IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 加藤 公堂の特許一覧

<>
  • 特許-噴霧部付き小便器 図1
  • 特許-噴霧部付き小便器 図2
  • 特許-噴霧部付き小便器 図3
  • 特許-噴霧部付き小便器 図4
  • 特許-噴霧部付き小便器 図5
  • 特許-噴霧部付き小便器 図6
  • 特許-噴霧部付き小便器 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-31
(45)【発行日】2023-11-09
(54)【発明の名称】噴霧部付き小便器
(51)【国際特許分類】
   E03D 13/00 20060101AFI20231101BHJP
【FI】
E03D13/00
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023046046
(22)【出願日】2023-03-22
(65)【公開番号】P2023152856
(43)【公開日】2023-10-17
【審査請求日】2023-03-31
(31)【優先権主張番号】P 2022059716
(32)【優先日】2022-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522130601
【氏名又は名称】加藤 公堂
(74)【代理人】
【識別番号】100183564
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 伸也
(72)【発明者】
【氏名】加藤 公堂
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-048562(JP,A)
【文献】特開2000-096676(JP,A)
【文献】実開平06-035379(JP,U)
【文献】実開昭50-115751(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 1/00-13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
男性用の小便器と、
前記小便器に設けられる噴霧部とからなり、
前記噴霧部が、
前記小便器を使用後の人体の陰部の亀頭部付近を洗浄するための洗浄水をミスト状にして前記小便器の本体内に向けて噴霧するノズル部を備えており、
前記ノズル部が前記小便器の左右の横壁の一方又は両方の上端付近、且つ、前端近傍に設けられるものであり、
前記洗浄水が前記小便器の左右方向の中央側で、且つ、背壁側に向けて噴霧されるものである、噴霧部付き小便器
【請求項2】
男性用の小便器と、
前記小便器に設けられる噴霧部とからなり、
前記噴霧部が、
前記小便器を使用後の人体の陰部の亀頭部付近を洗浄するための洗浄水をミスト状にして前記小便器の本体内に向けて噴霧するノズル部を備えており、
前記噴霧部のノズル部が前記小便器の平面視における底部の中央付近の位置で、且つ、前記小便器の側面視における天壁とほぼ同じ高さ位置に設けられるものであり、
前記洗浄水が前記小便器の左右方向の中央側で、且つ、背壁側に向けて噴霧されるものである、噴霧部付き小便器。
【請求項3】
前記噴霧部が、前記洗浄水を噴霧/停止するための検知スイッチ部をさらに備えている、請求項1または2記載の噴霧部付き小便器。
【請求項4】
前記検知スイッチ部が、前記小便器を使用する者の正面であると共に前記使用する者の頭部の近傍に設けられ、且つ、前記頭部の動作で前記噴霧部を作動させるものである、請求項3記載の噴霧部付き小便器。
【請求項5】
前記検知スイッチ部が、前記小便器を使用する者の脚近傍に設けられ、且つ、前記脚の動作で前記噴霧部を動作させるものである、請求項3記載の噴霧部付き小便器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は噴霧部、噴霧部付き小便器及びその使用方法に関する。さらに詳しくは男性の局部(主に陰部)の衛生を保つための噴霧部、噴霧部付き小便器及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、男性用局部洗浄装置が開示されている。この男性用局部洗浄装置は、男子小用便器に、可撓性パイプで支持した洗浄ノズルを有する男性用局部洗浄機構を付設したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録第2095744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
加齢とともに、トイレが近い、尿漏れがある等の排尿のトラブルを抱える人は多い。例えば、尿漏れをした下着をそのまま放置すると、雑菌が繁殖しやすくなり、尿臭の一因となる。尿臭は高齢者にとって外出時の心配事である。また男性用小便器において、局部、例えば尿が付着した部位、主に陰部を洗浄するのは、難しい傾向にある。
【0005】
そこで本発明は、局部、例えば尿が付着した部位、主に陰部を洗浄することにより尿臭の発生を抑制する噴霧部、噴霧部付き小便器及びその使用方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の噴霧部は、男性用の小便器に設けられ、且つ、前記小便器を使用後の人体の陰部の亀頭部付近を洗浄するための洗浄水をミスト状にして前記小便器の小便を済ますべき本体内に向けて噴霧することを特徴としている。小便器の使用後とは、使用者が用を足した後、すなわち小便を済ませた後のことをいう。
【0007】
(2)本発明の他の態様の噴霧部付き小便器は、男性用の小便器と、前記小便器に設けられる上述の噴霧部とからなることを特徴としている。
【0008】
(3)このような噴霧部付き小便器は、前記噴霧部が、前記洗浄水を噴霧/停止するための検知スイッチ部をさらに備えていることが好ましい。
【0009】
(4)また前記検知スイッチ部が、前記小便器を使用する者の正面であると共に前記使用する者の頭部の近傍に設けられ、且つ、前記頭部の動作で前記噴射部を作動させるものであるのが好ましい。
【0010】
(5)また前記検知スイッチ部が、前記小便器を使用する者の脚近傍に設けられ、且つ、前記脚の動作で前記噴霧部を動作させるものであるのが好ましい。
【0011】
(6)また前記噴霧部のノズル部が前記小便器の左右の横壁の一方又は両方の上端付近、且つ、前端の近傍に設けられており、前記洗浄水が前記小便器の左右方向の中央側で、且つ、背壁側に向けて噴霧されるのが好ましい。
(7)また前記噴霧部のノズル部が前記小便器の平面視における底部の中央付近の位置で、且つ、前記小便器の側面視における天壁とほぼ同じ高さ位置に設けられており、前記洗浄水が前記小便器の左右方向の中央側で、且つ、鉛直下方又は背壁側に向けて噴霧されるのが好ましい。
【0012】
(8)本発明のさらに他の態様の噴霧部付き小便器の使用方法は、上述の噴霧部付き小便器の使用方法であって、前記小便器を使用後に、使用者が前記小便器を使用していた体勢から頭部、脚、つま先又は手のいずれか1つを動作し、前記動作に基づいて、前記使用者の人体の陰部を洗浄すべく洗浄水をミスト状に噴霧することを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
噴霧部、噴霧部付き小便器及びその使用方法は、男性用の小便器において簡易に局部、例えば尿が付着した部位、特に主に陰部を洗浄できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】噴霧部付き小便器の一実施形態を示す概略図である。
図2】噴霧部の配管の一実施形態を示す概略配管図である。
図3図1の噴霧部付き小便器の概略側面図である。
図4】頭部の動作に基づいて噴霧部を作動させる様子を示す概略工程図である。
図5図5aは図1の噴霧部付き小便器の変形例を示す概略平面図、図5bは図5aの変形例における噴霧の底形状の他の例を示す概略平面図、図5cは噴霧部付き小便器の他の変形例を示す概略平面図である。
図6図6aは噴霧部の他の配置を示す変形例の概略図、図7bは噴霧部のさらに他の配置を示す変形例の概略図である。
図7図7aは他の実施形態を示す概略図、図7bはさらに他の実施形態を示す概略図、図7cはさらに他の実施形態を示す概略図、図7dはさらに他の実施形態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[1.概略]
まず図1を用いて、噴霧部付き小便器の一実施形態の概略を説明する。
図1に示す噴霧部付き小便器1は、男性用の小便器2と、前記小便器2に設ける噴霧部3とからなる。噴霧部3から洗浄水20(図2参照)をミスト状に噴霧して、小便器2の使用者21(図4参照)の局部を洗浄する。洗浄により使用者21の尿臭の発生を抑制することができ、高齢者の外出を促進することができる。またミスト状に噴霧するので、気化しやすく、使用者21の衣服、トイレ内の床・壁を濡らすのを防止し、小便器2の底部5a等からの跳ね返りを防止する。局部とは、主として男性の陰部・生殖器であり、特に尿の付着している部位、例えば陰部、さらには亀頭部や亀頭部の近傍の部位である。なお局部としては、小便をする際に局部を支持する手指であってもよい。
【0016】
本実施形態の噴霧部付き小便器1の噴霧部3は、洗浄水20を噴霧又は停止するための検知スイッチ部4をさらに備えている。検知スイッチ部4は、使用者21の所定の動作に基づいて動作するので、使用者21により噴霧の有無を選択できる。
【0017】
[2.各構成]
(小便器2)
本実施形態の小便器2は、陶器製であり、床に設置されるタイプである。小便器2は、本体5と、本体5内で洗浄のための水を流すための人体センサ6とからなる。以後の説明で、小便器2の正面側を前、背面側を後、正面から見て、左側を左、右側を右と呼ぶ。
なお小便器2は、樹脂製のものや、陶器および樹脂を組み合わせたものでもよい。また小便器2は床に載置しないで、トイレの壁部18に固定されるものでもよい(図7d参照)。
【0018】
(本体5)
本体5は、本実施形態においては、ボウル状の底部5aと、底部5aの後方の周縁から立ち上げる背壁5bと、底部5aの周縁の前方から左右にかけて立ち上がる周壁5cと、背壁の左右の端部から前方に延びている左右の横壁5d、5dと、背壁5bの上端から前方に延びている天壁5eとからなる。天壁5eと右方の横壁5dが連続している付近の前端からは前方に突出部5fが突出している。突出部5fの内側に後述するノズル部3eが設けられている。なお本体5は図1に示した形状に限られない。
【0019】
(人体センサ6)
人体センサ6は、本実施形態では、内部にバルブ(図示せず)を備えている。人体センサ6は、本実施形態では、天壁5eの上方で、且つ、トイレの壁18(図3参照)内の図示しない給水元に連通している。人体センサ6の検出に基づいて、バルブが開閉する。バルブが開くと、給水路6aを介して、本体5内を洗浄するための水を流す。
人体センサ6は、例えば、赤外線、超音波若しくは電磁気などを利用したセンサである。人体センサ6は、小便器2の前に使用者21が立ったこと又は遠ざかったことを検出する。
【0020】
(洗浄水20)
噴霧部3から噴射される洗浄水20は、水又は殺菌された水、さらには消毒液や消臭剤を含む水溶液が用いられる。洗浄水20は温水を用いてもよい。温水の場合は、所定の温度に温めるヒータや、温度を調節するための機構を設けるのがよい(図示せず)。なお本体5内に流される洗浄用の水と同じ給水元から洗浄水20を供給してもよい。
【0021】
(噴霧部3)
次いで図2を用いて噴霧部3を説明する。図2には噴霧部3の配管の一実施形態を示している。
噴霧部3は、給水元(給水弁)3aに接続された給水路3bに電磁弁3cを介して連通する配管部3dと、配管部3dの先端に設けられるノズル部3eとからなる。
給水弁3aは、本実施形態では、トイレの壁部18(図3参照)の内部に設けられている。給水路3bは人体センサ6内に連通している。電磁弁3cは人体センサ6の内部に設けられている。電磁弁3cは常時閉であり、検知スイッチ部4の信号に基づいて通電により開となる。なお給水路3b及び電磁弁3cをトイレの壁部18の内部に設けてもよい。
配管部3dは本体5内に配置されている。なお配管部3dを本体5の外側に配置してもよい。外側に配置する場合、配管部3dがノズル部3eを保持する部材となる。
ノズル部3eは、本実施形態では、1つ設けられている。本体5の突出部5fの内側に設けられている。ノズル部3eの噴霧方向は正面視で左下方である。また側面視(図3参照)で後下方である。なおノズル部3eは反対側の横壁(左方の横壁)5bの上端且つ前端付近に設けてもよい。
【0022】
(ノズル部3eの向き)
ノズル部3eは、左右方向の中央側も向けられている。図3は噴霧部付き小便器1の概略側面図である。図3に示すように、ノズル部3eは、前後方向の中央側に向けられている。ノズル部3eを前方に配置できると、背壁5dに向かって大きな角度(図3の符号19参照)で傾かせて噴霧でき、洗浄水20が本体5の外に漏れるのを防止できる。
【0023】
(噴霧形状23、噴霧の底形状23a、噴霧径24)
ノズル部3eから噴霧されたミスト状の洗浄水20は、噴霧の直後は、噴霧の流れに勢いがあり直線状に進み、下方に進むにつれて次第に外側に拡がる。このため噴霧の形状は、全体としてノズル部3eを頂点とする円錐形状となる。その円錐形状を噴霧形状23とする。噴霧形状23の底形状23aの直径を噴霧径24(図5a参照)とする。底形状23aを形成した後の洗浄水20は、噴霧径24を超えてさらに外側に拡がって飛散して気化したり、液として本体5の底部5aに落下したりする。
【0024】
(想定洗浄範囲25)
ここで符号25は、噴霧により人体の局部を洗浄するために想定した洗浄の範囲を示している。想定洗浄範囲25は、前記洗浄すべき人体の局部付近、主として陰部付近の上下方向の範囲である。本実施形態では、成人男性の平均身長に基づいている。なお基準とすべき成人男子を高齢者としてもよい。例えば、高齢者として65~80歳の者とするなどである。なお尿漏れの可能性の高いとされる成人男性の年代の平均身長を基準にしてもよい。
前後方向いついては、本体5の底部5a及び周壁5cの平面視の形状によって、使用者21の立ち位置が変化するので、本体5の形状に応じて噴霧部3を調整する。
【0025】
(噴霧部3のまとめ)
噴霧部3から噴射されるミスト状の洗浄水20の勢いは、想定噴霧範囲25内で底形状23aを形成するように調整される。さらに噴霧径24(図1参照)が5~25cm、好ましくは10~20cm程度になるように調整される。本実施形態では、想定噴霧範囲25で、噴霧径24が15cm程度になるように調整されている。
【0026】
(検知スイッチ部4)
検知スイッチ部4は前述した人体センサ6とほぼ同じ機構であるから、同じ部分の説明は省略する。検知スイッチ部4は、使用者21の身体の特定の部位が近接したこと又は遠ざかったことを検出する。
検知スイッチ部4は、本実施形態では、人体センサ6の上面側に設けられている。すなわち検知スイッチ部4は人体センサ6の上方への近接を検知している。人体センサ6は本体5の正面側で、且つ、使用者21の首から胸部付近の近接・離脱を検知している。一方で、検知スイッチ部4は、本体5の上面側で、且つ、人体センサ6が検知していない他の部位の近接・離脱を検知している。本実施形態では、使用者21の頭部22(図4参照)の近接・離脱を検知している。頭部22が近接すると、検知スイッチ部4の信号に基づき、電磁弁3cが開き、噴霧部3は洗浄水20を噴霧する。
【0027】
(検知スイッチ部4の検知条件)
例えば、本実施形態では、検知スイッチ部4は、用を足す際の一般的な位置にある頭部22を検知しない。一般的な頭部22の位置と異なる位置にある頭部22を検知する。噴霧部3を作動させるべく、使用者21は異なる位置に頭部22を動かす。本実施形態では、人体センサ6及び検知スイッチ部4が共に検出状態にある場合に電磁弁3cが開くように設定されている。
【0028】
[3.小便器の使用方法]
(小便器の使用方法7、S1)
次に図4を用いて、噴霧部3が作動する様子を説明する。図4は、頭部22の動作に基づいて噴霧部3を作動させる様子を示す概略工程図である。
(S1)使用者21が噴霧部付き小便器1を使用する。人体センサ6は使用者21の近接を検知している。検知スイッチ部4は近接状態ではない。
【0029】
(S2)使用者21が用を足す、すなわち小便を済ます。噴霧部3による噴霧が不要な場合は、使用者21は小便器1から離れる。
【0030】
(S3)噴霧部3による人体の洗浄が必要な場合は、使用者21はお辞儀をするように頭部22を背壁5b側(後方)に動かす。検知スイッチ部4が頭部22の近接を検知する。電磁弁3cが開いて、洗浄水20をミスト状に噴霧する。所定時間噴霧の後、電磁弁3cが閉じて、噴霧が終了する。なお頭部22を検知スイッチ部4から遠ざけて、噴霧が終了するようにしてもよい。
【0031】
(その他)
また噴霧において、噴霧の勢いに強弱を与えてもよい。さらに噴霧において、次第に勢いを強くするようにしてもよい。
また本格的な噴霧をする前に、噴霧位置を使用者21に把握させるため、噴霧を短い時間で一吹きし、少し時間を空けて、継続的な噴霧を開始してもよい。前記一吹き後に使用者21は体を動かして洗浄すべき人体の位置を調節する。
【0032】
[4.変形例]
(噴霧部3の配置の変形例8)
図5a及び図5cは、噴霧部3の配置を変更した変形例をそれぞれ示す概略平面図である。変形例は前述した噴霧部付き小便器1とほぼ同じであるので、同じ部分には同じ符号を用いて、その説明を省略する。変形例では、噴霧部3の配管部3d、ノズル部3eは本体5の外に出ており、内部に設けられていない。
図5aには噴霧部付き小便器1の変形例8を示している。変形例8ではノズル部3eを2つ設けている。電磁弁3c(図2参照)の出口から2本の配管部3d、3dが左右に延びている。ノズル部3e、3eは、正面視において、左右の横壁5d、5dの上端で、且つ、前端付近にそれぞれ設けられている。ノズル部3e、3eは、左右方向の中央側を向いている。また図3に示したのと同じく、側面視において、背壁5b側に向いている。変形例8では、左右から噴霧される噴霧流れは、中央付近でぶつかって、噴霧の勢いがいくらか削がれている。勢いが削がれるので、噴霧の勢いを強めに設定できる。勢いが強いと噴霧位置が安定する。また勢いが削がれるので、本体5内から洗浄水20が漏れるのを防止できる。また左右方向から人体の陰部を洗浄することができる。
【0033】
(噴霧形状23の他の例)
図5bは変形例8における噴霧の底形状の他の例を示す概略図である。図5bには2つの噴霧の底形状23a、23aが形成されている。左右のノズル部3e、3eから噴霧される洗浄水20が、想定洗浄範囲25において、重ならない又は一部が重なるようにして噴霧されている。想定洗浄範囲25において、左右に広範囲に洗浄域を形成することができる。
【0034】
(噴霧部3の配置の変形例9)
図5cには噴霧部3の配置の変形例9を示している。変形例9ではノズル部3eを左右方向の中央付近に1つ設けている。電磁弁3c(図2参照)の出口から2本の配管部3d、3dが左右に延び、内向きに湾曲して前方に達しいている。ノズル部3eは、側面視において、鉛直下方又は背壁5b側に向いている。なお配管部3dは左右のどちらか1本でもよい。
前記噴霧部3のノズル部3eが前記小便器2の平面視における底部5aの中央付近の位置で、且つ、前記小便器2の側面視における天壁5eとほぼ同じ高さ位置に設けられており、前記洗浄水20が前記小便器2の左右方向の中央側で、且つ、鉛直下方又は背壁側に向けて噴霧される。
【0035】
(検知スイッチ部4の配置の変形例10)
図6a及び図6bに噴霧部付き小便器1の変形例をそれぞれ示す。変形例は前述した噴霧部付き小便器1とほぼ同じであるので、同じ部分には同じ符号を用いて、その説明を省略する。
図6aには検知スイッチ部4の変形例10を示している。変形例10ではトイレの壁部18に検知スイッチ部4が設けられている。使用者21が頭部22検知スイッチ部4に接近させると、噴霧部3が作動する。変形例10では、噴霧部3の配管部3d、電磁弁3c、給水路3b及び給水元3aは、本体5又は壁部18内に設けられている。
【0036】
(検知スイッチ部4の配置の変形例11)
図6bには検知スイッチ部4の変形例11を示している。本体5の天壁5eの上面に検知スイッチ部4が設けられている。使用者21が頭部22を検知スイッチ部4の近傍に移動させると、噴霧部3が作動する。変形例11では、噴霧部3の配管部3dは、本体5の外に出ている。
なお点線で記載されているのは、手で作動させる場合の検知スイッチ部4の配置を示している。手で作動させる検知スイッチ部4は、頭部22や脚(足)で作動させる検知スイッチ部4(後述する)と併用し、両方の検知スイッチ部4、4が検知状態となると、噴霧を開始するようにしてもよい。なお手で作動させる検知スイッチ部4のみを用いてもよい。
【0037】
[5.他の実施形態]
<第2実施形態>
次に図7a、図7b、図7c及び図7dを用いて、噴霧部付き小便器1の他の実施形態を説明する。他の実施形態は前述した噴霧部付き小便器1とほぼ同じであるので、同じ部分には同じ符号を用いて、その説明を省略する。
他の実施形態では、検知スイッチ部4は使用者21の脚(図示せず)の近接又は離脱を検知する。例えば、検知スイッチ部4は、用を足す際(小便を済ます際)の一般的な位置にある脚を検知せず、使用者21が移動させた脚を検知している。移動させた脚の検知に基づいて噴射部3が作動する。
なお用を足す際(小便を済ます際)の一般的な位置にある脚が離脱したことを検知し、噴射部3が作動するようにしてもよい。
【0038】
(第2実施形態12)
図7aには噴霧部付き小便器1の第2実施形態12を示している。第2実施形態12は、左方の横壁5dの下方の外面に検知スイッチ部4が設けられている。用を足す際(小便を済ます際)、脚は検知スイッチ部4よりも前側にある。噴霧部3を作動させる際、脚を後側に動かす。脚が検知スイッチ部4に近接すると、噴霧部3が作動する。検知スイッチ部4の高さ位置は、該当する男性の足首、ふくらはぎ、膝の付近を検知する位置がよい。特に膝を曲げて後方に突き出す動作で検知スイッチ部4を検知させると、容易に噴霧部3を作動でき、さらに誤作動を防止できる。
【0039】
(第3実施形態13)
図7bには噴霧部付き小便器1の第3実施形態13を示している。第3実施形態13は、小便器2の左側の床面16に検知スイッチ部4が設けられている。用を足す際(小便を済ます際)、足は検知スイッチ部4よりも前側にある。噴霧部3を作動させる際、足を後側に動かす。足が検知スイッチ部4を踏むと、噴霧部3が作動する。検知スイッチ部4は、足を後方(壁部18)に延ばして踏むことができる範囲に配置するのがよい。
【0040】
(第4実施形態14)
図7cには噴霧部付き小便器1の第4実施形態14を示している。第4実施形態14は、本体5の左方の周壁5cの下端部に切り欠き部17が形成されている。その切り欠き部17により形成された窪みの天面に検知スイッチ部4が設けられている。用を足す際(小便を済ます際)、つま先は切り欠き部17の外側にある。噴霧部3を作動させる際、つま先を切り欠き部17の内部に入れる。つま先が検知スイッチ部4に近接すると、噴霧部3が作動する。
【0041】
(第5実施形態15)
図7dには噴霧部付き小便器1の第5実施形態15を示している。第5実施形態15の小便器3は壁掛け型である。本体5の底部の左方の外面に検知スイッチ部4が設けられている。用を足す際、膝から太ももの付近は本体5の下方に位置していない。本体5の左方の外側にある。噴霧部3を作動させる際には、膝から太ももの付近を本体5の下方に配置する。膝から太ももの付近が検知スイッチ部4に近接すると、噴霧部3が作動する。
【0042】
(その他)
前述の他の実施形態では、検知スイッチ部4を本体5の左方に設けているが、右方に設けてもよい。
また本体5の左右に設けてもよい。左右に設ける場合、用を足す際の一般的な位置にある両脚が検知状態となるように調整する。用を足した後に、左右のどちらかの検知スイッチ部4が近接位置から離脱すると、噴霧部3が作動する。両方離脱したら、噴霧部3の作動を終了する。
なお、用を足す際の一般的な位置にある両脚を未検知状態となるように調整すし、左右の両方の検知スイッチ部4が近接状態になると、噴霧部3を作動し、どちらかが離脱を検知すると噴霧部3の作動を終了してもよい。
【0043】
[6.その他]
検知スイッチ部4を設けないで、人体センサ6の検知に基づいて、噴霧部3が作動するようにしてもよい。
噴霧部3のノズル部3eを本体5に一体に設けて、その他の部分を本体5又は壁部18の内部に設けてもよい。
配管部3a及びノズル部3eが本体5の外に出ている場合、本体5にサポート部材を設けて、配管部3a及びノズル部3eを保持するようにしてもよい。
噴霧部3が、空気の圧力で洗浄水20をミスト状に噴霧してもよい。
検知スイッチ部4が接触型のスイッチでもよい。
【0044】
[7.まとめ]
(1)本発明の噴霧部は、男性用の小便器3に設けられ、且つ、小便器を使用後の人体の陰部の亀頭部付近を洗浄するための洗浄水20をミスト状にして小便器の小便を済ますべき本体内に向けて噴霧することを特徴としている。
棒状の噴射では特定の局部、例えば尿が付着している部位、例えば陰部、特に亀頭部を狙いにくく、ズボンなどの衣服が濡れる恐れがある。ミスト状に噴霧すると、広範囲に洗浄水20を噴霧でき、人体の陰部などの洗浄が容易で、衣服を濡らしにくい。またミスト状に噴霧するので、気化しやすく、トイレ内の床・壁を濡らすのを防止し、小便器2の底部等からの跳ね返りを防止する。さらに洗浄により使用者21の尿臭の発生を抑制することができ、高齢者の外出を促進することができる。
【0045】
(2)本発明の他の態様の噴霧部付き小便器1は、男性用の小便器3と、小便器に設けられる上述の噴霧部3とからなることを特徴としている。
上述の噴霧部3を用いているので、広範囲に洗浄水20を噴霧でき、人体の局部、特に尿が付着した部位や、陰部の洗浄が容易で、衣服を濡らしにくい。またミスト状に噴霧するので、気化しやすく、トイレ内の床・壁を濡らすのを防止し、小便器2の底部等からの跳ね返りを防止する。さらに洗浄により使用者21の尿臭の発生を抑制することができ、高齢者の外出を促進することができる。
【0046】
(3)このような噴霧部付き小便器1は、噴霧部3が、洗浄水20を噴霧/停止するための検知スイッチ部4をさらに備えているので、使用者21が噴霧の有無を選択できる。
【0047】
(4)また検知スイッチ部4が、小便器3を使用する者21の正面であると共に頭部22の近傍に設けられ、且つ、頭部22の動作で噴射部3を作動させるものであるので、手足を動かさないで、検知スイッチ部4を通じて、噴霧部3を作動させることができる。局部、特に尿が付着した部位や、陰部の洗浄が容易である。
【0048】
(5)また検知スイッチ部4が、小便器3を使用する者21の脚近傍に設けられ、且つ、前記脚の動作で噴霧部3を動作させるものであるので、噴霧の作動において手を用いないので、局部、特に尿が付着した部位や、陰部の洗浄が容易である。
【0049】
(6)また噴霧部3のノズル部3eが小便器2の左右の横壁5dの一方又は両方の上端付近、且つ、前端の近傍に設けられており、洗浄水20が小便器2の左右方向の中央側で、且つ、背壁5b側に向けて噴霧されるので、洗浄水20が小便器3の本体5から漏れにくい。
(7)また前記噴霧部3のノズル部3eが前記小便器2の平面視における底部5aの中央付近の位置で、且つ、前記小便器2の側面視における天壁5eとほぼ同じ高さ位置に設けられており、前記洗浄水20が前記小便器2の左右方向の中央側で、且つ、鉛直下方又は背壁側に向けて噴霧されるので、使用者が上方から見ながら体を移動して陰部をねらうことができ、ねらいやすい。また洗浄水20が背壁5b側に向けて噴霧されるので、洗浄水20が小便器3の本体5から漏れにくい。
【0050】
(8)本発明のさらに他の態様の小便器の使用方法7は、上述の噴霧部付き小便器3の使用方法であって、小便器3を使用後に、使用者21が前記小便器を使用していた体勢から頭部、脚、つま先又は手のいずれか1つを動作し、前記動作に基づいて、使用者21の人体の陰部を洗浄すべく洗浄水20をミスト状に噴霧することを特徴としている。
使用者21の動作により洗浄水20をミスト状に噴霧するので、使用者21が噴霧の有無を選択できる。
【符号の説明】
【0051】
1 噴霧部付き小便器
2 小便器
3 噴霧部
3a 給水元
3b 給水路
3c 電磁弁
3d 配管部
3e ノズル部
4 検知スイッチ部
5 本体
5a 底部
5b 背壁
5c 周壁
5d 横壁
5e 天壁
5f 突出部
6 人体センサ
6a 給水路
7 小便器の使用方法
8 変形例
8a 変形例1の噴霧形状の底部
9 変形例
10 変形例
11 変形例
12 第2実施形態
13 第3実施形態
14 第4実施形態
15 第5実施形態
16 床面
17 切り欠き部
18 トイレの壁部
19 角度
20 洗浄水
21 使用者
22 頭部
23 噴霧形状
23a 噴霧の底形状
24 噴霧径
25 想定洗浄範囲
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7