(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-31
(45)【発行日】2023-11-09
(54)【発明の名称】制御装置、制御システム及び制御方法
(51)【国際特許分類】
E06B 9/68 20060101AFI20231101BHJP
A47H 5/02 20060101ALI20231101BHJP
E06B 9/264 20060101ALI20231101BHJP
E06B 9/40 20060101ALI20231101BHJP
【FI】
E06B9/68 A
A47H5/02
E06B9/264 C
E06B9/40
(21)【出願番号】P 2020002289
(22)【出願日】2020-01-09
【審査請求日】2022-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000134958
【氏名又は名称】株式会社ニチベイ
(74)【代理人】
【識別番号】100101856
【氏名又は名称】赤澤 日出夫
(72)【発明者】
【氏名】芝地 良壽
(72)【発明者】
【氏名】野作 重高
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-261177(JP,A)
【文献】特開平1-192986(JP,A)
【文献】特表2016-521325(JP,A)
【文献】特開2017-78283(JP,A)
【文献】特開平5-122767(JP,A)
【文献】特開平10-220139(JP,A)
【文献】特開平6-221070(JP,A)
【文献】特開2006-52639(JP,A)
【文献】特開2009-138488(JP,A)
【文献】特開2017-186757(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第2927413(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00- 9/92
A47H 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遮蔽装置の遮蔽材を開閉動作させる駆動装置を制御するとともに、前記遮蔽材の開動作を指示する開操作部と前記遮蔽材の閉動作を指示する閉操作部とを有する操作装置と接続される制御装置であって、
前記遮蔽材の開閉量を複数段階に区分するように設定された開閉段階について、前記開操作部に対する1回の操作に応じて目標としての開閉段階である目標段階を1段階だけ開放側に遷移させる開放遷移を行うとともに、前記閉操作部に対する1回の操作に応じて前記目標段階を1段階だけ閉鎖側に遷移させる閉鎖遷移を行う目標遷移部と、
前記遮蔽材の開閉量が前記目標段階となるように前記駆動装置を駆動制御する駆動制御部と
、
前記開操作部及び前記閉操作部のそれぞれへの操作時間について、所定の時間閾値未満である短操作または前記時間閾値以上である長操作のいずれであるかを判定する操作判定部とを備え、
前記目標遷移部は、前記開操作部に短操作がなされた場合に前記開放遷移を行い、前記開操作部に長操作がなされた場合には最も開放側にある開閉段階である全開段階に前記目標段階を遷移させるとともに、前記閉操作部に短操作がなされた場合に前記閉鎖遷移を行い、前記閉操作部に長操作がなされた場合には最も閉鎖側にある開閉段階である全閉段階に前記目標段階を遷移させることを特徴とする制御装置。
【請求項2】
遮蔽装置の遮蔽材を開閉動作させる駆動装置を制御するとともに、前記遮蔽材の開動作を指示する開操作部と前記遮蔽材の閉動作を指示する閉操作部とを有する操作装置と接続される制御装置であって、
前記遮蔽材の開閉量を複数段階に区分するように設定された開閉段階について、前記開操作部に対する1回の操作に応じて目標としての開閉段階である目標段階を1段階だけ開放側に遷移させる開放遷移を行うとともに、前記閉操作部に対する1回の操作に応じて前記目標段階を1段階だけ閉鎖側に遷移させる閉鎖遷移を行う目標遷移部と、
前記遮蔽材の開閉量が前記目標段階となるように前記駆動装置を駆動制御する駆動制御部と
を備え、
前記駆動装置の駆動制御中に該駆動装置の駆動方向と異なる方向への前記操作装置による動作指示がなされた場合、前記駆動制御部は、前記駆動装置の駆動制御を停止し、現開閉段階は、前記遮蔽材の停止位置との差が最小となり、且つ前記駆動装置の駆動方向と異なる方向にある開閉段階に設定されることを特徴とする制御装置。
【請求項3】
複数の遮蔽装置のそれぞれにおける遮蔽材の開閉動作を制御する制御システムであって、
前記遮蔽材の開動作を指示する開操作部と前記遮蔽材の閉動作を指示する閉操作部とを有する操作装置と接続され、第1の遮蔽装置において前記遮蔽材の開閉動作を制御するマスタ装置と、前記マスタ装置と接続され、第2の遮蔽装置において前記遮蔽材の開閉動作を制御するスレーブ装置とを備え、
前記マスタ装置及び前記スレーブ装置のそれぞれにおいて、制御対象とする遮蔽装置の遮蔽材の開閉量を複数段階に区分する開閉段階が設定され、
前記マスタ装置は、
前記開操作部に対する1回の操作に応じて目標としての開閉段階である目標段階を1段階だけ開放側に遷移させる開放遷移を行うとともに、前記閉操作部に対する1回の操作に応じて前記目標段階を1段階だけ閉鎖側に遷移させる閉鎖遷移を行う目標遷移部と、
前記遷移された目標段階への遷移指示を前記スレーブ装置へ送信する指示送信部と、
前記遮蔽材の開閉量が前記目標段階となるように前記第1の遮蔽装置において前記遮蔽材を開閉動作させる駆動装置を駆動制御する駆動制御部とを備え、
前記スレーブ装置は、
前記マスタ装置により送信された遷移指示を受信する指示受信部と、
前記受信された遷移指示に基づいて自装置における目標段階を設定する目標設定部と、
前記遮蔽材の開閉量が前記設定された目標段階となるように前記第2の遮蔽装置において前記遮蔽材を開閉動作させる駆動装置を駆動制御する第2の駆動制御部とを備えることを特徴とする制御システム。
【請求項4】
前記スレーブ装置は、
前記遷移指示により指示される目標段階が自装置に設定された開閉段階において遷移可能な開閉段階であるか否かを判定する目標判定部を更に備え、
前記目標設定部は、前記目標段階が遷移可能な開閉段階である場合、前記受信された遷移指示に指示される目標段階を自装置における目標段階に設定することを特徴とする請求項3に記載の制御システム。
【請求項5】
複数の遮蔽装置のそれぞれにおける遮蔽材の開閉動作を制御する制御方法であって、
前記遮蔽材の開動作を指示する開操作部と前記遮蔽材の閉動作を指示する閉操作部とを有する操作装置と接続され、第1の遮蔽装置において前記遮蔽材の開閉動作を制御するマスタ装置と、前記マスタ装置と接続され、第2の遮蔽装置において前記遮蔽材の開閉動作を制御するスレーブ装置とのそれぞれにおいて、制御対象とする遮蔽装置の遮蔽材の開閉量を複数段階に区分する開閉段階を設定し、
前記マスタ装置が、
前記開操作部に対する1回の操作に応じて目標としての開閉段階である目標段階を1段階だけ開放側に遷移させる開放遷移を行うとともに、前記閉操作部に対する1回の操作に応じて前記目標段階を1段階だけ閉鎖側に遷移させる閉鎖遷移を行い、
前記遷移された目標段階への遷移指示を前記スレーブ装置へ送信し、
前記遮蔽材の開閉量が前記目標段階となるように前記第1の遮蔽装置において前記遮蔽材を開閉動作させる駆動装置を駆動制御し、
前記スレーブ装置が、
前記マスタ装置により送信された遷移指示を受信し、
前記受信された遷移指示に基づいて自装置における目標段階を設定し、
前記遮蔽材の開閉量が前記設定された目標段階となるように前記第2の遮蔽装置において前記遮蔽材を開閉動作させる第2の駆動装置を駆動制御することを特徴とする制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮蔽装置を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のスイッチを有する操作装置への操作に応じて、ロールスクリーンやブラインドなどの遮蔽装置の開閉量を制御する制御装置が知られている。
【0003】
また、関連する技術として、電動ブラインドの日射遮蔽材の操作指示位置を入力する入力装置と、操作指示位置を表示する操作指示位置表示装置とを備えた操作スイッチと、操作指示位置に基づいて日射遮蔽材を駆動する制御ユニットとを備えた電動ブラインドにおいて、操作スイッチに制御ユニットによる日射遮蔽材の駆動位置を検出して操作指示位置表示装置に表示する状態表示手段を備えたことを特徴とする電動ブラインドの制御装置、が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発明が解決しようとする課題は、2つの操作部による指示のみで遮蔽装置の開閉量を制御することができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る制御装置は、遮蔽装置の遮蔽材を開閉動作させる駆動装置を制御するとともに、前記遮蔽材の開動作を指示する開操作部と前記遮蔽材の閉動作を指示する閉操作部とを有する操作装置と接続される制御装置であって、前記遮蔽材の開閉量を複数段階に区分するように設定された開閉段階について、前記開操作部に対する1回の操作に応じて目標としての開閉段階である目標段階を1段階だけ開放側に遷移させる開放遷移を行うとともに、前記閉操作部に対する1回の操作に応じて前記目標段階を1段階だけ閉鎖側に遷移させる閉鎖遷移を行う目標遷移部と、前記遮蔽材の開閉量が前記目標段階となるように前記駆動装置を駆動制御する駆動制御部とを備える。
【0007】
また、本実施形態に係る制御システムは、複数の遮蔽装置のそれぞれにおける遮蔽材の開閉動作を制御する制御システムであって、前記遮蔽材の開動作を指示する開操作部と前記遮蔽材の閉動作を指示する閉操作部とを有する操作装置と接続され、第1の遮蔽装置において前記遮蔽材の開閉動作を制御するマスタ装置と、前記マスタ装置と接続され、第2の遮蔽装置において前記遮蔽材の開閉動作を制御するスレーブ装置とを備え、前記マスタ装置及び前記スレーブ装置のそれぞれにおいて、制御対象とする遮蔽装置の遮蔽材の開閉量を複数段階に区分する開閉段階が設定され、前記マスタ装置は、前記開操作部に対する1回の操作に応じて目標としての開閉段階である目標段階を1段階だけ開放側に遷移させる開放遷移を行うとともに、前記閉操作部に対する1回の操作に応じて前記目標段階を1段階だけ閉鎖側に遷移させる閉鎖遷移を行う目標遷移部と、前記遷移された目標段階への遷移指示を前記スレーブ装置へ送信する指示送信部と、前記遮蔽材の開閉量が前記目標段階となるように前記第1の遮蔽装置において前記遮蔽材を開閉動作させる駆動装置を駆動制御する駆動制御部とを備え、前記スレーブ装置は、前記マスタ装置により送信された遷移指示を受信する指示受信部と、前記受信された遷移指示に基づいて自装置における目標段階を設定する目標設定部と、前記遮蔽材の開閉量が前記設定された目標段階となるように前記第2の遮蔽装置において前記遮蔽材を開閉動作させる駆動装置を駆動制御する第2の駆動制御部とを備えることを特徴とする
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、2つの操作部による指示のみで遮蔽装置の開閉量を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施形態に係る制御システムの構成を示す概略図である。
【
図2】第1の実施形態に係る制御装置及びモータユニットのハードウェア構成を示す概略図である。
【
図3】第1の実施形態に係る遮蔽装置における開閉位置を示す概略図である。
【
図4】第1の実施形態に係る制御装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図5】第1の実施形態に係る制御装置の動作を示すフローチャートである。
【
図6】第1の実施形態に係る遮蔽装置における開放動作を示す図である。
【
図7】第1の実施形態に係る遮蔽装置における閉鎖動作を示す図である。
【
図8】第1の実施形態に係る遮蔽装置における全開動作を示す図である。
【
図9】第1の実施形態に係る遮蔽装置における全閉動作を示す図である。
【
図10】第2の実施形態に係る制御システムの構成を示す概略図である。
【
図11】第2の実施形態に係るマスタ装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図12】第2の実施形態に係るスレーブ装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図13】第2の実施形態に係るマスタ装置の動作を示すフローチャートである。
【
図14】第2の実施形態に係るスレーブ装置の動作を示すフローチャートである。
【
図15】同一の開閉長さを有する複数の遮蔽装置における開放動作を示す図である。
【
図16】異なる開閉長さを有する複数の遮蔽装置を示す図である。
【
図17】異なる開閉長さを有する複数の遮蔽装置における開放動作を示す図である。
【
図18】第3の実施形態に係る制御システムの構成を示す概略図である。
【
図19】第3の実施形態に係るスレーブ装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図20】第3の実施形態に係るスレーブ装置の動作を示すフローチャートである。
【
図21】第3の実施形態に係る遮蔽装置における全開動作を示す図である。
【
図22】第3の実施形態に係る遮蔽装置における全閉動作を示す図である。
【
図23】遷移範囲内における開放動作を示す図である。
【
図24】遷移範囲外における開放動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0011】
<第1の実施形態>
(制御システムの構成及び制御装置のハードウェア構成)
第1の実施形態に係る制御システムの全体構成、制御システムにおける制御装置のハードウェア構成、及び制御対象とする遮蔽装置について説明する。
図1は、本実施形態に係る制御システムの構成を示す概略図である。
図2は、制御装置及びモータユニットのハードウェア構成を示す概略図である。
図3は、遮蔽装置における開閉位置を示す概略図である。
【0012】
図1に示すように、本実施形態に係る制御システムは、制御対象としての遮蔽装置1、遮蔽装置1における開閉駆動を制御する制御装置2、制御装置2を操作するための操作装置3とを備える。
【0013】
遮蔽装置1は、壁部に設けられた開口を閉鎖するものであり、本実施形態においては、窓面に設置され、遮蔽材としてのスクリーンを巻き取り、また巻き解くことによって、窓面に対してスクリーンの開閉を行うロールスクリーンである。この遮蔽装置1は、スクリーンの巻き取り及び巻き解きを行う巻取パイプを回転させるモータユニット10を備える。スクリーンの上端は巻取パイプに固定され、スクリーンの下端にはウェイトバーが設けられる。
【0014】
制御装置2は、モータユニット10、操作装置3のそれぞれと電気的に接続されており、操作装置3による操作指示に応じてモータユニット10による回転方向及び回転量を制御する。操作装置3は、制御装置2に対する操作指示を行うためのスイッチとして、開スイッチ31と閉スイッチ32とを備える。
【0015】
図2に示すように、モータユニット10は、巻取パイプを回転させるモータ11と、このモータ11の回転方向及び回転量を検出するエンコーダ12とを有する。制御装置2は、後述する各種機能を提供するCPU(Central Processing Unit)21と、モータ11に対して駆動に係る電力を供給する駆動電源部22と、各種機能に用いられる各種データを記憶するメモリ(不図示)とを有する。
【0016】
駆動電源部22は、モータ11を正回転させるようにモータ11に電力を供給するCW端子と、モータ11を逆回転させるようにモータ11に電力を供給するCCW端子と、CW端子及びCCW端子の共通端子であるCOM端子とを有する。CPU21は、開スイッチ31または閉スイッチ32への押下により生じる開放信号または閉鎖信号と、エンコーダ12により検出されたモータ11の回転量とに基づいて、CW端子またはCCW端子からのモータ11への電力を供給するように駆動電源部22を制御する。
【0017】
本実施形態においては、巻取パイプがスクリーンを巻き取るように、即ちスクリーン下端に設けられたウェイトバーを上昇させて窓面を開放するようにモータ11が回転する方向を正回転方向とし、巻取パイプがスクリーンを巻き解くように、即ちウェイトバーを下降させて窓面を閉鎖するようにモータ11が回転する方向を逆回転方向とする。
【0018】
図3に示すように、制御装置2は、遮蔽装置1による開閉を複数段階に区分された開閉段階を遷移させるようにモータユニット10を制御する。本実施形態においては、開閉段階は5段階に区分され、これらの開閉段階のうち、開放度合いが最も大きくなる開閉段階、即ちウェイトバーが最も高く位置付けられる開閉段階を全開段階とし、閉鎖度合いが最も大きくなる開閉段階、即ちウェイトバーが最も低く位置付けられる開閉段階を全閉段階とする。制御装置2においては、各開閉段階に対応するモータ11の回転量が予め設定値としてメモリに記憶されているものとする。
【0019】
(制御装置の機能構成)
第1の実施形態に係る制御装置の機能構成について説明する。
図4は、制御装置の機能構成を示すブロック図である。
【0020】
図4に示すように、本実施形態に係る制御装置2は、機能として、操作判定部211、状態判定部212、段階判定部213、目標遷移部214、駆動制御部215を備える。操作判定部211は、開スイッチ31、閉スイッチ32の押下時間についての判定を行う。状態判定部212は、モータ11の駆動状態を判定する。段階判定部213は、エンコーダ12により検出されたモータ11の回転量に基づいて、現開閉段階が全開段階または全閉段階であるか否かを判定する。目標遷移部214は、目標値としての開閉段階である目標段階を遷移させる。駆動制御部215は、モータ11の現回転量が目標段階に対応付けられる回転量と一致するようにモータ11の駆動を制御する。
【0021】
(制御装置の動作)
第1の実施形態に係る制御装置の動作について説明する。
図5は、制御装置の動作を示すフローチャートである。
図6~
図9は、それぞれ、遮蔽装置における開放動作、閉鎖動作、全開動作、全閉動作を示す図である。なお、
図5においては、開スイッチまたは閉スイッチのいずれかが予め押下されているものとし、押下毎に
図5に示す動作が実行されるものとする。
【0022】
図5に示すように、開スイッチ31または閉スイッチ32のいずれかが押下されると状態判定部212は、モータ11が駆動中であるか否かを判定する(S101)。
【0023】
モータ11が駆動中ではない場合(S101,NO)、段階判定部213は、目標値としての開閉段階である目標段階が全開段階または全閉状態であるか否かを判定する(S102)。ここで、段階判定部213は、開スイッチ31が押下された場合には目標段階が全開段階であるか否かを判定し、閉スイッチ32が押下された場合には目標段階が全閉段階であるか否かを判定する。
【0024】
目標段階が全開状態または全閉状態ではない場合(S102,NO)、操作判定部211は、開スイッチ31または閉スイッチ32の押下時間が予め設定された閾値以上であるか否かを判定する(S103)。
【0025】
押下時間が閾値以上ではない場合(S103,NO)、目標遷移部214は、押下されたスイッチに応じて目標段階を1段階だけ遷移させる(S104)。ここで、目標遷移部214は、開スイッチ31が押下された場合、
図6に示すように、遮蔽装置1の目標段階を開放側に1段階だけ遷移させ、閉スイッチ32が押下された場合、
図7に示すように、遮蔽装置1の目標段階を閉鎖側に1段階だけ遷移させる。なお、目標段階は、モータ11の駆動が停止された状態における開閉段階を現開閉段階とし、この現開閉段階を起点として開放側または閉鎖側に少なくとも1段階以上遷移された開閉段階とする。
【0026】
目標段階の遷移後、駆動制御部215は、モータ11の現回転量が目標段階に対応付けられた回転量と一致するようにモータ11の駆動を制御し(S105)、本処理が終了する。
【0027】
また、押下時間が閾値以上である場合(S103,YES)、目標遷移部214は、押下されたスイッチに応じて開閉段階を全開段階または全閉段階へ遷移させる(S106)。ここで、目標遷移部214は、開スイッチ31が押下された場合、
図8に示すように、遮蔽装置1の開閉段階を全開段階に遷移させ、閉スイッチ32が押下された場合、
図9に示すように、遮蔽装置1の開閉段階を全閉段階に遷移させる。目標段階の遷移後、駆動制御部215は、モータ11の現回転量が目標段階に対応付けられた回転量と一致するようにモータ11の駆動を制御し(S105)、本処理が終了する。
【0028】
また、ステップS102において、目標段階が全開状態または全閉状態である場合(S102,YES)、本処理が終了する。
【0029】
また、ステップS101の判定において、モータ11が駆動中である場合(S101,YES)、状態判定部212は、スイッチによる指示方向と、モータ11の駆動方向とが一致するか否かを判定する(S107)。ここで、状態判定部212は、開スイッチ31が押下された際に遮蔽装置1のスクリーンを巻き取るようにモータ11が駆動されている場合、または、閉スイッチ32が押下された際に遮蔽装置1のスクリーンを巻き解くようにモータ11が駆動されている場合に、指示方向と駆動方向とが一致すると判定する。
【0030】
指示方向と駆動方向とが一致する場合(S107,YES)、段階判定部213は、目標値としての開閉段階である目標段階が全開段階または全閉状態であるか否かを判定する(S102)。
【0031】
一方、指示方向と駆動方向とが一致しない場合(S107,NO)、駆動制御部215は、モータ11の駆動を停止する(S108)。ここで、モータ11の回転量は、開閉段階に対応付けられた開閉段階と一致しない可能性がある。このような場合、モータ11の回転量と、対応付けられた回転量との差が小さくなるような開放側または閉鎖側の開閉段階を現開閉段階とする。この際、開スイッチ31の押下による目標段階の遷移に対しては、閉鎖側において回転量の差が最小となる開閉段階を現開閉段階とし、閉スイッチ32の押下による目標段階の遷移に対しては、開放側において回転量の差が最小となる開閉段階を現開閉段階とする。
【0032】
このような制御装置2によれば、操作装置3において、短押し操作がなされた場合には、短押しされた回数だけスクリーンの開閉段階を遷移させることができ、長押し操作がなされた場合には、全開段階または全閉段階に遷移させることができ、2つの操作部への操作のみで直感的に動作指示を行うことができる。更に、駆動方向と反対側のスイッチを押下することにより、スクリーンの開閉動作を停止させることができる。
【0033】
<第2の実施形態>
(制御システムの構成)
第2の実施形態に係る制御システムの全体構成について説明する。
図10は、本実施形態に係る制御システムの構成を示す概略図である。
【0034】
図10に示すように、本実施形態に係る制御システムは、略同一構成である複数の遮蔽装置1を制御対象とし、これら複数の遮蔽装置1におけるモータユニット10のそれぞれと接続される複数の制御装置2を備える点が第1の実施形態とは異なる。これら複数の制御装置2のうち、操作装置3と接続される制御装置2はマスタ装置2aとして機能し、他の制御装置2はマスタ装置2aと接続されてスレーブ装置2bとして機能する。マスタ装置2a及びスレーブ装置2bは、第1の実施形態における制御装置2に対して、ハードウェア構成は略同一であり、機能構成が異なるものとする。
【0035】
(制御装置の機能構成)
第2の実施形態に係るマスタ装置、スレーブ装置として動作する制御装置の機能構成について説明する。
図11、
図12は、それぞれ、本実施形態に係るマスタ装置、スレーブ装置の機能構成を示すブロック図である。
【0036】
図11に示すように、マスタ装置2aは、操作判定部211、状態判定部212、段階判定部213、目標遷移部214、駆動制御部215に加えて、更に指示送信部216を機能として備える点が、第1の実施形態に係る制御装置とは異なる。指示送信部216は、マスタ装置2aに接続されるスレーブ装置2bに対して制御指示を送信する。この制御指示には、段階設定指示、全開指示、全閉指示、及び停止指示がある。
【0037】
図12に示すように、スレーブ装置2bは、機能として、指示受信部301、目標設定部302、駆動制御部(第2の駆動制御部)303を備える。指示受信部301は、マスタ装置2aにより送信された制御指示を受信する。目標設定部302は、指示受信部301により受信された制御指示に基づき目標段階を設定する。駆動制御部303は、モータ11の回転量が目標設定部302により設定された目標段階に対応する回転量と一致するようにモータ11の駆動を制御する。
【0038】
(マスタ装置の動作)
第2の実施形態に係るマスタ装置の動作について説明する。
図13は、本実施形態に係るマスタ装置の動作を示すフローチャートである。
【0039】
図13に示すように、マスタ装置の動作は、ステップS104、ステップS106、及びステップS108のそれぞれの動作の前後において、ステップS104a、ステップS106a、及びステップS108aの動作が指示送信部216により実行される点が第1の実施形態に係る制御装置の動作(
図5参照)とは異なる。よって、ステップS104a、ステップS106a、及びステップS108aのそれぞれの動作についてのみ説明する。
【0040】
目標遷移部214が押下されたスイッチに応じて目標段階を1段階だけ遷移させるステップS104の動作後、指示送信部216は、スレーブ装置2bにおける目標段階を目標遷移部214により遷移された目標段階に設定する段階設定指示をスレーブ装置2bに対して送信する(S104a)。
【0041】
目標遷移部214が押下されたスイッチに応じて開閉段階を全開段階または全閉段階へ遷移させるステップS106の動作後、指示送信部261は、押下されたスイッチに応じて全開指示または全閉指示をスレーブ装置2bへ送信する(S106a)。ここで、指示送信部261は、開スイッチ31が押下された場合にはスレーブ装置2bにおける目標段階を全開段階に設定する全開指示をスレーブ装置2bに対して送信し、閉スイッチ32が押下された場合にはスレーブ装置2bにおける目標段階を全閉段階に設定する全閉指示をスレーブ装置2bに対して送信する。
【0042】
ステップS107の判定において、指示方向と駆動方向とが一致しない場合(S107,NO)、指示送信部261は、スレーブ装置2bにモータ11の駆動を停止させる停止指示をスレーブ装置2bに対して送信する(S108)。
【0043】
このように、マスタ装置2aにおいて、駆動制御部215によるモータ11の駆動、停止に先立って、指示送信部261が段階設定指示、全開指示、全閉指示、及び停止指示を送信することによって、マスタ装置2aからスレーブ装置2bへの制御指示の送信時間に起因するマスタ装置2aとスレーブ装置2bとによるモータ11の駆動制御に係るタイミングのずれを短縮することができる。
【0044】
(スレーブ装置の動作)
第2の実施形態に係るスレーブ装置の動作について説明する。
図14は、本実施形態に係るスレーブ装置の動作を示すフローチャートである。
図15は、同一の開閉長さを有する複数の遮蔽装置における開放動作を示す図である。
図16は、異なる開閉長さを有する複数の遮蔽装置を示す図である。
図17は、異なる開閉長さを有する複数の遮蔽装置における開放動作を示す図である。なお、
図14に示す動作は、所定の周期毎に実行されるものとする。
【0045】
図14に示すように、まず、指示受信部301は、マスタ装置2aにより送信された制御指示を受信したか否かを判定する(S201)。
【0046】
制御指示を受信した場合(S201,YES)、指示受信部301は、受信した制御指示が目標設定指示であるか否かを判定する(S202)。
【0047】
制御指示が目標設定指示ではない場合(S202,NO)、指示受信部301は、受信した制御指示が全開指示または全閉指示のいずれかであるか否かを判定する(S203)。
【0048】
制御指示が全開指示または全閉指示のいずれでもない場合、即ち制御指示が停止指示である場合(S203,NO)、駆動制御部303は、モータ11に駆動を停止させる(S204)。
【0049】
一方、制御指示が全開指示または全閉指示のいずれかである場合(S203,YES)、目標設定部302は、全開指示に基づいて目標段階を全開段階に設定するか、または全閉指示に基づいて目標段階を全閉段階に設定し(S205)、駆動制御部303は、開閉段階が目標段階となるようにモータ11を駆動制御する(S206)。
【0050】
また、ステップS202の判定において、制御指示が目標設定指示である場合(S202,YES)、目標設定部302は、目標設定指示により示される開閉段階を目標段階に設定し(S207)、駆動制御部303は、開閉段階が目標段階となるようにモータ11を駆動制御する(S206)。
【0051】
このように、マスタ装置2aが自装置に接続された遮蔽装置1を制御するとともに、スレーブ装置2bがマスタ装置2aにより送信された制御指示に基づいて自装置に接続された遮蔽装置1を制御することによって、
図15に示すように、操作装置3への操作によって複数の遮蔽装置1の開閉段階を同時に操作することができる。
【0052】
また、
図16に示すように、制御システムの制御対象として、遮蔽装置1と、この遮蔽装置1とはスクリーンの長さが異なる、即ち全閉位置が異なる遮蔽装置1aとが混在する場合であっても、操作装置3への操作によって、
図17に示すように、これらの開閉段階を同時に操作することができる。
【0053】
本実施形態においては、遮蔽装置1aは、遮蔽装置1と同様に、対応するスレーブ装置において、全開段階から全閉段階まで5つの開閉段階に略均等に区分されるように予め設定されており、この際、隣り合う開閉段階間の距離、即ち、1開閉段階だけ遷移させた場合のウェイトバーの上下方向移動距離は、遮蔽装置1とは異なることとなる。
【0054】
<第3の実施形態>
(制御システムの構成)
第3の実施形態に係る制御システムの全体構成について説明する。
図18は、本実施形態に係る制御システムの構成を示す概略図である。
【0055】
図18に示すように、本実施形態に係る制御システムは、複数のスレーブ装置2bに代えて複数のスレーブ装置2cを備える点、また、遮蔽装置1とは異なる遮蔽装置1bが制御対象に含まれる点で、第2の実施形態において
図10に示した制御システムとは異なる。
【0056】
遮蔽装置1bは、第2の実施形態において
図16に示した遮蔽装置1aと同様に、遮蔽装置1、特にマスタ装置2aに対応する遮蔽装置1よりもスクリーンの長さが短くなるように、即ち、全開段階と全閉段階のそれぞれにおけるウェイトバー間の上下方向距離が小さくなるように構成されている。
【0057】
また、本実施形態において、遮蔽装置1,1bにおける複数の開閉段階は、同一の開閉段階が同一の回転量に対応付けられるように設定されるものとする。よって、遮蔽装置1,1bの構成の差異をスクリーンの長さのみとすれば、遮蔽装置1bは、対応するスレーブ装置2cにおいて、他の遮蔽装置1より少ない開閉段階数に区分されることとなる。
【0058】
(スレーブ装置の機能構成)
第3の実施形態に係るスレーブ装置の機能構成について説明する。
図19は、本実施形態に係るスレーブ装置の機能構成を示すブロック図である。
【0059】
図19に示すように、本実施形態に係るスレーブ装置2cは、指示受信部301、目標設定部302、駆動制御部303に加えて、更に目標判定部304を備える点が第2の実施形態とは異なる。目標判定部304は、目標設定指示により指示される目標開度が後述する遷移範囲内であるか否かを判定する。
【0060】
(スレーブ装置の動作)
第3の実施形態に係るスレーブ装置の動作について説明する。
図20は、本実施形態に係るスレーブ装置の動作を示すフローチャートである。
図21、
図22は、それぞれ、遮蔽装置における全開動作、全閉動作を示す図である。
図23、
図24は、それぞれ、遷移範囲内における開放動作、遷移範囲外における開放動作を示す図である。
【0061】
図20に示すように、スレーブ装置2cの動作は、目標設定指示が受信された場合以外においては、第2の実施形態に係るスレーブ装置2bの動作と同様である。停止指示が受信された場合にはモータ11の駆動が停止される。また、全開指示、全閉指示が受信された場合には、
図21、
図22に示すように、異なる開閉段階数に設定されている遮蔽装置1bについても、他の遮蔽装置1と同様に、開閉段階が全開段階、全閉段階となるように駆動制御される。よって、ステップS202の判定において、制御指示が目標設定指示である場合の動作についてのみ、以下に説明する。
【0062】
制御指示が目標設定指示である場合(S202,YES)、目標判定部304は、目標設定指示が示す目標段階が遷移範囲内であるか否かを判定する(S207a)。ここで、遷移範囲とは、自スレーブ装置2cにおいて遷移可能な開閉段階の範囲であり、開放側への開閉段階の遷移においては全閉段階より開放側にある全ての開閉段階(全閉段階を含まない)であれば遷移範囲内に該当し、閉鎖側への開閉段階の遷移においては全閉段階までの全ての開閉段階(全閉段階を含む)であれば遷移範囲内に該当する。
【0063】
目標設定指示が示す目標段階が遷移範囲内である場合(S207a,YES)、目標設定部302は、自スレーブ装置2cにおける目標段階を目標設定指示が示す目標段階に設定し(S207)、駆動制御部303は、開閉段階が目標段階となるようにモータ11を駆動制御する(S206)。例えば、
図23に示すように、遮蔽装置1においては開閉段階(4)であり、遮蔽装置1bにおいて全閉段階(3)であるような状況において、目標開閉段階が開閉段階(2)であるような場合、遮蔽装置1と同様に遮蔽装置1bは目標段階を開閉段階(2)として駆動制御される。
【0064】
一方、目標設定指示が示す目標段階が遷移範囲内ではない場合(S207a,NO)、目標段階の設定、及びモータ11の駆動制御は実行されない。例えば、
図24に示すように、遮蔽装置1においては開閉段階が全閉段階(5)であり、遮蔽装置1bにおいては開閉段階が全閉段階(3)であるような状況において、目標開閉段階が開閉段階(4)であるような場合、遮蔽装置1は開閉段階(4)となるように駆動制御される一方、遮蔽装置1bは駆動制御されない。
【0065】
このように、遮蔽装置1,1cに設定する開閉段階数を互いに異ならせ、スレーブ装置2cにおいて、自装置に設定された開閉段階と目標設定指示とに基づく判定を行い、遷移範囲内の目標段階に対してのみ駆動制御を行うことによって、開閉量が異なる複数の遮蔽装置のそれぞれに適した開閉動作を行わせることができる。例えば、上端位置が同一であり且つ高さが異なる複数の開口それぞれに対応したロールスクリーンが設置されるような状況において、1つの操作装置への操作によって複数のロールスクリーンそれぞれにおけるウェイトバーの位置が揃うように開閉動作を行わせることができる。
【0066】
なお、上述した実施形態においては、制御対象としての遮蔽装置1,1b,1cをロールスクリーンとしたが、遮蔽材の開閉度を遷移可能な他の種の遮蔽装置を制御対象とすることができる。このような遮蔽装置としては、ブラインド、ルーバー、カーテンなどが挙げられ、例えば、水平ブラインドを制御対象とした場合、ボトムレールの移動、またはスラットの回転のいずれかに開閉段階を設定して1つの操作装置により開閉動作を制御することができる。また、開閉動作を行う駆動装置をモータ11としたが、遮蔽材に開閉動作を行わせることができる駆動装置であれば、いかなる駆動装置であっても良い。また、操作装置3として2点式スイッチを例示したが、少なくとも2つの操作部を有するものであれば、いかなる操作装置であっても良い。
【0067】
本発明の実施形態を説明したが、これら実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0068】
1 遮蔽装置
2 制御装置
3 操作装置
10 モータユニット
31 開スイッチ(開操作部)
32 閉スイッチ(閉操作部)
214 目標遷移部
215 駆動制御部