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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-31
(45)【発行日】2023-11-09
(54)【発明の名称】モータ装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/22 20060101AFI20231101BHJP
【FI】
H02K5/22
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020031146
(22)【出願日】2020-02-27
(65)【公開番号】P2021136771
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2023-01-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉本 浩司
(72)【発明者】
【氏名】竹村 安男
【審査官】柏崎 翔
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-284659(JP,A)
【文献】特開2012-110081(JP,A)
【文献】特開2018-126056(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インバータが接続されるコネクタを備えたモータ装置であって、
ステータおよびロータを収容するモータハウジングに設けられ、オイルが貯留されるモータ室とこれに隣接するバスバー室とを仕切るハウジング壁と、
前記ハウジング壁に取り付けられて前記バスバー室を閉塞し、前記コネクタを外面に備えるハウジングカバーと、
前記ハウジングカバーの内面に取り付けられて前記バスバー室に収容され、前記ハウジング壁の貫通孔に先端が挿入されるバスバー組立体と、
を有し、
前記バスバー組立体は、
前記ハウジングカバーの内面に取り付けられ、前記貫通孔に挿入される円筒部を備える絶縁部材と、
前記コネクタに電気的に接続され、前記円筒部の内側に収容される丸棒部を備える導電部材と、
を備える、
モータ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のモータ装置において、
前記貫通孔と前記円筒部との間に、オイルシールが設けられる、
モータ装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のモータ装置において、
前記円筒部と前記丸棒部との間に、オイルシールが設けられる、
モータ装置。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載のモータ装置において、
前記絶縁部材に、前記ハウジングカバーに係合する位置決めピンが一体形成される、
モータ装置。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1項に記載のモータ装置において、
前記ハウジングカバーは、前記ハウジング壁にボルト部材を用いて取り付けられ、
前記ハウジングカバーには、前記ボルト部材が挿入されるボルト挿入孔が形成され、
前記ボルト挿入孔の中心と前記ボルト部材の中心とは、互いにずれる、
モータ装置。
【請求項6】
請求項5に記載のモータ装置において、
前記ボルト挿入孔と前記ボルト部材との中心間距離は、前記貫通孔と前記円筒部との中心間距離よりも長い、
モータ装置。
【請求項7】
請求項1~6の何れか1項に記載のモータ装置において、
前記モータ室に位置する前記丸棒部の先端に、通電経路を介してステータコイルが接続される、
モータ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インバータが接続されるコネクタを備えたモータ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インバータを接続して使用されるモータ装置として、例えば、電気自動車やハイブリッド車両に搭載されるモータ装置がある。このようなモータ装置が備えるモータハウジングの外壁には、ハウジング内のステータコイルに接続されるコネクタが取り付けられている(特許文献1~3参照)。そして、モータハウジング外壁のコネクタには、通電ケーブル等を介してインバータが接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-177002号公報
【文献】特開2014-232687号公報
【文献】特開2014-232688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、モータハウジングには潤滑用や冷却用のオイルが貯留されるため、外壁のコネクタからハウジング内のオイルが漏れないように、モータハウジングを構成することが求められている。そこで、オイルが貯留されるモータ室から分離されたバスバー室を設けるとともに、このバスバー室の外壁にコネクタを取り付けることが考えられる。しかしながら、モータ室から分離されたバスバー室にバスバーを組み込むためには、バスバー室内に締付工具の挿入スペースを確保することが必要であり、この挿入スペースを確保することは、バスバー室の大型化、延いてはモータ装置の大型化を招く要因となっていた。
【0005】
本発明の目的は、モータ装置の大型化を回避することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のモータ装置は、インバータが接続されるコネクタを備えたモータ装置であって、ステータおよびロータを収容するモータハウジングに設けられ、オイルが貯留されるモータ室とこれに隣接するバスバー室とを仕切るハウジング壁と、前記ハウジング壁に取り付けられて前記バスバー室を閉塞し、前記コネクタを外面に備えるハウジングカバーと、前記ハウジングカバーの内面に取り付けられて前記バスバー室に収容され、前記ハウジング壁の貫通孔に先端が挿入されるバスバー組立体と、を有し、前記バスバー組立体は、前記ハウジングカバーの内面に取り付けられ、前記貫通孔に挿入される円筒部を備える絶縁部材と、前記コネクタに電気的に接続され、前記円筒部の内側に収容される丸棒部を備える導電部材と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明のモータ装置は、ハウジング壁に取り付けられてバスバー室を閉塞し、コネクタを外面に備えるハウジングカバーと、ハウジングカバーの内面に取り付けられてバスバー室に収容され、ハウジング壁の貫通孔に先端が挿入されるバスバー組立体と、を有する。これにより、バスバー室に締付工具の挿入スペースを確保する必要がなく、モータ装置の小型化を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施の形態であるモータ装置を示す概略図である。
図2図1のA-A線に沿ってモータ装置を示す断面図である。
図3図2のB-B線に沿ってモータ装置の一部を示す断面図である。
図4】(A)は図3に示したモータ装置から中継バスバーおよび絶縁樹脂ケースを取り外した状態を示す断面図であり、(B)は図4(A)に示したモータ装置からバスバー組立体を取り外した状態を示す断面図である。
図5図4(B)に示した矢印α方向からモータハウジングのハウジング壁の一部を示す図である。
図6】(A)はバスバー組立体を正面側から示す斜視図であり、(B)はバスバー組立体を背面側から示す斜視図である。
図7】ハウジングカバーおよびバスバー組立体を示す斜視図である。
図8】(A)は図7の矢印β方向からハウジングカバーおよびバスバー組立体を示す図であり、(B)は図7の矢印β方向からハウジングカバーを単体で示す図である。
図9】(A)および(B)は、絶縁樹脂ケースに対する導電ユニットの組付過程を示す図である。
図10】(A)および(B)は、ハウジングカバーに対するバスバー組立体の組付過程を示す図である。
図11】ハウジング壁に対するハウジングカバーの組付過程を示す図である。
図12】ハウジング壁に対してハウジングカバーを組み付けた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0010】
[モータ装置の全体構造]
図1は本発明の一実施の形態であるモータ装置10を示す概略図である。図示するモータ装置10は、電気自動車等の車両に搭載される電動アクスルである。このモータ装置10を用いることにより、モータ動力によって左右の車軸11,12を回転させることができ、図示しない左右の車輪を駆動することができる。
【0011】
図1に示すように、モータ装置10は、第1ハウジング13および第2ハウジング14からなるモータハウジング15を有している。このモータハウジング15内のモータ室16には、電動モータ17および減速機構18が収容されている。つまり、第1ハウジング13にはロータ19およびステータ20からなる電動モータ17が収容されており、第2ハウジング14には減速ギヤ列21,22やデファレンシャル機構23からなる減速機構18が収容されている。また、モータハウジング15内のモータ室16には、潤滑や冷却に用いられるオイルXが貯留されている。車両走行時には減速ギヤ列21,22等によってオイルXが掻き上げられ、電動モータ17や減速機構18の各部品に対してオイルXが供給される。さらに、モータハウジング15には、ブリーザポート24を介して外部に連通するブリーザ室25が区画されている。
【0012】
また、モータハウジング15にはハウジング壁30が設けられており、このハウジング壁30を境に内側のモータ室16と外側のバスバー室31とが区画されている。バスバー室31にはバスバー組立体32が収容されており、バスバー組立体32を介してステータコイル33と高電圧コネクタ34とは互いに接続されている。つまり、バスバー組立体32の一端部には、中継バスバー35やモータバスバー36からなる通電経路37を介して電動モータ17のステータコイル33が電気的に接続されており、バスバー組立体32の他端部には、モータハウジング15の外側に配置される高電圧コネクタ(コネクタ)34が電気的に接続されている。また、高電圧コネクタ34には、通電ケーブル38を介して電力変換機器であるインバータ39が接続されており、交流電力と直流電力とを変換するインバータ39には、図示しないリチウムイオンバッテリ等のバッテリが接続される。
【0013】
[モータ装置の通電構造]
続いて、高電圧コネクタ34とステータコイル33との通電構造について説明する。図2図1のA-A線に沿ってモータ装置10を示す断面図であり、図3図2のB-B線に沿ってモータ装置10の一部を示す断面図である。
【0014】
図2および図3に示すように、モータハウジング15の第1ハウジング13には、モータ室16とこれに隣接するバスバー室31とを仕切るハウジング壁30が設けられている。また、電動モータ17のステータ20には、モータ各相(U相,V相,W相)のステータコイル33が巻き付けられている。各ステータコイル33にはモータバスバー36が接続されており、モータ各相に対応する3本のモータバスバー36はハウジング壁30に対してほぼ平行に延びている。これらのモータバスバー36には締結ボルト40を用いて中継バスバー35が接続されており、中継バスバー35には締結ボルト41を用いてバスバー組立体32の円柱バスバー42が接続されている。なお、中継バスバー35には、バスバー35の短絡を防止する絶縁樹脂ケース43が取り付けられている。
【0015】
図4(A)は図3に示したモータ装置10から中継バスバー35および絶縁樹脂ケース43を取り外した状態を示す断面図であり、図4(B)は図4(A)に示したモータ装置10からバスバー組立体32を取り外した状態を示す断面図である。また、図5図4(B)に示した矢印α方向からモータハウジング15のハウジング壁30の一部を示す図である。
【0016】
図4および図5に示すように、ハウジング壁30には、モータ室16とバスバー室31とを互いに連通させる3つの貫通孔50が形成されている。また、ハウジング壁30には、貫通孔50の周りを囲んでバスバー室31を区画する環状壁部51が形成されている。さらに、環状壁部51の開口端には締結ボルト52を用いてハウジングカバー53が取り付けられており、ハウジングカバー53にはバスバー組立体32および高電圧コネクタ34が取り付けられている。つまり、ハウジングカバー53の内面53iには締結ボルト54を用いてバスバー組立体32が取り付けられており、ハウジングカバー53の外面53oには締結ボルト55を用いて高電圧コネクタ34が取り付けられている。
【0017】
このように、バスバー組立体32および高電圧コネクタ34を備えたハウジングカバー53を、ハウジング壁30に形成される環状壁部51の開口端に取り付けることにより、閉塞されたバスバー室31にバスバー組立体32を収容することができる。また、ハウジング壁30の貫通孔50に挿入されるバスバー組立体32の先端部には、オイルシールとして機能するOリング56が組み付けられている。このOリング56によってバスバー室31を密閉することができるため、モータ室16からバスバー室31に対するオイルXの浸入を防止することができ、高電圧コネクタ34に対するオイルXの付着を防止することができる。
【0018】
[バスバー組立体]
続いて、バスバー室31に収容されるバスバー組立体32について説明する。図6(A)はバスバー組立体32を正面側から示す斜視図であり、図6(B)はバスバー組立体32を背面側から示す斜視図である。また、図7はハウジングカバー53およびバスバー組立体32を示す斜視図である。さらに、図8(A)は図7の矢印β方向からハウジングカバー53およびバスバー組立体32を示す図であり、図8(B)は図7の矢印β方向からハウジングカバー53を単体で示す図である。
【0019】
図6(A)および(B)に示すように、バスバー組立体32は、絶縁樹脂ケース(絶縁部材)60と、これに組み付けられる3つの導電ユニット(導電部材)61と、を有している。ポリエチレン等の絶縁樹脂を用いて形成される絶縁樹脂ケース60は、後述する折曲バスバー62を露出させる3つの開口部63が形成されたケース本体64と、ケース本体64に連なって形成される一対の取付板部65と、ケース本体64に連なって形成される3つの円筒部66と、を備えている。また、絶縁樹脂ケース60の取付板部65には、ハウジングカバー53に係合するノックピン(位置決めピン)67が一体形成されている。また、絶縁樹脂ケース60に組み付けられる導電ユニット61は、円筒部66に挿入される円柱バスバー(丸棒部)42と、ケース本体64に組み付けられる折曲バスバー62と、を備えている。なお、円柱バスバー42と折曲バスバー62とは、締結ボルト68を用いて互いに組み付けられている。
【0020】
図7および図8に示すように、ハウジングカバー53の内面53iには、締結ボルト54を用いて絶縁樹脂ケース60の取付板部65が取り付けられる。このとき、ハウジングカバー53に形成される位置決め孔70には、絶縁樹脂ケース60のノックピン67が挿入される。これにより、ハウジングカバー53に対して、バスバー組立体32を高精度に位置決めすることができる。また、絶縁樹脂ケース60にノックピン67が一体形成されることから、図8(A)の拡大部分に示すように、取付板部65の外縁近傍にノックピン67を配置することができる。これにより、ハウジングカバー53の外縁部71およびハウジング壁30の環状壁部51を、バスバー組立体32の絶縁樹脂ケース60に近づけることができるため、バスバー室31の小型化を達成することができる。さらに、ハウジング壁30の環状壁部51に対してハウジングカバー53を取り付ける際には、ハウジングカバー53に液状ガスケットが塗布されるが、この液状ガスケットの溜まり部72をハウジングカバー53に確保することも容易である。
【0021】
また、図7および図8に示すように、絶縁樹脂ケース60の開口部63には締結ボルト73が挿入され、この締結ボルト73を用いて導電ユニット61の折曲バスバー62と高電圧コネクタ34の導電ピン74とが接続される。つまり、ハウジングカバー53に絶縁樹脂ケース60が固定された状態のもとで、高電圧コネクタ34に対して導電ユニット61が取り付けられる。このとき、絶縁樹脂ケース60に対して導電ユニット61は固定されていないため、ハウジングカバー53と高電圧コネクタ34との相対位置にバラツキが生じていた場合であっても、このバラツキをバスバー組立体32によって吸収することができる。つまり、絶縁樹脂ケース60の円筒部66の内側で導電ユニット61の円柱バスバー42が軸方向に移動するため、ハウジングカバー53と高電圧コネクタ34とのバラツキを吸収することができる。また、バスバー組立体32に対するオイルXの浸入を防止するため、円柱バスバー42の外周部にはOリング75が組み付けられている。つまり、円筒部66と円柱バスバー42との間には、オイルシールとしてOリング75が組み付けられている。
【0022】
[通電構造の組付過程]
続いて、モータ装置10が備える通電構造の組付過程について説明する。図9(A)および(B)は絶縁樹脂ケース60に対する導電ユニット61の組付過程を示す図であり、図10(A)および(B)はハウジングカバー53に対するバスバー組立体32の組付過程を示す図である。図11はハウジング壁30に対するハウジングカバー53の組付過程を示す図であり、図12はハウジング壁30に対してハウジングカバー53を組み付けた状態を示す図である。
【0023】
図9(A)および(B)に示すように、絶縁樹脂ケース60に対して、3つの導電ユニット61が組み付けられる。つまり、絶縁樹脂ケース60の各円筒部66に対して、導電ユニット61の円柱バスバー42が挿入される。続いて、図10(A)に示すように、ハウジングカバー53のネジ孔80に締結ボルト54が締め付けられ、バスバー組立体32がハウジングカバー53の内面53iに取り付けられる。また、図10(B)に示すように、高電圧コネクタ34のネジ孔81に締結ボルト73が締め付けられ、導電ユニット61の折曲バスバー62が高電圧コネクタ34の導電ピン74に取り付けられる。
【0024】
次いで、図11に示すように、高電圧コネクタ34およびバスバー組立体32を備えたハウジングカバー53が、ハウジング壁30の環状壁部51に対して組み付けられると、密閉されたバスバー室31にバスバー組立体32を収容することができる。つまり、ハウジング壁30に対してハウジングカバー53を取り付ける前に、バスバー室31内の締結ボルト54,68,73を締めておくことができるため、バスバー室31に締付工具の挿入スペースを確保する必要がなく、バスバー室31の小型化、延いてはモータ装置10の小型化を達成することができる。すなわち、バスバー室31を閉塞するハウジングカバー53を設けるとともに、このハウジングカバー53の内面53iにバスバー組立体32を取り付けることにより、モータ装置10の小型化を達成することができる。
【0025】
前述したように、高電圧コネクタ34およびバスバー組立体32を備えたハウジングカバー53が、ハウジング壁30の環状壁部51に対して組み付けられる。このとき、絶縁樹脂ケース60の円筒部66がハウジング壁30の貫通孔50に挿入され、その後、締結ボルト(ボルト部材)52が挿入孔(ボルト挿入孔)82を通過して環状壁部51のネジ孔83に締め付けられる。つまり、ハウジング壁30の貫通孔50に対して絶縁樹脂ケース60の円筒部66を位置決めした後に、ハウジング壁30の環状壁部51に対してハウジングカバー53が固定される。これにより、貫通孔50に対して円筒部66を高精度に位置決めすることができるため、円筒部66に設けられたOリング56を均一に潰すことができ、Oリング56を適切に機能させてオイルXの浸入を防止することができる。つまり、図12に拡大断面αで示すように、貫通孔50の中心C1と円筒部66の中心C2とをほぼ一致させることができる。これにより、円筒部66に設けられたOリング56を均一に潰すことができ、Oリング56を適切に機能させることができる。
【0026】
また、図12に拡大断面βで示すように、挿入孔82の中心C3と締結ボルト52の中心C4とは互いにずれている。つまり、ハウジング壁30とハウジングカバー53とにおいては相対的な位置ずれが許容されることから、バスバー組立体32の円筒部66に大きな負荷を作用させることなく締結ボルト52を締め付けることができる。すなわち、締結ボルト52が締め付けられた状態では、貫通孔50の中心C1と円筒部66の中心C2とがほぼ一致しており、挿入孔82の中心C3と締結ボルト52の中心C4とは互いにずれている。換言すれば、挿入孔82の中心C3と締結ボルト52の中心C4との中心間距離は、貫通孔50の中心C1と円筒部66の中心C2との中心間距離よりも長くなっている。なお、円筒部66に挿入される円柱バスバー42の中心についても、貫通孔50や円筒部66の中心C1,C2にほぼ一致している。つまり、円柱バスバー42に設けられたOリング75についても均一に潰すことができ、Oリング75を適切に機能させることができる。
【0027】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。前述の説明では、電動アクスルとしてのモータ装置10を例示しているが、これに限られることはなく、ミッションハウジング等に組み込まれるモータ装置に対して本発明を適用しても良い。また、図示する例では、モータ装置10に減速機構18が組み込まれているが、これに限られることはなく、モータ装置10から減速機構18を省略しても良い。また、図12に拡大断面βで示すように、挿入孔82の中心C3と締結ボルト52の中心C4とは互いにずれているが、全ての締結ボルト52の中心が挿入孔82の中心からずれていなくても良い。つまり、ハウジングカバー53はハウジング壁30に複数の締結ボルト52を用いて取り付けられるが、これら複数の締結ボルト52のうち少なくとも何れか1つにおいて、締結ボルト52の中心と挿入孔82の中心とが互いにずれていれば良い。
【0028】
前述の説明では、バスバー組立体32の導電ユニット61を、締結ボルト68を用いて連結される円柱バスバー42および折曲バスバー62によって構成しているが、これに限られることはなく、溶接加工やプレス加工等を用いて1つの部品からなる導電ユニットを形成しても良い。また、モータバスバー36、中継バスバー35、円柱バスバー42および折曲バスバー62は、銅やアルミニウム等の金属材料を用いて形成することができる。また、絶縁樹脂ケース43,60は、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等の絶縁樹脂材料を用いて形成することができる。
【符号の説明】
【0029】
10 モータ装置
15 モータハウジング
16 モータ室
19 ロータ
20 ステータ
30 ハウジング壁
31 バスバー室
32 バスバー組立体
33 ステータコイル
34 高電圧コネクタ(コネクタ)
37 通電経路
39 インバータ
42 円柱バスバー(丸棒部)
52 締結ボルト(ボルト部材)
53 ハウジングカバー
53i 内面
53o 外面
56 Oリング(オイルシール)
60 絶縁樹脂ケース(絶縁部材)
61 導電ユニット(導電部材)
66 円筒部
67 ノックピン(位置決めピン)
75 Oリング(オイルシール)
82 挿入孔(ボルト挿入孔)
X オイル
C3,C4 中心
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12