(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-31
(45)【発行日】2023-11-09
(54)【発明の名称】閉鎖配電盤
(51)【国際特許分類】
H02B 1/56 20060101AFI20231101BHJP
H02B 3/00 20060101ALI20231101BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20231101BHJP
【FI】
H02B1/56 A
H02B3/00 K
H05K7/20 J
(21)【出願番号】P 2020036873
(22)【出願日】2020-03-04
【審査請求日】2023-01-05
(73)【特許権者】
【識別番号】513296958
【氏名又は名称】東芝産業機器システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】高井 寛
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-019011(JP,A)
【文献】実開昭55-010358(JP,U)
【文献】特開2007-300695(JP,A)
【文献】特開2018-081344(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 1/00 - 1/38
H02B 1/46 - 7/08
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユニットを収容する複数の機器収容室と、
複数のファン装置と、
前記ファン装置を制御する制御部と、を備え、
前記ファン装置は、全ての前記機器収容室に前記ユニットが収容され、且つ、収容された全ての前記ユニットが運転状態である状況において想定される発熱量に基づいて設定された台数が設けられており、
前記制御部は、前記ユニットの運転状態に応じて予め設定されている台数の前記ファン装置を運転する制御を行っており、当該制御を行う際、複数の前記ファン装置の運転時間に差が出るように運転しない前記ファン装置を予め設定されている選択順に従って選択するとともに、運転中の前記ファン装置の異常を検出した場合には、運転していない前記ファン装置を運転する閉鎖配電盤。
【請求項2】
ユニットを収容する複数の機器収容室と、
複数のファン装置と、
前記ファン装置を制御する制御部と、
前記ユニットまたは前記機器収容室内の温度を検出する温度センサと、を備え、
前記ファン装置は、全ての前記機器収容室に前記ユニットが収容され、且つ、収容された全ての前記ユニットが運転状態である状況において想定される発熱量に基づいて設定された台数が設けられており、
前記制御部は、前記温度センサで検出した温度に応じて予め設定されている台数の前記ファン装置を運転する制御を行っており、当該制御を行う際、複数の前記ファン装置の運転時間に差が出るように運転しない前記ファン装置を予め設定されている選択順に従って選択するとともに、運転中の前記ファン装置の異常を検出した場合には、運転していない前記ファン装置を運転する閉鎖配電盤。
【請求項3】
ユニットを収容する複数の機器収容室と、
複数のファン装置と、
前記ファン装置を制御する制御部と、
前記機器収容室内または閉鎖配電盤内の空気の風量を検出する風量センサと、を備え、
前記ファン装置は、全ての前記機器収容室に前記ユニットが収容され、且つ、収容された全ての前記ユニットが運転状態である状況において想定される発熱量に基づいて設定された台数が設けられており、
前記制御部は、前記風量センサで検出した風量に応じて予め設定されている台数の前記ファン装置を運転する制御を行っており、当該制御を行う際、複数の前記ファン装置の運転時間に差が出るように運転しない前記ファン装置を予め設定されている選択順に従って選択するとともに、運転中の前記ファン装置の異常を検出した場合には、運転していない前記ファン装置を運転する閉鎖配電盤。
【請求項4】
前記制御部は、連結されている他の閉鎖配電盤に設けられている前記ファン装置の異常を検出可能であり、他の閉鎖配電盤に設けられている前記ファン装置の異常を検出した場合、自身が設けられている閉鎖配電盤において運転していない前記ファン装置を運転する請求項1から3のいずれか一項記載の閉鎖配電盤。
【請求項5】
光による発電および蓄電を行う光蓄電池を備え、
前記ファン装置を、前記光蓄電池から供給される電力で運転する請求項1から4のいずれか一項記載の閉鎖配電盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、閉鎖配電盤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばモータコントローラやインバータ機器などの複数のユニットを収容可能な閉鎖配電盤が知られている。このような閉鎖配電盤に収容されるユニットは、一般的に、動作が保証される上限温度が設定されている。そのため、例えば特許文献1では、閉鎖配電盤にファン装置を設けることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ファン装置は、例えば運転時間によって交換時期が設定されている。そのため、閉鎖配電盤の運用期間中には何度か交換する必要があり、メンテナンスに要する時間やコストが増大するおそれがある。また、メンテナンスによってファン装置が運転できない期間には、閉鎖配電盤を運用できなくなるおそれがある。
【0005】
そこで、ファン装置の交換時期を延長可能とすることによりメンテナンス性を改善可能な閉鎖配電盤を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の閉鎖配電盤は、ユニットを収容する複数の機器収容室と、複数のファン装置と、ファン装置を制御する制御部と、を備え、ファン装置は、全ての機器収容室にユニットが収容され、且つ、収容された全てのユニットが運転状態である状況において想定される発熱量に基づいて設定された台数が設けられており、制御部は、ユニットの運転状態に応じて予め設定されている台数のファン装置を運転する制御を行っており、当該制御を行う際、複数のファン装置の運転時間に差が出るように運転しないファン装置を予め設定されている選択順に従って選択するとともに、運転中のファン装置の異常を検出した場合には、運転していないファン装置を運転する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、複数の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、各実施形態において実質的に共通する部位には同一符号を付して説明する。
【0009】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態について
図1から
図3を参照しながら説明する。
図1に示すように、本実施形態による閉鎖配電盤1は、概ね縦長の直方体状の筐体2を備えている。この筐体2にはユニット3を収容するための複数の機器収容室4が設けられており、それぞれの機器収容室4は、個別に設けられている扉4aによって開閉される。この
図1では閉鎖配電盤1に6個の機器収容室4が設けられている構成を例示しているが、機器収容室4の数や配置あるいは大きさなどはこれに限定されない。
【0010】
ユニット3は、例えばモータコントローラ、抵抗などの負荷開閉機器、動力源となるインバータ機器などが想定される。このユニット3は、運転時に発熱する発熱体に相当する。以下、機器収容室4が設けられている側を閉鎖配電盤1の前面とし、その逆側を閉鎖配電盤1の後面として説明する。
【0011】
機器収容室4の後面側には、図示しない水平母線や垂直母線を収容するための母線収容室5が設けられている。この母線収容室5は、例えば筐体2の側面に開口しており、外部ケーブルとの接続や隣接して配置される他の閉鎖配電盤1との接続などに利用される。なお、
図1には、母線収容室5を蓋部材5aで閉鎖している状態を示している。
【0012】
機器収容室4の隣側には、図示しない配線などを配設するための配線収容室6が設けられている。この配線収容室6は、筐体2の概ね上下方向の全体渡って形成されているとともに、機器収容室4および母線収容室5につながっている。なお、
図1には、配線収容室6を蓋部材6aで閉鎖している状態を示している。
【0013】
筐体2の上部には、筐体2内の空気を排出するための排気口7が設けられている。本実施形態の場合、排気口7は、筐体2の前面側の上部に2箇所、後面側の上部に2箇所の合計4箇所に設けられている。そして、それぞれの排気口7の後面側には、
図2に示すファン装置8がそれぞれ設けられている。つまり、閉鎖配電盤1には、複数ここでは4個のファン装置8が設けられている。
【0014】
このうち、機器収容室4が設けられている前面側且つ中央寄りに設けられているものをファン装置8A、前面側且つ側面寄りに設けられているものをファン装置8B、後面側且つ中央寄りに設けられているものをファン装置8C、後面側且つ側面寄りに設けられているものをファン装置8Dとする。
【0015】
各ファン装置8は、運転時間の上限が定められており、その上限に達すると交換する必要があるものを採用している。なお、ここで言う運転時間とはファン装置8が設置されてからの総運転時間を想定しており、運転時間が上限に達するとファン装置8の交換時期になる。この排気口7には、安全のために図示しない保護カバーが設けられている。
【0016】
このファン装置8の台数は、全ての機器収容室4にユニット3が収容され、且つ、収容された全てのユニット3が運転中である状態において想定される発熱量に基づいて設定されている。より平易にいえば、ファン装置8は、閉鎖配電盤1の通常の利用環境において、ユニット3からの発熱量が最大となる状況を想定し、発熱量が最大の状況であってもユニット3の温度を上限温度以下に抑えることができる台数が設けられている。
【0017】
また、各ファン装置8には、光蓄電池9から電力が供給されている。光蓄電池9は、太陽光などに光で発電する電池パネル9a、電池パネル9aで発電した電力を蓄える蓄電器9b、本実施形態では直流で駆動されるファン装置8への電力を供給するための変換回路9cなどを備えている。つまり、ファン装置8は、基本的には光蓄電池9からの電力によって運転されており、閉鎖配電盤1の母線側の電力を消費しない構成となっている。そして、夜間などに発電量が低下した場合には、蓄電池から電力を供給することでファン装置8を運転する。
【0018】
筐体2の下部には、
図1に示すように、空気を吸入する吸気口10が設けられている。この吸気口10には、例えばメッシュ状のフィルタ10aが設けられている。そして、ファン装置8が運転されると、吸気口10から空気が吸入され、母線収容室5や配線収容室6を通って機器収容室4を流れたのち、つまりは、ユニット3を冷却したのち、排気口7から排気される。
【0019】
また、閉鎖配電盤1には、
図1に示すように、ファン装置8を制御する制御部11が設けられている。この制御部11は、図示しないCPUなどを備えたコンピュータで構成されており、記憶部12に記憶されているプログラムに従ってファン装置8の運転を制御する。この制御部11は、ユニット3にも接続されている。そのため、制御部11は、閉鎖配電盤1に設けられているユニット3の台数や、運転中のユニット3の台数、ユニット3の消費電力などの運転状態を把握することができる。この制御部11は、母線側の電力によって動作する。
【0020】
記憶部12は、例えば半導体メモリなどにより構成されており、制御部11で実行するプログラムや、詳細は後述するが、運転中のユニット3の台数と運転すべきファン装置8の台数との対応関係を示すデータなどを記憶している。以下、運転中のユニット3の台数をユニット3の運転台数とも称し、運転すべきファン装置8の台数を運転台数とも称し、閉鎖配電盤1に設けられているファン装置8の台数を設置台数とも称する。
【0021】
次に、上記した構成の作用について説明する。
まず、本実施形態では、閉鎖配電盤1を運用可能な状態として、ユニット3の温度が上限温度を超えることなく動作させることが可能な状態、すなわち、閉鎖配電盤1の冷却性能が維持されている状態を想定している。そして、閉鎖配電盤1において発熱量が最大となる状況を想定してファン装置8の台数を設定することにより、どのような台数や種類のユニット3が収容されたとしても、閉鎖配電盤1を運用可能な状態に維持することが可能となると考えられる。
【0022】
その一方で、ファン装置8は、例えば運転時間によって交換時期が設定されているため、閉鎖配電盤1の運用期間中には何度か交換する必要があり、メンテナンスに要する時間やコストが増大するおそれがある。また、メンテナンスによってファン装置8が運転できない期間には、閉鎖配電盤1を運用できなくなるおそれがある。この場合、ファン装置8を設けなくても、あるいは、ファン装置8が運転できなくても閉鎖配電盤1を運用可能にするために、例えば筐体2を大型化したり母線を大容量化したりすることも考えられるものの、その場合には製造コストが大幅に増加してしまうことになる。
【0023】
そこで、本実施形態では、ファン装置8の台数が設定された理由に着目し、ファン装置8の実効的な交換時期を延長可能とすることにより、メンテナンス性を改善可能としている。
【0024】
具体的には、ファン装置8を制御する制御部11は、
図3に示す処理を実行する。この処理において、制御部11は、必要となるファン装置8の運転台数(M)を求める(S1)。このとき、制御部11は、閉鎖配電盤1に収容されているユニット3の運転状態、本実施形態ではユニット3の運転台数に応じて、予め定められているファン装置8の運転台数を求めている。このとき、ユニット3の運転台数と必要となるファン装置8の運転台数との対応関係は、例えば閉鎖配電盤1の設置時の試験などにより予め定められており、記憶部12に記憶されている。そのため、制御部11は、運転中のユニット3の運転台数を把握すると、記憶部12から対応関係を読み出し、対応するファン装置8の運転台数を求めている。
【0025】
続いて、制御部11は、ファン装置8の運転台数がファン装置8の設置台数(N)未満であるかを判定する(S2)。上記したように、ファン装置8は、通常の閉鎖配電盤1の利用環境において発熱量が最大となる状況を想定してその台数が設定されている。換言すると、ユニット3の運転台数によっては、必ずしも全てのファン装置8を運転する必要がない場合も想定され、その場合には、ファン装置8の運転台数つまりは冷却能力に余裕が出ることになる。つまり、制御部11は、このステップS2において、ファン装置8の運転台数に余裕があるかを判定している。なお、このステップS2の判定には、収容されているユニット3の台数が機器収容室4の数よりも少ないかも含まれる。
【0026】
制御部11は、必要となるファン装置8の運転台数(M)がファン装置8の設置台数(N)未満ではないと判定した場合には(S2:NO)、ステップS3に移行する。一方、制御部11は、必要となるファン装置8の運転台数(M)がファン装置8の設置台数(N)であると判定した場合には(S2:YES)、運転台数に余裕があることから、予め定められている設定順に従って運転しないファン装置8を選択する(S3)。なお、本実施形態では、N=4台である。
【0027】
ここで、ファン装置8の選択順について説明する。例えばファン装置8A~ファン装置8Dの4台が設けられている閉鎖配電盤1の場合、選択順としては、1位にファン装置8D、2位にファン装置8C、3位にファン装置8B、4位にファン装置8Aが設定されている。そして、例えば必要となる運転台数(M)が3台の場合には、運転しないファン装置8はN-M=1台であり、その場合には、ファン装置8Dが運転しないものとして選択される。また、必要となる運転台数(M)が2台の場合には、運転しないファン装置8はN-M=2台であり、その場合には、ファン装置8D、ファン装置8Cが運転しないものとして選択される。
【0028】
このため、ファン装置8Dは、他のファン装置8に比べると、相対的に運転しないものとして選択される可能性が高く、運転時間が最も短くなると想定される。つまり、本実施形態では、他のファン装置8と比べて運転時間が短いファン装置8を存在させるために、すなわち、実効的な交換時期が相対的に長いファン装置8を存在させるために、運転しないファン装置8が敢えて偏るようにしている。
【0029】
そして、制御部11は、必要となる台数のファン装置8を運転し(S4)、ファン装置8の異常を検出したかを判定する(S5)。制御部11は、異常を検出していないと判定した場合には(S5:NO)、ステップS1に移行する。これは、最初に運転台数(M)を求めたのちに新たに運転が開始あるいは停止されたユニット3が存在する可能性、つまりは、ユニット3の運転状態が変化した可能性があるためである。このため、制御部11は、現在の運転状態に応じて、必要であれば運転台数を再度求めてステップS2~S4の処理を繰り返す。
【0030】
一方、制御部11は、異常を検出したと判定した場合には(S5:YES)、音声や警告灯あるいは上位制御装置への通知などにより異常を報知したのち(S6)、未運転のファン装置8があるかを判定する(S7)。制御部11は、未運転のファン装置8がないと判定した場合には(S7:NO)、ステップS9に移行して異常対処の処理を行う(S9)。これは、未運転のファン装置8がない場合には、冷却能力が不足した状況のまま閉鎖配電盤1が運用される可能性があるため、その状況を改善する必要があるためである。なお、
図3では、説明の簡略化のためにステップS9ののちに処理を終了する例を示しているが、異常が検出されていないファン装置8の運転はそのまま継続することができる。
【0031】
これに対して、制御部11は、未運転のファン装置8があると判定した場合には(S7:YES)、未運転のファン装置8を運転する(S8)。これにより、例えば1個のファン装置8が故障したとしても、未運転のファン装置8を運転することにより冷却能力を維持することが可能になる。この場合、異常が検出されたファン装置8を点検する必要はあるものの、冷却能力を補えるため、閉鎖配電盤1の運用は継続可能になる。
【0032】
このように、本実施形態では、必ずしも発熱量が常に最大になるわけではないという現実的な閉鎖配電盤1の利用形態に鑑みて、運転しないファン装置8を敢えて偏らせて選択するように制御することにより、ファン装置8の交換時期の実効的な延長と、ファン装置8に異常が検出された際の閉鎖配電盤1の運用の継続とを可能とし、メンテナンス性の改善というユーザにとって大きなメリットを与えることができる。
【0033】
以上説明した閉鎖配電盤1によれば、次のような効果を得ることができる。
閉鎖配電盤1は、ユニット3を収容する複数の機器収容室4と、複数のファン装置8と、ファン装置8を制御する制御部11と、を備えている。このとき、ファン装置8は、全ての機器収容室4にユニット3が収容され、且つ、収容された全てのユニット3が運転状態である状況において想定される発熱量に基づいて設定された台数が設けられている。そして、制御部11は、ユニット3の運転状態、本実施形態ではユニット3の運転台数に応じて予め設定されている台数のファン装置8を運転する制御を行っており、当該制御を行う際、複数のファン装置8の運転時間に差が出るように運転しないファン装置8を予め設定されている選択順に従って選択するとともに、運転中のファン装置8の異常を検出した場合には、運転していないファン装置8を運転する。
【0034】
上記したように、閉鎖配電盤1において発熱量が最大となる状況を想定してファン装置8の台数を設定した場合には、実際の利用状況においては、ユニット3の運転状態によっては必要とされるファン装置8の運転台数に余裕がでることが想定される。このとき、運転しなくてもよいファン装置8がある場合には、そのファン装置8の運転時間が短くなることで、実効的な交換時期を延長可能とすることができると考えられる。
【0035】
そして、複数のファン装置8の運転時間に差が出るように予め設定されている選択順に従って運転しないファン装置8を選択することにより、つまりは、運転しないファン装置8を意図的に偏らせて選択することにより、相対的に運転時間が短くなるファン装置8を設定することができる。これにより、そのファン装置8の実効的な交換時期を延長可能とすることができる。
【0036】
さらに、運転中のファン装置8の異常を検出した場合には、運転していないファン装置8があればそれを運転することにより、ファン装置8が故障等で停止した場合であっても、閉鎖配電盤1の冷却能力を維持することができ、運用を継続することができる。したがって、閉鎖配電盤1のメンテナンス性を改善可能とすることができる。
【0037】
実施形態ではユニット3の運転台数に応じてファン装置8の運転台数を設定する例を示したが、ユニット3の種類に応じてファン装置8を制御する構成とすることができる。例えば、相対的に発熱量が小さいユニット3が例えば2台収容されている場合と、相対的に発熱量が大きいユニット3が2台収容されている場合とでは、必要なファン装置8の運転台数が異なると想定される。一方、閉鎖配電盤1に収容されるユニット3は、基本的には仕様がわかっていると考えられる。
【0038】
そのため、例えばユニット3と制御部11とを通信可能な構成としたり、収容されているユニット3の種類をユーザが入力可能な構成としたりすることでユニット3の種類を制御部11で把握し、その種類と運転台数とに応じてファン装置8を制御することにより、交換時期の実効的な延長をより一層促すことができるなどの効果を得ることができる。
【0039】
また、閉鎖配電盤1は、光による発電および蓄電を行う光蓄電池9を備え、ファン装置8を、光蓄電池9から供給される電力で運転する。これにより、閉鎖配電盤1の母線側から供給される電力を消費することなくファン装置8を運転することができ、閉鎖配電盤1の電力効率を向上させることができる。また、蓄電池を備えていることから、閉鎖配電盤1を屋外に設置した場合であっても、天候に左右されず、また、夜間などに発電量が低下したとしても、電力を安定して供給するができる。
【0040】
実施形態では、発熱体に相当するユニット3とは逆側、つまり、閉鎖配電盤1内において相対的に発熱量が低くなることが想定される側に設けられているファン装置8を、選択順の上位に設定している。そのため、ファン装置8を運転しないという状況が得られやすくなり、ファン装置8の交換時期の実効的な延長をより一層促すことができる。ただし、閉鎖配電盤1内の構造によっては、後面側の圧損が少なく、後面側のファン装置8を運転するほうが効率的に排気できる状況も想定される。そのため、選択順は、前面側に設けられているファン装置8を選択順の上位に設定するなど、閉鎖配電盤1の構造によって適宜選択することができる。
【0041】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態について
図4および
図5を参照しながら説明する。なお、本実施形態における制御態様は第1実施形態と共通するため、
図3も参照しながら説明する。
【0042】
図4に示すように、本実施形態の閉鎖配電盤1には、各機器収容室4に、それぞれ温度センサ20が設けられている。各温度センサ20は、
図5に示すように制御部11に接続されており、制御部11は、各温度センサ20で検出した温度を取得することができる。本実施形態では、温度センサ20は、機器収容室4内の温度を検出する。ただし、温度センサ20は、例えばユニット3に接触させるなどにより、ユニット3の温度を検出する構成とすることができる。
【0043】
そして、制御部11は、
図3に示す処理と同様の流れで制御を行う。具体的には、制御部11は、ステップS1において必要となるファン装置8の運転台数(M)を求める。本実施形態では、制御部11は、温度センサ20で検出した温度に基づいて、必要となるファン装置8の運転台数を求めている。このとき、制御部11は、検出した温度が例えばユニット3の上限温度よりも高い場合にはファン装置8の運転台数を増やし、検出した温度が例えばユニット3の上限温度よりも低い場合には、ファン装置8の運転台数を少なくする。なお、検出した温度と必要となるファン装置8の運転台数との対応関係は、例えば閉鎖配電盤1の設置時の試験などにより予め定められており、記憶部12に記憶されている。
【0044】
続いて、制御部11は、ステップS2においてファン装置8の運転台数に余裕があるかを判定し、余裕がある場合にはステップS3において選択順に従ってファン装置8を選択する。そして、制御部11は、ステップS4においてファン装置8の運転を開始し、ステップS5において異常を検出した場合には、ステップS6において異常を報知したのち、ステップS7において未運転のファン装置8があれば、ステップS8においてそのファン装置8を運転することで閉鎖配電盤1の冷却能力が維持されるようにするなど、第1実施形態で説明したのと同様の処理を行う。
【0045】
つまり、本実施形態の閉鎖配電盤1は、ユニット3または機器収容室4内の温度を検出する温度センサ20を備え、制御部11において、温度センサ20で検出した温度に応じて予め設定されている台数のファン装置8を運転する制御を行い、当該制御を行う際、複数のファン装置8の運転時間に差が出るように運転しないファン装置8を予め設定されている選択順に従って選択するとともに、運転中のファン装置8の異常を検出した場合には、運転していないファン装置8を運転する。
【0046】
このような構成によっても、相対的に運転時間が短くなるファン装置8を設定することができる、そのファン装置8の実効的な交換時期を延長可能とすることができるとともに、運転中のファン装置8の異常を検出した場合には、運転していないファン装置8があればそれを運転することにより、ファン装置8が故障等で停止した場合であっても、閉鎖配電盤1の冷却能力を維持することができ、運用を継続することができる。したがって、閉鎖配電盤1のメンテナンス性を改善可能とすることができる。
【0047】
また、実施形態では温度センサ20により温度を直接的にする構成を例示したが、例えばユニット3の消費電力を検出する電力検出器を設け、その電力検出器で検出した消費電力に基づいて温度を推定する構成とすることができる。
【0048】
また、本実施形態においても、第1実施形態と同様に光蓄電池9を設け、光蓄電池9からファン装置8への電力の供給を行う構成とすることにより、閉鎖配電盤1の電力効率を向上させることができる。
【0049】
(第3実施形態)
以下、第3実施形態について
図6および
図7を参照しながら説明する。なお、本実施形態における制御態様は第1実施形態と共通するため、
図3も参照しながら説明する。
【0050】
図6に示すように、本実施形態の閉鎖配電盤1には、各機器収容室4および吸気口10の近傍に、それぞれ風量センサ30が設けられている。各風量センサ30は、
図7に示すように制御部11に接続されており、制御部11は、各風量センサ30で検出した風量を取得することができる。本実施形態では、風量センサ30は、閉鎖配電盤1に流入する大元の風量と、各機器収容室4内の風量とを検出する。なお、風量センサ30の数や配置は一例であり、例えば排気口7の近傍に風量センサ30を設け、排気の風量を検出する構成などとすることができる。
【0051】
そして、制御部11は、
図3に示す処理と同様の流れで制御を行う。具体的には、制御部11は、ステップS1において必要となるファン装置8の運転台数(M)を求める。本実施形態では、制御部11は、風量センサ30で検出した風量に基づいて、必要となるファン装置8の運転台数を求めている。このとき、制御部11は、検出した風量が例えば所定の基準風量よりも少ない場合には、冷却性能が低いことからファン装置8の運転台数を増やし、検出した風量が基準風量よりも多い場合には、ファン装置8の運転台数を少なくする。
【0052】
なお、検出した風量と必要となるファン装置8の運転台数との対応関係は、例えば閉鎖配電盤1の設置時の試験などにより予め定められており、記憶部12に記憶されている。この場合、風量と、その風量におけるユニット3の温度との関係を予め記憶しておくことにより、ファン装置8の運転台数を風量に基づいて求めることができる。
【0053】
続いて、制御部11は、ステップS2においてファン装置8の運転台数に余裕があるかを判定し、余裕がある場合にはステップS3において選択順に従ってファン装置8を選択する。そして、制御部11は、ステップS4においてファン装置8の運転を開始し、ステップS5において異常を検出した場合には、ステップS6において異常を報知したのち、ステップS7において未運転のファン装置8があれば、ステップS8においてそのファン装置8を運転することで閉鎖配電盤1の冷却能力が維持されるようにするなど、第1実施形態で説明したのと同様の処理を行う。
【0054】
つまり、本実施形態の閉鎖配電盤1は、ユニット3または機器収容室4内の風量を検出する風量センサ30を備え、制御部11において、風量センサ30で検出した風量に応じて予め設定されている台数のファン装置8を運転する制御を行い、当該制御を行う際、複数のファン装置8の運転時間に差が出るように運転しないファン装置8を予め設定されている選択順に従って選択するとともに、運転中のファン装置8の異常を検出した場合には、運転していないファン装置8を運転する。
【0055】
このような構成によっても、相対的に運転時間が短くなるファン装置8を設定することができる、そのファン装置8の実効的な交換時期を延長可能とすることができるとともに、運転中のファン装置8の異常を検出した場合には、運転していないファン装置8があればそれを運転することにより、ファン装置8が故障等で停止した場合であっても、閉鎖配電盤1の冷却能力を維持することができ、運用を継続することができる。したがって、閉鎖配電盤1のメンテナンス性を改善可能とすることができる。
【0056】
また、ファン装置8の回転向きを変更可能な構成とすることができる。例えば、通常は配線収容室6から機器収容室4側への空気の流れを形成する回転向きで運転し、ユニット3が収容されていない場合にはその逆の回転向きで運転することができる。これにより、閉鎖配電盤1内の構造にもよるものの、より効率的な空気の流れを形成することが可能となり、冷却能力を向上させることができ、ファン装置8の消耗の低減つまりは相対的な交換時期の延長を図ることが可能になる。
【0057】
また、本実施形態においても、第1実施形態と同様に光蓄電池9を設け、光蓄電池9からファン装置8への電力の供給を行う構成とすることにより、閉鎖配電盤1の電力効率を向上させることができる。
【0058】
(第4実施形態)
以下、第4実施形態について
図8および
図9を参照しながら説明する。なお、本実施形態における制御態様は第1実施形態と共通するため、
図3も参照しながら説明する。
【0059】
図8に示すように、本実施形態では、複数の閉鎖配電盤1を隣接して設けている。各閉鎖配電盤1は、上記した母線収容室5を介して内部で互いにつながっている。このとき、隣り合う閉鎖配電盤1の間に位置して、2つの盤間ファン40が設けられている。
【0060】
各閉鎖配電盤1は、
図9に示すように、制御部11、ユニット3、ファン装置8、記憶部12、第2実施形態で説明した温度センサ20、第3実施形態で説明した風量センサ30、盤間ファン40を備えている。このとき、各閉鎖配電盤1の制御部11は、互いに通信可能に接続されている。なお、温度センサ20や風量センサ30は必須ではなく、必要に応じて設ける構成とすればよい。また、第1実施形態と同様に、ファン装置8および盤間ファン40を光蓄電池9からの電力により運転する構成とすることができる。
【0061】
盤間ファン40は、基本的にはファン装置8と同様の構成であり、閉鎖配電盤1の上部側に設けられている。また、本実施形態では、盤間ファン40は、各閉鎖配電盤1に1台設けられており、閉鎖配電盤1を隣接させた状態において前後方向となる2箇所の位置に配置されている。そのため、
図8では、1つ盤間ファン40を図示している。そして、各盤間ファン40は、矢印F1または破線の矢印F2にて示すように、隣り合う閉鎖配電盤1から自身が設けられている閉鎖配電盤1側への空気の流れを形成する。ただし、盤間ファン40の数や配置は一例であり、数を変更したり、上下方向に配置したりすることができる。
【0062】
そして、制御部11は、
図3に示す処理と同様の流れで制御を行う。具体的には、制御部11は、ステップS1において必要となるファン装置8の運転台数(M)を求める。このとき、制御部11は、第1実施形態で説明したユニット3の運転台数、第2実施形態で説明した温度センサ20で検出した温度、第3実施形態で説明した風量センサ30で検出した風量、あるいは、それらの組み合わせに基づいて、必要となるファン装置8の運転台数を求める。
【0063】
続いて、制御部11は、ステップS2においてファン装置8の運転台数に余裕があるかを判定し、余裕がある場合にはステップS3において選択順に従ってファン装置8を選択する。そして、制御部11は、ステップS4においてファン装置8の運転を開始する。
【0064】
そして、制御部11は、ステップS5において、自身が設けられている閉鎖配電盤1のファン装置8の異常を検出したかを判定するとともに、本実施形態では、隣り合う閉鎖配電盤1のファン装置8の異常を検出したかも判定する。制御部11は、自身が設けられている閉鎖配電盤1のファン装置8の異常を検出した場合には、ステップS6において異常を報知したのち、ステップS7において未運転のファン装置8があれば、ステップS8においてそのファン装置8を運転することで閉鎖配電盤1の冷却能力が維持されるようにする。
【0065】
一方、制御部11は、隣り合う閉鎖配電盤1のファン装置8の異常を検出したと判定した場合には、ステップS8において盤間ファン40を運転する。これにより、ファン装置8に異常が発生した隣り合う閉鎖配電盤1から空気が吸い込まれ、自身のファン装置8にて排気することにより、隣り合う閉鎖配電盤1の冷却を肩代わりすることが可能になる。
【0066】
ただし、隣り合う閉鎖配電盤1側でも未運転のファン装置8を運転するなどの処理が実行されるため、制御部11は、例えば隣り合う閉鎖配電盤1側において、未運転のファン装置8があるか否か、温度が上限温度を超えていないか、十分な風量が確保されているかなどに基づいて盤間ファン40の運転を判断する構成とすることもできる。
【0067】
このように、制御部11は、連結されている他の閉鎖配電盤1に設けられているファン装置8の異常を検出可能であり、他の閉鎖配電盤1に設けられているファン装置8の異常を検出した場合、自身が設けられている閉鎖配電盤1において運転していないファン装置8あるいは盤間ファン40を運転する構成であっても、意図的に運転しないファン装置8を偏らせることで実効的な交換時期を延長可能とすることができるとともに、運転中のファン装置8の異常を検出した場合には、運転していないファン装置8があればそれを運転することにより、ファン装置8が故障等で停止した場合であっても、閉鎖配電盤1の冷却能力を維持することができる。さらに、隣り合う閉鎖配電盤1に異常が生じた場合でも冷却能力を肩代わりすることができる。したがって、閉鎖配電盤1のメンテナンス性を改善可能とすることができる。
【0068】
この場合、盤間ファン40が設けられている位置に温度センサ20や風量センサ30を設け、隣り合う閉鎖配電盤1側の冷却能力をそれらのセンサで検出した温度や風量に基づいて推定することにより、自身に設けられているファン装置8や盤間ファン40を駆動する構成とすることができる。
【0069】
また、本実施形態においても、第1実施形態と同様に光蓄電池9を設け、光蓄電池9からファン装置8への電力の供給を行う構成とすることにより、閉鎖配電盤1の電力効率を向上させることができる。
【0070】
以上の各実施形態で例示した構成は、互いに組み合わせることができる。例えば、運転台数と風量とに基づいてファン装置8を制御する構成としたり、運転台数と風量と風量とに基づいてファン装置8を制御する構成としたり、風量と風量とに基づいてファン装置8を制御する構成としたりすることができる。
【0071】
このような構成によっても、ファン装置8の交換時期を延長可能とすることによりメンテナンス性を改善可能になるなど、実施形態で説明したのと同様の効果を得ることができる。この場合、運転すべきファンの運転台数との対応関係は、予め記憶部12に記憶しておくこともできるし、収容されているユニット3の仕様に基づいて動的に設定および変更する構成とすることもできる。
【0072】
実施形態ではファン装置8の運転台数を求める構成を例示したが、ファン装置8の運転状態例えば回転数を変更する構成と組み合わせることができる。例えば光蓄電池9からの電力供給を増やしたり、制御部11からのPWM制御している場合には制御周波数を変更したりすることにより、ファン装置8の運転状態つまりはファン装置8の冷却性能を高くすることができる。
【0073】
このとき、ファン装置8に回転数に応じた運転時間が交換時期として設定されている場合には、ファン装置8の仕様の範囲内で運転状態を変化させることにより、運転しないファン装置8を存在させ易くなり、メンテナンス性を一層向上させることができる。また、冷却能力に余裕がある場合にはファン装置8の運転能力を低くすることで、ファン装置8の消耗を低減することができるため、相対的に交換時期を延長させることができるようになる。
【0074】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0075】
図面中、1は閉鎖配電盤、3はユニット、4は機器収容室、8はファン装置、9は光蓄電池、11は制御部、20は温度センサ、30は風量センサ、40は盤間ファン(ファン装置)を示す。