおいて、光重合開始剤及び溶剤でもない剤を添加剤として含み得る。添加剤は1種を単独で、又は2種以上を併用してもよい。添加剤は、例えば、バインダー、硬化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光増感剤、光安定剤、帯電防止剤、消泡剤、表面調整剤、防汚染剤、防腐剤、防錆剤、pH調整剤、滑剤、レベリング剤、ブロッキング防止剤、導電剤、顔料、染料、(D)成分以外の金属酸化物微粒子分散体、有機微粒子分散体等が挙げられる。
【0143】
上記アンダーコート剤における上記添加剤の含有量は、特に限定されない。添加剤の含有量は、上記アンダーコート剤100質量部に対し、0~50質量部程度含むことが好ましい。
【0144】
[銅薄膜付基材]
本発明の銅薄膜付基材は、上記アンダーコート剤が硬化してなるアンダーコート層、銅薄膜層及び基材を含む積層体である。
【0145】
上記銅薄膜層としては、例えば、銅蒸着膜、銅スパッタ膜、銅CVD膜等が挙げられる。本発明の銅薄膜付基材を電極フィルムに供する場合には、該銅薄膜としては、特に銅蒸着膜又は銅スパッタ膜が好ましい。また、該銅蒸着膜又は銅スパッタ膜の厚みは特に限定されないが、通常、0.1~2μm程度である。
【0146】
上記基材は特に限定されず、表面に銅薄膜を形成できるものであれば、各種公知のものを使用できる。具体的には、例えば、プラスチック、金属、セルロース材、ガラス等が挙げられる。該プラスチックとしては、例えば、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、トリアセチルセルロース、ABS樹脂、AS樹脂、アクリル系樹脂、脂環式ポリオレフィン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、SBS樹脂、SIS樹脂及びこれらプラスチックの少なくとも2種を含むポリマー混合物(例 ポリマーブレンド、ポリマーアロイ)等が挙げられる。また、上記セルロース材としては、例えば、紙、ナノセルロース紙及び木材等が挙げられる。
【0147】
上記基材の形状は特に限定されない。該形状は、例えば、球状、円柱状、直方体状、板状、フィルム状等が挙げられる。また、基材は表面の一部又は全部が凹凸若しくは曲面であってもよい。本発明の銅薄膜付基材を導電性フィルムとして用いる場合には、上記基材としては、耐熱性や光学特性等の点よりプラスチックフィルムが好ましい。また、該基材フィルムの厚みも特に限定されないが、通常50~200μm程度である。また、アンダーコート層の厚みも特に限定されないが、通常0.1~5μm程度である。
【0148】
上記銅薄膜付基材の製造方法は特に限定されないが、一般的には、上記基材の表面に、上記アンダーコート剤を塗工し、次いで、該基材に活性エネルギー線を照射することにより硬化膜(アンダーコート層)を形成して、最後に、該アンダーコート層の上に銅薄膜層を形成する方法が挙げられる。
【0149】
塗工方法は、例えば、スプレー塗工、ロールコーター塗工、リバースロールコーター塗工バーコーター塗工、ワイヤーバー塗工、メイヤーバー塗工、エアナイフ塗工、グラビア塗工、リバースグラビア塗工、オフセット印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷等が挙げられる。
【0150】
塗工量は特に限定されないが、乾燥後の質量が0.1~30g/m2程度が好ましく、1~20g/m2がより好ましい。また、基材上に形成されるアンダーコート層は、平均膜厚が通常0.05~30μm程度、好ましくは0.1~20μm程度である。
【0151】
上記活性エネルギー線は、例えば、紫外線や電子線が挙げられる。紫外線の光源としては、キセノンランプ、高圧水銀灯、メタルハライドランプを有する紫外線照射装置を使用できる。なお、光量や光源配置、搬送速度等は必要に応じて調整でき、例えば高圧水銀灯を使用する場合には、80~160W/cm程度のランプ出力を有するランプ1灯に対して搬送速度5~50m/分程度で硬化させるのが好ましい。一方、電子線の場合には、10~300kV程度の加速電圧を有する電子線加速装置にて、搬送速度5~50m/分程度で硬化させることが好ましい。
【0152】
上記アンダーコート層に銅薄膜層を形成する手段は特に限定されないが、気相製膜法、液相製膜法(無電解及び電解めっき等)を用いることができ、その中でも気相製膜法(所謂ドライコート法)が好ましい。かかる気相製膜法としては、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、電子ビーム蒸着等の物理的方法や、CVD等の化学的方法が挙げられる。本発明の製造方法で得られる銅薄膜付基材を電極フィルムに供する場合には、真空蒸着、スパッタリングが好ましい。
【0153】
[導電性フィルム]
本発明の導電性フィルムは、上記銅薄膜付基材を用いてなるものである。上記銅薄膜付基材を導電性フィルムとして用いる場合、上記基材としては、耐熱性や光学特性等の点よりプラスチックフィルムが好ましい。
【0154】
[電極フィルム]
本発明の電極フィルムは、本発明の導電性フィルムより得られる電子部品である。特に、本発明の導電性フィルムのうち銅蒸着プラスチックフィルム又は銅スパッタフィルムより得られる電極フィルムは、ITO導電性フィルムを用いた電極フィルムの代替品として有用である。
【0155】
本発明の電極フィルムは、本発明の導電性フィルムのレジストを電極パターン状に塗工し、エッチング液(アルカリ溶液、酸性溶液)で処理した後、該レジストを除去することによって得られる。電極パターンの形状は特に限定されず、細線状、ドット状、メッシュ状、面状等が挙げられる。
【実施例】
【0156】
以下に実施例及び比較例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。各例中、特記しない限り、部及び%は質量基準である。
【0157】
(A)成分及び(B)成分の重量平均分子量は、市販の分子量測定機を利用し、以下の条件で測定した実測値である。
【0158】
分子量測定機:製品名「HLC-8220」、東ソー(株)製
カラム:製品名「TSKGel SuperHZ2000」「TSKGel SuperHZM-M」、東ソー(株)製
展開溶媒:テトラヒドロフラン
流速:0.35mL/min、
試料濃度:0.5g/L
標準物質:ポリスチレン(標準ポリスチレンキット PStQuickA、B、C 東ソー(株)製)
【0159】
<ポリウレタン(メタ)アクリレート(A)の合成>
製造例1
撹拌装置、冷却管を備えた反応容器に、ヘキサメチレンジイソシアネートのアロファネート体(東ソー(株)製 商品名「コロネート2793」)634部、4-ヒドロキシブチルアクリレート(大阪有機化学工業(株)製 商品名「4-HBA」)183部、オクチル酸スズ0.05部、4-メトキシフェノール0.5部を仕込んだ後、約15分かけて、系内の温度を70℃に昇温した。次いで、同温度において、反応系内を1.5時間保温した後、60℃まで冷却した。そして、4-ヒドロキシブチルアクリレート183部、オクチル酸スズ0.05部を仕込んだ後、約15分かけて、系内の温度を75℃に昇温した。次いで、同温度において、反応系を1時間保持した後、4-メトキシフェノール0.5部を仕込んだ後、冷却して、ポリウレタンアクリレート(A1)(以下、(A1)成分とする)を得た。(A1)成分は、重量平均分子量が4,000、(メタ)アクリロイル基当量が294g/eqであった。
【0160】
<エポキシ基含有ビニル化合物を含むモノマー成分の重合体と、α,β-不飽和カルボン酸との反応物(B)>
製造例2
撹拌装置、冷却管、温度計、窒素流入口を備えた反応容器に、メチルイソブチルケトン48.6部、グリシジルメタクリレート(三菱ガス化学(株)製 商品名「GMA」)32.6部、アゾビスイソブチロニトリル(以下、AIBN)1.6部を仕込んで攪拌し、窒素気流化で100℃まで昇温した後、10時間反応させた。反応終了後、60℃まで冷却して、アクリル酸16.6部、トリフェニルホスフィン0.2部、メトキノン0.2部を仕込み、窒素流入口をエアーバブリング装置に取り換えて空気を反応液中にバブリングさせながら攪拌して、110℃まで昇温させ9時間保温反応させることで、固形分50%の反応物(B1)(以下、(B1)成分とする)を得た。(B1)成分は、重量平均分子量が15,000、(メタ)アクリロイル基当量が214g/eqであった。
【0161】
<アンダーコート剤の調製>
実施例1
(A1)成分を40部、(B1)成分を10部及びトリプロピレングリコールジアクリレート(ダイセル・オールネクス(株)製 商品名「TPGDA」 固形分100%)(以下、(C1)成分という。)を30部配合し、平均粒子径40~50nm、MEKを分散媒とするシリカゾル(日産化学(株)製 商品名「MEK-ST-L」 固形分30%)(以下、(D1)成分という。)を20部、及び光重合開始剤として1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニルケトン(IGM Resins B.V社製 商品名「OMNIRAD184」 固形分100%)(以下、(E1)成分とする)を5部配合し、溶剤としてメチルエチルケトン(以下、MEKとする)を用いて希釈することで、固形分40%のアンダーコート剤を得た。なお、各成分の配合量は、いずれも固形分換算した質量部の値である。以下の実施例及び比較例も同様である。
【0162】
実施例2
(A1)成分を60部、(B1)成分を10部及び(C1)成分を10部配合し、(D1)成分を20部及び(E1)成分を5部配合して、MEKを用いて希釈することで、固形分40%のアンダーコート剤を得た。
【0163】
実施例3
(A1)成分を45部、(B1)成分を11部及び(C1)成分を34部配合し、(D1)成分を10部及び(E1)成分を5部配合して、MEKを用いて希釈することで、固形分40%のアンダーコート剤を得た。
【0164】
実施例4
(A1)成分を35部、(B1)成分を9部及び(C1)成分を26部配合し、(D1)成分を30部及び(E1)成分を5部配合して、MEKを用いて希釈することで、固形分40%のアンダーコート剤を得た。
【0165】
実施例5
(A1)成分を30部、(B1)成分を10部及び(C1)成分を40部配合し、(D1)成分を20部及び(E1)成分を5部配合して、MEKを用いて希釈することで、固形分40%のアンダーコート剤を得た。
【0166】
比較例1
(A1)成分を45部及び(C1)成分を35部配合し、(D1)成分を20部及び(E1)成分を5部配合して、MEKを用いて希釈することで、固形分40%のアンダーコート剤を得た。
【0167】
比較例2
(A1)成分を50部、(B1)成分を12部及び(C1)成分を38部配合し、(E1)成分を5部配合して、MEKを用いて希釈することで、固形分40%のアンダーコート剤を得た。
【0168】
比較例3
(B1)成分を30部及び(C1)成分を50部配合し、(D1)成分を20部及び(E1)成分を5部配合して、MEKを用いて希釈することで、固形分40%のアンダーコート剤を得た。
【0169】
比較例4
(A1)成分を50部及び(B1)成分を30部配合し、(D1)成分を20部及び(E1)成分を5部配合して、MEKを用いて希釈することで、固形分40%のアンダーコート剤を得た。
【0170】
【0171】
表1の配合量は、固形分換算した質量部の値である。
【0172】
<硬化膜付フィルム(アンダーコート層付基材フィルム)の作成>
実施例1のコ-ティング剤を、50μm膜厚のポリエチレンテレフタレ-トフィルム(東洋紡(株)製 商品名「コスモシャインA4100」)上に、硬化後の被膜の膜厚が5μmとなるように#16バ-コ-タ-にて塗布し、90℃で90秒乾燥させてフィルムを作製した。その後、高圧水銀灯120W/cm(1灯)、照射距離15cm、ベルトスピ-ド7m/分の条件で3パス、積算照射量900mJ/cm2で硬化膜付フィルム(アンダーコート層付基材フィルム)を得た。実施例2~5及び比較例1~4のコ-ティング剤に関しても、同様の操作で硬化膜付フィルム(アンダーコート層付基材フィルム)を得た。
【0173】
(耐摩耗性)
実施例1に係るアンダーコート層付基材フィルムの硬化膜(アンダーコート層)を、200g/cm2荷重をかけたスチ-ルウ-ルで5cm幅を10往復させ傷の有無を観測し、以下の基準にて耐摩耗性を評価した。結果を表1に示す。実施例2~5及び比較例1~4に係るアンダーコート層付基材フィルムについても同様にして評価した。傷の本数が少ないほど、耐摩耗性に優れている。
〇:傷が10本未満。
△:傷が10本以上20本未満
×:傷が20本以上
【0174】
(耐ブロッキング(AB)性)
実施例1に係るアンダーコート層付基材フィルムを5cm2角に切り出し、硬化膜面同士を合わせて指で挟みこすり合わせる。以下の基準にて耐ブロッキング性を評価した。結果を表1に示す。実施例2~5及び比較例1~4に係るアンダーコート層付基材フィルムについても同様にして評価した。
〇:全く抵抗なく滑る。
△:抵抗あるが滑る
×:硬化膜同士が張り付き全く滑らず、動かない。
【0175】
<銅薄膜付基材フィルムの作成>
実施例1に係るアンダーコート層付基材フィルムのアンダーコート層上に、Arガス100体積%からなる3.0×10-3Torrの雰囲気中で、Cuターゲット材料を用いて、焼結体DCマグネートロンスパッタ法により、Cu層を300nmの厚みでスパッタ成膜して、実施例1に係る銅薄膜付基材フィルムを得た。実施例2~5及び比較例1~4に係るアンダーコート層付基材フィルムに関しても、同様の操作で銅薄膜付基材フィルムを得た。
【0176】
(銅薄膜密着性:初期密着性)
実施例1に係る銅薄膜付基材フィルムに、カッターガイドにより1mm幅でクロスカットし100マス碁盤目をつくり、碁盤目にセロハンテープを強く圧着させ、テープの端を45°の角度で一気にはがし、碁盤目の状態を確認し、以下の基準にて評価した。結果を表1に示す。実施例2~5及び比較例1~4に係る銅薄膜付基材フィルムについても、同様にして評価した。数値が高いほど、初期密着性に優れている。
4:銅薄膜が剥がれている面積が5%未満
3:銅薄膜が剥がれている面積が5%以上15%未満
2:銅薄膜が剥がれている面積が25%以上65%未満
1:銅薄膜が剥がれている面積が65%以上
【0177】
(銅薄膜密着性:耐アルカリ密着性)
実施例1に係る銅薄膜付基材フィルムを、40℃の5wt%水酸化ナトリウム水溶液に5分浸漬し、銅薄膜付基材フィルムの水分をふき取った後、カッターガイドにより1mm幅でクロスカットし100マス碁盤目をつくり、碁盤目にセロハンテープを強く圧着させ、テープの端を45°の角度で一気にはがし、碁盤目の状態を確認し、上記同様に評価した。結果を表1に示す。実施例2~5及び比較例1~4に係る銅薄膜付基材フィルムについても、同様にして評価した。数値が高いほど、耐アルカリ密着性に優れている。
【0178】
(銅薄膜密着性:耐酸密着性)
実施例1に係る銅薄膜付基材フィルムを、25℃の5wt%塩酸水溶液に5分浸漬し、銅薄膜付基材フィルムの水分をふき取った後、カッターガイドにより1mm幅でクロスカットし100マス碁盤目をつくり、碁盤目にセロハンテープを強く圧着させ、テープの端を45°の角度で一気にはがし、碁盤目の状態を確認し、上記同様に評価した。結果を表1に示す。実施例2~5及び比較例1~4に係る銅薄膜付基材フィルムについても、同様にして評価した。数値が高いほど、耐酸密着性に優れている。