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特許7377021熱処理装置、熱処理システム及び熱処理品の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-31
(45)【発行日】2023-11-09
(54)【発明の名称】熱処理装置、熱処理システム及び熱処理品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   F27B 5/14 20060101AFI20231101BHJP
   F27B 5/04 20060101ALI20231101BHJP
   F27D 7/06 20060101ALI20231101BHJP
   F27D 21/00 20060101ALI20231101BHJP
【FI】
F27B5/14
F27B5/04
F27D7/06 C
F27D21/00 A
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019150473
(22)【出願日】2019-08-20
(65)【公開番号】P2021032435
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-07-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000236436
【氏名又は名称】浜松ホトニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(72)【発明者】
【氏名】松本 聡
【審査官】國方 康伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-144455(JP,A)
【文献】特開2001-183065(JP,A)
【文献】特開2010-056543(JP,A)
【文献】特開2003-185812(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F27B 5/00- 7/42
F27D 7/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過部及び気体通過部が設けられたチャンバと、
前記チャンバ内に設けられ、第1位置において酸素ゲッタを支持し、前記第1位置とは異なる第2位置において対象物を含むユニットを支持する支持部と、
前記チャンバ外に設けられ、前記光透過部を通る第1光路に沿って前記酸素ゲッタに第1レーザ光を照射し、前記光透過部を通り且つ前記第1光路とは異なる第2光路に沿って前記ユニットに第2レーザ光を照射する光照射部と、を備える、熱処理装置。
【請求項2】
前記ユニットは、光吸収ターゲットを更に含み、
前記光照射部は、前記第2光路に沿って前記光吸収ターゲットに前記第2レーザ光を照射する、請求項1に記載の熱処理装置。
【請求項3】
前記対象物は、光吸収性を有し、
前記光照射部は、前記第2光路に沿って前記対象物に前記第2レーザ光を照射する、請求項1に記載の熱処理装置。
【請求項4】
前記光透過部は、前記第1光路が通る第1光透過窓と、前記第2光路が通る第2光透過窓と、を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の熱処理装置。
【請求項5】
前記第1光透過窓は、前記チャンバを構成する壁部のうち前記第1位置の上方の部分を除く部分に設けられている、請求項4に記載の熱処理装置。
【請求項6】
前記支持部は、前記酸素ゲッタを支持する第1支持台と、前記ユニットを支持する第2支持台と、を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の熱処理装置。
【請求項7】
前記チャンバ内の酸素濃度を測定する酸素濃度計を更に備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の熱処理装置。
【請求項8】
前記光照射部は、第1光照射条件で前記酸素ゲッタに前記第1レーザ光を照射し、前記第1光照射条件とは異なる第2光照射条件で前記ユニットに前記第2レーザ光を照射する、請求項1~7のいずれか一項に記載の熱処理装置。
【請求項9】
前記ユニットにおける前記第2レーザ光のスポット径は、前記酸素ゲッタにおける前記第1レーザ光のスポット径とは異なる、請求項8に記載の熱処理装置。
【請求項10】
前記ユニットにおける前記第2レーザ光のパワーは、前記酸素ゲッタにおける前記第1レーザ光のパワーとは異なる、請求項8又は9に記載の熱処理装置。
【請求項11】
前記光照射部は、前記酸素ゲッタに前記第1レーザ光を照射する第1光照射ヘッドと、前記ユニットに前記第2レーザ光を照射する第2光照射ヘッドと、を有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の熱処理装置。
【請求項12】
前記光照射部は、前記第1光路に沿って前記酸素ゲッタに前記第1レーザ光が照射され且つ前記第2光路に沿って前記ユニットに前記第2レーザ光が照射されるように駆動する光照射ヘッドを有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の熱処理装置。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の熱処理装置と、
前記気体通過部に接続された不活性ガス供給装置と、
前記気体通過部に接続された排気装置と、を備える、熱処理システム。
【請求項14】
光透過部及び気体通過部が設けられたチャンバ内において、第1位置に酸素ゲッタを配置し、前記第1位置とは異なる第2位置に対象物を含むユニットを配置する第1工程と、
前記第1工程の後に、前記気体通過部を介して前記チャンバ内に不活性ガスを充填する第2工程と、
前記第2工程の後に、前記光透過部を通る第1光路に沿って前記酸素ゲッタに第1レーザ光を照射し、前記チャンバ内の酸素濃度が所定値以下に低下した後に、又は、前記酸素ゲッタに対する前記第1レーザ光の照射を開始してから所定時間が経過した後に、前記光透過部を通り且つ前記第1光路とは異なる第2光路に沿って前記ユニットに第2レーザ光を照射し、熱処理が施された前記対象物を熱処理品として得る第3工程と、を備える、熱処理品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱処理装置、熱処理システム及び熱処理品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、対象物に対して部分的に熱処理を施すために、真空排気と不活性ガスの充填とを複数回繰り返したチャンバ内において(例えば、特許文献1参照)、レーザ光の照射によって対象物を部分的に加熱する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-144455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、上述したようなチャンバ内において、例えば2000℃というような高温の加熱温度で対象物に対して熱処理を施そうとした場合に、次のような課題が存在することを見出した。すなわち、上述したようなチャンバを用いても、対象物に対して熱処理を施すための加熱温度が高温になると、レーザ光が照射された物質が、目的の加熱温度よりもはるかに低い温度で、例えば酸化して昇華するという課題である。
【0005】
本発明は、加熱温度が高温になったとしても、対象物に対して適切に熱処理を施すことができる熱処理装置、熱処理システム及び熱処理品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の熱処理装置は、光透過部及び気体通過部が設けられたチャンバと、チャンバ内に設けられ、第1位置において酸素ゲッタを支持し、第1位置とは異なる第2位置において対象物を含むユニットを支持する支持部と、チャンバ外に設けられ、光透過部を通る第1光路に沿って酸素ゲッタに第1レーザ光を照射し、光透過部を通り且つ第1光路とは異なる第2光路に沿ってユニットに第2レーザ光を照射する光照射部と、を備える。
【0007】
この熱処理装置では、気体通過部を介してチャンバ内に不活性ガスを充填することで、チャンバ内の酸素濃度を一応のレベルにまで低下させることができる。更に、酸素ゲッタに第1レーザ光を照射することで、気体通過部を介した不活性ガスの充填だけでは到達することが困難なレベルにまで、チャンバ内の酸素濃度を低下させることができる。しかも、対象物を含むユニットが、酸素ゲッタとは異なる位置において支持され、第2レーザ光が、第1レーザ光とは異なる光路に沿って対象物を含むユニットに照射されるため、対象物を含むユニットに対する第2レーザ光の照射を適切に実施することができる。よって、この熱処理装置によれば、加熱温度が高温になったとしても、対象物に対して適切に熱処理を施すことができる。
【0008】
本発明の熱処理装置では、ユニットは、光吸収ターゲットを更に含み、光照射部は、第2光路に沿って光吸収ターゲットに第2レーザ光を照射してもよい。これにより、対象物が十分な光吸収性を有しない場合にも、光吸収ターゲットから対象物への熱の伝達によって、対象物に対して適切に熱処理を施すことができる。また、酸素ゲッタに第1レーザ光を照射することで、気体通過部を介した不活性ガスの充填だけでは到達することが困難なレベルにまで、チャンバ内の酸素濃度を低下させることができるので、例えば、目的の加熱温度よりもはるかに低い温度で光吸収ターゲットが酸化して昇華するというような事態を回避することができる。
【0009】
本発明の熱処理装置では、対象物は、光吸収性を有し、光照射部は、第2光路に沿って対象物に第2レーザ光を照射してもよい。これにより、対象物を直接加熱し、対象物に対して適切に熱処理を施すことができる。また、酸素ゲッタに第1レーザ光を照射することで、気体通過部を介した不活性ガスの充填だけでは到達することが困難なレベルにまで、チャンバ内の酸素濃度を低下させることができるので、例えば、目的の加熱温度よりもはるかに低い温度で対象物が酸化して昇華するというような事態を回避することができる。
【0010】
本発明の熱処理装置では、光透過部は、第1光路が通る第1光透過窓と、第2光路が通る第2光透過窓と、を有してもよい。これにより、酸素ゲッタに第1レーザ光を照射するための第1光路及びユニットに第2レーザ光を照射するための第2光路のそれぞれついて、光路の設定の適切化を図ることができる。
【0011】
本発明の熱処理装置では、第1光透過窓は、チャンバを構成する壁部のうち第1位置の上方の部分を除く部分に設けられていてもよい。これにより、例えば、酸素ゲッタが酸化して昇華したとしても、酸素ゲッタの酸化物が第1光透過窓に堆積して第1レーザ光の照射を阻害するのを防止することができる。酸素ゲッタが酸化して昇華する場合には、酸素ゲッタの酸化物が第1位置の上方の部分に堆積し易いからである。
【0012】
本発明の熱処理装置では、支持部は、酸素ゲッタを支持する第1支持台と、ユニットを支持する第2支持台と、を有してもよい。これにより、酸素ゲッタと対象物を含むユニットとの間で一方から他方に影響が及ぶのを防止することができる。
【0013】
本発明の熱処理装置は、チャンバ内の酸素濃度を測定する酸素濃度計を更に備えてもよい。これにより、チャンバ内の酸素濃度を確認しながら、気体通過部を介したチャンバ内への不活性ガスの充填及び酸素ゲッタに対する第1レーザ光の照射を実施することができる。
【0014】
本発明の熱処理装置では、光照射部は、第1光照射条件で酸素ゲッタに第1レーザ光を照射し、第1光照射条件とは異なる第2光照射条件でユニットに第2レーザ光を照射してもよい。これにより、酸素ゲッタに対する第1レーザ光の照射及び対象物を含むユニットに対する第2レーザ光の照射をそれぞれ適切に実施することができる。
【0015】
本発明の熱処理装置では、ユニットにおける第2レーザ光のスポット径は、酸素ゲッタにおける第1レーザ光のスポット径とは異なってもよい。これにより、酸素ゲッタに対する第1レーザ光の照射及び対象物を含むユニットに対する第2レーザ光の照射をそれぞれ適切に実施することができる。
【0016】
本発明の熱処理装置では、ユニットにおける第2レーザ光のパワーは、酸素ゲッタにおける第1レーザ光のパワーとは異なってもよい。これにより、酸素ゲッタに対する第1レーザ光の照射及び対象物を含むユニットに対する第2レーザ光の照射をそれぞれ適切に実施することができる。
【0017】
本発明の熱処理装置では、光照射部は、酸素ゲッタに第1レーザ光を照射する第1光照射ヘッドと、ユニットに第2レーザ光を照射する第2光照射ヘッドと、を有してもよい。これにより、第1光照射ヘッド及び第2光照射ヘッドのそれぞれの構造の単純化を図ることができる。
【0018】
本発明の熱処理装置では、光照射部は、第1光路に沿って酸素ゲッタに第1レーザ光が照射され且つ第2光路に沿ってユニットに第2レーザ光が照射されるように駆動する光照射ヘッドを有してもよい。これにより、光照射ヘッドの個数の増加を防止することができる。
【0019】
本発明の熱処理システムは、上記熱処理装置と、気体通過部に接続された不活性ガス供給装置と、気体通過部に接続された排気装置と、を備える。
【0020】
この熱処理システムによれば、上述した熱処理装置と同様の理由により、加熱温度が高温になったとしても、対象物に対して適切に熱処理を施すことができる。
【0021】
本発明の熱処理品の製造方法は、光透過部及び気体通過部が設けられたチャンバ内において、第1位置に酸素ゲッタを配置し、第1位置とは異なる第2位置に対象物を含むユニットを配置する第1工程と、第1工程の後に、気体通過部を介してチャンバ内に不活性ガスを充填する第2工程と、第2工程の後に、光透過部を通る第1光路に沿って酸素ゲッタに第1レーザ光を照射し、チャンバ内の酸素濃度が所定値以下に低下した後に、又は、酸素ゲッタに対する第1レーザ光の照射を開始してから所定時間が経過した後に、光透過部を通り且つ第1光路とは異なる第2光路に沿ってユニットに第2レーザ光を照射し、熱処理が施された対象物を熱処理品として得る第3工程と、を備える。
【0022】
この熱処理品の製造方法によれば、上述した熱処理装置と同様の理由により、加熱温度が高温になったとしても、対象物に対して適切に熱処理を施すことができるので、高品質な熱処理品を得ることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、加熱温度が高温になったとしても、対象物に対して適切に熱処理を施すことができる熱処理装置、熱処理システム及び熱処理品の製造方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】第1実施形態の熱処理システムの構成図である。
図2図1に示される熱処理システムにおいて実施される熱処理品の製造方法を示すフローチャートである。
図3】第2実施形態の熱処理システムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
[第1実施形態]
【0026】
図1に示されるように、熱処理装置1Aは、チャンバ2を備えている。チャンバ2は、壁部20によって構成されている。第1実施形態では、壁部20は、底壁21、天壁22及び側壁23を有している。チャンバ2には、第1光透過窓(光透過部)3、第2光透過窓(光透過部)4及び気体通過部5が設けられている。気体通過部5は、外部配管の接続が可能な気体通過ポートである。第1実施形態では、第1光透過窓3及び気体通過部5は、側壁23に設けられており、第2光透過窓4は、天壁22に設けられている。
【0027】
チャンバ2内には、第1支持台(支持部)6及び第2支持台(支持部)7が設けられている。第1実施形態では、第1支持台6及び第2支持台7は、底壁21上に配置されている。第1支持台6は、第1位置A1において、酸素ゲッタGを支持する。第2支持台7は、第1位置A1とは異なる第2位置A2において、対象物S及び光吸収ターゲットTを含むユニットUを支持する。第1実施形態では、光吸収ターゲットTは、熱処理の対象となる対象物S上に配置されており、熱処理の対象となる対象物Sと接触している。
【0028】
酸素ゲッタGは、後述する第1レーザ光L1の照射によって酸化することで酸素を捕獲する部材である。酸素ゲッタGの材料は、昇華温度及び融点が第1レーザ光L1の照射による加熱温度よりも高い材料であって、酸化し易い材料(易酸化物)であることが好ましい。酸素ゲッタGの材料は、800℃未満の温度で酸化反応が始まる材料であることが好ましいが、800℃以上の温度で酸化反応が始まる材料であってもよい。酸素ゲッタGの材料は、例えば、SiN、Si、W、Mo等である。光吸収ターゲットTは、後述する第2レーザ光L2に対して光吸収性を有する部材である。光吸収ターゲットTの材料は、例えば、C、W、Mo等である。
【0029】
チャンバ2外には、第1光照射ヘッド(光照射部)8及び第2光照射ヘッド(光照射部)9が設けられている。第1実施形態では、第1光照射ヘッド8は、第1光透過窓3と対向するようにチャンバ2外に配置されており、第2光照射ヘッド9は、第2光透過窓4と対向するようにチャンバ2外に配置されている。第1光照射ヘッド8及び第2光照射ヘッド9は、それぞれ、レーザ発振器(図示省略)と光学的に接続されている。なお、第1光照射ヘッド8が対向する第1光透過窓3は、チャンバ2を構成する壁部20のうち第1位置A1の上方(鉛直方向における上方)の部分を除く部分に設けられている。第1実施形態では、上述したように、第1光透過窓3は、壁部20のうちの側壁23に設けられている。
【0030】
第1光照射ヘッド8は、第1支持台6上に配置された酸素ゲッタGに、第1光路P1に沿って第1レーザ光L1を照射する。第1光路P1は、第1光透過窓3を通る光路である。第2光照射ヘッド9は、第2支持台7上に配置されたユニットUの光吸収ターゲットTに、第2光路P2に沿って第2レーザ光L2を照射する。第2光路P2は、第2光透過窓4を通り且つ第1光路P1とは異なる光路である。第1実施形態では、第1光照射ヘッド8は、第1光路P1に沿って酸素ゲッタGに第1レーザ光L1を集光し、第2光照射ヘッド9は、第2光路P2に沿って光吸収ターゲットTに第2レーザ光L2を集光する。なお、第2光路P2が第1光路P1と異なるとは、第2光路P2が第1光路P1と一致していないことを意味し、例えば、第2光路P2が第1光路P1から離れている場合、第2光路P2が第1光路P1と交差する場合等を含む。
【0031】
第1光照射ヘッド8は、第1光照射条件で酸素ゲッタGに第1レーザ光L1を照射する。第2光照射ヘッド9は、第1光照射条件とは異なる第2光照射条件で光吸収ターゲットTに第2レーザ光L2を照射する。具体的には、光吸収ターゲットTにおける第2レーザ光L2のスポット径は、酸素ゲッタGにおける第1レーザ光L1のスポット径とは異なっている。また、光吸収ターゲットTにおける第2レーザ光L2のパワーは、酸素ゲッタGにおける第1レーザ光L1のパワーとは異なっている。なお、第1レーザ光L1のパワーは、第1光照射ヘッド8における第1レーザ光L1のパワーであり、第2レーザ光L2のパワーは、第2光照射ヘッド9における第2レーザ光L2のパワーである。
【0032】
一例として、酸素ゲッタGの材料がSiNである場合において、酸素ゲッタGを1200℃以上に加熱するときには、波長940nm、スポット径0.8mm、パワー30Wという第1光照射条件で、酸素ゲッタGに第1レーザ光L1を照射する。また、光吸収ターゲットTの材料が焼結カーボンである場合において、光吸収ターゲットTを2000℃に加熱するときには、波長940nm、スポット径3.2mm、パワー120Wという第2光照射条件で、光吸収ターゲットTに第2レーザ光L2を照射する。
【0033】
熱処理装置1Aは、酸素濃度計10を備えている。酸素濃度計10は、チャンバ2内の酸素濃度を測定する。第1実施形態では、チャンバ2内に開口するように側壁23に接続された配管11に、酸素濃度計10が接続されている。配管11の途中には、電磁弁12が設けられている。
【0034】
熱処理装置1Aは、不活性ガス供給装置110及び排気装置120と伴に、熱処理システム100Aを構成している。不活性ガス供給装置110は、気体通過部5に接続されており、N等の不活性ガスをチャンバ2内に供給する。排気装置120は、気体通過部5に接続されており、チャンバ2内のガスを排気する。排気装置120は、例えば、ロータリーポンプである。第1実施形態では、不活性ガス供給装置110は、配管101、電磁弁102及び配管103を介して気体通過部5に接続されており、排気装置120は、配管101、電磁弁102及び配管104を介して気体通過部5に接続されている。
【0035】
以上のように構成された熱処理装置1Aにおいて実施される熱処理品の製造方法について、図2を参照して説明する。まず、第1支持台6上に酸素ゲッタGを配置し、第2支持台7上にユニットUを配置する(S01)。ユニットUの配置においては、第2支持台7上に対象物Sを配置し、対象物S上に光吸収ターゲットTを配置する。S01の工程では、酸素ゲッタGの配置及びユニットUの配置の順序について前後は問われない。以上のS01の工程が「チャンバ2内において、第1位置A1に酸素ゲッタGを配置し、第2位置A2にユニットUを配置する第1工程」に相当する。
【0036】
続いて、電磁弁102を動作させて、排気装置120とチャンバ2内の空間との間でガスの流通が可能な状態とし、その状態で排気装置120を動作させて、チャンバ2内の空間に対して真空引きを実施する(S02)。続いて、電磁弁102を動作させて、不活性ガス供給装置110とチャンバ2内の空間との間でガスの流通が可能な状態とし、その状態で不活性ガス供給装置110を動作させて、チャンバ2内に不活性ガスを注入する(S03)。不活性ガスの注入が終了したら、電磁弁102を動作させて、排気装置120及び不活性ガス供給装置110のそれぞれとチャンバ2内の空間との間でガスの流通が不可能な状態とする。
【0037】
続いて、電磁弁12を動作させて、酸素濃度計10とチャンバ2内の空間との間でガスの流通が可能な状態とし、その状態で酸素濃度計10を用いて、チャンバ2内の酸素濃度が第1基準値以下であるか否かを確認する(S04)。第1基準値は、例えば、20ppmである。酸素濃度の確認の結果、チャンバ2内の酸素濃度が第1基準値以下でなければ、電磁弁12を動作させて、酸素濃度計10とチャンバ2内の空間との間でガスの流通が不可能な状態とし、上述したS02,S03の工程を再度実施する。酸素濃度の確認の結果、チャンバ2内の酸素濃度が第1基準値以下であれば、次工程に移行する。以上のS02~S04の工程が「第1工程の後に、気体通過部5を介してチャンバ2内に不活性ガスを充填する第2工程」に相当する。
【0038】
続いて、第1光照射ヘッド8を動作させて、酸素ゲッタGに対する第1レーザ光L1の照射を開始する(S05)。続いて、酸素濃度計10を用いて、チャンバ2内の酸素濃度が第2基準値以下であるか否かを確認する(S06)。第2基準値は、例えば、1ppbである。そして、チャンバ2内の酸素濃度が第2基準値以下に低下したら、酸素ゲッタGに対する第1レーザ光L1の照射を終了する(S07)。第1レーザ光L1の照射時間は、例えば、20分以上である。
【0039】
続いて、光吸収ターゲットTに対する第2レーザ光L2の照射を開始する(S08)。このとき、タイマーを用いて、第2レーザ光L2の照射を開始してから所定の加熱時間が経過したか否かを確認し(S09)、所定の加熱時間が経過したら、光吸収ターゲットTに対する第2レーザ光L2の照射を終了する(S10)。所定の加熱時間(すなわち、第2レーザ光L2の照射時間)は、例えば、6時間である。以上のS05~S10の工程が「第2工程の後に、第1光路P1に沿って酸素ゲッタGに第1レーザ光L1を照射し、チャンバ2内の酸素濃度が所定値以下に低下した後に、第2光路P2に沿って光吸収ターゲットTに第2レーザ光L2を照射し、熱処理が施された対象物Sを熱処理品として得る第3工程」に相当する。
【0040】
以上説明したように、熱処理装置1Aでは、気体通過部5を介してチャンバ2内に不活性ガスを充填することで、チャンバ2内の酸素濃度を一応のレベル(例えば、20ppm以下)にまで低下させることができる。更に、酸素ゲッタGに第1レーザ光L1を照射することで、気体通過部5を介した不活性ガスの充填だけでは到達することが困難なレベル(例えば、1ppb以下)にまで、チャンバ2内の酸素濃度を低下させることができる。しかも、対象物Sを含むユニットUが、酸素ゲッタGとは異なる位置において支持され、第2レーザ光L2が、第1レーザ光L1とは異なる光路に沿って対象物Sを含むユニットUに照射されるため、対象物Sを含むユニットUに対する第2レーザ光L2の照射を適切に実施することができる。よって、熱処理装置1A及びそれを備える熱処理システム100Aによれば、加熱温度が高温になったとしても、対象物Sに対して適切に熱処理を施すことができる。更に、上述した熱処理品の製造方法によれば、加熱温度が高温になったとしても、対象物Sに対して適切に熱処理を施すことができるので、高品質な熱処理品を得ることができる。
【0041】
特に、上述した熱処理品の製造方法では、酸素ゲッタGに対する第1レーザ光L1の照射を終了した後に、チャンバ2内の空間を維持した状態で(例えば、更なる真空引き及び不活性ガスの注入を実施せずに)、光吸収ターゲットTに対する第2レーザ光L2の照射を開始する。これにより、例えば、目的の加熱温度よりもはるかに低い温度で光吸収ターゲットTが酸化して昇華するというような事態を回避することができる。また、酸素ゲッタGに対する第1レーザ光L1の照射及び光吸収ターゲットTに対する第2レーザ光L2の照射を大気圧環境下で実施することができるので、例えば、目的の加熱温度よりもはるかに低い温度で酸素ゲッタG及び光吸収ターゲットTが酸化して昇華するというような事態を回避することができる。
【0042】
また、熱処理装置1Aでは、第2光照射ヘッド9が、第2光路P2に沿ってユニットUの光吸収ターゲットTに第2レーザ光L2を照射する。これにより、対象物Sが十分な光吸収性を有しない場合にも、光吸収ターゲットTから対象物Sへの熱の伝達によって、対象物Sに対して適切に熱処理を施すことができる。更に、光吸収ターゲットTから対象物Sに熱を伝達させて対象物Sに対して熱処理を施すことで、対象物Sが光吸収性を有するか否かにかかわらず、当該熱処理によって対象物Sに生じる温度勾配を緩和することができる。また、酸素ゲッタGに第1レーザ光L1を照射することで、気体通過部5を介した不活性ガスの充填だけでは到達することが困難なレベルにまで、チャンバ2内の酸素濃度を低下させることができるので、例えば、目的の加熱温度よりもはるかに低い温度で光吸収ターゲットTが酸化して昇華するというような事態を回避することができる。
【0043】
また、熱処理装置1Aでは、第1光路P1が通る第1光透過窓3及び第2光路P2が通る第2光透過窓4が別々にチャンバ2に設けられている。これにより、酸素ゲッタGに第1レーザ光L1を照射するための第1光路P1及びユニットUに第2レーザ光L2を照射するための第2光路P2のそれぞれついて、光路の設定の適切化を図ることができる。
【0044】
また、熱処理装置1Aでは、第1光透過窓3が、チャンバ2を構成する壁部20のうち第1位置A1の上方の部分を除く部分に設けられている。これにより、例えば、酸素ゲッタGが酸化して昇華したとしても、酸素ゲッタGの酸化物が第1光透過窓3に堆積して第1レーザ光L1の照射を阻害するのを防止することができる。酸素ゲッタGが酸化して昇華する場合には、酸素ゲッタGの酸化物が第1位置A1の上方の部分に堆積し易いからである。
【0045】
また、熱処理装置1Aでは、酸素ゲッタGを支持する第1支持台6及びユニットUを支持する第2支持台7が別々にチャンバ2内に設けられている。これにより、酸素ゲッタGとユニットUとの間で一方から他方に影響が及ぶのを防止することができる。
【0046】
また、熱処理装置1Aでは、チャンバ2内の酸素濃度が酸素濃度計10によって測定される。これにより、チャンバ2内の酸素濃度を確認しながら、気体通過部5を介したチャンバ2内への不活性ガスの充填及び酸素ゲッタGに対する第1レーザ光L1の照射を実施することができる。
【0047】
また、熱処理装置1Aでは、第1光照射ヘッド8が、第1光照射条件で酸素ゲッタGに第1レーザ光L1を照射し、第2光照射ヘッド9が、第1光照射条件とは異なる第2光照射条件でユニットUの光吸収ターゲットTに第2レーザ光L2を照射する。これにより、酸素ゲッタGに対する第1レーザ光L1の照射及び光吸収ターゲットTに対する第2レーザ光L2の照射をそれぞれ適切に実施することができる。
【0048】
また、熱処理装置1Aでは、光吸収ターゲットTにおける第2レーザ光L2のスポット径が、酸素ゲッタGにおける第1レーザ光L1のスポット径とは異なっている。これにより、酸素ゲッタGに対する第1レーザ光L1の照射及び光吸収ターゲットTに対する第2レーザ光L2の照射をそれぞれ適切に実施することができる。
【0049】
また、熱処理装置1Aでは、光吸収ターゲットTにおける第2レーザ光L2のパワーが、酸素ゲッタGにおける第1レーザ光L1のパワーとは異なっている。これにより、例えば、酸素ゲッタGの活性に必要な温度と光吸収ターゲットTの到達温度との差、酸素ゲッタGの光吸収率と光吸収ターゲットTの光吸収率との差、酸素ゲッタGの熱伝導率と光吸収ターゲットTの熱伝導率との差等があっても、酸素ゲッタGに対する第1レーザ光L1の照射及び光吸収ターゲットTに対する第2レーザ光L2の照射をそれぞれ適切に実施することができる。
【0050】
また、熱処理装置1Aでは、第1光照射ヘッド8及び第2光照射ヘッド9が別々にチャンバ2外に設けられている。これにより、第1光照射ヘッド8及び第2光照射ヘッド9のそれぞれの構造の単純化を図ることができる。また、第1光照射ヘッド8及び第2光照射ヘッド9をチャンバ2外に設けることで、チャンバ2内に対して第1光照射ヘッド8及び第2光照射ヘッド9を出し入れすることが不要となり、チャンバ2内に酸素が混入するのを防止することができる。更に、第1光照射ヘッド8及び第2光照射ヘッド9の部品(スイッチ、ワイヤ等)がチャンバ2外に配置されるため、チャンバ2の構造が複雑化するのを防止しつつ、チャンバ2内に酸素が混入するのを防止することができる。
[第2実施形態]
【0051】
図3に示されるように、熱処理装置1B及びそれを備える熱処理システム100Bは、熱処理装置1Bにおいてチャンバ2に1つの光透過窓(光透過部)13が設けられており且つチャンバ2外に1つの光照射ヘッド(光照射部)14が設けられている点で、上述した熱処理装置1A及びそれを備える熱処理システム100Aと相違している。
【0052】
熱処理装置1Bにおいて、光透過窓13は、チャンバ2を構成する壁部20の天壁22に設けられている。光照射ヘッド14は、光透過窓13と対向するようにチャンバ2外に配置されており、レーザ発振器(図示省略)と光学的に接続されている。光照射ヘッド14は、第1光路P1に沿って酸素ゲッタGに第1レーザ光L1が照射され且つ第2光路P2に沿ってユニットUの光吸収ターゲットTに第2レーザ光L2が照射されるように駆動する。熱処理装置1Bにおいて、第1光路P1は、光透過窓13のうち第1位置A1の上方の部分を除く部分を通るように設定されている。
【0053】
光照射ヘッド14は、第1支持台6上に配置された酸素ゲッタGに、第1光路P1に沿って第1レーザ光L1を照射し、第2支持台7上に配置されたユニットUの光吸収ターゲットTに、第2光路P2に沿って第2レーザ光L2を照射する。第2実施形態では、光照射ヘッド14は、第1光路P1に沿って酸素ゲッタGに第1レーザ光L1を集光し、第2光路P2に沿って光吸収ターゲットTに第2レーザ光L2を集光する。
【0054】
光照射ヘッド14は、第1光照射条件で酸素ゲッタGに第1レーザ光L1を照射し、第1光照射条件とは異なる第2光照射条件で光吸収ターゲットTに第2レーザ光L2を照射する。具体的には、光吸収ターゲットTにおける第2レーザ光L2のスポット径は、酸素ゲッタGにおける第1レーザ光L1のスポット径とは異なっている。また、光吸収ターゲットTにおける第2レーザ光L2のパワーは、酸素ゲッタGにおける第1レーザ光L1のパワーとは異なっている。
【0055】
熱処理装置1Bでは、上述した熱処理装置1Aと同様に、気体通過部5を介してチャンバ2内に不活性ガスを充填することで、チャンバ2内の酸素濃度を一応のレベル(例えば、20ppm以下)にまで低下させることができる。更に、酸素ゲッタGに第1レーザ光L1を照射することで、気体通過部5を介した不活性ガスの充填だけでは到達することが困難なレベル(例えば、1ppb以下)にまで、チャンバ2内の酸素濃度を低下させることができる。しかも、対象物Sを含むユニットUが、酸素ゲッタGとは異なる位置において支持され、第2レーザ光L2が、第1レーザ光L1とは異なる光路に沿って対象物Sを含むユニットUに照射されるため、対象物Sを含むユニットUに対する第2レーザ光L2の照射を適切に実施することができる。よって、熱処理装置1B及びそれを備える熱処理システム100Bによれば、加熱温度が高温になったとしても、対象物Sに対して適切に熱処理を施すことができる。
【0056】
また、熱処理装置1Bでは、光照射ヘッド14が、第1光路P1に沿って酸素ゲッタGに第1レーザ光L1が照射され且つ第2光路P2に沿ってユニットUの光吸収ターゲットTに第2レーザ光L2が照射されるように駆動する。これにより、光照射ヘッドの個数の増加を防止することができる。
【0057】
また、熱処理装置1Bでは、第1光路P1が、光透過窓13のうち第1位置A1の上方の部分を除く部分を通るように設定されている。これにより、例えば、酸素ゲッタGが酸化して昇華したとしても、光透過窓13のうち第1光路P1が通る部分に酸素ゲッタGの酸化物が堆積して第1レーザ光L1の照射を阻害するのを防止することができる。酸素ゲッタGが酸化して昇華する場合には、酸素ゲッタGの酸化物が第1位置A1の上方の部分に堆積し易いからである。
[変形例]
【0058】
本発明は、上述した第1実施形態及び第2実施形態に限定されない。例えば、第2実施形態の熱処理装置1Bにおいて、光照射ヘッド14の代わりに、酸素ゲッタGに第1レーザ光L1を照射する光照射ヘッド及びユニットUに第2レーザ光L2を照射する光照射ヘッドが別々にチャンバ2外に設けられていてもよい。また、第2実施形態の熱処理装置1Bにおいて、光透過窓13の代わりに、第1光路P1が通る光透過窓及び第2光路P2が通る光透過窓が別々にチャンバ2に設けられていてもよい。また、第1実施形態の熱処理装置1A及び第2実施形態の熱処理装置1Bのそれぞれにおいて、1つの支持台がチャンバ2内に設けられ、当該1つの支持台が、第1位置A1において酸素ゲッタGを支持し、第2位置A2においてユニットUを支持してもよい。
【0059】
また、ユニットUは、対象物Sのみによって構成されていてもよい。その場合、第2支持台7等の支持部の一部に第2レーザ光L2を吸収させることで、当該支持部の一部から対象物Sに熱を伝達させて、対象物Sに対して熱処理を施してもよい。この点は、酸素ゲッタGについても同様であり、第1支持台6等の支持部の一部に第1レーザ光L1を吸収させることで、当該支持部の一部から酸素ゲッタGに熱を伝達させて、酸素ゲッタGを加熱してもよい。また、対象物Sが光吸収性を有する場合、ユニットUは、光吸収ターゲットTを含まなくてもよく、その場合、第2レーザ光L2は、第2光路P2に沿って対象物Sに照射されてもよい。これにより、対象物Sを直接加熱し、対象物Sに対して適切に熱処理を施すことができる。また、酸素ゲッタGに第1レーザ光L1を照射することで、気体通過部5を介した不活性ガスの充填だけでは到達することが困難なレベルにまで、チャンバ2内の酸素濃度を低下させることができるので、例えば、目的の加熱温度よりもはるかに低い温度で対象物Sが酸化して昇華するというような事態を回避することができる。
【0060】
また、上述した熱処理品の製造方法では、酸素ゲッタGに対する第1レーザ光L1の照射を開始して、チャンバ2内の酸素濃度が所定値(第2基準値)以下に低下した後に、酸素ゲッタGに対する第1レーザ光L1の照射を終了して、ユニットUに対する第2レーザ光L2の照射を開始したが(図2に示されるS05~S08の工程)、その工程が次のように実施されてもよい。例えば、酸素ゲッタGに対する第1レーザ光L1の照射を開始して、その開始から所定時間が経過した後に、酸素ゲッタGに対する第1レーザ光L1の照射を終了して、ユニットUに対する第2レーザ光L2の照射を開始してもよい。また、酸素ゲッタGに対する第1レーザ光L1の照射を開始して、チャンバ2内の酸素濃度が所定値以下に低下した後に、又は、酸素ゲッタGに対する第1レーザ光L1の照射を開始してから所定時間が経過した後に、酸素ゲッタGに対する第1レーザ光L1の照射を継続しながら、ユニットUに対する第2レーザ光L2の照射を開始してもよい。
【0061】
また、本発明の熱処理品の製造方法における第2工程及び第3工程(図2に示されるS05~S10の工程)は、例えば、各熱処理システム100A,100Bが備える制御部の制御下で実施されてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1A,1B…熱処理装置、2…チャンバ、3…第1光透過窓(光透過部)、4…第2光透過窓(光透過部)、5…気体通過部、6…第1支持台(支持部)、7…第2支持台(支持部)、8…第1光照射ヘッド(光照射部)、9…第2光照射ヘッド(光照射部)、10…酸素濃度計、13…光透過窓(光透過部)、14…光照射ヘッド(光照射部)、20…壁部、100A,100B…熱処理システム、110…不活性ガス供給装置、120…排気装置、A1…第1位置、A2…第2位置、L1…第1レーザ光、L2…第2レーザ光、P1…第1光路、P2…第2光路、G…酸素ゲッタ、S…対象物、T…光吸収ターゲット、U…ユニット。
図1
図2
図3