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特許7376950液体式セラミック積層造形方法及び前記方法を実施するための装置
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  • 特許-液体式セラミック積層造形方法及び前記方法を実施するための装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-31
(45)【発行日】2023-11-09
(54)【発明の名称】液体式セラミック積層造形方法及び前記方法を実施するための装置
(51)【国際特許分類】
   B28B 1/30 20060101AFI20231101BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20231101BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20231101BHJP
【FI】
B28B1/30
B33Y10/00
B33Y30/00
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021500343
(86)(22)【出願日】2019-03-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-02
(86)【国際出願番号】 EP2019056983
(87)【国際公開番号】W WO2019180093
(87)【国際公開日】2019-09-26
【審査請求日】2022-02-24
(31)【優先権主張番号】1852396
(32)【優先日】2018-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】520363889
【氏名又は名称】3 ディー ミネラルズ
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ジャクモン,セドリック
【審査官】永田 史泰
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第6454972(US,B1)
【文献】特開2017-222163(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B28B1/30
B33Y10/00-99/00
B29C64/00-64/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミック材料製部品の積層造形方法において、ノズル(30)を通して駆出することにより被着表面(24)上に被着材料(32)を被着させるステップを含み、製作すべき部品に応じて前記被着表面(24)及び/または前記ノズル(30)が移動する方法であって、前記被着材料(32)は、前記ノズル(30)から1m未満の距離だけ離隔した混合ゾーン内で、少なくとも1つの有機樹脂及び/または少なくとも1つの凝集剤及び/または少なくとも1つのpH調節剤で構成された補助剤(44)と懸濁状態のコロイド粒子を少なくとも10%含む少なくとも1つのスラリー(42)とを混合することによって得られ、前記混合することと前記被着材料(32)の駆出との間の時間は1分未満であり、前記補助剤(44)及び前記スラリー(42)の組成が、前記ノズル(30)の通過の前、または前記ノズル(30)のレベルにて100Pa.sを超える粘度を有するペースト状材料を得るような形で調整され、前記ペースト状材料は、ノズル(30)の通過直後に紐状を維持することを特徴とする、セラミック材料製部品の積層造形方法。
【請求項2】
各前記スラリー(42)が、少なくとも1つの金属酸化物及び/または少なくとも1つの鉱物原料の懸濁液であることを特徴とする、請求項1に記載のセラミック材料製部品の積層造形方法。
【請求項3】
前記スラリー(42)が水中懸濁液であることを特徴とする、請求項1または2に記載のセラミック材料製部品の積層造形方法。
【請求項4】
前記スラリー(42)が前記補助剤に混合される前に脱気されることを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載のセラミック材料製部品の積層造形方法。
【請求項5】
請求項1~のいずれか1項に記載の方法の実施を可能にするセラミック材料製部品の積層造形装置において、
-前記ノズル(30)を含む被着ヘッド(28)と、
-前記ノズル(30)の方向に前記被着材料(32)を押圧するために構成された押圧システム(40)と、
-前記被着ヘッド(28)及び/または前記被着表面(24)を互いとの関係において移動させるために構成された移動システム(36)と、
を含み、前記被着ヘッド(28)が、前記ノズル(30)と連通する少なくとも1つの混合ゾーン(46)、少なくとも1つのスラリータンク(R42)に連結された少なくとも1つのスラリーフィード(48)及び少なくとも1つの補助剤タンク(R44)に連結された少なくとも1つの補助剤フィード(50)を含むことを特徴とする、積層造形装置。
【請求項6】
前記スラリータンク(R42)(単複)が前記被着ヘッド(28)から遠隔にあり、各前記スラリータンク(R42)が少なくとも1つの第1のダクト(54)によって前記混合ゾーン(46)に連結されていることを特徴とする、請求項に記載の積層造形装置。
【請求項7】
前記被着ヘッド(28)が、少なくとも部分的に前記混合ゾーン(46)内に位置付けされかつ均質なペースト状材料(32)を得るべく少なくとも1つの前記スラリー(42)と少なくとも1つの前記補助剤(44)を混合するために構成された混合システム(52)を含むことを特徴とする、請求項またはに記載の積層造形装置。
【請求項8】
前記補助剤フィード(50)が前記混合ゾーン(46)のレベルに通じていること、及び前記補助剤フィード(50)及び/または前記混合ゾーン(46)が前記スラリーと前記補助剤の間で混合を誘発するために構成されていることを特徴とする、請求項またはに記載の積層造形装置。
【請求項9】
前記押圧システム(40)が前記被着ヘッド(28)から離隔され、ポンプ(P)の形を呈していることを特徴とする、請求項のいずれか1項に記載の積層造形装置。
【請求項10】
各前記スラリータンク(R42)が脱気システムを含むことを特徴とする、請求項のいずれか1項に記載の積層造形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、液体式セラミック積層造形方法ならびに前記方法を実施するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
第1の積層造形技術によると、セラミック材料製部品は、連続する層の積層によって、及び各層についての、例えばレーザを用いた選択的焼結によって、セラミック粉末またはセラミック粉末混合物から得られる。一例として、仏国特許出願公開第2774931号明細書中に記載されている通り、この第1の技術は、以下のステップからなる:
- 製作すべき部品のデジタル表現から積重ねられた一続きの区分を決定するステップ、
- 各区分について、薄い層の形でセラミック粉末またはセラミック粉末混合物を被着するステップ及び、部品の区分に対応する被着されたばかりの層のゾーンをレーザ焼結するステップを反復するステップ。
【0003】
この第1の技術は、比較的費用が高くつき、長時間かかり、寸法の大きな部品に応用するのが困難であることが判明している。
【0004】
第2の技術によると、“Development of Ceramic Inks for Direct Continuous Jet Printing”,journal of the american ceramic society,1 April 1998,Vol.81,No.4中に記されているように、インクジェット印刷技術によって鉱物インクを用いて支持体にマーキングを行なうことが可能である。この刊行物によると、セラミックインクは、液体、特に有機溶剤中に懸濁したセラミック粉末を含む。このセラミックインクの組成は、なかでもインクが被着時に、小滴の形で離れることができるほど充分に液体状態であるように決定される。そのために、セラミックインクはコロイド粒子を含まない。この第2の技術は、専ら小さな寸法の部品用である。
【0005】
図1により例示されている誘導押出し加工によるものと言われる第3の積層造形技術によると、セラミック部品は、所望の部品を得るような形で被着されたペースト状材料10から得られる。その後、こうして整形されたグリーン部品は、乾燥させた後に焼成される。
【0006】
ペースト状材料10を被着させるために、この材料は(制限された容積を有する)閉鎖されたタンク12の中で条件付けされ、ここでこのタンクは、下部部分にノズル14を有し、被着表面20との関係において水平な平面内でかつ垂直方向Zに沿ってタンク12、より詳細にはノズル14を移動させることができる移動システム16によって支持されている。
【0007】
タンク12は、ノズル14の方向にペースト状材料10を押圧するために構成された例えばピストンなどの押圧システム18を含む。
【0008】
ペースト状材料の場合には負荷損失が急速に非常に高くなることを理由として、タンク12をノズル14から過度に遠隔にすることはできない。結果として、タンク12とノズル14は隣接している。
【0009】
第1の作動様式によると、ペースト状材料10はノズル14から連続的に出ていく。この連続的退出と、ノズル14の移動が組合わさって、ペースト状材料のストランドの生成を可能にする。
【0010】
第2の作動様式によると、ペースト状材料10は、ノズル14から不連続的に出て行く。この場合、ペースト状材料10の離散体積がノズル14の移動毎に被着させられる。
【0011】
作動様式の如何に関わらず、ペースト状材料10は、所望の部品を形成するような形で積重ねられる。
【0012】
この第3の技術は、最初の2つの技術に比べ設備の費用がはるかに安く、セラミック製部品の製造分野において熟達した従来の技術(乾燥及び焼成)を使用する。
【0013】
しかしながら、この技術では、ペースト状材料10の粘度に関して妥協を行なう必要がある。実際、このペースト状材料は、ノズル14を介して流動できるよう充分な流動性を有するものの、徐々に層を積重ねることができるようその凝固を可能にするのに充分なほどペースト状でなければならない。
【0014】
その上、連続的製作の場合、製作される部品の体積は、タンク12の体積に制限される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【文献】仏国特許出願公開第2774931号明細書
【非特許文献】
【0016】
【文献】“Development of Ceramic Inks for Direct Continuous Jet Printing”,journal of the american ceramic society,1 April 1998,Vol.81,No.4
【発明の概要】
【発明が解釈しようとする課題】
【0017】
本発明は、先行技術の欠点を改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
このために、本発明は、セラミック材料製部品の積層造形方法において、ノズルを通して駆出することにより被着表面上に被着材料を被着させるステップを含み、製作すべき部品に応じてノズル及び/または被着表面が移動する方法であって、被着材料は、ノズルに最も近いところで、少なくとも1つの補助剤と懸濁状態のコロイド粒子を少なくとも10%含む少なくとも1つのスラリーとを、被着材料の駆出と同時に混合することによって得られ、補助剤及びスラリーの組成が、ノズル通過の前、ノズルのレベル、またはノズル通過後にペースト状材料を得るような形で調整されること、を特徴とする方法を目的とする。
【0019】
本発明は同様に、セラミック材料製部品の積層造形装置において、
- ノズルを含む被着ヘッドと、
- ノズルの方向に被着材料を押圧するために構成された押圧システムと、
- 被着ヘッド及び/または被着表面を互いとの関係において移動させるために構成された移動システムと、
を含み、被着ヘッドが、ノズルと連通する少なくとも1つの混合ゾーン、少なくとも1つのスラリータンクに連結された少なくとも1つのスラリーフィード及び少なくとも1つの補助剤タンクに連結された少なくとも1つの補助剤フィードを含むこと、を特徴とする装置をも目的とする。
【0020】
別の特徴によると、スラリータンク(単複)は、被着ヘッドから遠隔にあり、各スラリータンクは少なくとも1つの第1のダクトによって混合ゾーンに連結されている。
【0021】
他の特徴及び利点は、添付図面に照らして、単に一例として示されている以下の本発明についての説明から明らかになるものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】先行技術を例示するペースト式積層造形装置の概略的表現である。
図2】本発明の一実施形態を例示する液体式積層造形装置の概略的表現である。
図3】別の実施形態を例示する液体式積層造形装置の概略的表現である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
積層造形装置22は、被着表面24上で、セラミック材料製グリーン部品を製作するために使用される。先行技術の場合と同様に、このグリーン部品は、その製造を完成させるために焼成される。
【0024】
この積層造形装置22は、特に100Pa,s超の粘度を有するペースト状の被着材料32が駆出される時に通るノズル30を有する被着ヘッド28を含む。
【0025】
一構成によると、ノズル30は、被着ヘッド28の下部部分に位置付けされ、被着表面24に向けて配向された駆出オリフィス34を伴う漏斗の形を有する。
【0026】
被着ヘッド28は、被着ヘッド28、より詳細には駆出オリフィス34を被着表面24との関係において移動させるために構成された移動システムによって支持されている。
【0027】
移動システム36は、第1の方向Zつまり垂直方向(被着表面24に直交する)に沿って、及び第1の方向に直交する少なくとも1つの第2の方向に沿って、被着表面24との関係において被着ヘッド28を移動させることを可能にする。一構成によると、移動システム36は、3つの並進運動にしたがって被着ヘッド28を移動させ、3つの回転運動にしたがってそれを配向することができる。こうして被着ヘッド28は、第1の方向Zに対して傾斜し得る。
【0028】
1つの被着様式によると、被着材料32は連続層により被着される。1層を製作する間に、被着ヘッド28は水平方向平面内を移動する。各層間で、被着ヘッド28は、第1の方向Zに沿って移動して、一つの層から別の層に移行する。
【0029】
移動システム36、被着表面24及びノズル30は、先行技術の第3の製造技術のものと同一であることから、これらについてはこれ以上説明しない。
【0030】
別の実施形態によると、被着ヘッド28は固定しているかまたは1方向に対してのみ傾斜し得、被着表面24は、被着ヘッド24との関係において少なくとも1つの並進運動及び/または少なくとも1つの回転運動にしたがって移動する。変形形態では、被着ヘッド28及び被着表面24は移動可能である。
【0031】
実施形態の如何に関わらず、被着ヘッド28及び/または被着表面24は、製作すべき部品に応じて移動する。
【0032】
被着ヘッド28は、被着材料32を格納しノズル30と連通する駆出ゾーン38、ならびに少なくとも部分的に駆出ゾーン38内に位置されノズル30の方向に被着材料32を押圧するために構成された押圧システム40を含む。
【0033】
図2に見られる一実施形態によると、押圧システム40はウォームである。
【0034】
図3に見られる別の実施形態によると、押圧システム40は被着ヘッド28から離隔しており、例えば空気圧、油圧または機械式の少なくとも1つのポンプPの形を呈している。
【0035】
積層造形装置は、押圧システム40を制御するための少なくとも1つの制御機構を含む。したがって、作動様式に応じて、段階的にまたは連続的に押圧システムを作動させることが可能である。
【0036】
段階的作動の場合、被着材料32はノズル30から離散体積の形で退出し、ノズル30は、製作すべき部品に応じて適切な形で配設された2つの離散材料体積の退出の間で移動させられる。
【0037】
ノズル30の移動と組合わされた連続的作動の場合、被着材料32は、製作すべき部品に応じて適切な形で各区分が配設されているペースト状ストランドの形でノズル30から退出する。
【0038】
被着材料32の駆出及びノズル30の移動の誘導については、製作すべき部品によって左右されることから、これ以上詳述しない。
【0039】
非限定的な一実施形態によると、積層造形装置22は、ホットプレートの場合には被着表面24の下、またはランプの場合には被着表面24の上方に位置付けされて、被着された材料を加熱しこの材料の圧密をより良く制御する加熱システムを含む。
【0040】
本発明の1つの特徴によると、被着材料32は、ノズル30に最も近いところで、少なくとも1つのスラリー42及び少なくとも1つの補助剤44を、ノズル30を通した被着材料32の駆出と同時に混合することによって得られる。
【0041】
本出願に関しては、補助剤とは、少なくとも1つの有機樹脂及び/または少なくとも1つの凝集剤及び/または少なくとも1つのpH調節剤で構成された組成物を意味する。
【0042】
スラリーとは、100Pa.s未満、好ましくは10Pa.s未満で、0.005Pa.s超、好ましくは0.05Pa.s超の粘度を有する、液体状態の材料を意味する。
【0043】
鉱物インクとは異なり、スラリーは10%の懸濁状態のコロイド粒子を少なくとも1つ含む。
【0044】
最も近いところとは、被着材料32が、混合ゾーンからノズル30に向かって、限定された負荷損失で通過できることを意味する。
【0045】
混合ゾーンとノズル30の間の距離は、被着材料32の粘度によって左右される。したがって、混合ゾーンとノズル30間の距離は、被着材料32の粘度に反比例する。被着材料32の粘度が高くなればなるほど、混合ゾーンとノズル間の距離は短縮されるはずである。一実施形態によると、混合ゾーンとノズル30は、1m未満、好ましくは50cm未満の距離だけ分離されている。
【0046】
同時にとは、混合が被着材料の駆出の直前に行なわれることを意味する。被着材料の混合と駆出の間の時間はわずかであり、補助剤及びスラリーによって異なる。概して、この時間は1分未満、好ましくは10秒未満である。
【0047】
一作動様式によると、混合は連続的に行なわれ、材料は、混合が続行する中で駆出される。
【0048】
本発明の一特徴によると、各々のスラリー42は、少なくとも1つの金属酸化物及び/または少なくとも1つの鉱物原料の懸濁液である。スラリーは、水中に懸濁したコロイド粒子を少なくとも10%、好ましくは少なくとも30%含む。
【0049】
コロイド粒子及び補助剤の百分率は、被着された材料に求められるコンシステンシーに応じて選択される。したがって、濃度の低い補助剤44と共に30%のコロイド粒子を含むスラリー42は、濃度が非常に高い補助剤と共に70%のコロイド粒子を含むスラリー42よりも柔かいストランドの形の被着された材料を得ることを可能にする。
【0050】
本出願に関しては、スラリーなる用語は、1つのスラリーと同時に、被着中に組成が推移し得るスラリー混合物をも意味する。
【0051】
スラリー42は液体であることから、ダクト内でのスラリーの流動が生成する負荷損失は、先行技術の場合のようなペースト状材料の移動が引き起こす負荷損失よりも明らかに低い。
【0052】
一例として、スラリー42は、CERADEL社がGC304という品番で市販している砂岩タイプの鉱物粉末を懸濁状態で含み得る。当然のことながら、本発明はこの組成に限定されず、組成は部品毎に変動するか或いは求められる特性に応じて部品の製作中に推移する可能性がある。
【0053】
一例として、補助剤44は、100%の硫酸アルミニウムを含む組成物である。当然のことながら、本発明はこの補助剤に限定されない。補助剤の組成は、特にスラリーの組成に応じて適応されるものである。
【0054】
補助剤44は、その性質の如何に関わらず、液体またはゲルの形を呈する。したがって、スラリーについてと同様、ダクト内での材料の流動が生成する負荷損失は、ペースト状材料の移動が引き起こす負荷損失よりも明らかに低い。
【0055】
したがって、本発明によると、スラリー42及び補助剤44は、静的で(移動システム36によって支持されていない)かつ明確に異なるタンクR42及びR44の中に保管される。好ましくは、スラリータンクR42(単複)は、被着ヘッド28から遠隔にある。一実施形態によると、スラリータンクR42(単複)及び補助剤タンクR44(単複)は、被着ヘッド30から遠隔にある。
【0056】
積層造形装置22は、タンク毎に異なるスラリー組成物を各々格納する1つ以上のスラリータンクR42を含み得る。同様にして、この積層造形装置は、タンク毎に異なる補助剤組成物を各々格納する複数の補助剤タンクR44を含み得る。
【0057】
一実施形態によると、少なくとも1つのスラリータンクR42は開放しており、こうしてノズル30の出口でのペースト状材料32の流動が中断されることなく充填できるようになっている。
【0058】
図2に見られる一実施形態によると、被着ヘッド28は、少なくとも1つのスラリーフィード48及び少なくとも1つの補助剤フィード50を有し、ノズル30と連通する少なくとも1つの混合ゾーン46を含む。
【0059】
被着ヘッド28は、混合ゾーン46内に少なくとも部分的に位置付けされかつ均質な被着材料32を得るべく少なくとも1つのスラリー42と少なくとも1つの補助剤44を混合するために構成された混合システム52を含む。混合システム52はローターに連結されたブレードの形を呈し得る。当然のことながら、本発明はこのタイプのミキサに限定されるものではない。
【0060】
混合の持続時間及び強度は、スラリー及び/または補助剤に応じて適応されるものとする。
【0061】
一構成によると、駆出ゾーン38及び混合ゾーン46は、少なくとも1つのダクトまたは少なくとも1つのオリフィスを介して連通する2つの明確に異なるチャンバの形をした2つの明確に異なるゾーンである。
【0062】
図2に見られる別の構成によると、駆出ゾーン38及び混合ゾーン46は、上部部分に混合システム52を、そして下部部分に押圧システム40を含むチャンバの形をした唯一のゾーンのみを形成する。その上、同じシステムが押圧システム40及び混合システム52の機能を果たすことができる。
【0063】
積層造形装置は、各スラリータンクR42について、スラリー42をタンクR42から被着ヘッド28まで、より詳細には混合ゾーン46まで導くための少なくとも1つの第1のダクト54を、そして各補助剤タンクR44について、補助剤44をタンクR44から被着ヘッド28まで、より詳細には混合ゾーン46まで導くための少なくとも1つの第2のダクト56を含む。
【0064】
タンクR42、R44から混合ゾーン46に向かうスラリー及び補助剤の流動は、重力によって得ることができる。この場合、タンクR42、R44は、混合ゾーン46よりも高いところに位置付けされる。
【0065】
変形形態として、積層造形装置は、スラリータンク及び/または補助剤タンクR42、R44から混合ゾーン46に向かう流動を誘発するために、少なくとも1つのポンプまたはそれに類似するものを含む。
【0066】
混合ゾーン46内に導入されたスラリー及び/または補助剤の量を計量するために、少なくとも1つの計量ポンプが具備される。一構成によると、各々の第1のダクトは、混合ゾーン46内に導入されるスラリーの量を制御するための第1の計量ポンプ58を含み、各々の第2のダクト56は、混合ゾーン46内に導入される補助剤の量を制御するための第2の計量ポンプを含む。
【0067】
本発明の別の特徴によると、スラリー42は、補助剤44に混合される前に脱気される。一実施形態によると、各スラリータンクR42は、スラリー42から気泡を抜取ることを可能にする脱気システムを含む。
【0068】
図3によって例示されている別の実施形態によると、被着ヘッド28は、ノズル30及びこのノズル30と連通しスラリー48のフィードを有するチャンバ62を含む。一構成によると、積層造形装置は、第1のダクト54によってスラリーフィード48に連結された少なくとも1つのスラリータンクR42を含む。
【0069】
この第2の実施形態によると、押圧システム40は、被着ヘッド28の外部に配置され、第1のダクト54上に位置付けされたポンプPの形を呈する。
【0070】
被着ヘッド28は、ノズル30のレベルに位置付けされかつ第2のダクト56によって少なくとも1つの補助剤タンクR44に連結された補助剤フィード50を含む。補助剤フィード50及び/またはこの補助剤フィード50が通じている混合ゾーン46は、スラリーと補助剤の間の混合を誘発するために構成されている。
【0071】
補助剤及びスラリーの組成は、ノズル30の通過前、ノズル30のレベル、またはノズルの通過後にペースト状材料を得るような形で調整される。したがって、スラリーと補助剤の混合物は、ノズル30の通過時点で液体またはほぼ液体であり、ノズル30の通過直後にはペースト状となりストランドの形を保つことができる。
【0072】
実施形態の如何に関わらず、被着ヘッド28は、ノズル30の近くに少なくとも1つの混合ゾーンを含み、このゾーンのレベルで少なくとも1つのスラリーと少なくとも1つの補助剤が混合され、このゾーンは、少なくとも1つのスラリーフィード及び少なくとも1つの補助剤フィードと連通している。
【0073】
被着ヘッドにセラミックを液体式に補給することによって、以下の利点が得られる:
被着すべき材料を格納するタンクと被着ヘッドとを分離させることができ、このことは、被着ヘッドの寸法及び質量を削減すること、そして結局は移動システムに加わる応力を減少させることに寄与する。
【0074】
先行技術とは異なり、ペースト状の組成物中よりも液体組成物中の方が、気泡の移動がはるかに容易で抜取りも容易であることから、被着された材料の脱気は簡略化される。
【0075】
スラリーを保管するために開放タンクを使用することによって、必要な場合、ノズルレベルでの材料の流動を中断する必要なくタンクを充填することが可能となる。したがって、材料の流動を停止させずに、大きな寸法の部品を得ることが可能である。
【0076】
液体スラリーを使用することにより、より低い粘度を有する材料を被着させることができ、こうして、形成されたストランドの展延をよりうまく制御し、製作された部品上のディテールレベルを改善することが可能になる。
【0077】
最後に、液体スラリーの使用は、被着された材料の組成をより容易に推移させることを可能にする。したがって、唯一のノズルから、異なる組成及び/または組成勾配を有する部品を製作することが可能である。
図1
図2
図3