(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-31
(45)【発行日】2023-11-09
(54)【発明の名称】カード用コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 12/72 20110101AFI20231101BHJP
G06K 7/00 20060101ALI20231101BHJP
【FI】
H01R12/72
G06K7/00 056
(21)【出願番号】P 2019221335
(22)【出願日】2019-12-06
【審査請求日】2022-10-14
(73)【特許権者】
【識別番号】390033318
【氏名又は名称】日本圧着端子製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】槇山 弘毅
【審査官】鎌田 哲生
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-191487(JP,A)
【文献】特開2011-028389(JP,A)
【文献】特開2007-066586(JP,A)
【文献】実開平06-038179(JP,U)
【文献】特開平08-235336(JP,A)
【文献】特開2010-039934(JP,A)
【文献】特開平08-274440(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102157824(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/00-12/91
H01R 24/00-24/86
G06K 7/00- 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードを挿入できる凹部を有するハウジングと、
前記ハウジングの凹部を覆うカバー板と、
前記凹部に配置され、前記カードに設けた接続端子に接続できる複数のコンタクトと、
放熱部を少なくとも有し、前記放熱部を前記凹部の底面に配置した放熱部材と、を備え、
前記放熱部材は、空気層を介して、前記放熱部を前記カードの面に対向配置
しており、
前記ハウジングは、
前記カードの挿入方向に沿って略平行に形成し、対向配置された一対の側壁と、
前記凹部の底面から昇段し、一対の前記側壁に沿って略平行に形成し、前記カードを案内できる一対の段差部と、を有し、
前記放熱部は、一対の前記段差部を介して、前記凹部の底面から一方の前記側壁の内壁に亘り、前記ハウジングの内面を密着自在に覆っており、
前記放熱部材は、前記放熱部と連続し、前記放熱部と対向配置された対向部を更に有し、
前記対向部は、前記カバー板の内壁に当接自在に配置されている、カード用コネクタ。
【請求項2】
前記放熱部は、前記放熱部から延出した放熱片を有し、
前記放熱片をプリント基板にハンダ接合している、請求項1記載のカード用コネクタ。
【請求項3】
前記放熱部材は、前記放熱部を前記凹部の底面に配置した矩形板で構成している、
請求項2記載のカード用コネクタ。
【請求項4】
前記放熱部材は、銅合金板で構成している、
請求項1から3のいずれかに記載のカード用コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カード用コネクタに関する。特に、通電状態のカードに発生した熱を放熱できるカード用コネクタの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、携帯電話機、パソコン、テレビ、ビデオ、デジタルカメラなどの電子機器は、CPU又はメモリ素子などのIC部品を組込んだカードを接続するために、カード用コネクタを搭載している。
【0003】
例えば、カードの厚さがばらついても、カードの正挿入時に確実にカードを装着可能とし、カードの誤挿入を防止することができるカード用コネクタが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1によるカード用コネクタは、ハウジング、スライド部材、及び、ロック部を備えている。ハウジングは、カードを挿入できる凹部を有している。スライド部材は、カードと共にハウジングの内部をカードの挿入方向にスライドできる。ロック部は、スライド部材にハウジングの厚さ方向から係合し、ハウジングに対してスライド部材のスライドをロックできる。
【0005】
又、特許文献1によるカード用コネクタは、挿入位置規制部と底上げ部を備えている。挿入位置規制部は、カードの挿入方向において、カードの正挿入時にカードの挿入によって、ロック部とスライド部材とを離間させてロックを解除可能な解除位置にカードの挿入を許容し、カードの誤挿入時に解除位置へのカードの挿入を阻止できる。底上げ部は、解除位置において、カードのハウジングの厚み方向における位置を、ロック部側に向けて底上げできる。
【0006】
特許文献1によるカード用コネクタの構成によれば、カードの正挿入時には、カードは解除位置への挿入が許容され、カードの誤挿入時には、カードの解除位置への挿入が阻止されるため、カードの誤挿入を防止できる。又、カードの正挿入時には、解除位置において、カードのハウジングの厚さ方向における位置が底上げされるため、カードの厚さにばらつきが生じてもロック部をスライド部材から離間させてロックを解除できる、としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
近年では、電気信号を高速伝送でき、メモリを大容量化したカードが出現している。このようなカードは、電気信号の高速伝送化及びメモリの大容量化に伴って、消費電力が増大することで、通電中のカードが発熱する。カードに発生した熱をカードの外部に放熱することで、電気信号の歪又は異常を抑制できる。
【0009】
しかしながら、特許文献1によるカード用コネクタは、カードの一方の面が熱伝導率の低いステンレス鋼板からなるカバーで覆われると共に、カードの他方の面が空気層を介して、断熱材となる合成樹脂が対向しているので、放熱効果が低いという、問題がある。
【0010】
カードに発生した熱をカードの外部に効果的に放熱することで、電気信号の歪又は異常を抑制できる、放熱効果の高いカード用コネクタが求められている。そして、以上のことが本発明の課題といってよい。
【0011】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、カードに発生した熱をカードの外部に効果的に放熱する、放熱効果の高いカード用コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、カードを挿入できる凹部を有するハウジング、凹部を覆うカバー板、凹部の奥側に配置され、カードに設けた接続端子に接続できる複数のコンタクト、及び、少なくとも放熱部を凹部の底面に配置した放熱部材でカード用コネクタを構成し、空気層を介して、放熱部をカードの面に対向配置すると共に、放熱部から延出した放熱片をプリント基板にハンダ接合することで、カードに発生した熱をカードの外部に効果的に放熱できると考え、これに基づいて、以下のような新たなカード用コネクタを発明するに至った。
【0013】
(1)本発明によるカード用コネクタは、カードを挿入できる凹部を有するハウジングと、前記ハウジングの凹部を覆うカバー板と、前記凹部に配置され、前記カードに設けた接続端子に接続できる複数のコンタクトと、放熱部を少なくとも有し、前記放熱部を前記凹部の底面に配置した放熱部材と、を備え、前記放熱部材は、空気層を介して、前記放熱部を前記カードの面に対向配置している。
【0014】
(2)前記放熱部は、前記放熱部から延出した放熱片を有し、前記放熱片をプリント基板にハンダ接合していることが好ましい。
【0015】
(3)前記ハウジングは、前記カードの挿入方向に沿って略平行に形成し、対向配置された一対の側壁と、前記凹部の底面から昇段し、一対の前記側壁に沿って略平行に形成し、前記カードを案内できる一対の段差部と、を有し、前記放熱部は、一対の前記段差部を介して、前記凹部の底面から一方の前記側壁の内壁に亘り、前記ハウジングの内面を密着自在に覆っていてもよい。
【0016】
(4)前記放熱部材は、前記放熱部と連続し、前記放熱部と対向配置された対向部を更に有し、前記対向部は、前記カバー板の内壁に当接自在に配置されていてもよい。
【0017】
(5)前記放熱部材は、前記放熱部を前記凹部の底面に配置した矩形板で構成していてもよい。
【0018】
(6)前記放熱部材は、銅合金板で構成していることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によるカード用コネクタは、カードを挿入できる凹部を有するハウジング、凹部を覆うカバー板、凹部に配置され、カードに設けた接続端子に接続できる複数のコンタクト、及び、少なくとも放熱部を凹部の底面に配置した放熱部材を備え、空気層を介して、放熱部をカードの面に対向配置することで、カードに発生した熱をカードの外部に効果的に放熱できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の第1実施形態によるカード用コネクタの構成を示す斜視図であり、
図1(A)は、ハウジングをカバー板で覆った状態図、
図1(B)は、ハウジングからカバー板を取り外した状態図である。
【
図2】第1実施形態によるカード用コネクタの構成を示す斜視分解組立図である。
【
図3】第1実施形態によるカード用コネクタの構成を示す図であり、
図3(A)は、カード用コネクタの平面図、
図3(B)は、
図3(A)のA-A矢視断面図である。
【
図4】第1実施形態によるカード用コネクタの構成を示す斜視図であり、カバー板を取り外した状態図である。
【
図5】第1実施形態によるカード用コネクタの構成を示す斜視分解組立図であり、ハウジングと第1実施形態による放熱部材を対向配置した状態図である。
【
図6】第1実施形態によるカード用コネクタの構成を示す平面図及び縦断面図であり、
図6(A)は、カードをカード用コネクタに挿入中の状態図、
図6(B)は、カードがカード用コネクタに嵌合した状態図である。
【
図7】本発明の第2実施形態によるカード用コネクタの構成を示す斜視図であり、
図7(A)は、ハウジングをカバー板で覆った状態図、
図7(B)は、ハウジングからカバー板を取り外した状態図である。
【
図8】第2実施形態によるカード用コネクタの構成を示す斜視分解組立図である。
【
図9】第2実施形態によるカード用コネクタの構成を示す図であり、
図9(A)は、カード用コネクタの平面図、
図9(B)は、
図9(A)のA-A矢視断面図である。
【
図10】第2実施形態によるカード用コネクタの構成を示す斜視図であり、カバー板を取り外した状態図である。
【
図11】第2実施形態によるカード用コネクタの構成を示す斜視分解組立図であり、ハウジングと第2実施形態による放熱部材を対向配置した状態図である。
【
図12】第2実施形態によるカード用コネクタに備わる放熱部材の構成を示す斜視図であり、放熱部材を底部側から観た状態図である。
【
図13】本発明の第3実施形態によるカード用コネクタの構成を示す斜視図であり、
図13(A)は、ハウジングをカバー板で覆った状態図、
図13(B)は、ハウジングからカバー板を取り外した状態図である。
【
図14】第3実施形態によるカード用コネクタの構成を示す図であり、
図14(A)は、カード用コネクタの平面図、
図14(B)は、
図14(A)のA-A矢視断面図である。
【
図15】第3実施形態によるカード用コネクタの構成を示す斜視図であり、カバー板を取り外した状態図である。
【
図16】第3実施形態によるカード用コネクタの構成を示す斜視分解組立図であり、ハウジングと第3実施形態による放熱部材を対向配置した状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
[第1実施形態]
(カード用コネクタの構成)
最初に、本発明の第1実施形態によるカード用コネクタの構成を説明する。
【0022】
(全体構成)
図1から
図6を参照すると、本発明の第1実施形態によるカード用コネクタ(以下、コネクタと略称する)10は、ハウジング1とカバー板2を備えている。又、コネクタ10は、複数のコンタクト3と放熱部材4を備えている。
【0023】
図1から
図6を参照すると、ハウジング1は、カードCを挿入できる凹部11を有している(
図2又は
図5参照)。カバー板2は、ハウジング1の凹部11を覆っている。複数のコンタクト3は、凹部11の奥側に配置されている。これらのコンタクト3は、カードCの端部に設けた接続端子Tcに接続できる(
図1参照)。
【0024】
図1から
図6を参照すると、放熱部材4は、面積が大きい矩形の放熱部41を有している。放熱部材4は、放熱部41を凹部11の底面に配置している。
図6を参照して、カードCをハウジング1の内部に挿入した状態では、放熱部材4は、空気層を介して、カードCの面に対向配置されている。本実施形態では空気層のみを介して放熱部材4に熱を逃がす形状としたが、放熱部41の一部に接触片を形成することでカードCに接触させ、空気層と共に接触片から放熱部材4に熱を伝えてもよい。
【0025】
図1から
図6を参照すると、放熱部材4は、放熱片41sを有している。放熱片41sは、段付き状態で放熱部41から延出している。又、放熱片41sは、凹部11の手前側に配置されている。そして、コネクタ10は、放熱片41sをプリント基板9pにハンダ接合している(
図3(B)参照)。
【0026】
図1から
図6を参照すると、実施形態によるコネクタ10は、空気層を介して、放熱部41をカードCの面に対向配置すると共に、放熱部41から延出した放熱片41sをプリント基板9pにハンダ接合することで、カードCに発生した熱をカードCの外部に効果的に放熱できる。
【0027】
(ハウジングの構成)
次に、実施形態によるハウジング1の構成を説明する。ハウジング1は、絶縁性を有している。絶縁性のハウジングとは、非導電性の材料からなるハウジングのことであってよく、非導電性の合成樹脂を成形して、所望の形状のハウジング1を得ることができる。
【0028】
図2から
図5を参照すると、ハウジング1は、対向配置された一対の側壁1a・1bと奥壁1cを有している。一方の側壁1aと他方の側壁1bは、カードCの挿入方向に沿って略平行に形成している。奥壁1cは、一方の側壁1a及び他方の側壁1bと直交している。又、奥壁1cは、カードCの先端縁と対向している。
【0029】
又、
図4又は
図5を参照すると、ハウジング1は、直条の案内レール1rを有している。案内レール1rは、他方の側壁1b寄りに配置している。又、案内レール1rは、一方の側壁1aと略平行に配置している。案内レール1rは、カードCの他方の側面をスライド自在に案内できると共に、後述するスライド部材E1をスライド自在に案内できる。一対の側壁1a、案内レール1r、及び、奥壁1cで囲われた薄直方体状の空間を「カードCが挿抜される凹部11」と規定できる。
【0030】
図2又は
図5を参照すると、ハウジング1は、矩形の切り欠き1kを凹部11の手前側に切り欠いている。切り欠き1kには、放熱部材4の放熱片41sを配置できる(
図1(B)又は
図4参照)。
【0031】
図2から
図5を参照すると、ハウジング1は、一対の段差部1d・1dを更に形成している。一対の段差部1d・1dは、凹部11の底面から昇段している。一対の段差部1d・1dは、一方の側壁1a及び案内レール1rに沿って略平行に形成している。一対の段差部1d・1dは、カードCを挿入方向に案内できる。
【0032】
図1(B)又は
図3及び
図4を参照すると、放熱部41は、一対の段差部1d・1dを介して、凹部11の底面から一方の側壁1aの内壁に亘り、ハウジング1の内面を密着自在に覆っている。
【0033】
(イジェクト機構の構成)
次に、実施形態によるイジェクト機構Eの構成を説明する。
図1から
図4を参照すると、コネクタ10は、プッシュ・プッシュ形のイジェクト機構Eを他方の側壁1bに備えている。
【0034】
図1から
図4を参照すると、イジェクト機構Eは、帯板状のスライド部材E1を有している。スライド部材E1は、ハウジング1の他方の側壁1bに沿って移動できる。スライド部材E1は、係合爪Enを有している。係合爪Enは、凹部11の他方の端部側から凹部11の中央部に向かって突出している。又、係合爪Enは、カードCの先端縁に当接できる(
図6(A)参照)。
【0035】
図3又は
図4を参照すると、スライド部材E1は、片持ち状の板ばねE2を備えている。板ばねE2は、基端部がスライド部材E1に固定されている。板ばねE2は、スライド部材E1と一体に移動できる。又、板ばねE2は、カードCの他方の側面に弾性をもって付勢するV字状に屈曲された屈曲部を形成している。この屈曲部は、カードCの他方の側面に形成した溝部Cd(
図1参照)に出入り可能に、スライド部材E1の側面から突出している。
【0036】
図3又は
図4及び
図6を参照して、カードCを凹部11に挿入すると、板ばねE2の屈曲部が変形された後に復帰して、屈曲部をカードCの溝部Cdに進入できる(
図1参照)。カードCが凹部11から排出される過程では、板ばねE2の屈曲部がカードCの溝部Cdに係合して、カードCの飛び出しを防止できる。
【0037】
図3又は
図4を参照すると、スライド部材E1は、ハート状のカム溝Ecを表面側に形成している。又、イジェクト機構Eは、圧縮コイルばねE3と案内棒E4を更に有している。
【0038】
図3又は
図4及び
図6を参照すると、圧縮コイルばねE3は、ハウジング1に保持され、スライド部材E1をカードCが排出される方向に力を付勢している。案内棒E4は、その一端部がハート状のカム溝Ecに連結している。又、案内棒E4は、その他端部がハウジング1に回動自在に支持されている。
【0039】
図3又は
図4及び
図6を参照すると、ハート状のカム溝Ecは、行き行程の軌跡と帰り行程の軌跡の分岐点に、V字状に陥没するV字溝を形成している。案内棒E4の一端部がV字溝に係止することにより、圧縮コイルばねE3に付勢されて、カードCの装着位置でスライド部材E1をロックできる(
図6(B)参照)。ハート状のカム溝Ecと案内棒E4で構成するカム装置は、スライド部材E1の一方の停止位置を規定している。
【0040】
図6(B)に示した状態から、カードCを奥壁1cに向かって押すと、ハート状のカム溝EcのV字溝と案内棒E4の一端部と係合が解除される。これにより、圧縮コイルばねE3がスライド部材E1を介して、カードCを付勢することで、カードCをコネクタ10から排出できる。
【0041】
(カバー板の構成)
次に、実施形態によるカバー板2の構成を説明する。
図1又は
図2を参照すると、カバー板2は、金属薄板からなり、展開された金属薄板を成形加工することにより、所望の形状のカバー板2を得ることができる。カバー板2は、導電性の金属薄板からなることが好ましく、例えば、ステンレス板を用いることができる。カバー板2がハウジング1を覆うことにより、シールド(電磁遮蔽)の効果を得ることができる。
【0042】
図1又は
図2を参照すると、カバー板2は、主面板21の両端部を略直角に折り曲げ加工している。そして、カバー板2は、一対の折り曲げ片22・22に複数の略矩形穴22hを開口している。これらの略矩形穴22hは、ハウジング1の一方の側壁1a及び他方の側壁1bに突出する複数のランス11rに係止できる(
図2参照)。
【0043】
又、
図1又は
図2を参照すると、カバー板2は、プリント基板1p(
図3(B)参照)にハンダ接合される複数のリード片2rを設けている。これらのリード片2rがプリント基板1pにはんだ接合されることにより、プリント基板1pとの接合強度を補強でき、これらのリード片2rをプリント基板1pのグラウンドパターンに接地することもできる。
【0044】
図2を参照すると、カバー板2は、一対一組の板ばね片2a・2aを主面板21に有している。板ばね片2aは、カードCがハウジング1の凹部11の底面に向かう力を付勢している。板ばね片2aは、カードCの表面を傷つけないように、比較的弱い力でカードCの表面を付勢している。
【0045】
又、
図2を参照すると、カバー板2は、板ばね片2bを主面板21に有している。板ばね片2bは、案内棒E4がスライド部材E1に形成したカム溝Ecの底面に向かう力を付勢している(
図3又は
図4参照)。
【0046】
(コンタクトの構成)
次に、実施形態によるコンタクト3の構成を説明する。
図1から
図5を参照すると、ハウジング1の凹部11の奥側には、複数のコンタクト3を並設配置している。これらのコンタクト3は、コネクタ10が実装されるプリント基板1pとカードCに設けた接続端子Tcとを電気的に接続できる(
図1(B)又は
図3(B)参照)。
【0047】
図1から
図5を参照すると、コンタクト3は、ばねの働きが片持ち梁であるカンチレバーコンタクトを用いている。コンタクト3は、弾性アームと固定アームで構成され、弾性アームは、凹部11に臨んで配置され、カードCに形成した接続端子Tcに接触する接点を設けている。固定アームは、凹部11を区画する奥壁1cに圧入して固定している。コンタクト3の固定部とハウジング1を一体成形してもよい。
【0048】
図3(B)を参照すると、コンタクト3は、固定アームの端部にリード部3rを形成している。リード部3rをプリント基板1pにハンダ接合することにより、実施形態によるコネクタ10を表面実装用コネクタとすることができる(
図1参照)。
【0049】
(放熱部材の構成)
次に、実施形態による放熱部材4の構成を説明する。
図1から
図5を参照すると、放熱部材4は、熱伝導率が高い金属板で構成している。例えば、放熱部材4は、熱伝導率が高い銅合金板で構成することが好ましい。熱伝導率が高い金属製の展開板を成形することで、所望の形状の放熱部材4を得ることができる。
【0050】
図2又は
図5を参照すると、放熱部材4は、段差部41dを介して、第1折り曲げ片411を放熱部41の一方の端部に形成している。又、放熱部材4は、第2折り曲げ片412を放熱部41の他方の端部に形成している。
【0051】
図2又は
図5を参照すると、放熱部41は、段差部41d、第1折り曲げ片411、及び、第2折り曲げ片412を含んでいる。そして、放熱部41は、一対の段差部1d・1dを介して、凹部11の底面から一方の側壁1aの内壁に亘り、ハウジング1の内面を密着自在に覆っている。
【0052】
(カード用コネクタの作用)
次に、実施形態によるコネクタ10の作用及び効果を説明する。
図1から
図5を参照すると、コネクタ10は、カードCを挿入できる凹部11を有するハウジング1、凹部11を覆うカバー板2、凹部11の奥側に配置され、カードCに設けた接続端子Tcに接続できる複数のコンタクト3、及び、放熱部41を凹部11の底面に配置した放熱部材4を備えている。
【0053】
図1から
図5を参照すると、放熱部材4を熱伝導率が高い金属板で構成し、空気層を介して、放熱部41をカードCの面に対向配置すると共に、放熱部41から延出した放熱片41sをプリント基板9pにハンダ接合することで、通電中のカードCに発生した熱を熱容量の大きいプリント基板9pに効果的に放熱できる。
【0054】
[第2実施形態]
(カード用コネクタの構成)
次に、本発明の第2実施形態によるカード用コネクタの構成を説明する。なお、第1実施形態で用いた符号と同じ符号を付した構成品は、それらの作用を同じにするので、以下説明を省略する場合がある。
【0055】
(全体構成)
図7から
図12を参照すると、本発明の第2実施形態によるカード用コネクタ(以下、コネクタと略称する)20は、ハウジング1とカバー板2を備えている。又、コネクタ20は、複数のコンタクト3と角筒状の放熱部材5を備えている。
【0056】
図7から
図11を参照すると、ハウジング1は、カードCを挿入できる凹部11を有している(
図8又は
図11参照)。カバー板2は、ハウジング1の凹部11を覆っている。複数のコンタクト3は、凹部11の奥側に配置されている。これらのコンタクト3は、カードCの端部に設けた接続端子Tcに接続できる(
図7参照)。
【0057】
図7から
図12を参照すると、放熱部材5は、面積が大きい矩形の放熱部51を有している。放熱部材5は、放熱部51を凹部11の底面に配置している。カードCをハウジング1の内部に挿入した状態では、放熱部材5は、空気層を介して、カードCの面に対向配置されている。
【0058】
図7から
図12を参照すると、放熱部材5は、放熱片51sを有している。放熱片51sは、段付き状態で放熱部51から延出している。又、放熱片51sは、凹部11の手前側に配置されている。そして、コネクタ20は、放熱片51sをプリント基板9pにハンダ接合している(
図9(B)参照)。
【0059】
図7から
図12を参照すると、放熱部材5は、放熱部51と側面が連続し、放熱部51と対向配置された対向部52を更に有している。対向部52は、カバー板2の内壁に当接自在に配置されている。放熱部材5は、それらの両端部を開口している。放熱部51と対向部52の間にカードCを導入できる。
【0060】
図7から
図12を参照すると、実施形態によるコネクタ20は、空気層を介して、放熱部51をカードCの面に対向配置すると共に、放熱部51から延出した放熱片51sをプリント基板9pにハンダ接合することで、カードCに発生した熱をカードCの外部に効果的に放熱できる。
【0061】
(放熱部材の構成)
次に、実施形態による放熱部材5の構成を説明する。
図7から
図12を参照すると、放熱部材5は、熱伝導率が高い金属板で構成している。例えば、放熱部材5は、熱伝導率が高い銅合金板で構成することが好ましい。熱伝導率が高い金属製の展開板を成形することで、角筒状の放熱部材5を得ることができる。
【0062】
図11又は
図12を参照すると、放熱部材5は、段差部51dを介して、第1側面511を放熱部51の一方の端部に形成している。又、放熱部材5は、段差部51dを介して、第2側面512を放熱部51の他方の端部に形成している。
【0063】
図11又は
図12を参照すると、放熱部51は、一対の段差部51d・51d、第1側面511、及び、第2側面512を含んでいる。そして、放熱部51は、一対の段差部1d・1dを介して、凹部11の底面から一方の側壁1aの内壁に亘り、ハウジング1の内面を密着自在に覆っている(
図10参照)。
【0064】
図10又は
図11を参照すると、対向部52は、カバー板2に形成した一対一組の板ばね片2a・2aを逃げる複数の逃げ穴52aを開口している。これにより、一対一組の板ばね片2a・2aが対向部52に邪魔されることなく、カードCの表面を付勢できる。
【0065】
(カード用コネクタの作用)
次に、実施形態によるコネクタ20の作用及び効果を説明する。
図7から
図12を参照すると、コネクタ20は、カードCを挿入できる凹部11を有するハウジング1、凹部11を覆うカバー板2、凹部11の奥側に配置され、カードCに設けた接続端子Tcに接続できる複数のコンタクト3、及び、少なくとも放熱部51を凹部11の底面に配置した角筒状の放熱部材5を備えている。
【0066】
図7から
図12を参照すると、放熱部材5を熱伝導率が高い金属板で構成し、空気層を介して、放熱部51をカードCの面に対向配置すると共に、放熱部51から延出した放熱片51sをプリント基板9pにハンダ接合することで、通電中のカードCに発生した熱を熱容量の大きいプリント基板9pに効果的に放熱できる。
【0067】
図7から
図12を参照すると、実施形態によるコネクタ20は、対向部52を介して、カードCの表面の発生した熱を放熱片51sに伝導できるという、特別な効果がある。
【0068】
[第3実施形態]
(カード用コネクタの構成)
次に、本発明の第3実施形態によるカード用コネクタの構成を説明する。なお、第1実施形態及び第2実施形態で用いた符号と同じ符号を付した構成品は、それらの作用を同じにするので、以下説明を省略する場合がある。
【0069】
(全体構成)
図13から
図16を参照すると、本発明の第3実施形態によるカード用コネクタ(以下、コネクタと略称する)30は、ハウジング1とカバー板2を備えている。又、コネクタ30は、複数のコンタクト3と矩形板で構成した放熱部材6を備えている。
【0070】
図13から
図16を参照すると、ハウジング1は、カードCを挿入できる凹部11を有している(
図16参照)。カバー板2は、ハウジング1の凹部11を覆っている。複数のコンタクト3は、凹部11の奥側に配置されている。これらのコンタクト3は、カードCの端部に設けた接続端子Tcに接続できる(
図13参照)。
【0071】
図13から
図16を参照すると、放熱部材6は、面積が大きい矩形の放熱部61で構成している。放熱部材6は、放熱部61を凹部11の底面に配置している。カードCをハウジング1の内部に挿入した状態では、放熱部材6は、空気層を介して、カードCの面に対向配置されている。
【0072】
図13から
図16を参照すると、放熱部材6は、放熱片61sを有している。放熱片61sは、段付き状態で放熱部61から延出している。又、放熱片61sは、凹部11の手前側に配置されている。そして、コネクタ30は、放熱片51sをプリント基板9pにハンダ接合している(
図14(B)参照)。
【0073】
図13から
図16を参照すると、実施形態によるコネクタ30は、空気層を介して、放熱部61をカードCの面に対向配置すると共に、放熱部61から延出した放熱片61sをプリント基板9pにハンダ接合することで、カードCに発生した熱をカードCの外部に効果的に放熱できる。
【0074】
(放熱部材の構成)
次に、実施形態による放熱部材6の構成を説明する。
図13から
図16を参照すると、放熱部材6は、熱伝導率が高い金属板で構成している。例えば、放熱部材6は、熱伝導率が高い銅合金板で構成することが好ましい。熱伝導率が高い金属製の展開板を成形することで、平板状の放熱部材6を得ることができる。そして、放熱部61は、ハウジング1の凹部11の底面を密着自在に覆っている(
図15参照)。
【0075】
(カード用コネクタの作用)
次に、実施形態によるコネクタ20の作用及び効果を説明する。
図13から
図16を参照すると、コネクタ30は、カードCを挿入できる凹部11を有するハウジング1、凹部11を覆うカバー板2、凹部11の奥側に配置され、カードCに設けた接続端子Tcに接続できる複数のコンタクト3、及び、凹部11の底面に配置し、矩形板で構成した放熱部材6を備えている。
【0076】
図13から
図16を参照すると、放熱部材6を熱伝導率が高い金属板で構成し、空気層を介して、放熱部61をカードCの面に対向配置すると共に、放熱部61から延出した放熱片61sをプリント基板9pにハンダ接合することで、通電中のカードCに発生した熱を熱容量の大きいプリント基板9pに効果的に放熱できる。実施形態によるコネクタ30は、放熱部材6を簡易に構成しているという、特別な効果がある。
【0077】
本発明によるカード用コネクタは、次の効果を得ることができる。
(1)放熱部材は、カードを覆う面積が大きい放熱部を有しているので、高い放熱効果を見込める。
(2)放熱部材をカード用コネクタの内部に配置しているので、剛性はあるが、熱伝導率の低い金属部材をカバー板に採用できる。
(3)放熱部材がカードを多面的に覆うので、電気信号を高速伝送時にシールド効果を付与できる。
(4)導電性を有する放熱部材とプリント基板の間に、絶縁性を有するハウジングが配置されているので、プリント基板は、ハウジングの底面に信号パターンを形成するエリアを確保できる。
【0078】
本発明は、カードに設けた接続端子を下向きにした状態(いわゆる、ノーマル状態)のカードを接続できるカード用コネクタを開示したが、接続端子を上向きにした状態(いわゆる、リバース状態)カードを接続できるカード用コネクタに適用できる。
【0079】
本発明は、カバー板をハウジングにインサート成形してもよい。又、本発明は、放熱部から延出した放熱片をプリント基板にハンダ接合することなく、放熱片をプリント基板に形成したグラウンドパターンに当接するように構成してもよい。更に、本発明は、カードを底面側から付勢する付勢ばね片を放熱部に設けることもできる。
【符号の説明】
【0080】
1 ハウジング
2 カバー板
3 コンタクト
4 放熱部材
9p プリント基板
10 コネクタ(カード用コネクタ)
11 凹部
41 放熱部
41s 放熱片
C カード
Tc 接続端子