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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-31
(45)【発行日】2023-11-09
(54)【発明の名称】クラッチレバー装置
(51)【国際特許分類】
   G05G 1/04 20060101AFI20231101BHJP
   G05G 5/03 20080401ALI20231101BHJP
【FI】
G05G1/04 A
G05G5/03 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019113884
(22)【出願日】2019-06-19
(65)【公開番号】P2021002073
(43)【公開日】2021-01-07
【審査請求日】2022-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000213954
【氏名又は名称】朝日電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 通之
【審査官】鷲巣 直哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-215085(JP,A)
【文献】国際公開第2018/061095(WO,A1)
【文献】特開平09-048259(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05G 1/04
G05G 5/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が具備するハンドルバーの先端側に設けられ、揺動軸を中心に揺動操作可能なクラッチレバーと、
前記クラッチレバーの揺動角度を検出可能な角度検出手段と、
を具備し、前記角度検出手段で検出された前記クラッチレバーの揺動角度に応じて車両に搭載されたクラッチ装置を操作可能なクラッチレバー装置において、
前記クラッチレバーを初期位置に向かって付勢する複数の付勢手段を具備するとともに、当該複数の付勢手段は、少なくとも、前記クラッチレバーが初期位置から揺動する過程で付勢力を生じさせる第1付勢手段と、前記クラッチレバーが所定角度揺動した揺動位置から更に揺動する過程で付勢力を生じさせる第2付勢手段とを含むものとされ、且つ、
前記ハンドルバーに固定され得るとともに、前記揺動軸を回転可能に支持するホルダ部を具備し、前記第1付勢手段及び第2付勢手段は、当該ホルダ部内に取り付けられ、且つ、
前記第1付勢手段及び第2付勢手段は、一端部と他端部との間にコイル部を有したねじりコイルばねから成るとともに、前記コイル部が前記揺動軸に挿通した状態でそれぞれ取り付けられ、且つ、
前記揺動軸に取り付けられて当該揺動軸と共に回転し得るとともに、前記第1付勢手段及び第2付勢手段の前記一端部を係止する係止部が形成された係止部材を具備し、且つ、
前記第1付勢手段は、前記クラッチレバーが初期位置にあるとき、前記他端部が前記ホルダ部に形成された第1当接部に当接した状態とされ、前記クラッチレバーが初期位置から揺動する過程で付勢力を付与するものとされ、且つ、前記第2付勢手段は、前記クラッチレバーが初期位置にあるとき、前記他端部が前記ホルダ部に形成された第2当接部から離間した状態とされ、前記クラッチレバーが前記揺動位置まで揺動すると前記他端部が前記第2当接部に当接するとともに、前記クラッチレバーが当該揺動位置から更に揺動する過程で付勢力を付与することを特徴とするクラッチレバー装置。
【請求項2】
前記係止部材は、磁石が取り付けられるとともに、前記角度検出手段は、当該磁石からの磁力の変化を検出することにより前記クラッチレバーの揺動角度を検出可能とされたことを特徴とする請求項記載のクラッチレバー装置。
【請求項3】
前記クラッチレバーが初期位置にあるか否か検出可能な初期位置検出手段を具備したことを特徴とする請求項記載のクラッチレバー装置。
【請求項4】
前記角度検出手段及び初期位置検出手段は、共通の基板に取り付けられたことを特徴とする請求項記載のクラッチレバー装置。
【請求項5】
前記クラッチレバーが初期位置から揺動する全過程において、前記第1付勢手段による付勢力が前記クラッチレバーに付与され、前記クラッチレバーが前記所定角度揺動した後は、前記第1付勢手段による付勢力に加えて前記第2付勢手段による付勢力が付与されることを特徴とする請求項1記載のクラッチレバー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クラッチレバーの揺動角度に応じて車両に搭載されたクラッチ装置を操作可能なクラッチレバー装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、二輪車等の車両が具備するハンドルバーの先端側には、クラッチレバーやブレーキレバーが揺動可能に取り付けられており、例えばクラッチレバーを揺動操作することにより、操作ワイヤを引いてクラッチ装置を操作することができ、駆動輪に対して駆動源の動力を伝達又は遮断し得るようになっている(例えば特許文献1参照)。しかるに、近時においては、車両に配設された種々操作装置の操作量を検出して操作対象である装置を操作する所謂バイワイヤ化が広まりつつある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-278635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、クラッチレバーによる操作をバイワイヤ化して操作ワイヤを廃止した場合、操作ワイヤを引いてクラッチ装置を操作するものと比べて操作感が著しく相違する虞があり、操作時に違和感が生じてしまう可能性がある。例えば、従来のクラッチレバー装置においては、クラッチレバーの初期位置から揺動する過程で操作ワイヤの遊び量を引っ張り操作し、所定角度揺動した揺動位置から更に揺動すると、車両が搭載するクラッチ装置を操作して駆動源の動力を駆動輪に伝達させるよう構成されており、クラッチレバー操作のバイワイヤ化を図るためには、このような操作感を再現する必要がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、操作ワイヤによりクラッチ装置を操作するときの操作感を再現することができ、操作時の違和感を抑制して操作性を向上させることができるクラッチレバー装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、車両が具備するハンドルバーの先端側に設けられ、揺動軸を中心に揺動操作可能なクラッチレバーと、前記クラッチレバーの揺動角度を検出可能な角度検出手段とを具備し、前記角度検出手段で検出された前記クラッチレバーの揺動角度に応じて車両に搭載されたクラッチ装置を操作可能なクラッチレバー装置において、前記クラッチレバーを初期位置に向かって付勢する複数の付勢手段を具備するとともに、当該複数の付勢手段は、少なくとも、前記クラッチレバーが初期位置から揺動する過程で付勢力を生じさせる第1付勢手段と、前記クラッチレバーが所定角度揺動した揺動位置から更に揺動する過程で付勢力を生じさせる第2付勢手段とを含むものとされ、且つ、前記ハンドルバーに固定され得るとともに、前記揺動軸を回転可能に支持するホルダ部を具備し、前記第1付勢手段及び第2付勢手段は、当該ホルダ部内に取り付けられ、且つ、前記第1付勢手段及び第2付勢手段は、一端部と他端部との間にコイル部を有したねじりコイルばねから成るとともに、前記コイル部が前記揺動軸に挿通した状態でそれぞれ取り付けられ、且つ、前記揺動軸に取り付けられて当該揺動軸と共に回転し得るとともに、前記第1付勢手段及び第2付勢手段の前記一端部を係止する係止部が形成された係止部材を具備し、且つ、前記第1付勢手段は、前記クラッチレバーが初期位置にあるとき、前記他端部が前記ホルダ部に形成された第1当接部に当接した状態とされ、前記クラッチレバーが初期位置から揺動する過程で付勢力を付与するものとされ、且つ、前記第2付勢手段は、前記クラッチレバーが初期位置にあるとき、前記他端部が前記ホルダ部に形成された第2当接部から離間した状態とされ、前記クラッチレバーが前記揺動位置まで揺動すると前記他端部が前記第2当接部に当接するとともに、前記クラッチレバーが当該揺動位置から更に揺動する過程で付勢力を付与することを特徴とする。
【0010】
請求項記載の発明は、請求項記載のクラッチレバー装置において、前記係止部材は、磁石が取り付けられるとともに、前記角度検出手段は、当該磁石からの磁力の変化を検出することにより前記クラッチレバーの揺動角度を検出可能とされたことを特徴とする。
【0016】
請求項記載の発明は、請求項記載のクラッチレバー装置において、前記クラッチレバーが初期位置にあるか否か検出可能な初期位置検出手段を具備したことを特徴とする。
【0017】
請求項記載の発明は、請求項記載のクラッチレバー装置において、前記角度検出手段及び初期位置検出手段は、共通の基板に取り付けられたことを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項1記載のクラッチレバー装置において、前記クラッチレバーが初期位置から揺動する全過程において、前記第1付勢手段による付勢力が前記クラッチレバーに付与され、前記クラッチレバーが前記所定角度揺動した後は、前記第1付勢手段による付勢力に加えて前記第2付勢手段による付勢力が付与されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の発明によれば、クラッチレバーを初期位置に向かって付勢する複数の付勢手段を具備するとともに、当該複数の付勢手段は、少なくとも、クラッチレバーが初期位置から揺動する過程で付勢力を生じさせる第1付勢手段と、クラッチレバーが所定角度揺動した揺動位置から更に揺動する過程で付勢力を生じさせる第2付勢手段とを含むので、操作ワイヤによりクラッチ装置を操作するときの操作感を再現することができ、操作時の違和感を抑制して操作性を向上させることができる。
また、第1付勢手段は、クラッチレバーが初期位置にあるとき、他端部がホルダ部に形成された第1当接部に当接した状態とされ、クラッチレバーが初期位置から揺動する過程で付勢力を付与するものとされ、且つ、第2付勢手段は、クラッチレバーが初期位置にあるとき、他端部がホルダ部に形成された第2当接部から離間した状態とされ、クラッチレバーが揺動位置まで揺動すると他端部が前記第2当接部に当接するとともに、クラッチレバーが当該揺動位置から更に揺動する過程で付勢力を付与するので、操作ワイヤでクラッチ装置を操作する場合の操作感を簡易な構成で再現させることができる。
【0019】
さらに、ハンドルバーに固定され得るとともに、揺動軸を回転可能に支持するホルダ部を具備し、第1付勢手段及び第2付勢手段は、当該ホルダ部内に取り付けられたので、ホルダ部を第1付勢手段及び第2付勢手段の取り付け部品として流用することができ、クラッチレバー装置を小型化することができる。
【0020】
さらに、第1付勢手段及び第2付勢手段は、一端部と他端部との間にコイル部を有したねじりコイルばねから成るとともに、コイル部が揺動軸に挿通した状態でそれぞれ取り付けられたので、クラッチレバー装置をより一層小型化することができる。
【0021】
らに、揺動軸に取り付けられて当該揺動軸と共に回転し得るとともに、第1付勢手段及び第2付勢手段の一端部を係止する係止部が形成された係止部材を具備したので、第1付勢手段及び第2付勢手段を安定且つ確実に揺動軸に取り付けることができる。
【0022】
請求項の発明によれば、係止部材は、磁石が取り付けられるとともに、角度検出手段は、当該磁石からの磁力の変化を検出することによりクラッチレバーの揺動角度を検出可能とされたので、係止部材には第1付勢手段及び第2付勢手段に加え、角度検出手段を構成する磁石を取り付けることができ、これら部品を一体化して組み付け性を向上させることができる。
【0028】
請求項の発明によれば、クラッチレバーが初期位置にあるか否か検出可能な初期位置検出手段を具備したので、初期位置検出手段の検出結果と角度検出手段の検出結果とを合わせて監視することにより、故障等の不具合を早期に検出することができるとともに、安全性を向上させることができる。
【0029】
請求項の発明によれば、角度検出手段及び初期位置検出手段は、共通の基板に取り付けられたので、別個の基板にそれぞれ取り付けられるものに比べて、部品点数を削減することができるとともに、メンテナンスを容易とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の第1の実施形態に係るクラッチレバー装置の外観を示す3面図
図2】同クラッチレバー装置の外観を示す斜視図
図3図1におけるIII-III線断面図
図4図1におけるIV-IV線断面図
図5】同クラッチレバー装置を示す分解斜視図
図6】同クラッチレバー装置における係止部材に揺動軸、第1付勢手段及び第2付勢手段が取り付けられた状態を示す3面図
図7図6におけるVII-VII線断面図
図8図6におけるVIII-VIII線断面図
図9】同クラッチレバー装置におけるクラッチレバーが初期位置にあるときの第1付勢手段の組み付け状態を示す断面図
図10】同クラッチレバー装置におけるクラッチレバーが初期位置にあるときの第2付勢手段の組み付け状態を示す断面図
図11】同クラッチレバー装置におけるクラッチレバーの揺動角度と第1付勢手段及び第2付勢手段の付勢力との関係を示すグラフ
図12】本発明の第2の実施形態に係るクラッチレバー装置の外観を示す3面図
図13】同クラッチレバー装置の取付部材を示す平面図及び側面図
図14図13におけるXIV-XIV線断面図
図15図13におけるXV-XV線断面図
図16】同クラッチレバー装置を示す分解斜視図
図17】同クラッチレバー装置における回転部材(第1回転部材)を示す斜視図
図18】同クラッチレバー装置における回転部材(第2回転部材)を示す斜視図
図19】同クラッチレバー装置における連動部材に磁石が取り付けられた状態を示す斜視図
図20】同クラッチレバー装置におけるケース部材を示す平面図及び側面図
図21】同クラッチレバー装置における第1回転部材及び第2回転部材の位置関係を示す図であって、(a)クラッチレバーが初期位置にある状態(b)クラッチレバーが所定角度揺動した状態を示す模式図
図22】同クラッチレバー装置における第1回転部材に操作ワイヤWの先端部及び第2回転部材が組み付けられた状態を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
第1の実施形態に係るクラッチレバー装置1は、クラッチレバーの揺動角度に応じて車両に搭載されたクラッチ装置を操作可能なもので、図1~5に示すように、クラッチレバー2と、ホルダ部3と、係止部材4と、磁気センサ7(角度検出手段)と、ホールIC素子8(初期位置検出手段)と、第1付勢手段9と、第2付勢手段10とを具備して構成されている。
【0032】
クラッチレバー2は、車両が具備するハンドルバーH(図1参照)の先端側(通常は左側先端部)に設けられ、揺動軸Laを中心に揺動操作可能なもので、運転者が把持して揺動操作可能な把持部2aと、揺動軸Laを挿通可能な挿通孔2baが形成された基端部2bとを有して構成されている。かかる基端部2bは、図4に示すように、挿通孔2baに第1ホルダ部3aの挿通孔3acを合致させるとともに、これら挿通孔2ba及び挿通孔3acに亘って軸部材Laが挿通して組み付けられており、第1ホルダ部3aに対して基端部2bが揺動軸Laを中心として揺動し得るようになっている。なお、揺動軸Laは、基端部2bの挿通孔2baに挿通されるとともに、両端が基端部2bに固定されており、クラッチレバー2の揺動操作に伴って軸周りに回転し得るようになっている。
【0033】
また、本実施形態に係るクラッチレバー2は、先端側の把持部2aと基端側の基端部2bとが調整軸Lbを介して連結されており、基端部2bに挿通された揺動軸Laを中心としてホルダ部3に対して把持部2a及び基端部2bが一体的に揺動可能とされている。なお、把持部2aと基端部2bとの連結部には、位置決め操作部Nが取り付けられており、当該位置決め操作部Nを操作することにより、基端部2bに対して把持部2aが調整軸Lbを中心として回動することができ、基端部2bに対する把持部2aの取り付け角度を任意に調整し得るようになっている。
【0034】
ホルダ部3は、ハンドルバーH(図1参照)に固定され得るとともに、既述のように挿通孔3acに挿通した揺動軸Laを回転可能に支持するものである。具体的には、ホルダ部3は、揺動軸Laを回転可能に支持する第1ホルダ部3aと、ボルトBにより第1ホルダ部3aに連結される第2ホルダ部3bとを有して構成されており、これら第1ホルダ部3a及び第2ホルダ部3bがハンドルバーHを挟んでボルトBにより連結される際に当該ハンドルバーHの外周面を締め上げて固定可能とされている。なお、第1ホルダ部3aには、図2、3に示すように、保護プレートRが取り付けられており、かかる保護プレートRにより、ゴミ等の異物の噛み込みの防止及び外部磁気の影響の抑制を図ることができる。
【0035】
係止部材4は、図5~8に示すように、揺動軸Laに取り付けられて当該揺動軸Laと共に回転し得るとともに、第1付勢手段9及び第2付勢手段10の一端部aを係止する係止部4aa、4baが形成されたものである。本実施形態に係る係止部材4は、第1係止部材4aと第2係止部材4bとを有するとともに、これら第1係止部材4a及び第2係止部材4bが揺動軸Laに対して軸方向に組み合わせて取り付けられている。
【0036】
また、本実施形態に係る係止部材4においては、第1係止部材4aに第1付勢手段9が取り付けられるとともに、第2係止部材4bに第2付勢手段10が取り付けられている。そして、第1係止部材4aには、第1付勢手段9の一端部aを係止するための切欠きから成る係止部4aaが形成されるとともに、第2係止部材4bには、第2付勢手段10の一端部aを係止するための切欠きから成る係止部4baが形成されている。
【0037】
さらに、係止部材4(本実施形態においては第1係止部材4a)には、磁気センサ7(角度検出手段)により磁力の変化を検出させ得る磁石Mが取り付けられている。これにより、クラッチレバー2を揺動操作すると、第1ホルダ部3a内において、揺動軸Laと共に、係止部材4(第1係止部材4a及び第2係止部材4b)、第1付勢手段9及び第2付勢手段10、並びに磁石Mが一体的に回転するようになっている。
【0038】
磁気センサ7(角度検出手段)は、クラッチレバー2の揺動角度を検出可能なもので、本実施形態においては係止部材4に取り付けられた磁石Mからの磁力の変化を検出することによりクラッチレバー2の揺動角度を検出可能とされている。本実施形態に係る磁気センサ7は、基板6に取り付けられた状態で収容ケース5(図5参照)に収容されるとともに、図4に示すように、第1ホルダ部3aに取り付けられている。
【0039】
具体的には、磁気センサ7は、磁石Mの磁場変化(磁束密度の変化)に応じた出力電圧を得ることができるもので、例えばホール効果を利用した磁気センサであるホール素子(具体的には、磁石Mの磁場(磁束密度)に比例した出力電圧を得ることができるリニアホールIC)等により構成されている。そして、クラッチレバー2の揺動操作に伴って揺動軸La及び係止部材4が回転し、その回転角度に応じて係止部材4に保持された磁石Mが回動すると、磁気センサ7で検出される磁場が変化するので、当該回転角度に応じた出力電圧を得ることができる。
【0040】
これにより、磁気センサ7で検出された出力電圧に基づきクラッチレバー2の揺動角度を検出することができるので、当該揺動角度に応じて車両に搭載されたクラッチ装置(不図示)を操作することができる。例えば、クラッチレバー2が初期位置から所定角度揺動したことを検知すると、クラッチ装置に配設されたアクチュエータを作動させてクラッチをオン(例えばクラッチ板を接続)させ、駆動輪に対して駆動源の動力を伝達させることができる。なお、図中符号hは、基板6と車両側の所望電装品とを電気的に接続可能な配線を示している。
【0041】
さらに、本実施形態に係る基板6には、図5に示すように、磁気センサ7(角度検出手段)に加え、ホールIC素子8(初期位置検出手段)が取り付けられている。かかるホールIC素子8は、クラッチレバー2が初期位置にあるか否か検出可能なセンサから成り、例えば磁石Mの磁力によって、クラッチレバー2が初期位置にあるとき電気的にオフ状態とされるとともに、クラッチレバー2が揺動位置にあるとき電気的にオン状態とされて、初期位置のクラッチレバー2を検出可能とされている。このように、本実施形態に係る磁気センサ7及びホールIC素子8は、共通の基板6に取り付けられている。
【0042】
第1付勢手段9及び第2付勢手段10は、クラッチレバー2を初期位置に向かって付勢するもので、図5~8に示すように、一端部aと他端部bとの間にコイル部cを有したねじりコイルばねから成るとともに、コイル部cが係止部材4を介して揺動軸Laに挿通した状態でそれぞれ取り付けられている。具体的には、第1付勢手段9は、第1係止部材4aに対してコイル部cを挿通させて取り付けられ、その一端部aが係止部4aaに係止されるとともに、第2付勢手段10は、第2係止部材4bに対してコイル部cを挿通させて取り付けられ、その一端部aが係止部4baに係止されている。すなわち、図3、4に示すように、揺動軸Laの一方の端側に第1付勢手段9が取り付けられ、揺動軸Laの他方の端側に第2付勢手段10が取り付けられており、揺動軸Laを介してクラッチレバー2に対してそれぞれ付勢力を付与し得るようになっている。
【0043】
ここで、本実施形態に係る第1付勢手段9は、クラッチレバー2が初期位置から揺動する過程(揺動開始直後から)で付勢力を生じさせるよう組み付けられるとともに、第2付勢手段10は、クラッチレバー2が所定角度揺動した揺動位置から更に揺動する過程で付勢力を生じさせるよう組み付けられている。すなわち、図11に示すように、クラッチレバー2が初期位置から揺動する全過程において、第1付勢手段9による付勢力がクラッチレバー2に付与され、クラッチレバー2が所定角度α揺動した後は、第1付勢手段9による付勢力に加えて第2付勢手段10による付勢力が付与されるようになっている。
【0044】
具体的には、第1付勢手段9は、クラッチレバー2が初期位置にあるとき、図9に示すように、他端部bがホルダ部3(第1ホルダ部3a)に形成された第1当接部3aaに当接した状態とされ、クラッチレバー2が初期位置から揺動する過程で付勢力を付与するものとされ、且つ、第2付勢手段10は、クラッチレバー2が初期位置にあるとき、図10に示すように、他端部bがホルダ部3(第1ホルダ部3a)に形成された第2当接部3abから寸法tだけ離間した状態とされ、クラッチレバー2が揺動位置(所定角度揺動した位置)まで揺動すると他端部bが第2当接部3abに当接するとともに、クラッチレバー2が当該揺動位置から更に揺動する過程で付勢力を付与するよう構成されている。
【0045】
これにより、図11に示すように、クラッチレバー2を初期位置から所定角度αまで揺動操作するまでの間、第1付勢手段9の付勢力が揺動軸Laを介してクラッチレバー2に付与され、従来の操作ワイヤでクラッチ装置を操作するものにおける操作ワイヤの遊びによる操作抵抗を再現することができるとともに、クラッチレバー2を所定角度αから更に揺動操作すると、第1付勢手段9及び第2付勢手段10の両方の付勢力が揺動軸Laを介してクラッチレバー2に付与されることとなり、従来の操作ワイヤでクラッチ操作を操作する操作抵抗を再現することができる。
【0046】
本実施形態においては、第1付勢手段9及び第2付勢手段10の付勢力は略同一とされているが、例えばねじりコイルばねの巻き数や線材の径等が異なる異なった付勢力を付与し得るものであってもよい。さらに、本実施形態においては、第1付勢手段9及び第2付勢手段10の2つの付勢手段を有して構成されているが、これら付勢手段に加えて、他の付勢手段を具備するもの(すなわち、3つ以上の複数の付勢手段を具備するもの)としてもよい。
【0047】
本実施形態によれば、クラッチレバー2を初期位置に向かって付勢する複数(本実施形態においては2つ)の付勢手段を具備するとともに、当該複数の付勢手段は、少なくとも、クラッチレバー2が初期位置から揺動する過程で付勢力を生じさせる第1付勢手段9と、クラッチレバー2が所定角度揺動した揺動位置から更に揺動する過程で付勢力を生じさせる第2付勢手段10とを含むので、操作ワイヤによりクラッチ装置を操作するときの操作感を再現することができ、操作時の違和感を抑制して操作性を向上させることができる。
【0048】
また、ハンドルバーHに固定され得るとともに、揺動軸Laを回転可能に支持するホルダ部3を具備し、第1付勢手段9及び第2付勢手段10は、当該ホルダ部3(本実施形態においては第1ホルダ部3a)内に取り付けられたので、ホルダ部3を第1付勢手段9及び第2付勢手段10の取り付け部品として流用することができ、クラッチレバー装置1を小型化することができる。
【0049】
さらに、本実施形態に係る第1付勢手段9及び第2付勢手段10は、一端部aと他端部bとの間にコイル部cを有したねじりコイルばねから成るとともに、コイル部cが揺動軸Laに挿通した状態でそれぞれ取り付けられたので、クラッチレバー装置1をより一層小型化することができる。
【0050】
またさらに、揺動軸Laに取り付けられて当該揺動軸Laと共に回転し得るとともに、第1付勢手段9及び第2付勢手段10の一端部aを係止する係止部(4aa、4ba)が形成された係止部材4を具備したので、第1付勢手段9及び第2付勢手段10を安定且つ確実に揺動軸Laに取り付けることができる。また、揺動軸La、係止部材4、第1付勢手段9及び第2付勢手段10を一体化して組み付け性を向上させることができる。
【0051】
さらに、本実施形態に係る係止部材4は、磁石Mが取り付けられるとともに、角度検出手段(磁気センサ7)は、当該磁石Mからの磁力の変化を検出することによりクラッチレバー2の揺動角度を検出可能とされたので、係止部材4には第1付勢手段9及び第2付勢手段10に加え、角度検出手段(磁気センサ7)にて磁力の変化を検出させ得る磁石Mを取り付けることができ、これら部品を一体化して組み付け性を向上させることができる。
【0052】
加えて、第1付勢手段9は、クラッチレバー2が初期位置にあるとき、他端部bがホルダ部3に形成された第1当接部3aaに当接した状態とされ、クラッチレバー2が初期位置から揺動する過程で付勢力を付与するものとされ、且つ、第2付勢手段10は、クラッチレバー2が初期位置にあるとき、他端部bがホルダ部3に形成された第2当接部3abから離間した状態とされ、クラッチレバー2が揺動位置まで揺動すると他端部bが第2当接部3abに当接するとともに、クラッチレバー2が当該揺動位置から更に揺動する過程で付勢力を付与するので、操作ワイヤでクラッチ装置を操作する場合の操作感を簡易な構成で再現させることができる。
【0053】
また、クラッチレバー2が初期位置にあるか否か検出可能なホールIC素子8(初期位置検出手段)を具備したので、ホールIC素子8(初期位置検出手段)の検出結果と磁気センサ7(角度検出手段)の検出結果とを合わせて監視することにより、故障等の不具合を早期に検出することができるとともに、安全性を向上させることができる。例えば、ホールIC素子8(初期位置検出手段)でクラッチレバー2が初期位置でないにも関わらず磁気センサ7(角度検出手段)で揺動角度が検出されない場合は故障等の不具合と判定することができるとともに、ホールIC素子8(初期位置検出手段)でクラッチレバー2が初期位置にないことを検出したことを条件として車両のエンジン始動を許可することにより安全性を向上させることができる。
【0054】
さらに、本実施形態に係る磁気センサ7(角度検出手段)及びホールIC素子8(初期位置検出手段)は、共通の基板6に取り付けられたので、別個の基板にそれぞれ取り付けられるものに比べて、部品点数を削減することができるとともに、メンテナンスを容易とすることができる。なお、別個の基板にそれぞれ磁気センサ7(角度検出手段)及びホールIC素子8(初期位置検出手段)を取り付けるようにしてもよい。
【0055】
次に、本発明に係る第2の実施形態について説明する。
本実施形態に係るクラッチレバー装置1’は、第1の実施形態と同様、クラッチレバー2の揺動角度に応じて車両に搭載されたクラッチ装置を操作可能なもので、図12~16に示すように、クラッチレバー2と、ホルダ部3と、回転部材12と、連動部材13と、磁気センサ7(角度検出手段)と、第1付勢手段9と、第2付勢手段10とを具備して構成されている。なお、第1の実施形態と同様の構成部品には、同一の符号を付し、それらの詳細な説明を省略する。
【0056】
本実施形態に係るクラッチレバー2は、第1の実施形態と同様に把持部2a及び基端部2bを有して構成され、ホルダ部3に対して揺動軸Laを中心として揺動可能とされたもので、ホルダ部3内には第1実施形態の如き係止部材4、第1付勢手段9及び第2付勢手段10等が配設されていない。また、本実施形態に係るクラッチレバー2には、操作ワイヤWの基端部Waが接続されており、当該クラッチレバー2の揺動に伴って操作ワイヤWが引っ張られるようになっている。
【0057】
操作ワイヤWの先端側には、車両の任意部位(例えば、ハンドルバーHの所定位置)に固定可能な取付部材11が接続されている。かかる取付部材11は、操作ワイヤWの先端部Wbと連結され、当該操作ワイヤWが引っ張られることにより回転軸(本実施形態においては突出部15a)を中心に回転可能な回転部材12と、回転部材12に取り付けられる連動部材13と、回転部材を回転可能に収容するケース部材14と、収容部材15と、蓋部材16とを有して構成されている。
【0058】
回転部材12は、図16、21、22に示すように、操作ワイヤWの先端部Wbと連結された第1回転部材12aと、第1回転部材12aが所定角度回転した状態から当該第1回転部材12aと共に回転可能な第2回転部材12bとを有して構成されている。第1回転部材12aは、図17に示すように、操作ワイヤWの先端部Wbを連結可能な取付凹部12aaと、収容部材15の環状突出部15aを嵌合可能な嵌合凹部12abと、第2回転部材12bを回転自在に取付可能な環状突出部12acと、第2回転部材12bの当接部12bbと当接可能な凸部12adとを有して構成されている。
【0059】
第2回転部材12bは、図18に示すように、円形状に開口した中心孔12baと、折り曲げ加工により形成された当接部12bbとを有した略円環状板材から成り、中心孔12baを第1回転部材12aの環状突出部12acに嵌合させて取り付けられている。すなわち、第2回転部材12bは、図21、22に示すように、第1回転部材12aの環状突出部12acに嵌合して組み付けられており、第1回転部材12aとは独立して回転可能とされている。
【0060】
連動部材13は、図19に示すように、磁石Mが取り付けられた円筒状部材から成り、回転軸Lc(図15、16参照)を挿通可能な中心孔13aと、連結ピンP(図16参照)を挿通可能な挿通孔13bとが形成されている。かかる連動部材13は、図15に示すように、収容部材15の環状突出部15a内に嵌め込まれ、回転軸Lcを中心として回転可能とされるとともに、連結ピンPによって連結され、第1回転部材12aと共に回転し得るよう構成されている。
【0061】
収容部材15は、磁気センサ7が形成された基板6が取り付けられており、第1回転部材12aが回転するのに伴って連動部材13が収容部材15の環状突出部15a内において回転軸Lcを中心として回転すると、連動部材13に取り付けられた磁石Mからの磁力の変化が磁気センサ7によって検出可能とされている。なお、本実施形態に係る磁気センサ7は、回転軸Lcの延長線上に配設されており、磁石Mの磁力の変化を検出することにより、連動部材13及び第1回転部材12aの回転角度を検出し得るようになっている。
【0062】
ケース部材14は、図14、15、20に示すように、蓋部材16が取り付けられて開口側を塞ぐことにより内部に回転部材12を回転可能に収容する収容空間が形成されるとともに、その底面に収容部材15の環状突出部15aを挿通して組み付け得る挿通孔14aが形成されている。すなわち、ケース部材14は、回転部材12を収容するとともに、収容部材15が挿通孔14aを介して組み付けられており、連結ピンPを介して第1回転部材12aの回転力を連動部材13に伝達して回転させ得るようになっている。
【0063】
第1付勢手段9及び第2付勢手段10は、第1の実施形態と同様、回転部材12及び操作ワイヤWを介してクラッチレバー2を初期位置に向かって付勢するもので、図15、21、22に示すように、一端部aと他端部bとの間にコイル部cを有したねじりコイルばねから成るとともに、コイル部cが回転部材12(本実施形態においては、第1回転部材12aの環状突出部12ac)に取り付けられた状態でケース部材14内に収容されている。
【0064】
ここで、本実施形態に係る回転部材12は、既述のように、操作ワイヤWの先端部Wbと連結された第1回転部材12aと、第1回転部材12aが所定角度回転した状態から当該第1回転部材12aと共に回転可能な第2回転部材12bとを有して構成され、第1付勢手段9が第1回転部材12aに取り付けられて当該第1回転部材12aの回転に伴って付勢力を付与するとともに、第2付勢手段10が第2回転部材12bに取り付けられて当該第2回転部材12bの回転に伴って付勢力を付与するようになっている。
【0065】
具体的には、第2回転部材12bは、図21(a)及び図22に示すように、当接部12bbが第1回転部材12aの凸部12adと所定寸法tだけ離間した状態で取り付けられており、クラッチレバー2を初期位置から所定角度α(図11参照)まで揺動操作するまでの間、第1回転部材12aが操作ワイヤWに引っ張られ、第1付勢手段9による付勢力を受けつつケース部材14内で回転する一方、第2回転部材12bは回転しない状態が維持される。
【0066】
そして、クラッチレバー2が揺動位置(所定角度揺動した位置)まで揺動すると、図21(b)に示すように、凸部12adが当接部12bbに当接することとなり、その後、クラッチレバー2が当該揺動位置から更に揺動すると、第2回転部材12bは第1回転部材12aと共に回転し、その回転時に第2付勢手段10から付勢力が付与されることとなる。すなわち、図11に示すように、クラッチレバー2が初期位置から揺動する全過程において、第1付勢手段9による付勢力がクラッチレバー2に付与され、クラッチレバー2が所定角度α揺動した後は、第1付勢手段9による付勢力に加えて第2付勢手段10による付勢力が付与されるようになっている。
【0067】
これにより、図11に示すように、クラッチレバー2を初期位置から所定角度αまで揺動操作するまでの間、第1付勢手段9の付勢力が回転部材12及び操作ワイヤWを介してクラッチレバー2に付与され、従来の操作ワイヤでクラッチ装置を操作するものにおける操作ワイヤの遊びによる操作抵抗を再現することができるとともに、クラッチレバー2を所定角度αから更に揺動操作すると、第1付勢手段9及び第2付勢手段10の両方の付勢力が回転部材12及び操作ワイヤWを介してクラッチレバー2に付与されることとなり、従来の操作ワイヤでクラッチ操作を操作する操作抵抗を再現することができる。
【0068】
本実施形態においては、第1付勢手段9及び第2付勢手段10の付勢力は略同一とされているが、例えばねじりコイルばねの巻き数や線材の径等が異なる異なった付勢力を付与し得るものであってもよい。さらに、本実施形態においては、第1付勢手段9及び第2付勢手段10の2つの付勢手段を有して構成されているが、これら付勢手段に加えて、他の付勢手段を具備するもの(すなわち、3つ以上の複数の付勢手段を具備するもの)としてもよい。
【0069】
本実施形態によれば、クラッチレバー2を初期位置に向かって付勢する複数(本実施形態においては2つ)の付勢手段を具備するとともに、当該複数の付勢手段は、少なくとも、クラッチレバー2が初期位置から揺動する過程で付勢力を生じさせる第1付勢手段9と、クラッチレバー2が所定角度揺動した揺動位置から更に揺動する過程で付勢力を生じさせる第2付勢手段10とを含むので、操作ワイヤによりクラッチ装置を操作するときの操作感を再現することができ、操作時の違和感を抑制して操作性を向上させることができる。
【0070】
また、クラッチレバー2の揺動に伴って引っ張られる操作ワイヤWの先端部Wbと連結され、当該操作ワイヤWが引っ張られることにより回転軸(環状突出部15a)を中心に回転可能な回転部材12と、回転部材12を回転可能に収容するケース部材14とを具備した取付部材11を有し、磁気センサ7(角度検出手段)が回転部材12の回転角度を検出することによりクラッチレバー2の揺動角度を検出可能とされるとともに、第1付勢手段9及び第2付勢手段10は、回転部材12に取り付けられた状態でケース部材14に収容されたので、従来のクラッチレバーを流用することができ、且つ、操作ワイヤによりクラッチ装置を操作するときの操作感を再現することができ、操作時の違和感を抑制して操作性を向上させることができる。
【0071】
さらに、本実施形態に係る第1付勢手段9及び第2付勢手段10は、一端部aと他端部bとの間にコイル部cを有したねじりコイルばねから成るとともに、コイル部cが回転部材12(具体的には、第1回転部材12aの環状突出部12ac)に挿通した状態でそれぞれ取り付けられたので、取付部材11を小型化することができる。
【0072】
またさらに、本実施形態に係る回転部材12は、操作ワイヤWの先端部Wbと連結された第1回転部材12aと、第1回転部材12aが所定角度回転した状態から当該第1回転部材12aと共に回転可能な第2回転部材12bとを有して構成され、第1付勢手段9が第1回転部材12aに取り付けられて当該第1回転部材12aの回転に伴って付勢力を付与するとともに、第2付勢手段10が第2回転部材12bに取り付けられて当該第2回転部材12bの回転に伴って付勢力を付与するので、操作ワイヤでクラッチ装置を操作する場合の操作感を簡易な構成で再現させることができる。
【0073】
加えて、本実施形態に係る第1回転部材12aは、連動部材13を介して磁石Mが取り付けられるとともに、磁気センサ7(角度検出手段)は、当該磁石Mからの磁力の変化を検出することによりクラッチレバー2の揺動角度を検出可能とされたので、第1回転部材12aの回転角度を精度よく検出してクラッチレバー2の揺動角度を精度よく検出することができる。
【0074】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、第1付勢手段9及び第2付勢手段10をねじりコイルばねとは異なる同種の付勢部材(コイルスプリング等)、或いはねじりコイルばねを含む異種の付勢部材(コイルスプリングとねじりコイルばね等)としてもよい。また、本実施形態に係る角度検出手段は、揺動軸Laや回転部材12と共に回転する磁石Mの磁力の変化を検出してレバー2の揺動角度を検出し得るよう構成されているが、他の形態の検出センサ(非接触式及び接触式含む)であってもよい。なお、本実施形態においては、二輪車のクラッチレバーに適用しているが、車両が具備するハンドルバーHの先端側に設けられるものであれば、他の形態の車両に適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0075】
クラッチレバーを初期位置に向かって付勢する複数の付勢手段を具備するとともに、当該複数の付勢手段は、少なくとも、クラッチレバーが初期位置から揺動する過程で付勢力を生じさせる第1付勢手段と、クラッチレバーが所定角度揺動した揺動位置から更に揺動する過程で付勢力を生じさせる第2付勢手段とを含むクラッチレバー装置であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0076】
1、1’ クラッチレバー装置
2 クラッチレバー
2a 把持部
2b 基端部
2ba 挿通孔
3 ホルダ部
3a 第1ホルダ部
3aa 第1当接部
3ab 第2当接部
3ac 挿通孔
3b 第2ホルダ部
4 係止部材
4a 第1係止部材
4aa 係止部
4b 第2係止部材
4ba 係止部
5 収容ケース
6 基板
7 磁気センサ(角度検出手段)
8 ホールIC素子(初期位置検出手段)
9 第1付勢手段
10 第2付勢手段
11 取付部材
12 回転部材
12a 第1回転部材
12aa 取付凹部
12ab 嵌合凹部
12ac 環状突出部
12ad 凸部
12b 第2回転部材
12ba 中心孔
12bb 当接部
13 連動部材
13a 中心孔
13b 挿通孔
14 ケース部材
14a 挿通孔
15 収容部材
15a 環状突出部
16 蓋部材
H ハンドルバー
La 揺動軸
Lb 調整軸
Lc 回転軸
B 取付ボルト
M 磁石
a 一端部
b 他端部
c コイル部
W 操作ワイヤ
Wa 一端部
Wb 他端部
P 連結ピン
N 位置決め操作部
R 保護プレート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22