(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-31
(45)【発行日】2023-11-09
(54)【発明の名称】パネルの加飾構造
(51)【国際特許分類】
B32B 3/30 20060101AFI20231101BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20231101BHJP
B60K 37/00 20060101ALI20231101BHJP
B60R 13/02 20060101ALI20231101BHJP
【FI】
B32B3/30
B32B27/00 E
B60K37/00 G
B60R13/02 B
(21)【出願番号】P 2020017434
(22)【出願日】2020-02-04
【審査請求日】2022-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 伸介
【審査官】藤原 敬士
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/189570(WO,A1)
【文献】特開2019-025226(JP,A)
【文献】特開2019-059087(JP,A)
【文献】国際公開第2010/128581(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00 - 43/00
B60K 35/00 - 37/06
B60R 13/01 - 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースパネル上に積層され、複数種の模様が形成される第1層と、
表面に凹凸部を有する第2層と
を備え、
前記第1層は、
前記凹凸部に対応する模様である第1模様が形成される第1意匠部と、前記第1模様とは異なる第2模様が形成される第2意匠部と、前記第1意匠部と前記第2意匠部との間に位置され模様が前記第1模様から前記第2模様へ連続的または段階的に変化する第3意匠部とを含み、
前記第2層は、
少なくとも前記第1層の前記第1意匠部に積層されるとともに、前記ベースパネルの正面視において前記第2意匠部側の境界線が波形状となるように形成されること
を特徴とするパネルの加飾構造。
【請求項2】
前記第2層は、
前記第1層の前記第1意匠部および前記第3意匠部に積層され、前記境界線が前記第3意匠部において波形状となるように形成されること
を特徴とする請求項1に記載のパネルの加飾構造。
【請求項3】
前記第2層は、
前記凹凸部の高さが前記第2意匠部へ近づくにつれて低くなるように形成されること
を特徴とする請求項1または2に記載のパネルの加飾構造。
【請求項4】
前記第2層は複数の層を含み、
前記第2層は、
下側の層の前記境界線が上側の層の前記境界線より前記第2意匠部側に位置されることで、前記凹凸部の高さが前記第2意匠部へ近づくにつれて低くなるように形成されること
を特徴とする請求項3に記載のパネルの加飾構造。
【請求項5】
前記第2層の複数の層は、
前記境界線が互いに異なる波形状となるように形成されること
を特徴とする請求項4に記載のパネルの加飾構造。
【請求項6】
前記第1意匠部は、
前記第1模様として、木目調の模様、レザー調の模様および布目調の模様の少なくともいずれかが形成されること
を特徴とする請求項1~5のいずれか一つに記載のパネルの加飾構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネルの加飾構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば車両のインストルメントパネル等において、表面に凹凸部を形成して加飾する技術が種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、インストルメントパネル(以下「パネル」と記載する場合がある)には、例えば木目調の模様などが印刷された印刷層が形成されることがある。凹凸部は、かかる印刷層の上に形成されることで、パネルに木目の質感を付与することができる。
【0005】
また、パネルには、凹凸の質感が適さない他の模様もある。このような他の模様が木目調の模様に隣接する場合、従来技術においては、凹凸部が木目調の模様の部分にのみ形成されていた。
【0006】
しかしながら、従来技術のように構成すると、木目調の模様と他の模様との境界部分で、凹凸部が直線的に途切れるため、凹凸部が浮いた見栄えとなり、ユーザに違和感を与えるおそれがあった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、異なる模様の境界部分においてユーザに与える違和感を低減させることができるパネルの加飾構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、パネルの加飾構造において、第1層と、第2層とを備える。第1層は、ベースパネル上に積層され、複数種の模様が形成される。第2層は、表面に凹凸部を有する。また、前記第1層は、前記凹凸部に対応する模様である第1模様が形成される第1意匠部と、前記第1模様とは異なる第2模様が形成される第2意匠部と、前記第1意匠部と前記第2意匠部との間に位置され模様が前記第1模様から前記第2模様へ連続的または段階的に変化する第3意匠部とを含む。前記第2層は、少なくとも前記第1層の前記第1意匠部に積層されるとともに、前記ベースパネルの正面視において前記第2意匠部側の境界線が波形状となるように形成される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、異なる模様の境界部分においてユーザに与える違和感を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係るパネルの加飾構造の概要を示す図である。
【
図5】
図5は、第2の実施形態に係るパネルの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本願の開示するパネルの加飾構造の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0012】
(第1の実施形態)
以下では先ず、第1の実施形態に係るパネルの加飾構造の概要について
図1を参照して説明する。
図1は、第1の実施形態に係るパネルの加飾構造の概要を示す図である。なお、
図1の上段の図は、車両Cの車室A内から車両前方を見たときの図である。また、
図1および後述する
図2以降に示す図は、いずれも模式図である。
【0013】
なお、
図1においては、説明の便宜のために、鉛直上向きを正方向、鉛直下向きを負方向とするZ軸、車幅方向をX軸、車長方向をY軸とした3次元の直交座標系を図示している。かかる直交座標系は、後述の説明に用いる他の図面でも示す場合がある。
【0014】
以下、本実施形態に係る加飾構造を有するパネルが車両Cのインストルメントパネル1である場合を例に挙げて説明する。
図1の上段に示すように、パネル1には、表示装置2が設けられる。
【0015】
表示装置2は、表示部3を備える。表示部3は、例えば、表示画面3aを備えた液晶ディスプレイである。例えば、表示画面3aには、図示しないナビゲーション装置によるナビゲーションなどが表示されるが、これに限定されるものではない。
【0016】
図1の下段の図は、表示部3の表示画面3aの一部と、表示画面3aの周辺、詳しくは表示画面3aのX軸正方向側のパネル1部分を拡大して示す図である。
図1の下段に示すように、パネル1には、木目調の模様が施される。また、パネル1において、表示画面3aの周辺部分には、木目調の模様とは異なる黒色の模様が施される。以下、木目調の模様を「第1模様」、黒色の模様を「第2模様」と記載する場合がある。
【0017】
ここでは、第1模様は、後述する凹凸部30に対応する模様であり、言い換えれば、凹凸の質感が適する模様であるものとする。第2模様は、凹凸部30に対応しない模様であり、言い換えれば、凹凸の質感が適さない模様であるものとする。例えば、第2模様は、平滑な質感が適する模様であるものとする。
【0018】
本実施形態にあっては、例えば木目調の模様である第1模様、および、黒色の模様である第2模様のような、異なる模様の境界部分においてユーザに与える違和感を低減させることができるような構成とした。
【0019】
以下、かかる構成について詳しく説明する。パネル1は、ベースパネル4と、第1層10と、第2層20とを備える。ベースパネル4は、例えば平板状の部材であり、平滑なパネル面4aを有する。なお、パネル面4aは、ベースパネル4のおもて面であり、例えば車室A側の面である。
【0020】
第1層10は、ベースパネル4上に積層される、詳しくはベースパネル4のパネル面4aの上に積層される。第2層20は、第1層10の上に部分的に積層される。この積層については、
図3を参照して後述する。
【0021】
第1層10は、複数種の模様が形成される印刷層である。例えば、第1層10は、第1意匠部11と、第2意匠部12と、第3意匠部13とを含む。
図1等では、ベースパネル4のパネル面4aの正面視における各意匠部11~13の領域を明確にするため、第1意匠部11、第2意匠部12および第3意匠部13をそれぞれ一点鎖線で囲んで示した。なお、ベースパネル4の正面視(あるいはパネル面4aの正面視)とは、パネル面4aの垂線方向(Y軸方向)から見たときの意味であり、また、車室Aからパネル面4aを見たときの意味でもある。
【0022】
第1意匠部11は、第1模様が形成される、具体的には、木目調の模様が形成される。各意匠部11~13のうち、第1意匠部11は、表示部3の表示画面3aから最も離間した位置に形成される。
【0023】
第2意匠部12は、第1模様とは異なる第2模様が形成される、具体的には、黒色の模様が形成される。第2意匠部12は、表示部3の表示画面3aの周囲を囲むように形成される。また、各意匠部11~13のうち、第2意匠部12は、表示部3の表示画面3aに最も近い位置に形成される。
【0024】
第3意匠部13は、第1意匠部11と第2意匠部12との間に位置される。第3意匠部13は、模様が第1模様から第2模様へ連続的に変化する、言い換えると、模様が第1模様から第2模様へ徐々に変化するように構成される。すなわち、第3意匠部13は、模様がグラデーション状に形成される。以下、第3意匠部13を「グラデーション部13」と記載する場合がある。
【0025】
なお、
図1では、グラデーション部13は、模様が第1模様から第2模様へ連続的に変化する例を示したが、これに限られず、例えば模様が段階的に変化するように構成されてもよい。
【0026】
第2層20は、表面に凹凸部30を有する。なお、凹凸部30の詳しい構成については、
図3を参照して後述する。第2層20は、コート層であり、少なくとも第1層10の第1意匠部11に積層される。これにより、パネル1の第1意匠部11の部分に、第1模様である木目の質感を付与することができる。
【0027】
また、第2層20は、グラデーション部13にも部分的に積層される。これにより、パネル1のグラデーション部13の部分であって、第1模様が形成されるような部分に、木目の質感を付与することができる。
【0028】
第2層20の凹凸部30は、例えば木目に沿って凹凸が形成されてもよい。これにより、本物の木目と同様な触感を付与することができる。
【0029】
また、第2層20は、ベースパネル4の正面視(パネル面4aの正面視)において第2意匠部12側の境界線21が波形状となるように形成される。これにより、異なる模様の境界部分においてユーザに与える違和感を低減させることができる。
【0030】
詳しく説明すると、例えば仮に、符号121の想像線で示すように、第2層20の境界線121が、第1意匠部11とグラデーション部13との間の境界部分において直線状となるように形成されると、凹凸部30が境界部分で直線的に途切れることとなる。そのため、凹凸部30が浮いた見栄えとなって、ユーザに違和感を与えるおそれがある。
【0031】
本実施形態にあっては、第2層20の境界線21が波形状となるように形成される、言い換えると、非直線形状となるように形成されるため、ユーザは境界線21を即座に認識できず、境界線21の位置をぼかすことができる。そのため、凹凸部30は浮いた見栄えになりにくく、結果としてユーザに与える違和感を低減させることができる。
【0032】
なお、上記した波形状は、ジグザグ状や鋸歯状などの形状も含む。なお、
図1に示す波形状は、あくまでも例示であって限定されるものではない。例えば、境界線21は、グラデーション部13において入り組んだ形状であればよい。
【0033】
次に、パネル1について
図2および
図3を参照してさらに詳しく説明する。
図2は、パネル1の正面図であり、
図3は、
図2のIII-III線断面図である。なお、
図3等では、理解の便宜のため、凹凸部30など部分的に誇張して示すことがある。
【0034】
図2および
図3に示すように、パネル1のベースパネル4は、X軸方向に延在する部材である。ベースパネル4の材質としては、例えば、ガラス、有機ガラス、またはポリカーボネートのような透過性を有する材料を用いることができるが、これらに限定されるものではない。
【0035】
また、ベースパネル4において、パネル面4aとは反対側の面(裏面)4b(
図3参照)には、表示部3が配置される。なお、パネル面4aにおいて表示部3と対応する位置には、表示画面3aがパネル面4a側から見えるように、第2意匠部12が積層されないように構成される。
【0036】
第1層10において、第1意匠部11、第2意匠部12およびグラデーション部13は、全部あるいは一部が一体に構成されてもよいし、別体に構成されてもよい。なお、
図3では、図示の簡略化のため、第1意匠部11、第2意匠部12およびグラデーション部13がX軸方向に並ぶようにして示したが、一部が重複するように構成されてもよい。
【0037】
なお、第1意匠部11における第1模様は、上記したように木目調の模様であるが、これに限定されるものではない。すなわち、第1模様は、凹凸の質感が適する模様であればよく、例えばレザー調の模様や布目調の模様であってもよい。
【0038】
このように、第1意匠部11は、第1模様として、木目調の模様、レザー調の模様および布目調の模様の少なくともいずれかが形成されればよい。これにより、例えば、第1意匠部11の上に第2層20の凹凸部30が形成されることで、木目、レザーまたは布目の質感を付与することができる。
【0039】
なお、第1模様としては、上記に限らず、例えば石目調や和紙調、砂目調の模様、幾何学模様などその他の種類の模様であってもよい。
【0040】
なお、以上の説明では、第1層10はベースパネル4の表面側に積層されるとしたが、裏面4b側に積層されてもよい。つまり、透明なベースパネル4を通して裏側の第1層10の模様が見えるようにしてもよい。
【0041】
図3に示すように、第2層20の凹凸部30は、凸部31と凹部32とにより構成される。第2層20は、複数の層22~25を含み、凸部31や凹部32の高さは、複数の層22~25の層数により設定される。
【0042】
具体的には、第2層20は、ベース層22と、下段層23と、中段層24と、上段層25とを含む。なお、第2層20の層数は、あくまでも例示であって限定されるものではない。
【0043】
例えば、第2層20において、ベース層22の上に、下段層23、中段層24および上段層25が積層される部分は、高さが高くなるため、凹凸部30の凸部31となる。他方、第2層20において、ベース層22のみが形成され、下段層23や中段層24、上段層25が積層されない部分は、高さが低くなるため、凹部32となる。
【0044】
なお、第2層20において複数の層22~25は、例えばUV硬化印刷によって積層されるが、これに限定されるものではない。
【0045】
そして、
図2に示すように、上記した凹凸部30を有する第2層20の第2意匠部12側の境界線21が、波形状となるように形成される。詳しくは、第2層20の境界線21は、山部21aと谷部21bとが交互に形成されることで、波形状とされる。
【0046】
第2層20は、第2層20の第1意匠部11およびグラデーション部13に積層され、境界線21がグラデーション部13において波形状となるように形成される。
【0047】
従って、境界線21は、グラデーション部13において模様が第1模様(木目調)から第2模様(黒色模様)へ変化する場所に位置されることになる。これにより、境界線21の位置は、ユーザにとってより認識しにくくなり、境界線21の位置をぼかすことができる。そのため、凹凸部30は浮いた見栄えになりにくく、ユーザに与える違和感をより一層低減させることができる。
【0048】
上述してきたように、第1の実施形態に係るパネル1の加飾構造は、第1層10と、第2層20とを備える。第1層10は、ベースパネル4上に積層され、複数種の模様が形成される。第2層20は、表面に凹凸部30を有する。また、第1層10は、凹凸部30に対応する模様である第1模様が形成される第1意匠部11と、第1模様とは異なる第2模様が形成される第2意匠部12と、第1意匠部11と第2意匠部12との間に位置され模様が第1模様から第2模様へ連続的または段階的に変化するグラデーション部13(第3意匠部の一例)とを含む。第2層20は、少なくとも第1層10の第1意匠部11に積層されるとともに、ベースパネル4の正面視において第2意匠部12側の境界線が波形状となるように形成される。これにより、異なる模様の境界部分においてユーザに与える違和感を低減させることができる。
【0049】
(変形例)
次に、第1の実施形態の第1変形例および第2変形例について、
図4Aおよび
図4Bを参照して説明する。
図4Aは、第1変形例に係るパネル1の正面図であり、
図4Bは、第2変形例に係るパネル1の正面図である。
【0050】
図4Aに示すように、第1変形例にあっては、第2層20の境界線21の波形状が、不規則な波形状となるようにした。例えば、第1変形例にあっては、境界線21を構成する山部21aや谷部21bが不規則な位置(言い換えるとランダムな位置)となるようにすることで、境界線21が不規則な波形状となるようにした。
【0051】
第1変形例においても、境界線21が上記のように構成されることで、境界線21の位置をぼかすことができ、ユーザに与える違和感を低減させることができる。
【0052】
また、
図4Bに示すように、第2変形例にあっては、第2層20の境界線21の波形状が、湾曲した曲線的な波形状となるようにした。例えば、第2変形例にあっては、境界線21を構成する山部21aや谷部21bが湾曲した曲線で形成されることで、境界線21が曲線的な波形状となるようにした。
【0053】
第2変形例においても、境界線21が上記のように構成されることで、境界線21の位置をぼかすことができ、ユーザに与える違和感を低減させることができる。
【0054】
(第2の実施形態)
次いで、第2の実施形態について
図5および
図6を参照して説明する。
図5は、第2の実施形態に係るパネル1の正面図であり、
図6は、
図5のVI-VI線断面図である。
【0055】
図5および
図6に示すように、第2の実施形態において、第2層20は、凹凸部30の高さ(Y軸方向の高さ)が第2意匠部12へ近づくにつれて低くなるように形成されるようにした。言い換えると、第2層20は、第2意匠部12へ近づくにつれて薄くなるように形成される。
【0056】
このように、凹凸部30の高さを徐々に低くすることで、凹凸部30は浮いた見栄えになりにくく、結果としてユーザに与える違和感を低減させることができる。
【0057】
具体的には、第2層20は、下段層23、中段層24および上段層25を含むが、第2の実施形態では、下側の層の境界線が上側の層の境界線より第2意匠部12側に位置されるようにする。
【0058】
詳しくは、下段層23の境界線23aが、中段層24の境界線24aより、第2意匠部12側に位置される。また、中段層24の境界線24aが、上段層25の境界線25aより、第2意匠部12側に位置される。
【0059】
このように、各層23~25の境界線23a~25aを階段状にずらすことで、第2層20においては、凹凸部30の高さが第2意匠部12へ近づくにつれて低くなるように形成される。これにより、凹凸部30は浮いた見栄えになりにくく、結果としてユーザに与える違和感を低減させることができる。
【0060】
また、
図5に示すように、下段層23の境界線23a、中段層24の境界線24a、および、上段層25の境界線25aが互いに異なる波形状となるように形成されてもよい。言い換えると、下段層23の境界線23aの波形状と、中段層24の境界線24aの波形状と、上段層25の境界線25aの波形状と間で、相関性あるいは類似性が低くなるようにしてもよい。
【0061】
これにより、各境界線24a,25a,26aの位置をぼかすことができ、ユーザに与える違和感をより一層低減させることができる。
【0062】
なお、以上の説明では、第2層20の厚さを段階的に変化させるとしたが、連続的に変化させてもよい。例えば、第2層20の境界部をバフ研磨などで薄くしてスロープ状に厚さを変化させることができる。この場合、第1層10はベースパネル4の裏面4b側に積層されている方が、研磨によって第1層10の模様が損なわれてしまうことがなく好適である。
【0063】
なお、上記では、加飾構造を有するパネルが車両Cのインストルメントパネル1である場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、例えばパネルを有するものであれば上記した加飾構造を適用することができる。
【0064】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0065】
1 インストルメントパネル
4 ベースパネル
10 第1層
11 第1意匠部
12 第2意匠部
13 グラデーション部(第3意匠部)
20 第2層
30 凹凸部