(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-31
(45)【発行日】2023-11-09
(54)【発明の名称】皮膚光老化抑制用外用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 36/899 20060101AFI20231101BHJP
A61K 8/92 20060101ALI20231101BHJP
A61P 17/18 20060101ALI20231101BHJP
A61P 39/06 20060101ALI20231101BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20231101BHJP
A61Q 19/08 20060101ALI20231101BHJP
【FI】
A61K36/899
A61K8/92
A61P17/18
A61P39/06
A61P43/00 111
A61Q19/08
(21)【出願番号】P 2019083692
(22)【出願日】2019-04-25
【審査請求日】2021-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000106324
【氏名又は名称】サンスター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平野 晶子
【審査官】横田 倫子
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2007-0081192(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第102784084(CN,A)
【文献】特許第6746752(JP,B2)
【文献】Biol Chem.,2004年,Vol.385,p.585-591
【文献】Oxidat Med Cell Longev.,2013年,Vol.2013,Article.298574
【文献】European Food Research & Technology, 2010,Vol.231 No.2, p.163-169
【文献】Molecules, 2018, Vol.23 No.9, Article.2254 (p.1-12)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 36/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
米糠油を25~75μg/ml含有する、紫外線による皮膚の老化を抑制するための外用組成物。
【請求項2】
紫外線による皮膚の老化が、シワ又はたるみである、請求項
1に記載の組成物。
【請求項3】
米糠油
を30~70μg/ml含有する、皮膚における光によるマトリックスメタロプロテアーゼ-1(MMP-1)産生促進を抑制するための、外用組成物。
【請求項4】
化粧品組成物である、請求項1~
3のいずれかに記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚光老化を抑制するための外用組成物等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、特に美容分野において、抗皮膚老化効果を奏する外用組成物の需要はますます高まってきている。中でも皮膚のシワ又はたるみの抑制への関心は非常に高い。
【0003】
皮膚においてシワやたるみが形成される一因として、光(紫外線、特にUVA)の皮膚照射が挙げられる。このような、光による皮膚の老化(皮膚光老化)には、真皮弾性繊維や膠原繊維の分解及び減少が関与している。そして、真皮構成成分の分解には、マトリックスメタロプロテアーゼ(Matrix Metalloproteinase:MMP)が関与しており、特にMMP-1は、コラーゲンの3重螺旋構造を切断できる酵素の一つである。皮膚においてMMP-1が細胞外マトリックスを分解すると、皮膚構造が保持できなくなることで皮膚は大きく陥没し、深いシワの形成に至ると考えられる。またさらに、MMP-1は、自然老化皮膚よりも光老化皮膚において活性がより高いという報告もある(非特許文献1)。よって、MMP-1の誘導を抑制できる成分が、特に皮膚光老化の抑制に効果的であると期待される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献】
【0005】
【文献】Chung JH, Seo JY, Choi HR, et al: Modulation of skin collagen metabolism in aged and photoaged human skin in vivo. J Invest Dermatol 117; 1218-1224: 2001
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、効率的に皮膚光老化の抑制効果を得るための手法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、米糠油を特定量含有する外用組成物が、皮膚における光によるMMP-1産生を抑制する効果を奏し得ることを見出し、さらに改良を重ねて本発明を完成させるに至った。
【0008】
本発明は例えば以下の項に記載の主題を包含する。
項1.
米糠油を0.002~0.008質量%含有する、皮膚光老化抑制用外用組成物。
項2.
米糠油を25~75μg/ml含有する、皮膚光老化抑制用外用組成物。
項3.
皮膚光老化が、シワ又はたるみである、項1又は2に記載の組成物。
項4.
米糠油を0.002~0.008質量%あるいは25~75μg/ml含有する、皮膚における光によるマトリックスメタロプロテアーゼ-1(MMP-1)産生促進を抑制するための、外用組成物。
項5.
化粧品組成物である、項1~4のいずれかに記載の組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、優れた皮膚光老化抑制効果が奏される外用組成物が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】米糠油について、線維芽細胞に紫外線(UVA)を照射した際に発生する活性酸素種(ROS)の産生に対する効果を評価した結果を示す。
【
図2】米糠油について、線維芽細胞に紫外線(UVA)を照射した際のMMP-1の産生に対する効果を評価した結果を示す。
【
図3】米糠油について、線維芽細胞に紫外線(UVA)を照射した際のMMP-1の産生に対する効果を評価した結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の各実施形態について、さらに詳細に説明する。
【0012】
本発明に包含される皮膚光老化抑制用外用組成物は、米糠油を0.002~0.008質量(w/w)%含有する。以下当該組成物を、本発明の外用組成物と呼ぶことがある。
【0013】
米糠油としては、米糠から得られる油であれば特に制限はされない。米糠油の製造には、溶媒(例えばn-ヘキサン)により米糠から抽出する方法(溶媒抽出法)や、米糠を圧搾法により圧搾処理する方法(圧搾法)等を用いることができる。本発明には、溶媒抽出米糠油、及び圧搾米糠油のいずれも用いることができ、特に圧搾米糠油を用いることが好ましい。圧搾処理の方法は公知であり、例えば加熱焙煎処理され100~115℃程度になった米糠を低温連続圧搾機(例えば(株)テクノシグマ社より販売されているミラクルチャンバー)により圧搾する方法が挙げられる。本発明ではこれに限られず公知の圧搾方法を適用できる。圧搾の程度は、特に限定はされないが、圧搾後の脱脂米糠中の脂質が5~15重量%、好ましくは5~14重量%、より好ましくは5~12重量%となる程度である。
【0014】
また、米糠油は、市販品を用いることもできる。市販品としては、例えばつや姫こめ油、こめ油白絞油、コメーユ(以上、三和油脂)、ライストリエノール、ライステロールエステル、米サラダ油(以上、築野食品)、コメヌカ油、オリザオイル(以上、オリザ油化)などが挙げられる。
【0015】
また、米糠油にはγ-オリザノールが含まれることが知られている。通常、米糠油には0.1~3質量%程度のγ-オリザノールが含まれている。特に制限はされないが、本発明に用いる米糠油にはγ-オリザノールが0.1~3質量%程度含まれることが好ましく、0.2~2.5質量%程度含まれることがより好ましく、0.3~2質量%程度含まれることがさらに好ましく、0.5~1.5質量%程度含まれることがよりさらに好ましい。
【0016】
また、上記の通り、本発明の外用組成物には、米糠油が0.002~0.008質量%含有される。当該米糠油含有量範囲の上限又は下限は、0.0025、0.003、0.0035、0.004、0.0045、0.005、0.0055、0.006、0.0065、0.007、又は0.0075質量%であってもよい。例えば米糠油含有量範囲は、0.0025~0.0075質量%が好ましく、0.003~0.007質量%がより好ましく、0.0035~0.0065質量%がさらに好ましい。
【0017】
また、本発明の外用組成物が液状(粘性を有するもの(例えばジェル状またはクリーム状のもも)も含む)である場合には、米糠油を25~75μg/ml含有することが好ましく、30~70μg/ml含有することがより好ましい。
【0018】
本発明の外用組成物は、皮膚光老化の中でも、特に光による皮膚のシワ又はたるみに効果的であり、これらの抑制のために好ましく用いることができる。これは、本発明の外用組成物が、皮膚における光によるマトリックスメタロプロテアーゼ-1(MMP-1)産生促進を抑制する効果を好ましく有するからである。光の中でも、紫外線(特にUVA)の照射による皮膚光老化(特に、光による皮膚のシワ又はたるみ)を抑制するために好ましく用いることができる。
【0019】
例えば、米糠油をそのまま本発明の外用組成物として用いることができるし、また、他成分を米糠油に加えて本発明の外用組成物として用いることができる。
【0020】
他成分として、例えば、高分子、蛋白質及びその加水分解物、ムコ多糖類などを配合することができる。高分子としては、例えばカルボキシビニルポリマー、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウムなどが例示できるが、これらに限定されるものでもない。カルボキシビニルポリマー、キサンタンガムが好ましく、特にカルボキシビニルポリマーが好ましい。これら高分子等は1種または2種以上を組み合わせて使用できる。高分子の配合量は特に限定しないが、0.001~20%、好ましくは 0.005~10%、特に好ましくは 0.01~5%である。蛋白質及びその加水分解物としては、コラーゲン、エラスチン、ケラチン、カゼイン、それらの加水分解物、加水分解物の塩、加水分解物のエステル、あるいは酵素処理されたものが挙げられるが、特にコラーゲンが好ましい。蛋白質及びその加水分解物の配合量は特に限定しないが、0.001~5%、好ましくは0.01~1%である。ムコ多糖としては、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、デルマタン硫酸、ヘパラン硫酸、ムコイチン硫酸、ヘパリンとその誘導体、及びそれらの塩類などが挙げられるが、特にコンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸及びこれらのナトリウム塩が好ましい。ムコ多糖の配合量は特に限定しないが、 0.0005~5%、好ましくは0.001~1%である。
【0021】
また、この他にも、本発明の効果を損なわない範囲において、通常外用組成物に用いられる公知の成分を配合することもできる。このような成分としては、保湿剤、水溶性高分子、油成分、着色剤、酸化防止剤、金属封鎖剤、防腐剤、pH調整剤、清涼剤、香料、紫外線吸収・散乱剤、抗酸化剤、薬効成分などが例示できる。
【0022】
本発明の外用組成物は、特に皮膚に適用する組成物として用いることが好ましい。外用組成物としては、例えば医薬組成物、医薬部外品組成物、及び化粧品組成物が例示される。剤形としては、特に限定するものではないが、フェイスパック、ペースト、軟膏、クリーム、ジェル、ローション、乳液、美容液、化粧水、スプレー剤などが挙げられる。
【0023】
本発明の外用組成物の適用対象は特に限定されないが、好ましくは抗皮膚光老化(特に光によるシワ又はたるみの抑制)を望むヒトである。
【0024】
なお、本明細書において「含む」とは、「本質的にからなる」と、「からなる」をも包含する(The term "comprising" includes "consisting essentially of” and "consisting of.")。
【実施例】
【0025】
以下、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の例に限定されるものではない。なお、以下、特に断らない限り、組成物における含有成分割合を示す%は質量%(w/w%)を表す。CO2濃度の%はv/v%である。また、細胞、培地及び培地関連試薬については、全て市販品を購入して用いた(倉敷紡績株式会社又はシグマアルドリッチ)。
【0026】
紫外線照射による活性酸素産生に対する効果の検討
米糠油について、線維芽細胞に紫外線(UVA)を照射した際に発生する活性酸素種(以下ROS)の産生に対する効果を評価した。
【0027】
<使用材料>
・53歳女性由来ヒト皮膚線維芽細胞(以下HDF53)
・HDF53用培地:Minimum Essential Medium Eagle (Sigma Aldrich, M4655)に10%FBSおよび1%抗生物質(GibcoTM, 15240062)を添加して調製した。以下MEM(+)ともいう。
・PBS (Sigma Aldrich, D8537)
・HBSS (Sigma Aldrich, H8264)
・DCFH-DA(Sigma Aldrich)
なお、DCFH-DAプローブは細胞内に散在して、細胞内エステラーゼにより脱アセチル化し、非蛍光型 2’,7’-Dichlorodihydrofluorescein (DCFH)になり、更にROSにより素早く酸化され、強く蛍光する2’,7’-Dichlorodihydrofluorescein (DCF)に変化する。これにより、細胞内のROS量を蛍光強度により測定することができる。
・Premix WST-1 Cell Proliferation Assay System (TaKaRa Bio, MK400)(以下WST-1)
なお、WST-1は、細胞生存能力を発色測定により定量するための試薬である。生細胞中のミトコンドリア脱水素酵素によるテトラゾリウム塩(WST-1)のホルマザン色素への変換を基本としており、生細胞数が増加すれば、サンプル中のミトコンドリア脱水素酵素の全体の活性が増加することになり、この酵素活性の増加が、ホルマザン色素の生成増加を導くため、ホルマザン色素と培地中の代謝活性のある細胞の数とは直線的な相関を示すことになる。
【0028】
<実験操作>
48穴ウェルプレートにHDF53を1.2×104cells/wellで播種し、コンフルエントになるまで37℃ CO25%インキュベーター内で3日間培養(使用培地:MEM(+))した。3日後、MEM(+)を除去してHBSSで1回洗浄し、新しいHBSSを各ウェルに200μlずつ添加した。上記のHDF53に、UVAを4000mJ/cm2 照射した。HBSSを吸引除去し、新しいPBSで1回洗浄した。米糠油(三和油脂製「つや姫こめ油」又は築野食品製)を50μg/ml又は100μg/ml含むMEM(+)を各ウェルに500μlずつ添加した。各ウェルに 5mM DCFH-DA (Di(Acetoxymethyl Ester) (6-Carboxy-2’,7’-Dichlorodihydrofluorescein Diacetate))を3μlずつ添加した(最終濃度30μM)。37℃、CO25%インキュベーター内で30分間培養した。培地を吸引除去し、PBSで1回洗浄した。新しいPBSを各ウェルに300μlずつ添加した。GEMINI XPS(Molecular Devices)で、Ex 488nm/Em 530nmの波長で蛍光強度を測定した。その後、PBSを吸引除去して10倍希釈したWST-1を含むMEM(+)を各ウェルに500μlずつ添加し、37℃、CO25%インキュベーター内で2時間培養した。xMark Microplate Spectrophotometer(BIO RAD)で450nmの吸光度を測定した。当該実験は、N=3で実施した。また、米糠油を含まないMEM(+)をコントロールとした。
【0029】
測定した蛍光強度を
図1に示す。ただし、
図1に示す蛍光強度は、GEMINI XPSで測定した蛍光強度を、細胞生存率で割り補正した値である。細胞生存率は、WST-1を用いた検討において、xMarkで測定した各ウェルの吸光度を、UVA未照射コントロールの吸光度の平均値で割ることにより、算出した。なお、UVA未照射コントロールでの生存率を「1」とした。なお、
図1において、+はp<0.1、*はp<0.05(いずれもT-testによる)を示す。
【0030】
紫外線照射によるMMP-1産生に対する効果の検討
米糠油について、線維芽細胞に紫外線(UVA)を照射した際のMMP-1の産生に対する効果を評価した。
【0031】
<使用材料>
・53歳女性由来ヒト皮膚線維芽細胞(以下HDF53)
・HDF53用培地:Minimum Essential Medium Eagle (Sigma Aldrich, M4655)に10%FBSおよび1%抗生物質(GibcoTM, 15240062)を添加して調製した。以下MEM(+)ともいう。
・PBS (Sigma Aldrich, D8537)
・HBSS (Sigma Aldrich, H8264)
・Premix WST-1 Cell Proliferation Assay System (TaKaRa Bio, MK400)(以下WST-1)
・Human Total MMP-1 (R&D systems, DY901B)*MMP-1検出用ELISAキット
・DuoSet Ancillary Reagent Kit2 (R&D systems, DY008)
【0032】
<実験操作>
48穴ウェルプレートにHDF53を1.2×104cells/wellで播種し、コンフルエントになるまで37℃ CO25%インキュベーター内で3日間培養(使用培地:MEM(+))した。3日後、MEM(+)を除去してHBSSで1回洗浄し、新しいHBSSを各ウェルに200μlずつ添加した。上記のHDF53に、UVAを8000mJ/cm2 照射した。HBSSを吸引除去し、PBSで1回洗浄した。米糠油(三和油脂製「つや姫こめ油」又は築野食品製)を50μg/ml又は100μg/ml含むMEM(+)を各ウェルに500μlずつ添加し、37℃ CO25%インキュベーター内で72時間培養した。72時間後、培地を回収して12000rpmで1分間遠心分離し、上清を回収して使用するまで-30℃で保管した。また、各ウェルの残った培地を吸引除去し、新しいPBSで1回洗浄した。10倍希釈したWST-1を含むMEM(+)を、各ウェルに300μlずつ添加し、37℃ CO25%インキュベーター内で2時間培養した。培養後、xMark Microplate Spectrophotometer(BIO RAD)で450nmの吸光度を測定した。また、遠心分離して得た培地上清中のMMP-1の濃度測定を、ELISAキット付属のプロトコールに従って行った。ELISAの測定において、吸光度はxMark Microplate Spectrophotometer(BIO RAD)で450nmの吸光度を測定した。
【0033】
当該実験は、N=3で実施した。また、米糠油を含まないMEM(+)をコントロールとした。
【0034】
測定したMMP-1の濃度を
図2に示す。ただし、
図2に示す濃度は、ELISAの測定において、xMarkで測定した吸光度を、細胞生存率で割り補正した値である。細胞生存率は、WST-1を用いた検討において、xMarkで測定した各ウェルの吸光度を、UVA未照射コントロールの吸光度の平均値で割ることにより、算出した。なお、UVA未照射コントロールでの生存率を「1」とした。なお、
図2において、*はp<0.05、**はp<0.01(いずれもT-testによる)を示す。
【0035】
また、米糠油を50μg/ml又は100μg/ml含むMEM(+)を、200μg/ml含むMEM(+)に変更した検討の結果を
図3に示す。この検討は、24穴ウェルプレートにHDF53を1.46×10
4cells/wellで播種しておこなった。コンフルエントになるまで37℃ CO
25%インキュベーター内で3日間培養(使用培地:MEM(+))し、MEM(+)を除去してPBSで1回洗浄し、新しいPBSを各ウェルに300μlずつ添加した。上記のHDF53に、UVAを6000mJ/cm
2 照射した。PBSを吸引除去し、PBSで1回洗浄した。米糠油(三和油脂製「つや姫こめ油」又は築野食品製)を200μg/ml含むMEM(+)を各ウェルに1mlずつ添加し、37℃ CO
25%インキュベーター内で72時間培養した。72時間後、培地を回収して12000rpmで1分間遠心分離し、上清を回収して使用するまで-30℃で保管した。また、各ウェルの残った培地を吸引除去し、新しいPBSで1回洗浄した。10倍希釈したWST-1を含むMEM(+)を、各ウェルに1mlずつ添加し、37℃ CO
25%インキュベーター内で2時間培養した。その後は、米糠油を50μg/ml又は100μg/ml含むMEM(+)を用いた上記の検討と同様にして検討した。なお
図3において、+はP<0.1を示す。
【0036】
以上の結果から、米糠油を含有する組成物は、その含有量が増えるにつれ、光照射による線維芽細胞でのROS産生をより強く抑制することが出来る(
図1)ことがわかった。また、意外にも、光照射による線維芽細胞でのMMP-1産生については、米糠油含有量が50μg/ml程度であれば効果的に抑制することができる一方、米糠油の含有量が増えるにつれ当該抑制効果は落ちてしまうこと、さらには、200μg/ml程度以上含有される場合にはむしろ当該MMP-1産生を促進してしまうおそれがあること(
図2及び
図3)、がわかった。