(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-31
(45)【発行日】2023-11-09
(54)【発明の名称】衝突判定装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20231101BHJP
【FI】
G08G1/16 C
(21)【出願番号】P 2019187637
(22)【出願日】2019-10-11
【審査請求日】2022-05-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【氏名又は名称】山田 強
(72)【発明者】
【氏名】小林 敦
(72)【発明者】
【氏名】福万 真澄
(72)【発明者】
【氏名】貴田 明宏
【審査官】小林 勝広
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-224033(JP,A)
【文献】特開2014-078107(JP,A)
【文献】特開2010-195177(JP,A)
【文献】特開2007-245953(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 1/00- 1/04、 1/08- 1/31、
21/00-21/13、21/34-21/38
B60W 10/00-10/30、30/00-60/00
G01C 21/00-21/36、23/00-25/00
G01S 7/00- 7/51、13/00-13/95、
17/00-17/95
G05D 1/00- 1/12
G08G 1/00-99/00
G09B 23/00-29/14
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の走行進路である自車進路(WA)と、自車両周辺の他車両の走行進路である他車進路(WB)とに基づいて、自車両と他車両との衝突可能性を判定する衝突判定装置(22)であって、
前記他車進路に平行であり、かつ他車両の幅方向において自車両の側にオフセットされたオフセット進路(WF)を設定するとともに、当該オフセット進路から自車両側に、自車両の進行方向前方において自車両が他車両に衝突することなく停止する目標停止位置(XA)を設定する停止位置設定部と、
前記目標停止位置において自車両の進行方向前面の右側端部(XAR)と左側端部(XAL)との
いずれか一方、又はそれら右側端部及び左側端部の間の中点から前記他車進路に垂直な直線を引き、その直線と前記他車進路との交点により、他車両と自車両とが衝突する危険性を判定する衝突距離を算出する衝突距離算出部と、
を備える衝突判定装置。
【請求項2】
前記衝突距離算出部は、前記目標停止位置において自車両の進行方向前面の右側端部(XAR)及び左側端部(XAL)のうち前記他車進路の延びる方向で他車両に近い側となる端部から前記他車進路に垂直な直線を引き、その直線と前記他車進路との交点により前記衝突距離を算出する請求項1に記載の衝突判定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衝突判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自車両周辺の物体を検知し、検知された物体と自車両との衝突を予測する装置が知られている(例えば、特許文献1)。この装置では、自車両の前端部に組み付けられたレーダセンサから送受信される超音波に基づいて、自車両周辺の物体を検知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既存の衝突判定装置は、自車両周辺の物体として自車両周辺の他車両を検知した場合、自車両の自車進路と他車両の他車進路とが交差することに基づいて、自車両と他車両との衝突可能性を判定する。この場合において、自車進路と他車進路との交点に基づいて他車両と自車両とが衝突する危険性を判定する衝突距離を算出する構成では、その衝突距離が、自車進路と他車進路との交差角度によって適正でない値になることが懸念される。
【0005】
例えば、自車両に対して正面側から他車両が進行してくることで自車進路と他車進路との交差角度が大きくなる場合には、自車進路と他車進路との交点に基づき算出される衝突距離が過度に小さくなることが懸念される。衝突距離が過度に小さくなると、自車両に対して他車両が遠くに存在しているにも関わらずブレーキ装置等の安全装置が不要に作動してしまうことが懸念される。仮に他車両が自車両に近づくまでに進路変更を行った場合、他車両が自車両に衝突することがないにも関わらず、安全装置が不要に作動されることが懸念される。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、衝突距離に基づく衝突判定を適正に実施できる衝突判定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する手段は、自車両の走行進路である自車進路と、自車両周辺の他車両の走行進路である他車進路とに基づいて、自車両と他車両との衝突可能性を判定する衝突判定装置であって、前記他車進路に平行であり、かつ他車両の幅方向において自車両の側にオフセットされたオフセット進路に基づいて、自車両の進行方向前方において自車両が他車両に衝突することなく停止する目標停止位置を設定する停止位置設定部と、前記目標停止位置から前記他車進路に垂直な直線を引き、その直線と前記他車進路との交点により、他車両と自車両とが衝突する危険性を判定する衝突距離を算出する衝突距離算出部と、を備える。
【0008】
自車両の自車進路と他車両の他車進路とに基づいて、自車両と他車両との衝突可能性を判定する場合において、自車進路と他車進路との交点に基づいて他車両と自車両とが衝突する危険性を判定する衝突距離を算出する構成では、その衝突距離が、自車進路と他車進路との交差角度によって適正でない値になることが懸念される。例えば、自車両に対して正面側から他車両が進行してくることで自車進路と他車進路との交差角度が大きくなる場合には、衝突距離が過度に小さくなることが懸念される。
【0009】
この点、上記構成では、他車進路に平行であり、かつ他車両の幅方向において自車両の側にオフセットされたオフセット進路に基づいて、自車両の進行方向前方において自車両が他車両に衝突することなく停止する目標停止位置が設定される。また、目標停止位置から他車進路に垂直な直線が引かれ、その直線と他車進路との交点により、他車両と自車両とが衝突する危険性を判定する衝突距離が算出される。この場合、自車両の目標停止位置を基準にすることにより、自車両と他車両との衝突を回避する上で適正な衝突距離を算出することができる。また、自車進路と他車進路との交差角度が大きくなったとしても、その影響を受けずに衝突距離を適正に算出することができる。その結果、衝突判定を適正に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図3】自車進路と他車進路との交差角度が鈍角である場合の衝突距離を示す図。
【
図4】自車進路と他車進路との交差角度が鋭角である場合の衝突距離を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施形態)
以下、本発明に係る制御装置を、車載の運転支援システム100に適用した実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0012】
図1に示すように、本実施形態に係る運転支援システム100は、カメラ11と、ソナー装置12と、画像処理ECU21と、車両ECU22と、安全装置30と、を備えている。
【0013】
カメラ11は、例えば単眼カメラである。カメラ11は、自車両の前端、後端、及び両側面にそれぞれ取り付けられており、自車両周辺を撮像する。カメラ11は、撮像した撮像画像の画像情報を画像処理ECU21に送信する。なお、本実施形態において、カメラ11が「撮像装置」に相当する。
【0014】
ソナー装置12は、例えば、超音波を送信波とする超音波センサ、又はミリ波帯の高周波信号を送信波とするレーダ装置である。ソナー装置12は、自車両の前端、後端、及び両側面にそれぞれ搭載されており、自車両周辺の物体までの距離を計測する。具体的には、所定周期で探査波を送信し、複数のアンテナにより反射波を受信する。この探査波の送信時刻と反射波の受信時刻とにより、物体上の複数の検出点を検出し、これにより当該物体までの距離を計測する。加えて、複数のアンテナが受信した反射波の位相差により、物体の方位を算出する。物体までの距離及び物体の方位が算出できれば、その物体の自車両に対する位置情報を特定することができる。
【0015】
また、ソナー装置12は、物体で反射された反射波の、ドップラー効果により変化した周波数により、物体の移動速度を算出する。これにより、自車両周辺に存在している物体が静止物であると検知される。具体的には、物体の移動速度と自車両の車速との和がゼロとなる場合に、物体が静止物であると検知される。ソナー装置12は、自車両周辺の静止物の検知情報を車両ECU22に送信する。なお、静止物の検知情報には、静止物の自車両に対する位置の情報が含まれる。
【0016】
ECU21,22は、CPU、ROM、RAM、フラッシュメモリ等からなる周知のマイクロコンピュータを備えた制御装置である。ECU21,22は、各種信号を取得し、取得した情報に基づき、各種制御を実施する。
【0017】
具体的には、画像処理ECU21は、カメラ11の撮像画像に基づいて、自車両周辺の移動物を検知する。具体的には、画像処理ECU21は、カメラ11の撮像画像に写る各物体の自車両に対する位置を算出する。また、画像処理ECU21は、この位置に基づいて、各物体の移動速度を算出する。画像処理ECU21は、カメラ11から所定周期毎に送信される画像情報に基づき、物体のオプティカルフローを算出し、算出したオプティカルフローに基づいて当該物体の移動速度を算出する。ここで、オプティカルフローとは、画像中において輝度変化した境界線を構築する点としての境界点を複数検出し、検出した複数の境界点を動きベクトルとして表したものである。これにより、自車両周辺に存在している移動物が検知される。
【0018】
そして、画像処理ECU21は、位置及び移動速度に基づいて、移動物の移動進路を算出する。つまり、画像処理ECU21は、カメラ11の撮像画像に基づいて移動物の移動進路を算出する。画像処理ECU21は、移動物の検知情報を車両ECU22に送信する。なお、検知情報には、検知された移動物の自車両に対する位置、移動速度、及び移動進路の情報が含まれる。
【0019】
車両ECU22は、画像処理ECU21から送信される自車両周辺の移動物の検知情報に基づいて、安全装置30を作動させる。安全装置30は、自車両と物体との衝突を回避又は衝突被害を軽減する装置であり、ブレーキ装置31と、シートベルト装置32と、警報装置33と、を備えている。なお、本実施形態において、車両ECU22が「衝突判定装置」に相当する。
【0020】
ブレーキ装置31は、車両ECU22から出力される衝突回避信号に基づいて、自車両を減速させる。シートベルト装置32は、車両ECU22から出力される衝突回避信号に基づいて、シートベルトを巻き取ってシートベルトを緊張させる。警報装置33は、車両ECU22から出力される衝突回避信号に基づいて、運転者等に衝突可能性を報知する装置であり、例えば自車の車室内に設置されたスピーカやブザー等の聴覚的に報知する装置、ディスプレイ等の視覚的に報知する装置が存在する。
【0021】
車両ECU22には、ヨーレートセンサ13、操舵角センサ14、車速センサ15が接続されている。ヨーレートセンサ13は、たとえば自車両の中央位置に設けられており、自車両の操舵量の変化速度に応じたヨーレート信号を車両ECU22に出力する。操舵角センサ14は、たとえば車両のステアリングロッドに取り付けられており、運転者の操作に伴うステアリングホイールの操舵角の変化に応じた操舵角信号を車両ECU22に出力する。車速センサ15は、たとえば自車両のホイール部分に取り付けられており、車輪の回転方向を検出するとともに、車輪速度に応じた車速信号を車両ECU22に出力する。車両ECU22は、ヨーレート信号、操舵角信号、及び車速信号に基づいて、自車両の走行進路である自車進路WAを算出する。
【0022】
ところで、自車両周辺の物体として自車両周辺の他車両を検知した場合、自車両の自車進路WAと他車両の移動進路(走行進路)である他車進路WBとに基づいて、自車両と他車両との衝突可能性を判定する。なお、他車進路WBは、他車両の幅方向の中心位置における中心進路であり、例えば画像処理ECU21において移動物の検知情報として算出される。この場合において、自車進路WAと他車進路WBとの交点に基づいて他車両と自車両とが衝突する危険性を判定する距離(衝突距離)DCを算出する構成では、その衝突距離DCが、自車進路WAと他車進路WBとの交差角度によって適正でない値になることが懸念される。
【0023】
例えば、自車両に対して正面側から他車両が進行してくることで自車進路WAと他車進路WBとの交差角度が大きくなる場合には、衝突距離DCが過度に小さくなることが懸念される。衝突距離DCが過度に小さくなると、自車両に対して他車両が遠くに存在しているにも関わらずブレーキ装置31等の安全装置30が不要に作動してしまうことが懸念される。仮に他車両が自車両に近づくまでに進路変更を行った場合、他車両が自車両に衝突することがないにも関わらず、安全装置30が不要に作動されることが懸念される。
【0024】
そこで、本実施形態では、距離算出処理を実施する。距離算出処理では、他車進路WBに平行であり、かつ他車両の幅方向において自車両の側にオフセットされたオフセット進路WFに基づいて目標停止位置XAを設定する。そして、目標停止位置XAから他車進路WBに垂直な直線が引かれ、その直線と他車進路WBとの交点により、他車両と自車両とが衝突する危険性を判定する衝突距離DCを算出するようにしている。
【0025】
図2に、本実施形態の距離算出処理のフローチャートを示す。車両ECU22は、自車両の走行時において、所定周期毎に距離算出処理を繰り返し実施する。
【0026】
距離算出処理を開始すると、まずステップS10において、自車両周辺に他車両が存在しているか否かを判定する。ステップS10では、画像処理ECU21から送信される移動物の検知情報に基づいて、自車両周辺に移動物が存在しているか否かを判定し、移動物が存在していると判定された場合に、予め記憶された物体に関するテンプレートとのパターンマッチングにより、その移動物が車両(他車両)であると判定する。ステップS10で否定判定すると、距離算出処理を終了する。
【0027】
ステップS10で肯定判定すると、ステップS12において、他車両の検知情報として、他車両の移動進路である他車進路WBを取得する。続くステップS14において、ステップS12で取得された他車進路WBと自車進路WAとが交差するか否かを判定する。
【0028】
自車進路WAと他車進路WBとが交差しない場合には、ステップS14で否定判定し、距離算出処理を終了する。一方、他車進路WBと自車進路WAとが交差する場合には、ステップS14で肯定判定し、ステップS16において、オフセット進路WFを設定する。ここで、オフセット進路WFは、他車進路WBに平行であり、かつ他車両の幅方向において自車両の側に所定幅だけオフセットされた進路である。オフセット進路WFは、他車両の側面進路であり、他車両の車幅の半分を所定幅として設定されている。所定幅は、例えば他車両がトラックなどの大型車であることも想定して定められているとよい。
【0029】
続くステップS18において、ステップS16で設定されたオフセット進路WFに基づいて目標停止位置XAを設定する。ここで、目標停止位置XAは、自車両の進行方向前方において自車両が他車両に衝突することなく停止する位置である。本実施形態では、当該位置に自車両が停止した場合に、自車両の進行方向前面が到達する位置を目標停止位置XAとしている。なお、本実施形態において、ステップS18の処理が「停止位置設定部」に相当する。
【0030】
具体的には、まず、自車進路WAに平行であり、かつ自車両の進行方向前方に対して右端を通る右端進路WRと、自車進路WAに平行であり、かつ自車両の左端を通る左端進路WLとを設定する。次に、自車両の進行方向前方において、右端進路WR及び左端進路WLのうち、先にオフセット進路WFと交差する進路と、オフセット進路WFとの第1交点PAを算出する。そして、第1交点PAから自車進路WAに引いた垂線な直線のうち、右端進路WRと左端進路WLとの間の線分の位置を、目標停止位置XAとして設定する。そのため、自車両の進行方向前方に対して目標停止位置XAの右側端部XAR及び左側端部XALのうちの一方が、第1交点PAとなる(
図3参照)。
【0031】
続くステップS20において、他車進路WBの延びる方向において、目標停止位置XAの右側端部XAR及び左側端部XALのうち、左側端部XALのほうが他車両に近いか否かを判定する。
【0032】
具体的には、他車両が自車両の進行方向前方に対して左側に存在するか否かを判定する。そして、他車両が自車両の進行方向前方に対して左側に存在する場合には、左側端部XALのほうが他車両に近いと判定し、ステップS20で肯定判定する。この場合、ステップS22において、左側端部XALから他車進路WBに垂直となる基準垂線を設定する。
【0033】
一方、他車両が自車両の進行方向前方に対して右側に存在する場合には、右側端部XARのほうが他車両に近いと判定し、ステップS20で否定判定する。この場合、ステップS24において、右側端部XARから他車進路WBに垂直となる基準垂線を設定する。
【0034】
続くステップS26において、ステップS22,S24で設定した基準垂線に基づいて衝突距離DCを算出し、距離算出処理を終了する。具体的には、他車進路WBと基準垂線との第2交点PBを算出する。そして、他車進路WB上における現在の他車両の位置と第2交点PBとの間の距離を、衝突距離DCとして算出する。なお、本実施形態において、第2交点PBが「交点」に相当し、ステップS20~S26までの処理が「衝突距離算出部」に相当する。
【0035】
続いて、
図3,4を用いて、距離算出処理をより具体的に説明する。
図3では、自車両CAが後退走行している場合に、他車両CBが自車両CAの進行方向前方に対して左側から接近してくる状況が想定されている。自車進路WAと他車進路WBとは、第3交点PCで交差しており、自車進路WAと他車進路WBとの交差角度は鈍角となっている。
【0036】
この場合において、
図3に破線で示すように、第3交点PCにより衝突距離DCが算出されると、衝突距離DCが過度に小さくなる。衝突距離DCが過度に小さくなると、自車両CAに対して他車両CBが遠くに存在しているにも関わらず自車両CAが目標停止位置XAで停止する状況となる。そのため、仮に他車両CBが自車両CAに近づくまでに、例えば右折等の進路変更を行った場合、他車両CBが自車両CAに衝突することがないにも関わらず、自車両が不要に停止されたこととなる。
【0037】
そこで、本実施形態では、目標停止位置XAから他車進路WBに基準垂線LVを引き、基準垂線LVと他車進路WBとの第2交点PBにより衝突距離DCを算出する。具体的には、目標停止位置XAの右側端部XAR及び左側端部XALのうち、他車進路WBの延びる方向において他車両CBに近い右側端部XARから基準垂線LVを引く。そのため、自車両CAと他車両CBとの衝突を回避する上で適正な衝突距離DCが算出される。
【0038】
また、
図4では、自車両CAが後退走行している場合に、他車両CBが自車両CAの進行方向前方に対して左側から接近してくる状況が想定されており、自車進路WAと他車進路WBとの交差角度が鋭角となっている。
【0039】
この場合も、自車進路WAと他車進路WBとの交差角度が鋭角となっている場合と同様に、目標停止位置XAの右側端部XAR及び左側端部XALのうち、他車進路WBの延びる方向において他車両CBに近い右側端部XARから基準垂線LVを引く。自車進路WAと他車進路WBとの交差角度によらず、基準垂線LVを引く目標停止位置XAの端部XAR,XALを同一とすることで、距離算出処理における車両ECU22の処理負担が軽減される。
【0040】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
【0041】
・本実施形態では、他車両CBと自車両CAとが衝突する危険性を判定する衝突距離DCを算出する際に、自車両CAの目標停止位置XAを基準にすることにより、自車両CAと他車両CBとの衝突を回避する上で適正な衝突距離DCを算出することができる。また、自車進路WAと他車進路WBとの交差角度が鈍角となるなど、当該交差角度が大きくなったとしても、その影響を受けずに衝突距離DCを適正に算出することができる。その結果、衝突判定を適正に実施することができる。
【0042】
・本実施形態では、目標停止位置XAでの右側端部XAR及び左側端部XALのうち、他車進路WBの延びる方向で他車両に近い側となる端部を基準に衝突距離DCが算出される。これにより、安全性の高い衝突判定を行うことができる。また、自車進路WAと他車進路WBとの交差角度を算出することなく衝突距離DCを算出でき、距離算出処理における車両ECU22の処理負担を軽減できる。
【0043】
(その他の実施形態)
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
【0044】
・カメラ11は、単眼カメラに限られず、例えばステレオカメラでもよい。
【0045】
・上記実施形態では、他車両が自車両の進行方向前方に対して左側に存在する場合に、他車進路WBの延びる方向において、目標停止位置XAの右側端部XAR及び左側端部XALのうち、左側端部XALのほうが他車両に近いと判定したが、これを変更してもよい。例えば、他車進路WBの延びる方向において、右側端部XARと他車両との間の距離、及び左側端部XALと他車両との間の距離をそれぞれ算出し、これらの距離を比較してもよい。
【0046】
・上記実施形態では、目標停止位置XAから基準垂線LVを引く場合に、自車進路WAと他車進路WBとの交差角度によらず、基準垂線LVを引く目標停止位置XAの端部XAR,XALを同一とする例を示したが、これを変更してもよい。例えば、目標停止位置XAの端部XAR,XALのうち、オフセット進路WFと交差する端部XAR,XAL、つまり第1交点PAとなる端部XAR,XALから基準垂線LVを引くようにしてもよい。
【0047】
・また、右側端部XARと左側端部XALとの中点から基準垂線LVを引いてもよい。この場合も、自車進路WAと他車進路WBとの交差角度によらず、基準垂線LVを引くことができる。
【0048】
・上記実施形態では、車両ECU22が制御装置に相当する例を示したが、これに限られず、画像処理ECU21と車両ECU22とを合わせたものが制御装置に相当してもよい。つまり、制御装置が撮像装置の撮像画像に基づいて、自車両周辺の移動物の検知情報を生成してもよい。
【符号の説明】
【0049】
22…車両ECU、WA…自車進路、WB…他車進路、WF…オフセット進路、XA…目標停止位置。