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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-31
(45)【発行日】2023-11-09
(54)【発明の名称】管路補修装置
(51)【国際特許分類】
   F16L 55/1645 20060101AFI20231101BHJP
   F16L 55/18 20060101ALI20231101BHJP
   B05B 7/24 20060101ALI20231101BHJP
【FI】
F16L55/1645
F16L55/18 Z
B05B7/24
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019159754
(22)【出願日】2019-09-02
(65)【公開番号】P2021038780
(43)【公開日】2021-03-11
【審査請求日】2022-08-05
(73)【特許権者】
【識別番号】899000068
【氏名又は名称】学校法人早稲田大学
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114524
【弁理士】
【氏名又は名称】榎本 英俊
(72)【発明者】
【氏名】石井 裕之
(72)【発明者】
【氏名】柴田 尚樹
(72)【発明者】
【氏名】今野 実
(72)【発明者】
【氏名】浅川 正俊
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 文也
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 湧也
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-294191(JP,A)
【文献】特開2010-024671(JP,A)
【文献】特開平06-091207(JP,A)
【文献】特開2018-065356(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 55/1645
F16L 55/18
B05B 7/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管路内に存在する補修箇所に所定の補修剤を付着させる管路補修装置において、
前記管路内に挿入され、前記補修箇所に前記補修剤を噴射する噴射ユニットと、当該噴射ユニットに所定の気体を供給する送気手段とを備え、
前記噴射ユニットは、前記補修剤が貯蔵されるタンク本体を含む補修剤タンクと、当該補修剤タンクに繋がって前記補修剤を噴射可能な噴射用ノズルとを備え、
前記送気手段は、前記管路の外部に配置され、前記気体を生成するアクチュエータユニットと、当該アクチュエータユニットで生成された前記気体の一部を前記噴射用ノズルに導くノズル用ホースと、当該ノズル用ホースの内部に収容され、前記気体の残りを前記タンク本体に導くタンク用ホースとを備え、
前記噴射用ノズルは、前記ノズル用ホースの内部に収容された前記タンク本体の端部に連なる補修剤流路と、当該補修剤流路の回りを囲むように配置されるとともに、前記ノズル用ホースの端部に接続され、前記補修剤を外部に噴射する外部噴射口が外周側に形成されたカバーとからなり、前記タンク用ホースから前記タンク本体に供給される前記気体の圧力により、当該タンク本体からの前記補修剤を前記カバーの内部に吐出させながら、当該補修剤を前記ノズル用ホースから供給される他の前記気体に混合した上で外部に噴射可能に構成されることを特徴とする管路補修装置。
【請求項2】
前記送気手段は、前記気体として、前記タンク本体の前記補修剤を前記噴射用ノズルに向かって押し出すように前記タンク本体に供給されるタンク用気体と、前記噴射用ノズルで前記補修剤と混合させるために前記噴射用ノズルに供給される噴射用気体とをそれぞれ独立して送気可能に構成されることを特徴とする請求項1記載の管路補修装置。
【請求項3】
前記送気手段では、前記補修剤の粘性に応じて、前記タンク用気体及び前記噴射用気体の圧力が調整されることを特徴とする請求項2記載の管路補修装置。
【請求項4】
前記噴射ユニットに回転力を付与する駆動手段を更に備え
記駆動手段は、前記外部噴射口を前記補修箇所に相対させるように、前記管路の管軸回りに前記噴射ユニットを回転可能に構成されることを特徴とする請求項1、2又は3記載の管路補修装置。
【請求項5】
前記噴射ユニットに回転力を付与する駆動手段を更に備え
記駆動手段は、前記外部噴射口から前記補修剤が噴射されている状態で、前記管路の管軸回りに前記噴射ユニットを回転可能に構成されることを特徴とする請求項1、2又は3記載の管路補修装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管路の一部に発生した穿孔部分やクラック等の損傷部分を補修するための管路補修装置に係り、更に詳しくは、管路の内部から接着剤等の補修剤を損傷部分に付着させる管路補修装置に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、従来のスクラップ・アンド・ビルド型の社会から、ストック活用型社会への転換の必要性が叫ばれている。この一環として、インフラや住宅のメンテナンスを効率的に実施するためのロボット技術へのニーズが高まっている。そこで、本発明者らは、建物内での都市ガスの配管に用いられて複雑な形状を有するフレキ管と呼ばれる管路をその内部から補修可能にするロボット等の装置の研究開発に取り組んでいる。
【0003】
ところで、道路下の本支管から建物内に引き込まれた都市ガスは、各住戸に設置されたガスメータ以降、フレキ管を介して、調理器、給湯器、冷暖房機器等に供給される。フレキ管は、湾曲加工が容易であるため、建物の床下や壁内等に複雑な形状で埋設される場合が多い。このため、フレキ管の修理や交換のためには、壁や床板を壊す必要があり、相応の時間や手間と費用が掛かる。
【0004】
そこで、経年劣化等により管路に形成された穿孔部分等の損傷部分に、管路の内面から所定材料で塗膜を施すことにより、管路の補修を行うライニングと呼ばれる技術が知られている。このライニングとしては、例えば、特許文献1に示されるように、管路内に挿入されるチューブの先端側にバルーン状のライニング材を装着し、補修箇所付近で、外部からの空気の供給によりライニング材を膨出させ、当該ライニング材を管路の内面に付着させて穿孔部分等を管路の内側から塞ぐ手法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-155266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記手法に用いられるライニング装置では、管路内に挿入される前にチューブの先端側に装着されたライニング材を1回の補修でしか使えず、管路内の離れた場所に補修箇所が何箇所にも存在するような場合には、膨出部分が広範となる大型のライニング材を用意する必要がある。ところが、複雑な屈曲部分等が多数存在する管路で、複数の補修箇所が離れた場所に存在するような場合には、1度のライニングでの同時補修には限界がある。このような場合には、補修箇所を1箇所ずつライニングすることになり、管路の内外間でのチューブの挿脱作業を何度も行う必要が生じ、チューブを挿入する屋外から補修箇所が離れる程、作業に手間が掛かることになる。そこで、本発明者らは、接着剤等の補修剤が流通するチューブを管路内に挿入し、その先端側を前進させながらチューブを通じて管路内に供給される補修剤を補修箇所に向かって噴射することで、管路内から損傷部分を補修可能な装置の研究を行っている。この際、屋外に配置された補修剤のタンクから、ある程度高い粘性を有する補修剤を管路内の補修箇所に向かって流動させながら噴射する構造にすると、補修剤の流通経路の長さやその屈曲部分等での圧力損失等を考慮する必要があり、補修箇所での噴射制御が難しいという課題がある。この課題は、複雑な管路内における長い経路に沿って、屋外のタンクから補修箇所まで補修剤を供給するような場合に特に顕著となる。
【0007】
本発明は、このような課題を解決するために案出されたものであり、その目的は、簡易な構成により、管路の内側から補修箇所に向かって適切に補修剤を噴射することができる管路補修装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明は、主として、管路内に存在する補修箇所に所定の補修剤を付着させる管路補修装置において、前記管路内に挿入され、前記補修箇所に前記補修剤を噴射する噴射ユニットと、当該噴射ユニットに所定の気体を供給する送気手段とを備え、前記噴射ユニットは、前記補修剤が貯蔵される補修剤タンクと、当該補修剤タンクに繋がって前記補修剤を噴射可能な噴射用ノズルとを備え、前記噴射用ノズルは、前記送気手段から前記補修剤タンクに供給される前記気体の圧力により、前記補修剤タンクからの前記補修剤を内部に吐出させながら、当該補修剤を前記送気手段から供給される他の前記気体に混合した上で外部に噴射可能に構成される、という構成を採っている。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、補修時に管路内に配置される噴射ユニットの一部に、補修剤タンクが設けられており、噴射用ノズルから補修剤を噴射する際に、補修剤タンクから噴射用ノズルへの補修剤の押し出しが、外部からの気体の圧力によって行われるとともに、外部からの気体を使って、噴射用ノズル内の補修剤が外部に噴射される構造をなす。従って、補修剤が貯蔵される補修剤タンクを噴射用ノズルの近傍に配置することができ、補修剤タンクから噴射用ノズルまでの補修剤の流通経路を短くすることができる。これにより、ある程度高い粘性を有する補修剤を長い経路で流動させる必要が無く、流体制御が比較的簡単な気体を使うことで、簡易な構成により、管路の内側から補修箇所に向かって適切に補修剤を噴射することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態に係る管路補修装置の設置例を表す概略図である。
図2】噴射ユニットの概略断面図である。
図3】前記管路補修装置の全体システムを概略的に表したシステム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0012】
図1には、本実施形態に係る管路補修装置の設置例を表す概略図が示されている。この図において、前記管路補修装置10は、家屋の床下Fに配置された管路であるガス管G内に発生した穿孔部分を補修箇所Hとしたときに、先端側からガス管G内に挿入し、所定の接着剤からなる補修剤を補修箇所Hに付着させることで、穿孔部分をガス管Gの内側から塞いで補修するための装置である。
【0013】
前記管路補修装置10は、ガス管G内に挿入され、補修箇所Hに補修剤を噴射する噴射ユニット11と、噴射ユニット11に圧縮空気を供給する送気手段13と、噴射ユニット11をガス管Gの管軸回りに回転させる回転力を付与する駆動手段14と、送気手段13及び駆動手段14を動作制御する制御手段15とを備えている。
【0014】
前記噴射ユニット11は、ガス管G内に挿入される管路補修装置10の部分のうち最も先端側に位置するようになっている。この噴射ユニット11は、補修剤が貯蔵される補修剤タンク16と、補修剤タンク16に繋がって補修剤を外部に噴射可能に最先端側に設けられた噴射用ノズル17とを備えている。
【0015】
前記補修剤タンク16は、図2に示されるように、補修剤を収容する収容空間S1が形成されたタンク本体19と、タンク本体19の同図中右端側となる一端側で着脱自在に取り付けられるキャップ20とを備えている。
【0016】
前記タンク本体19は、ガス管Gの形状に応じて屈曲自在となる樹脂等の柔軟材料からなり、特に限定されるものでないが、本実施形態では、円筒状のウレタンチューブからなる。このタンク本体19の長さを変化させることで、タンク内に貯蔵できる補修剤の量を調整することができる。
【0017】
前記キャップ20は、噴射ユニット11がガス管G内に挿入される前に補修剤をタンク本体19内に充填できるように、タンク本体19に対して着脱自在となっており、噴射ユニット11がガス管G内に挿入された状態では、タンク本体19内の収容空間S1を閉塞するように装着される。また、キャップ20には、補修剤タンク16に装着された際に収容空間S1の内外間を連通する通気路20Aが形成されている。当該通気路20Aは、送気手段13(図1参照)に繋がり、送気手段13から供給されるタンク用空気(タンク用気体)の圧力によって、収容空間S1内の補修剤を噴射用ノズル17側に押し出す方向に流動させるようになっている。
【0018】
前記噴射用ノズル17は、タンク本体19からの補修剤を漏出させずに通過可能となるように、タンク本体19の他端側(図2中左端側)に連なる補修剤流路23と、補修剤流路23の回りを囲むように配置された円筒状のカバー24とからなる。
【0019】
前記補修剤流路23は、先端側に向かって次第に内径が減少する先細管状に設けられており、その先端側には、タンク本体19からの補修剤を吐出させる吐出口23Aが形成されている。この吐出口23Aはカバー24内に配置される。
【0020】
このカバー24は、先端寄りの外周面の一部に、吐出口23Aからの補修剤を外部に噴射するための外部噴射口24Aが形成されている。また、カバー24内における補修剤流路23の外側には、外部噴射口24Aに繋がる空気の流通空間S2が形成されている。この流通空間S2は、吐出口23Aから吐出したタンク本体19からの補修剤が、送気手段13から供給される噴射用空気(噴射用気体)に混合した状態で、外部噴射口24Aから外部に向かって噴射されるように形成されている。なお、この流通空間S2は、外部噴射口24Aを除く部分から噴射用空気が外部に流出しないように、補修剤流路23や後述する各部材が取り付けられる密閉構造をなす。また、外部噴射口24Aは、特に限定されるものではないが、カバー24の外周面における1又は2以上の複数箇所に形成される。
【0021】
前記送気手段13は、図1及び図3に示されるように、噴射ユニット11で利用される圧縮空気を生成する圧縮空気生成部27と、圧縮空気生成部27で生成された圧縮空気の一部となるタンク用空気を補修剤タンク16に導くタンク用ホース28と、同残りの圧縮空気となる噴射用空気を噴射用ノズル17に導くノズル用ホース29を備えて構成されている。
【0022】
前記圧縮空気生成部27は、図3に示されるように、圧縮空気を生成するコンプレッサー27Aと、圧縮空気を一時的に貯蔵する空気タンク27B、空気タンク27Bから二分された圧縮空気について、それぞれ所定の圧力に調整する減圧弁27Cと、圧力調整された圧縮空気の各ホース28,29への供給及び停止を行う電磁弁27Dと、減圧弁27Cの入口及び出口側にそれぞれ配置される圧力計27Eとを含む流体回路からなる。
【0023】
すなわち、圧縮空気生成部27では、コンプレッサー27Aで生成された圧縮空気が2分して送気可能になっており、制御手段15からの指令により、タンク用ホース28及びノズル用ホース29に対し、それぞれ独立して、設定された圧力による圧縮空気の供給及び停止が可能となっている。ここで、タンク用ホース28に供給されるタンク用空気は、その圧力によって、補修剤タンク16の補修剤を補修剤流路23に押し出す方向に流動させて吐出口23Aから吐出させる。また、ノズル用ホース29に供給される噴射用空気は、カバー24の流通空間S2内で、吐出口23Aから吐出された補修剤と混合した上で、空気圧を利用して補修剤を噴射用ノズル17から外部に噴射させる。
【0024】
タンク用ホース28は、通気路20Aに連なるように補修剤タンク16のキャップ20に接続され、ノズル用ホース29は、流通空間S2に連なるようにカバー24に接続される。なお、本実施形態における各ホース28,29は、特に限定されるものではないが、ウレタンチューブからなる。
【0025】
なお、前記送気手段13としては、制御手段15からの指令に基づき、使用される補修剤の粘性に応じて圧縮空気と補修剤の混合状態を調整するように、タンク用ホース28及びノズル用ホース29への圧縮空気の流量、圧力、タイミング等の流れ状態を自動的に調整する構成を採ることもできる。
【0026】
前記駆動手段14は、噴射ユニット11を回転動作させる動力を生成する動力生成部31と、動力生成部31からの動力を噴射ユニット11に伝達可能となるように、キャップ20に一端側が接続されるフレキシブルシャフト32とを備えて構成されている。
【0027】
前記動力生成部31は、図3に示されるように、モータ31A及びモータドライバ31Bを含む電気回路によって構成されており、制御手段15からの指令により、フレキシブルシャフト32を通じて噴射ユニット11に回転トルクを付与するように作動する。具体的に、駆動手段14では、外部噴射口24Aから噴射ユニット11の外部に補修剤が噴射されている状態で噴射ユニット11を回転させる噴射時における回転動作や、補修箇所Hの付近に噴射用ノズル17が位置する状態で、外部噴射口24Aが所望の回転位置になるように、噴射ユニット11を回転させる位置調整時における回転動作等が可能となっている。なお、各ホース28,29とフレキシブルシャフト32の長さを調整することで、ガス管Gの入口部分E(図1参照)から、噴射ユニット11がアクセス可能な管内部分までの長さを変えることができる。
【0028】
前記圧縮空気生成部27及び前記動力生成部31は、噴射ユニット11に所定の動作をさせるアクチュータユニットを構成し、当該アクチュエータユニットは、特に限定されるものではないが、図1に示されるように、前記制御手段15とともにガス管Gの外部となる屋外に配置される。
【0029】
前記制御手段15は、図3に示されるように、マイコン15Aと、電磁弁27Dの駆動回路15B等の処理回路等とからなる。この制御手段15では、図示しないコントローラからの指令により、電磁弁27Dの作動とモータ31Aの駆動が制御されるようになっている。
【0030】
次に、前記管路補修装置10を用いた補修作業の流れについて説明する。
【0031】
先ず、図示しない作業者の手動操作により、ガスメータ等の地上のガス管Gの入口部分Eから噴射ユニット11をガス管G内に挿入し、噴射ユニット11をガス管G内の所望の補修箇所H付近まで移動させる。なお、地上側から直接視認できないガス管Gの補修箇所Hの特定については、種々の態様を採ることができる。例えば、噴射ユニット11等にカメラ(図示省略)を設け、当該カメラからの画像を地上で視認しながら、補修箇所Hを特定する態様がある。その他、噴射ユニット11の前後両側の所定範囲内におけるガス管Gの内部空間を閉塞した上で、噴射用ノズル17から空気のみを噴出させ、前記範囲を変えながら内部空間の圧力をモニタリングすることにより、補修箇所Hを特定する態様もある。
【0032】
補修箇所Hが特定されたら、地上に配置された動力生成部31の駆動により、噴射ユニット11に繋がるフレキシブルシャフト32を回転させ、噴射ユニット11をガス管Gの管軸回りに回転させる。そして、噴射用ノズル17の外部噴射口24Aが補修箇所Hに相対する向きとなるように、噴射ユニット11の位置決めを行う。その後、噴射ユニット11の回転を停止し、地上に配置された圧縮空気生成部27を作動させ、タンク用ホース28及びノズル用ホース29にそれぞれ所望の圧縮空気が独立して供給される。そして、一の管路となるタンク用ホース28からのタンク用空気の圧力により補修剤タンク16内の補修剤が噴射用ノズル17内の外部噴射口24Aの付近まで送られる。その上で、補修剤が別の管路となるノズル用ホース29から送られた噴射用空気と混合され、その空気圧を利用して外部噴射口24Aから補修箇所Hに向かって噴射される。
その他、ガス管Gの管軸方向における補修箇所Hの位置の特定がある程度可能であるものの、その周方向における補修箇所Hの位置の特定が難しい等のような場合には、次のようにして、補修箇所Hの補修が行われる。すなわち、このような場合には、噴射ユニット11を補修箇所H付近まで移動した後で、外部噴射口24Aから補修剤を噴射しながら、噴射ユニット11をガス管Gの管軸回りに回転動作させることにより、ガス管Gの内周面に沿ってリング状に補修剤を塗布する。これにより、補修箇所Hを含むガス管Gの内周面の全周に補修剤が塗布され、ガス管Gに対して補修剤がより広範囲に付着することになり、その乾燥後における剥離抑止効果を高めることができる。
【0033】
以上のように、前記管路補修装置10では、補修剤が収容される補修剤タンク16が、噴射用ノズル17とともに噴射ユニット11内に設けられ、空気圧を利用して補修剤の流動及び噴射が行われる構造となっている。従って、本実施形態によれば、粘度の比較的高い補修剤であっても、補修剤を地上側からガス管G内まで圧送する必要がなく、比較的簡単な構造により、噴射用ノズル17からの補修剤の噴射制御をより確実且つ適切に行うことができるという効果を得る。
【0034】
なお、前記実施形態では、前記管路補修装置10をガス管G内の補修用として利用しているが、本発明はこれに限らず、他の配管等の管路の補修用として利用することも可能である。
【0035】
また、前記実施形態では、管路補修装置10の作動流体として空気を用いているが、本発明はこれに限らず、管路内を流通する流体や補修剤に影響を及ぼさない限りにおいて、他の気体を作動流体として利用することもできる。
【0036】
その他、本発明における装置各部の構成は図示構成例に限定されるものではなく、実質的に同様の作用を奏する限りにおいて、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0037】
10 管路補修装置
11 噴射ユニット
13 送気手段
14 駆動手段
16 補修剤タンク
17 噴射用ノズル
24A 外部噴射口
G ガス管(管路)
H 補修箇所
図1
図2
図3