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特許7376951AMP活性化プロテインキナーゼ活性化化合物およびその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-31
(45)【発行日】2023-11-09
(54)【発明の名称】AMP活性化プロテインキナーゼ活性化化合物およびその使用
(51)【国際特許分類】
   C07F 9/6558 20060101AFI20231101BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20231101BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20231101BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20231101BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20231101BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20231101BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20231101BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20231101BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20231101BHJP
   A61K 31/7056 20060101ALI20231101BHJP
   C07H 19/052 20060101ALI20231101BHJP
【FI】
C07F9/6558 CSP
A61P43/00 111
A61P35/00
A61P3/10
A61P9/10
A61P3/04
A61P3/06
A61P9/00
A61P35/02
A61K31/7056
C07H19/052
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021506953
(86)(22)【出願日】2019-08-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-09
(86)【国際出願番号】 US2019044828
(87)【国際公開番号】W WO2020050935
(87)【国際公開日】2020-03-12
【審査請求日】2022-08-02
(31)【優先権主張番号】62/715,010
(32)【優先日】2018-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521053189
【氏名又は名称】スカイラーク バイオサイエンス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】サンダース, オリバー
【審査官】神野 将志
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-524662(JP,A)
【文献】特開2007-153876(JP,A)
【文献】国際公開第2001/093874(WO,A1)
【文献】国際公開第2009/151644(WO,A2)
【文献】特表2016-536288(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物:
【化13】

[式中、
は、ニトロフェニル基、ハロフェニル基、および式-CH -OC(=O)-O-(C ~C アルキル)の基から選択され;
であり;
は、Hあり;
は、H
または薬学的に許容されるその塩。
【請求項2】
【化14】

から選択される、請求項1に記載の化合物、または薬学的に許容されるその塩。
【請求項3】

【化15】

の化合物である、請求項1に記載の化合物、または薬学的に許容されるその塩。
【請求項4】
請求項1からのいずれか一項に記載の化合物を、少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤または担体と混合して含む医薬組成物。
【請求項5】
前記化合物が、少なくとも2種の薬学的に許容される賦形剤と混合される、請求項の医薬組成物。
【請求項6】
静脈内投与のための水性組成物である、請求項4または5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
AMP活性化プロテインキナーゼの活性化と関連する状態を処置するための、請求項1からのいずれか一項に記載の化合物を含む、組成物。
【請求項8】
AMP活性化プロテインキナーゼの活性化と関連する状態を処置するための、請求項4から6のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記状態が、がん、糖尿病、虚血傷害、肥満、高脂血症または心臓の状態から選択される、請求項または請求項に記載の組成物。
【請求項10】
前記状態が、白血病、リンパ腫、2型糖尿病および肥満から選択される、請求項に記載の組成物。
【請求項11】
細胞においてAMP活性化プロテインキナーゼを活性化する方法における使用のための、請求項1からのいずれか一項に記載の化合物を含む組成物であって、前記方法は、前記細胞を前記化合物と接触させるステップを含む、組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2018年8月6日に出願された米国仮特許出願第62/715,010号への優先権を主張し、その内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明の分野は、AMP活性化プロテインキナーゼの活性化に関連する状態の処置に有用な化合物、医薬組成物および方法である。化合物、組成物および方法は、ある特定のがん、心臓の状態、糖尿病の状態、肥満、およびAMP活性化プロテインキナーゼの活性化が有益である他の状態を処置するのに有用である。
【背景技術】
【0003】
5-アミノ-l-D-リボフラノシル-1H-イミダゾール-4-カルボキサミド、5-アミノイミダゾール-4-カルボキサミドリボシド、AICAリボシドおよびAICARとも称されるアカデシン(acadesine)は、CAS RN 2627-69-2の、以下の式:
【化1】
を有する天然物質である。
【0004】
AICAリボチドまたはZMPとも呼ばれるアカデシン5’-モノホスフェートは、CAS RN 3031-94-5を有し、天然に存在するアカデシンの活性代謝物である。ZMPは、多くの有益な効果を有するAMP活性化プロテインキナーゼを直接活性化することが幅広く報告されている。冠動脈バイパス移植術を受けている患者における臨床研究は、手術の前および手術の間のアカデシンによる処置が、初期の心臓死および心筋梗塞を低減し得ることを実証している(例えば、D. T. Mangano, Journal AmericanMedicalAssociation 1997, vol. 277, pp. 325-332を参照)。第III相試験は、アカデシンを用いて実施されており、アカデシンが経口および静脈内投与された場合、安全であることが示されている。血流の減少に起因した組織損傷を防止するため(米国特許第4,912,092号、米国特許第5,817,640号を参照);神経変性状態を処置するため(米国特許第5,187,162号を参照);中枢神経系への傷害を防止するため(米国特許第5,236,908号を参照);肥満を処置するため(WO0193873A1を参照);2型糖尿病を処置するため(WO0197816A1を参照)およびインスリン抵抗性に関連する状態を処置するため(WO0209726A1を参照)のアカデシンの使用に関する承認された特許および/または公開された特許出願が存在する。香味材料(米国特許第3,355,301号を参照)、抗コレステロール/抗高脂血症剤(WO9303734A1を参照)、抗肥満剤(WO0193874A1を参照)、および抗糖尿病剤(WO0197816A1を参照)としてのアカデシン5’-モノホスフェートの使用に関する承認された特許および/または公開された特許出願が存在する。白血病およびリンパ腫を処置するためのアカデシン、アカデシン5’-モノホスフェートまたはそのプロドラッグの使用を記載する報告もまた存在する。US2005/0233987、米国特許第7,560,435号。
【0005】
アカデシンは、一部の細胞型におけるアポトーシス阻害剤であることが公知である。したがって、例えば、アカデシンが休止胸腺細胞におけるグルココルチコイド誘導アポトーシスを阻害すること、アカデシンがフルクトース2,6-ビス-ホスフェートを過生成する線維芽細胞における血清欠乏によって引き起こされるアポトーシスを阻害すること、およびアカデシンが一次星状細胞におけるセラミド誘導アポトーシスを阻害することが公知である。したがって、アカデシンは、リンパ球アポトーシスに対して何らかの効果を有すると考えられるので、アカデシンは、その阻害剤であることが予想される。
【0006】
アカデシンに関する文献を通して、遊離ヌクレオシドが一般に投与され、有効性のために比較的大きな投薬量が必要である。これらの研究の大部分において、アカデシンは、細胞により急速に取り込まれ、アデノシンキナーゼによって活性種ZMPにリン酸化されると仮定されている。多数の参考文献がまた、アカデシンは、受動的には輸送されず、細胞膜透過に関してアデノシンヌクレオシド輸送体に依拠するという事実に言及している。アデノシンキナーゼおよびヌクレオシド輸送体についてのこれらの仮定が真である場合、活性種ZMPを生成するためのアカデシンの使用には2つの問題がある。1つ目の問題は、アデノシンキナーゼが、どの細胞型でも等量で発現されるわけではなく、アカデシンの投薬が、異なる組織において大幅に異なる量のZMPを生成することである。
【0007】
この問題に加えて、アカデシンは、活性種ZMPへの酵素変換を有し、アカデシンは、分子の親水性構造に起因した問題を有する。AICARは、投与された化合物の大部分が変化せずに尿中に排泄されるため、経口投薬した場合、非常に低いバイオアベイラビリティーを有する。これにより、好ましい投薬方法は静脈内となる。AICARのIV投与は、現在までの動物およびヒト研究において考慮されていない他の問題に陥る。IV投薬された場合、アデノシンは、約12秒の半減期を有する。この特性は、細胞外アデノシンレベルを緊密に制御する必要性に起因する。アデノシンのボーラス用量は、IV投与の部位に近位の赤血球(erythrocyte)および内皮細胞に非常に急速に取り込まれる。IVで投与されるアカデシンの大部分は同様に、赤血球(red blood cell)および内皮細胞によって取り込まれ、これらの細胞において活性代謝物ZMPに急速にリン酸化されると仮定することができる。
細胞の内部にあり、ZMPにリン酸化されたアカデシンは、細胞内部にイオントラップされる。したがって、血流に送達されたZMPは、それが必要であり得る他の細胞型に達するのではなく、毒性を引き起こすまで、赤血球および内皮細胞内部に蓄積する。したがって、大用量のヌクレオシドアカデシンのIV投与は、RBCおよび内皮細胞における毒性作用と共に活性種ZMPの非常に小さい全身曝露を生じる。
【0008】
しかしながら、所望の治療効果を達成するために、活性剤が最初に利用可能な細胞に進入するのではなく、その効果が薬学的に有益である可能性がある他の組織に達するように、活性剤を全身送達することが典型的には好ましい。本発明は、理論に縛られることなく、AICARがそうであり得るように、ZMPのプロドラッグとして作用し、それらが遭遇する最初の細胞によって急速に吸収およびトラップされるわけではなく、代わりに全身利用可能であると考えられる、式(I)の化合物を提供する。式(I)の化合物は、細胞に活発には輸送されないと考えられ、その結果、それらは、それらが接近する最初の細胞に急速に進入するわけではない。式(I)の化合物が細胞に進入すると、プロドラッグ部分が切断され、活性種ZMPが生成され、次いで、ZMPは、イオントラップによって細胞内部に維持される。したがって、式(I)の化合物により、AICAR自体がもたらすよりも高い活性代謝物ZMPの全身バイオアベイラビリティーがもたらされ、また、静脈内投与された場合AICARによって有害に影響され得る他の細胞、特に赤血球への迅速な進入と関連する有害効果が低減される。したがって、これらの式(I)の化合物は、アカデシンまたはZMPにより処置可能な状態を処置するのに有用であり、有効であるのにより低用量を必要とする。本明細書で示される通り、化合物はまた、抗がん活性を示す。本発明のプロドラッグの他の特徴および利点、ならびにそれらを使用する方法は、以下の詳細な説明に照らして認識されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】米国特許第4,912,092号明細書
【文献】米国特許第5,817,640号明細書
【文献】米国特許第5,187,162号明細書
【文献】米国特許第5,236,908号明細書
【文献】国際公開第0193873号
【文献】国際公開第0197816号
【文献】国際公開第0209726号
【文献】米国特許第3,355,301号明細書
【文献】国際公開第9303734号
【文献】国際公開第0193874号
【文献】米国特許出願公開第2005/0233987号明細書
【文献】米国特許第7,560,435号明細書
【非特許文献】
【0010】
【文献】D. T. Mangano, Journal AmericanMedicalAssociation 1997, vol. 277, pp. 325-332
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、式(I)の化合物、これらの化合物を含む医薬組成物、ならびにこれらの化合物および医薬組成物を使用する方法に関する。
一態様では、本開示は、式(I)による構造を有する複素環式化合物:
【化2】
(式中、
は、
(a)リストXから選択される1つまたは複数の基で置換されたC~Cアルキル;
(b)Q;および
(c)-L-Q
から選択され;
は、
(a)リストXから選択される1つまたは複数の基で置換されたC~Cアルキル;
(b)Q;
(c)-L-Q;および
(d)H
から選択され;
Qは、各出現において独立して選択され、フェニル、ならびに環員としてN、OおよびSから選択される1~3個のヘテロ原子を含有する5~6員ヘテロアリールから選択される環を表し、各Qは、リストMから選択される1~3つの基で必要に応じて置換されており;
Lは、ハロ、オキソ(=O)、-OH、C~Cハロアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルコキシ、CN、COOR、-OC(=O)RおよびNRから選択される1つまたは2つの基で必要に応じて置換されたC~Cアルキレンであり;
は、Hまたは-C(=O)-Rであり;
は、Hまたは-C(=O)-Rであり;
は、H、またはハロ、CN、ヒドロキシ、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルキル、-NR、-OC(=O)-RおよびCOORから選択される1~3つの基で必要に応じて置換されたC~Cアルキルであり;
は、各出現において独立して、H、ならびにハロ、CN、ヒドロキシ、C~CアルコキシおよびC~Cハロアルキルから選択される最大3つの基で必要に応じて置換されたC~Cアルキルから選択され;
およびRは、各々、各出現において独立して、H、およびリストXから選択される1つもしくは2つの基で必要に応じて置換されたC~Cアルキルから選択されるか;
またはRおよびRは、その両方が結合した窒素と一緒になって、環員としてN、OおよびSから選択される追加のヘテロ原子を必要に応じて含有し、ハロ、オキソ、C~Cアルキル、ヒドロキシ、C~Cアルコキシ、CNおよびCOORから選択される1~4つの基で必要に応じて置換された5~6員複素環式環を形成し;
10は、各出現において独立して、ハロ、CN、ヒドロキシ、C~CアルコキシおよびC~Cハロアルキルから選択される最大3つの基で必要に応じて置換されたC~Cアルキルであり;
リストXは、ハロ、CN、-OH、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルコキシ、=O、-COOR、-OC(=O)R、-O-COOR10、-SO10、-SONR、-O-Q、および-O-L-Qからなり;
リストMは、ハロ、CN、NO、COOR、CONR、-SO10、-SONR、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルコキシ、C~Cアルコキシ、およびC~Cアルキルからなる)
または薬学的に許容されるその塩を提供する。
【0012】
ある特定の式(I)の化合物
【化3】
(式中、
は、
(a)リストXから選択される1つまたは複数の基で置換されたC~Cアルキル;
(b)Q;および
(c)-L-Q
から選択され;
は、
(a)H;
(b)Q;および
(c)-L-Q
から選択され;
Qは、各出現において独立して選択され、フェニル、ならびに環員としてN、OおよびSから選択される1~3個のヘテロ原子を含有する5~6員ヘテロアリールから選択される環を表し、各Qは、リストMから選択される1~3つの基で必要に応じて置換されており;
Lは、ハロ、オキソ(=O)、-OH、C~Cハロアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルコキシ、CN、COOR、-OC(=O)RおよびNRから選択される1つまたは2つの基で必要に応じて置換されたC~Cアルキレンであり;
は、Hまたは-C(=O)-Rであり;
は、Hまたは-C(=O)-Rであり;
は、H、またはハロ、CN、ヒドロキシ、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルキル、-NR、-OC(=O)-RおよびCOORから選択される1~3つの基で必要に応じて置換されたC~Cアルキルであり;
は、各出現において独立して、H、ならびにハロ、CN、ヒドロキシ、C~CアルコキシおよびC~Cハロアルキルから選択される最大3つの基で必要に応じて置換されたC~Cアルキルから選択され;
およびRは、各々、各出現において独立して、H、およびリストXから選択される1つもしくは2つの基で必要に応じて置換されたC~Cアルキルから選択されるか;
またはRおよびRは、その両方が結合した窒素と一緒になって、環員としてN、OおよびSから選択される追加のヘテロ原子を必要に応じて含有し、ハロ、オキソ、C~Cアルキル、ヒドロキシ、C~Cアルコキシ、CNおよびCOORから選択される1~4つの基で必要に応じて置換された5~6員複素環式環を形成し;
10は、各出現において独立して、ハロ、CN、ヒドロキシ、C~CアルコキシおよびC~Cハロアルキルから選択される最大3つの基で必要に応じて置換されたC~Cアルキルであり;
リストXは、ハロ、CN、-OH、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルコキシ、=O、-COOR、-OC(=O)R、-O-COOR10、-SO10、-SONR、-O-Q、および-O-L-Qからなり;
リストMは、ハロ、CN、NO、COOR、CONR、-SO10、-SONR、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルコキシ、C~Cアルコキシ、およびC~Cアルキルからなる)
または薬学的に許容されるその塩、ならびにそのような化合物を医薬品として作製および使用する方法が、特に目的のものである。
【0013】
式(I)の化合物は、特に、AMP活性化プロテインキナーゼを活性化することが有益である状態を処置するために、細胞、組織または生物においてAMP活性化プロテインキナーゼを活性化するために使用することができる。アカデシンモノホスフェートのプロドラッグとして、式(I)の化合物は、AICARまたはZMPと比較して強化された細胞内有効性および全身性を示し、ZMPの強化された全身送達をもたらす。したがって、式(I)の化合物は、AICARおよび/またはZMPが有効である状態を処置するのに有用である。これらの状態には、虚血傷害、血栓症、B細胞関連リンパ増殖性障害、糖尿病およびインスリン抵抗、高脂血症、ならびに神経変性状態が含まれる。特に、AICARまたはZMPは、急性リンパ芽球性白血病、B細胞慢性リンパ性白血病(B-CLL)、2型糖尿病、心臓損傷および心筋梗塞、脾辺縁帯リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫およびWaldenstrom症候群を含む他のB細胞リンパ増殖性障害を処置する、ならびに心臓手術の間の虚血傷害に対して保護するのに有用であると報告されている。式(I)の化合物は、これらの状態およびAMP活性化プロテインキナーゼの活性化と関連する他の状態を処置するのに有用である。
【0014】
一態様では、本発明は、本明細書に記載の通りの式(I)の化合物およびそれらの薬学的に許容される塩を提供する。化合物は、上で言及した状態の処置に有用である。
【0015】
一部の実施形態では、本明細書に記載の化合物は、これらの状態の治療を必要とする対象における治療において、特に、上で言及した状態を処置するために、またはAMP活性化プロテインキナーゼの活性化を改善するために使用することができる。
【0016】
別の態様では、本開示は、本明細書に記載の通りの式(I)の化合物を、少なくとも1種の薬学的に許容される担体または賦形剤と混合して含む医薬組成物を提供する。
【0017】
なお別の態様では、本開示は、虚血傷害、血栓症、B細胞関連リンパ増殖性障害、糖尿病およびインスリン抵抗、高脂血症、ならびに神経変性状態を含む、AICARおよび/またはZMPが有効である状態を処置および/または防止するための方法を提供する。特に、化合物およびそれらの医薬組成物は、急性リンパ芽球性白血病、B細胞慢性リンパ性白血病(B-CLL)、2型糖尿病、心臓損傷および心筋梗塞、脾辺縁帯リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫およびWaldenstrom症候群を含む他のB細胞リンパ増殖性障害を処置する、ならびに心臓手術の間の虚血傷害に対して保護する、ならびにAMP活性化プロテインキナーゼの活性化と関連する他の状態を処置するのに有用である。
【0018】
なお別の態様では、本開示は、医薬の製造のための本明細書に記載の通りの式(I)の化合物の使用を提供する。特に、化合物は、本明細書に開示される状態を処置するための医薬の製造に有用である。
【0019】
なお別の態様では、本開示は、上で言及したものを含むAICARおよび/またはZMPが有効性を有する状態を処置および/または防止するための組合せ物を提供する。組合せ物は、本明細書に記載の通りの式(I)の化合物、および式(I)の化合物で処置されることになる同じ対象を処置するのに有用な少なくとも1種の追加の治療剤を含む。
【0020】
なお別の態様では、本開示は、そのような処置を必要とする対象においてAICARおよび/またはZMPの投与に応答する状態を処置および/または防止するための方法であって、それを必要とする対象に、本明細書に開示される通りの式(I)の化合物および上記の通りの第2の治療剤を含む組合せ物の有効量を投与するステップを含む、方法を提供する。
【0021】
なお別の態様では、本開示は、AMP活性化プロテインキナーゼの強化された活性化を提供するための方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者に通常理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で参照されるすべての特許、出願、公開出願および他の刊行物は、それらの全体が参照により組み込まれる。この節で示される定義が、参照により本明細書に組み込まれる特許、出願または他の刊行物で示される定義と反するかまたはそれ以外で矛盾する場合、この節で示される定義が、参照により本明細書に組み込まれる定義よりも優先される。
【0023】
本明細書で使用される場合、「1つの(a)」または「1つの(an)」は、「少なくとも1つの」または「1つまたは複数の」を意味する。
【0024】
本明細書で使用される場合、「アルキル」という用語は、直鎖状、分枝状もしくは環状構成、または任意のその組合せの飽和炭化水素基を指し、特に企図されるアルキル基には、10個またはそれ未満の炭素原子、とりわけ1~6個の炭素原子を有するもの、および1~4個の炭素原子を有する低級アルキル基が含まれる。例示的なアルキル基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、3級ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、シクロプロピルメチルなどである。
【0025】
アルキル基は、非置換であってもよく、またはそれらは、そのような置換が化学的に意味をなす程度に置換されていてもよい。典型的な置換基には、ハロ、=O、=N-CN、=N-OR、=NR、-OR、-NR 、-SR、-SO、-SONR 、-NRSO、-NRCONR 、-NRCOOR、-NRCOR、-CN、-COOR、-CONR 、-OOCR、-CORおよび-NO(式中、各Rは独立して、H、C~Cアルキル、C~Cヘテロシクリル、C~Cアシル、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル、C~C10アリールまたはC~C10ヘテロアリールであり、各Rは、ハロ、=O、=N-CN、=N-OR、=NR、OR、NR 、SR、SO、SONR 、NRSO、NRCONR 、NRCOOR、NRCOR、CN、COOR、CONR 、OOCR、CORおよびNOで必要に応じて置換されており、各Rは独立して、H、C~Cアルキル、C~Cヘテロシクリル、C~Cアシル、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル、C~C10アリールまたはC~C10ヘテロアリールである)が含まれるがこれらに限定されない。置換基が、同じまたは隣接する原子上に2つのRまたはR基を含有する(例えば、-NR または-NR-C(O)-R)場合、2つのRまたはR基は、必要に応じて、それが結合した置換基の原子と一緒になって、5~8個の環員を有する環を形成することができ、これは、RまたはR自体が可能であるように置換されていてもよく、環員として追加のヘテロ原子(N、OまたはS)を含有していてもよい。
【0026】
本明細書で使用される場合、「アルケニル」という用語は、少なくとも2個の炭素原子および少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する、上で定義される通りのアルキルを指す。したがって、特に企図されるアルケニル基には、2~10個の炭素原子(例えば、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニルなど)、または環式アルケニル基の場合5~10個の原子を有する直鎖状、分枝状または環式アルケニル基が含まれる。アルケニル基は、本明細書で示される通りのアルキル基に好適な基によって必要に応じて置換されている。
【0027】
同様に、本明細書で使用される場合、「アルキニル」という用語は、上で定義される通りであり、少なくとも2個(好ましくは3個)の炭素原子および少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を有するアルキルまたはアルケニルを指す。とりわけ企図されるアルキニルには、合計2~10個の炭素原子を有する直鎖状、分枝状または環式アルキン(例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、シクロプロピルエチニルなど)が含まれる。アルキニル基は、本明細書で示される通りのアルキル基に好適な基によって必要に応じて置換されている。
【0028】
本明細書で使用される場合、「シクロアルキル」という用語は、好ましくは3~8個の炭素原子を含む環式アルカン(すなわち、炭化水素の炭素原子の鎖が環を形成する)を指す。したがって、例示的なシクロアルカンには、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルが含まれる。シクロアルキルはまた、1つまたは2つの二重結合を含んでもよく、これは、「シクロアルケニル」基を形成する。シクロアルキル基は、本明細書で示される通りのアルキル基に好適な基によって必要に応じて置換されている。
【0029】
本明細書で使用される場合、「アリール」または「芳香族部分」という用語は、芳香族環系を指す。したがって、企図されるアリール基には、フェニルおよびナフチルが含まれる。さらに、企図されるアリール基は、別の5または6員ヘテロアリール、シクロアルキルまたは複素環式基と縮合していてもよく(すなわち、第1の芳香族環の2個の原子と共有結合している)、したがって、「縮合アリール」または「縮合芳香族」と呼ばれる。
【0030】
環員として1個または複数のヘテロ原子(典型的にはN、OまたはS)を含有する芳香族基は、ヘテロアリールまたは複素芳香族基と称され得る。典型的な複素芳香族基には、単環式5~6員芳香族基、例えば、ピリジル、ピリミジル、ピラジニル、チエニル、フラニル、ピロリル、ピラゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリルおよびイミダゾリル、ならびにこれらの単環式基のうちの1つを、フェニル環または複素芳香族単環式基のうちの任意のものと縮合して8~10員二環式基を形成することによって形成される縮合二環式部分、例えば、インドリル、ベンゾイミダゾリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、イソキノリル、キノリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾフラニル、ピラゾロピリジル、ピラゾロピリミジル、キナゾリニル、キノキサリニル、シンノリニルなどが含まれる。環系を通した電子分布の点で芳香族性の特性を有する任意の単環式または縮合環二環式系は、この定義に含まれる。これはまた、少なくとも、分子の残りに直接結合した環が芳香族性の特性を有する二環式基も含む。典型的には、芳香族環系は、5~12個の環員原子を含有する。
【0031】
また本明細書で使用される場合、「複素環」および「複素環式」という用語は、複数の原子が複数の共有結合を介して環を形成しており、環は、環員として炭素原子以外の少なくとも1個の原子を含む、任意の化合物またはラジカルを指すために使用される。特に企図される複素環式環には、1個または複数の非炭素環原子として窒素、硫黄または酸素を含む5および6員環、例えば、ピロリジン、モルホリン、ピペリジン、テトラヒドロフラン、ピペラジンなどが含まれる。典型的には、これらの環は、環員として0~1個の酸素または硫黄原子、少なくとも1個、典型的には2~3個の炭素原子、および最大2個の窒素原子を含有する。さらに企図される複素環は、1つまたは2つの炭素環式環または複素環に縮合していてもよく(すなわち、第1の複素環式環の2個の原子と共有結合している)、したがって、本明細書で使用される場合、「縮合複素環」または「縮合複素環式環」または「縮合複素環式部分」と呼ばれる。縮合環が芳香族である場合、これらは、本明細書において、「ヘテロアリール」または複素芳香族基と称され得る。
【0032】
芳香族ではない複素環式基は、上で示される通りのアルキル基置換基に好適な基で、およびまたC~Cアルキル基によって置換されていてもよい。
【0033】
アリールおよびヘテロアリール基は、許容される場合、置換されていてもよい。好適な置換基には、ハロ、-OR、-NR 、-SR、-SO、-SONR 、-NRSO、-NRCONR 、-NRCOOR、-NRCOR、-CN、-COOR、-CONR 、-OOCR、-CORおよび-NO(式中、各Rは独立して、H、C~Cアルキル、C~Cヘテロシクリル、C~Cアシル、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル、C~C10アリールまたはC~C10ヘテロアリールであり、各Rは、ハロ、=O、=N-CN、=N-OR、=NR、OR、NR 、SR、SO、SONR 、NRSO、NRCONR 、NRCOOR、NRCOR、CN、COOR、CONR 、OOCR、CORおよびNOで必要に応じて置換されており、各Rは独立して、H、C~Cアルキル、C~Cヘテロシクリル、C~Cアシル、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル、C~C10アリールまたはC~C10ヘテロアリールである)が含まれるがこれらに限定されない。置換基が、同じまたは隣接する原子に2つのRまたはR基を含有する場合(例えば、-NR または-NR-C(O)-R)、2つのRまたはR基は、必要に応じて、それが結合した置換基の原子と一緒になって、5~8個の環員を有する環を形成することができ、これは、RまたはR自体が可能であるように置換されていてもよく、環員として追加のヘテロ原子(N、OまたはS)を含有していてもよい。
【0034】
本明細書で使用される場合、「アルコキシ」という用語は、酸素原子を通して連結した炭化水素基、例えば、-O-Hcを指し、炭化水素部分Hcは、任意数の炭素原子、典型的には1~10個の炭素原子を有してもよく、二重または三重結合をさらに含んでいてもよく、アルキル鎖中に1個または2個の酸素、硫黄または窒素原子を含んでいてもよく、アルキル基の置換基として本明細書に開示される基のうちの任意のもので置換されていてもよい。例えば、好適なアルコキシ基には、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、イソプロポキシ、メトキシエトキシ、ベンジルオキシ、アリルオキシなどが含まれる。同様に、「アルキルチオ」という用語は、一般式-S-Hc(式中、炭化水素部分Hcは、アルコキシ基に関して記載の通りである)のアルキルスルフィドを指す。例えば、企図されるアルキルチオ基には、メチルチオ、エチルチオ、イソプロピルチオ、メトキシエチルチオ、ベンジルチオ、アリルチオなどが含まれる。
【0035】
本明細書で使用される場合、「アミノ」という用語は、基-NHを指す。
【0036】
本明細書で使用される場合、「アシル」という用語は、式-C(=O)-D(式中、Dは、上記の通りのアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールまたは複素環を表す)の基を指す。典型例は、DがC~Cアルキル、C~Cアルケニルもしくはアルキニル、またはフェニルであり、その各々が必要に応じて置換されている、基である。一部の実施形態では、Dは、H、Me、Et、イソプロピル、プロピル、ブチル、C~Cアルキル(-OH、-OMeまたはNHで必要に応じて置換されている)、フェニル、ハロフェニル、アルキルフェニルなどであり得る。
【0037】
本明細書で使用される場合、「アリールオキシ」という用語は、酸素原子に連結しているアリール基を指し、アリール基は、さらに置換されていてもよい。例えば、好適なアリールオキシ基には、フェニルオキシなどが含まれる。同様に、本明細書で使用される場合、「アリールチオ」という用語は、硫黄原子に連結しているアリール基を指し、アリール基は、さらに置換されていてもよい。例えば、好適なアリールチオ基には、フェニルチオなどが含まれる。
【0038】
各アルコキシ、アルキルチオ、アルキルアミノおよびアリールオキシなどの炭化水素部分は、妥当な炭化水素部分が適宜置換されていてもよい。
【0039】
本明細書で使用される場合、「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を指す。置換基として存在する場合、ハロゲンまたはハロは、典型的には、FまたはClまたはBr、より典型的にはFまたはClを指す。
【0040】
「ハロアルキル」という用語は、アルキル基の1個または複数の水素原子がハロ基で置換されている、上記の通りのアルキル基を指す。そのような基の例には、限定なしに、フルオロアルキル基、例えば、フルオロエチル、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロエチルなどが含まれる。
【0041】
「ハロアルコキシ」という用語は、基-O-ハロアルキルを指し、例として、トリフルオロメトキシなどの基が含まれる。
【0042】
本明細書で使用される場合、「置換」という用語は、非置換基の水素原子の、本明細書に記載の通りの少なくとも1つの好適な置換基による置き換えを指す。さらに、「置換」という用語はまた、多重置換度も含み、多重置換基が開示または特許請求される場合、置換化合物は独立して、1つまたは複数の開示または特許請求された置換基部分によって置換されていてもよい。
【0043】
本明細書の開示に加えて、ある特定の実施形態では、置換されている基は、1、2、3もしくは4つの置換基、1、2もしくは3つの置換基、1もしくは2つの置換基、または1つの置換基を有する。
【0044】
上で定義されたすべての置換基において、自体へのさらなる置換基を有する置換基を定義することによって到達する化合物(例えば、置換アリール基によってさらに置換された、置換基としてのそれ自体置換アリール基で置換されている置換アリール基を有する置換アリールなど)は、本明細書への包含は意図されないことが理解される。そのような場合には、そのような置換基の最大数は3である。例えば、本明細書で具体的に企図される置換アリール基の連続置換は、置換アリール-(置換アリール)-置換アリールに限定される。
【0045】
他に示されない限り、本明細書で明らかに定義されていない置換基の命名は、官能基の末端部分、続いて隣接する官能基を結合点に向かって命名することによって達成される。例えば、置換基「アリールアルキルオキシカルボニル」は、基(アリール)-(アルキル)-O-C(O)-を指す。
【0046】
1つまたは複数の置換基を含有する本明細書に開示される基のいずれについても、当然のことながら、そのような基は、立体的に実行不可能である、または水性環境において化学的に不安定であるおよび/もしくは合成できない置換基も置換パターンも含有しないことが理解される。加えて、対象化合物は、特定の異性体が開示されていない限り、これらの化合物の置換から生じるすべての立体化学的異性体を含む。ヌクレオシドアナログが開示される場合、構造は、混合物が示されていない限り、示されている特定の鏡像異性体を表す。
【0047】
「薬学的に許容される塩」という用語は、哺乳動物などの患者、とりわけヒトへの投与が許容可能である塩(所与の投薬量レジメンに関して許容可能な哺乳動物安全性を有する、対イオンとの塩)を意味する。そのような塩は、薬学的に許容される無機または有機塩基から、および薬学的に許容される無機または有機酸から誘導できる。「薬学的に許容される塩」は、化合物の薬学的に許容される塩を指し、その多くは、当技術分野で周知である。これらの塩は、当技術分野で周知の種々の有機および無機対イオンから誘導され、単なる例として、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウムなど、ならびに分子が塩基性官能基を含有する場合、有機または無機酸の塩、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、ギ酸塩、酒石酸塩、ベシル酸塩、メシル酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、シュウ酸塩などが含まれる。
【0048】
「その塩」という用語は、中性有機化合物がプロトン化または脱プロトン化されて反対電荷の対イオンと関連するイオン性有機部分が生成される場合に形成される化合物を指す。例えば、これは、酸性有機分子のプロトンがカチオン、例えば、金属カチオンまたは有機カチオンによって置き換えられる場合に形成される塩を指し得る。別の例として、本発明の化合物の塩は、化合物が、無機または有機酸によってプロトン化されてカチオンを形成し、塩のアニオン成分として無機または有機酸の共役塩基を有するものを含む。適切な場合、塩は、薬学的に許容される塩であるが、これは、患者への投与が意図されない化合物の塩、例えば、最終薬物化合物への前駆体または式(I)の化合物の合成に有用な中間体を必要としない。
【0049】
本明細書に記載の化合物および組成物は、上で開示される状態のうちの任意のものの処置を必要とする対象に投与することができる。対象は、典型的には、そのような障害のうちの1つまたは複数の処置を必要としていると診断された哺乳動物であり、好ましくは、対象はヒトである。方法は、必要に応じて医薬組成物の形態の、少なくとも1種の式(I)の化合物の有効量を投与するステップを含む。必要に応じて、化合物は、1種または複数の追加の治療剤、特に特定の対象を苦しめる状態を処置するのに有用な治療剤と組み合わせて投与されてもよい。
例示的な実施形態
【0050】
以下の番号付けした実施形態は、本発明を代表する。
【0051】
式(I)の化合物:
【化4】
(式中、
は、
(a)リストXから選択される1つまたは複数の基で置換されたC~Cアルキル;
(b)Q;および
(c)-L-Q
から選択され;
は、
(a)リストXから選択される1つまたは複数の基で置換されたC~Cアルキル;
(b)Q;
(c)-L-Q;および
(d)H
から選択され;
Qは、各出現において独立して選択され、フェニル、ならびに環員としてN、OおよびSから選択される1~3個のヘテロ原子を含有する5~6員ヘテロアリールから選択される環を表し、各Qは、リストMから選択される1~3つの基で必要に応じて置換されており;
Lは、ハロ、オキソ(=O)、-OH、C~Cハロアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルコキシ、CN、COOR、-OC(=O)RおよびNRから選択される1つまたは2つの基で必要に応じて置換されたC~Cアルキレンであり;
は、Hまたは-C(=O)-Rであり;
は、Hまたは-C(=O)-Rであり;
は、H、またはハロ、CN、ヒドロキシ、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルキル、-NR、-OC(=O)-RおよびCOORから選択される1~3つの基で必要に応じて置換されたC~Cアルキルであり;
は、各出現において独立して、H、ならびにハロ、CN、ヒドロキシ、C~CアルコキシおよびC~Cハロアルキルから選択される最大3つの基で必要に応じて置換されたC~Cアルキルから選択され;
およびRは、各々、各出現において独立して、H、およびリストXから選択される1つもしくは2つの基で必要に応じて置換されたC~Cアルキルから選択されるか;
またはRおよびRは、その両方が結合した窒素と一緒になって、環員としてN、OおよびSから選択される追加のヘテロ原子を必要に応じて含有し、ハロ、オキソ、C~Cアルキル、ヒドロキシ、C~Cアルコキシ、CNおよびCOORから選択される1~4つの基で必要に応じて置換された5~6員複素環式環を形成し;
10は、各出現において独立して、ハロ、CN、ヒドロキシ、C~CアルコキシおよびC~Cハロアルキルから選択される最大3つの基で必要に応じて置換されたC~Cアルキルであり;
リストXは、ハロ、CN、-OH、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルコキシ、=O、-COOR、-OC(=O)R、-O-COOR10、-SO10、-SONR、-O-Q、および-O-L-Qからなり;
リストMは、ハロ、CN、NO、COOR、CONR、-SO10、-SONR、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルコキシ、C~Cアルコキシ、およびC~Cアルキルからなる)
または薬学的に許容されるその塩。
式(I)の化合物(式中、
は、
(a)リストXから選択される1つまたは複数の基で置換されたC~Cアルキル;
(b)Q;および
(c)-L-Q
から選択され;
は、
(a)H;
(b)Q;および
(c)-L-Q
から選択され;
Qは、各出現において独立して選択され、フェニル、ならびに環員としてN、OおよびSから選択される1~3個のヘテロ原子を含有する5~6員ヘテロアリールから選択される環を表し、各Qは、リストMから選択される1~3つの基で必要に応じて置換されており;
Lは、ハロ、オキソ(=O)、-OH、C~Cハロアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルコキシ、CN、COOR、-OC(=O)RおよびNRから選択される1つまたは2つの基で必要に応じて置換されたC~Cアルキレンであり;
は、Hまたは-C(=O)-Rであり;
は、Hまたは-C(=O)-Rであり;
は、H、またはハロ、CN、ヒドロキシ、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルキル、-NR、-OC(=O)-RおよびCOORから選択される1~3つの基で必要に応じて置換されたC~Cアルキルであり;
は、各出現において独立して、H、ならびにハロ、CN、ヒドロキシ、C~CアルコキシおよびC~Cハロアルキルから選択される最大3つの基で必要に応じて置換されたC~Cアルキルから選択され;
およびRは、各々、各出現において独立して、H、およびリストXから選択される1つもしくは2つの基で必要に応じて置換されたC~Cアルキルから選択されるか;
またはRおよびRは、その両方が結合した窒素と一緒になって、環員としてN、OおよびSから選択される追加のヘテロ原子を必要に応じて含有し、ハロ、オキソ、C~Cアルキル、ヒドロキシ、C~Cアルコキシ、CNおよびCOORから選択される1~4つの基で必要に応じて置換された5~6員複素環式環を形成し;
10は、各出現において独立して、ハロ、CN、ヒドロキシ、C~CアルコキシおよびC~Cハロアルキルから選択される最大3つの基で必要に応じて置換されたC~Cアルキルであり;
リストXは、ハロ、CN、-OH、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルコキシ、=O、-COOR、-OC(=O)R、-O-COOR10、-SO10、-SONR、-O-Q、および-O-L-Qからなり;
リストMは、ハロ、CN、NO、COOR、CONR、-SO10、-SONR、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルコキシ、C~Cアルコキシ、およびC~Cアルキルからなる)
または薬学的に許容されるその塩が、特に目的のものである。
2. Rが、リストXから選択される1~3つの基で置換されたC~Cアルキルである、実施形態1の化合物、または薬学的に許容されるその塩。
3. Rが、-CH-O-C(=O)-OR10(式中、R10が、C~Cアルコキシ、COORまたはCNで必要に応じて置換されたC~Cアルキルである)である実施形態1もしくは実施形態2の化合物、または薬学的に許容されるその塩。
4. Rが、リストMから選択される1~3つの基で必要に応じて置換されたフェニルである、実施形態1の化合物、または薬学的に許容されるその塩。これらの実施形態の一部のものでは、Rは、ハロ、CN、NO、COOR、CONR、-SO10、-SONRおよびC~Cハロアルキルから選択される1つまたは2つの基で置換されたフェニルである。特定の例では、Rは、クロロフェニルおよびニトロフェニルから選択される。
5. RがHである、先行する実施形態のいずれかの化合物、または薬学的に許容されるその塩。
6. Rが、-C(=O)-O-R10(式中、R10は、C~Cアルコキシ、COORもしくはCNで必要に応じて置換されたC~Cアルキルである)である、実施形態1~4のいずれか1つの化合物、または薬学的に許容されるその塩。
7. RがHである、先行する実施形態のいずれか1つの化合物、または薬学的に許容されるその塩。
8. RがHである、先行する実施形態のいずれか1つの化合物、または薬学的に許容されるその塩。
9. RおよびRが異なる、実施形態1~7のいずれか1つの化合物、または薬学的に許容されるその塩。
10. Rが、ニトロフェニル基、ハロフェニル基および式-CH-OC(-O)-O-(C~Cアルキル)の基から選択され、Rが、H、ニトロフェニル基、ハロフェニル基および式-CH-OC(-O)-O-(C~Cアルキル)の基から選択される、実施形態1による化合物、または薬学的に許容されるその塩。具体的な実施形態では、Rは、パラ-ニトロフェニルまたはパラ-クロロフェニルであり、Rは、H、パラ-ニトロフェニル、またはパラ-クロロフェニルである。必要に応じて、これらの実施形態では、RおよびRはいずれも、Hである。化合物SB00039、化合物5および化合物7は各々、実施形態10の範囲内の好ましい実施形態である。
11. 先行する実施形態のいずれか1つによる化合物を、少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤または担体と混合して含む医薬組成物。
12. 化合物が、少なくとも2種の薬学的に許容される賦形剤と混合される、実施形態11の医薬組成物。
13. AMP活性化プロテインキナーゼの活性化と関連する状態を処置する方法であって、それを必要とする対象に実施形態1~9のいずれか1つの化合物を投与するステップを含む、方法。
14. AMP活性化プロテインキナーゼの活性化と関連する状態を処置する方法であって、実施形態11または実施形態12の医薬組成物を投与するステップを含む、方法。
15. 状態が、がん、糖尿病、虚血傷害、肥満、高脂血症または心臓の状態から選択される、実施形態13または実施形態14の方法。
16. 状態が、白血病、リンパ腫、2型糖尿病および肥満から選択される、実施形態15の方法。
17. 細胞においてAMP活性化プロテインキナーゼを活性化する方法であって、細胞を実施形態1~9のいずれか1つによる化合物と接触させるステップを含む、方法。
【0052】
一部の実施形態では、本開示は、化合物SB00039、化合物5または化合物7および薬学的に許容されるその塩、ならびにこれらの化合物を使用する処置方法および医薬組成物を提供する。
医薬組成物
【0053】
本発明の化合物は、式(I)の化合物を、少なくとも1種の薬学的に許容される担体または賦形剤と混合して含む医薬組成物として調製および投与することができる。一部の実施形態では、医薬組成物は、少なくとも2種の薬学的に許容される担体または賦形剤成分を含む。好適な担体は、ホスフェート、カーボネート、アセテートまたは同様の緩衝剤などで必要に応じて緩衝された水、および潜在的にまた少なくとも1種の溶媒和成分、例えば、共溶媒またはシクロデキストリンを含む。好適な担体は、以下の製剤で開示される。
【0054】
一部の実施形態では、式(I)の化合物は、許容可能な静脈内形態への溶解または懸濁に好適な形態で提供され、したがって、式(I)の化合物は、1種または複数の担体または賦形剤成分と合わされ得、次いで必要に応じて、注入を含む静脈内投与のために、典型的には、等張濃度レベルで、食塩水、リン酸緩衝食塩水、グルコース、ラクテートまたはリンゲルラクテートなどの水性担体で容易に再構築することができる形態に凍結乾燥またはそうでなければ濃縮され得る。
製剤
【0055】
本明細書に記載の化合物の任意の好適な製剤を調製することができる。一般に、Remington's Pharmaceutical Sciences, (2000) Hoover, J. E. editor, 20th edition, Lippincott Williams and Wilkins Publishing Company, Easton, Pa., pages 780-857を参照されたい。製剤は、適切な投与経路に好適であるように選択される。化合物が、安定な非毒性酸塩または塩基塩を形成するのに十分に塩基性または酸性である場合、塩としての化合物の投与が適切であり得る。薬学的に許容される塩の例は、生理学的に許容されるアニオンを形成する酸と形成された有機酸付加塩、例えば、トシル酸塩、メタンスルホン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、マロン酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、安息香酸塩、アスコルビン酸塩、α-ケトグルタル酸塩およびα-グリセロリン酸塩である。塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、重炭酸塩および炭酸塩を含む、好適な無機塩もまた形成され得る。薬学的に許容される塩は、当技術分野で周知の標準手順を使用して、例えば生理学的に許容可能なアニオンをもたらす好適な酸との、アミンなどの十分に塩基性の化合物によって得られる。カルボン酸のアルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウムもしくはリチウム)またはアルカリ土類金属(例えば、カルシウム)塩もまた作製される。
【0056】
式(I)の化合物は、薬理学組成物で投与される場合、化合物は、薬学的に許容される賦形剤および/または担体との混合物で製剤化することができることが企図される。例えば、企図される化合物は、中性化合物としてもしくは薬学的に許容される塩として経口投与され得るか、または生理食塩溶液もしくは類似の好適な等張溶液で静脈内投与することができる。この目的のために、リン酸塩、重炭酸塩またはクエン酸塩などの従来の緩衝剤を使用することができる。当然のことながら、当業者は、本明細書の教示の範囲内で製剤を変性して、特定の投与経路のための多数の製剤を提供することができる。特に、企図される化合物は、それらが水または他のビヒクルにより溶解性であるように変性することができ、例えば、これは、十分に当技術分野の通常の技術の範囲内であるわずかな変性(塩製剤、エステル化など)により容易に達成され得る。患者における最大の有益な効果のために本発明の化合物の薬学動態を管理するために、特定の化合物の投与経路および投薬量レジメンを変更することもまた、十分に当技術分野の通常の技術の範囲内である。
【0057】
本明細書に記載の式Iの化合物は、一般に、クロロホルム、ジクロロメタン、酢酸エチル、エタノール、メタノール、イソプロパノール、アセトニトリル、グリセロール、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドなどの有機溶媒に可溶性である。一実施形態では、本発明は、式Iの化合物を薬学的に許容される担体と混合することによって調製された製剤を提供する。一態様では、製剤は、a)記載の化合物を、水溶性有機溶媒、非イオン性溶媒、水溶性脂質、シクロデキストリン、トコフェロールなどのビタミン、脂肪酸、脂肪酸エステル、リン脂質またはその組合せに溶解して溶液を調製するステップ;およびb)食塩水または1~10%の炭水化物溶液を含有する緩衝剤を添加するステップを含む方法を使用して調製され得る。一例では、炭水化物は、デキストロースを含む。本発明の方法を使用して得られる医薬組成物は、安定であり、動物および臨床適用に有用である。
【0058】
本発明の組成物および方法における使用のための水溶性有機溶媒の例示的な例には、ポリエチレングリコール(PEG)、アルコール、アセトニトリル、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドまたはその組合せが含まれるが、これらに限定されない。アルコールの例には、メタノール、エタノール、イソプロパノール、グリセロールまたはプロピレングリコールが含まれるが、これらに限定されない。
【0059】
本発明の方法および組成物における使用のための水溶性非イオン性界面活性剤の例示的な例には、CREMOPHOR(登録商標)EL、ポリエチレングリコール変性CREMOPHOR(登録商標)(ポリオキシエチレングリセロールトリリシノレエート(polyoxyethyleneglyceroltriricinoleat)35)、水素化CREMOPHOR(登録商標)RH40、水素化CREMOPHOR(登録商標)RH60、PEG-スクシネート、ポリソルベート20、ポリソルベート80、SOLUTOL(登録商標)HS(ポリエチレングリコール660 12-ヒドロキシステアレート)、モノオレイン酸ソルビタン、ポロキサマー、LABRAFIL(登録商標)(エトキシ化杏仁油)、LABRASOL(登録商標)(カプリル-カプロイルマクロゴール-8-グリセリド)、GELUCIRE(登録商標)(グリセロールエステル)、SOFTIGEN(登録商標)(PEG6カプリルグリセリド)、グリセリン、グリコール-ポリソルベートまたはその組合せが含まれるが、これらに限定されない。
【0060】
本発明の方法および組成物における使用のための水溶性脂質の例示的な例には、植物油(vegetable oil)、トリグリセリド、植物油(plant oil)またはその組合せが含まれるが、これらに限定されない。脂質油の例には、ヒマシ油、ポリオキシルヒマシ油、トウモロコシ油、オリーブ油、綿実油、落花生油、ペパーミント油、ベニバナ油、ゴマ油、ダイズ油、水添植物油、水添ダイズ油、ココナツ油のトリグリセリド、パーム核油およびその水素化形態、またはその組合せが含まれるが、これらに限定されない。
【0061】
本発明の方法および組成物における使用のための脂肪酸および脂肪酸エステルの例示的な例には、オレイン酸、モノグリセリド、ジグリセリド、PEGのモノもしくはジ脂肪酸エステル、またはその組合せが含まれるが、これらに限定されない。本発明の方法における使用のためのシクロデキストリンの例示的な例には、アルファ-シクロデキストリン、ベータ-シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル-ベータ-シクロデキストリン、またはスルホブチルエーテル-ベータ-シクロデキストリンが含まれるが、これらに限定されない。
【0062】
本発明の方法および組成物における使用のためのリン脂質の例示的な例には、ダイズホスファチジルコリンもしくはジステアロイルホスファチジルグリセロールおよびその水素化形態、またはその組合せが含まれるが、これらに限定されない。
【0063】
本発明の医薬組成物において有用な担体に加えて、化合物は、式(I)の化合物を可溶化、安定化またはそれ以外で変性するのに有益な賦形剤と混合されて、保存または投与に好適な製剤化組成物をもたらすことができる。賦形剤には、着色料、香味剤、安定剤、崩壊剤、滑剤、滑沢剤、保存剤などが含まれる。
【0064】
多くの実施形態では、式(I)の化合物は、注射もしくは注入に好適な溶液、エマルジョン、分散剤もしくは懸濁液として製剤化されるか、またはそれらが静脈内投与もしくは注入のために容易に希釈され得るように製剤化される。
【0065】
当業者は、本明細書の教示の範囲内で製剤を変性して、特定の投与経路のための多数の製剤を提供することができる。特に、化合物は、多くの場合、上で開示される溶媒和剤、特に薬学的に許容可能であり、注射または注入による投与に適することが当技術分野で公知であるものを使用して、それらが水または他の担体により溶解性になるように変性され得る。患者における最大の有益な効果のために本発明の化合物の薬学動態を管理するために、特定の化合物の投与経路および投薬量レジメンを選択または変更することもまた、十分に当技術分野の通常の技術の範囲内である。
薬物併用
【0066】
式(I)の化合物を使用する方法は、少なくとも1種の例示的な式(I)の化合物の有効量を投与するステップを含み、必要に応じて、化合物は、1種または複数の追加の治療剤、特に、式(I)の化合物が適応される同じ状態の処置、またはこの状態の徴候もしくは合併症の処置、またはこの状態の処置に関連する副作用の低減に有用である少なくとも1種の治療剤と組み合わせて投与されることができる。
【0067】
追加の治療剤(単数または複数)は、式(I)の化合物とは別個の医薬組成物で投与してもよく、または単一医薬組成物中に本開示の化合物と共に含まれてもよい。追加の治療剤は、本開示による式(I)の化合物(単数または複数)の投与と同時、その前、またはその後に投与することができる。
式(I)の化合物およびその医薬組成物を使用する方法
【0068】
本発明は、本明細書に記載の状態の処置および/または防止のための医薬組成物、ならびにこれらの化合物および本明細書に記載の通りの式Iの化合物を含有する組成物を使用する方法を提供する。方法は、典型的には、対象、典型的にはヒトに、化合物または組成物を投与するステップを含む。一部の実施形態では、方法は処置のためであり、対象は、本明細書に記載のものから選択される状態のためのそのような処置を必要とすると既に診断されている対象である。好ましくは、化合物または組成物は、対象の状態を処置するのに有効な量で投与される。好適な式(I)の化合物、およびその好適な製剤、ならびにそのための好適な投与経路および投薬量の選択は、本明細書で提供される本開示、ならびに試験、処置およびモニタリングの慣例に照らして当技術分野の通常の技術レベルの範囲内である。溶解度の理由で、式Iの化合物は、薬学的に許容される塩として製剤化され、投与されることが多い。
【0069】
本発明の方法を実施するために、式(I)を有する化合物およびその医薬組成物は、経口、非経口、吸入によって、局所的に、直腸、鼻、頬側、膣、埋込リザーバにより、または他の薬物投与方法で投与することができる。典型的には、式(I)の化合物は、非経口経路によって投与される。本明細書で使用される場合、「非経口」という用語には、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、動脈内、関節滑液嚢内、胸骨内、くも膜下腔内、病巣内および頭蓋内注射または注入技術が含まれる。式(I)の化合物の好ましい投与経路は、一般に、等張食塩水または等張グルコース溶液またはリンゲルラクテートなどの典型的なIV液を含む溶液または懸濁液の静脈内注射または静脈内注入である。
【0070】
好適な担体および他の医薬組成物成分は、典型的には無菌である。無菌注射用水性または油性懸濁液などの無菌注射用組成物は、必要に応じて好適な分散化剤または湿潤剤および懸濁剤を使用して、当技術分野で公知の技術に従って製剤化することができる。無菌注射用調剤はまた、非毒性の非経口で許容可能な希釈剤または溶媒中の無菌注射用溶液または懸濁液であり得る。用いられ得る許容可能なビヒクルおよび溶媒のうちには、マンニトール、デキストロース、クエン酸緩衝剤、水、リンゲル液および等張塩化ナトリウム溶液が含まれる。
【0071】
加えて、無菌固定油が、溶媒または懸濁媒体として従来用いられている(例えば、合成モノまたはジグリセリド)。オレイン酸などの脂肪酸およびそのグリセリド誘導体は、とりわけそれらのポリオキシエチレン化バージョンの、オリーブ油またはヒマシ油などの薬学的に許容される油のように、注射剤の調製に有用である。これらの油溶液または懸濁液はまた、長鎖アルコール希釈剤もしくは分散剤、またはカルボキシメチルセルロースもしくは類似の分散化剤を含有していてもよい。薬学的に許容される固体、液体または他の剤形の製造に一般に使用される種々の乳化剤またはバイオアベイラビリティー強化剤もまた、製剤化の目的で使用され得る。
【0072】
経口投与のための組成物は、錠剤、カプセル剤、エマルジョン、ならびに水性の懸濁液、分散剤および溶液を含むがこれらに限定されない任意の経口で許容可能な剤形であり得る。経口使用のための錠剤の場合、一般に使用される担体には、ラクトースおよびトウモロコシデンプンが含まれる。ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤もまた、添加され得る。カプセル形態での経口投与に関して、有用な希釈剤には、ラクトースおよび乾燥トウモロコシデンプンが含まれる。水性懸濁液またはエマルジョンが経口投与される場合、活性成分は、乳化または懸濁剤と合わせて油相に懸濁また溶解され得る。必要な場合、ある特定の甘味剤、香味剤または着色剤を添加してもよい。経鼻エアロゾルまたは吸入組成物は、医薬製剤の分野で周知の技術に従って調製することができ、当技術分野で公知の好適な保存剤(例えば、ベンジルアルコール)、バイオアベイラビリティーを強化するための吸収促進剤、および/または他の可溶化もしくは分散化剤を用いて、例えば、食塩水中の溶液として調製することができる。
【0073】
本発明の化合物および組成物は、AMPによって媒介される状態を処置するのに有用である。式(I)の化合物による処置の適応症には、がん、糖尿病、虚血傷害、肥満、高脂血症または心臓の状態が含まれる。特定の実施形態では、適応症は、白血病、リンパ腫、2型糖尿病および肥満から選択される。
【0074】
本発明の化合物による処置の対象は、ZMPが治療効果をもたらす状態を有するかまたは有するリスクのある哺乳動物、特に、ヒトである。一部の実施形態では、対象は、がん、特に、式(I)の化合物に感受性であるがんと診断された対象である。他の実施形態では、対象は、がん、糖尿病、虚血傷害、肥満、高脂血症または心臓の状態を有する対象である。特定の実施形態では、対象は、白血病、リンパ腫、2型糖尿病または肥満と診断された対象である。
式(I)の化合物の合成
スキーム1. リン酸ジメチルの合成。
【化5】
【0075】
化合物1:出発ヌクレオシド(0.166g、0.643mmol)を、リン酸トリメチル(3ml)に懸濁した。窒素下で撹拌しながら、ニートオキシ塩化リン(0.359ml、3.86mmol)を添加した。反応物を室温で2時間撹拌した。次いで、メタノール(0.500ml、12mmol)を添加し、反応物を室温で30分間撹拌した。トリエチルアミン(2ml、15mmol)を慎重に添加してクエンチした。反応物をアセトニトリル40mlで希釈し、シリカゲルカラムにローディングした。所望の生成物を、アセトニトリル中0~30%メタノールの勾配を使用して溶出した。(0.075g、32%)([M+1],367)
スキーム2.
【化6】
【0076】
化合物2:出発ヌクレオシド(0.155g、0.6mmol)を、リン酸トリメチル(3ml)に懸濁した。窒素下で撹拌しながら、オキシ塩化リン(0.335ml、3.6mmol)をニートで添加した。反応物を室温で2時間撹拌した。次いで、4-ニトロフェノール(2.085g、15mmol)を添加し、反応物を室温で30分間撹拌した。トリエチルアミン(15mmol、2ml)を慎重に添加してクエンチした。反応物を酢酸エチル(30ml)で希釈し、シリカゲルカラムにローディングした。所望の生成物を、酢酸エチル中0~10%メタノールの勾配を使用して溶出した。(0.174g、50%)([M+1],581)
【0077】
化合物3:出発ジ-(ニトロフェニル)ホスフェートヌクレオシド(0.100g、0.17mmol)をメタノール(15ml)に溶解した。窒素下で撹拌しながら、トリエチルアミン(0.117ml、0.85mmol)をニートで添加した。反応物を室温で3時間撹拌した。酢酸(0.120ml、2mmol)を添加してクエンチした。溶媒をロータリーエバポレーションによって除去した。残留物をDCMに溶解し、シリカゲルカラムにローディングした。所望の生成物を、酢酸エチル中0~20%メタノールの勾配を使用して溶出した。(0.035g、43%)([M+1],474)
【0078】
化合物4:出発ニトロフェニルメチルホスフェートヌクレオシド(0.025g、0.05mmol)を、THFと水の1:1混合物(5ml)に溶解した。窒素下で撹拌しながら、トリエチルアミン(0.034ml、0.25mmol)をニートで添加した。反応物を55℃に加熱し、2時間撹拌した。酢酸(0.050ml、0.8mmol)を添加してクエンチした。溶媒をロータリーエバポレーションによって除去した。所望の生成物を分取hplcによって精製した(0.007g、40%)([M+1],353)。
スキーム3.
【化7】
【0079】
化合物5:出発ヌクレオシド(0.100g、0.39mmol)を、リン酸トリメチル(3ml)に懸濁した。窒素下で撹拌しながら、プロトンスポンジ(0.332g、1.55mmol)を添加した。反応物を室温で10分間撹拌し、次いで、4-クロロフェニルホスホロジクロリデート(0.252ml、1.55mmol)をニートで添加した。反応物を室温で1時間撹拌した。次いで、水(1ml)を添加し、反応物を室温で30分間撹拌した。トリエチルアミン(10mmol、2ml)を慎重に添加してクエンチした。反応物をアセトニトリル(30ml)で希釈し、シリカゲルカラムにローディングした。所望の生成物を、アセトニトリル中0~30%メタノールの勾配を使用して溶出した。(0.070g、40%)([M+1],449)
スキーム4.
【化8】
【0080】
化合物6:出発ヌクレオシド(0.204g、0.79mmol)およびリン酸TEA塩(0.514g、1.58mmol)をアセトニトリル(10ml)に懸濁した。窒素下で撹拌しながら、1-メチルイミダゾール(0.314ml、3.95mmol)を添加した。反応物を室温で10分間撹拌し、次いで、ビス(2-オキソ-3-オキサゾリジニル)ホスフィン酸塩化物(0.402g、1.58mmol)を添加した。反応物を室温で1時間撹拌し、次いで、追加のビス(2-オキソ-3-オキサゾリジニル)ホスフィン酸塩化物(0.804g、3.16mmol)を添加した。反応物を2時間撹拌した。LC/MSにより判断して反応が完了したら、溶媒をロータリーエバポレーションによって除去した。所望の生成物を分取HPLCによって精製した。(0.075g、17%)([M+1],571)
【0081】
化合物7:出発pocホスフェートヌクレオシド(0.050g、0.09mmol)を、THFと水の1:1混合物(4ml)に溶解した。窒素下で撹拌しながら、トリエチルアミン(0.027ml、0.2mmol)をニートで添加した。反応物を室温で1時間撹拌した。LC/MSにより判断して反応が完了したら、酢酸(0.100ml、1.7mmol)を添加してクエンチした。溶媒を、ロータリーエバポレーションによって除去した。所望の生成物を分取hplcによって精製した(0.013g、32%)([M+1],455)
式(I)の化合物の生物活性
【0082】
本発明の例示的な化合物の治療有効性、例えば、抗がん効果を評価するための一部の例示的なアッセイおよび例は、本明細書に記載されているかまたは当技術分野で周知である。HEK293は、ヒト腎臓細胞系であり、HEK293に対する有効性は、治療処置のための有用性を予測すると考えられる。以下の図において、以下に記載の方法によるHEK293細胞に対する化合物の活性は、CC50、すなわち50%細胞傷害性濃度(マイクロモル濃度)として報告される。
【0083】
図1. HEK293細胞に対するSB00039の活性
【化9】
【0084】
図1の最初の2つの構造は、公知化合物のAICARおよびZMPである。3つめの構造(SB00024)は、ZMPの切断できないアナログ(in vivoで容易に切断されると予測されないもの)であり、500uMで不活性であった。4つめの構造(SB00039)は、例示的な式Iのプロドラッグであり、AICARのおよそ100倍の効力を示す。図1の最後の構造(SB00038)は、プロドラッグのマスクされていない副生成物である。SB00039の効力が、細胞に浸透し、マスクされず、ZMPを生成するプロドラッグに由来するものであり、副生成物に由来するものではないことを示すために、これを試験した。
【0085】
SM00039の効力は、ZMPの他のプロドラッグが改善された効力を示さなかったため、驚くべきことである。図2は、HEK293アッセイにおけるその効力を強化しなかったZMPのいくつかの他のプロドラッグを示す。
【0086】
図2. HEK293に対する有効性を強化しなかったZMPのプロドラッグ
【化10】
【0087】
少数のZMPプロドラッグが、文献で報告されており、それらもまた、HEK293アッセイにおける有効性を示さない。
【化11】
【化12】
【0088】
前述のデータは、本発明の化合物が、AICARおよびZMPの治療活性よりも優れ、かつZMPの公知のプロドラッグの治療活性よりも優れた治療活性をもたらすことを示す。
材料および方法
細胞培養および試薬
【0089】
HEK293細胞を、American Type Culture Collection(ATCC)(Rockville Maryland)から得た。細胞を、10%ウシ胎児血清(FBS)、10mM HEPESおよび1mMピルビン酸ナトリウムを含むダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)(Invitrogen、Carlsbad、CA)中で維持した。細胞を、5%COの気相を有する加湿インキュベーター中、37℃で増殖させた。細胞を、トリプルフラスコ(NUNC)中、約95%コンフルーエンスまで24時間増殖させ、次いで、DMEM、10%FBS、10mM Hepesおよび1mMピルビン酸ナトリウムの125,000個の細胞/mLで分散するために再懸濁した。
HEK293細胞傷害性アッセイ
【0090】
HEK293細胞を、10000個の細胞/ウェルで96ウェルマイクロタイタープレートに播種した。24時間のインキュベーション後、所与の濃度で試験化合物を含有する等体積の新鮮な培地を添加した。次いで、プレートをインキュベートし、細胞を、37℃、95%湿度および5%COで48時間増殖させた。72時間の時点で、プレートをインキュベーターから取り出し、15分間、室温に冷却した。Promega CellTiterGloの溶液(100マイクロリットル)を、Thermo Combiによって添加し、プレートを、10分間静置した後、ウェル当たり0.1秒のUS LUM設定でPerkin-Elmer EnVisionで読み取った。50%細胞傷害性濃度(CC50)を、生細胞を50%低下させるのに必要な化合物濃度として定義した。
【0091】
上で示される詳細な説明は、当業者が本発明を実施するのを助けるために提供される。しかしながら、本明細書に記載および特許請求される発明は、これらの実施形態が、本発明のいくつかの態様の例示として意図されるため、本明細書に開示される特定の実施形態による範囲に限定されない。等価な実施形態はいずれも、本発明の範囲内であることが意図される。実際、本明細書で示され記載されるものに加えて、本発明の種々の変更が、前述の記載から当業者に明らかとなり、これは、本発明の発見の趣旨または範囲から逸脱しない。そのような変更はまた、添付の特許請求の範囲内に入ることが意図される。
【0092】
本出願で引用されるすべての刊行物、特許、特許出願および他の参考文献は、各個々の刊行物、特許、特許出願または他の参考文献が、その全体があらゆる目的で参照により組み込まれると具体的かつ個々に示されているのと同程度に、それらの全体があらゆる目的で参照により本明細書に組み込まれる。本明細書の参考文献の引用は、それが本発明の先行技術であることを認めるものとして解釈されるべきではない。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
式(I)の化合物:
【化13】

[式中、
は、
(a)リストXから選択される1つまたは複数の基で置換されたC ~C アルキル;
(b)Q;および
(c)-L-Q
から選択され;
は、
(a)H;
(b)Q;および
(c)-L-Q
から選択され;
Qは、各出現において独立して選択され、フェニル、ならびに環員としてN、OおよびSから選択される1~3個のヘテロ原子を含有する5~6員ヘテロアリールから選択される環を表し、各Qは、リストMから選択される1~3つの基で必要に応じて置換されており;
Lは、ハロ、オキソ(=O)、-OH、C ~C ハロアルキル、C ~C アルコキシ、C ~C ハロアルコキシ、CN、COOR 、-OC(=O)R およびNR から選択される1つまたは2つの基で必要に応じて置換されたC ~C アルキレンであり;
は、Hまたは-C(=O)-R であり;
は、Hまたは-C(=O)-R であり;
は、H、またはハロ、CN、ヒドロキシ、C ~C アルコキシ、C ~C ハロアルキル、-NR 、-OC(=O)-R およびCOOR から選択される1~3つの基で必要に応じて置換されたC ~C アルキルであり;
は、各出現において独立して、H、ならびにハロ、CN、ヒドロキシ、C ~C アルコキシおよびC ~C ハロアルキルから選択される最大3つの基で必要に応じて置換されたC ~C アルキルから選択され;
およびR は、各々、各出現において独立して、H、およびリストXから選択される1つもしくは2つの基で必要に応じて置換されたC ~C アルキルから選択されるか;
またはR およびR は、その両方が結合した窒素と一緒になって、環員としてN、OおよびSから選択される追加のヘテロ原子を必要に応じて含有し、ハロ、オキソ、C ~C アルキル、ヒドロキシ、C ~C アルコキシ、CNおよびCOOR から選択される1~4つの基で必要に応じて置換された5~6員複素環式環を形成し;
10 は、各出現において独立して、ハロ、CN、ヒドロキシ、C ~C アルコキシおよびC ~C ハロアルキルから選択される最大3つの基で必要に応じて置換されたC ~C アルキルであり;
リストXは、ハロ、CN、-OH、C ~C アルコキシ、C ~C ハロアルキル、C ~C ハロアルコキシ、=O、-COOR 、-OC(=O)R 、-O-COOR 10 、-SO 10 、-SO NR 、-O-Q、および-O-L-Qからなり;
リストMは、ハロ、CN、NO 、COOR 、CONR 、-SO 10 、-SO NR 、C ~C ハロアルキル、C ~C ハロアルコキシ、C ~C アルコキシ、およびC ~C アルキルからなる]
または薬学的に許容されるその塩。
(項目2)
が、リストXから選択される1~3つの基で置換されたC ~C アルキルである、項目1に記載の化合物、または薬学的に許容されるその塩。
(項目3)
が、-CH -O-C(=O)-OR 10 であり、R 10 が、C ~C アルコキシ、COOR またはCNで必要に応じて置換されたC ~C アルキルである、項目1もしくは項目2に記載の化合物、または薬学的に許容されるその塩。
(項目4)
が、リストMから選択される1~3つの基で必要に応じて置換されたフェニルである、項目1に記載の化合物、または薬学的に許容されるその塩。
(項目5)
がHである、先行する項目のいずれかに記載の化合物、または薬学的に許容されるその塩。
(項目6)
がQである、項目1から4のいずれか一項に記載の化合物、または薬学的に許容されるその塩。
(項目7)
がHである、先行する項目のいずれか一項に記載の化合物、または薬学的に許容されるその塩。
(項目8)
がHである、先行する項目のいずれか一項に記載の化合物、または薬学的に許容されるその塩。
(項目9)
およびR が異なる、項目1から7のいずれか一項に記載の化合物、または薬学的に許容されるその塩。
(項目10)
が、ニトロフェニル基、ハロフェニル基および式-CH -OC(=O)-O-(C ~C アルキル)の基から選択され、R が、H、ニトロフェニル基およびハロフェニル基から選択される、先行する項目のいずれか一項に記載の化合物、または薬学的に許容されるその塩。
(項目11)
【化14】
から選択される、項目1に記載の化合物、または薬学的に許容されるその塩。
(項目12)
先行する項目のいずれか一項に記載の化合物を、少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤または担体と混合して含む医薬組成物。
(項目13)
前記化合物が、少なくとも2種の薬学的に許容される賦形剤と混合される、項目12の医薬組成物。
(項目14)
静脈内投与のための水性組成物である、項目12または13に記載の医薬組成物。
(項目15)
AMP活性化プロテインキナーゼの活性化と関連する状態を処置する方法であって、それを必要とする対象に項目1から11のいずれか一項に記載の化合物を投与するステップを含む、方法。
(項目16)
AMP活性化プロテインキナーゼの活性化と関連する状態を処置する方法であって、そのような処置を必要とする対象に項目12から14のいずれか一項に記載の医薬組成物を投与するステップを含む、方法。
(項目17)
前記状態が、がん、糖尿病、虚血傷害、肥満、高脂血症または心臓の状態から選択される、項目15または項目16に記載の方法。
(項目18)
前記状態が、白血病、リンパ腫、2型糖尿病および肥満から選択される、項目17に記載の方法。
(項目19)
細胞においてAMP活性化プロテインキナーゼを活性化する方法であって、前記細胞を項目1から11のいずれか一項に記載の化合物と接触させるステップを含む、方法。