(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-31
(45)【発行日】2023-11-09
(54)【発明の名称】物品補充機構、物品補充方法、並びに、ピッキング装置
(51)【国際特許分類】
B65G 59/06 20060101AFI20231101BHJP
B65G 1/08 20060101ALI20231101BHJP
【FI】
B65G59/06 101A
B65G1/08 J
(21)【出願番号】P 2020219172
(22)【出願日】2020-12-28
【審査請求日】2022-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】592026819
【氏名又は名称】伊東電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】伊東 一夫
(72)【発明者】
【氏名】中村 竜彦
(72)【発明者】
【氏名】高橋 幸治
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 大稀
(72)【発明者】
【氏名】横矢 重治
【審査官】森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】特開平8-113325(JP,A)
【文献】特開平10-120125(JP,A)
【文献】特公昭56-18482(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 57/00 - 59/12
B65G 1/00 - 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を搬送する搬送路と、
前記搬送路に送り出す物品を保管する物品保管棚を有するピッキング装置における、前記物品保管棚に物品を補充する物品補充機構であって、
前記物品保管棚は、上下方向にのびる保管空間を有し、
前記保管空間は、物品を上下に積み重ねて保管することが可能であり、
前記ピッキング装置は、前記保管空間に保管された物品を、前記保管空間の下部側から排出して前記搬送路に送り出すことが可能であり、
長手方向の中途の位置で分離及び結合が可能な一方側配置部と他方側配置部を有する棒状部材を有し、
前記棒状部材は、前記一方側配置部が上側となり、前記他方側配置部が下側となるように前記保管空間に配置可能であり、
前記保管空間に配置した前記一方側配置部及び他方側配置部を、それぞれ前記物品保管棚に着脱可能に固定する上側固定部材及び下側固定部材を有し、
分離した前記棒状部材の一方側配置部は、前記物品保管棚の外部で、補充する物品を挿通することが可能であり、
前記物品保管棚に補充する物品を挿通した前記一方側配置部を、前記物品保管棚に固定された前記棒状部材の他方側配置部と結合させることが可能であることを特徴とする物品補充機構。
【請求項2】
前記物品保管棚と前記上側固定部材及び下側固定部材は、磁力で固定することを特徴とする請求項1に記載の物品補充機構。
【請求項3】
前記上側固定部材及び下側固定部材は、それぞれ一方側配置部及び他方側配置部を固定するクリップを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の物品補充機構。
【請求項4】
前記一方側配置部と他方側配置部が、嵌合構造又はネジ構造で結合することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の物品補充機構。
【請求項5】
分離した前記一方側配置部に挿通された各物品の向きが揃った状態を保つガイド部材を有し、
前記ガイド部材でガイドされた状態で、前記一方側配置部が、前記物品保管棚に固定された他方側配置部と結合可能であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の物品補充機構。
【請求項6】
前記ガイド部材は、前記一方側配置部の長さよりも短く、前記ガイド部材の少なくとも一方側の端部には前記一方側配置部と係合する係合部が設けられていることを特徴とする請求項5に記載の物品補充機構。
【請求項7】
分離した前記一方側配置部の両端を支持する支持部材を有し、前記ガイド部材は、前記支持部材に支持された一方側配置部の上方から接近して前記物品の周囲をガイドすることを特徴とする請求項5又は6に記載の物品補充機構。
【請求項8】
物品を搬送する搬送路と、
前記搬送路に送り出す物品を保管する物品保管棚を有するピッキング装置における、前記物品保管棚に物品を補充する物品補充方法であって、
前記物品保管棚は、上下方向にのびる保管空間を有し、
前記保管空間に、物品を上下に積み重ねて保管し、
前記保管空間に保管された物品を、保管空間の下部側から前記搬送路に送り出し、
長手方向の中途の位置で分離及び結合が可能な一方側配置部と他方側配置部を有する棒状部材の、前記他方側配置部を前記保管空間の下側の領域に配置し、
前記保管空間に配置した前記他方側配置部を、下側固定部材で前記物品保管棚に着脱可能に固定し、
前記一方側配置部に、前記物品保管棚に補充するべき物品を挿通し、
前記一方側配置部を、前記保管空間の上側の領域に配置して前記物品保管棚に固定された前記他方側配置部と結合し、
前記一方側配置部を、上側固定部材で前記物品保管棚に固定し、
前記下側固定部材による物品保管棚への前記他方側配置部の固定を解除することを特徴とする物品補充方法。
【請求項9】
請求項1乃至7のいずれかに記載の物品補充機構を有することを特徴とするピッキング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピッキング装置の物品保管棚に物品を補充する物品補充機構及び物品補充方法に関するものである。また、本発明は、このような物品補充機構を備えたピッキング装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
搬送路の両側に物品保管棚を配置し、物品保管棚から搬送路へ物品を排出するピッキング装置が、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1に開示されているような従来のピッキング装置は、直方体又は立方体等の安定した積み重ねが可能な物品をピッキングするのには適している。
【0003】
ところが、物品の形状は様々であり、例えば、
図15(a)に示すように、固定台紙上に、この固定台紙よりも小さい面積を占める物品本体が固定された物品がある。
図15(c)に示すように、仮に、この物品を積み重ねようとすると、各物品が歪な形状を呈しているため、整然と積み重ねることができない。
【0004】
そこで固定台紙における物品本体が占めていない部位に孔を設け、この孔に棒状部材を挿通させると、
図15(b)に示すように、棒状部材に沿って複数の物品を整列させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に開示されているようなピッキング装置の物品保管棚に、仮に棒状部材を設置すると、当該物品保管棚に物品を補充するためには、棒状部材の上端から物品を挿通させる必要がある。すなわち、棒状部材の上端は、相当に高い高さ位置にあり、物品を補充する際には、脚立を使用する等の対策が必要である。すなわち、物品を補充するのは容易ではない。
【0007】
そこで本発明は、歪な形状の物品をピッキングすることができるピッキング装置を提供すること、及びピッキング装置に設けられた物品保管棚に歪な形状の物品を容易に補充することができる物品補充機構を提供すること、並びに、歪な形状の物品を容易に補充する物品補充方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための第1の様相は、物品を搬送する搬送路と、前記搬送路に送り出す物品を保管する物品保管棚を有するピッキング装置における、前記物品保管棚に物品を補充する物品補充機構であって、前記物品保管棚は、上下方向にのびる保管空間を有し、前記保管空間は、物品を上下に積み重ねて保管することが可能であり、前記ピッキング装置は、前記保管空間に保管された物品を、前記保管空間の下部側から排出して前記搬送路に送り出すことが可能であり、長手方向の中途の位置で分離及び結合が可能な一方側配置部と他方側配置部を有する棒状部材を有し、前記棒状部材は、前記一方側配置部が上側となり、前記他方側配置部が下側となるように前記保管空間に配置可能であり、前記保管空間に配置した前記一方側配置部及び他方側配置部を、それぞれ前記物品保管棚に着脱可能に固定する上側固定部材及び下側固定部材を有し、分離した前記棒状部材の一方側配置部は、前記物品保管棚の外部で、補充する物品を挿通することが可能であり、前記物品保管棚に補充する物品を挿通した前記一方側配置部を、前記物品保管棚に固定された前記棒状部材の他方側配置部と結合させることが可能であることを特徴とする物品補充機構である。
【0009】
本様相の物品補充機構は、長手方向の中途の位置で分離及び結合が可能な一方側配置部と他方側配置部を有する棒状部材を有する。すなわち、棒状部材の長さは、一方側配置部と他方側配置部を結合した場合と分離した場合とで相違する。
棒状部材は、一方側配置部が上側となり、他方側配置部が下側となるように保管空間に配置可能であり、保管空間に配置した一方側配置部及び他方側配置部を、それぞれ物品保管棚に着脱可能に固定する上側固定部材及び下側固定部材を有する。そのため、一方側配置部と他方側配置部は、個別に物品保管棚に固定される。
また、一方側配置部と他方側配置部が結合した状態では、両者は一体化しているため、上側固定部材と下側固定部材のいずれか一方のみで物品保管棚に固定することができる。
そして、多数の物品を保管空間に収容し、これらの物品を長い棒状部材で貫通して保持することができる。
さらに、棒状部材を分離すると、一方側配置部は、物品保管棚の外部で、補充する物品を挿通することが可能であるので、物品保管棚の外部で一方側配置部に物品を挿通させて保持することができる。すなわち、作業者は、楽な姿勢で物品を一方側配置部に取り付けることができる。
そして、物品保管棚に補充する物品を挿通して保持した一方側配置部を、物品保管棚に固定された棒状部材の他方側配置部と結合させることが可能であるので、一方側配置部に挿通された物品は、一方側配置部に沿って他方側配置部に円滑に移動することができる。
よって、物品保管棚に物品を容易に補充することができる。
すなわち、棒状部材が一方側配置部と他方側配置部に分離できなければ、非常に高い高さ位置にある棒状部材の上端から物品を補充しなければならず、物品保管棚に物品を補充しにくいが、本様相の物品補充機構によると、棒状部材を一方側配置部と他方側配置部に分離することができ、物品保管棚から外した一方側配置部に物品を保持させて、当該一方側配置部を他方側配置部に結合することができるので、物品を物品保管棚に楽に補充することができる。
また、他方側配置部の上端の高さは、棒状部材の長手方向の中途の位置であり、比較的低い。そのため、他方側配置部の上端には作業者の手が届き易い。よって、棒状部材を一方側配置部と他方側配置部に分離すると、物品保管棚の下方に配置した他方側配置部の上端から物品を容易に補充することができる。
【0010】
前記物品保管棚と前記上側固定部材及び下側固定部材は、磁力で固定するのが好ましい。
【0011】
この構成によれば、物品保管棚と上側固定部材及び下側固定部材は、磁力で固定するので、上側固定部材及び下側固定部材をワンタッチで物品保管棚に着脱することができる。
【0012】
前記上側固定部材及び下側固定部材は、それぞれ一方側配置部及び他方側配置部を固定するクリップを有するのが好ましい。
【0013】
この構成によれば、上側固定部材及び下側固定部材は、それぞれ一方側配置部及び他方側配置部を固定するクリップを有するので、上側固定部材及び下側固定部材に対する一方側配置部及び他方側配置部の固定は非常に容易である。
【0014】
前記一方側配置部と他方側配置部が、嵌合構造又はネジ構造で結合するのが好ましい。
【0015】
この構成によれば、一方側配置部と他方側配置部が、嵌合構造又はネジ構造で結合するので、一方側配置部と他方側配置部は直線状に配置され、恰も一本の棒状部材として機能する。また、一方側配置部と他方側配置部が、位置ずれすることを防止することができる。
【0016】
分離した前記一方側配置部に挿通された各物品の向きが揃った状態を保つガイド部材を有し、前記ガイド部材でガイドされた状態で、前記一方側配置部が、前記物品保管棚に固定された他方側配置部と結合可能であるのが好ましい。
【0017】
この構成によれば、分離した一方側配置部に挿通された各物品の向きが揃った状態を保つガイド部材を有し、ガイド部材でガイドされた状態で、一方側配置部が、物品保管棚に固定された他方側配置部と結合可能であるので、物品保管棚に物品を補充する際に、各物品がガイド部材でガイドされており、各部材同士が整然と積み重なった状態が維持される。
【0018】
前記ガイド部材は、前記一方側配置部の長さよりも短く、前記ガイド部材の少なくとも一方側の端部には前記一方側配置部と係合する係合部が設けられているのが好ましい。
【0019】
この構成によれば、ガイド部材は、一方側配置部の長さよりも短く、ガイド部材の少なくとも一方側の端部には一方側配置部と係合する係合部が設けられているので、作業者は、ガイド部材から突出した一方側配置部とガイド部材を保持しながら、各物品を取扱い、一方側配置部を他方側配置部に結合することができる。すなわち、各物品が整然と並んだ状態を維持しながら物品保管棚に各物品を配置することができる。
【0020】
分離した前記一方側配置部の両端を支持する支持部材を有し、前記ガイド部材は、前記支持部材に支持された一方側配置部の上方から接近して前記物品の周囲をガイドするのが好ましい。
【0021】
この構成によれば、分離した一方側配置部の両端を支持する支持部材を有し、ガイド部材は、支持部材に支持された一方側配置部の上方から接近して物品の周囲をガイドするので、ガイド部材で各物品を容易にガイドすることができる。
【0022】
本発明の第2の様相は、物品を搬送する搬送路と、前記搬送路に送り出す物品を保管する物品保管棚を有するピッキング装置における、前記物品保管棚に物品を補充する物品補充方法であって、前記物品保管棚は、上下方向にのびる保管空間を有し、前記保管空間に、物品を上下に積み重ねて保管し、前記保管空間に保管された物品を、保管空間の下部側から前記搬送路に送り出し、長手方向の中途の位置で分離及び結合が可能な一方側配置部と他方側配置部を有する棒状部材の、前記他方側配置部を前記保管空間の下側の領域に配置し、前記保管空間に配置した前記他方側配置部を、下側固定部材で前記物品保管棚に着脱可能に固定し、前記一方側配置部に、前記物品保管棚に補充するべき物品を挿通し、前記一方側配置部を、前記保管空間の上側の領域に配置して前記物品保管棚に固定された前記他方側配置部と結合し、前記一方側配置部を、上側固定部材で前記物品保管棚に固定し、前記下側固定部材による物品保管棚への前記他方側配置部の固定を解除することを特徴とする物品補充方法である。
【0023】
この構成によれば、保管空間に配置した棒状部材の他方側配置部を、下側固定部材で物品保管棚に着脱可能に固定する。そのため、保管空間の下側の領域に棒状部材の他方側配置部が配置され、この他方側配置部によって保管空間の下側の領域で、物品が整然と上下に積み重なった状態で並べられる。
また、一方側配置部は、他方側配置部と分離されており、物品保管棚の外部で物品保管棚に補充するべき物品を挿通することができる。すなわち、作業者は、楽な姿勢で一方側配置部に物品を挿通させることができる。
そして、一方側配置部を、保管空間の上側の領域に配置して物品保管棚に固定された他方側配置部と結合することにより、一方側配置部と他方側配置部が一直線上に配置されて連続する。
さらに、一方側配置部を、上側固定部材で物品保管棚に固定することにより、作業者が一方側配置部から手を離すことができる。
そして、下側固定部材による物品保管棚への他方側配置部の固定を解除しても、他方側配置部は一方側配置部と結合して支持されているので、一方側配置部と他方側配置部は直線状に連続して並んでおり、また、下側固定部材が取り外されているので、上側の一方側配置部に挿通された物品が、下側の他方側配置部に円滑に移動することができる。
【0024】
本発明の第3の様相は、前述のいずれかの物品補充機構を有することを特徴とするピッキング装置である。
【0025】
この構成によれば、物品を整然と並べることができ、円滑にピッキングすることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の物品補充機構及び物品補充方法によると、歪な形状の物品を上下に積み重ねた状態で整然と並べることができると共に、物品保管棚への物品の補充が容易である。
また、本発明のピッキング装置によると、歪な形状の物品を円滑に搬送路へ送り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本実施形態に係るピッキング装置の全体斜視図である。
【
図3】複数の物品を貫通した
図2の棒状部材の脱着側配置部が、支持部材で支持されており、脱着側配置部の上方にガイド部材が配されている状態を示す斜視図である。
【
図4】
図3において、ガイド部材が脱着側配置部に係合すると共に、複数の物品をガイドした状態を示す斜視図である。
【
図5】
図4において、脱着側配置部の一端を支持部材から持ち上げた状態を示す斜視図である。
【
図6】複数の物品を貫通して支持した脱着側配置部が、ガイド部材と共に支持部材から離れた状態を示す斜視図である。
【
図7】(a)は、物品保管棚に、棒状部材の固定側配置部が下側固定部材で固定されており、ガイド部材でガイドされた複数の物品を貫通する棒状部材の脱着側配置部が、固定側配置部に結合される前の状態を示す斜視図であり、(b)は、(a)の部分拡大図である。
【
図8】
図7(a)に続き、ガイド部材が物品保管棚に収容され、固定側配置部に脱着側配置部が近接対向した状態を示す斜視図である。
【
図9】
図8に続き、固定側配置部に脱着側配置部が結合し、さらにガイド部材が下降し、下側固定部材に当接した状態を示す斜視図である。
【
図10】
図9に続き、脱着側配置部が上側固定部材で物品保管棚に固定された状態を示す斜視図である。
【
図11】
図10に続き、物品保管棚から下側固定部材を取り外した状態を示す斜視図である。
【
図12】
図11に続き、ガイド部材を物品保管棚の下部まで移動させた状態を示す斜視図である。
【
図13】(a)は、
図12に続き、下側固定部材で固定側配置部を物品保管棚に固定すると共に、ガイド部材を物品保管棚から離間させた状態を示す斜視図であり、(b)は、物品保管棚の下部付近の部分正面図である。
【
図14】
図13(a)に続き、物品保管棚と棒状部材の脱着側配置部から上側固定部材を外し、さらに脱着側配置部を固定側配置部から外した状態を示す斜視図である。
【
図15】(a)は、物品保管棚に補充する複数の物品を示す斜視図であり、(b)は、棒状部材が(a)の各物品を貫通して整列させた状態を示す斜視図であり、(c)は、(a)の各物品を、単に積み重ねた状態を示す斜視図である。
【
図16】物品保管棚に固定された棒状部材に、物品保持部材を配置する直前の状態を示す斜視図である。
【
図17】(a)は、棒状部材を固定した下側固定部材上に物品保持部材を載置した状態を示す斜視図であり、(b)は、(a)の物品保持部材上に複数の物品が載置された状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照しながら説明する。
図1、
図2に示すように、ピッキング装置1は、搬送装置2(搬送路)、物品保管棚3、物品排出装置4、骨格構造体13を有する。また、ピッキング装置1には、
図1に示すような上流側コンベヤ5、下流側コンベヤ6が接続配置されている。
【0029】
搬送装置2は、物品Pを載置(収容)するトレイ14を搬送するローラコンベヤである。搬送装置2の搬送方向(トレイ14の進行方向)の上流側には上流側コンベヤ5が接続されており、下流側には下流側コンベヤ6が接続されている。すなわち、上流側コンベヤ5、搬送装置2、下流側コンベヤ6が連続し、一連の搬送経路が構成されている。
【0030】
図1に示すように、搬送装置2の搬送方向と直交する方向の両側には、基台24a、24bが設置されている。基台24a、24bは、搬送装置2の搬送面(トレイ14が載置される高さ位置の面)よりも高い高さの載置面25a、25bを備えている。載置面25a、25bは、搬送装置2に近づくほど低くなり、搬送装置2から離れるほど高くなる傾斜面である。
【0031】
各載置面25a、25b上には、物品排出装置4(送り出し手段)が設置されている。物品排出装置4は、搬送装置2の搬送方向と直交する方向に、物品Pを搬送装置2側へ押し出す機能を有する。
図1では、物品排出装置4を一つだけ描写しているが、実際には複数の物品排出装置4が、載置面25a、25b上に載置されている。
【0032】
搬送装置2の両側には、基台24a、24bと一体化された骨格構造体13が設けられている。骨格構造体13は、ピッキング装置1の骨格を構成する構造体である。骨格構造体13は、A字形(台形)の枠を構成する枠部材である。
【0033】
図1に示すように、A字形の骨格構造体13の両側には、複数の物品保管棚3が傾斜した状態で固定されている。すなわち、搬送装置2を挟んで両側に配された各物品保管棚3同士は、下側へ行くほど離間し、上側へ行くほど接近するように傾斜している。また、各物品保管棚3は、物品排出装置4上に配置されている。
【0034】
物品保管棚3は、一対の板状の支持部材31a、31bで構成されている。支持部材31a、31bは、鉄板等の磁石が吸着する素材(強磁性体)で構成されている。支持部材31aは、略L字形を呈する長尺状の部材であり、L字の一方の面が骨格構造体13に固定される固定壁19a(
図13(b))を構成しており、他方の面が骨格構造体13から起立する起立壁19b(
図13(b))を構成している。
【0035】
支持部材31aのうちの少なくとも固定壁19aは、物品排出装置4の上面から離間している。すなわち、固定壁19aと物品排出装置4の間には隙間27(
図13(b))が形成されている。この隙間27を介して、物品Pが搬送装置2側へ移動(ピッキング)することができる。本実施形態では、物品保管棚3(支持部材31a、31b)の下端全体が物品排出装置4から離間している。
【0036】
支持部材31bは、基部と起立壁を有する。基部は骨格構造体13に固定されており、基部から起立する起立壁は、支持部材31a(起立壁19b)と対向している。支持部材31a(起立壁19b)と支持部材31b(起立壁)の間隔は、ピッキングする物品P1~P3を収容することができる大きさに設定されている。換言すると、支持部材31aと支持部材31bの間に、物品P1~P3を保管する保管空間7が形成されている。保管空間7は、物品保管棚3に沿って上下方向にのびている。支持部材31a、31bの間隔を調整することで、保管空間7の大きさを変更することができる。保管空間7の大きさは、収容する物品P1~P3の大きさに応じて設定する。
【0037】
物品保管棚3(支持部材31a、31b)は、保管空間7内の物品P1~P3をガイドする機能を有する。すなわち、保管空間7内の物品P1~P3は、傾斜した物品保管棚3に沿って下方へ移動可能である。
【0038】
図1に示すように、ピッキング装置1には、保管空間7に物品補充機構10(棒状部材11)を備えた物品保管棚3が設けられている。すなわち物品保管棚3は、物品保管棚3と同様の支持部材31a、31bを有し、さらに物品補充機構10を備えたものである。
【0039】
図2に示すように、物品補充機構10は、棒状部材11、上側固定部材12a、下側固定部材12b、一対の受け部材15a、15b、ガイド部材16を有する。
【0040】
棒状部材11は、脱着側配置部11a(一方側配置部)と固定側配置部11b(他方側配置部)を有する。脱着側配置部11aと固定側配置部11bは、同程度の長さの長尺部材である。棒状部材11は、長手方向の中途の部位で、脱着側配置部11aと固定側配置部11bに分離可能に結合されている。
【0041】
脱着側配置部11aの一端には雄ネジ8が設けられており、固定側配置部11bの一端にはネジ穴9が設けられている。脱着側配置部11aの雄ネジ8と固定側配置部11bのネジ穴9が螺合すると、両者は結合して一体化され、棒状部材11が構成される。逆に、雄ネジ8とネジ穴9の螺合を解除すると、脱着側配置部11aと固定側配置部11bは分離することができる。すなわち、脱着側配置部11aと固定側配置部11bは、ネジ構造によって、着脱が可能である。
【0042】
脱着側配置部11aと固定側配置部11bは、ネジ構造以外で着脱可能に結合してもよい。例えば、棒状部材11(特に固定側配置部11b)の重量よりも大きい外力を加えなければ着脱できないような摩擦力が作用する嵌合構造(凹凸係合構造)であってもよい。なお、脱着側配置部11aと固定側配置部11bの結合部分は、半径方向外方に突出していない構造であるのが好ましい。
【0043】
上側固定部材12aは、直方体形状の本体17aと、磁石17bとクリップ17cを備えた部材である。磁石17bとクリップ17cは、互いに本体17aの反対側に設けられている。すなわち、本体17aの一方側の面に磁石17bが設けられており、他方側の面にクリップ17cが設けられている。クリップ17cは、棒状部材11を把持することができ、上側固定部材12aと棒状部材11を一体化させる機能を有する。また、上側固定部材12aは、磁石17bによって物品保管棚3に固定することができる。
【0044】
下側固定部材12bは、上側固定部材12aと同様の構成を備えている。すなわち、下側固定部材12bは、直方体形状の本体18a、磁石18b、クリップ18cを備えている。
【0045】
受け部材15a、15bは、図示しない固定構造物に対して片持ち状に固定することができる部材である。受け部材15a、15bの自由端側(先端側)には棒状部材11の脱着側配置部11aを係合させて支持する支持部29a、29bが設けられている。支持部29a、29bは、棒状部材11を係合させる凹部を構成している。
【0046】
受け部材15a、15bは、ピッキング装置1とは別の固定構造物に固定されており、支持部29a、29bは所定の間隔を置いて対向配置されている。支持部29a、29bの間隔は、棒状部材11の脱着側配置部11aの長さよりは短い。すなわち、支持部29a、29bは、水平姿勢の脱着側配置部11aの両端付近を支持することができる。
【0047】
ガイド部材16は、一対の対向壁16a、16bと、当該対向壁16a、16bを接続する接続壁16cを有する。対向壁16a、16b及び接続壁16cは、略コの字形に連続している。さらに、ガイド部材16のコの字の一方の端部には、対向壁16a、16b、及び接続壁16cと直交して連続する支持板26が設けられている。すなわちガイド部材16は、直方体の六面のうちの四面が閉じ、残りの二面が開いた構造を有する。接続壁16cには、把持部23が設けられている。
【0048】
支持板26は、中央部分に凹み部20が設けられており、凹み部20の一方側には、比較的長い一方側ガイド部21が設けられており、凹み部20の他方側には、比較的短い他方側ガイド部22が設けられている。
【0049】
一方側ガイド部21と他方側ガイド部22は、棒状部材11(脱着側配置部11a)を凹み部20に導くガイドとして機能する。凹み部20は、脱着側配置部11aと係合する係合部として機能する。
【0050】
物品保管棚3は、支持部材31a、31bの代わりに、例えば溝形鋼のような一体構造物を使用してもよい。すなわち、保管空間7を形成することができるものであれば、支持部材31a、31bの代わりに使用することができる。
【0051】
図1に示すように、棒状部材11が設けられていない各物品保管棚3の保管空間7には、直方体形状の物品P1、P2、P3等が収容されている。また、棒状部材11が設けられた物品保管棚3では、次のように物品Pが保管空間7に補充される。
【0052】
図2に示すように、物品保管棚3に保管される物品Pは、台紙Dに製品Eがパッケージされたものである。製品Eは、台紙Dの容積の一部を占めるのみである。また、台紙Dには、孔Fが設けられている。孔Fは、棒状部材11が挿通可能な大きさ(内径)を有する。孔Fは、台紙Dの一方に偏った位置に設けられている。物品Pにおける孔Fが設けられた側が上部となる。
【0053】
次に、
図3~
図15を参照しながら、物品補充機構10による物品保管棚3への物品Pの補充の仕方について説明する。
【0054】
図3に示すように、受け部材15a、15bに、棒状部材11の脱着側配置部11a(又は後述のスペアの脱着側配置部11c)を支持させる。脱着側配置部11aは、支持部29a、29bに係合して支持される。この脱着側配置部11aの一端を持ち上げ、物品Pの孔Fに脱着側配置部11aを挿通させる。複数の物品P(孔F)を挿通させると、
図3に示すように、両端支持された脱着側配置部11aに複数の物品Pが支持された状態になる。
【0055】
なお、
図2~
図6と
図7(a)とでは、脱着側配置部11aに挿通された各物品Pの裏表の向きが逆になっている。
図2~
図6では、物品Pの製品Eとガイド部材16の支持板26を明確に示すために、物品Pとガイド部材16の向きを敢えて逆向きに描写している。実際には、
図7(a)に示す向きとなるように各物品Pの孔Fに棒状部材11を挿通させる。すなわち、製品Eが、ガイド部材16の支持板26とは反対側にくるように、孔Fに棒状部材11を挿通させる。
【0056】
物品Pは、台紙Dに製品Eがパッケージされたものであり、製品Eが台紙Dの全領域の一部のみを占有する大きさであるため、複数の物品Pを単に積み重ねようとすると、
図15(c)に示すように乱雑に重なるだけである。すなわち、物品Pは、歪な形状を呈しており、そのままでは整然と積み重ならない。
【0057】
そこで、各物品Pの孔Fに脱着側配置部11aを挿通させると、
図15(b)に示すように、各物品Pの孔Fの位置が一直線に並ぶ。
図15(b)では、各物品Pの向きが揃っている状態を示しているが、実際には、各物品Pは、孔F(脱着側配置部11a)を中心に揺動(回転)可能である。
【0058】
図3に示すように、この複数の物品Pを支持した状態の脱着側配置部11aが水平姿勢になると、各物品Pは、製品Eの重量によって、脱着側配置部11a(孔F)が上方に、製品Eが下方となるように向きが揃う。すなわち、各物品Pは、脱着側配置部11aに吊り下げられる。この状態の各物品Pの上方からガイド部材16を接近させる。
【0059】
図4に示すように、ガイド部材16の凹み部20を脱着側配置部11aに係合させる。このとき、ガイド部材16の対向壁16a、16bの間に各物品Pが配置される。すなわち、各物品Pは、ガイド部材16でガイドされ、脱着側配置部11aを中心とした揺動(回転)が規制される。
【0060】
図4に続き、
図5に示すように、脱着側配置部11aの一方側を持ち上げ、脱着側配置部11aが接続壁16cの縁に当接し、脱着側配置部11aの他方側が凹み部20に係合している。すなわち、
図5に示す脱着側配置部11aとガイド部材16は、一体化している。
【0061】
図5に続き、
図6に示すように、脱着側配置部11aの両端をガイド部材16に押し付けるようにして一体化させた状態で持ち上げ、受け部材15a、15bから離間させる。
図6に示す状態では、各物品Pは、重力の作用で製品Eが孔Fの真下にあり、向きが一致している。さらに、各物品Pは、ガイド部材16でガイドされているため、各物品Pの、脱着側配置部11a(孔F)周りの揺動(回動)は制限されている。
【0062】
脱着側配置部11aで支持され、ガイド部材16でガイドされた各物品Pを、
図7(a)に示す物品保管棚3の保管空間7に配置する。すなわち、
図8に示すように、保管空間7内にガイド部材16の対向壁16a、16bが収容される。
【0063】
ここで物品保管棚3の支持部材31a(強磁性体)には、
図7(a)に示すように、下側固定部材12bが磁石18bの磁力によって着脱可能に固定されている。また、
図7(b)に示すように、下側固定部材12bには、クリップ18cで棒状部材11の固定側配置部11bが固定(把持)されている。固定側配置部11bは、傾斜した物品保管棚3と平行で、ネジ穴9が上になる姿勢で下側固定部材12bに固定され、保管空間7内に配置されている。このとき、固定側配置部11bの下端は、物品排出装置4から離れている。すなわち、固定側配置部11bの下端は、自由端になっている。固定側配置部11bの下端と物品排出装置4の間の隙間は、物品Pの厚みよりも大きい。よって、最も下の物品Pは、落下して固定側配置部11bから外れ、物品排出装置4上に載置される。
【0064】
図8に示すように、保管空間7に配置されている固定側配置部11bの上端に、ガイド部材16でガイドされた物品Pを支持した脱着側配置部11aの下端を対向させる。
図8に示すように、下側の固定側配置部11bの上端にはネジ穴9が設けられており、上側の脱着側配置部11aの下端には雄ネジ8が設けられている。雄ネジ8とネジ穴9を螺合させて、脱着側配置部11aと固定側配置部11bを一体化させ、
図9に示すように、保管空間7内で棒状部材11を構成する。
【0065】
一方、
図8に示す状態では、各物品Pは、ガイド部材16の支持板26上に積み重なっている。すなわち、各物品Pは、支持板26で支持されている。
【0066】
図9では、脱着側配置部11aと固定側配置部11bが一体化しており、さらに作業者はガイド部材16の把持部23を持ち、ガイド部材16を下方に移動させ、支持板26(
図6、
図7(a))を下側固定部材12bに当接させる。
【0067】
各物品Pは、ガイド部材16(支持板26)と共に下降する。すなわち、支持板26で支持された各物品Pは、棒状部材11と直交する姿勢を保つことができ、ガイド部材16(支持板26)と共に棒状部材11に沿って円滑に下降することができる。
図9には示していないが、脱着側配置部11aに貫通された各物品Pのうちのいくつかは、脱着側配置部11aを越えて固定側配置部11b側に移動している。
【0068】
ガイド部材16を下側固定部材12bに当接させると、ガイド部材16は下側固定部材12bによって支持される。そのため、作業者はガイド部材16の把持部23から手を離すことができる。また、作業者は、
図10に示すように、上側固定部材12a(磁石17b)で物品保管棚3(支持部材31a)に脱着側配置部11aの上端付近を固定する。このとき、棒状部材11は、上側固定部材12aと下側固定部材12bによって、上下2箇所で物品保管棚3に固定されている。また、棒状部材11は、上側の脱着側配置部11aと下側の固定側配置部11bが一体化している。
【0069】
この状態で、ガイド部材16の把持部23を把持すると共に、クリップ18cを操作して下側固定部材12bから固定側配置部11bを外し、さらに
図11に示すように、下側固定部材12bを物品保管棚3から取り外す。固定側配置部11bは、下側固定部材12bによる支持を失うが、上方の脱着側配置部11aと一体化しているので、落下しない。
【0070】
下側固定部材12bが外されたことにより、ガイド部材16(支持板26)は下方へ移動可能になり、作業者は、
図12に示すように、ガイド部材16を棒状部材11に沿って下降させる。このとき、ガイド部材16(支持板26)上に積み重なった各物品Pは、ガイド部材16と共に下降し、物品保管棚3の下部に配される。
【0071】
そして、
図13(a)に示すように、固定側配置部11bの上端付近を、下側固定部材12bを介して物品保管棚3に固定する。さらに、ガイド部材16を保管空間7から退避させる。以上、説明したように、複数の物品Pが、物品補充機構10によって物品保管棚3に補充される。
【0072】
図13(b)に示すように、最も下の物品Pは、物品排出装置4上に載置されており、また、当該物品P(孔F)は、棒状部材11の固定側配置部11bから外れている。
【0073】
この状態で、物品排出装置4を駆動すると、最下部の物品Pが搬送装置2側へ押し出され、ピッキングされる。最下部の物品Pがピッキングされると、上方で待機している各物品Pが落下し、次の物品Pのピッキングが可能になる。
【0074】
ここで、
図14に示すように、上側固定部材12a(クリップ17c)及び固定側配置部11bから脱着側配置部11aを外し、脱着側配置部11aを
図2に示すように受け部材15a、15b(支持部29a、29b)に係合させ、物品Pを装填することができる。すなわち、ピッキング装置1でピッキングを実施しながら、補充する物品Pを脱着側配置部11aに装填することができる。そのため、ピッキング装置1(物品保管棚3)に保管されている物品Pがなくなる前に、物品補充機構10によって、予め物品Pを補充する用意をすることができる。その結果、物品保管棚3への複数の物品Pの補充を速やかに実施することができる。
【0075】
また、棒状部材11が、脱着側配置部11aと固定側配置部11bに分離できるため、物品Pを補充する際に、脱着側配置部11aを物品保管棚3から取り外し、取り外した脱着側配置部11aで物品P(孔F)を貫通させ、脱着側配置部11aに物品Pを配置することができる。
【0076】
すなわち、低い場所で複数又は単数の物品Pを脱着側配置部11aに取り付け、この物品Pを取り付けた脱着側配置部11aを固定側配置部11bに結合すると、物品保管棚に物品を容易に補充することができる。そのため、従来のように、高い位置にある棒状部材の上端から物品Pを挿通させる必要がない。よって、物品Pの補充作業が容易である。
【0077】
ここで、脱着側配置部11aのスペアを使用することもできる。すなわち、物品保管棚3に配置した棒状部材11の脱着側配置部11aとは別に、脱着側配置部11aと同様の脱着側配置部11cを用意し、待機させておく。この待機中の脱着側配置部11cに物品Pを取り付けておき、物品保管棚3(保管空間7)に収容された物品Pが不足すると、保管空間7から脱着側配置部11aを取り出し、待機中の脱着側配置部11cを固定側配置部11bに結合する。このようにすると、物品保管棚3に速やかに物品Pを補充することができる。
【0078】
ここで、取り外した脱着側配置部11aが、今度は待機中となり、物品Pを取り付けて待機させておく。すなわち、脱着側配置部11a、11cを交代で物品保管棚3に取り付けることにより、ピッキング装置1は、物品Pが速やかに供給(補充)され、ピッキング作業を円滑に実施することができる。
【0079】
また、固定側配置部11bの上端の高さは、棒状部材11の長手方向の中途の位置であり、比較的低い。そのため、固定側配置部11bの上端には作業者の手が届き易い。よって、棒状部材11を脱着側配置部11aと固定側配置部11bに分離すると、物品保管棚3の下方に配置した固定側配置部11bの上端から物品Pを容易に補充することができる。
【0080】
この場合には、ガイド部材16を使用せず、代わりに
図16に示すような保持部材35を使用する。保持部材35は、板状の素材を2箇所で屈曲させたような構造を呈しており、載置部35a、保持部35b、把持部35cを有する。
【0081】
載置部35aは、2つの突出部36aと当該各突出部36aの間に設けられた係合部36bを有する。係合部36bは、2つの突出部36aの間に設けられた凹みである。
係合部36bには、棒状部材11を係合させることができる。すなわち、棒状部材11は、係合部36bに進入して係合することができる。2つの突出部36aは、棒状部材11を係合部36bに係合させるガイドとして機能する。
【0082】
保持部35bは、載置部35aと交差(直交)して連続する部位である。保持部35bは、鉛直方向を向いており、各物品Pの一辺を当接させて各物品Pの向きを揃える機能を有する。
【0083】
把持部35cは、保持部35bと交差(直交)して連続する部位である。把持部35cの先端には幅狭部37が設けられている。幅狭部37は、把持部35cの幅を部分的に狭くして作業者が把持し易くなるようにした部位である。
【0084】
すなわち、保持部35bの一方側には載置部35aが直交して連続しており、他方側には把持部35cが直交して連続している。
図16に示すように、載置部35aと把持部35cは、保持部35bに対して逆方向に屈曲している。
【0085】
図17(a)に示すように、保持部材35を棒状部材11に係合させ、下側固定部材12b上に載置する。保持部材35は、載置部35aの一方の突出部36aが下側固定部材12b上に載置され、保持部材35全体が水平姿勢(厳密には、棒状部材11と直交する姿勢)で下側固定部材12bに支持される。
【0086】
この状態で、棒状部材11(脱着側配置部11a)の上端から物品P(孔F)を挿通させ、下降させると、順に保持部材35上に積み重なる。物品Pは、保持部材35によって水平姿勢(棒状部材11と直交する姿勢)を保つことができる。
【0087】
そして、所定のタイミングで、作業者は、把持部35c(幅狭部37)を持ち、下側固定部材12bを棒状部材11(固定側配置部11b)及び物品保管棚3から外し、保持部材35を棒状部材11(固定側配置部11b)に沿って下方へ移動させる。各物品Pは、棒状部材11に対して直交した状態を保つことができ、孔Fが棒状部材11に引っ掛かることなく、保持部材35によって水平姿勢を保ちながら円滑に下降することができる。
【0088】
ここで、所定のタイミングとは、保持部材35上にある程度の数の物品Pが貯まる、又は、物品保管棚3の下方に、ピッキングできる物品Pの在庫がなくなる等のタイミングを意味している。
【0089】
以上説明した実施形態において、棒状部材11を物品保管棚3に固定する上側固定部材12a及び下側固定部材12bは、必要に応じて支持部材31a(起立壁19b)に対して着脱していた。ここで、支持部材31aから取り外した上側固定部材12a及び下側固定部材12bは、支持部材31bに固定しておくのが好ましい。
図16では、上側固定部材12aが、支持部材31bに仮固定されている状態が示されている。
【0090】
なお、その際には、上側固定部材12aは、棒状部材11(上側の脱着側配置部11a)を支持部材31aに固定する高さ位置と同等の高さ位置に固定しておくのが好ましい。すなわち、支持部材31aに対する上側固定部材12a(下側固定部材12b)の取り付け位置に近い位置の支持部材31bに上側固定部材12a(下側固定部材12b)があると、作業者の手が届き易く、作業者は支持部材31bに固定された上側固定部材12a(下側固定部材12b)を取り外し、さらに、支持部材31aに取り付け易い。
【0091】
棒状部材11を物品保管棚3に固定する方法として、クリップ(図示せず)を使用することもできる。すなわち、クリップで上側固定部材12a及び下側固定部材12bを支持部材31a(31b)に固定することもできる。
【0092】
また、上側固定部材12aや下側固定部材12bを物品保管棚3に固定する別の方法として引っ掛け部材(フック;図示せず)を採用することもできる。例えば、引っ掛け部材(フック)を上側固定部材12a及び下側固定部材12bに設け、物品保管棚3(支持部材31a)に引っ掛け部材を係合させて、物品保管棚3に上側固定部材12a及び下側固定部材12bを固定することもできる。
【0093】
さらに別の固定方法として、物品保管棚3に係合孔を設け、上側固定部材12a及び下側固定部材12bに、この係合孔に係合(嵌着)する係合部を設けてもよい。
【0094】
また、上側固定部材12a及び下側固定部材12bで棒状部材11を固定する際、クリップ17c、18cの代わりに、磁力等の別の固定方法を採用してもよい。
【0095】
以上説明したように、ピッキング装置1は、形状が歪な物品Pの在庫(収容個数)が減少した際に、物品Pの向きを揃えた状態で速やかに補充することができる。
【符号の説明】
【0096】
1 ピッキング装置
2 搬送装置(搬送路)
3 物品保管棚
7 保管空間
8 雄ネジ(ネジ構造)
9 ネジ穴(ネジ構造)
10 物品補充機構
11 棒状部材
11a 脱着側配置部(一方側配置部)
11b 固定側配置部(他方側配置部)
12a 上側固定部材
12b 下側固定部材
15a、15b 受け部材(支持部材)
16 ガイド部材
17b、18b 磁石
17c、18c クリップ
20 凹み部(係合部)