(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-31
(45)【発行日】2023-11-09
(54)【発明の名称】電位治療器
(51)【国際特許分類】
A61N 1/14 20060101AFI20231101BHJP
A61N 1/10 20060101ALI20231101BHJP
【FI】
A61N1/14
A61N1/10
(21)【出願番号】P 2023524911
(86)(22)【出願日】2023-01-27
(86)【国際出願番号】 JP2023002592
【審査請求日】2023-04-24
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】399110764
【氏名又は名称】株式会社レイアンドカンパニー
(73)【特許権者】
【識別番号】504177284
【氏名又は名称】国立大学法人滋賀医科大学
(74)【代理人】
【識別番号】100092727
【氏名又は名称】岸本 忠昭
(74)【代理人】
【識別番号】100146891
【氏名又は名称】松下 ひろ美
(72)【発明者】
【氏名】見片 三郎
(72)【発明者】
【氏名】阿部 剛代志
(72)【発明者】
【氏名】扇田 久和
【審査官】羽月 竜治
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-114097(JP,A)
【文献】特開2004-183936(JP,A)
【文献】特開2007-111186(JP,A)
【文献】特開2021-084025(JP,A)
【文献】特開2005-296441(JP,A)
【文献】特開平08-194019(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体に負の電圧を印加するための負電圧印加手段と、
前記生体内から帯電荷を除去するための帯電荷除去手段と、
第1期間と第2期間からなる治療サイクルが複数回繰り返される所定の治療時間において、前記負電圧印加手段及び前記帯電荷除去手段を制御するためのコントローラと、を備え、
前記負電圧印加手段は、負の電圧を生成する負電圧発生器と、前記負電圧発生器に接続された第1電極と、を備え、
前記負電圧発生器で生成された負の電圧は前記第1電極を介して前記生体に印加され、
前記帯電荷除去手段は、電荷消費手段と、スイッチと、第2電極と、を備え、
前記スイッチがオンされると、前記第2電極は前記スイッチを介して前記電荷消費手段と電気的に接続され、前記帯電荷は前記生体から前記第2電極及び前記スイッチを介して前記電荷消費手段に流れ、前記電荷消費手段により消費され、
前記コントローラは、
前記負電圧印加手段に負の電圧を前記生体に印加させることによって、前記第1期間において前記生体を負に帯電させ、
前記スイッチをオンすることによって、前記第2期間において前記帯電荷除去手段に前記生体内から帯電荷を除去させ、前記生体を無帯電状態とし、
前記負電圧印加手段は前記第1期間において負の電圧を継続的に生体へ印加し、前記第1期間において前記生体へ印加される電圧の値は-600V~-3600Vの範囲でランダムに又は所定のパターンで増減する電位治療器。
【請求項2】
前記負電圧印加手段は、負電圧発生器と、直流電力の電圧を変更して前記負電圧発生器へ出力する入力電圧可変装置と、を備え、
前記コントローラは、前記生体へ印加される電圧の値が-600V~-3600Vの範囲でランダムに又は所定のパターンで増減するように、前記入力電圧可変装置を制御する請求項1に記載の電位治療器。
【請求項3】
前記第1期間の時間長さは5秒~30秒であり、前記第2期間の時間長さは1/1000秒~1/200秒である請求項1に記載の電位治療器。
【請求項4】
生体に負の電圧を印加するための負電圧印加手段と、
前記生体内から帯電荷を除去するための帯電荷除去手段と、
第1期間と第2期間からなる治療サイクルが複数回繰り返される所定の治療時間において、前記負電圧印加手段及び前記帯電荷除去手段を制御するためのコントローラと、を備え、
前記負電圧印加手段は、負の電圧を生成する負電圧発生器と、前記負電圧発生器に接続された第1電極と、を備え、
前記負電圧発生器で生成された負の電圧は前記第1電極を介して前記生体に印加され、
前記帯電荷除去手段は、スイッチと、第2電極と、を備え、
前記スイッチがオンされると、前記第2電極は前記スイッチを介してアースに電気的に接続され、前記帯電荷は、前記生体から除去されて前記第2電極及び前記スイッチを介して前記アースに放出され、
前記コントローラは、
前記負電圧印加手段に負の電圧を前記生体に印加させることによって、前記第1期間において前記生体を負に帯電させ、
前記スイッチをオンすることによって、前記第2期間において前記帯電荷除去手段に前記生体内から帯電荷を除去させ、前記生体を無帯電状態とし、
前記負電圧印加手段は前記第1期間において負の電圧を継続的に生体へ印加し、前記第1期間において前記生体へ印加される電圧の値は-600V~-3600Vの範囲でランダムに又は所定のパターンで増減する電位治療器。
【請求項5】
前記負電圧印加手段は、負電圧発生器と、直流電力の電圧を変更して前記負電圧発生器へ出力する入力電圧可変装置と、を備え、
前記コントローラは、前記生体へ印加される電圧の値が-600V~-3600Vの範囲でランダムに又は所定のパターンで増減するように、前記入力電圧可変装置を制御する請求項4に記載の電位治療器。
【請求項6】
前記第1期間の時間長さは5秒~30秒であり、前記第2期間の時間長さは1/1000秒~1/200秒である請求項4に記載の電位治療器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電位治療器に関する。
【背景技術】
【0002】
人体に高電位を印加することで、肩こり、頭痛、不眠症、慢性便秘等の症状を改善させる電位治療器が提案されている。このような電位治療器には、人体に正の高電位と負の高電位を交互に印加するものと、正の高電位のみを印加するものと、負の高電位のみを印加するものがある(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-272191号公報
【文献】登録実用新案第3212573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、生体を負に帯電させた後に生体から帯電荷を除去することで、生体の細胞に帯電刺激を与えて活性化を図ることができる電位治療器の提供を目的とする。
【0005】
本発明の一側面にかかる電位治療器は、生体に負の電圧を印加するための負電圧印加手段と、前記生体内から帯電荷を除去するための帯電荷除去手段と、第1期間と第2期間からなる治療サイクルが複数回繰り返される所定の治療時間において、前記負電圧印加手段及び前記帯電荷除去手段を制御するためのコントローラと、を備え、前記負電圧印加手段は、負の電圧を生成する負電圧発生器と、前記負電圧発生器に接続された第1電極と、を備え、前記負電圧発生器で生成された負の電圧は前記第1電極を介して前記生体に印加され、前記コントローラは、前記負電圧印加手段に負の電圧を前記生体に印加させることによって、前記第1期間において前記生体を負に帯電させ、前記第2期間において前記帯電荷除去手段に前記生体内から帯電荷を除去させ、前記生体を無帯電状態とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一側面にかかる電位治療器によれば、前記コントローラは、前記負電圧印加手段と前記帯電荷除去手段を制御して、各治療サイクルにおいて前記生体を前記第1期間において負に帯電させ前記第2期間において無帯電状態とさせ、このような治療サイクルを複数回繰り返すので、生体の細胞に帯電刺激を与えて活性化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る電位治療器の機能ブロック図。
【
図2】
図1に示す電位治療器が備える電極が形成される導電部材の一例を示す平面図。
【
図3】
図1に示す電位治療器において印加信号及び除去信号が出力されるタイミングを示すグラフ。
【
図4】
図1に示す電位治療器により生体内から帯電荷が除去されるタイミングを説明するグラフ。
【
図5】
図1に示す電位治療器を用いて生体に電位治療を施した際の生体の帯電状態を示すグラフ。
【
図6】本発明の第2実施形態に係る電位治療器の機能ブロック図。
【
図7】
図6に示す電位治療器により生体に印加される電位の値が変動する様子を説明する図。
【
図8】本発明の実施形態の第1の変形形態にかかる電位治療器において印加信号及び除去信号が出力されるタイミングを示すグラフ。
【
図9】本発明の実施形態の第2の変形形態にかかる電位治療器が備える帯電荷除去手段を示す機能ブロック図。
【
図10】実施例1におけるマウスに対する電位治療方法を説明する図。
【
図11】実施例1における尿中アルブミン量を示すグラフ。
【
図12】実施例1におけるdROMs(U.CARR)の値を示すグラフ。
【
図13】実施例1におけるアクロレインレッド染色結果を示す顕微鏡写真。
【
図14】
図13におけるアクロレインレッド陽性領域を数値化したグラフ。
【
図15】実施例1におけるデスミン染色結果を示す顕微鏡写真。
【
図17】(a)は、実施例1における糸球体におけるポドサイト足突起の超微細構造の走査型電子顕微鏡写真、(b)はその透過型電子顕微鏡写真。
【
図18】実施例1における体重及び血漿サンプルの解析結果を示すグラフ。
【
図19】生体に対する印加用電極及び除去用電極の装着例を示す説明図。
【
図20】(a)は実施例2における電位治療器使用前の血液を写した位相差顕微鏡写真、(b)は実施例2における電位治療器使用後の血液を写した位相差顕微鏡写真。
【
図21】(a)は実施例3における電位治療器使用前の血液を写した位相差顕微鏡写真、(b)は実施例3における電位治療器使用後の血液を写した位相差顕微鏡写真。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
[第1実施形態]
以下、添付図面を参照して、本発明の第1実施形態に係る電位治療器について説明する。
図1を参照して、本実施形態に係る電位治療器1は、生体Pに負の電圧を印加するための負電圧印加手段(負電圧印加ユニット)2と、生体P内から帯電荷を除去するための帯電荷除去手段(帯電荷除去ユニット)3と、負電圧印加手段2及び帯電荷除去手段3を制御するためのプロセッサ4と、メモリ5と、操作インターフェース6と、ACアダプタ7と、を備える。生体Pは人体又は動物体である。
【0009】
負電圧印加手段2は、負の電圧を発生させる負電圧発生器21と、負電圧発生器21に接続された印加用電極22(第1電極)と、負電圧発生器21と印加用電極22の間に設けられた出力抵抗23と、を備え、負電圧発生器21により発生された負電圧が印加用電極22を介して生体Pに印加される。出力抵抗23は、負電圧発生器21から印加用電極22へ電流が流れるのを防止する。これにより、負電圧発生器21により発生された負の電圧は生体Pに印加されるが、電流は生体Pへ流れない。
【0010】
帯電荷除去手段3は、電荷消費手段(帯電荷消費部)31と、電荷消費手段31に接続されたスイッチ32と、スイッチ32に接続された除去用電極33(第2電極)と、スイッチ32と除去用電極33の間に介在する制限抵抗器34と、を備える。
【0011】
電荷消費手段31は、例えば電力消費抵抗である。スイッチ32がオンされると、電荷消費手段31と除去用電極33とが電気的に接続され、生体P内から帯電荷が除去されて電荷消費手段31へ流れ、電荷消費手段31により消費される。一方、スイッチ32がオフされると、電荷消費手段31と除去用電極33とは電気的に遮断され、除去用電極33を介した生体Pからの帯電荷の除去は行われない。スイッチ32としては、リレースイッチを用いるのが好ましい。
【0012】
プロセッサ4は、例えばCPU(Central Processing Unit)やMPU(Multi Processing Unit)等の演算処理部であって、メモリ5に記憶されたプログラムを読み出して実行することで、電位治療器1の各部を制御する制御部(コントローラ)として機能する。
【0013】
メモリ5は、プロセッサ4によって実行されるプログラムやプロセッサ4によって用いられるデータ等を記憶する。
【0014】
操作インターフェース6は、電位治療器1に対する操作入力を受け付けるものであって、各種ダイヤルやボタンを備え、使用者によってこれらのダイヤルやボタンが操作されると、当該操作による信号がプロセッサ4へ入力される。なお、本実施形態では、操作インターフェース6が備えるダイヤルには、電圧設定ダイヤル61及びタイマー設定ダイヤル62が含まれ、操作インターフェース6が備えるボタンには開始ボタン63が含まれる。
【0015】
ACアダプタ7は負電圧印加手段2及びプロセッサ4に電気的に接続されている。ACアダプタ7が商用電源Sに接続されると、ACアダプタ7は商用電源Sから供給される商用電力(例えば、100V、60Hzの商用電力)を所定の直流電力に変換して負電圧印加手段2及びプロセッサ4へ供給する。
【0016】
印加用電極22及び除去用電極33は、
図2に示すような導電部材8,9にそれぞれ形成されるのが好ましい。この場合、これらの導電部材8,9が生体Pに装着されることにより印加用電極22及び除去用電極33は導電部材8,9を介して生体Pに電気的に接触する。導電部材8,9の形状に制限はなく、例えばシート状やクリップ状、ベルト状等とすることができる。他の実施形態において、印加用電極22及び除去用電極33は単一の導電シートに形成され、当該導電シートを介して生体Pに電気的に接触する。
【0017】
図3を参照して、電位治療器1によって生体Pに対して治療が施される治療時間T0では、治療サイクルTsが複数回連続して繰り返され、各治療サイクルTsは、第1期間t1と、第1期間t1に続く第2期間t2から成る。換言すると、治療時間T0においては、第1期間t1と第2期間t2とが連続して繰り返され、第1期間t1と第2期間t2により治療サイクルTsが構成される。
【0018】
そして、プロセッサ4は、各第1期間t1において生体Pを負に帯電させ、各第2期間t2において生体Pから帯電荷を除去するように負電圧印加手段2及び帯電荷除去手段3を制御する。
【0019】
より具体的に、プロセッサ4は、
図3に示すように、全治療時間T0に亘って印加信号を負電圧印加手段2(負電圧発生器21)へ出力すると共に、第2期間t2において除去信号を帯電荷除去手段3(スイッチ32)へ出力する。即ち、プロセッサ4は、第1期間t1においては印加信号を生成して出力するが除去信号は生成せず、第2期間t2においては印加信号と除去信号を生成して出力する。
【0020】
負電圧印加手段2は、プロセッサ4から印加信号を受信すると、負の電圧を発生させて生体Pへ印加する。即ち、負電圧印加手段2は、全治療時間T0に亘って継続して一定の値の負の電圧を生体Pへ印加する。
【0021】
帯電荷除去手段3は、プロセッサ4から除去信号を受信すると、生体Pから帯電荷を除去する。即ち、帯電荷除去手段3は、治療時間T0の各治療サイクルTsのうち、第2期間t2において生体Pから帯電荷を除去する。
【0022】
本実施形態では、スイッチ32はリレースイッチから構成されており、プロセッサ4からの除去信号がスイッチ32へ入力されると、スイッチ32(リレースイッチ)はオンされて、除去用電極33と電荷消費手段31が電気的に接続され、生体P内の帯電荷がスイッチ32を通して電荷消費手段31へ除去されて消費される。
【0023】
一方、プロセッサ4から帯電荷除去手段3への除去信号がないと、スイッチ32(リレースイッチ)はオフされて、除去用電極33と電荷消費手段31の間の電気的接続が遮断され、生体P内の帯電荷がスイッチ32を通じて除去されることはない。
【0024】
その結果、電位治療器1によって生体P内から帯電荷が除去されるタイミングは
図4に示す通りとなり、生体Pにおける帯電状態は
図5に示す通りとなる。
【0025】
この様に、各治療サイクルTsの第1期間t1においては、負電圧印加手段2によって印加された負の電圧によって生体P内は負に帯電され、第2期間t2においては、帯電荷除去手段3によって生体P内から帯電荷が除去され、生体Pは無帯電状態となる。
【0026】
ここで、帯電荷除去手段3によって生体Pから除去される帯電荷には、生体P内に存在する正(+)の帯電荷及び負(-)の帯電荷並びに負電圧印加手段2による負の電圧の印加により蓄積された負(-)の帯電荷が含まれる。
【0027】
制限抵抗器34は、帯電荷除去手段3により生体Pから除去された帯電荷が生体Pへ逆流するのを防止すると共に、帯電荷除去時に生体Pの表皮を流れる生体電流を抑制して神経への過剰刺激を防止する。
【0028】
電圧設定ダイヤル61は、例えばロータリーエンコーダから構成され、使用者が電圧設定ダイヤル61を回転操作することで、負電圧印加手段2により生体Pに印加される電圧の値を設定することができる。
【0029】
タイマー設定ダイヤル62は、例えばロータリーエンコーダから構成され、使用者はタイマー設定ダイヤル62を回転操作することで、治療時間T0の時間長さ(以下、「治療時間長さ」という)を設定することができる。
【0030】
本実施形態では、負電圧印加手段2により生体Pに印加される電圧は高電圧であり、当該高電圧の値は-600V~-3600Vであるのが好ましい。電圧の値が-600Vよりも小さくなると、無帯電時と帯電時における電圧差(電位差)が小さくなり、生体Pに十分な活性化刺激を与えられない虞があり、-3600Vよりも大きくなると、生体Pの反射(自律神経反射等)が大きくなる可能性があり好ましくない。
【0031】
第1期間t1の時間長さは、5秒~30秒であるのが好ましい。第1期間t1の時間長さが5秒よりも短くなると、帯電荷除去時に生体Pの表皮を流れる生体電流の発生頻度が高くなり、生体Pの表皮に損傷を与える虞が生じる。一方、第1期間t1の時間長さが30秒を超えると、生体Pが無帯電状態となる第2期間t2の発生間隔が開きすぎて、生体Pに十分な活性化刺激を与えられなくなる虞が生じる。
【0032】
第2期間t2の時間長さは、1/1000秒(1ms)~1/200秒(5ms)であるのが好ましい。第2期間t2の時間長さが1/200秒(5ms)を超えると、帯電荷除去時に生じる生体電流が生体Pの表皮のナトリウムと化学反応を起こし、表皮に損傷を与える虞が生じる。
【0033】
治療時間長さは、1分間~60分間であるのが好ましい。治療時間長さは、生体Pの症状や、電位治療器1の使用頻度、生体Pの体格などにより適宜選定されるが、60分を超えると生体Pに電荷刺激に対する耐性が生じて治療効果が損なわれる虞が生じる。
【0034】
次に、電位治療器1を用いた電位治療方法について説明する。使用者はまず、電圧設定ダイヤル61を操作して生体Pへ印加する電圧の値を設定し(例えば、-800V)、タイマー設定ダイヤル62を操作して治療時間長さを設定する(例えば、20分間)。
【0035】
次に、例えば導電部材8、9を生体Pへ装着させる等して、印加用電極22及び除去用電極33を生体Pへ電気的に接触させる。
【0036】
次に、使用者が開始ボタン63を操作すると、プロセッサ4は、設定された治療時間T0(例えば20分間)にわたって継続して印加信号を負電圧印加手段2へ出力すると共に、各治療サイクルTsの第2期間t2においては除去信号を帯電荷除去手段3へ出力する。
【0037】
これにより、第1期間t1においては、生体Pに印加された負の電圧(負の高電圧)によって生体Pには負の帯電荷が蓄えられ、生体Pは負の帯電状態になる。これにより、外的要因や内的要因により生体Pに蓄積された酸化物質(正に帯電)や酸化した内臓組織(正に帯電)は負の帯電(-)で満たされる。
【0038】
また、第1期間t1に続く第2期間t2においては、スイッチ32がオン状態とされ、これによって、帯電荷が生体P内から電荷消費手段31へ除去され、生体Pは強制的に無帯電状態(±0帯電)とされる。
【0039】
そして、このような第1期間t1と第2期間t2が繰り返されることによって、生体Pは、正の帯電状態に置かれることなく、負の帯電状態と無帯電状態とを交互に繰り返す。これにより、生体Pにおいては、酸化した血液や体液、内臓が正の帯電(+)から負の帯電(-)に誘導され、徐々に生体Pの帯電バランスが整い、酸化ストレスが軽減される。
【0040】
即ち、酸素を用いてエネルギーを生成する生体Pにおいては、代謝の過程で活性酸素種(ROS)が生成される。ROSは、生命維持に必要である一方、生体Pを構成する細胞を酸化して損傷させることが知られている。生体Pは、ROSによる酸化に伴う悪影響を防ぐための抗酸化機能を有し、その恒常性によって生体の健康が維持されている。酸化と抗酸化のバランスが崩れて酸化が過剰になった状態を酸化ストレスと呼ぶ。
【0041】
また、生体P内には常に正の帯電と負の帯電とが存在し、細胞の酸化が進むと生体Pは正の帯電が多い正の帯電状態となり、帯電バランスの均衡が崩れるが、反対に、生体Pにおける帯電バランスが整うと、酸化ストレスひいては様々な酸化ストレス疾患が軽減される。
【0042】
本実施形態に係る電位治療器1は、上述のように生体Pを正の帯電状態に置くことなく、繰り返し負の帯電状態と無帯電状態にすることで、生体Pの帯電バランスを整える。
【0043】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る電位治療器について説明する。
図6を参照して、本実施形態に係る電位治療器101は、上述の電位治療器1とほぼ同一であるが、電位治療器101は負電圧印加手段2に代えて負電圧印加手段(負電圧印加ユニット)102を備え、負電圧印加手段102は、上述の負電圧発生器21,印加用電極22,及び出力抵抗23に加え、入力電圧可変装置120を備える。また、電圧設定ダイヤル(61)は省略されている。
【0044】
入力電圧可変装置120はACアダプタ7に電気的に接続されており、ACアダプタ7から供給される直流電力の電圧を変更して負電圧発生器21へ出力する。プロセッサ4は、上述の印加信号及び除去信号を負電圧発生器21及びスイッチ32へそれぞれ出力するのに加え、電圧制御信号を入力電圧可変装置120へ出力する。入力電圧可変装置120は、プロセッサ4からの電圧制御信号に応じて、負電圧発生器21へ出力する電圧の値を変更する。
【0045】
ここで、プロセッサ4は、入力電圧可変装置120から負電圧発生器21へ出力される負電圧の値がランダムに又は所定のパターンで変動するように電圧制御信号を介して入力電圧可変装置120を制御する。
【0046】
その結果、負電圧発生器21により発生されて生体Pへ印加される負の電圧の値は所定の範囲で変動する。なお、当該範囲は任意に選択できるが、例えば-600V~-3600Vとするのが好ましい。
【0047】
これにより、
図7に示す様に、各治療サイクルTsの第1期間t1において生体Pへ印加される電位の値は所定範囲で変動する。
【0048】
このように、生体Pへ印加する電圧の値をランダムに又は所定のパターンで変動させることで、第1実施形態のように一定の電圧を生体Pへ印加させる場合と比較して、生体Pの組織等に活性化刺激に対する耐性ができるのを抑制し、生体Pに対する活性化刺激の効果を増大させることができ、更には治療時間の短縮にも繋がる。
【0049】
なお、このような電圧制御信号は、例えばプロセッサ4がメモリ5に存在する所定の制御プログラムを実行することにより生成される。
【0050】
[第1変形形態]
次に、第1及び第2実施形態の第1変形形態に係る電位治療器について説明する。上記実施形態においては、プロセッサ4は、治療時間T0の全期間にわたって印加信号を出力するが、本変形形態においては、
図8に示す様に、プロセッサ4は各治療サイクルTsの第1期間t1において印加信号を出力し、第2期間t2においては印加信号を出力しない。このような構成によっても、上述したのと同様に、第1期間t1においては生体Pが負に帯電され、第2期間t2においては生体Pから帯電荷が除去されて生体Pは無帯電状態となる。
【0051】
[第2変形形態]
次に、第1及び第2実施形態の第2変形形態に係る電位治療器について説明する。上記実施形態においては、帯電荷除去手段3は、生体Pから除去した帯電荷を電荷消費手段31で消費するが、本変形形態では、
図9に示すように、帯電荷除去手段3は電荷消費手段31を備えず、スイッチ32はアースに接続されている。これにより、スイッチ32がオンされると、除去用電極33はアースと電気的に接続され、生体Pから除去された帯電荷は、スイッチ32を介してアースに放出される。
【0052】
[第3変形形態]
次に、第1及び第2実施形態の第3変形形態について説明する。上記実施形態では、電位治療器1は単一の印加用電極22と単一の除去用電極33を備えるが、本変形形態では、電位治療器は2つ以上(例えば、4つ)の印加用電極22を備える。この場合、例えば2つの印加用電極22が生体Pの両腕に電気的に接触し、残りの2つの印加用電極22が生体Pの両足首に電気的に接触するように取り付けられる。なお、他の変形形態では、電位治療器は2つ以上の除去用電極33を備える。
【0053】
[実施例1]
上述した電位治療器1の効果を検証するための実験を行った。実験は、2型糖尿病モデルマウスであるdb/dbマウスで実施した。
【0054】
(1)実験の概要
実験では、7週齢の雄マウス(db/dbマウス)10匹を購入し、3日間の予備飼育後に試験に供した。これらdb/dbマウスを5匹ずつ無作為に治療群と無治療群に分配し、治療群に対してのみ電位治療器1による電位治療を行った。
【0055】
治療期間は28日間(4週間)とし、治療群のdb/dbマウス対して毎日、午前と午後の1日2回、8時間の間隔を空けて電位治療を施した。印加電圧値は-1000V、治療時間長さは30分間とした。
【0056】
電位治療は、
図10に示す様に、治療群のマウスMを導電性の金属板PLに乗せ、当該金属板PLに印加用電極22及び除去用電極33を繋ぐことにより行った。即ち、マウスMは、毛のない肉球Maが金属板PLに接触することにより、金属板PLを介して印加用電極22及び除去用電極33に電気的に接触し、金属板PLに対して「負の帯電(-)」と「無帯電(±0帯電)」の状態を交互に繰り返すことで、マウスMに対する電位治療を施した。
【0057】
(2)尿サンプルの採取
治療開始前(以下、「第0週目」という)及び第4週目に24時間蓄尿を行い、尿サンプルを回収した。
【0058】
(3)体重の測定
第0週目と最終日の治療後に体重計測を行った。
【0059】
(4)血漿サンプルの採取
第0週目の血液サンプルとして、尾静脈より約150μLの血液を採取した。また、最終日の治療後に、第4週目の血液サンプルとして、麻酔下で全血を採取した。解析に使用するキットへの影響を考慮し、凝固防止剤としてはヘパリンナトリウムのみを使用した。採取した血液サンプルに対して遠心加速度1000×gで15分間の遠心を行い、上清(血漿サンプル)を回収した。
【0060】
(5)腎臓サンプルの採取
上記(4)における全血の採取後に、リン酸緩衝生理的食塩水(PBS)で灌流し、完全に脱血した後に左腎を摘出した(第1腎臓サンプル)。
【0061】
また、固定液を灌流させ組織を固定した後に右腎を摘出した。一部の右腎は、10%ホルマリンに浸漬し、パラフィン包埋し、ミクロトームで4μmに薄切りにすることで、腎臓パラフィン切片とした。
【0062】
また、他の右蔵は、10%ホルマリンに16時間浸漬した後に、超薄切(100nm)りにすることで、第2腎臓サンプルとした。
【0063】
(6)尿サンプルの解析結果
上述のようにして採取した尿サンプル中のアルブミンを検出した。具体的には、10%アクリルアミドを用いた電気泳動(SDS-PAGE)で尿サンプル中のアルブミンを分離後、クマシーブリリアンドフブルー(CBB)染色を行った。染色後、ゲルをスキャナでスキャンし、スキャンデータをコンピュータに取込み、画像解析ソフトImageJを用いて、アルブミンスタンダートと比較し、アルブミン量を定量した。その結果を
図11に示す。
【0064】
図11に示す様に、両群において、第0週目と比較して第4週目で糖尿病の進行に伴う尿中アルブミン量に顕著な増加が認められたが、尿中アルブミン量の増加は、無治療群と比較して治療群において有意に抑制されていた。
【0065】
(7)全身の酸化ストレス計測結果
全身の酸化ストレスを計測するために、酸化還元分析装置「REDOKLIBRA2」(WISMERLL社製)を用いて血漿サンプル中のdROMs(酸化ストレスの指標の1つ)を測定した。装置の操作はマニュアル通りに行った。その結果を
図12に示す。
【0066】
図12から理解されるとおり、治療後における治療群においては、無治療群と比較して、dROMsの値が有意に減少した。このことから、治療群においては糖尿病によって亢進する血中の酸化ストレスを減少させた可能性がある。
【0067】
(8)腎臓の酸化ストレス検出
腎臓での酸化ストレス検出のために、上述の第1腎臓サンプルの組織中のアクロレインを観察した。具体的には、左腎を矢状面で半分に分割し、更に横断面で1/3分割し、その腎臓片を20μmol/LのAcrolein-RED(フナコシ社製の染色試薬)(1:100)に30分間浸漬して染色した。その後、腎臓片をPBSで4回洗浄し、凍結ブロックにした。この凍結ブロックを8μmに薄切りして固定後、DAPIにより各を染色し、カバーガラスで封入して共焦点顕微鏡で観察した。
【0068】
図13は、アクロレインレッド染色結果を示す顕微鏡写真、
図14はアクロレインレッド陽性領域を数値化したグラフである。無治療群の腎臓中ではアクロレイン量は増加していたが、治療群では、無治療群と比較して、腎臓中のアクロレイン量は有意に減少した。
【0069】
(9)デスミン染色
上述の腎臓パラフィン切片を、クエン酸バッファー中で15分間煮沸して抗原賦活した後に、透過処理試薬として0.1%のTriton X-100(ユニオン・カーバイド・コーポレーション)を用いて透過処理し、3%スキムミルクでブロッキング処理した。一次抗体をブロッキング溶液で希釈し、4℃で一晩インキュベーションした後、蛍光色素で標識した二次抗体とともに室温で1時間インキュベートした。
【0070】
使用した抗体は次のとおりである。
・Anti-nephrin guinea pig polyclonal (Cat. No. GP-N2) - 1:300 (Progen)
・Anti-desmin rabbit monoclonal (Clone D93F5, Cat. No. 5332) - 1:300 (Cell Signaling Technology)
・Alexa Fluor 488 or 555 goat anti-rabbit - 1:1000 (Thermo Fisher Scientific)
・Alexa Fluor 488 or 555 goat anti-mouse - 1:1000 (Thermo Fisher Scientific)
【0071】
図15は、デスミン染色結果を示す顕微鏡写真。
図16は、デスミン染色による陽性領域を数値化したグラフである。無治療群では腎
糸球体へのデスミン沈着量は多かったが、治療群は無治療群と比較して、腎糸球体へのデスミン沈着が有意に抑制された。
【0072】
(10)電子顕微鏡による腎糸球体の超微細構造変化の解析
上述の第2腎臓サンプルの糸球体におけるポドサイト足突起の超微細構造を、走査型電子顕微鏡及び透過型電子顕微鏡で観察した。
【0073】
図17(a)に走査型電子顕微鏡写真を示す。無治療群では、ポドサイトに一次突起の肥厚と足突起の短縮が生じていた。足突起の短縮に伴い、足突起間の規則正しい噛み合わせができずに隙間ができていた。この様な足突起の短縮(または消失)が生じると、足突起の隙間からタンパク質が漏出してタンパク尿が見られるようになる。治療群では、それらの所見が軽減されていた。
【0074】
また、
図17(b)に透過型電子顕微鏡写真を示す。ここでは、一次突起から分枝している足突起により焦点をあてて観察している。無治療群では足突起が短縮しており、ポドサイトへの障害が見られた。治療群のポドサイトでは、足突起の長さが無治療群に比べ長く保存されていた。
【0075】
(11)体重及び血漿サンプルの解析
血中のグルコース、中性脂肪、総コレステロール濃度の測定を行った。
図18から理解されるとおり、体重及び全ての血中濃度測定項目において経時的に増加傾向が認められるが、両群間での有意差は認められなかった。
【0076】
以上より、電位治療器1を用いた電位治療は、尿中アルブミン排泄量の抑制、dROMsを指標とした血中酸化ストレス及びアクロレイン量を指標とした腎臓酸化ストレスの改善、腎糸球体障害指標であるデスミン沈着量の改善に効果があることが確認できた。
【0077】
また、血中のグルコース、中性脂肪、総コレステロール濃度に対しては影響を及ぼさかなかったことから、糖尿病の進行による腎障害軽減効果は、酸化ストレス(dROMs、アクロレイン等)の減少による効果であることが示唆され、本実施形態に係る電位治療器1による電位治療は、血中および腎臓内の酸化ストレスに対して抑制効果を発揮し、その効果により尿中アルブミン量も有意に減少させることができた(すなわち、腎障害が抑制された)と考えられる。
【0078】
従来は、ROSの中でも特に、ヒドロキシラジカルが酸化ストレスの主要因と考えられてきたが、近年ではアクロレインが酸化ストレス疾患を助長することが分かってきた。アクロレインはヒドロキシラジカルの数十倍の毒性をもつ強酸化物質であり、アクロレインの減少は酸化ストレス疾患の改善に繋がることから、本実施形態の電位治療器1を用いた電位治療によりアクロレインを減少できることの効果は大きいと考えられる。
【0079】
これらのことから、上記実施形態及び変形形態に係る電位治療器1,101は、腎臓病治療装置、酸化ストレス軽減装置、アクロレイン軽減装置等として用いることができる。
【0080】
ここで、電位治療器1(101)を腎臓病治療装置として用いる場合は、
図1及び
図19に示すように、印加用電極22と除去用電極33の間に腎臓Paが位置するように、生体Pの背中側に印加用電極22を装着させ、腹側に除去用電極33を装着させて用いるのが好ましい。
【0081】
[実施例2]
50代男性の血液を採取し、位相差顕微鏡で観察した。
図20(a)は、当該男性に対して電位治療器1を用いる前の血液の状態を観察したものであり、赤血球が塊り、全く動きの無い「凝集集合体赤血球」が確認できた。
図20(b)は、当該男性に対して電位治療器1を用いた後の血液の状態を観察したものであり(電位治療器1の使用回数は1回、印加電圧は-1000V、使用時間(T0)の長さは15分間)、電位治療器1の使用前の血液と比較すると、「凝集集合体赤血球」が、動きのある「凝集赤血球」へ変化した事が確認できた。
【0082】
赤血球の塊り(連鎖状赤血球,凝集集合体赤血球)は、赤血球表面の電荷が減弱し、互いの反発力が低下したときに起こるが、電位治療器1を用いたことで、赤血球に極性反発が起こり、赤血球の塊り(連鎖状赤血球,凝集集合体赤血球)が減少した事が確認できた。
【0083】
[実施例3]
40代男性の血液を採取し、位相差顕微鏡で観察した。
図21(a)は、当該男性に対して電位治療器1を用いる前の血液の状態を観察したものであり、「連鎖状赤血球」と、球体では無い「歪な形状を持つ赤血球」が多く確認された。
図21(b)は、当該男性に対して電位治療器1を用いた後の血液の状態を観察したものであり(電位治療器1の使用回数は1回、印加電圧は-1000V、使用時間(T0)の長さは15分間)、電位治療器1の使用前の血液と比較すると、明らかに赤血球の塊(連鎖状赤血球)が減少しており、更に「破砕赤血球」はあるものの、赤血球の歪な形状が丸型に近い正常な形状に変化していた。
【0084】
以上、本発明の実施形態及びその変形形態について説明したが、本発明はかかる実施形態及び変形形態に限定されず、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形、修正が可能である。
【0085】
例えば、生体Pに印加される電圧の値は、上記第1実施形態では一定であり、上記第2実施形態ではランダムに変動するが、他の実施形態に係る電位治療器では、第1モードと第2モードの選択が可能であり、電位治療器が第1モードに設定されると、生体Pに印加される電圧の値は一定とされ、電位治療器が第2モードに設定されると、生体Pに印加される電圧の値がランダムに変動する。
【符号の説明】
【0086】
1,101 電位治療器
2,102 負電圧印加手段(負電圧印加ユニット)
3 帯電荷除去手段(帯電荷除去ユニット)
4 プロセッサ(コントローラ)
22 印加用電極(第1電極)
33 除去用電極(第2電極)
P 生体
【要約】
【課題】生体を負に帯電させた後に生体から帯電荷を除去することで、生体の細胞に帯電刺激を与えて活性化を図ることができる電位治療器を提供する。
【解決手段】電位治療器1は、負電圧印加手段2と、帯電荷除去手段3と、第1期間と第2期間からなる治療サイクルが複数回繰り返される所定の治療時間において、負電圧印加手段2及び帯電荷除去手段3を制御するためのコントローラ4と、を備える。負電圧印加手段2は、負電圧発生器21と印加用電極22を備え、負電圧発生器21で生成された負の電圧は印加用電極22を介して生体Pに印加される。コントローラ4は、負電圧印加手段2に負の電圧を生体Pに印加させることによって、第1期間において生体Pを負に帯電させ、第2期間において帯電荷除去手段3に生体P内から帯電荷を除去させ、生体Pを無帯電状態とする。
【選択図】
図1