(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-31
(45)【発行日】2023-11-09
(54)【発明の名称】換気システム
(51)【国際特許分類】
E06B 7/02 20060101AFI20231101BHJP
E06B 7/04 20060101ALI20231101BHJP
E06B 7/10 20060101ALI20231101BHJP
F24F 7/013 20060101ALN20231101BHJP
【FI】
E06B7/02
E06B7/04
E06B7/10
F24F7/013 102J
(21)【出願番号】P 2020019430
(22)【出願日】2020-02-07
【審査請求日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】P 2019072663
(32)【優先日】2019-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136331
【氏名又は名称】小林 陽一
(72)【発明者】
【氏名】大浦 豊
(72)【発明者】
【氏名】朝岡 幸康
(72)【発明者】
【氏名】高橋 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】野村 吉和
(72)【発明者】
【氏名】平下 幸孝
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-209876(JP,A)
【文献】特開2000-17963(JP,A)
【文献】特開2000-111110(JP,A)
【文献】実公昭58-56317(JP,Y2)
【文献】特開平2-88876(JP,A)
【文献】特開2013-217616(JP,A)
【文献】特開2016-180533(JP,A)
【文献】特開昭59-137736(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-0697839(KR,B1)
【文献】中国実用新案第201027480(CN,Y)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/00 -11/08
F24F 7/013
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外窓と内窓からなる二重窓を複数備え、各二重窓について、室外空間から外窓と内窓の間の中間層に通じる室外側通気部と、中間層から室内空間に通じる室内側通気部を有すると共に、中間層に整流体が設けてあり、全二重窓の室外側通気部と室内側通気部のうちの少なくとも一つにファンが設けてあり、ファンを回転させることで、一方の二重窓に外気が外窓の内側面に沿って一方向に流れ、中間層の端部付近で折り返し、内窓の外側面に沿って他方向に流れてから室内に流入し、他方の二重窓に内気が内窓の外側面に沿って一方向に流れ、中間層の端部付近で折り返し、外窓の内側面に沿って他方向に流れてから室外に流出することを特徴とする換気システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、換気を行いつつ窓からの熱の出入りを少なくできる換気システムに関する。
【背景技術】
【0002】
建物の室内環境は、空調設備で制御していたが、窓からの熱の出入りが多く電気代がかかるため、経済的に優れたものが求められていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は以上に述べた実情に鑑み、窓からの熱の出入りを減らし、冷暖房負荷を抑えることのできる換気システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明による換気システムは、外窓と内窓からなる二重窓を複数備え、各二重窓について、室外空間から外窓と内窓の間の中間層に通じる室外側通気部と、中間層から室内空間に通じる室内側通気部を有すると共に、中間層に整流体が設けてあり、全二重窓の室外側通気部と室内側通気部のうちの少なくとも一つにファンが設けてあり、ファンを回転させることで、一方の二重窓に外気が外窓の内側面に沿って一方向に流れ、中間層の端部付近で折り返し、内窓の外側面に沿って他方向に流れてから室内に流入し、他方の二重窓に内気が内窓の外側面に沿って一方向に流れ、中間層の端部付近で折り返し、外窓の内側面に沿って他方向に流れてから室外に流出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の発明による換気システムは、外窓と内窓からなる二重窓を複数備え、各二重窓について、室外空間から外窓と内窓の間の中間層に通じる室外側通気部と、中間層から室内空間に通じる室内側通気部を有すると共に、中間層に整流体が設けてあり、全二重窓の室外側通気部と室内側通気部のうちの少なくとも一つにファンが設けてあり、ファンを回転させることで、一方の二重窓に外気が外窓の内側面に沿って一方向に流れ、中間層の端部付近で折り返し、内窓の外側面に沿って他方向に流れてから室内に流入し、他方の二重窓に内気が内窓の外側面に沿って一方向に流れ、中間層の端部付近で折り返し、外窓の内側面に沿って他方向に流れてから室外に流出することで、冬期には室内から室外に逃げる熱を回収し、夏期には室外から室内に入ってくる熱を回収して室外に捨てることができ、これにより窓からの熱の出入りを減らし、冷暖房負荷を抑えることができる。室外側通気部又は室内側通気部にファンを組み込むことで、必要な換気量を確保するのが容易であり、それに伴って冷暖房負荷を抑える効果が確実に発揮される。一方の二重窓から外気が流入し、他方の二重窓から外気が流出するため、部屋の換気が効率よく行える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の換気システムの第1実施形態を示す縦断面図である。
【
図2】同換気システムが設置された建物の平面図である。
【
図6】(a)は冬期における給気側の二重窓の働きを示す説明図であり、(b)は冬期における排気側の二重窓の働きを示す説明図である。
【
図7】(a)は夏期における給気側の二重窓の働きを示す説明図であり、(b)は夏期における排気側の二重窓の働きを示す説明図である。
【
図8】(a)は内窓の上部に設けられる換気ブレスの平面図、(b)は同室内側正面図、(c)はA-A断面図である。
【
図9】給気側の二重窓の他の実施形態を示す縦断面図である。
【
図10】排気側の二重窓の他の実施形態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1~7は、本発明の換気システムの第1実施形態を示している。本換気システムは、
図1,2に示すように、一つの部屋7の室外に面した一の壁8aと他の壁8bの開口部に、外窓2と内窓3とからなる二重窓1a,1bがそれぞれ設置してあり、一方の二重窓1aから外気を室内に取り入れ、他方の二重窓1bから内気を室外に排出するようになっている。外窓2と内窓3の間の中間層9には、
図3,4に示すように、整流体としてのハニカムブラインド10が上方から吊り下げて設けてある。
【0010】
図3,4は給気側の二重窓1aを示している。外窓2は、躯体開口部に固定される枠11と、枠11内に引違い状に開閉自在に収めた外障子12a及び内障子12bとを備えている。外障子12a及び内障子12bは、上框13と下框14と戸先框15と召合せ框16とを框組みし、その内側にガラス17を嵌め込んで構成されている。上框13は、室外空間から中間層9に連通する室外側通気部4を有する換気框となっている。
【0011】
内窓3は、
図3,4に示すように、四周の額縁18の内周側面に取付けた上枠19と下枠20及び左右の縦枠21,21と、上下枠19,20間に引違い状に開閉自在に収めた外障子22a及び内障子22bを備えている。枠19,20,21と障子22a,22bの框は、樹脂製である。障子22a,22bのガラス23は、複層ガラスである。外窓2の枠11と内窓3の枠19,20,21の間には木製の額縁18があるため、外窓2と内窓3とは熱的に分離されている。
上枠19の上部には、換気ブレス24を備えている。換気ブレス24は、室外側と室内側の見付面に多数の通気孔25a,25bを設け、中間層9から室内空間に連通する室内側通気部5が設けてある。室内側通気部5の室内側には、埃や花粉等の侵入を防ぐフィルター26が設けてある。
【0012】
内窓3の室内側通気部5内には、
図3,8に示すように、クロスフローファン6が設けてある。クロスフローファン6は、水平軸回りに回転する羽根車27と、羽根車27を回転させる駆動ユニット28とを備え、羽根車27を駆動ユニット28により回転させることで、室外側の通気孔25aより中間層9の空気を吸い込み、室内側の通気孔25bより吸い込んだ空気を室内に吹き出すようになっている。
図8中の符号31は、通気孔25bを開閉操作するためのつまみである。
【0013】
ハニカムブラインド10は、
図3に示すように、ポリエステルの不織布を用いてダブル・ハニカム(蜂の巣)構造のスクリーン状に構成され、このスクリーンが二重の空気層を作り、高い断熱効果を発揮する。また、
図4に示すように、ハニカムブラインド10の左右両側の側部は、額縁18に沿って取付けた樹脂製のレール29に案内してあり、気密性を高めている。したがって、中間層9内はハニカムブラインド10により室外側と室内側に仕切られ、ハニカムブラインド10の室外側の空気は室外の気温に近付き、ハニカムブラインド10の室内側の空気は室内側の気温に近付き、ハニカムブラインド10の室外側と室内側で温度差が生じる。ハニカムブラインド10の下端と額縁18との間には、数センチ程度の隙間を設けている。ハニカムブラインド10は、室内側から操作部30を操作することで上下に伸縮自在となっている。
【0014】
排気側の二重窓1bは、
図5に示すように、内窓3の室内側通気部5内に設けたクロスフローファン6が、給気側とは逆に、室内側の通気孔25bより室内の空気を吸い込み、室外側の通気孔25aより吸い込んだ空気を中間層9に吹き出すようになっている。それ以外の点は、給気側の二重窓1aと同じである。
【0015】
図6は冬期における給気側及び排気側の二重窓1a,1bの働きを示している。給気側の二重窓1aは、
図6(a)に示すように、ファン6(図示略)を回転させることで外窓2の室外側通気部4より流入した冷たい外気は、ハニカムブラインド10に当たって下向きに流れを変え、その後、冷たい外気はコールドドラフトにより外窓2のガラス17の内側面に沿って中間層9の下まで流れてから折り返し、内窓3のガラス23から室内の熱が伝わることで暖められ、ガラス23の室外側面に沿って上昇し、この間にガラス23から室外に逃げる熱を空気の流れによって回収する。また、二重窓1aに日射を受ける場合は、このように中間層9を外気が外窓2の内側面と内窓3の外側面に沿うように流れる間に、日射熱を取得することができる。その後、暖められた外気は内窓3上部の室内側通気部5を通って室内に流入する。外気が室内側通気部5を通過する際にも、室内の熱で暖められた換気ブレス24や上枠19の熱を空気の流れによって回収する。0℃であった外気は、このように中間層9を外窓2の内側面と内窓3の外側面に沿って流れる間に18℃に暖められる。そうして暖められた外気を室内に取り入れることで、回収した熱を室内に戻すことができる。
このように、中間層9内を外窓2の内側面と内窓3の外側面に沿うように迂回して外気が流れることで、日射熱を取得できるとともに、室内から室外に伝わる熱を空気の流れによって回収し、室内に戻すことで、室内から室外への熱の損失がほとんどなくなり、これにより空気が流入する方向とは逆方向である室内側から室外側への熱輸送が妨げられ、非常に高い断熱性が得られると共に、外気を暖めて室内に導入するため、暖房負荷を抑えることができる。
【0016】
一方、排気側の二重窓1bでは、
図6(b)に示すように、ファン6(図示略)を回転させることで内窓3の室内側通気部5より内気がハニカムブラインド10より室内側の中間層9に流れ込み、その後、内気は内窓3のガラス23の室外側面に沿って下向きに流れ、中間層9の下部で折り返し、外窓2のガラス17の室内側面に沿って上昇し、外窓2の室外側通気部4を通って室外に排出される。このように、暖かい内気をハニカムブラインド10より室内側の中間層9に導入して下向きに流すことで、ハニカムブラインド10より室内側の中間層9の温度が室内の温度とほぼ同じになるため、二重窓1bからの温熱損失を抑制することができる。よって、暖房負荷を低減することができる。
【0017】
図7は夏期における給気側及び排気側の二重窓1a,1bの働きを示している。排気側の二重窓1bは、
図7(b)に示すように、ファン6(図示略)を回転させることで冷たい内気が内窓3の室内側通気部5よりハニカムブラインド10より室内側の中間層9に導入される。内気は、室外よりも温度が低いので、内窓3のガラス23の室外側面に沿って下向きに流れ、その後、中間層9の下部で折り返し、外窓2のガラス17等の熱が伝わることで外窓2のガラス17の室内側面に沿って上昇し、この間に日射熱を取得すると共に、ガラス17を通じて室外から室内に入ってくる熱を空気の流れによって回収する。25℃であった内気は、外窓2とハニカムブラインド10の間を通る間に日射熱を取得して46℃に暖められ、その後、外窓2の室外側通気部4を通って室外に放出される。内気が室外側通気部4を通過する際、上框13を伝って室内に入ってくる熱を空気の流れによって回収する。そして、内気が室外に放出されることで、日射熱とガラス17や上框13から回収した熱を室外に捨てる。このように、外窓2の内側面と内窓3の外側面に沿うように内気が流れることで、日射熱の取得を抑制できると共に、室外から室内に伝わる熱を空気の流れによって回収し室外に捨てることで、空気が流出する方向とは逆方向である室外側から室内側への熱輸送が妨げられ、優れた断熱効果を発揮して、室内が涼しく保たれる。よって、冷房負荷を抑えることができる。
【0018】
一方、給気側の二重窓1aでは、
図7(a)に示すように、ファン6(図示略)を回転させることで外窓2の室外側通気部4より流入した暖かい外気は、ハニカムブラインド10に当たって下向きに流れを変え、その後、外窓2のガラス17の内側面に沿い中間層9の下まで流れてから折り返し、内窓3のガラス23の室外側面に沿って上昇し、この間にガラス23から室外に逃げる冷熱を空気の流れによって回収する。これにより、30℃であった外気が27℃に冷やされる。その後、冷やされた外気は内窓3上部の室内側通気部5を通り、室内に流出する。このように、外気を二重窓1aに通すことで冷熱を回収し、外気を冷やしてから室内に導入することで、冷房負荷を抑えることができる。
【0019】
冬期においては、日射を受ける二重窓1a又は1bを給気側とし、日射を受けない二重窓1a又は1bを排気側とすることが好ましい。一方、夏期においては、日射を受けない二重窓1a又は1bを給気側とし、日射を受ける二重窓1a又は1bを排気側とすることが好ましい。そのため、室内側通気部5内に組み込むファン6を正逆回転可能で空気を流す方向を変更できるものとし、季節や時間帯によって給気側の二重窓1aと排気側の二重窓1bを切り替えるようにすることができる。
【0020】
上述の実施形態においては、給気側の二重窓1aと排気側の二重窓1bの両方にファン6を設けていたが、部屋7の気密性が高い場合には、給気側の二重窓1aと排気側の二重窓1bのどちらか一方にだけファン6が設けてあってもよい。給気側の二重窓1aにだけファン6が設けてあった場合は、ファン6を回転させて二重窓1aから外気を室内に導入することで室内が正圧になるから、他方の二重窓1bから内気が自然に室外に排出される。また、排気側の二重窓1bにだけファン6が設けてあった場合は、ファン6を回転させて二重窓1bから内気を室外に排出することで室内が負圧になるから、他方の二重窓1aから外気が自然に室内に導入される。なお、実施形態のように両方の二重窓1a,1bにファン6が設けてあれば、部屋7の気密性にかかわらず各二重窓1a,1bに一定の空気流量を確保し、換気が適正に行える。
【0021】
図9は、給気側の二重窓1aの他の実施形態を示している。本実施形態は、外窓2に通気部を設ける代わりに、外壁31から中間層9にわたって室外側通気部4を設けている。室外側通気部4内にはプロペラファン35が設けてあり、プロペラファン35の室内側を囲むように圧力チャンバー33が設けてある。圧力チャンバー33は、発泡スチロール等の断熱性を有する板材で6面体の箱状に形成され、断熱性と気密性を有するものとなっている。このように圧力チャンバー33を設けることで、プロペラファン35で吸い込んだ空気が圧力チャンバー33内の空間に閉じ込められることで圧力が高められ、圧力チャンバー33の下面側に設けた通気口32より空気が中間層9に流出する。本二重窓1aは、プロペラファン35を逆回転させることで、図中の矢印とは逆に、内気を室内から室外に流すこともできる。
【0022】
図10は、排気側の二重窓1bの他の実施形態を示している。本実施形態では、内窓3に通気部を設ける代わりに、内壁34から中間層9にわたって室内側通気部5を設けている。室内側通気部5内には、プロペラファン35が設けてある。本二重窓1bは、プロペラファン35を逆回転させることで、図中の矢印とは逆に、外気を室外から室内に流すこともできる。
【0023】
以上に述べたように本換気システムは、外窓2と内窓3と整流体10とを備え、室外空間から外窓2と内窓3の間の中間層9に通じる室外側通気部4と、中間層9から室内空間に通じる室内側通気部5を有し、整流体10は、中間層9に設けてあり、室外側通気部4又は室内側通気部5にファン6,35が設けてあり、ファン6,35を回転することで、外気が外窓2の内側面に沿って一方向に流れ、中間層9の端部付近で折り返し、内窓3の外側面に沿って他方向に流れてから室内に流入するか、内気が内窓3の外側面に沿って一方向に流れ、中間層9の端部付近で折り返し、外窓2の内側面に沿って他方向に流れてから室外に流出することで、冬期には室内から室外に逃げる熱を回収し(
図6(a)参照)、夏期には室外から室内に入ってくる熱を回収して室外に捨てることができ(
図7(b)参照)、これにより窓からの熱の出入りを減らし、冷暖房負荷を抑えることができる。室外側通気部4又は室内側通気部5にファン6,35を組み込むことで、必要な換気量を確保するのが容易であり、それに伴って冷暖房負荷を抑える効果が確実に発揮される。
また、本換気システムは、外窓2と内窓3からなる二重窓1a,1bを複数備え、各二重窓1a,1bについて、室外空間から外窓2と内窓3の間の中間層9に通じる室外側通気部4と、中間層9から室内空間に通じる室内側通気部5を有すると共に、中間層9に整流体10が設けてあり、全二重窓1a,1bの室外側通気部4と室内側通気部5のうちの少なくとも一つにファン6,35が設けてあり、ファン6,35を回転させることで、一方の二重窓1aに外気が外窓2の内側面に沿って一方向に流れ、中間層9の端部付近で折り返し、内窓3の外側面に沿って他方向に流れてから室内に流入し、他方の二重窓1bに内気が内窓3の外側面に沿って一方向に流れ、中間層9の端部付近で折り返し、外窓2の内側面に沿って他方向に流れてから室外に流出することで、冬期には一方の二重窓(給気側の二重窓)1aで室内から室外に逃げる熱を回収し(
図6(a)参照)、夏期には他方の二重窓(排気側の二重窓)2bで室外から室内に入ってくる熱を回収して室外に捨てることができ(
図7(b)参照)、これにより窓からの熱の出入りを減らし、冷暖房負荷を抑えることができる。室外側通気部4又は室内側通気部5にファンを組み込むことで、必要な換気量を確保するのが容易であり、それに伴って冷暖房負荷を抑える効果が確実に発揮される。一方の二重窓1aから外気が流入し、他方の二重窓1bから外気が流出するため、部屋の換気が効率よく行える。
本換気システムは、複数の二重窓1a,1bを部屋7の異なる方角の壁に設けたので、部屋7の空気全体を効率よく換気できる。また、各二重窓1a,1bにファン6を組み込んだので、部屋7の気密性にかかわらず換気が行える。
図3,5に示す実施形態は、外窓2に室外空間から中間層9に連通する室外側通気部4を有し、内窓3に中間層9から室内空間に連通する室内側通気部5を有し、室外側通気部4又は室内側通気部5にファン6を設けたので(図示のものは、室内側通気部5にファン6を設けている)、ファン6を設置するために壁に孔を開けたりする必要がなく、躯体開口部に外窓2と内窓3を設置するだけでよいため、施工が容易である。
【0024】
本発明は以上に述べた実施形態に限定されない。外窓と内窓の構造は適宜変更することができ、引違い窓に限らず、開き窓や嵌め殺し窓等であってもよい。外窓と内窓の枠は、一体に形成してあってもよい。
請求項中の「中間層の端部付近で折り返し」には、例えば、外窓の枠と内窓の枠が一体に形成してある場合に、枠よりも内周側で折り返すもの、枠の内部を通って折り返すもののいずれも含まれる。
室外側通気部と室内側通気部は、どこに設けてあってもよい。ファンは、外窓の通気部(室外側通気部)内に設けてあってもよい。ファンの構造は、適宜変更することができる。
整流体は、外窓と内窓間で下降する空気と上昇する空気とがぶつかり合って空気の流れが阻害されるのを防ぎ、外窓の内側面と内窓の外側面に沿うように迂回する空気の流れを形成できるものであればよく、板状のものやブラインドの他、ロールスクリーン等のスクリーンであってもよい。
本発明の換気システムは、二重窓を複数備えるものに限らず、一つの二重窓だけで構成することもできる。また、二重窓を複数備える場合に、二重窓の数は二つに限らず、三つ以上であってもよく、そのうちの少なくとも一つの二重窓の室外側通気部又は室内側通気部にファンが設けてあればよい。
【符号の説明】
【0025】
1a,1b 二重窓
2 外窓
3 内窓
4 室外側通気部
5 室内側通気部
6 クロスフローファン(ファン)
10 ハニカムブラインド(整流体)
35 プロペラファン(ファン)