(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-31
(45)【発行日】2023-11-09
(54)【発明の名称】超音波CT装置
(51)【国際特許分類】
A61B 8/15 20060101AFI20231101BHJP
【FI】
A61B8/15
(21)【出願番号】P 2020037121
(22)【出願日】2020-03-04
【審査請求日】2023-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】320011683
【氏名又は名称】富士フイルムヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000888
【氏名又は名称】弁理士法人山王坂特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川畑 健一
(72)【発明者】
【氏名】山中 一宏
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 敦郎
(72)【発明者】
【氏名】坪田 悠史
(72)【発明者】
【氏名】寺田 崇秀
【審査官】冨永 昌彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2004-520094(JP,A)
【文献】特開2019-162294(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0158481(US,A1)
【文献】特開2017-184864(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0290223(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0275344(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 - 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の計測容器と、前記計測容器内に挿入された計測対象に超音波を送信し、前記計測対象からの超音波を受信する振動子アレイとを有し、
前記計測容器内には、ゲルが配置され、前記ゲルの表面は、前記計測対象の少なくとも前記超音波が送信される表面に密着し、
前記振動子アレイから送信された超音波は、前記ゲル内を通過して前記計測対象に密着した表面から前記計測対象に照射され、
前記計測容器には、前記計測容器内のゲルを押圧、または、引っ張ることにより、前記ゲルの表面形状を変形させるゲル変形機構が備えられていることを特徴とする超音波CT装置。
【請求項2】
筒状の計測容器と、
前記計測容器内に挿入された計測対象に超音波を送信し、前記計測対象からの超音波を受信する振動子アレイと、
前記計測容器内の空間にゲルを供給するゲル供給部と
を有し、
前記計測容器には、前記計測容器内のゲルを押圧、または、引っ張ることにより、前記ゲルの表面形状を変形させるゲル変形機構が備えられていることを特徴とする超音波CT装置。
【請求項3】
請求項
1に記載の超音波CT装置であって、前記ゲル変形機構は、前記計測容器の底面に配置され、前記ゲルの底面を上方に押し上げるか、または、下方に引き下げる機構であることを特徴とする超音波CT装置。
【請求項4】
請求項
3に記載の超音波CT装置であって、前記ゲル変形機構は、前記計測容器の底面の中央領域に配置され、前記ゲルの中央部を支持する中央プレートと、前記中央プレートの外側に配置され、前記ゲルの周縁部を支持する周縁プレートと、前記中央プレートを下方に引き下げる中央駆動機構と、前記周縁プレートを上方に押し上げる周縁駆動機構とを備えることを特徴とする超音波CT装置。
【請求項5】
請求項
4に記載の超音波CT装置であって、前記中央プレートと周縁プレートは、前記計測容器の底面を兼用していることを特徴とする超音波CT装置。
【請求項6】
請求項
1に記載の超音波CT装置であって、前記ゲル変形機構を制御することにより前記ゲルの変形量を制御する制御部をさらに有することを特徴とする超音波CT装置。
【請求項7】
請求項
6に記載の超音波CT装置であって、前記ゲルの表面と前記計測対象の表面とが密着しているかどうかを検出するセンサをさらに有し、
前記制御部は、前記センサの検出結果に応じて、前記ゲルの変形量を制御することを特徴とする超音波CT装置。
【請求項8】
請求項
7に記載の超音波CT装置であって、前記センサは、カメラ、音響センサ、または荷重センサであること特徴とする超音波CT装置。
【請求項9】
請求項
7に記載の超音波CT装置であって、前記振動子アレイが、前記センサを兼用すること特徴とする超音波CT装置。
【請求項10】
請求項2に記載の超音波CT装置であって、前記ゲル供給部は、ゲルを保管する保管容器と、前記保管容器内のゲルを前記計測容器内へ導く導入路とを含むことを特徴とする超音波CT装置。
【請求項11】
筒状の計測容器と、
前記計測容器内に挿入された計測対象に超音波を送信し、前記計測対象からの超音波を受信する振動子アレイと、
前記計測容器内の空間にゲルを供給するゲル供給部と
を有し、
前記ゲル供給部は、ゲルを保管する保管容器と、前記保管容器内のゲルを前記計測容器内へ導く導入路とを含み、
前記ゲル供給部は、ゲルを製造するゲル製造容器をさらに含むことを特徴とする超音波CT装置。
【請求項12】
請求項
11に記載の超音波CT装置であって、前記ゲル製造容器は、前記保管容器を兼用していることを特徴とする超音波CT装置。
【請求項13】
請求項
10に記載の超音波CT装置であって、前記ゲル供給部は、前記ゲルを殺菌する殺菌機構をさらに含むことを特徴とする超音波CT装置。
【請求項14】
請求項2に記載の超音波CT装置であって、前記計測容器には、前記計測容器内のゲルを取り出して廃棄する廃棄機構がさらに備えられていることを特徴とする超音波CT装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波を体内に照射して得られた信号を処理して生体の断面画像等を生成して表示する超音波CT装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波測定を乳がんの検出に応用した医療用診断装置として、特許文献1等に、乳房用超音波CT(Computed tomography)装置が開示されている。乳房用超音波CT装置では、水中に挿入された乳房の周囲に、超音波送信・受信器であるリング状の振動子アレイを配置し、360度全周方向から乳房に超音波を照射し、乳房からの反射信号または透過信号を測定し、画像再構成する。これにより、乳房の断層画像が取得される。反射信号からは乳房組織の構造に関する情報が得られ、透過信号からは、組織における超音波の音速・減衰に関する情報が得られる。一般に、腫瘍における超音波の音速および減衰量は、周囲の乳腺、脂肪等の正常組織に比べて高い。したがって、超音波の音速または減衰量の断層像(透過波画像)から腫瘍を定量的に検出することが可能となる。
【0003】
一方、特許文献2には、光音響効果を用いた乳房の画像診断装置が開示されている。この装置は、乳房に対して、乳頭から胸壁の方向へレーザー光を照射し、乳房から発生する音響信号を周囲に配置された振動子アレイで測定し、腫瘍を検出する。このとき、特許文献2の技術では、乳房を乳頭から胸壁方向へ風船で押し込むことにより、乳房を圧縮し、乳房の厚みを減少させる構成を開示している。乳房を圧縮して厚みを減少させることにより、乳房内におけるレーザー光の減衰を低減することができるため、乳房の全領域に対して光を入射させることが可能となる。
【0004】
一方、特許文献3には、乳房用超音波CT装置において超音波の乳房表面に対する入射角を小さくするために、乳房の乳頭部を下から吸引した上で、下方向に引っ張ることで乳房を円柱状に伸ばす成形法が提案されている。
【0005】
また、非特許文献1等に示されるように、超音波CT装置は乳房以外を対象とした生体情報の計測にも用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許出願公開第2018/0140273号明細書
【文献】米国特許出願公開第2016/0262628号明細書
【文献】米国特許出願公開第2017/0224305号明細書
【非特許文献】
【0007】
【文献】Wiskin、J.ら, SPIE Medical Imaging, SPIE発行,10955巻, MI(2019)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
乳房用超音波CT装置では、上記特許文献1に記載されているように、乳房組織に近い音速を示す水を入れた容器に乳房を挿入し、リング状の振動子アレイから、乳房の周囲の水を通して超音波を乳房に対して水平(ベッドの主平面に対して平行)に照射し、その反射波や透過波を振動子アレイにより受信する。しかしながら、一般的に乳房の形状は円錐形に近く、超音波を乳房に対して水平に照射した場合、乳房の周囲を満たす水の音速と乳房の皮膚の音速の差により、超音波は乳房の表面において屈折する。屈折方向は、振動子アレイが存在する平面に対して直交する方向(z方向)であるため、乳房内で反射した超音波や、乳房を透過した超音波が振動子アレイに到達する割合が減少し、画質向上の妨げになる。
【0009】
しかも、乳房の形状は、完全な円錐形ではなく、部位によって傾斜角が異なるため、超音波が乳房の表面に対して大きく傾斜して入射する領域と、垂直に近い角度で入射する領域とが生じ、画質の精度に分布が生じる。特に、胸壁に近い乳房の基部は、乳房表面の傾斜が大きく、精細な画像を得にくいという問題もある。
【0010】
また、乳房用超音波CT装置は、水を入れた容器に乳房を挿入して計測を行うため、乳房は水の浮力により胸壁に向かって押されて平たく変形し、超音波の乳房表面に対する入射角は大きくなる。
【0011】
また、水の浮力により、乳房が平たく変形した場合、乳房の根元(胸壁近く)に存在する腫瘍が、胸壁方向に押され、リング状の振動子アレイで超音波を照射可能な領域(視野)の外側に押し出されることもある。
【0012】
また、容積が小さい乳房の場合、平たい形状であることが多く、浮力による変形や、超音波の入射角の影響を受けやすい。
【0013】
このような理由により、超音波を乳房表面に対してできる限り垂直または垂直に近い角度で入射させることができるように、乳房の形を整えることが望まれる。
【0014】
特許文献2の光音響の技術は、乳房を乳頭から胸壁方向に風船で押し込んで圧縮することが開示されているが、乳房の側面形状については考慮されていない。
【0015】
一方、特許文献3の乳房成形方法は、乳頭部に吸引器具を装着し、乳房を下方向に引っ張って円柱状に伸ばす技術であり、患者にとっては、乳頭部に吸引器具が装着されることや、その器具で引っ張られることが心理的な負担になる。また乳房を吸引するための器具や機構を、装置構成に追加する必要があるため、装置コストの増加につながる。
【0016】
本発明の目的は、計測対象の乳房等の計測部位を計測に適した形状に成形することができ、しかも計測対象の負担が少ない超音波CT装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために、本発明によれば、筒状の計測容器と、計測容器内に挿入された計測対象に超音波を送信し、計測対象からの超音波を受信する振動子アレイとを有する超音波CT装置が提供される。計測容器内には、ゲルが配置され、ゲルの表面は、計測対象の少なくとも超音波が送信される表面に密着する。振動子アレイから送信された超音波は、ゲル内を通過して計測対象に密着した表面から計測対象に照射される。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、計測対象の乳房等の計測部位を、ゲルにより計測に適した形状に成形することができる。ゲルは柔らかいため、計測対象の与える負担は小さい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態1の超音波CT装置の一例を示すブロック図。
【
図3】
図1の計測容器の底にシート27を配置した場合の断面図。
【
図4】(a)~(c)実施形態1の超音波CT装置の計測時の各部の動作(動作例1)を示す断面図。
【
図5】実施形態1の超音波CT装置の計測時の各部の動作(動作例1)を示すフローチャート。
【
図6】(a)~(c)実施形態1の超音波CT装置の計測時の各部の動作(動作例2)を示す断面図。
【
図7】(a)~(c)実施形態1の超音波CT装置の計測時の各部の動作(動作例3)を示す断面図。
【
図8】実施形態1の超音波CT装置の計測時の各部の動作(動作例3)を示すフローチャート。
【
図9】本発明の実施形態2の超音波CT装置の一例を示すブロック図。
【
図10】本発明の実施形態3の超音波CT装置の一例を示すブロック図。
【
図11】本発明の実施形態4の超音波CT装置の一例を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態の超音波CT装置について図面を用いて説明する。
【0021】
<<実施形態1>>
本発明の実施形態1の超音波CT装置は、乳房の計測に適した装置である。
図1は、実施形態1の超音波CT装置の全体構成を示すブロック図であり、
図2は、計測時の乳房と、乳房表面に密着したゲルを示す断面図である。
【0022】
本実施形態1の乳房用超音波CT装置は、計測対象1を搭載するベッド2と、計測容器4と、振動子アレイ3とを備えている。ベッド2には、計測対象1の計測部位(乳房)1aを挿入する開口が設けられている。計測容器4は、筒状(ここでは円筒状)であり、ベッド2の開口の下部に配置されている。振動子アレイ3は、計測容器4の外周に配置され、計測容器4内に挿入された計測部位1aに超音波を送信し、計測部位1aからの超音波を受信する。振動子アレイ3は、計測容器4の外周(ベッド2の主平面に平行な面内)に沿って複数の振動子を配列したリング状であり、計測容器4に対して上下動可能に配置されている。
【0023】
振動子アレイ3には、振動子アレイ3を計測容器4に対して上下動させる振動子アレイ駆動機構5が備えられている。振動子アレイ駆動機構5には、その動作を制御する振動子アレイ位置制御部6が接続されている。
【0024】
また、振動子アレイ3には、超音波の送受信を制御する送受信制御部9が接続されている。送受信制御部9は、振動子アレイ3を構成する振動子に対して、送信すべき信号を出力するとともに、振動子が受信した信号を受け取る。また、送受信制御部9は、計測時に振動子アレイ位置制御部6の制御を行うことにより、計測部位1aの所望の断面(リング状の振動子アレイ3が配列されている面内)についての計測を実現させる。
【0025】
送受信制御部9には、信号処理部7が接続されている。信号処理部7は、振動子アレイ3の振動子を受信した超音波の反射波信号および透過波信号をそれぞれ予め定められた手法で演算処理することにより、計測部位1aの反射波画像および透過波画像をそれぞれ生成する。
【0026】
信号処理部7には、入出力部11と記憶部8が接続されている。入出力部11は、計測条件や演算条件等をオペレータから受け付けるとともに、生成した反射波画像や透過波画像を表示する。記憶部8には、反射波信号や透過波信号、ならびに、生成した反射波画像や透過波画像が格納される。
【0027】
本実施形態では、計測容器4内には、
図2に示すようにゲル10が配置されている。ゲル10の表面は、計測部位1aの少なくとも超音波が送信される表面に密着している。本実施形態では、ゲル10の表面は、計測部位(以下、乳房とも呼ぶ)1aの表面全体に密着するように配置されている。振動子アレイ3から送信された超音波は、ゲル10内を通過して計測部位1aに密着した表面(界面)から計測部位1aに照射される。計測部位1aで反射され、もしくは、計測部位1aを透過した超音波は、再びゲル10を通過して振動子アレイ3により受信される。
【0028】
ゲル10は、表面が乳房1aの表面に密着することにより、乳房1aの表面を成形する。すなわち、ゲル10は、表面形状が乳房1aの形状に密着しており、乳房1aは、骨がなく弾力のある組織であるため、所望の形状にあらかじめ成形しておくことにより、乳房1aは、ゲル10の表面形状に沿う表面形状に成形される。また、ゲル10を乳房1aの表面に密着させた後、ゲル10の表面形状を変形させることにより、ゲル10の表面が密着した乳房1aの表面形状を変形させることができる。これにより、乳房1aの表面に対して、超音波が垂直に近い角度で一様に入射するように、乳房1aを成形することができる。
【0029】
ゲル10によって成形された乳房1aに対して、振動子アレイ3から超音波を送信することにより、超音波が乳房1aの表面において屈折する角度を小さくすることができ、乳房1aにおける超音波の反射波や透過波が振動子アレイ3に到達する割合を増大させることができる。
【0030】
ゲル10は、粘性が高く、弾力があるため、計測部位1aの表面に密着しても計測対象1は負担を感じにくい。
【0031】
このように、本実施形態の乳房用超音波CT装置によれば、計測部位(乳房)1aを計測に適した形状に成形して、超音波を送受信することができるため、計測精度を向上させることが可能である。しかも、計測対象1の負担も少ない。
【0032】
なお、ゲル10の表面形状は、計測部位1aを計測容器3に挿入する前に、予め成形しておいてもよいし、計測部位1aを計測容器3に挿入してゲル1aの表面に密着させた後に、ゲル10の表面形状を、計測に適した形状に変形させてもよい。
【0033】
<ゲル変形機構>
本実施形態の超音波CT装置には、計測容器4にゲル10を変形させるためゲル変形機構25が備えられている。ゲル変形機構25は、計測容器4内のゲル10を押圧、または、引っ張ることにより、ゲル10の表面形状を変形させる。ゲル変形機構25としては、例えば
図2に示すように、計測容器4の底面に配置され、ゲル10の底面を上方へ押し上げ、および/または、下方へ引き下げる機構を採用することができる。例えば、ゲル変形機構25は、
図2のように、計測容器4の底面の中央領域に配置され、ゲル10の中央部を支持する中央プレート21と、中央プレート21の外側に環状に配置され、ゲル10の周縁部を支持する周縁プレート22とを備える構成とする。中央プレート21は、ここでは円形であるが、四角形等所望の形状にすることができる。中央プレート21には、中央プレート21を少なくとも下方に引き下げる機能を有する中央駆動機構23が接続されている。周縁プレート22には、周縁プレート22を少なくとも上方に押し上げる機能を有する周縁駆動機構24が接続されている。
【0034】
例えば中央駆動機構23は、中央プレート21に上端が接続された軸部材23aと、軸部材23aの下端に接続され、軸部材23aを上下動させるステッピングモータ等の駆動源23bを含む構成とする。同様に、周縁駆動機構24は、周縁プレート22に上端がそれぞれ接続された軸部材24aと、軸部材24aの下端に接続され、軸部材24aを上下動させるステッピングモータ等の駆動源24bを含む構成とすることができる。駆動源23b、24bには、これらの動作を制御する制御部26が接続されている。これにより、制御部26は、中央プレート21と周縁プレート22の下降量および/または上昇量を制御し、ゲル10の変形量を制御する。
【0035】
このような構成のゲル変形機構25は、
図2のように、中央プレート21を下方に引き下げることにより、ゲル10の表面中央を下方にくぼませることができる。よって乳房1aを挿入する前に、中央プレート21を下方に引き下げることにより、乳房1aを挿入するため凹部をゲル10の形成することができる。また、乳房1aをゲル10の凹部に挿入し、ゲル10の表面が乳房1aに密着した後に中央プレート21を下方に引き下げることにより、密着したゲル10が乳房1aに吸着する作用により、乳房1aの乳頭部を引き下げ、乳房1aの表面をベッド2の主平面に垂直な角度に近づけることができる。
【0036】
また、ゲル変形機構25は、周縁プレート22を上方に押し上げることにより、ゲル10の周縁部を上方に持ち上げ、乳房1aの周縁の基底部(胸壁に近い部分)を押し上げ、ゲル10の周縁部の表面の傾斜をベッド2の主平面に垂直な角度に近づけることができる。
【0037】
また、駆動源23b、24bは、中央プレート21および周縁プレート22を回転させる機構をさらに備えていてもよい。これにより、ゲル変形機構25は、中央プレート21および/または周縁プレート22を回転させることにより、ゲル10の向きを変えることができるため、上下動のみでは乳房1aとゲル10の表面を密着させることが難しい場合でも、密着させることが可能になる。
【0038】
ゲル10が自己支持性を有する場合、
図2のように、中央プレート21と周縁プレート22が計測容器3の底面を兼用する構成にすることができる。また、
図3のように、中央プレート21と周縁プレート22の上に、伸縮可能なシート27を配置し、ゲル10の底面を覆ってもよい。この場合、ゲル10が柔らかく、自己支持性が小さい場合でも、シート27は、中央プレート21と周辺プレート22との間でゲル10を支持することができる。
【0039】
なお、計測容器4には、ゲル10の表面と乳房1aの表面とが密着しているかどうかを検出するセンサが配置されていることが望ましい。これにより、制御部26は、センサの検出結果に応じて、ゲルの変形量を制御することができる。センサは、音響センサ51、光学カメラ52、および荷重センサ53等のうちの1以上を用いることができる。
図2のように音響センサ51は、計測容器4の側面に配置され、振動子アレイ3と同様に、ベッド2の主平面に平行に乳房1aに向かって超音波を送信し、受信する。光学カメラ52は、ゲル10側から乳房1aを測定できる位置であればどこに配置してもよい。例えば、
図2のように計測容器4の底面(中央プレート21または周縁プレート22)に配置してもよいし、側面に配置してもよい。荷重センサ53は、駆動源23bがプレート21を移動させる際の荷重を計測する。
【0040】
音響センサ51をセンサとして用いる場合、音響センサ51からゲル10を通して乳房1aに超音波を送信し、その反射波を同じ音響センサで受信する。制御部26は、反射波の受信信号が、あらかじめ設定した閾値よりも小さい場合には、乳房1aとゲル10との界面が密着しておらず、計測に必要な強度の受信信号を得られないと判定する。また、音響センサ51からゲル10を通して乳房1aに超音波を送信し、乳房1aを透過した透過波を、透過波が到達する位置に配置した別の音響センサ51で受信してもよい。制御部26は、透過波の受信信号があらかじめ設定した閾値よりも大きい場合、乳房1aとゲル10との界面が密着しており、計測に必要な強度の透過波信号が得られると判定できる。
【0041】
センサとして音響センサ51を用いる場合、振動子アレイ3が音響センサ51を兼用することができる。振動子アレイ3は、振動子アレイ駆動機構5により上下動することができるため、任意の高さに配置することにより、各位置でのゲル10と計測部位1aとの接触が計測に十分かどうかを確認することができる。
【0042】
また、振動子アレイ3が音響センサ51を兼用する場合、反射波および/または透過波の信号強度により、超音波の乳房1aの表面への信号の入射角を判定することも可能である。すなわち、超音波の乳房1aの表面へ垂直に近い方向から入射している場合、振動子アレイ3で受信される反射波および/または透過波の強度が大きくなる。よって、乳房1aの表面とゲル10が密着しているにも関わらず、予め定めた閾値よりも大きな反射波および/または透過波が得られない場合には、ゲル10の表面形状を変化させるように制御部26が制御する構成とすることが可能である。
【0043】
一方、光学カメラ52をセンサとして用いる場合、ゲル10を通して乳房1aの画像を撮影し、乳房1aとゲル10との界面が密着しているかどうかを、光学カメラ52で撮影した画像から、制御部26が判定する。乳房1aとゲル10とが密着していない場合、その間に空気層が存在する。空気層は、ゲル10および乳房1aに対して屈折率の差が大きいため、空気層により光の反射が生じ、撮像した画像上で輝度の大きな白い領域となる。制御部26は、画像の2値化等により輝度の大きい白い領域が存在するかどうかを判定することにより、乳房1aとゲル10が密着しているかどうかを判定することができる。
【0044】
荷重センサ53をセンサとして用いる場合、荷重センサ53は、中央プレート21を下方に引き下げるのに要する力を検出する構成とする。乳房1aをゲル10に挿入した状態で、中央プレート21を下方に引き下げ、それに要する力がゲル10の重量よりも大きい場合、ゲル10の表面に乳房1aが密着していると制御部26は判断することができる。
【0045】
<計測時の各部の動作例1>
本実施形態の超音波CT装置によって、乳房1aを計測する際の手順と各部の動作の一例について
図4(a)~(c)と
図5のフローを用いて説明する。
【0046】
図4に示すように容器4内には、予め表面に乳房1aの形状に合わせた凹部が形成されたゲル10が配置されている。この状態で計測対象1は、ベッド2にうつぶせに寝て乳房1aを計測容器4のゲル10の凹部内に挿入する(
図4(a)、ステップ101)。乳房1aは、ゲル10の表面から垂直抗力を受け、
図4(b)のように上方に押し上げられ、平たく変形する。
【0047】
続いて、制御部26は、ゲル変形機構25を動作させ、ゲル10の底面中央部の領域の位置を低下させることでゲル10内側に接触している乳房1aの中央部を下方にあらかじめ定めた量だけ引き下ろす(
図4(c)、ステップ102)。具体的には、制御部26は、駆動源23bを動作させることにより、中央プレート21を下方に移動させることにより、乳房1aの中央部を下方に引き下ろす。これにより、ゲル10と乳房1aとが密着した状態を保ったまま、乳房1aの形状を平たく変形した形状から、自然に近い乳房1aの形状、または、乳房1aの表面に垂直に近い角度から超音波を入射させることができる形状に引き延ばして成形することができる。
【0048】
図4(c)の状態において乳房1aとゲル10の密着状態を調整したり、乳房1aの表面の傾斜を微調整するため、さらに制御部26の制御下で駆動源23b、24bは、中央プレート21および/または周縁プレート22を上下動させて微調整してもよい(ステップ102)。例えば、周縁プレート22を上昇させて、ゲル10により乳房1aの基底部の周囲の傾斜をベッド2の主平面に対して垂直な傾斜に近づけることができる。
【0049】
また、上下動に加えて、あるいは上下動の代わりに、中央プレート21および/または周縁プレート22を回転させてもよい。
【0050】
つぎに、制御部26は、センサにより、乳房1aとゲル10の密着状態を計測する(ステップ103)。具体的には例えば、制御部26は、振動子アレイ3をセンサとして用いて、振動子アレイ位置制御部6および送受信制御部9を制御して、振動子アレイ3を所定の高さに配置し、超音波を乳房1aに照射し、その反射波および/または透過波を、振動子アレイ3により受信する。制御部26は、受信した信号強度がしきい値以上であれば、密着状態であると判定する(ステップ104)。制御部26は、密着状態でないと判定した場合には、ステップ102に戻って、ゲル10と乳房1aの密着状態を調整する。
【0051】
ステップ104において、密着状態であると制御部26が判定した場合、ステップ105に進み、送受信制御部9および振動子アレイ制御部6は、振動子アレイ3を計測のための所定の位置に配置し、振動子アレイ3から超音波をゲル10を通して乳房1aに照射し、反射波および/または透過波を振動子アレイ3により受信させる(ステップ105)。信号処理部7は、受信信号に所定の演算処理を施すことにより、反射波画像および/または透過波画像を生成する(ステップ106)。信号処理部7は、入出力部11の表示部に生成した画像を表示させるとともに、記憶部8に格納する。
【0052】
なお、以上のプロセスは、オペレータが入出力部11を用いて指定した条件に応じて制御部26、送受信制御部9、および、振動子アレイ位置制御部6が各部を制御することにより行う。
【0053】
<計測時の各部の動作例2>
本実施形態の超音波CT装置によって、乳房1aを計測する際の各部の手順と各部の動作の別の例について
図6(a)~(c)を用いて説明する。
【0054】
図6(a)~(c)の例では、上述の
図4(a)~(c)および
図5の動作例1とは異なり、ゲル10には、事前に乳房に合わせた凹部は形成されておらず、上面が平たんなゲル10を用いる。計測前にゲル10の形状を変形させ、表面に凹部61を形成する。
【0055】
すなわち、動作例2では、
図5の動作例1のステップ101の前に、
図6(a)のように、まず制御部26は、中央プレート21を下方に移動させることにより、乳房1aの中央部を下方に下げ、ゲル表面に凹部61を形成する(
図6(b)参照)。中央プレート21を下方に移動させる距離(移動量)は、予め定めた距離であってもよいし、計測対象1の乳房1aの計測を過去に行っている場合には、その時の計測データに基づいて移動量を制御部26が求める構成にしてもよい。
【0056】
次に、
図5のステップ101~107を行って、乳房1aを凹部61に挿入し、ゲル変形機構25により乳房1aを成形した後、超音波を送受信する。これらの動作は、動作例1の
図5のフローと同様であるので説明を省略する。
【0057】
このように、本実施形態の超音波CT装置は、ゲル10にあらかじめ乳房1aに対応する形状の凹部を形成しておく必要がなく、ゲル10の製造コストを低減できる。
【0058】
<計測時の各部の動作例3>
本実施形態の超音波CT装置によって、乳房1aを計測する際の各部の手順と各部の動作のさらに別の例について
図7(a)~(c)、および、
図8のフローを用いて説明する。
【0059】
本動作例3では、上述の動作例1および動作例2とは異なり、ゲル10に事前に凹部を形成せず、
図7(a)~(c)に示すように、上面が平坦なゲル10に乳房1aを密着させた後、ゲル10を変形させる。
【0060】
まず、計測対象1は、
図7(a)に示すように乳房1aを計測容器1に挿入する(ステップ201)。この状態で制御部26は、中央プレート21および周縁プレート22の両方を上方に移動させることにより、ゲル10の表面が平坦なまま上方に移動させ、ゲル10の弾性により乳房1aを包み込むように密着させる(
図7(b)、ステップ202)。このとき、乳房1aは、ゲル10の表面から垂直抗力を受けて、圧迫され平たく変形する。つぎに、制御部26は、周縁プレート22のみをさらに上昇させることにより、ゲル10の周縁部を上昇させる(ステップ203)。これにより、乳房1aは、ゲル10の周縁領域から中央向きに押す力を受け、乳房1aの側面は、ベッド2の主平面に対して垂直に近い傾斜になるように成形される(
図7(c)、ステップ203)。
【0061】
なお、ステップ203において、制御部26は、周縁プレートを上方に押し上げた後で、中央プレート21を下に引き下げてもよい。また、動作例1と同様に、
図7(c)の状態において乳房1aとゲル10の密着状態を調整してもよい。
【0062】
この後、制御部26等は、動作例1と同様にステップ103~107を行って、密着度を計測し、超音波を送受信し、画像を生成して表示する。
【0063】
本動作例3では、乳房1aの側面形状をベッド2の主平面に垂直な傾斜に成形しているため、振動子アレイ3から乳房1aの側面に垂直に近い角度から超音波を入射させることができる。
【0064】
上述してきたように、実施形態1の超音波CT装置では、ゲル10を乳房1aに密着させて超音波を照射することができるため、ゲル10により乳房1aを下方に引き下げたり、周縁部を押し上げたりして成形することが可能になる。よって、超音波の反射波や透過波が振動子アレイ3に到達する割合を高め、計測精度を向上させることができる。
【0065】
しかも、ゲル10は、弾性があって、柔らかいため、乳房1a等の計測部位を成形しても計測対象1が負担を感じにくいというメリットもある。
【0066】
<ゲル>
ゲル10は、超音波撮像に必要とされる音響特性と機械的特性とを両立することのできるものあることが望ましい。例えば、ゲル10は、機械的特性すなわち引っ張られた際の歪率は、100%以上、好ましくは200%以上であり、かつ音速値が水の音速値に対して同等(偏差5%以内)、さらに超音波減衰率が0.1 dB/MHz/cm以下であることが望ましい。
【0067】
一例としては、ラジカル重合開始剤を用いて重合されるハイドロゲルと、多価イオン結合によるハイドロゲルとの複合ハイドロゲルを、脱気雰囲気下で調製することにより得たゲルを用いることができる。具体的には、網目構造を有するポリアクリルアミドと、アルギン酸とを含み、アルギン酸が、ポリアクリルアミドの網目構造の網目内に保持されているゲルを得ることができる。網目内に保持されたアルギン酸は、イオンを介して架橋し、網目状のアルギン酸を構成していることが望ましい。
【0068】
このゲルを、計測用容器4内に配置した場合、計測部位(乳房)1aが挿入されると変形し、乳房1aの凹凸を平滑に覆うことができる。しかも、その音響特性が水に近いため、超音波を減衰させることなく深部まで到達させて計測することができる。
【0069】
上記ゲルの製造方法としては、まず、重合方式の異なる複数種類のポリマー(ラジカル重合開始剤を用いて重合されるハイドロゲルと多価イオン結合によるハイドロゲル等)または、その原料を混合し、第1の種類のポリマー(例えば、ラジカル重合開始剤を用いて重合されるハイドロゲル)を重合または架橋させてゲル化する。つぎに、第2の種類のポリマー(例えば、多価イオン結合によるハイドロゲル)またはその原料を、第1の種類のポリマーと重合または架橋させてゲル化する。これらのすべての工程を減圧下で行うことにより、超音波撮像に必要とされる音響特性と機械的特性とを両立することのできるゲルを製造できる。
【0070】
ラジカル重合開始剤を用いて重合されて生成されるハイドロゲルは、ポリアクリルアミドであることが好ましい。多価イオン結合により架橋させて生成されるハイドロゲルとしては、多価イオンを介して架橋したアルギン酸であることが好ましい。アルギン酸を架橋させる多価イオン源としては、例えばシュウ酸カルシウムを用いることができる。ラジカル重合開始剤を介して重合されるハイドロゲルと、多価イオン結合により架橋させて生成されるハイドロゲルとの割合は、3:2~9:1にすることができ、13:7~9:1であると望ましい。
【0071】
なお、本実施形態は、上記材料に限られるものではない。例えば、ラジカル重合開始剤を用いて重合されるハイドロゲルとしては、ジアセトンアクリルアミドあるいはN-ヒドロキシエチルアクリルアミドあるいはN-(3-メトキシプロピル)アクリルアミドを用い、多価イオン結合により架橋させて生成されるハイドロゲルとしては、LAジェランガム、カラギナン、LAペクチンを用いることが可能である。
【0072】
<<実施形態2>>
実施形態2の超音波CT装置について、
図9を用いて説明する。
【0073】
実施形態2の超音波CT装置は、計測容器4内の空間にゲルを供給するゲル供給部90を備えている。ゲル供給部90は、ゲル10を保管する保管容器91と、保管容器91内のゲル10を計測容器4内へ導く導入路92とを含む。計測容器4には、導入路92に沿って移動してきたゲル10を計測容器4の内部空間に取り込む開口93が備えられている。開口93には、扉が備えられていてもよい。
【0074】
保管容器91には予めゲル10を収容しておく。オペレータは、計測前に、保管容器91に収納されたゲル10を計測容器4に手動または自動で移動させる。例えば、保管容器91を計測容器4の開口93よりも高い位置に設置しておく。また、導入路92は、保管容器91のゲル取り出し口と、計測容器4の開口93とを連結するスライダー形状とする。この場合、オペレータは、保管容器91の取り出し口を手動または自動で開放することにより、ゲル10は自重でスライダーの導入路92を滑って計測容器4の開口93から計測容器4まで移動し、計測容器4内に挿入される。
【0075】
なお、保管容器91は、ゲル10を保温するヒータや、ゲル10を殺菌(または滅菌)する殺菌機構を備えていてもよい。殺菌機構としては、例えば、紫外線照射、超音波照射などの物理的な殺菌機構、あるいは、逆性石鹸処理のような化学殺菌を行う機構を用いることができる。
【0076】
実施形態2の構成では、計測容器4内にゲル10を容易に供給できるため、計測対象1が変わる度にゲル10を交換しても、オペレータの負担にならず、衛生的である。
【0077】
実施形態2の超音波CT装置の他の構成および各部の動作は、実施形態1と同様であるので説明を省略する。
【0078】
<<実施形態3>>
実施形態3の超音波CT装置について、
図10を用いて説明する。
【0079】
実施形態3の装置は、実施形態2の装置と同様にゲル供給部90を備えるが、実施形態3のゲル供給部90は、保管容器91がゲル調整(製造)部を兼用している。具体的には、保管容器91は、1以上の調合槽を備え、1以上の調合槽にそれぞれ原料を供給する原料供給部94と、調合槽内で原料を重合または架橋させてゲル化する混合調整器等が備えられている。
【0080】
これにより、計測前に、ゲル調製部(保管容器)91にてゲル10を調製(製造)し、計測時にゲル10を手動あるいは自動で計測容器4に移動させることができる。
【0081】
よって、実施形態3の装置では、原料さえ供給しておけば、ゲル10を製造して計測容器4内に供給できるため、オペレータはゲル10を準備して、保管容器91まで運ぶ必要がなく、オペレータの負担軽減になる。
【0082】
実施形態3の超音波CT装置の他の構成および各部の動作は、実施形態1と同様であるので説明を省略する。
【0083】
<<実施形態4>>
実施形態4の超音波CT装置について、
図11を用いて説明する。
【0084】
実施形態4の装置は、実施形態2または実施形態3のゲル供給部90に加えて、ゲル廃棄部80を備えている。ゲル廃棄部80は、ゲル10に粉砕等の破壊処理を施す機構を備えた破壊容器81と、計測容器4内のゲル10を破壊容器81まで導く導出路82とを含む。計測容器4には、計測容器4内のゲルを取り出す開口95が備えられている。開口95は、実施形態1のゲルを取り込む開口93を兼用していてもよい。開口95には、扉が備えられていてもよい。
【0085】
オペレータは、実施形態1で説明したように、乳房1aの成形および計測を行った乗り、計測容器4内のゲル10を破壊容器81まで手動または自動で移動させる。例えば、破壊容器81を計測容器4の開口95よりも低い位置に設置しておく。また、導出路82は、計測容器4の開口95と、破壊容器81のゲル取り込み口とを連結するスライダー形状とする。オペレータは、計測容器4の開口95の扉を手動または自動で開放する。これにより、ゲル10は自重でスライダーの導入路92を滑って破壊容器81内に取り込まれ、破壊容器81内に粉砕等の破壊処理が施され、排出される。
【0086】
なお、破壊容器81の破壊処理を行う機構は、粉砕に限らず、酸アルカリによる断片化や、熱的な溶解等の他の処理であってもよい。
【0087】
実施形態4の超音波CT装置の他の構成および各部の動作は、実施形態1と同様であるので説明を省略する。
【符号の説明】
【0088】
1…計測対象、1a…計測部位(乳房)、2…ベッド、3…振動子アレイ、4…計測容器、5…振動子アレイ駆動機構、6…振動子アレイ位置制御部、7…信号処理部、8…記憶部、9…送受信制御部、10…ゲル、11…入出力部、21…中央プレート、22…周縁プレート、23…中央駆動機構、23a…軸部材、23b…駆動源、24…周縁駆動機構、24a…軸部材、24b…駆動源、25…ゲル変形機構、26…制御部、27…シート、51…音響センサ、52…光学カメラ、53…荷重センサ、61…凹部、80…ゲル廃棄部、81…破壊容器、82…導出路、90…ゲル供給部、92…導入路、93…開口、91…保管容器、94…原料供給部、95…開口。