(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-31
(45)【発行日】2023-11-09
(54)【発明の名称】乳幼児用キャリア
(51)【国際特許分類】
A47D 13/02 20060101AFI20231101BHJP
【FI】
A47D13/02
(21)【出願番号】P 2022559981
(86)(22)【出願日】2022-06-30
(86)【国際出願番号】 JP2022026433
【審査請求日】2022-09-30
(73)【特許権者】
【識別番号】516303989
【氏名又は名称】ケラッタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002697
【氏名又は名称】めぶき弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100104709
【氏名又は名称】松尾 誠剛
(72)【発明者】
【氏名】田中 文彦
(72)【発明者】
【氏名】有賀 久
【審査官】松江 雅人
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-029297(JP,A)
【文献】特表2022-514542(JP,A)
【文献】特開2008-220667(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47D 13/02
A45F 3/02-3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状体の第1端部と第2端部とを連結することにより環状に形成される乳幼児用キャリアであって、
乳幼児を保持するための保持部と、
前記保持部の第1縁部に配設された第1ケーブル部材と、
前記第1ケーブル部材の少なくとも一方の端部が接続され、前記第1ケーブル部材を巻き取る第1巻取手段と、
前記保持部の第2縁部に配設された第2ケーブル部材と、
前記第2ケーブル部材の少なくとも一方の端部が接続され、前記第2ケーブル部材を巻き取る第2巻取手段と、を有し、
前記第1巻取手段は、前記第1ケーブル部材を巻き取ることにより、前記第1縁部の長手方向の長さが短くなるよう調整し、
前記第2巻取手段は、前記第2ケーブル部材を巻き取ることにより、前記第2縁部の長手方向の長さが短くなるよう調整することを特徴とする、乳幼児用キャリア。
【請求項2】
帯状体の第1端部と第2端部とを連結することにより環状に形成される乳幼児用キャリアであって、
乳幼児を保持するための保持部と、
前記保持部の第1縁部に配設された第1ケーブル部材と、
前記保持部の第2縁部に配設された第2ケーブル部材と、
前記第1ケーブル部材の少なくとも一方の端部及び前記第2ケーブル部材の少なくとも一方の端部が接続され、前記第1ケーブル部材及び前記第2ケーブル部材を巻き取る第1巻取手段と、を有し、
前記第1巻取手段は、前記第1ケーブル部材を巻き取ることにより、前記第1縁部の長手方向の長さが短くなるよう調整し、前記第2ケーブル部材を巻き取ることにより、前記第2縁部の長手方向の長さが短くなるよう調整することを特徴とする、乳幼児用キャリア。
【請求項3】
帯状体の第1端部と第2端部とを連結することにより環状に形成される乳幼児用キャリアであって、
乳幼児を保持するための保持部と、
前記保持部の第1縁部及び第2縁部に配設された第1ケーブル部材と、
前記第1ケーブル部材の少なくとも一方の端部が接続され、前記第1ケーブル部材を巻き取る第1巻取手段と、を有し、
前記第1巻取手段は、前記第1ケーブル部材を巻き取ることにより、前記第1縁部及び前記第2縁部の長手方向の長さが短くなるよう調整することを特徴とする、乳幼児用キャリア。
【請求項4】
請求項1に記載の乳幼児用キャリアであって、
肩当てと、前記第1巻取手段及び前記第2巻取手段が配設される巻取手段取付部と、をさらに有し、
前記巻取手段取付部は、前記肩当てと、前記保持部との間に配設されることを特徴とする、乳幼児用キャリア。
【請求項5】
請求項1に記載の乳幼児用キャリアであって、
前記第1巻取手段は、前記第1ケーブル部材を巻き取るときは、ダイヤルを一の向きに回動することにより前記第1ケーブル部材を巻き取り、前記第1ケーブル部材を解放するときは、前記ダイヤルの回動のロックを解除することにより前記第1ケーブル
部材の解放を可能にする手段を有することを特徴とする、乳幼児用キャリア。
【請求項6】
請求項1に記載の幼児用キャリアであって、
前記第1縁部は、前記第1ケーブル部材を収容する第1筒状部を有し、
前記第2縁部は、前記第2ケーブル部材を収容する第2筒状部を有する、乳幼児用キャリア。
【請求項7】
請求項1に記載の乳幼児用キャリアであって、
前記第1縁部に配設された第1ガイド部材と、
前記第2縁部に配設された第2ガイド部材と、をさらに有し、
前記第
1ケーブル部材は、一方の端部と他方の端部とが前記第1巻取手段に接続され、中間部分が前記第1ガイド部材に係合し、
前記第
2ケーブル部材は、一方の端部と他方の端部とが前記第2巻取手段に接続され、中間部分が前記第2ガイド部材に係合していること、を特徴とする乳幼児用キャリア。
【請求項8】
帯状体の第1端部と第2端部とを連結することにより環状に形成される乳幼児用キャリアであって、
乳幼児を保持するための保持部と、
前記保持部の一方の縁部に配設されたケーブル部材と、
前記ケーブル部材の少なくとも一方の端部が接続され、前記ケーブル部材を巻き取る巻取手段と、を有し、
前記巻取手段は、前記ケーブル部材を巻き取ることにより、前記保持部における前記一方の縁部の長手方向の長さが短くなるよう調整することを特徴とする、乳幼児用キャリア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳幼児用キャリアに関する。
【背景技術】
【0002】
乳幼児を抱くための、各種の抱っこひもや乳幼児用キャリアが知られている。
例えば、特許文献1には、帯状体の長手方向の一端と他端とを連結することにより環状に構成され、帯状体の一部に、乳幼児を保持するための保持部が形成された抱っこひもが記載されている。保持部は、帯状部が第1分枝部と第2分枝部との二又に分割された分割部と、第1分枝部と第2分枝部との間に設けられた保持布とを備える。
【0003】
特許文献1の抱っこひもにおいて、保持部に収容した乳幼児を、保持部に安定して収容するためには、保持部の縁部(第1分枝部、第2分枝部)の長さを適切な長さに調整する必要がある。保持部の縁部の長さの調整は、縁部(第1分枝部、第2分枝部)の末端に連結された第1連結ひも及び第2連結ひもの長さを、帯状体の一端と他端とを連結する連結具(バックル)において調整することにより行われる。
【0004】
乳幼児を安定して保持するために好ましい保持部の縁部の長さは、乳幼児の大きさや、乳幼児の抱き方、更には、乳幼児を抱きかかえる使用者の体格によっても異なる。このため、保持部の縁部の長さの調整は、乳幼児を保持部に入れ、乳幼児を抱えた状態で行うことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、先行文献に記載されている抱っこひもは、
図10に示すように、使用者が装着した場合に、連結ひもを固定する連結具(バックル)が肩から背中側にくるため、連結ひもの長さを調整するためには、手を背後に回して連結ひもを引っ張って調整することになり、連結ひもの長さの調整は容易ではない。さらに、連結ひもを引っ張りすぎた場合や、連結ひもを緩めて縁部をもとの長さに戻したい場合は、使用者は、抱っこひもを外してから連結具の連結ひもを緩める必要があるという課題があった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、保持部の縁部の長さの調整が容易な乳幼児用キャリアを提供すること、特に、乳幼児を保持部に抱えた状態のままでも、保持部の縁部の長さの調整が容易な乳幼児用キャリアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[1]本発明の乳幼児用キャリアは、帯状体の第1端部と第2端部とを連結することにより環状に形成される乳幼児用キャリアであって、乳幼児を保持するための保持部と、前記保持部の第1縁部に配設された第1ケーブル部材と、前記第1ケーブル部材の少なくとも一方の端部が接続され、前記第1ケーブル部材を巻き取る第1巻取手段と、前記保持部の第2縁部に配設された第2ケーブル部材と、前記第2ケーブル部材の少なくとも一方の端部が接続され、前記第2ケーブル部材を巻き取る第2巻取手段と、を有し、前記第1巻取手段は、前記第1ケーブル部材を巻き取ることにより、前記第1縁部の長手方向の長さが短くなるよう調整し、前記第2巻取手段は、前記第2ケーブル部材を巻き取ることにより、前記第2縁部の長手方向の長さが短くなるよう調整することを特徴とする。
【0009】
[2]本発明の乳幼児用キャリアは、帯状体の第1端部と第2端部とを連結することにより環状に形成される乳幼児用キャリアであって、乳幼児を保持するための保持部と、前記保持部の第1縁部に配設された第1ケーブル部材と、前記保持部の第2縁部に配設された第2ケーブル部材と、前記第1ケーブル部材の少なくとも一方の端部及び前記第2ケーブル部材の少なくとも一方の端部が接続され、前記第1ケーブル部材及び前記第2ケーブル部材を巻き取る第1巻取手段と、を有し、前記第1巻取手段は、前記第1ケーブル部材を巻き取ることにより、前記第1縁部の長手方向の長さが短くなるよう調整し、前記第2ケーブル部材を巻き取ることにより、前記第2縁部の長手方向の長さが短くなるよう調整することを特徴とすることを特徴とする。
【0010】
[3]本発明の乳幼児用キャリアは、帯状体の第1端部と第2端部とを連結することにより環状に形成される乳幼児用キャリアであって、乳幼児を保持するための保持部と、前記保持部の第1縁部及び第2縁部に配設された第1ケーブル部材と、前記第1ケーブル部材の少なくとも一方の端部が接続され、前記第1ケーブル部材を巻き取る第1巻取手段と、を有し、前記第1巻取手段は、前記第1ケーブル部材を巻き取ることにより、前記第1縁部及び前記第2縁部の長手方向の長さが短くなるよう調整することを特徴とする。
【0011】
[4]本発明の乳幼児用キャリアにおいては、肩当てと、前記第1巻取手段及び前記第2巻取手段が配設される巻取手段取付部と、をさらに有し、前記巻取手段取付部は、前記肩当てと、前記保持部との間に配設されることが好ましい。
【0012】
[5]本発明の乳幼児用キャリアにおいては、前記第1巻取手段は、前記第1ケーブル部材を巻き取るときは、ダイヤルを一の向きに回動することにより前記第1ケーブル部材を巻き取り、前記第1ケーブル部材を解放するときは、前記ダイヤルの回動のロックを解除することにより前記第1ケーブルの解放を可能にする手段を有することが好ましい。
【0013】
[6]本発明の乳幼児用キャリアにおいては、前記第1縁部は、前記第1ケーブル部材を収容する第1筒状部を有し、前記第2縁部は、前記第2ケーブル部材を収容する第2筒状部を有することが好ましい。
【0014】
[7]本発明の乳幼児用キャリアにおいては、前記第1縁部に配設された第1ガイド部材と、前記第2縁部に配設された第2ガイド部材と、をさらに有し、前記第1のケーブル部材は、一方の端部と他方の端部とが前記第1巻取手段に接続され、中間部分が前記第1ガイド部材に係合し、前記第2のケーブル部材は、一方の端部と他方の端部とが前記第2巻取手段に接続され、中間部分が前記第2ガイド部材に係合していること、ことが好ましい。
【0015】
[8]本発明の乳幼児用キャリアは、帯状体の第1端部と第2端部とを連結することにより環状に形成される乳幼児用キャリアであって、乳幼児を保持するための保持部と、前記保持部の一方の縁部に配設されたケーブル部材と、前記ケーブル部材の少なくとも一方の端部が接続され、前記ケーブル部材を巻き取る巻取手段と、を有し、前記巻取手段は、前記ケーブル部材を巻き取ることにより、前記保持部における前記一方の縁部の長手方向の長さが短くなるよう調整することを特徴とする。
【効果】
【0016】
本発明の乳幼児用キャリアによれば、保持部の縁部の長さを容易に調整することができる。特に、本発明に係る乳幼児用キャリアは、乳幼児を保持部に抱えた状態のままでも、保持部の縁部の長さを容易に調整することができる。これにより、保持部に収容した乳幼児を、安定に保持部に収容することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】使用者Aが実施形態1に係る乳幼児用キャリア10を装着した状態を説明するために示す図で、使用者Aの正面から見た図である。
【
図2】使用者Aが実施形態1に係る乳幼児用キャリア10を装着した状態を説明するために示す図で、使用者Aの背面から見た図である。
【
図3】実施形態1に係る乳幼児用キャリア10を示す正面図である。
【
図4】実施形態1に係る乳幼児用キャリア10を示す背面図である。
【
図5】実施形態1に係る乳幼児用キャリア10を展開した状態を示す正面図である。
【
図6】実施形態1に係る乳幼児用キャリア10の第1ケーブル部材52及び第2ケーブル部材54の配置を説明するために示す概略図である。
【
図7】変形例に係る乳幼児用キャリア10の第1ケーブル部材52及び第2ケーブル部材54の配置を説明するために示す概略図である。
【
図8】実施形態2に係る乳幼児用キャリア10の第1ケーブル部材52及び第2ケーブル部材54の配置を説明するために示す概略図である。
【
図9】実施形態3に係る乳幼児用キャリア10の第1ケーブル部材52の配置を説明するために示す概略図である。
【
図10】使用者が従来技術に係る乳幼児用キャリアを装着した状態を説明するために示す図で、使用者の背面から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」と記す。)を説明する。以下に記載する実施形態は、発明を実施するための好適な形態を示すものであって、本発明は以下に記す実施形態に何ら限定されるものではない。また、各実施形態において説明が重複する場合は、説明を省略することがある。
【0019】
1.実施形態1
図1~
図6を用いて、実施形態1に係る乳幼児用キャリア10について説明する。
図1は、使用者Aが実施形態1に係る乳幼児用キャリア10を装着した状態を説明するために示す図で、使用者Aの正面から見た図である。
図2は、使用者Aが実施形態1に係る乳幼児用キャリア10を装着した状態を説明するために示す図で、使用者Aの背面から見た図である。
図3は、実施形態1に係る乳幼児用キャリア10を示す正面図である。
図4は、実施形態1に係る乳幼児用キャリア10を示す背面図である。
図5は、実施形態1に係る乳幼児用キャリア10を展開した状態を示す正面図である。
図6は、実施形態1に係る乳幼児用キャリア10の第1ケーブル部材52及び第2ケーブル部材54の配置を説明するために示す概略図である。
【0020】
1-1.全体構成
実施形態1に係る乳幼児用キャリア10は、
図1及び
図2に示すように、乳幼児Bを包み込むように収容して保持する保持部30と、使用者Aが乳幼児用キャリア10を肩にかけるときに、使用者Aの肩に当接する肩当て74と、を有する。また、乳幼児用キャリア10は、帯状体20の第1端部22に設けられた被連結具71と第2端部24に設けられた連結具72とを連結することにより、環状の乳幼児用キャリア10を構成する。被連結具71と連結具72との連結部は、通常の使用状態においては、
図2に示すように、使用者Aの背面に位置する。
【0021】
帯状体20は、
図5に示すように、第1端部22の側から、被連結具71、肩当て74、第1巻取手段42、第2巻取手段44、保持部30、連結帯75及び連結具72が配設されている。また、保持部30は、
図3に示すように、長手方向の両縁に第1縁部32と第2縁部34とを有する。さらに、
図6に示すように、第1縁部32に沿って第1ケーブル部材52が配設され、第2縁部34に沿って第2ケーブル部材54が配設されている。
以下に、乳幼児用キャリア10を構成する各要素について説明する。
【0022】
1-2.保持部
保持部30は、内部に乳幼児Bを収容し、保持できるように、袋状の形状をしている(
図1参照)。保持部30を三次元の袋として形成するため、保持部30の第1端部22の側及び第2端部24の側には、タック36が形成されている(
図3、4参照)。これにより、保持部30の長手方向における中央付近の幅、すなわち、長手方向に直交する向きの長さは、保持部30の第1端部22の側の幅及び第2端部24の側の幅より大きく形成されている(
図3、4参照)。
【0023】
保持部30を広げたときの長手方向の長さ(L)は、550mm~770mmであることが好ましく、610mm~750mmであることがより好ましい。保持部30の長手方向の長さ(L)は、例えば700mmである。保持部の幅(W)は、幅が最も広い部分において、650mm~1000mmであることが好ましく、680mm~950mmであることがより好ましい。保持部の幅(W)は、例えば900mmである。
【0024】
保持部30の大きさが、上記した数字範囲内であることにより、乳幼児Bを保持部30の中に、安定して収容することができる。
【0025】
保持部30の形状は、乳幼児用キャリア10における長手方向の中心線Cに対して、対称に形成されていることが好ましい。具体的は、第1縁部32の形状と、第2縁部34の形状が、保持部30の中心線Cに対して対称に構成されていることが好ましい。これにより、使用者Aは、乳幼児用キャリア10を右肩にかけて使用することも、左肩にかけて使用することも可能であり、どちらの肩にかけた場合も、同じように使用することができる。
【0026】
保持部30を構成する材料は、被服の材料として使用される繊維であって、乳幼児Bを収容したときに破断しない程度の強度を有する繊維であれば、特に制限なく使用することができる。このような条件を満たす繊維の中でも、綿であることが好ましい。綿は植物由来の繊維で、保温性が高く、吸湿性、吸水性を有し、洗濯に対する耐性も高い。保持部30は、綿100%の生地から構成されることが好ましい。
【0027】
保持部30は、メッシュ織物により構成されていてもよい。保持部30をメッシュ織物により構成することにより、通気性を良くすることができる。これにより、暑い時期においても、保持部30に収容された乳幼児Bが快適に過ごすことができる。メッシュ織物を形成する材料として、ポリエステル、ナイロン等の化学繊維を挙げることができる。
【0028】
第1縁部32には、第1ケーブル部材52をその内部に収容する第1筒状部33が形成されていることが好ましい。また、第2縁部34には、第2ケーブル部材54をその内部に収容する第2筒状部35が形成されていることが好ましい。第1筒状部33及び第2筒状部35は、例えば保持部30を構成する生地が折り返されて筒状に形成される。
【0029】
第1筒状部33及び第2筒状部35は、複数の第1筒状部33が第1縁部32に断続的に形成され、または、第2筒状部35が第2縁部34に断続的に形成されていてもよい。あるいは、第1縁部32の帯状体20における第1端部22の側から第2端部24の側まで延在する一の第1筒状部33として形成され、第2縁部34の帯状体20における第1端部22の側から第2端部24の側まで延在する一の第2筒状部35として形成されていてもよい。
【0030】
保持部30が第1筒状部33及び第2筒状部35を有することにより、第1ケーブル部材52が巻き取られて第1縁部32の長手方向の長さを短くするときに、第1ケーブル部材52に対する、第1縁部32を構成する保持部30の生地の追従性を向上させることができる。また、第2ケーブル部材54を巻き取って第2縁部34の長手方向の長さを短くするときに、第2ケーブル部材54に対する、第2縁部34構成する保持部30の生地の追従性を向上させることができる。
【0031】
第1縁部32及び第2縁部34には、図示しないクッション材が配設されていてもよい。これにより、乳幼児Bが保持部30から顔を出した状態で抱かれた場合に、乳幼児Bの首や頭部が第1縁部32又は第2縁部34が当たっても、乳幼児Bに負担がかかったり、乳幼児Bが不快に感じたりすることを緩和できる。
【0032】
1-3.巻取手段(第1巻取手段、第2巻取手段)
第1巻取手段42及び第2巻取手段44(以下、第1巻取手段42と第2巻取手段44の総称として、「巻取手段40」と記すことがある。)は、第1ケーブル部材52又は第2ケーブル部材54(以下、第1ケーブル部材52又は第2ケーブル部材54の総称として「ケーブル部材50」と記すことがある。)を巻き取ることが可能である限り、特に制限なく使用することが可能であるが、巻取手段40として、ダイヤルを一方の向きに回動させることによりケーブル部材50を巻き取る、ダイヤル式の巻取装置であることが好ましい。
【0033】
ダイヤル式の巻取装置は、ダイヤルを回動させることにより、ケーブル部材50を巻き取ることができるので、使用者Aは、巻き取ったケーブル部材50の長さに関係なく、同じ操作位置、実施形態1に係る乳幼児用キャリア10の場合にあっては、使用者Aの胸の位置で、ケーブル部材50を巻き取り、第1縁部32及び第2縁部34の長さを調整することができる。かかる効果は、第1縁部32又は第2縁部34の長さを大きく変える必要があるときに、より効果的に機能する。
【0034】
ダイヤル式のケーブル巻取装置は、以下に記すような機構を有することが好ましい。ケーブル部材50を巻き取るときは、ダイヤルを回動軸の軸方向に押下することにより、爪板の歯とスプール盤の歯とを係合させる。さらにラチェット機構によりダイヤルの一の向きの回動のみを許容して、ケーブル部材50を回動軸の周りに形成したチャネルに巻き取る。ケーブル部材50を開放するときは、ダイヤルを回動軸の回動軸方向に引き上げることにより、爪板に設けた歯とスプール盤に設けた歯との係合を解除する。同時にラチェット機構を解除して、ケーブル部材50を開放する。
【0035】
巻取手段40として、公知の巻取装置を使用することも可能である。巻取手段40として、例えば、特開2022-81478号に記載された巻取装置を挙げることができる。
【0036】
巻取手段40は、肩当て74と保持部30との間に配設される(
図1参照)。これにより、使用者Aが乳幼児用キャリア10を装着したとき、巻取手段40が使用者Aの胸の位置に配置されることになり、使用者Aが巻取手段40を操作しやすいという効果を奏する。
【0037】
1-4.ケーブル部材
第1縁部32には、
図6に示すように、第1ケーブル部材52が配設されている。また、第1縁部32の帯状体20における第2端部24(
図5参照)の側には、第1ガイド部材62が配設されている。第1ケーブル部材52は、一方の端部52aと他方の端部52bとが第1巻取手段42に接続され、第1巻取手段42により巻き取られることが可能になっている。第1ケーブル部材52は、ケーブルの中間部分が、第1ガイド部材62に係合している。
【0038】
第1巻取手段42のダイヤルを回動させることにより、第1ケーブル部材52を巻き取ると、第1ケーブル部材52が係合されている第1ガイド部材62が、第1縁部32の帯状体20における第1端部22(
図5参照)の側に引き寄せられる。第1ケーブル部材52は、第1縁部32に沿って配設されているため、第1ケーブル部材52を巻き取ることにより、第1縁部32の長手方向の長さを短くできる。
【0039】
また、第1巻取手段42において、第1ケーブル部材52を開放することにより、第1縁部32の長手方向の長さを長くできる。
【0040】
第2縁部34には、第2ケーブル部材54が配設されている。また、第2縁部34の帯状体20における第2端部24の側には、第2ガイド部材64が配設されている。第2ケーブル部材54は、一方の端部54aと他方の端部54bとが第2巻取手段44に接続され、第2巻取手段44により巻き取られることが可能になっている。第2ケーブル部材54は、ケーブルの中間部分が、第2ガイド部材64に係合している。
【0041】
第2縁部34の長手方向の長さも、第1縁部32の長手方向の長さと同様に、第2巻取手段のダイヤルを回動させることにより、短くできる。また、第2巻取手段44において、第2ケーブル部材54を開放することにより、第2縁部34の長さを長くできる。
【0042】
第1ケーブル部材52を巻き取ることにより第1縁部32の長手方向の長さを短くし、及び、第2ケーブル部材54を巻き取ることにより第2縁部34の長手方向の長さを短くすることにより、袋状に形成された保持部30の開放部分を小さくすることができる。これにより、保持部30に収容した乳幼児Bを、安定に保持部30に収容することが可能になる。
【0043】
なお、第1ガイド部材62が配設される位置は、第1縁部32の帯状体20における第2端部24の側の端である必要はなく、第2縁部34の任意の位置であって良い。同様に、第2ガイド部材64が配設される位置は、第2縁部34の帯状体20における第2端部24の側の端である必要はなく、第2縁部34の任意の位置であって良い。
【0044】
第1ガイド部材62を第1縁部32の任意の位置に配設して第1ケーブル部材52と係合させ、又は、第2ガイド部材64を第2縁部34のいずれかの位置に配設して第2ケーブル部材54と係合させることにより、第1縁部32及び第2縁部34の長手方向の長さを短くできる。
【0045】
さらに、第1ケーブル部材52は、一方の端部52aが第1巻取手段42に接続され、他方の端部52bが第1縁部32における任意の位置(例えば、第1縁部32の帯状体20における第2端部24の側の位置)に固定されていてもよい。また、第2ケーブル部材54は、一方の端部54aが第2巻取手段44に接続され、他方の端部54bが第2縁部34における任意の位置(例えば、第2縁部34の帯状体20における第2端部24の側の位置)に固定されていてもよい。
【0046】
上記した構成においても、第1巻取手段42により第1ケーブル部材52を巻き取ることにより、第1縁部32の長手方向の長さを短くでき、第2巻取手段44により第2ケーブル部材54を巻き取ることにより、第2縁部34の長手方向の長さを短くできる。
【0047】
ケーブル部材50は、250N(25kgf)以上の引張強度を有する紐状の部材であれば、紐の材質や構造は任意に選択できる。ケーブル部材50として、ポリ塩化ビニール(PVC)製ワイヤー、ナイロンコートワイヤー、ステンレスワイヤー、ケブラー紐、等を例示することができる。中でも、直径2mm程度のポリ塩化ビニール(PVC)製ワイヤーであることが好ましい。
【0048】
上記したような引張強度を有するケーブル部材50を使用することにより、巻取手段40によりケーブル部材50を巻き取るとき、スムーズにケーブル部材50を巻き取ることが可能である。
【0049】
また、上記したような引張強度を有するケーブル部材50を使用することにより、乳幼児Bを保持部30に収容した状態でケーブル部材50を巻き取っても、ケーブル部材が延びたり、破断したりすることを、抑制できる。
【0050】
第1ケーブル部材52と第2ケーブル部材54とは、同じケーブル部材であることが好ましい。ここで、同じケーブル部材とは、第1ケーブル部材52の材質、太さ及び長さと、第2ケーブル部材54の材料、太さ及び長さが、実質的に同じであることをいう。
【0051】
第1ケーブル部材52と第2ケーブル部材54として、同じケーブル部材を使用することにより、上記した保持部30の形状を、乳幼児用キャリア10における長手方向の中心線Cに対して対称にするという構成と一体になって、使用者Aが、乳幼児用キャリア10を右肩にかけた場合にも、左肩にかけた場合にも、同じように使用することができる。
【0052】
ケーブル部材50には、図示しないストッパーが設けられていてもよい。ストッパーは、ケーブル部材50の所定の位置に配設し、設定した長さを超えてケーブル部材50が巻取手段40に巻き取られることを禁止するための部材である。ストッパーとして、巻取手段40におけるケーブル部材50を巻き取るチャネル部の大きさより、一回り大きい部材を例示することができる。
【0053】
ストッパーは、ケーブル部材50に対して、縫い付け等の方法で取り付けることができる。ストッパーを取り付ける位置は、巻取手段40が巻き取ることができるケーブル部材50の長さを考慮して決定する。すなわち、ケーブル部材50における、巻取手段40に対する接続位置から、巻取手段40がケーブル部材50を巻き取り可能な長さ以下の範囲に取り付けることが好ましい。
【0054】
ストッパーを配設することにより、ケーブル部材50が過剰に巻き取られることを抑制し、保持部30に収容した乳幼児Bの頭部や首を保護することができる。また、ケーブル部材50の過剰な巻き取りが原因で発生する、巻取手段40やケーブル部材50の破損を防ぐことができる。
【0055】
肩当て74は、使用者Aが乳幼児用キャリア10を装着したときに、使用者Aの肩に当接する部分である。乳幼児用キャリア10を使用するとき、肩当て74で、保持部30に収容する乳幼児Bの体重を支えることになることから、肩当て74は、十分な大きさを有することが好ましい。肩当て74の長手方向の長さは、150mm~300mmであることが好ましく、幅は、50mm~150mmであることが好ましい。肩当て74の長手方向の長さは、例えば170mmであり、幅は例えば110mmである。
【0056】
肩当て74は、使用者Aの肩への負担を軽減するため、中にクッション材が挿入されていることが好ましい。肩当て74に挿入されるクッション材として、綿、ポリエステル綿、ウレタンフォーム等を例示することができる。肩当て74の厚さは、5mm~20mmであることが好ましい。
【0057】
連結帯75は、保持部30の帯状体20における第2端部24の側に接続され、被連結具71、連結具72を介して、保持部30と肩当て74とを連結する。
【0058】
連結具72と被連結具71は、双方を合わせてバックルとも称されるもので、連結具72がオスの結合部材であり、被連結具71がメスの結合部材である。帯状体20は、連結具72と被連結具71とを結合させることにより、環状の乳幼児用キャリア10とすることができる。
【0059】
実施形態1に係る乳幼児用キャリア10においては、被連結具71が、帯状体の第1端部22の側に配設され、被連結具71が、帯状体の第2端部24の側である連結帯に配設されている。なお、被連結具71が、帯状体の第1端部22の側に配設され、連結具72が、連結帯75に配設されていてもよい。
【0060】
また、実施形態1に係る乳幼児用キャリア10においては、連結具72は、連結帯75を係止する部分において、連結帯75の長さを調整する、長さ調整手段を有する。連結具72が長さ調整手段を有することにより、使用者Aは、乳幼児用キャリア10を装着する前に、乳幼児用キャリア10から形成される環のおよその大きさを調整することができる。
【0061】
巻取手段40は、図示しないカバーで覆われていてもよい。カバーは、巻取手段40のうち、少なくともダイヤルを覆うことができる大きさを有し、ダイヤルを覆うことができる位置に配設されていることが好ましい。巻取手段40がカバーで覆われていることにより、保持部30に収容した乳幼児Bが巻取手段40を誤って操作し、第1縁部32及び第2縁部34の長さが使用者Aの意思に反して変えられることを抑えることができる。また、巻取手段40が硬いものに衝撃し、これが原因となって巻取手段40が破損することを抑えることができる。
【0062】
なお、カバーを構成する材料として、布、プラスチック、木材、フィルム、紙、等の材料から選ばれる1種類又は2種類以上を組み合わせた複合材料を挙げることができる。中でも、カバーを構成する材料は、乳幼児用キャリア10の保持部30を構成する布と同じ布を材料として含むことが好ましい。
【0063】
また、カバーは、乳幼児用キャリア10に対して、着脱可能であることが好ましい。これにより、乳幼児用キャリア10の使用者Aがカバーを必要としない場合には、カバーを装着することなく乳幼児用キャリア10を使用することが可能である。また、カバーが汚れた場合には、乳幼児用キャリア10からカバーを取り外してカバーを洗濯することが可能である。
【0064】
実施形態1に係る乳幼児用キャリア10は、第1縁部32に配設された第1ケーブル部材52と、第2縁部34に配設された第2ケーブル部材54とを有する。また、第1巻取手段42により第1ケーブル部材52を巻き取ることにより、第1縁部32の長手方向の長さを短くできる。さらに、第2巻取手段44により第2ケーブル部材54を巻き取ることにより、第2縁部34の長手方向の長さを短くできる。
【0065】
実施形態1に係る乳幼児用キャリア10は、第1巻取手段42により第1縁部32の長さを短くし、第2巻取手段44により第2縁部34の長さを短くできるので、第1縁部32の長手方向の長さ及び第2縁部34の長手方向の長さの調整が容易になる。特に、本発明に係る乳幼児用キャリアは、乳幼児を保持部30に収容した状態のままでも、第1縁部32の長手方向の長さ及び第2縁部34の長手方向の長さの調整を、容易に行うことができる。これにより、保持部30に乳幼児を安定に収容することができる。
【0066】
さらに、実施形態1に係る乳幼児用キャリア10は、第1縁部32の長手方向の長さにと、第2縁部34の長手方向の長さとを、それぞれ調整することができる。これにより、使用者が、乳幼児用キャリア10を装着した場合に、使用者から遠い側に配置される縁部(第1縁部32)の長さと、使用者に近い側に配置される縁部(第2縁部34)の長さとをそれぞれ独立して、最適な長さに調整することができる。
【0067】
さらに、実施形態1に係る乳幼児用キャリア10は、第1縁部32の長手方向の長さにと、第2縁部34の長手方向の長さとを、それぞれ調整することができることから、使用者Aが、乳幼児用キャリア10を、左肩にかけて使用する場合と、右肩にかけて使用する場合の双方に、同じ乳幼児用キャリア10を使用することができるという効果を奏する。
【0068】
すなわち、使用者Aが、乳幼児用キャリア10を左肩にかけた場合は、
図1に示すように、保持部30の第1縁部32が使用者Aから遠い側に、第2縁部34が使用者Aに近い側になる。一方、使用者Aが、乳幼児用キャリア10を右肩にかけた場合は、図示しないが、保持部30の第2縁部34が使用者Aから遠い側に、第1縁部32が使用者Aに近い側になる。
【0069】
このとき、ケーブル部材が、第1縁部32又は第2縁部34のいずれか一方にしか配設されていない場合には、第1縁部32の長手方向の長さ又は第2縁部34の長手方向の長さの一方しか調整することができない。しかし、実施形態1に係る乳幼児用キャリア10は、第1縁部32及び第2縁部34にケーブル部材が配設され、第1巻取手段42及び第2巻取手段44により、第1縁部32の長手方向の長さ及び第2縁部34の長手方向の長さをそれぞれ調整することが可能である。
【0070】
これにより、使用者Aが、乳幼児用キャリア10を左肩にかけて、第1縁部32が使用者Aから遠い側に来るようになった場合にも、乳幼児用キャリア10を右肩にかけて第2縁部34が使用者Aから遠い側に来た場合にあっても、第1縁部32及び第2縁部34の長手方向の長さを、最適な長さに調整することが可能である。
【0071】
さらに、実施形態1に係る乳幼児用キャリア10は、上記したように、保持部30の形状が長手方向の中心線Cに対して対称に構成され、第1ケーブル部材52と第2ケーブル部材54として同じケーブル部材が使用されており、さらに第1巻取手段42及び第2巻取手段44として同じ巻取手段を使用されている。
【0072】
これにより、使用者Aが、乳幼児用キャリア10を左肩にかけた場合であっても、乳幼児用キャリア10を右肩にかけた場合であっても、何の違和感もなく、乳幼児用キャリア10を使用することができる。このことは、乳幼児用キャリア10の製造者の立場から見ると、左肩用の乳幼児用キャリア10と右肩用の乳幼児用キャリア10の2種類の乳幼児用キャリア10を準備しなくても、使用者Aが、自己の利き腕や好みに応じて、一種類の乳幼児用キャリア10を使用できることを意味する。
【0073】
1-5.変形例1
図7を用いて、変形例に係る乳幼児用キャリア10について説明する。
図7は、変形例に係る10の第1ケーブル部材52及び第2ケーブル部材54の配置を説明するために示す概略図である。
以下の変形例に係る乳幼児用キャリア10の説明において、実施例1と同じ要素には同じ符号を付し、説明が重複する場合は説明を省略することがある。
【0074】
変形例の乳幼児用キャリア10は、第1縁部32に、第1ケーブル部材52が配設されている。また、第1縁部32の帯状体20における第2端部24(
図5参照)の側には、第1ガイド部材62が配設されている。また、第1縁部32を約3等分する位置に、ガイド部材65、66が配設されている。
【0075】
第1ケーブル部材52は、一方の端部52aと他方の端部52bとが第1巻取手段42に接続され、第1巻取手段42により巻き取られることが可能になっている。第1ケーブル部材52は、ケーブルの中間部分において、一方の端部52aの側から順に、第1ガイド部材66、ガイド部材65、ガイド部材62の順に係合している。
【0076】
第2縁部34には、第2ケーブル部材54が配設されている。また、第2縁部34の帯状体20における第2端部24の側には、第2ガイド部材64が配設されている。また、第1縁部32を約3等分する位置に、ガイド部材67、68が配設されている。
【0077】
第2ケーブル部材54は、一方の端部54aと他方の端部54bとが第2巻取手段44に接続され、第2巻取手段44により巻き取られることが可能になっている。第2ケーブル部材54は、ケーブルの中間部分において、一方の端部54aの側から順に、第2ガイド部材67、ガイド部材68、ガイド部材64の順に係合している。
【0078】
変形例の乳幼児用キャリアにおいては、第1ケーブル部材52と係合するガイド部材65、66が追加されている。これにより、保持部30の縁部の長手方向の長さを容易に調整することができるという、実施形態1に係る乳幼児用キャリア10が有する効果に加え、第1ケーブル部材52を巻き取って第1縁部32の長手方向の長さを短くするとき、又は、第1ケーブル部材52を開放して、第1縁部32の長手方向の長さが長くするときに、第1縁部32の全体に渡って、バランスよく第1縁部32の長手方向の長さを短くし、又は、第1縁部32の長手方向の長さを長くできるという効果を奏する。
【0079】
このことは、第2縁部34の長さを調整する場合についても同様で、変形例の乳幼児用キャリアは、第2ケーブル部材54と係合するガイド部材67、68が追加されていることから、第2ケーブル部材54を巻き取って第2縁部34の長手方向の長さを短くするとき、又は、第2ケーブル部材54を開放して、第2縁部34の長手方向の長さを長くするときに、第2縁部34の全体に渡って、バランスよく第2縁部34の長手方向の長さを短くし、又は、第2縁部34の長手方向の長さを長くすることができる。
【0080】
2.実施形態2
次に、
図8を用いて、実施形態2に係る乳幼児用キャリア10について説明する。
図8は、実施形態2に係る乳幼児用キャリア10の第1ケーブル部材52及び第2ケーブル部材54の配置を説明するために示す概略図である。
以下の実施形態2に係る乳幼児用キャリア10の説明において、実施形態1と同じ要素には同じ符号を付し、説明が重複する場合は説明を省略することがある。
【0081】
実施形態2の乳幼児用キャリア10は、第1縁部32に配設された第1ケーブル部材52と第2縁部34に配設された第2ケーブル部材54とを一つの第1巻取手段42で巻き取るという点において実施形態1と異なり、その他の点において実施形態1と同じである。
【0082】
実施形態2の乳幼児用キャリア10は、第1縁部32に、第1ケーブル部材52が配設されている。また、第1縁部32の帯状体20における第2端部24(
図5参照)の側には、第1ガイド部材62が配設されている。第1ケーブル部材52は、一方の端部52aと他方の端部52bとが第1巻取手段42に接続され、第1巻取手段42により巻き取られることが可能になっている。第1ケーブル部材52は、ケーブルの中間部分が、第1ガイド部材62に係合している。
【0083】
第2縁部34には、第2ケーブル部材54が配設されている。また、第2縁部34の帯状体20における第2端部24の側には、第2ガイド部材64が配設されている。第2ケーブル部材54は、一方の端部54aと他方の端部54bとが第1巻取手段42に接続され、第1巻取手段42により巻き取られることが可能になっている。第2ケーブル部材54は、ケーブルの中間部分が、第2ガイド部材64に係合されている。
【0084】
すなわち、実施形態2の乳幼児用キャリア10は、上記した通り、第1縁部32に配設された第1ケーブル部材52と第2縁部34に配設された第2ケーブル部材54とを一の巻取手段である第1巻取手段42で巻き取るという点において実施形態1と異なる。
【0085】
第1巻取手段42のダイヤルを回動させることにより、第1ケーブル部材52と第2ケーブル部材54とを同時に巻き取る。これにより、第1ケーブル部材52が係合されている第1ガイド部材62が、第1縁部32の帯状体20における第1端部22(
図5参照)の側に引き寄せられ、また、第2ケーブル部材54が係合されている第2ガイド部材64が、第2縁部34の帯状体20における第1端部22(
図5参照)の側に引き寄せられる。
【0086】
ここで、第1ケーブル部材52は、第1縁部32に沿って配設され、第2ケーブル部材54は、第2縁部34に沿って配設されている。第1巻取手段42により、第1ケーブル部材52及び第2ケーブル部材54を巻き取ることにより、第1縁部32の長手方向の長さ及び第2縁部34の長さを同時に短くできる。
【0087】
実施形態2に係る乳幼児用キャリア10によれば、保持部の縁部の長さを容易に調整することができるという、実施形態1に係る乳幼児用キャリア10が有する効果に加え、第1巻取手段42のみを操作することにより、第1ケーブル部材52及び第2ケーブル部材54を巻き取ることができ、この結果、第1縁部32の長手方向の長さ及び第2縁部34の長手方向の長さを同時に調整することができるという効果も奏する。
【0088】
なお、実施形態2に係る乳幼児用キャリア10において、第1ケーブル部材52は、一方の端部52aが第1巻取手段42に接続され、他方の端部52bが第1縁部32における任意の位置(例えば、帯状体20における第2端部24の側の位置)に固定されていてもよい。また、第2ケーブル部材54は、一方の端部54aが第1巻取手段42に接続され、他方の端部54bが第2縁部34における任意の位置(例えば、帯状体20における第2端部24の側の位置)に固定されていてもよい。
【0089】
上記した構成においても、第1巻取手段42により第1ケーブル部材52及び第2ケーブル部材54を巻き取ることにより、第1縁部32の長手方向の長さ及び第2縁部34の長手方向の長さを短くできる。
【0090】
3.実施形態3
図9を用いて、実施形態3に係る乳幼児用キャリア10について説明する。
図9は、実施形態3に係る乳幼児用キャリア10の第1ケーブル部材52の配置を説明するために示す概略図である。
以下の実施形態3に係る乳幼児用キャリア10の説明において、実施形態1と同じ要素には同じ符号を付し、説明が重複する場合は説明を省略することがある。
【0091】
実施形態3の乳幼児用キャリア10は、第1縁部32及び第2縁部34に第1ケーブル部材52が連続して配設され、かつ一つの第1巻取手段42で巻き取るという点において実施形態1と異なり、その他の点において実施形態1と同じである。
【0092】
実施形態3の乳幼児用キャリア10は、第1ケーブル部材52が、第1縁部32及び第2縁部34に配設されている。また、第1縁部32の帯状体20における第2端部24(
図5参照)の側には、第1ガイド部材62が配設され、第2縁部34の帯状体20における第2端部24の側には、第2ガイド部材64が配設されている。
【0093】
第1ケーブル部材52は、一方の端部52aと他方の端部52bとが第1巻取手段42に接続され、第1巻取手段42により巻き取られることが可能になっている。第1ケーブル部材52は、ケーブルの中間部分が、第1ガイド部材62及び第2ガイド部材64に係合されている。また、ケーブルの中間部分であって、第1ガイド部材62に係合する位置と第2ガイド部材64に係合する位置との間は、保持部30の帯状体20における第2端部24の側の縁に沿って配設されることが好ましい。
【0094】
第1巻取手段42のダイヤルを回動させることにより、第1縁部32においては、第1ケーブル部材52が、一方の端部52aの側から巻き取られる。第2縁部34においては、第1ケーブル部材52が、他方の端部52bの側から巻き取られる。これにより、第1縁部32においては、第1ケーブル部材52が係合されている第1ガイド部材62が、第1縁部32の帯状体20における第1端部22(
図5参照)の側に引き寄せられ、また、第2縁部34においては、第1ケーブル部材52が係合されている第2ガイド部材64が、第2縁部34の帯状体20における第1端部22の側に引き寄せられる。
【0095】
第1ケーブル部材52を巻き取ることによって第1縁部32の長手方向の長さ及び第2縁部34の長手方向の長さを、同時に、短くできる。これにより、袋状に形成された保持部30の開放部分を小さく絞ることができる。この結果、保持部30に収容した乳幼児Bを、安定に保持部30に収容することが可能になる。
【0096】
実施形態3に係る乳幼児用キャリア10によれば、保持部の縁部の長手方向の長さを容易に調整することができるという、実施形態1に係る乳幼児用キャリア10が有する効果に加え、第1巻取手段42のみを操作することにより、第1縁部32の長手方向の長さ及び第2縁部34の長手方向の長さを、同時に、調整することができるという効果も奏する。
【0097】
以上、本発明について詳細に説明したが、本発明は、上記した発明の主旨を変更しない限り、多様な変更が可能である。
例えば、保持部30を有し、保持部30の一方の縁部である第1縁部32に第1ケーブル部材52を配設し、第1巻取手段42により第1ケーブル部材52を巻取可能にした構成は、第1巻取手段42により第1ケーブル部材52を巻き取ることにより、第1縁部32の長手方向における長さを短くでき、第1縁部32の長さを容易に調整することができるという効果を奏するものであり、本発明の技術的思想の範囲に属する。
【符号の説明】
【0098】
10…乳幼児用キャリア、20…帯状体、22…第1端部、24…第2端部、30…保持部、32…第1縁部、34…第2縁部、40…巻取手段、42…第1巻取手段、44…第2巻取手段、50…ケーブル部材、52…第1ケーブル部材、52a…一方の端部、52b…他方の端部、54…第2ケーブル部材、54a…一方の端部、54b…他方の端部、62…第1ガイド部材、64…第2ガイド部材、71…被連結具、72…連結具、74…肩当て、75…連結帯
【要約】
本発明の乳幼児用キャリア10は、乳幼児を保持するための保持部30と、保持部30の第1縁部32に配設された第1ケーブル部材52と、第1ケーブル部材32の少なくとも一方の端部が接続され、第1ケーブル部材32を巻き取る第1巻取手段42と、保持部30の第2縁部34に配設された第2ケーブル部材54と、第2ケーブル部材54の少なくとも一方の端部が接続され、第2ケーブル部材54を巻き取る第2巻取手段44と、を有する。第1巻取手段44は、第1ケーブル部材52を巻き取ることにより、第1縁部32の長手方向の長さを短くし、第2巻取手段44は、第2ケーブル部材54を巻き取ることにより、第2縁部34の長手方向の長さを短くする。
本発明の乳幼児用キャリア10によれば、保持部30の縁部の長さを容易に調整することができる。