(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-31
(45)【発行日】2023-11-09
(54)【発明の名称】3D印刷用装置及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
B29C 64/209 20170101AFI20231101BHJP
B29C 64/241 20170101ALI20231101BHJP
B29C 64/321 20170101ALI20231101BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20231101BHJP
B33Y 50/02 20150101ALI20231101BHJP
【FI】
B29C64/209
B29C64/241
B29C64/321
B33Y30/00
B33Y50/02
(21)【出願番号】P 2022559878
(86)(22)【出願日】2021-01-29
(86)【国際出願番号】 CN2021074434
(87)【国際公開番号】W WO2021196858
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】202010261474.7
(32)【優先日】2020-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522384905
【氏名又は名称】蘇州美梦機器有限公司
【氏名又は名称原語表記】SUZHOU MEAMAN MACHINES CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Building 2, No. 36, East Dalian Road, Taicang City Suzhou, Jiangsu 215400, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】黄 衛東
(72)【発明者】
【氏名】黄 ▲ぷん▼
【審査官】神田 和輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-100058(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107599396(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109571954(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106426908(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110524868(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00-64/40
B33Y 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3D印刷用装置であって、
外壁に軸方向に沿って延びる開口部が設置される材料輸送管と、
前記材料輸送管に被せられ、外壁に前記開口部に連通可能な材料吐出口が設置されるスリーブと、を備え、
前記スリーブは、前記材料吐出口と前記開口部とが連通するか又は連通しなくなるように、前記材料輸送管に対して前記材料輸送管の軸線に関して回転可能であ
り、
前記材料吐出口のチャンネルは、断面が材料の流出方向に沿って漸次収縮して前記材料吐出口の所望のサイズになる構造を有し、
前記材料吐出口はサイズが連続的に調整可能な材料吐出口であり、且つ、前記材料吐出口は目標印刷領域の断面輪郭線に沿って連続的に印刷する
ことを特徴とする3D印刷用装置。
【請求項2】
前記スリーブは、印刷停止が必要になるときに、前記材料吐出口と前記開口部とが連通しなくなるように、前記材料輸送管に対して前記材料輸送管の軸線に関して回転可能である
ことを特徴とする請求項1に記載の3D印刷用装置。
【請求項3】
第1駆動装置を更に備え、
前記第1駆動装置は、印刷停止が必要になるときに、前記スリーブが前記材料輸送管に対して前記材料輸送管の軸線に関して回転するように前記スリーブを駆動して、前記材料吐出口と前記開口部とが連通しなくなるようにする
ことを特徴とする請求項2に記載の3D印刷用装置。
【請求項4】
第2駆動装置を更に備え、
前記第2駆動装置は、印刷開始が必要になるときに、前記スリーブが前記材料輸送管に対して前記材料輸送管の軸線に関して回転するように前記スリーブを駆動して、前記材料吐出口と前記開口部とが連通するようにする
ことを特徴とする請求項1
に記載の3D印刷用装置。
【請求項5】
制御装置を更に備え、
前記制御装置は、前記3D印刷用装置における駆動装置を制御するように構成される
ことを特徴とする請求項3又は4に記載の3D印刷用装置。
【請求項6】
前記材料吐出口のチャンネルは、断面が材料の流出方向に沿って漸次収縮して前記材料吐出口の所望の幅になる構造を有する
ことを特徴とする請求項
1に記載の3D印刷用装置。
【請求項7】
前記材料吐出口のチャンネルの、長さ方向における断面は段差形
又は流線形
である
ことを特徴とする請求項
6に記載の3D印刷用装置。
【請求項8】
前記スリーブの外壁は第1部分及び第2部分を含み、
前記第1部分と前記第2部分は、前記材料吐出口の長さを調整するように、前記軸方向に沿って相対的にスライド可能である
ことを特徴とする請求項1ないし
4のいずれか1項に記載の3D印刷用装置。
【請求項9】
3D印刷用装置の制御方法であって、
前記3D印刷用装置は、外壁に軸方向に沿って延びる開口部が設置される材料輸送管と、前記材料輸送管に被せられ、外壁に前記開口部に連通可能な材料吐出口が設置されるスリーブと、を備え、
前記スリーブは前記材料輸送管に対して前記材料輸送管の軸線に関して回転可能であり、
前記材料吐出口のチャンネルは、断面が材料の流出方向に沿って漸次収縮して前記材料吐出口の所望のサイズになる構造を有し、
前記材料吐出口はサイズが連続的に調整可能な材料吐出口であり、且つ、前記材料吐出口は目標印刷領域の断面輪郭線に沿って連続的に印刷し、
前記制御方法は、
前記スリーブを制御して前記材料輸送管に対して前記材料輸送管の軸線に関して回転させることによって、前記材料吐出口と前記開口部とが連通するか又は連通しなくなるようにするステップを含む
ことを特徴とする制御方法。
【請求項10】
前記スリーブを制御して前記材料輸送管に対して前記材料輸送管の軸線に関して回転させることは、
印刷停止が必要になるときに、前記スリーブを駆動して前記材料輸送管に対して前記材料輸送管の軸線に関して回転させることによって、前記材料吐出口と前記開口部とが連通しなくなるようにするステップを含む
ことを特徴とする請求項
9に記載の制御方法。
【請求項11】
前記スリーブを制御して前記材料輸送管に対して前記材料輸送管の軸線に関して回転させることは、
印刷開始が必要になるときに、前記スリーブを駆動して前記材料輸送管に対して前記材料輸送管の軸線に関して回転させることによって、前記材料吐出口と前記開口部とが連通して材料輸送チャンネルが貫通するようにするステップを含む
ことを特徴とする請求項
9又は
10に記載の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2020年04月03日に中国特許局に出願された、出願番号が202010261474.7であって出願名称が「3D印刷用装置及びその制御方法」である中国特許出願の優先権を主張し、そのすべての内容を本発明に組み込む。
【0002】
本発明は3D印刷の分野に関し、より具体的には、3D印刷用装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0003】
熱溶解積層(fused deposition modeling,FDM)技術は一般的な3D印刷技術である。FDM技術では通常、材料を溶融状態(又は半流動状態)に加熱し、3D印刷ヘッドの材料吐出口(又は押出口と呼ばれる)から溶融状態の材料を押し出す必要があり、材料は印刷プラットフォームに層ごとに堆積して、3D物品を形成する。
【0004】
従来の3D印刷ヘッドは材料輸送部及び材料吐出口を形成するためのノズルを有する。該ノズルが通常、材料輸送部の下端に取り付けられるため、装置の構造は十分にコンパクトではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、装置の構造をよりコンパクトにすることができる3D印刷用装置及びその制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様では、3D印刷用装置を提供する。前記3D印刷用装置は、外壁に軸方向に沿って延びる開口部が設置される材料輸送管と、前記材料輸送管に被せられ、外壁に前記開口部に連通可能な材料吐出口が設置されるスリーブとを備え、前記スリーブは、前記材料吐出口と前記開口部とが連通するか又は連通しなくなるように、前記材料輸送管に対して前記材料輸送管の軸線に関して回転可能である。
【0007】
第2の態様では、3D印刷用装置の制御方法を提供する。前記3D印刷用装置は、外壁に軸方向に沿って延びる開口部が設置される材料輸送管と、前記材料輸送管に被せられ、外壁に前記開口部に連通可能な材料吐出口が設置されるスリーブとを備え、前記スリーブは前記材料輸送管に対して前記材料輸送管の軸線に関して回転可能であり、前記制御方法は、前記スリーブを制御して前記材料輸送管に対して前記材料輸送管の軸線に関して回転させることによって、前記材料吐出口と前記開口部とが連通するか又は連通しなくなるようにするステップを含む。
【0008】
第3の態様では、第2の態様に記載の制御方法を実行するための命令が記憶されているコンピュータ可読記憶媒体を提供する。
【0009】
第4の態様では、第2の態様に記載の制御方法を実行するための命令を含むコンピュータプログラム製品を提供する。
【発明の効果】
【0010】
従来の設計方式(ノズルが材料輸送部の底部に設置される方式)に比べて、本発明は、スリーブを利用して材料吐出口を提供し、スリーブと材料輸送管を一体に組合せることにより、装置全体の構造をよりコンパクトにする。それとともに、スリーブが材料輸送管に対して材料輸送管の軸線に関して回転することによって印刷の停止を実現して、印刷停止の動作が速やかに応答することを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】従来の3D印刷装置の全体構造の模式図である。
【
図3a】印刷対象層の印刷領域の一例を示す図である。
【
図4】本発明の実施例に係る3D印刷用装置の構造の一例を示す図である。
【
図5】本発明の実施例に係る材料輸送管の3次元構造の一例を示す図である。
【
図6】
図5に示される材料輸送管の2次元平面図である。
【
図7】本発明の実施例に係る材料輸送管及びスリーブの、材料吐出口の押出チャンネルを通過する方向における断面模式図である。
【
図8】
図4に示される装置の、ブラケットが取り外された後の構造図である。
【
図9】本発明の一実施例に係る分離型スリーブの分離可能な部分の3次元構造を示す図である。
【
図10】
図9に示される分離可能な部分の2次元平面図である。
【
図11】
図9に示される分離可能な部分と材料輸送管の組み立て方式の模式図である。
【
図12】本発明の一実施例に係る分離型スリーブの各分離可能な部分の分解図である。
【
図14】本発明の別の実施例に係る分離型スリーブの各分離可能な部分の分解図である。
【
図15】
図14に示される分離可能なスリーブと材料輸送管の組立図である。
【
図16】本発明の実施例に係る、端部が無端リングとして設計される分離可能なスリーブの一例を示す図である。
【
図17】本発明の別の実施例に係る分離型スリーブの分離可能な部分の3次元構造の一例を示す図である。
【
図18】
図17に示される分離可能な部分によって組み立てられたスリーブと材料輸送管の組立図である。
【
図19】本発明の実施例に係る装置の印刷過程の一例を示す図である。
【
図20】本発明の実施例に係る装置と従来の3D印刷方式との印刷効果の比較図である。
【
図21】従来の3D印刷方式のパス切り替え方式を示す図である。
【
図22】本発明の実施例に係る材料送り装置の一例を示す図である。
【
図23】本発明の他の実施例に係る3D印刷用装置の開口するチャンネルの側面図である。
【
図24】
図26に示される装置におけるスリーブの第1部分の構造図である。
【
図25】
図26に示される装置におけるスリーブの構造図である。
【
図26】本発明の他の実施例に係る3D印刷用装置の斜視図である。
【
図27】本発明の実施例に係る制御方法の例示的なフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
理解しやすくするために、従来の3D印刷装置を簡単に説明する。
【0013】
図1に示すように、従来の3D印刷装置1は通常、材料送り装置11、3D印刷ヘッド12、印刷プラットフォーム13、及び制御装置14を備えてもよい。なお、以上の構造分割方式は一例に過ぎず、実際には、制御装置及び/又は材料送り装置11が3D印刷ヘッド12の一部に属するなどの他の構造分割方式を採用してもよい。
【0014】
材料送り装置11はフィラメントリール15に接続されてもよい。実際の印刷過程では、材料送り装置11はフィラメントリール15からフィラメント状の材料を取得して3D印刷ヘッド12に輸送することができる。3D印刷過程で使用される材料は、一般的に熱可塑性材料であり、例えば、高分子ポリマー、低融点金属、及び他の流動性ペースト状に調製可能な材料(例えば、ペースト状のセラミック、高融点金属粉末混合物、セメントなど)である。
【0015】
図2に示すように、3D印刷ヘッド12は通常、材料輸送部121、ノズル122及び温度制御装置123を備えてもよい。温度制御装置123は一般に材料輸送部121の外側に設置され、材料送り装置11が材料輸送部121に送った材料を溶融状態に加熱することに用いられる。温度制御装置123は、例えば加熱装置であってもよい。ノズル122は材料輸送部121の下端に取り付けられる。ノズルは材料吐出口124を提供することにより、材料輸送部121が輸送した溶融状態の材料を印刷プラットフォーム13に押し出すことができる。
【0016】
制御装置14は、3D印刷ヘッド12を制御して物品を層ごとに印刷することができる。各層を印刷する過程では、3D印刷ヘッド12を制御して予め設定された印刷ルートに応じて該印刷対象層の全ての印刷領域(すなわち、該印刷対象層の断面輪郭線で囲まれる領域の全体)を完全に印刷することができる。
【0017】
従来の3D印刷の全体的な過程は概ね以下のとおりである。
物品を印刷する前に、先ず、モデリングソフトウェアで物品の3Dモデルを作成する。該モデリングソフトウェアは、例えばコンピュータ支援設計(computer aided design,CAD)ソフトウェアであってもよい。次に、作成した3Dモデルを階層化し、3Dモデルを複数の印刷対象層に分割して、各印刷対象層の階層データを得る。3Dモデルを階層化することにより、3D物品の印刷過程を複数の2D印刷過程に分解し、各印刷対象層の印刷過程が平面の2D印刷過程に類似する。各印刷対象層の階層データを得た後、制御装置14は、各印刷対象層の階層データに基づいて、3D印刷ヘッド12を制御して所定の印刷ルートに移動させることができ、さらに、移動過程では、材料吐出口124を通って溶融状態の材料を印刷プラットフォーム13に押し出して、各印刷対象層の印刷領域を印刷又は充填することができる。物品の全ての印刷対象層の印刷が終了すると、材料が層ごとに固化して、3D物品を形成する。
【0018】
理解しやすくするために、以下、
図3a及び
図3bを例として、従来の3D印刷装置による1つの印刷対象層に対する印刷過程を詳細に説明する。
【0019】
図3a及び
図3bに示すように、印刷対象層の印刷領域は領域31であり、領域31の断面輪郭線は断面輪郭線32である。
【0020】
領域31を欠落なく印刷するために、通常は断面輪郭線32に基づいて領域31を緊密に配置される複数のパス(pass)に分割する。例えば、
図3bに示されるパスA1-パスA25のように分割する。
【0021】
印刷過程において、制御装置14は、3D印刷ヘッド12のz座標を変更しないように制御するとともに、3D印刷ヘッド12を制御して所定の順序で全てのパスを完全に印刷し、例えば、平行する往復直線ルートに応じてパスA1-A25を順に印刷する。
【0022】
パスA1の印刷過程を例として、制御装置14は、先ず3D印刷ヘッド12を
図3aに示される位置点p1の上方に移動させ、次に、3D印刷ヘッド12が位置点p1の上方から位置点p2の上方に移動するとともに材料吐出口124を通って溶融状態の材料をパスA1に押し出すように制御し、それによりパスA1を印刷する。なお、他のパスの印刷方式も類似するため、ここで繰り返し説明しない。全てのパスの印刷が終わると、該印刷対象層の印刷過程が終了し、3D印刷ヘッド12又は作業プラットフォーム13を制御してz軸方向に移動させ、次の層の印刷を準備することができる。
【0023】
前述したように、従来の3D印刷ヘッド12は材料輸送部121及び材料吐出口124を提供するためのノズル122を有する。該ノズル122は一般に材料輸送部121の下端に取り付けられるため、3D印刷ヘッド12の構造は十分にコンパクトではない。
【0024】
以下、本発明の実施例に係る3D印刷用装置を詳しく説明する。なお、該3D印刷用装置は、3D印刷ヘッドを指してもよく、3Dプリンタ全体又は3D印刷システムを指してもよい。
【0025】
図4に示すように、3D印刷用装置4は材料輸送管5及びスリーブ6を備えてもよい。該スリーブ6は材料輸送管5に被せられることができ、それにより、構造がコンパクトな組合せアセンブリを形成する。
【0026】
図5-
図6に示すように、材料輸送管5の外壁に開口部52(該開口部は、例えば、材料輸送管5の軸方向に沿って延びてもよい)が設置される。
【0027】
いくつかの実施例において、材料輸送管5は装置4の材料輸送部全体の一部であってもよい。材料輸送部は、材料輸送管5の他に、材料輸送管5と連通する他の部分をさらに備えてもよい。
【0028】
別のいくつかの実施例においては、材料輸送管5が装置4の材料輸送部である。ここで、材料供給口54は材料輸送管5の端面に設置されてもよく、材料輸送管5の外壁に設置されてもよい。
【0029】
材料輸送管5の内部(以下、材料輸送チャンネルと称する)は円弧状に設計されてもよい。例えば、
図5-
図6に示すように、材料輸送チャンネルを円筒状のチャンネルとして設計することができる。この他、いくつかの実施例では、前記円筒状のチャンネルとその端部との間も円弧で遷移する。材料輸送チャンネルを円弧状に設計することにより、材料輸送チャンネルに溶融状態の材料をスムーズに輸送することができるだけでなく、材料輸送チャンネルの洗浄を容易にし、材料輸送チャンネルの内部での材料の滞留による材料の浪費をできるだけ回避することができる。
【0030】
スリーブ6は材料輸送管5に被せられることができ、すなわち、材料輸送管5をスリーブ6の内管と見なすことができる。スリーブ6の外壁には、開口部52と連通可能な材料吐出口65が設置される。いくつかの実施例において、開口部52と類似するように、材料吐出口65も材料輸送管5の軸方向に沿って延びる材料吐出口65であってもよく、すなわち、材料吐出口65の長さ方向は材料輸送管5の軸方向であってもよい。スリーブ6の外壁には1つの材料吐出口65が設けられてもよく、複数の材料吐出口65が設けられてもよい。例えば、スリーブ6の外壁には2つの材料吐出口、3つの材料吐出口、4つの材料吐出口又は8つの材料吐出口が設けられることができる。スリーブ6は、異なる材料吐出口65が開口部52と連通するように、材料輸送管6に対して運動することができる(すなわち、異なる材料吐出口65の切り替えを実現する)。
【0031】
スリーブ6は材料輸送管に対して材料輸送管5の軸線に関して回転することができ、それにより、材料吐出口65と開口部52は連通するか又は連通しなくなる。
【0032】
例えば、スリーブ6が材料輸送管に対して材料輸送管5の軸線に関して回転することによって、印刷を停止する必要があるときに、材料吐出口65と開口部52が連通しなくなるようにすることができる。それにより、材料輸送チャンネルを遮断して、印刷停止を実現する。
【0033】
図7を参照しながら1つの例を説明する。
図7は2つの材料吐出口65を例示的に示しており、限定ではなく区分の目的で、2つの材料吐出口65をそれぞれ材料吐出口65(1)と材料吐出口65(2)と記す。ここで、最初は材料吐出口65(1)が開口部52と連通していると仮定する。
図7の左部分に示すように、材料吐出口65(1)は開口部52と連通している。印刷停止が必要になる場合、スリーブ6は材料輸送管に対して材料輸送管5の軸線に関して1つの角度を回転(
図7による例においては、時計回りに1つの角度を回転)することができ、それによって、材料吐出口65(1)は開口部52と連通しなくなって、
図7の右部分に示すように、材料輸送チャンネルを遮断して、印刷停止が実現される。
【0034】
そこで、本発明の実施例に係る装置4は、スリーブが材料輸送管に対して材料輸送管の軸線に関して回転することによって印刷の停止を実現し、印刷停止動作の速やかな応答を実現できる。
【0035】
例えば、スリーブ6は材料輸送管に対して材料輸送管5の軸線に関して1つの小さい角度を回転して、材料吐出口65と開口部52が連通するか又は連通しなくなるようにすることができる。例えば、該小さい角度は、材料吐出口65と開口部52が連通状態から非連通状態になるようにすることができる角度である。
【0036】
1つの例として、印刷停止が必要な場合、材料吐出口65と開口部52が連通しなくなるようにするために、スリーブ6は材料輸送管に対して材料輸送管5の軸線に関して第1角度以上を回転すればよい、と仮定すると、スリーブ6は、材料輸送管に対して材料輸送管5の軸線に関して該第1角度を回転することによって、材料吐出口65と開口部52が連通しなくなるようにする。
【0037】
この例において、印刷の再開が必要になるときには、スリーブ6が材料輸送管に対して材料輸送管5の軸線に関して反時計回りに該第1角度を回転すれば、材料吐出口65と開口部52は連通して、印刷を速やかに再開することができる。
【0038】
3D印刷が行われる間、印刷を停止しなければならない場合が時々発生する。例えば、目標印刷領域の輪郭のエッジ部まで印刷したら、印刷動作を一時停止し、印刷ヘッドを新しい印刷始点の位置に移動させてから印刷動作を再開する必要がある。3D印刷で押し出される材料は一般に高粘度の物質であり、例えば、高分子材料の粘性及び弾性の特性を有する。材料輸送装置が印刷材料の輸送を停止したとき、材料の流動はすぐには止まらないため、印刷材料は目標印刷領域の輪郭のエッジ部の外まで積んでしまう。それによって、目標印刷領域の断面輪郭線の形状が破壊されて、印刷物品の幾何的精度が低下してしまう。
【0039】
本発明の実施例に係る装置4は、3D印刷を行っている間、目標印刷領域の輪郭のエッジ部まで印刷して印刷を停止しなければならないときに、材料輸送装置が印刷材料の輸送を停止するとともに、スリーブ6は材料輸送管に対して材料輸送管5の軸線に関して1つの小さい角度を回転して、材料吐出口65と開口部52が連通しなくなるようにすることによって材料輸送チャンネルを遮断する。それにより、印刷材料は制御システムによる命令に速やかに応答して、材料吐出口65からの流出が停止する。
【0040】
よって、本発明の実施例に係る装置4は、印刷停止の速やかな応答を実現することができる。
【0041】
いくつかの実施例において、スリーブ6が材料輸送管に対して材料輸送管5の軸線に関して回転することは、印刷開始が必要になるときに、材料吐出口65と開口部52が連通するようにすることもできる。それにより、材料輸送チャンネルを開通させて、印刷開始を実現する。
【0042】
再度
図7を例とする。材料吐出口65(1)と開口部52が最初には連通しないと仮定し、
図7の右部分に示すように、印刷開始が必要になるとき、スリーブ6は材料輸送管に対して材料輸送管5の軸線に関して1つの角度を回転(
図7による例においては反時計回りに1つの角度を回転)することができる。それにより、材料吐出口65(1)と開口部52が連通して、
図7の左部分に示すように、材料輸送チャンネルが開通して、印刷が開始する。
【0043】
本発明の実施例に係る装置4は、スリーブ6が材料輸送管に対して材料輸送管5の軸線に関して回転することによって印刷開始を実現し、印刷開始の速やかな応答を実現することができる。
【0044】
スリーブ6が材料輸送管に対して材料輸送管5の軸線に関して回転することは、駆動装置によって実現することができる。
図4に示すように、装置4は駆動装置7を備える。
【0045】
駆動装置7は、スリーブ6が材料輸送管に対して材料輸送管5の軸線に関して回転するように駆動することができ、それによって材料吐出口65と開口部52が連通するか又は連通しなくなる。
【0046】
例えば、駆動装置7は、印刷停止が必要になるときに、スリーブ6が材料輸送管に対して材料輸送管5の軸線に関して回転することによって材料吐出口65と開口部52が連通しなくなるように、スリーブ6を駆動する。
【0047】
もう1つの例として、駆動装置7は、印刷開始が必要になるときに、スリーブ6が材料輸送管に対して材料輸送管5の軸線に関して回転することによって材料吐出口65と開口部52が連通するように、スリーブ6を駆動する。
【0048】
駆動装置7は複数の実現形態を有してもよく、本発明の実施例はそれについて限定しない。例えば、ラックアンドピニオン機構であってもよく、スライダクランク機構であってもよい。
【0049】
いくつかの実施例において、材料吐出口65と開口部52は常に連通していてもよい。例えば、材料吐出口65は開口部52の下方に固定されることができる。印刷停止が必要になるとき、スリーブ6は材料輸送管に対して材料輸送管5の軸線に関して回転して、材料吐出口65と開口部52が連通しなくなるようにする。
【0050】
他のいくつかの実施例において、スリーブ6は材料輸送管5に対して運動して、材料吐出口65を開口部52の下方に移動させて開口部52に連通させる。印刷停止が必要になるとき、スリーブ6は材料輸送管に対して材料輸送管5の軸線に関して回転して、材料吐出口65と開口部52が連通しなくなるようにする。
【0051】
いくつかの実施例では、スリーブ6は一体成型されたスリーブなどの一体型スリーブであってもよい。別のいくつかの実施例では、スリーブ6は分離型スリーブであってもよく、すなわち、スリーブ6の外壁は分離可能な複数の部分を備えるか、又はスリーブ6の外壁は分離可能な複数の部分が接合されることによって形成されてもよい。
【0052】
図8-
図10に示すように、スリーブ6の外壁は分離可能な第1部分61及び第2部分62を備えてもよい。第1部分61は
図11に示される方式で材料輸送管5と一体に組み立てられることができる。第2部分62は第1部分61と相補的な構造を有してもよく、両者は
図8に示される方式で一体に接合されて、スリーブ6の外壁を形成することができる。
【0053】
一部の実施例では、スリーブ6の外壁は3つ又は3つ以上の分離可能な部分により組み立てられて形成されてもよい。
図12-
図13を例として、スリーブ6の外壁は分離可能な第1部分61、第2部分62、第3部分63及び第4部分64を備え、この4つの部分はエッジが相互に接合されてスリーブ6の外壁を形成する。
【0054】
スリーブ6は、材料輸送管5と一体に固定されてもよく、材料輸送管5に対して移動してもよい。例えば、スリーブ6は材料輸送管5の軸方向に沿って移動でき、又は、スリーブ6は材料輸送管5の軸線の回りに回転でき、又は、スリーブ6は材料輸送管5の軸方向に沿って移動できるだけでなく、材料輸送管5の軸線の回りに回転できる。
【0055】
材料吐出口65は大きさが一定の材料吐出口であってもよく、サイズが調整可能な材料吐出口であってもよい。材料吐出口65のサイズが調整可能であることは、材料吐出口65の長さが調整可能である(もしくは長さが連続的に調整可能である)ことを指してもよく、又は材料吐出口65の幅が調整可能である(もしくは幅が連続的に調整可能である)ことを指してもよく、又は材料吐出口65の長さ及び幅がいずれも調整可能である(もしくは連続的に調整可能である)ことを指してもよい。
【0056】
サイズが調整可能な材料吐出口として材料吐出口65を設計する方式は様々である。以下、いくつかの可能な実現形態を挙げる。
【0057】
例えば、1つの可能な実現形態としては、材料吐出口65のサイズを調節するために、材料吐出口65に1つ又は複数の止め部材を設置することができる。
【0058】
また例えば、別の可能な実現形態として、スリーブ6は分離可能な複数の部分を備えてもよい。該複数の部分の突合せ面は複数の材料吐出口を囲むことができ、且つ該複数の部分は互いに相対的に移動する(例えば、材料輸送管5の軸方向に沿って移動する)ことによって材料吐出口65のサイズを調節することができる。
【0059】
図8を例として、スリーブ6は第1部分61及び第2部分62を備えてもよい。第1部分61と第2部分62は材料輸送管5の軸方向に沿って相対的にスライドすることができ、それにより長さが調整可能(もしくは連続的に調整可能)な材料吐出口65を形成することができる。
【0060】
なお、第1部分61と第2部分62の形状、及びそれらが材料吐出口65を形成する形態は様々である
【0061】
一例として、
図8に示すように、第1部分61は、第1上段差面611、第1下段差面612、及び、第1上段差面611と第1下段差面612とを接続する第1接続面613を備えてもよい。第2部分62は、第2上段差面621、第2下段差面622、及び、第2上段差面621と第2下段差面622とを接続する第2接続面623を備えてもよい。第1上段差面611と第2下段差面622は接触し、両者は材料輸送管5の軸方向に沿って相対的にスライドすることができる(言い換えれば、第1上段差面611と第2下段差面622は材料輸送管5の軸方向に沿ってスライド可能に接続される)。第1下段差面612と第2上段差面621は接触し、両者は材料輸送管5の軸方向に沿って相対的にスライドすることができる(言い換えれば、第1下段差面612と第2上段差面621は材料輸送管5の軸方向に沿ってスライド可能に接続される)。第1下段差面612、第1接続面613、第2下段差面622及び第2接続面623によって形成された中空領域を材料吐出口65とすることができる。
【0062】
本例において、第1部分61と第2部分62はずれる相補的な段差形状の構造で一体に突き合せられ、両者は材料輸送管5の軸方向に沿って相対的にスライドして長さが連続的に調整可能な材料吐出口65を形成する。材料吐出口65の幅は、第1上段差面611と第1下段差面612との間(又は第2上段差面621と第2下段差面622との間)の高さの差により決められる。このような材料吐出口の実現形態により、第1部分61及び第2部分62のサイズ及び強度を確保する上で、幅が非常に小さい材料吐出口65を形成することができる(材料吐出口の幅は印刷精度に影響を与えることができる)。
【0063】
別の例として、第1部分61及び第2部分62は凹凸状の相補的な構造を有してもよい。材料輸送管5の軸方向に沿う第1部分61と第2部分62が相対的にスライドすることによって、それらの凹凸部分の間の相対的な位置関係は変化することができ、該凹凸部分の間の中空領域は材料吐出口65を形成することができる。
【0064】
なお、以上では第1部分61と第2部分62が材料輸送管5の軸方向に沿って相対的にスライド可能であると記載したが、本発明の実施例は、第1部分61及び第2部分62がいずれも材料輸送管5に対してスライドできることを必要としない。
【0065】
1つの可能な実現形態として、第1部分61及び第2部分62はいずれも材料輸送管5に対してスライドすることができる。
【0066】
別の可能な実現形態として、
図14-
図15に示すように、第1部分61は材料輸送管5に対してスライドすることができ、第2部分62は材料輸送管
5に固定接続されるか又は材料輸送管5と一体成型される。このような実現形態により、装置4の制御を容易にすることができる。
【0067】
図8又は
図16に示すように、いくつかの実施例では、材料輸送管5に被せられた無端リングとして第1部分61の端部614を設計してもよく、及び/又は、材料輸送管5に被せられた無端リングとして第2部分62の端部624(端部614と端部624はスリーブ6の軸方向の長さを限定することができる)を設計してもよい。このようにしてスリーブ6の全体的な剛性及び密封性を向上させることができる。
【0068】
一部の実施例では、第1部分61がスライダであり、第2部分62が固定部材である場合、
図14-
図15に示すように、第1部分61の2つの端部を全て無端リングとして設計することができる。このようにしてスリーブ6の全体的な剛性及び密封性を向上させることができる。
【0069】
本発明の実施例は、材料吐出口65のサイズと開口部52のサイズとの間の関係を具体的に限定しない。材料吐出口65のサイズは、開口部52のサイズと同じであってもよく、開口部52のサイズと異なってもよい。
【0070】
例えば、材料吐出口65の長さ(材料吐出口65が長さ調整可能な材料吐出口である場合、材料吐出口65の長さは材料吐出口65の最大長さを指してもよい)は前記開口部52の長さよりも小さくてもよく、また例えば、材料吐出口65の幅(材料吐出口65が幅調整可能な材料吐出口である場合、材料吐出口65の幅は材料吐出口65の最大幅を指してもよい)は前記開口部52の幅よりも小さくてもよい。
【0071】
材料吐出口65のサイズの調節は駆動装置によって実現できる。
図4を例として、スリーブ6に、第1部分61を固定するためのブラケット91及び第2部分62を固定するためのブラケット92を設置してもよい。駆動装置7は、材料輸送管5の軸方向に沿って移動する動力をブラケット91及びブラケット92に提供することによって、ブラケット91を介して第1部分61を軸方向に沿って移動させ、ブラケット92を介して第2部分62を軸方向に沿って移動させることができる。
【0072】
駆動装置7の具体的な実現形態は様々であり、本発明の実施例はこれについて限定しない。例えば、ラックアンドピニオン機構であってもよく、スライダクランク機構であってもよい。
【0073】
前述したように、スリーブ6の外壁には1つの材料吐出口65が設置されてもよく、複数の材料吐出口65が設置されてもよい。例えば、スリーブ6の外壁には、2つの材料吐出口、3つの材料吐出口、4つの材料吐出口、8つの材料吐出口が設置されてもよい。スリーブ6は、材料輸送管5に対して運動することによって、異なる材料吐出口65と開口部52とが連通するようにすることができる(すなわち、異なる材料吐出口65の切り替えを実現する)。
【0074】
一例として、複数の材料吐出口65は材料輸送管5の軸方向に沿って配列されてもよい。この場合、スリーブ6は材料輸送管5の軸方向に沿って並進することによって、異なる材料吐出口65を開口部52に連通させることができる。
【0075】
別の例として、複数の材料吐出口65はスリーブ6の円周方向に沿って配列されてもよい。この場合、スリーブ6は材料輸送管5の軸線の回りに回転することによって、異なる材料吐出口65を開口部52に連通させることができる。スリーブ6が材料輸送管5の軸線の回りに回転することを実現するために、装置4には対応する駆動装置がさらに設置されてもよい。該駆動装置は、例えば、ギア伝動機構であってもよい。
【0076】
勿論、以上の2つの場合は組み合わせられてもよい。
【0077】
以下、
図12、
図13、
図17、
図18を参照しながら、例を挙げて、スリーブ6の外壁に複数の材料吐出口65が形成される形態を詳細に説明する。
【0078】
1つの可能な実現形態として、
図17-
図18に示すように、スリーブ6は第1部分61及び第2部分62を備えてもよい。該第1部分61及び第2部分62は
図8及び
図9に示される第1部分61及び第2部分62に類似するが、相違点として、
図17-
図18においては、第1部分61及び第2部分62の2つの突合せ面がいずれも段差状の突合せ面である。ここで、第1部分61の段差状の突合せ面611a、612a及び613aと第2部分の対応する面とは材料吐出口65aを形成するように構成され、第1部分61の段差状の突合せ面611b、612b及び613bと第2部分の対応する面とは材料吐出口65bを形成するように構成される。
【0079】
別の可能な実現形態として、
図12-
図13に示すように、スリーブ6は4つの部分(61、62、63、64)の接合によって形成され、隣接する2つの部分が1つの材料吐出口を形成し、合計で4つの材料吐出口(65a、65b、65c、65d)が形成される。勿論、一部の実施例において、ある隣接する2つの部分は、突合せ面が平面として設計されてもよく、それによって該隣接する2つの部分は材料吐出口を形成しない。こうすると、材料吐出口の数を実際の需要によって設計することができ、例えば、奇数個の材料吐出口を設計することができ、偶数個の材料吐出口を設計することもできる。
【0080】
本発明の実施例は複数の材料吐出口65のサイズを具体的に限定しない。該複数の材料吐出口65はサイズが同じである(材料吐出口65がサイズ調整可能な材料吐出口である場合、サイズが同じであることは、材料吐出口65の最大サイズが同じであることを指してもよい)材料吐出口であってもよく、サイズが異なる材料吐出口であってもよい。
【0081】
一例として、複数の材料吐出口65の長さ(又は最大長さ)は異なる。
【0082】
別の例として、複数の材料吐出口65は幅が異なる。材料吐出口65の幅は押し出される材料の幅に影響を与え、ひいては3D印刷の精度に影響を与える。幅が異なる複数の材料吐出口65を設計することにより、装置4は実際の需要に応じて精度が異なる材料吐出口を選択して印刷することができる。
【0083】
例えば、印刷対象層が、断面輪郭線が垂直方向において急激に変化する第1印刷領域と、断面輪郭線が垂直方向において緩やかに変化する第2印刷領域とを含むと仮定すると、装置4を使用して第1印刷領域を印刷する場合には幅が小さい材料吐出口に切り替えて印刷精度を向上させることができ、装置4を使用して第2印刷領域を印刷する場合には幅が大きい材料吐出口に切り替えて印刷精度を確保するとともに印刷効率を向上させることができる。
【0084】
勿論、以上の形態は組み合わせられてもよく、すなわち、複数の材料吐出口65の幅及び長さ(又は最大長さ)はいずれも異なる。
【0085】
前述したように、本発明の実施例に係る材料吐出口65は長さが連続的に調整可能な材料吐出口65であってもよい。従来の3D印刷ヘッドの材料吐出口の設計方式に比べて、材料吐出口65を長さが連続的に調整可能な材料吐出口として設計することにより、従来の材料吐出口の設計概念による制約を突破することができる。このような新しい材料吐出口は顕著な長所及び幅広い適用可能性を有する。以下、これについて分析する。
【0086】
従来の3D印刷ヘッドの材料吐出口は通常、一定の形状を有するノズルとして設計され、一般的なノズル形状は円穴、四角穴又はやや変形した等径の異形穴を含む。ノズルの口径は通常1mm程度であり、一般的な口径は0.4mmである。通常、物品の印刷精度の要求が高い場合には、口径が小さいノズルを選択し、このタイプのノズルは単位時間内の材料押出量が少なくて、印刷効率が低い。一方、物品の印刷効率の要求が高い場合には、口径が大きいノズルを選択し、このタイプのノズルで印刷される物品は形状が粗くて印刷精度が低い。これで分かるように、従来の3D印刷ヘッドは3D印刷の効率と精度を両立できない。以下、従来の材料吐出口のこのような設計方式の形成経緯を分析する。
【0087】
3D印刷技術は2D印刷技術に基づいて開発された、より高度な製造技術である。3D印刷を行う前に、通常、印刷対象物品の3Dモデルを階層化する必要がある。階層化することにより、3D物品の印刷過程を複数の2D印刷過程に分解する。すなわち、1つの階層の印刷過程は1回の平面印刷過程と見なされてもよい。したがって、従来の3D印刷装置には2D印刷装置のたくさんの設計概念が適用されている。最も明らかに、2D印刷ヘッドの材料吐出口は一般に一定の形状を有するノズルとして設計されており、3D印刷ヘッドの材料吐出口は、2D印刷ヘッドの材料吐出口のこのような設計方式が適用されて、材料吐出口は一定の形状を有するノズルとして設計されている。前述したように、このようなノズル設計により、3D印刷ヘッドは効率と精度を両立できず、3D印刷技術の発展を阻害する主な障害となっている。
【0088】
本発明の実施例は材料吐出口65を長さが所定の範囲内に連続的に調整可能な材料吐出口として設計する。これは、3D印刷対象の特性を十分に考慮した上で行われた設計であり、従来の3D印刷装置に比べて、本発明の実施例に係る3D印刷装置は3D印刷の効率と精度を両立でき、より3D印刷に適する。以下、具体的に説明する。
【0089】
2D印刷対象のサイズは一般的に小さく、且つ印刷対象は主に文字又は画像である。文字又は画像は、2次元平面において任意に配置されることができ、従うルールがない。よって、一定の形状を有するノズルとして設計される2D印刷装置の材料吐出口はある程度の汎用性を有し、このような設計は2D印刷の分野では合理的である。しかしながら、2D印刷対象とは異なり、3D印刷対象は通常、実際に使用される3D物品である。3D物品は特定の物理的輪郭があるので、3D物品の1つの断面の輪郭線は一般に1つ又は複数の閉じた、且つ連続的に変化する曲線である。本発明の実施例は3D印刷対象のこの特徴を十分に利用し、材料吐出口65を長さが連続的に調整可能な材料吐出口として設計する。材料吐出口65の長さが連続的に調整可能であることは、3D印刷対象の断面輪郭線が閉じており且つ連続的に変化する特性に合致し、このような材料吐出口65はより3D印刷にふさわしく、印刷効率を大幅に向上させることを可能にする。
【0090】
例えば、本発明の実施例に係る材料吐出口を使用すれば、断面輪郭線に沿って連続的に印刷するとともに、印刷過程中に材料吐出口65が断面輪郭線の変化に従って変化するように制御することができる。理解できるのは、従来のパスごとに印刷する方式に比べて、断面輪郭線に沿って印刷することは非常に高い印刷効率を有する。
【0091】
さらに、材料吐出口65の幅を値が小さい固定値に設定してもよい。それによって、3D物品の印刷精度を変更しないように維持すると同時に、高い精度を維持する。材料吐出口65が連続的に変化する過程で印刷精度を変更しないように維持することは、従来の3D印刷ヘッドが達成し難いことである。従って、本発明の実施例に係る長さが連続的に調整可能な材料吐出口は、3D印刷の効率と精度を両立でき、より3D印刷にふさわしい。
【0092】
以下、具体的な実施例を参照して、材料吐出口65の長さの変化形態を詳細に説明する。
【0093】
選択的に、目標印刷領域の形状に応じて材料吐出口65の長さが連続的に変化するように制御してもよい(又は、材料吐出口65の長さが目標印刷領域の形状の変化に従って変化するように制御してもよく)。ここで、目標印刷領域は印刷対象層の一部の印刷領域であってもよく、印刷対象層の印刷領域全体であってもよい。
【0094】
例えば、一部の実施例では、材料吐出口65のサイズを調節して、材料吐出口65の長さを印刷対象層の目標印刷領域の断面輪郭線の横断線の長さに対応させてもよい。
【0095】
また例えば、一部の実施例では、材料吐出口65のサイズを調節して、垂直方向において材料吐出口65の両端を目標印刷領域の断面輪郭線と位置合わせしてもよい。
【0096】
材料吐出口65の両端が垂直方向において目標印刷領域の断面輪郭線と位置合わせされると、材料吐出口65の両端の垂直方向での投影は目標印刷領域の断面輪郭線の横断線にある。説明の便宜上、以下、この印刷方式を目標印刷領域の断面輪郭線の追跡印刷と称する。
【0097】
以下、
図19を参照しながら、追跡印刷をより詳細に説明する。
【0098】
図19に示すように、符号100は印刷対象層の目標印刷領域を表し、材料吐出口65の長手方向はx方向に沿って延びる。目標印刷領域100を印刷するときには、装置4が基本的にy方向に向かって移動するように制御することができる。装置4が移動している間には、材料吐出口65の長さ及び/又は位置をリアルタイムに変更して、材料吐出口65の両端が垂直方向z(x-y平面に垂直)において常に目標印刷領域100の断面輪郭線に位置合わせされるようにする。すなわち、材料吐出口65の両端の垂直方向zでの投影が常に目標印刷領域100の断面輪郭線にあるようにする。
【0099】
例を挙げて説明する。材料吐出口65の現在位置のy座標がy1であり、且つy1がx方向に沿って目標印刷領域100の断面輪郭線を横断した場合に2つの点(x1,y1)及び(x2,y1)が得られると仮定すると、材料吐出口65の両端の位置を変更して、第1端部を(x1,y1)の真上に位置させ、第2端部を(x2,y1)の真上に位置させることにより、目標印刷領域100の断面輪郭線に対して高精度の追跡印刷を行うことができる。
【0100】
目標印刷領域の断面輪郭線の追跡印刷の実現形態は様々である。選択的に、第1の実現形態として、材料吐出口65の両端の位置を調節して、垂直方向において材料吐出口65の両端を目標印刷領域の断面輪郭線に位置合わせすることができる。
【0101】
選択的に、第2の実現形態として、材料吐出口65のサイズを調節して材料吐出口65の長さを印刷対象層の目標印刷領域の断面輪郭線の横断線の長さに対応させるとともに、材料輸送管5及びスリーブ6を一体と見なして、それと印刷プラットフォームとの相対的な位置を駆動装置によって調節して、垂直方向において材料吐出口65の両端を目標印刷領域の断面輪郭線と位置合わせすることができる。
【0102】
目標印刷領域を印刷する過程では、装置4は実際の需要に応じて前述した2つの実現形態のうちのいずれかを使用して追跡印刷を実現してもよく、又は、目標印刷領域の異なる部分を印刷するときに異なる追跡印刷方式を使用してもよい。
【0103】
例えば、目標印刷領域は横断線の長さが短い部分及び横断線の長さが長い部分を含んでもよい。横断線の長さが短い部分を印刷する場合には、第1の実現形態を用いて追跡印刷を行うことができ、それにより装置4の制御を簡略化する。一方、横断線の長さが長い部分を印刷する場合には、第2の実現形態を用いて追跡印刷を行うことができる。
【0104】
従来の材料吐出口により印刷された物品に比べて、目標印刷領域の断面輪郭線に対して追跡印刷を行うことによって印刷された物品は、力学的性質及び形状の均一性が著しく向上している。以下、
図20及び
図21を参照しながら、これについて詳細に説明する。
【0105】
従来の3D印刷は一般的に所定のパス順序に従ってパスごとに印刷を行う。従来の3D印刷装置の材料吐出口のサイズが小さいため(口径が通常ミリメートルレベルである)、各パスの印刷に長い時間がかかる。また、現在のパスを印刷しようとするとき、現在のパスに隣接する前のパス上の材料は既に固化状態になったか又は固化状態に近いが、現在のパス上の材料はまだ溶融状態である。現在のパス上の溶融状態の材料は前のパス上の固化状態になったか又は固化状態に近い材料と融合して、一体を形成する必要がある。ここで、隣接するパス間の材料融合過程はパス連結と呼ばれる。
【0106】
パス連結過程では、現在パスの前のパスが既に固化したか又は固化に近い状態にある一方、現在のパスがまだ溶融状態である場合、隣接するパス間の材料融合過程には融合不良の現象が発生する可能性があり、印刷された物品は力学的性質が悪くなる。また、材料状態が同期しないため、隣接するパス上の材料が相互に融合して得られた物体は形状が粗くなる。円柱体の印刷を例として、
図20に示すように、円柱体101は従来の3D印刷技術を用いてパス連結方式で印刷された円柱体である。該円柱体101は、形状全体の輪郭が粗いだけでなく、パス連結過程での材料の融合不良による複数のノッチ103が存在している。
【0107】
本発明の実施例に係る装置4は、材料吐出口65の長さ及び位置を調整することにより、目標印刷領域の断面輪郭線に対して追跡印刷を行う。従って、目標印刷領域を印刷する過程では、装置4はパスに応じてパスごとに印刷を行う必要がなく、それによりパス連結を行う必要もなく、融合不良の問題は発生しない。従って、装置4によって印刷された物品は優れた力学的性質を有する。
図20に示すように、円柱体102は装置4によって印刷された円柱体であり、円柱体101に比べて、円柱体102の充填材料の融合状況が良好であり、パス連結の融合不良の問題が存在しない。
【0108】
続いて円柱体の印刷を例とする。
図21に示すように、従来の3D印刷過程では、パス間の切り替えは、実際の輪郭曲線の代わりに折れ線104を使用している。言い換えると、実際の輪郭曲線に近似するように折れ線を使用している。その結果、印刷された円柱体101は輪郭線が粗い。それに対して、本発明の実施例に係る装置4は、パスに従って印刷する必要がなく、代わりに材料吐出口65の長さ及び位置を調整することによって目標印刷領域の断面輪郭線に対して追跡印刷を行う。それにより、装置4によって印刷された円柱体102は輪郭線が滑らかで迫真である。
【0109】
目標印刷領域の決定方式は様々である。例えば、印刷対象層の断面輪郭線の形状、最長横断線の長さ及び材料吐出口のサイズなどの要素のうちの1つ又は複数に基づいて、印刷対象層の印刷領域全体を目標印刷領域とするか、又は印刷対象層の印刷領域を複数の目標印刷領域に分割してそれぞれ印刷するかを決定することができる。
【0110】
例えば、印刷対象層の断面輪郭線の最長横断線の長さが材料吐出口の最大長さ以下である場合には、印刷対象層の印刷領域全体を目標印刷領域として決定することができる。印刷対象層の断面輪郭線の最長横断線の長さが材料吐出口の最大長さより大きい場合には、印刷対象層の印刷領域全体を複数の目標印刷領域に分割することができる。
【0111】
また例えば、印刷対象層の断面輪郭線が互いに連通しない複数の閉じた領域を含む場合、各閉じた領域を1つ又は複数の目標印刷領域として印刷することができる。
【0112】
また例えば、一部の実施例では、印刷対象層の印刷領域全体を分割せずに、印刷対象層の印刷領域全体を直接目標印刷領域としてもよい。例えば、特定の物品を専ら印刷する専用装置として装置4を設計し、且つ物品の各印刷層の印刷領域全体が一回の動作で印刷完成されるように装置4の材料吐出口65の長さを設計してもよい。このようにして、実際に作業するときに、装置4は既定の方式で該物品の各層を印刷することができ、作業中に印刷領域を分割する必要がない。
【0113】
図22に示すように、装置4は材料送り装置200をさらに備えてもよい。該材料送り装置200は材料輸送管5を介して材料吐出口65に材料を送ることができる。装置4は材料送り装置200を駆動するための駆動装置(図示せず)をさらに備えてもよく、該駆動装置は材料送り装置を駆動することにより、材料吐出口65の材料押出量を材料吐出口の長さに対応させることができる。
【0114】
該材料送り装置200は
図22(a)に示されるスクリュー式材料送り装置であってもよく、
図22(b)に示される気圧式材料送り装置であってもよく、
図22(c)に示されるピストン式材料送り装置であってもよい。
【0115】
材料送り装置200がスクリュー式材料送り装置である場合には、駆動装置によってスクリューの回転数を調整することにより材料吐出口65の材料押出量を制御することができる。材料送り装置200が気圧式材料送り装置である場合には、材料の液面に作用する圧力を調整することにより材料吐出口65の材料押出量を制御することができる。材料送り装置200がピストン式材料送り装置である場合には、筒状の材料供給口でのピストンの移動速度を駆動装置によって調整することにより材料吐出口65の材料押出量を制御することができる。
【0116】
材料吐出口65の材料押出量が材料吐出口65の長さに対応するとは、材料吐出口65の材料押出量が材料吐出口65の長さに比例して変化することを指す。
【0117】
実際に印刷するとき、材料吐出口65の長さに基づいて材料押出量を決定することができる。次に、材料送り装置200の材料送り量を制御して、材料送り量を材料押出量に等しくすることができる。
【0118】
図4に示すように、装置4は、上述した各種の駆動装置を制御するための制御装置8をさらに備えてもよい。該制御装置
8は専用のデジタル制御装置であってもよく、汎用プロセッサであってもよい。この他、該制御装置
8は分散型の制御装置であってもよく、集中型の制御装置であってもよい。
【0119】
以下、本発明の方法実施例を説明する。なお、方法実施例は以上で説明した装置4により実行できる(具体的には装置4の制御装置8により実行できる)ため、ここで詳しく説明していない部分については以上の記載を参照することができる。
【0120】
本発明の実施例は3D印刷用装置をさらに提供する。該装置は長さ調節可能な材料吐出口を有し、該材料吐出口の押出チャンネルは材料の流れ方向に沿って断面が変化する構造である。
【0121】
例えば、材料吐出口の押出チャンネルは、断面が材料の流れ方向において漸次収縮して該材料吐出口の所望のサイズになる構造である。なお、材料吐出口のサイズは幅と長さを含む。
【0122】
例えば、材料吐出口の押出チャンネルは、断面が材料の流れ方向において漸次収縮して該材料吐出口の所望の幅になる構造である。言い換えると、材料吐出口の押出チャンネルは、断面の幅が材料の流れ方向において漸次縮小して該材料吐出口の所望の幅になる。
【0123】
さらに例えば、材料吐出口の押出チャンネルは、断面が材料の流れ方向において漸次収縮して該材料吐出口の所望の長さになる構造である。
【0124】
材料吐出口の押出チャンネルを、断面が材料の流れ方向において漸次収縮して該材料吐出口の所望のサイズになる構造にするために、材料吐出口は様々な設計形態を有してもよい。
【0125】
1つの例として、
図23(b)に示すように、材料吐出口の押出チャンネルは、長さ方向における断面が段差形の流れ通路の断面である。
【0126】
もう1つの例として、
図23(c)に示すように、材料吐出口の押出チャンネルは、長さ方向における断面が流線形の流れ通路の断面である。
【0127】
選択的に、材料吐出口の押出チャンネルが、断面が材料の流れ方向において漸次収縮して該材料吐出口の所望のサイズになる構造にさえなればよく、材料吐出口の押出チャンネルの、長さ方向における断面は、他の可能な形状やパターンに設計されてもよい。
【0128】
もう1つの例として、材料吐出口の押出チャンネルの、幅方向における断面も、段差形の流れ通路の断面であってもよい(図示せず)。
【0129】
3D印刷の押出材料は一般に高粘度物質であり、押出材料による抵抗力は材料吐出口のチャンネル長さに正比例する。材料吐出口の幅が小さい(印刷精度が高い場合、材料吐出口の幅は小さく求められる)とき、材料吐出口は1つの隙間チャンネルになって、
図23(a)に示すように、押出材料が受ける抵抗力が非常に大きくて、印刷効率が悪くなる。この場合、材料を隙間チャンネルから速やかに押し出して高精度3D印刷を効率よく実現するためには、非常に大きな押出圧力が必要となって、材料輸送システムは非常に高い輸送パワーを提供しなければならない。しかし、これは明らかに印刷コストを増加してしまって、印刷プロセスの経済性が悪くなる。
【0130】
本発明の実施例に係る装置においては、材料吐出口の押出チャンネルは材料の流れ方向において断面が漸次収縮して該材料吐出口の所望のサイズになる構造を有する。これにより、材料が押し出されるときに受ける抵抗力を効果的に低減することができ、したがって印刷成型の効率が向上する。また、材料が押し出される時に受ける抵抗力を低減できるため、材料輸送システムの輸送パワーに対する要求も低く抑えることができ、印刷コストを削減することができる。
【0131】
本実施例の適用場面は前述した実施例に係る装置4を含むがそれに限られない。
【0132】
例えば、本実施例に係る3D印刷用装置は前述した実施例に係る装置4であり、本実施例に係る材料吐出口は装置4における材料吐出口65である。
【0133】
スリーブ6が一体成型されたものである場合、押出チャンネルが材料の流れ方向において漸次収縮して材料吐出口の所望のサイズになる材料吐出口65を、スリーブ6の金型によって形成することができる。
【0134】
スリーブ6が複数の分離可能な部分を含む場合、隣接する2つの部分の突合せ面において段差形構造を設けることによって、押出チャンネルが材料の流れ方向において漸次収縮して材料吐出口の所望のサイズになる材料吐出口65を形成することができる。
【0135】
例えば、
図8-
図10及び
図17-
図18に示す前述した実施例において、第1部分61と第2部分62の間の突合せ面は材料の流出方向において段差形の構造を有することができ、それによって材料吐出口65のチャンネルは材料の流出方向に沿って断面が漸次収縮して該材料吐出口65の所望のサイズになる構造となる。
【0136】
図8-
図10に示す実施例を例とする。第1部分61の突合せ面612は材料の流出方向に沿う段差形構造を備えており、
図24に示すように、突合せ面612は上段差面6121及び下段差面6122を含む。第2部分62の突合せ面622も材料の流出方向に沿う段差形構造を備えている(突合せ面612の段差形構造に類似するため図示せず)。このようにして、第1部分61と第2部分62が突合せられて形成した材料吐出口65の押出チャンネルは、
図25に示すように、材料の流れ方向に従って断面が漸次収縮して材料吐出口の所望のサイズになる構造となる。本例において、材料吐出口65の押出チャンネルの、長さ方向における断面は、
図23(b)に示される段差形の流れ通路の断面である。
【0137】
図25に示される第1部分61と第2部分62は、材料輸送管5と一体に装着される。すなわち、
図26に示すように、材料の流れ方向において断面が漸次収縮して材料吐出口の所望のサイズになる構造を有する押出チャンネルを備える装置4を形成する。
図26による例において、材料輸送管5及びスリーブ6の、材料吐出口65の押出チャンネルを通過する方向における横断面は
図7に示す通りである。
図7に示される材料吐出口65(1)は、押出チャンネルの断面が材料の流れ方向において漸次収縮して材料吐出口の所望のサイズになる構造を有する材料吐出口を表す。
【0138】
図27は本発明の実施例に係る制御方法の例示的なフローチャートである。
図27による制御方法は3D印刷用装置を制御するために用いられることができる。該装置は、例えば前述した装置4であってもよく、該制御方法は、例えば装置4の制御装置8によって実行されてもよい。
【0139】
該装置は材料輸送管及びスリーブを備えてもよい。材料輸送管の外壁には材料輸送管の軸方向に沿って延びる開口部が設置される。スリーブは材料輸送管に被せられ、スリーブの外壁には、開口部に連通可能な材料吐出口が設置されており、スリーブは材料輸送管に対して材料輸送管の軸線に関して回転することができる。
【0140】
図27に係る方法はステップS2710を含んでもよい。
【0141】
ステップS2710において、前記スリーブが前記材料輸送管に対して前記材料輸送管の軸線に関して回転することによって前記材料吐出口と前記開口部が連通するか又は連通しなくなるように、前記スリーブを制御する。
【0142】
選択的に、ステップS2710は、印刷停止が必要になるときに、スリーブが材料輸送管に対して材料輸送管の軸線に関して回転することによって材料吐出口と開口部が連通しなくなって材料輸送チャンネルが遮断されるように、スリーブを制御する、ことを含む。
【0143】
選択的に、ステップS2710は、印刷開始が必要になるときに、スリーブが材料輸送管に対して材料輸送管の軸線に関して回転することによって材料吐出口と開口部が連通して材料輸送チャンネルが貫通するように、スリーブを制御する、ことを含む。
【0144】
選択的に、
図27に係る方法はステップS2720を含んでもよい。
【0145】
ステップS2720において、材料吐出口のサイズを調節する。
【0146】
選択的に、スリーブの外壁は、軸方向に沿って相対的にスライドすることができる第1部分と第2部分を備える。ステップS2720は、第1部分と第2部分を制御して相対的にスライドさせて、材料吐出口のサイズを調節することを含んでもよい。
【0147】
選択的に、第1部分は、第1上段差面、第1下段差面、及び、第1上段差面と第1下段差面とを接続する第1接続面を備え、第2部分は、第2上段差面、第2下段差面、及び、第2上段差面と第2下段差面とを接続する第2接続面を備える。第1上段差面及び第1下段差面はそれぞれ、第2下段差面及び第2上段差面に接触し且つ軸方向に沿って相対的にスライドすることができる。第1下段差面、第1接続面、第2下段差面及び第2接続面によって形成される中空領域は材料吐出口である。
【0148】
選択的に、ステップS2720は、材料吐出口のサイズを調節して、材料吐出口の長さを目標印刷領域の断面輪郭線の横断線の長さに対応させることを含んでもよい。ここで、目標印刷領域は印刷対象層の印刷領域の一部又は全体である。
【0149】
選択的に、ステップS2720は、材料吐出口のサイズを調節して、材料吐出口の長さを限定する両端を垂直方向において目標印刷領域の断面輪郭線と位置合わせすることを含んでもよい。
【0150】
選択的に、
図27に係る方法は、材料輸送管及びスリーブを一体と見なして、それと印刷プラットフォームとの相対的な位置を調節することによって、材料吐出口の長さを限定する両端を垂直方向において目標印刷領域の断面輪郭線と位置合わせするステップをさらに含んでもよい。
【0151】
選択的に、
図27に係る方法は、印刷対象層の断面輪郭線の最長横断線の長さが材料吐出口の最大長さ以下である場合、印刷対象層の印刷領域全体を目標印刷領域として決定するステップと、印刷対象層の断面輪郭線の最長横断線の長さが材料吐出口の最大長さより大きい場合、印刷対象層の印刷領域全体を複数の目標印刷領域に分割するステップと、をさらに含んでもよい。
【0152】
選択的に、
図27に係る方法は、材料送り装置を制御して材料吐出口に材料を送らせて、材料吐出口の材料押出量を材料吐出口のサイズに対応させるステップをさらに含んでもよい。
【0153】
選択的に、スリーブの外壁には複数の材料吐出口が設置される。
図27に係る方法は、スリーブを制御して材料輸送管に対して移動させて、異なる材料吐出口を開口部に連通させるステップをさらに含んでもよい。
【0154】
選択的に、複数の材料吐出口はスリーブの円周方向に沿って配置される。スリーブを制御して材料輸送管に対して移動させて、異なる材料吐出口を開口部に連通させる前記ステップは、スリーブを制御して材料輸送管の軸線の回りに回転させて、異なる材料吐出口を開口部に連通させるステップを含んでもよい。
【0155】
選択的に、異なる材料吐出口の幅は異なる。
【0156】
以上の実施例は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア又は他の任意の組み合わせによって全部又は一部が実現されることができる。ソフトウェアにより実現される場合、コンピュータプログラム製品の形態によって全部又は一部が実現されることができる。前記コンピュータプログラム製品は1つ又は複数のコンピュータ命令を含む。コンピュータにおいて前記コンピュータプログラム命令をロード及び実行するとき、本発明の実施例に記載のプロセス又は機能の全部又は一部が発生する。前記コンピュータは、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、コンピュータネットワーク、又は他のプログラマブル装置であってもよい。前記コンピュータ命令は、コンピュータ可読記憶媒体に記憶されてもよく、又は1つのコンピュータ可読記憶媒体から別のコンピュータ可読記憶媒体へ伝送されてもよく、例えば、前記コンピュータ命令は、1つのウェブサイト、コンピュータ、サーバ又はデータセンターから有線(例えば同軸ケーブル、光ファイバー、デジタル加入者線(digital subscriber line、DSL))又は無線(例えば赤外線、ワイヤレス、マイクロ波など)方式で別のウェブサイト、コンピュータ、サーバ又はデータセンターへ伝送される。前記コンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータがアクセスできる任意の利用可能な媒体であってもよく、又は1つ又は複数の利用可能な媒体を含んで集積されるサーバ、データセンターなどのデータ記憶装置であってもよい。前記利用可能な媒体は、磁気媒体(例えば、フロッピーディスク、ハードディスク、磁気テープ)、光学媒体(例えばデジタルビデオディスク(digital video disc,DVD))、又は半導体媒体(例えばソリッドステートディスク(solid state disk,SSD))などであってもよい。
【0157】
当業者であれば、本明細書に開示されている実施例に説明された各例示的なユニット及びアルゴリズムステップは、電子ハードウェア、又はコンピュータソフトウェアと電子ハードウェアとの組み合わせによって実現できることを理解できる。これらの機能がハードウェアで実行されるかソフトウェアで実行されるかは、技術案の特定の応用と設計上の制約条件に決められる。当業者は、各特定の応用に対して異なる方法で説明された機能を実現することができ、しかし、この実現は本発明の範囲を超えると考えられるべきではない。
【0158】
本発明のいくつかの実施例では、開示されているシステム、装置及び方法は、他の方式で実現され得ることを理解すべきである。例えば、上記説明された装置の実施例は例示的なものに過ぎず、例えば、前記ユニットの分割は、論理機能の分割に過ぎず、実際に実現するときに他の分割方式を有することができ、例えば、複数のユニット又はアセンブリを組み合わせてもよく、又は別のシステムに集積してもよく、又はいくつかの特徴を無視してもよく、又は実行しなくてもよい。また、図示又は検討される相互結合又は直接結合又は通信接続は、いくつかのインタフェース、装置又はユニットを介する間接結合又は通信接続であってもよく、電気的、機械的、又は他の形態のものであってもよい。
【0159】
分離部材として説明された前記ユニットは、物理的に分離していても分離していなくてもよく、ユニットとして図示される部材は、物理的ユニットであってもそうでなくてもよく、すなわち、1つの位置に配置してもよく、又は複数のネットワークユニットに分布してもよい。実際の需要に応じてそのうちの一部又は全部のユニットを選択して本実施例の解決手段の目的を実現することができる。
【0160】
また、本発明の各実施例の各機能ユニットが1つの処理ユニットに集積されてもよく、各ユニットが別々に物理的に存在してもよく、2つ又は2つ以上のユニットが1つのユニットに集積されてもよい。
【0161】
以上は、本発明の具体的な実施形態に過ぎず、本発明の保護範囲を制限するためのものではなく、当業者が本発明に開示されている技術範囲内に、容易に想到できる変化や置換は、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるべきである。従って、本発明の保護範囲は前記特許請求の範囲の保護範囲を基準とする。