(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-31
(45)【発行日】2023-11-09
(54)【発明の名称】連結構造、エアバッグ装置、及び車両用シート
(51)【国際特許分類】
F16L 27/08 20060101AFI20231101BHJP
B60R 21/261 20110101ALI20231101BHJP
B60R 21/207 20060101ALI20231101BHJP
B60N 2/42 20060101ALI20231101BHJP
B60N 2/22 20060101ALI20231101BHJP
【FI】
F16L27/08 C
B60R21/261
B60R21/207
B60N2/42
B60N2/22
(21)【出願番号】P 2020028670
(22)【出願日】2020-02-21
【審査請求日】2022-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000002901
【氏名又は名称】株式会社ダイセル
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福本 健二
(72)【発明者】
【氏名】橋爪 智樹
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 征幸
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】特開平7-332558(JP,A)
【文献】実開平6-54988(JP,U)
【文献】特開平6-147377(JP,A)
【文献】米国特許第6158781(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 27/08
B60R 21/261
B60R 21/207
B60N 2/42
B60N 2/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体供給源から流体供給対象へ流体を導くための流路の少なくとも一部を形成する、上流管及び前記上流管の下流側に配置された下流管を連結する連結構造であって、
前記上流管と前記下流管とのうちの一方である第1管のうち、前記第1管の開口を含む一端部によって形成された第1連結部と、
前記上流管と前記下流管とのうちの他方である第2管のうち、前記第2管の開口を含む一端部によって形成された第2連結部と、
を含み、
前記第1管の開口が前記第2連結部の内側に位置するように、前記第1連結部が前記第2管の開口から前記第2連結部に挿入されており、
少なくとも前記流体が前記流路を流れていない第1の状態において前記第2管が前記第1管に対して所定範囲の角度で回動可能となるように、前記第1連結部と前記第2連結部とが連結されており、
前記第1の状態では、前記第2管の前記第1管に対する回動が阻害されないように前記第1連結部の外面と前記第2連結部の内面との間に隙間が形成され、且つ、前記流体が前記流路を流れている第2の状態では、前記第1連結部に作用する前記流体の圧力により前記第1連結部が前記流路の外側へ膨らむように変形することで、前記第1の状態よりも前記隙間が小さくなるように、構成されている、
連結構造。
【請求項2】
前記第1連結部の外面と前記第2連結部の内面との間には、前記隙間を閉塞するための部材が介在しない、
請求項1に記載の連結構造。
【請求項3】
前記第1連結部は前記上流管の開口を含む一端部によって形成されており、
前記第2連結部は前記下流管の開口を含む一端部によって形成されている、
請求項1又は2に記載の連結構造。
【請求項4】
前記第2の状態において前記第1連結部が前記第2連結部に対して優先的に変形するように、前記第1連結部の剛性が前記第2連結部の剛性よりも低く設定されている、
請求項1から3の何れか一項に記載の連結構造。
【請求項5】
前記第1連結部を形成する材料の弾性率が前記第2連結部を形成する材料の弾性率よりも低くなっている、
請求項4に記載の連結構造。
【請求項6】
前記第1連結部の少なくとも一部が前記第2連結部よりも薄肉に形成されている、
請求項4又は5に記載の連結構造。
【請求項7】
前記第2連結部に外側から当接することで前記第2の状態における前記第2連結部の変形を規制する、規制部が設けられている、
請求項1から6の何れか一項に記載の連結構造。
【請求項8】
前記第1管の延伸方向と直交する方向に延びる回動軸を形成し、少なくとも前記第1の状態において前記第2管が前記第1管に対して前記回動軸回りに所定範囲の角度で回動可能となるように、前記第1連結部と前記第2連結部とを連結する連結軸部を、更に備え、
前記連結軸部は、前記第1連結部と前記第2連結部とを貫通すると共に前記回動軸を形成する棒状の軸本体部と、前記軸本体部の両端に設けられ、前記第2連結部の外面に当接することで前記第2連結部を挟持する挟持部と、を含み、
前記挟持部は、前記規制部として形成されている、
請求項7に記載の連結構造。
【請求項9】
少なくとも前記第1の状態において前記第2管が前記第1管に対して前記第1管の延伸方向と直交する方向に延びる回動軸回りに所定範囲の角度で回動可能となるように、前記第1連結部と前記第2連結部とが連結されており、
前記第1連結部の外面は、前記回動軸方向に直交する一対の第1平坦面と、前記一対の第1平坦面の一側端の縁同士と他側端の縁同士をそれぞれ接続すると共に前記回動軸を中心とした円弧状の面を成すように湾曲した一対の第1円弧面と、を含み、
前記第2連結部の内面は、前記回動軸方向に直交し、前記一対の第1平坦面と対向する一対の第2平坦面と、前記一対の第2平坦面の一側端の縁同士と他側端の縁同士をそれぞれ接続すると共に前記回動軸を中心とした円弧状の面を成すように湾曲し、前記一対の第1円弧面と対向する一対の第2円弧面と、を含む、
請求項1から8の何れか一項に記載の連結構造。
【請求項10】
ガスの供給源であるインフレータと、
前記ガスの供給対象であって、前記ガスの供給により展開するエアバッグと、
前記インフレータから前記エアバッグへ前記ガスを導くための流路の少なくとも一部を形成する、上流管及び前記上流管の下流側に配置された下流管と、
前記上流管と前記下流管とを連結する連結構造と、
を備えるエアバッグ装置であって、
前記連結構造は、
前記上流管と前記下流管とのうちの一方である第1管のうち、前記第1管の開口を含む一端部によって形成された第1連結部と、
前記上流管と前記下流管とのうちの他方である第2管のうち、前記第2管の開口を含む一端部によって形成された第2連結部と、
を含み、
前記第1管の開口が前記第2連結部の内側に位置するように、前記第1連結部が前記第2管の開口から前記第2連結部に挿入されており、
少なくとも前記ガスが前記流路を流れていない第1の状態において前記第2管が前記第1管に対して所定範囲の角度で回動可能となるように、前記第1連結部と前記第2連結部とが連結されており、
前記第1の状態では、前記第2管の前記第1管に対する回動が阻害されないように前記第1連結部の外面と前記第2連結部の内面との間に隙間が形成され、且つ、前記ガスが前記流路を流れている第2の状態では、前記第1連結部に作用する前記ガスの圧力により前記第1連結部が前記流路の外側へ膨らむように変形することで、前記第1の状態よりも前記隙間が小さくなるように、構成されている、
エアバッグ装置。
【請求項11】
請求項10に記載のエアバッグ装置を備える車両用シート。
【請求項12】
乗員の臀部を支持する座面部と、
前記乗員の背部を支持すると共に前記座面部に対して傾倒可能に設けられた背もたれ部と、を含み、
前記インフレータは、前記座面部に配置され、
前記エアバッグは、前記背もたれ部に配置され、
前記第2管が前記第1管に対して回動するための回動軸と前記背もたれ部が傾倒するための回動軸とが一致するように、前記連結構造が設けられている、
請求項11に記載の車両用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連結構造、連結構造を備えたエアバッグ装置、及びエアバッグ装置を備えた車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
流体が流通可能な2つの管を連結する構造として、一方の管が他方の管に対して回動可能となるように2つの管を連結する構造が知られている。例えば、特許文献1には、流体が流れ込むチャンバを有するホルダーと該流体の通路を内部に有するシャフトとを、接続体がホルダーに対して回動可能となるように連結する管状回転継手が開示されている。この管状回転継手では、チャンバを通る支持孔をホルダー内に形成し、支持孔によってシャフトを軸支することで、シャフトをホルダーに対して回動可能としている。また、この管状回転継手には、チャンバを密封するためにホルダーとシャフトとの間にシール部材を設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されている管状回転継手では、ホルダーとシャフトとの間にシール部材が介在しているため、このシール部材がシャフトの回動に影響を及ぼす可能性がある。また、シール部材によってホルダーやシャフトが摩耗し、不具合が生じる虞がある。
【0005】
本開示の技術は、上記した実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、流体が流通可能な2つの流管を、一方の流管が他方の流管に対して回動可能となるように連結する構造において、回動の円滑性と流体のシール性とを両立することのできる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示の技術は以下の構成を採用した。すなわち、本開示の技術は、流体供給源から流体供給対象へ流体を導くための流路の少なくとも一部を形成する、上流管及び前記上流管の下流側に配置された下流管を連結する連結構造であって、前記上流管と前記下流管とのうちの一方である第1管のうち、前記第1管の開口を含む一端部によって形成された第1連結部と、前記上流管と前記下流管とのうちの他方である第2管のうち、前記第2管の開口を含む一端部によって形成された第2連結部と、を含み、前記第1管の開口が前記第2連結部の内側に位置するように、前記第1連結部が前記第2管の開口から前記第2連結部に挿入されており、少なくとも前記流体が前記流路を流れていない第1の状態において前記第2管が前記第1管に対して所定範囲の角度で回動可能となるように、前記第1連結部と前記第2連結部とが連結されており、前記第1の状態では、前記第2管の前記第1管に対する回動が阻害されないように前記第1連結部の外面と前記第2連結部の内面との間に隙間が形成され、且つ、前記流体が前記流路を流れている第2の状態では、前記第1連結部に作用する前記流体の圧力により前記第1連結部が前記流路の外側へ膨らむように変形することで、前記第1の状態よりも前記隙間が小さくなるように、構成されている、連結構造である。
【0007】
つまり、本開示に係る連結構造は、第1の状態においては、第2管の第1管に対する回動が阻害されないように、第1連結部の外面と第2連結部の内面との間に隙間を形成し、且つ、第2の状態においては、第1の状態よりも上記隙間が小さくなるように、流体の圧力により第1連結部を変形させる。その結果、本開示の連結構造によれば、第1の状態における第1管の第2管に対する回動の円滑性と第2の状態における流体のシール性とを両立させることができる。なお、「隙間を小さくする」には、隙間を無くすことも含まれる。
【0008】
また、本開示の連結構造において、前記第1連結部の外面と前記第2連結部の内面との間には、前記隙間を閉塞するための部材が介在しないようにしてもよい。これにより、第1の状態において、より円滑に第2管を第1管に対して回動させることができる。
【0009】
また、本開示の連結構造において、前記第1連結部は前記上流管の開口を含む一端部によって形成されており、前記第2連結部は前記下流管の開口を含む一端部によって形成されていてもよい。これによると、流路において流体は上流管から下流管へ流れることから、流体の圧力は、下流管に形成された第2連結部よりも先に、上流管に形成された第1連結部に対して作用する。そのため、第2連結部が流体の圧力により変形する場合であっても、第1連結部を第2連結部よりも先に流路の外側へ膨らむように変形させることができる。その結果、第2の状態において、速やかに第1連結部と第2連結部21との隙間を小さくし、流体のシール性を早期に高めることができる。
【0010】
また、本開示の連結構造において、前記第2の状態において前記第1連結部が前記第2連結部に対して優先的に変形するように、前記第1連結部の剛性が前記第2連結部の剛性よりも低く設定されていてもよい。これによれば、第2の状態において、第1連結部と第2連結部に流体の圧力が同等に作用した場合に、第1連結部を第2連結部よりも優先して流路の外側へ膨らむように変形させることができる。これにより、第2の状態において第1連結部の外面と第2連結部の内面との隙間を小さくし易くすることができる。
【0011】
また、上記の連結構造において、前記第1連結部を形成する材料の弾性率が前記第2連結部を形成する材料の弾性率よりも低くしてもよい。これにより、第1連結部の剛性を第2連結部の剛性よりも低くすることができる。弾性率は、流体の圧力によって連結部に作用する応力の大きさと該応力によって生じる連結部の歪みの大きさとを用いて、(応力/
歪み)の比率で表すことができる。
【0012】
また、上記の連結構造において、前記第1連結部の少なくとも一部が前記第2連結部よりも薄肉に形成されていてもよい。これによっても、第1連結部の剛性を第2連結部の剛性よりも低くすることができる。
【0013】
また、本開示の連結構造において、前記第2連結部に外側から当接することで前記第2の状態における前記第2連結部の変形を規制する、規制部が設けられていてもよい。これにより、第2の状態において第2連結部が流路の外側へ膨らむように変形することを規制できる。その結果、第2の状態において、第1連結部の外面が第2連結部の内面に接近し易くすることができ、第1連結部と第2連結部との隙間を小さくし易くできる。
【0014】
また、上記の連結構造は、前記第1管の延伸方向と直交する方向に延びる回動軸を形成し、少なくとも前記第1の状態において前記第2管が前記第1管に対して前記回動軸回りに所定範囲の角度で回動可能となるように、前記第1連結部と前記第2連結部とを連結する連結軸部を、更に備え、前記連結軸部は、前記第1連結部と前記第2連結部とを貫通すると共に前記回動軸を形成する棒状の軸本体部と、前記軸本体部の両端に設けられ、前記第2連結部の外面に当接することで前記第2連結部を挟持する挟持部と、を含み、前記挟
持部が、前記規制部として形成されていてもよい。
【0015】
また、本開示の連結構造において、少なくとも前記第1の状態において前記第2管が前記第1管に対して前記第1管の延伸方向と直交する方向に延びる回動軸回りに所定範囲の角度で回動可能となるように、前記第1連結部と前記第2連結部とが連結されており、前記第1連結部の外面は、前記回動軸方向に直交する一対の第1平坦面と、前記一対の第1平坦面の一側端の縁同士と他側端の縁同士をそれぞれ接続すると共に前記回動軸を中心とした円弧状の面を成すように湾曲した一対の第1円弧面と、を含み、前記第2連結部の内面は、前記回動軸方向に直交し、前記一対の第1平坦面と対向する一対の第2平坦面と、前記一対の第2平坦面の一側端の縁同士と他側端の縁同士をそれぞれ接続すると共に前記回動軸を中心とした円弧状の面を成すように湾曲し、前記一対の第1円弧面と対向する一対の第2円弧面と、を含んでもよい。これによると、第1連結部と第2連結部とで互いに対向する面同士(第1平坦面と第2平坦面、第1円弧面と第2円弧面)が相似となる。これにより、第1の状態において、第2管の第1管に対する角度によらず(つまり、第2管の姿勢によらず)、上記隙間の大きさを一定とすることができる。その結果、第1の状態においては第2管の第1管に対する回動をより円滑化でき、且つ、第2の状態においては第2管の第1管に対する角度によらずに安定したシール性を確保できる。
【0016】
また、本開示の技術は、上述の連結構造を備えるエアバッグ装置としても特定することができる。即ち、本開示の技術は、ガスの供給源であるインフレータと、前記ガスの供給対象であって、前記ガスの供給により展開するエアバッグと、前記インフレータから前記エアバッグへ前記ガスを導くための流路の少なくとも一部を形成する、上流管及び前記上流管の下流側に配置された下流管と、前記上流管と前記下流管とを連結する連結構造と、を備えるエアバッグ装置であって、前記連結構造は、前記上流管と前記下流管とのうちの一方である第1管のうち、前記第1管の開口を含む一端部によって形成された第1連結部と、前記上流管と前記下流管とのうちの他方である第2管のうち、前記第2管の開口を含む一端部によって形成された第2連結部と、を含み、前記第1管の開口が前記第2連結部の内側に位置するように、前記第1連結部が前記第2管の開口から前記第2連結部に挿入されており、少なくとも前記ガスが前記流路を流れていない第1の状態において前記第2管が前記第1管に対して所定範囲の角度で回動可能となるように、前記第1連結部と前記第2連結部とが連結されており、前記第1の状態では、前記第2管の前記第1管に対する回動が阻害されないように前記第1連結部の外面と前記第2連結部の内面との間に隙間が形成され、且つ、前記ガスが前記流路を流れている第2の状態では、前記第1連結部に作用する前記ガスの圧力により前記第1連結部が前記流路の外側へ膨らむように変形することで、前記第1の状態よりも前記隙間が小さくなるように、構成されている、エアバッグ装置であってもよい。
【0017】
また、本開示の技術は、上述のエアバッグ装置を備える車両用シートであってもよい。
【0018】
また、上記の車両用シートは、乗員の臀部を支持する座面部と、前記乗員の背部を支持すると共に前記座面部に対して傾倒可能に設けられた背もたれ部と、を含み、前記インフレータは、前記座面部に配置され、前記エアバッグは、前記背もたれ部に配置され、前記第2管が前記第1管に対して回動するための回動軸と前記背もたれ部が傾倒するための回動軸とが一致するように、前記連結構造が設けられていてもよい。これによると、インフレータを背もたれ部に配置せずに、座面部に配置することで、背もたれ部にインフレータを配置する構造と比較して、背もたれ部を薄型化できる。このとき、座面部に配置されたインフレータから背もたれ部に配置されたエアバッグへガスを供給する構造としているため、下流管が背もたれ部の傾倒動作に連動することが求められる。これに対して、本開示の車両用シートは、第2管の回動軸と背もたれ部の回動軸とを一致させることで、背もたれ部の傾倒動作に対して下流管を好適に連動させることができる。
【発明の効果】
【0019】
本開示に係る技術によれば、流体が流通可能な2つの流管を、一方の流管が他方の流管に対して回動可能となるように連結する構造において、回動の円滑性と流体のシール性とを両立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、実施形態1に係るエアバッグ装置を備えた車両用シートにおいてシートバックが起立姿勢にある状態を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態1に係るエアバッグ装置を備えた車両用シートにおいてシートバックが傾倒姿勢にある状態を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態1に係るエアバッグ装置の斜視図である。
【
図4】
図4(A)及び
図4(B)は、上流管を説明するための図である。
【
図5】
図5(A)及び
図5(B)は、下流管を説明するための図である。
【
図6】
図6は、エアバッグ装置の各部材の連結を説明するための図(1)である。
【
図7】
図7は、エアバッグ装置の各部材の連結を説明するための図(2)である。
【
図8】
図8は、下流管が上流管に対して第2回動軸回りの第1の方向に最大限回動した状態を示す図である。
【
図9】
図9は、下流管が上流管に対して第2回動軸回りの第2の方向に最大限回動した状態を示す図である。
【
図10】
図10は、第1の状態における実施形態1に係る連結構造を示す図(1)である。
【
図11】
図11は、第1の状態における実施形態1に係る連結構造を示す図(2)である。
【
図12】
図12は、第2の状態における実施形態1に係る連結構造を示す図(1)である。
【
図13】
図13は、第2の状態における実施形態1に係る連結構造を示す図(2)である。
【
図14】
図14は、第1の状態における実施形態2に係る連結構造を示す図である。
【
図15】
図15は、第2の状態における実施形態2に係る連結構造を示す図である。
【
図16】
図16は、第1の状態における実施形態2の変形例に係る連結構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本開示の技術は、流体供給源から流体供給対象へ流体を導くための流路において上流側に位置する上流管と、下流側に位置して上流管と共に流路の少なくとも一部を形成する下流管と、を連結する連結構造である。以下に、本開示の実施形態として、インフレータ(流体供給源の一例)から供給されるガス(流体の一例)によりエアバッグ(流体供給対象の一例)を膨張展開させるエアバッグ装置に本開示に係る連結構造を適用した例について、図面を参照して説明する。なお、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は、一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲内で、適宜、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。本発明は、実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0022】
<実施形態1>
図1は、実施形態1に係るエアバッグ装置を備えた車両用シートにおいてシートバックが起立姿勢にある状態を示す図である。
図2は、実施形態に係るエアバッグ装置を備えた車両用シートにおいてシートバックが傾倒姿勢にある状態を示す図である。車両用シート
S10は、車両の乗員が着座するものである。なお、本明細書において、車両用シートS10の前後方向(奥行方向)、左右方向(幅方向)、上下方向(高さ方向)の各方向は、車両用シートS10に着座した乗員(着座者)から見た、前後、左右、上下の各方向を基準として説明する。
【0023】
[全体構成]
図1及び
図2に示すように、車両用シートS10は、着座する乗員の体の各部に対応して、乗員の臀部を支持するシートクッション(座面部)S1と、乗員の背部を支持するシートバック(背もたれ部)S2と、乗員の頭部を支持するヘッドレストS3と、を備える。シートバックS2は、シートクッションS1の後端部に接続されており、シートクッションS1に対して傾倒可能に設けられている。車両用シートS10は、乗員の操作に応じてシートバック回動軸A10周りにシートバックS2を回動させることで、
図1に示すシートバックS2が起立した起立姿勢から
図2に示すシートバックS2が傾倒した傾倒姿勢の範囲で、シートバックS2の姿勢を変化させることができる。これにより、シートバックS2の角度を調整可能となっている。以下、シートバックS2が起立姿勢と傾倒姿勢との間で姿勢を変化させる動作を、傾倒動作と呼ぶ。ヘッドレストS3は、シートバックS2の上端部に接続されており、シートバックS2に対して上下動可能に設けられている。
【0024】
[エアバッグ装置]
図1及び
図2に示すように、本実施形態に係る車両用シートS10は、車両の衝突時にエアバッグを膨張展開させて乗員を拘束し、保護するエアバッグ装置100を備える。
図3は、本実施形態に係るエアバッグ装置100の斜視図である。
図3に示すように、エアバッグ装置100は、ガスの供給源であるインフレータ10と、ガスの供給対象であって、ガスの供給により膨張展開する第1エアバッグ20及び第2エアバッグ30と、を備える。本実施形態に係るエアバッグ装置100は、シートバックS2にインフレータを配置せずに、シートクッションS1に配置されたインフレータによって各エアバッグへガスを供給する構造を採用している。これにより、シートバックにインフレータを配置する構造と比較して、シートバックの薄型化が実現されている。エアバッグ装置100は、更に、上流管1、下流管2、連結軸部3、第1導管4、及び第2導管5を備える。以下、エアバッグ装置100の各構成について説明する。
【0025】
[インフレータ]
インフレータ10は、シートクッションS1に配置され、第1エアバッグ20や第2エアバッグ30へガスを供給する。インフレータ10は、シリンダー状に形成されており、車両に搭載されたエアバッグECUの制御により作動することで、その内部からガスを排出する。なお、本開示に係るインフレータがガスを発生させる方式は、特に限定されない。ガス発生器の方式は、固形ガス発生剤を燃焼させることでガスを発生させるパイロ方式、加圧ガスを使用するストアードガス方式、パイロ方式とストアードガス方式とを組み合わせたハイブリッド方式等が挙げられる。
【0026】
[エアバッグ]
第1エアバッグ20及び第2エアバッグ30は、乗員の各部位に対応して車両用シートS10の各部に配置(格納)されている。具体的には、第1エアバッグ20は、胸部用のエアバッグであり、シートバックS2に配置されている。第1エアバッグ20は、ガスの供給により膨張展開して乗員の胸部を拘束することで、乗員の胸部を保護する。第1エアバッグ20は、本開示に係る「エアバッグ」に相当する。また、第2エアバッグ30は、大腿部用のエアバッグであり、シートクッションS1に配置されている。第2エアバッグ30は、ガスの供給により膨張展開して乗員の大腿部を持ち上げることで、乗員が車両用シートS10の前方へ潜り込むような姿勢となること(所謂サブマリン現象)を防止する。但し、本開示の技術に係るエアバッグは、胸部用のエアバッグや大腿部用(サブマリン
現象防止用)のエアバッグに限定されない。
【0027】
[流管]
上流管1、下流管2、第1導管4、及び第2導管5は、ガスが流通可能な流管であり、各エアバッグへガスを供給するための流路を形成する。ここで、符号F1は、インフレータ10から第1エアバッグ20へガスを導くための流路を示す。エアバッグ装置100では、流路F1の上流側から下流側へ順に、インフレータ10、上流管1、下流管2、第1導管4、第1エアバッグ20が連結し、これらが連通している。これにより、上流管1と下流管2と第1導管4とによって、流路F1が形成されている。つまり、インフレータ10から排出されたガスの一部は、インフレータ10から上流管1、下流管2、第1導管4の順で流れ、第1エアバッグ20に供給される。また、符号F2は、インフレータ10から第2エアバッグ30へガスを導くための流路を示す。エアバッグ装置100では、符号F2の上流側から下流側へ順に、インフレータ10、上流管1、第2導管5、第2エアバッグ30が連結し、これらが連通している。つまり、インフレータ10から排出されたガスの一部は、インフレータ10から上流管1、第2導管5の順で流れ、第2エアバッグ30に供給される。
【0028】
ここで、エアバッグ装置100では、上流管1がインフレータ10との連通状態を維持しながらインフレータ10に対して回動可能となるようにインフレータ10と上流管1とが連結されており、下流管2が上流管1との連通状態を維持しながら上流管1に対して回動可能となるように上流管1と下流管2とが連結されている。
図3の符号A1は、上流管1がインフレータ10に対して回動するための第1回動軸を示す。また、符号A2は、下流管2が上流管1に対して回動するための第2回動軸を示す。第1回動軸A1及び第2回動軸A2は、上流管1の延伸方向と直交する方向に延びている。また、
図1及び
図2に示すように、第1回動軸A1及び第2回動軸A2は、シートバックS2が傾倒するためのシートバック回動軸A10と平行となっており、第2回動軸A2はシートバック回動軸A10と一致している。
【0029】
図4(A)及び
図4(B)は、上流管1を説明するための図である。本実施形態では、上流管1を本開示に係る「第1管」としている。上流管1は、樹脂材料により管状に形成されている。符号P1は、上流管1の内部空間を示す。上流管1の一端部には、第1エアバッグ20へ供給されるガスが内部空間P1から流出する開口である第1流出開口110が形成されている。第1流出開口110は、内部空間P1と繋がっている。また、上流管1の他端部には、第2エアバッグ30へ供給されるガスが内部空間P1から流出する開口である第2流出開口120が形成されている。第2流出開口120は、内部空間P1と繋がっている。
【0030】
ここで、上流管1の両端部のうち、第1流出開口110を含む端部(上記一端部)は、上流管1と下流管2とを連結するための第1連結部11を形成している。第1連結部11は、即ち、上流管1のうち第1流出開口110を含む一部位によって形成されている。第1連結部11には、第2回動軸A2方向に第1連結部11を貫通する貫通孔11aが形成されている。貫通孔11aの中心軸は、第2回動軸A2と一致している。貫通孔11aは、上流管1の内部空間P1と繋がっている。
【0031】
第1連結部11は、互いに対向する一対の第1平坦壁111,111と、互いに対向する一対の第1円弧壁112,112と、を含む。一対の第1平坦壁111,111は、第2回動軸A2方向に直交する方向に延びている。一対の第1円弧壁112,112は、一対の第1平坦壁111,111の一側端の縁同士と他側端の縁同士をそれぞれ接続する壁である。
図4(A)に示すように、一対の第1円弧壁112,112は、第2回動軸A2を中心として円弧状に湾曲している。
【0032】
これにより、第1連結部11の外面(内部空間P1を画定する面とは反対側の面)のうち、一対の第1平坦壁111,111における面である一対の第1平坦面111S,111Sは、第2回動軸A2方向に直交するように延びている。また、第1連結部11の外面のうち、一対の第1円弧壁112,112における面である一対の第1円弧面112S,112Sは、一対の第1平坦面111S,111Sの一側端の縁同士と他側端の縁同士をそれぞれ接続すると共に第2回動軸A2を中心とした円弧状の面を成すように湾曲している。
【0033】
また、上流管1の両端部のうち、第2流出開口120を含む端部(上記他端部)は、インフレータ10と上流管1とを連結するためのインフレータ連結部12を形成している。インフレータ連結部12は、即ち、上流管1のうち第2流出開口120を含む一部位によって形成されている。インフレータ連結部12には、第1回動軸A1方向にインフレータ連結部12を貫通する貫通孔12aが形成されている。貫通孔12aの中心軸は、第1回動軸A1と一致している。貫通孔12aは、上流管1の内部空間P1と繋がっている。
【0034】
図5(A)及び
図5(B)は、下流管2を説明するための図である。本実施形態では、下流管2を本開示に係る「第2管」としている。下流管2は、金属材料により管状に形成されている。符号P2は、下流管2の内部空間を示す。下流管2の一端部には、上流管1の第1流出開口110から流出したガスが下流管2の内部空間P2へ流入する開口である流入開口210が形成されている。流入開口210は、内部空間P2と繋がっている。また、下流管2の他端部には、第1エアバッグ20へ供給されるガスが内部空間P2から流出する開口である流出開口220が形成されている。流出開口220は、内部空間P2と繋がっている。
【0035】
ここで、下流管2の両端部のうち、流入開口210を含む端部(上記一端部)は、上流管1と下流管2とを連結するための第2連結部21を形成している。第2連結部21は、即ち、下流管2のうち流入開口210を含む一部位によって形成されている。第2連結部21には、第2回動軸A2方向に第2連結部21を貫通する貫通孔21aが形成されている。貫通孔21aの中心軸は、第2回動軸A2と一致している。貫通孔21aは、下流管2の内部空間P2と繋がっている。
【0036】
第2連結部21は、互いに対向する一対の第2平坦壁211,211と、互いに対向する一対の第2円弧壁212,212と、を含む。一対の第2平坦壁211,211は、第2回動軸A2方向に直交する方向に延びている。一対の第2円弧壁212,212は、一対の第2平坦壁211,211の一側端の縁同士と他側端の縁同士をそれぞれ接続する壁である。
図5(A)に示すように、一対の第2円弧壁212,212は、第2回動軸A2を中心として円弧状に湾曲している。
【0037】
これにより、第2連結部21の内面(内部空間P2を画定する面)のうち、一対の第2平坦壁211,211における面である一対の第2平坦面211S,211Sは、第2回動軸A2方向に直交するように延びている。また、第1連結部11の外面のうち、一対の第2円弧壁212,212における面である一対の第2円弧面212S,212Sは、一対の第2平坦面211S,211Sの一側端の縁同士と他側端の縁同士をそれぞれ接続すると共に第2回動軸A2を中心とした円弧状の面を成すように湾曲している。
【0038】
[各部材の連結について]
図6及び
図7は、エアバッグ装置100の各部材の連結を説明するための図である。
図6は、第1回動軸A1及び第2回動軸A2に沿う断面を示している。
図7は、第1回動軸A1及び第2回動軸A2に直交する断面を示している。
図6及び
図7では、上流管1の延
伸方向と下流管2の延伸方向とが一致するように(即ち、上流管1と下流管2とが真っ直ぐとなるように)、上流管1と下流管2の姿勢が定められている。なお、
図6及び
図7では、インフレータ10が作動する前の状態、即ち、流路F1にガスが流れていない状態(以下、第1の状態とも呼ぶ)が示されている。なお、
図6及び
図7の符号P4及びP5は、それぞれ、第1導管4及び第2導管5の内部空間を示す。第1エアバッグ20へ供給されるガスが流れる流路F1は、上流管1の内部空間P1と下流管2の内部空間P2と第1導管4の内部空間P4とによって形成されている。また、第2エアバッグ30へ供給されるガスが流れる流路F2は、上流管1の内部空間P1と第2導管5の内部空間P5とによって形成されている。以下、インフレータ10と上流管1との連結、及び上流管1と下流管2との連結について詳細に説明する。
【0039】
[インフレータと上流管との連結]
まず、インフレータと上流管の連結について説明する。
図6に示すように、インフレータ10にはカップ状のディフューザ101が突出して設けられており、ディフューザ101の周壁1011にはガスを排出する複数のガス排出孔101aが周方向に並んで形成されている。また、ディフューザ101の先端には、ボルトB1が突出している。
【0040】
ディフューザ101がインフレータ連結部12の貫通孔12aから上流管1の内部空間P1に挿入され、貫通孔12aから突出したボルトB1にナットN1が取り付けられることで、上流管1がインフレータ10に連結されている。
【0041】
上流管1は、ディフューザ101に軸支された状態となっており、インフレータ連結部12においてディフューザ101の周壁を摺動しながら第1回動軸A1回りに回動可能となっている。また、ディフューザ101が貫通孔12aから抜け落ちることがナットN1によって防止され、インフレータ10と上流管1との連結状態が維持されている。
【0042】
また、
図7に示すように、ディフューザ101の周壁1011は、上流管1の内部空間P1に取り囲まれている。そのため、周壁1011に形成された複数のガス排出孔101aから排出されたガスが内部空間P1に流入するようになっている。
【0043】
[上流管と下流管との連結]
次に、上流管1と下流管2との連結について説明する。
図6及び
図7に示すように、上流管1の第1連結部11と下流管2の第2連結部21とが連結軸部3を介して連結することで、上流管1と下流管2とが連結されている。連結軸部3は、棒状の軸本体部31と、軸本体部31の両端に設けられ、軸本体部31よりも拡径した挟持部32と、を有する。
【0044】
ここで、上流管1の第1連結部11と下流管2の第2連結部21と連結軸部3とを含む、上流管1と下流管2とを連結するための構成を、連結構造40とする。
図6に示すように、連結構造40では、上流管1の第1流出開口110が第2連結部21の内側に位置するように、第1連結部11が下流管2の流入開口210から第2連結部21に挿入されている。そして、連結軸部3の軸本体部31が第1連結部11の貫通孔11aと第2連結部21の貫通孔21aとを貫通した状態で、挟持部32が第2連結部21を第2回動軸A2の方向の両側から挟持することで、第1連結部11と第2連結部21とが連結されている。
【0045】
これにより、軸本体部31によって第2回動軸A2が形成され、下流管2が第2回動軸A2回りに回動可能となるように連結軸部3に軸支されている。また、挟持部32が第2連結部21の第2平坦壁211に外側から当接することで、連結軸部3が貫通孔11aと貫通孔21aから抜け落ちることが防止され、第1連結部11と第2連結部21との連結状態が維持されている。
【0046】
上流管1と下流管2とが連結されることで、上流管1の内部空間P1と下流管2の内部空間P2とが連なり、流路F1の一部が形成されている。なお、エアバッグ装置は、第1導管4を含まずに、上流管1と下流管2とによって流路F1の全部が形成されてもよい。つまり、下流管2が第1導管4を介さずに第1エアバッグ20に直接連結されてもよい。
【0047】
ここで、シートクッションS1にインフレータ10を配置し、シートバックS2に胸部用の第1エアバッグ20を配置した車両用シートS10では、
図1及び
図2に示されるようなシートバックS2の姿勢変化に対応して下流管2が姿勢を変化させることが求められる。そのため、シートバックS2の傾倒動作に連動できるように、少なくとも第1の状態において下流管2が上流管1に対して第2回動軸A2回りに所定範囲の角度で回動可能となっている。ここで、所定範囲は、少なくともシートバックS2の傾倒動作に下流管2が連動するために求められる角度の範囲以上となるように定められる。
【0048】
図8は、下流管2が上流管1に対して第2回動軸A2回りの第1の方向R1に最大限回動した状態を示す図である。また、
図9は、下流管2が上流管1に対して第2回動軸A2回りの第2の方向R2に最大限回動した状態を示す図である。
図8及び
図9は、第1回動軸A1及び第2回動軸A2に直交する断面を示している。第1の方向R1と第2の方向R2は、互いに反対方向である。また、
図8及び
図9は、ガスが流路F1を流れていない第1の状態を示している。下流管2は、少なくとも第1の状態において、上流管1に対して第2回動軸A2回りに
図8に示される角度から
図9に示される角度の範囲で回動可能となっている。
図8及び
図9に示すように、連結構造40では、ガスが流路F1を流れているか否かに関わらず、所定範囲の角度において、上流管1の第1流出開口110が第2連結部21の内側(即ち、内部空間P2)に位置するように第1連結部11が第2連結部21に挿入された状態が、維持されるようになっている。そのため、下流管2の上流管1に対する角度によらず(つまり、下流管2の姿勢によらず)、上流管1の第1流出開口110が第2連結部21に覆われた状態となっており、上流管1の第1流出開口110から流出したガスが下流管2の内部空間P2に流入可能となっている。また、下流管2の姿勢によらず、第1連結部11の第1平坦面111Sと第2連結部21の第2平坦面211Sとが対向し、且つ第1連結部11の第1円弧面112Sと第2連結部21の第2円弧面212Sとが対向した状態が、維持されている。
【0049】
[エアバッグの展開動作]
次に、実施形態に係るエアバッグ装置100のエアバッグの展開動作について説明する。図示しない衝突センサからの信号に基づいてエアバッグECUが車両の衝突を検出すると、インフレータ10に作動電流(着火電流)が供給される。これにより、インフレータ10が作動し、ガス排出孔101aからガスが噴出される。ガス排出孔101aから噴出されたガスは、上流管1の内部空間P1に流入する。上流管1の内部空間P1に流入したガスの一部は、上流管1を流れて第1流出開口110を介して下流管2の内部空間P2に流入する。下流管2の内部空間P2に流入したガスは、下流管2を流れて流出開口220を介して第1導管4の内部空間P4に流入する。第1導管4の内部空間P4に流入したガスは、第1導管4を流れて第1エアバッグ20に流入する。以上のようにして、インフレータ10から上流管1に流入したガスの一部が流路F1を流れて第1エアバッグ20に供給される。これにより、第1エアバッグ20が膨張展開する。また、インフレータ10から上流管1に流入したガスの残部は、第2流出開口120を介して第2導管5の内部空間P5に流入する。第2導管5の内部空間P5に流入したガスは、第2導管5を流れて第2エアバッグ30に流入する。以上のようにして、インフレータ10から上流管1に流入したガスの残部が流路F2を流れて第2エアバッグ30に供給され、第2エアバッグ30が膨張展開する。第1エアバッグ20と第2エアバッグ30とが展開することで、乗員が衝撃から保護される。
【0050】
[クリアランスについて]
ここで、インフレータ10が作動する前の状態、即ち、流路F1にガスが流れていない第1の状態では、シートバックS2の傾倒動作が阻害されないように、下流管2が上流管1に対して円滑に回動する必要がある。そのためには、第1の状態において、下流管2の上流管1に対する回動が阻害されないように、上流管1と下流管2とを連結する第1連結部11と第2連結部21との間に隙間(クリアランス)が形成されている必要がある。一方で、インフレータ10が作動して流路F1にガスが流れている状態(以下、第2の状態とも呼ぶ)では、ガスが上記隙間から外部に漏れないようにすることが求められる。第2の状態におけるシール性(密閉性)を確保するためには、上記隙間を閉塞するためのシール部材を第1連結部11と第2連結部21との間に介在させることも考えられるが、そうした場合、該シール部材によって下流管2の上流管1に対する円滑な回動が阻害される可能性がある。
【0051】
これに対して、連結構造40は、第1の状態においては下流管2を上流管1に対して円滑に回動させ、且つ、第2の状態においてはガスのシール性を確保できるように構成されている。以下、詳細に説明する。
【0052】
図10及び
図11は、第1の状態における連結構造40を示す図である。
図10は、第1回動軸A1及び第2回動軸A2に沿う断面を示している。また、
図11は、第1回動軸A1及び第2回動軸A2に直交する断面を示している。
図10に示すように、流路F1にガスが流れていない第1の状態では、第1連結部11の第1平坦面111Sと第1平坦面111Sに対向する第2連結部21の第2平坦面211Sとの間に、隙間G1が形成されている。また、
図11に示すように、第1の状態では、第1連結部11の第1円弧面112Sと第1円弧面112Sに対向する第2連結部21の第2円弧面212Sとの間に、隙間G2が形成されている。これにより、第1の状態では、下流管2の上流管1に対する第2回動軸A2回りの回動が阻害されないようになっている。ここで、第1の状態における隙間G1の大きさ(即ち、第1平坦面111Sと第2平坦面211Sとの間の距離)をd11とし、第1の状態における隙間G2の大きさ(即ち、第1円弧面112Sと第2円弧面212Sとの間の距離)をd21とする。このとき、連結構造40では、d11>0、d21>0となる。
【0053】
図12及び
図13は、第2の状態における連結構造40を示す図である。
図12は、第1回動軸A1及び第2回動軸A2に沿う断面を示している。また、
図13は、第1回動軸A1及び第2回動軸A2に直交する断面を示している。第2の状態では、急激に流路F1を流れるガスによって、上流管1及び下流管2に対して、これらを膨張させようとする圧力が作用する。つまり、流路F1にガスが流れることで、第1連結部11に対しては第1連結部11を流路F1の外側へ膨らませようとする圧力が作用し、第2連結部21に対しては第2連結部21を流路F1の外側へ膨らませようとする圧力が作用する。
【0054】
ここで、連結構造40では、ガスが流路F1を流れている第2の状態において第1連結部11が第2連結部21に対して優先的に変形するように、第1連結部11の剛性が第2連結部21の剛性よりも低く設定されている。より具体的には、連結構造40では、第1連結部11を形成する材料(本例では樹脂材料)の弾性率を、第2連結部21を形成する材料(本例では金属材料)の弾性率よりも低くすることで、第1連結部11の剛性を第2連結部21の剛性よりも低く設定している。ここで、本明細書における弾性率とは、応力と歪みの比率(応力/歪み)のことを指す。弾性率は、流体の圧力によって連結部に作用
する応力の大きさと該応力によって生じる連結部の歪みの大きさとを用いて、(応力/歪
み)の比率で表すことができる。
【0055】
連結構造40では、第1連結部11の剛性が第2連結部21の剛性よりも低く設定されていることから、第1連結部11と第2連結部21にガスの圧力が同等に作用した場合、第1連結部11の方が第2連結部21よりも変形し易くなっている。これにより、
図12及び
図13に示すように、ガスが流路F1を流れている第2の状態においては、第1連結部11が第2連結部21よりも優先して流路F1の外側へ膨らむように変形する。具体的には、
図12に示すように第1平坦壁111が流路F1の外側へ撓み、
図13に示すように第1円弧壁112が流路F1の外側へ撓む。これにより、第2の状態では、第1連結部11の第1平坦面111Sが第2連結部21の第2平坦面211Sに接近し、第1連結部11の第1円弧面112Sが第2連結部21の第2円弧面212Sに接近することとなる。その結果、第2の状態では、第1の状態よりも隙間G1及び隙間G2が小さくなる。
【0056】
ここで、第2の状態における隙間G1の大きさをd12とし、第2の状態における隙間G2の大きさをd22とする。このとき、連結構造40では、d11>d12、d21>d22となる。なお、「隙間を小さくする」には、隙間を無くすことも含まれる。つまり、d12やd22を「0」とすることも「隙間を小さくする」に含まれる。
図12及び
図13に示すように、本例では、第1連結部11に作用するガスの圧力により第1連結部11が流路F1の外側へ膨らむように変形した結果、
図12及び
図13に示すように、第1平坦面111Sと第2平坦面211Sとが当接して隙間G1が無くなり、第1円弧面112Sと第2円弧面212Sとが当接して隙間G2が無くっている。これにより、第1の状態よりもシール性が高められ、ガスが外部に漏れることが好適に抑制される。
【0057】
更に、本実施形態では、挟持部32が第2連結部21の第2平坦壁211に外側から当接して第2連結部21を第2回動軸A2方向の両側から挟持することで、第2の状態における第2平坦壁211の変形が規制されている。つまり、第2の状態において第2平坦壁211が流路F1の外側へ撓むことが規制されている。これにより、第2の状態において、第1連結部11の第1平坦面111Sが第2連結部21の第2平坦面211Sに接近し易くなっており、隙間G1を小さくし易くなっている。
【0058】
なお、第1連結部11と第2連結部21との間の隙間が小さくなると、下流管2が上流管1に対して回動し難くなる可能性があるが、インフレータ10が作動して流路F1にガスが流れている第2の状態においてシートバックS2の角度調整が必要となることは通常考えられない。そのため、第2の状態においては上記隙間を小さくすることに問題は生じない。つまり、第2の状態においては、第1連結部11と第2連結部21との間の隙間が小さくなることに起因して下流管2が上流管1に対して回動できなくともよい。少なくとも第1の状態において下流管2が上流管1に対して所定範囲の角度で回動可能となるように、第1連結部11と第2連結部21とが連結されていればよい。
【0059】
[作用・効果]
以上のように、本実施形態に係る連結構造40は、上流管1のうち、上流管1の第1流出開口110を含む一端部によって形成された第1連結部11と、下流管2のうち、下流管2の流入開口210を含む一端部によって形成された第2連結部21と、を含む。また、上流管1の第1流出開口110が第2連結部21の内側に位置するように、第1連結部11が下流管2の流入開口210から第2連結部21に挿入されている。また、少なくとも第1の状態において下流管2が上流管1に対して所定範囲の角度で回動可能となるように、第1連結部11と第2連結部21とが連結されている。そして、連結構造40は、第1の状態では下流管2の上流管1に対する回動が阻害されないように上流管1の外面と下流管2の内面との間に隙間が形成され、且つ、第2の状態では第1連結部11に作用するガスの圧力により第1連結部11が流路F1の外側へ膨らむように変形して第1の状態よりも上記隙間が小さくなるように、構成されている。
【0060】
つまり、連結構造40は、第1の状態においては、下流管2の上流管1に対する回動が阻害されないように、第1連結部11の外面と第2連結部21の内面との間に隙間を形成し、且つ、第2の状態においては、第1の状態よりも上記隙間が小さくなるように、ガスの圧力により第1連結部11を変形させる。その結果、連結構造40によれば、第1の状態における下流管2の上流管1に対する回動の円滑性と、第2の状態におけるガスのシール性とを両立させることができる。
【0061】
更に、本実施形態では、第1連結部11の外面と第2連結部21の内面との間に、隙間を閉塞するための部材が介在しないようにすることができる。これにより、第1の状態において、より円滑に下流管2を上流管1に対して回動させることができる。なお、第1連結部11の外面や第2連結部21の内面にグリース等を塗布することで隙間G1や隙間G2にグリース等を充填し、第2の状態の時に隙間が残存してもシール性を確保できる状態にしてもよい。グリースの塗布は、以下に述べる実施形態2やその変形例にも使用することが出来る。
【0062】
更に、本実施形態では、第2の状態において第1連結部11が第2連結部21に対して優先的に変形するように、第1連結部11の剛性が第2連結部21の剛性よりも低く設定されている。これによれば、第2の状態において、第1連結部11と第2連結部21にガスの圧力が同等に作用した場合に、第1連結部11を第2連結部21よりも優先して流路F1の外側へ膨らむように変形させることができる。これにより、第2の状態において第1連結部11の外面と第2連結部21の内面との隙間を小さくし易くすることができる。
【0063】
また、本実施形態では、第1連結部11を形成する材料の弾性率を、第2連結部21を形成する材料の弾性率よりも低くしている。これにより、第1連結部11の剛性を第2連結部21の剛性よりも低くすることができる。
【0064】
また、本実施形態では、第1連結部11の外面が、一対の第1平坦面111S,111Sと一対の第1円弧面112S,112Sとを含んで形成され、第2連結部21の外面が、一対の第1平坦面111S,111Sと対向する一対の第2平坦面211S,211Sと一対の第1円弧面112S,112Sと対向する一対の第2円弧面212S,212Sとを含んで形成されている。これによると、第1連結部11と第2連結部21とで互いに対向する面同士(第1平坦面111Sと第2平坦面211S、第1円弧面112Sと第2円弧面212S)が相似となる。これにより、第1の状態において、下流管2の上流管1に対する角度によらず(つまり、下流管2の姿勢によらず)、隙間G1の大きさを一定とすることができる。同様に、第2の状態において、下流管2の上流管1に対する角度によらず、隙間G2の大きさを一定とすることができる。その結果、第1の状態においては下流管2の上流管1に対する回動をより円滑化でき、第2の状態においては下流管2の上流管1に対する角度によらずに安定したシール性を確保できる。
【0065】
なお、本実施形態では、第2の状態において第1連結部11の第1円弧壁112が流路F1の外側へ撓むことで隙間G2を小さくしたが、第1円弧壁112は変形しなくともよい。第2の状態において、第1平坦壁111のみが変形してもよい。その場合、例えば、第1連結部11の第1円弧面112Sと第2連結部21の第2円弧面212Sとの間の隙間G2にグリースなどの液状潤滑剤を充填してもよい。これにより、第1の状態においては下流管2の上流管1に対する回動の円滑性を確保し、第2の状態においてはガスのシール性を確保することができる。
【0066】
更に、本実施形態では、第2連結部21に外側から当接することで第2の状態における第2連結部21の変形を規制する規制部として、挟持部32が設けられている。これにより、第2の状態において第2連結部21が流路F1の外側へ膨らむように変形することを
規制できる。その結果、第2の状態において、第1連結部11の外面が第2連結部21の内面に接近し易くすることができ、第1連結部11と第2連結部21との隙間を小さくし易くできる。
【0067】
なお、本実施形態では、第1連結部11と第2連結部21とを連結するための連結軸部3の挟持部32を本開示に係る「規制部」としているが、本開示の「規制部」はこれに限定されない。例えば、規制部として、第2連結部全体を外側から包囲する部材を設けてもよい。
【0068】
更に、本実施形態では、第1連結部11を第2連結部21に挿入した状態でこれらを連結する構成としている。そして、第1連結部11を上流管1における第1流出開口110を含む一端部によって形成する。更に、第1連結部11が挿入される第2連結部21を上流管1の下流側に配置された下流管2における流入開口210を含む一端部によって形成している。これによると、流路F1においてガスは上流管1から下流管2へ流れることから、ガスの圧力は、下流管2に形成された第2連結部21よりも先に、上流管1に形成された第1連結部11に対して作用する。そのため、第2連結部21がガスの圧力により変形する場合であっても、第1連結部11を第2連結部21よりも先に流路F1の外側へ膨らむように変形させることができる。その結果、第2の状態において、速やかに第1連結部11と第2連結部21との隙間を小さくし、ガスのシール性を早期に高めることができる。
【0069】
但し、本開示は、下流管を本開示に係る「第1管」とし、下流管のうちの開口を含む一端部によって第1連結部を形成し、上流管を本開示に係る「第2管」とし、上流管のうちの開口を含む一端部によって第2連結部を形成してもよい。つまり、本実施形態において、上流管1における第1流出開口110を含む部位によって第2連結部21を形成し、下流管2における流入開口210を含む部位によって第1連結部11を形成し、第1連結部11を第2連結部21に挿入した状態でこれらを連結する構成としてもよい。
【0070】
更に、本実施形態では、車両用シートS10において、下流管2が上流管1に対して回動するための第2回動軸A2とシートバックS2が傾倒するためのシートバック回動軸A10とが一致するように、連結構造40が設けられている。これによると、シートバックS2の回動軸と下流管2の回動軸が同軸となるため、シートバックS2の傾倒動作に対して下流管2を好適に連動させることができる。
【0071】
更に、本実施形態では、上流管1をインフレータ10に対して回動可能とすることで、車両用シートS10におけるエアバッグ装置100のレイアウトの自由度を広げることを可能としている。例えば、シートクッションS1の前端部の高さ位置を調整可能とした場合、上記前端部の高さと共に第2エアバッグ30の高さも変化することとなる。その場合において、第2導管5を介して第2エアバッグ30に繋がった上流管1をインフレータ10に対して回動可能とすることで、上流管1を第2エアバッグ30の高さの変化に連動させることができる。
【0072】
なお、本実施形態では、車両用シートS10において、インフレータ10をシートクッションS1に配置した場合について説明したが、インフレータの配置箇所はシートクッションに限定されない。車両用シートは、例えば、シートバックに配置されたインフレータからシートクッションに配置されたサブマリン現象防止用のエアバッグへガスを供給する構成であってもよい。
【0073】
<実施形態2>
以下、実施形態2に係る連結構造について説明する。
図14は、第1の状態における実
施形態2に係る連結構造40Aを示す図である。
図15は、第2の状態における実施形態2に係る連結構造40Aを示す図である。
図14及び
図15は、第1回動軸A1及び第2回動軸A2に沿う断面を示している。以下、実施形態2の説明では、
図1~
図13で説明した実施形態1に係る連結構造40との相違点を中心に説明し、連結構造40と同様の点については詳細な説明は割愛する。
【0074】
実施形態2では、上流管1と下流管2とが同じ材料(本例では、金属材料)によって形成されている。つまり、第1連結部11を形成する材料と第2連結部21を形成する材料とが同じとなっている。ここで、第1連結部11の第1平坦壁111の厚みをt1とし、第2連結部21の第2平坦壁211の厚みをt2とする。連結構造40Aでは、t1<t2となっている。つまり、連結構造40Aでは、第1平坦壁111が第2平坦壁211よりも薄肉に形成されている。これにより、連結構造40Aでは、第2の状態において第1連結部11が第2連結部21に対して優先的に変形するように、第1連結部11の剛性が第2連結部21の剛性よりも低くなっている。
【0075】
連結構造40Aにおいても、第1連結部11の剛性が第2連結部21の剛性よりも低く設定されていることから、第1連結部11と第2連結部21にガスの圧力が同等に作用した場合、第1連結部11の方が第2連結部21よりも変形し易くなっている。これにより、
図15に示すように、ガスが流路F1を流れている第2の状態においては、第1連結部11が第2連結部21よりも優先して流路F1の外側へ膨らむように変形する。具体的には、
図15に示すように第1平坦壁111が流路F1の外側へ撓む。これにより、第2の状態では、第1連結部11の第1平坦面111Sが第2連結部21の第2平坦面211Sに接近することとなる。その結果、第2の状態では、第1の状態よりも隙間G1が小さくなる。
【0076】
以上のような実施形態2に係る連結構造40Aによれば、実施形態1に係る連結構造40と同様の効果を得ることができる。つまり、連結構造40Aは、第1の状態においては、下流管2の上流管1に対する回動が阻害されないように、第1連結部11の外面と第2連結部21の内面との間に隙間を形成し、且つ、第2の状態においては、第1の状態よりも上記隙間が小さくなるように、ガスの圧力により第1連結部11を変形させる。その結果、連結構造40Aによれば、第1の状態における下流管2の上流管1に対する回動の円滑性と、第2の状態におけるガスのシール性とを両立させることができる。
【0077】
[実施形態2の変形例]
図16は、第1の状態における実施形態2の変形例に係る連結構造40Bを示す図である。
図16に示すように、連結構造40Bでは、第1連結部11の第1平坦壁111の一部(連結軸部3の軸本体部31が貫通する貫通孔21aの周囲を除く部位)が第1平坦壁111の他の部位よりも薄肉な薄肉部TPとして形成されている。ここで、第1平坦壁111の薄肉部TPにおける厚みをt3とする。連結構造40Bでは、t3<t2となっている。つまり、連結構造40では、第1平坦壁111が第2平坦壁211よりも薄肉に形成されている。これにより、連結構造40Bでは、第2の状態において第1連結部11が第2連結部21に対して優先的に変形するように、第1連結部11の剛性を第2連結部21の剛性よりも低くすることができる。その結果、第2の状態において、第1の状態よりも隙間G1を小さくすることができる。また、連結構造40Bでは、第1連結部11において第2連結部21と連結される部位(つまり、貫通孔11aの周辺部位)以外の部位を薄肉部TPとしている。これにより、第1連結部11において第2連結部21と連結される部位に対して、十分な強度を確保することができる。その結果、第1の状態における傾倒動作で連結軸部3により発生する荷重への耐性を維持することができる。
【0078】
<その他>
以上、本開示の好適な実施形態について説明したが、本明細書に開示された各々の態様は、本明細書に開示された他のいかなる特徴とも組み合わせることができる。例えば、第1連結部を形成する材料の弾性率を、第2連結部を形成する材料の弾性率よりも低くし、且つ、第1連結部の少なくとも一部を、第2連結部よりも薄肉に形成してもよい。また、以上の説明では、インフレータから供給されるガスによりエアバッグを膨張展開させるエアバッグ装置に本開示に係る技術を適用した例について説明したが、本開示の技術の適用対象はエアバッグ装置に限定されない。本開示の技術は流体供給源から流体供給対象へ流体を導く上流管と下流側とを連結するための連結構造に適用することができ、流体供給源、流体供給先、及び流体は、インフレータ、エアバッグ、及びガスに限定されない。例えば、流体供給源から流体供給対象へ供給される流体が液体であってもよい。
【符号の説明】
【0079】
1・・・・・・上流管
11・・・・・第1連結部
111S・・・第1平坦面
112S・・・第1円弧面
110・・・・第1流出開口(上流管の開口)
2・・・・・・下流管
21・・・・・第2連結部
211S・・・第2平坦面
212S・・・第2円弧面
210・・・・流入開口(下流管の開口)
3・・・・・・連結軸部
31・・・・・軸本体部
32・・・・・挟持部
10・・・・・インフレータ(流体供給源)
20・・・・・第1エアバッグ(流体供給先)
40・・・・・連結構造
100・・・・エアバッグ装置
S1・・・・・シートクッション(座面部)
S2・・・・・シートバック(背もたれ部)
S10・・・・車両用シート
A2・・・・・第2回動軸(第2管の回動軸)
A10・・・・シートバック回動軸(背もたれ部の回動軸)