(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-31
(45)【発行日】2023-11-09
(54)【発明の名称】電気チェーンブロック
(51)【国際特許分類】
B66D 3/16 20060101AFI20231101BHJP
B66D 3/20 20060101ALI20231101BHJP
【FI】
B66D3/16 F
B66D3/20 K
(21)【出願番号】P 2022505790
(86)(22)【出願日】2021-01-05
(86)【国際出願番号】 JP2021000089
(87)【国際公開番号】W WO2021181846
(87)【国際公開日】2021-09-16
【審査請求日】2022-09-26
(31)【優先権主張番号】P 2020040035
(32)【優先日】2020-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000129367
【氏名又は名称】株式会社キトー
(74)【代理人】
【識別番号】100120101
【氏名又は名称】畑▲崎▼ 昭
(72)【発明者】
【氏名】大村 真也
【審査官】太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-055979(JP,A)
【文献】特開2001-072386(JP,A)
【文献】特開2010-132454(JP,A)
【文献】特表2019-535613(JP,A)
【文献】実開昭52-148674(JP,U)
【文献】実開昭49-094061(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2015/0090946(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66D 1/00- 5/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータの駆動によりロードシーブを回転させて上フックまたは下フックに掛けられた荷の昇降を行う電気チェーンブロックであって、
前記モータおよび該モータによって回転させられる前記ロードシーブを備える本体部と、
無負荷側のロードチェーンを収納するチェーンバケットが取り付けられるバケット取付部を備えるバケット取付金具と、
前記バケット取付金具を前記本体部に固定する固定手段と、
を備え、
前記本体部には、無負荷側の前記ロードチェーンが前記本体部の側面から当該本体部の内部に出入するための側面チェーン出入口と、前記上フックを前記本体部に取り付けるための繋ぎ軸を挿入するための軸穴が開口していると共に前記側面よりも凹んでいる軸用凹部と、が設けられていて、
前記バケット取付金具には、前記側面に当接する側面当接部と、該側面当接部に対して交差する方向に突出する固定フランジ部と、該固定フランジ部と反対側に突出するバケット取付部と、が設けられていて、
前記軸用凹部には、前記軸穴が開口している第1壁面と交差する方向に前記固定フランジ部を当接させて前記固定手段で固定させるための取付座が設けられている、
ことを特徴とする電気チェーンブロック。
【請求項2】
請求項1記載の電気チェーンブロックであって、
前記固定手段によって前記固定フランジ部を当該取付座に固定した際に、前記固定フランジ部は、前記軸穴の軸方向と干渉する位置に配置されている、
ことを特徴とする電気チェーンブロック。
【請求項3】
請求項2記載の電気チェーンブロックであって、
前記取付座は、前記軸用凹部の底面から突出するボスの端面部であると共に、
前記ボスは、前記軸穴の開口を挟みつつ当該軸穴への前記繋ぎ軸の挿入を妨げない状態で一対設けられている、
ことを特徴とする電気チェーンブロック。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の電気チェーンブロックであって、
前記本体部には、前記側面チェーン出入口よりも前記軸用凹部側で開口し、前記バケット取付金具の一部が係止される係止部が設けられていて、
前記バケット取付金具には、
前記側面当接部よりも前記本体部の内部側に突出すると共に、前記係止部に係止される移動規制部が設けられている、
ことを特徴とする電気チェーンブロック。
【請求項5】
請求項4記載の電気チェーンブロックであって、
前記移動規制部には、前記側面当接部に対して段差を介して前記本体部の内部側に突出する掛止部が設けられていて、
前記係止部には、係止用凹部と係止用凸部とが設けられていて、
前記係止用凹部は前記掛止部が入り込む部分であり、
前記係止用凸部は前記係止用凹部から突出して設けられていると共に、
前記係止用凸部のうち前記係止用凹部側の内壁面に前記掛止部が当接することで、前記バケット取付金具が前記側面から離れる方向に移動するのが規制されている、
ことを特徴とする電気チェーンブロック。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の電気チェーンブロックであって、
前記バケット取付部は、前記側面当接部のうち、前記荷の昇降がなされる上下方向に直交する幅方向の両端側において前記側面から離れる向きに突出する取付アームを有すると共に、当該取付アームで囲まれた長孔状の取付孔を有していて、
前記取付孔に挿入される連結具を介して、前記チェーンバケットが支持される、
ことを特徴とする電気チェーンブロック。
【請求項7】
請求項1から5のいずれか1項に記載の電気チェーンブロックであって、
前記バケット取付部は、前記側面当接部のうち、前記側面チェーン出入口側の端部において前記側面から離れる向きに突出する取付基部を備えていて、
前記取付基部には軸孔が貫通している支軸部が設けられていて、その軸孔に挿入されるバケット支持軸を介して前記チェーンバケットが支持される、
ことを特徴とする電気チェーンブロック。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の電気チェーンブロックであって、
前記本体部は、前記モータを収納するボディと、前記ボディに対して一体的に取り付けられるガイド部材とを備えていて、
前記ガイド部材は、
前記ロードチェーンを前記下フックに向けてガイドする第1ガイド部と、
前記側面チェーン出入口を備えると共に該側面チェーン出入口に向けて前記ロードチェーンをガイドする第2ガイド部と、
前記第1ガイド部と第2ガイド部の間に設けられ、前記ロードシーブの回転を妨げない状態で当該ロードシーブのチェーンポケットに入り込むと共に、前記ロードシーブの無負荷側において前記第1ガイド部と前記第2ガイド部との間で前記ロードチェーンが移動するのを阻止するチェーン規制部と、
を備えることを特徴とする電気チェーンブロック。
【請求項9】
請求項8記載の電気チェーンブロックであって、
前記本体部には、前記側面チェーン出入口よりも前記軸用凹部側で開口し、前記バケット取付金具の一部が係止される係止部が設けられていて、
前記係止部は、前記ガイド部材のうち、通常吊りにおける前記側面チェーン出入口の上部に位置している、
ことを特徴とする電気チェーンブロック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気チェーンブロックに関する。
【背景技術】
【0002】
モータの駆動力を利用して荷を昇降させる電気チェーンブロックには、たとえば特許文献1に示すように、上フックを天井側に掛けて下フックを昇降させる通常吊りと、下フックを天井側に掛けて電気チェーンブロックの本体部を昇降させる逆さ吊りの両方の吊り方に対応した機種(リバーシブル形)が存在する。特許文献1には、このようなリバーシブル形の電気チェーンブロックが開示されているが、そのリバーシブル形の電気チェーンブロックでは、本体部に一対のブラケット(12)を取り付けて、そのブラケット(12)を介してチェーンバケット(15)を取り付けている。
【0003】
このブラケット(12)には、その端面を、本体部から離れる側(外側)に向けて折り曲げたフランジ(13)が設けられていて、そのフランジ(13)には、長孔(14)が設けられている。そして、この長孔(14)に、チェーンバケット(15)の吊下げ用フック(16)が掛けられる。それにより、通常吊りの際には下フック側にチェーンバケット(15)が配置される状態とすることができ、逆さ吊りの際には上フック側にチェーンバケット(15)が配置される状態とすることができる。そして、通常吊りおよび逆さ吊りのいずれでも、チェーンをチェーンバケット(15)内に収納することが可能となっている。
【0004】
また、本体部の底面側(下フック側の面)には、チェーンを送出するための送出口が設けられていて、その送出口の近傍には、円弧状ガイド(3)が設けられている。この円弧状ガイド(3)は、一対のブラケット(12)の間に配置されていて、送出口から送り出されたチェーンがチェーンバケット(15)に向かうのを良好にガイドしている。なお、通常吊りの際に、円弧状ガイド(3)にチェーンが接触すると摺動抵抗を生じるので、通常吊りの際にチェーンが垂れ下がる経路から離れた位置(垂れ下がる経路よりも外側)に、円弧状ガイド(3)が配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に開示の構成では、通常吊りの際に円弧状ガイド(3)にチェーンが接触しない構成とするために、円弧状ガイド(3)を経由したチェーンは、本体部の側面から離れてしまう。したがって、チェーンをガイドしつつチェーンバケット(15)を取り付けるためのブラケット(12)も、本体部の側面から大きく突出した状態となる。このため、電気チェーンブロックのコンパクト化の支障となると共に、大きく突出したブラケット(12)よってデザイン性も損なわれてしまう。
【0007】
また、上記のように、チェーンが本体部の側面から離れ、さらにブラケット(12)も本体部から離れる場合には、たとえば本体部やチェーンバケット(15)の揺れやその他の要因により、チェーンがチェーンバケット(15)に収納されずに、チェーンバケット(15)から飛び出した状態で垂れ下がる虞がある。
【0008】
また、上記の逆さ吊りの場合には、円弧状ガイド(3)から下方に向かいチェーンが垂れ下がるが、かかるチェーンがブラケット(12)やその他の張出部位に引っ掛かる虞がある。
【0009】
本発明は上記の事情に鑑みなされたもので、バケット取付金具のコンパクト化を図ると共に、凹凸が少なくデザイン性が高く、またチェーンバケットへのロードチェーンの収納性を向上させることが可能な電気チェーンブロックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の第1の観点によると、モータの駆動によりロードシーブを回転させて上フックまたは下フックに掛けられた荷の昇降を行う電気チェーンブロックであって、モータおよび該モータによって回転させられるロードシーブを備える本体部と、無負荷側のロードチェーンを収納するチェーンバケットが取り付けられるバケット取付部を備えるバケット取付金具と、バケット取付金具を本体部に固定する固定手段と、を備え、本体部には、無負荷側のロードチェーンが本体部の側面から当該本体部の内部に出入するための側面チェーン出入口と、上フックを本体部に取り付けるための繋ぎ軸を挿入するための軸穴が開口していると共に側面よりも凹んでいる軸用凹部と、が設けられていて、バケット取付金具には、側面に当接する側面当接部と、該側面当接部に対して交差する方向に突出する固定フランジ部と、該固定フランジ部と反対側に突出するバケット取付部と、が設けられていて、軸用凹部には、軸穴が開口している第1壁面と交差する方向に固定フランジ部を当接させて固定手段で固定させるための取付座が設けられている、ことを特徴とする電気チェーンブロックが提供される。
【0011】
また、上述の実施の形態において、固定手段によって固定フランジ部を当該取付座に固定した際に、固定フランジ部は、軸穴の軸方向と干渉する位置に配置されている、ことが好ましい。
【0012】
また、上述の実施の形態において、取付座は、軸用凹部の底面から突出するボスの端面部であると共に、ボスは、軸穴の開口を挟みつつ当該軸穴への繋ぎ軸の挿入を妨げない状態で一対設けられている、ことが好ましい。
【0013】
また、上述の実施の形態において、本体部には、側面チェーン出入口よりも軸用凹部側で開口し、バケット取付金具の一部が係止される係止部が設けられていて、バケット取付金具には、側面当接部よりも本体部の内部側に突出すると共に、係止部に係止される移動規制部が設けられている、ことが好ましい。
【0014】
また、上述の実施の形態において、移動規制部には、側面当接部に対して段差を介して本体部の内部側に突出する掛止部が設けられていて、係止部には、係止用凹部と係止用凸部とが設けられていて、係止用凹部は掛止部が入り込む部分であり、係止用凸部は係止用凹部から突出して設けられていると共に、係止用凸部のうち係止用凹部側の内壁面に掛止部が当接することで、バケット取付金具が側面から離れる方向に移動するのが規制されている、ことが好ましい。
【0015】
また、上述の実施の形態において、バケット取付部は、側面当接部のうち、荷の昇降がなされる上下方向に直交する幅方向の両端側において側面から離れる向きに突出する取付アームを有すると共に、当該取付アームで囲まれた長孔状の取付孔を有していて、取付孔に挿入される連結具を介して、チェーンバケットが支持される、ことが好ましい。
【0016】
また、上述の実施の形態において、バケット取付部は、側面当接部のうち、側面チェーン出入口側の端部において側面から離れる向きに突出する取付基部を備えていて、取付基部には軸孔が貫通している支軸部が設けられていて、その軸孔に挿入されるバケット支持軸を介してチェーンバケットが支持される、ことが好ましい。
【0017】
また、上述の実施の形態において、本体部は、モータを収納するボディと、ボディに対して一体的に取り付けられるガイド部材とを備えていて、ガイド部材は、ロードチェーンを下フックに向けてガイドする第1ガイド部と、側面チェーン出入口を備えると共に該側面チェーン出入口に向けてロードチェーンをガイドする第2ガイド部と、第1ガイド部と第2ガイド部の間に設けられ、ロードシーブの回転を妨げない状態で当該ロードシーブのチェーンポケットに入り込むと共に、ロードシーブの無負荷側において第1ガイド部と第2ガイド部との間でロードチェーンが移動するのを阻止するチェーン規制部と、を備える、ことが好ましい。
【0018】
また、上述の実施の形態において、係止部は、ガイド部材のうち、通常吊りにおける側面チェーン出入口の上部に位置している、ことが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によると、バケット取付金具のコンパクト化を図ると共に、凹凸が少なくデザイン性が高く、またチェーンバケットへのロードチェーンの収納性を向上させることが可能な電気チェーンブロックを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る電気チェーンブロックの構成を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す電気チェーンブロックにおいて、逆さ吊りの状態を示す斜視図である。
【
図3】
図1に示す電気チェーンブロックのうちロードシーブ付近の構成を示す断面図である。
【
図4】
図1に示す電気チェーンブロックのボディのうち、軸用凹部付近の構成を示す部分的な斜視図である。
【
図5】
図1に示す電気チェーンブロックにおけるロードシーブ、ガイド部材および弧状覆い部材の構成を示す斜視図である。
【
図6】
図1に示す電気チェーンブロックにおけるバケット取付金具の構成を示す斜視図である。
【
図7】本発明の変形例に係るバケット取付金具の構成を示す斜視図である。
【
図8】
図7に示すバケット取付金具を取り付けた状態のチェーンバケット付近の構成を示す電気チェーンブロックの部分的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施の形態に係る、電気チェーンブロック10について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明においては、Z方向とは、ロードチェーンC1を吊り下げる方向を指し、Z1側とは上フック70が位置する側を指し、Z2側とはそれとは逆の下フック80が位置する側を指す。したがって、通常吊りにおいては、Z1側は上側を指すと共にZ2側は下側を指すが、逆さ吊りにおいては、Z1側は下側を指すと共にZ2側は上側を指す状態となる。しかしながら、本明細書では、特に断りがない限り、Z1側は上側を指すと共に、Z2側は下側を指すものとする。
【0022】
また、X方向とは、本体部20の長手方向を指し、X1側とは
図1において右側を指し、X2側とはそれとは逆の左側を指す。また、Y方向とは、Z方向およびX方向に直交する方向を指し、Y1側とは
図1において手前側を指し、Y2側とはそれとは逆側を指す。
【0023】
<チェーンブロックの全体構成について>
図1は、本発明の一実施の形態に係る電気チェーンブロック10の構成を示す斜視図である。
図2は、
図1に示す電気チェーンブロック10において、逆さ吊りの状態を示す斜視図である。
図3は、
図1に示す電気チェーンブロック10のうちロードシーブ50付近の構成を示す断面図である。
図1に示すように、電気チェーンブロック10は、本体部20と、上フック70と、下フック80と、チェーンバケット90と、バケット取付金具100とを備えている。
【0024】
<本体部20について>
本体部20は、ボディ30と、モータ40と、ロードシーブ50と、ガイド部材60とを主要な構成要素としている。これらの中で、ボディ30とガイド部材60とは、ボルト等で一体的に固定されることで、1つの筐体を構成する。
【0025】
<ボディ30について>
ボディ30は、たとえばアルミニウム系の金属や鉄系の金属を材質として形成されている。ボディ30は、
図3に示すように、側面31や天面32等のような外面を形成する部分と、その外面の内側に存在する構造部分とを有している。また、ボディ30には、後述するガイド部材60を取り付ける部位が、外面から凹んでいるものの、ガイド部材60をボディ30に取り付けた場合には、概ね凹みのない状態の本体部20が構成されている。
【0026】
ボディ30の内部には、モータ40と、ロードシーブ50とが外部に露出しない状態で設けられている。また、ボディ30にはロードチェーンC1の送りをガイドするためのガイド部材60も取り付けられている。なお、ガイド部材60は、
図3に示す構成では、ボディ30と別部品となっているが、ガイド部材60はボディ30と一体的であっても良い(ボディ30と同一部品であっても良い)。
【0027】
また、ボディ30には、後述する繋ぎ軸S1を介して上フック70が取り付けられている。すなわち、
図3に示すように、ボディ30には、その側面31および天面32から凹んでいる軸用凹部33が設けられている。
図4は、ボディ30のうち、軸用凹部33付近の構成を示す部分的な斜視図である。
図3および
図4に示すように、軸用凹部33は、ボディ30のうち上フック70側の縁部に設けられている。この軸用凹部33には、軸穴34の開口34aと、取付座35とが設けられている。軸穴34は、繋ぎ軸S1を挿入するための有底の穴部分であり、側面31から見て軸用凹部33の奥側の面(以下の説明では「内部側面33a」とする;第1壁面に対応)からY方向に向かって形成されている。
【0028】
また、取付座35は、後述するバケット取付金具100の固定フランジ部102を当接させて、固定するための部分である。それにより、バケット取付金具100側の上側(Z1側)がボディ30(本体部20)に固定された状態となる。なお、本実施の形態では、取付座35は、軸用凹部33のZ2側の面(以下の説明では、「底面33b」とする)から突出するボス35aの端面部35bとなっている。
【0029】
なお、ボス35aは、軸穴34の開口34aを挟みつつ一対配置されているが、その一対のボス35aの配置は、軸穴34への繋ぎ軸S1の挿入を妨げないように間隔を空けている。また、このボス35aの端面部35bには、ネジ穴35cが開口している。このネジ穴35cには、ネジ等のような固定手段が捻じ込まれ、そのネジ等の固定手段によって、後述する固定フランジ部102が固定される。
【0030】
かかる一対のボス35aの端面部35bに、後述する固定フランジ部102を当接させた場合には、固定フランジ部102によって繋ぎ軸S1が軸穴34から抜けるのが阻止される。すなわち、底面33bからの端面部35bの高さ位置は、軸穴34から繋ぎ軸S1が抜けるのを固定フランジ部102によって阻止可能な程度の高さ位置に設けられている。
【0031】
上記のような、底面33bからの端面部35bの高さ位置は、軸穴34のZ方向における最も下側(Z2側;下フック80側)の高さ位置と同程度か、または上側(Z1側;上フック70側)に位置することが好ましい。この場合には、軸穴34に繋ぎ軸S1を差し込んだ状態で、取付座35に固定フランジ部102を取り付けると、その固定フランジ部102が、繋ぎ軸S1の端部に衝突する状態を実現可能としている。したがって、固定フランジ部102が、繋ぎ軸S1の軸穴34からの抜け止めとしての機能も果たす状態となる。この場合、開口34aを平面視すると、一対のボス35aの端面部35bを結んだ線が、開口34aを横断する。
【0032】
なお、後述する固定フランジ部102の厚みが十分に大きい場合には、一対のボス35aの端面部35bを結んだ線が、開口34aを横断しなくても良い。この場合には、繋ぎ軸S1が軸穴34から抜けるのを阻止可能となる。なお、取付座35を構成する端面部35bは、開口34aが形成された内部側面33aに対し、交差する平面内に設けられている。
【0033】
<モータ40およびロードシーブ50について>
また、ボディ30内部においては、モータ40からの駆動力は、ロードシーブ50へと伝達される。このロードシーブ50は複数のチェーンポケット51を備え、そのチェーンポケット51にはロードチェーンC1の金属輪が嵌まり込むことが可能となっている。したがって、モータ40の駆動によって、ロードチェーンC1の巻上げおよび巻下げを行うことを可能としている。
【0034】
<ガイド部材60について>
ガイド部材60は、上述したボディ30と共に、本体部20の構造部分を構成する。
図3に示すように、ガイド部材60は、所定の位置(第1位置および第2位置)でロードシーブ50に近接するように設けられている。それにより、ボディ30内部において既定の角度範囲内に位置するチェーンポケット51にロードチェーンC1が良好に嵌まり込みつつ送り出されている。なお、ガイド部材60は、たとえば炭素鋼や合金鋼等のような耐摩耗性を有すると共に強度を有する金属のブロック体から構成されている。
【0035】
図5は、ロードシーブ50、ガイド部材60および弧状覆い部材65の構成を示す斜視図である。
図3および
図5に示すように、ガイド部材60には、第1ガイド部61と、第2ガイド部62と、チェーン規制部63と、係止部64とが設けられている。第1ガイド部61は、下フック80側(Z2側)に向かって延伸するロードチェーンC1の移動を良好にガイドする部分である。この第1ガイド部61には、上下方向(Z方向)に延伸する第1貫通路61aが設けられているが、その第1貫通路61aの通常吊りにおける下端側(Z2側)には底面チェーン出入口61bが設けられている。なお、第1貫通路61aは、ロードチェーンC1の移動に対応して、上下方向(Z方向)に直交する平面(XY平面)が略十字形状をなしている。したがって、底面チェーン出入口61bも略十字形状に開口している。
【0036】
また、通常吊りにおける第1ガイド部61の上方側(Z1側)には、対向覆い部61cが設けられている。対向覆い部61cは、第1貫通路61aと上下方向(Z方向)における同一軸線上に設けられているが、そのロードシーブ50側の部位は、第1貫通路61aを切り欠いた形態をなしている。この対向覆い部61cは、第1貫通路61aからガイドされたロードチェーンC1がロードシーブ50に着脱される位置である第1位置において、ロードチェーンC1の移動を妨げない状態でロードシーブ50を覆っている。したがって、ロードチェーンC1がロードシーブ50から外れようとするのが、対向覆い部61cによって防止される。また、対向覆い部61cは、第1貫通路61aとの間で円滑にロードチェーンC1の移動を行わせることを可能としている。
【0037】
なお、
図5に示すように、対向覆い部61cおよび後述する対向覆い部62dの上端側には、ネジやピン等の固定部材を介して、弧状覆い部材65が取り付けられている。それにより、ガイド部材60よりも通常吊りの上方側(Z1側)において、ロードチェーンC1がロードシーブ50から外れるのが防止されている。
【0038】
また、第2ガイド部62は、チェーンバケット90(すなわち本体部20を構成するボディ30の側面31側)に向かって延伸するロードチェーンC1の移動を良好にガイドする部分である。この第2ガイド部62には、上記の第1貫通路61aと同様に断面が略十字形状である第2貫通路62aが設けられているが、その第2貫通路62aの通常吊りにおいて、ロードシーブ50から側面31に向かい斜め下側に向かう斜行部が存在すると共に、その斜行部から側面31側に向かう横行部が存在し、これらが滑らかに接続されている。
【0039】
なお、第2ガイド部62にも、上述した対向覆い部61cと同様に、第2貫通路62aを切り欠いた形態をなしている対向覆い部62dが設けられている。この対向覆い部62dは、第2貫通路62aからガイドされたロードチェーンC1がロードシーブ50に着脱される位置である第2位置において、ロードチェーンC1の移動を妨げない状態でロードシーブ50を覆っている。それにより、ロードチェーンC1がロードシーブ50から外れようとするのが、対向覆い部62dによって防止される。
【0040】
なお、ボディ30の側面31には、第2ガイド部62におけるロードチェーンC1の出入口である側面チェーン出入口62bが設けられている。かかる側面チェーン出入口62bも、第2貫通路62aの断面形状と同様に、略十字形状に開口している。
【0041】
また、ガイド部材60のロードシーブ50と対向する部位であって、第1ガイド部61と第2ガイド部62の間には、チェーン規制部63が設けられている。チェーン規制部63は、ロードシーブ50の回転を妨げない状態で、ロードシーブ50の無負荷側のチェーンポケット51の内部に入り込む円弧状の突出部分である。かかるチェーン規制部63は、チェーンポケット51の縦溝および横溝に入り込んだロードチェーンC1の金属輪と干渉する程度に、チェーンポケット51の底部との間の最小隙間を狭めている。それにより、ロードシーブ50の無負荷側において、たとえば第1ガイド部61から第2ガイド部62に金属輪が向かうことで、チェーンが動かなくなる(スタックする)等の不具合を防止可能となっている。
【0042】
また、通常吊りにおいて、第2ガイド部62の上部側(Z1側)には、係止部64が設けられている。係止部64は、バケット取付金具100の掛止部103a(後述)を引っ掛ける部分である。かかる引っ掛けを可能とするために、係止部64には、係止用凹部64aと、係止用凸部64bとが設けられている。係止用凸部64bは、通常吊りにおいて係止用凹部64aよりも上側(Z1側)に突出している部分である。したがって、係止用凹部64aに、移動規制部103の掛止部103aが入り込むと、係止用凸部64bのうち係止用凹部64a側の面(内壁面)に掛止部103aが当接可能となる。したがって、バケット取付金具100に対し、側面31から離間させる向きの力が作用すると、掛止部103aが内壁面に衝突する。それにより、バケット取付金具100の一端側(Z2側)において、側面31から離間する方向の力に抗することが可能となっている。
【0043】
なお、これら第1ガイド部61、第2ガイド部62、チェーン規制部63および係止部64は、一体的に設けられているが、それぞれが別パーツとして形成され、該別パーツが組み付けられる構成としても良い。
【0044】
<上フック70および繋ぎ軸S1について>
図3に示すように、ボディ30には、繋ぎ軸S1を介して上フック70が取り付けられている。繋ぎ軸S1は、上記の軸穴34に差し込まれる軸部材である。また、上フック70は、フック部71と、フック受部72とを備えている。フック部71は、荷物や天井等を掛ける部分である。また、フック受部72は、フック部71を回転自在に支持する部分である。このフック受部72には、当該フック受部72をY方向に貫通する取付孔72aが設けられていて、その取付孔72aに繋ぎ軸S1が差し込まれる。それにより、上フック70は、繋ぎ軸S1を介して本体部20(ボディ30)に支持される。
【0045】
<下フック80について>
下フック80は、ガイド部材60の第1貫通路61aの底面チェーン出入口61bから送り出されるロードチェーンC1の下端側(Z2側)に連結されている。
【0046】
<チェーンバケット90について>
図1に示すように、チェーンバケット90は、側面チェーン出入口62bから排出されたロードチェーンC1を収納するバケット状の部分である。このチェーンバケット90は、ロードチェーンC1の重量に十分に耐えつつ柔軟性を有する樹脂や布を材質として形成されている。このチェーンバケット90は、カラビナやワイヤその他の連結具110を介して、バケット取付金具100に取り付けられる。このため、チェーンバケット90は、連結具110およびバケット取付金具100を介して、本体部20(ボディ30およびガイド部材60)に取り付けられる状態となる。
【0047】
<バケット取付金具100について>
図6は、バケット取付金具100の構成を示す斜視図である。
図3および
図6に示すように、バケット取付金具100には、側面当接部101と、固定フランジ部102と、移動規制部103と、本体保護部104と、バケット取付部105とが設けられている。なお、
図3および
図6に示すバケット取付金具100は、1つの金属板を、たとえばプレス加工によって屈曲させることで形成することができる。
【0048】
これらのうち、側面当接部101は、本体部20の側面(本実施の形態では、ガイド部材60の側面)に当接する部分である。なお、側面当接部101は、ボディ30の側面31に当接する部分であっても良い。本実施の形態では、側面当接部101は、逆さ吊りの状態において、側面チェーン出入口62bから送り出されたロードチェーンC1がチェーンバケット90に向かうのをガイドしたり、ロードチェーンC1が側面チェーン出入口62bに向かって入り込むのをガイド可能となっている。そのようなガイドを可能とするために、側面当接部101は、後述する本体保護部104よりも側面31に向かって凹んでいて、それにより逆さ吊りの状態において、ロードチェーンC1は、他の部位よりも、この側面当接部101を通過し易くなっている。このため、側面当接部101は、側面チェーン出入口62bに対し、逆さ吊りの状態における上側(通常吊りにおける下側;Z2側)に配置されている。
【0049】
また、固定フランジ部102は、側面当接部101に対して交差する(
図6では概ね直交する)方向に延伸する部分である。この固定フランジ部102には、
図6では2つの挿通孔102aが設けられているが、挿通孔102aの個数は幾つであっても良い。この固定フランジ部102は、上述した取付座35に当接させ、その状態でボス35aのネジ穴35cにネジを捻じ込むことで、バケット取付金具100の上方側(Z1側)をボディ30に固定するための部分である。
【0050】
なお、固定フランジ部102の固定は、ネジには限られない。たとえば、スナップピンや抜け止めピン等のようなピン部材を固定手段として用いても良い。この場合には、ボス35aにはネジ穴35cに代えて差込穴が形成されることが好ましい。また、固定フランジ部102にボスを形成して、ボス35aの差込穴に差し込むようにしても良い。さらに、ボス35aを挿通孔102aに差し込むようにしても良い。
【0051】
また、ネジを外部から見えなくするために(目隠しするために)、軸用凹部33には覆い部材37が取り付けられている。この覆い部材37には、図示を省略する段付きの挿通孔が設けられていて、その挿通孔にネジが挿通される。このとき、ネジの頭部は、段付きの挿通孔の段部にて受け止められるものの、ネジは外部に露出しない状態となっている。したがって、覆い部材37により、外観上、ネジが露出しない状態となっている。
【0052】
また、移動規制部103は、上述した係止部64に係止されることで、バケット取付金具100が移動するのを防止する部分である。
図6に示す構成では、移動規制部103は、側面当接部101からY2側に向かって段形状をなすように折り曲げられている。それにより、移動規制部103には、上述した係止用凸部64bの内壁側に当接する掛止部103aが設けられている。この掛止部103aは、側面当接部101と概ね平行となるように設けられている。したがって、バケット取付金具100に対して、側面31から離れる向きの力(Y1方向の引っ張り力)が作用した場合には、掛止部103aが係止用凸部64bの内壁に衝突することで、上記のような引っ張り力に抗することが可能となっている。
【0053】
また、本体保護部104は、上述した側面当接部101の幅方向の両隣りに設けられている。この本体保護部104は、側面当接部101から外れたロードチェーンC1が、ボディ30の側面31に接触するのを防止する部分である。なお、本体保護部104は、側面当接部101よりも側面31から離れる方向に突出しているので、ロードチェーンC1が側面チェーン出入口62bを支点として大きく傾いても、ロードチェーンC1が側面31に接触するのを良好に防止している。
【0054】
また、本体保護部104の端部側には、バケット取付部105が設けられている。バケット取付部105は、連結具110を介してチェーンバケット90が取り付けられる部分である。本実施の形態では、バケット取付部105は、略U字形状の取付アーム105aを備え、その取付アーム105aの両端側が本体保護部104に連結されている。それにより、本体保護部104と取付アーム105aとによって囲まれた取付孔105bが形成されている。
【0055】
なお、取付孔105bは、Z方向に沿って所定の長さを有している(すなわち、Z方向に沿う長孔状となっている)。そして、通常吊りの際には、取付孔105bのZ2側(下側)に連結具110が位置し、この連結具110を介してチェーンバケット90を取り付けることができる。一方、逆さ吊りの際には、取付孔105bのZ1側(通常吊りにおける上側)に連結具110が位置し、この連結具110を介してチェーンバケット90を取り付けることができる。したがって、通常吊りおよび逆さ吊りのいずれの場合でも、自重によって垂れ下がるロードチェーンC1をチェーンバケット90内に良好に収納可能となっている。
【0056】
<作用効果について>
以上のような構成の電気チェーンブロック10では、無負荷側のロードチェーンC1を収納するチェーンバケット90が取り付けられるバケット取付部105を備えるバケット取付金具100と、そのバケット取付金具100を本体部20に固定する固定手段と、を備えている。また、本体部20には、無負荷側のロードチェーンC1が本体部20の側面から当該本体部20の内部に出入するための側面チェーン出入口62bと、上フック70を本体部20に取り付けるための繋ぎ軸S1を挿入するための軸穴34が開口していると共に側面よりも凹んでいる軸用凹部33と、が設けられている。
【0057】
そして、バケット取付金具100には、側面に当接する側面当接部101と、その側面当接部101に対して交差する方向に突出する固定フランジ部102と、その固定フランジ部102とは反対側に突出するバケット取付部105が設けられている。さらに、軸用凹部33には、軸穴34が開口している内部側面33a(第1壁面)と交差する方向に、固定フランジ部102を当接させて固定手段で固定させるための取付座35が設けられている。
【0058】
このように構成する場合には、バケット取付金具100は、固定手段を介して、軸用凹部33の取付座35に固定することができる。したがって、固定フランジ部102は、側面よりも凹んでいる軸用凹部33の取付座35に当接させた状態で、固定手段で固定されるので、本体部20の側面における凹凸部分は、バケット取付部105のみとすることができる。それにより、本体部20の側面における凹凸部分が少なくスッキリした状態とすることができ、デザイン性を高くすることができる。
【0059】
また、本実施の形態の電気チェーンブロック10では、側面チェーン出入口62bが本体部20の側面に設けられている。このため、ボディ30の底面に、無負荷側のロードチェーンC1の出入口がないので、無負荷側のロードチェーンC1を大きく湾曲させずに済む。それにより、特許文献1に開示のような円弧状ガイド(3)を設けずに済む。したがって、本実施の形態のバケット取付金具100は、特許文献1に開示のブラケット(12)と比較して、コンパクト化を図ることが可能となる。また、本体部20の側面に側面チェーン出入口62bが存在することにより、この側面チェーン出入口62bは、特許文献1の構成と比較して、上フック70側(Z1側)に位置している。このため、逆さ吊りの状態において、無負荷側のロードチェーンC1をチェーンバケット90側に近づけることが可能となり、その分だけ、チェーンバケット90へのロードチェーンC1の収納性を向上させることが可能となる。
【0060】
また、本実施の形態では、固定手段によって固定フランジ部102を取付座35に固定した際に、固定フランジ部102は、軸穴34の軸方向と干渉する位置に配置されている。
【0061】
このように構成する場合には、バケット取付金具100の固定状態においては、軸穴34に差し込まれている繋ぎ軸S1が、軸穴34から抜けようとしても、固定フランジ部102が繋ぎ軸S1の端部と干渉してしまう。それにより、軸穴34からの繋ぎ軸S1の抜けが阻止される。したがって、電気チェーンブロック10においては、繋ぎ軸S1の軸穴34から抜けるのを防止するための部品を削減することが可能となり、電気チェーンブロック10のコスト削減および軽量化を図ることが可能となる。
【0062】
また、本実施の形態では、取付座35は、軸用凹部33の底面33bから突出するボス35aの端面部35bであると共に、ボス35aは、軸穴34の開口34aを挟みつつ、その軸穴34への繋ぎ軸S1の挿入を妨げない状態で一対設けられている。
【0063】
このように構成する場合には、取付座35(ボス35aの端面部35b)に固定フランジ部102を固定する前の状態では、軸穴34への繋ぎ軸S1の挿入性を妨げない。その一方で、取付座35(ボス35aの端面部35b)に固定フランジ部102を固定した場合には、軸穴34から繋ぎ軸S1が抜けるのが阻止される。このため、電気チェーンブロック10の分解・組み立てと、繋ぎ軸S1の確実な抜け防止を、簡易な構成で両立させることが可能となる。
【0064】
また、本実施の形態では、本体部20には、側面チェーン出入口62bよりも軸用凹部33側で開口し、バケット取付金具100の一部が係止される係止部64が設けられている。また、バケット取付金具100には、側面当接部101よりも本体部20の内部側に突出すると共に、係止部64に係止される移動規制部103が設けられている。
【0065】
このように、移動規制部103が係止部64に対して係止されるので、バケット取付金具100は、固定フランジ部102と、その固定フランジ部102に対して側面当接部101を挟んで離間している移動規制部103とによって、本体部20に固定される状態となる。このため、バケット取付金具100に対して、側面31から離れる向きの引っ張り力が作用した場合でも、そのような引っ張り力に抗することが可能となる。したがって、たとえば本体部20を把持した状態でチェーンバケット90を引き摺っても、バケット取付金具100が大きく曲がる等の変形を防止可能となる。
【0066】
また、本実施の形態では、移動規制部103には、側面当接部101に対して段差を介して本体部20の内部側に突出する掛止部103aが設けられている。また、係止部64には、係止用凹部64aと係止用凸部64bとが設けられていて、係止用凹部64aは掛止部103aが入り込む部分であり、係止用凸部64bは係止用凹部64aから突出して設けられている。加えて、係止用凸部64bのうち係止用凹部64a側の内壁面に掛止部103aが当接することで、バケット取付金具100が本体部20の側面から離れる方向に移動するのが規制されている。
【0067】
このように構成する場合には、移動規制部103側をネジ等で固定しなくても、係止用凸部64bのうち係止用凹部64a側の内壁面に掛止部103aが当接することで、上述したような、側面31から離れる向きの引っ張り力が作用しても、バケット取付金具100は、そのような引っ張り力に抗することが可能となる。したがって、バケット取付金具100の変形を防ぎつつ、ネジ等の部品点数を削減することが可能となり、電気チェーンブロック10のコスト削減および軽量化を一層図ることが可能となる。
【0068】
また、本実施の形態では、バケット取付部105は、側面当接部101のうち、荷の昇降がなされる上下方向に直交する幅方向の両端側において、側面から離れる向きに突出する取付アーム105aを有すると共に、当該取付アーム105aで囲まれた取付孔105bをさらに有している。そして、取付孔105bに挿入される連結具110を介して、チェーンバケット90が支持される。
【0069】
このため、取付孔105bに対して、連結具110を配置する部位を変更することが可能となる。すなわち、取付孔105bのZ2側に連結具110を位置させる場合には、通常吊りに対応した状態でチェーンバケット90を取り付けることができる。また、取付孔105bのZ1側に連結具110を位置させる場合には、逆さ吊りに対応した状態でチェーンバケット90を取り付けることができる。このように、電気チェーンブロック10の通常吊りと、逆さ吊りの両方に対応させた状態で、チェーンバケット90を取り付けることが可能となる。
【0070】
また、ロードチェーンC1が大きく傾斜するような振れが生じようとした場合には、ロードチェーンC1は取付アーム105aと干渉する。このため、取付アーム105aの存在により、ロードチェーンC1の振れを規制することが可能となる。また、ロードチェーンC1が幅方向の両端側の(すなわち一対の)取付孔105bの間に位置する状態とすることができるので、ロードチェーンC1が大きく振れて、本体部20に接触してしまうのを防止することができる。そのため、ロードチェーンC1によって、本体部20にダメージが与えられるのを防止することができる。特に、ロードチェーンC1よりも軟らかいアルミニウム系の金属でボディ30(本体部20の一部)が形成されている場合、ボディ30にそのようなダメージが生じるのを良好に防止可能となる。
【0071】
また、本実施の形態では、本体部20は、モータ40を収納するボディ30と、ボディ30に対して一体的に取り付けられるガイド部材60とを備えていて、ガイド部材60は、ロードチェーンC1を下フック80に向けてガイドする第1ガイド部61と、側面チェーン出入口62bを備えると共に該側面チェーン出入口62bに向けてロードチェーンC1をガイドする第2ガイド部62とが設けられている。また、第1ガイド部61と第2ガイド部62の間に設けられ、ロードシーブ50の回転を妨げない状態で当該ロードシーブ50のチェーンポケット51に入り込むと共に、ロードシーブ50の無負荷側において第1ガイド部61と第2ガイド部62との間でロードチェーンC1が移動するのを阻止するチェーン規制部63と、を備えている。
【0072】
このように、チェーン規制部63が存在することで、第1ガイド部61と第2ガイド部62との間でロードチェーンC1が移動するのが阻止される。それにより、ロードシーブ50の無負荷側において、たとえば第1ガイド部61から第2ガイド部62に金属輪が向かうことで、チェーンが動かなくなる(スタックする)等の不具合を、防止可能となる。
【0073】
また、本実施の形態では、係止部64は、ガイド部材60のうち、通常吊りにおける側面チェーン出入口62bの上部に位置している。このため、係止部64に対応した部位を、別パーツ等によって設ける必要がなく、部品点数の削減を図ることが可能となる。それにより、電気チェーンブロック10のコスト削減および軽量化を一層図ることが可能となる。
【0074】
以上、本発明の一実施の形態について説明したが、本発明はこれ以外にも変形可能となっている。以下、それについて述べる。
【0075】
上述の実施の形態におけるバケット取付金具100に代えて、
図7および
図8に示すようなバケット取付金具100Bを用いるようにしても良い。
図7は、本発明の変形例に係るバケット取付金具100Bの構成を示す斜視図である。また、
図8は、
図7に示すバケット取付金具100Bを取り付けた状態のチェーンバケット90付近の構成を示す電気チェーンブロック10の部分的な断面図である。
【0076】
図7および
図8に示すように、バケット取付金具100Bには、上述したバケット取付金具100における側面当接部101、固定フランジ部102および移動規制部103と同様の側面当接部101B、固定フランジ部102Bおよび移動規制部103Bが設けられている。また、バケット取付金具100Bは、バケット取付部105Bを備えているものの、そのバケット取付部105Bは、側面当接部101Bのうち、側面チェーン出入口62b側の端部(Z2側の端部)において本体部20の側面から離れる向きに突出する取付基部105Baを有している。
【0077】
なお、本実施の形態では、取付基部105Baは、側面当接部101Bと移動規制部103Bの間に存在している。
【0078】
上記の取付基部105Baには、軸孔105Bcが貫通している支軸部105Bbが設けられていて、その軸孔105Bcに挿入されるバケット支持軸S2を介して、チェーンバケット90Bが支持されている。このように構成する場合、側面チェーン出入口62bの上方側(Z1側)に、本体部20の側面から突出するバケット取付部105Bが設けられているので、電気チェーンブロック10を逆さ吊りの状態で用いると、ロードチェーンC1がバケット取付部105Bに衝突してしまう。このため、電気チェーンブロック10を逆さ吊りの状態で用いることは困難である。しかしながら、通常吊りの状態では、バケット取付金具100Bによってチェーンバケット90Bを本体部20に良好に取り付けることは可能である。
【0079】
なお、
図7および
図8に示すようなバケット取付金具100Bを用いる場合においても、バケット取付金具100Bの固定状態においては、固定フランジ部102Bが繋ぎ軸S1の端部と干渉することで、軸穴34からの繋ぎ軸S1の抜けが阻止される。それにより、繋ぎ軸S1の軸穴34から抜けるのを防止するための部品が不要となり、電気チェーンブロック10のコスト削減および軽量化を図ることが可能となる。
【0080】
また、
図7および
図8に示すようなバケット取付金具100Bは、特許文献1に開示のブラケット(12)と比較して、コンパクト化を図ることが可能となる。加えて、側面チェーン出入口62bよりも上方側(Z1側)に位置する支軸部105Bbおよびバケット支持軸S2を介して、チェーンバケット90Bを支持することができる。このため、
図8に示すように、チェーンバケット90Bは、側面チェーン出入口62bを覆う状態で取り付けることが可能となる。それにより、チェーンバケット90BへのロードチェーンC1の収納性を向上させることが可能となる。
【0081】
なお、上述の実施の形態及び変形例においては、バケット取付金具100,100Bから移動規制部103,103Bを省略する構成を採用しても良い。
【符号の説明】
【0082】
10…チェーンブロック、20…本体部、30…ボディ、31…側面、32…天面、33…軸用凹部、33a…内部側面(第1壁面に対応)、33b…底面、34…軸穴、34a…開口、35…取付座、35a…ボス、35b…端面部、35c…ネジ穴、37…覆い部材、40…モータ、50…ロードシーブ、51…チェーンポケット、60…ガイド部材、61…第1ガイド部、61a…第1貫通路、61b…底面チェーン出入口、61c…対向覆い部、62…第2ガイド部、62a…第2貫通路、62b…側面チェーン出入口、62d…対向覆い部、63…チェーン規制部、64…係止部、64a…係止用凹部、64b…係止用凸部、65…弧状覆い部材、70…上フック、71…フック部、72…フック受部、72a…取付孔、80…下フック、90…チェーンバケット、90B…チェーンバケット、100…バケット取付金具、100B…バケット取付金具101…側面当接部、101B…側面当接部、102…固定フランジ部、102B…固定フランジ部、102a…挿通孔、103…移動規制部、103B…移動規制部、103a…掛止部、104…本体保護部、105…バケット取付部、105B…バケット取付部、105Ba…取付基部、105Bb…支軸部、105Bc…軸孔、105a…取付アーム、105b…取付孔、110…連結具、C1…ロードチェーン、S1…繋ぎ軸、S2…バケット支持軸