(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-31
(45)【発行日】2023-11-09
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
E06B 7/36 20060101AFI20231101BHJP
【FI】
E06B7/36 F
(21)【出願番号】P 2020043764
(22)【出願日】2020-03-13
【審査請求日】2022-09-26
(31)【優先権主張番号】P 2019125836
(32)【優先日】2019-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136331
【氏名又は名称】小林 陽一
(72)【発明者】
【氏名】高畠 宏幸
(72)【発明者】
【氏名】長 正真
【審査官】櫻井 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-132120(JP,A)
【文献】特開2016-164346(JP,A)
【文献】特開2012-102569(JP,A)
【文献】特開2018-016956(JP,A)
【文献】特開2016-061056(JP,A)
【文献】実公平04-043573(JP,Y2)
【文献】特開2018-96070(JP,A)
【文献】特開2018-91095(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F1/00-13/04
17/00
E06B3/04-3/46
3/50-3/52
7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
戸と指挟み防止ストッパーと操作部とを備え、指挟み防止ストッパーは、起倒により戸の戸先より出没するものであって、戸を開けたときに戸の戸先より突出するものであり、指挟み防止ストッパーが戸内に没した状態で操作部を操作して
指挟み防止ストッパーを上方にスライドさせると、指挟み防止ストッパーが戸の係止部に係止して倒れないように保持されることを特徴とする建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、戸を閉鎖する際の指挟みを防止できる建具に関する。
【背景技術】
【0002】
浴室への出入口に用いられる建具として、片引き戸が知られている(例えば、非特許文献1参照。)。引戸においては、戸を閉じる際の指挟みを防止するために、引戸が閉じ切る手前で引戸を停止させるストッパーを設けることがあるが、引戸を閉鎖する際にその都度ストッパーの解除操作を行うことが煩わしく感じられる場合があった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】三協立山株式会社 三協アルミ社発行のカタログ「出入口 総合カタログ」(カタログNo.STJ1441A KY.18.04-200)、2018年4月、p.150-153
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は以上に述べた実情に鑑み、指挟みを防止できるとともに、指挟み防止ストッパーが働かないようにすることもできる建具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を達成するために請求項1記載の発明による建具は、戸と指挟み防止ストッパーと操作部とを備え、指挟み防止ストッパーは、起倒により戸の戸先より出没するものであって、戸を開けたときに戸の戸先より突出するものであり、指挟み防止ストッパーが戸内に没した状態で操作部を操作して指挟み防止ストッパーを上方にスライドさせると、指挟み防止ストッパーが戸の係止部に係止して倒れないように保持されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明による建具は、戸と指挟み防止ストッパーと操作部とを備え、指挟み防止ストッパーは、起倒により戸の戸先より出没するものであって、戸を開けたときに戸の戸先より突出するため、戸を閉める際の指挟みを防止することができ、指挟み防止ストッパーが戸内に没した状態で操作部を操作して指挟み防止ストッパーを上方にスライドさせると、指挟み防止ストッパーが戸の係止部に係止して倒れないように保持されるので、指挟み防止ストッパーが働かない状態とすることができ、使い勝手が良い。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る建具の指挟み防止装置の動きを示す正面図であって、(a)は指挟み防止ストッパーが働いた状態、(b)は指挟み防止ストッパーを戸内に収納し戸を閉鎖した状態、(c)は指挟み防止ストッパーを上方にスライドした状態を示す。
【
図2】第1実施形態の建具の指挟み防止装置の周辺を拡大して示す正面図であって、指挟み防止ストッパーが働いた状態(
図1(a)の状態)を示す。
【
図3】第1実施形態の建具の横断面図であって、指挟み防止ストッパーが働いたときの状態を示す。
【
図4】第1実施形態の建具の指挟み防止装置の周辺を拡大して示す正面図であって、指挟み防止ストッパーを戸内に収納し戸を閉鎖したときの状態(
図1(b)の状態)を示す。
【
図5】第1実施形態の建具の指挟み防止装置の周辺を拡大して示す正面図であって、指挟み防止ストッパーを戸内に収納し戸を閉鎖した後、指挟み防止ストッパーを上方にスライドしたときの状態(
図1(c)の状態)を示す。
【
図6】第1実施形態の建具の横断面図であって、指挟み防止ストッパーを戸内に有能して戸を閉鎖した状態を示す。
【
図7】第1実施形態に係る建具の脱衣室側から見た正面図である。
【
図8】第1実施形態の建具の指挟み防止装置の変形例を示す正面図であって、指挟み防止ストッパーが働いたときの状態を示す。
【
図9】第1実施形態の建具の指挟み防止装置の変形例を示す正面図であって、指挟み防止ストッパーを戸内に収納して戸を閉鎖したときの状態を示す。
【
図10】第1実施形態の建具の指挟み防止装置の変形例を示す正面図であって、指挟み防止ストッパーを戸内に収納して戸を閉鎖した後、指挟み防止ストッパーを上方にスライドした状態を示す。
【
図11】第1実施形態の建具の指挟み防止装置の別の変形例を示す正面図であって、指挟み防止ストッパーが働いたときの状態を示す。
【
図12】
図11に示す建具の横断面図であって、指挟み防止ストッパーが働いたときの状態を示す。
【
図13】第1実施形態の建具の指挟み防止装置の別の変形例を示す正面図であって、指挟み防止ストッパーを戸内に収納して戸を閉鎖したときの状態を示す。
【
図14】第1実施形態の建具の指挟み防止装置の別の変形例を示す正面図であって、指挟み防止ストッパーを戸内に収納して戸を閉鎖した後、指挟み防止ストッパーを上方にスライドした状態を示す。
【
図15】本発明の第2実施形態に係る建具の指挟み防止装置の動きを示す正面図であって、(a)は指挟み防止ストッパーが働いた状態、(b)は指挟み防止ストッパーを戸内に収納し戸を閉鎖した状態、(c)は指挟み防止ストッパーを上方にスライドした状態を示す。
【
図16】第2実施形態の建具の指挟み防止装置の周辺を拡大して示す正面図であって、指挟み防止ストッパーが働いた状態(
図15(a)の状態)を示す。
【
図17】第2実施形態の建具の横断面図であって、指挟み防止ストッパーが働いたときの状態を示す。
【
図18】第2実施形態の建具の指挟み防止装置の周辺を拡大して示す正面図であって、指挟み防止ストッパーを戸内に収納し戸を閉鎖したときの状態(
図15(b)の状態)を示す。
【
図19】第2実施形態の建具の指挟み防止装置の周辺を拡大して示す正面図であって、指挟み防止ストッパーを戸内に収納し戸を閉鎖した後、指挟み防止ストッパーを上方にスライドしたときの状態(
図15(c)の状態)を示す。
【
図20】第2実施形態の建具の横断面図であって、指挟み防止ストッパーを戸内に収納して戸を閉鎖した状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1~7は、本発明の建具の第1実施形態を示している。本建具は、浴室への出入口に設置される浴室戸に適用したものであって、
図7に示すように、枠5と、上下枠6,7に沿って摺動する一枚の戸1とを備える片引き戸となっている。
枠5は、上枠6と下枠7と左右の縦枠8,8とを枠組みして構成され、浴室と脱衣室との間の開口部に取付けられる。枠5の脱衣室側から見て略左半分の開口部には固定パネル9が取付けられており、枠5の脱衣室側から見て略右半分の開口部を戸1で開閉するようになっている。
戸1は、上框10と下框11と戸先框12と戸尻框13とを框組みし、その枠内にパネル14を嵌め込んで構成してある。戸先框12には、上下方向の中間部に戸1を開閉操作するための引手15が取付けてある。また、戸先框12の上部には、戸1を閉鎖する際の指挟みを防止するための指挟み防止装置16を設けてある。
【0009】
指挟み防止装置16は、
図2~6に示すように、戸先框12に戸先側から埋め込んで取付けたケース17と、ケース17に軸支され起倒により戸1の戸先より出没する指挟み防止ストッパー2と、指挟み防止ストッパー2を操作するための操作部3とを有している。
ケース17は、戸先側が開口した箱型に形成され、
図2に示すように、脱衣室側及び浴室側の壁の下部に上下方向の長孔18が形成してあり、その長孔18に指挟み防止ストッパー2の脱衣室側及び浴室側に突出して設けた突軸19が係合している。長孔18は、上下方向の中間部に指挟み防止ストッパー2の突軸19の外径よりも僅かに幅が狭い軸係止部20を有しており、通常の使用状態では突軸19が長孔18の下部に位置している。また、ケース17内の上部には、係止部4が下向きに突出して設けてある。
【0010】
指挟み防止ストッパー2は、
図2に示すように、略長方形の板状に形成され、基端側に設けた突軸19を支点に起倒自在にケース17に取付けてあり、倒れた姿勢の時に戸1の戸先より突出しており、
図3に示すように、戸1を閉じる際に指挟み防止ストッパー2が縦枠8に当接することで、縦枠8と戸1との間に間隔21を形成して指挟みを防止する。指挟み防止ストッパー2は、
図2中に仮想線で示す起きた姿勢のときに、突軸19に対して戸尻側よりも戸先側が重くなるように、先端側に戸先側に向けて膨らんだ膨出部22が設けてある。また、指挟み防止ストッパー2の先端面には、後述するように指挟み防止ストッパー2を戸1内に収納して上方にスライドしたときに、ケース17の係止部4に係止する被係止部23が設けてある。
【0011】
操作部3は、
図3,6に示すように、戸先框12の脱衣室側と浴室側の両面に設けてあり、円板状で指でつまむことのできるつまみ24を有している。脱衣室側及び浴室側の操作部3は、指挟み防止ストッパー2の突軸19に挿通した棒25で指挟み防止ストッパー2と連結されている。
【0012】
次に、本指挟み防止装置16の動きを図面に基づいて説明する。戸1を開けた状態では、
図1(a)と
図2に示すように、指挟み防止ストッパー2が倒れて戸1の戸先より縦枠8に向けて突出する状態となっており、引手15だけを持って戸1を閉めると、指挟み防止ストッパー2が縦枠8に当接することで縦枠8と戸1との間に間隔21が形成されるので、指挟みが防がれる。
戸1を閉鎖する際には、
図1(b)と
図4に示すように、操作部3を片方の手でつまんで反時計方向に90°回転させて指挟み防止ストッパー2を起こして戸1内に没した状態にし、その状態でもう片方の手で引手15を持って戸1を閉める。その後、操作部3から手を離し、引手15を持って戸1を開けると、指挟み防止ストッパー2は突軸19に対して戸尻側よりも戸先側が重くなっているため、指挟み防止ストッパー2が自動的に倒れて戸先より突出する。
指挟み防止機能が必要ない場合には、操作部3を回転操作して指挟み防止ストッパー2を戸内に収納した後、
図1(c)と
図5に示すように、操作部3を上方にスライドさせる。すると、指挟み防止ストッパー2の突軸19がケース17の長孔18の軸係止部20の上側に係止して下がらないように保持されると共に、ケース17の係止部4に指挟み防止ストッパー2の被係止部23が係止することで、指挟み防止ストッパー2が倒れないように保持され、指挟み防止ストッパー2が働かない状態になる。
【0013】
図8~10は、第1実施形態の建具の指挟み防止装置16の変形例を示している。ケース17は、脱衣室側及び浴室側の壁にガイド溝33が形成してあり、ガイド溝33に指挟み防止ストッパー2に設けた突起34が係合している。ガイド溝33は、1/4円弧部33aと、その上端から上方にのびる鉛直部33bを有しており、
図8に示すように、指挟み防止ストッパー2が倒れた状態のときに、指挟み防止ストッパー2の突起34が1/4円弧部33aの下端部に位置している。操作部3を操作して指挟み防止ストッパー2を起こすと、
図9に示すように、指挟み防止ストッパー2の突起34が1/4円弧部33aの上端部に移動し、さらに操作部3を操作して指挟み防止ストッパー2を上方にスライドすると、
図10に示すように、指挟み防止ストッパー2の突起34が鉛直部33bの上端部に移動する。このようにガイド溝33と突起34を設けることで、指挟み防止ストッパー2が倒れた状態で上方にスライドさせようとする誤操作を防ぐことができる。
指挟み防止ストッパー2は、
図8に示すように、先端部35が軟質樹脂で形成され、他の部分が硬質樹脂で形成されている。これにより、指挟み防止ストッパー2が縦枠8に当たったときの衝突音が抑えられ、また、万が一指挟み防止ストッパー2と縦枠8との間に指が入ったとしても、先端部35が軟質であることから痛みが軽減され、安全である。
また、指挟み防止ストッパー2は、戸先側に膨出部22を有しない単純な長方形の板状となっており、
図9に示すように、起こしたときにケース17内に全体が収納されるようになっている。指挟み防止ストッパー2の突軸19は、起こした状態で戸尻側に偏心した位置に設けてあり、そのため指挟み防止ストッパー2を上方にスライドしない状態(
図9)で戸1を開けると指挟み防止ストッパー2が自重で倒れる。
【0014】
図11~14は、第1実施形態の建具の指挟み防止装置16の別の変形例を示している。戸先框12は、
図12に示すように、中空部36の横幅が脱衣室側より浴室側が狭くなっており、狭くなった浴室側の中空部36の左右方向のほぼ中央位置に、指挟み防止ストッパー2の回転軸となる突軸19と、突軸19に挿通されて脱衣室側と浴室側の操作部3,3を連結する棒25が配置されている。ケース17には、
図11に示すように、突軸19と係合する上下方向の長孔18が形成してあり、戸先框12にも棒25が挿通される上下方向の長孔37が形成してある。脱衣室側の操作部3と戸先框12の脱衣室側面との間、浴室側の操作部3と戸先框12の浴室側面との間には、
図13,14に示すように、縦長の長方形の板状の台座38がそれぞれ設けてあり、台座38は操作部3と共に上下にスライドするようになっており、台座38で戸先框12の長孔37を隠している。
このように本実施形態の指挟み防止装置16は、操作部3と共に上下動する台座38を有し、台座38で操作部3の軸(棒)25が通る長孔37を隠したことで、操作部3の直径を小さくすることができる。操作部3の直径を小さくしたことで、見付面の幅の狭い戸先框12に取付けても操作部3が戸先框12の見付面からはみ出さず、意匠性が良い。
指挟み防止ストッパー2に設けた突起34をケース17のガイド溝33に係合することで、指挟み防止ストッパー2が倒れた状態では操作部3を上方にスライドできないようにしてある点は、先に説明した変形例(
図8~10)と同様である。
【0015】
図13は、操作部3を回転操作して指挟み防止ストッパー2をケース17内に収納し、戸1を閉鎖した状態を示している。ケース17内には、このように指挟み防止ストッパー2を起こしたときに、指挟み防止ストッパー2が戸尻側に倒れるのを規制する突起39を有している。このように突起39を設けたことで、突起39により指挟み防止ストッパー2の上部を戸先側に押す力が働くので、戸1を開けたときに指挟み防止ストッパー2が自重でスムーズに倒れる。
【0016】
図14は、操作部3を回転操作して指挟み防止ストッパー2をケース17内に収納した後、操作部3を上方にスライドした状態を示している。このとき指挟み防止ストッパー2は、ケース17の戸先側に設けた係止部4に戸先側面の上部が係止して倒れないように保持される。このように、ケース17に係止部4を起きた状態の指挟み防止ストッパー2よりも戸先側に設けることで、先に説明した実施形態のように指挟み防止ストッパー2に被係止部23を設ける必要がなく、指挟み防止ストッパー2の形状を簡単にできる。
【0017】
図15~20は、本発明の建具の第2実施形態を示している。第2実施形態の建具は、指挟み防止装置16が戸1を閉鎖状態でロックするチャイルドロックを兼ねるものとなっていおり、第1実施形態とは指挟み防止装置16が異なっている。
【0018】
指挟み防止装置16は、
図16に示すように、ケース17と指挟み防止ストッパー2と操作部3とからなり、指挟み防止ストッパー2は、
図16中に仮想線で示す起きた姿勢において、戸先側に膨らんだ膨出部22を有し、膨出部22には上向きに突出する鈎部26が設けてある。指挟み防止ストッパー2は、基端側に脱衣室側及び浴室側に向けて突出する突軸19が設けてあり、突軸19は
図16中に実線で示す倒れた姿勢において、横幅寸法が上下寸法よりも大きい長方形断面の角筒状に形成されており、長方形の長辺に突起27が設けてある。
ケース17には、指挟み防止ストッパー2の突軸19が係合する長孔18が設けてある。長孔18は、下側に指挟み防止ストッパー2の突軸19が回転自在な円孔部28を有し、その上方に連続して矩形溝29が形成してある。矩形溝29は、溝幅が指挟み防止ストッパー2の突軸19の短辺の長さと略同じにしてあり、矩形溝29には突軸19の突起27が係止する窪み30が設けてある。ケース17の戸先側の面には、指挟み防止ストッパー2が出入りする開口部が設けてあり、開口部の上方に垂下壁32が設けてある。
操作部3は、
図17,20に示すように、戸先框12の脱衣室側と浴室側の両方に設けられ、指挟み防止ストッパー2の突軸19に挿通した棒25で指挟み防止ストッパー2と連結されている。
縦枠8には、指挟み防止ストッパー2の鈎部26が係脱する錠受け31が設けてある。
【0019】
次に、本指挟み防止装置16の動きを図面に基づいて説明する。戸1を開けた状態では、
図15(a)と
図16に示すように、指挟み防止ストッパー2が倒れて戸1の戸先より縦枠8に向けて突出する状態となっており、引手15だけを持って戸1を閉めると、指挟み防止ストッパー2が縦枠8に当接することで縦枠8と戸1との間に間隔21が形成されるので、指挟みが防がれる。
戸1を閉鎖する際には、
図15(b)と
図18に示すように、操作部3を片方の手でつまんで反時計方向に90°回転させて指挟み防止ストッパー2を起こして戸1内に没した状態にし、その状態でもう片方の手で引手15を持って戸1を閉める。その後、操作部3から手を離し、引手15を持って戸1を開けると、指挟み防止ストッパー2は突軸19に対して戸尻側よりも戸先側が重くなっているため、指挟み防止ストッパー2が自動的に倒れて戸先より突出する。
指挟み防止ストッパー2を戸1内に収納して戸1を閉鎖した後、
図15(c)と
図19に示すように、操作部3を上方にスライドさせると、指挟み防止ストッパー2の突軸19がケース17の長孔18の矩形溝29に挿入され、突軸19の突起27が矩形溝29の窪み30に係止することで、指挟み防止ストッパー2は倒れが規制された状態で下がらないように保持され、尚且つ指挟み防止ストッパー2の鈎部26が縦枠8の錠受け31に係止し、戸1が閉鎖状態でロックされる。この状態で戸1を開けようとすると、指挟み防止ストッパー2が倒れる方向に引っ張られるが、指挟み防止ストッパー2がケース17の垂下壁32に係止するため、指挟み防止ストッパー2の倒れが規制される。
【0020】
以上に述べたように本建具(第1及び第2実施形態)は、戸1と指挟み防止ストッパー2と操作部3とを備え、指挟み防止ストッパー2は、起倒により戸1の戸先より出没するものであって、戸1を開けたときに戸1の戸先より突出するため、戸1を閉める際の指挟みを防止することができ、指挟み防止ストッパー2が戸1内に没した状態で操作部3を操作して上方にスライドさせると、指挟み防止ストッパー2が戸1の係止部(第1実施形態:ケースの係止部4、第2実施形態;ケースの矩形溝29及び垂下壁32)に係止して倒れないように保持されるので、指挟み防止ストッパー2が働かない状態とすることができ、使い勝手が良い。
第1実施形態の建具は、指挟み防止ストッパー2の軸(突軸)19が挿通される上下方向の長孔18を有し、長孔18は上下方向の中間位置に幅の狭い軸係止部20を有し、軸19を上方にスライドさせると軸19が軸係止部20に係止して長孔18の上位置に保持されるので、簡単な構造で指挟み防止ストッパー2を戸1内に収納・保持できる。
第2実施形態の建具は、指挟み防止ストッパー2は戸1内に収納して上方にスライドさせると枠(縦枠の錠受け31)に係止して戸1を閉鎖状態にロックするので、一つの部品で指挟みの防止と戸のロックが行え、合理的である。
指挟み防止ストッパー2は、起きた姿勢のときに軸19に対して戸尻側よりも戸先側が重くなっていることで、戸1を開けたときに指挟み防止ストッパー2が自重で倒れるので、いちいち指挟み防止ストッパー2を倒す操作が不要で、ストッパーを掛け忘れることもない。
本建具は、指挟み防止ストッパー2を収納するケース17を有し、ケース17に指挟み防止ストッパー2の係止部4を有するので、指挟み防止ストッパー2をケース17ごと戸1に取付ければよく、指挟み防止ストッパー2を戸1に容易に取付けできる。
【0021】
本発明は以上に述べた実施形態に限定されない。指挟み防止ストッパーや操作部の形状、材質は、適宜変更することができる。戸の構造は問わない。指挟み防止ストッパーは、実施形態のように自重で倒れるものの他、バネの付勢力で倒れるもの、操作部を操作して倒すものであってもよい。本発明は、浴室戸に限らず、引戸を備えるあらゆる建具に適用することができる。
【符号の説明】
【0022】
1 戸
2 指挟み防止ストッパー
3 操作部
4 係止部
29 矩形溝(係止部)
32 垂下壁(係止部)